IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7331101オルガノキシシラン末端ポリマー系多成分架橋性塊状物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】オルガノキシシラン末端ポリマー系多成分架橋性塊状物
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20230815BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230815BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20230815BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20230815BHJP
   C09J 171/02 20060101ALI20230815BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230815BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20230815BHJP
   C09D 171/02 20060101ALI20230815BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230815BHJP
【FI】
C08L75/04
C08L71/02
C08K5/544
C09J175/04
C09J171/02
C09J11/06
C09D175/04
C09D171/02
C09D7/63
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021526573
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2019053709
(87)【国際公開番号】W WO2020164717
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュタンイェーク,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ツァンダー,ラルス
【審査官】長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-150381(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074925(WO,A1)
【文献】国際公開第00/056817(WO,A1)
【文献】特表2017-523294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/12
C08K 3/00- 13/08
C09J 1/00- 5/10
C09J 9/00-201/10
C09D 1/00- 10/00
C09J101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(K1)及び成分(K2)からなり、多くても100ppm重量部のスズを含む2成分系組成物であって、
成分(K1)が、式(Ia)の化合物(A1a)
-[B-CR -SiR(OR3-a (Ia)
及び式(Ib)の化合物(A1b)、
-[B-(CR -Si(OR (Ib)
から選択される、有機ケイ素化合物(A1)を含み、
(式中、
が、炭素を介して結合した、x価のポリマー基であって、ポリウレタン基及びポリオキシアルキレン基から選択され、
が、炭素を介して結合した、y価のポリマー基であって、ポリウレタン基及びポリオキシアルキレン基から選択され、
及びBが、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、及び2価の結合基、-O-、-O-CO-NH-、NH-CO-O-、-NH-CO-NR’-、又は-NR’-CO-NH-であり、
R’が、同一であってもよく、異なっていてもよく、1価の、任意に置換された炭化水素基、又は-CH(COOR)-CH-COOR基(Rは、アルキル基である)であり、
Rは、メチル基であり、
及びRは、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、メチル基又はエチル基であり、
及びRは、水素原子であり、
x及びyは、互いにそれぞれ独立して、1~10の整数であり、
aは、同一であってもよく、異なっていてもよく、0又は1であり、ただし、x=1の場合はa=0であり、
bは、3である)、並びに、
成分(K2)が、それぞれの場合において、成分(K1)中の化合物(A1)の100重量部に基づき、水を少なくとも0.05重量部、及び、式(IIa)の化合物(A2a)
-B-CR -SiR (OR3-c (IIa)
及び式(IIb)の化合物(A2b)
-[B-(CR10 -SiR (OR3-d (IIb)
から選択される成分(A2)を10~1000重量部含み、
(式中、
が、炭素を介して結合した、1価のポリマー基であって、ポリウレタン基及びポリオキシアルキレン基から選択され、
が、炭素を介して結合した、z価のポリマー基であって、ポリウレタン基及びポリオキシアルキレン基から選択され、
及びBが、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、2価の結合基、-O-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NR’’-、又は-NR’’-CO-NH-であり、
R’’が、同一であってもよく、異なっていてもよく、1価の、任意に置換された炭化水素基、又は-CH(COOR)-CH-COOR基(Rは、アルキル基である)であり、
及びRは、メチル基であり、
及びRは、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、メチル基又はエチル基であり、
及びR10は、水素原子であり、
zは、1~10の整数であり、
cは、1であり、
dは、1であり、並びに
eは、同一であってもよく、異なっていてもよく、3~10の整数である)、
ことを特徴とする、架橋性組成物。
【請求項2】
成分(A1)が化合物(A1a)を含み、及び成分(A2)が化合物(A2b)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の架橋性組成物。
【請求項3】
ポリマー基Y、Y、Y及びYが、互いに独立して、水又は水分と反応性である基を有さないことを特徴とする、請求項1又は2に記載の架橋性組成物。
【請求項4】
塩基性窒素を含む有機ケイ素化合物(B)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項5】
スズを含まないことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項6】
化合物(A1a)及び(A1b)から選択される有機ケイ素化合物(A1)、及び
任意に、塩基性窒素を含む化合物(B)
任意に、充填材(C)
任意に、シリコーン樹脂(D)
任意に、触媒(E)
任意に、接着促進剤(F)
任意に、水捕捉剤(G)
任意に、非反応性可塑剤(I)
任意に、有機溶媒(J)
任意に、添加剤(L)、及び
任意に、アジュバンド(M)
を含む成分(K1)、並びに、
それぞれの場合において、成分(K1)中の化合物(A1)100重量部に基づき、少なくとも水を0.05重量部、化合物(A2a)及び(A2b)から選択される有機ケイ素化合物(A2)を10~1000重量部、及び
任意に、充填材(C)
任意に、シリコーン樹脂(D)
任意に、接着促進剤(F)
任意に、増粘剤(H)
任意に、非反応性可塑剤(I)
任意に、有機溶媒(J)
任意に、添加剤(L)、及び
任意に、アジュバンド(M)
を含む成分(K2)からなることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項7】
(K2)に対する(K1)の割合が、重量に基づき、5:1~1:5の間であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の架橋性組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物を架橋することによって製造される、成型品。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物を用いて基材を接着又は封止する方法であって、成分(K1)及び(K2)、並びに任意にさらなる成分を、最初に互いに混合して、その後、少なくとも1つの基材の表面に塗布し、その後、この表面を第2の基材と接触させ接着し、その後架橋する、方法。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物を用いてコーティング又はカプセル化物の製造方法であって、成分(K1)及び(K2)、並びに任意にさらなる成分を、最初に互いに混合して、その後、少なくとも1つの基材に塗布し、その後架橋する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン架橋ポリマー系多成分架橋性組成物、その製造方法、及び接着剤やシール材としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
反応系アルコキシシリル基を有する、ポリマー系が確立されている。水及び/又は大気中の湿気と接触すると、これらのアルコキシシラン末端ポリマーは、アルコキシ基の脱離により、室温でも互いに縮合することができる。このような材料の最も重要な用途の1つは、接着剤やシール材、特に、弾性接着剤系の製造にある。
【0003】
その理由は、アルコキシシラン架橋ポリマー系接着剤は、完全に硬化した状態において、非常に多様な基材への接着性だけでなく、引張強度と高い弾性を組み合わせることができるため、機械的特性においてもとても良好な性質を示す。他の多くの接着剤及びシール材の技術(例えば、イソシアネート系、又はエポシキ系など)に対する、シラン架橋系のさらなる決定的な利点は、毒物学的に問題がないことである。
【0004】
この分野での多くの用途では、大気中の水分との接触を通じてのみ硬化する、1成分系(1K系)が好まれている。1K系の決定的な利点は、その容易な利用可能性にあり、なぜなら、この場合、使用者が異なる接着剤成分を混合する必要がない。1成分系では、作業が短縮され、及び計量又は混合の際に起こり得る誤りを回避することができるだけでなく、2成分系(2K系)の場合のように、2成分を十分に混合した後、接着剤又はシール材を通常は極めて狭い時間範囲内で処理する必要がない。
【0005】
しかしながら、1K系は、(大気中の)水分と接触することでのみ硬化するという、系に固有の決定的な欠点を有する。深い接合部、及び/又は広範囲の接着部では、硬化が進行するとともに、拡散経路が次第に長くなり、その進行がより遅くなるため、「外側から内側への」硬化が極端に遅くなる。これは、特に、非多孔性の基材(プラスチック、金属、塗料又はニスの表面、ガラス及びガラス張りの表面など)を接着させる際に当てはまり、このため、この問題は、結合部を事前に均一に湿らせることによっても解決できない。このような、接合及び接着作業の場合には、かくして、2K系の使用が有利であり、時には、実際に、単純に不可避である。
【0006】
シラン架橋ポリマー系の2K接着剤系は既知であり、例えば、欧州特許出願公開第824574号明細書、又は欧州特許出願公開第2448976号明細書に記載されている。典型的な2K系は、シラン末端ポリマー及び可塑剤、充填材、触媒、安定化剤などをさらに含む第1成分を含む。第2成分は、水、及び水と非反応性である充填材又は可塑剤などのさらなる成分を含み、及び任意に、例えば、セルロース誘導体などの増粘剤、並びにさらなる成分を含む。
【0007】
しかしながら、これらの先行技術の系では、2つの成分を十分に混合した後、第1成分中のポリマーを硬化させるのに、第2成分中の極端に少ない量の水で十分であるという問題に、当業者は直面する。さらに、シラン末端ポリマー及び水の相互溶解性が低いため、この場合、第2成分が、実質的に多量の水をさらに含むことができない。かくして、唯一の液体として水を含む第2成分は、現実の適用条件ではほとんど実用的ではないが、固体であるか(例えば、大量の充填材が添加される場合)、又は、さもなくば、第2成分は、実際には極端に少ない量でしか(例えば、1:100の混合比)第1成分に添加できないが、これも同様に実用的ではない。
【0008】
したがって、水のほかに、第2成分は、水と非反応性である第2の液体物質も含んでいなくてはならない。しかしながら、一般的には、非反応性の可塑剤しかこの目的に適していない。かくして、可塑剤を含まない2K系は、この技術では不可能である。
【0009】
しかしながら、非反応性の可塑剤は、得られたポリマーネットワークに組み込まれない。かくして、分子が比較的小さい場合には、それらは、染み出す、基材に移行する、又は、さもなくはガスとして揮発する。これらすべては、結果として、通常、可塑剤又はシール材の収縮、及び/又は脆化など、望ましくない特性の変化となる。さらに、可塑剤の基材への移行は、当該基材の魅力的でない変色にもつがながる可能性があり、この現象は、特に、例えば、天然石で作られた装飾的な基材である場合には、絶対に許容できない。かくして、可塑剤を含まない2K系を開発する選択肢がないことは、多くの場合、極めて致命的な欠点である。
【0010】
可塑剤を含まない訳ではないとはいえ、少なくとも少量の可塑剤しか含まず、及び可塑剤の添加に関連する問題を最小化することが可能な2K系は、確かに存在する。しかし、この種の系でも、開発者は重大な問題に直面する:可塑剤が少量しか使用されない場合、水及び可塑剤を含む第2成分は、少量の可塑剤を含むことしかできず、かくして、少量の体積しか有することができない。したがって、この第2成分は、比較的少量で(たとえば、1:10の割合で)のみ、第1成分と混和し続けなくてはならない(欧州特許出願公開第824574号明細書の実施例、又は欧州特許出願公開第2448976号明細書の実施例2を参照)。これは、原理的には実用的ではあるが、中途半端な混合精度しか得られないので、使用者にとって容易ではなく、したがって不便である。さらに、この種の系は、混合の誤りの影響をとても受けやすい。
【0011】
2つの成分を1:1の比率で混合する2K系は、加工がより容易であり、及び誤りがより発生しにくい。しかし、すでに述べたように、従来の2K技術を使用する際には、これは2K系に比較的多量の可塑剤が含まれているときにのみ可能であるが、(欧州特許出願公開第2448976号明細書の実施例1参照)、しかしながら、多くの場合、これは望ましくない。
【0012】
ここで、実質的により好ましいのは、両方の成分に水架橋性ポリマーを含み、及び、かくして、第2成分中の可塑剤にこれ以上縛られないという2K系である。このような系の例は、欧州特許出願公開第1743008号明細書、又は欧州特許出願公開第2009063号明細書に記載されている。
【0013】
この技術が基づいている発想は、使用されているシラン架橋性ポリマーの反応が遅く、水の存在下であっても、触媒なしには架橋しないというものである。かくして、ポリマーは両方の成分中に存在し、第1成分はさらに硬化触媒を含み、及び第2成分は水を含む。
【0014】
しかしながら、この技術の欠点は、反応が非常に遅いシラン末端ポリマーを使用した場合のみ実施可能であるが、シラン末端ポリマーは、水の存在下であっても、第2成分中で何か月も未架橋のままであり、ゲルの形成はおろか、有意な粘度上昇、及び自然発生的な望ましくない粘度上昇もないことにある。使用されるポリマーの部分におけるこの反応の遅さは、当然のことながら、最終的な用途で望まれる架橋は、比較的多量の決定的に活性な触媒の存在下でのみ、迅速に起こりうるという結果をもたらす。換言すれば、これらの系には、一般に、第1成分中に毒性学的に問題のあるスズ触媒を大量に含むことが要求される。高い反応性、迅速な硬化、及びスズを含まない若しくは少なくともスズの少ない2K系は、この技術を用いては、製造され得ない。
【0015】
このような2K系では不可避な、この種の攻撃的な(スズ)触媒のさらなる欠点は、関連する触媒が、関連する組成物の貯蔵安定性に悪影響を及ぼすところから生ずる。実際、反応性の高い触媒は、シラン末端ポリマー及び/又は他の配合成分の分解反応を触媒することがある。そのような典型的な分解反応としては、シラン末端ポリウレタンで発生する、ポリマー骨格中の、ウレタン及び/又は尿素単位の脱離が挙げられ、並びに通常はより遅いものの、ポリマー中に含まれるエーテル結合の切断、及び同様にポリマー中に含まれるエステル結合の切断も発生する。
【0016】
攻撃的な触媒によって加速される同様の分解反応は、対応する接着剤又はシール材の熱安定性にも悪影響を及ぼす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】欧州特許出願公開第824574号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2448976号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1743008号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2009063号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、シラン末端ポリマー系の、2成分系接着剤又はシール材を提供することであり、それによって、先行技術の欠点を克服することができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の主題は、少なくとも1つの成分(K1)及び1つの成分(K2)を含む、
成分(K1)が、式(Ia)の化合物(A1a)、
-[B-CR -SiR(OR3-a (Ia)
及び式(Ib)の化合物(A1b)、
-[B-(CR -Si(OR (Ib)
から選択される、有機ケイ素化合物(A1)であり、
(式中、
は、炭素を介して結合した、x価のポリマー基であり、
は、炭素を介して結合した、y価のポリマー基であり、
及びBは、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、及び2価の結合基、-O-、-NH-、-NR’-、-O-CO-NH-、NH-CO-O-、-NH-CO-NH、-NH-CO-NR’-、-NR’-CO-NH-、-NH-CO-、-CO-NH-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-S-CO-NH-、-NH-CO-S-、-CO-S-、-S-CO-、又は、-S-であり、
R’は、同一であってもよく、異っていてもよく、1価の、任意に置換された炭化水素基、又は-CH(COOR)-CH-COOR基(Rは、アルキル基である)であり、
Rは、同一であってもよく、異なっていてもよく、1価の、任意に置換された、SiC-結合した炭化水素基であり、
及びRは、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、水素原子、及び1価の、任意に置換された炭化水素基であり、
及びRは、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、水素原子、及び1価の、窒素、リン、酸素、硫黄又はカルボニル基を介して炭素原子に結合した、任意に置換された炭化水素基であり、
x及びyは、互いにそれぞれ独立して、1~10の整数であり、好ましくは1、2又は3、より好ましくは2又は3、より特に2であり、
aは、同一であってもよく、異なっていてもよく、0、1又は2であり、好ましくは0又は1であり、ただしx=1の場合はa=0であり、
bは、同一であってもよく、異なっていてもよく、3~10の整数である、好ましくは3又は4、より好ましくは3である)、並びに、
成分(K2)が、それぞれの場合において、成分(K1)中の化合物(A1)の100重量部に基づき、水を少なくとも0.05重量部、及び、式(IIa)の化合物(A2a)
-B-CR -SiR (OR3-c (IIa)
及び式(IIb)の化合物(A2b)
-[B-(CR10 -SiR (OR3-d (IIb)
から選択される成分(A2)を10~1000重量部含み、
(式中、
は、炭素を介して結合した、1価のポリマー基であり、
は、炭素を介して結合した、z価のポリマー基であり、
及びBは、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、2価の結合基、-O-、-NH-、-NR’’-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH、-NH-CO-NR’’-、-NR’’-CO-NH-、-NH-CO-、-CO-NH-、-CO-O-、-O-CO-、-O-CO-O-、-S-CO-NH-、-NH-CO-S-、-CO-S-、-S-CO-、又は-S-であり、
R’’は、同一であってもよく、異なっていてもよく、1価の、任意に置換された炭化水素基、又は-CH(COOR)-CH-COOR(Rは、アルキル基である)であり、
及びRは、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、1価の、任意に置換された、SiC-結合した炭化水素基であり、
及びRは、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、水素原子、又は1価の、任意に置換された炭化水素基であり、
及びR10は、互いにそれぞれ独立して、同一であってもよく、異なっていてもよく、水素原子、又は1価の、窒素、リン、酸素、硫黄若しくははカルボニル基を介して炭素原子に結合した、任意に置換された炭化水素基であり、
zは、1~10の整数であり、好ましくは1、2又は3、より好ましくは2又は3、より具体的には2であり、
cは、1又は2であり、好ましくは1であり、
dは、同一であってもよく、異なっていてもよく、1又は2であり、好ましくは1であり、並びに
eは、同一であってもよく、異なっていてもよく、3~10の整数であり、好ましくは3又は4、より好ましくは3である)、
ことを特徴とする多成分架橋性組成物である。
【0020】
本発明の組成物(K)は、好ましくは、成分(K1)及び(K2)からなる2成分系組成物である。
【0021】
本発明の組成物(K)の成分(K1)及び(K2)は、好ましくは、貯蔵中は別々に保管され、本発明の組成物(K)の施用の直前、及び、さもなくば最中まで、互いに混合されない。成分(K1)及び(K2)は、好ましくは施用の60分前以内、より好ましくは30分前以内、より具体的には10分前以内に、互いに混合される。施用中においてのみ、成分(K1)及び(K2)を混合することも、また、本発明の特に好ましい実施形態を構成する。
【0022】
基Rの例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-n-ブチル基、2-n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基のような、アルキル基;n-ヘキシル基のような、ヘキシル基;n-へプチル基のような、ヘプチル基;n-オクチル基、イソオクチル基及び2,2,4-トリメチルペンチルのような、オクチル基;n-ノニル基のような、ノニル基;n-デシル基のような、デシル基;n-ドデシル基のような、ドデシル基;n-オクタデシル基のような、オクダデシル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、及びメチルシクロヘキシル基のような、シクロアルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、及び2-プロペニル基のような、アルケニル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基のような、アリール基;o-、m-、及びp-トリル基のような、アルカリル基;エチルフェニル基のような、キシリル基、及びベンジル基、α-及びβ-フェニルエチル基のような、アラルキル基、がある。
【0023】
置換基Rの例としては、ハロアルキル基、及びo-、m-、及びp-クロロフェニル基のような、ハロアリール基がある。
【0024】
基R及びRの例としては、基Rとして上記に特定された例のものがある。
【0025】
それぞれの場合に、互いに独立して、基R、R及びRは、好ましくは、1~6個の炭素原子を有し、及び任意にハロゲン原子で置換された、1価の、SiC-結合した炭化水素基であり、より好ましくは、1~2個の炭素原子を有するアルキル基であり、より具体的には、メチル基である。
【0026】
基R、R、R及びRの例としては、水素原子、及び基Rとして特定された例のものがある。
【0027】
それぞれの場合に、互いに独立して、基R、R、R及びRは、好ましくは、水素原子、又は1~10個の炭素原子を有し、及び任意にハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、より好ましくは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、より具体的には、メチル基又はエチル基である。
【0028】
好ましくは、基R、R、R及びRのすべてはメチル基である。
【0029】
基R、R、R及びR10の例としては、水素原子、基Rとして特定された基、及び窒素、リン、炭素、硫黄、炭素及びカルボニル基を介して炭素原子に結合した、任意に置換された炭化水素基がある。
【0030】
それぞれの場合に、互いに独立して、基R、R、R及びR10は、好ましくは、水素原子、又は1~20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、より具体的には、水素原子である。
【0031】
結合基B及びBは、互いに独立して、好ましくは、-O-、-NH-、-NR’-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH、―NH-CO-NR’-、又は-NR’-CO-NH-であり、より好ましくは、結合基-O-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NR’-、又は-NR’-CO-NH-であり、及び特に好ましくは、-O-、又は-O-CO-NH-であり、より具体的には、-O-CO-NH-である。
【0032】
結合基B及びBは、互いに独立して、好ましくは、-O-、-NH-、-NR’’-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH、-NH-CO-NR’’-、又は-NR’’-CO-NH-であり、より好ましくは、結合基-O-、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NR’’-、又は-NR’’-CO-NH-であり、及び特に好ましくは、-O-、又は-O-CO-NH-であり、より具体的には、-O-CO-NH-である。
【0033】
基R’及びR’’の例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、n-及びイソプロピル基、n-、イソー及びtert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、若しくはヘプチル基の、多様な立体異性体、フェニル基、又は、式-CH(COOR)-CH-COORの基(Rが、アルキル基である)がある。
【0034】
互いに独立して、基R’及びR’’は、好ましくは、―CH(COOR)-CH-COORの基、又は1~20個の炭素原子を有する、任意に置換された炭化水素基、より好ましくは、1~20個の炭素原子を有する、直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基、又は任意にハロゲン原子で置換された、6~20個の炭素原子を有するアリール基である。
【0035】
基Rは、好ましくは、1~10個の炭素原子を有するアルキル基であり、より好ましくは、メチル基、エチル基、又はプロピル基である。
【0036】
ポリマー基Y、Y、Y、及びYは、互いに独立して、好ましくは、有機ポリマー基であり、ポリマー鎖は、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、及びポリオキシプロピレン-ポリオキシブチレン共重合体などのポリオキシアルキレン;ポリイソブチレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン、及びポリイソブチレンとイソプレンとの共重合体などの炭化水素ポリマー;ポリイソプレン;ポリウレタン;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート;ポリメタクリレート、又はポリカーボネートを含む。
【0037】
好ましくは、互いに独立して、ポリマー基Y、Y、Y、及びYは、水又は水分と反応性である基を有しない。特に、互いに独立して、それらは、水又は水分と反応性である基を有さず、及びケイ素含有基、特にアルコキシシリル基を有さない。
【0038】
それぞれの場合において、互いに独立して、ポリマー基Y、Y、Y、及びYは、より好ましくは、ポリウレタン基及びポリオキシアルキレン基であり、より具体的には、ポリオキシプロピレン含有ポリウレタン基、又はポリオキシプロピレン基である。
【0039】
、Y、Y、及び/又はYが、ポリウレタン基である場合において、それらは、互いに独立して、好ましくは、直鎖状又は分枝鎖状ポリオキシアルキレンより調製可能であり、より具体的には、ポリプロピレングリコール、及びジー、又はポリイソシアネートより調製可能である。
【0040】
、Y、Y、及び/又はYが、ポリオキシアルキレン基である場合において、その当該基は、互いに独立して、好ましくは、直鎖状又は分枝鎖状ポリオキシアルキレン基であり、より好ましくは、ポリオキシプロピレン基である。
【0041】
ポリオキシアルキレン基Y、Y、Y、及びYは、互いに独立して、好ましくは、10,000~30,000g/mol、より好ましくは、11,000~20,000g/molの数平均分子量Mnを有する。
【0042】
ここで、数平均分子量Mnは、THF中、60℃、流速1.2ml/分、及びRI(屈折率検出器)による検出を用いた、米国Waters Corp.のStyragel HR3-HR4-HR5-HR5カラムセット上、注入量100μlでの、ポリスチレン標準に対する大きさ排除クロマトグラフィー(SEC)により、決定する。
【0043】
互いに独立して、本発明に使用される化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び(A2b)は、アルコキシシラン官能性基を、ポリマー中の任意の個所、例えば、鎖中及び/又は末端、好ましくは末端に有してよい。
【0044】
好ましくは、互いに独立して、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び(A2b)は、シラン末端ポリオキシアルキレンであり、より具体的には、それぞれ、式(Ia)、(Ib)、(IIa)及び(IIb)のシラン末端ポリオキシプロピレンであり、
(式中、
R、R、及びRは、メチル基であり、
、R、R、及びRは、メチル基又はエチル基であり、より具体的には、メチル基であり、
、R、R、及びR10は、水素原子であり、
、B、B、及びBは、-O-、又は-O-CO-NH-、より具体的には、-O-CO-NH-であり、
aは、0又は1であり、
bは、3であり、
cは、1であり、
dは、1である)。
シラン末端ポリオキシアルキレンは、好ましくは、式に示されるシラン官能性末端基を除いては、もっぱらポリエチレン単位を有する。
【0045】
本発明に使用される、ポリマー(A1a)、(A1b)、及び(A2b)は、好ましくは、2又は3、より好ましくは、2個のシラン官能性末端基を1分子内に有する。本発明のポリマー(A2a)は、厳密に1つのシラン官能性末端基を有する。
【0046】
、B、B、及びBが-O-CO-NH-である、シラン末端ポリオキシアルキレン(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び(A2b)は、末端がヒドロキシル基、及びそれぞれ下記式のシラン類である、一般的なポリオキシアルキレンの反応により、単純な方法で調整できる。
OCN-CR -SiR(OR3-a (IIIa)、
OCN-(CR -Si(OR (IIIb)、
OCN-CR -SiR (OR3-c (III’a)、及び
OCN-(CR10 -SiR (OR3-d (III’b)
式中、すべての基、及び添え字は、上述の定義の一つを有する。
【0047】
式(Ib)、及び/又は(IIb)の化合物を製造するための、他の一般的な方法は、末端が不飽和であるポリオキシアルキレンを、相当するSiH官能性シランとヒドロシリル化させることである。
【0048】
化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び(A2b)の数平均分子量Mnは、互いに独立して、好ましくは、10,000g/mol~30,000g/mol、より好ましくは、11,000g/mol~24,000g/mol、より具体的には、11,000g/mol~22,000g/molである。
【0049】
本発明で使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び(A2b)の粘度は、互いに独立して、それぞれ20℃で測定した場合、好ましくは、0.2Pas~700Pas、より好ましくは、1Pas~100Pas、非常に好ましくは、5Pas~100Pasである。
【0050】
本発明で使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び(A2b)は、それぞれ、式(Ia)、(Ib)、(IIa)、又は(IIb)の化合物のうち、ただ1つの種類を表してもよく、又は、さもなくば、当該化合物の異なった種類の混合物を表してもよい。
【0051】
本発明で使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び(A2b)は、標準的な市販の製品であり、又は化学において一般的な方法によって製造してもよい。
【0052】
本発明で使用される、有機ケイ素化合物(A1)は、化合物(A1a)のみを含んでもよく、若しくは化合物(A1b)のみを含んでもよく、又は化合物(A1a)と化合物(A1b)の混合物を含んでもよく、好ましくは、化合物(A1a)であり、又は化合物(A1a)及び化合物(A1b)の混合物であり、より好ましくは、(A1a)である。有機ケイ素化合物(A1)が、化合物(A1a)と(A1b)の混合物を含む場合、(A1a)の(A1b)に対する混合比は、それぞれの場合において、重量に基づき、好ましくは、0.1~10であり、より好ましくは、0.2~5である。
【0053】
本発明で使用される、有機ケイ素化合物(A2)は、化合物(A2a)のみを含んでもよく、若しくは化合物(A2b)のみを含んでもよく、又は化合物(A2a)と化合物(A2b)の混合物を含んでもよく、好ましくは、化合物(A2)は、化合物(A2a)をもっぱら含み、又は(A2b)をもっぱら含む。
【0054】
好ましくは、少なくとも1つ成分、(K1)又は(K2)は、シラン架橋性基が、メチレンのスペーサーのみにより結合基から離れている、α-シリル基と呼ばれるものを有するポリマーを含む。換言すれば、成分(A1)は、好ましくは、化合物(A1a)を含み、及び/又は成分(A2)は、化合物(A2a)を含む。
【0055】
本発明の、特に好ましい一実施形態において、成分(A1)は、化合物(A1a)を含み、及び成分(A2)は、化合物(A2b)を含み、並びに、より具体的には、有機ケイ素化合物(A1)は、化合物(A1a)からなり、及び有機ケイ素化合物(A2)は、化合物(A2b)からなる。
【0056】
成分(K2)は、それぞれの場合において、成分(K1)中の有機ケイ素化合物(A1)100重量部に基づき、好ましくは、20~500重量部、より好ましくは、50~200重量部の、有機ケイ素化合物(A2)を含む。
【0057】
成分(K2)は、それぞれの場合において、成分(K1)中の有機ケイ素化合物(A1)100重量部に基づき、好ましくは、0.1~10重量部、より好ましくは、0.2~5重量部、より特に、0.4~3重量部の、水を含む。
【0058】
他の好ましい実施形態において、成分(K1)は、化合物(A1)、好ましくは(A1a)のみならず、化合物(A2b)を含む。成分(K1)が化合物(A2a)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、成分(K1)中の有機ケイ素化合物(A1)100重量部に基づき、好ましくは、1~100重量部、より好ましくは、5~50重量部、より特に10~30重量部の、化合物(A2a)を含む。本発明による、成分(K2)中における化合物(A2a)、及び/又は(A2b)の使用は、成分(K1)中における化合物(A2a)の、こうしたさらなる使用に影響されない。
【0059】
本発明に使用される水は、直接的には水性調整物の形態で、又は固体内に含まれる水、若しくはそこに吸収された水として、存在してもよい。
【0060】
水性調整物の例としては、例えば、可塑剤中、有機溶媒中、及び/又はシリコーン樹脂中における水のエマルジョンなどの、水性エマルジョンがある。任意に、ここに、増粘剤及び/又は充填材が存在してもよい。
【0061】
固体中に含まれる水の例としては、例えば、親水性シリカ又は粉末炭酸カルシウムなど、微粉化した充填材などの、充填材に結合している水分があり、表面結合水の1重量%以上程度まで含まれていてよい。
【0062】
固体中に含まれる水の他の例としては、沈降炭酸カルシウム、ゼオライト、又はその他任意に活性化した、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどの充填材が含まれ、充填材粒子内部に物理的に結合した水、又はワックス状若しくは樹脂状ポリマーに取り囲まれた水粒子が含まれる。
【0063】
本発明による成分(K2)を製造するために、水は、好ましくは、そうした形態で直接使用される。
【0064】
さらに、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)、並びに水に加え、
本発明の組成物(K)は、現在架橋性組成物に使用されており、及び化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、(A2b)及び水とは異なる、さらなる任意の物質を含んでいてよく、例としては、塩基性窒素を含む有機ケイ素化合物(B)、充填材(C)、シリコーン樹脂(D)、触媒(E)、接着促進剤(F)、水捕捉剤(G)、増粘剤(H)、非反応性可塑剤(I)、有機溶媒(J)、添加剤(L)、及びアジュバンド(M)がある。
【0065】
本発明の組成物(K)で任意に使用される化合物(B)は、好ましくは、
下記式の単位を含む、有機ケイ素化合物である:
Si(OR1112 (4-f-g-h)/2 (IV),
式中、
11は、同一であってもよく、異なっていてもよく、水素原子、又は任意に置換された、炭化水素基を表し、
Dは、同一であってもよく、異なっていてもよく、1価の、任意に置換された、塩基性窒素を含むSiC-結合基を表し、
12は、同一であってもよく、異なっていてもよく、1価の、任意に置換された、塩基性窒素を含まないSiC-結合有機基を表し、
fは、0、1、2、又は3、好ましくは、1又は0であり、
gは、0、1、2、又は3、好ましくは、1、2、又は3、より好ましくは、2又は3であり、及び
hは、0、1、2、3、又は4、好ましくは、1であり、
ただし、f+g+hの和は4以下であり、及び1分子あたり、少なくとも1つの基Dが存在する。
【0066】
本発明で任意に使用される、有機ケイ素化合物(B)は、シラン、例えば、f+g+h=4である、式(VI)の化合物であってよく、及び、シロキサン、例えば、f+g+h<3である、式(IV)の単位を含む化合物であってもよく、並びに、好ましくは、シランである。
【0067】
任意に置換された、炭化水素基R11の例としては、基Rで特定された例のものがある。
【0068】
基R11は、好ましくは、水素原子、又は1~18個の炭素原子を有し、及び任意にハロゲン原子で置換されている炭化水素基であり、より好ましくは、水素原子、又は1~10個の炭素原子を有する炭化水素基であり、並びに、より特に、メチル基又はエチル基である。
【0069】
基R12の例としては、基Rで特定された例のものがある。
【0070】
基R12は、好ましくは、1~18個の炭素原子を有し、及び任意にハロゲン原子で置換されている炭化水素基、より好ましくは、1~5個の炭素原子を有する炭化水素基、並びにより特に、メチル基を含む。
【0071】
基Dの例としては、式:HN(CH-、HN(CHNH(CH-、HN(CHNH(CHNH(CH-、HCNH(CH-、CNH(CH-、CNH(CH-、CNH(CH-、C11NH(CH-、C13NH(CH-、C15NH(CH-、HN(CH-、HN-CH-CH(CH)-CH-、HN(CH-、シクロ-CNH(CH-、シクロ-C11NH(CH-、フェニル-NH(CH-、(CHN(CH-、(CN(CH-、(CNH(CH-、(CN(CH-、(C11N(CH-、(C13N(CH-、(C15N(CH-、HN(CH)-、HN(CHNH(CH)-、HN(CHNH(CHNH(CH)-、HCNH(CH)-、CNH(CH)-、CNH(CH)-、CNH(CH)-、C11NH(CH)―、C13NH(CH)-、C15NH(CH)-、シクロ-CNH(CH)-、シクロ-C11NH(CH)-、フェニル-NH(CH)-、(CHN(CH)-、(CN(CH)-、(CNH(CH)-、(CNH(CH)-、(C11NH(CH)-、(C13NH(CH)-、(C15NH(CH)-、(CHO)Si(CHNH(CH-、(CO)Si(CHNH(CH-、(CHO)(CH)Si(CHNH(CH-、及び(CO)(CH)Si(CHNH(CH-の基、並びにエポキシド基、又は1級アミノ基と反応性である二重結合を含む、上記1級アミノ基の反応生成物がある。
【0072】
基Dは、好ましくは、HN(CH-、HN(CHNH(CH-、又はシクロ-C11NH(CH基を含む。
【0073】
本発明で任意に使用される、式(IV)のシランの例としては、HN(CH-Si(OCH、HN(CH-Si(OC、HN(CH-Si(OCHCH、HN(CH-Si(OCCH、HN(CHNH(CH-Si(OCH、HN(CHNH(CH-Si(OC、HN(CHNH(CH-Si(OCHCH、HN(CHNH(CH-Si(OCCH、HN(CHNH(CH-Si(OH)、HN(CHNH(CH-Si(OH)CH、HN(CHNH(CHNH(CH-Si(OCH、HN(CHNH(CHNH(CH-Si(OC、シクロ-C11NH(CH-Si(OCH、シクロ-C11NH(CH-Si(OC、シクロ-C11NH(CH-Si(OCHCH、シクロ-C11NH(CH-Si(OCCH、シクロ-C11NH(CH-Si(OH)、シクロ-C11NH(CH-Si(OH)CH、フェニル-NH(CH-Si(OCH、フェニル-NH(CH-Si(OC、フェニル-NH(CH-Si(OCHCH、フェニル-NH(CH-Si(OCCH、フェニル-NH(CH-Si(OH)、フェニル-NH(CH-Si(OH)CH、HN((CH-Si(OCH、HN((CH-Si(OC、HN((CH-Si(OCHCH、HN((CH-Si(OCCH、シクロ-C11NH(CH)-Si(OCH、シクロ-C11NH(CH)-Si(OC、シクロ-C11NH(CH)-Si(OCHCH、シクロ-C11NH(CH)-Si(OCCH、シクロ-C11NH(CH)-Si(OH)、シクロ-C11NH(CH)-Si(OH)CH、フェニル-NH(CH)-Si(OCH、フェニル-NH(CH)-Si(OC、フェニル-NH(CH)-Si(OCHCH、フェニル-NH(CH)-Si(OCCH、フェニル-NH(CH)-Si(OH)、及びフェニル-NH(CH)-Si(OH)CH、並びに、それぞれの場合において、それらの加水分解生成物があり、好ましくは、HN(CHNH(CH-Si(OCH、HN(CHNH(CH-Si(OC、HN(CHNH(CH-Si(OCHCH、シクロ-C11NH(CH-Si(OCH、シクロ-C11NH(CH-Si(OC又はシクロ-C11NH(CH-Si(OCHCH、それぞれの場合において、それらの部分加水分解生成物があり、特に好ましくは、HN(CHNH(CH-Si(OCH、HN(CHNH(CH-Si(OCHCH、シクロ-C11NH(CH-Si(OCH、又はシクロ-C11NH(CH-Si(OCHCH、及び、それぞれの場合において、それらの部分加水分解生成物がある。
【0074】
本発明で任意に使用される、有機ケイ素化合物(B)は、硬化触媒の機能を有してもよく、又は本発明の組成物中に、硬化触媒を有していてもよい。
【0075】
さらに、本発明で任意に使用される、有機ケイ素化合物(B)は、接着促進剤として作用してもよく、及び/又は水捕捉剤として作用してもよい。
【0076】
本発明で任意に使用される、有機ケイ素化合物(B)は、標準的な市販の製品であり、又は化学において一般的な方法によって製造できる。
【0077】
塩基性窒素を含む有機ケイ素化合物(B)が使用される場合、好ましくは、それらは成分(K1)の構成要素である。
【0078】
成分(K1)が化合物(B)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、0.1~25重量部、より好ましくは、0.5~10重量部である。本発明の成分(K1)は、好ましくは、化合物(B)を含む。
【0079】
本発明の成分(K)で任意に使用される、充填材(C)は、現在知られている、任意の所望の充填材であってよい。
【0080】
(C)の例としては、非補強性充填材があり、それらは、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、タルク、カオリン、ゼオライト、並びにアルミニウム、チタン、鉄、亜鉛の、粉砕及びか焼した酸化物、及び/又はそれらの混合酸化物などの金属酸化物粉末といった、好ましくは、50m/gまでのBET表面積を有する充填材である。一般的に言えば、分級グレード、及び粉砕グレードの両方を使用することができ、かくして、鋭角のものから、ジャガイモの形をしたもの、又は球形のものなど、形態に制限はない。これらの充填材の大きさは、好ましくは、0.01μm~100μmの範囲であり、より好ましくは、0.1μm~50μmである。
【0081】
さらに、好適なものとして、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素などの塩、ガラス粉末、及びポリアクリロニトリル粉末などのプラスチック粉末;50m/g超のBET表面積を有する補強用充填材、例えば、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、沈降チョーク、ファーネスブラック及びアセチレンブラックなどのカーボンブラック、高BET表面積の混合ケイ素アルミニウム酸化物;三水酸化アルミニウム、アルミノケイ酸塩、粘土鉱物、マグネシウムアルミニウムケイ酸塩(例えば、Micro-sorb(商標)という商標名の下、BASF社から入手可能なもの)、セラミックマイクロビーズなどの中空ビーズの形態の充填材(例えば、Zeeospheres(商標)という商標名の下、ドイツのノイスにある、3M Deutschland GmbH社から入手可能なもの)、弾性ポリマービーズ(例えば、EXPANCEL(商標)という商標名の下、スウェーデンのスンツヴァルにある、AKZO NOBEL, Expancel社から入手可能なもの)、又はガラスビーズ;アスベストやプラスチック繊維などの繊維状充填材がある。前述の充填材は、例えば、オルガノシラン、及び/又はオルガノシロキサンでの処理、ステアリン酸での処理、水酸基をエーテル化してアルコキシ基を形成するなどの処理により、疎水化されていてもよい。
【0082】
任意に使用される、充填材(C)は、好ましくは、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、又は三水酸化アルミニウムである。
【0083】
さらに、これは、同様にこの成分に加えられた水に対する高い吸収性のため、アルミニウムマグネシウムシリケートが、成分(K2)に好ましく使用される。
【0084】
好ましい炭酸カルシウムのグレードは、粉砕又は沈降炭酸カルシウム、及び任意に、例えば、ステアリン酸などの脂肪酸又はその塩で表面処理された、炭酸カルシウムである。シリカは好ましく、好ましくは、ヒュームドシリカを含む。
【0085】
任意に使用される充填材(C)は、好ましくは、1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満の水分含有量を有する。
【0086】
ここで、充填材(C)は、成分(K1)の構成成分であってよく、成分(K2)の構成成分でもあってよい。充填材は、成分(K1)及び(K2)の両方に存在してもよい。
【0087】
本発明の組成物(K)が充填材(C)を含んでいる場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、10~1000重量部、より好ましくは、50~500重量部、さらに好ましくは、80~300重量部である。本発明の組成物(K)は、好ましくは、充填材(C)を含む。
【0088】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の組成物(K)に含まれる充填材(C)は、
a)炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム、及び/又はタルク、並びに
b)シリカ、より特に、ヒュームドシリカ、並びに/又は
c)コロイド状アルミニウムマグネシウムシリケート
の組み合わせを、好ましくは、成分(K2)に含む。
【0089】
本発明の組成物(K)が、異なる充填材をこうした特定の組合わせで含む場合、組成物は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、0~80重量部、より好ましくは、5~40重量部の、シリカ特にヒュームドシリカを含み、並びに、好ましくは、10~500重量部、より好ましくは、50~300重量部の、炭酸カルシウム、三水酸化アルミニウム、タルク、又はこれらの素材の混合物を含み、0~100、好ましくは、5~40重量部の、コロイド状アルミニウムマグネシウムシリケートを含む。
【0090】
組成物(K)に任意に使用される、シリコーン樹脂(D)は、好ましくは、フェニルシリコーン樹脂である。
【0091】
成分(D)として使用できる、シリコーン樹脂の例としては、一般に市販されている製品、例として、SILRES(商標)IC 368、SILRES IC 678、SILRES IC 232、SILRES IC 235、又はSILRES SY231などの、Wacker Chemie AG社の、様々なSILRESグレードのものがある。
【0092】
本発明の組成物(K)が樹脂(D)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、
混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、5~1000重量部、より好ましくは、10~500重量部、より特に、50~300重量部である。
【0093】
この場合、シリコーン樹脂(D)の総量が、すべて成分(K1)に置かれてもよく、すべて成分(K2)に置かれてもよく、又は、さもなくば、それぞれの場合において、成分(K1)及び(K2)の両方にその一部分ずつが置かれてもよい。
【0094】
本発明の組成物に任意に使用される、触媒(E)は、シランの縮合により硬化する組成物に使用される、現在知られている任意の所望の触媒であってよい。
【0095】
金属含有硬化触媒(E)の例としては、有機チタン及び有機スズ化合物、例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、チタンテトラアセチルアセトナートなどのチタンエステル;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクタネート、ジブチルスズアセチルアセトネート、ジブチルスズオキサイド、及び対応するジオクチルスズ化合物などのスズ化合物がある。
【0096】
金属非含有硬化触媒(E)の例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、N,N-ビス(N,N-ジメチル-2-アミノ-エチル)メチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミン、及びN-エチルモルホリニンなどの塩基性化合物、
並びにモノ-,ジ-,トリ-,テトラ-,又はペンタメチルグアニジンなどのグアニジン誘導体などがある。
【0097】
同様に触媒(E)として使用できるものとして、リン酸およびそのエステル、トルエンスルホン酸、硫酸、硝酸、又は、例としては、酢酸及び安息香酸などの、他の有機カルボン酸などの酸性化合物がある。
【0098】
本発明の組成物(K)が触媒を含む場合、含まれる触媒は、好ましくは低スズ触媒、より好ましくは非スズ触媒(E)、より特に非金属触媒(E)である。
【0099】
ここで、触媒(E)は、好ましくは、組成物(K1)の構成要素として使用される。
【0100】
本発明の組成物(K)が触媒(E)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、0.01~20重量部、より好ましくは、0.05~5重量部である。
【0101】
好ましいことではないが、本発明の組成物(K)がスズ触媒(E)を含む場合、その含量は、スズの重量分率が、それぞれの場合において、組成物(K)の総量に基づき、好ましくは、多くても500ppm重量部、より好ましくは、多くても250ppm重量部、特に好ましくは、多くても100ppm重量部であるような量である。
【0102】
ポリマー(A1a)及び(A2a)は、水に対する高い反応性により注目に値し、及び、かくして、例えば、十分に迅速な反応を可能とするアミン系触媒の存在下では、一般に、スズ触媒をとても少量しか必要とせず、又は完全に非スズの触媒下でも硬化する。驚くべきことに、これらのポリマー(A1a)及び/又は(A2a)を、反応性の低い従来のポリマー、例えば、(A1b)又は(A2b)と混合したとしても、低スズ又は非スズの硬化が作用する。この種の2K系は、かくして、2つの成分(K1)又は(K2)の片方のみが、高反応性ポリマー(A1a)又は(A2a)を含んでいる場合でも、非スズで又は低スズで迅速に硬化する。これは、成分(K1)が化合物(A1a)を含み、成分(K2)が化合物(A2b)を含む、前述の本発明の実施形態において、特に当てはまる。この限りにおいて、化合物(A1a)及び/又は(A2a)を含む非スズの組成物(K)は、本発明の特に好ましい実施形態を表す。
【0103】
本発明の組成物(K)に任意に使用される、接着促進剤(F)は、シランの縮合により硬化する系として現在記載されており、及び化合物(B)とは異なる、任意の所望の接着促進剤であってよい。
【0104】
接着促進剤(F)の例としては、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、又はグリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどのエポキシシラン、2-(3-トリエトキシシリルプロピル)無水マレイン酸、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)尿素、N-(トリメトキシシリルメチル)尿素、N-(メチルジメトキシシリルメチル)尿素、N-(3-トリエトキシシリルメチル)尿素、N-(3-メチルジエトキシシリルメチル)尿素、O-メチルカルバマトメチルジメトキシシラン、O-メチルカルバマトメチルトリメトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルトリエトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン、及びアクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、並びにそれらの部分縮合物がある。
【0105】
接着促進剤(F)が使用される場合、それは、成分(K1)及び/又は成分(K2)に含まれる。
【0106】
本発明の組成物が接着促進剤(F)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、0.5~30重量部、より好ましくは、1~10重量部である。
【0107】
本発明の組成物(K)に任意に使用される、水捕捉剤(G)は、シランの縮合により硬化するものとして記載されており、及び化合物(B)及び(F)とは異なる、任意の所望の水捕捉剤であってよい。
【0108】
水捕捉剤(G)の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、O-メチルカルバマトメチルメチルジメトキシシラン、
O-メチルカルバマトメチルトリメトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルジエトキシシラン、O-エチルカルバマトメチルトリエトキシシランなどのシラン、及び/又はそれらの部分縮合物、並びに1,1,1-トリメトキシエタン、1,1,1-トリエトキシエタン、トリメトキシメタン、トリエトキシメタンなどのオルトエステル類がある。
【0109】
水捕捉剤(G)が使用される場合、それらは、好ましくは成分(K1)の構成要素である。
【0110】
組成物(K)が水捕捉剤(G)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、0.5~30重量部、より好ましくは、1~10重量部である。成分(K1)は、好ましくは、水捕捉剤(G)を含む。
【0111】
本発明の組成物(K)に任意に使用される、増粘剤(H)は、好ましくは、有機系増粘剤であり、より好ましくは、水溶性又は水膨潤性ポリマーである。有機系増粘剤(H)の例としては、デンプン、デキストリン、オリゴ糖、セルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、寒天、アルギン酸塩、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、トラガント、アラビアガム、カゼイン、ポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、又はポリイミンがある。
【0112】
増粘剤(H)が使用される場合、それらは、好ましくは成分(K2)の構成要素である。
【0113】
本発明の組成物(K)が、増粘剤(H)を、好ましくは、成分(K2)に含む場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、0.5~100重量部、より好ましくは、1~30重量部である。
【0114】
充填材(C)としてすでに記載の、ヒュームドシリカ、アルミノシリケート、又は粘土鉱物は、増粘効果を有していてもよい。これらの充填材(C)は、かくして、本発明の成分(K1)、及び/又は(K2)を、増粘させる目的で使用されることもある。
【0115】
非反応性可塑剤(I)は、好ましくは、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、安息香酸エステル、グリコールエステル、飽和アルカンジオールのエステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、パラフィン系炭化水素、又は高分子量の分岐炭化水素である。
【0116】
好ましくは、ポリマー性可塑剤を使用する場合、200~20,000g/mol、より好ましくは、500~10,000g/mol、さらに好ましくは、900~8000g/molの分子量、又は平均分子量を有する非反応性可塑剤(I)が使用される。
【0117】
非反応性可塑剤(I)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の構成要素であってよい。非反応性可塑剤は、成分(K1)及び(K2)の両方に含まれていてもよい。
【0118】
本発明の組成物(K)が、非反応性可塑剤(I)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、1~200重量部、より好ましくは、5~100重量部である。本発明の好ましい実施形態において、本発明の成分(K)は、非反応性可塑剤(I)を含んでいない。
【0119】
溶媒(J)の例としては、低分子量のエステル、エーテル、ケトン、芳香族及び脂肪族、並びに任意にハロゲンを含有する、炭化水素及びアルコールがあり、後者が好ましい。
【0120】
ここで、溶媒(J)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の構成要素であってよい。溶媒は、成分(K1)及び(K2)の両方に含まれていてもよい。
【0121】
好ましくは、本発明の組成物(K)には、有機溶媒(J)は添加されない。
【0122】
任意に本発明の組成物に使用される、添加剤(L)は、シラン架橋系について一般的なものとして現在知られている、任意の所望の添加剤であってよい。
【0123】
本発明に任意に使用される、添加剤(L)は、好ましくは、酸化防止剤、HALS化合物と呼ばれるような紫外線安定剤、殺菌剤、及び顔料である。成分(K2)は、さらに、添加剤として、水及びこの成分の残りの構成要素との、相溶性及び/又は乳化性を改善する、乳化剤を含んでいてもよい。当該乳化剤は、イオン性乳化剤であってよく、又は非イオン性乳化剤であってもよい。
【0124】
ここで、添加剤(L)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の構成要素であってよい。添加剤は、成分(K1)及び(K2)の両方に含まれていてもよい。
【0125】
本発明の組成物(K)が、添加剤(L)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、0.01~30重量部、より好ましくは、0.1~10重量部である。本発明の成分(K)は、好ましくは、添加剤(L)を含んでいる。
【0126】
本発明に任意に使用される、アジュバンド(M)は、好ましくは、テトラアルコキシシラン、例として、テトラエトキシシランおよびその部分縮合物、反応性可塑剤、レオロジー添加剤、又は難燃剤である。
【0127】
好ましい反応性可塑剤(M)は、6~40個の炭素原子を有するアルキル鎖を含み、並びに化合物(A1)及び(A2)に対して反応性である基を有する化合物である。例としては、
イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、N-オクチルトリメトキシシラン、N-オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、及びヘキサデシルトリエトキシシランがある。
【0128】
レオロジー添加剤(M)は、好ましくは、ポリアミドワックス、水添ひまし油、又はステアリン酸塩である。
【0129】
使用する難燃剤(M)は、一般的な種類の接着系及びシール材系に用いられる、任意の一般的な難燃剤でよく、より特に、ハロゲン化化合物及びその誘導体、特に、リン酸のエステルである。
【0130】
ここで、アジュバンド(M)は、成分(K1)及び成分(K2)の両方の構成要素であってよい。アジュバンドは、成分(K1)及び(K2)の両方に含まれていてもよい。
【0131】
本発明の組成物(K)が、1以上の成分(M)を含む場合、その含量は、それぞれの場合において、混合物(K)中に使用される、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、及び/又は(A2b)の全重量100重量部に基づき、好ましくは、0.5~200重量部、より好ましくは、1~100重量部、より特に、2~70重量部である。
【0132】
本発明の組成物(K)は、好ましくは、化合物(A1a)及び(A1b)から選択される有機ケイ素化合物(A1)及び、
任意に、塩基性窒素を含む化合物(B)、
任意に、充填材(C)、
任意に、シリコーン樹脂(D)、
任意に、触媒(E)、
任意に、接着促進剤(F)、
任意に、水捕捉剤(G)、
任意に、非反応性可塑剤(I)
任意に、有機溶媒(J)
任意に、添加剤(L)、及び
任意に、アジュバンド(M)
を含む成分(K1)、並びに、
それぞれの場合において、成分(K1)の中の化合物(A1)100重量部に基づき、水を少なくとも0.05重量部、及び化合物(A2a)及び(A2b)から選択される有機ケイ素化合物(A2)を10~1000重量部含み、
任意に、充填材(C)、
任意に、シリコーン樹脂(D)、
任意に、接着促進剤(F)、
任意に、増粘剤(H)、
任意に、非反応性可塑剤(I)
任意に、有機溶媒(J)
任意に、添加剤(L)、及び
任意に、アジュバンド(M)
を含む成分(K2)、
からなる組成物である。
【0133】
本発明の組成物(K)は、より好ましくは、化合物(A1a)及び(A1b)より選択される、有機ケイ素化合物(A1)を100重量部、及び塩基性窒素を含む化合物(B)及び
任意に、充填材(C)、
任意に、シリコーン樹脂(D)、
任意に、触媒(E)、
任意に、接着促進剤(F)、
任意に、水捕捉剤(G)、
任意に、非反応性可塑剤(I)
任意に、有機溶媒(J)
任意に、添加剤(L)、及び
任意に、アジュバンド(M)
を含む成分(K1)、並びに、
それぞれの場合において、成分(K1)の中の化合物(A1)100重量部に基づき、水を少なくとも0.05重量部、及び化合物(A2a)及び(A2b)から選択される有機ケイ素化合物(A2)を20~500重量部含み、
任意に、充填材(C)、
任意に、シリコーン樹脂(D)、
任意に、接着促進剤(F)、
任意に、増粘剤(H)、
任意に、非反応性可塑剤(I)
任意に、有機溶媒(J)
任意に、添加剤(L)、及び
任意に、アジュバンド(M)
を含む成分(K2)、
からなる組成物である。
【0134】
本発明で使用される成分(K1)は、好ましくは、化合物(A1)、並びに、任意の、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(L)、(M)、及び(A2a)以外の構成要素を含まない。
【0135】
本発明で使用される成分(K2)は、好ましくは、化合物(A2)、水、並びに、任意の、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(L)、及び(M)以外の構成要素を含まない。
【0136】
本発明で使用される成分(K)は、好ましくは、化合物(A1a)、(A1b)、(A2a)、(A2b)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(L)、(M)、及び水以外の構成要素を含まない。
【0137】
本発明で使用される、それぞれの構成要素は、そうした任意の構成要素のうち1種類のみ含んでもよく、さもなくば、各構成要素のうち少なくとも2種類の混合物を含んでもよい。
【0138】
本発明で使用される、成分(K1)は、それぞれの場合で、25℃で、好ましくは、500~1,000,000mPas、より好ましくは、1000~500,000mPas、さらに好ましくは、1000~20,000mPasの粘度を有する。
【0139】
本発明で使用される成分(K2)は、それぞれの場合で、25℃で、好ましくは、500~1,000,000mPas、より好ましくは、1000~500,000mPas、さらに好ましくは、1000~20,000mPasの粘度を有する。
【0140】
成分(K1)及び(K2)の割合は、成分(K1)中の化合物(A1)、並びに成分(K2)中の化合物(A2)及び水の間で、上記で要求された割合が達成される限りにおいて、原則として任意に選択できる。(K2)に対する(K1)の割合は、それぞれの場合で重量に基づき、好ましくは、5:1~1:5の間、より好ましくは、2:1~1:2の間である。
【0141】
本発明の成分(K1)及び(K2)は、例えば、湿気硬化性組成物の製造に慣用されている種類の技術や混合方法にしたがい、任意の所望の、従来の方法により製造することができる。様々な構成要素を互いに混合する順序は、任意に変化させることができる。
【0142】
本発明のさらなる主題は、成分(K1)及び(K2)、並びに任意にさらなる成分を一緒に混合することによる、本発明の組成物(K)の製造方法であり、個々の成分は、各成分の構成要素の全てを任意の順序で別個に混合することによって製造される。
【0143】
この混合は、室温及び周囲大気圧下、換言すれば、約900~1100hPaで行うことができる。所望に応じて、この混合は、任意に、より高い温度、例えば、30~130℃の範囲の温度で行ってもよい。さらに,揮発性化合物及び/又は空気を除去するために、混合を一時的に又は連続的に、減圧下、例えば、絶対圧30~500hPaの下で行うことも可能である。
【0144】
本発明による成分(K1)の混合は、好ましくは、水分の非存在下で行われる。本発明の方法は、連続的に又は不連続的に行うことができる。
【0145】
本発明の組成物の個々の成分は、貯蔵安定性を有するプレミックスであり、加工の直前、又はさもなくば最中、特にインサイチュで混合することができる。
【0146】
本発明の組成物(K)は、好ましくは室温で、好ましい機械的混合による、成分(K1)及び(K2)の接触中、及び/又は接触後に架橋される。所望に応じて、架橋は、室温より高温又は低温、例えば、ー5℃~15℃、又は30℃~50℃で行ってもよい。
【0147】
架橋は、好ましくは、100~1100hPaの圧力下で、より好ましくは、周囲大気圧下で行われる。
【0148】
本発明のさらなる主題は、本発明の組成物(K)を架橋することによって製造される成型品である。
【0149】
本発明の成型品には、任意の所望の成型品、例えば、ガスケット、圧縮成形品、押出成形品、コーティング、含浸物、カプセル化物、レンズ、プリズム、多角形構造、積層体層、又は接着層が含まれてよい。
【0150】
本発明の組成物(K)は、好ましくは、接着剤又はシーリング材として使用される。本組成物は、例えば、木材、コンクリート、多孔石、紙、布、革など、任意の物質を接着するのに使用することができる。大気中の水分との接触を通じてのみ硬化する1成分系組成物とは対照的に、本組成物は、例えば、金属、ガラス、水不透過性セラミック、非多孔石、プラスチック、塗装面などの、水不透過性材料を接着するのにも好適である。また、接着剤の継ぎ目が非常に深く、又は接着剤の層が非常に厚く、そのため、大気中の水分による硬化が不可能になる、又は少なくとも大幅に遅くなる場合にも好適である。ここでは、似たような素材同士、及び異なる素材同士の両方を、互いに接着することが可能である。
【0151】
本発明の組成物(K)は、上記の素材の間の、任意の接合部を封止するのにも使用することができる。
【0152】
本発明のさらなる主題は、基材を接着又は封止する方法であり、本発明で使用される成分(K1)及び(K2)、並びに任意にさらなる成分を、最初に互いに混合して、その後、少なくとも1つの基材の表面に塗布し、その後、この表面を第2の基材と接触させ接着し、本発明の組成物(K)をその後架橋する、方法である。
【0153】
本発明のさらなる主題は、コーティング又はカプセル化物の製造方法であり、本発明で使用される成分(K1)及び(K2)、並びに任意にさらなる成分を、最初に互いに混合して、その後、少なくとも1つの基材に塗布し、本発明の組成物(K)をその後架橋する、方法である。
【0154】
前記の例としては、LED又は他の電子部品の組成物をカプセル化すること、鋳型、複合材料及び成型した複合部品を製造することがある。成型した複合部品とは、ここでは、複合材料を含む一体成型品を指し、本発明の組成物の架橋生成物から、及び少なくとも1つの基材から、2個の部品の間に、堅固な、耐久性のある接着を形成する方法で、組み立てられる。
【0155】
本発明の組成物(K)の利点は、その製造が容易であることにある。
【0156】
本発明の架橋性組成物(K)の利点は、それが、個々の成分の非常に高い貯蔵安定性という点で、注目に値すべきものであることにある。
【0157】
本発明の架橋性組成物の利点は、成分(K1)及び(K2)、並びにさらなる成分を混合した後に、水及び大気中の水分に対して透過性ではない、高い層厚み、及び/又は深い接着剤の接合部が、2つの基材の間に存在するときでさえも、高い架橋率及び硬化を呈することにある。
【0158】
本発明の架橋性組成物のさらなる利点は、それが、優れた接着プロファイルを示すことにある。
【0159】
さらに、本発明の架橋性組成物の利点は、高いラップせん断強度を有する接着剤を製造するために使用できることにある。
【0160】
後述の実施例において、全ての粘度の数値は25℃の温度に基づいている。他に示さない限り、下記実施例は、周囲大気圧下、換言すれば約1000hPa、並びに室温、換言すれば約23℃、又はさらなる加熱若しくは冷却なしに、反応物が室温で組み合わされる際に生じる温度で行われており、並びに約50%の相対大気湿度で行われている。さらに、他に示さない限り、部及びパーセンテージで表される全ての数値は重量を指す。
【実施例
【0161】
製造例1-1:2K接着剤配合物(K1-1)のための成分(K1)の製造
平均分子量(Mn)12,000g/mol、及び式-O-C(=O)-NH-CH-SiCH(OCH3)の末端基を有する、両端シラン末端ポリプロピレングリコール(GENIOSIL(商標)STP-E10の名の下、ドイツミュンヘンWacker Chemie AG社から市販されいている)172.4gを、平均分子量(Mn)5,000g/mol、及び式-O-C(=O)-NH-CH-SiCH(OCH3)の末端基を有する、片端シラン末端ポリプロピレングリコール(GENIOSIL(商標)XM20の名の下、ドイツミュンヘンWacker Chemie AG社から市販されいている)34.4g、ビニルトリメチルシロキサン10,4g、及び安定剤混合物(TINUVIN(商標)B 75の名の下、ドイツBASF SE社から市販されいている、GermanyIrganox(商標)1135(CAS No.125643-61-0)20%、Tinuvin(商標)571(CAS No.23328-53-2)40%、及びTinuvin765 (CAS No.41556-26-7)40%の混合物)3.6gと、2台のクロスアーム・ミキサーを備えた、PC-Laborsystemの実験用プラネタリーミキサーで、25℃付近、200rpmで2分間ホモジナイズする。
【0162】
その後、平均粒径(D50%)2.0μm付近を有する、ステアリン酸被覆炭酸カルシウム(Omyabond 520の名の下、ドイツミュンヘンOmya社から市販されいている)69.2g、及び平均粒径(D50%)0.07μm付近を有する、脂肪酸被覆沈降チョーク(Hakuenka CCR S10の名の下、ドイツShiraishi Omya GmbH社から市販されいている)103.6gを、600rpmで1分間撹拌混合する。最後に、Nー(2-アミノエチル)ー3ーアミノプロピルメチルジメトキシシラン6.4gを、200rpmで1分間混合する。結論として、ホモジナイゼーション及び泡の立たない撹拌を、100mbarの圧力下で、600rpmで2分間、及び200rpmで1分間行う。
【0163】
完成した成分(K1-1)を、気密性シーリング用装置を用いて容器に移す。
【0164】
製造例2-1:2K接着剤配合物(K2-1)のための成分(K2)の製造
平均分子量(Mn)5,000g/mol、及び式-O-C(=O)-NH-CH-SiCH(OCHの末端基を有する、片端シラン末端ポリプロピレングリコール(GENIOSIL XM20の名の下、ドイツミュンヘンWacker Chemie AG社から市販されいている)200.0gを、平均粒径(D50%)2.0μm付近を有する、ステアリン酸被覆炭酸カルシウム(Omyabond 520の名の下、ドイツケルンOmya社から市販されている)100,0g、平均粒径(D50%)0.07μm付近を有する、脂肪酸被覆沈降チョーク(Hakuenka CCR S10の名の下、ドイツShiraishi Omya GmbH社から市販されている)40.0g、及び熱活性化コロイド状アルミニウムマグネシウムシリケート(Micro-sorb 300 LVMの名の下、ドイツBASF SE社から市販されいてる)60gと、2台のクロスアーム・ミキサーを備えた、PC-Laborsystemの実験用プラネタリーミキサーで、25℃付近、600rpmで1分間撹拌する。
【0165】
その後、水10gを、200rpmで1分間混合する。結論として、ホモジナイゼーション及び泡の立たない撹拌を、100mbarの圧力下で、600rpmで2分間、及び200rpmで1分間行う。
【0166】
完成した成分(K2-1)を、気密性シーリング用装置を用いて容器に移す。
【0167】
製造例2-2:2K接着剤配合物(K2-2)のための成分(K2)の製造
GENIOSIL XM20 200gを、式-O-(CH-SiCH(OCHの末端基を有する、単一分枝状シラン末端ポリプロピレングリコール(MS 303Hの名の下、日本Kaneka社から市販されている)200gと置き換えた以外は、手順は製造例2-1と全く同じであった。
【0168】
製造例2-3:2K接着剤配合物(K2-3)のための成分(K2)の製造
GENIOSIL(登録商標) XM20 200gを、式-O-(CH-SiCH(OCHの末端基を有する、鎖状シラン末端ポリプロピレングリコール(SAX 750の名の下、日本Kaneka社から市販されている)200gと置き換えた以外は、手順は製造例2-1と全く同じであった。
【0169】
製造例2-4:2K接着剤配合物(K2-4)のための成分(K2)の製造
GENIOSIL(登録商標) XM20 200gを、ともに式-O-(CH-SiCH(OCHのシリル基を有する、鎖状シラン末端ポリプロピレングリコール、及びシラン修飾ポリアクリレートの混合物(MAX 951の名の下、日本Kaneka社から市販されている)200gと置き換えた以外は、手順は製造例2-1と全く同じであった。
【0170】
実施例1~4
それぞれの場合において、完成した成分K1-1 60gを、それぞれの場合において、完成した成分K2-1(実施例1)、K2-2(実施例2)、K2ー3(実施例3)及びK2-4(実施例4)それぞれと均一に混合した。その後、得られた4つの組成物の特性を決定した。
【0171】
コーティング形成時間
得られた2成分架橋性組成物を、それぞれ2mm厚の層としてPE薄膜に塗布し、これらの組立体を、標準的な条件下(23℃及び50%の相対湿度)で貯蔵することにより、コーティング形成時間を決定した。硬化の過程で、コーティングの形成試験を1分間に1回実施した。本試験では、乾燥した実験用スパチュラを注意深く標本の表面に置き、それを上に引き上げる。試料がスパチュラに付着してる間は、コーティングはまだ形成されていないとする。試料がスパチュラに付着しなくなったら、コーティングは形成されたとして、その時間を記録する。結果を表1に示すことができる。
【0172】
機械的特性
2成分架橋性組成物を、それぞれ、削り出されたテフロン板上に深さ2mmで被覆し、
23℃及び50%相対湿度で、2週間硬化させた。
ショアA硬度は、DIN EN 53505に準拠して決定した。
引張強度は、DIN EN 53504-S1に準拠して決定した。
破断点伸びは、DIN EN 53504ーS1に準拠して決定した。
100%モジュラスは、DIN EN 53504ーS1に準拠して決定した。
【0173】
結果を表1に示すことができる。
【0174】
【表1】
【0175】
製造例1-5:2K接着剤配合物(K1-5)のための成分(K1)の製造
平均分子量(Mn)5,000g/mol、及び式-O-C(=O)-NH-CH-SiCH(OCHの末端基を有する、片端シラン末端ポリプロピレングリコール(GENIOSIL XM25の名の下、ドイツミュンヘンWacker Chemie AG社から市販されいている)91gを、ビニルトリメチルシラン4.5g、安定剤混合物(TINUVIN B 75の名の下、ドイツBASF SE社から市販されいている、Irganox 1135(CAS No.125643-61-0)20%、Tinuvin 571(CAS No.23328-53-2)40%、及びTinuvin 765(CAS No.41556-26-7)40%の混合物)と、2台のクロスアーム・ミキサーを備えた、PC-Laborsystemの実験用プラネタリーミキサーで、25℃付近、200rpmで2分間ホモジナイズする。
【0176】
その後、球状酸化アルミニウム(Alunabeads(商標) CB A50の名の下、日本Showa Denko社から市販されている)305g、か焼酸化アルミニウム(Alumina CL 3000 SGの名の下、ドイツルートヴィヒスハーフェンAlmatis社から市販されいている)375g、及び酸化亜鉛(Zinc Oxide Grade AZO 66の名の下、アメリカU.S. Zinc Houston社から市販されいている)220gを、600rpmで1分間撹拌して溶解させる。最後に、Nー(2ーアミノエチル)ー3-アミノープロピルトリメトキシシラン3gを、200rpmで1分間混合する。結論として、ホモジナイゼーション及び泡の立たない撹拌を、100mbarの圧力下で、600rpmで2分間、及び200rpmで1分間行う。
【0177】
完成した成分(K2-1)を、気密性シーリング用装置を用いて容器に移す。
【0178】
製造例2-5:2K接着剤配合物(K2-5)のための成分(K2)の製造
平均分子量(Mn)5,000g/mol、及び式-O-C(=O)-NH-CH-SiCH(OCHの末端基を有する、片端シラン末端ポリプロピレングリコール(GENIOSIL XM20の名の下、ドイツミュンヘンWacker Chemie AG社から市販されいている)96.2gを、球状酸化アルミニウム(Alunabeads CB A50の名の下、日本Showa Denko社より市販されいている)305g、か焼酸化アルミニウム(Alumina CL 3000 SGの名の下、ドイツルートヴィヒスハーフェンAlmatis社から市販されいている)375g、及び酸化亜鉛(Zinc Oxide Grade AZO 66の名の下、アメリカU.S.Zinc,Houston社から市販されている)220gを、2台のクロスアーム・ミキサーを備えた、PC-Laborsystemの実験用プラネタリーミキサーで、25℃付近、600rpmで1分間撹拌する。その後、55℃の温度で、水3.8gを混ぜ入れ、ホモジナイゼーション及び泡の立たない撹拌を、100mbarの圧力下で、200rpmで1分間行う。
【0179】
完成した成分(K2-1)を、気密性シーリング用装置を用いて容器に移す。
【0180】
実施例5
成分(K1ー5)及び(K2-5)に基づく接着剤を、重量に基づき1:1の混合比で、Speedmixerで混合して、混合物を、23℃及び50%相対湿度で2週間硬化させる。その後、いくつかの試験では、組成物を700mmの面積を有する2枚のアルミニウム板間に展開し、各間隙の厚みにつき、ASTM 5470-12に準拠して、熱伝導性を測定した。2.8W/mKを超えるλ値が確認された。