IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ チアンスー アオサイカン ファーマシューティカル カンパニー,リミティドの特許一覧

特許7331116TGF-βR1キナーゼ阻害剤としての5-(4-ピリジルオキシ)ピラゾール類化合物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】TGF-βR1キナーゼ阻害剤としての5-(4-ピリジルオキシ)ピラゾール類化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/12 20060101AFI20230815BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20230815BHJP
   A61K 31/497 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230815BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230815BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20230815BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/4439
A61K31/444
A61K31/497
A61P35/00
A61P37/02
C07D401/14
C07D405/14
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021543265
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 CN2020073832
(87)【国際公開番号】W WO2020151749
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】201910069936.2
(32)【優先日】2019-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519214754
【氏名又は名称】チアンスー アオサイカン ファーマシューティカル カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー、シアンユイ
(72)【発明者】
【氏名】ティン、チャールズ ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】フー、リーホン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、シューホイ
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-545326(JP,A)
【文献】国際公開第2013/086397(WO,A1)
【文献】特表2016-535745(JP,A)
【文献】特表2004-535404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化1】

(ただし、R及びRはそれぞれ独立的に
【化2】

1-3アルコキシ、C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、前記C1-3アルコキシ、C1-3アルキル及びC3-6シクロアルキルは1、2又は3個の独立的にF又はCから選ばれる置換基により任意に置換され、
又はR及びRはそれらに隣接している炭素原子と一緒に連結されて、
【化3】

から選ばれることになり、
は、C1-6アルキル、5~6員ヘテロアリール、フェニル又は5~6員ヘテロシクロアルキルであり、前記C1-6アルキル、5~6員ヘテロアリール、フェニル及び5~6員ヘテロシクロアルキルは1、2又は3個のRにより任意に置換され、
各Rは独立的にH、F、Cl、Br、I、-CN、-OH、C1-3アルコキシ又はC1-3アルキルであり、
は5~6員ヘテロアリール又はフェニルであり、前記5~6員ヘテロアリール及びフェニルは1、2又は3個のRにより任意に置換され、
各Rは独立的に
【化4】

或いは1、2又は3個の独立的にF、Cl、Br、I、-OH、-OCH、-CN及びNHから選ばれる置換基により任意に置換されたC1-6アルキルであり、
、R、R及びRはそれぞれ独立的にH、-CH、-CHCH、-CH
CHCH又は-CH(CHであり、
前記5~6員ヘテロアリール及び5~6員ヘテロシクロアルキルはそれぞれ1、2、3又は4個の独立的にN、-O-及び-S-から選ばれるヘテロ原子を含む。)
【請求項2】
前記R及びRはそれぞれ独立的に
【化5】

1、2又は3個の独立的にF又はCから選ばれる置換基により任意に置換される請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項3】
前記R及びRはそれぞれ独立的に
【化6】

請求項2に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項4】
式(I-A)で表される構造を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化7】

(ただし、前記R、R及びRは請求項1に定義される通りである。)
【請求項5】
式(I-B)又は(I-C)で表される構造を有する請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化8】

(ただし、前記R及びRは請求項1に定義される通りである。)
【請求項6】
前記各Rは独立的にH、F、Cl、Br、I、-CN、-OH、-OCH、-CH又は-CHCHである請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項7】
前記RはC1-3アルキル、ピリジル、フェニル又はテトラヒドロ-2H-ピラニルであり、前記C1-3アルキル、ピリジル、フェニル及びテトラヒドロ-2H-ピラニルは1、2又は3個のRにより任意に置換される請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項8】
前記Rは、
【化9】

請求項7に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項9】
前記Rは、
【化10】

請求項8に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項10】
式(I-A1)~(I-A3)のいずれか1つで表される構造を有する請求項8に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化11】

(ただし、前記各Rは請求項1又は6に定義される通りであり、Rは請求項1~3のいずれか一項に定義される通りであり、Rは請求項1に定義される通りである。)
【請求項11】
式(I-B1)~(I-B3)又は(I-C1)~(I-C3)のいずれか1つで表される構造を有する請求項8に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化12】

(ただし、前記各Rは請求項1又は6に定義される通りであり、Rは請求項1に定義される通りである。)
【請求項12】
前記各Rは独立的に
【化13】

或いは1、2又は3個の独立的にF、Cl、Br、I、-OH、-OCH、-CN及びNHから選ばれる置換基により任意に置換されたC1-4アルキルである請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項13】
前記各Rは独立的に
【化14】

請求項12に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項14】
前記Rはピロリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル又はフェニルであり、前記ピロリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル及びフェニルは1、2又は3個のRに置換されてもよい請求項1、4、5又は10~13のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項15】
前記R
【化15】

請求項14に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項16】
前記Rは、
【化16】

請求項15に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項17】
前記R
【化17】

請求項14に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項18】
前記R
【化18】

請求項17に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【請求項19】
式(I-A4)~(I-A12のいずれか1つで表される構造を有する請求項15に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化19】

【化20】

(ただし、前記各Rは請求項1又は請求項6に定義される通りであり、Rは請求項1~3のいずれか一項に定義される通りであり、Rは請求項1、請求項12又は請求項13に定義される通りである。)
【請求項20】
式(I-A13)~(I-A15)のいずれか1つで表される構造を有する請求項17に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化21】

(ただし、前記各R は請求項1又は請求項6に定義される通りであり、R は請求項1~3のいずれか一項に定義される通りである。)
【請求項21】
式(I-B4)~(I-B6)又は(I-C4)~(I-C6)のいずれか1つで表される構造を有する請求項15に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化22】

(ただし、前記各Rは請求項1又は6に定義される通りであり、Rは請求項1、12又は13に定義される通りである。)
【請求項22】
下記の式の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体。
【化23】

【化24】
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体のTGF-β R1阻害剤薬物の調製における使用。
【請求項24】
請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体の固形腫瘍薬物の調製における使用。
【請求項25】
治療有効量の請求項1~22のいずれか一項に記載の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその立体異性体、及び薬学的に許容できるキャリアを含有する医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は以下の優先権を主張する。
CN201910069936.2、出願日2019年01月24日。
【0002】
本発明は、TGF-β R1阻害剤としての5-(4-ピリジルオキシ)ピラゾール類化合物、及びそれらのTGF-β R1阻害剤薬物の調製における使用に関する。具体的に、式(I)で表される化合物、その薬学的に許容できる塩、又はその異性体を開示する。
【背景技術】
【0003】
トランスフォーミング成長因子β(Transforming growth factor-β,TGF-β)は、多機能成長因子のスーパーファミリーであり、幅広い生物学的活性を持ち、初期の胚胎発育、軟骨及び骨の形成、細胞外マトリックスの合成、炎症,間質性線維化、免疫および内分泌機能の調節、腫瘍の形成と進行に関与する。
【0004】
TGF-βスーパーファミリーは、構造と機能が相関しているポリペプチド成長因子からなり、TGF-βはこのファミリーの重要メンバーの1つである。哺乳類では、TGF-βは主にTGF-β1、TGF-β2、TGF-β3の三種類として存在し、これらは異なる染色体上にあり、TGF-β1は体細胞で最も高い割合を占め(>90%)、活性が最も強く、機能が最も多く、分布も最も広い。
【0005】
TGF-βシグナル分子は、膜貫通型受容体複合物を介してシグナル伝達を行う。TGF-β受容体は細胞表面に存在する膜貫通タンパク質であり、I型受容体(TGF-β R1)、II型受容体(TGF-β R2)、及びIII型受容体(TGF-β R3)に分類され、TGF-β R1はアクチビン受容体様キナーゼ5(activin receptor-like kinase 5,ALK5)とも呼ばれている。TGF-β R3は、固有活性を欠けており、主にTGF-βの貯蔵に関連するものである。TGF-β R1とTGF-β R2はセリン/スレオニンキナーゼファミリーに属し、II型受容体は高い親和力でTGF-βリガンドに結合でき、I型受容体と異種受容体複合物を形成し、I型受容体の膜近くのグリシン、セリン残基が豊富な領域(GSドメイン)をリン酸化し、細胞内シグナルのカスケード反応を開始させることができる。
【0006】
Smadsは、細胞内の重要なTGF-βシグナル伝達及び調節分子であり、TGF-βシグナルを細胞膜から細胞核内に直接伝達でき、TGF-β/Smadsシグナル伝達経路は腫瘍の発生と進行に重要な役割を果たす。TGF-β/Smadsシグナル伝達において、活性化されたTGF-βはまず細胞膜表面のTGF-β R2に結合し、異種二量体複合物を形成し、TGF-β R1はこの二量体複合物を認識して結合する。
【0007】
TGF-β R2はTGF-β R1の細胞質領域のGSドメインのセリン/スレオニンをリン酸化することで、TGF-β R1を活性化する。活性化されたTGF-β R1はさらにR-Smads(Smad2/Smad3)タンパク質をリン酸化し、後者はさらにCo-Smad(Smad4)と結合して異種三量体複合物になり、この複合物は細胞核内に入り、他の共活性化因子(co-activator)及び共抑制因子(co-inhibitor)と共同作用し、標的遺伝子の転写を調節する。TGF-β/Smadsシグナル伝達経路において、いずれかの段階が変化すると、シグナル伝達経路の異常が生じる。
【0008】
現在の研究によれば、腫瘍細胞では、TGF-βは、腫瘍の成長に直接影響を与える(TGF-βシグナルの外因性効果)か、上皮間葉転換の誘発、抗腫瘍免疫応答のブロック、腫瘍関連線維化の増加、及び血管再生の強化により、間接的に腫瘍の成長に影響を及ぼす
【0009】
(TGF-βの内因性効果)。同時に、TGF-βは強い線維化誘発作用があり、腫瘍に関連する線維芽細胞の活性化因子である。これらの線維芽細胞は、コラーゲンI型及び他の線維化因子の主要な供給源である。線維芽細胞及び他の線維化因子の誘導産物は、免疫応答を低下させ、薬物耐性を増加させ、腫瘍血管新生を強化する微小環境を培養し続ける可能性があり、また、個体発育と腫瘍成長の過程で、TGF-βは血管再生に影響する。例えば、TGF-β R1型を欠損したマウス胚は、重度な血管発達障害を示し、TGF-βシグナル伝達経路が血管内皮及び平滑筋細胞の発育における重要な調節因子であることを証明した。
【0010】
最近の研究報告では、TGF-βは明らかに免疫回避に関連しており、CD8+ T細胞によって媒介される抗腫瘍免疫反応に大きく影響を与えることも指摘された。転移性尿路上皮がんに対する臨床試験では、TGF-β遺伝子発現が高い患者のPD-L1モノクローナル抗体に対する応答及び模擬生存率は低い。TGF-βモノクローナル抗体の基礎研究も、PD-L1モノクローナル抗体と併用すると、より多くのCD8+T細胞が浸潤して役割を果たすことが証明され、TGF-βの阻害が免疫の活性化に対する作用及びそのメカニズムを明らかにした。TGF-βの免疫調節作用により、小分子TGF-β R1阻害剤は、単独で、又はPD-(L)1モノクローナル抗体と組み合わせて、様々な固形腫瘍の治療に大きな応用可能性がある。
【0011】
イーライリリーの特許出願WO2002094833A1は、化合物A(即ち、LY2157299又はGalunisertib)がTGF-β阻害活性を有することを報告した。この化合物は、腫瘍細胞の浸潤と転移を阻害できるとともに、腫瘍細胞の血管への浸潤を阻害できる。現在、多くの臨床実験が進行中で、この分野で最も進んだ化合物である。イーライリリーの別の特許出願WO2016057278A1は、同社によって新しく開発されたTGF-β小分子阻害剤である化合物B(即ち、LY3200882)を報告した。この化合物をPD-L1と併用して固形腫瘍を治療する第I相臨床試験が進行中である。
【化1】
【発明の概要】
【0012】
一方、本発明は、式(I)で表される化合物、その薬学的に許容できる塩又はその異性体を提供する。
【化2】
【0013】
ただし、R及びRはそれぞれ独立的に
【化3】

1-3アルコキシ、C1-3アルキル又はC3-6シクロアルキルであり、前記C1-3アルコキシ、C1-3アルキル及びC3-6シクロアルキルは1、2又は3個の独立的にF又はCから選ばれる置換基により任意に置換される。
【0014】
又は、R及びRはそれらに隣接している炭素原子と一緒に連結されて、
【化4】

から選ばれることになる。
【0015】
はC1-6アルキル、5~6員ヘテロアリール、フェニル又は5~6員ヘテロシクロアルキルであり、前記C1-6アルキル、5~6員ヘテロアリール、フェニル及び5~6員ヘテロシクロアルキルは1、2又は3個のRcにより任意に置換される。
【0016】
各Rは独立的にH、F、Cl、Br、I、-CN、-OH、C1-3アルコキシ又はC1-3アルキルである。
【0017】
は5~6員ヘテロアリール又はフェニルであり、前記5~6員ヘテロアリール及びフェニルは1、2又は3個のRdにより任意に置換される。
【0018】
各Rは独立的に
【化5】

或いは1、2又は3個の独立的にF、Cl、Br、I、-OH、-OCH、-CN及びNHから選ばれる置換基により任意に置換されたC1-6アルキルである。
【0019】
、R、R及びRはそれぞれ独立的にH、-CH、-CHCH、-CHCHCH又は-CH(CHである。
【0020】
前記5~6員ヘテロアリール及び5~6員ヘテロシクロアルキルはそれぞれ1、2、3又は4個の独立的にN、-O-及び-S-から選ばれるヘテロ原子を含む。
【0021】
本発明のある形態では、上記のR及びRはそれぞれ独立的に
【化6】

1、2又は3個の独立的にF又はCから選ばれる置換基により任意に置換され、他の変数は本発明に定義される通りである。
【0022】
本発明のある形態では、上記のR及びRはそれぞれ独立的に
【化7】

他の変数は本発明に定義される通りである。
【0023】
本発明のある形態では、上記の化合物は式(I-A)で表される構造を有する。
【化8】
【0024】
ただし、前記R、R及びRは本発明に定義される通りである。
本発明のある形態では、上記の化合物は式(I-B)又は(I-C)で表される構造を有する。
【化9】
【0025】
ただし、前記R及びRは本発明に定義される通りである。
本発明のある形態では、上記の各Rは独立的にH、F、Cl、Br、I、-CN、-OH、-OCH、-CH又は-CHCHであり、他の変数は本発明に定義される通りである。
【0026】
本発明のある形態では、上記のRはC1-3アルキル、ピリジル、フェニル又はテトラヒドロ-2H-ピラニルであり、前記C1-3アルキル、ピリジル、フェニル及びテトラヒドロ-2H-ピラニルは1、2又は3個のRcにより任意に置換され、R及び他の変数は本発明に定義される通りである。
【0027】
本発明のある形態では、上記のR
【化10】

及び他の変数は本発明に定義される通りである。
【0028】
本発明のある形態では、上記のR
【化11】

他の変数は本発明に定義される通りである。
【0029】
本発明のある形態では、上記の化合物は式(I-A1)~(I-A3)で表される構造を有する。
【化12】
【0030】
ただし、前記各R、R及びRは本発明に定義される通りである。
本発明のある形態では、上記の化合物は式(I-B1)~(I-B3)又は(I-C1)~(I-C3)で表される構造を有する。
【化13】
【0031】
ただし、前記各R及びRは本発明に定義される通りである。
【0032】
本発明のある形態では、上記の各Rは独立的に
【化14】

或いは、1、2又は3個の独立的にF、Cl、Br、I、-OH、-OCH、-CN及びNHから選ばれる置換基により任意に置換されたC1-4アルキルであり、他の変数は本発明に定義される通りである。
【0033】
本発明のある形態では、上記の各Rは独立的に
【化15】

他の変数は本発明に定義される通りである。
【0034】
本発明のある形態では、上記のRはピロリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル又はフェニルであり、前記ピロリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル及びフェニルは1、2又は3個のRにより任意に置換され、R及び他の変数は本発明に定義される通りである。
【0035】
本発明のある形態では、上記のR
【化16】

及び他の変数は本発明に定義される通りである。
【0036】
本発明のある形態では、上記のR
【化17】

及び他の変数は本発明に定義される通りである。
【0037】
本発明のある形態では、上記のR
【化18】

他の変数は本発明に定義される通りである。
【0038】
本発明のある形態では、上記のR
【化19】

他の変数は本発明に定義される通りである。
【0039】
本発明のある形態では、上記の化合物は式(I-A4)~(I-A15)で表される構造を有する。
【化20】

【化21】
【0040】
ただし、前記各R、R及びRは本発明に定義される通りである。
【0041】
本発明のある形態では、上記の化合物は式(I-B4)~(I-B6)又は(I-C4)~(I-C6)で表される構造を有する。
【化22】
【0042】
ただし、前記各R及びRは本発明に定義される通りである。
【0043】
本発明では、上記の変数を任意に組み合わせた形態もある。
【0044】
本発明はさらに次の式の化合物、その薬学的に許容できる塩又はその異性体を提供する。
【化23】

【化24】
【0045】
もう一方、本発明は、上記の化合物、その薬学的に許容できる塩、又はその異性体のTGF-β R1阻害剤薬物の調製における使用を提供する。本発明はさらに上記の化合物、その薬学的に許容できる塩、又はその異性体の固形腫瘍薬物の調製における使用を提供する。
【0046】
さらにもう一方、本発明は治療有効量の上記の化合物、その薬学的に許容できる塩、又はその異性体、及び薬学的に許容できるキャリアを含有する医薬組成物を提供する。
【発明の効果】
【0047】
本発明の化合物は、細胞においてTGF-βの下流シグナルに対して有意な阻害を示し、同時に、優れた薬物動態、薬力学性質、及び体内薬効を有する。
【0048】
本発明の化合物は優れた体外pSmad阻害活性を有する。同時に、本発明の化合物は優れた薬物動態特性を示し、マウスの薬物動態の体内実験でも連続投与による体内薬効試験でも、いずれも極めて良いシステム曝露量を示し、本発明の化合物が臨床的によく吸収されてより高い曝露量に達し、さらに標的占有率と阻害率を向上させ、さらに薬効を保証することができることを示唆する。マウスのCT26モデルでは、本発明の化合物は予想外に極めて良い腫瘍成長の阻害率を示し、臨床的に本発明の化合物は優れた薬効を有することを示唆する。さらに、本発明の化合物は非常に高い腫瘍組織薬物濃度を示し、本発明の化合物がより良い組織分布を有し、固形腫瘍の治療においてより有利であることを示唆する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
[定義と説明]
特に明記しない限り、本明細書で用いられる下記の用語と略語は以下の意味を有する。ある特定な用語又は略語は特に定義されていない場合、不確定又は不明白であると見なされるべきではなく、通常の意味で理解されるべきである。本明細書に商品名が現れるとき、対応する商品又はその活性成分を指すことを意味する。
【0050】
ここで使用される用語「薬学的に許容できる」は、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形について、信頼できる医学的判断の範囲内で、ヒトと動物の組織との接触使用に適用でき、過剰な毒性、刺激性、アレルギー反応、又はその他の問題或いは合併症がなく、合理的な利益/リスク比に相応しい。
【0051】
用語「薬学的に許容できる塩」とは、本発明の化合物の塩であり、本発明で発見された特定の置換基を有する化合物と相対的に無毒の酸又は塩基から調製される。本発明の化合物が相対的に酸性の官能基を有する場合、純粋な溶液又は適当な不活性溶媒において十分な量の塩基をこのような化合物と接触させる方法により塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容できる塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン、又はマグネシウム塩若しくは類似する塩を含む。本発明の化合物が相対的にアルカリ性の官能基を有する場合、純粋な溶液又は適当な不活性溶媒において十分な量の酸をこのような化合物と接触させる方法により酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容できる酸付加塩の実例は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素、リン酸、リン酸一水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸水素、ヨウ化水素酸、亜リン酸等を含む無機酸塩;及び酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸酸、クエン酸、酒石酸およびメタンスルホン酸等のような酸を含む有機酸塩;及びアミノ酸(例えばアルギニン等)の塩、及びグルクロン酸等のような有機酸の塩を含む。本発明のいくつかの特定な化合物は、アルカリ性と酸性の官能基を有するため、塩基又は酸付加塩のいずれにも転化できる。
【0052】
本発明の薬学的に許容できる塩は、酸基又は塩基を有する親化合物から、従来の化学的方法により合成できる。一般的に、このような塩の調製方法は、水又は有機溶媒又はそれらの混合物において、遊離酸又は塩基形態のこれらの化合物を化学量論量の適当な塩基又は酸と反応させることによって調製される。
【0053】
本発明の化合物は、特定の幾何学的又は立体異性体の形態が存在し得る。本発明は、すべてのこのような化合物は、シスとトランス異性体、(-)-と(+)-エナンチオマー、(R)-と(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそれらのラセミ混合物、ならびにエナンチオマー又はジアステレオマーに富む混合物のような他の混合物を含み、これらの混合物のすべては本発明の範囲内に含まれる。アルキル等の置換基に別の不斉炭素原子が含まれてもよい。これらのすべての異性体及びそれらの混合物は本発明の範囲内に含まれる。
【0054】
特に明記しない限り、用語「エナンチオマー」又は「光学異性体」とは、互いに鏡像関係である立体異性体を指す。
【0055】
特に明記しない限り、用語「シス‐トランス異性体」又は「幾何異性体」は、二重結合又は環形成炭素原子単結合のために自由に回転できないことによって引き起こされる。
【0056】
特に明記しない限り、用語「ジアステレオマー」とは、分子が2つ以上のキラル中心を有し、且つ分子間は非鏡像関係である立体異性体を指す。
【0057】
特に明記しない限り、「(+)」は右旋、「(-)」は左旋、「(±)」はラセミを意味する。
【0058】
特に明記しない限り、
【化25】
【0059】
特に明記しない限り、化合物に二重結合構造、例えば炭素炭素二重結合、炭素窒素二重結合及び窒素窒素二重結合が存在し、且つ二重結合における各原子に2つの異なる置換基が結合されている場合(窒素原子を含む二重結合において、窒素原子における一対の孤立電子対はそれに連結されている1つの置換基と見なされる)、この化合物において二重結合における原子とその置換基の間を
【化26】

で連結すれば、この化合物の(Z)型異性体、(E)型異性体又は2種の異性体の混合物を表す。例えば、次の式(A)は、化合物が式(A-1)又は式(A-2)の単一の異性体として、または式(A-1)及び式(A-2)の2つの異性体の混合物として存在することを表す。次の式(B)は、該化合物が式(B-1)又は式(B-2)の単一の異性体として、または式(B-1)及び式(B-2)の2つの異性体の混合物として存在することを表す。次の式(C)は、この化合物が式(C-1)又は式(C-2)の単一の異性体として、または式(C-1)及び式(C-2)の2つの異性体の混合物として存在することを表す。
【化27】
【0060】
特に明記しない限り、用語「互変異性体」又は「互変異性体形態」とは、室温で、異なる官能基異性体が動的平衡にあり、互いに迅速に変換できることを意味する。互変異性体が可能であれば(例えば溶液中で)、互変異性体の化学平衡に達することができる。例えば、プロトン互変異性体(proton tautomer)(プロトトロピー互変異性体(prototropic tautomer))はプロトン移動による相互変換、例えば、ケト-エノール異性化及びイミン-エナミン異性化を含む。原子価互変異性体(valence tautomer)は、結合形成電子の再結合による相互変換を含む。その中で、ケト-エノール互変異性化の具体的な実例は、ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシペント-3-エン-2-オンの2つの互変異性体の間の互変である。
【0061】
特に明記しない限り、用語「1つの異性体に富む」、「異性体豊富な」、「1つのエナンチオマーに富む」又は「エナンチオマー豊富な」とは、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%未満で、且つこの異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であることを意味する。
【0062】
特に明記しない限り、用語「異性体過剰率」又は「エナンチオマー過剰率」とは、2つの異性体又は2つのエナンチオマーの相対百分率の間の差を意味する。例えば、1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が90%であり、もう1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が10%である場合、異性体又はエナンチオマー過剰率(ee値)は80%である。
【0063】
キラル合成又はキラル試薬又は他の従来の技術によって、光学活性の(R)-と(S)-異性体及びDとL異性体を調製することができる。本発明のある化合物の1つのエナンチオマーを得たい場合、得られたジアステレオマーの混合物を分離し、補助基を切断して純粋な所望のエナンチオマーを提供する、不斉合成又はキラル補助剤を有する誘導体化作用により調製できる。あるいは、分子がアルカリ性官能基(例えば、アミノ)又は酸性官能基(例えば、カルボキシル)を含む場合、適当な光学活性の酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成し、次に当分野で公知の方法によりジアステレオマーの分離を行い、そして純粋なエナンチオマーを回収する。また、エナンチオマーとジアステレオマーの分離は、通常、キラル固定相を使用し、化学的誘導体化法と組み合わせてもよい(例えば、アミンからアミノギ酸塩を生成する)クロマトグラフィーにより行われる。
【0064】
本発明の化合物は、この化合物を構成する1つ又は複数の原子上に不自然な比率の原子同位体を含んでもよい。例えば、放射性同位体、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)、又はC-14(14C)で、化合物を標識できる。また、例えば、重水素で水素を置換して重水素化薬物を形成でき、重水素と炭素によって形成される結合は、通常の水素と炭素によって形成される結合よりも強く、未重水素化薬物に比べて、重水素化薬物は、毒性と副作用が減少し、薬物安定性が向上し、治療効果が増強し、薬物の生物学的半減期が延長するなどの利点を有する。本発明の化合物のすべての同位体からなる変換は、放射性であるかどうかにかかわらず、本発明の範囲内に含まれる。
【0065】
薬物又は薬理活性物質について、用語「有効量」又は「治療有効量」とは、無毒であるが予期効果を達成できる薬物又は薬剤の十分な用量を意味する。本発明における経口剤形について、組成物中の1つの活性物質の「有効量」とは、この組成物中の別の活性物質と併用される場合、予期効果を達成するために必要な用量を意味する。有効量の決定は人によって異なり、受容体の年齢および一般状況に依存し、具体的な活性物質にも依存するが、それぞれの場合の適切な有効量は当業者が常例的な試験によって決定できる。
【0066】
「任意に」又は「してもよく」とは、後述する事象又は状況が発生する可能性があるが、必ずしも発生しないことを意味し、且つこの説明は、前記事象又は状況が発生する場合と前記事象又は状況が発生しない場合を含む。
【0067】
用語「置換される」とは、特定の原子上の任意の1つ又は複数の水素原子が置換基により置換されることを意味し、特定の原子の原子価が正常であり、置換された化合物が安定である限り、重水素と水素の変体を含んでもよい。置換基が酸素(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されていることを意味する。酸素置換は芳香族基では起こらない。用語「任意に置換される」とは、置換されても、置換されなくてもよく、特に指定しない限り、置換基の種類および数は、化学的に実現できる上で任意であってもよい。
【0068】
いずれの変数(例えばR)が化合物の組成又は構造に1回以上現れる場合、それぞれの場合の定義は独立である。したがって、例えば、1つの基が0~2個のRにより置換される場合、前記基は多くとも2つのRにより置換されてもよく、且つそれぞれの場合のRは独立な選択肢がある。さらに、置換基及び/又はその変体の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0069】
連結基の数が0である場合、例えば-(CRR)-、この連結基が単結合であることを表す。
【0070】
1つの変数が単結合である場合、それに連結する2つの基が直接接続されていることを意味し、例えば、A-L-ZにおいてLが単結合を表す場合、この構造は実際にA-Zであることを意味する。
【0071】
置換基が空である場合、この置換基が存在しないことを意味し、例えば、A-XにおいてXが空である場合、この構造は実際にAであることを意味する。列挙された置換基におけるどの原子を介して置換された基に連結しているかを示さない場合、この置換基は任意の原子を介して結合でき、例えば、ピリジルは置換基としてピリジン環のいずれか1つの炭素原子を介して置換された基に連結できる。
【0072】
列挙された連結基について連結基方向が示されていない場合、その連結基方向は任意であり、
【化28】

前記連結基、置換基及び/又はその変体の組み合わせでは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合のみに許容される。
【0073】
特に指定しない限り、ある基が1つ又は複数の連結可能なサイトを有する場合、この基の任意の1つ又は複数のサイトは化学結合によって他の基と連結できる。前記サイトと他の基を連結する化学結合は、
【化29】

例えば、-OCHにおける直線実線結合は、この基における酸素原子を介して他の基と連結していることを表す。
【化30】
【0074】
特に指定しない限り、環上の原子数は通常環の員数として定義され、例えば、「5~7員環」とは、5~7個の原子が環状に配置された「環」を指す。
【0075】
特に指定しない限り、用語「5~6員環」は、5~6個の環原子からなるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクロアルキニル、アリール、又はヘテロアリールを表す。前記環は、単環だけではなく、スピロ環、縮合環及び架橋環等の二環系も含む。特に指定しない限り、この環は、1、2又は3個の独立的にO、S及びNから選ばれるヘテロ原子を含んでもよい。前記5~6員環は、5員、6員環等を含む。「5~6員環」は、例えばフェニル、ピリジル及びピペリジニル等を含む。一方、用語「5~6員ヘテロシクロアルキル」は、ピペリジニル等を含むが、フェニルを含まない。用語「環」はさらに少なくとも1つの環を有する環系を含み、各「環」はそれぞれ独立的に上記の定義を満たす。
【0076】
特に指定しない限り、用語「C1-6アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の1から6個の炭素原子からなる飽和炭化水素基を表す。前記C1-6アルキルは、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、C及びCアルキル等を含み、一価(例えばメチル)、二価(例えばメチレン)、又は多価(例えばメチン)であってもよい。C1-6アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、s-ブチル及びt-ブチル)、ペンチル(n-ペンチル、イソペンチル及びネオペンチルを含む)、ヘキシル等を含むが、これらに限定されない。
【0077】
特に指定しない限り、用語「C1-4アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の1から4個の炭素原子からなる飽和炭化水素基を表す。前記C1-4アルキルは、C1-2、C1-3及びC2-3アルキル等を含み、一価(例えばメチル)、二価(例えばメチレン)、又は多価(例えばメチン)であってもよい。C1-4アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピルとイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、イソブチル、s-ブチル及びt-ブチルを含む)等を含むが、これらに限定されない。
【0078】
特に指定しない限り、用語「C1-3アルキル」は、直鎖又は分岐鎖の1から3個の炭素原子からなる飽和炭化水素基を表す。前記C1-3アルキルはC1-2及びC2-3アルキル等を含み、一価(例えばメチル)、二価(例えばメチレン)、又は多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキルの実例は、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(n-プロピル及びイソプロピルを含む)等を含むが、これらに限定されない。
【0079】
特に指定しない限り、用語「C1-6アルコキシ」は、1つの酸素原子を介して分子の他の部分に連結する1から6個の炭素原子を含むアルキル基を表す。前記C1-6アルコキシは、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-4、C、C、C及びCアルコキシ等を含む。C1-6アルコキシの実例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシ及びイソプロポキシを含む)、ブトキシ(n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ及びt-ブトキシ)、ペントキシ(n-ペントキシ、イソペントキシ及びネオペントキシを含む)、ヘキシルオキシ等を含むが、これらに限定されない。
【0080】
特に指定しない限り、用語「C1-4アルコキシ」は、1つの酸素原子を介して分子の他の部分に連結する1から4個の炭素原子を含むアルキル基を表す。前記C1-4アルコキシは、C1-3、C1-2、C2-4、C及びCアルコキシ等を含む。C1-6アルコキシの実例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシ及びイソプロポキシを含む)、ブトキシ(n-ブトキシ、イソブトキシ、s-ブトキシ及びt-ブトキシを含む)、ペントキシ(n-ペントキシ、イソペントキシ及びネオペントキシを含む)、ヘキシルオキシ等を含むが、これらに限定されない。
【0081】
特に指定しない限り、用語「C1-3アルコキシ」は、1つの酸素原子を介して分子の他の部分に連結する1から3個の炭素原子を含むアルキル基を表す。前記C1-3アルコキシは、C1-2、C2-3、C及びCアルコキシ等を含む。C1-3アルコキシの実例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシ及びイソプロポキシを含む)等を含むが、これらに限定されない。
【0082】
特に指定しない限り、用語「ハロ」又は「ハロゲン」自身又は他の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を表す。
【0083】
特に指定しない限り、用語「C3-6シクロアルキル」は、3から6個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を表し、単環及び二環系であり、前記C3-6シクロアルキルは、C3-5、C4-5及びC5~6シクロアルキル等を含み、一価、二価又は多価であってもよい。C3-6シクロアルキルの実例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含むが、これらに限定されない。
【0084】
特に指定しない限り、用語「C5~6シクロアルキル」は、5から6個の炭素原子からなる飽和環状炭化水素基を表し、単環及び二環系であり、前記C5~6シクロアルキルはC及びCシクロアルキル等を含み、一価、二価又は多価であってもよい。C5~6シクロアルキルの実例は、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含むが、これらに限定されない。
【0085】
特に指定しない限り、用語「5~6員ヘテロシクロアルキル」自身又は他の用語と一緒に、それぞれ5から6個の環原子からなる飽和環状基を表し、1、2、3又は4個の環原子は独立的にO、S及びNから選ばれるヘテロ原子であり、残りは炭素原子であり、窒素原子は第四級アンモニウム化されてもよく、窒素と硫黄ヘテロ原子は酸化されてもよい(即ちNOとS(O)、pは1又は2である)。単環及び二環系を含み、二環系はスピロ環、縮合環及び架橋環であってもよい。さらに、該「5~6員ヘテロシクロアルキル」について、ヘテロ原子はヘテロシクロアルキルと分子の他の部分の連結位置を占めてもよい。前記5~6員ヘテロシクロアルキルは、5員と6員ヘテロシクロアルキルを含む。5~6員ヘテロシクロアルキルの実例は、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロチエニル(テトラヒドロチオフェン-2-イル及びテトラヒドロチオフェン-3-イル等を含む)、テトラヒドロフラニル(テトラヒドロフラン-2-イル等を含む)、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル(1-ピペリジニル、2-ピペリジニル及び3-ピペリジニル等を含む)、ピペラジニル(1-ピペラジニル及び2-ピペラジニル等を含む)、モルホリニル(3-モルホリニル及び4-モルホリニル等を含む)、ジオキサニル、ジチアジニル、イソキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,2-オキサジニル、1,2-チアジニル、ヘキサヒドロピリダジニル、ホモピペラジニル又はホモピペリジニル等を含むが、これらに限定されない。
【0086】
特に指定しない限り、用語「C6-12芳香族環」及び「C6-12アリール」は交換して使用でき、用語「C6-12芳香族環」又は「C6-12アリール」は、6から12個の炭素原子からなる共役π電子系を有する環状炭化水素基を表し、単環、縮合二環又は縮合三環系であってもよく、それぞれの環はいずれも芳香族性である。一価、二価又は多価であってもよく、C6-12アリールはC6-10、C6-9、C6-8、C12、C10及びCアリール等を含む。C6-12アリールの実例はフェニル、ナフチル(1-ナフチル及び2-ナフチル等を含む)を含むが、これらに限定されない。
【0087】
特に指定しない限り、用語「C6-10アリール環」及び「C6-10アリール」は交換して使用でき、用語「C6-10アリール環」又は「C6-10アリール」は、6から10個の炭素原子からなる共役π電子系を有する環状炭化水素基を表し、単環、縮合二環又は縮合三環系であってもよく、各環はいずれも芳香族性である。一価、二価又は多価であってもよく、C6-10アリールは、C6-9、C、C10及びCアリール等を含む。C6-10アリールの実例は、フェニル、ナフチル(1-ナフチル及び2-ナフチル等を含む)を含むが、これらに限定されない。
【0088】
特に指定しない限り、用語「5~6員ヘテロ芳環」と「5~6員ヘテロアリール」は交換して使用でき、用語「5~6員ヘテロアリール」は、5から6個の環原子からなる共役π電子系を有する単環基であり、その1、2、3又は4個の環原子は独立的にO、S及びNから選ばれるヘテロ原子であり、残りは炭素原子である。窒素原子は第四級アンモニウム化されてもよく、窒素と硫黄ヘテロ原子は酸化されてもよい(即ちNOとS(O)、pは1又は2である)。5~6員ヘテロアリールはヘテロ原子又は炭素原子を介して分子の他の部分に連結できる。前記5~6員ヘテロアリールは5員と6員ヘテロアリールを含む。前記5~6員ヘテロアリールの実例は、ピロリル(N-ピロリル、2-ピロリル及び3-ピロリル等を含む)、ピラゾリル(2-ピラゾリル及び3-ピラゾリル等を含む)、イミダゾリル(N-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル及び5-イミダゾリル等を含む)、オキサゾリル(2-オキサゾリル、4-オキサゾリル及び5-オキサゾリル等を含む)、トリアゾリル(1H-1,2,3-トリアゾリル、2H-1,2,3-トリアゾリル、1H-1,2,4-トリアゾリル及び4H-1,2,4-トリアゾリル等)、テトラゾリル、イソオキサゾリル(3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル及び5-イソオキサゾリル等)、チアゾリル(2-チアゾリル、4-チアゾリル及び5-チアゾリル等を含む)、フラニル(2-フラニル及び3-フラニル等を含む)、チエニル(2-チエニル及び3-チエニル等を含む)、ピリジル(2-ピリジル、3-ピリジル及び4-ピリジル等を含む)、ピラジニル又はピリミジニル(2-ピリミジニル及び4-ピリミジニル等を含む)を含むが、これらに限定されない。
【0089】
特に指定しない限り、Cn-n+m又はC-Cn+mは、n~n+m個の炭素のいずれかの具体的な状況を含み、例えば、C1-12はC、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、及びC12を含み、n~n+mにおける任意の範囲も含み、例えば、C1-12はC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12、及びC9-12等を含む。同様に、n員からn+m員は環上の原子数がn~n+m個であることを表し、例えば、3~12員環は3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環、及び12員環を含み、n~n+mにおける任意の範囲も含み、例えば、3~12員環は3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環、及び6~10員環等を含む。
【0090】
用語「脱離基」とは、置換反応(例えば、求核置換反応)によって、別の官能基又は原子により置換できる官能基又は原子である。例えば、代表的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホン酸塩;塩素、臭素、ヨウ素;スルホン酸塩基、例えば、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、p-ブロモベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等;アシルオキシ、例えば、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ等を含む。
【0091】
用語「保護基」は、「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」又は「メルカプト保護基」を含むが、これらに限定されない。用語「アミノ保護基」とは、アミノ窒素位での副反応の防止に適した保護基である。代表的なアミノ保護基は、ホルミル;アシル、例えば、アルカノイル(例えば、アセチル、トリクロロアセチル又はトリフルオロアセチル);アルコキシカルボニル、例えばt-ブトキシカルボニル(Boc);アリールメトキシカルボニル、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)と9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc);アリールメチル、例えばベンジル(Bn)、トリフェニルメチル(Tr)、1,1-ジ-(4’-メトキシフェニル)メチル;シリル、例えばトリメチルシリル(TMS)とt-ブチルジメチルシリル(TBS)等を含むが、これらに限定されない。用語「ヒドロキシ保護基」とは、ヒドロキシの副反応の防止に適した保護基である。代表的なヒドロキシ保護基は、アルキル、例えば、メチル、エチルとt-ブチル;アシル、例えば、アルカノイル(例えば、アセチル);アリールメチル、例えば、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、9-フルオレニルメチル(Fm)とジフェニルメチル(ジフェニルメチル、DPM);シリル、例えば、トリメチルシリル(TMS)とt-ブチルジメチルシリル(TBS)等を含むが、これらに限定されない。
【0092】
本発明の化合物は、以下に列挙される具体的な実施方法、それらと他の化学合成方法の組み合わせからなる実施方法、及び当業者に周知の均等な方法を含む当業者に周知の様々な合成方法により調製でき、好ましい実施方法は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0093】
本発明で使用される溶媒は市販のものであってもよい。
【0094】
本発明では以下の略語を使用する。CDClは重水素化クロロホルムを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表し、Bocはt-ブトキシカルボニルを表す。
【0095】
本発明の化合物は、本分野の常例的な命名原則又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアにより命名され、市販の化合物は供給業者のカタログ名を使用する。
【0096】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明に不利な制限を課すことを意図するものではない。本明細書は、本発明を詳しく説明し、具体的な実施例方法も開示されており、当業者にとって、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の具体的な実施方法に対して様々な変更や完全を行うことができることは自明である。
【0097】
【化31】
【0098】
ステップA:化合物1-1(4.7g、38.47mmol、1当量)と1-2(5.26g、40.40mmol、5.10mL、1.05当量)を40mL酢酸に溶解し、80℃で12時間反応させた。反応終了後、混合液を真空で濃縮させて溶媒を除去し、水(100mL)を加えて希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で溶液のpHを7に調整した。酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物1-3が得られた。MS(ESI)m/z:189.1[M+H]。
【0099】
ステップB:1-3(1g、5.31mmol、1当量)と1-4(768.70mg、5.84mmol、1.1当量)を10mLN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、炭酸カリウム(2.20g、15.94mmol、3当量)を加え、120℃で6時間反応させた。水(60mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物1-5が得られた。MS(ESI)m/z:300.1[M+H]。
【0100】
ステップC:1-5(0.77g、2.57mmol、1当量)、1-6(333.81mg、2.83mmol、96.31μL、1.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(148.63mg、256.88μmol、0.1当量)、炭酸セシウム(2.51g、7.71mmol、3当量)、酢酸パラジウム(57.67mg、256.88μmol、0.1当量)を10mLジオキサンに溶解し、窒素雰囲気で100℃で3時間反応させた。水(40mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、化合物1-7が得られた。MS(ESI)m/z:382.3[M+H]。
【0101】
ステップD:水酸化ナトリウム(140.52mg、3.51mmol、1当量)を2mL水に溶解し、20mLメタノールを加え、さらに化合物1-7(1.34g、3.51mmol、1当量)とジメチルスルホキシド(411.72mg、5.27mmol、411.72μL、1.5当量)を加えた。過酸化水素(597.40mg、5.27mmol、506.27μL、濃度30%、1.5当量)を0.5mL水に溶解し、そして一滴ずつ前記反応液に加え、25℃で2時間反応させた。水(100mL)を加えて希釈し、ジクロロメタン(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物1が得られた。MS(ESI)m/z:400.2[M+H]。
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.23(s,1H)、8.10(d,J=6.0Hz,1H)、8.02(t,J=1.6Hz,1H)、7.88-7.77(m,2H)、7.41(s,1H)、7.39-7.29(m,4H)、7.27(br d,J=4.0Hz,1H)、7.15-7.10(m,1H)、6.57(dd,J=2.4,6.0Hz,1H)、6.43(d,J=2.4Hz,1H)、6.13(s,1H)、2.32(s,3H)、2.28-2.24(m,3H)。
【0102】
【化32】
【0103】
ステップA:化合物2-1(19g、148.94mmol、16.24mL、1当量)をヒドラジン水和物(59.26g、1.16モル,57.53mL、純度98%、7.79当量)に溶解し、窒素雰囲気で120℃で30時間反応させた。反応液をマイナス10℃に冷却し、大量の白い固体が析出し、濾過し、濾滓を集め、真空で乾燥して化合物2-2が得られた。MS(ESI)m/z:124.1[M+H]。
【0104】
ステップB:2-3(15.26g、181.48mmol、15.11mL、1.5当量)を100mLメタノールに溶解し、0℃で一滴ずつ2-2(14.9g、120.99mmol、1当量)のメタノール(60mL)溶液に加え、25℃で4時間反応させた。25℃に冷却し、水(100mL)を加えて希釈し、ジクロロメタン(200mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物2-4が得られた。MS(ESI)m/z:208.0[M+H]。
【0105】
ステップC:化合物2-4(13.6g、65.63mmol、1当量)を136mLメタノールに溶解し、トリエチルアミン(3.32g、32.81mmol、4.57mL、0.5当量)を加え、70℃で8時間反応させた。真空で濃縮して溶媒を除去し、水(100mL)を加えて希釈し、ジクロロメタン(150mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物2-5が得られた。MS(ESI)m/z:176.0[M+H]。
【0106】
ステップD:2-5(1g、5.71mmol、1当量)と1-4(825.91mg、6.28mmol、1.1当量)を10mLN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、そして、炭酸カリウム(2.37g、17.12mmol、3当量)を反応液に加え、120℃で12時間反応させた。水(60mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物2-6が得られた。MS(ESI)m/z:287.0[M+H]。
【0107】
ステップE:2-6(414mg、1.44mmol、1当量)、1-6(187.64mg、1.59mmol、96.31μL、1.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(83.55mg、144.39μmol、0.1当量)、炭酸セシウム(1.41g、4.33mmol、3当量)と酢酸パラジウム(32.42mg、144.39μmol、0.1当量)を5mL1,4-ジオキサンに溶解し、窒素雰囲気で100℃で3時間反応させた。水(40mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。酢酸エチル(70mL)を加えて粗製品を溶解し、1gメルカプトシリカゲルを加え、25℃で1時間攪拌した。濾過し、ろ液を真空で濃縮して化合物2-7が得られた。MS(ESI)m/z:369.1[M+H]。
【0108】
ステップF:水酸化ナトリウム(77.31mg、1.93mmol、1当量)を0.9mL水に溶解し、8mLエタノールを加え、さらに化合物2-7(712mg、1.93mmol、1当量)とジメチルスルホキシド(226.51mg、2.90mmol、226.51μL、1.5当量)を加えた。過酸化水素(328.66mg、2.90mmol、78.53μL、濃度30%、1.5当量)を0.3mL水に溶解し、一滴ずつ前記反応液に加え、25℃で2時間反応させた。水(100mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物2が得られた。MS(ESI)m/z:387.0[M+H]。
【0109】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.09(br s,1H)、8.08(br d,J=6.0Hz,1H)、7.98(br s,1H)、7.94-7.87(m,1H)、7.87-7.79(m,2H)、7.70-7.52(m,3H)、7.50-7.32(m,2H)、7.18(br d,J=7.2Hz,1H)、6.71(br d,J=5.2Hz,1H)、6.48(br s,2H)、2.25(br s,3H)。
【0110】
【化33】
【0111】
ステップA:化合物2-2(3g、24.36mmol、1当量)と3-1(4.15g、24.36mmol、3.91mL、1当量)を氷酢酸(30mL)に溶解し、120℃で1時間反応させた。水(30mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(10mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物3-2が得られた。MS(ESI)m/z:230.0[M+H]。
【0112】
ステップB:化合物3-2(1g、4.36mmol、1当量)と1-4(860.54mg、6.54mmol、1.5当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、窒素雰囲気で炭酸カリウム(1.81g、13.08mmol、3当量)を加え、窒素雰囲気のままで120℃で16時間反応させた。水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物3-3が得られた。MS(ESI)m/z:341.1[M+H]。
【0113】
ステップC:化合物3-3(0.28g、821.58μmol、1当量)、1-6(97.06mg、821.58μmol、1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(47.54mg、82.16μmol、0.1当量)、炭酸セシウム(803.06mg、2.46mmol、3当量)と酢酸パラジウム(18.45mg、82.16μmol、0.1当量)をジオキサン(3mL)に溶解し、窒素雰囲気で100℃で3時間反応させた。水(10mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物3-4が得られた。MS(ESI)m/z:423.0[M+H]。
【0114】
ステップD:化合物3-4(0.13g、307.71μmol、1当量)、ジメチルスルホキシド(48.08mg、615.41μmol、48.08μL、2当量)と水酸化ナトリウム(6.15mg、153.85μmol、0.5当量)をエタノール(2mL)に溶解し、一滴ずつ過酸化水素(52.33mg、461.56μmol、44.35μL、30%純度、1.5当量)を加え、25℃で2時間反応させた。水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物3が得られた。MS(ESI)m/z:441.2M+H]。
【0115】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ ppm 1.68-1.76(m,2H)1.78-1.86(m,2H)2.22(s,3H)2.35-2.41(m,2H)2.65-2.70(m,3 H)6.26-6.32(m,1H)6.46-6.53(m,1H)7.06-7.12(m,1H)7.22-7.32(m,2H)7.33-7.38(m,1H)7.45-7.50(m,1H)7.72-7.87(m,3H)8.00-8.04(m,1H)8.06-8.12(m,1H)9.11-9.16(m,1H)。
【0116】
【化34】
【0117】
ステップA:化合物2-2(10g、81.20mmol、1当量)とプロピオニル酢酸エチル(12.29g、85.26mmol、1.05当量)を酢酸(100mL)に溶解し、80℃で12時間反応させた。真空で溶媒を除去し、水(100mL)を加えて希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物4-1が得られた。MS(ESI)m/z:204.1[M+H]。
【0118】
ステップB:4-1(1g、4.92mmol、1当量)と1-4(711.91mg、5.41mmol、1.1当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)溶液に溶解し、炭酸カリウム(2.04g、14.76mmol、3当量)を加え、120℃で6時間反応させた。水(60mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物4-2が得られた。MS(ESI)m/z:315.0[M+H]。
【0119】
ステップC:4-2(1.09g、3.46mmol、1当量)、1-6(450.00mg、3.81mmol、96.31μL、1.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(200.37mg、346.29μmol、0.1当量)、炭酸セシウム(3.38g、10.39mmol、3当量)、酢酸パラジウム(77.74mg、346.29μmol、0.1当量)をジオキサン(10mL)に溶解し、窒素雰囲気で100℃で3時間反応させた。水(40mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、残留物を酢酸エチル(70mL)に溶解し、1gメルカプトシリカゲルを加え、25℃で1時間攪拌した。濾過し、ろ液を濃縮して化合物4-3が得られた。MS(ESI)m/z:397.2[M+H]。
【0120】
ステップD:水酸化ナトリウム(181.61mg、4.54mmol、1当量)を水(2mL)とメタノール(20mL)に溶解し、化合物4-3(1.8g、4.54mmol、1当量)とジメチルスルホキシド(532.11mg、6.81mmol、532.11μL、1.5当量)を加えた。過酸化水素(772.09mg、6.81mmol、654.31μL、濃度30%、1.5当量)を水(0.6mL)に溶解し、一滴ずつ前記反応液に加え、25℃で2時間反応させた。亜硫酸ナトリウム(0.5g)を加えてクエンチし、水(60mL)を加えて希釈し、ジクロロメタン(80mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(70mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物4が得られた。MS(ESI)m/z:415.1[M+H]。
【0121】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.15(s,1H)、8.08(d,J=6.0Hz,1H)、8.03(s,1H)、7.88-7.73(m,3H)、7.50(d,J=8.0Hz,1H)、7.39-7.32(m,1H)、7.32-7.21(m,2H)、7.12(d,J=7.6Hz,1H)、6.51(dd,J=2.0,5.6Hz,1H)、6.34(d,J=2.0Hz,1H)、6.27(s,1H)、2.65(q,J=7.6Hz,2H)、2.24(s,3H)、1.26(t,J=7.6Hz,3H)。
【0122】
【化35】
【0123】
ステップA:アセチル酢酸エチル(3.33g、25.58mmol、3.23mL、1.05当量)を氷酢酸(30mL)に溶解し、化合物2-2(3g、24.36mmol、1当量)を加え、80℃で8時間反応させた。25℃に冷却し、水(50mL)を加えて希釈し、水酸化ナトリウム水溶液(4mol/L)でpH値を6に調整し、0~5℃に冷却し、15分間攪拌した。濾過し、濾滓を水(10mL×3)で洗浄し、減圧乾燥して化合物5-1が得られた。MS(ESI)m/z:190.0[M+H]。
【0124】
ステップB:化合物5-1(1g、5.29mmol、1当量)と化合物1-4(834.20mg、6.34mmol、1.2当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、炭酸カリウム(2.19g、15.86mmol、3当量)を加え、120℃で8時間反応させた。25℃に冷却し、水(50mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー精製により化合物5-2が得られた。MS(ESI)m/z:301.1[M+H]。
【0125】
ステップC:化合物5-2(200mg、665.02μmol、1当量)、化合物3-1(154.81mg、997.53μmol、1.5当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(60.90mg、66.50μmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(76.96mg、133.00μmol、0.2当量)と炭酸セシウム(650.03mg、2.00mmol、3当量)を順にジオキサン(30mL)に加え、窒素を3回置換した後に100℃に加熱して12時間攪拌した。システム温度を25℃に下げ、メルカプトシリカゲル(1g)を加えて15分間攪拌し、濾過し、ろ液を塩酸(1mol/L)でpH値を4に調整し、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄した。水相のpHを水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)で9に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物5が得られた。MS(ESI)m/z:420.4M+H]。
【0126】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.78(s,1H)、8.00(d,J=5.6Hz,1H)、7.89(s,1H)、7.78(t,J=8.0Hz,1H)、7.46(d,J=8.0Hz,1H)、7.34(s,1H)、7.11(d,J=7.6Hz,1H)、6.35(dd,J=2.4,6.4Hz,1H)、6.19(s,1H)、6.12(d,J=2.4Hz,1H)、3.93(s,2H)、2.27(s,3H)、2.24(s,3H)、1.03(s,6H)。
【0127】
【化36】
【0128】
ステップA:化合物5-2(3.09g、10.27mmol、1当量)、化合物1-6(1.82g、15.40mmol、1.5当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(940.25mg、1.03mmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(1.19g、2.05mmol、0.2当量)と炭酸セシウム(10.04g、30.80mmol、3当量)を1,4-ジオキサン(90mL)に加え、窒素雰囲気で100℃で8時間反応させた。25℃に冷却し、水(100mL)を加えて希釈し、濾過し、塩酸(1mol/L)でろ液のpHを4に調整し、酢酸エチル(30mL×3)で洗浄した。さらに水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)で水相のpHを9に調整し、酢酸エチル(60mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物6-1が得られた。MS(ESI)m/z:383.4[M+H]。
【0129】
ステップB:水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L,9.94mL、1当量)をエタノール(40mL)に加え、化合物6-1(3.8g、9.94mmol、1当量)とジメチルスルホキシド(1.55g、19.87mmol、1.55mL、2当量)を加えた。過酸化水素(2.25g、19.87mmol、1.91mL、純度:30%、2当量)を水(2mL)に溶解し、25~35℃で徐々に反応液に滴下し、滴下終了してから25℃で8時間反応させた。飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(5mL)と水(20mL)を加え、真空でエタノールを除去した後、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物6が得られた。MS(ESI)m/z:401.1[M+H]。
【0130】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.16(s,1H)、8.09(d,J=6.0Hz,1H)、8.04(s,1H)、7.83-7.77(m,3H)、7.50(d,J=8.0Hz,1H)、7.36(d,J=7.6Hz,1H)、7.29(t,J=8.0Hz,2H)、7.12(d,J=7.6Hz,1H)、6.52(dd,J=2.0,5.6Hz,1H)、6.35(d,J=2.0Hz,1H)、6.24(s,1H)、2.30(s,3H)、2.25(s,3H)。
【0131】
【化37】
【0132】
化合物5-2(200mg、665.02μmol、1当量)、化合物7-1(138.85mg、997.53μmol、1.5当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(60.90mg、66.50μmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(76.96mg、133.00μmol、0.2当量)と炭酸セシウム(650.03mg、2.00mmol、3当量)を順に1,4-ジオキサン(5mL)に加え、窒素雰囲気で100℃で8時間反応させた。25℃に冷却し、メルカプトシリカゲル(0.1g)を加え、15分間攪拌し、濾過し、ろ液を塩酸(1mol/L)でpHを4に調整し、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄した。水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)で水相のpHを9に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物7が得られた。MS(ESI)m/z:404.2[M+H]。
【0133】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=8.76(s,1H)、8.00(d,J=5.6Hz,1H)、7.85(s,1H)、7.77(t,J=8.0Hz,1H)、7.46(d,J=8.0Hz,1H)、7.33(s,1H)、7.11(d,J=7.6Hz,1H)、6.35(dd,J=2.0,5.6Hz,1H)、6.18(s,1H)、6.12(d,J=2.0Hz,1H)、3.82(d,J=7.2Hz,2H)、2.27(s,3H)、2.25(s,3H)、2.10-2.00(m,1H)、0.81(d,J=6.8Hz,6H)。
【0134】
【化38】
【0135】
化合物5-2(0.15g、498.77μmol、1当量)、8-1(56.92mg、598.52μmol、1.2当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(28.86mg、49.88μmol、0.1当量)、酢酸パラジウム(11.20mg、49.88μmol、0.1当量)と炭酸セシウム(487.52mg、1.50mmol、3当量)を1,4-ジオキサン(2mL)に溶解した。窒素雰囲気で100℃で16時間反応させた。水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物8が得られた。MS(ESI)m/z:360.1[M+H]。
【0136】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=10.10-9.98(m,1H)、9.07-8.94(m,1H)、8.24-8.13(m,2H)、8.11-8.05(m,1H)、7.83-7.73(m,1H)、7.56-7.46(m,1H)、7.45-7.39(m,1H)、7.14-7.05(m,1H)、6.64-6.53(m,1H)、6.23(s,1H)、2.29(s,3H)、2.23-2.18(m,3H)。
【0137】
【化39】
【0138】
化合物5-2(150mg、498.77μmol、1当量)、化合物9-1(91.09mg、598.52μmol、1.2当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(45.67mg、49.88μmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(57.72mg、99.75μmol、0.2当量)と炭酸セシウム(487.52mg、1.5mmol、3当量)を順に1,4-ジオキサン(3mL)に加え、窒素雰囲気で100℃で8時間反応させた。25℃に冷却し、メルカプトシリカゲル(0.1g)を加えて15分間攪拌し、濾過し、ろ液を塩酸(1mol/L)でpH値を4に調整し、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄した。水相を水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)でpHを9に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物9が得られた。MS(ESI)m/z:417.1[M+H]。
【0139】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.52(s,1H)、8.20-8.16(m,3H)、7.78(t,J=8.0Hz,1H)、7.71(d,J=2.0Hz,1H)、7.66(dd,J=2.0,5.6Hz,1H)、7.50(d,J=8.0Hz,1H)、7.10(d,J=7.6Hz,1H)、6.61(dd,J=2.0,5.6Hz,1H)、6.43(d,J=2.0Hz,1H)、6.25(s,1H)、2.29(s,3H)、2.20(s,3H)、1.40(s,6H)。
【0140】
【化40】
【0141】
5-2(200mg、665.02μmol、1当量)、10-1(109.92mg、864.53μmol、1.3当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(60.90mg、66.50μmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(76.96mg、133.00μmol、0.2当量)と炭酸セシウム(650.03mg、2.00mmol、3当量)を4mLジオキサンに溶解し、窒素雰囲気で100℃で5時間反応させた。冷却し、水(40mL)を加えて希釈し、ジクロロメタン(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(トリフルオロ酢酸条件)精製により化合物10が得られた。MS(ESI)m/z:392.1[M+H]。
【0142】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.92(br s,1H)、7.98(d,J=6.8Hz,1H)、7.92(s,1H)、7.82(t,J=7.6Hz,1H)、7.54(d,J=8.0Hz,1H)、7.49(s,1H)、7.15(d,J=7.6Hz,1H)、6.71(dd,J=2.4,6.8Hz,1H)、6.43(d,J=2.4Hz,1H)、6.35(s,1H)、4.13(t,J=5.6Hz,2H)、3.74(t,J=5.6Hz,2H)、2.29(s,3H)、2.22(s,3H)。
【0143】
【化41】
【0144】
ステップA:化合物11-1(1.1g、5.94mmol、1当量)をメタノール(20mL)に溶解し、ウェットパラジウム炭素(400mg、10%)を加え、水素で置換し、水素雰囲気で25℃で2時間反応させた。濾過し、濃縮して化合物11-2が得られた。
【0145】
ステップB:化合物5-2(300mg、997.53μmol、1当量)、11-2(170.30mg、1.10mmol、1.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(115.44mg、199.51μmol、0.2当量)、炭酸セシウム(975.04mg、2.99mmol、3当量)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(91.35mg、99.75μmol、0.1当量)を1,4-ジオキサン(10mL)に溶解した。窒素雰囲気で100℃で5時間反応させた。水(50mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(アルカリ性条件)精製により化合物11が得られた。MS(ESI)m/z:420.2[M+H]。
【0146】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.22(s,1H)、8.00(d,J=5.6Hz,1H)、7.77(t,J=8.0Hz,1H)、7.47(d,J=2.4Hz,2H)、7.11(d,J=7.6Hz,1H)、7.06(d,J=2.0Hz,1H)、6.41-6.37(m,1H)、6.18-6.13(m,2H)、4.65-4.60(m,1H)、3.84(s,2H)、3.32(s,2H)、2.28(s,3H)、2.24(s,3H)、1.03(s,6H)。
【0147】
【化42】
【0148】
ステップA:化合物12-1(10g、69.65mmol、8.26mL、1当量)のヒドラジン水和物(35.58g、696.52mmol、34.54mL、10当量)溶液を120℃で12時間反応させ、濃縮して化合物12-2が得られた。
【0149】
ステップB:化合物12-2(16g、114.98mmol、1当量)の酢酸(160mL)溶液に化合物アセチル酢酸エチル(17.96g、137.98mmol、17.43mL、1.2当量)を加え、80℃で12時間反応させた。冷却し、飽和炭酸ナトリウム溶液でpHを9に調整し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物12-3が得られた。MS(ESI)m/z:206.1[M+H]。
【0150】
ステップC:化合物12-3(1g、4.87mmol、1当量)のN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)溶液に1-4(769.16mg、5.85mmol、1.2当量)と炭酸カリウム(2.02g、14.62mmol、3当量)を加え、80℃で12時間反応させた。酢酸エチル(50mL)を加えて希釈し、飽和食塩水(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸系)精製により化合物12-4が得られた。MS(ESI)m/z:317.0[M+H]。
【0151】
ステップD:化合物12-4(100mg、315.71μmol、1当量)と1-6(55.95mg、473.57μmol、1.5当量)の1,4-ジオキサン(10mL)溶液に炭酸セシウム(308.60mg、947.14μmol、3当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(18.27mg、31.57μmol、0.1当量)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(28.91mg、31.57μmol、0.1当量)を加え、窒素雰囲気で100℃で12時間反応させた。酢酸エチル(30mL)を加え、濾過し、ろ液を飽和塩化ナトリウム溶液(30mL×3)で洗浄した。有機相を20mL1mol/Lの塩酸に入れ、分液して得られた水相を酢酸エチル(20mL)で洗浄し、さらに飽和炭酸ナトリウム溶液でpHを9に調整し、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物12-5が得られた。MS(ESI)m/z:399.1[M+H]。
【0152】
ステップE:化合物12-5(60mg、150.60μmol、1当量)のエタノール(2mL)と水(1mL)溶液にジメチルスルホキシド(23.53mg、301.19μmol、23.53μL、2当量)、水酸化ナトリウム(12.05mg、301.19μmol、2当量)と過酸化水素(34.15mg、301.19μmol、28.94μL、純度30%、2当量)を加え、25℃で12時間反応させた。酢酸エチル(20mL)を加えて希釈し、飽和亜硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸系)精製により化合物12が得られた。MS(ESI)m/z:417.2[M+H]。
【0153】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.19(br s,1H)、8.10-8.00(m,2H)、7.87-7.72(m,3H)、7.40-7.15(m,4H)、6.69(br s,1H)、6.56(br s,1H)、6.39(br s,1H)、6.21(br s,1H)、3.48(s,3H)、2.28(s,3H)。
【0154】
【化43】
【0155】
ステップA:化合物2-2(2g、16.24mmol、1当量)と化合物13-1(2.54g、16.24mmol、2.42mL、1当量)をエタノール(20mL)に溶解した。25℃で0.5時間反応させた。濃縮して化合物13-2が得られた。MS(ESI)m/z:262.1[M+H]。
【0156】
ステップB:化合物13-2(4g、15.31mmol、1当量)とナトリウムメトキシド(1.65g、30.61mmol、2当量)をメタノール(40mL)に溶解し、80℃で1時間反応させた。水(30mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(10mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物13-3が得られた。MS(ESI)m/z:216.1[M+H]。
【0157】
ステップC:化合物13-3(1.74g、8.08mmol、1当量)と1-4(1.59g、12.13mmol、1.5当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、窒素雰囲気で炭酸カリウム(3.35g、24.25mmol、3当量)を加え、窒素雰囲気で120℃で16時間反応させた。水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー精製して化合物13-4が得られた。MS(ESI)m/z:327.1[M+H]。
【0158】
ステップD:化合物13-4(1.1g、3.37mmol、1当量)、1-6(437.43mg、3.70mmol、1.1当量)、酢酸パラジウム(75.57mg、336.62μmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(194.77mg、336.62μmol、0.1当量)と炭酸セシウム(3.29g、10.10mmol、3当量)をジオキサン(15mL)に溶解し、窒素雰囲気で100℃で3時間反応させた。水(10mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物13-5が得られた。MS(ESI)m/z:409.1[M+H]。
【0159】
ステップE:化合物13-5(1.2g、2.94mmol、1当量)、ジメチルスルホキシド(459.10mg、5.88mmol、459.10μL、2当量)と水酸化ナトリウム(58.75mg、1.47mmol、0.5当量)をエタノール(15mL)に溶解した。窒素雰囲気で過酸化水素(499.66mg、4.41mmol、423.44μL、純度30%、1.5当量)を一滴ずつ反応液に加え、25℃で2時間反応させた。水(30mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、有機相を飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物13が得られた。MS(ESI)m/z:427.3[M+H]。
【0160】
H NMR(400 MHz,DMSO-d)δ=9.19-9.11(m,1H)、8.11-8.06(m,1H)、8.03-8.00(m,1H)、7.86-7.73(m,3H)、7.47-7.41(m,1H)、7.38-7.22(m,3H)、7.11-7.06(m,1H)、6.53-6.48(m,1H)、6.37-6.30(m,1H)、2.73(s,2H)、2.60-2.57(m,2H)、2.42-2.37(m,2H)、2.25-2.22(m,3H)。
【0161】
【化44】
【0162】
ステップA:化合物14-1(10g、99.88mmol、1当量)をメタノール(150mL)に溶解し、ヒドラジンカルボン酸tert-ブチルエステル(13.20g、99.88mmol、1当量)を加え、25℃で10時間反応させた。濃縮して化合物14-2が得られた。
【0163】
ステップB:化合物14-2(8g、37.34mmol、1当量)を酢酸(50mL)と水(50mL)の混合溶媒に溶解し、25℃で1時間攪拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.58g、41.07mmol、1.1当量)をバッチに加え、20℃で2時間反応させた。1mol/L水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、ジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物14-3が得られた。
【0164】
ステップC:化合物14-3(7.2g、33.29mmol、1当量)をメタノール(10mL)に溶解し、塩酸メタノール(4mol/L,40mL)を加え、20℃で4時間反応させた。濃縮して化合物14-4が得られた。
【0165】
ステップD:化合物14-4(4.1g、35.30mmol、1当量,2塩酸塩)とアセチル酢酸エチル(9.19g、70.59mmol、2当量)を酢酸(40mL)に溶解し、窒素雰囲気で90℃で10時間反応させた。冷却し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(トリフルオロ酢酸条件)精製により化合物14-5が得られた。MS(ESI)m/z:183.1[M+H]。
【0166】
ステップE:化合物14-5(1.1g、6.04mmol、1当量)と化合物1-4(873.44mg、6.64mmol、1.1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(20mL)に溶解し、炭酸カリウム(2.5g、18.11mmol、3当量)を加え、90℃で12時間反応させた。水(50mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物14-6が得られた。MS(ESI)m/z:294.1[M+H]。
【0167】
ステップF:化合物14-6(300mg、1.02mmol、1当量)、1-6(144.78mg、1.23mmol、1.2当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(118.19mg、204.26μmol、0.2当量)、炭酸セシウム(998.26mg、3.06mmol、3当量)とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(187.04mg、204.26μmol、0.2当量)をジオキサン(10mL)に溶解し、窒素雰囲気で100℃で12時間反応させた。水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物14-7が得られた。MS(ESI)m/z:376.1[M+H]。
【0168】
ステップG:化合物14-7(270mg、718.19μmol、1当量)、水酸化ナトリウム(719.19μL、2mol/L,2当量)とジメチルスルホキシド(112.39mg、1.44mmol、2当量)をエタノール(5mL)に溶解した。室温で過酸化水素(163.09mg、1.44mmol、138.21μL、純度30%、2当量)を徐々に反応液に加え、25℃で2時間反応させた。水(10mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(10mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物14が得られた。MS(ESI)m/z:394.2[M+H]。
【0169】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.26(s,1H)、8.13(d,J=6.0Hz,1H)、8.04(t,J=2.0Hz,1H)、7.89-7.79(m,2H)、7.39-7.35(m,1H)、7.33-7.24(m,2H)、6.57(dd,J=2.4,6.0Hz,1H)、6.42(d,J=2.4Hz,1H)、5.84(s,1H)、4.20(tt,J=4.0,11.6Hz,1H)、3.90(br dd,J=4.0,11.6Hz,2H)、3.35(br s,2H)、2.17(s,3H)、1.99(dq,J=4.4,12.3Hz,2H)、1.76-1.67(m,2H)。
【0170】
【化45】
【0171】
ステップA:化合物14-4(1g、5.29mmol、1.0当量)を氷酢酸(10mL)に溶解し、化合物15-1(991.84mg、6.88mmol、972.39μL、1.30当量)を加え、80℃で8時間反応させた。冷却し、水(20mL)を加えて希釈し、水酸化ナトリウム水溶液(4mol/L)でpHを7に調整し、ジクロロメタン/イソプロパノール混合溶媒(体積比3:1,30mL×3)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物15-2が得られた。MS(ESI)m/z:197.1[M+H]。
【0172】
ステップB:化合物15-2(0.8g、4.08mmol、1当量)と化合物1-4(589.83mg、4.48mmol、1.1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、炭酸カリウム(1.69g、12.23mmol、3当量)を加え、90℃で8時間反応させた。冷却し、水(30mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物15-3が得られた。MS(ESI)m/z:308.1[M+H]。
【0173】
ステップC:化合物15-3(200mg、649.83μmol、1当量)と化合物1-6(92.12mg、779.79μmol、1.2当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(59.51mg、64.98μmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(75.20mg、129.97μmol、0.2当量)と炭酸セシウム(635.18mg、1.95mmol、3当量)をジオキサン(3mL)に溶解し、窒素雰囲気で100℃で12時間反応させた。冷却し、メルカプトシリカゲル(0.1g)を加えて15分間攪拌し、濾過し、ろ液を塩酸(1mol/L)でpHを4に調整し、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄した。水相を水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)でpHを9に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物15-4が得られた。MS(ESI)m/z:390.3[M+H]。
【0174】
ステップD:化合物15-4(252mg、647.07μmol、1当量)をエタノール(5mL)に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L,647.07μL、1当量)、ジメチルスルホキシド(101.12mg、1.29mmol、101.12μL、2当量)と過酸化水素(146.73mg、1.29mmol、124.35μL、純度30%、2当量)を加え、25℃で4時間反応させた。飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(1mL)と水(20mL)を加え、減圧でエタノールを除去し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物15が得られた。MS(ESI)m/z:408.4[M+H]。
【0175】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.25(s,1H)、8.12(d,J=6.0Hz,1H)、8.04(s,1H)、7.85(d,J=5.6Hz,2H)、7.38-7.36(m,1H)、7.32-7.27(m,2H)、6.51(dd,J=2.4,6.0Hz,1H)、6.26(d,J=2.4Hz,1H)、4.16-4.08(m,1H)、3.88(dd,J=3.2,11.2Hz,2H)、3.35(t,J=11.2Hz,2H)、2.12(s,3H)、2.02-1.92(m,2H)、1.72-1.67(m,5H)。
【0176】
【化46】
【0177】
ステップA:化合物13-1(1.02g、6.53mmol、971.43μL、1.23当量)をメタノール(10mL)に溶解し、化合物14-4(1g、5.29mmol、1.0当量)を加え、25℃で2時間反応させた。ナトリウムメトキシド(1.06g、19.62mmol、3.7当量)を加え、70℃で1時間反応させた。冷却し、水(20mL)を加えて希釈し、水酸化ナトリウム水溶液(4mol/L)でpHを7に調整し、減圧でメタノールを除去し、ジクロロメタン/イソプロパノール混合溶媒(体積比3:1,30mL×3)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物16-1が得られた。MS(ESI)m/z:209.6[M+H]。
【0178】
ステップB:化合物16-1(1.13g、5.43mmol、1当量)と化合物1-4(785.08mg、5.97mmol、1.1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、炭酸カリウム(2.25g、16.28mmol、3当量)を加え、90℃で8時間反応させた。冷却し、水(30mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物16-2が得られた。MS(ESI)m/z:320.0[M+H]。
【0179】
ステップC:化合物16-2(200mg、625.42μmol、1当量)、化合物1-6(88.66mg、750.50μmol、1.2当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(57.27mg、62.54μmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(72.38mg、125.08μmol、0.2当量)と炭酸セシウム(611.32mg、1.88mmol、3当量)を1,4-ジオキサン(3mL)に加え、窒素雰囲気で100℃で12時間反応させた。冷却し、メルカプトシリカゲル(0.1g)を加えて15分間攪拌し、濾過し、ろ液を塩酸(1mol/L)でpHを4に調整し、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄した。水相を水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)でpHを9に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物16-3が得られた。MS(ESI)m/z:402.3[M+H]。
【0180】
ステップD:化合物16-3(177mg、440.89μmol、1当量)をエタノール(5mL)に溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L,440.89μL、1当量)、ジメチルスルホキシド(68.90mg、881.78μmol、68.90μL、2当量)と過酸化水素(99.98mg、881.78μmol、84.73μL、純度30%、2当量)を加え、25℃で4時間反応させた。飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(1mL)と水(20mL)を加え、減圧でエタノールを除去した後、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物16が得られた。MS(ESI)m/z:420.1[M+H]。
【0181】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.25(s,1H)、8.13(d,J=5.6Hz,1H)、8.03(s,1H)、7.87-7.85(m,2H)、7.38-7.37(m,1H)、7.33-7.23(m,2H)、6.56(dd,J=2.0,6.0Hz,1H)、6.39(d,J=2.0Hz,1H)、4.24-4.16(m,1H)、3.92-3.88(m,2H)、2.62(t,J=7.2Hz,2H)、2.43-2.39(m,2H)、2.35-2.30(m,2H)、2.04-1.94(m,2H)、1.75-1.71(m,2H)。
【0182】
【化47】
【0183】
ステップA:化合物14-4(520mg、2.75mmol、1.0当量)をメタノール(6mL)に溶解し、化合物3-1(761.93mg、4.48mmol、718.80μL、1.63当量)を加え、25℃で2時間反応させた。ナトリウムメトキシド(724.74mg、13.42mmol、4.88当量)を加え、70℃で1時間反応させた。冷却し、真空でメタノールを除去し、水(20mL)を加えて希釈し、塩酸(1mol/L)でpHを6に調整し、ジクロロメタン/イソプロパノール(体積比3:1,20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物17-1が得られた。MS(ESI)m/z:223.2[M+H]。
【0184】
ステップB:化合物17-1(400mg、1.80mmol、1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、化合物1-4(260.37mg、1.98mmol、1.1当量)と炭酸カリウム(746.11mg、5.40mmol、3当量)を加え、100℃で8時間反応させた。冷却し、水(30mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物17-2が得られた。MS(ESI)m/z:334.1[M+H]。
【0185】
ステップC:化合物17-2(273mg、817.83μmol、1当量)、化合物1-6(107.16mg、899.61μmol、1.1当量)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(74.89mg、81.78μmol、0.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(94.64mg、163.57μmol、0.2当量)と炭酸セシウム(799.39mg、2.45mmol、3当量)を順に1,4-ジオキサン(10mL)に加え、窒素雰囲気で100℃で12時間反応させた。冷却し、メルカプトシリカゲル(0.1g)を加えて15分間攪拌し、濾過し、ろ液を塩酸(1mol/L)でpH値を4に調整し、水(20mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(20mL×3)で洗浄した。水相のpHを水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L)で9に調整し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物17-3が得られた。MS(ESI)m/z:416.1[M+H]。
【0186】
ステップD:水酸化ナトリウム水溶液(1mol/L,324.92μL、1当量)をエタノール(5mL)に加え、順に化合物17-3(135mg、324.92μmol、1当量)、ジメチルスルホキシド(50.77mg、649.84μmol、50.77μL、2当量)と過酸化水素(73.68mg、649.84μmol、62.44μL、純度30%、2当量)を加え、25℃で2時間反応させた。反応液に飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(1mL)と水(20mL)を加え、真空でエタノールを除去し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(ギ酸条件)精製により化合物17が得られた。MS(ESI)m/z:434.3[M+H]。
【0187】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.26(s,1H)、8.12(d,J=5.6Hz,1H)、8.03(s,1H)、7.86-7.84(m,2H)、7.38-7.36(m,1H)、7.30(t,J=8.0Hz,1H)、7.27(s,1H)、6.53(dd,J=2.0,6.0Hz,1H)、6.30(d,J=2.0Hz,1H)、4.21-4.13(m,1H)、3.89(dd,J=3.6,11.2Hz,2H)、3.34(s,2H)、2.55(t,J=6.0Hz,2H)、2.17(t,J=6.0Hz,2H)、2.03-1.92(m,2H)、1.74-1.63(m,6H)。
【0188】
【化48】
【0189】
ステップA:14-4(3g、15.87mmol、1当量) と18-1(2.60g、16.66mmol、89.55μL、1.05当量)を酢酸(20mL)に溶解し、窒素雰囲気で80℃で12時間反応させた。冷却し、濃縮し、水(100mL)を加えて希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で溶液pH=7に調整した。ジクロロメタン(100mL×2)を加えて抽出した。有機相を合わせ、水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物18-2が得られた。MS(ESI)m/z:209.0[M+H]。
【0190】
ステップB:化合物18-2(1g、4.8mmol、1当量)と1-4(694.76mg、5.28mmol、1.1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、炭酸カリウム(2.65g、19.21mmol、4当量)を加え、100℃で4時間反応させた。水(100mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(90mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(90mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物18-3が得られた。MS(ESI)m/z:320.1[M+H]。
【0191】
ステップC:化合物18-3(300mg、938.13μmol、1当量)、1-6(121.91mg、1.03mmol、96.31μL、1.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(54.28mg、93.81μmol、0.1当量)、炭酸セシウム(916.98mg、2.81mmol、3当量)と酢酸パラジウム(21.06mg、93.81μmol、0.1当量)をジオキサン(4mL)に溶解し、窒素雰囲気で100℃で3時間反応させた。水(40mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物18-4が得られた。MS(ESI)m/z:402.3[M+H]。
【0192】
ステップD:水酸化ナトリウム(39.85mg、996.36μmol、1当量)を0.5mL水に溶解し、5mLメタノールを加え、さらに化合物18-4(400mg、996.36μmol、1当量)とジメチルスルホキシド(116.77mg、1.49mmol、116.77μL、1.5当量)を加えた。過酸化水素(169.43mg、1.49mmol、143.59μL、30%純度、1.5当量)を0.15mL水に溶解し、そして一滴ずつ前記反応液に加え、25℃で2時間反応させた。水(80mL)を加えて希釈し、ジクロロメタン(80mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、水(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(トリフルオロ酢酸条件)精製により化合物18のトリフルオロ酢酸塩が得られた。MS(ESI)m/z:420.2[M+H]。
【0193】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.85(br s,1H)、8.70(br s,1H)、8.12(d,J=6.4Hz,1H)、8.05-7.86(m,2H)、7.73(dd,J=1.6,8.0Hz,1H)、7.56(d,J=7.6Hz,1H)、7.46-7.29(m,2H)、6.71(dd,J=2.4,6.4Hz,1H)、6.50(d,J=2.4Hz,1H)、5.79(s,1H)、4.21(tt,J=4,11.6Hz,1H)、3.91(br dd,J=3.6,11.2Hz,2H)、3.46-3.33(m,2H)、2.00(dq,J=4.4,12.4Hz,2H)、1.87(tt,J=5.2,8.4Hz,1H)、1.72(br dd,J=2.4,12.4Hz,2H)、0.93-0.82(m,2H)、0.70-0.61(m,2H)。
【0194】
【化49】
【0195】
ステップA:14-4(3g、15.87mmol、1当量、2塩酸塩)と19-1(2.64g、16.66mmol、2.69mL、1.05当量)を酢酸(20mL)に溶解し、窒素雰囲気で80℃で12時間反応させた。冷却し、濃縮し、水(100mL)を加えて希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で溶液pH=7に調整した。ジクロロメタン(100mL×2)を加えて抽出した。有機相を合わせ、水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物19-2が得られた。MS(ESI)m/z:211.0[M+H]。
【0196】
ステップD:化合物19-2(0.872g、4.15mmol、1当量) と1-4(600.03mg、4.56mmol、1.1当量)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、炭酸カリウム(2.29g、16.59mmol、4当量)を加え、100℃で2時間反応させた。水(100mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(100mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、カラム分離精製により化合物19-3が得られた。MS(ESI)m/z:322.1[M+H]。
【0197】
ステップE:化合物19-3(300mg、932.25μmol、1当量)、1-6(121.15mg、1.03mmol、96.31μL、1.1当量)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィン)-9,9-ジメチルキサンテン(53.94mg、93.23μmol、0.1当量)、炭酸セシウム(911.24mg、2.80mmol、3当量)と酢酸パラジウム(20.93mg、93.23μmol、0.1当量)をジオキサン(4mL)に溶解し、窒素雰囲気で100℃で3時間反応させた。水(40mL)を加えて希釈し、酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物19-4が得られた。MS(ESI)m/z:404.3[M+H]。
【0198】
ステップF:水酸化ナトリウム(39.66mg、991.38μmol、1当量)を0.5mL水に溶解し、5mLメタノールを加え、さらに化合物19-4(0.4g、991.38μmol、1当量)とジメチルスルホキシド(116.19mg、1.49mmol、116.19μL、1.5当量)を加えた。過酸化水素(168.58mg、1.49mmol、142.87μL、純度30%、1.5当量)を0.15mL水に溶解し、そして一滴ずつ前記反応液に加え、25℃で2時間反応させた。水(80mL)を加えて希釈し、ジクロロメタン(80mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、水(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、高速液体クロマトグラフィー(トリフルオロ酢酸条件)精製により化合物19が得られた。MS(ESI)m/z:422.2[M+H]。
【0199】
H NMR(400MHz,DMSO-d)δ=9.78(br s,1H)、8.17-8.08(m,1H)、7.97(t,J=2.0Hz,1H)、7.92(br s,1H)、7.77-7.69(m,1H)、7.54(br d,J=8Hz,1H)、7.42-7.33(m,2H)、6.68(dd,J=2.4,6.4Hz,1H)、6.48(d,J=2.4Hz,1H)、5.92(s,1H)、4.23(tt,J=4.4,11.6Hz,1H)、3.91(br dd,J=4.0,11.2Hz,2H)、3.46-3.31(m,2H)、2.84(J=7.2Hz,1H)、2.09-1.91(m,2H)、1.78-1.66(m,2H)、1.20(s,3H)、1.18(s,3H)。
【0200】
活性の測定
実験例1:Smadリン酸化阻害活性実験
実験の材料:
HEK-Blue-TGFβ細胞とQuanti-Blue試薬はInvivogen社から購入し、TGFβはPeproTechから購入した。
【0201】
実験の方法:
測定化合物をマイクロピペットで8回目の濃度まで5倍希釈し、つまり、1mmol/Lから12.8nmol/Lに希釈し、ジメチルスルホキシドの最終濃度を100%とし、ダブルマルチウェル実験を行った。マイクロプレートに2μL各濃度勾配の阻害剤、18μLTGFβ(20ng/mL)、180μLの細胞懸濁液(140000細胞/mL)を加え、この時点で、化合物の最終濃度勾配は10μmol/Lから0.13nmol/Lに希釈された。細胞プレートを37℃にし、5%のCOインキュベーターに24時間続けて培養した。反応終了後、各ウェルから40μL細胞培養上清を新しい透明マイクロプレートに取り出し、各ウェルに160μLQuanti-Blue試薬を加え、37℃で60分間続けて反応し、反応終了後、PerkinElmer Envisionマルチラベルマイクロプレートアッセイシステムで630nmの吸収光を読み取った。
【0202】
データの分析:
元のデータを阻害率に換算し、IC50の値は4パラメータによるカーブフィッティングによって取得できる。表1は、本発明の化合物のSmadリン酸化に対する阻害活性を示す。
【0203】
実験の結果:表1に示される。
【表1】
【0204】
結論:本発明の化合物は、優れたpSmad阻害活性を有する。本発明の化合物がTGF-β/SMADシグナル経路を阻害する作用があることが証明された。
【0205】
実験例2:カセットドージングによる生体内薬物動態学研究
実験の目的:
本実験の目的は、化合物の単回静脈注射と胃内投与後の薬物動態学的挙動を評価し、胃内投与後の生物学的利用率を考察することである。
【0206】
実験の操作:
7~10週齢のCD-1オスマウスを選び、静脈と経口投与の用量はそれぞれ1mg/kgと1.5mg/kgであった。マウスは投与前に少なくとも12時間断食し、投与後4時間に摂食を再開し、全試験期間中は自由に飲水できる。
実験当日に静脈組動物は尾静脈を通して対応する化合物を単回注射し、投与体積は5mL/kgであった。経口組は対応する化合物を単回胃内投与し、投与体積は5mL/kgであった。投与前に動物の体重を測り、体重に基づいて投与体積を計算した。サンプリング時間:注射組は0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間であり、胃内投与組は0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間であった。各時点で伏在静脈から約30μLの全血を採取し、濃度測定を行うための高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)に用いられる血漿を調製した。最後の時点のPKサンプルを採取した後、すべての動物をCO麻酔で安楽死させた。WinNonlin(商標) Version 6.3(Pharsight、Mountain View、CA)薬物動態ソフトウェアの非コンパートメントモデルで血漿濃度を処理し、線形対数台形法で薬物動態パラメータを計算した。
【0207】
実験の結果:PK性質の評価結果は表2に示される。
【0208】
実験の結論:
本発明の化合物は文献で報告された化合物Aに比べて、半減期がより長く、組織分布がより広く、且つ生物学的利用率が顕著に向上した。化合物Aよりも明らかに優れた薬物動態特性を有する。
【表2】
【0209】
実験例3:マウス結腸癌CT-26細胞BALB/cマウス皮下同種移植腫瘍モデルの体内抗腫瘍効果の研究
実験の目的:
本研究の主な目的は、CT26マウス同種移植腫瘍モデルに対して測定化合物の抗腫瘍効果を研究することである。
【0210】
実験の操作:
細胞培養:マウス結腸癌CT-26細胞を体外で単層培養し、培養条件は、RPMI-1640培地に10%牛胎児血清を加え、37℃で5%二酸化炭素のインキュベーターで培養した。週2回トリプシン-エチレンジアミン四酢酸(EDTA)で常例的な消化処理と継代を行った。細胞の飽和度が80%~90%で、数が要求に達すると、細胞を収集し、カウントし、接種した。
動物:BALB/cマウス、雌、6~8週齢。
腫瘍接種:3×10個のCT26細胞を含むDPBS細胞懸濁液0.1mLを各マウスの右側鼡径部に皮下接種し、接種当日に投与を開始した。
実験の指標:実験の指標は、腫瘍の成長が阻害、遅延、又は治癒したかどうかを考察することである。週2回ノギスで腫瘍の直径を測定した。腫瘍体積の計算式は、V=0.5L×Wであり、LとWはそれぞれ腫瘍の長径と短径を表す。
【0211】
実験の結果:化合物の腫瘍阻害効果は表3に示される。
【0212】
実験の結論:本発明の化合物は、マウス結腸癌CT-26細胞BALB/cマウス皮下同種移植腫瘍モデルにおいて明らかな体内抗腫瘍効果を有する。同じ用量(50mg/kg、一日二回)で、化合物Aよりも明らかに優れた腫瘍阻害効果を示す。
【表3】
【0213】
実験例4:体内薬物動態の研究
実験の目的:
本実験の目的は、化合物の単回静脈注射と胃内投与後の薬物動態学的挙動を評価し、胃内投与後の生物学的利用率を考察することである。
【0214】
実験の操作:
7~10週齢のCD-1オスマウスを選び、静脈と経口投与の用量はそれぞれ1mg/kgと2.5mg/kgであった。マウスは投与前に少なくとも12時間断食し、投与後4時間に摂食を再開し、全試験期間中は自由に飲水できる。
【0215】
実験当日に静脈組動物は尾静脈を通して対応する化合物を単回注射し、投与体積は5mL/kgであり、経口組動物は対応する化合物を単回胃内投与し、投与体積は10mL/kgであった。投与前に動物の体重を測り、体重に基づいて投与体積を計算した。サンプリング時間:注射組は0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間であり、胃内投与組は0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間であった。各時点で伏在静脈から約30μLの全血を採取し、濃度測定を行うための高速液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)に用いられる血漿を調製した。最後の時点のPKサンプルを採取した後、すべての動物をCO麻酔で安楽死させた。WinNonlin(商標) Version 6.3(Pharsight、Mountain View、CA)薬物動態ソフトウェアの非コンパートメントモデルで血漿濃度を処理し、線形対数台形法で薬物動態パラメータを計算した。
【0216】
実験の結果:PK性質の評価結果は表4に示される。
【0217】
実験の結論:
本発明の化合物は文献で報告された化合物Aに比べて、半減期がより長く、且つ生物学的利用率が顕著に向上した。化合物Aよりも明らかに優れた薬物動態特性を有する。
【表4】