IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジボダン エス エーの特許一覧

特許7331122(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソール
<>
  • 特許-(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソール 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソール
(51)【国際特許分類】
   C07D 317/70 20060101AFI20230815BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230815BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C07D317/70 CSP
A61K8/49
A61Q13/00 101
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021554620
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2019056332
(87)【国際公開番号】W WO2019141881
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】マーチ,セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブルナー,ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】シャルパンティエ,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,ハインツ
(72)【発明者】
【氏名】ゼレナイ,ヴェロニカ
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/186973(WO,A1)
【文献】特表2017-517509(JP,A)
【文献】特開平10-218877(JP,A)
【文献】特開平4-226930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61Q
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソール。
【請求項2】
式(I)
【化2】

で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールと式(II)、(III)、(IV)および(V)
【化3】

で表される化合物から選択される少なくとも1の化合物との異性体混合物。
【請求項3】
式(I)
【化4】

で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールと式(II)、(III)、(IV)および(V)
【化5】

で表される化合物から選択される少なくとも1の化合物との異性体混合物、および少なくとも1の追加のフレグランス成分を含む、フレグランス組成物。
【請求項4】
異性体混合物が式(II)で表される化合物を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
式(I)で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールと式(II)で表される化合物との重量比が、0.01:99.99~5:95の範囲にある、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
組成物が式(III)で表される化合物を含まない、請求項3、4、または5に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソール、請求項2に記載の異性体混合物、または請求項3~6のいずれか一項に記載の組成物を含む、消費者製品。
【請求項8】
式(I)
【化6】

で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソール、または式(I)で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールと式(II)、(III)、(IV)および(V)
【化7】

で表される化合物から選択される少なくとも1の化合物との異性体混合物の、フレグランスとしての使用。
【請求項9】
1以上の不快な嗅覚的印象をマスクするか軽減させる、および/または、1以上の快適な嗅覚的印象の強度を増強させる、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項10】
1以上の不快な嗅覚的印象をマスクするか軽減させるための、および/または1以上の快適な嗅覚的印象の強度を増強させるための請求項3~6のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、一般に、式(I)で表される化合物(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールに関する。本発明は、さらに、式(I)で表される化合物を含む組成物および消費者製品、式(I)で表される化合物を作製する方法、ならびに式(I)で表される化合物の様々な使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
Ambrocenide(登録商標)としても知られる(4aR,5R,7aS,9R)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールは、フレグランス成分として使用され、ウッディおよびアンベリーの匂いを提供する。Ambrocenide(登録商標)は、式(II)、(III)、(IV)および(V)で表される4種のジアステレオマーの1以上を含むものとして記載されている(US 2017/0114299 A1およびWO 2017/186973を参照、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる)、
【化1】
【0003】
しかしながら、Ambrocenide(登録商標)は、局在し得、およびフレグランス組成物において使用され得る許容量を制限し得る、はっきりしたグリーンアンベリーの嗅覚的様相を保有する。したがって、混じり気のない(clean)ウッディおよびアンベリーの匂いプロファイルを提供する代替のまたは改善された化合物および組成物を提供することが所望される。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
本発明の第1の側面に従って、式(I)
【化2】

で表される化合物(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールが提供される。
【0005】
本発明の第2の側面に従って、式(I)で表される化合物と式(II)、(III)、(IV)、および(V)、
【化3】

で表される化合物から選択される少なくとも1(1、2、3または4)の化合物とを含む異性体混合物が提供される。
【0006】
ある態様において、異性体混合物は、式(II)で表される化合物を含む。組成物における式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物との重量比は、約0.01:99.99~約5:95、例えば約0.1:99.9~約1:99の範囲にある。
ある態様において、混合物は、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物、および式(V)で表される化合物の1以上を含まない。ある態様において、混合物は、式(III)で表される化合物を含まない。
【0007】
ある態様において、異性体混合物は、式(XI)、(XII)、および(XIII)、
【化4】

で表される化合物から選択される化合物の1以上をさらに含む。
【0008】
本発明の第3の側面に従って、本発明の第1の側面の化合物または本発明の第2の側面の異性体混合物を含むフレグランス組成物が提供される。
ある態様において、組成物は、1以上の追加の既知のフレグランス成分をさらに含む。
ある態様において、組成物は、式(VI)で表されるセドラロン(cedralone)、例えば式(Via)および/または式(VIb)で表されるセドラロン
【化5】

を含む。
【0009】
本発明の第4の側面に従って、本発明の第1の側面の化合物、本発明の第2の側面の異性体混合物、または本発明の第3の側面の組成物を含む、消費者製品が提供される。
ある態様において、消費者製品は、パーソナルケア組成物である。ある態様において、消費者製品は、クリーニング製品である。ある態様において、消費者製品は、ホームウェア組成物である。
【0010】
本発明の第5の側面に従って、本発明の第1の側面の化合物または本発明の第2の側面の混合物のフレグランスとしての使用が提供される。
本発明の第6の側面に従って、1以上の不快な嗅覚的印象をマスクするか軽減させる、および/または、1以上の快適な嗅覚的印象の強度を増強させる、式(I)
【化6】

で表される化合物の使用が提供される。
【0011】
1以上の不快な嗅覚的印象は、例えば、はっきりしたグリーンアンベリーの嗅覚的様相であり得る。1以上の快適な嗅覚的印象は、例えば、ウッディおよび/またはアンベリーの匂いであり得る。
1以上の不快なおよび/または1以上の快適な嗅覚的印象は、例えば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物および/または式(V)で表される化合物、
【化7】

によって提供され得る
【0012】
本発明の第7の側面に従って、式(I)で表される化合物を作製する方法であって、ここで、方法が、式(Xa)で表されるセドランジオール、またはその異性体混合物(すなわち、式(X)で表されるセドランジオール)
【化8】

を、反応性プロパン誘導体と好適な条件下で反応させて、式(I)
【化9】

で表される化合物を形成することを含む、前記方法が提供される。
【0013】
ある態様において、方法は、式(Xa)で表されるセドランジオール、またはその異性体混合物(すなわち、式(X)で表されるセドランジオール)を、ジメトキシプロパンと反応させて、式(I)で表される化合物を形成することを含む。これは、例えば、酸触媒作用条件下で生じ得る。
【0014】
ある態様において、方法は、式(IX)
【化10】

で表されるセドレンエポキシドを、エポキシド開環剤と反応させて、式(X)で表される化合物を形成することを含む。
【0015】
ある態様において、方法は、式(VIII)
【化11】

で表されるepi-(-)アルファ-セドレンを、エポキシ化剤と反応させて、式(IX)で表されるセドレンエポキシドを形成することを含む。
【0016】
本発明の任意の側面のある態様は、1以上の以下の利点を提供し得る:
●ウッディおよび/またはアンベリーの匂い;
●低減されたはっきりしたグリーンアンベリーの嗅覚的様相;
●消費者製品におけるAmbrocenid(登録商標)の増大した投入を可能にする。
【0017】
本発明の任意の具体的な1以上の規定された側面に関連して提供される詳細、例および優先事項が、本明細書にさらに記載され、および本発明のすべての側面に等しく適用され得る。すべての実行可能なバリエーションにおける本明細書に記載される態様、例、および優先事項の任意の組み合わせが、本明細書に示されない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、本発明によって網羅される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図の簡単な説明
本発明は、以下の非限定的な図を参照して記載されてもよく、ここで:
図1図1は、式(I)で表される化合物を作製する例1に記載されるプロセスの反応スキームである。
【0019】
詳細な説明
本発明は、式(I)で表される化合物(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールが、Ambrocenide(登録商標)のウッディおよびアンベリーの匂いを強化するが、そのはっきりしたグリーンアンベリーの嗅覚的様相を低減するという、驚くべき知見に基づく。
したがって、式(I)
【化12】


で表される化合物(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールが本明細書に提供される。
【0020】
また、式(I)で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールと式(II)、(III)、(IV)、および(V)、
【化13】

で表される化合物から選択される少なくとも1(1、2、3または4)の化合物とを含む、異性体混合物も本明細書に提供される
【0021】
混合物は、例えば、式(II)、(III)、(IV)、および(V)で表される化合物から選択される、2、3、または4の化合物を含んでもよい。
混合物は、例えば、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物とを含み得、本質的にからなり得、またはからなり得る。
代替的に、混合物は、例えば、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(IV)で表される化合物とを含み得、本質的にからなり得、またはからなり得る。混合物は、例えば、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(V)で表される化合物とを含み得、本質的にからなり得、またはからなり得る。
【0022】
代替的に、混合物は、例えば、式(I)で表される化合物と、式(II)で表される化合物と、式(IV)で表される化合物と、式(V)で表される化合物とを含み得、本質的にからなり得、またはからなり得る。混合物は、例えば、式(III)で表される化合物を含まなくてもよい。
【0023】
式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物(存在するとき)との重量比は、例えば、約0.01:99.99~約5:95の範囲にあり得る。例えば、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物(存在するとき)との重量比は、約0.01:99.99~約4:96、または約0.01:99.99~約3:97、または約0.01:99.99~約2:98、または約0.01:99.99~約1:99、または約0.01:99.99~約0.5:99.95(例として、約0.2:99.8)の範囲にあり得る。例えば、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物(存在するとき)との重量比は、約0.05:99.95~約5:95、または約0.1:99.9~約2:98、または約0.5:99.5~約1:99の範囲にあり得る。
【0024】
式(I)で表される化合物は、混合物における式(I)、(II)、(III)、(IV)、および(V)で表される化合物の総重量に基づき、約0.01wt%以上の量において、混合物において存在してもよい。例えば、式(I)で表される化合物は、混合物における式(I)、(II)、(III)、(IV)、および(V)で表される化合物の総重量に基づき、約0.05wt%以上、または約0.1wt%以上、または約0.5wt%以上の量において存在してもよい。
【0025】
式(I)で表される化合物は、混合物における式(I)、(II)、(III)、(IV)、および(V)で表される化合物の総重量に基づき、約5wt%以下の量において存在してもよい。例えば、式(I)で表される化合物は、混合物における式(I)、(II)、(III)、(IV)、および(V)で表される化合物の総重量に基づき、約4wt%以下、または約3wt%以下、または約2wt%以下、または約1wt%以下の量において存在してもよい。例えば、式(I)で表される化合物は、約0.01wt%~約5wt%、または約0.05wt%~約4wt%、または約0.1wt%~約3wt%、または約0.2wt%~約2wt%、または約0.3wt%~約1wt%の範囲にある量において、混合物において存在してもよい。
【0026】
混合物は、例えば、式(I)で表される化合物と、式(II)、(III)、(IV)、および(V)で表される化合物から選択される少なくとも1(1、2、3または4)の化合物とから本質的になり得、またはからなり得る。混合物は、例えば、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物とから本質的になり得、またはからなり得る。
【0027】
混合物は、例えば、式(XI)で表される化合物、式(XII)で表される化合物、および式(XIII)で表される化合物、
【化14】

の1以上をさらに含み得る
【0028】
混合物は、例えば、式(XI)、(XII)、(XIII)で表される化合物から選択される少なくとも2の化合物を含み得る。
混合物は、例えば、式(XI)で表される化合物および式(XII)で表される化合物をさらに含み得る。混合物は、例えば、式(XI)で表される化合物および式(XIII)で表される化合物をさらに含み得る。混合物は、例えば、式(XII)で表される化合物および式(XIII)で表される化合物をさらに含み得る。
【0029】
本明細書に使用される用語「本質的にからなる」は、混合物が少なくとも約90wt%、または少なくとも約95wt%、または少なくとも約98wt%、または少なくとも約99wt%の規定された構成要素を包含することを意味する。本明細書に使用される「からなる」は、混合物が100wt%の規定された構成要素を包含することを意味する。
【0030】
式(I)で表される化合物と、式(II)、(III)、(IV)および(V)から選択される少なくとも1(1,2、3または4)の化合物との異性体混合物を含み、式(VI)で表されるセドラロン、例えば式(VIa)で表されるセドラロンをさらに含む組成物が本明細書にさらに提供される。
【化15】

存在する場合、セドラロンは、組成物の総重量に基づき、約0.01wt%~約1wt%の範囲にある量において、組成物において存在してもよい。
セドラロンは、例えば、式(I)で表される化合物および/または式(II)で表される化合物を作製するために使用されるプロセスの副産物であり得る。
【0031】
組成物は、追加のフレグランス成分をさらに含んでもよい。以下のリストは、式(I)で表される化合物と合わせられ得る既知のフレグランス成分の例を含む:
-精油および抽出物、例として、海狸香、コスタスルート油、オークモスアブソリュート、ゼラニウム油、ツリーモスアブソリュート、バジル油、ベルガモット油およびマンダリン油などの果実油、ミルテ油、パルマローズ油、パッチュリ油、プチグレン油、ジャスミン油、バラ油、サンダルウッド油、アブサン油、ラベンダー油および/またはイランイラン油;
【0032】
-アルコール、例として、桂皮アルコール((E)-3-フェニルプロパ-2-エン-1-オール);cis-3-ヘキセノール((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール);シトロネロール(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール);Ebanol(商標)((E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-2-オール);オイゲノール(4-アリル-2-メトキシフェノール);エチルリナロール((E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール);ファルネソール((2E,6Z)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール);ゲラニオール((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール);Super Muguet(商標)((E)-6-エチル-3-メチルオクタ-6-エン-1-オール);
【0033】
リナロール(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール);メントール(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール);ネロール(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール);フェニルエチルアルコール(2-フェニルエタノール);Rhodinol(商標)(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);Sandalore(商標)(3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタン-2-オール);テルピネオール(2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール);またはTimberol(商標)(1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール);2,4,7-トリメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール、および/または[1-メチル-2(5-メチルヘキサ-4-エン-2-イル)シクロプロピル]-メタノール;
【0034】
-アルデヒドおよびケトン、例として、アニスアルデヒド(4-メトキシベンズアルデヒド);アルファアミル桂皮アルデヒド(2-ベンジリデンヘプタナール);Georgywood(商標)(1-(1,2,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);ヒドロキシシトロネラル(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール);Iso E Super(登録商標)(1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);Israldeine(登録商標)((E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);Hedione(登録商標)(メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート);3-(4-イソブチル-2-メチルフェニル)プロパナール;マルトール;メチルセドリルケトン;メチルイオノン;ベルベノン;および/またはバニリン;
【0035】
-エーテルおよびアセタール、例として、Ambrox(登録商標)(3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン);ゲラニルメチルエーテル((2E)-1-メトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン);ローズオキシド(4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン);および/またはSpirambrene(登録商標)(2’,2’,3,7,7-ペンタメチルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2,5’-[1,3]ジオキサン]);
【0036】
-エステルおよびラクトン、例として、ベンジルアセタート;セドリルアセタート((1S,6R,8aR)-1,4,4,6-テトラメチルオクタヒドロ-1H-5,8a-メタノアズレン-6-イルアセタート);g-デカラクトン(6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン);Helvetolide(登録商標)(2-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エトキシ)-2-メチルプロピルプロピオナート);g-ウンデカラクトン(5-へプチルオキソラン-2-オン);および/またはベチベリルアセタート((4,8-ジメチル-2-プロパン-2-イリデン-3,3a,4,5,6,8a-ヘキサヒドロ-1H-アズレン-6-イル)アセタート);
【0037】
-大員環、例として、アンブレットリド((Z)-オキサシクロへプタデカ-10-エン-2-オン);ブラシル酸エチレン(1,4-ジオキサシクロへプタデカン-5,17-ジオン);および/またはExaltolide(登録商標)(16-オキサシクロヘキサデカン-1-オン);および
-ヘテロ環、例として、イソブチルキノリン(2-イソブチルキノリン)。
【0038】
本明細書に記載される化合物および混合物は、例えば、実質的に結晶形態であってもよい。「実質的に結晶」によって、少なくとも約90wt%の化合物または混合物が結晶形態であることを意味する。例えば、少なくとも約95wt%、または少なくとも約96wt%、または少なくとも約97wt%、または少なくとも約98wt%、または少なくとも約99wt%の、本明細書に記載される化合物または混合物が結晶形態であり得る。
【0039】
代替的に、本明細書に記載される化合物または混合物は、溶液であり得る。フレグランス成分と併せて従来使用される希釈剤は、フタル酸ジエチル(DEP)、ジプロピレングリコール(DPG)、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、ペンタン-1,2-ジオール、クエン酸トリエチル(TEC)およびアルコール(例として、エタノール)などの成分を包含する。任意に、よって得られた溶液は、抗酸化剤アジュバントを含んでもよい。該抗酸化剤は、Tinogard(登録商標)TT(BASF)、Tinogard(登録商標)Q(BASF)、Tinogard(登録商標)TS(BASF)、トコフェロール(その異性体、CAS 59-02-9;364-49-8;18920-62-2;121854-78-2を包含する)、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチルフェノール(BHT、CAS 128-37-0)および関連するフェノール、ヒドロキノン(CAS 121-31-9)から選択されてもよい。
【0040】
本明細書に記載される式(I)で表される化合物または混合物を含むフレグランス組成物が本明細書にさらに提供される。式(I)で表される化合物と式(II)、(III)、(IV)および(V)で表される化合物から選択される少なくとも1(1、2、3または4)の化合物とを含む、本明細書に記載される式(I)で表される化合物または混合物は、例えば、フレグランス組成物の総重量に基づき、約0.01wt%~約10wt%の範囲にある量において、消費者製品において存在してもよい。例えば、本明細書に記載される式(I)で表される化合物または混合物、例えば、約0.05wt%~約8wt%、または約0.1wt%~約5wt%、または約0.5wt%~約3wt%の範囲にある量において、フレグランス組成物において存在してもよい。
【0041】
本明細書に記載される化合物、混合物、または組成物を含む消費者製品が本明細書にさらに提供される。消費者製品によって、非営利目的の個人または家庭によって使用される任意の製品を意味する。
消費者製品は、例えば、パーソナルケア製品、例えば、パヒューム抽出物、オードパルファム、オードトワレ、アフターシェーブ、オーデコロン、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、パヒューム付フレッシュニングワイプ、ボディケア製品、石鹸、液体ボディウォッシュ、ヘアケア製品(例として、シャンプー、コンディショナー)、消臭剤、制汗剤、ハンドクリームおよびローション、フットクリームおよびローション、脱毛クリームおよびローション、アフターシェーブクリームおよびローション、日焼けクリームおよびローション、ならびにデコレーション化粧製品(例として、メークアップ)であってもよい。
【0042】
消費者製品は、例えば、クリーニング製品、例えば、酸性、アルカリ性、および中性クリーナー、ファブリックフレッシュナー、アイロン補助剤(ironing aid)、液体洗剤、ファブリック柔軟剤、洗浄石鹸、洗浄錠剤、殺菌剤(例として、表面殺菌剤)、エアフレッシュナー、エアロゾルスプレー、ワックスおよび艶出し剤(polish)であってもよい。
消費者製品は、例えば、ホームウェア製品、例えば、キャンドル、ランプオイル、線香、殺虫剤、防虫剤、および高圧ガス(propellant)であってもよい。
【0043】
式(I)で表される化合物と式(II)、(III)、(IV)および(V)で表される化合物から選択される少なくとも1(1、2、3または4)の化合物とを含む、式(I)で表される化合物または混合物は、例えば、消費者製品の総重量に基づき、約0.0001wt%(またはより低い、例として、0.05ppm以下)~約30wt%の範囲にある量において、消費者製品において存在してもよい。一態様において、本明細書に記載される式(I)で表される化合物または混合物は、0.001~0.3重量パーセントの量において、ファブリック柔軟剤において用いられてもよい。別の態様において、本明細書に記載される式(I)で表される化合物または混合物は、0.01~30重量パーセント(例として、最大約10、または最大20重量パーセント)、より好ましくは0.01および5重量パーセントの間の量において、上質な香水において使用されてもよい。しかしながら、熟達したパヒューマーはまた、より低いまたはより高い濃度を以って効果を達成し得るか新規なアコードを創作し得るため、これらの値は一例としてのみ与えられる。
【0044】
式(I)で表される化合物と式(II)、(III)、(IV)および(V)で表される化合物から選択される少なくとも1の化合物とをフレグランス成分として含む、式(I)で表される化合物または混合物の使用が、本明細書にさらに提供される。式(I)で表される化合物は、例えば、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物、および/または式(V)で表される化合物と組み合わせて使用されてもよい。フレグランス成分としての使用は、それが認識できる匂いを提供するのに充分な量において使用されることを意味する。式(I)で表される化合物と式(II)、(III)、(IV)および(V)で表される化合物から選択される少なくとも1の化合物とを含む、式(I)で表される化合物または混合物によって提供される匂いは、例えば、例としてWO2015/176833に開示されているとおりのAmbrocenide(登録商標)と比較して低減されたはっきりしたグリーンアンベリーの嗅覚的様相を例えば有し得る、ウッディおよび/またはアンベリーの匂いであり得る。
【0045】
式(II)、(III)、(IV)および(V)で表される4種のジアステレオ異性体を包含する、以下の化学的構造(WO2015/176833)
【化16】

を有する、Ambrocenide(登録商標)の1以上の不快な嗅覚的様相をマスクするか軽減させる式(I)で表される化合物の使用が、本明細書にさらに提供される。1以上の不快な嗅覚的様相は、例えば、局在し得るおよびフレグランス組成物において使用され得る許容し得る量を制限し得る、はっきりしたグリーンアンベリーの嗅覚的様相であり得る。
Ambrocenide(登録商標)の1以上の快適な嗅覚的印象を増強する式(I)で表される化合物の使用が、本明細書にさらに提供される。1以上の快適な嗅覚的印象は、例えば、ウッディおよび/またはアンベリーの匂いであり得る。
【0046】
使用は、例えば、式(I)で表される化合物を、式(II)、(III)、(IV)および(V)で表される化合物から選択される少なくとも1(1、2、3または4)の化合物と混合させることを含み得る。代替的に、式(I)で表される化合物は、式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物、および式(V)で表される化合物の1以上と直接的に一緒に調製されてもよい。式(I)で表される化合物は、例えば、式(I)で表される化合物は、例えば、式(I)で表される化合物と式(II)で表される化合物、式(III)で表される化合物、式(IV)で表される化合物、および式(V)で表される化合物の1以上とを含む混合物との関連における本明細書に記載されるとおりの量においておよび/または比率において存在してもよい。
【0047】
式(I)で表される化合物を作製する方法が、本明細書にさらに提供される。方法は、単一の立体異性体のみを包含する出発材料および/または中間体材料を使用して進行してもよく、もしくは立体異性体の混合物を包含する出発材料および/または中間体材料を使用して進行してもよい。方法の最終産物は、例えば、単一の立体異性体のみであり得るか、立体異性体の混合物であり得る。異なる反応条件が、異なる割合の立体異性体を調製するために選択されてもよい。
出発材料および/または中間体材料および/または最終産物の具体的な立体異性体は、当業者に既知の任意の方法によって、例えば、分取HPLCおよびGC、結晶化または立体選択的合成によって精製されてもよい。
【0048】
方法は、例えば、式(Xa)で表されるセドランジオール、または異性体混合物(すなわち、式(X)で表されるセドランジオール)
【化17】

を、反応性プロパン誘導体と好適な条件下で反応させて、式(I)で表される化合物を形成することを含んでもよい。当業者に既知である任意の好適な反応性プロパン誘導体が、式(I)で表される化合物を形成するために使用されてもよい。
方法は、例えば、式(Xa)で表されるセドランジオールを、様々な溶媒、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ナフサ留分、またはジエチルエーテルを使用して、脂肪族アルデヒドおよびケトンと反応させることを含んでもよい。
【0049】
方法は、例えば、式(Xa)で表されるセドランジオールを、ジアルコキシプロパン、例えば、ジメトキシプロパン(例として、2,2-ジメトキシプロパン)と反応させて、式(I)で表される化合物を形成することを含んでもよい。反応は、例えば、酸触媒作用下で生じ得る。式(Xa)で表される化合物(または異性体混合物)とジアルコキシプロパン(例として、ジメトキシプロパン)とのモル比は、少なくとも約1:5、例えば、約1:1~約1:4であってもよい。
【0050】
次いで、式(I)で表される化合物は、例えば、水性アルコール溶液から結晶化されてもよい。
方法は、例えば、式(IX)
【化18】

で表されるepi-(-)-アルファ-セドレンエポキシドをエポキシド開環剤と反応させて、式(X)で表される化合物を形成することを含む。
当業者に既知の任意の好適なエポキシド開環剤が、式(X)で表される化合物を形成するために使用されてもよい。式(IX)で表される化合物は、例えば、酸触媒による開環によって、反応して式(X)で表される化合物を形成し得る(Houben-Weyl)。
【0051】
方法は、例えば、式(VIII)で表されるepi-(-)-アルファ-セドレン、またはepi-(-)-アルファ-セドレンと(-)-アルファ-セドレンとの混合物
【化19】

をエポキシ化剤と反応させて、式(IX)で表される化合物を形成することを含んでもよい。
当業者に既知の任意の好適なエポキシ化剤が、式(IX)で表される化合物を形成するために使用されてもよい。
【0052】
式(VIII)で表される化合物は、例えば、過酢酸と反応して、式(IX)で表されるセドレンエポキシドを形成し得る(例えば、Organikum, Organisch-Chemisches Grundpraktikum [Basic Practical Organic Chemistry],VEB Deutscher Vertag Verlag der Wissenschaften、Berlin、1986、Order No.5714576、568頁を参照)。
【0053】
epi-(-)-アルファ-セドレンは、例えば、Niels H. Andersen et al.(Tetrahedron Lettere No.10, 899 -902, 1972)によって記載されるとおりの手順を使用して得られてもよい。代替的に、自然の供給源、例として、ジュニパー、イトスギ、サンダルウッド、およびヒマラヤスギの蒸留、または、例として、Platycladus、Yupressus、Taiwania、およびCalocedrus属の植物からの木材、根、葉から蒸留、圧搾、または化学的に抽出されることによって得られてもよい。
【0054】
本明細書に記載される混合物の組成物は、出発材料としてのアルファ-セドレンの品質の慎重な選択によって影響され得る。例えば、epi-(-)-アルファ-セドレンの量が多いほど、式(II)、(III)、(IV)、および(V)で表される化合物から選択される少なくとも1の化合物との関連における式(I)で表される化合物の量も多くなる。理論に束縛されることは望まないが、これに続くアルファ-セドレンの反応において、立体化学的状態は実質的に不変のままであると考えられている。
【0055】
本発明は直ちに、以下の非限定例を参照してさらに記載される。当業者に容易に明らかであろうとおりのバリエーションおよび改変は、添付の特許請求の範囲においておよび添付の特許請求の範囲によって定義されるとおりの本発明の範囲内であることが意図される。
【0056】

式(I)で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールを含む組成物の調製
式(I)で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールを含む組成物を、図1に示される反応スキームを介して作製した。
【0057】
1.1-アルファ-セドレンエポキシドの混合物の調製
アルファ-セドレンエポキシド((-)-アルファ-セドレンエポキシドおよびepi-(-)-アルファ-セドレンエポキシド)の混合物を、当該技術分野において知られている条件下、エポキシ化によってアルファ-セドレン(概ね1wt% epi-(-)-アルファ-セドレンを含む)から得た(Organikum, Organisch-Chemisches Grundpraktikum [Basic Practical Organic Chemistry],VEB Deutscher Vertag Verlag der Wissenschaften、Berlin、1986、Order No.5714576、568頁を参照)。
【0058】
1.2-セドランジオールの混合物の調製
1682.5gの水、317.5gの硫酸63%および3.0gのAliquat(登録商標)336(スタークの触媒として知られる四級アンモニウム塩)を、機械式撹拌器、冷却器、および窒素バブラーを取り付けた2Lジャック式ラボラトリーリアクターに添加した。この混合物を20℃で安定化させ、(-)-α-セドレンエポキシドを含む、上記のとおり調製したアルファセドレンエポキシドの混合物(81.6%GC、[α]20/D:-72.3、n20/D:1.4967)を、10分以内に供給した。その結果得られる混合物を、48時間、20℃で、高速でさらに攪拌した。白色沈殿物を濾過し、200gのNaOH 2%で、および200gの水(pH:8)で、2度洗浄した。80gを超えた得られた粗製ジオール混合物(88.5g)を1333mLのシクロヘキサン中で再結晶化させることによって、4.9gの白色結晶が生産された。
セドランジオール混合物(結晶)の異性体組成物は、59wt%の化合物2a(図1における反応スキームに示されるとおり)、31wt%の化合物2d(図1における反応スキームに示されるとおりの)、および約0.5wt%の化合物(Xa)であった。
【0059】
1.3-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソール異性体の混合物の調製
10.0gの2,2-ジメトキシプロパン(DMP)、12.4gのアセトンおよび10.0gの上記のとおり調製した結晶化ジオール混合物を、冷却器および窒素バブラーを取り付けた100ml三ツ口丸底フラスコに添加した。10.0gのアセトン中工業用硫酸の溶液(40g中1.08g)を、30℃より下の温度に維持しながら、2時間以内に供給した。その結果得られる混合物を、3時間、20℃でさらに攪拌し、この時点で、さらなる2.0gのアセトン中硫酸をゆっくり添加した。22℃で2時間の追加の攪拌後、混合物を水性炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、ライト(light)のほとんどを真空下で蒸発させた。
【0060】
残渣をメチル三級-ブチルエーテル(MEBE)中に再度取り、水および有機層を濃縮した。次いで、残渣を冷たいn-へプタンで希釈し、濾過した。濾過物を蒸発させ、エタノール水混合物中に再結晶化させた。
得られた異性体混合物は、本明細書に記載される、96.4wt%の式(II)で表される化合物および0.2wt%の式(I)で表される化合物であった。
【0061】
例2-(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソール(式(I))の単離
式(I)で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールを、例1.3において得られた再結晶化混合物から分取ガスクロマトグラフィーによって単離した。
次いで、単離された画分を、NMRによって同定した。
式(I)で表される(3aS,4aR,5S,7aS,9R,9aR)-2,2,5,8,8,9a-ヘキサメチルオクタヒドロ-4H-4a,9-メタノアズレノ[5,6-d][1,3]ジオキソールを、以下のNMR結果に基づいて、その構造を決定した。
【0062】
1H NMR (C6D6、600 MHz): 4.02 (t、J = 7.7、1H)、2.03 (dd、J = 13.2、7.3、1H)、1.97-1.94 (m、2H)、1.62-1.56 (m、1H)、1.60 (s、3H)、1.58 (s、3H)、1.54-1.50 (m、1H)、1.52 (s、3H)、1.45-1.35 (m、3H)、1.25-1.18 (m、2H)、1.14-1.11 (m、1H)、0.97 (s、3H)、0.87 (d、J = 6.7、3H)、0.85 (s、3H)。
13C NMR (C6D6、150 MHz): 108.7、84.9、78.7、57.3、55.8、53.9、44.0、43.1、42.3、33.5、31.7、30.9、30.3、29.8、27.7、27.6、24.4、13.7.
【0063】
例3-官能分析
例2において得られた式(I)で表される化合物および例1において得られた混合物の匂いプロファイルを、パヒューマーによって評価した。驚くべきことに、式(I)で表される化合物のソフトなウッディなアンベリーの品質は、Ambrocenide(登録商標)と上手く統合されていることを見出した。Ambrocenide(登録商標)の本来のウッディなアンベリーの特徴は強化され、そのはっきりしたグリーンアンベリーの様相は軟化されている。結果として、例1において得られた混合物は、所望のウッディなアンベリーの特徴および性能を送達しながらも、より多用途であり、およびフレグランス組成物中に投入し易い。
【0064】
例4:フレグランス組成物
【表1】
【0065】
フレグランスは、クラシカルなフローラルのアルデヒドの構造、ムスキーでパウダリーでソフトなベースノート、およびモダンなグリーンのスズランの鮮やかな始まりをもつ、化粧品のクリーミーな風合いを有する。フレグランスは、例として、約1.5wt%の用量にて石鹸を香り付けするのに好適である。
上記のフレグランス組成物におけるDPGの2部を例1の結晶化混合物で置き換えることによって、全体的な嗅覚のインパクトはブーストされ、および通常の嗅覚的特徴はよりバランスが取れ、より女性的に、および複雑になった。例として、石鹸ベースと混合されるとき、匂いの性能は同様に明確に改善される。
図1