(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】業務区域間のワークフローのための空間効率の良い注文履行システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
(21)【出願番号】P 2021557552
(86)(22)【出願日】2020-05-08
(86)【国際出願番号】 IB2020054380
(87)【国際公開番号】W WO2020229973
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-09-27
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520440490
【氏名又は名称】アタボティックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ATTABOTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】スコット グラヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス ランゲン
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ ジャリワル
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0194556(US,A1)
【文献】特表2018-502388(JP,A)
【文献】特表2018-517646(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0148259(US,A1)
【文献】特公平06-020930(JP,B2)
【文献】特開平03-143802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体内の複数の保管レベルにおいて、前記ASRS構造体の2次元設置領域全体に分散する保管場所の3次元配列を備える前記ASRS構造体と、
前記ASRS構造体の1つ以上の業務レベルにおいて、前記ASRS構造体の前記2次元設置領域上を少なくとも2次元で走行することによって前記ASRS構造体内でナビゲート可能なロボット保管/取り出し車両の一団と、
前記ASRS構造体の前記保管場所における保管に適合する大きさ及び形状の保管ビンの供給部と、
前記ASRS構造体の前記1つ以上の業務レベルにおいて、前記ASRS構造体の前記2次元設置領域の外周に隣接して位置決めされる複数の異なる業務区域と、
を備える注文履行システムであって、
前記1つ以上の業務レベルは、前記保管レベルの上下に位置決めされ、
前記保管ビンは、前記保管場所との間で前記保管ビンを移送する間、前記ASRS構造体内を前記ロボット保管/取り出し車両によって運ばれるように構成され、
前記異なる業務区域の各々は、前記異なる業務区域のうち別の業務区域における1つ以上の作業ステーションとは異なるタスク又は複数のタスクの組み合わせに対して構成されるタイプの前記1つ以上の作業ステーションを備え、
前記異なる業務区域の各々は、前記ロボット保管/取り出し車両によって、前記異なる業務区域の各々における前記保管ビンの移載、及び/又は前記異なる業務区域の各々を通る前記保管ビンの走行を受け取るように構成され、
前記異なる業務区域は、前記ASRS構造体の周りに連続的な配列で構成され、
前記保管ビンは、前記異なる業務区域の前記連続的な配列により、前記保管ビンの識別なしに、前記ASRS構造体の前記保管場所と前記異なる業務区域間との間で移送されるように構成される、注文履行システム。
【請求項2】
前記保管ビンは、前記異なる業務区域間を任意の順番で輸送可能である、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項3】
前記異なる業務区域の各々は、前記保管ビンを複数回受け取り、前記複数のタスクのうち1つ以上を実行するように構成される、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項4】
前記保管ビンは、前記異なる業務区域のうち第1の業務区域において受け取られて前記複数のタスクのうち1つ以上を実行され、その後、前記ASRS構造体の前記保管場所に保管され、前記ASRS構造体の前記保管場所から取り出されて前記異なる業務区域のうち第2の業務区域に移送される、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項5】
前記異なる業務区域はデカンティング区域を備え、
前記デカンティング区域において、入庫商品は最初に受け取った未処理の状態で前記保管ビンの供給部から選択される未処理保管ビンに置かれ、
前記未処理保管ビンは前記デカンティング区域から前記ASRS構造体に誘導される、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項6】
前記デカンティング区域はデカンティング及び誘導複合区域であり、
前記デカンティング及び誘導複合区域において、前記未処理保管ビンは、前記異なる業務区域の任意の他の区域へ移送されることなく、任意の他の区域を通過又は通ることなく前記ロボット保管/取り出し車両によって前記ASRS構造体に直接誘導される、請求項5に記載の注文履行システム。
【請求項7】
前記異なる業務区域は処理区域をさらに備え、
前記ASRS構造体に誘導された前記未処理保管ビンは、前記ロボット保管/取り出し車両によって前記処理区域に差配されて、前記未処理保管ビンに含まれる前記入庫商品が処理され、
処理済商品は、前記処理区域から前記ASRS構造体に戻されて、注文履行準備済みの販売可能な在庫として前記ASRS構造体に保管される、請求項6に記載の注文履行システム。
【請求項8】
前記処理区域において、前記処理済商品は、前記未処理保管ビンから、前記保管ビンの供給部から選択される在庫保管ビンに移送され、前記在庫保管ビンが前記ASRS構造体に戻される、請求項7に記載の注文履行システム。
【請求項9】
前記異なる業務区域はピッキング区域を備え、
前記ASRS構造体内の在庫商品は、前記ロボット保管/取り出し車両によって前記ピッキング区域に差配されて、注文品がピッキングされる、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項10】
前記異なる業務区域は梱包区域をさらに備え、
前記ピッキング区域において先にピッキングされた少なくとも部分的に履行済みの注文品は、前記ロボット保管/取り出し車両によって前記梱包区域に差配されて、
前記梱包区域において前記少なくとも部分的に履行済みの注文品が梱包される、請求項9に記載の注文履行システム。
【請求項11】
前記異なる業務区域は、前記ASRS構造体における保管に対して実質的に大きい大型商品を保管する特大商品保管区域をさらに備え、
前記異なる業務区域は集約区域をさらに備え、
注文された大型商品は前記集約区域に移送されて、前記ピッキング区域においてピッキングされた在庫商品と集約される、請求項10に記載の注文履行システム。
【請求項12】
前記集約区域は、前記梱包区域に隣接する区域のうち1つに位置決めされ、前記梱包区域と重なり合う、請求項11に記載の注文履行システム。
【請求項13】
前記梱包区域と重なり合う前記集約区域は、前記1つ以上の作業ステーションの中から少なくとも1つの集約梱包作業ステーションを備え、
前記少なくとも1つの集約梱包作業ステーションは、前記梱包区域の前記1つ以上の作業ステーションのうち別の作業ステーションと共通の注文品ビンコンベアを共有するように構成される、請求項12に記載の注文履行システム。
【請求項14】
前記ASRS構造体内でナビゲート可能であるとともに前記ASRS構造体から履行済みの注文商品を含む梱包注文品を受け取るように動作可能な少なくとも1つのロボット荷物取扱車両をさらに備える注文履行システムであって、
前記異なる業務区域はラストマイル仕分け区域を備え、
前記ラストマイル仕分け区域において、前記保管ビンよりも大容量の出荷集約コンテナは、前記ASRS構造体からアクセス可能な位置に保管され、
前記少なくとも1つのロボット荷物取扱車両は、前記ラストマイル仕分け区域において、前記梱包注文品を前記出荷集約コンテナにまとめるように動作可能である、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項15】
前記ラストマイル仕分け区域は、前記ASRS構造体の前記保管場所よりも大型の保管スペースを区切る保管ラックを備え、
前記ラストマイル仕分け区域は、前記ASRS構造体の前記外周に沿って延びる前記保管ラックの少なくとも1つの列を備える、請求項14に記載の注文履行システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのロボット荷物取扱車両は、車輪付きシャーシと、前記車輪付きシャーシの上に取り付けられるコンベアユニットと、を備えるコンベア装備ロボット車両であり、
前記車輪付きシャーシは、前記ASRS構造体を通して前記少なくとも1つのロボット荷物取扱車両を運動させるように動作可能であり、
前記コンベアユニットは、前記梱包注文品を受け取り、前記梱包注文品を前記出荷集約コンテナに降ろすように動作可能である、請求項14に記載の注文履行システム。
【請求項17】
前記コンベアユニットは、前記車輪付きシャーシの上に回転可能に取り付けられて、直立軸線を中心として前記車輪付きシャーシに対して移動し、前記コンベアユニットを、前記少なくとも1つのロボット荷物取扱車両から前記出荷集約コンテナへと異なる方向に前記梱包注文品を降ろすように動作可能な複数の異なる作業位置に再配向させる、請求項16に記載の注文履行システム。
【請求項18】
前記コンベアユニットは、前記梱包注文品を受け取り、前記梱包注文品を前記出荷集約コンテナに降ろすように動作可能なベルトコンベアを備える、請求項17に記載の注文履行システム。
【請求項19】
前記コンベアユニットは、前記直立軸線を中心として互いに90度刻みの少なくとも2つの作業位置間で回転可能である、請求項17に記載の注文履行システム。
【請求項20】
前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つは、
少なくとも1つの走行経路と、
アクセススポットと、
前記アクセススポットの周りに配置される照明可能な標識のセットと、を備え、
前記保管ビンの供給部から選択される内部的に細分化された保管ビンは、前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つを通して前記少なくとも1つの走行経路上を走行可能であり、
前記内部的に細分化された保管ビンの各々は、前記アクセススポットにおいて、前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つにおいて利用可能な人間の作業者及びロボット作業者のうち1つに提示可能であり、
前記照明可能な標識の少なくとも1つは、前記内部的に細分化された保管ビンの各々の各区画に隣接して位置決めされる、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項21】
前記照明可能な標識は、前記少なくとも1つの走行経路上の前記アクセススポットにおいて、前記少なくとも1つの走行経路の上にあるアクセスポートと境界を接するように構成される、請求項20に記載の注文履行システム。
【請求項22】
前記照明可能な標識の各々は、前記内部的に細分化された保管ビンの1つ以上の区画への所定の量の商品の配置、又は1つ以上の区画からの所定の量の商品のピッキングのうち1つを案内するように構成されるそれぞれの商品量表示部を伴う、請求項20に記載の注文履行システム。
【請求項23】
前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのドライブスルー走行経路を備え、
前記ロボット保管/取り出し車両は、前記少なくとも1つのドライブスルー走行経路上を、前記1つ以上の作業ステーションの前記少なくとも1つを通過して前記保管ビンを運ぶことができる、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項24】
前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つは、2つの異なる保管ビンを受け取るように配列され、
前記2つの異なる保管ビン間で前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つにおいて受け取った商品が移送され、
前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つは、
前記ロボット保管/取り出し車両が、前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つを通過して、前記2つの異なる保管ビンのうち第1の保管ビンを運ぶドライブスルー走行経路と、
先に誘導された保管ビンが、前記ロボット保管/取り出し車両とは独立して前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つを横断する別個のコンベアベースの走行経路と、
のうち1つを介して前記2つの異なる保管ビンのうち前記第1の保管ビンを受け取る、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項25】
前記2つの異なる保管ビンは、互いに量が異なる内部区画を備える、請求項24に記載の注文履行システム。
【請求項26】
前記異なる業務区域のうち少なくとも1つは、前記ASRS構造体から外向きに延在する列に配列されるとともにビンコンベアによって差配される少なくとも1つの一連の作業ステーションを備え、
前記ビンコンベアは、前記ASRS構造体から外向きに延在するとともに前記一連の作業ステーションを通過する出庫部を備え、
前記ビンコンベアは、一連の分岐部をさらに備え、
各分岐部は、前記ビンコンベアの前記出庫部から前記作業ステーションのそれぞれ1つに分岐して、前記保管ビンのうち受け取った1つを前記作業ステーションに配送する、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項27】
前記少なくとも1つの一連の作業ステーションは、前記作業ステーションから前記ASRS構造体に向かって戻るように梱包注文品を搬送するように動作可能な荷物コンベアによって差配される、請求項26に記載の注文履行システム。
【請求項28】
前記ASRS構造体における前記保管場所は、保管カラム内に配列され、
前記保管カラムの各々は、前記保管カラムの各々における前記保管場所にアクセス可能な直立シャフトに隣接し、
前記ロボット保管/取り出し車両の一団は、前記ASRS構造体の前記2次元設置領域にわたる2次元の走行と、前記保管カラムの各々に隣接する前記直立シャフトを通る上昇方向及び下降方向の3次元の走行との両方によって、前記保管場所の3次元配列内でナビゲート可能であり、それによって、前記保管場所と前記異なる業務区域のいずれかとの間で前記保管ビンが前記ロボット保管/取り出し車両によって完全に移送される、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項29】
前記ASRS構造体の前記1つ以上の業務レベルは、前記保管レベルの下方に位置決めされる下位レベルを備える、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項30】
前記異なる業務区域は、前記ASRS構造体の前記下位レベルに隣接して位置決めされ、前記下位レベルから前記ロボット保管/取り出し車両が前記異なる業務区域に業務を提供する、請求項29に記載の注文履行システム。
【請求項31】
前記ASRS構造体は、前記異なる業務区域間の前記保管ビンに対する唯一の自律的に動作可能なビン移送リンクである、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項32】
前記異なる業務区域のいずれかの間を延びる区域間コンベアがない、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項33】
前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つは、
ピッキングポートと、
配置ポートと、を備える注文履行システムであって、
前記ピッキングポートは供給ビン経路の上にあり、
前記保管ビンの供給部から選択されるとともに1つ以上のピッキングされるべき商品を含む供給保管ビンが、前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つを通して前記供給ビン経路上を移動可能であり、
前記ピッキングポートの下のピッキングスポットにおいて前記供給ビン経路上に駐車するとき、前記供給ビンから1つ以上の商品をピッキングすることができ、
前記配置ポートは受容ビン経路の上にあり、
前記保管ビンの供給部から選択されるとともに前記1つ以上の商品が宛てられる受容保管ビンが、前記1つ以上の作業ステーションのうち少なくとも1つを通して前記受容ビン経路上を移動可能であり、
前記配置ポートの下の配置スポットにおいて前記受容ビン経路上に駐車するとき、前記1つ以上の商品を前記受容保管ビンに配置することができ、
前記供給ビン経路及び前記受容ビン経路のうち第1の経路は、前記ASRS構造体のトラックに接続される延長トラックであり、
前記第1の経路上で前記ロボット保管/取り出し車両の一団が前記ASRS構造体をナビゲートし、それによって、前記ピッキングポート及び前記配置ポートのうち第1のポートが、前記延長トラックをナビゲートする前記ロボット保管/取り出し車両のうちの1つによって差配されて、前記供給保管ビン及び前記受容保管ビンのうち対応する一方を前記ピッキングポート及び前記配置ポートのうち前記第1のポートに運ぶ、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項34】
前記供給ビン経路及び前記受容ビン経路のうち第2の経路は、前記ASRS構造体の前記トラックから離れて延びるコンベアベースの経路を備え、
前記トラックをナビゲートする前記ロボット保管/取り出し車両のうちの1つから前記供給保管ビン及び前記受容保管ビンのうち対応する一方を受け取る、請求項33に記載の注文履行システム。
【請求項35】
前記供給ビン経路及び前記受容ビン経路のうち少なくとも一方は、前記供給保管ビン及び前記受容保管ビンのうち対応する一方を、前記ASRS構造体の前記トラックから受け取り、かつ前記ASRS構造体の前記トラックに戻すように配列される、請求項33に記載の注文履行システム。
【請求項36】
前記供給ビン経路及び前記受容ビン経路の両方が、前記供給保管ビン及び前記受容保管ビンのうち対応する一方を、前記ASRS構造体の前記トラックから受け取り、かつ前記ASRS構造体の前記トラックに戻すように配列される、請求項33に記載の注文履行システム。
【請求項37】
前記ピッキングポート及び前記配置ポートのうち少なくとも一方は、照明可能な標識のうち少なくとも1つを前記供給保管ビン及び前記受容保管ビンのうちそれぞれ1つの各区画に隣接して配置するレイアウトを占める、照明可能な標識のセットによって境界付けられる、請求項33に記載の注文履行システム。
【請求項38】
前記ロボット保管/取り出し車両の一団と動作可能に通信するコンピュータ制御システムをさらに備える注文履行システムであって、
前記コンピュータ制御システムは、
通信ネットワークに連結されるネットワークインターフェースと、
前記ネットワークインターフェースに連結される少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に連結される非一過性のコンピュータ可読記憶媒体と、を備え、
前記非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラム指示を格納するように構成され、
前記コンピュータプログラム指示は、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるとき、前記少なくとも1つのプロセッサに前記ロボット保管/取り出し車両のうち1つ以上を作動させて、
(a)前記ASRS構造体内で及び/又は前記異なる業務区域の各々を通してナビゲートすること、
(b)前記ASRS構造体の前記保管場所から前記保管ビンを取り出すこと、
(c)前記異なる業務区域において前記保管ビンを移載すること、
(d)前記異なる業務区域から前記保管ビンをピックアップすること、及び
(e)前記ASRS構造体の前記保管場所に前記保管ビンを戻して保管すること、のうち1つ以上を実行させる、請求項1に記載の注文履行システム。
【請求項39】
前記コンピュータ制御システムは、前記異なる業務区域の各々の前記1つ以上の作業ステーションと動作可能に通信し、
前記コンピュータ制御システムは、人間の作業者及びロボットの作業者のうち1つに業務指示を送信して、前記保管ビンに含まれる商品に対する1つ以上の業務アクションを実行させるように構成される、請求項38に記載の注文履行システム。
【請求項40】
3次元格子構造体内に画定される保管場所の3次元配列と、
ロボット車両の一団と、
保管ビンの供給部と、
少なくとも1つの梱包作業ステーションと、
保管ラックと、
出荷集約コンテナの供給部と、を備える注文履行システムであって、
前記3次元格子構造体は保管カラムを備え、
前記保管カラムの各々は、前記保管カラムの各々における前記保管場所にアクセス可能な直立シャフトと、前記保管カラムの各々に隣接する前記直立シャフトにアクセス可能な少なくとも1つの2次元格子状トラックレイアウトと、によって隣接し、
前記ロボット車両の一団は、前記少なくとも1つの2次元格子状トラックレイアウト上を2次元で走行して前記保管カラムのいずれかに隣接する前記直立シャフトにアクセスすることによって、かつ前記保管カラムのいずれかに隣接する前記直立シャフトを通る上昇方向及び下降方向に3次元で走行することによって、前記3次元配列内でナビゲート可能であり、
前記保管ビンの供給部は、前記3次元格子構造体の前記保管場所における保管に適合する大きさ及び形状であり、
前記保管ビンは、前記ロボット車両のうち1つ以上によって前記3次元格子構造体を通して運ばれるように構成され、
前記保管ビンのうち1つ以上に含まれる注文商品は、前記ロボット車両によって前記少なくとも1つの梱包作業ステーションに差配されて、前記少なくとも1つの梱包作業ステーションにおいて前記注文商品が取り出されて梱包注文品に梱包され、
前記保管ラックは、前記3次元格子構造体の前記保管場所よりも大型の保管スペースを区切り、
前記出荷集約コンテナの供給部は、前記保管ビンよりも大容量であり、
前記出荷集約コンテナは、前記保管ラックの前記保管スペースに適合する大きさ及び形状であり、
前記保管ラックの前記保管スペースは、前記3次元格子構造体からアクセス可能な位置に画定され、前記ロボット車両のうち少なくとも1つは、前記少なくとも1つの梱包作業ステーションから前記梱包注文品を受け取り、前記梱包注文品を前記出荷集約コンテナにまとめるように動作可能である、注文履行システム。
【請求項41】
前記ロボット車両のうち少なくとも1つは、車輪付きシャーシと、前記車輪付きシャーシの上に取り付けられるコンベアユニットと、を備えるコンベア装備ロボット車両であり、
前記車輪付きシャーシは、前記3次元格子構造体を通して前記ロボット車両のうち少なくとも1つを運動させるように動作可能であり、
前記コンベアユニットは、前記梱包作業ステーションから前記梱包注文品を受け取り、前記梱包注文品を前記出荷集約コンテナに降ろすように動作可能である、請求項40に記載の注文履行システム。
【請求項42】
前記コンベアユニットは、前記車輪付きシャーシの上に回転可能に取り付けられて、直立軸線を中心として前記車輪付きシャーシに対して移動し、前記コンベアユニットを、前記ロボット車両のうち少なくとも1つから前記出荷集約コンテナへと異なる方向に前記梱包注文品を降ろすように動作可能な複数の異なる作業位置に再配向させる、請求項41に記載の注文履行システム。
【請求項43】
前記コンベアユニットは、前記直立軸線を中心として互いに90度刻みの少なくとも2つの作業位置間で回転可能である、請求項42に記載の注文履行システム。
【請求項44】
前記コンベアユニットは、前記梱包注文品を受け取り、前記梱包注文品を前記出荷集約コンテナに降ろすように動作可能なベルトコンベアを備える、請求項42に記載の注文履行システム。
【請求項45】
3次元格子構造体内に画定される保管場所の3次元配列と、
ロボット保管/取り出し車両の一団と、
保管ビンの供給部と、
少なくとも1つの梱包作業ステーションと、
保管ラックと、
出荷集約コンテナの供給部と、を備える注文履行システムであって、
前記3次元格子構造体は保管カラムを備え、
前記保管カラムの各々は、前記保管カラムの各々における前記保管場所にアクセス可能な直立シャフトと、前記保管カラムの各々に隣接する前記直立シャフトにアクセス可能な少なくとも1つの2次元格子状トラックレイアウトと、によって隣接し、
前記ロボット保管/取り出し車両の一団は、前記少なくとも1つの2次元格子状トラックレイアウト上を2次元で走行して前記保管カラムのいずれかに隣接する前記直立シャフトにアクセスすることによって、かつ前記保管カラムのいずれかに隣接する前記直立シャフトを通る上昇方向及び下降方向に3次元で走行することによって、前記3次元配列内でナビゲート可能であり、
前記保管ビンは、前記3次元格子構造体の前記保管場所における保管に適合する大きさ及び形状であり、
前記保管ビンは、前記ロボット保管/取り出し車両によって前記3次元格子構造体を通して運ばれるように構成され、
前記保管ビンのうち1つ以上に含まれる注文商品は、前記ロボット保管/取り出し車両によって前記少なくとも1つの梱包作業ステーションに差配されて、前記少なくとも1つの梱包作業ステーションにおいて前記注文商品が取り出されて梱包注文品に梱包され、
前記保管ラックは、前記3次元格子構造体の前記保管場所よりも大型の保管スペースを区切り、
前記出荷集約コンテナの供給部は、前記保管ビンよりも大容量であり、
前記出荷集約コンテナは、前記保管ラックの前記保管スペースに適合する大きさ及び形状であり、
前記保管ラックは、
(a)前記3次元格子構造体において使用されるものと同じ型及び相対間隔の組立トラックレール及び直立フレーム部材のナビゲーション構造体であって、前記少なくとも1つの2次元格子トラックレイアウトと、前記保管カラムと、前記保管カラムの各々に隣接する前記直立シャフトと、を形成するナビゲーション構造体と、
(b)前記組立トラックレール上を2次元で移動し、前記直立フレーム部材上を上昇方向及び下降方向に3次元で走行して、前記ナビゲーション構造体内でナビゲート可能であり、前記少なくとも1つの梱包作業ステーションから前記梱包注文品を受け取り、前記梱包注文品を前記ナビゲーション構造体を通して前記保管スペースに運び、前記梱包注文品を前記保管スペースに位置する前記出荷集約コンテナにまとめるように動作可能である、少なくとも1つの荷物取扱ロボット車両と、
の組み合わせによって差配される、注文履行システム。
【請求項46】
前記少なくとも1つの荷物取扱ロボット車両は、車輪付きシャーシと、前記車輪付きシャーシの上に取り付けられるコンベアユニットと、を備えるコンベア装備ロボット車両であり、
前記車輪付きシャーシは、前記ナビゲーション構造体を通して前記少なくとも1つの荷物取扱ロボット車両を運動させるように動作可能であり、
前記コンベアユニットは、前記梱包作業ステーションから前記梱包注文品を受け取り、前記梱包注文品を前記出荷集約コンテナに降ろすように動作可能である、請求項45に記載の注文履行システム。
【請求項47】
前記コンベアユニットは、前記車輪付きシャーシの上に回転可能に取り付けられて、直立軸線を中心として前記車輪付きシャーシに対して移動し、前記コンベアユニットを、前記少なくとも1つの荷物取扱ロボット車両から異なる方向に前記梱包注文品を降ろすように動作可能な複数の異なる作業位置に再配向させる、請求項46に記載の注文履行システム。
【請求項48】
前記コンベアユニットは、前記直立軸線を中心として互いに90度刻みの少なくとも2つの作業位置間で回転可能である、請求項47に記載の注文履行システム。
【請求項49】
前記コンベアユニットは、前記梱包注文品を受け取り、前記梱包注文品を前記出荷集約コンテナに降ろすように動作可能なベルトコンベアを備える、請求項47に記載の注文履行システム。
【請求項50】
施設において入庫商品を受け取るステップと、
1つ以上のデカンティング作業ステーションにおいて、前記入庫商品を最初に受け取った状態で未処理保管ビンに置き、前記未処理保管ビンをロボット保管/取り出し車両の自動保管/取り出しシステム(ASRS)構造体に誘導するステップと、
前記ロボット保管/取り出し車両を使用して、前記未処理保管ビンのうち1つ以上を1つ以上の処理作業ステーションに運ぶステップと、
前記1つ以上の処理作業ステーションからの販売可能な在庫商品を、前記ロボット保管/取り出し車両で運ばれる在庫保管ビンに入れて前記ASRS構造体に誘導するステップと、
前記ロボット保管/取り出し車両を使用して、前記在庫保管ビンのうち少なくとも1つをピッキング作業ステーションに運ぶステップと、
前記ピッキング作業ステーションからの少なくとも部分的に履行済みの注文品を、前記ロボット保管/取り出し車両のうち1つの前記ASRS構造体に誘導するステップと、を備える注文を履行する方法であって、
前記施設は、
前記ASRS構造体内の複数の保管レベルにおいて、前記ASRS構造体の2次元設置領域全体に分散する保管場所の3次元配列を備える前記ASRS構造体と、
前記ASRS構造体の1つ以上の業務レベルにおいて、前記ASRS構造体の前記2次元設置領域上を少なくとも2次元で走行することによって前記ASRS構造体内でナビゲート可能な前記ロボット保管/取り出し車両の一団と、を備え、
前記1つ以上の業務レベルを、前記保管レベルの上下に位置決めするステップと、
前記1つ以上の処理作業ステーションにおいて処理ステップを実行し、前記入庫商品を注文履行準備済みの前記販売可能な在庫商品に変えるステップと、
前記ピッキング作業ステーションにおいて、前記販売可能な在庫商品のうち1つ以上を前記在庫保管ビンからピッキングし、注文品ビンに移送し、前記少なくとも部分的に履行済みの注文品を形成するステップと、を備える方法。
【請求項51】
前記ロボット保管/取り出し車両のうち1つと、前記ロボット保管/取り出し車両のうち異なる1つと、のうち1つを使用することにより、
前記注文品ビンを梱包作業ステーションに運び、
前記梱包作業ステーションにおいて、前記少なくとも部分的に履行済みの注文品を含む完全な注文品を出荷梱包するステップをさらに備える請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記部分的に履行済みの注文品を前記梱包作業ステーションからラストマイル仕分け区域に移送するステップと、
前記ラストマイル仕分け区域において、ロボット荷物取扱車両を使用して、前記ASRS構造体と構成要素が一致するナビゲーション構造体上で前記ラストマイル仕分け区域を通して前記少なくとも部分的に履行済みの注文品を運ぶステップと、
前記ナビゲーション構造体上の前記ロボット荷物取扱車両のナビゲーションを通して、前記少なくとも部分的に履行済みの注文品を出荷集約コンテナに運び、前記少なくとも部分的に履行済みの注文品を前記出荷集約コンテナに預け入れて出荷待ちの他の注文品と集約するステップと、をさらに備える、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ラストマイル仕分け区域の前記ナビゲーション構造体は、前記ロボット保管/取り出し車両がナビゲート可能である前記ASRS構造体に動作可能に連結され、それによって、前記ロボット荷物
取扱車両は前記ASRS構造体内でナビゲート可能である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記施設は、前記ASRS構造体の前記1つ以上の業務レベルにおいて、前記ASRS構造体の前記2次元設置領域の外周に隣接して位置決めされる複数の異なる業務区域をさらに備え、
前記異なる業務区域の各々は、前記異なる業務区域のうち別の業務区域における1つ以上の作業ステーションとは異なるタスク又はタスクの組み合わせに対して構成されるタイプの前記1つ以上の作業ステーションを備え、
前記異なる業務区域の各々は、前記ロボット保管/取り出し車両によって、前記異なる業務区域の各々における前記保管ビンの移載、及び/又は前記異なる業務区域の各々を通る前記保管ビンの走行を受け取るように構成される、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記複数の異なる業務区域は、前記ASRS構造体の周りに連続的な配列で構成される、デカンティング/誘導区域と、処理区域と、ピッキング区域と、梱包区域と、ラストマイル仕分け区域と、を備え、
前記複数の異なる業務区域は、前記ASRS構造体に近接して位置決めされる、集約区域と、特大商品保管区域と、をさらに備える、請求項54に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許商標庁(USPTO)に出願された米国仮特許出願(出願番号第62/846,295号、出願日2019年5月10日、発明の名称「Space Efficient Order Fulfillment Facility Using ASRS Structure and Robotic Vehicles Thereof For Workflow Between Service Areas」)の優先権及び利益を主張する。上記参照された特許出願の明細書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施形態は、一般に、製造業者の在庫を保管し、保管する製造業者の在庫から顧客注文を履行する注文履行センターに関する。より詳細には、本発明の実施形態は、ロボット保管/取り出し車両の一団によってナビゲート可能なロボット保管/取り出しシステム(ASRS)構造体の周りに連続的な配列で構成される異なる業務区域間のワークフローのための空間効率の良い注文履行システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電子商取引(eコマース)によって、顧客が商品を購入する方法が変わった。電子商取引が著しい成長を続け、従来の実売型(brick and mortar)の小売慣行を追い抜くにつれて、多くの企業はオンライン市場における立ち位置を維持又は獲得し、この分野の有力企業と競争しなければならないという顕著な課題に直面している。そのため、製造業者は従来のサプライチェーン、流通及び在庫管理慣行から離れて、又はまたはこれらに補足して、顧客から直接受注して履行する方式(direct-to-customer)に再び焦点を当てることができるソリューションを必要としている。注文履行とは、注文を受け、処理し、最終顧客に配送するまでを含む、完全なエンド・ツー・エンドのプロセスである。時間、空間及び業務効率のあらゆる面で大量の在庫を取り扱える注文履行システムが求められている。
【0004】
従来、顧客注文の履行は直線的なワークフローにしたがっており、各履行プロセスは、コンベア方式の典型的な一方向の流れによって定める順序で行われる。一旦ワークフローが設計され、コンベアが倉庫の床にボルト留めされると、履行ワークフローを要件の変更に合わせて修正することは実質的に困難である。顧客サービスへの期待が急速に高まる中、小売業者は顧客体験に焦点を当てることで差別化を図っている。その結果、状況の変化に容易かつ柔軟に適応できる自動化システムが求められている。さらに、従来のシステムでは、各履行ワークフローは、固定コンベアベルトで接続した独立のエンティティで管理される別々の機能に分割されている。倉庫では、典型的には受け取り、誘導、付加価値業務、返品処理、注文品ピッキング、注文品梱包及びラストマイル仕分けのプロセスを含み、これらは典型的には直線コンベアで接続した独立の資材取扱設備で業務を行う別個のプロセスである。業務区域間のコンベアを必要とせず、1つの自動資材取扱システムで全倉庫プロセスを完了させることが求められている。さらにまた、従来のシステムでは、手動環境でピッキングした特大商品を、自動保管及び取り出しシステムからピッキングしたものとは別に梱包して出荷する必要がある。
【0005】
従来の履行手法の別の難点は、プロセス間を一方向コンベアに依存しているため、フロー速度が異なる場合にはバッファ保管部が必要なことである。バッファ保管部がないと、ある時点で上流側プロセスが下流側プロセスよりも速く物品を処理する場合、資材が急速に蓄積してシステムが停止する可能性がある。従来の自動化ソリューションでは、各プロセスに対してバッファ保管部を設けるのは複雑で費用がかかるため、慎重に初期設備及びワークフローを設計し、稼働中はプロセス間のフローが確実で無理のないよう慎重に管理して、問題を解決しようとする。その結果、一度確立されたワークフローは柔軟に変更できず、倉庫は不測の事態による中断に対して脆弱なままである。
【0006】
さらに、従来の手法では、物品を施設又は倉庫で受け取り、例えばバーコード読み取り、無線周波数識別(RFID)読み取り等で識別し、各プロセスでエンティティ間の論理的な管理の移送を完了させるが、これは従来の物流の別の欠点である。さらにまた、従来の自動化ソリューションでは、コンベアを何マイルも地面に固定し、コンベアシステム及び作業ステーション上の垂直空間の大部分を使用しないため、稼働全体に対する設置面積が比較的大きい。
【0007】
図1は、既知の在庫保管及び取扱設備を使用する従来の注文履行センター100(先行技術)の平面図である。従来の注文履行センターは、1つ以上の製造業者の在庫を受け取り、保管し、製造業者の顧客が発注した注文を履行し、顧客の返品を取り扱うこともある。
図1に示すように、注文履行センター100の施設レイアウトは、施設の入庫出荷ドックに隣接して位置する受取区域102を備える。入庫輸送業務車両101は、本明細書では総称して「入庫商品」と呼ぶ新しい在庫商品及び顧客返品を、受取区域102においてルーズケース又はパレットケースに下降させる。入庫商品のケースは、取込コンベア103上に置かれ、取込コンベア103によって付加価値業務(VAS)及び返品区域104に搬送される。VAS及び返品区域104のVASステーション105において、各製造業者の所定のVAS要件にしたがって、新しい在庫商品をラベル付けし、タグ付けし、再包装し、又は他の処理をする。また、このVAS及び返品区域104において、取込コンベア103は、顧客返品を複数の返品取扱ステーション106に差配する。返品取扱ステーション106において返品商品の状態を検査し、製造業者の在庫に返品して他の顧客に再販売することができるかを評価する。
【0008】
本明細書では総称して「処理済在庫」と呼ぶ、VAS処理済みの新しい在庫商品及び在庫に適した顧客返品は、VAS及び返品区域104からさらに下流側のデカンティング区域107に搬送される。デカンティング区域107において、処理済在庫の個々の商品が例えば保管ビン、トレイ、トート等の保管ユニットに入れられ、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)108に誘導される。ASRS108は、在庫を満たした保管ユニットの受け入れに適合する大きさ及び形状の保管場所の配列を備える。ASRS108は、ASRS108の保管場所に保管ユニットを預け入れ、保管ユニットを保管場所から取り出すように動作可能なロボット車両又は取扱設備の一団をさらに備える。従来のASRS108は、典型的には
図1に示すように通路ベースのレイアウトで配列され、通路はロボット車両によって横断可能であり、各通路の反対側にラック又は棚を有する。
【0009】
発注された注文に応答して、ロボット車両又は取扱設備は、ASRS108におけるそれぞれの保管場所から注文された在庫商品を含む保管ユニットを抽出し、保管ユニットをASRS108の外側に位置するバッファ/仕分けコンベア110に移送する。抽出された保管ユニットは、バッファ/仕分けコンベア110から施設のピッキング区域109における異なるピッキングステーションに向かう。ピッキング区域109は、典型的には、ASRS108から外向きに離散的に間隔を空けてASRS108の遠隔に位置する。ピッキング区域109のピッキングステーションにおいて、注文された在庫商品は、抽出された保管ユニットから注文された量をピッキングされ、バッファ/仕分けコンベア110に戻される。バッファ/仕分けコンベア110は、ピッキングした在庫商品をバッファ/仕分けコンベア110に沿って分散するそれぞれの注文品充填場所111に分配する。注文品充填場所111において、シュート又は作業者は、各注文の在庫商品をそれぞれの注文品コンテナ、例えばビン又はトートに置く。次いで注文品コンベア112は、注文品コンテナをさらに下流側の梱包区域113に搬送する。梱包区域113において、注文商品を出荷ラベルが貼られた1つ以上の出荷荷物に梱包する。次いで注文品コンベア112は、それぞれの出荷ラベルが貼られた出荷荷物をさらに下流側の出荷区域114に搬送する。出荷区域114において、梱包注文品は、例えば郵便番号ごとに地理的に類似した配送地域に向かう他の梱包注文品と一緒にパレット化され、同じ運送業者によるピックアップに対して指定される。出庫輸送業務車両115は、施設の出庫出荷ドックでパレット化された注文品をピックアップする。大きすぎてASRS108に合わない特大在庫及び任意の余分な予備在庫は、ASRS108から間隔を空けてASRS108の遠隔に位置する別個の予備及び特大商品保管区域116において、ASRS108の外側に保管される。
図1に示す注文履行センター100及び他の従来の注文履行センターのレイアウトは、広範囲の長距離コンベアシステム、ラック間の多数の通路、及び広く間隔を空けた不連続な業務区域に依存しており、したがって、空間、業務及び設備集約的になっている。
【0010】
それゆえ、異なる業務区域間のワークフローに対する空間効率の良い注文履行システム及び方法が長い間求められてきた。さらに、ASRSの周りに連続的な配列で構成される複数の異なる業務区域を備え、例えば誘導、デカンテーション、付加価値業務(VAS)及び返品処理、ピッキング、梱包、ラストマイル仕分け、集約等の注文履行センターの複数の機能を、協働するロボット保管/取り出し車両の一団及び複数の作業ステーションを使用して連続的に実行し、注文履行センターのワークフローを実行する、空間効率の良い注文履行システムが必要とされている。さらにまた、ASRSから延在し、異なる業務区域の専用作業ステーションに直接取り付けられる2次元の下部格子構造体を使用して、異なる業務区域における仕分けを容易にすることが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
この発明の概要は、詳細な説明でさらに開示される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この発明の概要は、特許請求の範囲に係る主題の範囲を決定することを意図するものではない。
【0012】
本発明の実施形態は、異なる業務区域間のワークフローに対する空間効率の良い注文履行システム及び方法に対する上記に記載した必要性に対処するものである。さらに、本発明の実施形態は、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)の周りに連続的な配列で構成される複数の異なる業務区域を備え、例えば誘導、デカンテーション、付加価値業務(VAS)及び返品処理、ピッキング、梱包、ラストマイル仕分け、集約等の注文履行センターの複数の機能を、協働するロボット保管/取り出し車両の一団及び複数の作業ステーションを使用して連続的に実行し、注文履行センターのワークフローを実行する、空間効率の良い注文履行システムに対する上記に記載した必要性に対処するものである。さらにまた、本発明の実施形態は、ASRSから延在し、異なる業務区域の専用作業ステーションに直接取り付けられる2次元の下部格子構造体を使用して、異なる業務区域における仕分けを容易にするという上記に記載した必要性に対処する。本発明の実施形態は、製造業者からケース内に保管された商品のパレットを入力として受け取り、例えば郵便番号等の場所別に仕分けされて運送業者にピックアップされるパレット上に顧客注文品を小包で出力する、単一の、空間効率の良い注文履行システムを提供する。本明細書に開示される注文履行システムは、保管ビンを異なる業務区域間で任意の順番及び順序で輸送することができ、これはコンベアを用いた直線的な輸送ではない。さらに、本明細書に開示される注文履行システムは、履行タスクを複数回実行することができる。さらにまた、本明細書に開示される注文履行システムは、異なる業務区域において実行される各プロセス間でASRS構造体における保管ビンをバッファすることができる。そしてさらにまた、ASRS構造体の周りの異なる業務区域の各々の間の連続性により、保管ビンの識別又は読み取りを必要とせずに、保管ビンを直接物理的に移送することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書に開示される注文履行システムは、ASRS構造体と、ロボット保管/取り出し車両(RSRV)の一団と、保管ビンの供給部と、複数の異なる業務区域と、を備える。ASRS構造体は、ASRS構造体内の複数の保管レベルにおいて、ASRS構造体の2次元設置領域全体に分散する保管場所の3次元配列を備える。RSRVは、少なくとも、ASRS構造体の1つ以上の業務レベルにおいてASRS構造体の2次元設置領域上を2次元で走行することにより、ASRS構造体内でナビゲート可能である。業務レベルは、保管レベルの上下に位置決めされる。保管ビンは、ASRS構造体の保管場所における保管に適合する大きさ及び形状である。保管ビンは、保管場所との間で保管ビンを移送する間、ASRS構造体内をRSRVによって運ばれるように構成される。一実施形態では、保管ビンは、異なる業務区域間を任意の順番で輸送可能である。一実施形態では、保管ビンは、異なる業務区域のうち第1の業務区域において受け取られて1つ以上のタスクを実行され、その後、ASRS構造体の保管場所に保管され、ASRS構造体の保管場所から取り出されて異なる業務区域のうち第2の業務区域に移送される。
【0014】
一実施形態では、ASRS構造体における保管場所は、保管カラム内に配列される。保管カラムの各々は、保管カラムの各々における保管場所にアクセス可能な直立シャフトによって隣接している。RSRVの一団は、ASRS構造体の2次元設置領域にわたる2次元の走行と、保管カラムの各々に隣接する直立シャフトを通る上昇方向及び下降方向の3次元の走行との両方によって、保管場所の3次元配列内でナビゲート可能であり、それによって、保管ビンは、保管場所と異なる業務区域のいずれかとの間でRSRVによって完全に移送される。
【0015】
異なる業務区域は、ASRS構造体の業務レベルにおいて、ASRS構造体の2次元設置領域の外周に隣接して位置決めされる。異なる業務区域の各々は、異なる業務区域のうち別の業務区域における作業ステーションとは異なるタスク又はタスクの組み合わせに対して構成されるタイプの1つ以上の作業ステーションを備える。異なる業務区域の各々は、RSRVによって、異なる業務区域の各々における保管ビンの下降、及び/又は異なる業務区域の各々を通る保管ビンの走行を受け取るように構成される。一実施形態では、異なる業務区域は、ASRS構造体の周りに連続的な配列で構成される。例えば、異なる業務区域は、ASRS構造体の周りに連続的な配列で構成される、デカンティング/誘導区域と、処理区域と、ピッキング区域と、梱包区域と、ラストマイル仕分け区域と、を備える。別の実施例では、異なる業務区域は、ASRS構造体に近接して位置決めされる集約区域と、特大商品保管区域と、を備える。一実施形態では、保管ビンは、異なる業務区域の連続的な配列により、保管ビンの識別なしに、ASRS構造体の保管場所と異なる業務区域間との間で移送されるように構成される。一実施形態では、異なる業務区域の各々は、保管ビンを複数回受け取り、タスクのうち1つ以上を実行するように構成される。
【0016】
一実施形態では、異なる業務区域はデカンティング区域を備え、デカンティング区域において、入庫商品は最初に受け取った未処理の状態で保管ビンの供給部から選択される未処理保管ビンに置かれ、未処理保管ビンはデカンティング区域からASRS構造体に誘導される。別の実施形態では、デカンティング区域はデカンティング及び誘導複合区域であり、デカンティング及び誘導複合区域において、未処理保管ビンは、異なる業務区域の任意の他の区域へ移送されることなく、任意の他の区域を通過又は通ることなくRSRVによってASRS構造体に直接誘導される。別の実施形態では、異なる業務区域は処理区域、例えば付加価値業務(VAS)区域及び/又は返品区域をさらに備え、ASRS構造体に誘導された未処理保管ビンは、RSRVによって処理区域に差配されて、未処理保管ビンに含まれる入庫商品が処理される。処理済商品は処理区域からASRS構造体内に戻されて、注文履行準備済みの販売可能な在庫としてASRS構造体に保管される。一実施形態では、処理区域において、処理済商品は、未処理保管ビンから、保管ビンの供給部から選択される在庫保管ビンに移送され、在庫保管ビンにおけるASRS構造体に戻される。
【0017】
一実施形態では、異なる業務区域はピッキング区域を備える。ASRS構造体内の在庫商品はRSRVによってピッキング区域に差配されて、注文品がピッキングされる。異なる業務区域は梱包区域をさらに備える。ピッキング区域において先にピッキングされた少なくとも部分的に履行済みの注文品は、RSRVによって梱包区域に差配されて、梱包区域において部分的に履行済みの注文品が梱包される。一実施形態では、異なる業務区域は、ASRS構造体における保管に対して実質的に大きい大型商品を保管する特大商品保管区域をさらに備える。異なる業務区域は集約区域をさらに備え、注文された大型商品は集約区域に移送されて、ピッキング区域においてピッキングされた在庫商品と集約される。一実施形態では、集約区域は、梱包区域に隣接する又は重り合うように位置決めされる。一実施形態では、梱包区域と重なり合う集約区域は、梱包区域の別の作業ステーションと共通の注文品ビンコンベアを共有するように構成される少なくとも1つの集約梱包作業ステーションを備える。
【0018】
一実施形態では、注文履行システムは、ASRS構造体内でナビゲート可能であるとともにASRS構造体から履行済みの注文商品を含む梱包注文品を受け取るように動作可能な少なくとも1つのロボット荷物取扱車両をさらに備える。異なる業務区域はラストマイル仕分け区域を備える。ラストマイル仕分け区域において、保管ビンよりも大容量の出荷集約コンテナは、ASRS構造体からアクセス可能な位置に保管される。ロボット荷物取扱車両は、ラストマイル仕分け区域において、梱包注文品を出荷集約コンテナにまとめるように動作可能である。一実施形態では、ラストマイル仕分け区域は、ASRS構造体の保管場所よりも大型の保管スペースを区切る保管ラックを備える。ラストマイル仕分け区域は、ASRS構造体の外周に沿って延びる保管ラックの少なくとも1つの列を備える。一実施形態では、ロボット荷物取扱車両は、車輪付きシャーシと、車輪付きシャーシの上に取り付けられるコンベアユニットと、を備えるコンベア装備ロボット車両である。車輪付きシャーシは、ASRS構造体を通してロボット荷物取扱車両を運動させるように動作可能である。コンベアユニットは、梱包注文品を受け取り、梱包注文品を出荷集約コンテナに降ろすように動作可能である。コンベアユニットは、車輪付きシャーシの上に回転可能に取り付けられて、直立軸線を中心として車輪付きシャーシに対して移動し、コンベアユニットを、ロボット荷物取扱車両から出荷集約コンテナへと異なる方向に梱包注文品を降ろすように動作可能な複数の異なる作業位置に再配向させる。一実施形態では、コンベアユニットは、梱包注文品を受け取り、梱包注文品を出荷集約コンテナに降ろすように動作可能なベルトコンベアを備える。一実施形態では、コンベアユニットは、直立軸線を中心として互いに90度刻みの少なくとも2つの作業位置間で回転可能である。
【0019】
一実施形態では、作業ステーションのうち少なくとも1つは、少なくとも1つの走行経路と、アクセススポットと、照明可能な標識のセットと、を備える。内部的に細分化された保管ビンは、作業ステーションを通る走行経路上を移動可能である。内部的に細分化された保管ビンの各々は、アクセススポットにおいて、作業ステーションで利用可能な人間の作業者又はロボット作業者に提示可能である。照明可能な標識は、アクセススポットの周りに配置される。照明可能な標識のうち少なくとも1つは、内部的に細分化された保管ビンの各々の各区画に隣接して位置決めされる。一実施形態では、照明可能な標識は、走行経路上のアクセススポットにおいて、走行経路の上にあるアクセスポートと境界を接するように構成される。別の実施形態では、照明可能な標識の各々は、内部的に細分化された保管ビンの1つ以上の区画への所定の量の商品の配置、又は1つ以上の区画からの所定の量の商品のピッキングを案内するように構成されるそれぞれの商品量表示部を伴う。
【0020】
一実施形態では、作業ステーションのうち少なくとも1つは少なくとも1つのドライブスルー走行経路を備え、RSRVは、少なくとも1つのドライブスルー走行経路上を、作業ステーションを通過して保管ビンを運ぶことができる。一実施形態では、作業ステーションのうち少なくとも1つは、2つの異なる保管ビンを受け取るように配列され、2つの異なる保管ビン間で作業ステーションにおいて受け取った商品が移送される。作業ステーションにおいて受け取った商品が移送される2つの異なる保管ビンを受け取るように配列される。一実施形態では、作業ステーションは、ドライブスルー走行経路を介して第1の保管ビンを受け取り、RSRVは、ドライブスルー走行経路上を、作業ステーションを通過して第1の保管ビンを運ぶ。別の実施形態では、作業ステーションは別個のコンベアベースの走行経路を介して第1の保管ビンを受け取り、先に誘導された保管ビンは、別個のコンベアベースの走行経路上を、RSRVとは独立して作業ステーションを通過する。一実施形態では、2つの異なる保管ビンは、互いに量が異なる内部区画を備える。
【0021】
一実施形態では、異なる業務区域のうち少なくとも1つは、ASRS構造体から外向きに延在する列に配列されるとともにビンコンベアによって差配される少なくとも1つの一連の作業ステーションを備える。ビンコンベアは、ASRS構造体から外向きに延在するとともに一連の作業ステーションを通過する出庫部を備える。ビンコンベアは、一連の分岐部をさらに備え、各分岐部は、ビンコンベアの出庫部から作業ステーションのそれぞれの1つに分岐して、受け取った保管ビンを作業ステーションに配送する。一実施形態では、少なくとも1つの一連の作業ステーションは、作業ステーションからASRS構造体に向かって戻るように梱包注文品を搬送するように動作可能な荷物コンベアによって差配される。
【0022】
一実施形態では、ASRS構造体の業務レベルのうち1つ以上は、保管レベルの下方に位置決めされる下位レベルを備える。異なる業務区域は、ASRS構造体の下位レベルに隣接して位置決めされ、下位レベルからRSRVが異なる業務区域に業務を提供する。一実施形態では、ASRS構造体は、異なる業務区域間の保管ビンに対する唯一の自律的に動作可能なビン移送リンクである。一実施形態では、本明細書に開示される注文履行システムには、異なる業務区域のいずれかの間を延びる区域間コンベアがない。
【0023】
一実施形態では、作業ステーションのうち少なくとも1つは、ピッキングポートと配置ポートとを備える。ピッキングポートは供給ビン経路の上にあり、1つ以上のピッキングされるべき商品を含む供給保管ビンは、作業ステーションを通して供給ビン経路上を移動可能であり、ピッキングポートの下のピッキングスポットにおいて供給ビン経路上に駐車するとき、供給保管ビンから1つ以上の商品をピッキングすることができる。配置ポートは受容ビン経路の上にあり、1つ以上の商品が宛てられる受容保管ビンが作業ステーションを通して受容ビン経路上を移動可能であり、配置ポートの下の配置スポットにおいて受容ビン経路上に駐車するとき、1つ以上の商品を受容保管ビンに配置することができる。一実施形態では、供給ビン経路及び受容ビン経路の第1の経路は、ASRS構造体208のトラックに接続される延長トラックであり、RSRV406の一団が第1の経路上でASRS構造体208をナビゲートし、それによって、ピッキングポート及び配置ポートのうち第1のポートが、延長トラックをナビゲートするRSRV406の1つによって差配され、供給保管ビン及び受容保管ビンのうち対応する一方をピッキングポート及び配置ポートのうち第1のポートに運ぶ。供給ビン経路及び受容ビン経路の第2の経路は、ASRS構造体のトラックから離れて延びるコンベアベースの経路を備え、トラックをナビゲートするRSRVのうち1つから供給保管ビン及び受容保管ビンのうち対応する一方を受け取る。一実施形態では、供給ビン経路及び受容ビン経路のうち少なくとも一方は、供給保管ビン及び受容保管ビンのうち対応する一方を、ASRS構造体のトラックから受け取り、かつASRS構造体のトラックに戻すように配列される。別の実施形態では、供給ビン経路及び受容ビン経路の両方が、供給保管ビン及び受容保管ビンの対応する一方を、ASRS構造体のトラックから受け取り、かつASRS構造体のトラックに戻すように配列される。ピッキングポート及び配置ポートのうち少なくとも一方は、照明可能な標識のうち少なくとも1つを供給保管ビン及び受容保管ビンのうちそれぞれ1つの各区画に隣接して配置するレイアウトを占める、照明可能な標識のセットによって境界付けられる。
【0024】
一実施形態では、本明細書に開示される注文履行システムは、RSRVの一団と動作可能に通信するコンピュータ制御システム(CCS)をさらに備える。CCSは、通信ネットワークに連結されるネットワークインターフェースと、ネットワークインターフェースに連結される少なくとも1つのプロセッサと、プロセッサに通信可能に連結される非一過性のコンピュータ可読記憶媒体と、を備える。非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラム指示を格納するように構成され、コンピュータプログラム指示がプロセッサによって実行されるとき、プロセッサにRSRVのうち1つ以上を作動させて、(a)ASRS構造体内で及び/又は異なる業務区域の各々を通してナビゲートすること、(b)ASRS構造体の保管場所から保管ビンを取り出すこと、(c)異なる業務区域において保管ビンを下降させること、(d)異なる業務区域から保管ビンをピックアップすること、並びに(e)ASRS構造体の保管場所に保管ビンを戻して保管すること、のうち1つ以上を実行させる。別の実施形態では、CCSは、異なる業務区域の各々の1つ以上の作業ステーションと動作可能に通信する。CCSは、人間の作業者又はロボット作業者に業務指示を送信して、保管ビンに含まれる商品に対する1つ以上の業務アクションを実行させるように構成される。
【0025】
一実施形態では、本明細書に開示される注文履行システムは、3次元格子構造体内に画定される保管場所の3次元配列と、ロボット車両の一団と、保管ビンの供給部と、を備える。3次元格子構造体は保管カラムを備え、保管カラムの各々は、保管カラムの各々における保管場所にアクセス可能な直立シャフトと、保管カラムの各々に隣接する直立シャフトにアクセス可能な少なくとも1つの2次元格子状トラックレイアウトと、によって隣接している。ロボット車両は、少なくとも1つの2次元格子状トラックレイアウト上を2次元で走行して保管カラムのいずれかに隣接する直立シャフトにアクセスすることによって、かつ保管カラムのいずれかに隣接する直立シャフトを通して上昇方向及び下降方向に3次元で走行することによって、3次元配列内でナビゲート可能である。一実施形態では、ロボット車両のうち少なくとも1つは、上記に開示されるように、車輪付きシャーシと、車輪付きシャーシの上に取り付けられるコンベアユニットと、を備えるコンベア装備ロボット車両である。保管ビンは、3次元格子構造体の保管場所における保管に適合する大きさ及び形状である。保管ビンは、ロボット車両のうち1つ以上によって3次元格子構造体を通して運ばれるように構成される。この実施形態では、本明細書に開示される注文履行システムは、少なくとも1つの梱包作業ステーションと、3次元格子構造体の保管場所よりも大型の保管スペースを区切る保管ラックと、保管ビンよりも大容量の出荷集約コンテナの供給部と、をさらに備える。保管ビンのうち1つ以上に含まれる注文商品は、ロボット車両によって梱包作業ステーションに差配されて、梱包作業ステーションにおいて注文商品が取り出されて梱包注文品に梱包される。出荷集約コンテナは、保管ラックの保管スペースに適合する大きさ及び形状である。保管ラックの保管スペースは、3次元格子構造体からアクセス可能な位置に画定される。ロボット車両のうち少なくとも1つは、梱包作業ステーションから梱包注文品を受け取り、梱包注文品を出荷集約コンテナにまとめるように動作可能である。
【0026】
一実施形態では、保管ラックは、ナビゲーション構造体と少なくとも1つの荷物取扱ロボット車両との組み合わせによって差配される。ナビゲーション構造体は、3次元格子構造体において使用されるものと同じ型及び相対間隔の組立トラックレール及び直立フレーム部材を備え、2次元格子状トラックレイアウトと、保管カラムと、保管カラムの各々に隣接する直立シャフトと、を形成する。荷物取扱ロボット車両は、組立トラックレール上を2次元で走行し、直立フレーム部材上を上昇方向及び下降方向に3次元で走行することによって、ナビゲーション構造体内でナビゲート可能である。荷物取扱ロボット車両は、少なくとも1つの梱包作業ステーションから梱包注文品を受け取り、梱包注文品をナビゲーション構造体を通して保管スペースに運び、梱包注文品を保管スペースに位置する出荷集約コンテナにまとめるように動作可能である。
【0027】
また、本明細書では、上記に開示された注文履行システムを使用して注文を履行する方法が開示される。本明細書に開示される方法では、上記に開示されるように、ASRS構造体及びRSRVの一団を備える施設において入庫商品を受け取る。1つ以上のデカンティング作業ステーションにおいて、入庫商品を最初に受け取った状態で未処理保管ビンに置き、未処理保管ビンをRSRV上のASRS構造体に誘導する。RSRVを使用して、未処理保管ビンのうち1つ以上を1つ以上の処理作業ステーションに運ぶ。処理作業ステーションにおいて処理ステップを実行し、入庫商品を注文履行準備済みの販売可能な在庫商品に変える。処理作業ステーションからの販売可能な在庫商品を、RSRVで運ばれる在庫保管ビンにおけるASRS構造体に誘導する。RSRVを使用して、在庫保管ビンのうち少なくとも1つをピッキング作業ステーションに運ぶ。ピッキング作業ステーションにおいて、販売可能な在庫商品のうち1つ以上を在庫保管ビンからピッキングし、注文品ビンに移送し、少なくとも部分的に履行済みの注文品を形成する。ピッキング作業ステーションからの部分的に履行済みの注文品を、RSRVのうち1つ上のASRS構造体に誘導する。一実施形態では、同じ又は異なるRSRVを使用して、注文品ビンを梱包作業ステーションに運び、梱包作業ステーションにおいて、部分的に履行済みの注文品を含む完全な注文品を出荷梱包する。
【0028】
一実施形態では、部分的に履行済みの注文品を梱包作業ステーションからラストマイル仕分け区域に移送する。ラストマイル仕分け区域において、RSRVと運動設計が一致するロボット荷物取扱車両を使用して、ASRS構造体と構成要素が一致するナビゲーション構造体上でラストマイル仕分け区域を通して部分的に履行済みの注文品を運ぶ。ナビゲーション構造体上でのロボット荷物取扱車両のナビゲーションを通して、部分的に履行済みの注文品を出荷集約コンテナに運び、出荷集約コンテナに預け入れて出荷待ちの他の注文品と集約する。ラストマイル仕分け区域のナビゲーション構造体は、RSRVがナビゲート可能であるASRS構造体に動作可能に連結され、それによって、ロボット荷物取扱車両はASRS構造体内でナビゲート可能である。
【0029】
本明細書に開示される注文履行システム及び方法は、例えば誘導、付加価値業務処理、返品の取り扱い、ピッキング、梱包、ラストマイル仕分け、集約等の様々な注文履行機能を実行するようにASRS構造体を採用すると共に、複数の作業ステーションの変形形態及びこれらの協働使用により、履行ワークフローを解決する。本明細書に開示される注文履行システム及び方法では、ASRS構造体の下部2次元(2D)格子を使用して異なる業務区域で仕分けを実施し、したがって、下部2D格子はすべての業務区域に業務を提供する。
【0030】
1つ以上の実施形態では、関連システムは、本明細書に開示される方法を実行する回路及び/又はプログラムを備える。回路及び/又はプログラミングは、システム設計者の設計選択に応じて、本明細書に開示される方法を実行するように構成されるハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの任意の組み合わせである。一実施形態では、システム設計者の設計選択に応じて、様々な構造体要素が採用される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】従来の注文履行センター(先行技術)の平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、空間効率の良い注文履行システムのレイアウトの上面平面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による、空間効率の良い注文履行システムの別のレイアウトの上面平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、空間効率の良い注文履行システムにおいて使用される3次元格子状保管構造体を備える自動保管及び取り出しシステム(ASRS)の上面等角図である。
【
図5A】本発明の一実施形態による、空間効率の良い注文履行システムのASRS構造体に採用されるロボット保管/取り出し車両及び適合する保管ビンの概略図である。
【
図5B】本発明の一実施形態による、
図5Aのロボット保管/取り出し車両及び適合する保管ビンの概略図であり、保管ビンと係合して保管ビンをロボット保管/取り出し車両に押し出す又はロボット保管/取り出し車両から引き出すためのロボット保管/取り出し車両のタレットアームの延長部を示す。
【
図6】本発明の一実施形態による、
図3に示す注文履行システムのレイアウトの上面等角図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システムのレイアウトの部分斜視図であり、注文履行システムのASRS構造体の第1の周辺側に位置決めされた受取区域及びデカンティング/誘導区域を示す。
【
図8A】本発明の一実施形態による、
図7に示すデカンティング/誘導区域において使用されるデカンティング/誘導作業ステーションの斜視図であり、ASRS構造体に面するデカンティング/誘導作業ステーションの内側を示す。
【
図8B】本発明の一実施形態による、
図8Aに示すデカンティング/誘導作業ステーションの斜視図であり、デカンティング/誘導作業ステーションの反対側の外面を示す。
【
図9】本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システムのレイアウトの部分斜視図であり、
図7に示すデカンティング/誘導区域からASRS構造体の第1の周辺側のさらに下方に位置決めされる付加価値業務(VAS)及び返品区域を示す。
【
図10A】本発明の一実施形態による、ASRS構造体の外側から見た、
図9に示すVAS及び返品区域において使用されるVAS/返品取扱作業ステーションの部分上面斜視図である。
【
図10B】本発明の一実施形態による、ASRS構造体の外側から見た、
図10Aに示すVAS/返品取扱作業ステーションの部分上面斜視図であり、ここでVAS/返品取扱作業ステーションの直立外壁及び上蓋パネルを透明層として示し、VAS/返品取扱作業ステーションの内部構成要素及びVAS/返品取扱作業ステーションを通る内部ワークフローを明らかにしている。
【
図10C】本発明の一実施形態による、ASRS構造体の内側から見た、
図10A~10Bに示すVAS/返品取扱作業ステーションの部分斜視図である。
【
図11】本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システムのレイアウトの部分斜視図であり、VAS及び返品区域からASRS構造体の角部を曲がって第2の周辺側に位置決めされるピッキング区域を示す。
【
図12】本発明の一実施形態による、ASRS構造体の外側から見た、
図11に示すピッキング区域において使用されるピッキング作業ステーションの部分上面斜視図である。
【
図13】本発明の一実施形態による、注文履行システムのVAS/返品取扱作業ステーション、ピッキング作業ステーション及び梱包作業ステーションにおいて使用可能な導光システムの上面平面図である。
【
図14】本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システムのレイアウトの部分斜視図であり、ピッキング区域からASRS構造体の角部を曲がって第3の周辺側に位置決めされる梱包区域を示す。
【
図15A】本発明の一実施形態による、
図14に示す梱包区域の別の角度及びより近い視点からの部分斜視図であり、梱包区域における梱包作業ステーションの多列レイアウトを示す。
【
図15B】本発明の一実施形態による、
図14に示す梱包区域の部分斜視図であり、下位レベルに位置決めされて注文品ビンを搬送する注文品ビンコンベアと、上位レベルに位置決めされて梱包注文品を搬送する荷物供給コンベアと、を備える2レベルコンベアユニットを示す。
【
図15C】本発明の一実施形態による、ASRS構造体に接続されて、ASRS構造体から梱包区域における梱包作業ステーションのそれぞれの列に注文品ビンを供給する注文品ビンコンベア巡回路を示す上面平面図である。
【
図15D】本発明の一実施形態による、梱包区域における梱包作業ステーションの列のうち1つの拡大部分斜視図である。
【
図15E】本発明の一実施形態による、梱包作業ステーションのうち2つの拡大部分斜視図である。
【
図16】本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システムのレイアウトの部分斜視図であり、ASRS構造体の第3の周辺側において、協働的に重なり合う関係で梱包区域に隣接する集約区域と、ASRS構造体の第3の周辺側のさらに下方に位置決めされるラストマイル仕分け区域と、を示す。
【
図17】本発明の一実施形態による、注文履行システムで使用するロボット荷物取扱車両の斜視図であり、ラストマイル仕分け区域におけるASRS構造体の近位に保管された出荷集約コンテナに梱包注文品を配送する。
【
図18】本発明の一実施形態による、注文履行システムのラストマイル仕分け区域の取込帯の拡大部分斜視図であり、梱包注文品が梱包区域から取込帯に搬送されて、
図17に示すロボット荷物取扱車両によってピックアップされる。
【
図19】本発明の一実施形態による拡大部分斜視図であり、
図17に示すロボット荷物取扱車両がラストマイル仕分け区域における出荷集約コンテナに梱包注文品を預け入れる様子を示す。
【
図20】本発明の一実施形態による、ラストマイル仕分け区域の代替通路ベース構成を示す上面等角図であり、ロボット荷物取扱車両がASRS構造体の外側に位置するラストマイル仕分け区域におけるナビゲーション構造体上の出荷集約コンテナにアクセスする。
【
図21】本発明の一実施形態による、注文履行システムを使用して注文を履行する方法を示すフローチャートである。
【
図22】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて誘導プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図23】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいてVASプロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図24A】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて返品取扱プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図24B】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて返品取扱プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図25】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいてピッキングプロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図26】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて梱包プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図27】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいてラストマイル仕分けプロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図28】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて特大商品ピッキングプロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図29A】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて特大商品梱包プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図29B】本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて特大商品梱包プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。
【
図30】本発明の一実施形態による、異なる業務区域間で注文履行ワークフローを実行する注文履行システムのアーキテクチャブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
前述の発明の概要、並びに以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより良く理解することができる。本発明の実施形態を説明するために、実施形態の例示的な構成を図面に示す。しかし、本発明の実施形態は、本明細書に開示される具体的な構造体、構成要素及び方法に限定されない。図面中の数字が参照する構造体、構成要素又は方法ステップの説明は、本明細書の後続の図面において同じ数字で示す構造体、構成要素又は方法ステップの説明に適用可能である。
【0033】
本発明の様々な態様は、構成要素及び/若しくは構造体のシステム、方法並びに/又は1つ以上のコンピュータ可読プログラムコードが格納される非一過性のコンピュータ可読記憶媒体として具現化することができる。したがって、本発明の様々な実施形態は、例えば電子部品、コンピューティング部品、回路、マイクロコード、ファームウェア、ソフトウェア等と共に機械的構造体を含むハードウェア及びソフトウェアの実施形態を組み合せる形態をとることができる。
【0034】
図2~
図3は、本発明の一実施形態による、空間効率の良い注文履行システム200の2つのレイアウトの上面平面図である。
図2の注文履行システム200のレイアウトは、
図1に示す従来の注文履行センター100と設置面積が等しい施設内に示されており、それによって、従来の注文履行センター100の空間集約的なコンベア多量型レイアウトと比較して、本明細書に開示される注文履行システム200の空間効率が向上していることを実証する。本明細書に開示される空間効率の良い注文履行システム200は、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208と、例えば
図4に示すロボット保管/取り出し車両(RSRV)406及び
図17に示すロボット荷物取扱車両1700等のロボット車両の一団と、例えば
図4に示す「保管ビン」と総称するビン、トレイ、トート等の保管ユニットの供給部403と、例えば
図2~3に示すような202、204、205、209、210、212、216及び217等の複数の異なる業務区域と、を備える。ASRS構造体208は、ASRS構造体208内の複数の保管レベルにおいて、ASRS構造体208の2次元設置領域全体に分散する保管場所の3次元配列を備える。ロボット車両、例えばRSRV406は、ASRS構造体208の1つ以上の業務レベルにおいて、ASRS構造体208の2次元設置領域上を少なくとも2次元で走行することによって、ASRS構造体208内でナビゲート可能である。業務レベルは、保管レベルの上下に位置決めされる。保管ビン403は、ASRS構造体208の保管場所における保管に適合する大きさ及び形状である。保管ビン403は、保管場所との間で保管ビン403を移送する間、ASRS構造体208内をRSRV406によって運ばれるように構成される。一実施形態では、保管ビン403は、異なる業務区域、例えば202、204、205、209、210、216及び217の間を任意の順番で輸送可能である。一実施形態では、保管ビン403は、異なる業務区域のうち第1の業務区域において受け取られて1つ以上のタスクを実行され、その後、ASRS構造体208の保管場所に保管され、ASRS構造体208の保管場所から取り出されて異なる業務区域のうち第2の業務区域に移送される。
【0035】
異なる業務区域は、ASRS構造体208の業務レベルにおいて、ASRS構造体208の2次元設置領域の外周に隣接して位置決めされる。異なる業務区域の各々は、異なる業務区域のうち別の業務区域における作業ステーションとは異なるタスク又はタスクの組み合わせに対して構成されるタイプの1つ以上の作業ステーションを備える。タスクは、例えば、デカンティング、付加価値業務(VAS)処理、返品の取り扱い、ピッキング、梱包、仕分け等、及び注文履行ワークフローを構成する他のタスクを含む。異なる業務区域の各々は、RSRV406によって、異なる業務区域の各々における保管ビン403の下降、及び/又は異なる業務区域の各々を通る保管ビン403の走行を受け取るように構成される。一実施形態では、異なる業務区域は、ASRS構造体208の周りに連続的な配列で構成される。例えば、異なる業務区域は、
図2~
図3に示すように、ASRS構造体208の周りに連続的な配列で構成される、デカンティング/誘導区域204と、VAS及び返品区域205のような処理区域と、ピッキング区域209と、梱包区域210と、ラストマイル仕分け区域216と、を備える。別の実施例では、異なる業務区域は、
図3に示すように、ASRS構造体208に近接して位置決めされる、集約区域217と、特大商品保管区域212と、を備える。一実施形態では、保管ビン403は、異なる業務区域の連続的な配列により、保管ビン403の識別なしに、ASRS構造体208の保管場所と異なる業務区域間との間で移送されるように構成される。一実施形態では、異なる業務区域の各々は、保管ビン403を複数回受け取り、タスクのうち1つ以上を実行するように構成される。
【0036】
図2~
図3に示すように、空間効率の良い注文履行システム200は、施設の入庫出荷ドック215aに隣接して位置する受取区域202を備える。受取区域202において、本明細書では総称して「入庫商品」と呼ぶ新しい在庫商品及び顧客返品を、入庫輸送業務又は運搬車両201によって下降させる。注文履行システム200のデカンティング区域204において、保管ビン403は、ASRS構造体208への保管に備えて満たされる。すなわち、デカンティング区域204において、入庫商品は、最初に受け取った未処理の状態で、保管ビン403の供給部から選択される未処理保管ビンに置かれる。未処理保管ビンは、デカンティング区域204からASRS構造体208に誘導される。別の実施形態では、デカンティング区域204は、デカンティング及び誘導複合区域である。デカンティング及び誘導複合区域において、未処理保管ビンは、異なる業務区域の任意の他の区域へ移送されることなく、任意の他の区域を通過又は通ることなく、RSRV406によってASRS構造体208に直接誘導される。入庫商品は処理区域、例えば、注文履行システム200のVAS及び返品区域205において処理される。すなわち、ASRS構造体208に誘導された未処理保管ビンは、RSRV406によってVAS及び返品区域205に差配されて、未処理保管ビンに含まれる入庫商品が処理される。処理済商品は、VAS及び返品区域205からASRS構造体208に戻されて、注文履行準備済みの販売可能な在庫としてASRS構造体208に保管される。一実施形態では、VAS及び返品区域205において、処理済商品は、未処理保管ビンから、保管ビン403の供給部から選択される在庫保管ビンに移送され、在庫保管ビンにおけるASRS構造体208に戻される。ASRS構造体208内の在庫商品は、RSRV406によって注文履行システム200のピッキング区域209に差配されて、注文品がピッキングされる。ピッキング区域209において、先にASRS構造体208に誘導された在庫保管ビンから注文品がピッキングされる。ピッキング区域209において先にピッキングされた少なくとも部分的に履行済みの注文品は、RSRV406によって梱包区域210に差配されて、梱包区域210において部分的に履行済みの注文品が梱包される。注文履行システム200の梱包区域210において、ピッキング区域209からの履行済みの注文品は、出荷に備えて梱包される。
【0037】
一実施形態では、ASRS構造体208における保管に対して実質的に大きい大型商品は、注文履行システム200の特大商品保管区域212に保管される。注文された大型商品は、
図3に示す集約区域217に移送されて、ピッキング区域209においてピッキングされた在庫商品と集約される。一実施形態では、集約区域217は、梱包区域210に隣接する又は重なり合うように位置決めされる。一実施形態では、梱包区域210と重なり合う集約区域217は、
図15A~15Bに示すように、梱包区域210の作業ステーションのうち別の作業ステーションと共通の注文品ビンコンベア248を共有するように構成される少なくとも1つの集約梱包作業ステーションを備える。ラストマイル仕分け区域216において、保管ビン403よりも大容量の、例えば、
図16及び
図19に示すゲイロードボックス又はゲイロード259のような出荷集約コンテナが、ASRS構造体208からアクセス可能な位置に保管される。
【0038】
一実施形態では、ASRS構造体208の業務レベルのうち1つ以上は、
図6~7、
図9、
図11及び
図14に示すように、保管レベルの下方に位置決めされる下位レベル400aを備える。異なる業務区域は、ASRS構造体208の下位レベル400aにおいてASRS構造体208に隣接して位置決めされる、下位レベル400aからRSRV406が異なる業務区域に業務を提供する。一実施形態では、ASRS構造体208は、異なる業務区域間の保管ビン403に対する唯一の自律的に動作可能なビン移送リンクである。一実施形態では、本明細書に開示される注文履行システム200には、異なる業務区域のいずれかの間を延びる区域間コンベアがない。
【0039】
注文履行システム200の異なる業務区域を通るワークフローの順番、及びワークフローを実行するために使用される設備により、システムレイアウト全体の空間的設置領域、注文履行システム200の設備及び資材要件、並びに潜在的なワークフロースループット速度に関して、新たな効率を見出す。受取区域202と、受取区域202からの入庫商品を運ぶ取込コンベア203は、VAS及び返品区域205に直接リンクしていない。代わりに、受取区域202からの取込コンベア203は、入庫商品を直接デカンティング区域204に供給し、それによって、入庫商品は、最初にVAS処理又は返品処理を受けることなく、最初に受け取った状態でASRS適合保管ビン403に直接かつ直ちにデカンティングされる。したがって、デカンティングステーション204において満たされた保管ビン403は、到着したばかりで未処理の入庫商品を含み、したがって、本明細書では「未処理保管ビン」と呼ぶ。さらに、デカンティング区域204は、ASRS構造体208からコンベアリンク間隔を空けて離散的に位置するのではなく、ASRS構造体208にすぐ隣接して位置決めされて、ASRS構造体208のRSRV406の一団が直接デカンティング区域の業務をすることができる。したがって、入庫商品を積んだ未処理保管ビンは、中間コンベア上を長距離走行することなく、ASRS構造体208に直接誘導される。したがって、デカンティング区域204は、本明細書ではデカンティング/誘導複合区域204とも呼ぶ。
【0040】
施設を通るワークフローの観点から、VAS及び返品区域205は、デカンティング区域204の下流側に位置決めされてASRS構造体208にすぐ隣接して存在し、上流側のデカンティング区域204から延びるコンベアではなく、未処理保管ビンをASRS構造体208に誘導したRSRVの406の同じ一団によって未処理の入庫商品を差配する。VAS及び返品区域205において、未処理の入庫商品は、RSRV406によってVAS及び返品区域205に配送された未処理保管ビンから取り出され、VAS処理又は返品検査処理を受け、次いで、RSRV406の同じ一団によってASRS構造体208に誘導される異なる保管ビンに置かれる。処理済商品が置かれる後者の保管ビンは、本明細書において「在庫保管ビン」と呼び、これらの保管ビンを未処理保管ビンから区別する。これは、これらの在庫保管ビンに置かれる商品が、商品に対して行われるVAS処理又は返品検査アクション又はタスクを通して、販売可能な在庫準備済み製品として確認され、又は販売可能な在庫準備済み製品に変わるためである。一実施形態では、在庫保管ビンは、ASRS構造体208に保管されてから任意の下流側動作が行われ、それによって、異なる業務区域において各プロセスを行う間に、ASRS構造体208における保管ビン403のバッファを実施する。
図2に示すように、VAS及び返品区域205は、VAS作業ステーション206と、別個の返品取扱作業ステーション207と、を備え、これらは、一実施形態では、ASRS構造体208の異なる周辺側、例えば208a及び208bにそれぞれ位置決めされる。
図3に示すように、VAS及び返品区域205は、ASRS構造体208の例えば208aのような単一の周辺側に単一型のVAS/返品取扱作業ステーション206/207を備え、各VAS/返品取扱作業ステーション206/207は、新しい在庫商品のVAS処理又は顧客返品の返品検査処理のいずれかに使用可能である。
【0041】
注文履行システム200のデカンティング/誘導区域204とVAS及び返品区域205と同様に、ピッキング区域209もASRS構造体208にすぐ隣接して位置決めされ、上流側のVAS及び返品区域205から延びるコンベアではなく、ASRS構造体208のRSRV406の同じ一団によって処理済保管ビンを差配する。注文履行システム200のピッキング区域209は、
図11~
図12に示すように、1つ以上のピッキング作業ステーション240を備える。ピッキング区域209のピッキング作業ステーション240において、在庫保管ビンからピッキングした注文商品は、ASRS構造体208のRSRV406によってピッキング作業ステーション240に配送され、未処理保管ビン及び在庫保管ビンと同様にASRS構造体208の保管場所に対して適合する形状及び大きさの「注文品ビン」に置かれて、その保管場所に注文品ビンを保管することができる。したがって、一実施形態では、完全に又は部分的に履行済みの注文品は、例えばより高い優先度でランク付けされる他の注文品を優先して、注文品の梱包及び出荷に先立って、ASRS構造体208に一時的に保管される。ピッキング区域209からの注文品ビンは、ピッキング区域209とASRS構造体208間が直接隣接していることにより、ASRS構造体208のRSRV406によって直接ピックアップされる。
【0042】
図2に示すような実施形態では、注文履行システム200は、別個の梱包区域の代わりに、ピッキング及び梱包複合区域209/210を備え、したがって、ピッキング区域209のピッキング作業ステーション240において注文品が梱包される。
図2に示すピッキング及び梱包複合区域209/210から、梱包注文品が出庫コンベア211によって施設の出庫出荷ドック215bに隣接する出荷区域213に搬送される。出荷区域213において、一実施形態では、梱包注文品は、例えば郵便番号にしたがって配送地域ごとに注文品をグループ化する手動のラストマイル仕分けプロセスによって複数注文品パレットに集約される。注文品は、手動で、又は一実施形態では自動パレット化設備を用いてパレット化され、その後、複数注文品パレットは、出荷輸送業務又は運搬車両214によってピックアップされる。一実施形態では、注文履行システム200の特大商品保管区域212は、ピッキング及び梱包複合区域209/210と出荷区域213との間にレイアウトされるパレットラックの通路212aを備え、特大商品をカート又はパレット上に手動でピッキングして出荷区域213に移送する。次いで、ピッキング及び梱包区域209/210においてピッキング及び梱包した同じ注文のより小型の商品が、特大商品保管区域212の周りを巻く出庫コンベア211上の出荷区域213に到着すると、特大商品とより小型の商品とを集約することができる。
【0043】
図2に示すような実施形態では、デカンティング/誘導区域204とVAS及び返品区域205のVAS作業ステーション206は、施設の受取区域202に面するASRS構造体208の第1の周辺側208aに位置決めされる。VAS及び返品区域205の返品取扱作業ステーション207は、ASRS構造体の第2の周辺側208bに隣接して位置決めされ、ピッキング及び梱包複合区域209/210は、第1の周辺側208aの反対側に存在し、かつ出荷区域213に面するASRS構造体の第3の周辺側208cに隣接して位置決めされる。したがって、様々な実施形態では、ASRS構造体208の異なる周辺側208a、208b、208c及び208dは、作業ステーションの異なる組み合わせによって各々占有され、ASRS構造体208の各周辺側は、他の周辺側で行われるものとは異なる1つの特定の業務タスク又は特定の業務タスクの組み合わせに専用化される。
【0044】
単一の業務区域209/210の作業ステーションにおいてピッキング及び梱包動作とタスクを組み合わせる代わりに、一実施形態では、注文履行システム200は、
図3に示すように、ピッキング区域209とは別個の専用の梱包区域210を備える。デカンティング/誘導区域204、VAS及び返品区域205並びにピッキング区域209と同様に、梱包区域210も、
図3に示すように、ASRS構造体208にすぐ隣接して位置決めされ、満杯の注文品ビンは、上流側のピッキング区域209から延びるコンベアではなく、ASRS構造体208のRSRV406の同じ一団によって差配される。注文履行システム200の梱包区域210は、
図14~
図15Eに示すように、1つ以上の梱包作業ステーション245を備える。保管ビン403のうち1つ以上に含まれる注文商品、すなわち注文品ビンは、RSRV406によって梱包作業ステーション245に差配されて、梱包作業ステーション245において注文商品が取り出されて梱包注文品に梱包される。すなわち、梱包区域210の梱包作業ステーション245において、部分的に又は完全に履行済みの注文品は、ASRS構造体208のRSRV406によって梱包作業ステーション245に配送される注文品ビンからピッキングされ、運送業者の顧客配送用の適切な出荷ラベルが貼られた出荷箱又は他の出荷準備済み梱包内に置かれる。
【0045】
デカンティング/誘導区域204、VAS及び返品区域205、ピッキング区域209並びに梱包区域210をASRS構造体208にすぐ隣接して配置することにより、これらの異なる業務区域の作業ステーション間での業務が、ASRS構造体208の保管場所間で保管ビン403の預け入れ及び取り出しを担当する同じRSRV406によって完全に行われる。ASRS構造体208のこれらのRSRV406は、いくつかの異なる機能を実行し、施設の注文履行システム200の異なる業務区域間を延びる長距離コンベアが必要性なくなり、それにより、空間効率及び資材効率の両方が良くなる。また、注文履行システム200における各RSRV406は、任意の業務区域204又は205又は209又は210との間で保管ビン403を搬送するように動作可能であるので、RSRV406の一団の部分的なサブセットの動作不良によっても、RSRV406のいくつかが動作可能なままである限り、注文履行システム200のすべてのスループット能力を停止させない。それによって、
図1に示すような従来の注文履行センター100のコンベア多量型レイアウトにおいてコンベアを修理するときにシステム全体のダウンタイムによって費用がかかるが、これを回避するという点で動作上の冗長性も達成される。上記の効率は、これらの異なる業務区域の一部がASRS構造体208にすぐ隣接して位置し、ASRS構造体208のRSRV406の一団が直接業務を行うというシナリオにおいても達成される。
【0046】
一実施形態では、異なる業務区域のうち1つ以上における作業ステーションのうち少なくとも1つは、
図10A~
図10C、
図12及び
図15A~
図15Eの詳細な説明に開示されるように、少なくとも1つの走行経路と、アクセススポットと、照明可能な標識のセットと、を備える。内部的に細分化された保管ビンは、作業ステーションを通る走行経路上を移動可能である。内部的に細分化された保管ビンの各々は、アクセススポットにおいて、作業ステーションにおいて利用可能な人間の作業者又はロボット作業者に提示可能である。照明可能な標識は、アクセススポットの周りに配置される。照明可能な標識のうち少なくとも1つは、内部的に細分化された保管ビンの各々の各区画に隣接して位置決めされる。一実施形態では、照明可能な標識は、走行経路上のアクセススポットにおいて、走行経路の上にあるアクセスポートと境界を接するように構成される。別の実施形態では、照明可能な標識の各々は、内部的に細分化された保管ビンの1つ以上の区画への所定の量の商品の配置、又は1つ以上の区画からの所定の量の商品のピッキングを案内するように構成されるそれぞれの商品量表示部を伴う。
【0047】
一実施形態では、作業ステーションのうち少なくとも1つは、少なくとも1つのドライブスルー走行経路を備え、RSRV406は、少なくとも1つのドライブスルー走行経路上を、作業ステーションを通過して保管ビンを運ぶことができる。一実施形態では、作業ステーションのうち少なくとも1つは、2つの異なる保管ビンを受け取るように配列され、2つの異なる保管ビン間で作業ステーションにおいて受け取った商品が移送される。一実施形態では、作業ステーションは、ドライブスルー走行経路を介して第1の保管ビンを受け取り、RSRVは、ドライブスルー走行経路上を、作業ステーションを通過して第1の保管ビンを運ぶ。別の実施形態では、作業ステーションは、別個のコンベアベースの走行経路を介して第1の保管ビンを受け取り、先に誘導された保管ビンは、別個のコンベアベースの走行経路上を、RSRV406とは独立して作業ステーションを通過する。一実施形態では、2つの異なる保管ビンは、互いに量が異なる内部区画を備える。
【0048】
一実施形態では、異なる業務区域のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの一連の作業ステーションを備える。少なくとも1つの一連の作業ステーションは、ASRS構造体208から外向きに延在する列に配列され、
図14及び
図15A~
図15Eの詳細な説明に開示されるように、ビンコンベアによって差配される。ビンコンベアは出庫部を備える。出庫部はASRS構造体208から外向きに延び、一連の作業ステーションを通過する。ビンコンベアは、一連の分岐部をさらに備え、各分岐部は、ビンコンベアの出庫部から作業ステーションのそれぞれ1つに分岐し、受け取った保管ビンを作業ステーションに配送する。一実施形態では、少なくとも1つの一連の作業ステーションは、作業ステーションからASRS構造体208に向かって戻るように梱包注文品を搬送するように動作可能な荷物コンベアによって差配される。
【0049】
一実施形態では、作業ステーションのうち少なくとも1つは、
図10A~
図10C及び
図12の詳細な説明に開示されるように、ピッキングポートと配置ポートとを備える。ピッキングポートは供給ビン経路の上にあり、1つ以上のピッキングされるべき商品を含む供給保管ビンは、作業ステーションを通して供給ビン経路上を移動可能であり、ピッキングポートの下のピッキングスポットにおいて供給ビン経路上に駐車するとき、供給保管ビンから1つ以上の商品をピッキングすることができる。配置ポートは受容ビン経路の上にあり、1つ以上の商品が宛てられる受容保管ビンが作業ステーションを通して受容ビン経路上を移動可能であり、配置ポートの下の配置スポットにおいて受容ビン経路上に駐車するとき、1つ以上の商品を受容保管ビンに配置することができる。一実施形態では、供給ビン経路及び受容ビン経路の第1の経路は、ASRS構造体208のトラックに接続される延長トラックであり、RSRV406の一団が第1の経路上でASRS構造体208をナビゲートし、それによって、ピッキングポート及び配置ポートのうち第1のポートが、延長トラックをナビゲートするRSRV406の1つによって差配されて、供給保管ビン及び受容保管ビンのうち対応する一方をピッキングポート及び配置ポートのうち第1のポートに運ぶ。供給ビン経路及び受容ビン経路のうち第2の経路は、ASRS構造体208のトラックから離れて延びるコンベアベースの経路を備え、トラックをナビゲートするRSRV406の1つから供給保管ビン及び受容保管ビンのうち対応する一方を受け取る。一実施形態では、供給ビン経路及び受容ビン経路のうち少なくとも一方は、供給保管ビン及び受容保管ビンの対応する一方を、ASRS構造体208のトラックから受け取り、かつASRS構造体208のトラックに戻すように配列される。別の実施形態では、供給ビン経路及び受容ビン経路の両方が、供給保管ビン及び受容保管ビンの対応する一方を、ASRS構造体208のトラックから受け取り、かつASRS構造体208のトラックに戻すように配列される。ピッキングポート及び配置ポートのうち少なくとも一方は、照明可能な標識のうち少なくとも1つを供給保管ビン及び受容保管ビンのうちそれぞれ1つの各区画に隣接して配置するレイアウトを占める、照明可能な標識のセットによって境界付けられる。
【0050】
図3に示すような実施形態では、注文履行システム200のレイアウトは、ラストマイル仕分け区域216をさらに備える。ラストマイル仕分け区域216は、ASRS構造体208に統合される又は隣接して追加される保管ラックを備え、例えばパレットボックス又はゲイロード等のより大きな複数注文品出荷集約コンテナを保管し、このコンテナには梱包区域210からの梱包注文品が自動的にまとめられて、施設の出庫出荷ドック215bにおいて出荷輸送業務又は運搬車両214が後に集約ピックアップする。ラストマイル仕分け区域216の保管ラックは、ASRS構造体208の保管場所よりも大型の保管スペースを区切る。例えば、ラストマイル仕分け区域216は、ASRS構造体208の外周に沿って延びる保管ラックの少なくとも1つの列を備える。出荷集約コンテナは、保管ラックの保管スペースに適合する大きさ及び形状である。一実施形態では、保管ラックの保管スペースは、3次元格子構造体からアクセス可能な位置に画定され、ロボット車両のうち少なくとも1つは、少なくとも1つの梱包作業ステーションから梱包注文品を受け取り、梱包注文品を出荷集約コンテナにまとめるように動作可能である。したがって、ラストマイル仕分け区域216において、完了した注文品が集約複数注文品パレットに自律的にパレット化されるので、ラストマイル仕分け区域216は、
図1及び
図2に示すように、従来の出荷区域114及び213の要件を代替又は低減する。
【0051】
一実施形態では、保管ラックは、
図19~
図20の詳細な説明に開示されるように、ナビゲーション構造体と少なくとも1つの荷物取扱ロボット車両との組み合わせによって差配される。ナビゲーション構造体は、3次元格子構造体において使用されるものと同じ型及び相対間隔の組立トラックレール及び直立フレーム部材を備え、2次元格子状トラックレイアウトと、保管カラムと、保管カラムの各々に隣接する直立シャフトと、を形成する。荷物取扱ロボット車両は、組立トラックレール上を2次元で走行することにより、かつ直立フレーム部材上を上昇方向及び下降方向に3次元で走行することにより、ナビゲーション構造体内でナビゲート可能である。荷物取扱ロボット車両は、少なくとも1つの梱包作業ステーションから梱包注文品を受け取り、梱包注文品をナビゲーション構造体を通して保管スペースに運び、梱包注文品を保管スペースに位置する出荷集約コンテナにまとめるように動作可能である。
【0052】
以下により詳細に開示されるように、ラストマイル仕分け区域216は、ASRS構造体208内で使用されるものと同じ型のトラック構造体を採用し、その結果、梱包区域210から梱包注文品を受け取り、梱包注文品をより大きな複数注文品出荷集約コンテナに移送するように動作可能な
図17に示すようなロボット荷物取扱車両1700は、ASRS構造体208のRSRV406と同じ運動構成を共有することができる。様々な実施形態では、ASRS構造体208自体により、より大きな複数注文品出荷集約コンテナへアクセスすることができ、それによって、ASRS構造体208における保管ビン403を取り扱うように動作可能なRSRV406と、梱包注文品をより大きな複数注文品出荷集約コンテナに移送するように動作可能なロボット荷物取扱車両1700は、両者ともに同じASRS構造体208内でこれらのタスクを互いにナビゲートする。注文履行システム200のこれらの異なる業務区域間でこのようにリソース共有することは、施設の空間的及び物質的な効率に寄与する。
【0053】
図3に示すように、注文履行システム200のデカンティング/誘導区域204とVAS及び返品区域205は、施設の受取区域202及び隣接する入庫出荷ドック215aに面するASRS構造体208の第1の周辺側208aに位置決めされる。ピッキング区域209は、ASRS構造体208の第2の周辺側208bに隣接して位置決めされ、梱包区域210及びラストマイル仕分け区域216は、第1の周辺側208aの反対側にあり、施設の出庫出荷ドック215bに面するASRS構造体208の第3の周辺側208cに位置決めされる。したがって、様々な実施形態では、ASRS構造体208の異なる周辺側208a、208b、208c及び208dは、作業ステーションの異なる組み合わせによって各々占有され、ASRS構造体208の各周辺側は、他の周辺側で行われるものとは異なる1つの特定の業務タスク又は特定の業務タスクの組み合わせに専用化される。さらにまた、
図3に示す特大商品保管区域212は、ASRS構造体208の第3の周辺側208cにおいてラストマイル仕分け区域216のすぐ外側の施設の角部を占有し、この角部から、ピッキング区域209が存在する第2の周辺側208bの反対側にあるASRS構造体208の第4の残りの周辺側208dに沿って続く。
図3に示すような実施形態では、集約区域217は、ASRS構造体208の第3周辺側208cにおいて、特大品保管区域212と梱包区域210との間に位置決めされる。顧客が注文した大型商品は、特大商品保管区域212のパレットラック又は他の組織構造体から引き出され、ピッキング区域209においてASRS構造体208から引き出された同じ注文の小型商品と集約され、そこから注文品ビンにおける集約区域217に移送される。
【0054】
一実施形態では、本明細書に開示される注文履行システム200のASRS構造体208は、本出願人の米国特許出願番号第15/568,646号、第16/374,123号、第16/374,143号及び第16/354,539号に開示されるタイプの3次元格子状保管構造体と、関連するRSRV及び保管ビンと、を備え、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態による、
図2~
図3に示す空間効率の良い注文履行システム200において使用される3次元(3D)格子状保管構造体400を備える自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の上面等角図である。3D格子状保管構造体400の小型な実施例を
図4に示す。
図4に示すように、格子状保管構造体400は、2次元格子状トラックレイアウト、すなわち、水平面より上方に一致する高さに位置決めされる格子状上部トラックレイアウト401と、接地面レベルにより近い下方の水平面に位置する整列した格子状下部トラックレイアウト402と、を備える。整列した格子状上部トラックレイアウト401と格子状下部トラックレイアウト402との間には保管場所の3次元配列があり、各配列においてそれぞれの保管ビン403を保持することができる。保管場所は、垂直保管カラム404内に配列され、垂直保管カラムでは、等しい正方形の設置領域の保管場所が互いに整列している。各垂直保管カラム404は、垂直直立シャフト405に隣接し、垂直直立シャフト405から垂直保管カラム404の保管場所にアクセス可能である。保管場所の各々に隣接する垂直直立シャフト405は、格子状下部トラックレイアウト402からアクセス可能である。ロボット車両の一団、例えばロボット保管/取り出し車両(RSRV)406は、少なくとも1つの2次元格子状トラックレイアウト、例えば格子状下部トラックレイアウト402上を2次元で走行して保管カラム404のいずれかに隣接する垂直直立シャフト405にアクセスすることによって、かつ保管カラム404のいずれかに隣接する垂直直立シャフト405を通して上昇方向及び下降方向に3次元で走行することによって、保管場所の3次元配列内でナビゲート可能である。RSRV406の一団は、各トラックレイアウト401及び402を2次元で水平に横断し、開いた直立シャフト405を介して2つのトラックレイアウト401及び402の間を3次元で垂直に横断するように構成される。
【0056】
各トラックレイアウト401及び402は、それぞれの水平面のX方向に位置するX方向レールのセット407と、同じ水平面のY方向においてX方向レール407と直交するY方向レールのセット408と、を備える。交差するX方向レール407及びY方向レール408は、3D格子状保管構造体400の水平基準格子を画定し、各水平格子行はX方向レール407の隣接対間で区切られ、かつ各水平格子列はY方向レール408の隣接対間で区切られる。水平格子列のうち1つの列と水平格子行のうち1つの行との間の各交点は、それぞれの垂直保管カラム404又はそれぞれの直立シャフト405の位置を表す。すなわち、各垂直保管カラム404及び各直立シャフト405は、X方向レール407のうち2つとY方向レール408のうち2つとの間に挟まれるそれぞれの区域において、水平基準格子のそれぞれのデカルト座標点に存在する。本明細書では、トラックレイアウト401又はトラックレイアウト402のいずれかにおける4つのレール間に挟まれるこのような各区域を、トラックレイアウト401又はトラックレイアウト402のそれぞれの「スポット」と呼ぶ。3D格子状保管構造体400における各保管場所の3次元アドレス指定は、所与の保管場所が存在するそれぞれの垂直保管カラム404内の所与の垂直レベルによって完結する。すなわち、各保管場所の3次元アドレスは、3D格子状保管構造体400における保管場所の水平格子行、水平格子列及び垂直保管カラムレベルによって画定される。
【0057】
それぞれの直立フレーム部材409は、X方向レール407とY方向レール408との間の各交点において、格子状上部トラックレイアウト401と格子状下部トラックレイアウト402との間に垂直に架かり、それによってトラックレール407及びトラックレール408と協働して3D格子状保管構造体400のフレームワークを画定し、保管ビン403の3D配列をこのフレームワーク内に含み、編成する。結果として、3D格子状保管構造体400の各直立シャフト405は、その4つの角部において直立シャフト405の全高に架かる4つの垂直フレーム部材409を備える。各垂直フレーム部材409は、垂直フレーム部材409の2つの側面に、3D格子状保管構造体400の垂直Z方向に連続して配列されるそれぞれのラック歯のセットを備える。したがって、各直立シャフト405は、直立シャフト405の各角部に2セットのラック歯を有し、合計8セットのラック歯を備え、これらのラック歯は、
図5A~
図5Bに示すRSRV406の各々の8つのピニオン車輪411a、411bと協働することにより、RSRV406が3D格子状保管構造体400の直立シャフト405を通して格子状上部トラックレイアウト401及び下部トラックレイアウト402並びにその間を上昇方向及び下降方向に横断することを可能にする。
【0058】
図5Aは、本発明の一実施形態による、
図2~
図3に示す空間効率の良い注文履行システム200の自動保管/取り出しシステム(ASRS)構造体208に採用されるロボット保管/取り出し車両(RSRV)406と、適合する保管ビン403と、を示す。
図5A~
図5Bに示すタイプのRSRV406の一団は、3D格子状保管構造体400の2次元設置領域上を2次元で走行し、
図4に示す保管カラム404の各々に隣接する直立シャフト405を通して上昇方向及び下降方向に走行することの両方によって、
図4に示す3D格子状保管構造体400における保管場所の3次元(3D)配列内でナビゲート可能であり、それによって、保管場所と注文履行システム200の異なる業務区域のいずれかとの間で保管ビン403がRSRV406によって完全に移送される。各RSRV406は、円形搬送車輪411a及び歯付きピニオン車輪411bを備える車輪付きフレーム又はシャーシ410を備える。搬送車輪411aは、RSRV406がトラックライドモードで格子状上部トラックレイアウト401及び格子状下部トラックレイアウト402上を搬送するように構成される。歯付きピニオン車輪411bは搬送車輪411aの内側に位置決めされ、RSRV406がシャフト横断モードでラック装備シャフトを通して上昇方向及び下降方向に横断する。各歯付きピニオン車輪411b及びそれぞれの搬送車輪411aは、組み合わせた単一車輪ユニットの一部であり、その全体又は少なくとも搬送車輪411aは、トラックレイアウト401又はトラックレイアウト402のいずれかにおけるトラックライディングモードでの搬送車輪411aの使用に対してはRSRV406から機外方向に水平に伸展可能であり、歯付きピニオン車輪411bが直立シャフト405の垂直フレーム部材409のラック歯と係合するシャフト横断モードでの歯付きピニオン車輪411bの使用に対してはRSRV406の内側方向に水平に格納可能である。
【0059】
4つのX方向車輪ユニットのセットがRSRV406の両側面にペアで配列され、3D格子状保管構造体400のトラックレイアウト401又はトラックレイアウト402のいずれかのX方向レール407上でRSRV406を駆動する。4つのY方向車輪ユニットのセットがRSRV406の他の両側面にペアで配列され、トラックレイアウト401又はトラックレイアウト402のいずれかのY方向レール408上でRSRV406を駆動する。1セットの車輪ユニットは他の1セットの車輪ユニットに対して昇降可能であり、RSRV406をX方向走行モードとY方向走行モードとの間で切り替える。格子状上部トラックレイアウト401に着座した機外位置にあるときに1セットの車輪ユニットを上昇させ、また他の1セットの車輪ユニットを下降させて直立シャフト405のラック歯と係合させるように動作可能である。その後、上昇した車輪ユニットも機内に移り、それによって、RSRV406が格子状上部トラックレイアウト401から直立シャフト405に移行して、直立シャフト405を通して下降走行する。同様に、格子状下部トラックレイアウト402に着座した機外位置にあるときに1セットの車輪ユニットを下降させ、また他の1セットの車輪ユニットを上昇させて直立シャフト405のラック歯と係合させるように動作可能である。その後、下降した車輪ユニットも機内に移り、それによって、RSRV406が格子状下部トラックレイアウト402から直立シャフト405に移行して、直立シャフト405を通して上昇走行する。一実施形態では、格子状下部トラックレイアウト402における外部昇降装置を追加的に又は代替的に使用して、格子状下部トラックレイアウト402から上にあるシャフトへRSRV406をエアリフト又は昇降させる。
【0060】
各RSRV406は上部支持台412を備え、保管ビン403、例えば未処理保管ビン、在庫保管ビン又は注文品ビンは、上部支持台412上で受け取られてRSRVによって運ばれる。上部支持台412は、静止した外側デッキ表面414によって囲まれる回転可能なタレット413を備える。回転可能なタレット413は、本明細書では「タレットアーム」と呼ぶ、伸縮可能なアーム415を備える。伸縮可能なアーム415は回転可能なタレット413の直径スロット内に取り付けられ、回転可能なタレット413の外周から外向きに伸びる展開位置への、及び展開位置からの直線移動に対して、直径スロット内で移動可能に支持される。
【0061】
図5Bは、本発明の実施形態による、
図5AのRSRV406及び適合する保管ビン403を図示したものであり、保管ビン403と係合して保管ビン403をRSRV406の上に押したり引いたりするためのRSRV406のタレットアーム415の延長部を示している。タレットアーム415は、係止部材416をタレットアーム415上に、例えばタレットアーム415に沿って前後に移動可能なシャトル上に担持し、保管ビン403の下面にある係止機構と合致して係合する。タレット413の回転可能な機能とともに、係止部材416を有するタレットアーム415により、RSRV406の4つの側面すべてにおいて、保管ビン403を上部支持台412上に引っ張り、かつ上部支持台412から押し出すことができる。それによって、各RSRV406は、3D格子状保管構造体400における最適な保管密度のために、直立シャフト405の4つの側面すべてが保管カラム404によって各々囲まれる完全に囲まれた直立シャフト405を含む、3D格子状保管構造体400における任意の直立シャフト405の任意の側面上の保管ビン403にアクセスできる。すなわち、各RSRV406は、直立シャフト405のいずれかの内側の4つの異なる作業位置で動作可能であり、直立シャフト405の4つの異なる側面のいずれかにある保管場所のいずれかにアクセスして、それぞれの保管ビン403を選択した保管場所に預け入れ、又は選択した保管場所から取り出す。
【0062】
一実施形態では、
図4に示す3D格子状保管構造体400のフレームワークは、各保管場所における棚ブラケットのセットを備え、保管場所に現在保管されている保管ビン403の棚を協働して形成し、それによって、任意の所与の保管ビン403を、同じ保管カラム404における所与の保管ビン403の上下の保管ビン403を邪魔することなく、RSRV406の1つによってその保管場所から取り出すことができる。同様に、棚ブラケットのセットが画定する棚によって、3D格子状保管構造体400における保管場所の3D配列における任意の保管レベルで、保管ビン403を所定の保管場所に戻すことができる。したがって、トラックレイアウト401及びトラックレイアウト402の2次元水平ナビゲーションを通して、各RSRV406は直立シャフト405のいずれかにアクセスすることができ、またこれらの直立シャフト405を通して上昇方向又は下降方向に3次元で垂直に走行し、保管場所のいずれかにアクセスして、保管ビン403を保管場所に預け入れ、又は保管場所から取り出すことができる。
【0063】
図2~3に示す注文履行システム200のデカンティング区域204、VAS及び返品区域205、ピッキング区域209並びに梱包区域210は、トラックレイアウトの1つ、例えばASRS構造体208を画定する3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402の外周にすぐ隣接して設置される。商品は、これらの業務区域の各々との間で、保管ビン403を3D格子状保管構造体400における保管場所に預け入れる及び保管場所から取り出すRSRV406の同じ一団によって移送され、それによって長距離区域間コンベアが不要になる。さらに、1つの業務区域から別の業務区域に商品を移送する際に、これらの商品を1つの業務区域から別の業務区域に運ぶRSRV406の一団の移動を編成すること、又はこれらの商品のいくつかを3D格子状保管構造体400におけるそれぞれの保管場所に運ぶ保管ビン403を一時的に預け入れることを、従来の空間集約的な仕分けコンベアを使用することなく、バッファ又は仕分けの目的で行うことができる。
【0064】
図6は、本発明の一実施形態による、
図3に示す注文履行システム200のレイアウトの上面等角図である。注文履行システム200の異なる業務区域、例えばデカンティング/誘導区域204、付加価値業務(VAS)及び返品区域205、ピッキング区域209、梱包区域210、ラストマイル仕分け区域216、集約区域217並びに特大商品保管区域212は、
図6に示すように、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の2次元設置領域の周辺側208a、208b、208c及び208dによって構成される外周に隣接して位置決めされる。
【0065】
図7は、本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システム200のレイアウトの部分斜視図であり、注文履行システム200の自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の第1の周辺側208aに位置決めされる受取区域202及びデカンティング/誘導区域204を示す。
図7の部分斜視図は、ASRS構造体208の第1の周辺側208aと第4の周辺側208dとが交差する角部を示す。一実施形態では、受取区域202には一連の平行供給コンベア218が密集し、
図2に示す入庫輸送業務又は運搬車両201からパレット化ケース又はルーズケースの入庫出荷物を積み下ろした後に、本明細書では「入庫商品」と呼ぶ、入庫する新しい在庫商品及び顧客返品のデパレット化ケース又はルーズケースが平行供給コンベア218上に置かれる。平行供給コンベア218は、取込コンベア203に供給する。一実施形態では、取込コンベア203は、第1の脚部219と第2の脚部220とを備えるU字形状レイアウトで構成される。取込コンベア203の第1の脚部219は、平行供給コンベア218に対して垂直な関係で平行供給コンベア218の横を通過する。取込コンベア203の第2の脚部220は、ASRS構造体208の第1の周辺側208aに対して平行な関係で第1の脚部219の反対側を延びる。取込コンベア203の第2の脚部220とASRS構造体208との間に、一実施形態では、デカンティング/誘導区域204は、デカンティング/誘導作業ステーション221の単一の列を備える。一実施形態では、デカンティング/誘導作業ステーション221は、
図8A~8Bに図示され、本出願人の米国特許出願番号第16/374,123号及び第16/374,143に開示されるタイプのものである。
【0066】
図8Aは、本発明の一実施形態による、
図7に示すデカンティング/誘導区域204で使用するデカンティング/誘導作業ステーション221の斜視図であり、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208に面するデカンティング/誘導作業ステーション221の内側を示す。ASRS構造体208は、
図4に示す3次元(3D)格子状保管構造体400を備える。
図8Bは、本発明の一実施形態による、
図8Aに示すデカンティング/誘導作業ステーション221の斜視図であり、デカンティング/誘導作業ステーション221の反対側の外側を示す。デカンティング/誘導区域204における各デカンティング/誘導作業ステーション221は、格子状下部トラック222を備える。格子状下部トラック222は、ASRS構造体208の第1の周辺側208aに対して平行な関係でデカンティング/誘導作業ステーション221の長さに沿って延びる長手方向レール223a、223bのペアを備える。格子状下部トラック222は、長手方向レール223a、223bを、長手方向レール223a、223bに沿って一定間隔で互いに垂直に相互接続する交差レール224a~224fのセットをさらに備える。一実施形態では、長手方向レール223a、223b及び交差レール224a~224fは、3D格子状保管構造体400の格子状上部トラックレイアウト401及び格子状下部トラックレイアウト402において使用されるものと同じタイプのものである。長手方向レール223a、223b間の間隔は、交差レール224a~224f間の間隔と一致し、X方向及びY方向の両方において、3D格子状保管構造体400の格子状上部トラックレイアウト401及び格子状下部トラックレイアウト402のレール407及び408との間で採用されるレール間の間隔と等しい。したがって、デカンティング/誘導作業ステーション221の格子状下部トラック222は、3D格子状保管構造体400の格子状上部トラックレイアウト401及び格子状下部トラックレイアウト402と同様に、ロボット保管/取り出し車両(RSRV)406によって横断可能である。デカンティング/誘導作業ステーション221の格子状下部トラック222は、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402と同じ高さに位置決めされて、そこから延在する同一平面の延長トラックを形成する。
【0067】
デカンティング/誘導作業ステーション221は、シュート225を備える。シュート225は、格子状下部トラック222に取り付けられ、デカンティング/誘導作業ステーション221の長手方向の端と端に架かる。シュート225は、
図8Bに示す外側壁228を備え、長手方向レールのうち外側のレール、すなわち223bから直立し、デカンティング/誘導作業ステーション221の全長に架かっている。シュート225は、デカンティング/誘導作業ステーション221の全長に架かる上蓋パネル226をさらに備える。デカンティング/誘導作業ステーション221の内側長手方向レール223aは、3D格子状保管構造体400のそれぞれの周辺側208aにおいて、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402の最外側レールも画定する共有レールである。上蓋パネル226の下面はシュート225の内部天井を画定し、一方、上蓋パネル226の反対側の上面は外側天板作業面226aを画定する。取込コンベア203の第2の脚部220において受け取った入庫商品のケースを外側天板作業面226a上に置いて、デカンティングプロセス中にケースから入庫商品をピッキングする。2つの長手方向レール223a、223b及び交差レール224a~224fの任意の隣接するペアの間に区切られる各正方形領域は、本明細書ではデカンティング/誘導作業ステーション221の格子状下部トラック222に沿ったそれぞれの「スポット」と呼ぶ。シュート225の第1の端部におけるスポットは、デカンティング/誘導作業ステーション221の入口スポットS
ENと呼ぶ。RSRV406は、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402において、そのスポットに整列するそれぞれのペアのレールから第1の交差レール224a及び第2の交差レール224b上に乗軌して、入口スポットS
ENにおいてシュート225に入る。シュート225の反対側の第2の端部におけるスポットは、出口スポットS
Xと呼ぶ。RSRV406は、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402において、最終交差レール224f及び最終から2番目の交差レール224eからそのスポットに整列する別のそれぞれのペアのレール上に乗軌して、出口スポットS
Xにおいてシュート225から退出し、また3D格子状保管構造体400に再進入する。
【0068】
デカンティング/誘導作業ステーション221の入口スポットS
ENと出口スポットS
Xとの間の多数の中間スポットのうち1つのスポットは、シュート225の天板作業面226aから上蓋パネル226を貫通して内部空間225に入るアクセス開口部227を介して、人間の作業者又はロボット作業者がRSRV406にアクセス可能な「アクセススポット」S
ACとして指定される。したがって、入り口スポットS
ENから出口スポットS
Xまでシュート225を長手方向に走行するRSRV406がアクセススポットS
ACに到着して停止するとき、デカンティング/誘導作業ステーション221の人間の作業者又はロボット作業者は、RSRV406の上に運ばれる空の又は満杯でない保管ビンと相互作用して、デカンティングされるケースからの未処理の入庫商品を保管ビンに置くことができる。一実施形態では、空の又は満杯でない保管ビンは、RSRV406によって、空の又は満杯でない保管ビン403が予め3D格子状保管構造体400に保管されていた保管場所からアクセススポットS
ACに配送される。別の実施形態では、RSRV406がアクセススポットS
ACに到着すると、空の又は満杯でない保管ビンがアクセス開口部227を通してRSRV406の上に置かれる。未処理の入庫商品を受け取ると、RSRV406は、次いで、未処理保管ビンを3D格子状保管構造体400に誘導する。RSRV406は、未処理保管ビンをアクセススポットS
ACから出口スポットS
Xに向かって運び、RSRV406は出口スポットS
Xから3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402に戻り、未処理保管ビンを
図4に示す3D格子状保管構造体400の保管カラム404における任意の利用可能な保管場所に保管するか、又は未処理保管ビンをVAS及び返品区域205に向かって直接輸送し、未処理保管ビン内の未処理商品を処理する。
図8Aに示す実施形態では、各デカンティング/誘導作業ステーション221のシュート225は、3D格子状保管機構400に面する内側全体にわたって開いており、したがって、アクセススポットS
ACを含む、デカンティング/誘導作業ステーション221の格子状下部トラック222上のスポットのいずれも、RSRV406がデカンティング/誘導作業ステーション221に出入りできる入口スポット及び/又は出口スポットとして機能する。
【0069】
したがって、デカンティング/誘導作業ステーション221は、RSRV406がデカンティング/誘導作業ステーション221に出入りできる延長トラックによって、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402にすぐ隣接する位置で直接連結され、入庫商品が施設に到着したケースから、RSRV406の上に運ばれる又は置かれる未処理保管ビンにデカンティングされる入庫商品を受け取る。入庫商品は、次いで、デカンティング/誘導区域204と3D格子状保管構造体400との間でコンベアを使用することなく、3D格子状保管構造体400に直ちにかつ直接誘導される。
【0070】
図9は、本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システム200のレイアウトの部分斜視図であり、
図7に示すデカンティング/誘導区域204から自動保管/取り出しシステム(ASRS)構造体208の第1の周辺側208aのさらに下方に位置決めされる付加価値業務(VAS)及び返品区域205を示す。
図9の部分斜視図は、ASRS構造体208の第1の周辺側208aと第2の周辺側208bとが交差する角部に向かってASRS構造体208の第1の周辺側208aを示す。この観点から、
図9は、ASRS構造体208の第1の周辺側208aに沿って分散した一連のVAS/返品取扱作業ステーション206/207が密集するVAS及び返品区域205を示す。VAS/返品取扱作業ステーション206/207の各々は、ASRS構造体208を構成する3次元(3D)格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト401に個別に直接接続され、
図7に示すデカンティング/誘導作業ステーション221に差配して3D格子状保管構造体400の保管場所へ保管ビン403を預け入れかつ保管場所から保管ビン403を取り出す、ロボット保管/取り出し車両(RSRV)406の同じ一団が、これらのVAS/返品取扱作業ステーション206/207で業務を行う。
【0071】
図10Aは、本発明の一実施形態による、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の外側から見た、
図9に示すVAS及び返品区域205において使用されるVAS/返品取扱作業ステーション206/207の部分上面斜視図である。
図10Aに示すような実施形態では、VAS/返品取扱作業ステーション206/207はL字形状の構成であり、第1の脚部206aと第2の脚部206bとを備える。VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aは、ASRS構造体208の第1の周辺側208aから外向きに突出している。VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第2の脚部206bは、ASRS構造体208の第1の周辺側208aと平行に延在している。各VAS/返品取扱作業ステーション206/207の内部は、デカンティング/誘導作業ステーション221のシュート状構造体に類似した筐体を備える。したがって、各VAS/返品取扱作業ステーション206/207は、
図4に示す格子状下部トラックレイアウト402においてSRS構造体208を構成する3次元(3D)格子状保管構造体400に開口する内側以外の側面においてVAS/返品取扱作業ステーション206/207を囲む直立外壁206cを備える。各VAS/返品取扱作業ステーション206/207は上蓋パネル229をさらに備え、上蓋パネル229の下面はVAS/返品取扱作業ステーション206/207の内部天井を画定し、上蓋パネル229の反対側の上面は外側天板作業面229aを画定する。各VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aの内側には、
図10Bに示す格子状下部トラック234があり、これは、デカンティング/誘導作業ステーション221のものと同様に、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402の延長部である。ASRS構造体208の第1の周辺側208aと平行に延びる1スポット幅の一方向トラックの代わりに、各VAS/返品取扱作業ステーション206/207の格子状下部トラック234は2スポット幅であり、ASRS構造体208の第1の周辺側208aに垂直に延びる二方向トラックである。
【0072】
図10Bは、本発明の一実施形態による、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の外側から見た、
図10Aに示すVAS/返品取扱作業ステーション206/207の部分上面斜視図であり、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の直立外壁206c及び上蓋パネル229を透明層として示し、その内部構成要素及びそれを通る内部ワークフローを明らかしている。第1の脚部206aにおける格子状下部トラック234は、ASRS構造体208の第1の周辺側208aに対して垂直な関係で第1の脚部206aの長さで延びる3つの長手方向レール235を備える。第1の脚部206aにおける格子状下部トラック234は、長手方向レール235を一定間隔で垂直に相互接続する一連の交差レール236をさらに備え、それによって格子状下部トラック234の正方形スポットを区切る。第1の脚部206aの外側、すなわち第2の脚部206bの反対側に沿って延びる第1の一連のスポットは、第1の脚部206aの二方向格子状下部トラック234の外向き半分を表し、外向き半分上で、ロボット保管/取り出し車両(RSRV)406は、
図4に示す格子状下部トラックレイアウト402において3次元(3D)格子状保管構造体400から出て、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aの内側の3D格子状保管構造体400から離れるように走行する。第1の脚部206aの反対側の内側に沿って延びる第2の一連のスポットは、第1の脚部206aの二方向格子状下部トラック234の内向き半分を表し、内向き半分上で、RSRV406は、格子状下部トラックレイアウト402上の3D格子状保管構造体400に戻るように走行することができる。
【0073】
格子状下部トラック234の内向き半分のアクセスポットSACの上方で、配置ポート又は配置アクセスポート230は、上蓋パネル229の天板作業面229aから上蓋パネル229を通してVAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aの内部空間に開口している。したがって、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aを通して走行するRSRV406が、走行中に内向き半分上のアクセススポットSACで停止するとき、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の人間の作業者又はロボット作業者は、RSRV406の上に置かれている、又は既に運ばれている最初は空の又は満杯でない在庫保管ビン403bと相互作用して、入庫商品902をこのVAS/返品取扱作業ステーション206/207で処理した後に、処理済商品を在庫保管ビン403bに置くことができる。処理済商品を受け取ると、次いで、在庫保管ビン403bは、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の格子状下部トラック234のアクセススポットSACから、格子状下部トラックレイアウト402上の3D格子状保管構造体400に戻る。VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第2の脚部206bは、同様に、未処理保管ビン403aを受け取る別のアクセススポットSACの上にある位置に、天板作業面229aから上蓋パネル229を貫通するピッキングポート又はピッキングアクセスポート231を備え、未処理保管ビン403aにアクセスして、未処理の入庫商品902をそこからピッキングして処理し、その後、配置アクセスポート230を通して処理済商品を在庫保管ビン403bに配置することができる。
【0074】
図10A~
図10Bに示すような実施形態では、未処理保管ビン403aは細分化された保管ビンであり、各々が、各在庫保管ビン403bに見られる区画404bの数とは異なる量の複数の分離された区画404aを有し、この区画は、一実施形態では、複数の区画404bにも細分化される。
図10A~10Bに示すように、未処理保管ビン403aの各々は大型の4つの区画404aを含み、一方、在庫保管ビン403bの各々は、小型の8つの区画404bを含む。一実施形態では、異なる保管ビン403a、403bの全体的な外形寸法は同一であり、それによって、保管ビン403a、403bは、
図5A~5Bに示すRSRV406の上部支持台412上及び3D格子状保管構造体400の保管場所に普遍的にフィットする。一実施形態では、未処理保管ビン403aは、単一の在庫保管ビン403bよりも大量の商品又は在庫商品識別番号(SKU)を含み、それによって、未処理保管ビン403aの内容物が複数の在庫保管ビン403bに移送され、それによって、複数の在庫保管ビン403bは、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aの配置アクセスポート230を通過して循環し、一方、同じ未処理保管ビン403aは、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第2の脚部206bのピッキングアクセスポート231に静止している。
【0075】
RSRV406がピッキングアクセスポート231に長期間静的に駐車することは資源の浪費と考えられ、その間その特定のRSRV406に他のタスクを割り当てることが妨げられる。したがって、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第2の脚部206bは、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第2の脚部206bを通して保管ビン403を車両運搬型走行する車両トラックを含まない。
図10B~
図10Cに示すような実施形態では、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第2の脚部206bは、代わりに、格子状下部トラック構造体402の周辺隣接スポットにおいて3D格子状保管構造体400の内側に位置決めされる小型入口コンベア239と、ピッキングアクセスポート231の下のアクセススポットS
ACを占める移送テーブル237と、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aと反対側の移送テーブル237に隣接する出口スポットを占める小型出口コンベア238と、を有するコンベアベースの走行経路を採用する。
【0076】
図10Cは、本発明の一実施形態による、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の内側から見た、
図10A~
図10Bに示すVAS/返品取扱作業ステーション206/207の部分斜視図である。未処理保管ビン403aをVAS/返品取扱作業ステーション206/207に配送するロボット保管/取り出し車両(RSRV)406は、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402上の入口コンベア239の横に駐車し、その高さ調節可能な車輪セットを下げて、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の入口コンベア239の上側をわずかに超える高さまで未処理保管ビン403aを持ち上げ、そのタレットアーム415を伸ばして、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の入口コンベア239上に未処理保管ビン403aを預け入れ、次いで、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の入口コンベア239上に未処理保管ビン403aを残したまま、その高さ調節可能な車輪セットを下げて、タレットアーム415を未処理保管ビン403aにおける係止部材との係合から外して、タレットアーム415を格納することができる。一実施形態では、入口コンベア239とピッキングアクセスポート231の下方のアクセススポットS
ACとの間に1つ以上のバッファコンベア(図示せず)を追加することにより、複数の未処理保管ビン403aによる待ち行列を可能にする。隣接するアクセススポットS
AC又はバッファコンベアスポットに先に配送した未処理保管ビン403aがない場合、入口コンベア239が作動して、新しく到着した未処理保管ビン403aをピッキングアクセスポート231の下方のアクセススポットS
ACへ、又はアクセススポットS
ACに向かって転がす。
【0077】
ピッキングアクセスポート231の下方のアクセススポットS
ACに搬送された後、現在VAS/返品取扱タスクで処理されたすべての入庫商品902がピッキングされると、完全に又は部分的に空になった未処理保管ビン403aは、出口コンベア238上に移る。一実施形態では、出口コンベア238において、RSRV406は、完全に又は部分的に空になった未処理保管ビン403aが自身が降ろしたものと同じか異なるかに関わらず、RSRV406のタレットアーム415を伸ばして完全に又は部分的に空になった未処理保管ビン403aと係合させ、その高さ調節可能な車輪セットを下げて、タレットアーム415を持ち上げて完全に又は部分的に空になった未処理保管ビン403aの下面の係止部材と係合させ、次いで、タレットアーム415を引っ込めて、完全に又は部分的に空になった未処理保管ビン403aをRSRV406上に引っ張る。次いで、RSRV406は、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402を、空の未処理保管ビンを必要とするデカンティング/誘導ステーション221まで横断することができ、又は格子状下部トラックレイアウト402を、後に必要とされるまで完全に又は部分的に空の未処理保管ビン403aを保管できる占有されていない保管場所を有する、
図4に示す保管カラム404に隣接する直立シャフト405まで横断することができる。
【0078】
したがって、VAS/返品取扱作業ステーション206/207は、VAS/返品取扱作業ステーション206/207を通して、それぞれのアクセスポートを通過して在庫保管ビン403b及び未処理保管ビン403aをそれぞれ移送可能である2つの走行経路を備える。それぞれのアクセスポートにおいて、在庫保管ビン403b及び未処理保管ビン403aの内部にアクセスし、VAS/返品取扱作業ステーション206/207を通して移行するそれぞれの保管ビン403b、403aへ商品902を配置し、保管ビン403b、403aから商品902をピッキングすることができる。一方の走行経路では、それぞれの保管ビンが3D格子状保管構造体400の延長トラック上を通って車両運搬型走行し、他方の走行経路は短いコンベアベースの経路であり、この経路においてRSRV406の一団がそれぞれの保管ビンの下降及びピックアップも行う。
【0079】
図10A~
図10Bに示すような実施形態では、VAS/返品取扱作業ステーション206/207は、導光システム、例えば点灯(put-to-light)作業者案内システム232をさらに備える。点灯作業者案内システム232は、配置アクセスポート230の境界に近接して、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の上蓋パネル229に取り付けられる複数の照明可能な標識233を備える。一実施形態では、照明可能な標識233の量及びレイアウトは、在庫保管ビン403bの区画404bのレイアウトと一致し、それによって、在庫保管ビン403bがVAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aのアクセススポットに着座するときに、各照明可能な標識233が在庫保管ビン403bのそれぞれの区画404bに密接に隣接する。他の実施形態では、少なくとも、照明可能な標識233の量及びレイアウトは、少なくとも1つの照明可能な標識233が在庫保管ビン403bの各区画404cに隣接するようになっている。
図10A~10Bに示す実施形態では、在庫保管ビン403bは、例えば8つの区画404bを備え、点灯作業者案内システム232は、例えば在庫保管ビン403bの区画404bと1対1の比でレイアウトされる8つの照明可能な標識233を備える。区画404bのうち1つの標識は、その区画404bに隣接するそれぞれの照明可能な標識233の照明によって提供される。これにより、同じ点灯作業者案内システム232を、8つの区画404bを有するより多く細分化された在庫保管ビン403bと共に代替的に使用することができる。照明可能な標識対区画の1対1の比は、1つの隣接する照明可能な標識の照明のみを使用して、それぞれの区画404bを示すことを意味する。また、同じ点灯作業者案内システム232は、2区画在庫保管ビンで任意に使用でき、その各区画は配置アクセスポート230のそれぞれの照明可能な標識の境界面に隣接する。各区画は配置アクセスポート230のその側面に沿って存在する4つの照明可能な標識233のセットに隣接し、4つの照明可能な標識233をすべて照明して、在庫保管ビンのその区画を示す。
【0080】
図30に示す施設のコンピュータ制御システム(CCS)265による命令の下で、また、CCSはRSRV406の一団と無線で通信して、ASRS構造体208全体にわたってその搬送を制御して、CCS265によって格納又は取り出される在庫情報及び注文情報に基づいて様々なタスクを実行する。点灯作業者案内システム232は、天板作業面229aにおいて隣接する照明可能な標識の選択的な照明を表示して、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aのアクセススポットに現在駐車している在庫保管ビン403bの1つ以上の区画404bを識別するように動作可能である。VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第2の脚部206bにおいて未処理保管ビン403aの区画404aからピッキングされた商品は、VAS又は返品処理後に、VAS/返品取扱作業ステーション206/207の第1の脚部206aのアクセススポットに現在駐車している在庫保管ビン403bの1つ以上の区画404bに置かれなくてはならない。一実施形態では、照明可能な標識233は、指示された配置タスクが完了すると人間の作業者によって押されるように構成される照明可能な押しボタンである。別の実施形態では、照明可能な標識233は、完了した配置タスクのそのような確認に対して採用される別個の隣接する押しボタン又は別の作業者作動の入力装置を伴う。
【0081】
各VAS/返品取扱作業ステーション206/207におけるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)は、表示画面901を備える。表示画面901は、例えば、未処理保管ビン403aがVAS/返品取扱作業ステーション206/207に到着した際に、未処理保管ビン403aの光学読み取り、又は未処理保管ビン403aで見出されるもしくは運ばれる注文識別子コード、又は無線周波数識別(RFID)タグ若しくは他の手段によるビン若しくは注文識別子の無線送信に基づいて、到着した未処理保管ビン403aの内容物に対して必要な取るべきVASアクション又は実行するべきタスクに関連する指示を表示する。配置アクセスポート230に現在駐車している特定の在庫保管ビン403bに向けられたすべての処理済商品がその在庫保管ビン403bに置かれると、その在庫保管ビン403bを運ぶRSRV406は、VAS/返品取扱作業ステーション206/207から自律的に出てASRS構造体208に戻り、充填済みの在庫保管ビン403bを利用可能な保管場所に運ぶ。在庫保管ビン403bは、RSRV406から利用可能な保管場所に降ろされ、後に注文品ピッキングタスクの一部として呼び出されるまでそこに保管される。一実施形態では、アクティブな注文品ピッキングタスクがその在庫保管ビン403bに置かれたばかりの新しく処理された商品を待っている場合、RSRV406は、
図4に示す3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402を介して、
図6に示すピッキング区域209に在庫保管ビン403bを直接輸送する。
【0082】
未処理保管ビン403aに到着した顧客返品の処理は、新しい在庫商品の処理に類似しているが、返品処理では、顧客返品を在庫としてASRS構造体208に誘導する前に顧客返品を検査して顧客返品が販売可能な状態かを確認し、検査結果が肯定的である場合にのみ返品商品を在庫保管ビン403bに置く点が異なる。返品商品が販売可能な在庫として適している状態であることが十分に確認されたが、返品商品の包装又はラベル付けが損傷している又は古くなっている場合、一実施形態では、返品処理は、例えば製造業者の所定のVAS要件が定める同じラベル/包装を使用して、再ラベル付け又は再包装することを含む。一実施形態では、同じ検査プロセスを、各返品商品について顧客に返金するか否か、及び任意に、返品商品の条件に応じて全額又は一部を返金するか否かを決定する基準として使用する。したがって一実施形態では、ヒューマン・マシン・インターフェースは、人間の作業者又はロボット作業者に、施設のCCS265の返品記録に適って、返金の種類又は金額、例えば全額又は一部の返金を許可、拒否、又は設定するように動作可能な選択可能な返金命令を提示する。
【0083】
図11は、本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システム200のレイアウトの部分斜視図であり、
図9に示すVAS及び返品区域205VASから自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の角部を曲がって第2の周辺側208bに位置決めされるピッキング区域209を示す。
図11の部分斜視図は、ASRS構造体208の第2の周辺側208bと第3の周辺208cとが交差する角部に向かってASRS構造体208の第2の周辺側208bを示す。この観点から、
図11は、ASRS構造体208の第2の周辺側208bに沿って分散した一連のピッキング作業ステーション240が密集するピッキング区域209を示す。ピッキング作業ステーション240の各々は、デカンティング/誘導作業ステーション221及びVAS/返品取扱作業ステーション206/207に差配するロボット保管/取り出し車両(RSRV)406の同じ一団によるこれらのピッキング作業ステーション240の業務に対して、ASRS構造体208を構成する
図4に示す3次元(3D)格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402に個別に直接接続されている。一実施形態では、ピッキング作業ステーション240は、L字形状のデュアルポート構成であり、各々が第1の脚部240aと第2の脚部240bとを備える。
【0084】
図12は、本発明の一実施形態による、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の外側から見た、
図11に示すピッキング区域209において使用されるピッキング作業ステーション240の部分上面斜視図である。
図12に示すような実施形態では、ピッキング作業ステーション240は、VAS/返品取扱作業ステーション206/207と同じL字形状のデュアルポート構成であり、したがって、L字形状ピッキング作業ステーション240の第1の脚部240aにおける第1のアクセスポート242を通過する第1のトラックベースの二方向走行経路と、L字形状ピッキング作業ステーション240の第2の脚部240bにおける第2のアクセスポート243を通過するコンベアベースの一方向走行経路と、を備える。この実施形態では、第1のアクセスポート242は、第1の脚部240aを通って移行する車両運搬型在庫保管ビン403bから商品903をピッキングするピッキングポート又はピッキングアクセスポートとして機能する。さらにまた、この実施形態では、第2のアクセスポート243は、第2の脚部240bを通って移行するコンベア運搬型注文品ビン403c内に商品903を置く配置ポート又は配置アクセスポートとして機能する。ピッキング作業ステーション240において、第1の脚部240aを通って移動するロボット保管/取り出し車両(RSRV)406で運ばれる保管ビン403は、在庫保管ビン403bである。一実施形態では、これらの在庫保管ビン403bは、在庫保管ビン403bが保管されているASRS構造体208を構成する
図4に示す3次元(3D)格子状保管構造体400におけるシャフトがアクセスする保管場所から、ピッキング作業ステーション240に配送される。別の実施形態では、ピッキング作業ステーション240においてピッキングされている注文品がVAS及び返品区域205で処理したばかりの
図10Aに示す新たな処理済在庫商品を待っている場合、これらの在庫保管ビン403bは、VAS/返品取扱作業ステーション206/207からピッキング作業ステーション240に直接配送される。別の実施形態では、これらの在庫保管ビン403bは、同じ商品の在庫商品識別番号(SKU)を含む別の注文品がピッキングされていた別のピッキング作業ステーション240から、ピッキング作業ステーション240に配送される。ピッキング作業ステーション240の第2の脚部240bのコンベアベースの一方向走行経路上で運ばれる保管ビン403は、ピッキング作業ステーション240の第1の脚部240aにおいて受け取った1つ以上の在庫保管ビン403bから1つ以上の注文の注文品903をピッキングした後にそれらを置く注文品ビン403cである。
【0085】
一実施形態では、注文品ビン403cは細分化されたビンであり、その各々が、各在庫保管ビン403bで見られる区画404bの数を量的に上回る複数の細分化された区画403cを備え、また、上記に開示されるように複数の区画404bに細分化される。一実施形態では、注文品ビン403cの各々は、例えば8つの区画404cを備え、一方、在庫保管ビン403bの各々は、例えば
図12に示すような注文品ビン403cよりも大型の4つの区画404bを備える。一実施形態では、
図10A及び
図12に示すように、未処理保管ビン403a、在庫保管ビン403b及び注文品ビン403cの外形寸法は異なるビン型間で同一である、ASRS構造体208及びRSRV406の一団に普遍的にフィットする。商品が複数ある注文では、典型的には商品は複数の在庫保管ビン403bにあるため、在庫保管ビン403bは、ピッキング作業ステーション240を通って走行するRSRV406によってピッキングアクセスポート242を通過して循環し、一方、注文品ビン403cは、ピッキング作業ステーション240の第2の脚部240bのコンベアベースの一方向走行経路上の配置アクセスポート243の下に静止している。
【0086】
一実施形態では、ピッキング作業ステーション240は、導光システム、例えばVAS/返品取扱作業ステーション206/207のものと類似する点灯作業者案内システム232をさらに備える。点灯作業者案内システム232は、配置アクセスポート243の境界に近接して、ピッキング作業ステーション240の上蓋パネル241に取り付けられる複数の照明可能な標識233を備える。この実施形態では、点灯作業者案内システム232は、ピッキング作業ステーション240のトラック装備の第1の脚部240a上ではなく、コンベア装備の第2の脚部240bに存在する。
図12に示すような実施形態では、照明可能な標識233の量及びレイアウトは、注文品ビン403cの区画レイアウトと一致し、それによって、注文品ビン403cがピッキング作業ステーション240の第2の脚部240bのアクセススポットに着座するときに、各照明可能な標識233が注文品ビン403cのそれぞれの区画404cに密接に隣接する。他の実施形態では、少なくとも、照明可能な標識233の量及びレイアウトは、少なくとも1つの照明可能な標識233が注文品ビン403cの各区画404cに隣接するようになっている。
図12に示す実施形態では、注文品ビン403cは、例えば8つの区画404cを備え、点灯作業者案内システム232は、注文品ビン403cの区画404cと1対1の比でレイアウトされる8つの照明可能な標識233を備える。別の実施形態では、注文品ビン403cが4つの区画404cのみを含む場合であっても、点灯作業者案内システム232は8つの照明可能な標識233を備える。この実施形態では、各区画404cは2つの照明可能な標識233に隣接しており、その両方を照明して、その区画404cにおける1つ以上の商品903の配置を示すことになる。注文品ビン403cごとに8つの照明可能な標識233と2つの区画404cとを有する別の実施例では、各区画404cが配置アクセスポート243のそれぞれの側に隣接し、配置アクセスポート243のそれぞれの側の4つの照明可能な標識233をすべて照明して、1つ以上の商品903が置かれる2つの区画404cのそれぞれ一方を示す。したがって、一実施形態では、区画量が変化する所定のビン型の中で最も細分化されたビン型に見られる区画404cの数に基づいて、照明可能な標識233の数を選択する。例えば、保管ビン403の製造業者が、2つの区画の保管ビン、4つの区画の保管ビン及び8つの区画の保管ビンを提供する場合、点灯作業者案内システム232は、異なる細分化されたビン型のいずれを使用してもいいように、8つの照明可能な標識233を採用する。
図30に示す施設のコンピュータ制御システム(CCS)265の命令の下で、点灯作業者案内システム232は、人間の作業者がピッキング作業ステーション240の第1の脚部240aのアクセススポットに現在駐車している在庫保管ビン403bからピッキングする商品903を注文品ビン403cのどの区画404cに置くべきかという情報にしたがって、天板作業面241aにおいて、適切な隣接する照明可能な標識の選択的な照明を表示するように動作可能である。商品903を置いた後、人間の作業者は、押しボタン標識を使用する場合には照明している標識233を押して、又は照明可能な標識233に隣接して位置する付随確認ボタン又は別の作業者作動の入力装置を押して、配置タスクを確認する。
【0087】
各ピッキング作業ステーション240におけるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)は、現在充填されている所与の注文品について、ピッキング作業ステーション240の第1の脚部240aのRSRV406に現在駐車している在庫保管ビン403bからどの商品903をピッキングするか、及びその商品903がその在庫保管ビン403bのどの区画403cにあるかに関する指示を表示するための表示画面901を備える。点灯作業者案内システム232は、現在の注文品としてピッキングした商品を、注文品ビン403cのどの区画404cに置くべきかを示す。第1の脚部240aのピッキングアクセスポート242に現在駐車している特定の在庫保管ビン403bからすべての注文商品がピッキングされると、その在庫保管ビン403bを運ぶRSRV406はピッキング作業ステーション240から自律的に出てASRS構造体208に戻り、在庫保管ビン403bを降ろして後に別の注文品ピッキングタスクの一部として呼び出されるまで保管することができる保管場所か、又はその在庫保管ビン403bの在庫商品を必要とする別の注文のある別のピッキング作業ステーション240のいずれかに、在庫保管ビン403bを運ぶ。
【0088】
注文を履行するために追加の商品が必要な場合、それらの追加商品のうち1つ以上を有するそれぞれの在庫保管ビン403bを運ぶ次のRSRV406はピッキングアクセスポート242に進み、表示画面901は、この在庫保管ビン403bに対して実行するべきピッキングタスクを案内し、一方、点灯作業者案内システム232は、待機中の注文品ビン403cの1つ以上の区画404cにピッキングした商品を配置するよう案内する。このように在庫保管ビン403bから注文された在庫商品をピッキングして注文品ビン403cに配置する作業を繰り返し、第2の脚部240bの配置アクセスポート243に現在駐車している注文品ビン403cに割り当てられている所与の注文数行う。注文品ビン403cが満杯になると、注文品ビン403cは、アクセススポットから
図10Cに示す出口コンベア238上のピックアップスポットに進み、そこで注文品ビン403cは待機中の又は到着するRSRV406に積まれ、それによって、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402を介して梱包区域210に搬送され、又はより緊急に梱包する必要がある他のより高い優先順位の注文を優先して一時的にバッファされる場合には、3D格子状保管構造体400の保管場所に任意に保管される。
【0089】
図13は、本発明の一実施形態による、
図2~3、
図9、
図11及び
図14に示す注文履行システム200のVAS/返品取扱作業ステーション206/207、ピッキング作業ステーション240及び梱包作業ステーション245において使用可能な、導光システム、例えば点灯作業者案内システム232の上面平面図である。一実施形態では、各照明可能な標識233は、例えば、照明可能な標識233に隣接して位置決めされるそれぞれの小型液晶表示(LCD)画面の形態で、それぞれの商品量表示部244を伴う。商品量表示部244には、商品量表示部244に示されている数を増減するように動作可能な、上下の押しボタン244a、244b又は他の作業者作動の量調節入力装置が付随している。
図30に示すコンピュータ制御システム(CCS)265は、割り当てられた処理、ピッキング又は梱包タスクにしたがって、それぞれの照明可能な標識233の照明状態によって識別される、本明細書では「ビン区画」と呼ぶ保管ビン403の区画404に置かれる商品の量を表示するように動作可能である。一実施形態では、各照明可能な標識233は、複数の動作状態、例えば色、強度、連続性、すなわち固体又は点滅などで変化する状態を含み、CCS265が照明可能な標識233を割り当てる特定の配置タスクの状態を反映する。例えば、緑色の固体照明を採用して問題の区画404を識別し、目下の配置タスクが完了するまで維持する。配置タスクを完了するとき、作業者は、例えば押しボタン式の照明可能な標識が使用される場合には照明可能な標識233を押して、又は照明可能な標識233の近くの別個の確認押しボタン又は別の作業者作動の入力装置を作動させて、割り当てられた配置タスクが完了したことを確認する。この押し下げ又は作動のアクションは、次の配置タスクを実行できるように、配置タスクが終了したという信号をCCS265に送る役割を果たす。別の実施形態では、例えば
図10A及び
図12に示す配置アクセスポート230又は配置アクセスポート243において、視覚認識ツール又は光カーテン又は類似の感知機構を用いて作業者が適切な数の配置アクション又はタスクを確認し、作業者の手が配置アクセスポート230又は配置アクセスポート243に出入りする回数を検出及びカウントする。一実施形態では、検出した各配置で、商品量表示部244に表示される量は、現在の配置タスクにしたがって置くべき残りの商品数を示すように減少する。
【0090】
上下押しボタン244a、244b又は他の作業者作動の量調節入力装置を含めることにより、作業者は、配置アクセスポート230又は配置アクセスポート243の受容保管ビンに置かれるべき商品の割当量と、
図10A及び
図12に示すピッキングアクセスポート231又はピッキングアクセスポート242において商品がピッキングされる供給保管ビンにおける利用可能な商品の量との間に乖離があることをCCS265に通知することができる。例えば、商品量表示部244が5つの商品を受容保管ビンに置くべきであると表示するが、その商品のうち4つしか供給保管ビンに存在しない場合、作業者は、下矢印又は押しボタン244bを使用して、表示されている商品数を1だけ減少させ、次いで、押しボタン標識又は別個の確認押しボタン若しくは入力装置を押して、表示されている商品量の配置が完了したことをCCS265通知する。CCS265は、確認された量を当所の割当量と比較し、それらの間の不一致を認識して、ロボット保管/取り出し車両に、同じ商品の在庫商品識別番号(SKU)を含む別の保管ビンをVAS/返品取扱作業ステーション206/207、ピッキング作業ステーション240又は梱包作業ステーション245に配送するよう要求して、現在のタスクの商品不足を満たす。この在庫不一致もCCS265に記録される。上押しボタン244aは、作業者が不注意で下押しボタン244bを何度も押しすぎて、表示されている商品量を減らしすぎた場合に備えて設けられており、上押しボタン244aを使用して誤差を修正して、配置量を商品量表示部244に正確に反映させることができる。
【0091】
図14は、本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システム200のレイアウトの部分斜視図であり、ピッキング区域209から自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体208の角部を曲がって第3の周辺側208cに位置決めされる梱包区域210を示す。
図14の部分斜視図は、ASRS構造体208の第2の周辺側208bと第3の周辺側208cとが交差する角部付近から第3の周辺側208cを図示している。この観点から、
図14は、ASRS構造体208の第3の周辺側208cの横に位置決めされる多数の梱包作業ステーション245が密集する梱包区域210を示す。
図14に示すような実施形態では、ASRS構造体208を構成する
図4に示す3次元(3D)格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402に、各梱包作業ステーション245が個別に直接接続される代わりに、梱包作業ステーション245は、多数の列にグループ化されている。各列は、ASRS構造体208の第3の周辺側208cから垂直に外向きに出て直線状に配列されるそれぞれの一連の梱包作業ステーション245を備える。荷物輸送コンベア247は、ピッキング区域209に最も近いASRS構造体208の角部の最も近くの梱包作業ステーション245の第1の列246aから、梱包作業ステーション245の最終列246bを通過して、ラストマイル仕分け区域216の取込口まで、ASRS構造体208の第3の周辺側208cに沿ってすぐ近くに又は密接に隣接して延びる。
【0092】
図15Aは、本発明の一実施形態による、
図14に示す梱包区域210の別の角度及びより近い視点からの部分斜視図であり、その中の梱包作業ステーション245の多列レイアウトを示す。梱包作業ステーション245の各列は、それぞれの注文品ビンコンベア248を備える。ASRS構造体208からの注文品ビン403cは、注文品ビンコンベア248上で、その列における異なる梱包作業ステーション245に搬送され、次いでASRS構造体208に戻される。注文品ビンコンベア248は、
図15Cに示す初期コンベア部248aを構え、ASRS構造体208の外側でその第3の周辺側208cに隣接して平行に位置決めされ、注文品ビンコンベア248に沿ってそれぞれの出口ポート254から注文品ビンコンベア248の出庫コンベア部248bまで延びている。一実施形態では、初期コンベア部248aは、
図15Cに示すように、出口ポート254の下方から外向きに延在する。注文品ビンコンベア248の出庫コンベア部248bは、
図15B~15Cに示すように、初期コンベア部248aから、ASRS構造体208から最も遠い列の最後の梱包作業ステーション245まで垂直に延びる。ASRS構造体208から最も遠い出庫コンベア部248bの遠位端部において、
図15A及び
図15Dに示す移行部248cは、注文品ビン403cを180度回して、出庫コンベア部248bに対して平行にASRS構造体208に戻るように延びる入庫戻り部248dに移送して、
図15A~
図15Cに示すように、戻りポート249を通して注文品ビン403cをASRS構造体208に戻す。一実施形態では、移行部248cは、
図15Dに示すように、注文品ビン403cを出庫コンベア部248bから入庫戻り部248dに搬送して、注文品ビン403cをASRS構造体208に向け直すように構成される交差コンベアである。移行部248cは、ASRS構造体208から最も遠い出庫コンベア部248bの遠位端部において、出庫コンベア部248bを入庫戻り部248dに接続する。
【0093】
図15Bは、本発明の一実施形態による、
図14に示す梱包区域210の部分斜視図であり、下位レベルに位置決めされて注文品ビン403cを搬送する注文品ビンコンベア248と、上位レベルに位置決めされて梱包注文品1501を搬送する荷物供給コンベア250と、を備える2レベルコンベアユニットを示す。ロボット保管/取り出し車両(RSRVS)406は、2レベルコンベアユニットの下位レベルにおいて、注文品ビンコンベア248を介してASRS構造体208から注文品ビン403cを配送する。
図15Bに示すように、注文品ビンコンベア248は、2レベルコンベアユニットの下位レベルにおいて、平行構成で位置決めされる出庫コンベア部248bと入庫戻り部248dとを備える。RSRV406は、注文品ビンコンベア248の出庫コンベア部248bを横断し、商品を小包又は梱包注文品1501に梱包するために注文品ビン403cを梱包作業ステーション245のアクセスポート251に提示して、注文品ビンコンベア248の入庫戻り部248dを介して注文品ビン403cをASRS構造体208に戻す。梱包注文品1501は、
図16に示すように、2レベルコンベアユニットの上位レベルに位置決めされる荷物供給コンベア250を介して、ラストマイル仕分け区域216に搬送される。
【0094】
図15Cは、本発明の一実施形態による、ASRS構造体208に接続され、ASRS構造体208から梱包区域210における梱包作業ステーション245のそれぞれの列に注文品ビン403cを供給する注文品ビンコンベア巡回路を示す上面平面図である。一列の各梱包作業ステーション245において、注文品ビンコンベア248の出庫コンベア部248bは分岐部を備える。分岐部は、出庫コンベア部248bから、梱包作業ステーション245の天板作業面252のアクセスポート251の下にある梱包作業ステーション245のアクセススポットに注文品ビン403cを向け直すように動作可能である。アクセスポート251を備える天板作業面252のこの部分は、注文品ビンコンベア248の出庫コンベア部248bの横及び上方に位置決めされる。
図15A~
図15Eに示すような実施形態では、梱包作業ステーション245はL字形状の構成であり、
図15Cに示すように、出庫コンベア部248bに平行に位置し、その中にアクセスポート251を備える一方の脚部245aと、出庫コンベア部248bから垂直に離れるように延在する別の他方の脚部245bと、を備える。梱包作業ステーション245の他方の脚部245bは、
図15B~15Eに示すように、天板作業面252の延長部252aと、上にある棚252bと、を備える。作業者は、延長部252a及び上にある棚252bを使用して、梱包資材、例えば物品を梱包するための小包箱、小包にラベルを付けるための出荷ラベルなどを、梱包作業ステーション245に置いて保管することができる。
【0095】
図15Dは、本発明の一実施形態による、梱包区域210における梱包作業ステーション245の列のうち1つの拡大部分斜視図である。
図15Eは、本発明の一実施形態による、梱包作業ステーション245のうち2つの拡大部分斜視図である。各梱包作業ステーション245は、表示画面901を有するヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)をさらに備える。荷物供給コンベア250は、注文品ビンコンベア248の出庫コンベア部248bの上にあり、出庫コンベア部248bと平行に延びる。荷物供給コンベア250は、その列のすべての梱包作業ステーション245から、ASRS構造体208に沿って延びる荷物輸送コンベア247に梱包注文品1501を配送するために、ASRS構造体208から最も遠い列の最後の梱包作業ステーション245から、ASRS構造体208に最も近い列の最初の梱包作業ステーション245に向かって通過するように延びる。
【0096】
図11に示すピッキング作業ステーション240に置かれた注文商品を含む注文品ビン403cは、ロボット保管/取り出し車両(RSRV)406によってASRS構造体208を構成する3次元(3D)格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402上の周辺に隣接する下降スポットに運ばれ、出口ポート254は、ASRS構造体208の実質的に被覆された外部となり得るものを通して開く。この下降スポットにおいて、RSRV406は、注文品ビン403cを初期コンベア部248a上に降ろし、注文品ビン403cは初期コンベア部248aから出庫コンベア部248b上に移送され、それぞれの梱包作業ステーション245のコンベア分岐部に向かって搬送され、そこで、注文品ビン403cは梱包作業ステーション245のアクセスポート251の下にあるアクセススポットに向け直される。一実施形態では、梱包作業ステーション245の天板作業面252は、光選択(pick-to-light)作業者案内システム253を備える。光選択作業者案内システム253は、ピッキング作業ステーション240及びVAS/返品取扱作業ステーション206/207における点灯作業者案内システム232と同様に、
図15B~15Eに示すような照明可能な標識233及び
図13に示す任意の商品量表示部244を採用する。したがって、照明可能な標識233及び任意の商品量表示部244は、少なくとも1つの照明可能な標識が梱包作業ステーション245において受け取られる注文品ビン403cの各区画404cに隣接するようにレイアウトされる。光選択案内システム253は、
図30に示すコンピュータ制御システム(CCS)265によって動作し、作業者が注文品ビン403cの1つ以上の区画404cから1つ以上の特定の注文内容物をピッキングするように案内し、その間、表示画面901は、例えばその注文が購入された在庫のある特定の製造業者のブランド包装で商品を梱包するなど、梱包される注文品に適用される任意の注文固有の梱包指示を表示する。光選択案内システム253は、梱包されるべき1つ以上の注文品を含む1つ以上の区画404cに隣接する1つ以上の照明可能な標識233を照明する。複数の区画404cが示されている場合、作業者は、示された任意の区画404cを選択し、そこから商品をピッキングし、次いで、その区画404cに隣接する照明可能な標識233を押して、選択してピッキングした注文品のCCS265に信号を送ることができ、これに応答して、表示画面901は、その注文品に対応する梱包指示を表示する。
【0097】
一実施形態では、梱包作業ステーション245において、HMIは、CCS265の注文詳細にしたがって適切な出荷ラベルを印刷するラベルプリンタ(図示せず)を備える。注文品ビン403cからピッキングされた商品が、手元に保管される、又は
図15Eに示すように要求に応じて梱包作業ステーション245に配送される、所定の梱包1501aに梱包されると、梱包注文品1501は、荷物供給コンベア250上に置かれ、荷物輸送コンベア247に搬送され、次いで、梱包注文品1501は、荷物輸送コンベア247上でラストマイル仕分け区域216の取込口へ下流側に送られる。一実施形態では、コンベアは、ロボット保管/取り出し車両406ではなく、すべての作業ステーション、例えば206、207、240、245などで使用され、すべてのアクセスポート、例えば
図9~
図15Eに示す230、231、242、243及び251に保管ビン403を提示する。
【0098】
図16は、一実施形態による、
図6に示す注文履行システム200のレイアウトの部分斜視図であり、ASRS構造体208の第3の周辺側208cにおいて、協働的に重なり合う関係で梱包区域210に隣接する集約区域217と、ASRS構造体208の第3の周辺側208cのさらに下方に位置決めされるラストマイル仕分け領域216と、を示す。
図16の斜視図は、ASRS構造体208の第3の周辺側208cと第4の周辺側208dとが交差する角部に向かって、梱包作業ステーション245の最終列246bからASRS構造体208の第3の周辺側208cを示す。この観点から、
図16は、一列の集約梱包作業ステーション255が設置される集約区域217を図示し、その各々は、上記の
図14及び
図15A~15Eの詳細な説明に開示される梱包作業ステーション245に類似している。一実施形態では、集約梱包作業ステーション255の各々は、梱包区域210において使用するものと同じ又は類似のタイプのアクセスポート251と、光選択案内システム253と、表示画面901を備えるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)と、を備えるL字形状の作業ステーションである。これらの集約梱包作業ステーション255は、梱包作業ステーション245の最終列246bと同じ注文品ビンコンベア248を共有するが、梱包作業ステーション245の最終列246bが占有する、
図15A~15B及び
図15Dに示す注文品ビンコンベア248の出庫コンベア部248bではなく、注文品ビンコンベア248の入庫戻り部248dの分岐部によって供給される。したがって、集約梱包作業ステーション255において注文品が取り出された注文品ビン403cは、梱包作業ステーション245の最終列246bから戻ってきた注文品ビンと同じ戻り部248dでASRS構造体208に戻される。したがって、この実施形態では、集約区域217は、集約梱包作業ステーション255が梱包区域210の梱包作業ステーション245の一部と注文品ビン搬送設備を共有するという点で、梱包区域210と重なっている。
【0099】
注文が発生したとき、
図2~
図3に示す特大商品保管区域212に保管されている大型商品を含む注文品は、特大商品保管区域212から大型商品をピッキングするために人間又はロボットのピッカーに発行される電子又は印刷したピックチケットを有する。大型商品は、集約梱包作業ステーション255に隣接する集約区域217のステージング領域に運ばれる。ステージング領域は、大型商品のための適切に大きな棚、区画又は他の一時的なホールドを有する多数のステージングユニット256を備える。大型商品を置くステージング領域における特定のホールド又は他の識別可能なスポットの位置識別子は、
図30に示すコンピュータ制御システム(CCS)265に記録される。特大商品保管区域212におけるASRS構造体208の外側に保管される任意の大型商品を含む注文品に対する注文品ビン403cは、ロボット保管/取り出し車両(RSRV)406によって、集約梱包作業ステーション255の共有注文品ビンコンベア248及び梱包作業ステーション245の最終列246bに供給する出口ポート254において具体的に降ろされる。梱包作業ステーション245と同様に、注文品ビン403cが集約梱包作業ステーション255のアクセスポート251に到着するとき、注文品ビン403cは、例えばビン又は注文識別子の光学読み取りによって、あるいは無線周波数識別(RFID)タグ又は他の手段によるビン又は注文識別子の無線送信によって、CCS265に識別される。それによって、CCS265は、その注文品ビン403cに含まれる注文品の必要性に応じて、作業者、例えば人間の作業者に対して適切な指示を表示画面901に表示するように構成される。集約梱包ステーション255において、指示は、注文の大型商品の識別と、その大型商品がステージング領域に置かれる場所の場所識別子と、を含む。したがって、集約梱包作業ステーション255の作業者は、ステージング領域から大型商品を取り出し、その大型商品を注文品ビン403cからピッキングした小型商品に追加することができる。大型商品及び小型商品は、十分な規模の単一荷物にまとめることができ、又は別々に梱包して複数の荷物の注文品に集約することができる。大型商品はASRS構造体208にフィットしないため、これらの集約した注文品はラストマイル仕分け区域216を経由し、
図2に示す出荷区域213に直接送られる。
【0100】
さらにまた、
図16に示すような実施形態では、ラストマイル仕分け区域216は、ASRS構造体208の第3の周辺側208cにおいてASRS構造体208の周辺に隣接して設置される、本明細書では例示的に「パレットラック」と呼ぶ単一列の保管ラック257を備える。単一列のパレットラック257は、施設の一致する角部に位置する、
図6に示す特大商品保管区域212のパレットラック212aに近接して位置決めされ、施設の局所的な領域において、それぞれラストマイル仕分け区域216のパレットラック257及び特大商品保管区域212のパレットラック212aへのフォークリフトアクセスが便利になる。パレットラック257の複数のレベルは、パレット258が占有し、パレット258の上にそれぞれゲイロード259を有し、それによって、パレットラック257はASRS構造体208の内側の小さな保管場所よりも大きな保管スペースを区画し、ゲイロード259は、ASRS構造体208の内側にフィットしない大きな複数注文品出荷集約コンテナを表す。ラストマイル仕分け区域216は、ASRS構造体208の内側から、
図17に示すロボット荷物取扱車両1700の一団によって差配され、この一団は、
図5A~5Bに示すロボット収納/取り出し車両(RSRV)406といくつかの共通の運動構成部品を共有することにより、ASRS構造体208を構成する3次元(3D)格子状保管構造体400の格子状上部トラックレイアウト401及び格子状下部トラックレイアウト402上の同様の2次元の水平走行、及び3D格子状保管構造体400の直立シャフト405を通した3次元の垂直走行ができる。ロボット荷物取扱車両1700は、ラストマイル仕分け区域216において、梱包注文品をゲイロード259にまとめるように動作可能である。
【0101】
図17は、本発明の一実施形態による、出荷集約コンテナ、例えば
図16に示すラストマイル仕分け区域216におけるASRS構造体208の近位に保管されたゲイロード259に、
図15A~15B及び
図15D~15Eに示す梱包注文品1501を配送するための、
図2~3に示す注文履行システム200で使用するロボット荷物取扱車両1700の斜視図である。ロボット荷物取扱車両1700は、
図10A~
図10C及び
図12~
図13に示す未処理保管ビン403a、在庫保管ビン403b及び注文品ビン403cを含む
図5A~
図5Bに示す均一の大きさ及び形状の保管ビン403だけではなく、様々な形状及び大きさの梱包注文品1501を取り扱うことができる点で、RSRV406といくつかの側面で異なる。ロボット荷物取扱車両1700は、ASRS構造体208内でナビゲート可能であり、ASRS構造体208からの履行済みの注文商品を含む梱包注文品1501を受け取るように動作可能である。
図17に示すような実施形態では、ロボット荷物取扱車両1700は、RSRV406について上述した車輪付きシャーシ410と類似する車輪付きシャーシ1701を備える。車輪付きシャーシ1701は、ASRS構造体208を通してロボット荷物取扱車両1700を運動させるように動作可能である。車輪付きシャーシ1701は、ASRS構造体208において3次元でナビゲート可能である。車輪付きシャーシ1701は、互いに対して上下に移り、機内外で水平方向に調節されるように構成される車輪ユニット1702を備えることにより、ASRS構造体208を構成する
図4に示す3次元(3D)格子状保管構造体400の格子状上部トラックレイアウト401及び格子状下部トラックレイアウト402上で両水平方向に走行し、3D格子状保管構造体400の直立シャフト405を通して垂直走行に移行することができる。
【0102】
図5A~
図5Bの詳細な説明に開示されるRSRV406におけるタレット装備上部支持台412の代わりに、適合する大きさ及び構成の均一な大きさ及び形状の保管ビン403を積み降ろしするために、ロボット荷物取扱車両1700は、車輪付きシャーシ1701の上に回転可能に取り付けられるコンベアユニット1703を備えるコンベア装備ロボット車両として構成され、車輪付きシャーシ1701の中心方向及び垂直方向に延びる直立軸線1705を中心として車輪付きシャーシ1701に対して移動し、コンベアユニット1703を、ロボット荷物取扱車両1700から出荷集約コンテナへと異なる方向に梱包注文品1501を降ろすように動作可能な複数の異なる作業位置に再配向させる。車輪付きシャーシ1701の上にコンベアユニット1703を回転可能に取り付けることで、コンベアユニット1703は直立軸線1705を中心として回転することができる。コンベアユニット1703は、梱包注文品1501を受け取り、梱包注文品1501を出荷集約コンテナに降ろすように動作可能である。コンベアユニット1703は、ベルトコンベア1704を備える。ベルトコンベア1704は、例えば車輪付きシャーシ1701に取り付けられる電動モータのような回転駆動装置によって直立軸線1705を中心として回転可能なコンベアユニット1703のフレーム上に動作可能に設置される。ベルトコンベア1704は、梱包注文品1501を受け取り、梱包注文品1501を出荷集約コンテナに降ろすように動作可能である。一実施形態では、ベルトコンベア1704は、両反対方向に動作可能であり、その両端部1704a、1704bのいずれかから梱包注文品1501を積み降ろしすることができる。このような場合、ベルトコンベア1704は、直立軸線1705に対して互いに90度ずつ増加する少なくとも2つの作業位置間で直立軸線1705を中心として回転可能であり、ベルトコンベア1704が反対方向に動作できることにより、その4つの側面すべてにおいて梱包注文品1501をロボット荷物取扱車両1700に積み降ろしすることができる。コンベアユニット1703の回転を2つの作業位置間の90度の範囲に制限するのではなく、一実施形態では、コンベアユニット1703は、少なくとも270度の範囲、及び任意に360度全体にわたって回転するように構成され、ベルトコンベア1704が一方向のみで動作可能であるか、又は両方向で動作可能であるかにかかわらず、直立軸線1705を中心として互いに90度間隔の4つの異なる作業位置間で回転することができる。
【0103】
図18は、本発明の一実施形態による、
図6に示す注文履行システム200のラストマイル仕分け区域216の取込帯260の拡大部分斜視図であり、梱包注文品1501が梱包区域210から取込帯260に搬送されて、
図17に示すロボット荷物取扱車両1700にピックアップされる。
図18に示すような実施形態では、ラストマイル仕分け区域216の取込帯260は、ラストマイル仕分け区域216のパレットラック257の外側に、
図16に示す集約区域217及び梱包区域210に最も近い端部216aを越えて位置決めされている。取込帯260は、ASRS構造体208の下部トラックレベル400aにおいて、その他ASRS構造体208の実質的に被覆された外部に、少なくとも1つの、及び任意の実施形態では複数の取込開口部261を備える。梱包区域210からの荷物輸送コンベア247は、取込開口部261の各々に到達し、各取込開口部261の前で90度曲がる移送をして、梱包区域210から到着する梱包注文品1501を任意の取込開口部261へ選択的に方向転換させることができる。ASRS構造体208を構成する3次元(3D)格子状保管構造体400の内側で、ロボット荷物取扱車両1700は、取込開口部261の1つに隣接するピックアップスポットに駐車して、到着した梱包注文品1501を
図17に示すロボット荷物取扱車両1700のベルトコンベア1704上に受け取る。一実施形態では、ピックアップスポットは、荷物輸送コンベア247の高さに応じて、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402から上方に上昇し、したがって、ロボット荷物取扱車両1700をASRS構造体208の外側シャフトの途中まで上昇させる必要がある場合がある。この場合、別のロボット荷物取扱車両1700は、格子状下部トラックレイアウト402の下にあるスポットでピックアップスポットを待つ列をなすことができる。
【0104】
図19は、本発明の一実施形態による拡大部分斜視図であり、
図17に示すロボット荷物取扱車両1700が、
図18に示すラストマイル仕分け区域216における出荷集約コンテナ、例えばゲイロード259に梱包注文品1501を預け入れる様子を示す。ラストマイル仕分け区域216のパレットラック257におけるパレット搭載ゲイロード259の各垂直カラム1901に対して、ASRS構造体208は、ASRS構造体208の外周において垂直カラム1901におけるゲイロード259と整列する少なくとも1つの外側シャフト208fを備える。
図19に示すような実施形態では、各ゲイロード259は、ASRS構造体208の2つのスポットにほぼ等しい幅を有し、パレットラック257は、各ゲイロード259がASRS構造体208の外側において2つの開放シャフトと整列するようにレイアウトされる。梱包注文品1501を特定のゲイロード259に配送するために、ロボット荷物取扱車両1700は、梱包注文品1501をピッキングしたASRS構造体208の外側シャフト208fを、格子状上部トラックレイアウト401まで昇り続ける。ここでロボット荷物取扱車両1700は、次いで、ゲイロード259と整列する外側シャフト208fのうちの1つまで水平に走行し、この外側シャフト208fを、ゲイロード259の頂部開口部をわずかに超えるが、所与のゲイロード259の上方に存在するパレットラック257の任意の次のレベルよりも下の高さまで降りる。ロボット荷物取扱車両1700は、回転可能なコンベアユニット1703が、コンベアユニット1703の端部をパレットラック257及びその中に着座しているゲイロード259に向けている適切な位置にある状態で、その方向にベルトコンベア1704を前進させ、それによって、梱包注文品1501を対象のゲイロード259に排出する。次いで、ロボット荷物取扱車両1700は、ASRS構造体208の外側シャフト208fから格子状下部トラックレイアウト402まで降り続けて、ラストマイル仕分け区域216の取込帯260に戻り、
図18に示すように次の梱包注文品1501をピックアップする。
【0105】
梱包注文品1501をゲイロード259に降ろす実施例が
図19に図示されており、ロボット荷物取扱車両1700は、ラストマイル仕分け領域216の取込帯260において荷物輸送コンベア247から梱包注文品1501をピックアップした後、シャフト208fのうち1つを通って3次元(3D)格子状保管構造体400の格子状上部トラックレイアウト401まで登っている。
図19に示すように、ロボット荷物取扱車両1700は、ベルトコンベア1704をパレットラック257の最上位レベルに保管するゲイロード259に向かって動作させ、ゲイロード259の頂部開口部が、ロボット荷物取扱車両1700が3D格子状保管構造体400の格子状上部トラックレイアウト401に乗軌する高さよりも短い距離下に存在するようにする。パレットラック257の下位レベルのゲイロード259は、ASRS構造体208の外側シャフトから同様にアクセス可能であり、ロボット荷物取扱車両1700は、格子状上部トラックレイアウト401から下降していき外側シャフト208fの適切な高さで停止して、梱包注文品1501を対象のゲイロード259に排出する。
【0106】
注文品を管理する
図30に示すコンピュータ制御システム(CCS)265は、例えば郵便番号に基づいて、宛先が一致する又は地理的に類似する履行済注文品を、ラストマイル仕分け区域216における同じゲイロード259に割り当て、それによって、そのような地理的に関連する注文品を、ロボット荷物取扱車両1700の一団が同じゲイロード259にまとめる。一実施形態では、梱包注文品1501の出荷ラベルは、ラストマイル仕分け区域216の取込帯260に到着した時に、又は梱包区域210からラストマイル仕分け区域216に梱包注文品1501を搬送している間に読み取られ、梱包注文品1501をどのゲイロード259に配送するかの決定に使用する目的地情報を決定する。ゲイロード259が満杯になると、又は
図2に示す出庫輸送業務若しくは運搬車両214が到着した若しくは到着間近になると、まとめた注文品を有するゲイロード259は、例えばフォークリフトによってラストマイル仕分け区域216のパレットラック257から取り出され、
図2に示す出荷区域213に移送されて出庫輸送業務又は運搬車両214によってピックアップされる。
【0107】
図16及び
図18~
図19に示す実施形態では、ラストマイル仕分け区域216は、ラストマイル仕分け区域216の取込帯260が存在するASRS構造体208の同じ側にパレットラック257を1列のみ備えるが、ロボット荷物取扱車両1700のベルトコンベア1704が両方向に回転可能であり、ピックアップスポットにおいて梱包注文品1501をロボット荷物取扱車両1700上に積み、梱包注文品1501をゲイロード259に降ろすことができることを条件として、ロボット荷物処理車両1700上のコンベアユニット1703の回転は必要ではない。他の実施形態では、ラストマイル仕分け区域216のパレットラック257は、別の場所、例えば
図6に示すASRS構造体208の第4の周辺側208dに付加的に又は代替的に位置決めされ、この場合、ASRS構造体208における方位が変化しないロボット荷物取扱車両1700の車輪付きシャーシ1701に対して、異なる積み降ろし方向に対応するために、異なる作業位置間でロボット荷物取扱車両1700上のコンベアユニット1703が回転する必要がある。一実施形態では、ASRS構造体208の第4の周辺側208d上にラストマイル仕分け区域216のパレットラック257を追加することより、ラストマイル仕分け区域216のレイアウトがL字形状となり、パレットラック257は、2つの隣接する周辺側208c及び208d上を、ASRS構造体208のこれらの2つの周辺側208c及び208dが交わる角部から外向きに広がる。別の実施形態では、ラストマイル仕分け区域216に対してE字形状レイアウトが採用され、パレットラック257の1つ以上の列がASRS構造体208に貫入する。
【0108】
さらにまた、回転可能なコンベアユニット1703を有するロボット荷物取扱車両1700は、他の有益な目的のためにASRS構造体208における他の場所でも使用される。例えば、ASRS構造体208を構成する3次元(3D)格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402の周辺に隣接するスポットにおいて、緩んだ、すなわち個々のビンなし在庫準備済み商品を同様にピックアップして、ASRS構造体208の隣接するシャフトから頂部が開口している在庫保管ビン403bに、ロボット荷物取扱車両1700のベルトコンベア1704から商品を同様に排出することで、ASRS構造体208に既に保管されている
図10Aに示す在庫保管ビン403bにそのような緩んだ商品を配送して積む。したがって、異なる方向を向いた異なる作業位置にコンベアユニット1703を回転させることにより、ASRS構造体208の任意のシャフトの任意の側にある在庫保管ビン403bに緩い在庫商品を降ろすことができる。また、この実施形態は、ロボット荷物取扱車両1700が、
図5A~5Bに示す保管ビン403を取り扱うロボット保管/取り出し車両(RSRV)406と同じASRS構造体208で動作することを実証する。他の実施形態では、ロボット荷物取扱車両1700がラストマイル仕分け区域216でのみ使用されるように構成されている場合、ロボット荷物取扱車両1700が梱包注文品1501をゲイロード259に排出するラックに隣接する場所まで走行するトラックレール及びラック歯付きフレーム部材は、ASRS構造体208と相互接続させる必要はなく、またASRS構造体208の一部である必要もない。本明細書に開示される実施形態では、ASRS構造体208とラストマイル仕分け区域216の車両ナビゲート構造体との間で同じタイプの構造構成要素を使用し、したがって2つのカテゴリのロボット車両406及びロボット車両1700の間でロボット運動シャーシを同一の設計とすると費用対効果が高い。
【0109】
図20は、本発明の一実施形態による、ロボット荷物取扱車両1700がASRS構造体208の外側の位置するナビゲーション構造体262上の出荷集約コンテナ、例えばゲイロード259にアクセスする、ラストマイル仕分け区域216の代替通路ベース構成を示す上面等角図である。ラストマイル仕分け区域216の車両ナビゲーション構造体262が、保管ビン403を保管するASRS構造体208と同じではない実施形態では、
図20に示すように、より大きな複数列のラストマイル仕分け区域216を採用し、パレットラックの複数の列257a、257bが通路アクセス形式で配列されている。一実施形態では、ナビゲーション構造体262は、ASRS構造体208の構成要素と一致する構成要素で構成される。
図20に示す実施形態では、パレットラックの2つの列257a、257bが互いに背中合わせで位置決めされている。さらにまた、狭く細長い格子構造体262がパレットラック257a、257bの間に位置決めされ、ASRS構造体208を構成する
図4に示す3次元(3D)格子状保管構造体400の同じ水平レール407、408及びトラック歯付き垂直フレーム部材409から組み立てられている。一実施形態では、狭く細長い格子構造体262は、
図4に示すようないかなる保管ビン403も保管しないので、幅が1つ又は2つのスポット分しかなく、棚もない。一実施形態では、狭く細長い格子構造体262を使用することにより、ロボット荷物取扱車両1700はパレットラックの背中合わせの2つの列257a、257bにおける任意のゲイロード保管スペースにアクセスすることができる。
図20に示すように、これらパレットラックの2つの列257a、257bの各々と、それに面しているそれぞれの隣接するパレットラックの列257c、257bとの間に、開放通路空間263が残されている。任意の通路263の両側にある狭く細長い格子構造体262は、上部トラック264及び/又は下部トラックによって互いにリンクし、各ロボット荷物取扱車両1700は、通路のあるラストマイル仕分け区域216におけるパレットラックの任意の列257a、257b、257c、257dにアクセス可能である。
【0110】
本明細書に開示される注文履行システム200の施設レイアウトを表す図示の実施形態は、異なる業務区域、例えば
図6に示すデカンティング/誘導区域204、VAS及び返品区域205、ピッキング区域209、梱包区域210、ラストマイル仕分け区域216などを備え、3D格子状保管構造体400の格子状下部トラックレイアウト402からの業務のために地面レベルに位置決めされる。他の実施形態では、注文履行システム200の施設レイアウトは、格子状上部トラックレイアウト401に接続される業務区域の一部又は全部を含む。他の実施形態では、注文履行システム200は、ASRS構造体208内の他の業務レベルにおいて中間トラックレイアウトを組み込んでいる。これらの中間トラックレイアウトは、それに接続される業務区域の一部又は全部を有する。本明細書に開示される注文履行システム200では、
図5A~5Bに示すロボット保管/取り出し車両(RSRV)406を使用して、様々な業務区域がRSRV406によってASRS構造体208のどの特定のレベルで差配されるかに関わらず、すべての業務区域間ですべての保管ビン403を配送することができる。このようにRSRV406を使用してすべての区域間でビンを移送することにより、従来のレイアウトで使用していた長距離区域間コンベアの一部又はすべてを空間効率的に省略することを可能にし、ASRS構造体208の2次元設置領域内のすべての区域間でビンを移送する。
【0111】
ASRS構造体208及び関連するRSRV406の一団が、上記で引用されかつ
図4及び
図5A~5Bに示す本出願人の先行特許出願に開示されたタイプではない場合、空間効率及び業務効率がさらに得られる。例えば、空間効率及び業務効率は、頭上の保管通路の下の地面レベルでASRS構造体208の2次元設置領域をナビゲートする床乗りRSRVを採用する通路ベースの保管配列において得られ、これらのRSRVはASRS構造体208を登って保管ビンを取り出し及び預け入れることもでき、又は別個のエレベータで差配される。区域間でビンを移送するためのRSRV406は、保管ビンが互いに積み重ねられ、エレベータ装備の保管/取り出し車両が2次元で走行する天井格子状トラックから掘削方式でアクセスするスタックアンドディグASRS構造体においても採用される。
図2~4に示す実施形態において本明細書に開示される特定のASRS構造体208を使用することにより、かなりの保管密度が得られ、シャフト横断RSRV406によって通路ベースの保管配列及びスタックアンドディグ保管配列を超えて任意の保管場所へ瞬時に継続的にアクセスすることができる。
【0112】
図21は、本発明の一実施形態による、上記に開示された注文履行システムを使用して注文を履行する方法を示すフローチャートである。本明細書に開示される方法では、
図2~
図20の詳細な説明に開示されるように、自動保管/取り出しシステム(ASRS)構造体及びロボット保管/取り出し車両(RSRV)の一団を備える施設において、入庫商品を受け取る(ステップ2101)。1つ以上のデカンティング作業ステーションにおいて、入庫商品を最初に受け取った状態で未処理保管ビンに置き、未処理保管ビンをRSRV上のASRS構造体に誘導する(ステップ2102)。RSRVを使用して、未処理保管ビンのうち1つ以上を1つ以上の処理作業ステーション、例えば付加価値業務及び返品取扱作業ステーションに運ぶ(ステップ2103)。処理作業ステーションにおいて処理ステップを実行し、入庫商品を注文履準備済みの販売可能な在庫商品に変える。処理作業ステーションからの販売可能な在庫商品を、RSRVが運ぶ在庫保管ビンにおけるASRS構造体に誘導する(ステップ2104)。RSRVを使用して、在庫保管ビンのうち少なくとも1つをピッキング作業ステーションに運ぶ(ステップ2105)。ピッキング作業ステーションにおいて、販売可能な在庫商品のうち1つ以上を在庫保管ビンからピッキングし、注文品ビンに移送し、少なくとも部分的に履行済みの注文品を形成する(ステップ2106)。ピッキング作業ステーションからの部分的に履行済みの注文品をRSRVのうち1つのASRS構造体に誘導する(ステップ2107)。一実施形態では、同じ又は異なるRSRVを使用して、注文品ビンを梱包作業ステーションに運び、そこで部分的に履行済みの注文品を含む完全な注文品を出荷梱包する。
【0113】
一実施形態では、部分的に履行済みの注文品を梱包作業ステーションからラストマイル仕分け区域に移送する。ラストマイル仕分け区域において、RSRVと運動設計が一致するロボット荷物取扱車両を使用して、ASRS構造体と構成要素が一致するナビゲーション構造体上のラストマイル仕分け区域を通して、部分的に履行済みの注文品を運ぶ。ナビゲーション構造体上でのロボット荷物取扱車両のナビゲーションにより、部分的に履行済みの注文品を出荷集約コンテナ、例えばゲイロードボックスに運び、出荷集約コンテナに預け入れて他の出荷待ちの注文品と集約する。ラストマイル仕分け区域のナビゲーション構造体は、RSRVがナビゲート可能であるASRS構造体に動作可能に連結され、それによって、ロボット荷物取扱車両はASRS構造体内でナビゲート可能である。
【0114】
図22は、本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて誘導プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。上記に開示された注文履行システムを採用する施設に、入庫積み込みドックからケース又はトートを降ろす(ステップ2201)実施例を考える。注文履行システムのコンピュータ制御システム(CCS)は、作業者、例えば人間の作業者若しくはロボット作業者、又は一実施形態ではロボット車両に、
図2~3及び
図6~7に示すように、施設の受取区域においてケース/トートを取込コンベア上に置くように指示又は通知を送信する(ステップ2202)。一実施形態では、CCSは、人間の作業者への指示を表示する表示画面を備えるヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を採用している。取込コンベアは、ケース/トートを誘導区域の利用可能な誘導作業ステーションに搬送する(ステップ2203)。CCSは、作業者、例えば人間の作業者又はロボット作業者に、ケース/トートに貼られたラベルを読み取るように指示又は通知を送信する(ステップ2204)。ケース/トートのラベルを読み取ると、CCSはケース/トートのナンバープレート番号を受信して(ステップ2205)、ケース/トートの内容物及びこれらの処理特性を決定する(ステップ2206)。CCSは、ケース/トートの内容物を利用可能な保管ビンに割り当てる(ステップ2207)。CCSは、ケース/トートが付加価値業務(VAS)処理を必要とするかどうかを判断する(ステップ2208)。ケース/トートがVAS処理を必要とする新しい在庫商品又は各ピース又は各部を含む場合、CCSは、新しい在庫商品を降ろす未処理保管ビンとして保管ビンにフラグを立てる(ステップ2209)。ケース/トート内の在庫商品がVAS処理を必要としない場合、CCSは、ケース/トートが顧客返品を含む返品トートかどうかを判断する(ステップ2210)。ケース/トートが返品トートである場合、CCSは、顧客返品を降ろす返品ビンとして保管ビンにフラグを立てる(ステップ2211)。ケース/トートが返品トートでない場合、CCSは、既に処理済みの在庫商品を降ろす処理済保管ビンとして保管ビンにフラグを立てる(ステップ2212)。CCSは作業者に、ケース/トート内の商品を読み取り、読み取った商品を割り当てられた保管ビンに置き、ケース/トートの誘導の完了を確認するように指示又は通知を送信する(ステップ2213)。次いで、CCSはロボット車両、例えば上記に開示されたロボット保管/取り出し車両(RSRV)のうち1つを作動させて、割り当てられた保管ビンを注文履行システムの自動保管/取り出しシステム(ASRS)構造体内に保管する(ステップ2214)。ロボット車両が割り当てられた保管ビンをASRS構造体内に保管したとき、誘導プロセスが終了する(ステップ2215)。
【0115】
図23は、本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて付加価値業務(VAS)プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。その実施例では、VAS処理を必要とする在庫商品を、未処理保管ビン又は在庫商品識別番号(SKU)ビンに降ろす(ステップ2301)。コンピュータ制御システム(CCS)は、ロボット車両、例えばロボット保管/取り出し車両(RSRV)に、注文履行システムの自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体から未処理保管ビン及び空の保管ビンを取り出すよう指示して作動させる(ステップ2302)。第1のロボット車両は、ASRS構造体から未処理保管ビンを取り出し、未処理保管ビンをVAS及び返品区域のVAS作業ステーションのピッキングポート又はピッキングアクセスポートに提示する(ステップ2303)。第2のロボット車両は、ASRS構造体から空のビンを取り出し、空のビンをVAS作業ステーションの配置ポート又は配置アクセスポートに提示する(ステップ2304)。CCSは、作業者、例えばVAS作業ステーションのヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を介した人間の作業者又はロボット作業者に指示して、未処理保管ビンの内容物に対して付加価値業務、例えば再包装、ラベル付け、値札付け、セキュリティタグ付けなどを行い、その内容物をVAS作業ステーションの配置ポートにおいて空の保管ビンに置く(ステップ2305)。第1のロボット車両はASRS構造体内に現在は空の未処理保管ビンを保管する(ステップ2306)一方、第2のロボット車両はASRS構造体内に現在は処理済みの保管ビンを保管する(ステップ2307)。第1のロボット車両及び第2のロボット車両が現在は空の未処理保管ビン及び現在は処理済みの保管ビンをそれぞれASRS構造体に保管したとき、VASプロセスが終了する(ステップ2308)。
【0116】
図24A~24Bは、本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて返品取扱プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。その実施例では、返品ビンが処理を要求する(ステップ2401)。コンピュータ制御システム(CCS)は、第1のロボット車両、例えばロボット保管/取り出し車両(RSRV)に、返品ビンを取り出すよう指示して作動させる(ステップ2402)。第1のロボット車両は、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体から返品ビンを取り出し、返品ビンをVAS及び返品区域の返品取扱作業ステーションのピッキングポート又はピッキングアクセスポートに提示する(ステップ2403)。CCSは、作業者、例えば人間の作業者又はロボット作業者に、ピッキングポートからの返品商品をピッキングして読み取るよう指示する(ステップ2404)。CCSは、第2のロボット車両、例えばRSRVに、ASRS構造体から必要な処理済保管ビン又は在庫商品識別番号(SKU)ビンを取り出すよう指示して作動させる(ステップ2405)。第2のロボット車両は、ASRS構造体から「マルチSKUビン」とも呼ぶ多区画保管ビンを取り出し、マルチSKUビンを返品取扱作業ステーションの配置ポート又は配置アクセスポートに提示する(ステップ2406)。作業者は、返品商品を検査して(ステップ2407)、返品商品を受け入れ可能かどうかを判断する(ステップ2408)。返品商品を受け入れることができない場合、CCSは、作業者に返品商品を処理して拒否トートに置くよう指示する(ステップ2409)。返品商品が受け入れ可能な場合、CCSは、作業者に返品商品を処理し、配置ポートにおける処理済保管ビンに置くよう指示する(ステップ2410)。第2のロボット車両は、処理済保管ビンをASRS構造体に保管する(ステップ2411)。CCSは、処理すべき返品商品がまだあるかどうかを判断する(ステップ2412)。処理すべき返品商品がまだある場合には、上記に開示されたステップ2404~2412を繰り返す。処理すべき返品商品がこれ以上ない場合、第1のロボット車両は、CCSと通信して、空の保管ビンをASRS構造体に保管する(ステップ2413)。返品ビンを処理してASRS構造体に保管したとき、返品取扱プロセスが終了する(ステップ2414)。
【0117】
図25は、本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいてピッキングプロセスを実行する方法を示すフローチャートである。その実施例では、仕分け可能な顧客注文をリリースして処理する(ステップ2501)。コンピュータ制御システム(CCS)は、顧客注文のバッチをピッキング区域のピッキング作業ステーションに割り当てる(ステップ2502)。CCSは、顧客注文のバッチに対して適切な大きさの注文品ビンを割り当て、各顧客注文を注文品ビンにおける区画に割り当て、個々の注文品を区画に配分する(ステップ2503)。CCSは、ロボット車両、例えばロボット保管/取り出し車両(RSRV)に、注文品ビンを取り出してピッキング作業ステーションの配置ポート又は配置アクセスポートに持ち込むよう指示する(ステップ2504)。CCSは、ロボット車両に、各顧客注文のライン商品のための処理済保管ビン又は在庫商品識別番号(SKU)ビンを取り出すよう指示する(ステップ2505)。ロボット車両は、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体から処理済保管ビンを取り出し、処理済保管ビンをピッキング作業ステーションのピッキングポートに提示する(ステップ2506)。CCSは、作業者、例えばヒューマン・マシン・インターフェースを介した人間の作業者、又はロボット作業者に、処理済保管ビンからすべての必要な商品をピッキングし、ピッキングした商品を注文品ビンの割り当てられた区画に置くよう指示する(ステップ2507)。ロボット車両は、処理済保管ビンをASRS構造体に保管する(ステップ2508)。CCSは、顧客注文に対してさらなる商品が必要かどうかを判断する(ステップ2509)。顧客注文に対してさらなる商品が必要な場合には、上記に開示されたステップ2504~2508を繰り返す。顧客注文のためにさらなる商品が必要な場合、CCSは、作業者に、すべての顧客注文の完了を確認するよう指示する(ステップ2510)。CCSは、ピッキングタスクを閉じ、ロボット車両にピッキング作業ステーションから出るよう指示する(ステップ2511)。顧客注文品をピッキングした後、ピッキングプロセスが終了する(ステップ2512)。
【0118】
図26は、本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて梱包プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。その実施例では、注文品ビン内の顧客注文品が梱包準備済みである(ステップ2601)。コンピュータ制御システム(CCS)は、注文品ビンを梱包区域の梱包作業ステーションに割り当てる(ステップ2602)。CCSは、ロボット車両、例えばロボット保管/取り出し車両(RSRV)に、注文品ビンを梱包輸送コンベアに輸送するよう指示して作動させる(ステップ2603)。ロボット車両は、注文品ビンを梱包輸送コンベアに輸送する(ステップ2604)。梱包輸送コンベアは、割り当てられた梱包作業ステーションにおいて注文品ビンを提示する(ステップ2605)。CCSは、作業者、例えばヒューマン・マシン・インターフェースを介した人間の作業者、又はロボット作業者に、注文品ビンの区画を選択するよう指示する(ステップ2606)。作業者は小包箱を組み立て、注文品を梱包し、小包箱に出荷ラベルを貼り、小包箱を出庫コンベア又は荷物供給コンベア上に置く(ステップ2607)。CCSは、梱包すべき注文品がまだあるかどうかを判断する(ステップ2608)。梱包すべき注文品がまだある場合には、上記に開示されたステップ2606及び2607を繰り返す。梱包すべき注文品がもうない場合、ロボット車両は、空の注文品ビンを自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体に保管する(ステップ2609)。顧客注文品を梱包した後、梱包プロセスが終了する2610。
【0119】
図27は、本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいてラストマイル仕分けプロセスを実行する方法を示すフローチャートである。その実施例では、ラストマイル仕分け動作に対して顧客注文品を小包にする準備済みである(ステップ2701)。出庫コンベア又は荷物供給コンベアは、小包をラストマイル仕分け区域の取込帯に搬送する(ステップ2702)。コンピュータ制御システム(CCS)は、作業者、例えば人間の作業者又はロボット作業者に、小包の出荷ラベルを読み取るよう指示する(ステップ2703)。CCSは、ロボット車両、例えばロボット保管/取り出し車両(RSRV)に、小包を指定のゲイロードに積んで輸送するよう指示する(ステップ2704)。ロボット車両は、小包を指定のゲイロードに輸送し、小包をゲイロードに預け入れる(ステップ2705)。小包内の顧客注文品が運送業者又は郵便番号ごとに仕分けされ、運送業者によるピックアップの準備ができたとき、ラストマイルの仕分けプロセスが終了する(ステップ2706)。
【0120】
図28は、本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて特大商品ピッキングプロセスを実行する方法を示すフローチャートである。その実施例では、特大商品の顧客注文をリリースして処理する(ステップ2801)。コンピュータ制御システム(CCS)は、注文ライン商品をピッキングするよう手動ピッカーを割り当てる(ステップ2802)。手動ピッカーは、特大商品保管区域における注文ライン商品をピッキングし、注文ライン商品を集約区域に輸送する(ステップ2803)。次いで、手動ピッカーは、特大ライン商品を壁置(put-wall)場所に置き、注文を壁置場所に割り当てる(ステップ2804)。特大商品の顧客注文品をピッキングしたとき、特大商品ピッキングプロセスが終了する(ステップ2805)。
【0121】
図29A~
図29Bは、本発明の一実施形態による、注文履行システムにおいて特大商品梱包プロセスを実行する方法を示すフローチャートである。その実施例では、顧客注文の特大商品を壁置場所に置く(ステップ2901)。コンピュータ制御システム(CCS)は、顧客注文に仕分け可能な商品が含まれるかどうかを判断する(ステップ2902)。顧客注文に仕分け可能な商品が含まれる場合、CCSは、ロボット車両、例えばロボット保管/取り出し車両(RSRV)に、注文品ビンを集約梱包コンベアまで輸送するよう指示する(ステップ2903)。ロボット車両は、注文品ビンを集約梱包コンベアまで輸送する(ステップ2904)。集約梱包コンベアは、集約区域において、注文品ビンを割り当てられた集約梱包作業ステーションに提示する(ステップ2905)。CCSは、特大商品の顧客注文を梱包する準備ができていることを作業者に通知する(ステップ2906)。CCSは、特大商品及び仕分け可能な注文商品を集約するよう作業者に通知する(ステップ2907)。作業者は、特大商品及び仕分け可能な商品を顧客注文品に集約する(ステップ2908)。顧客注文に仕分け可能な商品が含まれていない場合、CCSは、特大商品の注文を梱包する準備ができていることを作業者に通知する(ステップ2909)。ステップ2908又は2909の後、作業者は小包箱を組み立て、顧客注文品を梱包し、小包箱に出荷ラベルを貼り、小包箱を出庫パレット上に置く(ステップ2910)。CCSは、梱包すべき仕分け可能な商品を有する顧客注文がまだあるかどうかを判断する(ステップ2911)。梱包すべき仕分け可能な商品を有する顧客注文がまだある場合には、上記に開示されたステップ2906~2910を繰り返す。梱包すべき仕分け可能な商品を有する顧客注文がもうない場合、ロボット車両は、空の注文品ビンを自動保管及び取り出しシステム(ASRS)構造体に保管する(ステップ2912)。顧客注文品を梱包したとき、特大商品梱包プロセスが終了する(ステップ2913)。
【0122】
図30は、本発明の一実施形態による、異なる業務区域間で注文履行ワークフローを実行する注文履行システム200のアーキテクチャブロック図である。一実施形態では、注文履行システム200のコンピュータ制御システム(CCS)265は、自動保管及び取り出しシステム(ASRS)208と、ロボット車両の一団、例えばロボット保管/取り出し車両(RSRV)406及びロボット荷物取扱車両1700と、複数の作業ステーション、例えば
図7、
図9、
図11、
図14及び
図16に示す異なる業務区域のデカンティング/誘導作業ステーション221、付加価値業務(VAS)作業ステーション206、返品取扱作業ステーション207、ピッキング作業ステーション240、梱包作業ステーション245及び集約梱包作業ステーション255と、
図2~3、
図7、
図10B~
図10C及び
図15Aに示す複数のコンベア203、211、218、238、239、248及び250と、動作可能に通信する。作業ステーションのうち1つ以上は、表示画面901を有するヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)と、例えば
図10Aに示す点灯案内システム232及び
図15Bに示す光選択案内システム253のような導光システムと、を備える。
【0123】
CCS265は、通信ネットワークに連結されるネットワークインターフェース268と、ネットワークインターフェース268に連結される少なくとも1つのプロセッサ266と、を含む。本明細書で使用する「通信ネットワーク」という用語は、例えば、インターネット、無線ネットワーク、Bluetooth Sig社のBluetooth(登録商標)を実装する通信ネットワーク、Wi-Fi Alliance社のBluetooth(登録商標)、超広帯域(UWB)通信ネットワーク、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)通信ネットワークを実装するネットワーク、ZigBee Alliance社のZigBee(登録商標)、一般パケット無線サービス(GPRS)ネットワークを実装する通信ネットワーク、グローバル・システム・フォー・モバイル(GMS)通信ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、第3世代(3G)移動体通信ネットワーク、第4世代(4G)移動体通信ネットワーク、第5世代(5G)移動体通信ネットワーク、ロング・ターム・エボリューション(LTE)移動体通信ネットワーク、公衆通信ネットワークなどの移動体通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、インターネット接続ネットワーク、赤外線通信ネットワークなどのいずれか、又はこれらのネットワークの任意の組み合わせから形成されるネットワークを指す。ネットワークインターフェース268は、CCS265が通信ネットワークに接続することを可能にする。一実施形態では、ネットワークインターフェース268は、ラインカードとも呼ばれるインターフェースカードとして提供される。ネットワークインターフェース268は、例えば赤外線インターフェース、Wi-Fi Alliance社のWi-Fi(登録商標)を実装するインターフェース、ユニバーサルシリアルバスインターフェース、Apple社のFireWire(登録商標)インターフェース、イーサネットインターフェース、フレームリレーインターフェース、ケーブルインターフェース、デジタル加入者線インターフェース、トークンリングインターフェース、周辺制御装置相互接続インターフェース、ローカルエリアネットワークインターフェース、ワイドエリアネットワークインターフェース、シリアルプロトコルを使用するインターフェース、パラレルプロトコルを使用するインターフェース、イーサネット通信インターフェース、非同期転送モードインターフェース、高速シリアルインターフェース、ファイバ分散データインターフェース、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコルに基づくインターフェース、衛星技術、無線周波数技術、近距離通信などの無線通信技術に基づくインターフェースなどのうちの1つ以上である。
【0124】
一実施形態では、CCS265は、高レベルコンピュータプログラミング言語を使用してプログラム可能なコンピュータシステムである。CCS265は、プログラムされた目的に応じたハードウェアを使用して実装される。本明細書に開示される注文履行システム200では、CCS265は、ASRS構造体208、ロボット車両406/1700及び作業ステーション206、207、221、240、245、255とインターフェースし、したがって、2つ以上の具体的にプログラムされた計算システムを使用して注文を履行する。CCS265は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体、例えばプロセッサ266に通信可能に連結される記憶装置270をさらに含む。本明細書で使用する「非一過性のコンピュータ可読記憶媒体」という用語は、一過性の伝播信号を除くすべてのコンピュータ可読媒体、例えば不揮発性媒体及び揮発性媒体を指す。不揮発性媒体は、例えばソリッドステートドライブ、光ディスク又は磁気ディスク、フラッシュメモリカード、読み出し専用メモリ(ROM)などを含む。揮発性媒体は、例えばレジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、ランダムアクセスメモリなどを含む。
【0125】
プロセッサ266は、任意の1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)デバイス、有限状態機械、コンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、論理、論理デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲート配列(FPGA)、チップなど、又はそれらの任意の組み合わせを指し、コンピュータプログラム又は一連の命令、指示若しくは状態遷移を実行することができる。一実施形態では、プロセッサ266は、例えばプログラムされたマイクロプロセッサと、数学又はグラフィックスコプロセッサと、を含むプロセッサセットとして実装される。なお、CCS265はプロセッサ266を採用することに限定されない。一実施形態では、CCS265は、コントローラ又はマイクロコントローラを採用する。プロセッサ266は、モジュール、例えばCCS265の270a~270eを実行する。
【0126】
記憶装置270を使用して、プログラム指示、アプリケーション及びデータを格納する。記憶装置270は、モジュール、例えばCCS265の270a~270dが定めるコンピュータプログラム指示を格納する。記憶装置270は、プロセッサ266に動作可能かつ通信可能に連結され、モジュール、例えばCCS265の270a~270eが定めるコンピュータプログラム指示を実行して注文を履行する。記憶装置270は、例えばプロセッサ266が実行する情報及び指示を格納するランダムアクセスメモリ(RAM)又は別のタイプの動的記憶装置である。また、記憶装置270は、プロセッサ266が指示を実行する間に使用する一時変数及び他の中間情報を格納する。一実施形態では、CCS265は、プロセッサ266が実行する静的情報及び指示を格納する読み出し専用メモリ(ROM)又は他のタイプの静的記憶装置をさらに含む。一実施形態では、モジュール、例えばCCS265の270a~270eは、記憶装置270に格納されている。非一過性のコンピュータ可読記憶媒体、例えば記憶装置270は、コンピュータプログラム指示を格納するように構成され、コンピュータプログラム指示がプロセッサ266によって実行されるとき、プロセッサ266にロボット車両406/1700のうち1つ以上を作動させて、(a)ASRS構造体208内で及び/又は異なる業務区域の各々を通してナビゲートすること、(b)ASRS構造体208の保管場所から保管ビンを取り出すこと、(c)異なる業務区域において保管ビンを下降させること、(d)異なる業務区域から保管ビンをピックアップすること、並びに(e)ASRS構造体208の保管場所に保管ビンを戻して保管すること、のうち1つ以上を実行させる。CCS265は、作業者、例えば人間の作業者又はロボット作業者に業務指示を送信して、保管ビンに含まれる商品に対する1つ以上の業務アクションを実行させるように構成される。
【0127】
図30に示すように、CCS265は、データバス271と、表示装置267と、共通モジュール269と、をさらに含む。データバス271は、モジュール、例えばCCS265の266、267、268、269、270間の通信を許可する。表示装置267は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)267aを介して、例えばシステム管理者等のユーザが顧客注文に対するデジタル記録を更新したり、在庫情報を入力したり、データベーステーブルを更新したりできるようにする情報、表示インターフェース、チェックボックス、入力テキストフィールドなどのユーザインターフェース要素を表示して、注文を履行する。CCS265は、システム管理者からの入力を受信するために、GUI267aを表示装置267上に描画する。GUI267aは、例えばオンラインウェブインターフェース、ウェブベースのダウンロード可能なアプリケーションインターフェース、モバイルベースのダウンロード可能なアプリケーションインターフェースなどを含む。表示装置267は、GUI267aを表示する。CCS265の共通モジュール269は、例えば入力/出力(I/O)コントローラ、入力装置、出力装置、ハードドライブなどの固定媒体ドライブ、取り外し可能媒体を受け取るための取り外し可能媒体ドライブなどを含む。コンピュータアプリケーション及びプログラムを使用して、CCS265を動作させる。プログラムは、固定媒体ドライブにロードされ、取り外し可能媒体ドライブを介して記憶装置270にロードされる。一実施形態では、コンピュータアプリケーション及びプログラムは、通信ネットワークを介して直接記憶装置270にロードされる。
【0128】
図30に示す例示的な実装形態では、CCS265は、内容物決定モジュール270aと、ビン割り当てモジュール270bと、ロボット作動モジュール270cと、注文管理モジュール270dと、施設データベース270eと、を含む。内容物決定モジュール270aは、入庫積み込みドックから本明細書に開示される注文履行システム200を採用する施設に降ろされるケース/トートの内容物を決定するためのコンピュータプログラム指示を定める。ビン割り当てモジュール270bは、ケース/トートの内容物を利用可能な保管ビンに割り当て、処理及び返品取扱要件に基づいて、保管ビンに未処理保管ビン、返品ビン又は処理済保管ビンとしてフラグを立てるためのコンピュータプログラム指示を定める。ロボット作動モジュール270cは、ロボット車両406/1700のうちの1つ以上を作動させて、上記に開示されるように、注文履行システム200の異なる業務区域におけるデカンティング、誘導、付加価値業務(VAS)処理、返品の取り扱い、ピッキング、梱包、ラストマイル注文仕分けなどを行う間に様々な保管及び取り出し動作を実行する。注文管理モジュール270dは、顧客注文を受信し、施設データベース270eの注文情報及び在庫情報を更新し、作業ステーションの作業者に業務指示を送信し、注文履行指示を実行するためのコンピュータプログラム指示を定める。
【0129】
CCS265のプロセッサ266は、内容物決定モジュール270a、ビン割り当てモジュール270b、ロボット作動モジュール270c及び注文管理モジュール270dが定める指示を取り出し、上記に開示されたそれぞれの機能を実行する。プロセッサ266は、モジュール、例えば270a-270dを実行するための指示を記憶装置270から取り出す。処理後、プロセッサ266が記憶装置270から取得した指示を復号化する。処理及び復号化の後、プロセッサ266は、それぞれの指示を実行し、それによってそれらの指示が定める1つ以上のプロセスを実行する。CCS265のオペレーティングシステムは複数のルーチンを実行し、モジュール、例えば270a~270eを実行するための入力装置、出力装置及び記憶装置270を割り当てるのに必要な多数のタスクを実行する。オペレーティングシステムが実行するタスクは、例えば、メモリを例えば270a~270eなどのモジュール及びCCS265が使用するデータに割り当てることと、記憶装置270とハードディスクユニットとの間でデータを移動させることと、入出力操作を取り扱うことと、を含む。オペレーティングシステムは、操作による要求に応じてタスクを実行し、タスクの実行後、オペレーティングシステムは、実行制御をプロセッサ266に戻す。プロセッサ266は、実行を継続して1つ以上の出力を取得する。
【0130】
説明のために、発明の詳細な説明は、単一のコンピュータシステム上でローカルに実行されるモジュール、例えば270a~270eを参照している。しかし、本明細書に開示される注文履行システム200及び方法の範囲では、モジュール、例えば270a~270eは、オペレーティングシステム及びプロセッサ266を介して単一のコンピュータシステム上でローカルに実行されるものに限定されるものではなく、ウェブブラウザ及びリモートサーバ、携帯電話又は他の電子設備を採用して、通信ネットワークを介して遠隔に実行されるものに拡張することができる。一実施形態では、本明細書に開示される注文履行システム200の1つ以上の部分が、通信ネットワークに連結される1つ以上のコンピュータシステム(図示せず)に分散している。
【0131】
本明細書に開示される非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、顧客注文を履行するためにプロセッサ266が実行可能なコンピュータプログラム指示を格納している。コンピュータプログラム指示は、上記に開示された様々な実施形態のプロセスを実装し、顧客注文を履行するために必要かつ企図され得る追加のステップを実行する。プロセッサ266がコンピュータプログラム指示を実行するとき、コンピュータプログラム指示は、上記に開示されるように、顧客注文を履行する方法のステップをプロセッサ266に実行させる。一実施形態では、コンピュータプログラム指示を含む単一のコンピュータプログラムコードが、上記に開示された方法の1つ以上のステップを実行する。プロセッサ266は、これらのコンピュータプログラム指示を取り出して実行する。
【0132】
本明細書で使用するモジュール又はエンジン又はユニットは、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの任意の組み合わせを指す。一例として、モジュール又はエンジン又はユニットは、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に関連するマイクロコントローラのようなハードウェアを含み、マイクロコントローラが実行するように適合されるコンピュータプログラムコードを格納することができる。したがって、一実施形態では、モジュール又はエンジン又はユニットという用語は、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体に保持されるコンピュータプログラムコードを認識及び/又は実行するように具体的に構成されるハードウェアを指す。コンピュータ可読及び実行可能指示を含むコンピュータプログラムコードは、任意のプログラミング言語、例えばC、C++、C#、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、Fortran、Ruby、Perl(登録商標)、Python(登録商標)、Visual Basic(登録商標)、hypertext preprocessor(PHP)、Microsoft(登録商標).NET、Objective-C(登録商標)などで実装することができる。また、他のオブジェクト指向言語、関数型言語、スクリプト言語及び/又は論理プログラミング言語が使用可能である。一実施形態では、コンピュータプログラムコード又はソフトウェアプログラムは、オブジェクトコードとして1つ以上の媒体上又は媒体内に格納されている。別の実施形態では、「モジュール」又は「エンジン」又は「ユニット」という用語は、マイクロコントローラと非一過性のコンピュータ可読記憶媒体との組み合わせを指す。モジュール又はエンジン又はユニットの境界は、しばしば別々のものとして図示されているが、一般的に変化し、潜在的に重なり合っている。例えばモジュール又はエンジン又はユニットは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせを共有することがあるが、いくつかの独立したハードウェア、ソフトウェア又はファームウェアを潜在的に保持する。様々な実施形態では、モジュール又はエンジン又はユニットは、任意の適切な論理を含む。
【0133】
本明細書に開示される注文履行システムは、すべての倉庫ワークフローに対する標準保管ビン及び1つの自動ソリューションを使用し、それによって、各注文履行プロセスに対するすべての物品/商品及び資材を、任意の数のプロセスを有する単一の協働システムとして、単一のエンティティによって高密度に保管し、予測可能に管理することができる。本明細書に開示される注文履行システムによって、すべての倉庫プロセス、例えば受け取り、デカンティング、誘導、VAS処理、返品の取り扱い、注文品ピッキング、注文品梱包及びラストマイル仕分けを、異なる業務区域間のコンベアを必要としない1つの自動資材取り扱いシステムによって完了することができる。
【0134】
本明細書に開示される注文履行システムは、下部2次元(2D)格子、すなわち3次元(3D)格子状保管構造体の格子状下部トラックレイアウトが、注文履行システムのすべての異なる業務区域を相互接続しているので、すべての倉庫プロセス間で物品/商品を任意の順序で輸送することができる。この相互接続により、物品を新たな付加価値基準で再処理する必要がある場合、任意の数のプロセスを任意の順序で複数回完了させることができる。また、この相互接続により、小売業者の履行要件の変化に応じて追加の業務区域及びプロセスを容易かつ柔軟に追加することができる。下部2D格子には、例えば誘導/デカンティング、VAS処理、返品の取り扱い、ピッキング、梱包、ラストマイル仕分け、集約などを含むすべての履行センターの機能を実行する専用作業ステーションを直接取り付けることができる。本明細書に開示される注文履行システムは、製造業者から受け取った物品のパレットを入力し、郵便番号で仕分けした小包の顧客注文のパレットを出力する。本明細書に開示される注文履行システムは、条件の変化に容易かつ柔軟に適応できる自動化システムを提供する。さらに、本明細書に開示される注文履行システムでは、同じ保管媒体、すなわちASRS構造体をすべての相互接続したプロセスで使用して、プロセスフローにおける任意の差異をバッファすることができる。これにより、倉庫オペレータが最大限の柔軟性を得ることができ、資材を無期限に保管することができるため、外部環境に対する運用上の影響を最小限に抑えることができる。さらにまた、すべての業務区域は相互接続され、ロボット車両の同じ一団よって管理されるため、業務区域から業務区域へ商品を物理的に移送する必要がなく、システム論理が単純化される。その結果、例えばバーコード読み取り、無線周波数識別(RFID)読み取りなどを使用して、各プロセスによって物品を受け取り及び識別する必要がなくなり、エンティティ間、すなわち異なる業務区域間での管理の論理的な移送が完了する。
【0135】
さらにまた、本明細書に開示される注文履行システムは、業務区域間の搬送に使用する下部2D格子の上に垂直保管部を統合することによって、従来の自動ソリューションにおいて設置領域が比較的大きいという問題を是正し、保管密度を最大化し、垂直スペースの無駄を実質的に削減する。その結果、エンド・ツー・エンドの履行ソリューションは、従来のソリューションに比べて数分の一の大きさとなり、同じ成果を達成するために必要な土地が大幅に削減される。これにより、小売業者は既設の施設内の保管部を集約して事業を拡大することができ、また、顧客に近い小型な市場内施設において注文履行業務を行うことができる。
【0136】
上記に開示される実施形態は、本明細書に開示される注文履行システムの仮想コンベア及び仕分け能力によって履行を達成し及び可能にする方法における大きなシフトとなる。すなわち、ASRS構造体の下部2D格子により、ロボット車両は、ASRS構造体に取り付けられる任意の周辺業務区域間で物品を搬送することができる。下部2D格子上のロボット車両の移動はコンピュータ制御システムが編成し、これにより、保管ビンをジャストインタイムで提示し、注文ごとにグループ化し、さらに特有の順序で周辺業務区域に配送することができる。従来のASRS設備では、商品を適切な時間及び順序で業務区域に配送するには下流側の仕分けソリューションに依存していたため、この能力がなければ、複雑なプロセスを単一の統合された自動ソリューションで解決することができなかった。
【0137】
1つの自動化システム、すなわち、本明細書に開示される注文履行システムを、仕分け可能な物品のすべての注文履行プロセスに対して統合された業務区域とともに使用することによって、製造業者から受け取った在庫の入庫パレット/ケース、及び小売店から受け取った返品を、注文履行システムに直ちに誘導することができる。すべての仕分け可能な物品/商品は、小売業者の業務ルールに従って処理され、郵便番号ごとに仕分けされて運送業者によるピックアップの準備が整った梱包済みの顧客注文品のパレットが注文履行システムから出力される。注文履行システムは、保管ビン内に収まる小さくて仕分け可能な物品にメリットがあるが、注文履行システムでは、特大物品/商品及び仕分け可能な物品の履行及び集約も合理化する。上記に開示された方法は、手動ピッキングプロセスを監視して仕分け可能な商品の注文品ピッキングを誘発することによって、両方のクラスの物品からなる注文品を同じ小包に途切れなく組み立てて梱包することができ、それによって作業を単純化し、倉庫オペレータの出荷コストを削減できることを示している。
【0138】
本明細書に開示される実施形態は、特定のコンピュータシステムプラットフォーム、プロセッサ、オペレーティングシステム又は通信ネットワークに限定されない。本明細書に開示される実施形態のうち1つ以上は、1つ以上のコンピュータシステム、例えば1つ以上のクライアントコンピュータに1つ以上のサービスを提供するように構成されるサーバ、又は分散システムにおいて完全なタスクを実行するように構成されるサーバ間に分散している。例えば、本明細書に開示される実施形態のうち1つ以上は、様々な実施形態に従って複数の機能を実行する1つ以上のサーバシステム間に分散する構成要素を備えるクライアント-サーバシステム上で実行される。これらの構成要素は、例えば実行可能コード、中間コード又はインタプリタコードを含み、これらは通信プロトコルを使用してネットワーク上で通信する。本明細書に開示される実施形態は、任意の特定のシステム又はシステム群で実行可能であることに限定されず、任意の特定の分散アーキテクチャ、ネットワーク又は通信プロトコルに限定されない。
【0139】
様々な実施形態の前述の実施例及び例示的な実装形態は、単に説明のために提供されたものであり、本明細書に開示される実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。様々な例示的な実装形態、図面及び技術を参照して実施形態を説明してきたが、本明細書で使用した用語は、限定するための用語ではなく、説明及び例示するための用語であることを理解されたい。さらにまた、本明細書において特定の手段、資材、技術及び実装形態を参照して実施形態を説明してきたが、本発明の実施形態は、本明細書に開示された詳細な説明に限定されることを意図するものではない。むしろ本実施形態は、添付の特許請求の範囲内にあるような、すべての機能的に等価な構造体、方法及び使用方法にまで及ぶ。本明細書の教示の恩恵を受けた当業者は、本明細書に開示された実施形態の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示された実施形態を修正することができ、他の実施形態を実施し、それに対して変更を加え得ることを理解するだろう。