(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】駆動制御方法、駆動制御装置、家電機器及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
H02M7/12 B
H02M7/12 P
H02M7/12 S
H02M7/12 601A
(21)【出願番号】P 2021571046
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2019103216
(87)【国際公開番号】W WO2020237876
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】201910472244.2
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517344192
【氏名又は名称】広東美的制冷設備有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA AIR-CONDITIONING EQUIPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Lingang Road,Beijiao,Shunde,Foshan,Guangdong,China
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】曾賢杰
(72)【発明者】
【氏名】堀部 美彦
(72)【発明者】
【氏名】黄招彬
(72)【発明者】
【氏名】文先仕
(72)【発明者】
【氏名】朱良紅
(72)【発明者】
【氏名】王明明
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/073874(WO,A1)
【文献】特開2016-158418(JP,A)
【文献】特開2001-320882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00-7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動制御回路に適用され、前記駆動制御回路にはブリッジ回路が設けられ、前記ブリッジ回路の4つのブリッジアームには、それぞれスイッチング素子が設けられ、且つそれぞれ第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子、及び第4スイッチング素子とし、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子との共通端は相線に接続され、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との共通端は中性線に接続され、前記第1スイッチング素子と前記第3スイッチング素子との共通端は高圧バスに接続され、前記第2スイッチング素子と前記第4スイッチング素子との共通端は低圧バスに接続され、負荷は直流電力を交流電力に変換するインバータを介して前記ブリッジ回路に接続され、
前記高圧バスと前記低圧バスとの間の電圧をバス信号とし、給電信号が電力網システムにより入力された交流信号と前記バス信号を含み、前記ブリッジ回路は、
前記給電信号を制御して前記負荷に給電するように設定される駆動制御方法であって、
前記駆動制御方法は、
前記給電信号を検出し、前記給電信号に応じて、前記ブリッジ回路を第1モード又は第2モードで稼動させるように制御することと、
前記ブリッジ回路が前記第2モードで稼動している場合、前記給電信号における交流信号が、正の半周期波形に属しているか又は負の半周期波形に属しているかを判定することと、
前記交流信号と前記正の半周期波形との従属関係、及び前記交流信号と前記負の半周期波形との従属関係に応じて、前記ブリッジ回路のスイッチング素子のオン時間帯を決定することとを含み、
前記第1モードは、前記スイッチング素子がオフになるように制御するように設定され、前記第2モードは、前記スイッチング素子が指定されたパルス駆動信号に従って稼動するように設定されることにより、前記第2モードでの所与電流である前記ブリッジ回路に入力される電流の目標値を、前記ブリッジ回路に入力される前記相線と前記中性線との間の交流電圧に追随させ、
前記ブリッジ回路が前記第1モードで稼動している場合、検出された
前記バス信号が、第1のバス信号閾値以下であるか否かを判断することと、
検出された
前記バス信号が前記第1のバス信号閾値以下であると判定されると、前記ブリッジ回路を前記給電信号の指定時刻で前記第2モードに切り替えて稼動させるように制御することとをさらに含む
駆動制御方法。
【請求項2】
前記給電信号と前記正の半周期波形との従属関係、及び前記給電信号と前記負の半周期波形との従属関係に応じて、前記ブリッジ回路のスイッチング素子のオン時間帯を決定することは、
前記交流信号が前記正の半周期波形に属している場合、第1デューティ比に従って前記第1スイッチング素子がオン又はオフになるように制御するとともに、第2デューティ比に従って前記第2スイッチング素子がオン又はオフになるように制御することと、
前記交流信号が前記負の半周期波形に属している場合、第3デューティ比に従って前記第1スイッチング素子がオン又はオフになるように制御するとともに、第4デューティ比に従って前記第2スイッチング素子がオン又はオフになるように制御することとを含み、
前記第1デューティ比と前記第2デューティ比は相補的であり、前記第3デューティ比と前記第4デューティ比は相補的であり、前記第1デューティ比の値は、プリセット値又は可変値として設定され、前記第2デューティ比の値は、プリセット値又は可変値として設定され、前記第3デューティ比の値は、プリセット値又は可変値として設定され、前記第4デューティ比の値は、プリセット値又は可変値として設定される、請求項1に記載の駆動制御方法。
【請求項3】
前記交流信号が前記正の半周期波形に属している場合、前記給電信号における前記バス信号と所与バス信号である前記バス信号の目標値との差分を算出し、前記差分に応じて前記第1デューティ比を決定することと、
前記交流信号が前記負の半周期波形に属している場合、前記給電信号におけるバス信号と前記所与バス信号との差分を算出し、前記差分に応じて前記第3デューティ比を決定することとをさらに含み、
前記正の半周期波形に対応する時間帯では、前記第1デューティ比は、時間とともに小から大に変化し、次に大から小に変化し、
前記負の半周期波形に対応する時間帯では、前記第3デューティ比は、時間とともに大から小に変化し、次に小から大に変化する、請求項2に記載の駆動制御方法。
【請求項4】
前記給電信号と前記正の半周期波形との従属関係、及び前記給電信号と前記負の半周期波形との従属関係に応じて、前記ブリッジ回路のスイッチング素子のオン時間帯を決定することは、
前記交流信号が前記正の半周期波形に属している場合、前記第3スイッチング素子がオフになるように制御するとともに、前記第4スイッチング素子が前記正の半周期波形の継続期間中にオンになるように制御することと、
前記交流信号が前記負の半周期波形に属している場合、前記第4スイッチング素子がオフになるように制御するとともに、前記第3スイッチング素子が前記負の半周期波形の継続期間中にオンになるように制御することと、をさらに含む、請求項1~3の何れか一項に記載の駆動制御方法。
【請求項5】
前記給電信号のゼロクロス点に対応する切替時間帯では、前記第3スイッチング素子と前記第4スイッチング素子がいずれもオフになるように制御すること、をさらに含む、請求項1~4の何れか一項に記載の駆動制御方法。
【請求項6】
給電信号を検出して、前記給電信号の変化率に応じて第2モードでの所与電流の最小値を決定することは、
前記バス信号と前記所与バス信号との差分を算出し、前記バス信号の変化率は、前記所与電流の最小値を決定できるように設定されることと、
前記バス信号と前記所与バス信号との差分を第1PIコントローラに入力し、前記第1PIコントローラは、前記第2モードでの所与電流を出力できるように設定されることと、
振幅制限処理後の所与電流、前記交流電圧、交流電流を、第2PIコントローラに入力し、前記第2PIコントローラは、前記第1デューティ比又は前記第3デューティ比を出力できるように設定されることとを含み、
前記所与電流は、前記バス信号を上昇するように制御するように設定される、請求項3に記載の駆動制御方法。
【請求項7】
前記ブリッジ回路が前記第1モードで稼動している場合、検出された前記バス信号が、前記給電信号の閾値における第1のバス信号閾値以下であるか否かを判断することと、
検出された前記バス信号が前記第1のバス信号閾値よりも大きいと判定されると、次の周期内のバス信号を予測することと、
前記次の周期内のバス信号が前記第1のバス信号閾値以下であるか否かを判断することと、
前記次の周期内のバス信号が前記第1のバス信号閾値以下であると判定されると、前記ブリッジ回路を指定時刻で前記第2モードに切り替えて稼動させるように制御することとをさらに含む、請求項1~4の何れか一項に記載の駆動制御方法。
【請求項8】
前記ブリッジ回路が前記第2モードで稼動している場合、
検出された前記バス信号が第2のバス信号閾値以上であるか否かを判断することと、
検出された前記バス信号が前記第2のバス信号閾値以上であると判定されると、前記ブリッジ回路を前記給電信号の指定時刻で前記第1モードに切り替えて稼動させるように制御することとをさらに含む、請求項1~4の何れか一項に記載の駆動制御方法。
【請求項9】
前記ブリッジ回路が前記第2モードで稼動している場合、検出された前記バス信号が、前記給電信号の閾値における第2のバス信号閾値以上であるか否かを判断することと、
検出された前記バス信号が前記第2のバス信号閾値よりも小さいと判定されると、次の周期内のバス信号を予測することと、
前記次の周期内のバス信号と第3のバス信号閾値との大小関係を判断することと、
前記次の周期内のバス信号と前記第3のバス信号閾値との大小関係に応じて、前記ブリッジ回路を指定時刻で前記第1モードに切り替えて稼動させるように制御することとをさらに含む、請求項1~4の何れか一項に記載の駆動制御方法。
【請求項10】
前記駆動制御回路は、1つの容量性素子をさらに含み、前記容量性素子は、前記スイッチング素子と前記負荷の間に接続され、前記容量性素子は、複数の直列及び/又は並列に接続された電解コンデンサを含み、又は前記容量性素子は、複数の直列及び/又は並列に接続された薄膜コンデンサを含み、
前記駆動制御方法は、
前記容量性素子の耐電圧の閾値と前記スイッチング素子の耐電圧の閾値に応じて、第2のバス信号閾値を決定することをさらに含む、請求項
8又は9に記載の駆動制御方法。
【請求項11】
プロセッサを含み、
前記プロセッサがコンピュータプログラムを実行する時、請求項1~10の何れか一項に記載の駆動制御方法のステップが実現される、駆動制御装置。
【請求項12】
負荷と、
請求項11に記載の駆動制御装置と、
前記駆動制御装置により制御され、少なくとも1つのスイッチング素子を含むPFCが設けられ、前記スイッチング素子が給電信号を制御して前記負荷に給電するように設定される駆動制御回路と、を含む、家電機器。
【請求項13】
前記家電機器は、エアコン、冷蔵庫、ファン、レンジフード、掃除機、コンピュータ本体のうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載の家電機器。
【請求項14】
コンピュータプログラムが格納されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムが実行されると、請求項1~10の何れか一項に記載の駆動制御方法のステップが実現される、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年05月31日に中国特許庁に提出された、出願番号が201910472244.2であり、発明の名称が「駆動制御方法、駆動制御装置、家電機器及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てを援用することにより本願に取り入れる。
【0002】
本願は、駆動制御分野に関し、具体的には、駆動制御方法、駆動制御装置、家電機器、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
PFC(PowerFactorCorrection、力率改善)技術は、駆動制御回路に広く応用され、その主な役割は電気を使用する機器(負荷)の電気使用効率を向上させることである。
【0004】
関連技術において、通常、PWM(Pulse-WidthModulation、パルス幅変調)を用いてスイッチングチューブがオン又はオフになるように駆動し、一般的に使用されるPFCモジュールには、Boost型PFCモジュールとブリッジレストーテムポールPFCモジュール含み、2種類のPFCモジュールが負荷を駆動して稼働させる際に少なくとも以下の技術的欠陥が存在する。
【0005】
(1)Boost型PFCモジュールは、回路構造が簡単で、即ち、スイッチングチューブによりインダクタの充放電を制御するが、Boost型PFCモジュールは、効率が低く、スイッチング損失が大きい。
【0006】
(2)ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールは、Boost型PFCモジュールよりも効率が高いが、ブリッジレストーテムポール型PFCモジュールは、通常、高周波又は産業用周波で稼動するため、これは、駆動制御回路でのハードウェアの損失が高く消費電力が高いことに繋がるだけでなく、負荷のエネルギー効率をさらに向上させるのにも不利である。
【0007】
また、本明細書全体にわたる背景技術に対するいかなる議論も、当該背景技術が必ずしも当業者に知られている従来技術であることを示すものではなく、本明細書全体にわたる従来技術に対するいかなる議論も、当該従来技術が必ずしも広く周知であるか、又は、当該技術分野の周知の常識を構成すると考えられることを示すものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願は、従来技術又は関連技術に存在する技術的課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【0009】
そのため、本願の第1の態様は、駆動制御方法を提供する。
【0010】
本願の第2の態様は、駆動制御装置を提供する。
【0011】
本願の第3の態様は、家電機器を提供する。
【0012】
本願の第4の態様は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の第1の態様の技術的手段によれば、駆動制御回路に適用され、駆動制御回路にはブリッジ回路が設けられ、ブリッジ回路の4つのブリッジアームには、それぞれスイッチング素子が設けられ、且つそれぞれ第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子、及び第4スイッチング素子とし、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との共通端は相線に接続され、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子との共通端は中性線に接続され、第1スイッチング素子と第3スイッチング素子との共通端は高圧バスに接続され、第2スイッチング素子と第4スイッチング素子との共通端は低圧バスに接続され、ブリッジ回路は、給電信号を制御して負荷に給電するように設定される駆動制御方法であって、該駆動制御方法は、給電信号を検出し、給電信号に応じて、ブリッジ回路を第1モード又は第2モードで稼動させるように制御することと、ブリッジ回路が第2モードで稼動している場合、給電信号における交流信号が、正の半周期波形に属しているか又は負の半周期波形に属しているかを判定することと、交流信号と正の半周期波形との従属関係、及び交流信号と負の半周期波形との従属関係に応じて、ブリッジ回路のスイッチング素子のオン時間帯を決定することとを含み、第1モードは、スイッチング素子がオフになるように制御するように設定され、第2モードは、スイッチング素子が指定されたパルス駆動信号に従って稼動するように設定されることにより、第2モードでの所与電流を、負荷に入力された交流電圧に追随する、駆動制御方法を提供する。
【0014】
本願にて提供される駆動制御方法によれば、上記の方式に従ってスイッチング素子を接続する回路は、通常、トーテムポール型ブリッジ回路と呼ばれ、第1モードでは、スイッチング素子へパルス駆動信号を出力することを停止し、スイッチング素子がオフになるモードは、間欠モードとすることもでき、第2モードでスイッチング素子へパルス駆動信号を出力し、スイッチング素子が高周波導通にあるモードは、稼動モードとすることもでき、稼動モードでは、バス電圧が引き上げられ、間欠モードでは、容量性素子が放電してバス電圧が低下することにより、ブリッジ回路が一部の時間だけ稼動状態になり、即ちスイッチング素子は第2モードだけ電力を消費し第1モードでスイッチング素子が電力を消費せず、さらにブリッジ回路のスイッチング損失を低減させ、駆動制御回路の稼動効率を向上させることにより、負荷のエネルギー効率を向上させる。
【0015】
パルス駆動信号は、パルス幅、デューティ比、スイッチング周波数等を含むが、これらに限定されない。
【0016】
更には、ブリッジ回路が稼動モードにある時、給電信号に応じてブリッジ回路のスイッチング素子のオン状態を決定し、即ちブリッジ回路の4つのスイッチング素子の動作を制御し、また、ブリッジ回路が稼動モードにある時、電磁干渉の影響を低減することに有利である。
【0017】
当業者は、給電信号が電力網システムにより入力された交流電圧とバス電圧を含むことを理解することができる。
【0018】
選択可能に、スイッチング素子は、IGBT(InsulatedGateBipolarTransistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であり、MOSFET(Metal-Oxide-SemiconductorField-EffectTransistor、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)を選択して使用することができ、新しい材料半導体トランジスタを選択して使用することもでき、例えば、SiC型パワーチューブ又はGaN型パワーチューブである。
【0019】
本願の第2の態様によれば、プロセッサを含み、プロセッサがコンピュータプログラムを実行する時、上記何れかの技術的手段に記載の駆動制御方法のステップが実現される駆動制御装置を提供する。
【0020】
従って、該駆動制御装置は、上記何れかの駆動制御方法の有益な技術的効果を有し、ここで説明を繰り返さない。
【0021】
本願の第3の態様によれば、負荷と、上記何れかの技術的手段に記載の駆動制御装置と、駆動制御装置により制御され、少なくとも1つのスイッチング素子を含むPFCが設けられ、スイッチング素子が給電信号を制御して負荷に給電するように設定される駆動制御回路とを含む家電機器を提供する。
【0022】
本願の第4の態様によれば、コンピュータプログラムが格納されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、コンピュータプログラムが実行されると、上記何れかの技術的手段に記載の駆動制御方法のステップが実現されるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【0023】
本願の付加的な態様及び利点は下記の説明に示され、一部は下記の説明により明瞭になるか、本願を実施することで理解される。
【0024】
本願の上記及び/又は付加的な態様及び利点は、下記の図面を用いて実施例を説明することで明瞭になり理解しやすいものになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本願の一実施例に係る駆動制御方法のフロー概念図を示す。
【
図2】本願の一実施例に係る駆動制御回路の概略ブロック図を示す。
【
図3】本願の一実施例に係る駆動制御方法のタイミング図を示す。
【
図4】本願の一実施例に係る駆動制御方法の概念図を示す。
【
図5】本願の一実施例に係る駆動制御方法のタイミング図を示す。
【
図6】本願の他の実施例に係る駆動制御方法のタイミング図を示す。
【
図7】本願の他の実施例に係る駆動制御方法のタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解することを可能にするため、以下に、図面及び具体的な実施形態と結び付けて本願をより詳細に説明する。なお、矛盾が生じない限り、本願の実施例及び実施例に係る特徴は互いに組み合わせることができる。
【0027】
下記の説明において本願の十分な理解のために多くの具体的で詳細な内容を記載しているが、本願は、ここに説明されているものと異なる形態によって実施されてもよく、従って、本願の保護範囲は以下に開示される具体的な実施例に限定されない。
【0028】
以下、
図1から
図6に示されるタイミング図を参照しながら、ブリッジレストーテムポールPFCモジュールのスイッチング素子が第1モード又は第2モードで稼動する実施例を具体的に説明する。
【0029】
図1は、本願の一実施例に係る駆動制御方法のフロー概念図を示す。
【0030】
図1に示すように、本願の一実施例に係る駆動制御方法によれば、駆動制御回路にはブリッジ回路が設けられ、ブリッジ回路の4つのブリッジアームには、それぞれスイッチング素子が設けられ、且つそれぞれ第1スイッチング素子、第2スイッチング素子、第3スイッチング素子、及び第4スイッチング素子とし、第1スイッチング素子と第2スイッチング素子との共通端は相線に接続され、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子との共通端は中性線に接続され、第1スイッチング素子と第3スイッチング素子との共通端は高圧バスに接続され、第2スイッチング素子と第4スイッチング素子との共通端は低圧バスに接続され、ブリッジ回路は、給電信号を制御して負荷に給電するように設定される。該駆動制御方法は、給電信号を検出し、給電信号に応じてブリッジ回路を第1モード又は第2モードで稼動させるように制御するステップS102と、ブリッジ回路が第2モードで稼動している場合、給電信号における交流信号が、正の半周期波形に属しているか又は負の半周期波形に属しているかを判定するステップS104と、交流信号と正の半周期波形との従属関係、及び交流信号と負の半周期波形との従属関係に応じて、ブリッジ回路のスイッチング素子のオン時間帯を決定するステップS106とを含み、第1モードは、スイッチング素子がオフになるように制御するように設定され、第2モードは、スイッチング素子が指定されたパルス駆動信号に従って稼動するように設定されることにより、第2モードでの所与電流を、負荷に入力された交流電圧に追随させる。
【0031】
本願にて提供される駆動制御方法によれば、上記の方式に従ってスイッチング素子を接続する回路は、通常、トーテムポール型ブリッジ回路と呼ばれ、第1モードでは、スイッチング素子へパルス駆動信号を出力することを停止し、スイッチング素子がオフになるモードは、間欠モードとすることもでき、第2モードでスイッチング素子へパルス駆動信号を出力し、スイッチング素子が高周波導通にあるモードは、稼動モードとすることもでき、稼動モードでは、バス電圧が引き上げられ、間欠モードでは、容量性素子が放電してバス電圧が低下することにより、ブリッジ回路が一部の時間だけ稼動状態になり、即ちスイッチング素子が第2モードだけ電力を消費し第1モードでスイッチング素子は電力を消費せず、さらにブリッジ回路のスイッチング損失を低減させ、駆動制御回路の稼動効率を向上させることにより、負荷のエネルギー効率を向上させる。
【0032】
パルス駆動信号は、パルス幅、デューティ比、スイッチング周波数等を含むが、これらに限定されない。
【0033】
更には、ブリッジ回路が稼動モードにある時、給電信号に応じてブリッジ回路のスイッチング素子のオン状態を決定し、即ちブリッジ回路の4つのスイッチング素子の動作を制御し、また、ブリッジ回路が稼動モードにある時、電磁干渉の影響を低減することに有利である。
【0034】
当業者は、給電信号が電力網システムにより入力された交流電圧とバス電圧を含むことを理解することができる。
【0035】
選択可能に、スイッチング素子は、IGBT(InsulatedGateBipolarTransistor、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であり、MOSFET(Metal-Oxide-SemiconductorField-EffectTransistor、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)を選択して使用することができ、新しい材料半導体トランジスタを選択して使用することができ、例えば、SiC型パワーチューブ又はGaN型パワーチューブである。
【0036】
また、本願の上記実施例に係る駆動制御方法によれば、以下のような付加的な技術的特徴をさらに有してもよい。
【0037】
上記技術的手段では、選択可能に、給電信号と正の半周期波形との従属関係、及び給電信号と負の半周期波形との従属関係に応じて、ブリッジ回路のスイッチング素子のオン時間帯を決定することは、交流信号が正の半周期波形に属している場合、第1デューティ比に従って第1スイッチング素子がオン又はオフになるように制御するとともに、第2デューティ比に従って第2スイッチング素子がオン又はオフになるように制御することと、交流信号が負の半周期波形に属している場合、第3デューティ比に従って第1スイッチング素子がオン又はオフになるように制御するとともに、第4デューティ比に従って第2スイッチング素子がオン又はオフになるように制御することとを含み、第1デューティ比と第2デューティ比は相補的であり、第3デューティ比と第4デューティ比は相補的であり、第1デューティ比の値は、プリセット値又は可変値として設定され、第2デューティ比の値は、プリセット値又は可変値として設定され、第3デューティ比の値は、プリセット値又は可変値として設定され、第4デューティ比の値は、プリセット値又は可変値として設定される。
【0038】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、交流信号が正の半周期波形に属している場合、給電信号におけるバス信号と所与バス信号との差分を算出し、差分に応じて第1デューティ比を決定することと、交流信号が負の半周期波形に属している場合、給電信号におけるバス信号と所与バス信号との差分を算出し、差分に応じて第3デューティ比を決定することとをさらに含み、正の半周期波形に対応する時間帯では、第1デューティ比は、時間とともに小から大に変化し、次に大から小に変化し、負の半周期波形に対応する時間帯では、第3デューティ比は、時間とともに大から小に変化し、次に小から大に変化する。
【0039】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、給電信号と正の半周期波形との従属関係、及び給電信号と負の半周期波形との従属関係に応じて、ブリッジ回路のスイッチング素子のオン時間帯を決定することは、交流信号が正の半周期波形に属している場合、第3スイッチング素子がオフになるように制御するとともに、第4スイッチング素子が正の半周期波形の継続期間中にオンになるように制御することと、交流信号が負の半周期波形に属している場合、第4スイッチング素子がオフになるように制御するとともに、第3スイッチング素子が負の半周期波形の継続期間中にオンになるように制御することと、をさらに含む。
【0040】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、駆動制御方法は、給電信号のゼロクロス点に対応する切替時間帯では、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子がいずれもオフになるように制御すること、をさらに含む。
【0041】
当該技術的手段では、交流電圧のゼロクロス点では、第1モードと第2モードの間を切り替えて、高調波信号を効果的に減少し、回路における電流波動現象をさらに減少し、回路サンプリングと閉ループ制御の信頼性と正確性を向上させることに有利であり、また、給電信号のゼロクロス点に対応する切替時間帯では、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子はいずれもオフになるように制御され、即ち第3スイッチング素子のオン時間と第4スイッチング素子のオン時間の間にデッド時間を設置することにより、駆動制御回路の信頼性を更に向上させることができる。
【0042】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、給電信号を検出して、給電信号の変化率に応じて第2モードでの所与電流の最小値を決定することは、バス信号と所与バス信号との差分を算出し、バス信号の変化率は、所与電流の最小値を決定できるように設定されることと、バス信号と所与バス信号との差分を第1PIコントローラに入力し、第1PIコントローラは、第2モードでの所与電流を出力できるように設定されることと、振幅制限処理後の所与電流、交流電圧、交流電流を、第2PIコントローラに入力し、第2PIコントローラは、第1デューティ比又は第3デューティ比を出力できるように設定されることとを含み、所与電流は、バス信号を上昇するように制御するように設定される。
【0043】
当該技術的手段では、バス信号と所与バス信号との差分を算出することにより、バス信号の変化率は、所与電流の最小値を決定するように設定され、バス電圧の上昇レートを効果的に保証でき、バス電圧降下による負荷ストールの発生を低減させ、負荷のエネルギー効率を向上させると同時に、負荷の運転の信頼性を更に向上させることに有利である。
【0044】
具体的には、第1PIコントローラは、給電信号と給電信号の閾値との差分に応じて変化レートを決定することにより、所与電流のゲイン値を決定し、ゲイン値と交流電圧の積は、所与電流であり、所与電流を電流制限処理した後、第2PIコントローラに出力される。
【0045】
更には、第2PIコントローラは、所与電流に応じて第1デューティ比、第2デューティ比、第3デューティ比、第4デューティ比を算出して決定し、同様に、第1スイッチング素子のオン時間と第2スイッチング素子のオン時間の間にデッド時間を設置する。
【0046】
第1PIコントローラと第2PIコントローラは、いずれも比例積分コントローラである。
【0047】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、駆動制御方法は、ブリッジ回路が第1モードで稼動している場合、検出された給電信号が、第1バス信号の閾値以下であるか否かを判断することと、検出された給電信号が第1バス信号の閾値以下であると判定されると、ブリッジ回路を給電信号の指定時刻で第2モードに切り替えて稼動させるように制御することとをさらに含む。
【0048】
当該技術的手段では、ブリッジ回路は、第1モードで稼動し、第1バス信号の閾値は、バス信号の最小値以下である。従って、検出された給電信号が第1バス信号の閾値以下であると判定されると、バス電圧降下を回避するために、さらに、バス電圧を上げるために、ブリッジ回路を指定時刻で第2モードに切り替えて稼動させるように制御する。
【0049】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、駆動制御方法は、ブリッジ回路が第1モードで稼動している場合、検出されたバス信号が、給電信号の閾値における第1バス信号の閾値以下であるか否かを判断することと、検出されたバス信号が第1バス信号の閾値よりも大きいと判定されると、次の周期内のバス信号を予測することと、次の周期内のバス信号が第1バス信号の閾値以下であるか否かを判断することと、次の周期内のバス信号が第1バス信号の閾値以下であると判定されると、ブリッジ回路を指定時刻で第2モードに切り替えて稼動させるように制御することとをさらに含む。
【0050】
当該技術的手段では、ブリッジ回路は、第1モードで稼動し、第1バス信号の閾値は、バス信号の最小閾値以上であり、従って、次の周期内のバス信号を予測し、次の周期のバス信号が第1バス信号の閾値以下であると判定されると、バス電圧降下を回避するために、指定時刻で第2モードに切り替えて稼動させ、選択可能に、次の周期の交流電圧ゼロクロス点で第2モードに切り替えて稼動し、回路への高調波信号の干渉を低減させる。
【0051】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、駆動制御方法は、ブリッジ回路が第2モードで稼動している場合、給電信号が第2バス信号の閾値以上であるか否かを判断することと、給電信号が第2バス信号の閾値以上であると判定されると、ブリッジ回路を給電信号の指定時刻で第1モードに切り替えて稼動させるように制御することとをさらに含む。
【0052】
当該技術的手段では、第2給電信号の閾値は、バス信号の最大閾値以下であり、ブリッジ回路が第2モードで稼動する期間、バス電圧は、上昇し続け、容量性素子又はスイッチング素子を破壊することを回避するために、ブリッジ回路が給電信号の指定時刻で第1モードに切り替えるように制御され、負荷のエネルギー効率を更に向上させることに有利だけでなく、回路の信頼性を更に向上させることもできる。
【0053】
選択可能に、指定時刻は、現在の周期内の交流電圧のゼロクロス点時刻であり、例えば、半波ゼロクロス点又は全波ゼロクロス点であり、スイッチング素子の切替モード過程に高調波信号と電磁干渉等のノイズを発生することを効果的に低減できる。
【0054】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、ブリッジ回路が第2モードで稼動している場合、検出されたバス信号が、給電信号の閾値における第2バス信号の閾値以上であるか否かを判断することと、検出されたバス信号が第2バス信号の閾値よりも小さいと判定されると、次の周期内のバス信号を予測することと、次の周期内のバス信号と第3バス信号の閾値との大小関係を判断することと、次の周期内のバス信号と第3バス信号の閾値との大小関係に応じて、ブリッジ回路を指定時刻で第1モードに切り替えて稼動させるように制御することとをさらに含む。
【0055】
当該技術的手段では、バス信号が第2バス信号の閾値よりも小さいと検出されると、すぐに第1モードから第2モードに切り替える必要がなく、予測方式により次の周期内のバス信号と第3バス信号の閾値との大小関係を判断することができることより、次の周期内から第1モードに切り替える指定時刻を決定することができ、負荷を駆動して運転することの安定性と信頼性を更に向上させ、電圧波動と高調波信号を更に低減させる。
【0056】
選択可能に、指定時刻は、次の周期内の交流電圧のゼロクロス点時刻であり、例えば、半波ゼロクロス点又は全波ゼロクロス点であり、スイッチング素子の切替モード過程に高調波信号と電磁干渉等のノイズを発生することを効果的に低減できる。
【0057】
上記何れかの技術的手段では、選択可能に、駆動制御回路は、1つの容量性素子をさらに含み、容量性素子は、スイッチング素子と負荷の間に接続され、容量性素子は、複数の直列及び/又は並列に接続された電解コンデンサを含み、又は容量性素子は、複数の直列及び/又は並列に接続された薄膜コンデンサを含み、駆動制御方法は、容量性素子の耐電圧の閾値とスイッチング素子の耐電圧の閾値に応じて、第2バス信号の閾値を決定することをさらに含む。
【0058】
当該技術的手段では、容量性素子の耐電圧の閾値とスイッチング素子の耐電圧の閾値に応じて、第2バス信号の閾値を決定する一方、容量性素子とスイッチング素子を破壊する可能性を低減させる一方、上限電圧閾値はスイッチング素子が第1モードと第2モードの間での切替時刻を決定し、力率改善モジュールの信頼性と負荷の運転のエネルギー効率を更に向上させる。
【0059】
図2は、本願の一実施例の駆動制御回路に係る概略ブロック図を示す。
【0060】
図2に示すように、本願のほかの実施例に係る駆動制御回路によれば、駆動制御回路が電力網システムACと負荷の入力端の間に接続され、具体的に、ブリッジレストーテムポールPFCモジュール、容量性素子C(フィルタリング特性付き)、インバータを含み、ブリッジレストーテムポールPFCモジュールは、誘導性素子L、スイッチング素子、一方向伝導デバイスDを含み、容量性素子Cの充電と放電の作用により、容量性素子Cの電圧は、鋸歯波状のリップルであり、一方向伝導デバイスDの導通特性を結び付けて、ACライン電圧の瞬時値が容量性素子の電圧よりも高い時のみ、順方向バイアスにより一方向伝導デバイスDがオンになり、即ち、ACライン入力信号の各周期では、一方向伝導デバイスDのみがピーク値の近くでオンになり、入力された交流電圧は正弦波波形であるが、入力された交流電流には多数のスパイク、即ち回路の低力率を引き起こす高調波成分がある。
【0061】
従って、ブリッジレストーテムポールPFCモジュールは、交流電圧と交流電流の間には位相差がある問題を解決できるだけでなく、高調波信号による電磁干渉と電磁両立性の問題も解決できる。本実施例では、スイッチング素子は、第1スイッチング素子Q1、第2スイッチング素子Q2、第3スイッチング素子Q3、第4スイッチング素子Q4を含み、第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2は、高周波スイッチング素子であり、第3スイッチング素子Q3と第4スイッチング素子Q4は、低周波スイッチング素子である。
【0062】
図3に示すように、負荷の運転のエネルギー効率を更に向上させる目的として、上記のアクティブのブリッジレストーテムポールPFCモジュールについて、負荷の稼働パラメータを結び付けて、スイッチング素子の稼動モードを調整し、特に、負荷を駆動して運転するために必要な電量が低いと検出された時、スイッチング素子の稼動は給電信号により制御され、給電信号は、電力網システムACにより入力された交流電圧とバス電圧を含む。
【0063】
更には、スイッチング素子が第2モードで稼動することが決定されると、バス電圧Vdcとバス信号の最大閾値Vdc_maxとの大小関係、及びバス電圧Vdcとバス信号の最小閾値Vdc_minとの大小関係に基づいて、スイッチング素子へパルス駆動信号を出力したりスイッチング素子へパルス駆動信号を出力することを停止したりするように制御する。
【0064】
具体的には、バス電圧Vdcが上限電圧閾値を超える場合、スイッチング素子へパルス駆動信号を出力することを停止し、即ち第1モードに切り替えて稼動し、即ちスイッチング素子が間欠状態にある。バス電圧がバス信号の最小閾値Vdc_minよりも低い場合、スイッチング素子へパルス駆動信号を出力し、即ち第2モードに切り替えて稼動し、即ちスイッチング素子が稼動状態にあり、所与電流ISを正弦波波形に近づける。
【0065】
更には、第1モードと第2モードとの切替時刻は交流信号USのゼロクロス点時刻であり、駆動制御回路におけるスパイク信号を更に低減させる。
【0066】
図4に示すように、本実施例の駆動制御方法では、PIコントローラが実行するステップは、以下のステップを含む。
【0067】
(1)第1PIコントローラは、バス信号V
dcとバス信号の閾値V
dcrefとの差分に応じて変化レートを決定することにより、所与電流のゲイン値I
ref_dcを決定し、ゲイン値と交流電圧V
ac(
図4に示される交流電圧絶対値)の積は、所与電流であり、所与電流を電流制限処理した後、第2PIコントローラに出力される。
【0068】
(2)第2PIコントローラは、所与電流と交流電流Iacに応じてパルス駆動信号を算出して決定し、パルス駆動信号は、第1デューティ比、第2デューティ比、第3デューティ比、第4デューティ比を含み、同様に、第1スイッチング素子のオン時間と第2スイッチング素子のオン時間の間にデッド時間を設置し、また、パルス駆動信号は、スイッチング素子のスイッチング周波数をさらに含む。
【0069】
第1PIコントローラと第2PIコントローラは、いずれも比例積分コントローラである。
【0070】
図5は、本願の他の実施例に係る駆動制御方法のタイミング図を示す。
【0071】
図5に示すように、電力網システムACが負荷へ交流電圧U
Sを入力する過程に、T
0~T
3時間帯では、交流電圧U
Sの正の半周期波形とし、コントローラが第1スイッチング素子Q
1と第2スイッチング素子Q
2へパルス駆動信号を出力し、第1スイッチング素子Q
1のデューティ比は、可変値(小から大になるか大から小になる)又は事前設定された固定値であり、第1スイッチング素子Q
1のオン時間と第2スイッチング素子Q
2のオン時間は相補的であり、第3スイッチング素子Q
3がオンになり、且つ第4スイッチング素子Q
4がオフになる。
【0072】
T3~T6時間帯では、交流電圧USの負の半周期波形とし、コントローラが第1スイッチング素子Q1と第2スイッチング素子Q2へパルス駆動信号を出力し、第1スイッチング素子Q1のデューティ比は、可変値(小から大になるか大から小になる)又は事前設定された固定値であり、第1スイッチング素子Q1のオン時間と第2スイッチング素子Q2のオン時間は相補的であり、第3スイッチング素子Q3がオフになり、且つ第4スイッチング素子Q4がオンになる。
【0073】
具体的には、
図6に示すように、第1スイッチング素子Q
1の電圧変化と第2スイッチング素子Q
2の電圧変化を示す。
【0074】
図7に示すように、バス電圧のサンプリング値に応じて、1つの全波ゼロクロス点に対応するT
12時刻で第1モードから第2モードに切り替えてバス信号V
dcに従って時間とともに変化する規則を決定し、バス信号を予測してサンプリングする。選択可能に、第2モードに入った後、第1の半波ゼロクロス点に対応する第1バス電圧予測値V
dc_pre1を予測し、第1バス電圧予測値V
dc_pre1とバス信号の最大閾値V
dc_maxの大小関係を比較する。第1バス電圧予測値V
dc_pre1がバス信号の最大閾値V
dc_maxよりも小さいと判定されると、第2モードを保持して稼動し続け、次の全波ゼロクロス点のバス信号サンプリング値V
dc_curに応じて第1バス電圧予測値V
dc_pre2を予測し、第2バス電圧予測値V
dc_pre2とバス信号の最大閾値V
dc_maxの大小関係を比較する。第2バス電圧予測値V
dc_pre2がバス信号の最大閾値V
dc_maxに近い、即ちバス信号の最大閾値V
dc_maxと第2バス電圧予測値V
dc_pre2との差分が差分閾値よりも小さいと判定されると、他の全波ゼロクロス点に対応する時刻T
21で第1モードに切り替えることを決定する。
【0075】
本願の実施例に係る家電機器によれば、負荷と、上記何れかの実施例に記載の駆動制御装置と、駆動制御装置により制御され、少なくとも1つのスイッチング素子を含むPFCが設けられ、給電信号を制御して負荷に給電するように設定される駆動制御回路とを含む。
【0076】
当該技術的手段では、家電機器は、上記何れかの実施例に記載の駆動制御装置を含むため、該家電機器は、上記何れかの実施例に記載の駆動制御装置の全ての有益な効果を有し、ここでは説明を繰り返さない。
【0077】
本願の一実施例では、選択可能に、家電機器は、エアコン、冷蔵庫、ファン、レンジフード、掃除機、コンピュータ本体のうちの少なくとも1つを含む。
【0078】
当該実施例では、スイッチング素子は、給電信号を制御して負荷に給電するように設定され、バス電圧がこの正常な変化範囲にある限り、負荷の正常な稼働を保証することができ、負荷の正常な稼働が保証される前提で、バス電圧の変化に対して、対応するburst(間欠発振)モードの制御方針を設置し、即ち制御方針を間欠に出力することにより、方針を間欠に出力して高周波動作信号が間欠出力状態にあることが制御され、即ち高周波動作信号は、継続的に出力状態にある必要はなく、即ちスイッチング素子は、継続的に高周波動作スイッチング状態にある必要はなく、従って、駆動制御回路の力率改善モジュールの導通消費電力を減少することができ、この駆動制御回路を用いる電器機器(例えば、エアコン)のエネルギー効率を向上させる。
【0079】
選択可能に、コントローラは、MCU(Micro-programmedControlUnit、マイクロプログラムコントローラ)、CPU(CentralProcessingUnit、中央コントローラ)、DSP(DigitalSignalProcessor、デジタル信号プロセッサ)と埋め込み式機器のうちの1つであってもよく、これらに限定されない。
【0080】
本願の実施例に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体によれば、コンピュータプログラムが格納されており、コンピュータプログラムが実行されると、上記何れかの実施例に記載の駆動制御方法のステップが実現される。
【0081】
本願の実施例によれば、上記の方式に従ってスイッチング素子を接続する回路は、通常、トーテムポール型ブリッジ回路と呼ばれ、第1モードでは、スイッチング素子へパルス駆動信号を出力することを停止し、スイッチング素子がオフになるモードは、間欠モードとすることもでき、第2モードでスイッチング素子へパルス駆動信号を出力し、スイッチング素子が高周波導通にあるモードは、稼動モードとすることもでき、稼動モードでは、バス電圧が引き上げられ、間欠モードでは、容量性素子が放電してバス電圧が低下することにより、ブリッジ回路が一部の時間だけ稼動状態になり、即ちスイッチング素子は第2モードだけ電力を消費し第1モードでスイッチング素子が電力を消費せず、さらにブリッジ回路のスイッチング損失を低減させ、駆動制御回路の稼動効率を向上させることにより、負荷のエネルギー効率を向上させる。
【0082】
本明細書の説明において、用語である「第1」および「第2」は説明の目的でのみ使用され、明確に規定および限定されていない限り、相対的な重要性を指示したり暗示したりするものとして理解することはできない。用語である「接続」、「取り付け」、「固定」などの用語の意味は広く理解されるべきであり、例えば、「接続」は固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、又は一体的な接続であってもよく、又は直接的に接続することや、中間媒体を介して間接的に接続することも可能である。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0083】
本明細書の説明において、用語である「一つの実施例」、「一部の実施例」、「具体的な例」などを参照した説明は、当該実施例又は例に結合して説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が、本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを示す。本明細書において、上記用語に対する例示的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を示すものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれかの1つ又は複数の実施例又は例において適切に結合することができる。
【0084】
以上は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を限定するためのものではなく、当業者であれば、本願において各種の変更又は変形が可能である。本願の主旨を逸脱しない範囲で行われる如何なる修正、同等の置換、改善などは、すべて本願の保護範囲に含まれるべきものである。