(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20230815BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20230815BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230815BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 412
G06F3/044 126
G09F9/30 336
G09F9/00 366A
G06F3/041 522
(21)【出願番号】P 2022000514
(22)【出願日】2022-01-05
(62)【分割の表示】P 2020147628の分割
【原出願日】2016-11-11
【審査請求日】2022-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 千浩
(72)【発明者】
【氏名】高田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 隼人
(72)【発明者】
【氏名】石崎 剛司
(72)【発明者】
【氏名】脇本 竜也
(72)【発明者】
【氏名】宮武 正樹
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-045932(JP,A)
【文献】特開2013-105275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
G09F 9/30
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板の第1領域と対向し、前記第1基板の第2領域と対向しない第2基板と、
を備え、
前記第1領域に配置された複数の画素と、
前記第1領域に配置された複数の検出電極と、
前記第2領域に配置された駆動回路と、
前記第2領域に配置され、前記駆動回路の長さ方向と平行に延在する複数の第1配線と、
前記駆動回路と前記複数の検出電極とを接続する複数の第2配線と、
前記複数の第1配線と前記複数の第2配線との間に位置する絶縁層と、を有し、
前記複数の第2配線は前記複数の第1配線とは平面視で90度以外の角度で交差している表示装置。
【請求項2】
前記複数の第2配線の一部は、前記駆動回路から第1方向で、かつ、前記第1配線に対して傾斜した方向に延出し、前記複数の第2配線の他の一部は、前記駆動回路から前記第1方向と反対の第2方向で、かつ、前記第1配線に対して傾斜した方向に延出している請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数の第2配線は、それぞれスイッチを介して前記検出電極に接続されて、前記スイッチは、前記複数の第1配線と前記駆動回路との間に配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の第2配線は、それぞれステップ状に屈曲して延出している請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の第1配線は、それぞれ波状に形成されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の第2配線は、それぞれ波状に形成されている請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置のインターフェースとして、タッチセンサ(タッチ検出装置)が用いられている。タッチセンサは、検出領域の設けられた複数の第1検出電極と、第1検出電極と交差して検出領域に設けられた複数の第2検出電極と、第1検出電極と第2検出電極との間に設けられた絶縁層と、を有している。また、複数の第1検出電極に各々接続された複数の第1配線は、検出領域の外側に位置する外側領域(額縁領域)に設けられている。同様に、第2検出電極に接続された複数の第2配線は外側領域(額縁領域)に設けられ、第1配線に重なって延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したタッチセンサにおいて、第1配線および第2配線は、ほぼ平行に重なって、あるいは平行に並んで設けられている部分を有している。そのため、これら第1配線と第2配線との間にカップリング(寄生容量)が生じ易い。このカップリングは、タッチ検出にノイズとして表れ、タッチ検出を劣化させる場合がある。
実施形態の課題は、配線間のカップリングを低減し、検出性能の向上を図ることが可能なタッチ検出装置、およびこれを備える表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る表示装置は、第1基板と、前記第1基板の第1領域と対向し、前記第1基板の第2領域と対向しない第2基板と、を備え、前記第1領域に配置された複数の画素と、前記第1領域に配置された複数の検出電極と、前記第2領域に配置された駆動回路と、前記第2領域に配置され、前記駆動回路の長さ方向と平行に延在する複数の第1配線と、前記駆動回路と前記複数の検出電極とを接続する複数の第2配線と、前記複数の第1配線と前記複数の第2配線との間に位置する絶縁層と、を有し、前記複数の第2配線は前記複数の第1配線とは平面視で90度以外の角度で交差している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る表示装置を示す斜視図。
【
図2】
図2は、前記表示装置に設けられたタッチ検出装置(タッチセンサ)を概略的に示す平面図。
【
図3】
図3は、タッチセンサのTx駆動回路の一例を概略的に示すブロック図。
【
図4】
図4は、タッチセンサの駆動タイミングを示すタイミングチャート。
【
図5】
図5は、Tx駆動回路におけるスイッチとTxスキャナとの間の第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図。
【
図7】
図7は、第1基板の非表示領域に設けられた信号線の配置構造を概略的に示す平面図。
【
図8A】
図8Aは、第1変形例に係るタッチ検出装置のTx駆動回路における第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図。
【
図9A】
図9Aは、第2変形例に係るタッチ検出装置のTx駆動回路における第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図。
【
図10A】
図10Aは、第3変形例に係るタッチ検出装置のTx駆動回路における第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図。
【
図11A】
図11Aは、第4変形例に係るタッチ検出装置のTx駆動回路における第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図。
【
図12】
図12は、第5変形例に係るタッチ検出装置のTx駆動回路における第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図。
【
図13】
図13は、第6変形例に係るタッチ検出装置のTx駆動回路における第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図。
【
図15】
図15は、第2の実施形態に係る表示装置におけるタッチ検出装置の電極構造および配線構造を概略的に示す平面図。
【
図16】
図16は、第2の実施形態における配線構造の一例を概略的に示す平面図。
【
図17】
図17は、第2の実施形態における配線構造の第7変形例を概略的に示す平面図。
【
図18】
図18は、第2の実施形態における配線構造の第8変形例を概略的に示す平面図。
【
図19】
図19は、第3の実施形態に係る表示装置およびタッチ検出装置の断面図。
【
図20】
図20は、第3の実施形態に係るタッチ検出装置の電極構造および配線構造を概略的に示す平面図。
【
図21】
図21は、第3の実施形態における配線構造の第9変形例を概略的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る表示装置を模式的に示す斜視図である。
表示装置10の一例として、液晶表示装置について説明する。表示装置10は、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話機、ノートブックタイプPC、携帯型ゲーム機、ビデオカメラ、電子辞書、車載装置、或いはテレビ受像装置などの各種の電子機器に組み込んで使用することができる。なお、本実施形態にて開示する主要な構成は、有機エレクトロルミネッセンス表示素子等を有する自発光型の表示装置、電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示装置、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を応用した表示装置、或いはエレクトロクロミズムを応用した表示装置などにも適用可能である。
【0009】
図1に示すように、表示装置10は、アクティブマトリクス型の表示パネル(液晶表示パネル)12と、表示パネル12を駆動する駆動ICチップ(駆動素子)14と、被検出物、例えば、指の接近あるいは接触を検知するタッチセンサ(タッチ検出装置)16と、タッチセンサ16を駆動するタッチ制御IC(駆動素子)18と、表示パネル12に接合された第1フレキシブル配線基板(FPC)20および第2フレキシブル配線基板(FPC)22と、を備えている。駆動ICチップ14は、表示パネル12に実装されている。タッチ制御IC18は、例えば、第2FPC22上に実装され、コネクタ24を介して第1FPC20および駆動ICチップ14に接続されている。
【0010】
表示パネル12は、矩形平板状の第1基板(アレイ基板)SUB1と、第1基板SUB1に対向配置され矩形平板状の第2基板(対向基板)SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持された液晶層(後述する液晶層LQ)と、を備えている。第1基板SUB1および第2基板SUB2は、例えば、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する絶縁基板(絶縁層)を用いて形成されている。第1基板SUB1と第2基板SUB2は、これらの間に所定のセルギャップを形成した状態でシール材SEによって貼り合わされている。液晶層LQは、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間のセルギャップにおいてシール材SEによって囲まれた内側に保持されている。
【0011】
表示パネル12は、平面視(表示パネル12に垂直な方向から表示パネルを見た状態をいう。以下同様)でシール材SEの内側となる領域に、画像を表示する表示領域DA、及び、表示領域DAを囲む額縁状の非表示領域EDを備えている。本実施形態において、表示領域DAは、指等の接近およびタッチを検出するタッチ検出領域を兼ねている。また、非表示領域EDは、非検出領域を兼ねている。
表示パネル12は、表示領域DAにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。第1基板SUB1は、表示領域DAにおいて、第1方向Xに延出するソース線S、第1方向Xと直交する第2方向Yに延出するゲート線G、各画素PXにおいてゲート線Gおよびソース線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SW、各画素PXにおいてスイッチング素子SWに接続された画素電極PEなどを備えている。コモン電位の共通電極CEは、第1基板SUB1または第2基板SUB2に備えられ、複数の画素電極PEと対向する。なお、ゲート線Gは第1方向Xに平行な直線状に形成されていなくても良いし、ソース線Sは第2方向Yに平行な直線状に形成されていなくても良い。すなわち、ゲート線G及びソース線Sは、屈曲していてもよいし、一部が分岐していても良い。
【0012】
表示パネル12は、例えば、バックライト装置からの光を選択的に透過させることで画像を表示する透過表示機能を備えた透過型である。なお、表示パネル12は、透過表示機能に加えて、外光や補助光といった表示面側からの光を選択的に反射させることで画像を表示する反射表示機能を備えた反射型であっても良い。更に、表示パネル12は、透過表示機能及び反射表示機能を備えた半透過型であっても良い。
表示パネル12は、表示モードとして、主として基板主面に略平行な横電界を利用する横電界モードに対応した構成を有していても良いし、主として基板主面に略垂直な縦電界を利用する縦電界モードに対応した構成を有していても良い。
【0013】
図2は、タッチセンサ16の電極構造の一例を模式的に示す表示パネルの平面図である。
図2に示すように、タッチセンサ16は、第1基板SUB1上に設けられた複数、例えば、33本の第1検出電極Tx1~Txnと、絶縁層である第2基板SUB2の上面(第1基板SUB1と反対側の表面)に設けられた複数、例えば、63本の第2検出電極Rx1~Rxnと、を備えている。図面の複雑化を避けるため、
図2では、電極の本数を削減して概略的に示している。第1検出電極Tx1~Txnは、ストライプ状に形成され、それぞれ第1基板SUB1の長手方向(第1方向X)に沿って延びている。また、第1検出電極Tx1~Txnは、長手方向と直交する幅方向(第2方向Y)に所定の間隔を置いて互いに平行に並んでいる。第1検出電極Tx1~Txnは、表示領域(タッチ検出領域)DAのほぼ全面に対向して設けられている。また、本実施形態において、第1検出電極Tx1~Txnは、表示パネル12の共通電極CEを兼ねている。第1検出電極Tx1~Txn(共通電極CE)は、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。
【0014】
第2検出電極Rx1~Rxnは、ストライプ状に形成され、それぞれ第2基板SUB2の幅方向(第2方向Y)、すなわち、第1検出電極Tx1~Txnの延出方向と直交あるいは交差する方向に延びている。第2検出電極Rx1~Rxnは、第2基板SUB2の長手方向に所定の間隔を置いて互いに平行に並んでいる。第2検出電極Rx1~Rxnは、表示領域DAのほぼ全面に対向して設けられている。これにより、第2検出電極Rx1~Rxは、表示領域DA内において、第1検出電極Tx1~Txnと交差するように配置され、更に、第2基板SUB2を挟んで第1検出電極Tx1~Txnに重ねて配置されている。
第2検出電極Rxは、導電性の透明材料によって形成されている。このような導電性の透明材料は、例えばITOやIZO等の酸化物材料である。酸化物材料は、少なくともインジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、及びチタンのいずれか一つを含んでいることが好ましい。導電性の透明材料は、特に酸化物材料に限定されるものではなく、導電性の有機材料、微細な導電性物質の分散体等で形成されていてもよい。また、第2検出電極Rxは、上述した透明材料に限らず、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)およびタングステン(W)からなる群から選ばれた1種以上の金属からなる金属層または合金層を含む導電膜で形成してもよい。この導電膜は、黒色化やメッシュ加工により、不可視化処理される。
なお、第1検出電極Txは、第1方向Xに限らず、第2方向Yに延在するように設けてもよい。この場合、第2検出電極Rxは、第1方向Xに延在するように設けられる。
【0015】
タッチセンサ16は、第1検出電極Tx1~Txnにそれぞれ接続された複数の第1制御配線CL1と、第2検出電極Rx1~Rx1にそれぞれ接続された複数の第2制御配線CL2と、を有している。第1制御配線CL1は、各第1検出電極TxとシフトレジスタSRあるいは駆動ICチップ14とを電気的に接続するための制御配線である。本実施形態において、複数の第1制御配線CL1は、第1検出電極Tx1~Txnの長手方向の一端、例えば、駆動ICチップ14側の一端から延出し、表示パネル12の非表示領域EDを通って、駆動ICチップ14まで延びている。第1制御配線CL1については後で詳しく説明する。
【0016】
第2制御配線CL2(a、b)は、各第2検出電極Rxとタッチ制御IC18とを電気的に接続するための制御配線である。複数の第2制御配線CL2は、第2検出電極Rx1~Rxnの長手方向の一端から延出し、表示パネル12の非表示領域EDを通って、第2FPC22に接続されている。本実施形態において、奇数列の第2検出電極Rx1、Rx3、~Rxnについては、第2制御配線CL2aは、
図2において第2検出電極Rxの下端から延出し、下側縁側の非表示領域EDを通り、第2FPC22まで延びている。偶数列の第2検出電極Rx2、Rx4、~Rxn-1については、第2制御配線CL2bは、
図2において、第2検出電極Rxの上端から延出し、上側縁側の非表示領域EDを通り、更に、短辺側の非表示領域EDを通って、第2FPC22まで延びている。
本実施形態によれば、第2FPC22は、第2基板SUB2の短辺において、一端側にずれて、すなわち、
図2において、下側の端の近傍に接合されている。そのため、偶数列の第2検出電極Rx2、Rx4~Rxn-aに接続された第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の端部において、ほぼ全幅に亘って延在している。
【0017】
図3は、タッチセンサ16の駆動回路の一例を概略的に示すブロック図、
図4は、タッチセンサの駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
図3に示すように、タッチセンサ16は、第1基板SUB1上に設けられ複数の第1検出電極Tx1~Txnを順次駆動するTx駆動回路30を備えている。Tx駆動回路30は、複数のシフトレジスタSR1、SR2、SR3~を含むTxスキャナ32、選択信号を出力する複数のANDゲートN1、N2、N3、スイッチング素子SW1、SW2、SW3を含むスイッチSWを備えている。
【0018】
スイッチング素子SW1は、第1検出電極TxとTPHラインとの間に設けられ、ANDゲートN1からのセレクト信号TPHSELに応じて開閉することにより、ハイレベルの検出駆動信号TPHを第1検出電極Txに印加する。スイッチング素子SW2は、第1検出電極TxとTPLラインとの間に設けられ、ANDゲートN2からのセレクト信号TPLSELに応じて開閉することにより、ローレベルの検出駆動信号TPLを第1検出電極Txに印加する。スイッチング素子SW3は、第1検出電極TxとVcom電源ラインとの間に設けられ、ANDゲートN3からのセレクト信号VcomSELに応じて開閉することにより、Vcom電圧を第1検出電極Txに印加する。
【0019】
Txスキャナ32は、駆動ICチップ14からのスキャナ制御信号に応じて、複数のシフトレジスタSR1、SR2、SR3~を順次駆動する。各シフトレジスタSR1、SR2、SR3~の各出力信号は、ANDゲートN1、N2、N3の一方の入力端子に入力される。ANDゲートN1、N2、N3の他方の入力端子には、駆動ICチップ14から信号VcomSELが入力される。
駆動ICチップ14は、垂直同期信号および水平同期信号をタッチ検出用のタッチ制御IC18に入力し、タッチ制御IC18は、入力された同期信号に応じて、第1検出電極Txの駆動信号を駆動ICチップ14に入力する。また、第2検出電極Rxで検出された検出信号は、第2制御配線CL2を介して、タッチ検出用のタッチ制御IC18に送られる。
【0020】
図4に示すように、駆動ICチップ14は、水平同期信号に応じて、1水平期間に、表示期間Aとタッチ検出期間Bとを交互に複数回繰り返して実行する。各表示期間Aにおいて、Tx駆動回路30は、スイッチング素子SW3をオン、スイッチング素子SW2、SW3をそれぞれオフに切換え、第1検出電極(共通電極)TxにVcom電圧を印加する。また、表示期間Aにおいて、駆動ICチップ14は、後述する制御配線を通して、表示領域DAのゲート線および映像信号線に切換え信号および映像信号SigXを供給する。
タッチ検出期間Bにおいて、駆動ICチップ14は、タッチ制御IC18からのTx駆動信号に応じて、シフトレジスタSR1、SR2、~を順次切換え、スイッチング素子SW1、SW2を交互にオン、オフ切換えする。これにより、タッチ検出期間Bにおいて、第1検出電極Txにハイレベル(順位相)の検出駆動信号TPHおよびローレベル(逆位相)の検出駆動信号TPLを交互に印加する。タッチ検出期間Bにおいて、表示パネル12の表示面(検出領域)に指が接近あるいはタッチすると、タッチ位置を中心として、第2検出電極Rxに容量が付加され、第1検出電極TXと第2検出電極RXとの間の容量が変動する。この容量変動を含んだ検出信号が第2検出電極Rxからタッチ制御IC18に送られる。タッチ制御IC18は、受信した検出信号に基づいて、タッチおよびタッチ座標位置を検出する。
【0021】
図5は、Tx駆動回路30におけるスイッチSWとTxスキャナ(シフトレジスタSR)32との間の第1制御配線CL1および第2制御配線CL2の配置構造を概略的に示す平面図である。
本実施形態によれば、
図5に示すように、Tx駆動回路30の各スイッチSWは、第1検出電極Tx1~Txnの長手方向一端(駆動ICチップ14側の端)に隣接して設けられ、第1検出電極Tx1~Txnの端に直接的に接続されている。そして、偶数列の第2検出電極Rx2~Rxn-1に接続された複数の第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、スイッチSWとTxスキャナ(シフトレジスタSR)32との間に設けられ、第2基板SUB2の短辺とほぼ平行に延びている。
【0022】
スイッチSWに制御信号を送る第1制御配線CL1は、シフトレジスタSR1~SRnから対応するスイッチSWまでそれぞれ延びている。本実施形態において、各第1制御配線CL1は、例えば、階段状に屈曲して設けられている。すなわち、各第1制御配線CL1は、シフトレジスタSRから第2制御配線CL2bと直交する方向に延出した後、直角に屈曲し、第2制御配線CL2bと平行に延び、更に、直角に屈曲し、スイッチSWまで第2制御配線CL2と直交する方向に延びている。これにより、第1制御配線CL1は、その一部が、第2制御配線と直交するように重なって位置し、一部が、第2制御配線CL2bと平行に重なって延びている。このように、各第1制御配線CL1は、平面視で、大部分が、第2制御配線CL2bに対して平行以外の角度で傾斜して延び、本実施形態では、第2制御配線CL2bに対してほぼ直角に延び、一部分のみが第2制御配線CL2bとほぼ平行に延びている。これにより、第1制御配線CL1は、平面視で、第2制御配線CL2bと部分的に重なって位置し、全長に亘って平行に重なってはいない。更に、後述するように、第1制御配線CL1の幅W1は、第2制御配線CL2bの幅W2に比較して非常に小さいことから、第1制御配線CL1と第2制御配線CL2とが重なる領域においても、重なり面積を小さくすることができる。
なお、
図5では、図面の複雑化を避けるため、中央部に位置する他の複数の第1検出電極Tx、スイッチSW、第1制御配線CL1を省略して示している。
【0023】
図6Aは、
図5の線B-Bに沿った表示パネルの断面図である。
図5および
図6Aに示すように、各第1制御配線CL1の幅W1は、第1検出電極Txの幅よりも狭く、また、第2制御配線CL2の幅W2よりも狭く形成されている。実施形態では、第1制御配線CL1の幅W1は、第2制御配線CL2の幅W2の1/2以下、より好ましくは、1/5以下に形成されている。第1制御配線CL1は、シフトレジスタSRからスイッチSWに選択信号を送信するのみであることから、細い配線で構成することが可能となる。第1制御配線CL1において、シフトレジスタSR1~SRnからスイッチSWまでの配線の電位は、例えば、2.5~8Vであり、スイッチSWから第1検出電極Txまでの配線の電位は、例えば、8Vあるいは10V程度となる。
各第1制御配線CL1は、スイッチSW1(TPH)に選択信号を送る配線R1(TPHSEL)、スイッチSW2(TPL)に選択信号を送る配線R2(TPLSEL)、およびスイッチSW3(VCOMDC)に選択信号を送る配線R3(VcomSEL)の3本セットで構成されている。これら3本の配線R1~R3を併せた幅が第1制御配線CL1の幅W1に相当している。第1制御配線CL1と第2制御配線CL2bとが重なる重複位置において、第1制御配線CL1を構成する3本の配線R1~R3の全てが共通の第2制御配線CL2bと重なって位置している。
【0024】
図6Bは、
図5の線B-Bに沿った制御配線の断面を模式的に示す断面図である。上述した配線構造では、交差する部位に応じて、第1制御配線CL1と重なる第2制御配線CL2と、重ならない第2制御配線CL2と、が生じる。例えば、
図6Bに示す断面では、2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)が第1制御配線CL1と重なり、1本の第2制御配線CL2(Rx2)は第1制御配線CL1と重ならない。この場合、重なっている2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)と2本の第1制御配線CL1との間には、カップリングが生じる。更に、
図6Bに2点鎖線の矢印で示すように、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と隣接する第1制御配線CL1との間にもカップリングが生じる可能性がある。このような、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と第1制御配線CL1との間のカップリングの発生を防止するため、本実施形態によれば、第1制御配線CL1を構成する3本の配線は、固定電位となる配線R3(VCOMSEL)が、上記重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)に最も隣接するように配列されている。配線R3は、第2制御配線CL2bと重複する領域と重複しない領域との境界部分に配置されている。すなわち、第1制御配線CL1を構成する3本の配線R1、R2、R3は、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)側からR3、R2、R1の順で配列されている。
第1制御配線CL1を上記配列とすることにより、不要なカップリングの発生を抑制し、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を一層効果的に抑制することができる。なお、配線R2、R1の順番はいずれでもよい。
【0025】
図7は、第1基板SUB1の非表示領域EDに設けられた信号線SLの配置構造を概略的に示す平面図である。図に示すように、本実施形態によれば、駆動ICチップ14から表示領域DAのソース線Sあるいは映像信号線にまで延びる複数の信号線SL1は、第1基板SUB1において、複数のスイッチSW1~SWnを避けるように配置されている。例えば、信号線SL1は、複数本ずつに纏められた状態で、それぞれ隣接する2つのスイッチSW間に配置されている。
【0026】
以上のように構成された本実施形態に係るタッチ検出装置および液晶表示装置によれば、タッチ検出用の第1検出電極Tx1~Txnに接続された第1制御配線CL1は、その大部分が平行と異なる角度を持って第2制御配線CL2bと重なり、第2制御配線CL2と平行に重なる領域を大幅に低減している。同時に、第1制御配線CL1は、第2制御配線CL2b幅W2に比較して、狭い幅W1(W2の1/2以下、好ましくは1/5以下)に形成されているため、第1制御配線CL1と第2制御配線CL2bとが重なる部分の面積(重なり面積)を大幅に低減することが可能となる。これにより、第1制御配線CL1と第2制御配線CL2bとの重なり部分に形成されるカップリング容量を大幅に低減することができる。従って、カップリング容量に起因するタッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制し、タッチ検出領域の全域に亘って安定したタッチ検出を実現可能なタッチ検出装置、およびこれを備える表示装置を得ることができる。
なお、第1検出電極、および第2検出電極の設置数、形状、および形成材料は、上述した第1の実施形態に限定されることなく、適宜、変更することができる。タッチ検出装置の第1検出電極は、表示パネル12の第1基板SUB1上に設ける場合に限らず、第2基板SUB2の表示面上に重ねて、第1検出電極、絶縁層、および第2検出電極を積層した構成としてもよい。
【0027】
次に、種々の変形例および他の実施形態に係る表示装置およびタッチ検出装置について説明する。以下に説明する変形例および他の実施形態において、前述した第1の実施形態と同一の部分には、同一の参照符号を付してその詳細な説明を簡略化あるいは省略し、第1の実施形態と異なる部分を中心に詳しく説明する。
【0028】
(第1変形例)
図8Aは、第1変形例に係る表示装置およびタッチ検出装置の第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図である。第1変形例によれば、第1制御配線CL1および第2制御配線CL2bの少なくとも一方は、重なり位置において、他方の制御配線に対して傾斜角度を持って、すなわち、斜めに交差するように重なって延びている。
図8に示すように、第1変形例では、偶数列の第2検出電極Rx2~Rxn-1に接続された複数の第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、スイッチSWとTxスキャナ(シフトレジスタSR)32との間を、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に延びている。更に、複数の第2制御配線CL2の一部、例えば、Txスキャナ32の近傍の部分は、鋸刃状に傾斜した複数の傾斜部64を有している。傾斜部64は、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に対して、角度θ、例えば、30~90度、傾斜している。
【0029】
スイッチSWに制御信号を送る第1制御配線CL1は、シフトレジスタSR1~SRnから対応するスイッチSWまでそれぞれ延びている。本変形例において、各第1制御配線CL1は、ステップ状に屈曲して設けられている。すなわち、各第1制御配線CL1は、シフトレジスタSRから第2基板SUB2の短辺と直交する方向に延出した後、直角に屈曲し、第2基板SUB2の短辺と平行に延び、更に、直角に屈曲し、スイッチSWまで延びている。第1制御配線CL1は、その一部が、第2制御配線CL2bの傾斜部64と交差して延びている。この際、傾斜部64は角度θ傾斜しているため、第1制御配線CL1も角度θないし90度の傾斜角度を持って、第2制御配線CL2と交差してあるいは重なって延びている。これにより、第1制御配線CL1が第2制御配線CL2bと平行に重なることが無く、重なり部分の面積を大幅に低減することが可能となる。同時に、各第1制御配線CL1と複数の第2制御配線CL2との複数の重なり部の重なり面積が均一となり、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制することができる。
更に、第2制御配線CL2の外側で第2基板SUB2の周縁部にグランド層60を形成してもよい。このグランド層60は、シフトレジスタSRに重ねて設けられている。
【0030】
図8Bは、
図8Aの線C-Cに沿った制御配線の断面を模式的に示す断面図である。上述した配線構造では、交差する部位に応じて、第1制御配線CL1と重なる第2制御配線CL2と、重ならない第2制御配線CL2と、が生じる。例えば、
図8Bに示す断面では、2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)が第1制御配線CL1と重なり、1本の第2制御配線CL2(Rx2)は第1制御配線CL1と重ならない。この場合、重なっている2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)と2本の第1制御配線CL1との間には、カップリングが生じる。更に、
図8Bに2点鎖線の矢印で示すように、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と隣接する第1制御配線CL1との間にもカップリングが生じる可能性がある。このような、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と第1制御配線CL1との間のカップリングの発生を防止するため、本変形例によれば、第1制御配線CL1を構成する3本の配線は、固定電位となる配線R3(VCOMSEL)が、上記重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)に最も隣接するように配列されている。配線R3は、第2制御配線CL2bと重複する領域と重複しない領域との境界部分に配置されている。すなわち、第1制御配線CL1を構成する3本の配線R1、R2、R3は、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)側からR3、R2、R1の順で配列されている。
第1制御配線CL1を上記配列とすることにより、不要なカップリングの発生を抑制し、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を一層効果的に抑制することができる。なお、配線R2、R1の順番はいずれでもよい。
【0031】
(第2変形例)
図9Aは、第2変形例に係る表示装置およびタッチ検出装置の第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図である。第2変形例によれば、第1制御配線CL1および第2制御配線CL2bの少なくとも一方は、重なり位置において、他方の制御配線に対して傾斜角度を持って、すなわち、斜めに交差するように重なって延びている。
図9に示すように、第2変形例では、偶数列の第2検出電極Rx2~Rxn-1に接続された複数の第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、スイッチSWとTxスキャナ(シフトレジスタSR)32との間を、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に延びている。
【0032】
スイッチSWに制御信号を送る第1制御配線CL1は、シフトレジスタSR1~SRnから対応するスイッチSWまでそれぞれ直線的に延びている。各第1制御配線CL1は、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に対して、すなわち、第2制御配線CL2bに対して、角度θ、例えば、30~90度、傾斜している。各第1制御配線CL1は、その一部が、第2制御配線CL2bを横切って延びている。この際、第1制御配線CL1は角度θの傾斜角度を持って、第2制御配線CL2と交差し、あるいは重なって延びている。これにより、第1制御配線CL1が第2制御配線CL2bと平行に重なることが無く、重なり部分の面積を大幅に低減することが可能となる。同時に、各第1制御配線CL1と複数の第2制御配線CL2との複数の重なり部分の重なり面積が実質的に均一となり、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制することができる。
【0033】
図9Bは、
図9Aの線D-Dに沿った制御配線の断面を模式的に示す断面図である。上述した配線構造では、交差する部位に応じて、第1制御配線CL1と重なる第2制御配線CL2と、重ならない第2制御配線CL2と、が生じる。例えば、
図9Bに示す断面では、2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)が第1制御配線CL1と重なり、1本の第2制御配線CL2(Rx2)は第1制御配線CL1と重ならない。この場合、重なっている2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)と2本の第1制御配線CL1との間には、カップリングが生じる。更に、
図9Bに2点鎖線の矢印で示すように、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と隣接する第1制御配線CL1との間にもカップリングが生じる可能性がある。このような、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と第1制御配線CL1との間のカップリングの発生を防止するため、本実施形態によれば、第1制御配線CL1を構成する3本の配線の内、固定電位となる配線R3(VCOMSEL)が、上記重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)に最も隣接するように配列されている。配線R3は、第2制御配線CL2bと重複する領域と重複しない領域との境界部分に配置されている。すなわち、第1制御配線CL1を構成する3本の配線R1、R2、R3は、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)側からR3、R2、R1の順で配列されている。
第1制御配線CL1を上記配列とすることにより、不要なカップリングの発生を抑制し、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を一層効果的に抑制することができる。なお、配線R2、R1の順番はいずれでもよい。
【0034】
(第3変形例)
図10Aは、第3変形例に係る表示装置およびタッチ検出装置の第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図である。第3変形例によれば、第1制御配線CL1および第2制御配線CL2bの少なくとも一方は、重なり位置において、他方の制御配線に対して傾斜角度を持って、すなわち、斜めに交差するように重なって延びている。
図10Aに示すように、第3変形例では、偶数列の第2検出電極Rx2~Rxn-1に接続された複数の第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、スイッチSWとTxスキャナ(シフトレジスタSR)32との間を、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に延びている。更に、各第2制御配線CL2の少なくとも一部、本変形例では、各第2制御配線CL2の全部が、波状、サイン波状、鋸歯状等の連続した凹凸を有する形成に形成されている。第2制御配線CL2の各部は、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に対して、例えば、30~90度、傾斜している。
【0035】
各第1制御配線CL1は、ステップ状に屈曲して設けられている。すなわち、各第1制御配線CL1は、Txスキャナ32から第2基板SUB2の短辺と直交する方向に延出した後、直角に屈曲し、第2基板SUB2の短辺と平行に延び、更に、直角に屈曲し、スイッチSWまで延びている。第1制御配線CL1は、その一部が、第2制御配線CL2bの傾斜部64と交差して延びている。この際、各第2制御配線CL2は、波状に形成されているため、第1制御配線CL1は、全ての重なり部において、角度θないし90度の傾斜角度を持って、第2制御配線CL2と交差して延びている。これにより、第1制御配線CL1が第2制御配線CL2bと平行に重なることが無く、重なり部分の面積を大幅に低減することが可能となる。同時に、各第1制御配線CL1と複数の第2制御配線CL2との複数の重なり部の重なり面積が実質的に均一となり、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制することができる。
【0036】
図10Bは、
図10Aの線E-Eに沿った制御配線の断面を模式的に示す断面図である。上述した配線構造では、交差する部位に応じて、第1制御配線CL1と重なる第2制御配線CL2と、重ならない第2制御配線CL2と、が生じる。例えば、
図10Bに示す断面では、2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)が第1制御配線CL1と重なり、1本の第2制御配線CL2(Rx2)は第1制御配線CL1と重ならない。この場合、重なっている2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)と2本の第1制御配線CL1との間には、カップリングが生じる。更に、
図10Bに2点鎖線の矢印で示すように、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と隣接する第1制御配線CL1との間にもカップリングが生じる可能性がある。このような、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と第1制御配線CL1との間のカップリングの発生を防止するため、本実施形態によれば、第1制御配線CL1を構成する3本の配線の内、固定電位となる配線R3(VCOMSEL)が、上記重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)に最も隣接するように配列されている。配線R3は、第2制御配線CL2bと重複する領域と重複しない領域との境界部分に配置されている。すなわち、第1制御配線CL1を構成する3本の配線R1、R2、R3は、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)側からR3、R2、R1の順で配列されている。
第1制御配線CL1を上記配列とすることにより、不要なカップリングの発生を抑制し、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を一層効果的に抑制することができる。なお、配線R2、R1の順番はいずれでもよい。
【0037】
(第4変形例)
図11Aは、第4変形例に係る表示装置およびタッチ検出装置の第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図である。第4変形例によれば、偶数列の第2検出電極Rx2~Rxn-1に接続された複数の第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、スイッチSWとTxスキャナ(シフトレジスタSR)32との間を、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に延びている。
スイッチSWに制御信号を送る第1制御配線CL1は、シフトレジスタSR1~SRnから対応するスイッチSWまでそれぞれ一方向に延びている。各第1制御配線CL1は、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に対して、すなわち、第2制御配線CL2bに対して、角度θ、例えば、30~90度、傾斜している。更に、各第1制御配線CL1の少なくとも一部、本変形例では、各第1制御配線CL1の全部が、面方向に波状、サイン波状、鋸歯状等の連続した凹凸を有する形成に形成されている。
【0038】
各第1制御配線CL1は、その一部が、第2制御配線CL2bを横切って延びている。この際、第1制御配線CL1は角度θないし90度の傾斜角度を持って、第2制御配線CL2と交差し、あるいは重なって延びている。更に、各第1制御配線CL1は、波状に形成されていることから、重なり部の大部分において、第2制御配線CL2とほぼ直交する方向に交差している。
これにより、第1制御配線CL1が第2制御配線CL2bと平行に重なることが無く、重なり部分の面積を一層低減することが可能となる。同時に、各第1制御配線CL1と複数の第2制御配線CL2との複数の重なり部の重なり面積が実質的に均一となり、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制することができる。
【0039】
図11Bは、
図11Aの線F-Fに沿った制御配線の断面を模式的に示す断面図である。上述した配線構造では、交差する部位に応じて、第1制御配線CL1と重なる第2制御配線CL2と、重ならない第2制御配線CL2と、が生じる。例えば、
図11Bに示す断面では、2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)が第1制御配線CL1と重なり、1本の第2制御配線CL2(Rx2)は第1制御配線CL1と重ならない。この場合、重なっている2本の第2制御配線CL2(Rx4、Rx6)と2本の第1制御配線CL1との間には、カップリングが生じる。更に、
図11Bに2点鎖線の矢印で示すように、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と隣接する第1制御配線CL1との間にもカップリングが生じる可能性がある。このような、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)と第1制御配線CL1との間のカップリングの発生を防止するため、本実施形態によれば、第1制御配線CL1を構成する3本の配線の内、固定電位となる配線R3(VCOMSEL)が、上記重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)に最も隣接するように配列されている。配線R3は、第2制御配線CL2bと重複する領域と重複しない領域との境界部分に配置されている。すなわち、第1制御配線CL1を構成する3本の配線R1、R2、R3は、重なっていない第2制御配線CL2(Rx2)側からR3、R2、R1の順で配列されている。
第1制御配線CL1を上記配列とすることにより、不要なカップリングの発生を抑制し、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を一層効果的に抑制することができる。なお、配線R2、R1の順番はいずれでもよい。
【0040】
(第5変形例)
図12は、第5変形例に係る表示装置およびタッチ検出装置の第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図である。第5変形例によれば、Tx駆動回路のスイッチSWは、それぞれTxスキャナ32のシフトレジスタSR1~SRnに隣接して設けられ、第1検出電極Txの一端から離間している。
偶数列の第2検出電極Rx2~Rxn-1に接続された複数の第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、第1検出電極Txの一端とスイッチSWとの間を、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に延びている。
【0041】
スイッチSWから第1検出電極Txに制御信号を送る第1制御配線CL1は、ストライプ状に形成され、スイッチSWから対応する第1検出電極Txの一端までそれぞれ直線的に延びている。本変形例によれば、各第1制御配線CL1の幅(配線太さ)は、第1検出電極Txの幅とほぼ等しく、あるいは、第2制御配線CL2bの幅とほぼ等しく形成されている。また、各第1制御配線CL1は、第2基板SUB2の短辺と平行な方向に対して、すなわち、第2制御配線CL2bに対して、角度θ、例えば、30~90度、傾斜している。各第1制御配線CL1は、複数の第2制御配線CL2bを横切って延びている。この際、第1制御配線CL1は角度θの傾斜角度を持って、第2制御配線CL2と交差し、あるいは重なって延びている。これにより、第1制御配線CL1が第2制御配線CL2bと平行に重なることが無く、重なり部分の面積を大幅に低減することが可能となる。同時に、各第1制御配線CL1と複数の第2制御配線CL2との複数の重なり部の重なり面積が均一となり、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制することができる。
【0042】
(第6変形例)
図13は、第6変形例に係る表示装置およびタッチ検出装置の第1制御配線および第2制御配線の配置構造を概略的に示す平面図、
図14は、
図13の線G-Gに沿った表示装置の断面図である。第6変形例によれば、表示装置は、第1制御配線として機能する2本の電源配線を更に備えている。すなわち、表示装置は、第1基板SUB1上に設けられた第1電源配線P1(VCOMSEL)および逆位相の第2電源配線P2(xVCOMSEL)を有している。第1電源配線P1および第2電源配線P2は、Txスキャナ32の外側で、第2基板SUB2の側縁に沿って延在している。第1電源配線P1および第2電源配線P2は、Txスキャナ32の各シフトレジスタSRに接続されている。
偶数列の第2検出電極Rx2~Rxn-1に接続された複数の第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、スイッチSWとTxスキャナ(シフトレジスタSR)32との間に、第2基板SUB2の短辺とほぼ平行に配置されている。複数の第1制御配線CL1は、ステップ状に屈曲して設けられている。すなわち、各第1制御配線CL1は、シフトレジスタSRから第2基板SUB2の短辺と直交する方向に延出した後、直角に屈曲し、第2基板SUB2の短辺と平行に延び、更に、直角に屈曲し、スイッチSWまで延びている。第1制御配線CL1は、その一部が、第2制御配線CL2bの傾斜部64と交差して延びている。
更に、本変形例によれば、第2制御配線CL2の外側で第2基板SUB2の周縁部上にメッシュ状のグランド層60が形成されている。このグランド層60は、第1基板SUB1上のTxスキャナ32、第1および第2電源配線P1、P2に重ねて設けられている。そして、グランド層60により、Txスキャナ32、第1および第2電源配線P1、P2と第2制御配線CL2との間のカップリングの発生を抑制している。
【0043】
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係る表示装置のタッチ検出装置を概略的に示す平面図、
図16は、制御配線と電源配線との配置構造の一例を模式的に示す平面図である。
第2の実施形態によれば、タッチセンサ(タッチ検出装置)16は、各第1検出電極Txの長手方向の両端側から駆動信号を入力するように構成されている。
図15に示すように、タッチセンサ16は、第1基板SUB1上に設けられた複数の第1検出電極Tx1~Txnと、絶縁層である第2基板SUB2の上面に設けられた複数の第2検出電極Rx1~Rxnと、を備えている。第1検出電極Tx1~Txnは、ストライプ状に形成され、それぞれ第1基板SUB1の長手方向(第1方向X)に沿って延びている。また、第1検出電極Tx1~Txnは、長手方向と直交する幅方向(第2方向Y)に所定の間隔を置いて互いに平行に並んでいる。第1検出電極Tx1~Txnは、表示領域(タッチ検出領域)DAのほぼ全面に対向して設けられている。
第2検出電極Rx1~Rxnは、ストライプ状に形成され、それぞれ第2基板SUB2の幅方向(第2方向Y)、すなわち、第1検出電極Tx1~Txnの延出方向と直交あるいは交差する方向に延びている。第2検出電極Rx1~Rxnは、第2基板SUB2の長手方向に所定の間隔を置いて互いに平行に並んでいる。第2検出電極Rx1~Rxnは、表示領域DAのほぼ全面に対向して設けられている。これにより、第2検出電極Rx1~Rxは、表示領域DA内において、第1検出電極Tx1~Txnと交差するように配置され、更に、交差部分は、第2基板SUB2を挟んで第1検出電極Tx1~Txnに対向している。
【0044】
第2の実施形態では、第1基板SUB1上において、長手方向一端側および他端側に、それぞれ複数のシフトレジスタSRを有するTxスキャナ32が設けられている。また、各第1検出電極Txの長手方向両端に隣接してスイッチSWが設けられ、それぞれ第1検出電極Txに接続されている。Txスキャナ32の各シフトレジスタSRは、第1制御配線CL1により、対応するスイッチSWに接続されている。
複数の第2制御配線CL2は、第2検出電極Rx1~Rxnの長手方向の一端から延出し、表示パネル12の非表示領域EDを通って、第2FPC22に接続されている。本実施形態において、奇数列の第2検出電極Rx1、Rx3、~Rxn-1については、第2制御配線CL2bは、
図15においてY方向を鉛直方向とした場合、第2検出電極Rxの上端(Y方向の一端)から延出し、第2基板SUB2の長辺側の非表示領域EDを通り、更に、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDを通って、第2FPC22まで延びている。偶数列の第2検出電極Rx2、Rx4、~Rxnについては、第2制御配線CL2aは、第2検出電極Rxの下端(Y方向の他端)から延出し、第2基板SUB2の長辺側の非表示領域EDを通り、第2FPC22まで延びている。
第2FPC22は、第2基板SUB2の短辺において、一端側にずれて、すなわち、
図15においてY方向を鉛直方向とした場合、短辺の下端近傍の位置に接合されている。そのため、奇数列の第2検出電極Rx1、Rx3~Rxn-1に接続された第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、短辺のほぼ全長に亘って延在している。
【0045】
第2基板SUB2の駆動ICチップ14側に位置する短辺側端部において、第1制御配線CL1および第2制御配線CL2bは、前述した第1の実施形態と同様に配列されている。すなわち、奇数列の第2検出電極Rx1、Rx3~Rxn-1に接続された複数の第2制御配線CL2bは、第2基板SUB2の短辺側の非表示領域EDにおいて、スイッチSWとTxスキャナ(シフトレジスタSR)32との間を、第2基板SUB2の短辺とほぼ平行な方向に配設されている。
スイッチSWに制御信号を送る第1制御配線CL1は、Txスキャナ32のシフトレジスタSRから対応するスイッチSWまでそれぞれ延びている。各第1制御配線CL1は、例えば、階段状に屈曲して設けられている。すなわち、各第1制御配線CL1は、シフトレジスタSRから第2制御配線CL2bと直交する方向に延出した後、直角に屈曲し、第2制御配線CL2bと平行に延び、更に、直角に屈曲し、スイッチSWまで第2制御配線CL2と直交あるいは交差する方向に延びている。これにより、第1制御配線CL1は、その一部が、第2制御配線CL2bと直交するように重なって位置し、一部が、第2制御配線CL2bと平行に重なって延びている。また、各第1制御配線CL1の幅は、第1検出電極Txの幅よりも狭く、更に、第2制御配線CL2の幅W2よりも狭く形成されている。実施形態では、第1制御配線CL1の幅は、第2制御配線CL2の幅の1/2以下、より好ましくは、1/5以下に形成されている。
【0046】
第2の実施形態によれば、第1基板SUB1の非表示領域、すなわち、周縁部に、第1電源配線(VCOMSEL)P1および第2電源配線(xVCOMSEL)P2が設けられ、全周に亘って延在している。第1制御配線として機能する第1および第2電源配線P1、P2は、第1基板SUB1の一対の長辺および一対の短辺に沿って延在している。第1および第2電源配線1、P2は、一対のTxスキャナ32および駆動ICチップ14に電気的に接続されている。
図15および
図16に示すように、第1および第2電源配線P1、P2の内、第1基板SUB1の一対の長辺に沿って延在する長辺側配線部は、この長辺と平行な方向に対し、角度θ2(例えば、5~90度)だけ傾斜して延びている。本実施形態では、第1および第2電源配線P1、P2の長辺側配線部は、中央部で屈曲している。すなわち、第1および第2電源配線P1、P2の長辺側配線部は、第1基板SUB1の長辺の一端からほぼ中央部まで、第2検出電極Rx側に角度θ2だけ傾斜して延び、この中央部から長辺の他端まで、外側に角度θ2だけ傾斜して延びている。これにより、第1および第2電源配線P1、P2の長辺側配線部は、第2制御配線CL2a、CL2bと平行に延びることなく、第2制御配線CL2a、CL2bに対して傾斜した状態で交差および重複している。
【0047】
第2制御配線CL2の外側で第2基板SUB2の周縁部上にメッシュ状のグランド層60が形成されている。このグランド層60は、第1基板SUB1上の一方のTxスキャナ32(例えば、駆動ICチップ14側に設けられたTxスキャナ32)、第1および第2電源配線P1、P2に重ねて設けられている。そして、グランド層60により、Txスキャナ32、第1および第2電源配線P1、P2と第2制御配線CL2との間のカップリングの発生を抑制している。
【0048】
以上のように構成された本実施形態に係るタッチ検出装置および表示装置によれば、タッチ検出用の第1検出電極Tx1~Txnに接続された第1制御配線CL1は、その一部が第2制御配線CL2bに重ねてあるいは交差して設けられている。これらの重なり部分は、平行と異なる角度を持って第2制御配線CL2bと重なり、第2制御配線CL2bと平行に重なる領域を大幅に低減している。同時に、第1制御配線CL1は、第2制御配線CL2b幅W2に比較して、狭い幅W1(W2の1/2以下、好ましくは1/5以下)に形成されているため、第1制御配線CL1と第2制御配線CL2bとが重なる部分の面積(重なり面積)を大幅に低減することが可能となる。これにより、第1制御配線CL1と第2制御配線CL2bとの重なり部分に形成されるカップリング容量を大幅に低減することができる。
【0049】
また、制御配線として機能する第1および第2電源配線P1、P2の長辺側配線部は、角度θ2の傾斜角度を持って、第2制御配線CL2a、CL2bと交差し、あるいは重なって延びている。これにより、第1および第2電源配線P1、P2が第2制御配線CL2a、CL2bと平行に重なることが無く、重なり部分の面積を大幅に低減することが可能となる。同時に、各電源配線と複数の第2制御配線CL2との複数の重なり部の重なり面積が均一となり、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制することができる。
以上のことから、第2の実施形態においても、カップリング容量に起因するタッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制し、タッチ検出領域の全域に亘って安定したタッチ検出を実現可能なタッチ検出装置、およびこれを備える表示装置を得ることができる。
なお、第1検出電極、および第2検出電極の設置数、形状、および形成材料は、上述した第1の実施形態に限定されることなく、適宜、変更することができる。タッチ検出装置の第1検出電極は、表示パネル12の第1基板SUB1上に設ける場合に限らず、第2基板SUB2の表示面上に重ねて、第1検出電極、絶縁層、および第2検出電極を積層した構成としてもよい。また、第1制御配線CL1と第2制御配線CL2bとの配線構造および積層構造は、第2の実施形態に限定されることなく、前述した第1~第6変形例のいずれを適用することも可能である。
【0050】
(第7変形例)
図17は、第7変形例に係る配線構造を概略的に示している。前述した第2の実施形態において、第2制御配線CL2a、CL2bの第2検出電極Rxに接続された端部の形状は、矩形状に限らず、
図17に示すように、複数段のステップ状としてもよい。このようなステップ形状とすることにより、第2制御配線CL2a、CL2bの端部と第1および第2電源配線P1、P2との交差角度をより大きくし、90度に近づけることができる。これにより、第2制御配線CL2a、CL2bと第1および第2電源配線P1、P2とが重なる部分の面積を低減し、カップリング容量を一層低減することが可能となる。
【0051】
(第8変形例)
図18は、第8変形例に係る配線構造を概略的に示している。前述した第2の実施形態において、第1および第2電源配線P1、P2は、第2制御配線CL2a、CL2bの一部と重なる構成としたが、これに限らず、
図18に示すように、第1および第2電源配線P1、P2は、第2制御配線CL2a、CL2bに重なることなく、第2制御配線CL2a、CL2bから離間して配置してもよい。この場合、第1および第2電源配線P1、P2は、カップリングが生じることのない距離dだけ、第2制御配線CL2a、CL2bから離して設けられる。
【0052】
(第3の実施形態)
図19は、第3の実施形態に係るタッチ検出装置を備えた表示装置の断面図、
図20は、タッチ検出装置を概略的に示す平面図である。
第2の実施形態によれば、タッチ検出装置(タッチセンサ)16は、独立したタッチパネルとして構成され、表示パネル12の表示面上に設けられている。
詳細に述べると、タッチ検出装置16は、例えば、透明な合成樹脂で形成された第1絶縁層IF1と、この第1絶縁層IF1上に設けられた複数の第1検出電極TX1~Txnと、透明な合成樹脂で形成された第2絶縁層IF2と、この第2絶縁層IF2上に設けられた複数の第2検出電極Rx1~Rxnと、を有している。第2絶縁層IF2は、第1検出電極Tx1~Txnおよび第1絶縁層IF1に積層されている。これにより、第1検出電極Tx1~Txnは、第2絶縁層IF2を挟んで、第2検出電極Rx1~Rxnに対向している。
【0053】
表示パネル12は、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に隙間を置いて対向配置された第2基板SUB2と、これら第1基板と第2基板との間に配置された液晶層LQと、を有している。そして、タッチ検出装置16の第1絶縁層IF1は、透明な接着剤層AD2により、表示パネル12の表示面に貼付されている。更に、本実施形態では、タッチ検出装置16上に、透明な接着剤層AD1により、透明なカバーパネル62が貼付されている。
【0054】
図20に示すように、第1検出電極Tx1~Txnは、ストライプ状に形成され、それぞれ第1絶縁層IF1の長手方向(第1方向X)に沿って配設されている。また、第1検出電極Tx1~Txnは、長手方向と直交する幅方向(第2方向Y)に所定の間隔を置いて互いに平行に並んでいる。第1検出電極Tx1~Txnは、表示領域(タッチ検出領域)DAのほぼ全面に対向して設けられている。
第2検出電極Rx1~Rxnは、ストライプ状に形成され、それぞれ第2基板SUB2の幅方向(第2方向Y)、すなわち、第1検出電極Tx1~Txnの延出方向と直交する方向に延びている。第2検出電極Rx1~Rxnは、第2基板SUB2の長手方向に所定の間隔を置いて互いに平行に並んでいる。第2検出電極Rx1~Rxnは、表示領域DAのほぼ全面に対向して設けられている。これにより、第2検出電極Rx1~Rxは、表示領域DA内において、第1検出電極Tx1~Txnと交差するように配置され、更に、第2絶縁層IF2を挟んで第1検出電極Tx1~Txnに重ねて配置されている。
【0055】
第1絶縁層IF1の非表示領域ED上に複数の第1制御配線CL1が設けられている。複数の第1制御配線CL1は、第1検出電極Tx1~Txnの長手方向一端に接続され、これらの第1検出電極から第1方向Xに延出した後、ほぼ直角に屈曲し、第2方向Y(第1絶縁層IF1の短辺に沿って)に延びている。第1制御配線CL1は、図示しない駆動ICチップに接続される。他の複数本の第1制御配線CL1は、第1検出電極Tx1~Txnの長手方向他端に接続され、これらの第1検出電極から第1方向Xに延出した後、ほぼ直角に屈曲し、第2方向Y(第1絶縁層IF1の他方の短辺に沿って)に延びている。これら他の第1制御配線CL1は、図示しない駆動ICチップに接続される。第1制御配線CL1を介して、駆動ICチップから第1検出電極Tx1~TxnにTx駆動信号(TPH、TPL)が供給される。
【0056】
第2絶縁層IF2の非表示領域ED上に複数の第2制御配線CL2が設けられている。複数の第2制御配線CL2は、第2検出電極Rx1~Rxnの長手方向の一端から第2方向Yに延出した後、第1方向X(図において右方向)に屈曲し、更に、第2方向Yに屈曲し、第2絶縁層IF2の一方の短辺に沿って延びている。他の複数の第2制御配線CL2は、第2検出電極Rx1~Rxnの長手方向の一端から第2方向Yに延出した後、第1方向X(図において左方向)に屈曲し、更に、第2方向Yに屈曲し、第2絶縁層IF2の他方の短辺に沿って延びている。これら複数の第2制御配線CL2は、図示しないタッチ検出用のタッチ駆動ICチップに接続される。これにより、第2検出電極Rx1~Rxnで検出された検出信号は、第2制御配線CL2を介してタッチ駆動ICチップに送られる。
【0057】
第1制御配線CL1および第2制御配線CL2bの少なくとも一方は、重なり位置において、他方の制御配線に対して傾斜角度を持って、すなわち、斜めに交差するように重なって延びている。
本実施形態によれば、第1絶縁層IF1の一対の短辺側端部において、第1制御配線CL1は、それぞれ第1絶縁層IF1の短辺とほぼ平行に、すなわち、第2方向Yに、延びている。これに対して、複数の第2制御配線CL2は、第2絶縁層IF2の一対の短辺側端部において、この短辺と平行な方向に対し、角度θ2(例えば、5~90度)だけ傾斜して延びている。本実施形態では、第2制御配線CL2は、中央部で屈曲している。すなわち、第2制御配線CL2は、第2絶縁層IF2の短辺の一端からほぼ中央部まで、第2絶縁層IF2の短辺と平行な方向に対して、第2検出電極Rx側に角度θ2だけ傾斜して延び、この中央部から短辺の他端まで、第2絶縁層IF2の短辺と平行な方向に対して、外側に角度-θ2だけ傾斜して延びている。これにより、第1および第2絶縁層IF1、IF2の一対の短辺側端部において、複数の第2制御配線CL2は、第1制御配線CL1と平行に延びることなく、第1制御配線CL1に対して傾斜した状態で交差および重複している。
【0058】
以上のように構成された第3の実施形態に係るタッチ検出装置および表示装置によれば、第1制御配線CL1および第2制御配線CL2bの少なくとも一方は、重なり位置において、他方の制御配線に対して傾斜角度を持って、すなわち、斜めに交差するように重なって延びている。これにより、第1制御配線CL1と第2制御配線CL2が平行に重なることが無く、重なり部分の面積を大幅に低減することが可能となる。同時に、各第1制御配線CL1と複数の第2制御配線CL2との複数の重なり部の重なり面積が均一となり、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制することができる。以上のことから、第3の実施形態においても、カップリング容量に起因するタッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制し、タッチ検出領域の全域に亘って安定したタッチ検出を実現可能なタッチ検出装置、およびこれを備える表示装置を得ることができる。
なお、第1検出電極、および第2検出電極の設置数、形状、および形成材料は、上述した第1の実施形態に限定されることなく、適宜、変更することができる。第1制御配線CL1と第2制御配線CL2bとの配線構造および積層構造は、第2の実施形態に限定されることなく、前述した第1~第6変形例のいずれを適用することも可能である。また、表示パネルは、液晶表示パネルに限定されることなく、有機EL表示パネルを適用することも可能である。
【0059】
(第9変形例)
図21は、第9変形例に係る配線構造を概略的に示している。前述した第2の実施形態において、第1制御配線CL1と第2制御配線CL2とが重なる領域では、いずれか一方の配線、例えば、第2制御配線CL2を波状、サイン波状、鋸歯状等の連続した凹凸を有する形成に形成されている。このように、各第2制御配線CL2を例えば、波状に形成することにより、第2制御配線CL2は、第1制御配線CL1との全ての重なり部において、角度30ないし90度の傾斜角度を持って、第1制御配線CL1と交差して延びている。これにより、第1制御配線CL1が第2制御配線CL2bと平行に重なることが無く、重なり部分の面積を大幅に低減することが可能となる。同時に、各第1制御配線CL1と複数の第2制御配線CL2との複数の重なり部の重なり面積が実質的に均一となり、タッチ検出領域におけるノイズの発生およびタッチ検出性能の劣化を抑制することができる。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態、変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
本発明の実施形態、変形例として上述した各構成を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての構成も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
また、上述した実施形態によりもたらされる他の作用効果について本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものついては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(7)複数の画素を含む表示領域と非表示領域とを有する第1基板を備える表示パネルと、
前記表示パネルに設けられたタッチ検出装置と、を備え、
前記タッチ検出装置は、
前記表示領域に重ねて設けられた複数の第1検出電極と、
前記表示領域に重ねて設けられ、前記第1検出電極と絶縁層を介して交差する複数の第2検出電極と、
それぞれ前記第1検出電極に接続され前記非表示領域に設けられた複数の第1制御配線と、
それぞれ前記第2検出電極に接続され前記非表示領域に設けられた複数の第2制御配線と、を備え、
前記第1制御配線は、複数のスイッチング素子を含むスイッチを介して前記第1検出電極に接続されている表示装置。
(8)平面視で前記複数の第1制御配線と前記複数の第2制御配線とは、複数個所で重なるように配置されている(7)に記載の表示装置。
(9)前記第1制御配線の線幅は、前記第1検出電極の幅および前記第2制御配線の線幅よりも狭く形成されている(7)に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0062】
10…表示装置、12…表示パネル、14、18…駆動ICチップ、
16…タッチセンサ(タッチ検出装置)、20…第1FPC、22…第2FPC、
30…タッチ駆動回路、32…Txスキャナ(シフトレジスタ)、
SUB1…アレイ基板、SUB2…対向基板、Tx…第1検出電極、
Rx…第2検出電極、CL1…第1制御配線、CL2…第2制御配線、
SW…スイッチ、P1…第1電源配線、P2…第2電源配線