(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】ワークの搬送装置
(51)【国際特許分類】
F27B 9/30 20060101AFI20230815BHJP
F27B 9/24 20060101ALI20230815BHJP
B65G 39/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F27B9/30
F27B9/24 R
B65G39/00 Z
(21)【出願番号】P 2022009429
(22)【出願日】2022-01-25
【審査請求日】2022-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】平井 義巳
【審査官】櫻井 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-186050(JP,A)
【文献】特開平04-292349(JP,A)
【文献】特開昭58-144427(JP,A)
【文献】特開2019-155400(JP,A)
【文献】特開2004-034108(JP,A)
【文献】特開2003-226913(JP,A)
【文献】特開2011-069509(JP,A)
【文献】特許第5731062(JP,B1)
【文献】特開平05-170468(JP,A)
【文献】国際公開第2021/106596(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/30
F27B 9/24
B65G 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温側と低温側とを隔てる断熱壁と、
ワークを搬送するとともに前記高温側に位置するローラと、
前記低温側に位置する回動シャフトに設けられる回動体とを備え、
前記断熱壁が、前記高温側と前記低温側との間を連通する開口を備え、
前記回動体の一部分が、前記開口を通じて前記高温側に露出し、
前記回動体
のうちの1つは、前記ローラ
のうちの前記ワークの搬送方向に隣合う2つを回動自在に当接支持
し、前記回動体は、前記ローラよりも大径であることを特徴とする、ワークの搬送装置。
【請求項2】
前記断熱壁は、炉体を構成する底壁であることを特徴とする、請求項1に記載のワークの搬送装置。
【請求項3】
前記ローラは、高さ方向において複数段に配設されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のワークの搬送装置。
【請求項4】
前記回動シャフトは、前記ワークの搬送方向において、前記回動体の外径サイズよりも狭いピッチで配設されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワークの搬送装置。
【請求項5】
前記ローラおよび前記回動体の少なくとも一方を駆動する搬送駆動部を備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワークの搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワークの搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、炉内に配置されてトレイを支持する搬送ローラと、炉内の高温で破損しないように炉外に配置される軸受とを有するローラハース式の搬送装置を開示する。特許文献2は、被加熱材を搬送する搬送ローラが炉壁を貫通し、軸受が炉外に配置されるローラ搬送式の加熱炉を開示する。特許文献3は、炉内に配置される搬送ローラと、炉外に配置される軸受とを有するローラコンベアを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-226913号公報
【文献】特開2011-69509号公報
【文献】特許5731062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1から特許文献3では、軸受が炉外に配置されるものの、長尺の搬送ローラが高温下の炉内に配置される。また、重量物のワークを搬送する場合、長尺の搬送ローラへの負荷が非常に大きくなる。そのため、高温下でも十分な機械的強度を有する耐熱材料を搬送ローラに用いたり、複雑な冷却構造を搬送ローラに設けたりしないと、高温下での搬送ローラが撓んでしまう。
【0005】
そこで、この発明の課題は、高温下でのローラの撓みを抑制する、ワークの搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係るワークの搬送装置は、
高温側と低温側とを隔てる断熱壁と、
ワークを搬送するとともに前記高温側に位置するローラと、
前記低温側に位置する回動シャフトに設けられる回動体とを備え、
前記断熱壁が、前記高温側と前記低温側との間を連通する開口を備え、
前記回動体の一部分が、前記開口を通じて前記高温側に露出し、
前記回動体は、前記ローラを回動自在に当接支持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、低温側に位置する回動シャフトに設けられる回動体によってローラが当接支持されることにより、高温下でのローラの撓みが抑制される。これにより、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造をローラに適用するよりも、搬送装置の低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る搬送装置を備える熱処理設備を模式的に説明する要部断面図である。
【
図2】
図1の搬送装置における搬送駆動部を説明する図である。
【
図3】第2実施形態に係る搬送装置を備える熱処理設備を模式的に説明する要部断面図である。
【
図4】
図3の搬送装置における搬送駆動部を説明する図である。
【
図5】第3実施形態に係る搬送装置を模式的に説明する要部断面図である。
【
図6】第4実施形態に係る搬送装置の要部を模式的に説明する図である。
【
図7】第5実施形態に係る搬送装置の要部を模式的に説明する図である。
【
図8】第6実施形態に係る搬送装置の要部を模式的に説明する図である。
【
図9】搬送装置におけるローラのピッチの狭小化を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る搬送装置5の実施の形態を説明する。
【0010】
〔第1実施形態〕
図1および
図2を参照しながら、第1実施形態に係る搬送装置5を説明する。
図1は、第1実施形態に係る搬送装置5を備える熱処理設備1を模式的に説明する要部断面図である。
図2は、
図1の搬送装置5における搬送駆動部30を説明する図である。
【0011】
図1に示す熱処理設備1は、搬送装置5と、炉体10とを備える。熱処理設備1は、例えば、脚部(図しない)を介して床面などに設置される。
【0012】
炉体10は、例えば、断熱性を有する箱体からなり、図示しない上壁、後壁および前壁と、底壁14と、横壁15とを有する。前壁が開閉可能に構成されており、前壁が開状態になると、ワーク3を搬入・搬出するための搬送開口が形成される。炉体10の内部は、電熱ヒータやガスバーナーのような加熱源(図示しない)によって加熱される。被処理物としてのワーク3は、炉体10の内部において、例えば500~900℃程度の温度に加熱される。
【0013】
底壁14は、炉体10の下側に位置して、断熱壁として働く。底壁14は、炉体10の内部の高温側H(上方側)と、炉体10の外部の低温側L(下方側)とを隔てる。底壁14の所定位置には、複数の開口17が形成される。開口17は、底壁14を炉体10の高さ方向に貫通するように形成されて、高温側Hおよび低温側Lを連通する。
【0014】
ワーク3を搬送する搬送装置5は、複数のローラ20と、搬送駆動部30と、複数の車輪32とを有する。複数の車輪32は、搬送方向Fに沿って配設されるとともに、ローラ20の下方に当接配置される。ローラ20は、ローラ20の両端であり且つ炉体10の外部に配置される1対の軸受22,22によって回動自在に支持されるが、車輪32は、それ以外の幅方向Tにおけるローラ20の部分を支持する。これにより、炉体10の内部の高温側Hに配設されるローラ20が長尺であっても、また、重量物のワーク3を搬送する場合であっても、ローラ20の撓みを抑制できる。
図1の例示では、ローラ20の幅方向Tの中央部に配設される1つの車輪32が、1対のローラ20,20を当接支持する。車輪32は、円環形状を有し、車輪32の外周面には当接部34が形成される。当接部34がローラ20に当接することによって、車輪32は、ローラ20を回動自在に当接支持する回動体として働く。ローラ20の回転に合わせて、ワーク3などの荷重を受け持つ車輪32が回転するので、ローラ20に傷が付くことを防止できる。1対のローラ20,20は、車輪32に対して搬送方向Fの上流側および下流側に配設され、車輪32よりも小径である。
【0015】
ローラ20は、炉体10の内部の高温側Hに配設されて、ワーク3を搬送する。ワーク3は、ローラ20によって直接的に搬送されるか、または、ローラ20で搬送されるトレイ(図示しない)を介して間接的に搬送される。ローラ20のローラシャフト21は、幅方向Tに延在して、離間した1対のローラ軸受22,22によって回動自在に支持されるとともに、ローラパッキン25によって気密封止される。ローラ軸受22は、炉体10の横壁15の外側に位置するとともに、横壁15に設けられるローラ軸受支持部27によって支持される。ローラ20は、例えば、SUS310などの耐熱鋼からなる。
【0016】
車輪32は、回動シャフト31に設けられ、回動シャフト31は、炉体10の低温側Lに位置する。底壁14の下方には、シールボックス41が連設される。
図1に示すように、シールボックス41と回動パッキン42とによって、シール構造40が構成される。車輪32の回動シャフト31は、幅方向Tに延在して、離間した1対の回動軸受33,33によって回動自在に支持されるとともに、回動パッキン42によって気密封止される。これにより、シールボックス41が気密性を有するので、炉体10における内部雰囲気の漏洩や外部雰囲気からの侵入を防止できる。回動軸受33は、シールボックス41の外側に位置するとともに、シールボックス41に設けられる回動軸受支持部35によって支持される。
【0017】
炉体10の内部とシールボックス41の内部とは、開口17を通じて連通する。車輪32の上側の一部分は、底壁14に形成される開口17を通じて、炉体10の内部に位置して、底壁14を挟んだ高温側H(上方側)に露出する。車輪32の大部分は、シールボックス41の中に位置して、底壁14を挟んだ低温側L(下方側)に位置し、炉体10の外部に位置する。したがって、車輪32の全部が炉体10の内部に位置する場合よりも、炉体10からの熱の影響を車輪32が受けにくくなるので、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造を車輪32に適用することが不要になり、搬送装置5の低コスト化を実現できる。車輪32の材質として、一般構造用圧延鋼(例えばSS400)を使用でき、低コスト化を実現できる。
【0018】
回動シャフト31および回動軸受33は、底壁14を挟んだ低温側L(下方側)に位置する。回動シャフト31が底壁14で隔てられた低温側Lに位置することにより、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造を回動シャフト31に適用することが不要になるので、搬送装置5の低コスト化を実現できる。
【0019】
車輪32の上部には、1対のローラ20,20が、回動シャフト31を挟んで、搬送方向Fの上流側および下流側に配設される。そして、1対のローラ20,20は、車輪32の外周に位置する当接部34によって当接支持される。
図2に示すように、例えば3つの車輪32が搬送方向Fに沿って配設される場合、3対の(6個の)ローラ20が搬送方向Fに沿って配設される。なお、例えば、3対の(6個の)ローラ20のピッチは、等間隔である。
【0020】
搬送駆動部30は、例えば、3対の(6個の)スプロケット23と、無端のチェーン29と、1つの電動モータ37と、テンショナー43と、アイドラー44とを有する。3対の(6個の)ローラ20は、スプロケット23およびチェーン29を介して、電動モータ37によって駆動される。ローラ20のローラシャフト21の端部には、スプロケット23が取り付けられる。無端のチェーン29は、テンショナー43およびアイドラー44によって張力を保持した状態で、3対の(6個の)スプロケット23に架け渡される。電動モータ37が、ギアボックス(図示しない)を介して、或るローラ20のスプロケット23を回転駆動する。
【0021】
或るローラ20のスプロケット23が回転駆動されると、チェーン29を介して、他のローラ20のスプロケット23が回転駆動される。これにより、全てのローラ20が同じ方向に回転して、ワーク3を搬送方向Fに沿って移動させる。そして、3対の(6個の)ローラ20の回転により、3つの車輪32が従動回転する。
【0022】
図2に示す搬送駆動部30の態様は、或るローラ20に取り付けられたスプロケット23を電動モータ37が回転駆動し、別のローラ20に取り付けられたスプロケット23を無端のチェーン29によって一括して駆動する一括駆動方式である。これにより、全てのローラ20および車輪32が、一体的に回動する。
【0023】
したがって、低温側Lに位置する回動シャフト31に設けられる車輪(回動体)32によってローラ20が当接支持されることにより、高温下でのローラ20の撓みが抑制される。これにより、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造をローラ20に適用するよりも、搬送装置5の低コスト化を実現できる。
【0024】
〔第2実施形態〕
図3および
図4を参照しながら、第2実施形態に係る搬送装置5を説明する。
図3は、第2実施形態に係る搬送装置5を備える熱処理設備1を模式的に説明する要部断面図である。
図4は、
図3の搬送装置5における搬送駆動部30を説明する図である。
【0025】
第2実施形態に係る搬送装置5は、ローラ20が車輪32によって従動回転することを特徴とする。
【0026】
図4に示すワーク3の搬送装置5は、複数の(例えば3対の)ローラ20と、搬送駆動部30と、複数の(例えば3個の)車輪32とを有する。複数の車輪32は、搬送方向Fに沿って配設されるとともに、ローラ20の下方に当接配置される。
【0027】
搬送駆動部30は、複数の(例えば3個の)スプロケット23と、無端のチェーン29と、1つの電動モータ37とを有する。
図3に示すように、1つの電動モータ37は、或る車輪32の回動シャフト31に接続される。電動モータ37が、ギアボックス(図示しない)を介して、或る車輪32のスプロケット23を回転駆動する。各車輪32の回動シャフト31の端部には、スプロケット23が取り付けられる。無端のチェーン29が、各スプロケット23に架け渡される。
【0028】
或る車輪32のスプロケット23が回転駆動されると、チェーン29を介して、他の車輪32のスプロケット23が回転駆動される。これにより、全ての車輪32が同じ方向に回転する。そして、車輪32に当接支持される1対のローラ20,20が従動回転して、全てのローラ20が同じ方向に回転することによって、ワーク3を搬送方向Fに沿って移動させる。
【0029】
図4に示す搬送駆動部30の態様は、或る車輪32に取り付けられたスプロケット23を電動モータ37が回転駆動し、別の車輪32に取り付けられたスプロケット23を無端のチェーン29によって一括して駆動する一括駆動方式である。これにより、全ての車輪32およびローラ20が、一体的に回動する。
【0030】
したがって、低温側Lに位置する回動シャフト31に設けられる車輪(回動体)32によってローラ20が支持されることにより、高温下でのローラ20の撓みが抑制される。これにより、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造をローラ20に適用するよりも、搬送装置5の低コスト化を実現できる。
【0031】
〔第3実施形態〕
図5を参照しながら、第3実施形態に係る搬送装置5を説明する。
図5は、第3実施形態に係る搬送装置5を模式的に説明する要部断面図である。
【0032】
第3実施形態に係る搬送装置5は、ローラ20,50が高さ方向において複数段に配設されることを特徴とする。
【0033】
図5に示すワーク3の搬送装置5は、複数段のローラ20,50と、搬送駆動部30と、複数の(例えば3個の)車輪32とを有する。複数段のローラは、例えば下段ローラ20および上段ローラ50によって構成される。複数の車輪32は、搬送方向Fに沿って配設されるとともに、複数段のローラ20,50の下方に当接配置される。
【0034】
或る車輪32の上方には、1対の下段ローラ20,20が当接配置される。下段ローラ20の下段ローラシャフト21は、上述した第2実施形態と同様に、幅方向Tに延在して、離間した1対のローラ軸受22,22によって回動自在に支持される。下段ローラ20は、車輪32よりも小径である。例えば、3個の車輪32が搬送方向Fに沿って配設される場合、下段ローラ20として、三対の(6個の)ローラ20が配設される。或る下段ローラ20の上方には、1対の上段ローラ50が当接配置される。上段ローラ50の上段ローラシャフト51は、幅方向Tに延在して、離間した1対の上ローラ軸受(図示しない)によって回動自在に支持される。
【0035】
上段ローラ50は、下段ローラ20よりも小径である。例えば、3個の車輪32が搬送方向Fに沿って配設される場合、上段ローラ50として、6対の(12個の)ローラ20が配設される。これにより、上段ローラ50の搬送方向Fにおけるピッチがさらに狭小になるので、搬送方向Fにおける寸法がさらに短いワーク3を上段ローラ50によって搬送できる。言い換えると、車輪32に対して下段ローラ20よりも離れた位置にある上段ローラ50の搬送方向Fにおけるピッチがさらに狭小になるので、搬送方向Fにおける寸法がさらに短いワーク3の搬送が可能になる。なお、例えば、下段ローラ20のピッチが等間隔であり、上段ローラ50のピッチも等間隔である。
【0036】
図5に示すように、搬送駆動部30は、複数の(例えば3個の)スプロケット23と、無端のチェーン29と、1つの電動モータ37とを有する。上記第2実施形態と同様に、1つの電動モータ37は、或る車輪32の回動シャフト31に接続される。電動モータ37が、ギアボックス(図示しない)を介して、或る車輪32のスプロケット23を回転駆動する。各車輪32の回動シャフト31の端部には、スプロケット23が取り付けられる。無端のチェーン29が、各スプロケット23に架け渡される。
【0037】
或る車輪32のスプロケット23が回転駆動されると、チェーン29を介して、他の車輪32のスプロケット23が回転駆動される。これにより、全ての車輪32が同じ方向に回転する。そして、車輪32に当接支持される下段ローラ20が従動回転し、下段ローラ20に当接支持される上段ローラ50も従動回転する。全ての上段ローラ50が同じ方向に回転することによって、ワーク3を搬送方向Fに沿って移動させる。
【0038】
図5に示す搬送駆動部30の態様は、或る車輪32に取り付けられたスプロケット23を電動モータ37が回転駆動し、別の車輪32に取り付けられたスプロケット23を無端のチェーン29によって一括して駆動する一括駆動方式である。これにより、全ての車輪32およびローラ20,50が、一体的に回動する。
【0039】
したがって、下段ローラ20が低温側Lに位置する車輪(回動体)32によって支持されるとともに上段ローラ50が下段ローラ20によって支持されることにより、高温下での下段ローラ(ローラ)20の撓みが抑制される。これにより、高価な耐熱材料や複雑な冷却構造を下段ローラ(ローラ)20に適用するよりも、搬送装置5の低コスト化を実現できる。そして、搬送方向Fにおける上段ローラ(ローラ)50のピッチを狭小にできるので、搬送方向Fにおける寸法がさらに短いワーク3が搬送可能になる。
【0040】
〔第4実施形態〕
図6および
図9を参照しながら、第4実施形態に係る搬送装置5を説明する。
図6は、第4実施形態に係る搬送装置5の要部を模式的に説明する図である。
図9は、搬送装置5におけるローラ20のピッチの狭小化を説明する図である。
【0041】
第4実施形態に係る搬送装置5は、平面視で、凸部32aを有する車輪32と、凹部32bを有する車輪32とが搬送方向Fに沿って配設されることを特徴とする。
【0042】
第4実施形態に係る搬送装置5は、
図6に示すように、例えば、凸部32aを有する車輪32と、凹部32bを有する車輪32とを搬送方向Fに組み合わせて配設される態様である。凸部32aは、凹部32bに収容可能に構成される。凸部32aの突出高さおよび凹部32bの凹み深さを大きくすると、隣合う回動シャフト31を近づけることができる。言い換えると、隣合う車輪32の凸部32aおよび凹部32bの係合によって、隣合う回動シャフト31のピッチが狭小になる。これにより、
図9に示すように、回動シャフト31を、車輪32の外径サイズよりも狭いピッチで搬送方向Fに沿って配設できるので、搬送方向Fにおいてローラ20のピッチが狭小になり、搬送方向Fにおける寸法が短いワーク3が搬送可能になる。なお、例えば、ローラ20のピッチは、等間隔である。
〔第5実施形態〕
図7および
図9を参照しながら、第5実施形態に係る搬送装置5を説明する。
図7は、第5実施形態に係る搬送装置5の要部を模式的に説明する図である。
【0043】
第5実施形態に係る搬送装置5は、平面視で、1つの車輪32が回動シャフト31の中央部において千鳥状に配設されることを特徴とする。
【0044】
例えば、
図7に示すように、或る回動シャフト31の中央部近傍に配設される或る車輪32が、搬送方向Fにおいて隣に位置する隣の回動シャフト31の隣の車輪32に対して千鳥状に配置される。例えば、或る回動シャフト31における車輪32が回動シャフト31の中央部の一側寄りに位置して、隣の回動シャフト31における隣の車輪32が中央部の他側寄りに位置する。
【0045】
当該配置が交互に繰り返されることにより、回動シャフト31の中央部を挟んで、平面視で、車輪32が千鳥状に配置される。これにより、
図9に示すように、回動シャフト31を、車輪32の外径サイズよりも狭いピッチで搬送方向Fに沿って配設できるので、搬送方向Fにおいてローラ20のピッチが狭小になり、搬送方向Fにおける寸法が短いワーク3が搬送可能になる。なお、例えば、ローラ20のピッチは、等間隔である。
【0046】
また、車輪32の径方向において中央部から周縁部にかけて部分的に切り欠かれた切り欠き52を設けて肉厚を薄くすることにより、車輪32の軽量化を図ることができる。
【0047】
〔第6実施形態〕
図8および
図9を参照しながら、第6実施形態に係る搬送装置5を説明する。
図8は、第6実施形態に係る搬送装置5の要部を模式的に説明する図である。
【0048】
第6実施形態に係る搬送装置5は、回動シャフト31が複数の(例えば2つの)車輪32を有して、平面視で、搬送方向Fにおいて隣接する回動シャフト31に配設される各車輪32が千鳥状に配設されることを特徴とする。
【0049】
回動シャフト31は、例えば、
図6に示すように、2つの車輪32を有する。回動シャフト31に複数の(例えば2つの)車輪(回動体)32を設けることにより、ローラ20が複数の(例えば2つの)車輪32で当接支持されるので、高温下でのローラ20の撓みをさらに抑制できる。当該構成は、特に、ローラ20が長尺である場合や、重量物のワーク3を搬送する場合において、効果的である。なお、回動シャフト31に配設される車輪32の数は、用いられるローラ20の軸方向長さに応じて適宜に決定される。
【0050】
また、上記第5実施形態と同様に、或る回動シャフト31の車輪32は、搬送方向Fにおいて隣に位置する回動シャフト31の車輪32に対して千鳥状に配置することができる。すなわち、車輪32は、搬送方向Fにおいて千鳥状に配置することができる。例えば、或る回動シャフト31における一側の車輪32が端部寄りに位置して、搬送方向Fの隣の回動シャフト31における一側の車輪32が中央寄りに位置する。これにより、
図9に示すように、回動シャフト31を、車輪32の外径サイズよりも狭いピッチで搬送方向Fに沿って配設できるので、搬送方向Fにおいてローラ20のピッチが狭小になり、搬送方向Fにおける寸法が短いワーク3が搬送可能になる。なお、例えば、ローラ20のピッチは、等間隔である。
【0051】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0052】
上記実施の形態では、回動体として、幅方向Tに幅狭の円板型の車輪32を例示したが、他の車輪形状としては、幅方向Tに幅広のローラ形状、両端にフランジを有するリール形状、球形状、楕円形状、紡錘形状などの様々な形状も可能である。
【0053】
上記実施の形態では、搬送駆動部30の態様として一括駆動方式を例示したが、下段ローラシャフト21や上段ローラシャフト51を個別の電動モータで駆動する個別駆動方式とすることもできる。
【0054】
上記実施の形態では、ワーク3の搬送装置5は、断熱性を有する箱体からなる炉体10に適用した態様を例示したが、高温のワーク3が載置されるトレイを搬送するための断熱テーブルにも適用可能である。
【0055】
上記実施の形態では、搬送駆動部30がローラ20,50または車輪32のいずれか一方を駆動するが、搬送駆動部30がローラ20,50および車輪32の両方を駆動してワーク3を搬送方向Fに沿って搬送する態様にすることもできる。これにより、搬送駆動部30の設置スペースや必要な搬送駆動力に応じて、搬送駆動部30を適宜に配設できる。
【0056】
上述した第3実施形態(
図5)では、下段ローラ20および上段ローラ50の2段のローラを備えるが、下段ローラ20と上段ローラ50との間に、少なくとも1段のローラをさらに備える態様にすることもできる。
【0057】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0058】
この発明の一態様に係るワーク3の搬送装置5は、
高温側Hと低温側Lとを隔てる断熱壁14と、
ワーク3を搬送するとともに前記高温側Hに位置するローラ20と、
前記低温側Lに位置する回動シャフト31に設けられる回動体32とを備え、
前記断熱壁14が、前記高温側Hと前記低温側Lとの間を連通する開口17を備え、
前記回動体32の一部分が、前記開口17を通じて前記高温側Hに露出し、
前記回動体32は、前記ローラ20を回動自在に当接支持することを特徴とする。
【0059】
上記態様によれば、低温側Lに位置する回動シャフト31に設けられる回動体32によってローラ20が当接支持されることにより、ローラ20の撓みが抑制されるため、耐熱材料や冷却構造をローラ20に適用するよりも、搬送装置5の低コスト化を実現できる。
【0060】
また、一実施形態のワーク3の搬送装置5では、
前記断熱壁14は、炉体10を構成する底壁14である。
【0061】
上記実施形態によれば、熱処理が行われる炉体10にワーク3の搬送装置5を適用することにより、産業上の利用可能性が向上する。
【0062】
また、一実施形態のワーク3の搬送装置5では、
前記ローラ20は、高さ方向において複数段に配設される。
【0063】
上記実施形態によれば、車輪32に対して下段ローラ20よりも離れた位置にある上段ローラ50の搬送方向Fにおけるピッチが狭小になるので、搬送方向Fにおける寸法が短いワーク3の搬送が可能になる。
【0064】
また、一実施形態のワーク3の搬送装置5では、
前記回動シャフト31は、前記ワーク3の搬送方向Fにおいて、前記回動体32の外径サイズよりも狭いピッチで配設される。
【0065】
上記実施形態によれば、搬送方向Fにおける寸法が短いワーク3を搬送できる。
【0066】
また、一実施形態のワーク3の搬送装置5では、
前記ローラ20および前記回動体32の少なくとも一方を駆動する搬送駆動部30を備える。
【0067】
上記実施形態によれば、搬送駆動部30の設置スペースや必要な搬送駆動力に応じて、搬送駆動部30を適宜に配設できる。
【符号の説明】
【0068】
1…熱処理設備
3…ワーク
5…搬送装置
10…炉体
14…底壁
15…横壁(側壁)
17…開口
20…ローラ(下段ローラ)
21…ローラシャフト(下段ローラシャフト)
22…ローラ軸受
23…スプロケット
25…ローラパッキン
27…ローラ軸受支持部
29…チェーン
30…搬送駆動部
31…回動シャフト
32…車輪(回動体)
32a…凸部
32b…凹部
33…回動軸受
34…当接部
35…回動軸受支持部
37…電動モータ
40…シール構造
41…シールボックス
42…回動パッキン
43…テンショナー
44…アイドラー
50…ローラ(上段ローラ)
51…ローラシャフト(上段ローラシャフト)
52…切り欠き
F…搬送方向
H…高温側(上方側)
L…低温側(下方側)
T…幅方向