IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アッヴィ・バイオセラピューティクス・インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】抗CD40抗体とその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230815BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230815BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230815BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230815BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230815BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230815BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N5/10
C12P21/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022023569
(22)【出願日】2022-02-18
(62)【分割の表示】P 2018561225の分割
【原出願日】2017-05-26
(65)【公開番号】P2022068294
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】62/342,417
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509189086
【氏名又は名称】アッヴィ・バイオセラピューティクス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイアン・ホレンボー
(72)【発明者】
【氏名】シーミン・イエ
(72)【発明者】
【氏名】ダイアン・サウ・ムン・コーエン
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0120103(US,A1)
【文献】国際公開第2014/144960(WO,A2)
【文献】Cancer Res.,2000年,Vol.60,pp.3225-3231
【文献】耳鼻免疫アレルギー,2012年,Vol. 30, No. 1,pp.1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号132又は133の重鎖配列と、配列番号141の軽鎖配列を含む、抗CD40抗体。
【請求項2】
請求項1に記載の抗CD40抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子。
【請求項3】
請求項2に記載の核酸を含むベクター。
【請求項4】
(i)宿主細胞が、真核細胞であり、請求項3に記載のベクターを含む、又は
(ii)宿主細胞が、真核細胞であり、請求項2に記載の核酸分子を発現するように操作された、
宿主細胞。
【請求項5】
真核宿主細胞が、哺乳動物宿主細胞である、請求項4に記載の宿主細胞。
【請求項6】
抗CD40抗体の作成方法であって、
(i)請求項4(i)に記載の宿主細胞を培養する工程と、
(ii)抗体を回収する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願とのクロスリファレンス
本願は35 U.S.C.§119(e)に基づき、2016年5月27日付け米国仮出願第62/342,417号の優先権を主張し、その開示内容全体を本願に援用する。
【0002】
2.配列表
本願はASCIIフォーマットの電子形式で提出された配列表を含み、その全体を本願に援用する。前記ASCIIコピーは2017年5月17日に作成され、ファイル名381493-285WO_SL.txt、サイズ108,670バイトである。
【0003】
3.技術分野
本願は特に、新規抗CD40抗体、前記新規抗体を含有する組成物、前記抗体をコードする核酸、及びそれらの製造方法と使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
4.背景
がん治療法には外科手術、放射線療法及び化学療法をはじめとする広範な治療アプローチがある。これらの種々のアプローチにより、医師はがんを治療するために幅広い治療選択肢があるが、既存の治療法は、正常・健常細胞に優先してがん細胞を標的とする選択性を欠いていたり、がんが治療耐性を獲得する等の多数の欠点がある。
【0005】
標的治療に基づく最近のアプローチは、がん細胞の細胞プロセスを正常細胞よりも優先的に妨害するものであり、放射線治療等の非標的療法に比較して副作用の少ない化学療法レジメンが得られるようになった。
【0006】
既存の標準治療を補完するための有望な治療アプローチとしてがん免疫療法が出現し、特に、がん細胞の増殖を防ぐため又はがん細胞を死滅させるために宿主の免疫系のT細胞を活性化させる薬剤が開発されている。例えばMiller,et al.Cancer Cell,27,439-449(2015)参照。このような免疫療法アプローチとしては、免疫系を調節してがん細胞を死滅させるために使用される抗体が開発されている。例えば、切除不能又は転移性メラノーマや転移性非小細胞肺がん等の疾患を治療するために抗PD-1阻害抗体であるペムブロリズマブ(キイトルーダ(R))とニボルマブ(オプジーボ(R))とが米国とEUで開発されている。CTLA-4等の免疫抑制タンパク質を阻害するために研究が重ねられ、トレメリムマブ及びイピリムマブ(ヤーボイ(R))等の抗CTLA-4抗体が開発・臨床評価されるに至っている。
【0007】
しかし、既存の標準治療を補完するための代替アプローチと追加的ながん治療法とが依然として必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Miller,et al.Cancer Cell,27,439-449(2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
5.概要
ヒトCD40(配列番号40)はB細胞、樹状細胞(DC)及び単球等の抗原提示細胞と、ある種の腫瘍細胞を含む非免疫細胞で発現される腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーメンバー(TNFスーパーファミリーメンバー5)である。ヒトCD40リガンド(配列番号41)により活性化されると、ヒトCD40は抗原提示細胞を活性化させ、自然免疫系と適応免疫系の双方から応答を誘導する。免疫系に腫瘍細胞の増殖を防止させ、及び/又は腫瘍細胞を死滅させ、その結果として固形腫瘍の有効な治療を提供するために、アゴニストCD40剤を使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示はヒトCD40(配列番号40)と特異的に結合する抗CD40抗体及びその結合断片を提供する。代表的な抗CD40抗体の重鎖及び軽鎖の代表的なCDRのアミノ酸配列と、V領域及びV領域のアミノ酸配列については、後述する詳細な説明の欄に記載する。
【0011】
本願に記載する抗CD40抗体のV鎖及びV鎖は、CD40リガンド(CD40L)とCD40との結合相互作用と競合せずにCD40Lの存在下又は不在下でヒトCD40を活性化させることができる、アロステリックアゴニスト受容体応答を生じる。更に、本願の抗CD40抗体は、CD40と相互作用することにより、CD40LとCD40の結合を強化することができる。
【0012】
前記抗CD40抗体は、当分野で公知の通り、半減期の延長、ADCCの増減、又はアゴニスト活性の上昇等の抗体の特性を変化させる改変及び/又は突然変異を含むことができる。
【0013】
本願は、本開示の抗CD40抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸、及び核酸を含むベクターも提供する。本願は更に、開示する抗CD40抗体をコードするヌクレオチド配列を含むベクターで形質転換された原核及び真核宿主細胞、及び前記ヌクレオチド配列を発現するように人工的に操作された真核(例えば哺乳動物)宿主細胞も提供する。宿主細胞を培養して抗体を回収することにより抗体を作製する方法も提供し、後述する詳細な説明の欄に詳細に説明する。
【0014】
別の態様において、本開示は、本願に記載する抗CD40抗体を含有する組成物を提供する。前記組成物は、一般に1種以上の本願に記載するような抗CD40抗体及び/又はその塩と、1種以上の賦形剤、担体又は希釈剤を含有する。
【0015】
本開示は、固形腫瘍を有すると診断されたヒト対象等の対象を抗CD40抗体で治療する方法を提供する。前記方法は、一般に、治療効果を提供するために有効な量の本願に記載する抗CD40抗体を前記対象に投与することを含む。前記対象は、多数の固形腫瘍のいずれか1種をもつと診断されればよく、新規に診断されたものでもよいし、再発でもよいし、再発・難治性でもよい。抗CD40抗体は一般的に静脈内輸液又は腫瘍内注射として約0.001mg/kg~約4mg/kgの用量で投与される。抗CD40抗体は一般的に静脈内輸液又は腫瘍内注射として1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、又は8週間に1回投与される。
【0016】
前記抗CD40抗体は、単独治療剤(単剤療法)として投与してもよいし、必ずしもそうでなくてもよいが、一般的には固形腫瘍の治療に使用されるものである他の治療剤の補助薬として投与してもよい。治療剤は、一般的に、その承認されている用量、投与経路及び投与頻度で使用されるが、用量を減らして使用してもよい。
【0017】
抗CD40抗体は、種々の投与経路又は投与方式で投与することができ、限定されないが、静脈内輸液及び/又は注射、皮下注射、並びに腫瘍内注射が挙げられる。投与量は当分野で周知の通り、投与経路、投与スケジュール、治療するがんの種類、治療するがんのステージ、及び患者の年齢や体重等の他のパラメーターにより異なる。治療効果を提供すると予想される特定の代表的な投与スケジュールについては、詳細な説明の欄に記載する。
【発明の効果】
【0018】
本願に提示するデータによると、本願に記載する抗CD40抗体は、固形腫瘍をもつと診断された対象に治療効果を提供すると予想される。
【0019】
6.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ヒトCD40受容体(配列番号40)及びヒトCD40リガンド(配列番号41)のアミノ酸配列を示す。
図2A図2A~2Gは、代表的なマウス及びヒト化抗CD40抗体の、V及びVのアミノ酸配列を示す。図2Aは、muAb1~muAb3のV及びVのアミノ酸配列を示す。
図2B図2A~2Gは、代表的なマウス及びヒト化抗CD40抗体の、V及びVのアミノ酸配列を示す。図2Bは、muAb4~muAb7のV及びVのアミノ酸配列を示す。
図2C図2A~2Gは、代表的なマウス及びヒト化抗CD40抗体の、V及びVのアミノ酸配列を示す。図2Cは、muAb8~muAb10のV及びVのアミノ酸配列を示す。
図2D図2A~2Gは、代表的なマウス及びヒト化抗CD40抗体の、V及びVのアミノ酸配列を示す。図2Dは、muAb6及びmuAb8のヒト化抗体のV及びVのアミノ酸配列を示す。
図2E図2A~2Gは、代表的なマウス及びヒト化抗CD40抗体の、V及びVのアミノ酸配列を示す。図2Eは、muAb8及びmuAb9のヒト化抗体のV及びVのアミノ酸配列を示し、
図2F図2A~2Gは、代表的なマウス及びヒト化抗CD40抗体の、V及びVのアミノ酸配列を示す。図2Fは、muAb9の他のヒト化抗体のV及びVのアミノ酸配列を示す。
図2G図2A~2Gは、代表的なマウス及びヒト化抗CD40抗体の、V及びVのアミノ酸配列を示す。図2Gは、muAb9の更に他のヒト化抗体のV及びVのアミノ酸配列を示す。
図3】ヒトCD40におけるCD40Lと代表的な抗CD40抗体との間の競合実験の結果を示す。左上はCD40Lと競合する代表的な抗CD40抗体を示し、右上はCD40Lと有位に競合しない抗体を示し、左下はCD40とCD40Lの相互作用を強化する抗体を示し、右下は抗CD40抗体huAb9A2IとCP-870,893の結果を示す。y軸は650nmにおける光学密度(OD)を表し、x軸は抗体用量(「試料」)をμg/mLで表す。
図4】抗体huAb9A2I、CP-870,893、ヒトIgG(「huIgG1」)アイソタイプ又はヒトIgG(「huIgG2」)アイソタイプの量を増加させながら、ヒトCD40Lを発現するJurkat細胞に蛍光色素で標識したヒトCD40を1μg/mLの一定濃度で加えた場合の結合を示す。y軸は結合に相当する平均蛍光強度(「MFI」)を表し、x軸は抗体用量(「試料」)をμg/mLで表す。
図5A図5A~5Bは、HEK293 blue CD40 NFκBレポーター細胞とJurkat D1.1細胞との混合物(1:1比)からのNFκBシグナルに及ぼす3μg/mLの抗体用量(「試料」)又は培地のみの影響を示す。huAb9A2I、CP-870,893、ヒトIgG(「huIgG1」)アイソタイプもしくはヒトIgG(「huIgG2」)アイソタイプの各抗体又は培地のみを個々の試料に加えた。図5AはCD40L陰性(「CD40L-」)Jurkat D1.1細胞を含む培養液中のNFκBシグナルを示す。y軸は625nmにおけるODを表し、x軸は抗体又は培地のみの処理(「試料」)を表す。
図5B図5A~5BはHEK293 blue CD40 NFκBレポーター細胞とJurkat D1.1細胞との混合物(1:1比)からのNFκBシグナルに及ぼす3μg/mLの抗体用量(「試料」)又は培地のみの影響を示す。huAb9A2I、CP-870,893、ヒトIgG(「huIgG1」)アイソタイプもしくはヒトIgG(「huIgG2」)アイソタイプの各抗体又は培地のみを個々の試料に加えた。図5BはCD40L陽性(「CD40L+」)Jurkat D1.1細胞を含む培養液中のNFκBシグナルを示す。y軸は625nmにおけるODを表し、x軸は抗体又は培地のみの処理(「試料」)を表す。
図6A図6A~6BはCD16F、CD16V、CD32a、CD32b又はCD64を発現するCHO細胞に、野生型huIgGを示すhuAb9-5、又はV273YもしくはV273E変異を示すhuAb9-5、又はCP-870,893をμg/mLで表した抗体用量(「試料」)で加えた場合の結合を示す。図6AはCD16F(左上)、CD16V(右上)、CD32a(左下)又はCD32b(右下)を発現するCHO細胞と抗CD40抗体との結合を示す。y軸は結合に相当する平均蛍光強度(MFI)を表し、x軸は抗体用量(「試料」)をμg/mLで表す。
図6B図6A~6BはCD16F、CD16V、CD32a、CD32b又はCD64を発現するCHO細胞に、野生型huIgGを示すhuAb9-5、又はV273YもしくはV273E変異を示すhuAb9-5、又はCP-870,893をμg/mLで表した抗体用量(「試料」)で加えた場合の結合を示す。図6BはCD64を発現するCHO細胞と抗CD40抗体との結合を示す。y軸は結合に相当する平均蛍光強度(MFI)を表し、x軸は抗体用量(「試料」)をμg/mLで表す。
図7】野生型ヒトIgGを示すhuAb9-5と比較して、RL細胞における抗体huAb9-5の定常領域変異体V273E又はV273Yの抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を示す。y軸はRL細胞における細胞傷害活性百分率を表し、x軸は抗体用量(「試料」)をμg/mLで表す。
図8】野生型ヒトIgG又は定常領域変異V273EもしくはV273Yを示す抗体huAb6-1(左上)、huAb9-5(左下)及びhuAb8-1(右上)がB細胞増殖に及ぼす効果を示す。右下グラフはヒトIgGV273E変異を含むhuAb9A2I又はCP-870,893のB細胞増殖効果を示す。y軸はB細胞増殖を毎分カウント数(CPM)で表し、x軸は抗体用量(「試料」)をμg/mLで表す。
図9】野生型ヒトIgG又は定常領域変異V273EもしくはV273Yを示す抗体huAb6-1(左上)、huAb9-5(左下)及びhuAb8-1(右上)が樹状細胞(DC)活性化に及ぼす効果をIL-12p70産生量(pg/mL)により測定した結果を示す。右下グラフはヒトIgGV273E変異を示すhuAb9A2I又はCP-870,893のDC活性化を示す。y軸はIL-12p70をpg/mLで表し、x軸は抗体用量(「試料」)をμg/mLで表す。
図10】huAb6-1、huAb8-1又はhuAb9-5のV273Y変異体がDCとT細胞の共培養に及ぼす効果をインターフェロンγ(IFN-γ)産生量(pg/mL)により測定した結果を示す。
図11】抗体huAb6-1(上段)、huAb9-5(中段)又はhuAb9A2I(下段)がPC3予防試験マウスモデルにおける腫瘍体積(mm)に及ぼす効果を示す。
図12】両側に作製したCT26同系腫瘍をもつマウスモデルにおける抗CD40抗体1C10又はmIgG1アイソタイプの腫瘍内(IT)又は腹腔内(IP)送達後のインビボ効果を示す。一方の脇腹の一方の腫瘍にIT投与し、他方の脇腹の腫瘍には注射しなかった。
図13】0.6mg/kgの抗CD40抗体1C10、10mg/kgの抗PD-1抗体、又は1C10と抗PD-1抗体の併用をCT26同系マウスモデルに週2回投与後の腫瘍体積(mm)に及ぼす効果を示す。
図14】抗CD40抗体1C10(「抗CD40」)、抗PD-1抗体(「抗PD-1」)又は併用(「抗CD40+抗PD-1」)をCT26同系マウスモデルに投与してから24時間後のALT(左上)、TNFα(「TNFa」、左下)又はIL-6(右下)濃度を示す。右上グラフは投与から4日後の脾臓重量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
7.詳細な説明
本開示は、ヒトCD40(配列番号40)と特異的に結合する抗体及び断片、前記抗体を含有する組成物、抗CD40抗体をコードするポリヌクレオチド、前記抗体を産生することが可能な宿主細胞、前記抗体及び結合断片の作製に有用な方法及び組成物、並びにこれらの種々の使用方法に関する。
【0022】
当業者に自明の通り、抗体は、本質的に「モジュール」構成である。本開示の随所で前記抗体を構成する種々の「モジュール」の種々の特定の実施形態について記載する。特定の非限定的な例として、VCDR、V鎖、VCDR及びV鎖の種々の特定の実施形態について記載する。特定の実施形態の全てを相互に組合せることができるものとし、個々の特定の組合せを個別に明記しているものとみなす。
【0023】
7.1.略号
本願に記載する抗体、結合断片、ADC及びポリヌクレオチドは、多くの実施形態では夫々のポリペプチド又はポリヌクレオチド配列により説明する。特に指定しない限り、ポリペプチド配列はN→C方向に記載し、ポリヌクレオチド配列は5’→3’方向に記載する。ポリペプチド配列については、下表1に記載するように、遺伝子にコードされるアミノ酸の従来の3文字又は1文字略号を使用する場合もある。
【0024】
【表1】
【0025】
所定の配列については、所定の分類(例えば脂肪族、疎水性等)に属するアミノ酸残基を表す構造式により定義する。遺伝子にコードされるアミノ酸が属する分類として、本願で使用する種々の分類を下表2に示す。アミノ酸によっては2分類以上に属するものもある。スルフヒドリル基を含むシステインと、コンフォメーションが制限されているプロリンは分類に帰属しない。
【0026】
【表2】
【0027】
本願に開示する種々の代表的な抗体に使用する略号を下表3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】
7.2.定義
本願で特に定義しない限り、本開示に関連して使用する科学技術用語は、当分野における通常の知識をもつ者に広く理解されている意味とする。
【0030】
7.3.抗CD40抗体及び結合断片
1態様において、本開示は、ヒトCD40受容体(別称、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5、TNFRSF5、Bp50及びCD40L受容体)と特異的に結合する抗体及び/又はその結合断片に関する。
【0031】
本願で使用する「抗体(Ab)」なる用語は、特定の抗原(ここではCD40)と特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。所定の実施形態において、本開示の抗CD40抗体は、ヒトCD40と結合することにより、免疫系を調節する(例えば活性化させる)。その結果として生じる免疫系応答は、腫瘍細胞等の細胞の増殖を抑制し、場合により、腫瘍細胞に対して細胞傷害性である。本開示の抗CD40抗体は、軽鎖可変領域と重鎖可変領域との両方に相補性決定領域(CDR)(別称、超可変領域)を含む。可変領域のうちで特に高度に保存された部分をフレームワーク(FR)と呼ぶ。当分野で公知の通り、抗体の超可変領域を区切るアミノ酸位置/境界は、文脈と当分野で公知の種々の定義とに応じて変動し得る。可変領域内の所定の位置は、ある基準下では超可変領域内にあるとみなすことができるが、別の基準下では超可変領域外にあるとみなされるという意味で、ハイブリッド超可変位置とみなすことができる。これらの位置の1個以上が拡大超可変領域に存在する場合もある。本開示はこれらのハイブリッド超可変位置に改変を含む抗体を提供する。天然重鎖及び軽鎖の可変領域は、各々主にβシート構造をとることによりFR領域4個を含み、これらを3個のCDRにより相互に連結してループを形成し、βシート構造を相互に連結し、場合によってはその一部を形成する。各鎖のCDRはFR領域により相互に近接して保持され、他方の鎖のCDRと共に、抗体の標的結合部位の形成に寄与する。Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institute of Health,Bethesda,Md.1987)参照。本願で使用する免疫グロブリンアミノ酸残基のナンバリングは、特に指定しない限り、Kabatらの免疫グロブリンアミノ酸残基ナンバリングシステムに従う。
【0032】
本開示の抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、遺伝子工学により作製された抗体及び/又は他の方法で本質的に改変された抗体とすることができ、限定されないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、霊長類化抗体、一本鎖抗体等が挙げられる。種々の実施形態において、前記抗体は、ある抗体の定常領域の全部又は一部を含む。所定の実施形態において、前記定常領域は、IgA(例えばIgA又はIgA)、IgD、IgE、IgG(例えばIgG、IgG、IgG又はIgG)、及びIgMから選択されるアイソタイプである。特定の実施形態において、本願に記載する抗CD40抗体は、IgGを含む。他の実施形態において、前記抗CD40抗体は、IgGを含む。更に他の実施形態において、前記抗CD40抗体は、IgGを含む。本願で使用する抗体の「定常領域」は、ヒトIgGの天然定常領域、アロタイプ又は天然変異体(例えばD356E及びL358M、又はA431G)を含む。例えばJefferis and Lefranc,MAbs,1(4):332-338(Jul-Aug 2009)参照。
【0033】
抗CD40抗体の軽鎖定常領域は、軽鎖カッパ(κ)領域でもラムダ(λ)領域でもよい。軽鎖λ領域は、公知サブタイプのいずれか1種、例えばλ、λ、λ又はλとすることができる。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、軽鎖カッパ(κ)領域を含む。
【0034】
本願で使用する「モノクローナル抗体」なる用語は、ハイブリドーマ技術により作製される抗体に限定されない。モノクローナル抗体は、当分野で利用可能であるか又は公知の任意の手段により、任意の真核クローン、原核クローン又はファージクローンを含む単一クローンから得られる。本開示で有用なモノクローナル抗体は、当分野で公知の多種多様な技術を使用して作製することができ、ハイブリドーマ技術、組換え技術及びファージディスプレイ技術、又はその組合せの使用が挙げられる。ヒトにおける抗CD40抗体のインビボ使用を含む本開示の多くの用途では、キメラ抗体、霊長類化抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体を適切に使用することができる。
【0035】
本願で使用する「キメラ」抗体なる用語は、ラット又はマウス抗体等の非ヒト免疫グロブリンに由来する可変領域配列と、一般的にヒト免疫グロブリン鋳型から選択されるヒト免疫グロブリン定常領域とを有する抗体を意味する。キメラ抗体の作製方法は、当分野で公知である。例えばMorrison,1985,Science 229(4719):1202-7;Oi et al.,1986,BioTechniques 4:214-221;Gillies et al.,1985,J.Immunol.Methods 125:191-202;米国特許第5,807,715号、4,816,567号及び4,816,397号参照。
【0036】
「ヒト化」型の非ヒト(例えばマウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ免疫グロブリンである。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、一般的には2個の可変領域の実質的に全部を含み、そのCDR領域の全部又は実質的に全部が非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応し、FR領域の全部又は実質的に全部がヒト免疫グロブリン配列のFR領域に対応する。ヒト化抗体は、更に免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、一般的にはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の少なくとも一部を含むことができる。抗体ヒト化方法は、当分野で公知である。例えばRiechmann et al.,1988,Nature 332:323-7;Queenらの米国特許第5,530,101号、5,585,089号、5,693,761号、5,693,762号及び6,180,370号;EP239400;PCT公開WO91/09967;米国特許第5,225,539号;EP592106;EP519596;Padlan,1991,Mol.Immunol.,28:489-498;Studnicka et al.,1994,Prot.Eng.7:805-814;Roguska et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.91:969-973;並びに米国特許第5,565,332号参照。
【0037】
「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を含み、更にヒト免疫グロブリンライブラリーから単離された抗体、又は1種以上のヒト免疫グロブリンを発現し且つ内在性の免疫グロブリンを発現しないトランスジェニック動物から単離された抗体を含む。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用してファージディスプレイ法を含む当分野で公知の種々の方法により作製することができる。米国特許第4,444,887号及び4,716,111号;並びにPCT公開WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735及びWO91/10741参照。機能的な内在性の免疫グロブリンを発現することができず且つヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用して、ヒト抗体を作製することもできる。例えばPCT公開WO98/24893、WO92/01047、WO96/34096、WO96/33735;米国特許第5,413,923号、5,625,126号、5,633,425号、5,569,825号、5,661,016号、5,545,806号、5,814,318号、5,885,793号、5,916,771号及び5,939,598号参照。更に、上記と同様の技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供するように、LakePharma,Inc.(Belmont,CA)やCreative BioLabs(Shirley,NY)等の企業に委託することができる。「ガイド選択法(guided selection)」と呼ばれる技術を使用し、選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体を作製することができる。このアプローチでは、選択された非ヒトモノクローナル抗体(例えばマウス抗体)を使用し、同一エピトープを認識する完全ヒト抗体の選択を導く(Jespers et al.,1988,Biotechnology 12:899-903参照)。
【0038】
「霊長類化抗体」は、サル可変領域とヒト定常領域を含む。霊長類化抗体の作製方法は当分野で公知である。例えば米国特許第5,658,570号、5,681,722号及び5,693,780号参照。
【0039】
本開示の抗CD40抗体は、CD40、例えばヒトCD40(配列番号40)と特異的に結合することが可能な全長(無傷の)抗体分子を含む。
【0040】
ヒトCD40と特異的に結合することが可能な抗CD40結合断片も開示する。抗体結合断片の例としては、例えばFab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、一本鎖Fv断片及びシングルドメイン断片が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0041】
Fab断片は、軽鎖の定常領域及び可変領域と、重鎖の第1の定常領域(CH1)及び可変領域とを含む。Fab’断片は、抗体ヒンジ領域に由来する1個以上のシステインを含む数個の残基が重鎖CH1ドメインのカルボキシル末端に付加されている点が、Fab断片と相違する。F(ab’)断片は、ペプシン消化物であるF(ab’)のヒンジシステインにおけるジスルフィド結合の切断により作製される。抗体断片のその他の化学的カップリングは、当分野における通常の知識をもつ者に公知である。Fab及びF(ab’)断片は、無傷の抗体のFc断片を含まず、動物の循環からより迅速に排出されるので、無傷の抗体よりも非特異的な組織結合が少ないと思われる(例えばWahl et al.,1983,J.Nucl.Med.24:316参照)。
【0042】
「Fv」断片は、完全な標的認識・結合部位を含む抗体の最小断片である。この領域は、1個の重鎖可変領域と1個の軽鎖可変領域が緊密に非共有的に結合した二量体(V-V二量体)から構成される。この構造では、各可変領域の3個のCDRが相互作用してV-V二量体の表面に標的結合部位を形成する。多くの場合、6個のCDRは前記抗体に標的結合特異性を付与する。しかし、場合によっては、1個の可変領域(又は標的に特異的なCDRを3個だけ含むFvの半分)でも標的を認識して結合することができるが、その場合、親和性は完全な結合部位よりも低くなる。
【0043】
「一本鎖Fv」即ち「scFv」抗体結合断片は抗体のVドメインとVドメインを含み、これらのドメインが1本のポリペプチド鎖に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、scFvが標的結合に望ましい構造を形成できるように、VドメインとVドメインとの間に更にポリペプチドリンカーを含む。
【0044】
「シングルドメイン断片」は、ヒトCD40に対して十分な親和性を示す単一のVドメイン又はVドメインから構成される。特定の実施形態において、シングルドメイン断片は、ラクダ化断片である(例えばRiechmann,1999,Journal of Immunological Methods 231:25-38参照)。
【0045】
本開示の抗CD40抗体は、誘導体化抗体を含む。例えば、限定するものではないが、誘導体化抗体は、一般的にグリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解による切断、細胞リガンド又は他のタンパク質との連結により修飾される。公知技術により多数の化学修飾のうちのいずれを行うこともでき、このような技術としては、限定されないが、特異的な化学的切断、アセチル化、ホルミル化、チュニカマイシンの代謝合成等が挙げられる。更に、例えばAmbryx技術を使用して、誘導体に1個以上の非天然アミノ酸を付加することができる(例えばWolfson,2006,Chem.Biol.13(10):1011-2参照)。
【0046】
抗CD40抗体又は結合断片は、定常領域による少なくとも1種の生物学的エフェクター機能を変化させるように配列を改変させた抗体又は断片でもよい。例えば、所定の実施形態では、定常領域による少なくとも1種の生物学的エフェクター機能を未改変抗体に比較して低下させるように抗CD40抗体を改変することができ、例えばFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA及び/又はFcγRIIIB等のFc受容体(FcγR)の1種以上との結合を低減させる。FcγR相互作用に必要な特定領域における抗体の免疫グロブリン定常領域セグメントを突然変異させることにより、FcγRとの結合を低減させることができる(例えばCanfield and Morrison,1991,J.Exp.Med.173:1483-1491;及びLund et al.,1991,J.Immunol.147:2657-2662参照)。抗体のFcγR結合能が低下すると、オプソニン化、貪食作用及び抗原依存性細胞傷害作用(「ADCC」)等のFcγR相互作用に依存する他のエフェクター機能も低下させることができる。
【0047】
本願に記載する抗CD40抗体又は結合断片は、例えばFcγR相互作用を強化するために、定常領域による少なくとも1種の生物学的エフェクター機能を、未改変抗体に比較して獲得又は改善するように改変された抗体を含む(例えば米国特許出願第2006/0134709号参照)。例えば、本開示の抗CD40抗体は、対応する野生型定常領域よりも高い親和性でFcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA及び/又はFcγRIIIBと結合する定常領域をもつことができる。
【0048】
したがって、本開示の抗体は、オプソニン化、貪食作用又はADCCを増減させるように、生物活性を変化させることができる。このような変化は当分野で公知である。例えば、ADCC活性を低下させるように抗体を改変することは米国特許第5,834,597号に記載されている。代表的なADCC低下変異体は(EUナンバリングを使用すると)234位と237位の残基をアラニンで置換した「突然変異体3」(米国特許第5,834,597号の図4に示され、別称「M3」)に対応する。多数の抗体アイソタイプ(例えばIgG)で突然変異体3(別称「M3」)変異を使用することができる。
【0049】
所定の実施形態において、本開示の抗CD40抗体は、フコース濃度が低いか又はフコースを含まない。フコースを含まない抗体は、特に抗体用量が低いときにADCC活性の上昇に相関関係があるとされている。Shields et al.,2002,J.Biol.Chem.277:26733-26740;Shinkawa et al.,2003,J.Biol.Chem.278:3466-73参照。フコースを含まない抗体の作製方法は、ラット骨髄腫YB2/0細胞(ATCC CRL 1662)で増殖させる工程を含む。YB2/0細胞は、ポリペプチドのフコシル化に必要な酵素であるα-1,6-フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8 mRNAの発現レベルが低い。
【0050】
本開示の抗CD40抗体は、対応する野生型CH2又はFc領域の結合に比較してFcγRIIBとの結合を増加及び/又はFcγRIIIAとの結合を低減させるアミノ酸置換を含む改変型(又は変異型)CH2ドメイン又は全Fcドメインを含むことができる。変異型CH2又は変異型Fcドメインは、米国特許出願第2014/0377253号に記載されている。変異型CH2又は変異型Fcドメインは、一般的に263位、266位、273位及び305位に1種以上の置換を含み、Fcドメインにおける残基のナンバリングは、Kabatと同様にEUインデックスのナンバリングである。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、野生型CH2ドメインに対してV263L、V266L、V273C、V273E、V273F、V273L、V273M、V273S、V273Y、V305K及びV305Wから選択される1種以上の置換を含む。特定の実施形態において、CH2ドメインの前記1種以上の置換は、ヒトIgGのCH2ドメインに対してV263L、V273E、V273F、V273M、V273S及びV273Yから選択される。例えば、IgGCH2ドメインの1種以上の置換は、V273Eとすることができる。別の特定の実施形態において、本開示の抗CD40抗体は、アミノ酸置換V263Lを含む変異型IgGCH2領域を含む。
【0051】
対応する野生型CH2又はFc領域の結合に比較してFcγRIIBとの結合を増加及び/又はFcγRIIIAとの結合を低減させることができる変異型CH2又は変異型Fcドメインの他の例としては、Vonderheide,et al.Clin.Cancer Res.,19(5),1035-1043(2013)に記載されているものが挙げられ、例えばヒトIgGにおけるS267EやS267E/L328Fである。
【0052】
所定の実施形態において、前記抗CD40抗体又は結合断片は、例えばFcRn相互作用に関与する特定領域における免疫グロブリン定常領域セグメントを突然変異させることにより、胎児性Fc受容体FcRnに対するそれらの結合親和性を増減させる改変を含む(例えばWO2005/123780参照)。特定の実施形態では、重鎖定常領域の250位、314位及び428位のアミノ酸残基の少なくとも1種を単独又は任意の組合せ(250位及び428位、又は250位及び314位、又は314位及び428位、又は250位及び314位及び428位)で250位及び428位の特定の組合せに置換するように、IgGクラスの抗CD40抗体を突然変異させる。250位では、置換するアミノ酸残基はスレオニン以外の任意のアミノ酸残基とすることができ、限定されないが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、バリン、トリプトファン又はチロシンが挙げられる。314位では、置換するアミノ酸残基はロイシン以外の任意のアミノ酸残基とすることができ、限定されないが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシンが挙げられる。428位では、置換するアミノ酸残基はメチオニン以外の任意のアミノ酸残基とすることができ、限定されないが、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン又はチロシンが挙げられる。Fcエフェクター機能を改変させることが知られている代表的な置換は、Fc置換M428Lであり、Fc置換T250Qと組合せることができる。適切なアミノ酸置換のその他の特定の組合せは、米国特許第7,217,797号の表1に記載されている。このような突然変異は、FcRnとの結合を強化し、抗体を分解から保護し、その半減期を延ばす。
【0053】
抗CD40抗体は、例えばJung and Pluckthun,1997,Protein Engineering 10:9,959-966;Yazaki et al.,2004,Protein Eng.Des Sel.17(5):481-9.Epub 2004 Aug 17;及び米国特許出願第2007/0280931号に記載されているように、そのCDRの1個以上に1個以上のアミノ酸を挿入してもよい。
【0054】
ヒトCD40に対して親和性をもつ抗CD40抗体は、治療及び診断用途に望ましいと思われる。したがって、本開示は、ヒトCD40に対する結合親和性をもつ抗体を想定する。特定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、少なくとも約1000nMの親和性でヒトCD40と結合するが、これよりも高い親和性を示してもよく、例えば,少なくとも約900nM、800nM、700nM、600nM、500nM、400nM、300nM、250nM、200nM、150nM、100nM、90nM、80nM、70nM、60nM、50nM、40nM、30nM、25nM、20nM、15nM、10nM、7nM、6nM、5nM、4nM、3nM、2nM、1nM、0.1nM、0.01nM又は更に高くてもよい。所定の実施形態において、前記抗体は、約1pM~1000nMの範囲の親和性、又は上記数値のいずれかを端点とする範囲の親和性でヒトCD40と結合する。
【0055】
ヒトCD40に対する抗CD40抗体の親和性は、当分野で周知の技術又は本願に記載する技術を使用して測定することができ、例えばELISA、等温滴定型熱量測定(ITC)、表面プラズモン共鳴法又は蛍光偏光アッセイが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
抗CD40抗体は、一般に、本願では(N→Cの順に)VCDR#1、VCDR#2及びVCDR#3と呼ぶ3個の相補性決定領域(「CDR」)を有する可変領域(V)を含む重鎖と、本願では(N→Cの順に)VCDR#1、VCDR#2及びVCDR#3と呼ぶ3個の相補性決定領域を有する可変領域(V)を含む軽鎖とを含む。本願には、代表的な抗CD40の重鎖及び軽鎖の代表的なCDRのアミノ酸配列と、V及びV領域のアミノ酸配列とを示す。抗CD40抗体の特定の実施形態は、これらの代表的なCDR及び/又はV及び/又はV配列と、ヒトCD40との結合に関してこのような抗体と競合する抗体を含む。
【0057】
所定の実施形態において、抗CD40抗体のCDRのアミノ酸配列は、以下の配列から選択される。
【0058】
【表4】
【0059】
所定の実施形態において、抗CD40抗体の各CDRは、相互に独立して、表3に示す抗体の夫々のCDRに対応する配列となるように選択される。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、IgGであり、表3に示す抗体のV及びVに対応する配列のV及びVを有する。
【0060】
所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号101、102、103、104、105、106、107、108又は109のいずれか1種に対応する配列のV鎖と、配列番号151、152、153、154、155、156、157、158、159又は160のいずれか1種に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号101に対応する配列のV鎖と、配列番号151に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号102に対応する配列のV鎖と、配列番号152に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号103に対応する配列のV鎖と、配列番号153に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号104に対応する配列のV鎖と、配列番号154に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号105に対応する配列のV鎖と、配列番号155に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号106に対応する配列のV鎖と、配列番号156に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号106に対応する配列のV鎖と、配列番号157に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号107に対応する配列のV鎖と、配列番号158に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号108に対応する配列のV鎖と、配列番号159に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号109に対応する配列のV鎖と、配列番号160に対応する配列のV鎖とを含む。
【0061】
本願では、上記CDRを有する抗CD40抗体の特定の代表的な実施形態について記載する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号1、11、31、51、61及び81のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号2、12、32、52、62及び82のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号3、13、33、53、63及び83のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号4、14、34、54、64及び84のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号5、15、35、55、65及び85のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号6、16、36、56、66及び86のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号6、19、36、56、66及び86のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号7、17、37、57、67及び87のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号7、20、37、57、67及び87のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号8、18、35、58、68及び88のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号9、21、35、58、68及び88のCDRを有する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号10、22、35、58、68及び88のCDRを有する。
【0062】
所定の実施形態において、抗CD40抗体は、ヒトに投与するのに適している。特定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、ヒト化型である。別の特定の実施形態において、前記抗CD40抗体のCDRのアミノ酸配列は、以下の配列から選択される。
【0063】
【表5】
【0064】
所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122又は123のいずれか1種に対応する配列のV鎖と、配列番号161、162、163、164、165、166、167、168、169、170又は171のいずれか1種に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号110に対応する配列のV鎖と、配列番号161に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号111に対応する配列のV鎖と、配列番号161に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号112に対応する配列のV鎖と、配列番号161に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号113に対応する配列のV鎖と、配列番号162に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号114に対応する配列のV鎖と、配列番号162に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号115に対応する配列のV鎖と、配列番号162に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号116に対応する配列のV鎖と、配列番号163に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号117に対応する配列のV鎖と、配列番号163に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号118に対応する配列のV鎖と、配列番号163に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号116に対応する配列のV鎖と、配列番号164に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号117に対応する配列のV鎖と、配列番号164に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号119に対応する配列のV鎖と、配列番号165に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号120に対応する配列のV鎖と、配列番号165に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号121に対応する配列のV鎖と、配列番号166に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号117に対応する配列のV鎖と、配列番号167に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号117に対応する配列のV鎖と、配列番号168に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号117に対応する配列のV鎖と、配列番号169に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号117に対応する配列のV鎖と、配列番号170に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号117に対応する配列のV鎖と、配列番号171に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号118に対応する配列のV鎖と、配列番号164に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号122に対応する配列のV鎖と、配列番号167に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号122に対応する配列のV鎖と、配列番号168に対応する配列のV鎖とを含む。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号123に対応する配列のV鎖と、配列番号169に対応する配列のV鎖とを含む。
【0065】
所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、インビトロアッセイでヒトCD40との結合に関して参照抗体と競合する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、ヒトCD40を発現する細胞上のヒトCD40との結合に関して競合する。前記参照抗体は、本願に記載する抗CD40抗体のいずれかとすることができる。所定の実施形態において、前記参照抗体は、表3に示す抗体である。特定の実施形態において、前記参照抗体は、抗体AD163.9.3(「muAb1」)、抗体AD166.4.4(「muAb2」)、抗体AD175.14.11(「muAb3」)、抗体AD163.10.7(「muAb4」)、抗体AD165.1.2(「muAb5」)、抗体AD163.162.1(「muAb6」)、抗体AD163.27.12(「muAb7」)、抗体AD163.7.2(「muAb8」)、抗体AD164.14.6(「muAb9」)及び抗体AD164.76.2(「muAb10」)から選択される。所定の実施形態において、前記参照抗体は、表3に示す抗体のヒト化型である。所定の実施形態において、前記参照抗体は、muAb6、muAb8又はmuAb9のヒト化型である。特定の実施形態において、前記参照抗体は、huAb9-2である。別の実施形態において、参照抗体は、huAb9-5である。別の特定の実施形態において、前記参照抗体は、huAb9A2Iである。
【0066】
抗CD40抗体の配列は翻訳後修飾を受けていてもよく、例えば抗体重鎖のC末端の1個以上(例えば1個、2個、3個又はそれ以上)のアミノ酸残基の切断が挙げられる。
【0067】
所定の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号130~135のいずれか1種の重鎖と、配列番号140~142の軽鎖とを含む。ある種の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号130又は131の重鎖と、配列番号140の軽鎖とを含む。ある種の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号132又は133の重鎖と、配列番号140の軽鎖とを含む。ある種の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号134又は135の重鎖と、配列番号140の軽鎖とを含む。ある種の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号132又は133の重鎖と、配列番号141の軽鎖とを含む。ある種の実施形態において、抗CD40抗体は、配列番号132又は133の重鎖と、配列番号142の軽鎖とを含む。
【0068】
本願に記載する抗CD40抗体は、一般にヒトCD40と特異的に結合する。前記抗体は、他の動物種(例えばサル、例えばカニクイザル)に由来するCD40との結合に関して交差反応性があるため、サル動物モデルで生物活性を試験できる等の利点が得られる。このような動物モデル試験を使用し、特性(例えば有利な薬物動態)について選択するために、抗CD40抗体をスクリーニングすることができる。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、カニクイザルCD40と結合する。
【0069】
競合アッセイとしては、限定されないが、放射性物質標識イムノアッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、サンドイッチELISA、蛍光活性化セルソーティング(FACS)アッセイ及び表面プラズモン共鳴アッセイが挙げられる。
【0070】
(動物種又はアイソタイプに関係なく)参照抗体と試験抗体との抗体競合アッセイを実施する際には、その後の同定を容易にするために、先ずフルオロフォア、ビオチン又は酵素(又は放射性)ラベル等の検出可能なラベルで参照抗体を標識する。本願の場合には、ヒトCD40を発現する細胞を未標識試験抗体と共にインキュベートし、標識した参照抗体を加え、結合した標識の強度を測定する。試験抗体がオーバラップするエピトープと結合することにより標識参照抗体と競合するならば、強度は試験抗体の不在下で実施した対照反応に比較して低下する。
【0071】
このアッセイの特定の実施形態では、アッセイ条件(例えば特定の細胞密度)下で最大結合の80%を生じる標識参照抗体の濃度(「conc80%」)を先ず測定し、conc80%の10倍の未標識試験抗体とconc80%の標識参照抗体を使用して競合アッセイを実施する。
【0072】
阻害は下式に従って計算される阻害定数即ちK
=IC50/(1+[参照Ab濃度]/K
として表すことができ、式中、IC50は参照抗体の結合を50%低減させる試験抗体の濃度であり、Kは参照抗体の解離定数であり、ヒトCD40に対するその親和性の尺度である。本願に開示する抗CD40抗体と競合する抗体は、本願に記載するアッセイ条件下で10pM~1000nMのKをもつことができる。
【0073】
種々の実施形態において、使用される特定のアッセイ条件下で最大結合の80%を生じる参照抗体濃度と、参照抗体濃度の10倍の試験抗体濃度とにおいて、試験抗体が参照抗体の結合を少なくとも約20%以上、例えば少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくはそれ以上、又は上記数値のいずれかを端点とする範囲の百分率だけ低減させるならば、試験抗体は参照抗体と競合するとみなされる。
【0074】
本願に記載する抗CD40抗体は、少なくとも2種類の作用機序によってヒトCD40を活性化させることにより、ヒトCD40(配列番号40)を作動させることが可能である。所定の実施形態において、抗CD40抗体はCD40L(配列番号41)の不在下でヒトCD40と結合し、ヒトCD40のシグナル伝達を強化する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、ヒトCD40LとCD40との結合複合体に結合し、ヒトCD40のシグナル伝達を強化する。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、ヒトCD40(配列番号40)との結合に関して表3に挙げたヒト化抗体から選択される対照抗体と競合し、ヒトCD40リガンド(配列番号41)から独立して、即ちCD40Lの有無に関係なく、ヒトCD40を活性化させる。
【0075】
ヒトCD40-CD40L相互作用に及ぼす抗CD40抗体の効果は、実施例2に記載するCD40L競合アッセイ等の当分野で公知のアッセイにより判定することができる。ヒトCD40LとヒトCD40の結合に及ぼす抗CD40抗体の効果を判定するためには、抗CD40抗体を含む試料中で測定したOD450とアイソタイプ対照抗体試料から得られたOD450の比(「OD450比」)を使用することができる。OD450比が1であるならば効果はないと判断され、1未満であるならば、CD40Lと競合すると判断され、1よりも大きいならば、CD40LとCD40の結合が増大していると判断される。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体はOD450比により判定した場合にヒトCD40L(配列番号41)とヒトCD40(配列番号40)の結合を増加(即ち強化)する。CD40LとCD40の結合の増加をOD450比で表すと、少なくとも約1.2であり、例えば約1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.2、2.4、2.5、2.6、2.8、3.0又はそれ以上である。
【0076】
抗体が本願に記載するようにヒトCD40との結合に関して参照抗体と競合するか否かを評価するために有用な特定のアッセイ及びアッセイ条件については、実施例2に記載する。抗体競合は実施例2に記載するような表面プラズモン共鳴アッセイ又はセクション8.4.3に記載する競合結合プロトコールで判定することができる。
【0077】
アゴニスト抗CD40抗体は、抗腫瘍効果を生じるように免疫系を活性化させるが、全細胞種に及ぶ広範な全身免疫活性化により望ましくない副作用を生じる可能性がある。したがって、所定の実施形態において、抗CD40抗体は、参照抗CD40抗体と比較した場合に、樹状細胞による免疫応答をB細胞免疫応答よりも選択的に活性化させる。所定の実施形態において、前記参照抗CD40抗体は、CP-870,893である。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、樹状細胞を活性化させる活性が同等であり、例えばセクション8.1.3に記載するアッセイにおいて所定用量でのIL-12p70産生量が同一用量の参照抗CD40抗体でのIL-12p70産生量に比較して約200%以内、例えば約180%以内、約150%以内、約130%以内、約110%以内、約100%以内、約90%以内、約80%以内、約70%以内、約60%以内、約50%以内、約40%以内、約30%以内、約25%以内、約20%以内、約15%以内、約10%以内又は約5%以内である。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、参照抗CD40抗体に比較してB細胞を活性化させる効力が低い。セクション8.5.3に記載するアッセイにおいて、参照抗CD40抗体に対する抗CD40抗体のB細胞EC50比は、約1.5超とすることができ、例えば約2、3、4、5、6、8、10、15、20、30、40、50又はそれ以上である。所定の実施形態において、抗CD40抗体は、参照抗CD40抗体と比較した場合に、樹状細胞を活性化させる活性が同等であり、B細胞を活性化させる効力が低い。
【0078】
7.4.抗CD40抗体をコードするポリヌクレオチド、発現システム及び前記抗体の作製方法
本開示は、抗CD40抗体の免疫グロブリン軽鎖及び重鎖遺伝子をコードする核酸分子、このような核酸を含むベクター、並びに本開示の抗CD40抗体を産生することが可能な宿主細胞を包含する。
【0079】
本開示の抗CD40抗体は、免疫グロブリン軽鎖及び重鎖遺伝子を宿主細胞で組換え発現させることにより作製することができる。抗体を組換え発現させるためには、前記抗体の免疫グロブリン軽鎖及び重鎖が宿主細胞で発現され、任意に前記宿主細胞を培養する培地に分泌され、前記培地から前記抗体を回収できるように、前記軽鎖及び重鎖をコードするDNA断片を含む1種以上の組換え発現ベクターを前記宿主細胞にトランスフェクトする。抗体重鎖及び軽鎖遺伝子を取得し、これらの遺伝子を組換え発現ベクターに組込み、これらのベクターを宿主細胞に導入するためには、Molecular Cloning;A Laboratory Manual,Second Edition(Sambrook,Fritsch and Maniatis(eds),Cold Spring Harbor,N.Y.,1989)、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel,F.M.et al.,eds.,Greene Publishing Associates,1989)及び米国特許第4,816,397号に記載されている技術等の標準組換えDNA技術を使用する。
【0080】
このような抗CD40抗体をコードする核酸を作製するためには、先ず軽鎖及び重鎖可変領域をコードするDNA断片を取得する。これらのDNAは、例えばポリメラーゼ連作反応(PCR)を使用して軽鎖及び重鎖可変領域配列をコードする生殖細胞系列DNA又はcDNAの増幅と修飾により取得することができる。ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列DNA配列は、当分野で公知である(例えば「VBASE」ヒト生殖細胞系列配列データベース参照;更にKabat,E.A.et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,米国保健福祉省(U.S.Department of Health and Human Services),NIH Publication No.91-3242;Tomlinson et al.,1992,J.Mol.Biol.22T:116-198;及びCox et al.,1994,Eur.J.Immunol.24:827-836も参照し、各々その開示内容を本願に援用する)。
【0081】
抗CD40抗体に関連するV及びVセグメントをコードするDNA断片を取得後、例えば可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子に変換するために、これらのDNA断片を標準組換えDNA技術により更に操作することができる。これらの操作では、V又はVをコードするDNA断片を、抗体定常領域又はフレキシブルリンカー等の別のタンパク質をコードする別のDNA断片と機能的に連結する。この文脈で使用する「機能的に連結」なる用語は、2個のDNA断片によりコードされるアミノ酸配列がインフレームに維持されるようにこれらの2個のDNA断片を相互に結合することを意味する。
【0082】
単離したV領域をコードするDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2、CH3及び任意にCH4)をコードする別のDNA分子と機能的に連結することにより、前記VをコードするDNAを全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で公知であり(例えばKabat,E.A.,et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,米国保健福祉省,NIH Publication No.91-3242参照)、これらの領域を含むDNA断片は、標準PCR増幅法により得ることができる。重鎖定常領域は、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、IgE、IgM又はIgD定常領域とすることができるが、ある種の実施形態では、IgG又はIgGである。Fab断片重鎖遺伝子を得るには、VをコードするDNAを、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子と機能的に連結することができる。
【0083】
単離したV領域をコードするDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子と機能的に連結することにより、前記VをコードするDNAを全長軽鎖遺伝子(及びFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で公知であり(例えばKabat,et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,米国保健福祉省,NIH Publication No.91-3242参照)、これらの領域を含むDNA断片は、標準PCR増幅法により得ることができる。軽鎖定常領域は、κ又はλ定常領域とすることができるが、ある種の実施形態では、κ定常領域である。scFv遺伝子を作製するためには、V配列とV配列とが連続した一本鎖タンパク質として発現され、V領域とV領域とがフレキシブルリンカーにより結合されるように、VをコードするDNA断片及びVをコードするDNA断片を、フレキシブルリンカーをコードする別の断片、例えばアミノ酸配列(Gly-Ser)(配列番号200)をコードする別の断片と機能的に連結する(例えばBird et al.,1988,Science 242:423-426;Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;McCafferty et al.,1990,Nature 348:552-554参照)。
【0084】
本開示の抗CD40抗体を発現させるためには、遺伝子が転写・翻訳調節配列と機能的に連結されるように、上記のように得られた部分的又は全長軽鎖及び重鎖をコードするDNAを、発現ベクターに挿入する。この文脈で「機能的に連結」なる用語は、ベクター内の転写・翻訳調節配列が抗体遺伝子の転写・翻訳を調節するというそれらの目的とする機能を果たすように、抗体遺伝子をベクターにライゲーションすることを意味する。発現ベクター及び発現調節配列は、使用する発現宿主細胞と適合可能となるように選択される。抗体軽鎖遺伝子と抗体重鎖遺伝子とを別々のベクターに挿入することもできるが、より一般的には、両方の遺伝子を同一の発現ベクターに挿入する。
【0085】
標準方法(例えば抗体遺伝子断片とベクター上の相補的制限部位とのライゲーション、又は制限部位が存在しない場合には平滑末端ライゲーション)により、抗体遺伝子を発現ベクターに挿入する。抗CD40抗体に関連する軽鎖又は重鎖配列を挿入する前に、発現ベクターに予め抗体定常領域配列を導入することができる。例えば、抗CD40モノクローナル抗体に関連するV配列とV配列とを全長抗体遺伝子に変換する1つのアプローチは、Vセグメントがベクター内のCHセグメントと機能的に連結され、Vセグメントがベクター内のCLセグメントと機能的に連結されるように、夫々重鎖定常領域と軽鎖定常領域とを予めコードしている発現ベクターにこれらの配列を挿入する方法である。これに加えて又はこの代わりに、組換え発現ベクターは、抗体鎖を宿主細胞から分泌し易くするシグナルペプチドをコードすることができる。シグナルペプチドが抗体鎖遺伝子のアミノ末端とインフレームで連結されるように、抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングすることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(即ち非免疫グロブリンタンパク質に由来するシグナルペプチド)であってもよい。
【0086】
抗体鎖遺伝子に加え、本開示の組換え発現ベクターは、宿主細胞における抗体鎖遺伝子の発現を制御する調節配列を含む。「調節配列」なる用語は、プロモーター、エンハンサー及び抗体鎖遺伝子の転写又は翻訳を制御する他の発現調節因子(例えばポリアデニル化シグナル)を含むものとする。このような調節配列は、例えばGoeddel,Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,CA,1990に記載されている。当業者に自明の通り、調節配列の選択を含めて発現ベクターのデザインは、形質転換させる宿主細胞の選択、所望のタンパク質発現レベル等の因子に依存し得る。哺乳動物宿主細胞発現に適切な調節配列としては、哺乳動物細胞において高レベルのタンパク質発現を誘導するウイルス性因子が挙げられ、例えばシミアンウイルス40(SV40)(例えばSV40プロモーター/エンハンサー)、アデノウイルス(例えばアデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP))及びポリオーマに由来するプロモーター及び/又はエンハンサーが挙げられる。ウイルス性調節因子及びその配列の更に詳細な説明については、例えばStinskiの米国特許第5,168,062号、Bellらの米国特許第4,510,245号、及びSchaffnerらの米国特許第4,968,615号参照。
【0087】
抗体鎖遺伝子及び調節配列に加え、本開示の組換え発現ベクターは、宿主細胞におけるベクターの複製を調節する配列(例えば複製起点)及び選択マーカー遺伝子等の他の配列を含むことができる。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞を選択し易くする(例えばいずれもAxelらの米国特許第4,399,216号、4,634,665号及び5,179,017号参照)。例えば、一般的に選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞にG418、ハイグロマイシン又はメトトレキサート等の薬物に対する耐性を付与する。適切な選択マーカー遺伝子としては、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(DHFR宿主細胞におけるメトトレキサート選択/増幅用)及びneo遺伝子(G418選択用)が挙げられる。前記軽鎖及び重鎖を発現させるためには、前記重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターを標準技術により宿主細胞にトランスフェクトする。種々の語形の「トランスフェクション」なる用語は、外来DNAを宿主原核又は真核細胞に導入するために広く使用されている多種多様の技術を包含するものとし、例えばエレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿法、DEAE-デキストラントランスフェクション等が挙げられる。
【0088】
宿主原核又は真核細胞のいずれでも、本開示の抗体を発現させることが可能である。ある種の実施形態では、正しく折り畳まれた免疫学的に活性な抗体を最適に分泌する真核細胞(例えば哺乳動物宿主細胞)において抗体の発現を行う。本開示の組換え抗体を発現させるための代表的な哺乳動物宿主細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)(Urlaub and Chasin,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220に記載されているDHFRCHO細胞と、例えばKaufman and Sharp,1982,Mol.Biol.159:601-621に記載されているようなDHFR選択マーカーの併用を含む)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞が挙げられる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入する場合には、前記抗体を前記宿主細胞で発現させるため又は前記宿主細胞を増殖させる培地に前記抗体を分泌させるために十分な時間にわたって前記宿主細胞を培養することにより、前記抗体を産生させる。標準タンパク質精製法を使用して、抗体を培地から回収することができる。無傷の抗体の一部(例えばFab断片やscFv分子)を産生させるために、宿主細胞を使用することもできる。当然のことながら、上記手順の変形も、本開示の範囲内に含まれる。例えば、本開示の抗CD40抗体の軽鎖又は重鎖(但し、両方ではない)をコードするDNAを、宿主細胞にトランスフェクトすることが望ましい場合もある。
【0089】
ヒトCD40との結合に不要な軽鎖及び重鎖の一方又は両方をコードするDNAの一部又は全部を除去するために、組換えDNA技術を使用することもできる。このような短縮型DNA分子から発現される分子も、本開示の抗体に含まれる。
【0090】
本開示の抗CD40抗体を組換え発現させるためには、本開示の2種類の発現ベクター、即ち重鎖由来ポリペプチドをコードする第1のベクターと、軽鎖由来ポリペプチドをコードする第2のベクターとを、宿主細胞にコトランスフェクトすることができる。これらの2種類のベクターは、同一の選択マーカーを含むこともできるし、各々別の選択マーカーを含むこともできる。あるいは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドとの両方をコードする単一のベクターを使用することもできる。
【0091】
抗CD40抗体の1部分以上をコードする核酸を作製後、例えば異なるCDR配列を有する抗体、Fc受容体に対する親和性の低い抗体又は異なるサブクラスの抗体をコードする核酸を作製するために、更に改変又は突然変異をコーディング配列に導入することができる。
【0092】
(例えばSolid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.,1984 The Pierce Chemical Co.,Rockford,Illに記載されている方法により)化学合成により本開示の抗CD40抗体を作製することもできる。無細胞プラットフォームを使用して変異型抗体を作製することもできる(例えばChu et al.,Biochemia No.2,2001(Roche Molecular Biologicals)及びMurray et al.,2013,Current Opinion in Chemical Biology,17:420-426参照)。
【0093】
本開示の抗CD40抗体を組換え発現により産生させた後、免疫グロブリン分子精製方法として当分野で公知の任意の方法により精製することができ、例えばクロマトグラフィー(例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー及びサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心、溶解度差、又は任意の他の標準タンパク質精製技術により精製することができる。更に、精製し易くするために、本開示の抗CD40抗体を本願に記載する異種ポリペプチド配列又は当分野で公知の異種ポリペプチド配列と融合することができる。
【0094】
単離後、抗CD40抗体を、所望により、例えば高性能液体クロマトグラフィー(例えばFisher,Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology,Work and Burdon,eds.,Elsevier,1980参照)又はSuperdex(TM)75カラム(Pharmacia Biotech AB,Uppsala,スウェーデン)でのゲル濾過クロマトグラフィーにより更に精製することができる。
【0095】
7.5.医薬組成物
本願に記載する抗CD40抗体は、前記抗体と1種以上の担体、賦形剤及び/又は希釈剤を含有する組成物の形態とすることができる。前記組成物は、獣医学用やヒト医薬用等の特定の用途に合わせて製剤化することができる。組成物の形態(例えば乾燥粉末、液体製剤等)と、賦形剤、希釈剤及び/又は担体は、目的とする抗体の用途と、治療用の場合には投与方式により異なる。
【0096】
治療用では、薬学的に許容される担体を含有する滅菌医薬組成物の一部として、組成物を提供することができる。この組成物は、(対象、例えばヒト対象、即ち患者に投与する所望の方法に応じて)任意の適切な形態とすることができる。前記医薬組成物は、経口、経皮、皮下、鼻腔内、静脈内、筋肉内、腫瘍内、髄腔内、局所又は局部等の種々の経路により対象に投与することができる。任意の所定の場合に最適な投与経路は、特定の抗体、対象、疾患の種類と重度、及び対象の健康状態により異なる。一般的に、前記医薬組成物は、静脈内又は皮下投与される。
【0097】
医薬組成物は、1単位用量当たり規定量の本願に記載する抗CD40抗体を含有する単位剤形にすると好都合である。単位用量に含まれる抗CD40抗体の量は、当分野で周知の通り、治療する疾患と他の因子により異なる。このような単位剤形は、1回分の投与に適した量の抗体を含有する凍結乾燥粉末の形態でもよいし、液体の形態でもよい。乾燥粉末単位剤形は、シリンジと、適切な量の希釈剤及び/又は投与に有用な他の成分と共に、キットにパッケージングすることができる。液体形態の単位剤形は1回分の投与に適した量の抗CD40抗体を、予め充填したシリンジの形態で提供すると、好都合である。
【0098】
医薬組成物は、複数回の投与に適した量の抗CD40抗体を含有するバルク形態で提供してもよい。
【0099】
医薬組成物は、当分野で一般的に利用されている薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤(本願では「担体」と総称する)、即ち緩衝剤、安定剤、保存剤、等張化剤、非イオン性デタージェント、酸化防止剤及びその他の添加剤を任意に使用し、所望の純度を有する抗体と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液として保存できるように製造することができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition(Osol,ed.1980)参照。このような添加剤は、利用される投与量と濃度でレシピエントに非毒性でなければならない。
【0100】
緩衝剤は、pHを生理的条件に近似する範囲に維持するのに役立つ。緩衝剤は、種々の濃度で存在することができるが、一般的には、約2mM~約50mMの濃度で存在する。本開示で使用するのに適した緩衝剤としては、有機酸及び無機酸並びにその塩が挙げられ、例えばクエン酸緩衝液(例えばクエン酸一ナトリウムとクエン酸二ナトリウムとの混合物、クエン酸とクエン酸三ナトリウムとの混合物、クエン酸とクエン酸一ナトリウムとの混合物等)、コハク酸緩衝液(例えばコハク酸とコハク酸一ナトリウムとの混合物、コハク酸と水酸化ナトリウムとの混合物、コハク酸とコハク酸二ナトリウムとの混合物等)、酒石酸緩衝液(例えば酒石酸と酒石酸ナトリウムとの混合物、酒石酸と酒石酸カリウムとの混合物、酒石酸と水酸化ナトリウムとの混合物等)、リン酸緩衝液(例えばリン酸とリン酸一ナトリウムとの混合物、リン酸とリン酸二ナトリウムとの混合物、リン酸一ナトリウムとリン酸二ナトリウムとの混合物等)、グルコン酸緩衝液(例えばグルコン酸とグルコン酸ナトリウムとの混合物、グルコン酸と水酸化ナトリウムとの混合物、グルコン酸とグルコン酸カリウムとの混合物等)、蓚酸緩衝液(例えば蓚酸と蓚酸ナトリウムとの混合物、蓚酸と水酸化ナトリウムとの混合物、蓚酸と蓚酸カリウムとの混合物等)、乳酸緩衝液(例えば乳酸と乳酸ナトリウムとの混合物、乳酸と水酸化ナトリウムとの混合物、乳酸と乳酸カリウムとの混合物等)及び酢酸緩衝液(例えば酢酸と酢酸ナトリウムとの混合物、酢酸と水酸化ナトリウムとの混合物等)が挙げられる。更に、フマル酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液及び2-アミノ-2-ヒドロキシメチルプロパン-1,3-ジオール(即ちTris、THAM又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)等のトリメチルアミン塩を使用することができる。
【0101】
等張化剤は、「安定剤」とも呼ばれ、本開示の液体組成物の等張性を確保するために添加することができ、多価糖アルコール類が挙げられ、例えばグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール又はマンニトール等の三価以上の糖アルコール類が挙げられる。安定剤とは、増量剤の機能に始まり、治療剤を可溶化させたり、変性又は容器壁への付着を防ぐのに役立つ添加剤に至るまでの機能に対応することができる、広義の賦形剤を意味する。典型的な安定剤としては、多価糖アルコール類(上記に挙げたもの);アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン等のアミノ酸;ラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロール等の有機糖類又は糖アルコール類(イノシトール等のシクリトールを含む);ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α-モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム等の含硫還元剤;低分子ポリペプチド(例えば10残基以下のペプチド);ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;キシロース、マンノース、フルクトース、グルコース等の単糖類;ラクトース、マルトース、スクロース及びトレハロース等の二糖類;ラフィノース等の三糖類;並びにデキストラン等の多糖類を挙げることができる。安定剤は、抗CD40抗体の重量当たり0.5~10重量%の量で添加することができる。
【0102】
糖タンパク質を可溶化し易くすると共に糖タンパク質を撹拌による凝集から保護するために、非イオン性界面活性剤即ちデタージェント(「湿潤剤」とも言う)を添加してもよく、その結果、タンパク質の変性を生じることなしに製剤を剪断表面応力に暴露することも可能になる。適切な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(20、80等)、ポロキサマー(184、188等)及びプルロニックポリオールが挙げられる。非イオン性界面活性剤は約0.05mg/mL~約1.0mg/mLの範囲で添加することができる。
【0103】
静脈内輸液による投与に適した水性組成物の特定の代表的な実施形態は、10mg/mLの抗CD40抗体と、15mMのヒスチジン緩衝液(pH6.0)と、8.0%(w/v)のスクロースと、0.05%(w/v)のポリソルベート80とを含有する。ある種の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に記載するヒト化抗体のいずれか1種である。前記組成物は、滅菌水又は注射もしくは輸液に適した他の溶液(例えば0.9%生理食塩水、リンゲル液、乳酸リンゲル液等)2.0mLで再構成することにより、上記水性組成物となる凍結乾燥粉末の形態でもよい。前記組成物又は他の実施形態の組成物は、抗CD40抗体の1回分の投与に適した量の組成物を予め充填したシリンジ又は注射及び/もしくは輸液に適した他の装置の形態でもよい。
【0104】
7.6.使用法
7.6.1.治療効果
本願に提供するデータから明らかなように、腫瘍細胞の存在下でCD40を作動させる本願に記載する抗CD40抗体は、これらの固形腫瘍に対してインビボで強力な抗腫瘍作用を発揮する。したがって、前記抗CD40抗体、結合断片及び/又は前記抗CD40抗体を含有する医薬組成物は、固形腫瘍を治療するために治療用として使用することができる。
【0105】
一般に、前記方法は、固形腫瘍をもつヒト患者に、CD40を作動させて腫瘍細胞を死滅及び/又は増殖抑制する有効量の抗CD40抗体を投与し、治療効果を提供することを含む。抗CD40抗体で治療することができる固形腫瘍としては、限定されないが、副腎がん、骨がん、脳腫瘍、乳がん、大腸がん、食道がん、眼のがん、胃がん、頭頸部がん、腎臓がん、肝臓がん、肺がん(例えば非小細胞肺がん、中皮腫)、頭頸部がん(例えば頭頸部の扁平上皮がん)、リンパ腫(例えばB細胞リンパ腫)、メラノーマ(例えば進行期悪性メラノーマ、皮膚メラノーマ)、口腔がん、卵巣がん、陰茎がん、前立腺がん、膵臓がん、皮膚がん、精巣がん、甲状腺がん、子宮がん及び膣がんが挙げられる。所定の実施形態において、前記固形腫瘍は頭頸部がん、肺がん、メラノーマ又は膵臓がんである。
【0106】
がんは、新規に診断され、治療経験のないものでもよいし、再発でも難治性でも再発・難治性でもよいし、転移型の固形腫瘍でもよい。実際に、マウスPC3予防モデルにおけるインビボデータ(図12)によると、抗CD40抗体は、アイソタイプ抗体の投与に比較して腫瘍サイズの縮小に有効であることが分かる。
【0107】
理論により制限する意図はないが、抗CD40抗体は、CD40を作動させることにより免疫系を活性化させると考えられる。その結果として生じる免疫応答は、その後、CD40発現レベルに関係なく、隣接する腫瘍細胞に抗腫瘍効果を発揮する。したがって、本開示の抗CD40抗体は、CD40陽性又はCD40陰性固形腫瘍に対して有効であると予想される。
【0108】
本開示の抗CD40抗体は、単独(単剤療法)で投与してもよいし、他の抗がん療法及び/又は標的化もしくは非標的化抗がん剤の補助剤として投与してもよい。単剤療法として投与するか、あるいは他の療法又は治療剤の補助剤として投与するかに拘わらず、治療レジメン全体で治療効果が得られるような量の抗CD40抗体を投与する。
【0109】
治療効果とは、患者におけるがんを治療するために抗CD40抗体を使用する結果として、(必要に応じて)無治療又は公知標準治療に比較して何らかの臨床効果が実証されることを意味する。臨床効果は、当分野における通常の知識をもつ者に公知の方法により評価することができる。1実施形態では、(RECIST version 1.1を使用して判定した)客観的奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)及び/又は全生存期間(OS)に基づいて臨床効果を評価する。所定の実施形態では、完全奏効が治療効果に相当する。所定の実施形態では、部分奏効が治療効果に相当する。所定の実施形態では、病勢安定が治療効果に相当する。所定の実施形態では、全生存期間の延長が治療効果に相当する。所定の実施形態において、治療効果は、病勢増悪の経時的改善及び/又は症状もしくはクオリティオブライフの改善を構成することができる。他の実施形態において、治療効果は、病勢コントロール期間の延長ではなく、症状負荷の顕著な改善によるクオリティオブライフの改善を意味する場合もある。当業者に自明の通り、治療効果は、抗CD40抗体を単独(単剤療法)で使用して観察してもよいし、他の抗がん療法及び/又は標的化もしくは非標的化抗がん剤の補助剤として使用して観察してもよい。
【0110】
一般的に、治療効果は、新規がん治療に対する奏効を測定するように設計された標準臨床試験を使用して評価される。本願に記載する抗CD40抗体の治療効果を評価するためには、以下の試験、即ち(1)Response Evaluation Criteria In Solid Tumors(RECIST) version 1.1、(2)Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG) Performance Status、(3)免疫関連奏効判定基準(irRC)、(4)腫瘍抗原の評価により評価可能な病勢、(5)適格と判断された患者の報告によるアウトカムスケール、及び/又は(6)全生存期間と無増悪生存期間のカプランマイヤー推定法の、1種又は組合せを使用することができる。
【0111】
腫瘍負荷の変化の評価は、がん療法の臨床評価の主眼である。腫瘍縮小(客観的奏効)及び病勢増悪に発展するまでの時間の両者が、がん臨床試験における重要なエンドポイントである。RECIST(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)として知られる標準化奏効判定基準が、2000年に公表されている。2009年には更新版(RECIST 1.1)が発表された。客観的奏効が主な試験エンドポイントである臨床試験と、病勢安定の評価、腫瘍増悪又は増悪までの時間の解析を行う試験とでは、これらのアウトカム測定が解剖学的な腫瘍負荷及び試験の経過に伴うその変化に基づくため、RECIST基準が一般的に使用されている。表4は本願に記載する抗CD40抗体等の試験薬に対する客観的腫瘍奏効を判定するために、使用される奏効判定基準の定義を示す。
【0112】
【表6】
【0113】
本願に記載する抗CD40抗体の治療効果を判定するために使用することができる二次アウトカム尺度としては、客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、全奏効期間(DOR)及び奏効の深さ(DpR)が挙げられる。ORRは、完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)に達する参加者の割合として定義される。PFSは、抗CD40抗体の初回投与日から病勢増悪又は死亡のどちらか早いほうまでの期間として定義される。OSは、疾患を診断された患者が診断日又は疾患の治療開始から生存し続ける期間として定義される。DORは、参加者の初期CR又はPRから病勢増悪時までの期間として定義される。DpRは、ベースライン腫瘍負荷と比較して最大奏効時点に観察される腫瘍縮小百分率として定義される。上記RECIST 1.1基準に基づいて、ORR及びPFSの両者の臨床エンドポイントを判定することができる。
【0114】
自分の身のまわりのことを行う能力、日常活動及び身体能力に関する患者の機能レベルを表すためには、表5に示すECOGパフォーマンスステータススケールを使用する。このスケールは現在ではECOG-ACRIN Cancer Research Groupに属するEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)により作成され、1982年に公表された。
【0115】
【表7】
【0116】
抗体によるがん治療等の免疫療法薬の奏効を完全に分類・判定するために使用することができる別の基準は、免疫関連奏効判定基準(irRC)であり、2009年に固形腫瘍の測定用に作成され、2013年に更新された(各々その開示内容全体を本願に援用するWolchok,et al.Clin.Cancer Res.2009;15(23):7412-7420及びNishino,et al.Clin.Cancer Res.2013;19(14):3936-3943)。更新版irRC基準は、腫瘍負荷に及ぼす免疫療法薬(例えば本願に記載する抗CD40抗体)の効果を評価するために一般的に使用され、表6に従って奏効を定義する。
【0117】
【表8】
【0118】
単剤療法として投与するか、あるいは他の療法又は治療剤の補助剤として投与するかに拘わらず、固形腫瘍を治療するために本願に記載する抗CD40抗体を使用することにより得られる1つの代表的な治療効果は、完全奏効である。単剤療法として投与するか、あるいは他の療法又は治療剤の補助剤として投与するかに拘わらず、固形腫瘍を治療するために本願に記載する抗CD40抗体を使用することにより得られる別の代表的な治療効果は、部分奏効である。
【0119】
特定の報告システムにより各患者から提供される奏効を表すために、適格と判断された患者の報告に基づくアウトカムスケールを使用することもできる。このようなアウトカムスケールは、対象とする疾患よりも、慢性病態を管理しながら維持される機能について評価するものである。適格と判断された患者の報告に基づくアウトカムスケールの非限定的な1例は、米国国立衛生研究所(United States National Institutes of Health)のPROMIS(R)(Patient Reported Outcomes Measurement Information System;患者報告アウトカム測定情報システム)である。例えば、成人がん患者に関するPROMIS(R)Physical Function Instrument(身体機能評価尺度)は、上肢(例えば巧緻性)、下肢(例えば歩行又は移動性)及び中心部(例えば首、背中の動きやすさ)の機能の自己報告能力を評価することができ、使い走り等の日常活動を含む。
【0120】
抗CD40抗体療法を施療中のがん患者の全生存期間及び無増悪生存期間を標準治療に比較して推定するためにカプランマイヤー曲線(Kaplan and Meier,J.Am.Stat.Assoc.1958;53(282):457-481)を使用することもできる。
【0121】
7.6.2.補助療法
抗がん性をもつ他の薬剤又は治療の補助療法として、抗CD40抗体を使用してもよい。補助療法として使用する場合には、抗CD40抗体と他の薬剤とを単一の併用医薬製剤として製剤化してもよいし、単一の調整された投与レジメン又は異なる投与レジメンで別々に製剤化・投与してもよい。抗CD40抗体の補助薬として投与される薬剤は、抗CD40抗体と他の薬剤とが相互に悪影響を与えないように、一般的に前記抗体に相補的な作用をもつ。
【0122】
抗CD40抗体の補助薬として投与することができる薬剤としては、限定されないが、アルキル化剤、血管新生阻害剤、抗体、代謝拮抗薬、有糸分裂阻害剤、抗増殖剤、抗ウイルス剤、オーロラキナーゼ阻害剤、アポトーシスプロモーター(例えばBcl-2ファミリー阻害剤)、細胞死受容体経路のアクチベーター、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、BiTE(二重特異性T細胞誘導)抗体、抗体薬物コンジュゲート、生体応答調節剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、細胞周期阻害剤、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、DVD、白血病ウイルスがん遺伝子ホモログ(ErbB2)受容体阻害剤、成長因子阻害剤、熱ショックタンパク質(HSP)-90阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤、ホルモン療法、免疫薬、アポトーシスタンパク質の阻害剤(IAP)、インターカレート抗生物質、キナーゼ阻害剤、キネシン阻害剤、Jak2阻害剤、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTor)阻害剤、microRNA、マイトジェン活性化細胞外シグナル調節キナーゼ阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ポリADP(アデノシン二リン酸)-リボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、白金系化学療法剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤(例えばイブルチニブ、アカラブルチニブ)、polo様キナーゼ(Plk)阻害剤、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3K)阻害剤、プロテアソーム阻害剤、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、受容体型チロシンキナーゼ阻害剤、レチノイド/デルトイド、植物アルカロイド、短鎖阻害性リボ核酸(siRNA)、トポイソメラーゼ阻害剤、ユビキチンリカーゼ阻害剤等、及びこれらの薬剤の1種以上の組合せが挙げられる。
【0123】
免疫薬の例としては、限定されないが、インターフェロン、免疫チェックポイント阻害剤及び他の免疫強化剤が挙げられる。インターフェロンとしては、インターフェロンα、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ1a、ACTIMMUNE(R)(インターフェロンγ1b)又はインターフェロンγn1、その組合せ等が挙げられる。免疫チェックポイント阻害剤としては、PD-1(例えばペムブロリズマブやニボルマブ)、PD-L1(例えばデュルバルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、MEDI4736、MSB0010718C及びMPDL3280A)及びCTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4;例えばイピリムマブ、トレメリムマブ)を標的とする抗体が挙げられる。免疫強化剤としては、T細胞を活性化させる抗OX40アゴニスト抗体が挙げられる。ある種の実施形態では、表3に示すヒト化抗CD40抗体を、ペムブロリズマブの補助薬として投与する。他のある種の実施形態では、表3に示すヒト化抗CD40抗体を、ニボルマブの補助薬として投与する。
【0124】
放射線療法の有効性を強化するために、抗CD40抗体を使用してもよい。放射線療法の例としては、外部照射療法、内部照射療法(即ち小線源療法)及び全身照射療法が挙げられる。
【0125】
7.7.投与量及び投与レジメン
抗CD40抗体の投与量は、種々の因子に依存し、限定されないが、治療する固形腫瘍の個々の種類、治療する固形腫瘍のステージ、投与方式、投与頻度、所望の治療効果に加え、患者の年齢、体重及び他の特徴等の他のパラメーター等が挙げられる。特定の投与方式及び投与頻度で治療効果を提供するために有効な投与量を決定することは、当業者がなし得る範囲内である。
【0126】
先ず、治療効果を提供するために有効な投与量をインビボ動物モデル又は臨床から推定することができる。広範な疾患に適切な動物モデルが当分野で公知である。
【0127】
本願に開示する抗CD40抗体は、治療する病態に適した任意の経路で投与することができる。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。抗CD40抗体は一般的に非経口投与され、即ち輸液、皮下、筋肉内、静脈内(IV)、皮内、髄腔内、ボーラス、腫瘍内(IT)注射又は硬膜外の各経路で投与される(Shire et al.,2004,J.Pharm.Sciences 93(6):1390-1402)。1実施形態において、抗CD40抗体は、バイアルに収容した凍結乾燥粉末として提供される。バイアルは、抗CD40抗体21mgを収容することができる。投与前に、凍結乾燥粉末を注射用滅菌水(SWFI)又は他の適切な媒体で再構成し、10mg/mLの抗CD40抗体を含有する溶液とする。所定の実施形態では、再構成した溶液を、生理食塩水又は他の適切な媒体で更に希釈し、IV輸液により7日に2回、7日に1回、14日に1回、21日に1回、28日に1回、35日に1回、42日に1回、49日に1回、又は56日に1回投与する。所定の実施形態では、初回サイクルで90分間かけて輸液を行う。所定の実施形態では、60分間かけてその後の輸液を行う。他の実施形態では、再構成した溶液を生理食塩水又は他の適切な媒体で更に希釈し、IT注射により7日に2回、7日に1回、14日に1回、21日に1回、28日に1回、35日に1回、42日に1回、49日に1回、又は56日に1回投与する。
【0128】
代表的な1実施形態において、抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で7日に1回IV輸液として投与する。
【0129】
別の代表的な実施形態において、抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で14日に1回IV輸液として投与する。
【0130】
別の代表的な実施形態において、抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で28日に1回IV輸液として投与する。
【0131】
別の代表的な実施形態において、抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で7日に1回IT注射として投与する。
【0132】
別の代表的な実施形態において、抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で14日に1回IT注射として投与する。
【0133】
別の代表的な実施形態において、抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で28日に1回IT注射として投与する。
【0134】
他の化学療法剤等の他の薬剤の補助療法として投与する場合には、抗CD40抗体を他の薬剤と同一のスケジュールで投与してもよいし、異なるスケジュールで投与してもよい。同一スケジュールで投与する場合には、抗CD40抗体を他の薬剤の前に投与してもよいし、後に投与してもよいし、同時に投与してもよい。抗CD40抗体を標準治療の補助療法として投与する所定の実施形態では、標準治療を開始する前、例えば標準治療を開始する1日前、数日前、1週間前、数週間前、1カ月前又は数カ月前に抗CD40抗体を開始してもよい。
【0135】
代表的な1実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにニボルマブ(オプジーボ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で7日に1回IV輸液により投与する。ニボルマブは、2週間に1回3mg/kgの用量で60分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで前記補助薬抗CD40抗体/ニボルマブ療法を続ける。
【0136】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するために、ニボルマブ(オプジーボ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で14日に1回IV輸液により投与する。ニボルマブは、2週間に1回3mg/kgの用量で60分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ニボルマブ療法を続ける。
【0137】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにニボルマブ(オプジーボ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で28日に1回IV輸液により投与する。ニボルマブは、2週間に1回3mg/kgの用量で60分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ニボルマブ療法を続ける。
【0138】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにニボルマブ(オプジーボ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で7日に1回IT注射として投与する。ニボルマブは、2週間に1回3mg/kgの用量で60分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ニボルマブ療法を続ける。
【0139】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにニボルマブ(オプジーボ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で14日に1回IT注射として投与する。ニボルマブは、2週間に1回3mg/kgの用量で60分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ニボルマブ療法を続ける。
【0140】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにニボルマブ(オプジーボ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で28日に1回IT注射として投与する。ニボルマブは、2週間に1回3mg/kgの用量で60分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ニボルマブ療法を続ける。
【0141】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにペムブロリズマブ(キイトルーダ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で7日に1回IV輸液により投与する。ペムブロリズマブは、3週間に1回2mg/kgの用量で30分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ペムブロリズマブ療法を続ける。
【0142】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにペムブロリズマブ(キイトルーダ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で14日に1回IV輸液により投与する。ペムブロリズマブは、3週間に1回2mg/kgの用量で30分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ペムブロリズマブ療法を続ける。
【0143】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにペムブロリズマブ(キイトルーダ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg、2.0mg/kg、2.2mg/kg、2.4mg/kg、2.6mg/kg、2.8mg/kg、3.0mg/kg、3.2mg/kg、3.4mg/kg、3.6mg/kg、3.8mg/kg又は4.0mg/kgの用量で28日に1回IV輸液により投与する。ペムブロリズマブは、3週間に1回2mg/kgの用量で30分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ペムブロリズマブ療法を続ける。
【0144】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにペムブロリズマブ(キイトルーダ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で7日に1回IT注射として投与する。ペムブロリズマブは、3週間に1回2mg/kgの用量で30分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ペムブロリズマブ療法を続ける。
【0145】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにペムブロリズマブ(キイトルーダ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で14日に1回IT注射として投与する。ペムブロリズマブは、3週間に1回2mg/kgの用量で30分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ペムブロリズマブ療法を続ける。
【0146】
別の代表的な実施形態では、非小細胞肺がんを治療するためにペムブロリズマブ(キイトルーダ(R))の補助薬として抗CD40抗体を使用する。所定の実施形態において、前記抗CD40抗体は、表3に挙げるヒト化抗体のいずれか1種である。前記抗CD40抗体を、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、0.02mg/kg、0.03mg/kg、0.04mg/kg、0.05mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.8mg/kg、1.0mg/kg、1.1mg/kg、1.2mg/kg、1.3mg/kg、1.4mg/kg、1.5mg/kg、1.6mg/kg、1.7mg/kg、1.8mg/kg、1.9mg/kg又は2.0mg/kgの用量で28日に1回IT注射として投与する。ペムブロリズマブは、3週間に1回2mg/kgの用量で30分間かけて静脈内輸液により投与する。病勢増悪まで又は患者が耐えられなくなるまで、前記補助薬抗CD40抗体/ペムブロリズマブ療法を続ける。
【0147】
当業者に自明の通り、患者奏効を最適化し、治療効果を最大にするように、上記の種々の薬剤の推奨投与量を調節することが必要な場合がある。
【実施例
【0148】
8.実施例
以下の実施例では、本願に記載する抗CD40抗体の代表的な実施形態の所定の特徴と特性について具体的に説明するが、これらの実施例は例証を目的とし、制限を目的とするものではない。
【0149】
[実施例1]マウス抗ヒトCD40抗体の作製
ヒトCD40を過剰発現するマウス3T12細胞をBalb/Cマウス又はSJLマウスに腹腔内免疫することにより、モノクローナル抗体を作製した。脾臓を摘出し、脾細胞を多発性骨髄腫細胞株NS0と融合させた。アミノプテリンを使用して、ハイブリドーマを選択した。選択したハイブリドーマのうちでアゴニスト活性をもつ抗CD40抗体を発現するものをスクリーニングしてサブクローニングし、個々のクローンを単離した。
【0150】
アゴニスト活性をもつ抗体をスクリーニングするには、NFκB経路刺激、単球活性化、樹状細胞(DC)活性化及びCD40リガンド(CD40L)競合を含む一連の機能アッセイを実施した。これらのアッセイでは、抗ヒトCD40 G28-5(マウスIgG1)(Biolegend)を陽性対照とし、アイソタイプを一致させたマウス抗体(mIgG1)を陰性対照とした。
【0151】
8.1.1.HEK293 blue CD40 NFκBレポーターアッセイ
DMEM+10%熱不活化ウシ胎仔血清(FBS)にブラスチシジン30μg/mLとゼオシン100μg/mLとを添加し、ヒトCD40とNFκBレポーター遺伝子を安定発現するHEK293 blue CD40細胞株(InVivogen)を保持した。HEK293 blue CD40細胞の表面のCD40を活性化させてシグナル伝達カスケードを開始させ、NFκBを活性化させることにより、胎盤由来アルカリホスファターゼ(SEAP)を分泌させた。アゴニスト抗CD40を含むハイブリドーマ上清を、HEK293 blue CD40細胞2.5×10個/mLと共にインキュベートしてSEAPの産生を刺激し、酵素比色アッセイにより測定した。したがって、SEAP濃度は、ハイブリドーマ上清中の抗CD40の活性に対応した。
【0152】
8.1.2.単球活性化アッセイ
単球系細胞株THP1-XBlue細胞(InVivogen)を使用して、単球活性アッセイを実施した。この細胞株は、NFκBとAP-1により誘導されるSEAPレポーター遺伝子を安定発現するものであり、10%熱不活化FBSとゼオシン200μg/mLとを添加したRPMI 1640にこの細胞株を保持した。このアッセイでは、先ずTHP1-XBlue細胞5×10個/mLをIFNγ 40ng/mLで24時間プライミングした後、被験試料と共に更に24時間インキュベートした。アゴニスト抗CD40により誘導されるSEAP活性を酵素アッセイによりモニターした。
【0153】
8.1.3.一次樹状細胞IL-12p70産生アッセイ
単球由来樹状細胞(moDC)を活性化させる能力についても抗CD40クローンをスクリーニングした。IL-12p70産生により活性化をモニターした。先ず、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)をFicoll密度勾配で分離した。要約すると、健康なヒトドナーに由来する全血を等容量のPBSで希釈し、Ficoll-Paque Plusをフリットの下(15mL)まで入れたLeucosep(Greiner Bio One)チューブに加えた。次に、ブレーキをオフにして血液を1,000gで15分間遠心した。PBMCを採取し、PBSで1回洗浄し、室温にて1,300rpmで5分間遠心し、RPMI 1640で1回洗浄した。細胞を培地(RPMI 1640+10%熱不活化FBS)に再懸濁した。次に、StemCell社製エンリッチメントキットを使用してPBMCから単球を分離し、10ng/mLのGM-CSFと20ng/mLのIL-4を添加したStemSep無血清培地で37℃、5%COにて6日間培養した。DC分化を維持し易くするために3日目に新鮮なGM-CSFとIL-4を培養液に加えた。6日間培養後に、単球由来未成熟DCをFACS解析し、未成熟DC表現型であるLin-、CD80/CD86+、HLA-DR+又はCD11c+を確かめた。未成熟moDCをIFNγでプライミングし、GM-CSFとIL-4を添加したStemSep無血清培地中で抗CD40抗体を含む試料により48時間刺激した。培養上清を回収し、市販のELISAキットによりIL-12p70産生についてアッセイした。スクリーニング結果と代表的な活性を表1-1にまとめる。
【0154】
表1-1は、単離したハイブリドーマ全体のアゴニスト抗CD40活性の範囲を示す。全ての新規クローンは、文献に記載のCD40抗体G28-5と同等の単球活性化を示した(例えばBishop,G.A.Journal of Immunology 188,4127-4129(2012)参照)。クローンAD166.4.4及びAD175.14.11は、単球活性化を実証したが、樹状細胞活性化を示さなかった。その他のクローンは、G28-5と同等の単球活性化と、G28-5に比較して強い樹状細胞活性化を示した。
【0155】
【表9】
【0156】
標準PCR技術を使用して、ハイブリドーマAD163.9.3、AD166.4.4、AD175.14.11、AD163.10.7、AD165.1.2、AD163.162.1、AD163.27.12、AD163.7.2、AD164.14.6及びAD164.76.3から夫々10種類のモノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖可変領域をコードするcDNA配列をクローニングし、標準DNAシーケンシング技術を使用して配列決定した。これらのDNAによりコードされる対応する全長抗体アミノ酸配列を図2A~2Cに示す。
【0157】
[実施例2]マウス抗ヒトCD40抗体のエピトープ分類
BIAcore解析とELISA法を使用し、CD40との結合に関して相互間で又はCD40リガンド(CD40L)と競合する能力に基づいて、マウス抗ヒトCD40アゴニスト抗体を分類した。
【0158】
BIAcore解析は、BIAcore T100装置を使用して12℃で実施した。先ず、ヤギ抗マウスFc抗体(Pierce,cat# 31170)をCM5センサーチップに固定化した後、第1の試験抗体を表面に捕捉させた。マウスアイソタイプ抗体カクテル50μg/mLによりブロッキング後、ヒトCD40(Creative BioMart,cat# CD402221H)の可溶型の細胞外ドメインをフローセルに注入した。次に、第2の試験抗体又はCD40L(PeproTech,cat# 0308145)を注入し、CD40と第1の試験抗体との複合体に対する結合を測定した。表2-1に示すように、本開示の抗CD40抗体は、3つのエピトープ群に分類された。エピトープ群1は、AD163.7.2(「muAb8」)とAD175.14.11(「muAb3」)とに代表され、CD40LとCD40との結合を阻害した。エピトープ群2は、クローンAD163.162.1(「muAb6」)とAD163.27.12(「muAb7」)とから決定され、CD40L又はエピトープ群1の抗体と競合しなかった。第3のエピトープ群は、クローンAD163.9.3(「muAb1」)、AD166.4.4(「muAb2」)及びAD165.1.2(「muAb5」)に代表され、CD40との結合に関してCD40Lと競合しないが、エピトープ群1及び2の抗体と競合した。
【0159】
【表10】
【0160】
ヒトCD40-CD40L相互作用に及ぼす抗CD40抗体の効果を測定するために、ELISAアッセイを実施した。要約すると、CD40-ヒトFc(huFc)融合タンパク質(Creative BioMart)を抗CD40抗体又はアイソタイプ対照抗体と混合し、HAタグ付きCD40L(R&D Systems)をコーティングした96ウェルプレートに加えた。CD40-huFc複合体とプレートに固定化したCD40Lとの結合をHRP標識抗ヒトFc抗体(Jackson ImmunoResearch)により検出した。TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)基質で発色後に、プレートをOD450で読取った。
【0161】
抗CD40抗体を含む試料中のOD450とアイソタイプ対照抗体を含む試料中のOD450との比(「OD450比」)を計算することにより、CD40-CD40L相互作用に及ぼす抗CD40抗体の効果を判定した。OD450比が≦0.1であるならば、ヒトCD40LとヒトCD40との結合が阻害されたと判断した。OD450比が0.1~1であるならば、CD40LとCD40との結合の部分的阻害を生じたと判断した。OD450比が>1であるならば、ヒトCD40LとヒトCD40との結合が強化され、その結果、CD40シグナル伝達が強化されたと判断した。
【0162】
データを表2-2にまとめる。抗体muAb8及びmuAb3は、CD40とCD40Lとの結合を阻害し、0.1未満の比を示した。抗体muAb6及びmuAb7は、約0.5の比を示し、CD40-CD40L相互作用に若干の効果があることが示唆された。抗体muAb1、muAb2、muAb4、muAb5、muAb9及びmuAb10は、OD450比が約1又は1よりも大きく、効果がないか又はCD40とCD40Lの結合を助長する効果があると判断された。
【0163】
【表11】
【0164】
[実施例3]マウス抗ヒトCD40抗体のヒト化
Queen,C.et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1989;86:10029-10033)に概説されているように、抗体V領域のヒト化を実施した。Huangら(Methods,2005;36:35-42)に従って、CDRのカノニカル構造を決定した。同一又はほぼ同様のCDRカノニカル構造をもつヒト生殖細胞系列可変領域配列を同定し、抗CD40可変領域のフレームワークを提供するために適切なヒトV、V及びJセグメント配列を選択した。コンピューターモデルによりCDRとの有位接触が示唆されたフレームワーク位置で、元のヒトフレームワークアミノ酸をマウス抗CD40V領域に由来するアミノ酸に置換した(復帰突然変異)。特に指定しない限り、天然変異D356E及びL358Mを含む重鎖とκ軽鎖とをもつヒトIgGの定常領域を使用した。ヒト化抗体のV領域とV領域との全長アミノ酸配列を、図2D~2Gに示す。
【0165】
上記方法に従って抗CD40クローンAD163.162.1(「muAb6」)をヒト化した。ヒト化型のmuAb6をhuAb6-1、huAb6-2及びhuAb6-3とした。抗体huAb6-1には、V(配列番号110)フレームワーク復帰突然変異M48I、V67A、I69L及びA71Vを導入した。抗体huAb6-2にはV(配列番号111)フレームワーク復帰突然変異M48I及びA71Vを導入した。抗体huAb6-3にはV(配列番号112)フレームワーク復帰突然変異M48I及びA71Vを導入し、更にヒト生殖細胞系列配列との一致度を増すためにVCDR生殖細胞系列置換N60A、K64Q及びD65Gを導入した。抗体huAb6-1、huAb6-2及びhuAb6-3にはV(配列番号161)フレームワーク復帰突然変異A43S、L46R、L47W及びF71Yを導入した。
【0166】
ヒト化型の抗CD40クローンAD163.7.2(「muAb8」)をhuAb8-1、huAb8-2及びhuAb8-3とした(図2D~2E)。抗体huAb8-1にはV(配列番号113)フレームワーク復帰突然変異M48I、V67A、I69L、A71V、K73R、Y91F及びR94Sを導入した。抗体huAb8-2にはV(配列番号114)フレームワーク復帰突然変異M48I、V67A、I69L、A71V、K73R、Y91F及びR94Sと、VH CDR C59S突然変異を導入した。抗体huAb8-3にはV(配列番号115)フレームワーク復帰突然変異M48I、A71V及びR94Sを導入した。抗体huAb8-1、huAb8-2及びhuAb8-3にはいずれもV(配列番号162)フレームワーク復帰突然変異A43S及びY87Fを導入した。
【0167】
抗CD40クローンAD164.14.6(「muAb9」)をヒト化し、huAb9-1、huAb9-2、huAb9-3、huAb9-4、huAb9-5及びhuAb9-6とした。抗体huAb9-1及びhuAb9-4は、V(配列番号116)フレームワーク復帰突然変異I48M、V67I及びV71Rを示した。抗体huAb9-2及びhuAb9-5にはV(配列番号117)フレームワーク復帰突然変異I48M及びV71Rを導入した。抗体huAb9-3及びhuAb9-6にはV(配列番号118)フレームワーク復帰突然変異I48M及びV71Rを導入し、ヒト生殖細胞系列配列との一致度を改善するために更に2カ所のCDR生殖細胞系列置換T30S及びN65Sを導入した。抗体huAb9-1、huAb9-2及びhuAb9-3にはV(配列番号163)フレームワーク復帰突然変異I2A、Y36F及びY87Fを導入した。抗体huAb9-4、huAb9-5及びhuAb9-6にはV(配列番号164)フレームワーク復帰突然変異I2Aを導入した。Vのフレームワーク復帰突然変異I2Aを元に戻すことにより、軽鎖の2位に存在するシグナルペプチド切断部位を除去するようにクローンAD164.14.6を更に改変した。抗体huAb9A2I及びhuAb9A2VはV(配列番号117)と、夫々フレームワーク復帰突然変異A2I(配列番号170)及びA2V(配列番号171)を導入したVをもつようにし、望ましくない切断産物が形成されないようにした。
【0168】
本実施例のヒト化抗体は、ヒトIgG1重鎖定常領域とκ軽鎖定常領域とを含むように作製した。C末端リジンは、ヒトIgG1重鎖のタンパク質発現後に翻訳後プロセシングにより部分的に切断することができる。したがって、huAb9-5は、配列番号130又は131の重鎖と、配列番号140の軽鎖とを有していた。抗体huAb9-5には更に重鎖定常領域にV273E及びV273Yアミノ酸突然変異を導入し、夫々配列番号132又は133及び配列番号134又は135の重鎖と、配列番号140の軽鎖とを有するように作製した。抗体huAb9A2I及びhuAb9A2Vは、ヒトIgGV273E重鎖定常領域を含むように作製した。したがって、huAb9A2Iは、配列番号132又は133の重鎖と、配列番号141の軽鎖とを有していた。同様に、huAb9A2Vは配列番号132又は133の重鎖と、配列番号142の軽鎖とを有していた。
【0169】
[実施例4]ヒト化抗ヒトCD40抗体の特性決定
ヒト化抗CD40抗体が親マウス抗体のアゴニスト特性及び他の望ましい特性を維持していることを検証するために、一連の特性決定アッセイを実施し、本開示のヒト化抗体のNFκB活性化、CD40結合キネティクス、種間交差反応性及びエピトープ分類を判定した。
【0170】
8.4.1.NFκB活性化
本発明のヒト化抗CD40抗体によるNFκB活性化をHEK293 blue CD40 NFκBレポーター細胞において評価した。OD655で測定したSEAP(胎盤由来分泌型アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子活性として活性化を表した。最大OD655測定値と、最大活性化の50%(EC50)の濃度を表4-1にまとめる。
【0171】
【表12】
【0172】
8.4.2.CD40結合キネティクス及び種間交差反応性
本願に開示するヒト化抗CD40抗体の結合親和性を、BIAcore及びフローサイトメトリー解析により解析した。
【0173】
BIAcore T200装置を使用して、BIAcoreアッセイにより、CD40結合キネティクスを解析した。要約すると、ヤギ抗マウスFc抗体(Pierce,cat# 31170)又はヤギ抗ヒトFc抗体(Pierce,cat#31125)をCM5センサーチップに固定化した後、試験表面に抗CD40抗体を捕捉させた。次に、ヒトCD40(Creative BioMart,cat# CD402221H)又はカニクイザル(cyno)CD40(Creative BioMart,cat# CD40-8824C)の可溶型の細胞外ドメインを注入し、結合と解離を測定した。
【0174】
表面プラズモン共鳴データによると、ヒト化抗体huAb8-1、huAb9-5、huAb9A2I及びhuAb9A2Vはその親クローンAD163.7.2(「muAb8」)又はクローンAD164.14.6(「muAb9」)と同等の結合親和性(K)を維持し、ヒト又はカニクイザルCD40に対して同等の結合を示した(表4-2)。
【0175】
【表13】
【0176】
ヒト又はカニクイザルCD40を安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞上と、カニクイザル又はヒトPBMCに由来するB細胞上の細胞表面CD40との結合についてもヒト化抗CD40抗体を評価した。トランスフェクションに供するHEK293細胞と共にヒト化抗CD40抗体を15分間氷上でインキュベートし、蛍光標識抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch)で結合を検出した。細胞のFACS解析によると、ヒト化抗体はヒト及びカニクイザルCD40安定細胞株と結合していることが確認された。一方、マウス、ラット又はイヌCD40で実施した同様の実験で結合は観察されなかった。
【0177】
ヒト及びカニクイザルCD40を発現する一次細胞と結合する能力についても、抗CD40抗体を評価した。ヒト又はカニクイザル血液から分離したPBMCを、蛍光色素CF640Rで標識した抗CD40抗体と共にインキュベートした。FACS解析後、データをFlowJo(FlowJo,LLC)ソフトウェアにより解析した。これらの結果によると、ヒト化抗体は、ヒト及びカニクイザルPBMCの両者に由来するCD40陽性一次細胞と結合していることが判明した。
【0178】
8.4.3.エピトープ分類
フローサイトメトリー解析及びELISA法を使用し、CD40との結合に関して相互間で又はCD40リガンド(CD40L)と競合する能力に基づいてヒト化アゴニスト抗CD40抗体を分類した。
【0179】
抗体がヒトCD40との結合に関して別の抗体と競合するか否かを評価するために、フローサイトメトリー解析を実施した。このアッセイでは、完全ヒトIgG抗ヒトCD40抗体クローン21.4.1(Gladue,RP.et al.,Cancer Immunol.Immunother.2011;60:1009-17及び米国特許第7,618,633号参照)から作製したCP-870,893を参照抗体として使用した。CP-870,893の重鎖及び軽鎖は、夫々以下の通りであった。
【0180】
【化1】
【0181】
huAb6-1、huAb8-1、huAb9A2I及びCP-870,893を含む全ての抗CD40ヒト型又はヒト化抗体を、Alexa Fluor(AF)-488で標識した。他の未標識抗CD40抗体の量を0.5ng/mLから50μg/mLまで増加させながら1μg/mLの一定濃度の各蛍光標識抗体と混合し、ヒトCD40を安定発現するHEK293細胞と共にインキュベートした。次に、蛍光標識抗体の結合を、フローサイトメトリーによりモニターした。
【0182】
平均蛍光強度(MFI)の用量依存的低下により同定した競合抗体と、MFIの安定により同定した非競合抗体とを、表4-3にまとめる。huAb6-1はヒトCD40との結合に関してhuAb8-1と競合しなかったが、huAb9A2I及びCP-870,893はいずれもhuAb6-1及びhuAb8-1と競合した。更に、huAb9A2IとCP-870,893は相互に競合した。
【0183】
【表14】
【0184】
実施例2に記載したように、抗CD40抗体とCD40の複合体と、プレートに固定化したCD40Lとの結合を測定するELISAアッセイにより、本発明のヒト化抗体のエピトープ分類を更に確認した。このアッセイでは、上記のように作製したCP-870,893を、参照抗CD40抗体として使用した。抗CD40抗体又はヒトIgG(huIgG)対照抗体の量を増しながら、1μg/mLのCD40-huFc融合タンパク質と共にインキュベートし、CD40Lをコーティングしたプレートに加えた。図3に示すように、ヒト化抗体huAb8-1及びhuAb8-3はCD40とCD40Lとの相互作用を阻害し(左上)、huAb6-1及びhuAb6-2はCD40-CD40L相互作用に最低の効果を示し(右上)、huAb9-5及びhuAb9-6はCD40とCD40Lとの結合を助長した(左下)。CD40-CD40L相互作用に最低の効果を示したCP-870,893と比較すると、ヒト化抗体huAb9A2IもCD40とCD40Lとの結合を助長した(右下)。
【0185】
結果は、CD40Lを発現する細胞によるフローサイトメトリーアッセイで得られた結果と一致した(図4)。CD40L+Jurkat細胞を蛍光色素Alexa Fluor 488で標識した1μg/mLの一定濃度の可溶性ヒトCD40タンパク質と共にインキュベートした。蛍光色素で標識したCD40とJurkat細胞表面CD40Lとの結合を、ヒト化抗体huAb9A2Iと参照抗CD40抗体CP-870,893の存在下でフローサイトメトリー解析により測定した。試料中のhuAb9A2Iの量が増加すると蛍光強度の増加が検出されたが、参照抗体CP-870,893では検出されなかった。これらの結果によると、huAb9A2IはCD40とCD40L+Jurkat細胞との結合を助長するが、参照CP-870,893はこれを助長しないと思われた。
【0186】
CD40を発現する細胞とCD40Lを発現する細胞とを含むアッセイにおいて、CD40Lにより駆動されるCD40シグナル伝達に及ぼすhuAb9A2Iの機能的影響についても検討した。CD40を発現する細胞(セクション8.1.1に記載したHEK293 blue CD40 NFκBレポーター細胞)を、CD40L-Jurkat細胞又はCD40L+Jurkat細胞と1:1の比で混合し、3μg/mLのhuAb9A2I、CP-870,893又は対照抗体と共にインキュベートした。セクション8.4.1に記載したような比色アッセイを利用して、SEAPレポーター活性によりCD40シグナル伝達を測定した。CD40レポーター細胞を、CD40L-Jurkat細胞と共培養した処(図5A)、CD40シグナル伝達は、huAb9A2I又はCP-870,893の添加後のみに有位に亢進したが、対照抗体で処理した場合又は無添加の場合には亢進しなかった。どちらの抗体もCD40を活性化させたが、これらの条件下でCD40の刺激においてhuAb9A2IはCP-870,893よりも有意に強力ではなかった。CD40レポーター細胞をCD40L+Jurkat細胞と共培養した処(図5B)、SEAPレポーター活性により判断すると、細胞表面CD40LはCD40を活性化させた。CP-870,893で処理した場合にはCD40活性シグナル伝達はそれ以上亢進せず、SEAPレポーター活性は、対照huIgG1又はhuIgG2アイソタイプ又は無抗体(培地のみ)による処理と同等であった。一方、huAb9A2Iで処理すると、CD40シグナル伝達は更に亢進し、レポーター活性はCP-870,893及び対照による処理よりも有位に高かった(p<0.001)。
【0187】
これらのデータによると、細胞表面CD40を飽和量の細胞表面CD40Lにより活性化させた場合、huAb9A2Iは、等価量の公知抗CD40抗体であるCP-870,893と比較して下流のNFκBシグナル伝達を強化することによりCD40活性化を更に亢進させることが分かった。
【0188】
[実施例5]抗CD40抗体のFc領域変異体
FcγRIIB結合を強化するようにFc領域を改変することにより、CD40のアゴニスト活性を増大させることができる(Li and Ravetch,Science,2011;333:1030-1034;及びWhite,et al.,J.Immunol,2011;187:1754-1763)。ヒトIgG1定常領域の273位の2種類の突然変異V273E及びV273Yをヒト化抗CD40抗体huAb6-1、huAb8-1、huAb9-5及びhuAb9A2Iに導入した。Fcγ受容体との結合に及ぼすFc突然変異の影響をFACS解析と抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)によりモニターした。Fcを改変したヒト化抗CD40のアゴニスト活性をNF-kBレポーター、B細胞、単球由来DC及びT細胞の活性化によりモニターした。
【0189】
8.5.1.Fcγ受容体結合及びADCC機能
抗CD40ヒトIgG抗体及びそれらのFc変異体の量を増加させながら、F又はV多形をもつFcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32a)、FcγRIIB(CD32b)及びFcγRIIIA(CD16)を含む種々のヒトFcγ受容体を安定発現するCHO細胞と共にインキュベートした。蛍光標識した抗ヒトF(ab’)特異的二次抗体(Jackson ImmunoResearch)により結合を検出した。突然変異V273E又はV273Yは、FcγRI(CD64)との結合を維持すると共にFcγRIIA(CD32a)又はFcγRIIB(CD32b)との結合を強化しながら、FcγRIIIA(CD16F又はV)との結合を低減させた(図6A~6B)。
【0190】
標準プロトコールを使用して、ヒト化抗CD40抗体のFc変異体のADCCを測定した(Law et al.,2005,Cancer Res.65:8331-8)。1例では、RL細胞において定常領域変異体V273E又はV273YのADCCは抗体huAb9-5の野生型IgGに比較して低下した(図7)。
【0191】
8.5.2.FcγR結合によるアゴニスト活性上昇
抗CD40のアゴニスト活性に及ぼすFcγ受容体結合の影響を評価するために、huIgGV273E突然変異を加えたhuAb9A2Iを使用し、種々のヒトFcγ受容体を安定発現するCHO細胞と共培養したHEK293 blue CD40 NFκBレポーター細胞を処理し、NFκB活性をモニターした。表5-1に示すように、NFκB活性化の刺激におけるCP-870,893のアゴニスト活性は、Fcγ受容体結合に依存しなかったが、huAb9A2Iのアゴニスト活性は、Fcγ受容体結合に依存性であることが分かった。レポーター細胞を、CD32a、CD32b又はCD64を発現するCHO細胞と共培養すると、Fcγ受容体を発現しないか又はCD16VもしくはCD16Fを発現するCHO細胞と共培養した場合に比較して、NFκB活性の刺激におけるhuAb9A2Iの効力は10倍であった。
【0192】
【表15】
【0193】
8.5.3.B細胞増殖に及ぼすFc変異体の影響
抗CD40のアゴニスト活性に及ぼすFcV273E又はV273Y突然変異の影響もB細胞増殖アッセイにより評価した。このアッセイでは、B細胞エンリッチメントキット(StemCell Technologies)を使用してネガティブセレクションによりヒトB細胞を集積させた。96ウェルプレートにAIM-V無血清培地(GIBCO)を注ぎ、精製したB細胞をウェル当たり200μLとなるように5×10個/mlの密度で播種した。系列希釈した抗CD40抗体を加え、B細胞と共に6日間培養した。最後の16時間の培養では、HTdR 1μCiを培養液の各ウェルに加え、HTdR取り込みによりB細胞増殖を判定した。HTdR取り込みに伴う放射能をシンチレーションカウンターにより毎分カウント(CPM)として記録した。対応するヒトIgG野生型抗体に比較して、抗CD40(huAb6-1、huAb8-1及びhuAb9-5)ヒトIgGFc変異体V273E及びV273Yは、B細胞活性化の亢進を示した(図8)。一方、CP-870,893に比較した場合、huAb9A2I(ヒトIgGV273E)は、B細胞増殖の刺激において約10分の1の効力を示した(右下グラフ)。
【0194】
8.5.4.DC IL-12p70産生に及ぼすFc変異体の影響
IL-12p70を読取り値として使用して、抗CD40のアゴニスト活性に及ぼすFcV273E又はV273Y突然変異の影響を、DC活性化アッセイにより更に評価した。このアッセイでは、先ずヒトPBMCから精製した単球から未成熟DCを誘導し、IL4とGM-CSFで処理した。IFNγでプライミング後にDC成熟とIL-12p70産生とを、抗CD40により誘導した。V273E又はV273Y Fc突然変異体は、IL-12p70産生を亢進させることによりDC活性化の効力を増加した。図9に示すように、huIgGFc変異体V273E又はV273Yを含むhuAb6-1(左上)、huAb8-1(右上)及びhuAb9-5(左下)は、野生型huIgGを示すそれらの対応する抗体に比較してIL-12p70産生の増加を示した。huAb6-1及びhuAb8-1では、huIgGV273Y突然変異を含む変異体は、V273E突然変異を含む変異体よりもインビトロIL-12p70産生を増加させるのに有効であった。huAb9-5では、huIgGV273E又はV273Yを含む変異体は、同等の効力を示した。huAb9A2I(右下グラフ)の場合には、huIgGV273E突然変異を含む変異体はDCを刺激してIL-12p70を産生させるのにCP-870,893と同等の効力を示した。
【0195】
8.5.5.同種DC及びT細胞共培養におけるT細胞活性化に及ぼすFc変異体の影響
抗CD40がDC等の抗原提示細胞を刺激することによりT細胞活性化を駆動できることを実証するために、抗CD40 Fc変異体を同種DC及びT細胞共培養で試験した。このアッセイでは、先ず上記方法を使用して樹状細胞(5×10個)を単球から誘導した後、別のドナーから精製したT細胞1×10個と混合した。野生型ヒトIgG定常領域又はそのFc変異体V273Yを含む抗CD40抗体huAb6-1、huAb8-1又はhuAb9-5を種々の量でDCとT細胞の共培養物に加えた。4日間インキュベーション後に、上清を採取し、IFN-γをELISAにより測定した。
【0196】
図10は、2組の異なるドナーペアに由来する細胞の共培養においてIFN-γ産生の増加を示した代表的な抗体を示す。各場合に、huAb6-1、huAb8-1及びhuAb9-5のV273Y変異体はアイソタイプ対照huIgG抗体と比較してIFN-γの有位な増加により明らかなようにT細胞活性化を示した。
【0197】
[実施例6]抗CD40抗体のインビボ抗腫瘍活性
野生型ヒトIgG又はFc変異体を含むヒト化抗CD40抗体huAb6-1、huAb9-5及びhuAb9A2Iが前立腺PC3腫瘍をもつNSGマウスにおいてヒト免疫細胞の存在下で腫瘍成長を抑制する能力について評価した。
【0198】
NSGマウスにPC3細胞(1×10個)と精製T細胞(5×10個)と自家DC(1×10個)との混合物を皮下接種した。接種直後に、抗CD40抗体又は対照抗体を、1mg/kgの用量で単回腹腔内注射した。腫瘍体積を、1日おきにキャリパーで測定した。huAb6-1、huAb9-5、huAb9A2I及びそれらのFc変異体V273E又はV273Yを含む抗CD40抗体は、図11に示すようにPC3モデルでアイソタイプ対照抗体に比較して腫瘍成長を抑制した。
【0199】
[実施例7]マウス同系腫瘍モデルにおける概念実証試験
本開示の代表的な抗CD40抗体はマウスCD40と結合しないため、マウスCD40アゴニスト抗体1C10muIgGを使用してマウスにおける薬理効果の評価を行った。上記huIgGFcV273E突然変異と同様に、マウスIgG(muIgG)Fcを含む1C10は、muFcγRIIBと強い結合を示し、ヒトFcγRIIIとの機能的等価物であるmuFcγRI及びmuFcγRIVとは最低の結合を示した。本開示の抗CD40抗体と同様に、1C10muIgGは、マウス脾臓B細胞活性化をインビトロ及びインビボで刺激するのに効力を示した。そこで、マウスIgG定常領域をもつ抗マウスCD40抗体1C10を概念実証分子として使用し、腫瘍内送達又は抗PD-1抗体の同時投与による併用療法の使用を含む潜在的臨床開発の糸口を探った。
【0200】
8.7.1.腫瘍内投与
マウスに両側皮下腫瘍を作製したCT26同系モデルを使用し、腫瘍内投与について検討した。0日目に雌性Balb/cマウスの左右後部脇腹に1匹当たり生存細胞(1×10個)を皮下接種した。12日目に各群10匹ずつランダムに分けた。投与開始時の右脇腹の平均腫瘍体積は、約85mmであった。最初の投与から24時間後に、血清中ALT値を評価するために各群3匹を屠殺した。残りの動物を両側の腫瘍の成長についてモニターした。週2回腫瘍体積を測定した。電子キャリパーにより腫瘍の長さ(L)、幅(W)及び高さ(H)を測定し、次式:L×W×H/2に従って体積を計算した。抗体投与はランダム化の直後に開始した。
【0201】
片方の腫瘍に抗CD40抗体1C10を(3mg/kgを週に2~3回)直接注射すると、注射部位(「IT投与」)と遠位部位(「非IT投与」)の両方で腫瘍成長が抑制され、全身抗腫瘍免疫が生じたことが示唆された(図12)。VetScan(Abaxis Inc.,Union City,CA)により肝酵素ALTを測定することにより肝毒性をモニターした。抗CD40抗体1C10の腫瘍内(IT)投与では全身腹腔内(IP)投与よりもALT上昇が少なかった。
【0202】
8.7.2.抗PD-1抗体の同時投与による併用療法
0日目に雌性BALB/cマウスの右脇腹に1匹当たり生存細胞1×10個を皮下接種することによりCT26腫瘍を作製した。15日目に動物をランダムにグループ分けした。抗CD40抗体1C10(0.6mg/kg)を商業製品である抗PD1 muIgG2a抗体(10mg/kg)と併用してCT26同系マウスモデルに週2回IP投与した。併用投与レジメンは、有意な抗腫瘍活性を示し(10匹中の7匹が腫瘍退縮を示したが、対照では0匹、抗PD1又は抗CD40投与群では各々10匹中1匹)、この併用の成果を裏付けた(図13)。
【0203】
このモデルで単剤療法の治療用量よりも低用量である0.6mg/kgで、抗CD40抗体1C10の投与を行った。場合により、抗腫瘍効力レベルを各モノクローナル抗体のこのような用量に維持すると、例えば肝酵素濃度により実証されるように、毒性を低下させることができる。この実験では、併用投与により肝酵素濃度、脾臓重量、又はTNFαやIL-6等のサイトカイン濃度は増加しなかった(図14)。肝酵素濃度はVetScanにより測定し、サイトカイン濃度はMILLIPLEX Map Mouse Cytokine Kit(EMD Millipore)で測定した。
【0204】
本願に引用する全ての刊行物、特許、特許出願及び他の文献はその内容全体を全目的で本願に援用するものであり、個々の刊行物、特許、特許出願又は他の文献を全目的で援用すると個別に明示しているものとみなす。
【0205】
以上、種々の特定の実施形態について具体的に説明・記載したが、当然のことながら、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、種々の変更を加えることができる。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
0007331179000001.app