IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイ.アール.シー.エイ.ソシエタ ペル アチオニ インダストリア レジステンヅェ コラッヅァテ エ アッフィニの特許一覧

特許7331189フレキシブル導電性要素及びその成形方法
<>
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図1
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図2
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図3
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図4
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図5-6
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図7-8
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図9
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図10
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図11
  • 特許-フレキシブル導電性要素及びその成形方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】フレキシブル導電性要素及びその成形方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/54 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
H05B3/54
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022063560
(22)【出願日】2022-04-06
(62)【分割の表示】P 2019527372の分割
【原出願日】2017-11-28
(65)【公開番号】P2022095824
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】102016000120278
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507365880
【氏名又は名称】アイ.アール.シー.エイ.ソシエタ ペル アチオニ インダストリア レジステンヅェ コラッヅァテ エ アッフィニ
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】リスポリ オマール
(72)【発明者】
【氏名】ゾッパス フェデリコ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-088652(JP,A)
【文献】国際公開第2008/053580(WO,A1)
【文献】特開2002-096737(JP,A)
【文献】特開2007-290685(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0279762(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00874374(EP,A1)
【文献】特開平07-211505(JP,A)
【文献】米国特許第07155812(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0129276(US,A1)
【文献】特公昭50-011586(JP,B1)
【文献】特開2011-121477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの絶縁層(2)と、
前記絶縁層(2)に固定された少なくとも一つの導電性の線(4)と、を含み、
前記導電性の線(4)は、実質的に直線形状の線分である複数の伸びる部分(3)と、前記伸びる部分(3)を相互に接続する複数の接続部分と、を有し、前記複数の伸びる部分(3)のうちの隣り合う伸びる部分は、互いに違う方向に向き、前記絶縁層(2)は、熱可塑性重合性の素材で製造され、
前記導電性の線(4)から延びる伝熱性の素材の複数の分岐(5)が設けられている、フレキシブル導電性要素(1)。
【請求項2】
前記少なくとも一つの絶縁層(2)は、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート、及びポリウレタンから選択される熱可塑性重合性素材で製造される、請求項1に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項3】
全体の厚さは0.1~1.4mmの間である、請求項1又は2に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項4】
前記全体の厚さが0.1~0.8mmの間である、請求項3に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項5】
少なくとも一つの導電性の線(4)は、10~200マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項6】
少なくとも一つの導電性の線(4)は、アルミニウム、コンスタンタン、銅、洋銀、鋼、インコネル、真鍮から選択される素材で製造される、請求項1~5のいずれか1項に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項7】
前記隣り合う伸びる部分(3)は、0.5mmより大きい曲率半径で接続される、請求項1~6のいずれか1項に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項8】
前記曲率半径は1mmよりも大きい、請求項7に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項9】
前記フレキシブル導電性要素(1)の長手方向の軸Xに平行な、前記少なくとも一つの導電性の線(4)のうちの伸びる部分の全体的な割合は、前記少なくとも一つの導電性の線(4)のうちの伸びる部分の全体の数の50%よりも低い、請求項1~8のいずれか1項に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項10】
前記導電性の線(4)は、金属の箔で形成されるか、又は前記導電性の線(4)は、導電性のインクで形成される、請求項1~9のいずれか1項に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項11】
前記少なくとも一つの絶縁層(2)は、熱可塑性重合性の非エラストマ素材で製造される、請求項1~10のいずれか1項に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項12】
前記少なくとも一つの絶縁層(2)は、90~500マイクロメートルの厚さを有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のフレキシブル導電性要素(1)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のフレキシブル導電性要素(1)で被覆された、車両のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル導電性要素及びこれの成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平坦なフレキシブル抵抗は、適用が異なる分野でますます用いられている。典型的には、フレキシブル導電性要素である。これらの抵抗は、加熱手段か、又はセンサとして用いられる。
【0003】
一般的に、平坦なフレキシブル抵抗は、金属の線が組み込まれた絶縁素材の二層を含む。抵抗の金属の線又は箔は、典型的には、電源に接続される。平坦なフレキシブル抵抗の厚み全体は、非常に限定されており、一般的には数十ミクロンと数百ミクロンの間である。この理由により、これらの抵抗は、ある寸法が他の二つの寸法よりもはるかに小さい「フラット(平坦)」と呼ばれる。さらに、休止状態で、特に外側から力が掛けられていないとき、これらの抵抗は、実質的に平坦な形状を有する。いくつかの適用では、平坦なフレキシブル抵抗で製品を被覆することが面白いだろう。しかし、特に被覆される製品が相対的に複雑な形状をしているとき、平坦なフレキシブル抵抗でそのような製品を被覆するのには欠点がある。例えば、曲率半径が相対的に小さい製品は、平坦なフレキシブル抵抗では最適に被覆できない。特に、抵抗が製品を包むとき、多くの皺や波紋が形成される。さらに、被覆操作の間に、金属の線が破断する。さらに、最先端のパフォーマンスの平坦なフレキシブル抵抗を有することが有利である。
【0004】
したがって、そのような欠点を克服する必要性が感じられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製品が複雑な形状をしていても、フレキシブル導電性要素に皺や波紋が形成されることを最小限にするか又は排除するように製品を被覆するよう、例えばフレキシブル抵抗のようなフレキシブル導電性要素を変形させる方法を提供することが本発明の目的である。
【0006】
金属の線を破断させない、例えばフレキシブル抵抗のようなフレキシブル導電性要素を変形させる方法を提供することは、本発明の他の目的である。
【0007】
大量生産のロジックに適合するフレキシブル抵抗を変形させる方法を提供することは、本発明の他の目的である。
【0008】
本発明はまた、最新式のより良い、例えばフレキシブル抵抗のようなフレキシブル導電性要素を提供することが本発明のさらなる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、本明細書により明らかになるこれら及び他の目的を達成する。明細書は、フレキシブル導電性要素を塑性的に変形させる成形方法を提供する。フレキシブル導電性要素は、少なくとも一つの絶縁層と、前記少なくとも一つの絶縁層に固定される少なくとも一つの導電性の線と、を含む。フレキシブル導電性要素に接触するように定められた外側表面を有し、好ましくは少なくとも径方向外側にその容積が拡張するように構成された装置が設けられる。方法は、a)フレキシブル導電性要素を少なくとも部分的に前記装置の周囲に配置することと、b)前記装置の容積を所定の値まで拡張させ、これにより前記装置の拡張の間に、前記装置に接触する前記フレキシブル導電性要素の少なくとも一部が塑性的に変形することと、c)前記フレキシブル導電性要素を前記装置から離すことと、を含む。
【0010】
一つの側面によれば、発明はまた、本発明の方法によって塑性的に変形されるように適合されたフレキシブル導電性要素を提供する。フレキシブル導電性要素は、少なくとも一つの絶縁層と、少なくとも一つの絶縁層に固定された導電性の線と、を含み、導電性の線は、複数の伸びる部分を有し、複数の伸びる部分のうちの隣り合う伸びる部分は、互いに異なる方向を向いている。
【0011】
他の側面によれば、発明はまた、例えば、加熱要素及び/又はセンサとして働くフレキシブル抵抗のような、フレキシブル導電性要素で被覆されたステアリングホイールを提供する。
【0012】
有利にも、発明によって、フレキシブル導電性要素で製品を最適に被覆することが可能である。実際にはフレキシブル抵抗が設けられ、フレキシブル抵抗が製品を包むときに、得られる被覆が最適で、フレキシブル抵抗の上に皺が形成されることを最小限にするか、排除するように、フレキシブル抵抗が適切に変形する。
【0013】
本発明の方法によれば、複雑な形状の製品を被覆するように特に適合された形状をフレキシブル抵抗に付与することができる。例えば、少なくとも部分的に環状の形状にフレキシブル抵抗を変形させることで、例えば車のステアリングホイールのような、車両のステアリングホイールを最適に被覆することが可能である。
【0014】
さらに、発明の方法が、大量生産の論理に完全に合っている。実際には、特に再生産性、信頼性、実行のスピード及び自動化に関連して最適な結果を提供する。平坦なフレキシブル抵抗は、実際には、制御された方法で長手方向の伸展に沿って、好ましくはフレキシブル抵抗の伸展に完全に沿って、延伸し、一以上の特定の領域で、均一及び/又は局所的な変形が確実になる。
【0015】
他の有利な側面は、複雑な形状のフレキシブル抵抗が、金属の線を、又は金属の線が多く設けられたときには複数の金属の線を、変形の間に破断することなく得られるという事実によりもたらされる。
【0016】
内部では、本発明で提供される異なる方法でフレキシブルフラット抵抗を変形させる試みのテストが行われていた。しかし、テストの結果は満足いくものではなかった。フレキシブル抵抗の延伸は、均一でも早くもなく、抵抗の線が不本意に破断したり、特に抵抗がステリングホイールに適用されたときに、皺が現れたりすることの両方によって、相当の欠点が導入された。
【0017】
発明は、最新式に改善されたものだけではなく、本発明の方法によって変形するように特に適合されたフレキシブル抵抗をも提供する。実際には、この目的のために、金属の線の上に、部分的にでさえ中断や機械的破断がないように立体的にフレキシブル抵抗を変形させることができる抵抗線のデザインや形状を選択することが好ましい。この目的のために、フレキシブル抵抗の主な変形軸に平行な抵抗線の伸びる部分の全体的な割合は、金属線の伸びる部分の全体の数に対して50%より低いことが好ましい。
【0018】
代替的に、線の伸びる部分3の主な変形の軸に平行な構成要素の合計は、そのような延びる部分の主な変形の軸に直交する構成要素の合計に対して50%よりも低いことが好ましい。
【0019】
そのような特徴に対して追加的に、又は代替的に、異なる方向を向く隣り合う抵抗線の伸びる部分は、0.5mmより大きな曲率半径、好ましくは1mmより大きい、さらに好ましくは2mmより大きい曲率半径で、互いに接続されていることが好ましい。
【0020】
典型的には、発明は金属の線、又は複数の金属の線が、相対的に複雑な形状を有することを提供する。例えば、それぞれの金属の線は、実質的に、ヘビのような形状を有する。
【0021】
それぞれの金属の線には、複数の側部の分岐又は延長部、好ましくは放射状の分岐が設けられることがさらに好ましい。分岐は、典型的には電流が交差せず、金属の線によって生成された熱を、金属の線を有さない絶縁層の領域へ伝達するように働く。
【0022】
言い換えれば、そのような分岐の機能は、分散フィンのように働くことであり、分散フィンは、フレキシブル抵抗の表面上の抵抗線を流れる電流によって生成される熱の流れをより均一に分散させることに寄与する。好ましくは、分岐はそれぞれの抵抗線と同じ素材で製造され、分岐は好ましくは抵抗線と一体である。
【0023】
従属項は、本発明の好ましい実施形態について記載する。
【0024】
本発明のさらなる特徴及び効果は、フレキシブル導電性要素の成形方法の、好ましいがしかし限定的でない実施形態の詳細な記載に照らしてより明らかになるだろう。本発明の方法を実施することが可能な装置の実施形態もまた記載される。その方法によって変形されるように特に適合されたフレキシブル導電性要素の少なくとも一つの実施形態も記載される。記載は、添付の図面を参照して、制限するためではなく、説明するために提供される。また、記載は、制限するためではなく、説明するために以下が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の方法の工程を概略的に示す。
図2図1の工程におけるフレキシブル導電性要素の一部の画像を示す。
図3】本発明の工程の他の工程を概略的に示す。
図4図3の工程におけるフレキシブル導電性要素の一部の画像を示す。
図5-6】本発明に沿って変形される要素を概略的に示す。図5の要素の一部の画像を示す。
図7-8】本発明に沿って変形される要素の平面図を示す。図7の拡大した詳細を示す。
図9】本発明に沿った装置の例の側面図を示す。
図10図9の装置の斜視図を示す。
図11図10の装置の側面図を示す。
図12図11の装置の断面を示す。
【0026】
図面における同じ参照符号は、同じか類似した要素又は構成要素を特定する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、実質的に平坦なフレキシブル導電性要素1を塑性的に変形させる成形方法が示される。フレキシブル導電性要素1は、フレキシブル抵抗要素又はフレキシブル抵抗、又はフレキシブルフラット抵抗と呼ばれてもよい。
【0028】
簡略的には、フレキシブル導電性要素1に接触するように定められた外側の表面12を有する装置11が設けられる。フレキシブル導電性要素1は、少なくとも一つの絶縁層2と、この絶縁層2に固定された少なくとも一つの導電性の線4と、を含む。装置11は、少なくとも径方向外側に、その容積が拡張するように構成されている。
【0029】
方法は、次の工程を含む。a)フレキシブル導電性要素1を装置11の少なくとも部分的に周囲に、特に部分的に周囲かつ外側表面12に接触して配置させること。b)所定の値まで装置11の容積を拡張させ、これにより、装置11の拡張中に装置11に接触するフレキシブル導電性要素1の少なくとも一部8を塑性的に変形させること。c)変形したフレキシブル導電性要素1を装置11から離すこと。
【0030】
例示のため、フレキシブル導電性要素1は、フレキシブルフラット抵抗1とする。好ましくは、少なくとも一つの絶縁層2は、90~500マイクロメートルの厚さを有する。
【0031】
フレキシブルフラット抵抗1の全体の厚さは、好ましくは0.1~1.4mm、又は0.1~1.2mm、又は0.1~0.8mm、又は0.2~0.8mm、又は0.1~0.4mm、又は0.2~0.4mmの間である。典型的には、厚さは、フレキシブルフラット抵抗1の長さおよび幅よりもはるかに薄い。例えば、長さは900~1200mmの間であってよく、幅は80~160mmの間か、又は80~100mmの間であってよい。フレキシブルフラット抵抗1は、少なくとも一つの絶縁層2を含む。絶縁層2には、例えば絶縁層2の上に、少なくとも一つの金属の線又は箔4、その抵抗の線又は箔、又は導電性の線が設けられる。好ましくは、フレキシブルフラット抵抗1は、金属の線4が接続された絶縁層2の一層のみを含む。代替的に、フレキシブルフラット抵抗1は、間に金属の線が組み込まれた絶縁素材の二以上の層を含むという意味で、複数の層であってもよい。一般的に、フレキシブルフラット抵抗は、単一であってよく、又はそれぞれに少なくとも一つのそれぞれの金属の線が設けられた二以上の絶縁層を重ね合わせて形成されたものであってもよい。例えば、単一のフレキシブルフラット抵抗は、少なくとも一つの抵抗線が取り付けられた絶縁層により形成される。複数の層のフレキシブルフラット抵抗の例では、第1の絶縁層が設けられ、その上には少なくとも一つの金属の線が配置される。その少なくとも一つの第1の金属の線及び第1の絶縁層の上に、第2の絶縁層が設けられる。第2の絶縁層の上に、少なくとも一つの第2の金属の線が設けられる。少なくとも一つの第2の金属の線は、第2の絶縁層の表面上にあってよく、少なくとも第1の金属の線の近位にあるか、又は遠位にある。説明のためのみの目的で、第1の金属の線は、加熱線として用いられてよく、第2の金属の線は、容量センサ手段又は抵抗センサ手段として用いられてよい。
【0032】
典型的には、それぞれの金属の線は、それぞれの絶縁層又はそれが接続された絶縁層よりも、低く表面的な伸びを有する。
【0033】
好ましくは、少なくとも一つの金属の線4は、1~8mmの間の幅を有する。絶縁素材の支持、すなわち絶縁層2の素材は、典型的には重合体の素材である。例示の目的のみで、制限するものではなく、絶縁素材は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、アルキル・ベンゼン・スルホン酸塩(ABS)、ポリエチレン・テレフタレート(PET)、ホスファチジン酸(PA)、ポリウレタン(延伸されたものも)(PU)、ポリウレタン(PUR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、シリコーン、エチレンプロピレンゴム(EPDM)等であり、選択的に添加物を加えてもよい。一般的には、適切に延伸する能力のある熱可塑性及び弾性素材が用いられてよい。好ましくは、少なくとも一つの絶縁層2は、重合性の非エラストマの素材で、好ましくは、非エラストマ及び非シリコーン素材で製造される。好ましくは、少なくとも一つの絶縁層2は、塩化ビニル又はポリスチレン又はポリプロピレン又はポリエチレン又はポリエチレン・テレフタレート又はポリウレタンにより製造される。
【0034】
少なくとも一つの金属の線4は、複雑な形状を有してよく、典型的には一以上のコネクタ7a、7b手段によって電源に接続されるように適合される。例示のみの目的で、限定ものではなく、金属の線を構成する材料は、アルミニウム、コンスタンタン、銅、洋銀、鋼、インコネル、真鍮等であってよい。好ましくは、金属の線4はアルミニウムで製造される。好ましくは、金属の線4は、10~200マイクロメートルの間の厚さを有する。
【0035】
フラット抵抗1は、外側からの力が適用されたときに、フラット抵抗1が弾性的に変形できるという意味で、柔軟である。
【0036】
さらに、適切な力がかけられたとき、フレキシブルフラット抵抗1は、例えば延伸されて、樹脂変形により変形してよい。
【0037】
発明の方法は、装置11の使用方法を提供する。また、上述した樹脂変形を得るように、フレキシブル導電性要素1又はフレキシブル抵抗に接触するように定められた外側の表面12を有する成形装置をも提供する。そのような装置11は、特に径方向外側にその容積を拡張するように構成される。
【0038】
説明のためのみの目的で、装置11は、流体用のチャンバ14を含む成形方法に適合する。チャンバ14は、特に径方向外側に拡張可能である。チャンバ14の上述の外側表面12は、少なくともチャンバが拡張しているとき、フレキシブル抵抗1に付与することを意図された形状と実質的に等しい形状である所定の形状を有する。
【0039】
好ましくは、そのような表面12の形状は、環状であるか、少なくとも部分的に環状である。これと異なる形状に設けられてもよい点が理解される。特に、環状の表面の場合、拡張したチャンバ14の外側表面12は湾曲しており、より正確には、環状の外側表面となるように成形される。好ましくは、曲率半径は、10~20mmの間であり、より好ましくは12.5~17.5mmである。選択的に、環状の形が楕円となるように設けられてもよい。
【0040】
さらに、チャンバ14は例えば弾性素材のように、弾性的に変形するように適法された素材で製造されることが好ましい。チャンバ14を拡張させるように、例えば空気のような気体、又は液体のような流体がチャンバ14の内部へ流入する。この目的のために、例えば弁のような特別な流体入口がチャンバに設けられる。流体が装置11のチャンバ14から吐出されるとき、チャンバ14はその容積を低減し、これにより装置11の容積が低減される。
【0041】
方法は、フレキシブル抵抗1が、少なくとも部分的に成形装置の周囲に配置される工程を含む。フレキシブル抵抗の二つの端部が、互いに接触しないように(実質的に開いた環を形成するように)配置されるか、又は抵抗の二つの端部が互いに接触するように的に閉じた環を形成するように)配置されてよい。後者の場合、端部は互いに留められてよい。例えば、フレキシブル抵抗は、成形装置の周りで包まれ、そして対向する端部の二つの縁は重ねられ、そして、例えば接着手段、又は加熱シール、又はプライヤー等のような締結手段により、互いに固定される。これにより、接合領域6が規定される(図5参照)。
【0042】
さらに、好ましくは、装置11に近いフレキシブル抵抗1の内側表面は、装置11の外側表面12と接触するように配置される。代替的に、フレキシブル抵抗1の内側表面は、最初は装置11の外側表面12と離れていてもよく、装置が所定の拡張度に達したときに、フレキシブル抵抗1が装置11に接触する。
【0043】
好ましくは、しかし限定的ではなく、成形装置11は、フレキシブル抵抗1の幅の一部8のみ(図4参照)が変形する。例えば、そのような寸法で、フレキシブル抵抗1の中央部8のみが変形し、二つの側部9は実質的に変わらない。又は、中央領域と側部領域の間で、異なる伸長が得られてもよい。抵抗の幅は、典型的には、長さよりも小さい寸法を示す。
【0044】
続いて、装置の容積は、特に拡張可能なチャンバでは、制御された様式で拡張する。装置11の拡張は、好ましくは、所定の変形の値に達するまで実行される。これによりフレキシブル抵抗1が、設計にしたがって変形する。装置11が拡張している間、装置11に接触しているフレキシブル抵抗1の一部8が変形する。特に、塑性的に延伸される。
【0045】
選択的に、所定の値を超えて装置の容積が拡張することを防止するために、変形制御手段を設けることが好ましい。
【0046】
実施形態によれば、変形制御手段は、好ましくは実質的に円形で、フレキシブル導電性要素1の周囲に配置される当接体21を含む。特に、フレキシブル導電性要素1は、装置11と当接体21との間に配置される。装置11の拡張の間、フレキシブル導電性要素1が当接体21に当接するとき、装置11の拡張は中断される。中断は、手動であっても自動であってもよい。成形装置11は、当接体21が取り付けられる枠を有してよい。
【0047】
変形制御手段の他の例は、適切にレーザービームが方向づけられたレーザーポインターにより提供される。レーザーポインターと共に使用される適切な参照印が、フレキシブル抵抗に適用されてよい。
【0048】
好ましくは、発明は、フレキシブル抵抗を装置に適切に配置させる及び/又はセンタリングする配置手段を提供する。配置手段は、機械的なタイプで、例えば一以上のプレートが設けられてよい。
【0049】
代替的に、適切にレーザービームが方向づけられたレーザーポインターが設けられてよい。レーザーポインターは、好ましくは装置の中間軸と合っており、フレキシブル抵抗を正しく配置するかセンタリングする光学的なガイドとして作用する。この場合にも、レーザーポインターと組み合わせて使用される適切な参照印が、フレキシブル抵抗に適用されてよい。
【0050】
変形制御手段及び/又はフレキシブル抵抗を配置し、センタリングする配置手段の他の例は、光学的、磁気的及び/又は電気的及び/又は容量性であってよい。
【0051】
好ましくは、装置の拡張の間、又はその直前又は直後に、変形を改善させ、変形を維持させるためにフレキシブル導電性要素1に対して熱が付与される。例えば、変形は、フレキシブル導電性要素1が20度又は25度より高く、例えば60~130度の間で加熱されたときに改善する。
【0052】
熱は、温度調節手段により付与されてよい。例えば、熱は、オーブン手段、熱空気の流れを生成する手段、又は例えば抵抗手段によって加熱された熱い表面に直接接触する手段、またはその組み合わせによって、付与されてよい。
【0053】
代替的に、又は追加的に、流体は、20度又は25度よりも大きな温度、例えば60度~130度の間で、装置11の拡張可能なチャンバ14に流入してよい。
【0054】
一般的には、温度を例えば25度に対して上げる又は下げることができる調節手段が設けられてよい。
【0055】
いくつかの場合では、装置11が所定の容積に達して望ましい変形が得られたら、変形した導電性要素1は所定の維持時間の間、拡張した装置11と接触し続けることが有利であるだろう。このように、導電性要素1の最終的な形状が安定される。
【0056】
さらに、変形後、変形した導電性要素1を冷却することが有利である。この目的のために、自然の又は強制的な空気対流手段又は冷蔵庫が設けられてよい。冷却温度は、好ましくは、導電性要素を好ましくは5分より短い時間で常温に戻すことができるような温度である。
【0057】
例示の目的のみで、限定でなく、次の表は、例えば絶縁性素材がポリ塩化ビニル又は類似した素材のときに有効な、処理パラメーターの可能な組み合わせを含む。
【0058】
【表1】
【0059】
一度変形すると、フレキシブル導電性要素1は装置11から離される。離しやすくするために、装置11のチャンバ14は、そこに含まれていた流体が少なくとも部分的に、好ましくは空にされる。
【0060】
図9~12は、本発明に沿った装置11を示し、例示する。
【0061】
装置11は、拡張した構成で示される。フレキシブル抵抗1は、装置の周囲に配置される。抵抗1の変形を制御する当接体として作用する、型(カウンターモールド・countermold)31が設けられる。型31は、開くことができるように、二つの部品で形成される。記載された実施形態では、型31は装置11の中心面の片側のみに設けられるが、さらに補完的な型が中心面の反対側に配置されてもよい。装置11及び型31は、それぞれ、温度を調節可能な温度調節手段33、35に接続され、フレキシブル抵抗1の温度を上げる及び/又は冷却する。
【0062】
本発明の方法は、フレキシブルフラット抵抗1の塑性的な変形を得るように設計されている。有利にも、方法は実質的に均一な塑性的な変形を得られるようにする。
【0063】
塑性的に変形するおかげで、フレキシブル抵抗1は、特に乗用自動車(図示せず)のステアリングホイールのような複雑な製品に接着するように特別に適合されている。この目的のために、フレキシブル抵抗1の変形した部分8は、実際、湾曲するように成形され、ステアリングホイール、特にステアリングホイールの輪と実質的に類似するか又は等しい曲面を有する。好ましくは、変形した表面の輪の半径は、10~20mmの間であり、より好ましくは12.5~17.5mmの間である。
【0064】
変形したフレキシブル抵抗1は、皺や波紋を形成することなく、ステリングホイールの輪を最適に被覆できる。
【0065】
ある側面によれば、本発明はまた、本発明の方法によって変形された抵抗によって被覆されたステアリングホイールを提供する。
【0066】
実施形態に沿って、フレキシブル抵抗は、ポリ塩化ビニルの絶縁層2の上に、少なくとも一本の金属の線4が固定されて製造される。金属の線4が設けられる絶縁層2の面は、ステアリングホイールの外側表面に接触して配置される。絶縁層の反対側の面は、例えば、天然又は合成の皮のような、その上に人が手を置くステアリングホイールを被覆する素材で好ましくは被覆されている。少なくとも一つの金属の線は、ステアリングホイールを加熱するために用いられる。金属の線は、また、センサとしても用いられてよい。
【0067】
他の実施形態によれば、好ましくはポリ塩化ビニル製の二つの絶縁層の間に、少なくとも一つ、例えば一又は二本の導電性の線が配置されて形成される、サンドイッチ構造が設けられる。この場合、それぞれのポリ塩化ビニル層は、100~300マイクロメートル、例えば、約200マイクロメートルの厚さを有する。さらに好ましくは、導電性の線、又は複数の導電性の線は、10~200マイクロメートル、例えば60マイクロメートルの厚さを有する。
【0068】
図示されていない実施形態で、絶縁層は加熱用の抵抗線を有し、線は容量性又は抵抗のセンサとして働く。
【0069】
発明はまた、最新式に改善されたもののみでなく、本発明の方法によって変形するように特に適合されたフレキシブル抵抗1をも提供する。実は、この目的のために、金属の線に部分的にも、中断や機械的破断が起こらないように、立体的にフレキシブル抵抗を変形させることができる金属の線4の設計又は形状を選択することが好ましい。この目的のために、フレキシブル抵抗1の主な変形軸と平行な金属の線の伸びる部分の全体的な比率は、金属の線の伸びる部分の全体の数の50%よりも低い。主な変形軸とは、好ましくはフレキシブルフラット抵抗の長手方向の軸Xである。例えば、主な変形軸Xと平行に延びるいくつかの伸びが、図8における参照符号3’で示されている。
【0070】
伸びる部分3の方向に関して、そのような特徴に追加的に、又は代替的に、互いに隣接し、互いに異なる方向を有する抵抗線の伸びる部分3は、0.5mm、好ましくは1mm、さらに好ましくは2mmよりも大きな曲率半径で互いに接続される。
【0071】
典型的には、発明は、相対的に複雑な形状を有する金属の線4又は複数の金属の線を提供する。例えば、それぞれの金属の線4は、実質的に蛇のような形状を有してよい。蛇のような形状は、複数の伸びる部分3、又は部分が、上記のように方向づけられ、接続されて形成される。
【0072】
それぞれの金属の線4には、好ましくは、電流が交差しないように典型的に設計された、複数の分岐又は側部の延長が設けられる。電流は分岐5には流入しないので、分岐は加熱されない。電流は、抵抗が少ない場所、すなわち抵抗線へ流れる傾向があるからである。その機能はフレキシブル抵抗の表面の抵抗線4を流れる電流によって生成される熱の流れをより均一に分散させることに寄与する放散フィンとして働くことである。分岐5は、抵抗線4が製造されているものと同じ素材で製造されることが好ましい。また、好ましくは、分岐5は、それぞれの抵抗線4と一体となっている。好ましくは、それぞれの分岐5は、実質的に直線的である。
【0073】
好ましくは、絶縁層2の素材は、少なくとも15%、好ましくは少なくとも30%の延伸変形を可能にする。フレキシブルフラット抵抗1の全体的な厚さは、0.1~1.4mmの間か、又は0.1~1.2mmの間か、又は0.1~0.8mmの間か、又は0.2~0.8mmの間か、0.1~0.4mmの間か、又は0.2~0.4mmの間であることがさらに好ましい。
【0074】
絶縁層に特に好ましい素材は、ポリ塩化ビニルであり、好ましくは添加物及び/又は可塑剤を含む。
【0075】
一般的には、例示のみの目的で、以下の記載された工程が、フレキシブルフラット抵抗1を製造するために続く。
【0076】
絶縁素材の一以上のシートが、二つのローラーの間を導電性素材のシートとともに通る。シートはこのようにして互いに接続される。少なくとも一つの金属の線及びあり得る分岐は、例えばフォトレジストのような手段で導電性シートの上に設計される。例えば化学的エッチングの手段で、線の一部ではない導電性のシートの一部が取り除かれる。
【0077】
代替的に、導電性の線は、スクリーン印刷、又は印刷、又は一以上の導電性インクを絶縁層に沈着させることによって製造される。これにより、導電性の線は、導線性のインクを含むか、又は導線性のインクにより形成される。
図1
図2
図3
図4
図5-6】
図7-8】
図9
図10
図11
図12