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特許7331217光輝性グラビアインキ、印刷物、及び積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】光輝性グラビアインキ、印刷物、及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/037 20140101AFI20230815BHJP
   B41M 1/10 20060101ALI20230815BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20230815BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
C09D11/037
B41M1/10
B41M1/30 D
B32B27/00 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022120837
(22)【出願日】2022-07-28
【審査請求日】2023-02-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】緑川 俊文
(72)【発明者】
【氏名】三根 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 紗矢加
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-291047(JP,A)
【文献】特開2003-082258(JP,A)
【文献】特開2021-123616(JP,A)
【文献】特開2018-203877(JP,A)
【文献】特開2021-091894(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113956712(CN,A)
【文献】特開2006-328278(JP,A)
【文献】特開2020-059806(JP,A)
【文献】特開2022-054975(JP,A)
【文献】特開2022-054633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00ー11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、薄片状光輝性顔料及び有機溶剤を含有する光輝性グラビアインキであって、
前記バインダー樹脂の酸価が、1.5mgKOH/g以下であり、
前記薄片状光輝性顔料の平均粒子径が、10μm以下、かつ、平均厚みが、30nm以下であり、
前記光輝性顔料の含有率が、前記バインダー樹脂の固形分全質量に対して30~400質量%であり、
B型粘度計での25℃における粘度が40~500cpsである、光輝性グラビアインキ。
【請求項2】
バインダー樹脂が、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載の光輝性グラビアインキ。
【請求項3】
バインダー樹脂が、アミン価10mgKOH/g以下のウレタン樹脂を含む、請求項2に記載の光輝性グラビアインキ。
【請求項4】
更にアルコキシシランを含む、請求項1又は2に記載の光輝性グラビアインキ。
【請求項5】
薄片状光輝性顔料が、表面処理されていない蒸着アルミニウムである、請求項1又は2に記載の光輝性グラビアインキ。
【請求項6】
薄片状光輝性顔料が、シリカで表面処理された蒸着アルミニウムである、請求項1又は2に記載の光輝性グラビアインキ。
【請求項7】
プラスチックフィルム基材上に、請求項1又は2に記載の光輝性グラビアインキからなる膜厚0.1~5μmの光輝性インキ層を有する印刷物。
【請求項8】
プラスチックフィルム基材上に、少なくとも印刷インキ層及び請求項1又は2に記載の光輝性グラビアインキからなる光輝性インキ層を有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光輝性グラビアインキ及びその印刷物、並びに積層体に関する。
【0002】
より具体的には、印刷物が光輝性を有する光輝性グラビアインキ及びその印刷物、並びに積層体に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、金属調の意匠性を有するシートとしては、フィルムに金属蒸着を施したもの、屈折率の異なるポリマーを積層させることで可視光線を干渉反射させ、金属光沢を実現させるもの、金属の細かな破片を用いてインキ化し、フィルムに印刷することで得るものなど様々である。中でも金属片をインキ化して印刷する方法は、簡便でかつ低コストに仕上がることから実用的な手段として注目されている。例えば、インキ化の際に金属片の分散性を高めるために、金属表面に何らかの処理を施したり、インキのベースとなる樹脂を定義したりと、様々な手法が用いられてきている(特許文献1、2)。
【0004】
しかしながら、特許文献1、2に記載されたインキを用いても、金属蒸着膜や多層構成膜のような金属光沢感や鏡面反射といった光輝性のある印刷物を得ることは難しく、本来あるべき金属特有の輝度感がくすんだり、印刷面が揺らいだりするという問題があった。
光輝性の評価においては、従来行われてきた目視で判断される官能評価に加え、試料表面で反射して見える物体の像がどの程度鮮明に歪みなく見えるかの度合を表した写像性や、光が入射したときに、どの方向にどれだけの光が反射したかを表す反射光強度の角度分布を数値化した拡散度という指標が提案されている。すなわち、上記のような輝度感のくすみ及び印刷面の揺らぎは、写像性及び拡散度に反映される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-35849号公報
【文献】特開2022-54590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光輝性に優れた光輝性グラビアインキ、印刷物、及び積層体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の目的を達成する為に鋭意検討した結果、以下に記載する光輝性グラビアインキを使用することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を成すに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、バインダー樹脂、薄片状光輝性顔料及び有機溶剤を含有する光輝性グラビアインキであって、前記バインダー樹脂の酸価が、1.5mgKOH/g以下であり、前記薄片状光輝性顔料の平均粒子径が、10μm以下、かつ、平均厚みが、30nm以下であり、前記光輝性顔料の含有率が、前記バインダー樹脂の固形分全質量に対して30~400質量%であり、B型粘度計での25℃における粘度が40~500cpsである、光輝性グラビアインキに関する。
【0009】
また本発明は、バインダー樹脂が、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、上記の光輝性グラビアインキに関する。
【0010】
また本発明は、バインダー樹脂が、アミン価10mgKOH/g以下のウレタン樹脂を含む、上記の光輝性グラビアインキに関する。
【0011】
また本発明は、更にアルコキシシランを含む、上記の光輝性グラビアインキに関する。
【0012】
また本発明は、薄片状光輝性顔料が、表面処理されていない蒸着アルミニウムである、上記の光輝性グラビアインキに関する。
【0013】
また本発明は、薄片状光輝性顔料が、シリカで表面処理された蒸着アルミニウムである、上記の光輝性グラビアインキに関する。
【0014】
また本発明は、プラスチックフィルム基材上に、上記の光輝性グラビアインキからなる膜厚0.1~5μmの光輝性インキ層を有する印刷物に関する。
【0015】
また本発明は、プラスチックフィルム基材上に、少なくとも印刷インキ層及び上記の光輝性グラビアインキからなる光輝性インキ層を有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、光輝性に優れた光輝性グラビアインキ、印刷物、及び積層体を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に例を挙げて本発明の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する事項は本発明の実施形態の一例ないし代表例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。以下、「光輝性グラビアインキ」を、単に「インキ」と表現することがあるが同義である。
【0018】
本発明は、バインダー樹脂、薄片状光輝性顔料、及び、有機溶剤を含有する光輝性グラビアインキにおいて、バインダー樹脂の酸価が、1.5mgKOH/g以下であり、光輝性顔料の、平均粒子径が、10μm以下、かつ、平均厚みが、30nm以下であり、光輝性顔料の含有率が、前記バインダー樹脂の固形分全質量に対して30~400質量%である光輝性グラビアインキを用いることで、光輝性及び耐アルカリ性に優れた印刷物の提供を可能とするものである。
【0019】
<バインダー樹脂>
本発明のインキはバインダー樹脂を含む。バインダー樹脂とは本発明のインキにおける結着樹脂をいい、有機溶剤に可溶な熱可塑性樹脂であることが好ましい。バインダー樹脂を含むことで、光輝性顔料を塗膜中に保持することが容易になるだけでなく、インキと基材との密着性が向上する。
【0020】
本発明においては、バインダー樹脂の酸価は1.5mgKOH/g以下である。当該酸価が1.5mgKOH/g以下であることにより、後述する特定の薄片状光輝性顔料と相乗効果をなし、印刷物の写像性と拡散度が向上する。これは薄片状光輝性顔料が印刷物表面に薄く均一にフラットに配向することと相関があり、酸価が低いほど、薄片状光輝性顔料はインキ中でバインダー樹脂と不相溶の状態にある。そのため乾燥皮膜を形成する過程で薄く均一にフラットに配向しやすくなり、その結果、特定の薄片状光輝性顔料を用いた場合に写像性と拡散度が向上するためと考えられる。酸価は、1mgKOH/g以下であるとより好ましい。
【0021】
バインダー樹脂の例としては、以下に限定されるものではないが、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ケトン樹脂、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、及び、これらの変性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。中でも、ウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂のいずれかを含むと好ましい。
【0022】
<塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂>
本発明のインキは、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂を含有することが好ましい。塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニルと酢酸ビニルが共重合したものであり、重量平均分子量が5,000~200,000のものが好ましく、20,000~100,000のものがより好ましい。塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂の固形分100質量%中の酢酸ビニルモノマー由来の構造は、5~40質量%が好ましく、塩化ビニルモノマー由来の構造は、60~95質量%であることが好ましい。この場合有機溶剤への溶解性が向上し、更に基材への密着性、被膜物性、ラミネート強度等が良好となる。
【0023】
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂のガラス転移温度は、60℃~100℃であることが好ましく、70℃~90℃であることがより好ましい。60℃以上であると、ラミネート適性が向上し、100℃以下であることにより、良好な成型性が保たれる。
【0024】
<ウレタン樹脂>
本発明のインキは、ウレタン樹脂を含有することが好ましい。ウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する樹脂であればよく、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン樹脂;ポリオールとポリイソシアネートとからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンのような鎖伸長剤とを反応させることにより得られるウレタンウレア樹脂;が挙げられ、好適に用いられる。このようなウレタン樹脂の製造方法としては例えば、特開2013-256551号公報、特開2018-127545号公報、特開2013-213109号公報に記載の方法が挙げられる。
【0025】
ウレタン樹脂の重量平均分子量は、10000~100000のものが好ましく、20000~ 80000のものがより好ましい。重量平均分子量が10000以上であると、耐湿熱性や耐ブロッキング性、ラミネート強度が良好となることが期待され、重量平均分子量が100000以下であると、印刷時の版かぶり適性やインキの経時安定性が良好となる。
【0026】
ウレタン樹脂は、水酸基価が1~40mgKOH/gであると好ましく、3~30mgKOH/gであるとより好ましい。また、アミン価が1~20mgKOH/gであると好ましく、3~15mgKOH/gであるとより好ましく、3~10mgKOH/gであると更に好ましい。水酸基価が1mgKOH/g及び/又はアミン価が1mgKOH/g以上であると、基材への密着性及び耐熱性が良好となり、水酸基価が40mgKOH/g以下及び/又はアミン価が20mgKOH/g以下であるとインキの経時安定性が良好となる。
【0027】
ウレタン樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。中でもポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオールが好ましい。
【0028】
前記ポリエーテルポリオールは、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体又は共重合体のポリエーテルポリオール類が挙げられる。中でもポリテトラメチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましく、数平均分子量は500~10,000であることが好ましく、500~3000であることがより好ましい。数平均分子量は、末端を水酸基として水酸基価から計算するものであり、(式1)により求められる。
(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1×水酸基の価数/水酸基価
【0029】
前記ポリラクトンポリオールとは、ラクトンの開環重合した末端に水酸基を有するポリオールを指す。ポリラクトンポリオールは、ポリオールの存在下、ラクトンを開環重合させて合成することが多いが、ポリラクトンポリオールを構成するラクトンとしては、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン及びε-カプロラクトンより選ばれる少なくとも一種が好適である。また、ポリラクトンポリオールを構成するポリオールとしては、ジオールであることが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル等が好適である。
【0030】
また、ポリラクトンポリオールを合成する際、上記ラクトンやポリオールに加えて、二塩基酸を併用してもよい。二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1,4- シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。
【0031】
ポリラクトンポリオールは、数平均分子量が500~10000であることが好ましく、500~3000であることがより好ましい。また、ウレタン樹脂中にポリラクトンポリオールからなる構造単位を5~50質量%含有することが好ましく、5~35質量%含有することがより好ましく、10~35質量%含有することが更に好ましい。耐湿熱性、耐湿熱性や耐加水分解性が向上するためである。
【0032】
前記ポリイソシアネートとしては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス-クロロメチル-ジフェニルメタン-ジイソシアネート、2,6-ジイソシアネート-ベンジルクロライドやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。これらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていてもよい。これらのポリイソシアネートは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体である。
【0033】
ウレタン樹脂を構成するポリアミンは、鎖延長剤として機能してウレア結合を形成するものであれば限定は無く、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4'-ジアミンなどの他、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど分子内に水酸基を有するアミン類も用いることが出来る。これらの鎖延長剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて多官能のポリアミンも使用でき、具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’-ジアミノジプロピルアミン)、N-(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン:(スペルミジン)、6,6-イミノジヘキシルアミン、3,7-ジアザノナン-1,9-ジアミン、N,N’-ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。
【0034】
<アクリル樹脂>
本発明のインキはアクリル樹脂を含有することが好ましい。「アクリル樹脂」とは、アクリルモノマーを構成単位に有する重合体を意味する。また、「アクリルモノマー」とは、アクリル基又はメタクリロイル基を有するモノマーを意味し、「メタクリル及びアクリル」を総称して「(メタ)アクリル」と略記することがある。また、「メタクリレート及びアクリレート」を総称して「(メタ)アクリレート」と略記することがある。
【0035】
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20,000~300,000であることが好ましい。重量平均分子量を20,000以上とすることにより、成型性と表面硬度を兼ね備えることができる。質量平均分子量が300,000以下であることにより、印刷インキに求められる耐薬品性等の耐性が良好になる。
【0036】
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比である分散度(Mw/Mn)は、1.5~10であることが好ましく、2~9であることがより好ましく、2.5~8であることがさらに好ましい。
【0037】
<薄片状光輝性顔料>
本発明の光輝性グラビアインキは薄片状光輝性顔料を含む。ここで言う薄片状とは、平均粒子径が10μm以下、かつ、平均厚みが100nm以下である薄い片状のものである。光輝性顔料が薄片状であることで、顔料の配向が揃いやすく、乱反射が起こりにくくなり、光輝性が得られやすい。
【0038】
本発明で用いる薄片状光輝性顔料の平均粒子径は10μm以下である。平均粒子径は1~10μmであることが好ましく、3~10μmであるとより好ましく、5~8μmであると更に好ましい。薄片状光輝性顔料の平均粒子径が1μm以上であると、前記酸価1.5mgKOH/g以下のバインダー樹脂と相乗的に作用し、インキ塗膜に光輝性が得られやすく、10μm以下であると、前記酸価1.5mgKOH/g以下のバインダー樹脂と相乗的に作用し、薄片状光輝性顔料の配向が揃いやすくなるため乱反射が起こりにくく、光輝性が良好となる。
【0039】
本発明で用いる薄片状光輝性顔料の平均厚みは30nm以下である。この範囲にあることで、前記酸価1.5mgKOH/g以下のバインダー樹脂と相乗的に作用し、薄片状光輝性顔料の配向が揃いやすくなるため乱反射が起こりにくく、光輝性が良好となる。
【0040】
本発明で用いる薄片状光輝性顔料は、アルミニウム、インジウム、銀、銅、ニッケル、チタン、クロム等の金属が好ましい。また、薄片状光輝性顔料の形成方法としては、金属粉の粉砕、金属箔の粉砕、金属蒸着やスパッタリング等により得られる金属薄膜の粉砕等が挙げられるが、金属蒸着により得た金属薄膜の粉砕により得られるものが好ましい。
【0041】
前記の金属の中で、アルミニウムは安価、かつ、良好な光輝性が得られることから好適であり、蒸着アルミニウム顔料を用いることが好ましい。蒸着アルミニウム顔料は、例えば、アルミニウム又はその合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着して形成される金属薄膜を、プラスチックフィルム上から剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、攪拌することで得られる。こうすることで非常に薄膜となり、均一に配向しやすくなるため、前記酸価1.5mgKOH/g以下のバインダー樹脂と相乗的に作用し、高い光輝性が得られる。
【0042】
一実施形態において、前記蒸着アルミニウム顔料は、表面処理されていないことが好ましい。ここで言う表面処理とは、顔料表面を樹脂やシリカ等で被覆(コーティング)する処理のことである。表面処理されていないことで、光輝性がより良好となる。
【0043】
一方、印刷物に耐水性、耐アルカリ性等の耐性が必要な場合には、蒸着アルミニウム顔料としてシリカで表面処理されたものを用いると好ましい。前記したように、表面処理されていないものと比べると光輝性がやや低下するものの、耐性が著しく向上するため、用途に応じて使い分けることが好ましい。
【0044】
光輝性グラビアインキ中の薄片状光輝性顔料の含有率は、写像性と拡散度との両立の観点から、バインダー樹脂の固形分全質量に対して30~400質量%であり、100~350質量%であるとより好ましく、155~300質量%であるとさらに好ましく、165~280質量%であると写像性と拡散度が高評価となるだけでなく、インキの経時安定性や印刷適性も良好であり、特に好ましい。
【0045】
<アルコキシシラン>
本発明の光輝性グラビアインキは、アルコキシシランを含むことができる。アルコキシシランのアルコキシ基は、加水分解を起こしてシラノールとなり、薄片状光輝性顔料の表面の水酸基と水素結合を起こす。さらに、印刷時の乾燥熱により脱水縮合が起き、より強固な化学結合で薄片状光輝性顔料と結びつく。その結果、薄片状光輝性顔料とバインダー樹脂との相溶性が低下し、乾燥皮膜を形成する過程で薄片状光輝性顔料が配向しやすくなるため、写像性と拡散度が向上すると考えられる。
アルコキシシランとしては、メトキシシラン、エトキシシラン等が挙げられる。また、エポキシ基やメタクリル基のような反応性基を有するシランカップリング剤も好適である。
【0046】
<有機溶剤>
本発明の光輝性グラビアインキは、有機溶剤を含有することができる。使用される有機溶剤としては、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系有機溶剤など公知の有機溶剤を使用でき、混合して使用してもよい。中でも、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤を含まない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)が環境対応の観点より好ましい。
【0047】
また、本発明において光輝性発現のためには、インキ塗膜が乾燥硬化する際の光輝性顔料の配向が重要であり、それには、インキ中に含まれる有機溶剤の乾燥性(沸点)も影響があると考えられる。ここで言う有機溶剤とは、バインダー樹脂の溶解や、顔料の分散に用いている有機溶剤も含む。
特に、インキの顔料比率が高い場合においては、乾燥速度を速くしすぎず印刷面のかすれを防止する観点や、光輝性顔料を適切に配向させ光輝性を向上させる観点から、沸点の低い有機溶剤(早口溶剤)と沸点の高い有機溶剤(遅口溶剤)をいずれも含有することが好ましい。なお、インキ中の有機溶剤が早口溶剤のみの場合、印刷時の希釈溶剤として、遅口溶剤を使用することも可能だが、インキ希釈時の溶解性の観点から、希釈前のインキ中に早口溶剤と遅口溶剤とをともに含有しておくことが好ましい。
【0048】
早口溶剤としては、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。遅口溶剤としては、メチルイソブチルケトン、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、n-ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、キシレン等が挙げられる。
【0049】
<添加剤>
本発明の光輝性グラビアインキは、添加剤として公知のものを適宜含むことができ、印刷インキの製造においては必要に応じて公知の添加剤、例えば顔料誘導体、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、ワックス成分、イソシアネート系硬化剤、シランカップリング剤などを使用することができる。
【0050】
<インキの製造>
本発明における光輝性グラビアインキは、例えば、バインダー樹脂と顔料とを、有機溶剤中で分散/混合することで製造することができる。
【0051】
前記方法で製造されたインキの粘度は、グラビア印刷法に対応させるため、B型粘度計での25℃における粘度が40~500cpsの粘度範囲であることが好ましい。より好ましくは50~350cpsである。この粘度範囲は、ザーンカップ♯4での粘度が9秒~40秒程度に相当する。なお、インキの粘度は、使用される原材料の種類や量、例えばバインダー樹脂、有機溶剤などの量を適宜選択することにより調整することができる。
【0052】
<基材>
本発明の印刷物に使用できる基材は特に限定されないが、プラスチック基材が好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸などのポリエステル、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合(ABS)樹脂、アクリロニトリル-エチレン-スチレン共重合体(AES)などのポリスチレン系樹脂、アクリル、ナイロン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状の基材などが挙げられる。中でも、基材密着性の観点から、アクリルフィルムその他のアクリル基材を用いることが好ましい。
また基材は、ポリビニルアルコールなどでコート処理を施されていてもよく、コロナ放電処理などの表面処理が施されていてもよい。
【0053】
<印刷>
本発明のインキは、グラビア印刷により印刷される。
【0054】
<グラビア印刷>
(グラビア版)
上記グラビア印刷においては、グラビア版は金属製の円筒状のものであり、彫刻又は腐蝕・レーザーにて凹部を各色で作成される。彫刻とレーザーは使用に制限は無く、柄に合わせて任意に設定が可能である。線数としては75線~350線のものが適宜使用され、線数の大きいものほど目の細かい印刷が可能である。印刷層の厚みとしては、0.1μm~100μmが好ましい。
【0055】
(印刷機)
グラビア印刷機において、一つの印刷ユニットには上記グラビア版及びドクターブレードを備えている。印刷ユニットは多数あり、各ユニットはオーブン乾燥ユニットを有する。印刷は輪転により行われ、巻取印刷方式である。版の種類やドクターブレードの種類は適宜選択され、仕様に応じたものが選定できる。
【0056】
<印刷物>
本発明の実施形態の一つとして、プラスチックフィルム基材上に、本発明の光輝性グラビアインキからなる光輝性インキ層を有する、光輝性印刷物が挙げられる。
プラスチックフィルム基材上に、本発明の光輝性グラビアインキを印刷した後、充分に乾燥させ、有機溶剤等の揮発成分を乾燥させることで、光輝性印刷物を得ることができる。
前記光輝性インキ層の膜厚は0.1~5μmであると好ましく、0.1~3μmであるとより好ましい。膜厚が0.1μm以上であるとインキ被膜物性が良好となり、5μm以下であると、乱反射が起こりにくく光輝性が良好となる。
【0057】
<積層体>
本発明の実施形態の一つとして、プラスチックフィルム基材上に、少なくとも印刷インキ層及び本発明の光輝性グラビアインキからなる光輝性インキ層を有する、光輝性積層体が挙げられる。
【0058】
<印刷インキ層>
前記印刷インキ層は、光輝性インキ層の意匠性を高めるために設けられるものであり、インキを印刷することで形成されるものであればよいが、グラビアインキであることが好ましい。また光輝性インキ層の光輝性を妨げない程度に着色されていることが好ましい。
【0059】
<光輝性積層体>
前記光輝性積層体の一例としては、プラスチックフィルム基材上に、前記印刷インキ及び光輝性グラビアインキを順に印刷した後、充分に乾燥させ、有機溶剤等の揮発成分を乾燥させることで、光輝性積層体を得ることができる。
その他の下記の構成が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
基材1/印刷インキ層/光輝性インキ層/接着層/基材2
表面保護層/基材1/印刷インキ層/光輝性インキ層/接着層/基材2
表面保護層/印刷インキ層/基材1/光輝性インキ層/接着層/基材2
基材1/光輝性インキ層/印刷インキ層/接着層/基材2
【実施例
【0060】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、以下の実施態様は本発明のごく一例であり、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
【0061】
(水酸基価・アミン価・酸価)
水酸基価は、樹脂中の水酸基を過剰の無水酸でエステル化又はアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値である。アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数である。酸価は、樹脂1g中に含有する酸基を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数である。いずれも、JISK0070に従って測定を行った。
【0062】
(重量平均分子量)
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置(昭和電工社製「ShodexGPCSystem-21」)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレン換算分子量として求めた。
【0063】
(光輝性顔料の平均粒子径及び平均厚み)
光輝性顔料の平均粒子径及び平均厚みは日本電子(株)製走査型電子顕微鏡(JSM-6390LA)を用いて観察を行い、得られた画像において、光輝性顔料の平均粒子径及び膜厚をそれぞれ4箇所測定し、その平均値を求めた。
【0064】
(合成例1)[塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液PVC1の作製]
ソルバインA(日清化学工業社製、塩化ビニル/酢酸ビニル/その他=92/3/5(質量比)の共重合樹脂、重量平均分子量73000)をメチルエチルケトン(以下「MEK」)に溶解させ、固形分25%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液PVC1を得た。
【0065】
(合成例2)[塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液PVC2の作製]
ビンノールH30/48M(Wacker Chemie AG社製、塩化ビニル/酢酸ビニル/その他=70/29/1(質量比)の共重合樹脂、重量平均分子量70000)をMEK溶解させ、固形分25%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液PVC2を得た。
【0066】
(合成例3)[ウレタン樹脂PU1の作製]
ε-カプロラクトンの開環重合体である数平均分子量1250のポリカプロラクトンジオール50部、数平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール(以下「PTG」)50部、ネオペンチルグリコール19部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)99部及び酢酸エチル54.5部からなる混合物を、窒素気流下80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を得た。次いで、イソホロンジアミン(以下「IPDA」)17.5部、ジブチルアミン(以下「DBA」)2.6部、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン(以下「AEA」)10.2部、酢酸エチル303.3部及びイソプロパノールからなる混合物に、上記で得られた末端イソシアネートプレポリマー溶液を40℃で徐々に添加し、さらに80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価7mgKOH/g、水酸基価22mgKOH/g、重量平均分子量40000のウレタン樹脂PU1溶液を得た(溶液中の溶剤組成は、酢酸エチル/2-プロパノール(IPA)=60/40(質量比)である)。
【0067】
(合成例4、5)[ウレタン樹脂PU2、3の作製]
表1に記載した原料及び配合比率を使用した以外はウレタン樹脂PU1作成と同様の方法にてウレタン樹脂PU2、3を得た。
【0068】
【表1】
【0069】
(実施例1)[印刷インキS1の製造]
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液19部、アルミニウムペーストA(蒸着アルミニウム:平均粒子径8μm、平均厚み25nm、薄片状、媒体:酢酸n-プロピル、固形分10%)75部、MEK6部を混合し、印刷インキS1を得た。
【0070】
(実施例2~23、比較例1~13)[印刷インキS2~S23、R1~R13の製造]
表2、表3に記載した原料及び配合比率に変更した以外は印刷インキS1の製造と同様の方法にて印刷インキS2~S23、R1~R13を得た。
【0071】
表2、3中の略称は以下を示す。
・アクリル樹脂AC1:アクリット6AN-830D(大成ファインケミカル社製、固形分39.5%、酸価1.0±0.5mgKOH/g、Tg86℃)
・アクリル樹脂AC2:アクリット6AN-6000(大成ファインケミカル社製、固形分44.5%、酸価5.7±0.5mgKOH/g、Tg70℃)
・ポリエステル樹脂:バイロン802(東洋紡績社製、酸価1mgKOH/g未満、Tg60℃)のMEK溶液(固形分30%)
・シリカコート蒸着アルミニウム:EMRS-710(東洋アルミニウム社製、平均粒子径10μm、平均厚み30nm以下、薄片状、媒体:プロピレングリコールモノメチルエーテル、固形分10%)
・アルミニウムペーストB(蒸着アルミニウム:平均粒子径11μm、平均厚み23nm、薄片状、媒体:酢酸n-プロピル、固形分10%)
・アルミニウムペーストC(粉砕法アルミニウム:平均粒子径15μm、平均厚み123nm、薄片状ではない、媒体:酢酸n-プロピル、固形分60%)
・インジウムペースト:リーフパウダー49CJ-1120(尾池工業社製、平均粒子径1μm以下、平均厚み30nm、薄片状、媒体:プロピレングリコールモノメチルエーテル、固形分20%)
【0072】
<印刷物の作製>
上記で得られた印刷インキS1~S23、R1~R13をメチルエチルケトン(MEK)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈し、スタイラス角度140度、スクリーン線数250線/インチのグラビア版(ファイン)により、厚さ75μmのアクリルフィルム(カネカ社製、サンデュレン)に印刷速度120m/分で印刷し、印刷物を得た。
【0073】
上記で得られた印刷物を用いて、下記の評価を行った。結果を表2、3に示す。
【0074】
<性能評価>
上記実施例及び比較例で得られたインキの印刷物を用いて以下の評価を行った。光輝性を評価する指標として、写像性と拡散度を測定した。
【0075】
<写像性>
上記実施例及び比較例で作製した印刷物の基材側より、キヤノン社製表面反射アナライザーRA―532Hを用いて、写像性を測定し、5段階別にランク付けした。
5:40%以上
4:30%以上40%未満
3:20%以上30%未満
2:10%以上20%未満
1:10%未満
実用上使用可能な評価は3以上である。
【0076】
<拡散度>
上記実施例及び比較例で作製した印刷物の基材側より、キヤノン社製表面反射アナライザーRA―532Hを用いて、拡散度を測定した。
5:5未満
4:5以上10未満
3:10以上15未満
2:15以上20未満
1:20以上
実用上使用可能な評価は3以上である。
【0077】
<耐アルカリ性>
1%水酸化ナトリウム水溶液を数滴、上記実施例及び比較例で作製した印刷物の表面に滴下し、乾燥しないように囲った状態で6時間静置後、印刷物表面の状態を観察した。
3:印刷表面が全く変化しない
2:印刷表面が少し浸食されている
1:印刷表面が大きく浸食されている
実用上使用可能な評価は2以上である。
【0078】
【表2】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
以上の結果より、本発明の光輝性グラビアインキを用いることで、光輝性に優れた光輝性グラビアインキ及び印刷物を提供するという課題を達成できることが判った。これに対して比較例では、写像性、拡散度の少なくともいずれかが、評価基準を満たさない結果となった。
また、薄片状光輝性顔料としてシリカコートアルミニウム顔料を用いたところ、耐アルカリ性が非常に良好となった。
【要約】
【課題】光輝性に優れた光輝性グラビアインキ、印刷物及び積層体を提供すること。
【解決手段】
バインダー樹脂、薄片状光輝性顔料及び有機溶剤を含有する光輝性グラビアインキであって、前記バインダー樹脂の酸価が、1.5mgKOH/g以下であり、前記薄片状光輝性顔料の平均粒子径が、10μm以下、かつ、平均厚みが、30nm以下であり、前記光輝性顔料の含有率が、前記バインダー樹脂の固形分全質量に対して30~400質量%である、光輝性グラビアインキ。
【選択図】なし