IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエヌエスエフ レイルウェイ カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-鉄道仮想軌道ブロックシステム 図1
  • 特許-鉄道仮想軌道ブロックシステム 図2
  • 特許-鉄道仮想軌道ブロックシステム 図3
  • 特許-鉄道仮想軌道ブロックシステム 図4
  • 特許-鉄道仮想軌道ブロックシステム 図5
  • 特許-鉄道仮想軌道ブロックシステム 図6
  • 特許-鉄道仮想軌道ブロックシステム 図7
  • 特許-鉄道仮想軌道ブロックシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】鉄道仮想軌道ブロックシステム
(51)【国際特許分類】
   B61L 1/18 20060101AFI20230815BHJP
【FI】
B61L1/18 H
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022166791
(22)【出願日】2022-10-18
(62)【分割の表示】P 2019560251の分割
【原出願日】2018-04-30
(65)【公開番号】P2022188282
(43)【公開日】2022-12-20
【審査請求日】2022-10-18
(31)【優先権主張番号】62/502,224
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/965,680
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505220284
【氏名又は名称】ビーエヌエスエフ レイルウェイ カンパニー
【住所又は居所原語表記】2500 Lou Menk Drive, Fort Worth, Texas 76131 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェリー ウェイド スペクト
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ イー. ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ケント ロバート シュー
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル ウェイン ビアード
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-001054(JP,A)
【文献】特開平05-032166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機関車内で制動距離を維持するための鉄道軌道制御システムであって、前記鉄道軌道制御システムは、
複数の制御システムであって、各々は、対応する物理的軌道ブロックの対応する端部に配置されている、複数の制御システム
を備え、
各制御システムは
前記対応する物理的軌道ブロック内の列車の存在を検出することと、
前記対応する物理的軌道ブロック内の複数の仮想軌道ブロックのうちの少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の占有を決定することと、
前記対応する物理的軌道ブロック内の前記少なくとも1つの仮想軌道ブロックの前記占有を識別する仮想軌道ブロック位置(VBP)メッセージを前記機関車に伝送することであって、前記VBPメッセージは、前記対応する物理的軌道ブロック内の個々の仮想軌道ブロックの各々の占有ステータスに基づいた前記対応する物理的軌道ブロックの全体の占有ステータスを示す、こと
を行うように動作可能である、鉄道軌道制御システム。
【請求項2】
前記仮想軌道ブロック位置(VBP)メッセージは、TC-AおよびTC-B信号から決定される占有データを表す、請求項1に記載の鉄道軌道制御システム。
【請求項3】
各制御システムは、前記対応する物理的軌道ブロックの対向する端部に配置された前記制御システムのうちの別のものによって伝送された軌道信号の中断を検出することによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の前記列車の前記存在を検出するように動作可能である、請求項1に記載の鉄道軌道制御システム。
【請求項4】
前記軌道信号は、軌道コードを含む、請求項3に記載の鉄道軌道制御システム。
【請求項5】
各制御システムは、前記対応する物理的軌道ブロックに沿って軌道信号を伝送し、前記列車の車輪から戻って来る前記軌道信号を受信することによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の前記少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の前記占有を決定するように動作可能である、請求項1に記載の鉄道軌道制御システム。
【請求項6】
各制御システムは、前記少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の前記占有を識別する前記VBPメッセージを無線で伝送するように動作可能である、請求項1に記載の鉄道軌道制御システム。
【請求項7】
各制御システムは、前記列車の前記占有を識別するコードを伝送するように動作可能であり、前記コードは、前記対応する物理的軌道ブロック内の複数の仮想軌道ブロックのうちの1つに対応する少なくとも1ビットを有する、請求項1に記載の鉄道軌道制御システム。
【請求項8】
TC-B信号の伝送は、物理的軌道ブロック内の占有の程度を決定する、請求項1に記載の鉄道軌道制御システム。
【請求項9】
TC-B信号は、別個の構成要素を伴う送受信機の対を使用して、伝送されたエネルギーの反射として実装される、請求項1に記載の鉄道軌道制御システム。
【請求項10】
機関車内で制動距離を維持するための鉄道軌道制御の方法であって、前記方法は、
対応する物理的軌道ブロックの対応する端部に配置されている制御システムによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の列車の存在を検出することと、
前記制御システムによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の複数の仮想軌道ブロックのうちの少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の占有を決定することと、
前記制御システムによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の前記少なくとも1つの仮想軌道ブロックの前記占有を識別する仮想軌道ブロック位置(VBP)メッセージを前記機関車に伝送することであって、前記VBPメッセージは、前記対応する物理的軌道ブロック内の個々の仮想軌道ブロックの各々の占有ステータスに基づいた前記対応する物理的軌道ブロックの全体の占有ステータスを示す、こと
を含む、方法。
【請求項11】
前記仮想軌道ブロック位置(VBP)メッセージは、TC-AおよびTC-B信号から決定される占有データを表す、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各制御システムは、前記対応する物理的軌道ブロックの対向する端部に配置された前記制御システムのうちの別のものによって伝送された軌道信号の中断を検出することによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の前記列車の前記存在を検出するように動作可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記軌道信号は、軌道コードを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各制御システムは、前記対応する物理的軌道ブロックに沿って軌道信号を伝送し、前記列車の車輪から戻って来る前記軌道信号を受信することによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の前記少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の前記占有を決定するように動作可能である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
各制御システムは、前記少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の前記占有を識別する前記VBPメッセージを無線で伝送するように動作可能である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
各制御システムは、前記列車の前記占有を識別するコードを伝送するように動作可能であり、前記コードは、前記対応する物理的軌道ブロック内の複数の仮想軌道ブロックのうちの1つに対応する少なくとも1ビットを有する、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、鉄道シグナリングシステムに関し、具体的には、鉄道仮想軌道ブロックシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブロックシグナリングは、列車間の間隔を維持し、それによって、衝突を回避するために鉄道事業において使用される周知の技法である。概して、鉄道線路が、軌道ブロックに分割され、自動信号機(典型的には、赤色、黄色、および緑色灯)が、ブロック間の列車移動を制御するために使用される。単一方向の軌道に対して、ブロックシグナリングは、列車が、追突の最小リスクを伴って互いに続くことを可能にする。
【0003】
しかしながら、従来のブロックシグナリングシステムは、少なくとも2つの重要な不利益を被る。第1に、軌道の能力は、追加の信号および関連付けられる制御機器等の追加の軌道インフラストラクチャなしに増されることができない。第2に、従来のブロックシグナリングシステムは、占有されていないブロック内の破損したレールを識別することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の原理は、有利には、鉄道によって使用される既存の軌道インフラストラクチャの能力を向上させる、仮想「高密度」ブロックシステム内に具現化される。概して、現在の物理的軌道ブロック構造を複数(例えば、4つ)のセグメント、すなわち、「仮想軌道ブロック」に分割することによって、列車のブロック間隔が、列車の制動能力を正確に反映するように低減させられる。特に、列車間隔は、その物理的軌道ブロック内の仮想軌道ブロックに対する列車位置を識別することによって、物理的軌道ブロック内に維持される。とりわけ、この原理は、列車制動距離が沿線信号機側面を通す代わりに機関車内で維持されるため、沿線信号機の必要性を緩和させる。加えて、物理的軌道ブロックを複数の仮想軌道ブロックに分割することによって、破損したレールが、占有物理的軌道ブロック内で検出されることができる。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
鉄道軌道制御の方法であって、前記方法は、
物理的軌道ブロックを複数の仮想軌道ブロックに分割することであって、前記物理的軌道ブロックは、第1および第2の絶縁されたジョイントによって画定され、前記第1および第2の絶縁されたジョイントは、ある長さの鉄道軌道の対応する第1および第2の端部に配置されている、ことと、
前記複数の仮想軌道ブロックのうちの1つにおける電気回路不連続の位置を検出することと、
前記複数の仮想軌道ブロックのうちの前記1つにおける前記電気回路不連続の存在を検出することに応答して、対応する仮想軌道ブロック位置コードを生成することと
を含み、
前記仮想軌道ブロック位置コードは、前記複数の仮想軌道ブロックのうちの前記1つにおける前記電気回路不連続の位置を示す、方法。
(項目2)
前記電気回路不連続は、前記仮想軌道ブロックのうちの前記1つ内の破損した軌道を示す開回路である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記電気回路不連続は、前記複数の仮想軌道ブロックのうちの前記1つ内の列車の車輪によって引き起こされる短絡である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記複数の仮想軌道ブロックのうちの1つにおける前記電気回路不連続の存在を検出することは、
前記物理的軌道ブロックの前記第1の端部から前記物理的軌道ブロックの前記第2の端部に伝送される第1のコードにおける中断を検出することと、
前記物理的軌道ブロックの前記第1および第2の端部のうちの少なくとも一方から、第2のコードを伝送することと、
前記電気回路不連続から戻って来る前記第2のコードを受信し、前記複数の仮想軌道ブロックのうちの1つ内の前記電気回路不連続の前記位置を決定することと
を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記第1のコードは、第1の電気信号によって搬送され、前記第2のコードは、第2の電気信号によって搬送される、項目4に記載の方法。
(項目6)
鉄道軌道制御システムであって、前記鉄道軌道制御システムは、各々が対応する物理的軌道ブロックの対応する端部に配置された複数の制御システムを備え、
各制御システムは、
前記対応する物理的軌道ブロック内の列車の存在を検出することと、
前記対応する物理的軌道ブロック内の少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の位置を決定することと、
前記対応する物理的軌道ブロック内の前記少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の前記位置を識別するコードを伝送することと
を行うように動作可能である、鉄道軌道制御システム。
(項目7)
各制御システムは、前記対応する物理的軌道ブロックの対向する端部に配置された前記制御システムのうちの別のものによって伝送された軌道信号の中断を検出することによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の前記列車の存在を検出するように動作可能である、項目6に記載の鉄道軌道制御システム。
(項目8)
前記軌道信号は、軌道コードを含む、項目7に記載の鉄道軌道制御システム。
(項目9)
各制御システムは、前記対応する物理的軌道ブロックに沿って軌道信号を伝送し、前記列車の車輪から戻って来る前記軌道信号を受信することによって、前記対応する物理的軌道ブロック内の前記少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の前記位置を決定するように動作可能である、項目6に記載の鉄道軌道制御システム。
(項目10)
各制御システムは、前記少なくとも1つの仮想軌道ブロック内の前記列車の前記位置を識別する前記コードを無線で伝送するように動作可能である、項目6に記載の鉄道軌道制御システム。
(項目11)
各制御システムは、前記列車の前記位置を識別するコードを伝送するように動作可能であり、前記コードは、前記対応する物理的軌道ブロック内の複数の仮想軌道ブロックのうちの1つに対応する少なくとも1ビットを有する、項目6に記載の鉄道軌道制御システム。
(項目12)
鉄道軌道を制御する方法であって、前記方法は、
複数の物理的軌道ブロックの各々を複数の仮想軌道ブロックに分割することと、
物理的軌道ブロック内の列車の存在を検出することと、
物理的軌道ブロック内の列車の存在を検出することに応答して、前記列車が存在する前記物理的軌道ブロック内の仮想軌道ブロックを決定することと、
前記列車が存在する前記仮想軌道ブロックを識別するコードを伝送することと
を含む、方法。
(項目13)
前記物理的軌道ブロック内の前記列車の存在を検出することは、前記物理的軌道ブロックを通して伝送される軌道信号の状態における変化を検出することを含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記列車が存在する前記物理的軌道ブロック内の前記仮想軌道ブロックを決定することは、前記物理的軌道ブロックの第1および第2の端部の少なくとも一方から信号を伝送することと、前記列車の車輪からの前記信号の戻りを受信することとを含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記物理的軌道ブロックの前記第1および第2の端部の少なくとも一方から前記信号を伝送することは、コードを伝送することを含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記列車が存在する前記物理的軌道ブロック内の前記仮想軌道ブロックを決定することは、前記物理的軌道ブロックの前記第1および第2の端部の各々から信号を伝送することと、前記列車の前方および後方の車輪から対応する戻りの信号を受信することとを含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記列車が存在する前記仮想軌道ブロックを識別する前記コードを伝送することは、前記物理的軌道ブロック内の前記複数の仮想軌道ブロックの各々に対応する少なくとも1ビットを含むコードを伝送することを含む、項目12に記載の方法。
(項目18)
前記列車が存在する前記仮想軌道ブロックを識別する前記コードを伝送することは、前記コードを無線で伝送することを含む、項目12に記載の方法。
(項目19)
物理的軌道ブロック内の前記列車の存在を検出することは、第1および第2の物理的軌道ブロック内の前記列車の存在を検出することを含み、前記方法は、
前記第1および第2の物理的軌道ブロック内の前記列車の存在を検出することに応答して、前記列車が存在する前記第1および第2の物理的軌道ブロックの各々内の仮想軌道ブロックを決定することと、
前記列車が存在する前記第1および第2の物理的軌道ブロック内の前記仮想軌道ブロックを識別するコードを伝送することと
をさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目20)
前記第1および第2の物理的軌道ブロックは、絶縁されたジョイントによって分離された隣接した物理的軌道ブロックであり、前記列車が存在する前記第1および第2の物理的軌道ブロックの各々内の仮想軌道ブロックを決定することは、単一の制御システムから前記第1および第2の隣接した物理的軌道ブロックの各々に信号を伝送することを含む、項目19に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明およびその利点のより完全な理解のために、ここで、以下の説明が、添付図面と併せて参照される。
【0006】
図1図1は、関連付けられる信号(制御)局とともに、各物理的軌道ブロックが本発明の原理に従って選択された数の仮想軌道ブロックに分割されている代表的な数の非占有物理的鉄道軌道ブロックを示す略図である。
【0007】
図2図2は、列車が最右信号局に接近している図1のシステムを示す略図である。
【0008】
図3図3は、列車が、最右信号局と中心の信号局との間の最右仮想軌道ブロックに進入している図1のシステムを示す略図である。
【0009】
図4図4は、列車が、最右信号局と中心の信号局との間の仮想軌道ブロック内に位置付けられている図1のシステムを示す略図である。
【0010】
図5図5は、列車が、中心の信号局と最左信号局との間の最右仮想軌道ブロックに進入している図1のシステムを示す略図である。
【0011】
図6図6は、列車が中心の信号局と最左信号局との間の仮想軌道ブロック内に位置付けられ、第2の続く列車が最右信号局に接近している図1のシステムを示す略図である。
【0012】
図7図7は、第1の列車が中心の信号局と最左信号局との間の物理的軌道ブロックから外に移動し、第2の列車が中心の信号局と最右信号局との間の物理的軌道ブロックに進入している図1のシステムを示す略図である。
【0013】
図8図8は、描写される信号局のうちの少なくとも1つの近傍の任意の機関車内における対応するメッセージコードの処理とともに、図7のシナリオを示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の原理およびそれらの利点は、同様の番号が同様の部分を示す図面の図1-8に描写される図示される実施形態を参照することによって、最も深く理解される。
【0015】
本発明の原理による、列車検出の2つの方法が、開示される。1つの方法は、占有されていないブロックにおけるレール完全性を決定する。第2の方法は、レール完全性に加えて、占有ブロック内の列車位置を決定する。以下の議論は、3つの異なる例示的状況のもとでのこれらの方法を説明する:(1)物理的軌道ブロック内で休止している(列車がない)システム、(2)物理的軌道ブロック内に単一の列車を伴う動作、および、(3)物理的軌道ブロック内に複数の列車を伴う動作。この議論では、軌道コードA(TC-A)は、鉄道によって一般的に使用される利用可能なオープンソースのエレクトロコードであり、対応する物理的軌道ブロックのレールのうちの少なくとも1つを介して伝送される信号によって搬送される。軌道コードB(TC-B)は、本願の原理に特有であり、占有物理的軌道ブロック内の1つ以上の仮想軌道ブロック内の列車位置の検出を提供し、好ましくは、対応する物理的軌道ブロックのレールのうちの少なくとも1つを介して伝送される信号によって搬送される。TC-AおよびTC-Bは、同一または異なる電気信号によって搬送され得る。好ましくは、TC-AまたはTC-Bのいずれかが、連続的に伝送される。概して、TC-Aは、コード化されたメッセージを第2の場所に送信する第1の場所に依存し、逆も、同様である(すなわち、1つの場所が、レールを介して情報を交換している)。他方、TC-Bは、別個および別々の構成要素を伴う送受信機の対を使用して伝送されたエネルギーの反射として実装される。TC-Bを用いて、システムは、列車の車軸を通したエネルギーの反射を監視する。
【0016】
仮想軌道ブロック位置(VBP)メッセージは、TC-AおよびTC-B信号から決定される占有データを表し、好ましくは、無線通信リンクを介して、近傍の機関車内のコンピュータに伝送される。以下の議論は、好ましい実施形態を例証するが、本発明の原理の全ての実施形態を示すものではない。TC-Aは、好ましくは、伝送機/受信機の対によって実装され、各対の伝送機および受信機は、異なる場所に位置する。TC-Bは、伝送機/受信機の対を用いて実装され、好ましくは、各対の伝送機および受信機は、同一の場所に位置する。伝送機からのエネルギーのシグネチャは、絶縁されたジョイントから列車の最近傍車軸までの距離に比例する。
【0017】
図1-8に描写される軌道の区分は、物理的軌道ブロック101a-101dを表し、物理的軌道ブロック101aおよび101dは、部分的に示され、物理的軌道ブロック101bおよび101cは、全体的に示されている。物理的軌道ブロック101a-101dは、従来の絶縁されたジョイント102a-102cによって分離される。信号制御局103a-103cが、絶縁されたジョイント102a-102cに関連付けられる。各信号局103は、好ましくは、さらに下で議論されるように、対応する絶縁されたジョイント102の両側の軌道に対して伝送する。
【0018】
図1-8に提供される凡例に示されるように、実線矢印が、TC-B信号を使用する列車による軌道占有の間の軌道コード伝送を表す。破線矢印が、非占有軌道がTC-A信号を使用する間の軌道コード伝送を表す。
【0019】
本発明に従って、各物理的軌道ブロック101a-101dが、複数の仮想軌道ブロック、すなわち、「仮想軌道ブロック」に分割される。図示される実施形態では、これらの仮想軌道ブロックの各々は、各物理的軌道ブロック101a-101dの4分の1(25%)を表すが、代替実施形態では、1物理的軌道ブロックあたりの仮想軌道ブロックの数は、変動し得る。図1-8では、局#1(103a)が、仮想軌道ブロックA-Hに関連付けられ、局#2(103b)が、仮想軌道ブロックA-Hに関連付けられ、局#3(103c)が、仮想軌道ブロックA-Hに関連付けられる。言い換えると、図示される実施形態では、各局103が、対応する絶縁されたジョイント102の左の4つの仮想軌道ブロック(すなわち、仮想軌道ブロックA-D)、および対応する絶縁されたジョイント102の右の4つの仮想軌道ブロック(すなわち、仮想軌道ブロックE-H)に関連付けられる。この構成では、仮想軌道ブロックは、重複する(例えば、局#1に関連付けられた仮想軌道ブロックE-Hが、局#2に関連付けられた仮想軌道ブロックA-Dと重複する)。
【0020】
図1は、近傍に列車を伴わない軌道区分を描写する。この時点において、TC-Aが、局#1(103a)から伝送され、局#2(103b)によって受信され、逆も、同様である。同じことが、局#2(103b)および局#3(103c)にも当てはまる。3つの場所の全ては、それぞれ、対応する仮想軌道ブロックA-H(i=1,2,または3)内の占有されていない軌道に相当する11111111のVBPメッセージを生成し、伝送する。表1は、図1に示されるシナリオのための種々のコードを分類する。
【表1】
【0021】
図2は、1台の列車104が右から進入している同じ軌道区分を描写する。この時点において、TC-Aが、局#1(103a)と局#2(103b)との間で伝送され、局#1および#2は、それぞれ、仮想軌道ブロックA-HおよびA-Hのための11111111のVBPメッセージを生成し、伝送する。同じことが、局#2(103b)から局#3(103c)にも当てはまる。しかしながら、局#3(103c)への右アプローチは、物理的軌道ブロック101d内の列車による短絡に起因して、その右(図示せず)への次の局からのTC-Aをもはや受信しておらず、したがって、局#3は、右へのTC-Aの伝送を終了する。局#3(103c)は、次いで、仮想軌道ブロック占有として伝達された物理的軌道ブロック101d(すなわち、列車が位置付けられる単一または複数の仮想軌道ブロック)内の占有の程度を決定するために、TC-Bを右に伝送し始める。この場合、局#3(103c)は、列車が、物理的軌道ブロック101dの仮想軌道ブロックF-H内にあると決定し、したがって、その左側への物理的軌道ブロック101cの仮想軌道ブロックA-Dのための1111(非占有)と、その右への物理的軌道ブロック101dの仮想軌道ブロックEのための1(非占有)と、その右への物理的軌道ブロック101dの仮想軌道ブロックF-Hのための000(占有)とのVBPメッセージを生成する。表2は、図2に示されるシナリオのためのコードを分類する。
【表2】
【0022】
図3は、列車が、ここで、局#2(103b)と局#3(103c)との間の物理的軌道ブロック101cに進入しながら、依然として、局#3(103c)の右の物理的軌道ブロック101dを占有している、同じ軌道区分を描写する。この時点において、TC-Aは、局#1(103a)と局#2(103b)との間で伝送され続け、局#1(103a)は、仮想軌道ブロックA-Hのための11111111のVBPメッセージを生成し、局#2は、仮想軌道ブロックA-Gのための1111111のVBPメッセージを生成する。しかしながら、局#2(103b)の右アプローチは、物理的軌道ブロック101c内の列車による短絡に起因して、局#3(103c)からTC-Aをもはや受信しておらず、したがって、局#2は、右へのTC-Aの伝送を終了する。局#2は、代わりに、物理的軌道ブロック101c内の占有される仮想軌道ブロックの程度を決定するために、TC-Bを右に伝送し始める。
【0023】
特に、列車は、物理的軌道ブロック101cの仮想軌道ブロックHに進入しており、局#2(103b)は、故に、そのVBPメッセージ内に、仮想軌道ブロックHのための0を生成する。局#3(103c)は、ここで、絶縁されたジョイント102cの両側が最近傍仮想軌道ブロック内で短絡されることに起因して、仮想軌道ブロックA-Hのための00000000のVBPメッセージを生成し、伝送する。表3は、図3のシナリオのためのコードを分類する。
【表3】
【0024】
図4は、列車が、ここで、局#2(103b)と局#3(103c)との間にある、同じ軌道区分を描写する。この時点において、TC-Aは、局#1(103a)と局#2(103b)との間で伝送され続け、局#1は、仮想軌道ブロックA-Hのための11111111のVBPメッセージを生成し、局#2は、仮想軌道ブロックA-Dのための11111のVBPメッセージを生成する。局#2(103b)の右アプローチは、依然として、局#3(103c)からTC-Aを受信しておらず、したがって、局#2は、物理的軌道ブロック101c内の列車の仮想軌道ブロック位置を検出するために、TC-Bを右に転送し続ける。列車が仮想軌道ブロックF-H内に位置付けられる場合、局#2(103b)は、仮想軌道ブロックA-Eのための11111と、仮想軌道ブロックF-Hのための000とのVBPメッセージを生成し、伝送する。
【0025】
局#3(103c)は、物理的軌道ブロック101dがもはや占有されていないので、TC-Bを左に、TC-Aを右に伝送する。具体的には、列車が仮想軌道ブロックB-D内に位置付けられる場合、局#3(103c)は、仮想軌道ブロックA-Dのための0000と、仮想軌道ブロックE-Hのための1111とのVBPメッセージを生成する。表4は、図4のシナリオのためのコードを分類する。
【表4】
【0026】
図5は、列車が、ここで、局#1(103a)と局#2(103b)との間の物理的軌道ブロック101b内にあり、局#2(103b)と局#3(103c)との間の物理的軌道ブロック101c内にある同じ軌道区分を描写する。局#1は、列車位置が仮想軌道ブロックH内にあることを決定し、局#3は、列車位置が仮想軌道ブロックA-B内にあることを決定する、局#1および局#3の両方は、TC-Bシグナリングを使用し、列車の仮想軌道ブロック位置を決定する。列車が仮想軌道ブロックH内にある場合、局#1(103a)は、仮想軌道ブロックA-Gのための1111111と、仮想軌道ブロックHのための0とから成るVBPメッセージを生成する。局#2(103b)は、絶縁されたジョイント102bの両側が最近傍仮想軌道ブロック内で短絡されることに起因して、仮想軌道ブロックA-Hのための00000000のVBPメッセージを生成する。
【0027】
局#3(103c)の左アプローチは、依然として、局#2(103b)からTC-Aを受信しておらず、この場合、仮想軌道ブロックA-Bである物理的軌道ブロック101c内の列車の仮想軌道ブロック位置を決定するために、TC-Bを左に伝送し続ける。局#3(103c)は、右への物理的軌道ブロック101dがその右(図示せず)への局からのTC-Aをもはや受信していないので、同様に、TC-Bを右に伝送する。これは、第2の列車が右から局#3(103c)に接近していることを示す。局#3(103c)は、故に、仮想軌道ブロックA-Bのための00と、仮想軌道ブロックC-Gのための11111と、仮想軌道ブロックHのための0とのVBPメッセージを生成する。表5は、図5のシナリオのためのコードを分類する。
【表5】
【0028】
図6は、第1の列車が局#1(103a)と局#2(103b)との間にあり、第2の列車が局#3(103c)への右アプローチにある同じ軌道区分を描写する。組み合わせられる局#1および局#2の両方が、TC-Bシグナリングを使用し、第1の列車に関する列車の仮想軌道ブロック位置が、仮想軌道ブロックB-D内にあることを決定する。したがって、局#1(103a)は、仮想軌道ブロックA-Eのための11111と、仮想軌道ブロックF-Hのための000とから成るVBPメッセージを生成する。局#2(103b)は、仮想軌道ブロックAのための0000と、仮想軌道ブロックE-Hのための1111とのVBPメッセージを生成する。
【0029】
局#2(103b)の右アプローチおよび局#3(103c)の左アプローチが、ここで、TC-A信号を伝送し、受信している。局#3(103c)は、TC-Bを右に伝送し続け、物理的軌道ブロック101dの仮想軌道ブロックF-H内の第2の列車を検出する。したがって、局#3(103c)は、仮想軌道ブロックA-Eのための11111と、仮想軌道ブロックF-Hのための000とのVBPメッセージを生成する。表6は、図6のシナリオのためのコードを分類する。
【表6】
【0030】
図7は、第1の列車が、ここで、局#1(103a)の左(図示せず)の局と局#1との間の物理的軌道ブロック101a内にあり、局#1(103a)と局#2(103b)との間の物理的軌道ブロック101b内にもある同じ軌道区分を描写する。局#1(103a)は、TC-Bシグナリングを使用して、第1の列車の存在を検出し、絶縁されたジョイント102aの両側が最近傍仮想軌道ブロック内で短絡されることに起因して、仮想軌道ブロックA-Hのための00000000から成るVBPメッセージを生成し、伝送する。局#2(103b)の左アプローチは、依然として、第1の列車による短絡に起因して、局#1(103a)からTC-Aを受信しておらず、したがって、局#2は、TC-Bを左に伝送し続ける。局#2(103b)は、ここで、右への物理的軌道ブロック101cが、第2の列車による短絡に起因して、局#3(103c)からTC-Aをもはや受信していないので、同様に、TC-Bを右に伝送する。
【0031】
具体的には、TC-Bシグナリングから、局#2は、仮想軌道ブロックA-B内にある第1の列車と、占有されていないものとしての仮想軌道ブロックC-Gと、仮想軌道ブロックH内の第2の列車とを検出する。したがって、局#2(103b)は、仮想軌道ブロックA-Bのための00と、仮想軌道ブロックC-Gのための11111と、仮想軌道ブロックHのための0とのVBPメッセージを生成し、伝送する。第2の列車が、ここで、局#2(103b)と局#3(103c)との間の物理的軌道ブロック101c内にあり、局#3(103c)と局#3(103c)の右(図示せず)の局との間の物理的軌道ブロック101d内にもある。この場合、局#3(103c)は、絶縁されたジョイント102cの両側が、最近傍仮想軌道ブロック内で短絡されることに起因して、仮想軌道ブロックA-Hのための00000000のVBPメッセージを生成する。表7は、図7のシナリオのためのコードを分類する。
【表7】
【0032】
図8は、複数の沿線占有指示を1つの一般的な列車占有の図に組み合わせることを描写する。図示される実施形態では、各局の左の4つの仮想軌道ブロックは、隣接する局の右の4つの仮想軌道ブロックに重複する。同じことが、それぞれ、各局の右側にも当てはまる。沿線データが、図8に示されるように整列させられ、論理「または」が適用される場合、列車占有は、最近傍占有仮想軌道ブロックに対して決定されることができる。言い換えると、VBPコードを受信する近傍にあるいかなる列車も、シグナリングの側面の必要性なく、近傍にある任意の他の列車の位置を決定することができる。表8は、図8のシナリオのためのコードを分類する。
【表8】
【0033】
本発明の原理に従って、仮想軌道ブロックが占有されているかまたは占有されていないかを決定することが、いくつかの技法のうちのいずれか1つを使用して実装されることができる。好ましくは、既存の中核論理コントローラおよび軌道インフラストラクチャが、使用され、システムは、仮想軌道ブロックが占有されていない場合を決定すると、既存のエレクトロコード機器とインターフェースをとる。
【0034】
図示される実施形態では、システムは、標準的な物理的軌道ブロックの25%の増分である仮想軌道ブロックを区別するが、代替実施形態では、物理的軌道ブロックは、より短いまたはより長い仮想軌道ブロックに分割され得る。加えて、図示される実施形態では、列車下の破損したレールの事象では、中核論理コントローラが、最近傍仮想軌道ブロック(物理的軌道ブロックの25%の増分)に、破損したレールを記録し、その警報を設定し、その場所を示す。
【0035】
好ましくは、システムは、列車の前方(前)および後方(後)車軸の両方を検出し、接近ならびに前進における軌道占有を検出し、実証するための能力を有する。この原理は、列車位置を決定するための任意の特定のハードウェアシステムまたは方法によって制約されず、いくつかの公知の方法のいずれか1つが、従来のハードウェアとともに、使用されることができる。
【0036】
例えば、車輪位置が、物理的軌道ブロックの一端から物理的軌道ブロックの他端に向かって伝送され、列車の車輪によって短絡される電流を使用して検出され得る。列車の前方から提供される電流が、前方車輪を検出し、列車の後方から提供される電流が、後方車輪を検出する場合、概して、軌道のインピーダンスが既知であるので、絶縁されたジョイントから伝送される電流は、ブロックに沿った短絡の位置に比例するであろう。列車位置が分かると、個々の仮想軌道ブロックの占有も、分かる。DCまたはAC電流のいずれかが、使用され、仮想軌道ブロックの占有の有無を検出することができるが、ACオーバーレイが利用される場合、AC電流は、好ましくは、60Hz未満であり、軌道回路が占有されるまで、オフのままである。
【0037】
加えて、列車位置が、運動センサ等の従来の鉄道/高速道路グレードの交差点警報システムハードウェアを使用して検出されることができる。そのうえ、全地球測位システム(GPS)追跡、無線周波数検出等の非軌道関連技法も、列車位置を決定するために使用され得る。
【0038】
図示される実施形態では、最大の短絡感度は、0.06オームであり、通信フォーマットは、相互運用可能な列車制御(ITC)メッセージングに基づき、軌道回路健全性の監視は、0~100%および100~0%の平滑な遷移に基づく。
【0039】
好ましい実施形態では、電力消費要件は、既存の沿線インターフェースユニット(WIU)仕様に準拠する。ロギング要件は、占有率、占有を決定する方法、特定の時間における方向、メッセージ伝送内容およびタイミング、較正時間ならびに結果、破損したレールの決定、エラーコード等を含む。
【0040】
上で説明される実施形態は、固定された(すなわち、移動していない)軌道回路の12,000フィートの最大長さに基づくが、軌道回路の最大長さは、代替実施形態では、変動し得る。上で説明されるビット説明は、占有されていない仮想軌道ブロックのために1であり、占有されている仮想軌道ブロックのために0であるが、代替実施形態では、逆の論理も、使用され得る。
【0041】
軌道位置を測定し、TC-Bを生成するための1つの技法は、物理的軌道ブロックの一端から物理的軌道ブロックの他端に向かって伝送され、列車の車輪によって短絡される電流に基づく。概して、軌道のインピーダンスが既知であるので、絶縁されたジョイントから伝送される電流は、ブロックに沿った短絡の位置に比例するであろう。列車位置が分かると、個々の仮想軌道ブロックの占有も、分かる。
【0042】
本発明は、具体的な実施形態を参照して説明されているが、これらの説明は、限定する意味で解釈される意図はない。開示される実施形態の種々の修正ならびに本発明の代替実施形態が、本発明の説明を参照すると当業者に明白となるであろう。概念および開示される具体的な実施形態が、本発明の同一の目的を実行するために他の構造を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。そのような同等な構成が、添付の請求項で述べられるように、本発明の精神および範囲から逸脱しないことも、当業者によって理解されるべきである。
【0043】
したがって、本請求項が、本発明の真の範囲に該当する任意のそのような修正または実施形態を網羅するであろうことが考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8