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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】圧縮機構成及び圧縮機を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/16 20060101AFI20230815BHJP
   F02C 7/27 20060101ALI20230815BHJP
   F02C 7/224 20060101ALI20230815BHJP
   F02C 6/16 20060101ALI20230815BHJP
   F02C 9/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F04D25/16
F02C7/27
F02C7/224
F02C6/16
F02C9/00 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022505562
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-05
(86)【国際出願番号】 EP2020025338
(87)【国際公開番号】W WO2021018412
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】102019000013155
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チプリアーニ、セルジョ
(72)【発明者】
【氏名】フィウミチェリ、カティウシア
(72)【発明者】
【氏名】パンパローニ、ジャコモ
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0006411(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0068230(US,A1)
【文献】国際公開第2010/074725(WO,A2)
【文献】特開平09-060734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/16
F02C 7/27
F02C 7/224
F02C 6/16
F02C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構成(1)であって、
入口(101)及び主出口(106)を有する少なくとも1つの主圧縮機(100)と、
加的な入口(151)及び追加的な出口(156)を有する追加的な圧縮機(150)と、
記主入口(101)にプロセスガスを供給し、前記主出口(106)からプロセスガスを回収するように配置された配管システム(110)と、
圧されたガスを排出する1つ以上の構成要素(125、127、132、135)であって、各構成要素が、前記減圧されたガスを回収するように配置された回収器(126、128、133、136)を有する、1つ以上の構成要素(125、127、132、135)と、を備え、
前記追加的な入口(151)が、1つ以上の前記回収器(126、128、133、136)と流体結合されて、前記回収器(126、128、133、136)のうちの1つ以上から減圧されたガスを受容するように配置され、前記追加的な入口(151)が、前記配管システム(110)と流体結合され、前記主圧縮機(100)のシャットダウン後に前記配管システム(110)からプロセスガスを抽出するように配置される、圧縮機構成(1)。
【請求項2】
前記構成要素の1つが、ガス入口及びガス出口を有するメカニカルシール(125)であり、前記メカニカルシールが、前記ガス入口において流出したプロセスガスを回収し、前記ガス出口において減圧されたガスを排出するように配置され、前記ガス入口と前記ガス出口との間のガスの流れが、可動部分の間にバッファを形成し、前記メカニカルシール(125)の前記回収器(126)が、前記ガス出口から減圧されたガスを回収するように配置される、請求項1に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項3】
ッファガスのための少なくとも1つの装着されたフィルタ及び少なくとも1つのスタンバイフィルタを有する、メカニカルシール(125)であるドライガスシールを更に備え、
前記構成要素の1つが、流出したガスによって前記少なくとも1つのスタンバイフィルタを加温するように構成されたスタンバイフィルタ加温システム(127)であり、前記スタンバイフィルタ加温システム(127)の前記回収器(128)が、前記スタンバイフィルタ加温システム(127)から減圧されたガスを回収するように配置される、請求項1に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項4】
記主圧縮機(100)を駆動するように配置されたガスタービン(130)を更に備え、
減圧されたガスを排出する前記構成要素の1つが、前記ガスタービン(130)のための空気式起動装置(135)であり、前記空気式起動装置(135)の前記回収器(136)が、前記ガスタービン(130)の起動中に、前記空気式起動装置(135)から排出された減圧されたガスを回収するように配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項5】
記主圧縮機(100)を駆動するために配置されたガスタービン(130)と、
記ガスタービン(130)と流体結合され、前記ガスタービン(130)に燃料ガスを供給するように配置された燃料ダクト(131)と、を更に備え、
減圧されたガスを排出する前記構成要素の1つが、前記ガスタービン(130)の起動前に前記燃料ダクト(131)内に燃料ガスを循環させるように配置された加熱システム(132)であり、前記加熱システム(132)の前記回収器(133)が、前記燃料ダクト(131)を加熱する間に前記加熱システム(132)によって排出された減圧されたガスを回収するように配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項6】
記回収器(126、128、133、136)のうちの1つ以上及び前記追加的な入口(151)と流体結合された、蓄積容器(140)を更に備え、
前記追加的な圧縮機(150)が、前記蓄積容器(140)からガスをポンプ圧送するように配置されている、請求項1から5のいずれか項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項7】
前記蓄積容器(140)が、3m~500m 容積を有する、請求項6の圧縮機構成(1)。
【請求項8】
記蓄積容器(140)内の圧力を所定の最小値と所定の最大値との間に維持するために、前記追加的な圧縮機(150)をオン/オフするように構成された制御ユニットを更に備え、
前記所定の最大値が、20バール未満である、請求項6又は7に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項9】
前記追加的な圧縮機(150)が、往復圧縮機である、請求項1から8のいずれか項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項10】
前記追加的な圧縮機(150)が、前記配管システム(110)内の圧力を前記配管システム(110)の動作圧力からシャットダウン圧力へと下げるために、前記主圧縮機(100)のシャットダウン中に、前記配管システム(110)からガスを抽出するように構成され、前記シャットダウン圧力が、10バール未満である請求項1から9のいずれか項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項11】
前記追加的な圧縮機(150)が、15分以上20時間以下で構成される時間間隔で、前記配管システム(110)内の圧力を前記動作圧力から前記シャットダウン圧力まで下げるように構成されている、請求項10に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項12】
記追加的な入口(151)を前記配管システム(110)と流体結合させる配管弁(153)と、
記追加的な入口(151)を前記1つ以上の回収器(126、128、133、136)と流体結合させる回収器弁(141)と、を更に備える、請求項1から11のいずれか項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項13】
前記配管システム(110)が、前記主入口(101)と流体結合されたシステム入口(111)と、前記主出口(106)と流体結合されたシステム出口(116)と、を有し、
前記圧縮機構成(1)が、
記システム入口(111)を選択的にシールするために前記システム入口(111)に配置された吸引隔離弁(113)と、
記システム出口(116)を選択的にシールするために前記システム出口(116)に配置された吐出隔離弁(118)と、を更に備える、請求項1から12のいずれか項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項14】
前記追加的な出口(156)が、前記吸引隔離弁(113)の上流で前記システム入口(111)と流体結合されるか、又は前記追加的な出口(156)が、前記吐出隔離弁(118)の下流で前記システム出口(116)と流体結合される、請求項13に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項15】
前記追加的な入口(151)を前記追加的な出口(156)と流体結合させるバイパス弁(158)を更に備える、請求項1から14のいずれか項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項16】
圧縮機(100)を動作させる方法であって、
A1)(210)前記圧縮機(100)が運転又は起動している間、前記圧縮機(100)及び/又は前記圧縮機(100)と動作可能に結合された構成要素(130、135)から減圧されたガスを回収するステップと、
A2)(220)追加的な圧縮機(150)が、前記減圧されたガスを加圧ダクト(157)にポンプ圧送するステップと、
A9)(290)前記圧縮機(100)をシャットダウンするステップと、
B1)(310)前記圧縮機(100)が運転中でない間、プロセスガスを前記圧縮機(100)から回収するステップと、
B2)(320)前記追加的な圧縮機(150)が、前記ステップA9の後に前記プロセスガスを前記加圧ダクト(157)にポンプ圧送するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
前記ステップA1(210)が、
A11)(211)前記圧縮機(100)のメカニカルシール(125)から減圧されたバッファガスを回収するサブステップ、
A12)(212)前記圧縮機(100)のメカニカルシール(125)のフィルタの内部のガス容積を加温するために使用された流出したガスを回収するサブステップ、
A13)(213)前記圧縮機(100)を駆動するガスタービン(130)の起動中に、前記圧縮機(100)を駆動するガスタービン(130)の空気式起動装置(135)から減圧されたガス回収するサブステップ、
A14)(214)前記圧縮機(100)を駆動するガスタービン(130)の燃料ダクト(131)を加熱するために使用される流出したガス回収するサブステップ、のうちの1つ以上を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップA1(210)が、前記減圧されたガスを蓄積容器(140)の内部に蓄積するステップを含み、前記ステップA2(220)が、前記蓄積容器(140)内の圧力が所定の値に到達した後、前記蓄積容器(140)から前記減圧されたガスをポンプ圧送するステップを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記追加的な圧縮機(150)が、往復圧縮機(150)である、請求項16から18のいずれか項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、前記ステップA9(290)の後かつ前記ステップB1(310)の前に行われる、前記圧縮機(100)の入口(101)と流体結合された吸引隔離弁(113)をシールし、前記圧縮機(100)の出口(106)と流体結合された吐出隔離弁(118)をシールする、ステップB0(300)を含み、前記加圧ダクトが、前記吸引隔離弁(113)の上流で前記吸引隔離弁(113)と流体結合されている、又は、前記加圧ダクトが、前記吐出隔離弁(118)の下流で前記吐出隔離弁(118)と流体結合されている、請求項16から19のいずれか項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、ガス圧縮機構成、及び圧縮機を動作させるための方法に関し、特に、メタン、エタン、及びブタンなどの炭化水素を含有するプロセスガスを使用する構成及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機構成は、吸引ダクト及び吐出ダクトに流体接続された、少なくとも圧縮機、例えば遠心圧縮機を備える。圧縮機のサージを回避するために、吸引ダクト及び吐出ダクトは、アンチサージ弁によって制御されるリサイクルダクトを通して流体接続される。リサイクルダクトは、圧縮機出口と圧縮機入口との間にループを形成して、アンチサージ弁を通してサージから圧縮機を保護することを可能にする。
【0003】
圧縮機は、工場の操業に起因するいくつかのメンテナンス作業、いくつかの修理作業、又は任意の他の長期間の停止を行うために、停止され、減圧される。また、吸引ダクトの最終部分、吐出ダクトの開始部分、及びリサイクルダクトも減圧される。
【0004】
圧縮機及びそれに接続されたダクトの内部容積を減圧するための一般的な方法は、プロセスガスを大気中に直接放出すること、又はそれをフレアスタックとともに燃焼させることからなる。しかしながら、この方法は、大気中への温室効果ガスの放出につながり、有益な物質の喪失及び強力な温室効果ガス(例えば、メタンは、100年以上にわたって、二酸化炭素の28~34倍の温室効果を有する)の排出の両方を構成する。
【0005】
加えて、現在産業界で採用されているいくつかの圧縮機では、炭化水素ガスといった他の排出物が生じる。そうした排出物は、可動部分間の接触を回避するために、大気中に通気されるか又は燃焼されるプロセスガスの遅く一定の漏出を許容する、メカニカルドライガスシールを有することができる。また、圧縮機のドライガスシールは、予備として保たれて、動作中のフィルタと交換できる状態にある、スタンバイフィルタを備える。スタンバイフィルタが使用状態に入るときの凝結を防止するために、スタンバイフィルタ及びその内部のガスは、流出したプロセスガスによって保温される。流出したガスは、次いで、大気中に通気されるか、又は燃焼される。
【0006】
追加的に、圧縮機は、しばしば、ガスタービンによって駆動され、プロセスガスはまた、その圧力のおかげで、燃焼を開始する前にガスタービンの回転を開始させるために使用され得、この場合、タービンの出口の(未燃焼の)プロセスガスは、大気中に放出されるか又は燃焼される。
【0007】
圧縮機を駆動するガスタービンは、推進体の凝結を回避するために、タービンの起動前にタービン燃料入口ダクトを加熱することが有効である。かかる加熱はまた、その後に大気中に通気されるか又は燃焼される燃料ガスを流出させることによって行われる。
【発明の概要】
【0008】
一態様によれば、本明細書に開示される主題は、圧縮機構成に関するものであり、圧縮機構成は、主入口及び主出口を有する少なくとも1つの主圧縮機と、追加的な入口及び追加的な出口を有する追加的な圧縮機と、主入口にガスを供給し、主出口からガスを回収するように配置された配管システムと、減圧されたガスを排出する1つ以上の構成要素であって、各構成要素が、減圧されたガスを回収するように配置された回収器を有する、1つ以上の構成要素と、を備え、追加的な入口が、回収器の1つ以上と流体結合され、追加的な入口が、主圧縮機が運転停止されるときに、配管システムと流体結合され、配管システムからガスを抽出するように配置される。
【0009】
別の態様によれば、本明細書に開示される主題は、圧縮機を動作させるための方法に関するものであり、圧縮機が運転又は起動している間に圧縮機から減圧されたガスを回収するステップと、減圧されたガスを加圧ダクトにポンプ圧送するステップと、圧縮機をシャットダウンするステップと、圧縮機が運転中でない間に圧縮機からプロセスガスを回収するステップと、加圧ダクトへとプロセスガスをポンプ圧送するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の開示の実施形態とそれに付随する利点の多くは、添付図面に関連して考えながら以下の発明を実施するための形態を参照することによって、理解が深まるにつれてすぐにより完全に分かるようになるであろう。
図1】本明細書に開示される主題による、圧縮機構成の第1の実施形態の概略図を示す。
図2】本明細書に開示される主題による、圧縮機構成の第2の実施形態の概略図を示すが、簡単にするために、いくつかの要素は示されていない。
図3】本明細書に開示される主題による、制御方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に開示される主題は、圧縮機構成及び圧縮機を動作させる方法に関する。
【0012】
圧縮機構成は、特に油及びガス用途の場合、炭化水素ガスの流れを受容し、それを処理して、それをより高い圧力で吐出するように配置される。このタイプの用途では、流入ガスの流れは、圧縮機構成の上流ですでに加圧されており、すなわち、例えば40バールの高圧である。圧縮機構成は、その圧力を更により高いレベル、例えば80バールに高めることによって、流入ガスの流れを処理する。
【0013】
かかる圧縮機構成は、主圧縮機、特に遠心圧縮機と、主圧縮機の入口及び出口に流体接続された配管システムと、を備える。配管システムは、少なくとも、吸引ダクトと、吐出ダクトと、好ましくは圧縮機入口と圧縮機出口との間にループを形成するように配置されたリサイクルダクトと、を含む。
【0014】
本明細書に開示される圧縮機構成は、配管システムに流体接続された追加的な圧縮機、特に往復圧縮機を更に含む。主圧縮機のシャットダウン中は、配管システムが実質的に隔離されて、相当量のプロセスガスが配管システム内、及び主圧縮機の内部に捕捉されたままである。追加的な圧縮機の目的は、シャットダウン後に配管システムからプロセスガスをポンプ圧送し、次いで、いかなる相当量のプロセスガスも空気中に吐出すること、又はそれを燃焼させることなく、主圧縮機を検査、保守、又は修理することが可能である。
【0015】
特に、追加的な圧縮機は、配管システムに捕捉されたプロセスガスを回収し、それを配管システムの上流の吸引ヘッダ又は加圧ダクトにポンプ圧送するように配置される。したがって、追加的な圧縮機は、捕捉されたガスの圧力を吸引ヘッダ内部の圧力(例えば、40バール)まで高めるように構成されている。
【0016】
追加的な圧縮機の別の目的は、圧縮機構成によって例えば漏出及び通気を通して失われる減圧された未燃焼ガスをリサイクルすることである。実際には、圧縮機構成の1つ以上の構成要素は、減圧された炭化水素ガスを排出し得る。例えば、主圧縮機は、動作している間、プロセスガスの連続した漏出を計画的に生じさせ、したがって、減圧されたガスの供給源である、メカニカルドライガスシールを有し得る。加えて、かかるドライガスシールは、好ましくは動作していない間に保温されるフィルタを備え得る。非動作フィルタ及びその中のガスを保温するために、圧縮機アセンブリは、(暖かい)プロセスガスに主圧縮機のフィルタ内部を循環させて、減圧されたガスの追加的な供給源を構成する、流出したガスシステムを備え得る。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、圧縮機構成は、ガスタービンに関連して減圧されたガスを排出する主圧縮機及び他の構成要素を駆動するガスタービンを備える。例えば、ガスタービンは、ガスタービンを起動し、減圧されたガスを排出するための(加圧された)プロセスガスを採用する、空気式起動装置を有し得る。追加的に、ガスタービンは、ガス燃料の凝結を防止するためにタービンの起動前に加熱を必要とする燃料ダクトを有する。かかる加熱は、(暖かい)プロセスガスを流すことによって達成され得、当該プロセスガスは、次いで、減圧されたガスとして排出される。
【0018】
減圧されたガスを空気中に吐出されること又は燃焼させることを防止するために、圧縮機構成は、上述した構成要素の1つ以上から排出された減圧されたガスを回収するために配置された、1つ以上の回収器を備える。かかる回収器は、回収した減圧されたガスを加圧してリサイクルするために、追加的な圧縮機と流体結合される。
【0019】
好ましい実施形態によれば、圧縮機構成は、ガスを排出している構成要素から回収された減圧されたガスを貯蔵するために、回収器の下流に位置付けられた蓄積容器を備え、追加的な圧縮機が、蓄積容器と流体接続される。
【0020】
蓄積容器及び追加的な圧縮機は、主圧縮機のシャットダウン後の所定の時間量において配管システムを空にするタスクを行うようにサイズ決定及び構成することができる。かかる方法で構成された追加的な圧縮機は、漏出から生じる主圧縮機の動作中の減圧されたガスをリサイクルするタスクには大き過ぎる。蓄積容器は、追加的な圧縮機が断続運転で作業することを可能にし、減圧されたガスは、運転の合間に蓄積容器に貯蔵される。
【0021】
ここで、本開示の実施形態を詳細に参照し、これらの1つ以上の例は、図に例示されている。各例は、本開示を限定するものではなく、本開示の説明として提供するものである。実際には、本開示の範囲又は趣旨から逸脱しない限り、本開示に様々な修正及び変形を加えることができるということが、当業者には明らかであろう。本明細書全体を通して「ある実施形態」又は「一実施形態」又は「いくつかの実施形態」への言及は、一実施形態に関して述べられる特定の特徴、構造、又は特性が、開示の主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な個所における「ある実施形態では」又は「一実施形態では」又は「いくつかの実施形態では」という句が現れると、それは、必ずしも同じ実施形態を指しているものではない。また、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の好適な様式において組み合わされ得る。
【0022】
様々な実施形態の要素を提示する際、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「前記(said)」は、その要素の1つ以上があることを意味することが意図される。「備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、非排他的であることが意図され、列記された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するものである。
【0023】
一態様によれば、かつ図1を参照して、本明細書に開示される主題は、圧縮機構成1を提供する。圧縮機構成1は、油及びガス用途で使用されるように配置され、大気圧よりも高い圧力、例えば、40バールで炭化水素ガスの流れを受容し、それを処理して、それをより高い圧力で吸引圧力、例えば、80バールで吐出するように構成されている。
【0024】
圧縮機構成1は、少なくとも1つの主圧縮機100、特に、遠心圧縮機を備える。圧縮機構成1の設計要件に応じて、後者は、直列及び/又は並列に配置された、2つ以上の主圧縮機100を備え得る。
【0025】
主圧縮機100は、処理される炭化水素ガスの流れを受容するように配置された主入口101と、処理された流れを吐出するように配置された主出口106と、を有する。主圧縮機100は、シャフトと主圧縮機100自体の外側本体との間に介在させた、1つ以上のメカニカルシール125、特にドライガスシールを更に備える。
【0026】
かかるドライガスシールは、移動部分間を流れるガスのバッファを維持するために、主圧縮機100からの連続したガス流出に依存する。メカニカルシール125は、圧縮機構成1からの流出したプロセスガスを回収するように配置されたガス入口と、減圧された漏出ガスを排出するように配置されたガス出口と、を有する。シールの内部で、ガスは、ガス入口からガス出口へと流れ、その移動部分の間にバッファを形成する。好ましくは、メカニカルシール125は、ガス出口で排出された減圧されたガスを回収するように配置された回収器126を備える。「減圧されたガス」という表現に関しては、主圧縮機100の上流のプロセスガスの圧力よりも低い圧力で排出される炭化水素を含有するガスを意図する。
【0027】
圧縮機構成1は、所定の限度を超える直径を有する液体、粒子、及び固体物質がシールに進入してそれを劣化させることを防止するために、メカニカルシール125の上流のバッファガスのためのフィルタを更に備える。動作用フィルタが汚れたときの主圧縮機100の停止を回避するために、バッファガスを濾過するために少なくとも1つの動作用フィルタが使用され、一方で、動作用フィルタと切り替えるために少なくとも1つの新しいスタンバイフィルタが予備に保たれる。圧縮機構成1は、70℃~95℃の温度を有する流出したプロセスガスによって、予備に保たれたフィルタを加温するように配置されたスタンバイフィルタ加温システム127を備える。スタンバイフィルタ加温システム127は、スタンバイフィルタを作動させたときの凝結を回避するために、スタンバイフィルタ内部のガスを保温するように構成されている。流出したガスは、スタンバイフィルタ加温システム127によってスタンバイフィルタ内の循環後に排出されて、漏出した減圧されたガスの別の供給源を構成する。スタンバイフィルタ加温システム127は、好ましくは、スタンバイフィルタの下流の減圧されたガスを回収するように配置された回収器128を備える。
【0028】
主圧縮機100は、主入口101にガスを供給するように、及び主出口106からガスを回収するように配置された配管システム110と流体結合される。配管システム110は、上流のガス源との流体接続管のために構成されたシステム入口111と、下流のガス受容装置との流体接続のために構成されたシステム出口116と、を有する。吸引ヘッダは、システム入口に配置され得、吐出ヘッダは、システム出口に配置され得る。配管システム110は、システム入口111から主入口101へと延在している入口ダクト112と、主出口106からシステム出口116へと延在している出口ダクト117と、を備える。吸引隔離弁113は、システム入口111に位置付けられ、入口ダクト112と上流のガス源との間の流体接続を開放又は閉鎖するために配置される。吐出隔離弁118は、システム出口116に位置付けられ、出口ダクト117と下流のガス受容装置との間の流体接続を開放又は閉鎖するために配置される。
【0029】
配管システム110は、主出口106を主入口101と流体接続している少なくとも1つの戻りダクト120を更に備える。アンチサージ弁121は、主圧縮機100のサージを防止するために及び/又は緊急シャットダウンの場合に圧力を等しくするために、戻りダクト120内に設置されて、戻りダクト120を通るリサイクル流を制御するように配置される。
【0030】
図2に示されるように、圧縮機構成1は、主圧縮機100を駆動するように配置されたドライバを更に備える。好ましい実施形態では、ドライバは、主圧縮機100と機械的に結合されたガスタービン130である。燃料ダクト131は、ガスタービン130と流体結合されて、ガスタービン130に燃料ガスを供給するように配置される。図2の実施形態では、燃料ダクト131は、配管システム110又は上流のシステム入口111からプロセスガスを取り出して、それを燃料ガスとして使用するように配置される。可能な代替的な実施形態では、ガスタービン130の燃料ガスの供給源は、プロセスガスとは異なる。
【0031】
好ましくは、圧縮機構成1は、ガスタービン130の起動前に燃料ダクト131内に流出したプロセス又は燃料ガスを循環させるように配置された加熱システム132を備える。加熱システム132は、燃料ガスがガスタービン130に進入する際に、燃料ダクト131自体との対流によって生じる凝結を防止する。かかる流出したガスは、減圧されたガスの供給源を構成して、加熱システム132は、好ましくは、それを回収するように配置された回収器133を備える。
【0032】
可能な実施形態では、図2にも示され、圧縮機構成1は、ガスタービン130のための空気式起動装置135を更に備える。空気式起動装置135は、プロセスガス(通常、40バール程度で加圧される)を回収して、その圧力をガスタービン130の起動中にそれを回転させるための機械的エネルギーに変換するように配置される。空気式起動装置135は、減圧されたガスをガスタービン130の起動中に排出し、かかる減圧されたガスを回収するように配置された回収器136を備える。
【0033】
添付図1は、主圧縮機100のメカニカルシール125から減圧されたガスを回収するための回収器126だけを有する圧縮機構成1の一実施形態を示す。
【0034】
添付図2は、圧縮機構成1の一実施形態を示し、メカニカルシール125から減圧されたガスを回収するための回収器126と、スタンバイフィルタ加温システム127から減圧されたガスを回収するための回収器128と、加熱システム132から減圧されたガスを回収するための回収器133と、空気式起動装置135から減圧されたガスを回収するための回収器136と、を備える。図2では、戻りダクト120及び追加的な圧縮機150などのいくつかの構成要素は、簡単にするために省略されている。
【0035】
好ましくは、圧縮機構成1は、減圧されたガスを排出する構成要素から流れるガスを受容して、貯蔵するために、上で説明した回収器の1つ以上と流体結合された蓄積容器140を備える。圧縮機構成1は、蓄積容器140と流体結合されて、圧縮機構成1の任意の構成要素から排出された減圧されたガスを回収するように配置された他の回収器を備え得る。
【0036】
図1の実施形態では、蓄積容器140は、開放及び閉鎖することができる回収器弁141を有するダクトを通して回収器126と流体結合される。図2の実施形態では、蓄積容器140は、それぞれの回収器弁141を有するそれぞれのダクトを通して回収器126、128、133、及び136と流体結合される。代替的な可能な実施形態では、圧縮機構成1は、複数の蓄積容器を備え、各々が、減圧されたガスのためのそれぞれの回収器に流体結合される。蓄積容器140は、本質的には、1バール~20バール、好ましくは1バール~5バールの圧力でガスを貯蔵するための内部チャンバを有するタンクである。好ましくは、蓄積容器140は、3m~500mで構成された貯蔵容積を有する。より好ましくは、蓄積容器140は、5m~30mで構成された貯蔵容積を有する。
【0037】
圧縮機構成1は、本明細書では「追加的な入口151」と呼ばれる、ガスを受容するための入口と、本明細書では「追加的な出口156」と呼ばれる、ガスを排出するための出口と、を有する、追加的な圧縮機150、好ましくは往復圧縮機を更に備える。
【0038】
追加的な入口151は、開放及び閉鎖することができる配管弁153を収容する第1のダクト152を通して配管システム110と流体結合される。代替的に、追加的な入口151は、同様に配管システム110と流体連通する主圧縮機100の内部チャンバと流体結合され得る。
【0039】
追加的な入口151はまた、第2のダクト154を通して蓄積容器140と流体結合される。弁は、第2のダクト154を開放及び閉鎖するためにダクト内に設置され得る。
【0040】
回収器弁141及び配管弁153の位置を選択することによって、追加的な圧縮機150は、蓄積容器140から又は配管システム110からガスを受容するように構成可能であり得る。
【0041】
弁によって制御される大気通気孔145は、回収器と流体結合され、蓄積弁141が閉鎖されたときに減圧されたガスを大気中に放出するように構成され、これは、追加的な圧縮機150が配管システム110から流体を抽出しているので配管弁153が開放されたときに起こり得る。追加的な通気弁(添付図面に例示せず)は、配管システム110と流体結合されて、ガスが配管システム110内及び主圧縮機100内に含まれるガスを大気中に放出するように配置され得る。かかる追加的な弁は、圧縮装置1を減圧する必要があり、かつ配管弁153を開放することができない、又は追加的な圧縮機150を作動させることができない場合に開放され得る。フレアスタックは、大気通気孔145によって及び/又は追加的な通気弁によって放出される可燃性ガスを燃焼させるように配置され得る。
【0042】
追加的な圧縮機150の追加的な出口156は、吸引隔離弁113の上流のシステム入口111又は吐出隔離弁118の下流のシステム出口116のいずれかで流体結合され得る。圧縮機構成1の上流がより低い圧力なので好ましい図1の実施形態では、追加的な出口156は、接続ダクト157を通してシステム入口111と流体結合される。
【0043】
追加的な圧縮機150は、主圧縮機100がシャットダウンされて、吸引隔離弁113及び吐出隔離弁118が閉鎖された後に、配管システム110内に捕捉されたプロセスガスを抽出することが可能である。かかるガスは、次いで、配管システム110の上流又は下流にポンプ圧送されて、大気中に放出されること又は燃焼されることが防止される。
【0044】
好ましくは、追加的な圧縮機150は、15分~20時間、好ましくは2時間~10時間で構成される時間間隔で、配管システム110内の圧力を約60バールの動作圧力(主圧縮機100のシャットダウン時)から10バール以下の、好ましくは3バール以下の最終圧力に下げるために、配管システム110からガスを抽出するように構成される。好ましい実施形態では、追加的な圧縮機150は、10kW~150kWで構成される電力、及び100Nm/hr~2000Nm/hrで構成される流量を有する。
【0045】
上で説明したように構成された追加的な圧縮機150は、蓄積容器140内に蓄積された減圧されたガスを抽出し、それを主圧縮機100の動作中に配管システム110の上流又は下流にポンプ圧送して、それによって、減圧されたガスの大気中への放出を防止することが可能である。
【0046】
可能な実施形態では、蓄積容器140は、弁を通して配管システム110と流体結合され、追加的な圧縮機150を通してガスを抽出する前に、圧縮機100のシャットダウン後に配管システム110からガスを受容するように配置することができる。
【0047】
説明されるように構成された追加的な圧縮機150は、減圧されたガスを連続してポンプ圧送するには大き過ぎるので、蓄積容器140は、蓄積容器140が一定の圧力に到達したときに追加的な圧縮機150を断続的に作動させて蓄積容器を空にするように、減圧されたガスの一時的な蓄積を可能にする。
【0048】
好ましくは、圧縮機構成1は、蓄積容器140内の圧力を所定の最小値、例えば、1.1バール~所定の最大値に維持するために、追加的な圧縮機150をオン/オフするように構成された制御ユニットを備える。所定の最大値は、好ましくは20バール未満、更に好ましくは6バール未満である。好ましい実施形態では、所定の最大値は、約3バールである。
【0049】
圧縮機構成1の代替的な実施形態では、圧縮機構成1は、蓄積容器140を有さず、追加的な入口151が、回収器126、128、133、及び136のうちの1つ以上と直接接続される。好ましくは、この実施形態では、追加的な圧縮機150は、可変速度圧縮機であり、これは、その流量を減圧されたガスの排出速度に適合させることが可能であり、更には、15分~20時間、好ましくは2時間~10時間で構成される時間間隔で、配管システム110を空にするために必要な流量を提供することも可能である。
【0050】
好ましくは、圧縮機構成1は、追加的な入口151を追加的な出口156と流体結合する、追加的な圧縮機をバイパスすることを可能にするバイパス弁158を更に備える。かかるバイパス弁158は、主圧縮機100を遮断した後に吸引隔離弁113の上流のガス圧力が配管システム110の圧力よりも低いときに開放され得る。これは、プロセスガスが配管システム110外へ自然に流れることを可能にする。
【0051】
第2の態様によれば、図3を参照して、本明細書に開示される主題は、圧縮機を動作させるための、特に圧縮機構成1の主圧縮機100を動作させるための方法を提供する。
【0052】
圧縮機100が動作又は起動している間、この方法は、減圧されたガス、特にそれぞれ図2の実施形態の回収器126、128、133、及び136によって回収された減圧されたガスを回収するステップA1(図3のブロック210)を含む。
【0053】
好ましくは、ステップA1(図3のブロック210)は、以下のサブステップのうちの1つ以上を含む。
【0054】
A11)(図3のブロック211)特に回収器126を通して、圧縮機100のメカニカルシール125から減圧されたバッファガスを回収する。
【0055】
A12)(図3のブロック212)特に回収器128を通して、圧縮機100のメカニカルシール125のフィルタ内部のガス容積を加温するために使用される流出したガスを回収する。
【0056】
A13)(図3のブロック213)特に回収器136を通して、ガスタービン130の起動中に圧縮機100を駆動するガスタービン130の空気式起動装置135から減圧されたガスを回収する。
【0057】
A14)(図3のブロック214)特に回収器133を通して、圧縮機100を駆動するガスタービン130の燃料ダクト131を加熱するために使用される流出したガスを回収する。
【0058】
好ましくは、ステップA1(図3のブロック210)は、減圧されたガスを蓄積容器140の内部に蓄積することを更に含む。
【0059】
この方法は、好ましくは吸引隔離弁113の上流で、加圧ダクトに、特に上で説明した配管システム110と流体結合されたダクトに減圧されたガスをポンプ圧送する、ステップA2(図3のブロック220)を更に含む。好ましくは、ステップA2(図3のブロック220)は、蓄積容器140内の圧力が所定の最大値に到達した後に、蓄積容器140から減圧されたガスをポンプ圧送することを含む。所定の最大値は、好ましくは20バール以下、更に好ましくは6バール以下である。好ましくは、ステップA2(図3のブロック220)は、往復圧縮機を通して、特に上で説明した追加的な圧縮機150を通して行われる。
【0060】
この方法は、圧縮機100をシャットダウンするステップA9(図3のブロック290)を更に含む。圧縮機100のシャットダウン後、この方法は、吸引隔離弁113及び吐出隔離弁118をシールするステップB0(図3のブロック300)を含む。
【0061】
ステップB0(図3のブロック300)の後、この方法は、圧縮機100から、特に配管システム110からプロセスガスを回収するステップB1(図3のブロック310)を含む。好ましい実施形態では、ステップB1(図3のブロック310)は、上で説明した第1のダクト152を通して行われる。
【0062】
この方法は、ステップA2(図3のブロック320)と同じ往復圧縮機によって行われる、加圧ダクトにプロセスガスをポンプ圧送するステップB2(図3のブロック320)を更に含む。可能な実施形態では、配管システム110から来るプロセスガスは、加圧ダクトにポンプ圧送される前に、蓄積容器140内で一時的に貯蔵され得る。
図1
図2
図3