(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】高分子材料の投用量を移送するシステム及び関連する移送方法
(51)【国際特許分類】
B29C 48/31 20190101AFI20230815BHJP
B29C 48/355 20190101ALI20230815BHJP
B29C 48/92 20190101ALI20230815BHJP
B29B 11/10 20060101ALI20230815BHJP
B29C 48/25 20190101ALI20230815BHJP
【FI】
B29C48/31
B29C48/355
B29C48/92
B29B11/10
B29C48/25
(21)【出願番号】P 2022522342
(86)(22)【出願日】2020-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2020059561
(87)【国際公開番号】W WO2021074771
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】102019000018725
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】509238432
【氏名又は名称】サチミ、コオペラティバ、メッカニーチ、イモラ、ソチエタ、コオペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI COOPERATIVA MECCANICI IMOLA SOCIETA’ COOPERATIVA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ バルディセリ
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-530462(JP,A)
【文献】特開2000-202889(JP,A)
【文献】特開2018-047700(JP,A)
【文献】特表2010-527819(JP,A)
【文献】特開平05-228926(JP,A)
【文献】特開2016-153230(JP,A)
【文献】特開2020-082584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
B29B 7/00- 7/94
B29B 9/00- 9/16
B29B 11/00-11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料を供給する供給ヘッド(1)と、搬送壁(601)が設けられる少なくとも1つの搬送装置(6)と、を備える、前記高分子材料の投用量(2
)を、移送する
移送システムであって、
前記搬送装置(6)は、前記供給ヘッド(1)を通る経路(P)に沿って前進するように構成され、
前記供給ヘッド(1)は、
供給送出部(5)につながり、前記高分子材料を
前記供給送出部(5)に供給するように構成される、軸線(Z)に沿って延在する直線送出領域(4)が設けられるダクト(3)を備え、
前記送出領域(4)は、互いに向かい合う少なくとも第1の区域(401,405)と第2の区域(402,406)とを備え、
前記供給ヘッド(1)は、前記第1の区域(401,405)及び前記第2の区域(402,406)が非対称であり、前記供給送出部(5)から供給されて前記搬送壁(601)に移送される前記高分子材料の供給方向(D)を制御するように、前記送出領域(4)における高分子材料の流れを乱す少なくとも1つの変形構成を有
し、
前記送出領域(4)における前記高分子材料の流れの乱れが、前記高分子材料を前記搬送壁(601)に対して所望の供給方向(D)に向けるように構成され、
前記所望の供給方向は、傾斜しており、前記投用量(2)の遠位端部(2a)が前記投用量(2)の近位端部(2b)よりも前記搬送壁(601)に近く、
前記移送システムは、前記供給送出部(5)から供給される残りの高分子材料から高分子材料の投用量(2)を分離する分離装置を備え、
得られる前記投用量(2)が前記搬送装置(6)から回収されることを特徴とする、移送システム。
【請求項2】
前記変形構成において、前記供給ヘッド(1)の前記第1の区域(401,405)及び前記第2の区域(402,406)は、前記送出領域(4)内に位置決めされ、前記軸線(Z)に向かって別様に突出し、前記送出領域(4)の通過断面を変更して、非対称性を生成する、請求項1に記載の移送システム。
【請求項3】
前記供給ヘッド(1)は、前記第1の区域(401)及び前記第2の区域(402)が互いに対して対称である静止構成をさらに有し、
前記供給ヘッド(1)は、前記供給ヘッド(1)を前記変形構成又は前記静止構成に位置決めするように構成される変形装置(7)を備え、
前記変形装置(7)は、前記供給ヘッド(1)内に収容され、前記供給ヘッド(1)の外部から前記変形構成と前記静止構成とを制御可能である、請求項2に記載の移送システム。
【請求項4】
前記第2の区域(402)には突起がなく、
前記送出領域(4)は、前記第2の区域(402)に対向して位置決めされる開口部(403)を備え、
前記変形装置(702)は、前記開口部(403)を通り前記軸線(Z)に向かって突出する変形面(701a,702a)を有し、
前記変形面(701a,702a)は、前記変形装置(7)が前記変形構成にあるときに、前記第1の区域(401)を画定する、請求項3に記載の移送システム。
【請求項5】
前記変形装置(701)は、前記軸線(Z)に対して、横断する平面、特に垂直な平面にある回転軸線(X)を有する回転ローラであり、
前記回転ローラには、少なくとも1つの円筒面(701a)を備える側面が設けられ、
前記供給ヘッド(1)が前記変形構成にあるとき、前記円筒面(701a)の一部が前記開口部(403)から突出し、前記変形面を画定する、請求項4に記載の移送システム。
【請求項6】
前記ローラ(701)は、複数の角度セクタを有し、
各角度セクタは、それぞれの曲率が設けられるそれぞれの円筒面(701a,701a´)を有し、
円筒部分の前記曲率は、全て互いに異なる、請求項5に記載の移送システム。
【請求項7】
前記側面は、平坦面(701b)をさらに備え、
前記供給ヘッド(1)が前記静止構成にあるとき、前記平坦面(701b)は、前記開口部(403)を取り囲む前記送出領域(4)のエリア(404)に整列する、請求項5又は6に記載の移送システム。
【請求項8】
前記変形装置(702)は、前面(702a)を備えるピンであり、
前記供給ヘッド(1)が前記変形構成にあるとき、前記ピン(702)は前方位置にあり、前記前面(702a)は前記変形面を画定する前記開口部(403)から突出する、請求項4に記載の移送システム。
【請求項9】
前記ピン(702)は、前記軸線(Z)に対して、横断する、特に垂直な、平面にある移動線に沿って、前記軸線(Z)との間で直線的に移動可能であり、
前記ピン(702)は、前記前方位置と後方位置との間で移動可能であり、
前記ピン(702)の前記前方位置は調整可能であり、前記通過断面を調整することができる、請求項8に記載の移送システム。
【請求項10】
前記供給ヘッド(1)が前記静止構成にあるとき、前記ピン(702)は後方位置にあり、
前記ピン(702)の前記前面(702a)は、前記開口部(403)を取り囲む前記送出領域(4)のエリア(404)に整列する、請求項8又は9に記載の移送システム。
【請求項11】
前記第1の区域(405)及び前記第2の区域(406)は、前記供給送出部(5)まで延在し、前記供給送出部(5)を少なくとも部分的に画定するそれぞれの第1の縁部(405a)及び第2の縁部(406a)を有し、
前記第2の縁部(406a)は前記第1の縁部(405a)に対して前記軸線(Z)の方向において引っ込んでいる、請求項1に記載の移送システム。
【請求項12】
前記供給ヘッド(1)は、内側区域(101)と端部区域(102)とを含み、
前記端部区域(102)は、前記第1の区域(405)と前記第2の区域(406)とを含み、
前記端部区域(102)は、前記内側区域(101)に取り外し可能に取り付け可能であり、前記供給ヘッド(1)を容易に構成することができる、請求項11に記載の移送システム。
【請求項13】
前記送出領域(4)は、少なくとも4つの面を有するプリズム形状であり、
前記第1の区域(401)及び前記第2の区域(402)は、前記プリズムの少なくとも対向面に位置決めされる、請求項1~12のいずれか一項に記載の移送システム。
【請求項14】
供給ヘッド(1)から搬送装置(6)に高分子材料の投用量(2)を移送する方法であって、前記搬送装置(6)は搬送壁(601)を備え、前記方法は、
前記供給ヘッド(1)から前記高分子材料を供給するステップと、
前記供給ヘッド(1)の変形構成によって前記高分子材料の流れを乱すように前記高分子材料の前記供給方向(D)を制御するステップと、
前記供給ヘッド(1)から供給される前記高分子材料から高分子材料の投用量(2)を分離するステップと、
前記搬送壁(601)を前記供給ヘッド(1)に向かって前方に移動させ、前記高分子材料の投用量(2)を前記搬送壁(601)に移送するステップと、を含み、
前記供給ヘッド(1)の変形構成によって前記高分子材料の流れを乱すように前記高分子材料の前記供給方向(D)を制御するステップは、
軸線(Z)に沿って延在し、前記供給ヘッド(1)の供給送出部(5)につながる直線送出領域(4)によって、前記高分子材料を前記供給送出部(5)に送り出すステップと、
前記送出領域(4)の第1の区域(401)及び第2の区域(402)が非対称な前記変形構成で互いに向かい合い、前記送出領域(4)における高分子材料の流れを乱すように、前記送出領域(4)の第1の区域(401)及び第2の区域(402)を構成して、前記供給送出部(5)から供給される前記高分子材料の供給方向(D)を制御するステップと、
乱された前記高分子材料を所望の供給方向(D)に向けるステップと、
搬送装置(6)の搬送壁(601)に対して前記所望の供給方向(D)を選択するステップと、
前記投用量(2)の移送中に、前記投用量(2)の遠位端部(2a)が前記投用量(2)の近位端部(2b)よりも前記搬送壁(601)に近くなるように、前記搬送壁(601)に向かって供給される前記高分子材料
を傾斜させるステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給ヘッドから搬送装置に高分子材料の投用量を移送するシステム、及び投用量を移送するそれぞれの方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、高分子材料の投用量を移送するシステム、及び関連する移送方法に関する。本発明は、凹状の物品、とりわけ容器を圧縮成形によって製造する機器において有利に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
本発明による供給ヘッドを通して供給され、搬送装置に移送される高分子材料を使用して、例えば、飲料又は他の食品流体を調製するための、コーヒー等の粉末状又は顆粒状の物質を含有するように設計されたカプセル等の物品を製造することができる。あるいは、本発明による供給ヘッドを通して供給され、搬送装置に移送される高分子材料を使用して、吹き付け又は延伸‐吹き付け加工に供してボトル等の容器を形成するように設計されたプリフォーム等の物品を製造することができる。より一般的に言えば、高分子材料を使用して、例えばガラス、ジャー又はボウル等の任意の種類の物品を製造することができる。
【0004】
高分子材料は、単一の材料から構成されてもよく、又は互いに異なる高分子材料のいくつかの層を重ね合わせた多層構造を含んでもよい。
【0005】
既知のタイプの圧縮成形機器は、高分子材料を供給するための供給ヘッドと、供給ヘッドから供給される高分子材料の投用量を回収して搬送するための少なくとも1つの搬送装置と、を備える。既知のタイプの圧縮成形機器は、供給された残りの高分子材料から高分子材料の投用量を分離するための分離装置と、搬送装置によって搬送される投用量を受け取る圧縮成形金型と、をさらに備える。
【0006】
従来技術の機器の圧縮成形金型では、圧縮成形金型には、雄型要素と、雌型要素と、が設けられている。雌型要素は、雌型要素のキャビティが上方を向くように、雄型要素の下に位置決めされている。供給ヘッドから分離された後の高分子材料の投用量は、搬送装置から雌要素のキャビティ内に放出される。搬送装置は、投用量をキャビティの頂部から底部に向かって落下させる。その後、雄要素及び雌要素を互いに向かって移動させ、投用量を変形させて、投用量を所望の幾何学的形状に従って成形する。
【0007】
投用量を金型内に正確に放出することは、製造される物品の品質を左右する特に重要な動作であり、これは搬送装置における投用量の位置に影響される。
【0008】
実際には、搬送装置は搬送面を備え、搬送面は、供給ヘッドを通過する間に投用量を回収するように構成され、投用量が圧縮成形金型において放出される瞬間まで付着したままである。したがって、搬送面における投用量の位置は、金型において投用量を放出するための位置を決定し、ひいては製造される物品の品質を直接決定する。
【0009】
この種の機器は、同一出願人による特許文献1に示されている。
【0010】
投用量を搬送面の所望の位置に確実に付着させるために、高分子材料は、正しい供給方向に供給されなければならない。これにより、分離装置が残りの高分子材料から投用量を正しく分離し、とりわけ、搬送面が正しい位置で投用量全体を遮断することを保証する。
【0011】
高分子材料は、実質的に直線的で、より正確に垂直な方向に供給される場合、正しい供給方向に供給される。
【0012】
正しい供給方向とは、言い換えれば、高分子材料が流れる供給ダクトの直線送出領域の軸線と実質的に一致する方向である。
【0013】
高分子材料は、実際には溶融状態で供給される。
【0014】
しかしながら、高分子材料の供給方向は、送出領域における高分子材料の圧力及び速度、高分子材料の種類、並びに溶融高分子材料内の粘度分布を決定する温度分布の不規則性に依存する。
【0015】
その結果、供給ヘッドと少なくとも1つの搬送装置と、を備える高分子材料の投用量を移送するシステムを考えた場合、高分子材料が搬送ヘッドから望ましくない方向に供給され、したがって投用量が搬送面の誤った位置に付着したままである場合がある。これでは金型における投用量の放出さえも正しい位置で行われない場合があるため、要求された品質の物品を成形することが困難になりかねない。
【0016】
また、分離装置が投用量の供給方向を変える場合がある。実際、分離装置は、搬送装置の刃先として作られることで搬送装置と一体になっていてもよいし、移動可能な要素、例えば搬送装置とは独立して移動可能な切刃として作られて、搬送装置の前進方向と反対の切断方向を有するようにしてもよい。特に最後の場合には、供給される高分子材料と切刃との間に、供給される高分子材料の方向、ひいては投用量の方向を変更するような衝撃が生じる場合がある。
【0017】
したがってこの場合にも、投用量が搬送面の不正確な位置に付着したままになり、要求された品質の物品を成形することが困難になる可能性がある。
【0018】
供給ヘッドから供給される高分子材料の供給方向を制御するために、供給ヘッドにピンを設け、高分子材料の送出領域に挿入し、送出領域自体の長手方向軸線と平行にして、乱流を防止して供給される高分子材料の流れを層流にすることが特許文献2から知られている。ピンは、供給ダクトの屈曲部において供給ヘッドに固定され、送出領域の屈曲部を通って延在する。送出領域は、屈曲部の下流側に位置決めされている。
【0019】
上記文献に記載された供給ヘッドの欠点は、高分子材料の供給ダクトに屈曲部が存在するため、供給ヘッドが、送出領域に対して直角に位置決めされる供給送込部を有する必要があることである。
【0020】
供給ヘッドのこの形状は明らかに非常に特殊で限定的であり、高分子材料の供給が送出領域の長手方向軸線に直交していない圧縮成形機器では使用することができない。
【0021】
特許文献3によれば、供給ヘッドには、高分子材料を供給するための送出部に近接して複数の加熱要素が設けられ、加熱要素の各々は個別に制御される。上記文献に記載された供給ヘッドの問題点の1つは、高分子材料の熱慣性により、供給送出部における高分子材料の温度分布を正確に制御できないことにある。
【0022】
特許文献4は、複数の層が積層された多層フィルムを、幅方向に厚み分布を制御して押出成形するのに適した押出成形機器を開示している。
【0023】
特許文献5は、溶融材料の排出を制御するのに適した排出制御装置を開示している。この装置は、平行軸線を有する2つのシリンダ間に形成された可変開口部を含む。可変開口部は、溶融流れの激しい乱れを回避する。シリンダの回転は、相互に噛み合って駆動される2つの平行な駆動軸によって行われる。
【0024】
特許文献6は、積層体を形成するためのフィードブロックを開示している。積層体を形成する押出物の厚さを調整することができる。フィードブロックは、一次入口と、1つ以上の二次入口と、積層体出口と、を有するハウジングを含み、積層体の押出物は、一次流路及び/又は1つ以上の二次流路が並置されるおおよその位置において形成される。このおおよその位置は、積層体出口を基準にしたフィードブロック内にある。
【0025】
特許文献7は、溶融金属材料又は非金属材料の鋳造のための可変ゲートを開示している。可変ゲートは、平行軸と1つの共通接触線とを有する2つのシリンダを備え、シリンダは、それらの軸線周りに同期して回転可能である。シリンダの各々は、断面が変形する1つの溝を有し、2つの溝が協働して対称的な開口部を形成する。
【0026】
特許文献8は、プラスチック材料を長さと重量で正確に切断する切断装置を開示している。ノズルの穴の先端部の周縁部を固定カッターとして使用している。
【0027】
特許文献9は、少なくとも2つの表面領域から形成される実質的に平坦な材料の組み合わせを製造及び/又は塗布するための装置を開示している。この装置は、移動方向を画定するとともに搬送面を有する搬送ユニットを備える。また、この装置は、塗布ノズルを含む塗布ユニットを備える。塗布ユニットは、第1の押出物で作られた第1の表面領域と第2の押出物で作られた第2の表面領域とを搬送面上に押し出すことができるスリット状の出口を有する。
【0028】
特許文献10は、ウェブ材料の外層を含むパネルを連続発泡させるための方法を開示している。この外層の間に断熱発泡体の中間層が介在する。この方法は、当該外層の前駆体である第1のウェブ材料及び第2のウェブ材料を、断熱発泡体の中間層の生成を意図した液体反応混合物が吐出される吐出ステーションに供給するステップを含む。
【0029】
特許文献11は、ゴム押出装置及びその製造方法を開示している。ゴム押出装置のヘッドに取り付けられたダイは、押出口可変部材を備える。押出口可変部材は、押出流路の前端部に配置され、押出口の面積が変化する方向に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【文献】国際公開第2017/064601号パンフレット
【文献】特開2005-319667号公報
【文献】特開平8-034047号公報
【文献】特開平5-345347号公報
【文献】米国特許第4869406号明細書
【文献】国際公開第2013/052829号
【文献】欧州特許出願公開第0078760号明細書
【文献】特開昭57-207018号公報
【文献】米国特許出願公開第2014/057081号明細書
【文献】国際公開第2016/005951号
【文献】国際公開第2018/150782号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本明細書において、本発明の技術的目的は、高分子材料に対する供給ヘッドと、供給ヘッドから供給される投用量を移送する少なくとも1つの装置と、を備え、従来技術の上述の欠点の少なくともいくつかを克服する、高分子材料の投用量を移送するシステムを提案することである。
【0032】
本発明の目的は、限定されるものではいが、特に高分子材料が多層構造を有する、投用量を移送するシステムを改善することである。
【0033】
本発明の目的は、高分子材料の供給方向が所望の供給方向をとるように制御されて、高分子材料から得られる投用量が圧縮成形金型内に正しく位置決めされることを可能にする、高分子材料の投用量を移送するシステムを提供することである。
【0034】
また、本発明の目的は、高分子材料が所望の供給方向に供給されるが、高分子材料の位置決めに関して設計上の制約がなく、供給方向を正確に制御することができる、高分子材料の投用量を供給するシステムを提供することである。
【0035】
本発明の別の技術的目的は、従来技術の上記欠点の少なくともいくつかを克服する、高分子材料を供給する方法を提案することである。
【0036】
本発明のさらなる目的は、高分子材料の供給方向を制御することができる供給方法を提供することである。
【0037】
本発明の異なる技術的目的は、従来技術の上述の欠点の少なくともいくつかを克服する、供給ヘッドから搬送装置に高分子材料の投用量を移送する方法を提案することである。
【0038】
本発明の異なる目的は、投用量が圧縮成形金型の正しい位置に放出されるように、高分子材料の投用量を搬送装置の所望の位置に付着させることができる、投用量を移送する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0039】
上記で特定された技術的目的及び狙いは、本発明の様々な実施形態によって実質的に達成される。
【0040】
また、これらの目的は、添付の特許請求の範囲の1つ以上に記載された技術的構成を含む、以下に記載されるさらなる構成によっても達成される。
【0041】
本発明によれば、請求項1に従う、高分子材料の投用量を移送するシステムが存在する。
【0042】
本発明による投用量を移送するシステムにより、供給ヘッドの供給ダクトの送出領域を不連続にすることが可能であり、送出領域における高分子材料の速度をこのように局所的に変動させることで、高分子材料の所望の供給方向を促進して、搬送装置が正しい所望の位置で投用量を遮断することができる。
【0043】
送出領域における非対称性により、送出領域自体を流れる高分子材料の流れを実際に乱し、その結果、高分子材料の供給方向を制御することが可能である。
【0044】
二次的な効果として、供給ヘッドにおける材料の粘度と相対温度が局所的に変動する。
【0045】
有利には、変形構成における第1の区域及び第2の区域の間の非対称性は、供給ダクトの直線送出領域において生じるため、供給ヘッドへの高分子材料の供給構成に関係なく、任意の供給ヘッドに適用することができる。
【0046】
なお、高分子材料自体の供給方向を変えることができる移送システムでは、投用量を分離する装置があったとしても、高分子材料の供給方向を制御することが可能であることにより、この変化を補償し、投用量が搬送装置の搬送壁に正しい方向に移送されるよう保証することが可能である。
【0047】
あるバージョンによれば、第1の区域及び第2の区域は送出領域内に位置決めされ、変形構成において、第1の区域及び第2の区域は、送出領域の通過断面を変更する異なる方法で軸線に向かって横方向に突出して、非対称性を生成する。
【0048】
供給ヘッドの第1の区域及び第2の区域が通過断面を局所的に変化させることにより、非常に簡単かつ安価な方法で、変形構成において高分子材料の流れを局所的に不連続にすることが可能である。
【0049】
流れを乱し、このようにして、流れを所望の供給方向に向けることができる。
【0050】
別のバージョンでは、第1の区域は軸線に向かって横方向に突出し、第2の区域は突出部がない。
【0051】
このようにして、送出領域の通過断面は、送出区域の第1の区域にのみ介在し、他の区域をそのままにすることによって変更される。
【0052】
さらなるバージョンによれば、供給ヘッドは、第1の区域及び第2の区域が互いに対して対称である静止構成をさらに有し、供給ヘッドを変形構成又は静止構成に位置決めするように構成される変形装置を備える。
【0053】
変形装置により、供給される高分子材料の種類及びその特性に関連して、供給ヘッドの構成を簡単かつ安価な方法で変形させることができる。
【0054】
代替バージョンによれば、第1の区域及び第2の区域は、送出領域の供給送出部まで延在し、軸線方向に異なる方法で延在し、供給送出部の形状を変更する。供給送出部を少なくとも部分的に画定する第1の区域の第1の縁部及び第2の区域の第2の縁部は、言い換えれば、軸線方向にオフセットされ、例えば第1の縁部は第2の縁部を越えて突出する。
【0055】
供給送出部の形状が変更されることにより、第1の区域と接触している高分子材料の流体流は送出領域と接触し続け、一方、第2の区域からの残りの流体流は供給送出部から既に抜け出ている。これにより供給される高分子材料の送出方向を変更し、搬送装置に移送し得る。
【0056】
本発明のあるバージョンによれば、以下のステップを含む、高分子材料を供給する方法が提供される。
-軸線に沿って延在する直線送出領域によって、高分子材料を供給ヘッドの供給送出部
に送り出すステップ
-送出領域の第1の区域及び第2の区域が非対称な変形構成で互いに向かい合い、送出
領域における高分子材料の流れを乱すように構成して、供給送出部から供給される高分子
材料の供給方向を制御するステップ
当該供給方向の制御は、
-乱された高分子材料を所望の供給方向に向けるステップを含む。
【0057】
本供給方法により、供給方向の制御は、高分子材料の流れを乱して所望の方向に向けることができる、供給ヘッドの送出領域の向かい合う区域間の非対称構成に基づくので、簡単かつ安価である。
【0058】
一つのバージョンでは、搬送装置の搬送壁に対して所望の供給方向を選択するステップがある。
【0059】
このバージョンにより、本発明による方法は、搬送壁に対して所望の供給方向を選択することができ、例えば搬送壁と供給方向との間の相互傾斜を考慮することができる。
【0060】
本発明によれば、請求項14に従い、供給ヘッドから搬送装置に高分子材料の投用量を移送する方法が存在する。
【0061】
搬送壁は、平坦であってもよい。
【0062】
本発明による移送方法により、本発明による供給方法によって制御される、供給ヘッドから供給方向に供給される高分子材料は、投用量を分離した後に投用量が搬送壁に完全に付着できるように、搬送装置の搬送壁に向かって傾斜して位置決めされる。
【0063】
したがって、供給方向を強制することによって、投用量を搬送壁に正しく付着させ、圧縮成形金型への投用量の放出の質を向上させ、圧縮成形金型によって製造される物品のより高い品質を保証することができる。
【0064】
有利には、変形例では、本発明による供給方法を使用して、所望の供給方向を効果的に制御する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】送出領域を有する供給ダクトを備える、高分子材料に対する供給ヘッドの上面図であり、送出領域には供給送出部につながる軸線が設けられ、送出領域は断面が長方形の平行六面体である。
【
図2】
図1の切断面II-IIに沿った
図1の供給ヘッドの断面図であり、ローラとして作られた変形装置を備え、送出ダクトの第1の区域及び第2の区域が互いに向かい合ってダクト内に対称に延在する静止構成にある。
【
図3】本発明による投用量を移送するシステムの断面図であり、本システムは、切断面III-IIIに沿って示される
図1の供給ヘッドを備え、変形装置は
図2の静止構成にあり、供給ヘッドから供給される投用量を回収する搬送装置を備える。
【
図4】
図3の断面図であり、変形装置は、第1の区域及び第2の区域が互いに非対称である変形構成にある。
【
図4a】
図4の拡大図であり、第1の区域における
図4のローラのバージョンの円筒部分を示す。
【
図5】
図1の切断面II-IIに沿った
図1の供給ヘッドの変形例の断面図であり、ピンとして作られた変形装置の変形例を備え、送出ダクトの第1の区域及び第2の区域がダクト内に対称に延在している静止構成にある。
【
図6】
図1の切断面III-IIIに沿った
図3の移送システムの変形例の断面図であり、本システムは、
図5の供給ヘッドと、
図3の搬送装置と、を備え、
図5の変形装置は静止構成にある。
【
図7】
図6の断面図であり、
図5の変形装置は、第1の区域及び第2の区域が互いに非対称である変形構成にある。
【
図8】
図1の断面III-IIIに沿った
図1の供給ヘッドの変形例の断面図であり、変形構成において、供給ヘッドは、互いに対して非対称であり供給送出部まで延在する第1の区域及び第2の区域を有し、第1の区域及び第2の区域は、それぞれ第1の縁部及び第2の縁部を有し、第1の縁部及び第2の縁部は、軸線に沿ってオフセットされる供給送出部を少なくとも部分的に画定する。
【発明を実施するための形態】
【0066】
本発明は、本発明の非限定的な例示的実施形態を示す添付図面を参照することにより、より良く理解され、実施されることができる。
【0067】
図1~
図8は、高分子材料(図示せず)に対する供給ヘッド1を示す。高分子材料は、例えばナイフのような分離装置(図示せず)によって、投用量2を形成するような方法で供給される残りの高分子材料から分離される。
【0068】
様々な図面において、同じ符号は同じ構成要素に関連付けられることに留意されたい。
【0069】
供給ヘッド1は、互いに異なる高分子材料の複数の層、例えば2つの外層の間に介在する中央機能層を含む、高分子材料の連続共押出構造体(図示せず)を供給する共押出装置(図示せず)を備えていてもよい。中央機能層は、例えばガス及び/又は酸素及び/又は光に対するバリア特性を有する材料を含んでいてもよい。外層は、互いに等しくても異なっていてもよく、得られる物品に所望の機械的及び/又は美的特性を与えるように設計された材料で作ることができる。外層と中央層との間には、それぞれの補助層、例えば中央層と外層との間の接着性を向上させることを目的とした相溶化材料の層を介在させることができる。
【0070】
代替的に、供給ヘッド1は、単一材料の連続構造体、すなわち互いに異なる複数の高分子材料の代わりに、単一の高分子材料で作られたものを押し出すように位置決めされる押出装置(図示せず)を備えていてもよい。
【0071】
供給ヘッド1は、軸線Zに沿って延在する直線送出領域4が設けられるダクト3を備える。送出領域4は、高分子材料を供給送出部5に供給するように構成される。
【0072】
例えば、投用量2を分離するために、ナイフは、軸線Zに実質的に垂直で、供給送出部5に接線方向である平面内で移動させることができる。言い換えれば、ナイフが移動可能な表面は、軸線Zに対して90°に近い角度を形成し、供給送出部5にも可能な限り近い。
【0073】
送出領域4は、少なくとも4つの面を有するプリズム状に成形される。供給送出部5は、特に断面が長方形のストリップ状の高分子材料の連続構造体を供給するように、長方形に成形される。また、供給送出部5は、代替的に、図示されていないバージョンでは、正方形又は管状の形状であってもよい。ストリップの横断面が長方形である場合、この条件が必要でない場合でも、長方形の底辺が高さよりはるかに大きくてもよい。
【0074】
添付図面に示す実施例では、供給ヘッド1が、垂直又は実質的に垂直であり軸線Zと一致する高分子材料の送出方向に従って連続構造体を下方に供給するように構成されているため、供給送出部5は下方を向いている。しかし以下に説明するように、この条件は必ずしも必要ではない。
【0075】
本発明による供給ヘッド1は、有利には、垂直に位置決めされるそれぞれの軸線を中心に回転可能な成形カルーセル(図示せず)を備える機器(図示せず)において使用され得る。成形カルーセルは、関連する周辺領域において、複数の金型(図示せず)を備える。金型の各々は、高分子材料の投用量2を成形して、圧縮成形によってそれぞれの物品を得るように構成されている。
【0076】
機器は、供給ヘッド1から供給される高分子材料の投用量2を回収して金型に搬送する輸送カルーセル(図示せず)を備えていてもよい。輸送カルーセルは、複数の搬送装置6を備えていてもよく、そのうちの1つが
図3及び
図6に示されている。搬送装置6の各々は、高分子材料の投用量2を、例えば成形カルーセルに向かって搬送するように位置決めされる。
【0077】
搬送装置6は搬送壁601を備える。搬送壁601は平坦であってもよく、投用量2を保持するように構成される。投用量2は、搬送装置6が供給ヘッド1を通る経路Pに沿って移動する間、搬送装置6に付着したままである。
【0078】
したがって、搬送装置6は、供給ヘッド1から供給される高分子材料から得られる投用量2を搬送壁601に移送するように構成されている。
【0079】
輸送カルーセルは、図示されていない垂直の軸線を中心に回転するように構成されている。回転中、各搬送装置6は、例えば垂直軸線を中心とする円形経路のような閉経路であっても、例えば直線状のような閉経路であってもよい経路Pに沿って移動する。
【0080】
また、経路Pに沿う各搬送装置6は、回収される投用量2の配向を変更し、成形方向に対して横断的に金型に送達するために、軸線Hを中心に回転するように構成されている。
【0081】
この種の機器は、本発明と同じ出願人による特許文献1に記載されている。
【0082】
搬送壁601は、
図3及び
図6に示されており、平坦である。
【0083】
代替的に、図示されていない実施形態によれば、搬送装置6は、カルーセルの垂直回転軸線に直角な平面を考慮すると、断面がU字形状の要素を備えることができる。この要素は、供給ヘッド1を通る経路Pにおける回転中に相対的な配向が変化せず、固定されている。搬送壁は、この場合、「U」の底壁とすることができ、投用量は「U」の側部アームによって画定されたままである。
【0084】
搬送装置6が供給ヘッド1を通って前進する間に高分子材料を保持するのに適しているならば、搬送装置6について他の構成も可能である。
【0085】
本発明によれば、供給ヘッド1と、それぞれの搬送壁601が設けられる少なくとも1つの搬送装置6と、を備えるシステムが提供される。搬送装置6は、供給ヘッド1から供給される高分子材料から得られる投用量2を搬送壁601に移送する、供給ヘッド1を通る経路Pに沿って前進するように構成される。
【0086】
投用量2は、供給送出部5から回収される。
【0087】
本発明によれば、送出領域4は、互いに向かい合う少なくとも第1の区域及び第2の区域を備える。また供給ヘッド1は、少なくとも1つの変形構成を有し、この構成において、供給送出部5から供給される高分子材料の供給方向Dを制御して搬送壁601に移送するように、第1の区域及び第2の区域が非対称であり、送出領域4における高分子材料の流れを乱す。
【0088】
したがって、第1の区域及び第2の区域が非対称であることにより、高分子材料を搬送壁601に対して所望の供給方向Dに向けるように構成される、高分子材料の流れの乱れを生じさせる。
【0089】
用語「供給方向」Dは、供給される高分子材料の対称軸線を意味する。
【0090】
変形構成における第1の区域及び第2の区域の間の非対称性により、供給ヘッド1の送出領域4を局所的に変形させて、高分子材料の流れに影響を及ぼし、供給方向Dを変形させることができる。
【0091】
高分子材料の供給方向Dは、高分子材料から分離される投用量2の供給方向と一致する。
【0092】
したがって、供給方向Dを制御することによって、搬送装置6が供給送出部5から投用量2を回収する方法を制御することが可能であり、また、投用量Dを搬送装置6の搬送壁601に最大限に付着させることが可能である。
【0093】
この非対称性により、送出領域4における高分子材料の流れの乱れが、高分子材料を搬送壁601に対して所望の供給方向に向けるように構成されることに留意されたい。
【0094】
例えば、所望の供給方向は傾斜していてもよく、以下に記載されるように、投用量2の遠位端部2aが投用量2の近位端部2bよりも搬送壁601に近い方向でもよい。
【0095】
また、本発明による移送システムは、供給送出部5から供給される残りの高分子材料から高分子材料の投用量2を分離する分離装置、すなわちナイフをさらに備えることができ、このようにして得られる投用量2は、搬送装置6から回収され、また搬送装置6に移送されることに留意されたい。
【0096】
上述したように、ナイフは、供給ヘッド1及び搬送装置6に対して移動可能である。ナイフと供給される高分子材料との間に投用量2の供給方向を変え得る衝撃が生じることがあるとしても、送出領域5における材料の流れの乱れは、この場合にも、搬送壁601に対する所望の供給方向Dを制御することができる。実際、供給送出部5から供給される高分子材料を方向付けることによって、ナイフによるあらゆる変化を補償することも可能である。
【0097】
図1~
図7は、供給ヘッド1を示す。供給ヘッド1には、送出領域4内に位置決めされる第1の区域401及び第2の区域402がある。
【0098】
非対称性を生成するために、第1の区域401及び第2の区域402は、軸線Zに向かって異なる方法で突出し、送出領域4の通過断面を変更する。
【0099】
言い換えれば、第1の区域401及び第2の区域402は、送出領域4を取り囲むそれぞれのエリアに対して軸線Zに向かって異なる方法で突出し、送出領域4の片側を不連続とし、したがって高分子材料の供給方向Dを制御する。非対称性は、第2の区域402と第1の区域401の形状の違いにある。
【0100】
例えば、第1の区域401は軸線Zに向かって突出し、第2の区域402は突出部がない。
【0101】
このようにすると、第1の区域401と接触している高分子材料の流体流は減速するが、反対側の第2の区域402と接触している供給される高分子材料は乱されないので、その速度を変更することなく流れる。これにより、供給される高分子材料が局所的に乱され、高分子材料を所望の供給方向Dに向けることができる。
【0102】
所望の供給方向Dは、高分子材料が実質的に垂直に供給されるように直線方向であってもよい。
【0103】
しかしながら、出願人は、所望の供給方向は、搬送壁601が供給ヘッド1を通って前進するときに、投用量2の移送中に投用量2の遠位端部2aが投用量2の近位端部2bよりも搬送壁601に近くなるように、高分子材料が搬送壁601に向かって傾斜して出てくる方向であってもよいことを観察した。
【0104】
言い換えれば、供給ヘッド1と搬送装置6とを備えるシステムでは、流れの乱れは、上述のように、投用量2の移送中に、供給される高分子材料を搬送壁601に向かって傾斜させるように構成することができる。
【0105】
例えば、第1の区域401と接触している高分子材料の流体流が減速することにより、送出領域4における高分子材料の流速を変更し、
図4及び
図7に示すように、高分子材料が搬送壁601に向かって
傾斜するような流れの乱れを生じさせることができる。
【0106】
これにより、搬送壁が供給ヘッド1を通る経路Pを移動するときに、投用量2が搬送壁601に完全に付着したままであることを保証する。
【0107】
しかしながら、代替的に、図示されていない態様では、高分子材料は搬送壁601から離れるように傾斜してもよく、すなわち、投用量2の遠位端部2aは、相対的な近位端部2bよりも搬送壁601から遠くてもよい。
【0108】
供給ヘッド1は、静止構成をさらに有する。静止構成において、第1の区域401及び第2の区域402は対称であり、供給送出部5からの高分子材料の供給方向を乱さない。
【0109】
供給ヘッドは、変形構成と静止構成との間で制御可能である。
【0110】
実際、供給ヘッド1は、供給ヘッド1を変形構成又は静止構成に位置決めするように構成することができる変形装置7を備える。
【0111】
変形装置7は供給ヘッド1内に収容されているが、供給ヘッド1の外部から制御して、変形構成又は静止構成に構成することができる。
【0112】
このようにして、オペレータは、変形装置7を変形構成に配置して、高分子材料の供給方向Dを制御するように送出領域4を局所的に非対称にするか、又はこれが必要でないかを決定することができる。
【0113】
同時に、変形装置7を構成する可能性が重要でない場合には、変形装置7の変形構成を経時的に固定してもよい。例えばある種の高分子材料では、所望の供給方向Dを保証するために、送出区域4において常に局所的に不連続である必要があり得る。
【0114】
実際、上述のように、高分子材料の供給方向Dは、供給される高分子材料の種類を含む、相互に関連する複数の変数に依存することが多く、ある種類の高分子材料に対しては変形装置を変形構成に配置することが必要であるが、別の種類の高分子材料に対してはそうでない場合もあり得る。
【0115】
図2~
図7に示すように、第2の区域402は突起がなく、送出領域4は、第2の区域402に面して位置決めされる開口部403を含む。
【0116】
変形装置7は、変形面を有する。変形面は、変形装置7が変形構成にあるときに、第1の区域401を作る開口部403から突出する。
【0117】
他方、変形装置7が静止構成にあるとき、変形面は、開口部403と、開口部403を取り囲む送出領域4のエリア404とに整列する。
【0118】
これは、変形構成における第1の区域401及び第2の区域402の間の非対称性、ならびに通過断面の変形が、第1の区域401のみが軸線Zに向かって横方向に突出し、他方で第2の区域402が送出領域4に整列することによって与えられることを意味する。第2の区域402において、ダクト3の送出領域4はそのままである。
【0119】
図2~
図4に示すように、変形装置は回転可能なローラ701として作られている。ローラ701は、回転軸線Xを有する。回転軸線Xは、軸線Zに対して横断する平面、特に垂直な平面にあり、軸線Zから所定の距離に位置している。ローラ701は、供給ヘッド1の貫通孔8に収容され、貫通孔を介して図示されていない方法でオペレータによって回転させることができる。
【0120】
ローラ701には、少なくとも1つの円筒面701aを備える側面が設けられている。また、ローラ701の側面は、平坦面701bを備える。また、ローラ701は、軸線Zに平行な平面にある対向する端面701cによって区切られている。
【0121】
変形構成において、ローラ701は、開口部403から突出して変形面を画定する円筒面701aの一部を有する。したがって、開口部403を取り囲むエリア404に対して突出する第1の区域401は、ローラ701の円筒面のうち開口部403を通過する部分によって作られる。変形構成における第1の区域401は、湾曲している。
【0122】
静止構成において、ローラ701は平坦面701bの一部が開口部に整列しており、したがって、これは周囲のエリア404に整列して変形面を画定する。
【0123】
図4aに概略的に示すバージョンによれば、ローラ701は複数の角度セクタを有してもよい。各角度セクタは、それぞれの曲率が設けられるそれぞれの円筒面を有する。円筒部分の曲率は全て互いに異なっている。
【0124】
言い換えれば、ローラ701は、各々が異なる形状、例えばそれぞれの曲率を有する、円筒状側面を有する角度ローブに分割されてもよい。
【0125】
例えばローラ701は、4つの角度セクタに分割されてもよい。各角度セクタは、例えば90°だけ延びる。ローラ701の側面は、第1の角度セクタでは、平坦面701bを有していてもよく、第2の角度セクタでは、第1の曲率、例えば
図4に示す円筒面と同じ曲率、即ち第1の半径を有する第1の円筒面701aを有していてもよい。第3の角度セクタでは、
図4aの拡大図に示すように、第2の曲率、即ち第2の半径を有する第2の円筒面701a´を有していてもよく、最後に第4の角度セクタでは、図示されていないが、第3の曲率、即ち第3の半径を有する第3の円筒面を有していてもよい。
【0126】
円筒面701a、701a´が複数の異なる曲率を有する角度セクタで成形されるローラ701の場合、ローラ701を回転させることによって、ローラの側面の一部を開口部403を通して表示することが可能であり、これは、例えば第1の円筒面701a、第2の円筒面701a´又は第3の円筒面の間で選択され得る。言い換えれば、変形面は、変形構成において、供給される高分子材料の種類に関連して軸線Zに向かっておおよそ突出した形状となるように選択され得る。
【0127】
しかしながら、ローラ701は、円筒面の1つを露出させる位置に固定され、さらなる調整を必要とせずに経時的に固定された状態を維持できることに留意されたい。
【0128】
図5~
図7に示すように、変形装置7はピン702として作られている。ピン702は、外部に向かって開口しているそれぞれの区画9に収容されている。
【0129】
ピン702は、変形面を画定する前面702aを有する。
【0130】
図7に示す変形構成において、ピン702は前方位置にあり、前面702aは開口部403を通って延在して第1の区域401を画定する。前面702aは、開口部403と実質的に同じ形状である。
【0131】
ピン702は、軸線Zに対して横断する平面、特に垂直な平面にある移動方向において、軸線Zから直線的に離れてかつ軸線Zに向かって移動可能であり得る。ピン702は、前進位置と引っ込み位置との間で移動可能であり得る。
【0132】
ピン702の前進位置は調整可能であり、送出領域4の通路断面を調整することができる。
【0133】
言い換えれば、ピン702の前面702aが周囲のエリア404に対してどれだけ突出するかを調整することができる。
【0134】
これは、高分子材料の供給開始前に行われる調整であり、高分子材料のレオロジー特性に依存することに留意されたい。
【0135】
ローラ701について、設計段階において、第1の区域401が円筒面の曲率によって画定されるか、又はローラ701が複数の角度セクタを有する場合は円筒部分の複数の曲率によって画定される場合、ピン702を使用して作られる第1の区域401は、おおよそ突出するように調整することができる。
【0136】
しかしながら、ピン702は、所定の位置に固定され、さらなる調整を必要とせずに経時的に固定された状態を維持できることに留意されたい。
【0137】
また、ピン702について、第1の区域401及び第2の区域402の間の非対称性は、ピン702の前面702aの形状によって決定される。形状は丸みを帯びていてもよく、又は端部が面取りされて実質的に平坦であってもよい。
【0138】
この目的について、高分子材料の種類に関連して供給方向Dの制御を最適化するために、前面702aの曲率がおおよそ顕著に異なる交換可能なピン702を提供することが可能である。
【0139】
図6の静止構成において、ピン702は引っ込み位置にあり、前面702aは、開口部403を取り囲む送出領域4のエリア404に整列している。
【0140】
ピン702は、区画9に収容され、供給ヘッド1の外側に向かって底面702bを露出している。この底面702bには、調整グラブねじ702cがある。この調整グラブねじ702cによって、オペレータは前進位置と後退位置との間でピン702の移動を調整することができる。調整グラブねじ702cにより、オペレータは、ピン702が送出領域4にどれだけ延在するかを調整することができる。
【0141】
図示されていない供給ヘッド1の変形例によれば、変形構成において、第1の区域401及び第2の区域402は、高分子材料の局所的な温度分布を変更するために、送出領域4内に位置決めされ、異なる温度を有する。
【0142】
言い換えれば、第1の区域401及び第2の区域402は、異なる方法で熱的に調節され、したがって熱的非対称性を有する。
【0143】
熱的非対称性は、異なる電圧によって電力が供給される発熱装置によって達成され、それゆえ異なる電力が発生する。高分子材料の供給方向、及び必要に応じてその可能な傾斜は、機械オペレータが検討するように設計された画面上に表示することができる。
【0144】
また、第1の区域401及び第2の区域402の熱調節は、熱的非対称性をより良く制御するために、差別化された冷却を含むことができる。
【0145】
送出領域4内に位置し、したがって送出領域5から遠いこの熱的非対称性のおかげで、高分子材料内の温度分布を制御することができ、したがって送出領域5における供給方向Dを必ず所望のものにすることができる。
【0146】
図8は、供給ヘッド1の変形例を示す。この変形例において、送出領域4は第1の区域405及び第2の区域406を備える。第1の区域405及び第2の区域406は、供給送出部5まで延在し、それぞれ第1の縁部405a及び第2の縁部406aを有する。第1の縁部405a及び第2の縁部406aは、供給送出部5を少なくとも部分的に画定する。
【0147】
この変形例では、変形構成において、第1の縁部405a及び第2の縁部406aが軸線Zに沿って互いにオフセットされている。
【0148】
例えば
図8に示すように、供給送出部5は軸線Zに対して傾斜しており、したがって第2の縁部406aは第1の縁部405aに対して引っ込んでおり、第1の区域405は第2の区域406から突出している。
【0149】
第1の区域405及び第2の区域406は、少なくとも互いに向かい合っている。
【0150】
第1の区域405及び第2の区域406が供給送出部5まで延在する場合、変形構成は、経時的に固定されたままであることに留意されたい。
【0151】
供給される高分子材料の種類に応じて、供給送出部5は異なる形状及び角度が可能である。例えば傾斜角度が90°に近い場合、第1の区域405及び第2の区域406はほぼ整列し、一方、傾斜角度がより小さい場合、第1の区域405及び第2の区域406は軸線Zに沿って非常にオフセットされてもよい。
【0152】
代替的に、図示されていない実施形態によれば、供給送出部5の第1の縁部405a及び第2の縁部406aは異なる平面上にあってもよく、したがって、供給送出部5は、第2の縁部406aが第1の縁部405aに対して引っ込んでいる2つのレベルにあってもよい。例えば、第2の区域406は送出領域5の一部に対してのみ角度的に延在してもよく、一方、第1の区域405は残りの角度部分にわたって延在してもよい。
【0153】
非対称である供給送出部5は、第1の区域405と接触している高分子材料の流体流を減速させるが、反対側の供給される高分子材料は自由であり、その速度が変化しないようになっている。
【0154】
第1の区域405及び第2の区域406のこの非対称構成は、供給される高分子材料を局所的に乱し、したがって高分子材料を所望の供給方向Dに向けることができる。
【0155】
供給ヘッド1を容易に構成するために、供給ヘッドは、内側区域101と端部区域102と、を備え、端部区域102は、内側区域101に取り外し可能に取り付け可能である。送出領域4の一部は端部区域102上に形成される。端部区域102は、第1の区域405及び第2の区域406を備える。第1の区域405及び第2の区域406は、互いにオフセットされ、供給送出部5まで延在している。
【0156】
このようにして、供給ヘッド1の端部区域102を取り外し、供給送出部5の形状が異なる、例えばおおよそ傾斜した形状の別のものと交換することができる。
【0157】
図示されていないバージョンによれば、有利には、供給送出部5が軸線Zに対して傾斜している場合、ナイフの移動平面に実質的に平行かつ接線方向の平面上に供給送出部5を位置決めするまで供給ヘッド1を傾斜させて、供給送出部5があるのと同じ平面上に供給される残りの高分子材料からナイフが投用量2を分離することを保証する。
【0158】
例えば、投用量2が垂直に供給されなければならない場合、ナイフは、実質的に水平な移動平面において、投用量2を残りの高分子材料から分離する。
【0159】
供給送出部5が軸線Zに対して所定の角度だけ傾斜している場合、有利には、供給ヘッド1を供給送出部5の傾斜角度に相補的な角度だけ回転させて、供給送出部5も水平に、ナイフの移動平面の接線方向に位置決めする。
【0160】
静止構成において、供給ヘッド1の端部区域102は、非対称でない第1の区域405及び第2の区域406を有する。すなわち、第1の縁部405a及び第2の縁部406aは、互いに整列して延在している。
【0161】
上述のように、供給ヘッド1のこのバージョンにおいても、所望の供給方向Dは、投用量2の経路Pに沿った移送中に、投用量2の遠位端部2aが投用量2の近位端部2bよりも搬送壁601に近くなるように、高分子材料が搬送壁601に向かって傾斜して逃げる方向であってもよい。
【0162】
例えば、高分子材料を減速させるのが第1の区域405であり、第1の区域405が経路Pに沿った搬送壁の前方移動方向において第2の区域406の上流側にある場合、有利には、高分子材料は第1の区域405自体に向かって、すなわち搬送壁601に向かって湾曲し傾斜している。
【0163】
この場合、所望の供給方向Dは傾斜している。
【0164】
上述したように、供給送出部5の断面が長方形であり、送出領域4が少なくとも4つの面を有するプリズム状の形状である場合、第1の区域401及び第2の区域402が送出領域4内に位置決めされると、第1の区域401及び第2の区域402はプリズムの対向面に位置決めされる。
【0165】
また、第1の区域405及び第2の区域406が供給送出部5まで延在し、供給送出部5が傾斜している場合、第1の区域401及び第2の区域402は、プリズムの対向面に位置決めされる。
【0166】
使用において、以下のステップを含む高分子材料を供給する方法を提案する。
-軸線Zに沿って延在する直線送出領域4によって、高分子材料を供給ヘッド1の供給送出部5に送り出すステップ
-送出領域4の第1の区域401又は405、及び第2の区域402又は406が非対称な変形構成で互いに向かい合い、送出領域4における高分子材料の流れを乱すように構成して、供給送出部5から供給される高分子材料の供給方向Dを制御するステップ
当該供給方向の制御は、
-乱された高分子材料を所望の供給方向に向けるステップを含む。
【0167】
言い換えれば、本方法は、供給送出部5から供給される高分子材料の流れの乱れを生じさせるように送出領域に非対称性を構成するステップと、したがってプラスチック材料を所望の供給領域に向けるステップと、を含む。
【0168】
さらに、本方法は、搬送装置6の搬送壁601に対して所望の供給方向を選択するステップ、例えば供給される高分子材料を傾斜させるステップを含む。
【0169】
また、本方法は、第1の区域401及び第2の区域402を送出領域4内に位置決めするステップと、第1の区域401及び第2の区域402が軸線Zに向かって異なる方法で突出するように、送出領域4の通過断面を変更して非対称性を生成するステップと、を含む。
【0170】
代替的に、本方法は、第1の区域401及び第2の区域402が送出領域4まで延在するように位置決めし、供給送出部5を少なくとも部分的に画定する第1の縁部405a及び第2の縁部406aが軸線Zに沿って互いにオフセットされるように非対称性を作り出すステップを含むことができる。
【0171】
いずれの場合も、この方法により、簡単かつ安価な方法で高分子材料の供給方向Dを所望のものであるように制御することができる。
【0172】
また、供給ヘッド1から搬送壁601を備える搬送装置6に高分子材料の投用量2を移送する方法が提案され、本方法は、以下のステップを含む。
-供給ヘッド1から供給方向Dに高分子材料を供給するステップ
-高分子材料の供給方向Dを制御するステップ
-供給ヘッド1から供給される高分子材料から高分子材料の投用量2を分離するステップ
-搬送壁601を供給ヘッド1に向かって移動させ、高分子材料の投用量を搬送壁601に移送するステップ
当該高分子材料の供給方向を制御するステップは、投用量2の移送中に、投用量2の遠位端部2aが投用量2の近位端部2bよりも搬送壁601に近くなるように、搬送壁601に向かって供給される高分子材料を傾斜させるステップを含む。
【0173】
高分子材料の供給方向Dは、本発明による供給方法によって制御することができる。本方法は、送出領域に非対称性を作るステップと、非対称性によって乱されたプラスチック材料を所望の供給方向に向けるステップと、を含む。
【0174】
本発明による移送方法により、
図4、
図7及び
図8に示すように、投用量2は、有利には、搬送壁601に向かって傾斜して移動する。これにより、投用量2が所望の態様で搬送壁601に付着することが保証され、それぞれの圧縮成形金型への最適な放出が保証される。