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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-14
(45)【発行日】2023-08-22
(54)【発明の名称】回転軸の制振機構
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/10 20060101AFI20230815BHJP
   F16C 35/077 20060101ALI20230815BHJP
   F16C 27/00 20060101ALI20230815BHJP
【FI】
F16F15/10 A
F16F15/10 B
F16C35/077
F16C27/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022574247
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 DK2021050161
(87)【国際公開番号】W WO2021249600
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】PA202070359
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522467954
【氏名又は名称】コンポーネント 2.0 エーエス
【氏名又は名称原語表記】COMPONENT 2.0 A/S
【住所又は居所原語表記】Lyngso Alle 3 2970 Horsholm Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ラルセン アスガー メング
(72)【発明者】
【氏名】ラスムセン ヤヌス ユール
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2005/026574(WO,A1)
【文献】特開昭50-146779(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00134856(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/10
F16C 35/077
F16C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸のラジアル方向の振動を減衰させるための制振機構であって、前記制振機構は、
少なくとも1つの第1減衰要素と;
少なくとも1つの第2減衰要素と;
前記第1減衰要素と前記第2減衰要素に動作可能に係合するベアリング機構と;
を備え、前記ベアリング機構は、
第1ベアリング部材と;
第2ベアリング部材と;
少なくとも一部が入れ子状に配される基準と;
を備え、
前記第1ベアリング部材は、前記回転軸のラジアル方向の動きが前記第1ベアリング部材に伝達されるように、前記軸に回転可能に取り付けられ;
前記第1ベアリング部材は、前記第1減衰要素及び第1ステアリング構造によって前記第2ベアリング部材に動作可能に連結され;
前記第1ステアリング構造は、前記第1ベアリング部材及び前記回転軸の、第1のラジアル方向への往復運動のみを許容し、前記第1減衰要素は、前記第2ベアリング部材に関して前記第1のラジアル方向への往復運動を減衰させ;
前記第2ベアリング部材は、前記第2減衰要素及び第2ステアリング構造によって前記基準に動作可能に接続され;
前記第2ステアリング構造は、前記第2ベアリング部材,前記第1ベアリング部材,及び前記回転軸の、第2のラジアル方向への往復運動のみを許容し、前記第2減衰要素は、前記基準に対して前記第2のラジアル方向への往復運動を減衰させる;
制振機構。
【請求項2】
前記第2のラジアル方向は、前記第1のラジアル方向から、好ましくは少なくとも45°の角度、最も好ましくは約90°の角度だけ角度的に間隔が空けられている、請求項1に記載の制振機構。
【請求項3】
前記軸のラジアル方向の振動は、前記第1のラジアル方向及び/又は前記第2のラジアル方向への前記第1ベアリング部材の往復運動を生成し、及び/又は、前記第2のラジアル方向への前記第2ベアリング部材の往復運動を生成する、請求項1又は2に記載の制振機構。
【請求項4】
前記第1減衰要素は、前記第1ベアリング部材と前記第2ベアリング部材との間に少なくとも部分的に配置され、前記第1ベアリング部材の前記第1のラジアル方向への往復運動を減衰させ、
前記第2減衰要素は、前記第2ベアリング部材と前記基準との間に少なくとも部分的に配置され、前記第2ベアリング部材の前記第2のラジアル方向への往復運動を減衰させる、
請求項1からのいずれか1項に記載の制振機構。
【請求項5】
前記第1減衰要素及び前記第2減衰要素は、単動型又は複動型の減衰要素である、請求項1からのいずれか1項に記載の制振機構。
【請求項6】
前記第2のラジアル方向は、前記第1のラジアル方向及び前記軸の中心軸に対して垂直に延びている、請求項1から5のいずれか1項に記載の制振装置。
【請求項7】
前記制振機構は、前記第1のラジアル方向に沿って、前記中心軸の径方向の両側に配置された2つの第1減衰要素を有する、請求項に記載の制振機構。
【請求項8】
前記制振機構は、前記第2のラジアル方向に沿って、前記中心軸の径方向の両側に配置された2つの第2減衰要素を有する、請求項6又は7に記載の制振機構。
【請求項9】
前記第1ベアリング部材の前記第1のラジアル方向への往復運動は、前記中心軸から軸直径の±25%の最大振幅を有し、及び/又は、
前記第2ベアリング部材の前記第2のラジアル方向への往復運動は、前記中心軸から前記軸直径の±25%の最大振幅を有する、
請求項から8のいずれか1項に記載の制振機構。
【請求項10】
前記第1ステアリング構造及び/又は前記第2ステアリング構造は、少なくとも2つの摺動自在に係合するステアリング要素を備え、前記ステアリング要素は好ましくは1つの溝及び1つの突起である、請求項1から9のいずれか1項に記載の制振機構。
【請求項11】
前記第2ベアリング部材は複数の溝を有し、そのうち少なくとも1つの第1の溝は前記第1ステアリング構造の一部であり、少なくとも1つの第2の溝は前記第2ステアリング構造の一部であり、
前記第1ベアリング部材は、前記第1の溝に係合する少なくとも1つの第1突出部を有し、
前記基準は、前記第2の溝に係合する少なくとも1つの第2の突出部を有する、
請求項10に記載の制振機構。
【請求項12】
前記基準は少なくとも1つの軸方向停止部を備え、該軸方向停止部は、前記第1ベアリング部材及び前記第2ベアリング部材が、前記基準に対して、前記軸に沿って軸方向に移動することを防止するように構成される、請求項1から11のいずれか1項に記載の制振機構。
【請求項13】
軸と、第1ベアリングと、第2ベアリングとを備えると共に、請求項1から12のいずれか1項に記載の制振機構を少なくとも1つ備える回転軸構造であって、
前記軸と、前記第1ベアリングと、前記第2ベアリングと、前記制振機構とは、中心軸を共有し、
前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとは前記中心軸に沿った距離だけ離れており、
前記制振機構は、前記中心軸に沿って、前記軸のラジアル方向の振動が最大振幅となる位置で、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの間に配される、
回転軸構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示事項は回転軸の構造に関し、より詳細には、回転軸装置の回転軸における径方向の振動を減衰させるための制振機構に関する。
【背景】
【0002】
回転軸のような回転部品を有する機械システムでは、部品間の機械的なアンバランスやミスアライメント、軸の固有振動数などが相まって、しばしば振動に関連する問題が発生することがある。
【0003】
固有振動数とは、システムが振動しやすい周波数で、一般にシステムの運用上好ましくない周波数である。
【0004】
すべての回転軸はある程度アンバランスな質量を有する。これは、軸の回転速度がその固有振動数に近いか等しいとき、共振振動を生じさせる。(このような速度は危険速度(critical speed)と呼ばれることがある。)軸のたわみの大きさは、軸とその支持体の剛性、支持体間の距離、軸と付属部品の質量分布、回転軸に関する質量のアンバランス、軸の形状、システムの減衰量などの要因に依存する。
【0005】
一般に、回転軸の危険速度は計算する必要がある。というのも、 危険速度は、軸の共振振動を励起する回転速度、すなわち固有振動数であるからである。軸の回転速度が軸の固有周波数に近づくと、軸は共振を始め、システムの振動や、場合によっては騒音が劇的に増加する。
【0006】
さらに、このような軸の振動は、ベアリングやカップリング、ギアなどの他の部品にさらなる負荷を与え、最終的に機械システムの破壊的な故障につながる可能性がある。
【0007】
軸の固有振動数を刺激しないようにする一つの解決策は、最高速度が最低危険速度より低くなるようにシステムを設計することや、最高速度がある危険速度と他の危険速度の間の区間に入るようにシステムを設計することだけでする。しかし、これでは機械システムの有用性が大きく制限される。
【0008】
代わりに、この固有振動数励起の問題を、回転軸に沿って複数のベアリング又はベアリング機構を追加し、ラジアル方向の振動を減衰させることで、緩和することができる。しかしその場合、ベアリングを正確に調整する必要があり、それは非常に高価で時間のかかるプロセスであるという、別の問題が発生する。また、ベアリングのアライメントは長年使用することで悪化する可能性がある。さらに、ベアリングの数を増やして軸を過度に拘束すると、ベアリング間の位置ずれや公差累積のリスクが高まる。
【摘要】
【0009】
上述の課題を解決するか又は少なくとも緩和する制振機構であって、ラジアル方向の振動を減衰させるための制振機構を提供することが目的の一つである。上述の課題やその他の課題が、独立請求項に記載の特徴により解決される。より具体的な実装形態は、従属請求項や発明の詳細な説明、図面から明らかになるだろう。
【0010】
第1の捉え方によれば、回転軸のラジアル方向の振動を減衰させるための、次のような制振機構が提供される。この制振機構は、
少なくとも1つの第1減衰要素と;
少なくとも1つの第2減衰要素と;
前記第1減衰要素と前記第2減衰要素に動作可能に係合するベアリング機構と;
を備え、前記ベアリング機構は、
第1ベアリング部材と;
第2ベアリング部材と;
少なくとも一部が入れ子状に配される基準(reference)と;
を備え、
前記第1ベアリング部材は、前記回転軸のラジアル方向の動きが前記第1ベアリング部材に伝達されるように、前記軸に回転可能に取り付けられ;
前記第1ベアリング部材は、前記第1減衰要素及び第1ステアリング構造によって前記第2ベアリング部材に動作可能に連結され;
前記第1ステアリング構造は、前記第1ベアリング部材及び前記回転軸の、第1のラジアル方向への往復運動のみを許容し、前記第1減衰要素は、前記第2ベアリング部材に関して前記第1のラジアル方向への往復運動を減衰させ;
前記第2ベアリング部材は、前記第2減衰要素及び第2ステアリング構造によって前記基準に動作可能に接続され;
前記第2ステアリング構造は、前記第2ベアリング部材,前記第1ベアリング部材,及び前記回転軸の、第2のラジアル方向への往復運動のみを許容し、前記第2減衰要素は、前記基準に対して前記第2のラジアル方向への往復運動を減衰させる。
【0011】
この制振機構は、ラジアル方向の振動を減衰させる機構を内蔵するベアリング機構を提供することによって、軸のラジアル方向の振動を減衰させ、したがって、システムの振動及び騒音を防止することを可能にする。この第1の捉え方に従う制振機構と組み合わせることによって、軸の全長に沿って配置された複数のベアリングを必要とする先行技術の解決策よりも、著しく少ない数のベアリングで回転軸を支持することができる。前記第1の捉え方による制振機構のみを使用することによって、多数のベアリングを正確に位置合わせする必要がなくなり、制振機構をより安価にするだけでなく、組立中及び使用中の位置合わせの正確さがもはや問題ではないので、先行技術の解決策よりも信頼性が高くなる。
【0012】
前記第1の捉え方の実装形態の一例において、前記第1ベアリング部材は、前記第1ベアリング部材に対して前記軸が回転するように前記軸に回転可能に取り付けられる。軸の回転軸は、好ましくは軸の中心軸に対応する。これにより、回転に起因する前記第1ベアリング部材と前記軸との間の位置ずれを防止することができる。
【0013】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1ベアリング部材及び前記第2ベアリング部材は、ラジアル方向の振動に応じて、第1のラジアル方向及び第2のラジアル方向に互いに対して自動的にアライメントが調整されるように構成される。それによって、前記第1ベアリング部材と前記第2ベアリング部材、ひいては前記第2ベアリング部材と前記軸の間のいかなる永久的な位置不整合も防止される。
【0014】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1ベアリング部材と前記第2ベアリング部材とは滑り軸受を形成してもよい。
【0015】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記ベアリングの構成はオルダムカップリング(Oldham coupling)である。
【0016】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第2の方向は、前記第1の方向から、好ましくは少なくとも45°の角度、最も好ましくは約90°の角度だけ角度的に間隔が空けられている。このような配置は、前記軸が第1の方向に曲がることを防止する。
【0017】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第2の方向は、前記第1の方向と直交し、軸の中心軸に直交している。
【0018】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1ベアリング部材と前記第2ベアリング部材とは前記軸と中心軸を共有する。
【0019】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記軸のラジアル方向の振動は、前記第1ベアリング部材の前記第1の方向及び/又は前記第2の方向への往復運動、及び/又は、前記第2ベアリング部材の前記第2の方向への往復運動を生成する。複数の、好ましくはすべてのラジアル方向の振動に応答することを促す。
【0020】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1ベアリング部材は、前記第1の方向及び前記第2の方向に沿って移動可能とされ、前記第2ベアリング部材は、前記第1の方向に沿って固定的とされる。
【0021】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1減衰要素は、前記第1ベアリング部材と前記第2ベアリング部材との間に少なくとも部分的に配置され、前記第1ベアリング部材の前記第1の方向への往復運動を減衰させ、前記第2減衰要素は、前記第2ベアリング部材と前記基準との間に少なくとも部分的に配置され、前記第2ベアリング部材の前記第2方向への往復運動を減衰させる。これにより、前記第1ベアリング部材の回転を前記基準にロックする。また、前記第1ベアリング部材と前記第2ベアリング部材との間、及び前記第2ベアリング部材と前記基準との間の相対運動を利用して、減衰要素により振動を減衰させる。
【0022】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、第1の固有周波数、及び場合によっては第2の固有周波数を有する少なくともラジアル方向の振動は、システムの振動及び騒音が最小限に保たれるように、制振機構によって減衰される。
【0023】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1減衰要素及び前記第2減衰要素は、単動型又は複動型であり、スペースや製造コストの制約に応じた制振機構を可能にする。
【0024】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記制振機構は、前記中心軸の径方向の両側に前記第1の方向に沿って配置された2つの第1減衰要素を有し、簡単かつ信頼性の高い減衰要素によって、2つの反対方向への減衰を実現することが可能である。
【0025】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記制振機構は、前記中心軸の径方向の両側に前記第2の方向に沿って配置された2つの第2減衰要素を有し、簡単かつ信頼性の高い減衰要素によって、別の2つの反対方向への減衰を実現することが可能である。
【0026】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1ベアリング部材、前記第2ベアリング部材、及び前記基準部は、実質的に柱状である。
【0027】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1の減衰要素及び前記第2の減衰要素は流体を有する。つまり、非常にシンプルで簡単に交換可能な減衰要素によって、減衰を両方向に実行することを可能にする。
【0028】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1ベアリング部材及び前記第2ベアリング部材は、流体を収容するように構成された、外周方向に延在する凹部を備える。前記凹部は前記第1ベアリング部材及び前記第2ベアリング部材の外周面に延在しする。前記第1ベアリング部材及び前記第2ベアリング部材の凹部面によって形成される空間は前記流体を収容する。また前記空間は、前記流体が、ラジアル方向において十分な耐荷重を提供することを可能にする。
【0029】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1ベアリング部材の前記第1方向への往復運動は、前記中心軸から軸直径の±25%の最大振幅を有し、及び/又は、前記第2ベアリング部材の前記第2方向への往復運動は、前記中心軸から前記軸直径の±25%の最大振幅を有する。これらによって、前記制振機構または前記軸に過度のストレスを与えることなく、減衰が必要な機械システムの大部分において、ラジアル振動の減衰を可能にする。
【0030】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1ステアリング構造及び/又は前記第2ステアリング構造は、少なくとも2つの摺動自在に係合するステアリング要素を備え、前記ステアリング要素は好ましくは1つの溝及び1つの突起である。これは、あらゆる動きを1つの軸に沿った2つの反対方向に制限する、費用対効果が高く、信頼性の高い解決策である。
【0031】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第2ベアリング部材は複数の溝を有し、そのうち少なくとも1つの第1の溝は前記第1ステアリング構造の一部であり、少なくとも1つの第2の溝は前記第2ステアリング構造の一部であり、前記第1ベアリング部材は、前記第1の溝に係合する少なくとも1つの第1突出部を有し、
【0032】
前記基準は、前記第2の溝に係合する少なくとも1つの第2の突出部を有する、。これらによって、ベアリング機構の部品間の簡単で信頼できる相互接続を可能にする。またこの相互接続は、ラジアル方向の動きを依然として可能にする。
【0033】
前記第1の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記基準は少なくとも1つの軸方向停止部を備え、該軸方向停止部は、前記第1ベアリング部材及び前記第2ベアリング部材が、前記基準に対して、前記軸に沿って軸方向に移動することを防止するように構成される。これにより、前記制振機構は、前記軸に沿ったその初期位置に維持され、従って、前記軸に対する制振効果も維持される。
【0034】
第2の捉え方によれば、次のような回転軸構造が提供される。この回転軸構造は、軸と、第1ベアリングと、第2ベアリングと、前述の制振機構とを備え、
前記軸と、前記第1ベアリングと、前記第2ベアリングと、前記制振機構とは、中心軸を共有し、
前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとは前記中心軸に沿った距離だけ離れており、
前記制振機構は前記軸に沿った位置において前記第1ベアリングと前記第2ベアリングの間に配され、
前記軸のラジアル振動は最大振幅を有する。
【0035】
このタイプの軸構造は、軸のラジアル方向の振動を減衰させる。そのためラジアル方向の振動に最も影響される軸の位置に配置されたたった1つの制振機構によって、系の振動と騒音を抑制することを可能にする。さらに、前記構造は運動学的に決定されるため、前記構造内の公差やミスアライメントなどの問題に関わらず、寄生負荷(parasitic load)を発生させることがない。前記制振機構は、ラジアル方向の速度にのみ抵抗するフローティングダンパーであり、純粋なダンパーとみなすことができる。
【0036】
前記第2の捉え方の実装形態の一例において、前記ラジアル方向の振動は正弦波であり、該正弦波形の最大振幅は前記ラジアル方向振動の最大振幅に対応する。
【0037】
前記第2の捉え方の更なる実装形態の一例において、軸のラジアル方向振動が第1の固有周波数に等しいとき、前記最大振幅は、中心軸に沿って第1ベアリング及び第2ベアリングから等距離の位置に生じる。前記制振機構は、最大振幅点でラジアル振動を抑制するために、好ましくは、第1ベアリング及び第2ベアリングから等距離に配置されている。
【0038】
前記第2の捉え方の更なる実装形態の一例において、軸のラジアル方向振動が第2の固有周波数に等しいとき、前記最大振幅は、前記第1ベアリングから1/4*距離d3及び前記第2ベアリングから1/4*距離d3に生じる。ここで距離d3は、第1ベアリングと第2ベアリングとの間の距離である。この場合、最大振幅を呈する全ての点でラジアル方向の振動を減衰するために、前記制振機構は好ましくは、前記第1ベアリングから1/4*距離d3の位置と、前記d3第2ベアリングから1/4*距離3の位置とに、軸に沿ってオフセットされて配置される。
【0039】
前記第2の捉え方の更なる実装形態の一例において、軸のラジアル方向振動が第3の固有周波数に等しいとき、前記最大振幅は、中心軸に沿って、前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングから等距離の点と、前記第1ベアリングから1/4*距離d3の点と、前記第2ベアリングから1/4*距離d3の点に生じる。ここで距離d3は、第1ベアリングと第2ベアリングとの間の距離である。この場合、前記最大振幅を呈する全ての点でのラジアル方向振動を減衰するために、前記制振機構は好ましくは、前記第1ベアリング及び前記第2ベアリング前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングから等距離の点と、前記第1ベアリングから1/4*距離d3の点と、前記第2ベアリングから1/4*距離d3の点に配される。
【0040】
前記第2の捉え方の更なる実装形態の一例において、前記第1のベアリング及び/又は前記第2のベアリングは、球面ボールベアリングなどのボールベアリング、ジャーナルベアリング、磁気ベアリングであってもよい。
【0041】
これらの捉え方及び他の捉え方は、以下に説明される実施例により更に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下、図面に示される例示的な実施形態を参照しつつ、様々な捉え方や実施形態、実装例を詳細に説明する。
図1】先行技術による回転軸構造を示す模式図である。
図2】ある実施形態に係る回転軸構造を示す模式図である。
図3】ある実施形態に係る回転軸構造の長手方向断面図である。
図4】さらなる実施形態に係る回転軸構造の長手方向断面図である。
図5】ある実施形態に係る回転軸構造の横断面を示す図である。
図6】ある実施形態に係る回転軸構造を軸上に配置した場合の透視図である。
図7図6の実施形態を示す分解斜視図である。
図8】ある実施形態に係る回転軸構造の横断面を示す図である。
図9図8の実施形態の縦断面を示す図である。
【詳細説明】
【0043】
図1は、軸2と、軸2の中心軸A1に沿って配置された複数のベアリング15,16とからなる従来の回転軸構造を示す図である。このような回転軸構造は、タービン発電機や内燃機関などの機械システムの一部であり、道路車両のドライブシャフト、船舶の推進軸、ファン軸、またはクランク軸などとして使用される場合がある。このような回転軸2は、例えば部品間の機械的なアンバランスやミスアライメントに起因して、軸の固有振動数と共振して径方向の振動を受けるが、この振動は、図1に示すように、軸2に沿って配置された複数のベアリング15、16を用いて緩和されることが多い。
【0044】
図2に概略的に示す実施形態は、回転軸構造14に関するものである。回転軸構造14は、軸2と、第1のベアリング15と、第2のベアリング16と、制振機構1とを備える。制振機構1については後に詳細に説明される。軸2は、好ましくは、等方性(isotropic)の材料からなる柱状(prismatic)の軸である。ここで柱状とは、軸の断面がその長さ全体にわたって一定であることを意味する。
【0045】
第1のベアリング15と第2のベアリング16は、軸2を担持し、中心軸A1に沿って距離d3だけ離間している。好ましくは、第1のベアリング15及び第2のベアリング16は、それぞれ軸2の反対側の端部に配されるか、又は隣接して配される。回転軸構造14は複数の制振機構1を備えてもよいが、以下の段落では、説明を簡潔にするために、1つの制振機構1のみを備える回転軸構造14を説明する。また回転軸構造14は、2つ以上のベアリング15、16を備えてもよい。
【0046】
軸2、第1のベアリング15、第2のベアリング16、および制振機構1は、すべて中心軸A1を共有しており、すなわち、第1のベアリング15、第2のベアリング16、および制振機構1は、軸2の周りに少なくとも部分的に整列して配置されている。
【0047】
制振機構1は、好ましくは、中心軸A1に沿って、第1のベアリング15と第2のベアリング16との間の位置であって、軸2のラジアル方向の振動が最大振幅を有し、それゆえ、最大の制振効果を与える位置に配される。ラジアル方向振動は正弦波波形を有していてもよく、正弦波波形の最大振幅がラジアル方向振動の最大振幅に大きさと位置の両方で対応するような波形を有していてもよい。
【0048】
回転軸構造14で生じるすべての固有周波数は、1つまたは複数の制振機構1によって減衰させられてもよい。
【0049】
軸2のラジアル方向の振動が軸2の第1固有周波数に等しいとき、振動の最大振幅は、中心軸A1に沿って、第1のベアリング15及び第2のベアリング16から等距離の点に生じ、好ましくは軸2の中心点で生じる。このような実施形態では、図3及び図4に示すように、制振機構1も、第1のベアリング15及び第2のベアリング16から等距離に配される。
【0050】
代わりに、軸2のラジアル方向の振動が軸2の第2固有周波数に等しいとき、最大振幅は、第1のベアリング15から1/4*距離d3、および第2のベアリング16から1/4*距離d3で生じる。すなわち最大振幅は軸2に沿ってオフセットされ、軸2の中心点と第1のベアリング15との間および軸2の中心点と第2のベアリング16との間で生じる。第1のベアリング15と最大振幅位置との間の距離は、第1のベアリング15と第2のベアリング16との間の総距離d3の1/4であり、第2のベアリング16と最大振幅位置との間の距離も、総距離d3の1/4である。このような実施形態では、制振機構1も軸2に沿ってオフセットされて配置され、中心軸A1に沿った第1のベアリング15からの距離d3の1/4(すなわち1/4*d3)、および中心軸A1に沿った第2のベアリング16からの距離d3の1/4(すなわち1/4*d3)に配される(図示されていない)。
【0051】
軸2のラジアル振動が軸2の第3固有振動数に等しい場合、第1ベアリング15から1/3*距離d3、第1ベアリング15から2/3*距離d3、第2ベアリング16から1/3*距離d3で最大振幅が生じる。すなわち最大振幅は、軸2に沿って、軸2の中心点、軸2の中心点と第1ベアリング15の間、および軸2の中心点と第2ベアリング16の間で生じる(図示されていない)。
【0052】
第1のベアリング15および/または第2のベアリング16は、球面ボールベアリングなどのボールベアリング、ジャーナルベアリング、磁気ベアリング、または他の任意のタイプの適切なベアリングであってもよい。
【0053】
回転軸2のラジアル方向の振動を減衰させるために使用される制振機構1の一実施形態が、図3及び図4に概略的に示されている。この制振機構1は、上述の軸2、第1のベアリング15、及び第2のベアリング16と組み合わされていることが示されている。図5から図9は、軸2上に配されるような制振機構1の更なる実施形態を示す。
【0054】
制振機構1は、少なくとも1つの第1の減衰要素3と、少なくとも1つの第2の減衰要素4と、第1の減衰要素3および第2の減衰要素4に動作可能に係合するベアリング機構5とを備える。図5に示されるように、制振機構1は、2つの対向配置された第1の減衰要素3a、3bと、2つの対向配置された第2の減衰要素4a、4bとを備えてもよい。
【0055】
第1の減衰要素3、3a、3bおよび第2の減衰要素4、4a、4bは、任意の種類の適切なリニアダンパであってよい。第1の減衰要素3、3a、3bおよび第2の減衰要素4、4a、4bは、単動式または複動式の減衰要素であってもよい。
【0056】
一実施形態(図示せず)において、制振機構1は、第1のラジアル方向D1に沿って往復運動を減衰する1つの複動式減衰要素と、第2のラジアル方向D2に沿って往復運動を減衰する1つの複動式減衰要素とを備えている。
【0057】
図5は、ラジアル方向D1に沿って作用する2つの第1の減衰要素3a、3bと、ラジアル方向D2に沿って作用する2つの対向配置された第2の減衰要素4a、4bとを備える実施形態を示している。この場合の「方向」は「軸」に等しく、すなわち、ラジアル方向D1に沿った動きは、第1の軸に沿った、第1の方向に向かう動き及び第2の方向に向かう動きを含み、第2の方向は第1の方向の正反対である。
【0058】
言い換えれば、第1のラジアル方向D1は、同じ1つの第1の軸に沿って延びる2つの反対方向を指する。これに対応して、第2のラジアル方向D2は、1つの同じ第2の軸に沿って延びる2つの反対方向を意味する。第1の軸と第2の軸は平行ではなく、互いに対して0°を超える角度で延びている。
【0059】
実施形態によっては、第2の方向D2は、第1の方向D1から少なくとも45°の角度、最も好ましくは、約90°の角度だけ角度的に間隔を空けている。言い換えれば、第2の方向D2は、図5に示されるように、第1の方向D1及び軸2の中心軸A1に対して垂直に延びていてもよい。
【0060】
図5図8に詳細に示すように、制振装置1は、中心軸A1の径方向の両側に、第1方向D1に沿って配置された2つの第1制振要素3a、3bを備えてもよい。さらに、制振装置1は、中心軸A1の径方向の両側に、第2の方向D2に沿って配置された2つの第2の減衰要素4a、4bを備えてもよい。第1減衰要素3a,3b及び第2減衰要素4a,4bは、単動型減衰要素又は複動型減衰要素のいずれであってもよい。
【0061】
前述のように、第1の減衰要素3、3a、3bおよび第2の減衰要素4、4a、4bは、リニアダンパであってもよい。しかし、第1減衰要素3や第2減衰要素4は、代わりに、油や水などの流体で構成されてもよい。
【0062】
ベアリング構造5は、図4及び図5に示すように、第1のベアリング部材6と、第2のベアリング部材7と、基準(reference)8とを備える。基準8は、フレームまたはハウジングと呼ばれることもある。基準8は、軸、第1のベアリング部材6、および第2のベアリング部材7に対して完全に静止するように配置されている。
【0063】
第1のベアリング部材6、第2のベアリング部材7、および基準8は、特に図4および5に示すように、入れ子構成に配されている。すなわち、第1のベアリング部材6が第2のベアリング部材7によって少なくとも部分的に囲まれ、第2のベアリング部材は基準8によって少なくとも部分的に囲まれている。すなわち、第2のベアリング部材7が第1のベアリング部材6と基準8との間に配置される。ベアリング構造5の能動部品、すなわち第1のベアリング6および第2のベアリング7を、その受動部品、すなわち基準8内に配置することによって、これらの能動部品の動きおよび機能は、軸2以外の他の部品によって影響を受けないようにすることができる。
【0064】
ベアリングとも呼ばれることがある第1のベアリング部材6は、軸2のラジアル方向の動きが第1のベアリング部材6に伝達されるように、軸2に取り付けられる。好ましくは、第1のベアリング部材6は、軸2が第1のベアリング部材6に対して相対的に回転できるように軸2に回転可能に取り付けられている。軸2の回転軸は、軸2の中心軸A1に一致する。
【0065】
リングとも呼ばれることがある第2のベアリング部材7は、以下でさらに詳細に説明するように、第1のベアリング部材6に動作可能に接続されている。第1のベアリング部材6及び第2のベアリング部材7は、例えば図8に示されるように、軸2と中心軸を共有してもよい。第1のベアリング部材6と第2のベアリング部材7は、一緒になって滑り軸受を形成してもよい。
【0066】
好ましくは、第1のベアリング部材6および第2のベアリング部材7は、ラジアル方向の振動に応じて、第1のラジアル方向D1および第2のラジアル方向D2に、互いに対して自動的に位置が合うように構成される。
【0067】
基準8は、少なくとも1つの軸方向停止部13を有してもよく、例えば図3及び図4に示すような2つの軸方向停止部13を含んでいてもよい。この軸方向停止部13は、第1のベアリング部材6及び第2のベアリング部材7が基準8に対して軸2の中心軸A1に沿って軸方向に移動しないように構成されている。
【0068】
軸2の回転に伴って発生する軸2のラジアル方向の振動は、第1の方向D1への軸2の往復運動及びそれに続く第1のベアリング部材6の第1の方向D1への往復運動を発生させる可能性があり、及び/又は、第2の方向D2への軸2の往復運動及びそれに続く第2のベアリング部材7の第2の方向D2への往復運動を発生させる可能性がある。軸2と第1のベアリング部材6との間の狭い空間により、第2の方向D2における軸2のラジアル方向の振動は、同じく第2の方向D2における第1のベアリング部材6の往復運動を生成し得る。これにより、第2のベアリング部材7の第2の方向D2への往復運動が発生する。図5に示すように、第1のベアリング部材6は、第1の方向D1及び第2の方向D2に沿って可動とされてもよい。一方、第2のベアリング部材7は、第1の方向D1に沿って固定的とされてもよい。すなわち、第2の方向D2に沿ってのみ可動に配されてもよい。言い換えれば、ベアリング機構5はオルダムカップリング(Oldham coupling)に相当すると考えることができる。
【0069】
第1ベアリング部材6の第1方向D1への往復運動と第2ベアリング部材7の第2方向D2への往復運動は、任意の大きさのラジアル振動を減衰させるようなものであってもよい。ただし、実施形態によっては、第1ベアリング部材6の第1方向D1への往復運動は、中心軸A1から、軸2の直径の±25%の最大振幅を有していてもよい。また、第2のベアリング部材7の第2の方向D2への往復運動は、中心軸A1から、軸2の直径の±25%の最大振幅を有していてもよい。
【0070】
第1のベアリング部材6は、上述した1つ又は複数の第1の減衰要素3、3a、3bと、図5図7に示す第1のステアリング構造9とによって、第2のベアリング部材7に動作可能に連結されている。第1のステアリング構造9は、軸2及び第1のベアリング部材6の第1のラジアル方向D1への往復運動のみを可能にする。第1の減衰要素3は、第2のベアリング部材7に関して、この第1のラジアル方向D1への往復運動を減衰させる。
【0071】
これに対応して、第2のベアリング部材7は、1つ又は複数の第2の減衰要素4、4a、4bによって、また、図5図7に示す第2のステアリング構造10によって、基準8に動作可能に接続される。第2のステアリング構造10は、主に第2のベアリング部材7の往復運動と、軸2及び第1のベアリング部材6の第2のラジアル方向D2への若干の運動とを可能にする。第2の減衰要素4は、基準8を基準として、この第2のラジアル方向D2への往復運動を減衰させる。
【0072】
第1のステアリング構造9及び/又は第2のステアリング構造10は、スライド可能に係合するステアリング要素を少なくとも2つ含んでいてもよい。これらのステアリング要素は、図5図7に示すように、好ましくは1つの溝11および1つの突出部12である。
【0073】
図5図7に示すように、実施形態によっては、第2のベアリング部材7は、複数の溝11を有する。このうち少なくとも1つの第1の溝11aは第1のステアリング構造9の一部であり、少なくとも1つの第2の溝11bは第2のステアリング構造10の一部である。第1のベアリング部材6は、第1の溝11aに係合する少なくとも1つの第1の突起12aを有し、基準8は、第2の溝11bに係合する少なくとも1つの第2の突起12bを有する。図5図7に示す実施形態では、2つの第1の溝11a、2つの第2の溝11b、2つの第1の突起12a、および2つの第2の突起12bを開示している。溝11と突起12のそれぞれの組み合わせは、好ましくは、軸の周りに等距離に分布している。実施形態によっては、2つの第1溝11a及び2つの第1突起12aは、第1方向D1に沿って配され、2つの第2溝11b及び2つの第2突起12bは、第2方向D2に沿って配される。
【0074】
特に図3図5に示すように、第1の減衰要素3は、第1のベアリング部材6と第2のベアリング部材7との間に少なくとも部分的に配置されて、第1の方向D1における第1のベアリング部材6の往復運動を減衰させることができる。これに対応して、第2の減衰要素4は、第2のベアリング部材7と基準8との間に少なくとも部分的に配置されて、第2の方向D2における第2のベアリング部材7の往復運動を減衰させることができる。
【0075】
前述のように、第1のベアリング部材6、第2のベアリング部材7、および基準部8は、図5にも示すように、実質的に柱状、例えば円柱状であることが好ましい。
【0076】
前述のように、第1の減衰要素3及び第2の減衰要素4は流体であってもよい。このような実施形態では、ベアリング構造5には流体を保持するための区画が設けられ、軸2の往復運動に応じて流体がこの区画内で移動することを可能にする。
【0077】
そのような区画は、周辺に延在する凹部(図示せず)によって形成されてもよい。第1のベアリング部材6及び第2のベアリング部材7はそれぞれ、周辺に延在する凹部を1つ有してもよい。各凹部は、流体を収容するように構成される。実施形態によっては、周辺に延在する凹部は、第1のベアリング部材6及び第2のベアリング部材7の外周面に延在している。実施形態によっては、凹部は、第1のベアリング部材6と第2のベアリング部材7との間の連絡部、及び第2のベアリング部材7と基準8との間の連絡部の任意の部分に延在していてもよい。例えば、第2のベアリング部材7は、第2のベアリング部材7の外周面内及び外周面に沿って延在し、基準8の内周面と共に連絡部を形成する、外周に延在する凹部と、第2のベアリング部材7の内周面内に延在し、第1のベアリング部材6の外周面と共に連絡部を形成する、内部に延在する凹部の両方を備えてもよい。さらに、基準部8の内周面は、内部に延在する凹部を備えてもよい。
【0078】
発明の様々な捉え方や実装形態が、いくつかの実施例と共に説明されてきた。しかし、本願の明細書や図面、特許請求の範囲を検討すれば、当業者は、特許請求の範囲に記載される発明を実施するにおいて、説明された実施例に加えて多くのバリエーションが存在することを理解し、また具現化することができるであろう。特許請求の範囲に記載される「備える」「有する」「含む」との語句は、記載されていない要素やステップが存在することを排除しない。特許請求の範囲において記載される要素の数が複数であると明示されていなくとも、当該要素が複数存在することを除外しない。特許請求の範囲に記載されるいくつかの要素の機能は、単一のプロセッサやその他のユニットによって遂行されてもよい。いくつかの事項が別々の従属請求項に記載されていても、これらを組み合わせて実施することを排除するものではなく、組み合わせて実施して利益を得ることができる。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体に記憶又は配布されてもよいが、インターネット又は他の有線又は無線電気通信システムを介してなど、他の形態で配布されることもできる。
【0079】
特許請求の範囲で使用されている符号は発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。特に言及されない限り、図面は明細書と共に読まれることが意図されており、本願による開示の全体の一部である。明細書中で、「水平」「縦」「左」「右」「上」「下」との用語や、これらの形容詞形や副詞形(例えば「水平に」「右方向に」「上方向に」等)の用語は、単に、読者が見る方向に図示された構造の向きを表すに過ぎない。同様に、「内側方向に」や「外側方向に」との用語は、状況によって長手方向軸や回転軸に対する面の方向を一般的に表す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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