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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】3次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/268 20170101AFI20230816BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230816BHJP
【FI】
B29C64/268
B33Y30/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018201381
(22)【出願日】2018-10-26
(65)【公開番号】P2020066194
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504119169
【氏名又は名称】株式会社TKR
(74)【代理人】
【識別番号】100112520
【弁理士】
【氏名又は名称】林 茂則
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 英司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 久則
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-113293(JP,A)
【文献】特開2009-113294(JP,A)
【文献】特開2010-217579(JP,A)
【文献】特開2013-105088(JP,A)
【文献】特開2001-158050(JP,A)
【文献】国際公開第2018/006108(WO,A1)
【文献】特開2017-001329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から射出されたレーザ光を反射させて造形台に向けて走査させる光走査部と、
前記光走査部と前記造形台との間に配置され、前記光走査部で反射されたレーザ光を集光する集光レンズと、
を備え、前記集光レンズは、
Aを法線角、Θをレーザ光振れ角、Δnを前記集光レンズと空気との屈折率差とした場合、以下の式を満たす、
-Θ<A<40/sqrt(Δn)-Θ
3次元造形装置。
【請求項2】
前記集光レンズは、
前記光走査部から前記集光レンズまでの距離をD、前記光走査部から前記造形台までの距離をEとした場合、以下の式を満たす位置に配置される、
E/D<5.0
請求項1に記載の3次元造形装置。
【請求項3】
前記集光レンズは、さらに、以下の式を満たす位置に配置される、
3.5<E/D
請求項2に記載の3次元造形装置。
【請求項4】
前記集光レンズは、
前記集光レンズの2つの面のうち、前記光走査部に近い面における、垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、
前記集光レンズの2つの面のうち、前記光走査部から遠い面における、垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、
の和が15%以内である、請求項1乃至のいずれか1項に記載の3次元造形装置。
【請求項5】
前記集光レンズは、
前記集光レンズの2つの面のうち、前記光走査部に近い面における、前記垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、
前記集光レンズの2つの面のうち、前記光走査部から遠い面における、前記垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、
の和が10%以内である、請求項に記載の3次元造形装置。
【請求項6】
前記集光レンズは、
前記集光レンズの2つの面のうち、前記光走査部に近い面における、前記垂直偏光の反射率と前記水平偏光の反射率との差と、
前記集光レンズの2つの面のうち、前記光走査部から遠い面における、前記垂直偏光の反射率と前記水平偏光の反射率との差と、
の和が5%以内である、請求項に記載の3次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、光走査部の後方に集光レンズが配置されていない装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-94563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記文献に記載の技術では、光走査部の後方に集光レンズが配置されていないので、均一な造形をすることができなかった。
【0005】
本発明の目的は、上述の課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る3次元造形装置は、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から射出されたレーザ光を反射させて造形台に向けて走査させる光走査部と、
前記光走査部と前記造形台との間に配置され、前記光走査部で反射されたレーザ光を集光する集光レンズと、
を備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、光走査部の後方に集光レンズを配置したので、均一な造形をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る3次元造形装置の構成を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態に係る3次元造形装置の構成を示す図である。
図3】本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの特性を示す図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズにおける入射角と反射率との関係を説明するための図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズにおける法線角を説明するための図である。
図6A】本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図6B】本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図7A】本発明の第4実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図7B】本発明の第4実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図8A】本発明の第5実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図8B】本発明の第5実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図9A】本発明の第6実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図9B】本発明の第6実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図10A】本発明の第7実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図10B】本発明の第7実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図11A】本発明の第8実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図11B】本発明の第8実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図12A】本発明の第9実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図12B】本発明の第9実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図13A】本発明の第10実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図13B】本発明の第10実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図14A】本発明の第11実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図14B】本発明の第11実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図15A】本発明の第12実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図15B】本発明の第12実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図16A】本発明の第13実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。
図16B】本発明の第13実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。
図17】本発明の第14実施形態に係る3次元造形装置の構成を説明するための図である。
図18】本発明の第14実施形態に係る3次元造形装置を用いて造形したマイクロ流路を含む3次元造形物の一例を示す斜視図である。
図19】本発明の第14実施形態に係る3次元造形装置を用いて造形したマイクロ流路を含む3次元造形物の他の例を斜視図である。
図20】本発明の第14実施形態に係る3次元造形装置を用いて造形したマイクロ流路を含む3次元造形物のさらに他の例を斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明記載する。ただし、以下の実施の形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0010】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての3次元造形装置100について、図1を用いて説明する。3次元造形装置100は、3次元造形物を造形する装置である。
【0011】
図1に示すように、3次元造形装置100は、レーザ光源101、光走査部102および集光レンズ103を含む。
【0012】
レーザ光源101は、レーザ光の光源である。光走査部102は、レーザ光源101から射出されたレーザ光を反射させて造形台104に向けて走査させる。集光レンズ103は、光走査部102と造形台104との間に配置され、光走査部102で反射されたレーザ光を集光する。
【0013】
本実施形態によれば、光走査部と造形台との間に集光レンズを備えたので、均一な造形をすることができる。
【0014】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る3次元造形装置について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る3次元造形装置の構成を説明するための図である。3次元造形装置200は、レーザ光源201、光走査部202、集光レンズ203および造形台204を有する。
【0015】
レーザ光源201は、レーザ光(光線)を射出する。レーザ光源201は、LD(Laser Diode;レーザダイオード)であり、紫外レーザ光、可視レーザ光、赤外レーザ光などのレーザ光を発振するレーザ光発振素子である。
【0016】
光走査部202は、レーザ光源201から放射されたレーザ光を反射させて造形台に向けて走査させる。より詳細には、光走査部202は、二次元MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー221を有する。二次元MEMSミラー221は、二次元方向に動かせるので、二次元MEMSミラー221で反射したレーザ光は、二次元MEMSミラー221の動きに従って、造形台に向けて2次元方向に走査させられる。二次元MEMSミラー221は、電気機械式ミラーである。なお、二次元MEMSミラー221の代わりに、1次元MEMSミラーを2つ用いてもよい。
【0017】
集光レンズ203は、光走査部202で反射されたレーザ光を集光する。集光レンズ203は、E/D<5.0を満たす位置に配置される。ここで、Dは、光走査部202の二次元MEMS221ミラーから、集光レンズ203の2つの面のうち光走査部202に近い側の面までの距離である。また、Eは、光走査部202の二次元MEMS221ミラーから造形面204までの距離である。なお、E/Dが5.0より大きいと、レンズ有効径は小さくなるが、NA(Numerical Aperture)値が小さく、レーザ光を集光するのが困難となる。
【0018】
集光レンズ203は、さらに、3.5<E/Dを満たす位置に配置される。なお、E/Dが3.5より小さいとNA値が大きくなるためレーザ光のビーム径は小さくなるが、レンズ有効径が大きくなるので、構造上配置が困難となる。
【0019】
本実施形態によれば、光走査部と造形台との間に集光レンズを配置したので、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形を行うことができる。
【0020】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る3次元造形装置について、図3乃至図6Bを用いて説明する。図3は、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの特性を示す図である。図4は、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズにおける入射角と反射率との関係を説明するための図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態と比べると、集光レンズが所定の形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0021】
LD(Laser Diode)から発せられるレーザ光は、直線偏光であることから、ミラーで反射されたレーザ光も直線偏光であり、従って、集光レンズに入射するレーザ光も直線偏光となる。以下に示すフレネルの公式より、垂直偏光(p偏光)の反射率R、および水平偏光(s偏光)の反射率をRは、以下の式のとおりとなり、反射率は入射角に依存するとともに、p偏光とs偏光とでも反射率は異なっている。
=tan(α-β)/tan(α+β)
=sin(α-β)/sin(α+β)
ここで、αは入射角、βは屈折角である。
【0022】
ミラーで反射したレーザ光の強度をIとすると、造形台(像面)に到達するレーザ光の強度Iは、
I=I-I (I:反射強度)
であり、反射率が高いほど造形台でのレーザ光強度は低下する。
【0023】
図3に示したように、レンズ材料がZEONEX330R(301)の場合、レーザ光の波長が405nmにおいて、屈折率は1.5251であるので、反射率は、図4に示したグラフの通りとなる。図4に示したように、ブリュースター角(403)以下の角度ではs偏光の反射率(R)(401)は単純に増加しており、p偏光の反射率(R)(402)は単純に減少している。
【0024】
しかしながら、入射角が同じでも、レーザ光は直線偏光であるため、レンズへの入射方向により、反射率は変化し、造形台でのレーザ光強度も異なってしまうため、造形された造形物が不均一となる。本実施形態では、p-s偏光での反射率の差を15%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内とすることで、均一な造形物を造形する。フレネルの公式より、ZEONEX330Rでは、入射角が35.4度以内でp偏光とs偏光との反射率差は5%となる。
【0025】
なお、図3には、各レンズ材料の波長405nmにおける屈折率と、p-s偏光の反射率差15%における入射角をフレネルの公式から算出した値が示されている。ここで、Δnは、レンズ材料と空気との屈折率差である。
【0026】
図5は、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズにおける法線角を説明するための図である。光走査部501から反射され、集光レンズ502(集光レンズ503)に入射するレーザ光の法線角(A)およびレーザ光振れ角(Θ:最大画角(半角))の関係は図5に示したようになる。光走査部501は、二次元MEMSミラー511を含む。なお、二次元MEMSミラー511は、ミラー面を二次元方向に振りながらレーザ光を反射させることにより、レーザ光を二次元方向に走査させる。
【0027】
次に、p偏光とs偏光との反射率は、レーザ光入射角と屈折率差とに依存する。ここで、δR15%(反射率差15%以内)における、図3に示した各レンズ材料でのレーザ光入射角と屈折率差との関係は、以下の式(1)に従う。
【0028】
K=(レーザ光入射角)×sqrt(Δn) ・・・ (1)
ここで、Kは、
0<K<40 ・・・ (2)
を満たす。ここで、図3では、ZEONEX330R(301)のKは、40.22となっている。しかしながら、集光レンズ502の2つの面のうちS2面(光走査部501から遠い面)での反射率差は、集光レンズ502の2つの面のうちS1面(光走査部501から近い面)での反射率差と比較して小さいため、Kは式(2)を満たせばよい。その他のレンズ材料も同様である。
【0029】
レーザ光入射角=レーザ光振れ角(Θ)+法線角(A)であるので、
式(1)は、K=(A+Θ)×sqrt(Δn)となり、これを式(2)に代入すると、
0<(A+Θ)×sqrt(Δn)<40
となり、これを展開すると、
0<A+Θ<40/sqrt(Δn)
となり、さらに整理すると、
-Θ<A<40/sqrt(Δn)-Θ ・・・ (3)
となる。集光レンズ502は、式(3)を満たす形状のレンズとなる。
【0030】
このような形状のレンズとすることにより、集光レンズ502は、2つの面のうち光走査部501に近い面(S1面)における垂直偏光(p偏光)の反射率と水平偏光(s偏光)の反射率との差と、2つの面のうち光走査部501から遠い面(S2面)における、垂直偏光(p偏光)の反射率と水平偏光(s偏光)の反射率との差と、の和が15%以内、好ましくは10%以内、さらに好ましくは5%以内となる。
【0031】
図6Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図6Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。3次元造形装置600は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ603および造形台604を有する。レーザ光源601は、405nmのレーザ光を放射する。光走査部602は、二次元MEMSミラー621を含み、二次元MEMSミラー621は、レーザ光を反射させて造形台604に向けて走査させる。集光レンズ603のレンズ材料は、ZEONEX330Rであり、焦点距離(f)は、84.98mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.22であり、その他、図6Bに示した特性を有している。
【0032】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は0.96%となり、5%以内となった。二次元MEMSミラー621からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー621から造形台604までの距離Eは、83.90mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ603により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、50.5μm×28.5μmである。
【0033】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0034】
[第4実施形態]
次に本発明の第4実施形態に係る3次元造形装置について、図7Aおよび図7Bを用いて説明する。図7Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図7Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態および第3実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態および第3実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0035】
3次元造形装置700は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ703および造形台604を有する。集光レンズ703のレンズ材料は、ZEONEX330Rであり、焦点距離(f)は、85.00mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.22であり、その他、図7に示した特性を有している。
【0036】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は4.99%となり、5%以内となった。二次元MEMSミラー721からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー721から造形台704までの距離Eは、83.90mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ703により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、50.3μm×28.4μmである。
【0037】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0038】
[第5実施形態]
次に本発明の第5実施形態に係る3次元造形装置について、図8Aおよび図8Bを用いて説明する。図8Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図8Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第4実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第4実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0039】
3次元造形装置800は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ803および造形台604を有する。集光レンズ803のレンズ材料は、ZEONEX330Rであり、焦点距離(f)は、85.00mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.22であり、その他、図8に示した特性を有している。
【0040】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は5.50%となり、10%以内となった。二次元MEMSミラー821からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー821から造形台804までの距離Eは、83.90mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ803により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、50.3μm×28.4μmである。
【0041】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0042】
[第6実施形態]
次に本発明の第6実施形態に係る3次元造形装置について、図9Aおよび図9Bを用いて説明する。図9Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図9Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第5実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第5実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0043】
3次元造形装置900は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ903および造形台604を有する。集光レンズ903のレンズ材料は、ZEONEX330Rであり、焦点距離(f)は、106.82mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.22であり、その他、図9に示した特性を有している。
【0044】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は0.39%となり、5%以内となった。二次元MEMSミラー921からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー921から造形台904までの距離Eは、83.50mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ903により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、50.3μm×28.4μmである。
【0045】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0046】
[第7実施形態]
次に本発明の第7実施形態に係る3次元造形装置について、図10Aおよび図10Bを用いて説明する。図10Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図10Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第6実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第6実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0047】
3次元造形装置1000は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ1003および造形台604を有する。集光レンズ1003のレンズ材料は、ZEONEX330Rであり、焦点距離(f)は、107.44mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.22であり、その他、図10に示した特性を有している。
【0048】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は10.76%となり、15%以内となった。二次元MEMSミラー1021からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー1021から造形台904までの距離Eは、83.50mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ1003により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、50.4μm×28.5μmである。
【0049】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0050】
[第8実施形態]
次に本発明の第8実施形態に係る3次元造形装置について、図11Aおよび図11Bを用いて説明する。図11Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図11Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第7実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第7実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0051】
3次元造形装置1100は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ1103および造形台604を有する。集光レンズ1103のレンズ材料は、ZEONEX350Rであり、焦点距離(f)は、21.35mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.23であり、その他、図11に示した特性を有している。
【0052】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は3.84%となり、5%以内となった。二次元MEMSミラー1121からS1面までの距離Dは、10.05mmであり、二次元MEMSミラー1121から造形台1104までの距離Eは、35.55mmであり、E/Dは、3.53である。集光レンズ1103により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、20.4μm×11.3μmである。
【0053】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0054】
[第9実施形態]
次に本発明の第9実施形態に係る3次元造形装置について、図12Aおよび図12Bを用いて説明する。図12Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図12Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第8実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第8実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0055】
3次元造形装置1200は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ1203および造形台604を有する。集光レンズ1203のレンズ材料は、ZEONEX350Rであり、焦点距離(f)は、21.34mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.23であり、その他、図12に示した特性を有している。
【0056】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は3.29%となり、5%以内となった。二次元MEMSミラー1221からS1面までの距離Dは、10.02mmであり、二次元MEMSミラー1221から造形台1204までの距離Eは、35.50mmであり、E/Dは、3.54である。集光レンズ1203により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、20.4μm×11.3μmである。
【0057】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0058】
[第10実施形態]
次に本発明の第10実施形態に係る3次元造形装置について、図13Aおよび図13Bを用いて説明する。図13Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図13Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第9実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第9実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0059】
3次元造形装置1300は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ1303および造形台604を有する。集光レンズ1303のレンズ材料は、ZEONEX350Rであり、焦点距離(f)は、107.53mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、20度であり、-24<A<31.23であり、その他、図13に示した特性を有している。
【0060】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は3.97%となり、5%以内となった。二次元MEMSミラー1321からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー1321から造形台1304までの距離Eは、83.50mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ1303により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、60.5μm×33.0μmである。
【0061】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0062】
[第11実施形態]
次に本発明の第11実施形態に係る3次元造形装置について、図14Aおよび図14Bを用いて説明する。図14Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図14Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第10実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第10実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0063】
3次元造形装置1400は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ1403および造形台604を有する。集光レンズ1403のレンズ材料は、ZEONEX350Rであり、焦点距離(f)は、107.53mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、20度であり、-24<A<31.23であり、その他、図14に示した特性を有している。
【0064】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は5.29%となり、10%以内となった。二次元MEMSミラー1421からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー1421から造形台1404までの距離Eは、83.50mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ1403により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、60.6μm×33.1μmである。
【0065】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0066】
[第12実施形態]
次に本発明の第12実施形態に係る3次元造形装置について、図15Aおよび図15Bを用いて説明する。図15Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図15Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第11実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第11実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0067】
3次元造形装置1500は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ1503および造形台604を有する。集光レンズ1503のレンズ材料は、ZEONEX350Rであり、焦点距離(f)は、107.47mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.23であり、その他、図15に示した特性を有している。
【0068】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は2.00%となり、5%以内となった。二次元MEMSミラー1521からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー1521から造形台1504までの距離Eは、83.50mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ1503により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、60.5μm×33.0μmである。
【0069】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0070】
[第13実施形態]
次に本発明の第13実施形態に係る3次元造形装置について、図16Aおよび図16Bを用いて説明する。図16Aは、本実施形態に係る3次元造形装置の構成の概略を示す図である。図16Bは、本実施形態に係る3次元造形装置の集光レンズの性能を示す図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、上記第2実施形態乃至第12実施形態と比べると、集光レンズが異なる形状である点で異なる。その他の構成および動作は、第2実施形態乃至第12実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0071】
3次元造形装置1600は、レーザ光源601、光走査部602、集光レンズ1603および造形台604を有する。集光レンズ1603のレンズ材料は、ZEONEX350Rであり、焦点距離(f)は、107.47mm(405nmレーザ光)であり、レーザ光振れ角(Θ)は、24度であり、-24<A<31.23であり、その他、図16に示した特性を有している。
【0072】
S1面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、S2面における垂直偏光の反射率と水平偏光の反射率との差と、の和は10.45%となり、15%以内となった。二次元MEMSミラー1621からS1面までの距離Dは、20mmであり、二次元MEMSミラー1621から造形台1604までの距離Eは、83.50mmであり、E/Dは、4.2である。集光レンズ1603により集光され、絞られたレーザ光のビーム径は、60.6μm×33.1μmである。
【0073】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができ、均一な造形が可能となる。また、高精細な加工も可能となる。
【0074】
[第14実施形態]
次に本発明の第14実施形態に係る3次元造形装置について、図17および図18を用いて説明する。図17は、本実施形態に係る3次元造形装置の構成を説明するための図である。本実施形態に係る3次元造形装置は、集光レンズとして上記第2実施形態乃至第13実施形態に示した集光レンズのいずれかを有する。
【0075】
3次元造形装置1700は、レーザ光源601、光走査部602および集光レンズ1703を有する。集光レンズ1703は、上記第2実施形態乃至第13実施形態に示した集光レンズのいずれかである。二次元MEMSミラー621は、レーザ光を反射させてステージ1750上に載置されたバット1740内のレジン1730に向けて走査させる。レジン1730は、3次元造形物1710の材料となる樹脂である。そして、3次元造形装置1700は、プラットフォーム1720を上昇させつつ、バット1740内のレジン1730に集光レンズ1703で絞られたレーザ光を照射する。レジン1730は、レーザ光が照射される硬化する光硬化性の樹脂である。
【0076】
図18は、本実施形態に係る3次元造形装置を用いて造形したマイクロ流路を含む3次元造形物の一例を示す斜視図である。3次元造形物1710は、マイクロ流路1801,1802,1803,1804,1805,1806を含み、縦2.5cm、横1cm、高さ4mmの直方体の3次元造形物1710の内部に設けられている。液溜め1810から注入された液体は、矢印1820に沿ってマイクロ流路1801を流れる。マイクロ流路1801を流れる液体は、マイクロ流路1802から流れてくる液体と合流し、外部へ排出される。液溜め1830から注入された液体は、マイクロ流路1805を流れ、マイクロ流路1803とマイクロ流路1804とに液体に含まれる粒子の大きさにより分岐する。マイクロ流路1803を流れる液体は、比重によりマイクロ流路1802とマイクロ流路1806とに分岐する。
【0077】
マイクロ流路1801とマイクロ流路1803は、断面内で傾斜している傾斜流路であるマイクロ流路1802で連結されている。マイクロ流路1801,1803,1804は、外部に繋がっている。なお、マイクロ流路1801,1802,1803,1804,1805,1806の流路径は、液体を分別するために任意の大きさに設定される。
【0078】
マイクロ流路1801,1802,1803,1804,1805,1806に流す液体は、血液などである。マイクロ流路1801,1802,1803,1804,1805,1806に血液を流すことにより血中成分である赤血球、白血球、血小板などを分離できる。分離された成分は、マイクロ流路1801,1804,1806から外部へと排出される。
【0079】
図19は、本実施形態に係る3次元造形装置を用いて造形したマイクロ流路を含む3次元造形物の他の例を斜視図である。3次元造形物1900は、4つの液溜め1911,1912,1921,1922、およびマイクロ流路1901,1902を含む。標準的なクロス(十字路)パターンのマイクロ流路1901,1902が造形されている。マイクロ流路1901の両端には、液溜め1911,1912が設けられている。すなわち、液溜め1911および液溜め1912は、マイクロ流路1901により繋がっている。マイクロ流路1902の両端には、液溜め1921,1922が設けられている。液溜め1921および液溜め1922は、マイクロ流路1902により繋がっている。マイクロ流路1901およびマイクロ流路1902は、直交している。マイクロ流路1901およびマイクロ流路1902は、直交部分において、繋がっている。
【0080】
図20は、本実施形態に係る3次元造形装置を用いて造形したマイクロ流路を含む3次元造形物のさらに他の例の斜視図である。3次元造形物2000は、螺旋形状(1重の螺旋)のマイクロ流路2001を内部に含む。液溜め2010から注入された液体は、矢印2020に沿って、螺旋形状のマイクロ流路2001を流れ、外部へ排出される。
【0081】
本実施形態によれば、レーザ光のビーム径を絞ることができるので、均一で、高精細な3次元造形物を造形できる。高精細な3次元造形物を造形できるので、マイクロ流路のような微細な造形も行うことができる。
【0082】
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20