(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】新規の送達系
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20230816BHJP
A61K 31/19 20060101ALI20230816BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20230816BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230816BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230816BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230816BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20230816BHJP
B01J 13/14 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/19
A61K9/50
A61K47/36
A61K47/44
A61P3/02
A23L5/00 C
A23L5/00 F
B01J13/14
(21)【出願番号】P 2020518607
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2018079665
(87)【国際公開番号】W WO2019086427
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-05-06
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】フンダ, エルガー
(72)【発明者】
【氏名】クラインツ, オディール
(72)【発明者】
【氏名】シュタイネール, ロベルト
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-532050(JP,A)
【文献】Iranian Journal of Pharmaceutical Research,2014年,Vol.13, No.3,pp.843-852
【文献】Carbohydrate Polymers,2016年,Vol.144,pp.428-437
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/10
A61K 31/19
A61K 9/50
A61K 47/36
A61K 47/44
A61P 3/02
A23L 5/00
B01J 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの栄養剤を含む固体コアと、
(b)架橋された少なくとも1つの発酵性バイオポリマーを含む内側コーティングと、
(c)胃条件に対して耐性があり、且つ小腸において放出性である外側コーティングとからなる送達系であって、
前記発酵性バイオポリマーは、アルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン及び他のガムからなる群から選択され、
前記固体コアは、前記送達系の全重量を基準として50~
75重量%であり、
前記内側コーティングは、前記送達系の全重量を基準として1~20重量%であり、
前記外側コーティングは、前記送達系の全重量を基準として
15~30重量%であり、
前記栄養剤は、有機酸、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ8脂肪酸、長鎖脂肪酸、ポリフェノール、プレバイオティクス、プロバイオティクス、精油、及び抗菌ペプチドからなる群から選択され、
前記送達系は、ビタミンBを全く含まない、送達系。
【請求項2】
前記栄養剤がプロピオン酸及び/若しくはその塩又は酪酸及び/若しくはその塩である、請求項1に記載の送達系。
【請求項3】
前記内側コーティングがMg及び/又はCaイオンで架橋されている、請求項1又は2に記載の送達系。
【請求項4】
前記外側コーティングが、シェラック、メタクリレートコポリマー及び脂肪からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の送達系。
【請求項5】
バッチ式で実行される、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達系の製造方法。
【請求項6】
連続的に実行される、請求項1~4のいずれか一項に記載の送達系の製造方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの送達系を用いた、プレミックスの製造方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の少なくとも1つの送達系を含むプレミックス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、大腸のための栄養成分(栄養剤(nutraceutical))の新規の送達系に関する。これらの栄養成分は、単胃動物(例えば、ブタ及び家禽、並びに魚類など)、特にヒトにおいて、腸及び代謝の健康のために有用である。
【0002】
ここ数年間、腸の健康を促進する製品に対する消費者の関心の増大を観察することができた。多数の新しい製品が市場に現れ、消費者に広く受け入れられた。
【0003】
また、代謝及び免疫、並びに肥満症、炎症、心血管疾患及び糖尿病に対する腸内細菌叢の潜在的効果についての研究も増えてきた。
【0004】
腸の健康に関して興味深く且つ重要な化合物は、例えば、短鎖脂肪酸(SCFA)である。
【0005】
腸上皮細胞上の受容体によるSCFAの認識は全身の生化学的信号をオンにしてグルコース代謝を正に調節し、宿主のエネルギー代謝の消費の方向を脂肪貯蔵からそらすと考えられる。またSFCAは、その解離形態にあるときに、選択された真菌及び細菌に対して低pHで抗菌剤の役割を果たし、有益な微生物を好むように腸内細菌叢を有利に調節すると考えられる。
【0006】
豚(ブタ)、魚類又は家禽及びヒトのような単胃動物の腸の健康にとって有益である他の物質は、有機酸、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ8脂肪酸、長鎖脂肪酸、ポリフェノール(例えば、レスベラトロール又はゲニステインなど)、プレバイオティクス、プロバイオティクス、精油、又は抗菌ペプチドである。またこれらの物質は、大腸に到達する前に、多くの場合、かなりの程度まで分解又は吸収され得る。
【0007】
SCFAの主な問題は、SCFAが大腸において放出され、大腸で有効でなければならないことである。
【0008】
SCFAは大腸に到着する前に吸収されることが観察され得る。(大腸で放出される前に)胃及び小腸で吸収されるために、大腸でのSCFAの効力は限られている。
【0009】
小腸又は大腸における放出は、通常、徐放性カプセル又は錠剤を用いて達成される。活性物質は、徐放性をもたらす1つ又は複数のコーティングでコーティングされたカプセル又は錠剤内に取り込まれる。しかしながら、送達系としての錠剤及びカプセルにはいくつかの欠点がある。単一の錠剤又はカプセル内に取り込むことができる活性剤の量は、使用可能な容積によって制限される。特に、非常に若い患者及び高齢患者は、錠剤又はカプセルを嚥下するのが困難である。カプセル及び錠剤の胃内の滞留時間は非常に可変的であり、且つ放出は極めて時間通りであり、これにより、活性剤の非常に高い局所濃度がもたらされる可能性があり、悪影響を引き起こし得る。
【0010】
粉末、顆粒、小ビーズ又はペレットのような多微粒子形態は、これらの欠点を克服する。しかしながら、多微粒子剤形上に徐放性コーティングを適用するのは、錠剤又はカプセルと比べて比表面積がより大きいために困難である。均一に分布した十分な厚さのコーティング層を達成するために、必要とされるコーティング材料の量は錠剤又はカプセルよりもはるかに多く、ペイロードに利用可能な空間が低減される。
【0011】
小腸での放出に適したコーティング材料は、多くの場合、pH感受性ポリマーを含む。このアプローチは、胃(pH1.5~3.5)及び小腸(pH5.5~6.8)から大腸(6.4~7.0)へと次第に上昇するGIT内のpH勾配の存在を利用する。最も一般的に使用されるpH依存性ポリマーはアクリル酸及びセルロースの誘導体である。種々のpH依存性コーティングポリマーには、酢酸フタル酸セルロース(CAP)(Aquateric(登録商標))、ポリ酢酸フタル酸ビニル(PVAP)(Coateric(登録商標))、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、及びメタクリレートコポリマー又はEudragitとして一般的に知られているメタクリル酸コポリマーが含まれる。
【0012】
pH感受性コーティング技術の重要な制限は、コーティングが溶解し始める可能性のある場所及び環境の不確実性である。腸溶コーティングだけでは、GI運動の変動のために小腸における早期の薬物放出をもたらすことがあり得る。
【0013】
結腸領域における薬物放出の機序としてGI細菌叢を使用することは、これまで研究者の強い関心を引いてきた。細菌はGI管全体に分布しているが、その大部分は遠位腸(distal gut)に存在する。結腸細菌は嫌気的な性質であることが多く、上部GI管における消化を逃れた炭水化物及びタンパク質などの内在性基質及び外来性基質の両方を代謝することができる酵素を分泌する。植物(例えば、ペクチン、グァーガム、イヌリン)、動物(例えば、キトサン、コンドロイチン硫酸)、藻類(例えば、アルギネート)、又は微生物(例えば、デキストラン)起源の天然に存在する多糖類が結腸ターゲティングのために研究された。これらは、バクテロイデス(bacteroides)及びビフィズス菌(bifidobacteria)のような糖分解種によって結腸細菌叢で単糖に分解される。[Jose,S.,K.Dhanya,T.A.Cinu,J.Litty and A.J.Chacko(2009).”Colon targeted drug delivery:different approaches.”J.Young Pharm.1(1):13-19]。
【0014】
大腸で特異的に分解されるが、これらのポリマーの多くは親水性の性質であり、上部GI条件への暴露下で膨潤し、早期の薬物放出が引き起こされる。さらに、これらの発酵性ポリマーは、通常、溶液中で非常に高い粘度を示し、これにより、より高い濃度での処理が困難又は不可能になる。
【0015】
発酵性バイオポリマーは、カプセル化マトリックスとして使用されている。マトリックスカプセル化において、活性物質は、保護マトリックス、この場合は発酵性バイオポリマーの中に均一に分配される。しかしながら、マトリックスカプセル化は、いくつかの重大な欠点を有する。バイオポリマーは高粘度であるために、例えば、スプレー乾燥又はゲルカプセル化におけるマトリックス溶液は非常に希薄であり、それにより、乾燥が困難且つ高価になる。マトリックスカプセル化におけるペイロードは比較的低い(通常、50%未満)。
【0016】
ここで、本発明の目標は、栄養剤の有効性及び効力が改善されるように、胃及び小腸を通る輸送の間(大腸で放出される前)の栄養剤(例えば、有機酸、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ8脂肪酸、長鎖脂肪酸、ポリフェノール(例えば、レスベラトロール又はゲニステインなど)、プレバイオティクス、プロバイオティクス、精油、又は抗菌ペプチドなど)の安定性を改善するための改善された多微粒子送達系(製剤)を見出すことであった。
【0017】
さらに、新規の送達系は、簡単且つ工業に適用可能な方法で製造できなければならない。
【0018】
少なくとも1つの栄養剤を含む固体コアを特定の内側コーティング及び特定の外側コーティングでコーティングすると、送達系は改善された特性を有することが見出された。さらに、送達系は、バッチ式プロセスにおいても連続的プロセスにおいても製造することができる。
【0019】
本発明に従う新規の送達系(DS)は、
(a)少なくとも1つの栄養剤を含む固体コアと、
(b)架橋された少なくとも1つの発酵性バイオポリマーを含む内側コーティングと、
(c)胃条件に対して耐性があり、且つ小腸において放出性である外側コーティングと
からなる。
【0020】
固体コア内にある活性物質は栄養剤である。
【0021】
本発明との関連では、栄養剤は、動物において健康上の利益を提供する化合物である。
【0022】
本発明において好ましい栄養剤は、有機酸、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ8脂肪酸、長鎖脂肪酸、ポリフェノール(例えば、レスベラトロール又はゲニステインなど)、プレバイオティクス、プロバイオティクス、精油、及び抗菌ペプチドである。
【0023】
本発明に従う固体コアは(そして送達系も)ビタミンB(特に、ビタミンB2)を全く含まない。これは、固体コア(及び送達系)にはビタミンB(特に、ビタミンB2)が全くないことを意味する。
【0024】
したがって、本発明は、少なくとも1つの栄養剤が、有機酸、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、オメガ8脂肪酸、長鎖脂肪酸、ポリフェノール(例えば、レスベラトロール又はゲニステインなど)、プレバイオティクス、プロバイオティクス、精油、及び抗菌ペプチドからなる群から選択された送達系(DS)である、送達系(DS1)に関する。
【0025】
したがって、本発明は、固体コアが(そしてコーティングも)ビタミンB(特に、ビタミンB2)を全く含まない送達系(DS)又は(DS1)である、送達系(DS1’)に関する。(これは、本発明が、固体コア(及びコーティング)にはビタミンB(特に、ビタミンB2)が全くない送達系(DS)又は(DS1)である、送達系(DS1’)に関することを意味する。)
【0026】
好ましい有機酸は、短鎖脂肪酸(SCFA)及びその塩である。
【0027】
短鎖脂肪酸は、2~6個の炭素原子を有する脂肪酸である。本発明との関連では、SCFAは、以下の:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、及びイソ吉草酸、並びにこれらの酸の塩である。特に好ましいのは、プロピオン酸及びその塩である。
【0028】
したがって、本発明は、少なくとも1つの栄養剤が、有機酸(及びその塩)、プレバイオティクス、プロバイオティクス、精油、及び抗菌ペプチドからなる群から選択された送達系(DS)、(DS1)又は(DS1’)である、送達系(DS2)に関する。
【0029】
したがって、本発明は、少なくとも1つの栄養剤が有機酸(及びその塩)の群から選択された送達系(DS)、(DS1)又は(DS1’)である、送達系(DS3)に関する。
【0030】
したがって、本発明は、栄養剤がプロピオン酸(及び/又はその塩)である送達系(DS3)である、送達系(DS3’)に関する。
【0031】
したがって、本発明は、栄養剤が酪酸(及び/又はその塩)である送達系(DS3)である、送達系(DS3”)に関する。
【0032】
本発明に従う送達系は、定義される基準を満たすことが必要である内側コーティングを含む。内側コーティング(発酵性バイオポリマー)に適した材料は、例えば、アルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン、及び他のガムである。内側コーティングのための好ましいコーティング材料は、アルギネート又はペクチンである。
【0033】
内側コーティングは架橋されている。これは、周知の架橋化合物によって行うことができる。アルギネートが使用される場合、これは、Mg及び/又はCaイオンによって(塩の使用によって)行うことができる。架橋剤は、内側コーティングに適用された後、又はそれと同時に、コア上に噴霧することができる。又は、架橋剤を含む溶液内に、コーティングされた粒子を浸漬することができる。
【0034】
好ましくは、架橋剤は、内側コーティング層に適用された後に粒子上に噴霧される。
【0035】
本発明の別の利点は、本発明に従う新規の送達系の製造をバッチ式で及び連続的に実行できることにもある。従来技術から知られている系とは対照的に、このような製品の工業生産も考慮して、これは大きな利点である。プロセスの詳細は以下に開示される。
【0036】
したがって、本発明は、内側コーティングの材料が、アルギネート、キトサン、ペクチン、シクロデキストリン、及び他のガムからなる群から選択された送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)又は(DS3”)である、送達系(DS4)に関する。
【0037】
したがって、本発明は、内側コーティングの材料がアルギネート又はペクチンである送達系(DS4)である、送達系(DS4’)に関する。
【0038】
内側コーティング層は、固体コアを(程度の差はあるが)完全に被覆している。理想的に、内側コーティングの層は、固体コア上に適用されたときに(程度の差はあるが)同じ厚さを有する。
【0039】
通常、内側コーティング層の厚さは少なくとも5μmであり、且つ20μm以下である。好ましくは、内側コーティング層の厚さは、5μm~10μmである。
【0040】
したがって、本発明は、内側コーティング層の厚さが5μm~10μmである送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)又は(DS4’)である、送達系(DS5)に関する。
【0041】
内側コーティング層は、少なくとも1つの架橋剤によって架橋される。任意の適切な架橋剤を使用することができる。非常に適切であり、したがって好ましいのは、Mg及びCaイオン(これらは塩の形態で添加される)である。
【0042】
したがって、本発明は、内側コーティング層が少なくとも1つの架橋剤(好ましくはMg及び/又はCaイオン)によって架橋された送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)又は(DS5)である、送達系(DS6)に関する。
【0043】
したがって、本発明は、架橋された内側コーティング層がアルギン酸Na又はペクチンNaである送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)又は(DS6)である、送達系(DS7)に関する。
【0044】
本発明に従う送達系は、定義される基準を満たすことが必要である外側コーティングを含む。外側コーティングの基準を満たす適切な材料は、例えば、シェラック、メタクリレートコポリマー及び脂肪である。
【0045】
したがって、本発明は、外側コーティングの材料が、シェラック、メタクリレートコポリマー及び脂肪からなる群から選択された送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)又は(DS7)である、送達系(DS8)に関する。
【0046】
外側コーティング層は、内側コーティングを(程度の差はあるが)完全に被覆している。理想的に、外側コーティングの層は、内側コーティング上に適用されたときに(程度の差はあるが)同じ厚さを有する。
【0047】
通常、外側層の厚さは少なくとも10μmであり、且つ通常30μm未満である。好ましくは、外側コーティング層の厚さは、10μm~20μmである。
【0048】
したがって、本発明は、外側コーティング層の厚さが10μm~20μmである送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)又は(DS8)である、送達系(DS9)に関する。
【0049】
本発明に従う送達系の固体コアは通常、送達系の全重量を基準として10~85重量%、好ましくは50~75重量%である。
【0050】
したがって、本発明は、送達系の固体コアが、送達系の全重量を基準として10~85重量%、好ましくは50~75重量%である送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)又は(DS9)である、送達系(DS10)に関する。
【0051】
本発明に従う送達系の内側コーティングは通常、送達系の全重量を基準として1~20重量%、好ましくは1~10重量%である。
【0052】
したがって、本発明は、送達系の内側コーティングが、送達系の全重量を基準として10~85重量%、好ましくは1~10重量%である送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)又は(DS10)である、送達系(DS11)に関する。
【0053】
本発明に従う送達系の外側コーティングは通常、送達系の全重量を基準として1~30重量%、好ましくは15~30重量%である。
【0054】
したがって、本発明は、送達系の外側コーティングが、送達系の全重量を基準として1~30重量%、好ましくは15~30重量%である送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)、(DS10)又は(DS11)である、送達系(DS12)に関する。
【0055】
本発明に従う固体送達系は、最大2mmまでのサイズであり得る。サイズは、粒子の最長直径によって画定される。粒子の形状は、本発明の本質的な特徴ではない。また、粒子のサイズ分布も本質的ではない。粒子のサイズ及び形状は、主に、送達系の固体コアによって画定される。送達系の使用に応じて、サイズを調整することができる。
【0056】
本発明に従う送達系は、周知の技術によって製造される。
【0057】
通常、最初のステップで固体コアが製造され、次に、内側及び外側コーティングが適用される。
【0058】
上記で開示されるように、新規の送達系の主な利点の1つ(送達系の特性以外に)は送達系の製造方法にある。新規の送達系は、バッチ式で又は連続的に製造することができる。
【0059】
バッチ式で製造する場合、新規の粒子は、次のように製造することができる:
第1のステップでは、スプレー乾燥プロセスによって固体コアが製造され、第2のステップでは、スプレーコーティングによって固体コア(第1のステップで得られる)が内側コーティングのコーティング材料でコーティングされ、次に架橋剤が粒子上に噴霧される。第3のステップでは、前述のステップで得られた粒子上に外側コーティングが噴霧され、最後に粒子が乾燥される。
【0060】
この方法の利点は、各ステップを同じ装置(スプレーコーター)で実行することができ、技術的努力が軽減されることである。すなわち、それでもまず固体コアを製造し、それを貯蔵し、次にそれをコーティングすることが可能である。
【0061】
新規の送達系を製造する方法の別の選択肢は連続プロセスであり、まず固体コアが製造され、次にコーティングステップが実行されて、次々と粒子上に噴霧する。これらのプロセスは工業規模で適用するために理想的である。
【0062】
したがって、本発明は、粒子(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)、(DS10)、(DS11)又は(DS12)のいずれかの製造方法(P)にも関し、この方法はバッチ式で実行される。
【0063】
したがって、本発明は、粒子(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)、(DS10)、(DS11)又は(DS12)のいずれかの製造方法(P1)にも関し、この方法は連続的に実行される。
【0064】
本発明に従う新規の送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)、(DS10)、(DS11)及び/又は(DS12)はそれ自体で使用することもできるし、又は任意の適用形態に取り込むこともできる。
【0065】
新規の送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)、(DS10)、(DS11)及び/又は(DS12)は、任意の栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品において、それ自体で使用することができる。
【0066】
また新規の送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)、(DS10)、(DS11)及び/又は(DS12)はプレミックス製剤の一部であってもよく、これは次に、任意の栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品を配合するために使用することができる。
【0067】
また本発明は、少なくとも1つの送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)、(DS10)、(DS11)又は(DS12)を用いた、プレミックス、栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品の製造方法にも関する。
【0068】
また本発明は、少なくとも1つの送達系(DS)、(DS1)、(DS1’)、(DS2)、(DS3)、(DS3’)、(DS3”)、(DS4)、(DS4’)、(DS5)、(DS6)、(DS7)、(DS8)、(DS9)、(DS10)、(DS11)又は(DS12)を含むプレミックス、栄養補助食品、食品、飼料製品、パーソナルケア製品又は医薬品にも関する。
【0069】
以下の実施例は、本明細書において特許請求される本発明の特定の実施形態を説明するのに役立つ。全ての割合は重量に関して与えられ、温度は全て摂氏温度で与えられる。
【0070】
[実施例]
[実施例1:]
30gのアルギン酸Na(grinstedアルギン酸ナトリウム)を1500gの水中に50℃で攪拌しながら溶解させる。3.2gの塩化Ca二水和物を407gの水中に溶解させる。200gのプロピオン酸Ca(Sigma-Aldrich)を流動床処理装置(WFP mini、DMR、Wurster構成)に充填する。全てのコーティングステップを約40℃の製品温度で実施した。まずアルギネート溶液を流動化プロピオン酸Ca粉末上に噴霧する。アルギネート溶液を噴霧した後、補給チューブを水で簡単に洗浄する。塩化Ca溶液を40℃で硬化のために内側コーティング上に噴霧する。溶液を硬化させた後、固形分が25%の400gの水性シェラック調製物(Marcoat 125N)を外側コーティングとして噴霧する。シェラックを噴霧した後、流動床で製品を乾燥させる。324gのコーティングされた顆粒が得られた。
【0071】
最終のコーティングされた顆粒の組成は、60%のプロピオン酸Ca、9%のアルギネート、1%の塩化Ca及び30%のシェラックであった。
【0072】
USP-1(SOTAX)装置を用いて、37.5℃の0.1NのHClにより胃条件下でのプロピオン酸塩の保護を検査した。2時間後に、12%のプロピオン酸塩しか放出されなかった。
【0073】
[実施例2:内側層を硬化させない比較例]
硬化ステップ(塩化Caの噴霧)を省略して、プロピオン酸Caを実施例1と同様にコーティングした。最終のコーティングされた顆粒の組成は、58%のプロピオン酸Ca、7%のアルギン酸Na及び35%シェラックであった。
【0074】
USP-1(SOTAX)装置を用いて、37.5℃の0.1NのHClにより胃条件下でのプロピオン酸塩の保護を検査した。2時間後に、58%のプロピオン酸塩が放出された。