(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するシステム、方法、装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230816BHJP
G06F 16/383 20190101ALI20230816BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F16/383
(21)【出願番号】P 2019045567
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2022-02-28
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ガーゲンソン
(72)【発明者】
【氏名】リン ディ. ウィルコックス
(72)【発明者】
【氏名】スコット カーター
(72)【発明者】
【氏名】キショル パピネニ
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081742(JP,A)
【文献】特開2003-109129(JP,A)
【文献】特開2002-259758(JP,A)
【文献】特開2001-257863(JP,A)
【文献】特表2012-523627(JP,A)
【文献】特開2012-079187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するためのコンピュータで実施される方法であって、前記コンピュータで実施される方法は、中央処理ユニットとメモリを備えるコンピュータ化されたシステムに関連して実行され、前記コンピュータで実施される方法は、
a.複写装置から画像を読み出し、
b.前記読み出し画像に関するデジタル指紋を取得するために画像処理を遂行し、
c.前記取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合する、
ことと、
d.一致が見つからない場合には、前記取得したデジタル指紋を複数の未知画像の指紋と照合し、
e.前記読み出し画像を前記複数の未知画像に追加する、ことと、
f.前記読み出し画像と前記複数の未知画像の少なくともいくつかとを、近似重複画像の1つまたは複数のクラスタにクラスタ化することと、
を含む、コンピュータ実装された方法。
【請求項2】
ステップcにおいて、前記照合は全頁照合である、請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項3】
ステップdにおいて、前記照合は全頁照合である、
請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項4】
前記クラスタ化は、前記読み出し画像と前記複数の未知画像内の前記未知画像との間の類似性に基づく、
請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項5】
近似重複画像のクラスタを、近似重複画像の異なるクラスタ内の未知画像対の間の時間的近似性に基づいて、時間的クラスタ系列にグループ化することをさらに含む、
請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項6】
近似重複画像クラスタに対する代表的な文書を選択することをさらに含む、
請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項7】
前記近似重複画像クラスタに対する代表的文書をユーザに表示することをさらに含む、
請求項6に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項8】
表示された各代表的文書に関して、著作権のあるもの又は著作権のないものとして前記表示された代表的文書のユーザ指定を受信することをさらに含む、
請求項7に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項9】
前記ユーザが前記表示された代表的文書を著作権のあるものとして指定した場合には、前記近似重複画像クラスタを前記複数の未知画像から除去して、前記近似重複画像クラスタを前記複数の著作権付画像に配置することをさらに含む、
請求項8に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項10】
前記ユーザが前記表示された代表的文書を著作権のないものとして指定した場合には、前記近似重複画像クラスタを前記複数の未知画像から除去することをさらに含む、
請求項8に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項11】
権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するためのコンピュータで実施される方法であって、前記コンピュータで実施される方法は、中央処理ユニットとメモリを備えるコンピュータ化されたシステムに関連して実行され、前記コンピュータで実施される方法は、
a.複写装置から画像を読み出し、
b.前記読み出し画像に関するデジタル指紋を取得するために画像処理を遂行し、
c.前記取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合する、ことと、
d.一致が見つからない場合には、前記取得したデジタル指紋を複数の未知画像の指紋と照合し、
e.前記読み出し画像を前記複数の未知画像に追加する、ことと、
を含み、
前記照合は、
i.前記複数の未知画像においてビジュアルワードの語彙を生成し、
ii.前記複数の未知画像のそれぞれに対して画像キーポイントとなる画像特徴を抽出し、
iii.前記抽出された画像特徴に基づいて、前記語彙内の前記ビジュアルワードから、これらのビジュアルワードを含む前記複数の未知画像のなかの画像を指定する索引を生成し、
iv.前記生成された索引を用いて、少なくとも1つのビジュアルワードを前記読み出し画像と共有する、前記複数の未知画像の他のすべての画像を収集して、共有するビジュアルワード数を決定し、
v.共有ビジュアルワードが、前記読み出し画像及び前記複数の未知画像のその他画像において同一の位置に位置するかどうかを検証するための幾何検証を行い、すべての共有ビジュアルワードに対する検証された共有ビジュアルワードの割合を類似性の尺度とする、
ことを
含む、コンピュータ実装された方法。
【請求項12】
ビジュアルワードの語彙が、代表的画像の集合から抽出された1組の画像特徴から生成される、
請求項6に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項13】
前記複数の未知画像は未知画像データベースに格納される、
請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項14】
一致が見つかった場合には、前記権利保有者に対する通知を作成することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項15】
一致が見つかった場合には、前記複写装置に前記読み出し画像をコピーさせないことをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項16】
一致が見つかった場合には、検索された画像を前記複写装置によりコピーしたことに関する情報を含む報告を作成することをさらに含む、請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項17】
前記複数の著作権付画像は著作権付画像データベースに格納される、請求項1に記載のコンピュータ実装された方法。
【請求項18】
権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するコンピュータ化されたシステムであって、
中央処理ユニットと、
メモリであって、
a.複写装置から画像を読み出し、
b.前記読み出し画像に関するデジタル指紋を取得するために画像処理を遂行し、
c.前記取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合
し、
d.一致が見つからない場合には、前記取得したデジタル指紋を複数の未知画像の指紋と照合し、
e.前記読み出し画像を前記複数の未知画像に追加し、
f.前記読み出し画像と前記複数の未知画像の少なくともいくつかとを、近似重複画像の1つまたは複数のクラスタにクラスタ化する、
ための、一連のコンピュータ実行可能命令を格納するメモリと、
を備える、コンピュータ化されたシステム。
【請求項19】
一連のコンピュータ実行可能命令を具現化する、プログラムであって、中央処理ユニットとメモリとを備えるコンピュータ化されたシステムにおいて実行されると、前記コンピュータ化されたシステムに、権利保有者により所有される印刷物のコピーを追跡する方法を実行させ、
前記方法は、
a.複写装置から画像を読み出し、
b.前記読み出し画像に関するデジタル指紋を取得するために画像処理を行い、
c.前記取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合
し、
d.一致が見つからない場合には、前記取得したデジタル指紋を複数の未知画像の指紋と照合し、
e.前記読み出し画像を前記複数の未知画像に追加し、
f.前記読み出し画像と前記複数の未知画像の少なくともいくつかとを、近似重複画像の1つまたは複数のクラスタにクラスタ化する、
ことを含む、プログラム。
【請求項20】
権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡する装置であって、
a.複写装置から画像を読み出す読み出し手段と、
b.前記読み出し画像に関するデジタル指紋を取得する取得手段と、
c.前記取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合する照合手段と、
d.一致が見つからない場合には、前記取得したデジタル指紋を複数の未知画像の指紋と照合する第2照合手段と、
e.前記読み出し画像を前記複数の未知画像に追加する追加手段と、
f.前記読み出し画像と前記複数の未知画像の少なくともいくつかとを、近似重複画像の1つまたは複数のクラスタにクラスタ化するクラスタ化手段と、
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する実施形態は、一般にコンテンツの権利管理のための技術に関し、より具体的には、権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するシステム、方法、装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物の権利保有者は、それらの資料のコピーの使用に対する補償を受け、又はそのコピーの禁止を可能とすることを望む。従来のコピー技術は、自己申告システムに基づいて、全コピー活動を保管する手動記録を必要とすることがある。効率及びコンプライアンスを改善するためには、多機能複写機に自動システムがついていることが望ましい。本や雑誌などの著作権のある資料をコピーする場合、コピーされた画像は原本に近いが、複写機の解像度、回転、汚れなどによる軽微な欠陥を有することがある。本の場合には、2ページが同時にコピーされて、印刷物の背の部分を曲げることによるゆがみが生じることがある。自動システムでは、数百万ページのデータベースを処理して、非常に高精度でコピーをデータベースに照合可能である必要があろう。通常はページ全体が照合されるが、ロゴやスタンプなどの使い方を突き止めるためにページの一部だけを見ることが望ましい場合もある。著作権のある資料の一部分に対してしかページ画像が利用できない場合には、遭遇する画像クラスタの統計を保持することで、著作権のあるページの画像を発見することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第5530520号公報
【文献】米国特許第8805117号公報
【文献】米国特許第6135646号公報
【文献】米国特許第6711293号公報
【文献】米国特許第7363278号公報
【文献】米国特許第5299026号公報
【文献】米国特許出願公開第2019/0034758号公報
【文献】米国特許出願公開第2008/0243818号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】Jun Jie Foo, Justin Zobel, Ranjan Sinha. Clustering near-duplicate images in large collections. Proceedings of the international workshop on Workshop on multimedia information retrieval, pp. 21-30,2007.
【文献】https://en. wikipedia.org/wiki/Printer_steganography
【文献】EURion constellation. https://en.Wikipedia.org/wiki/EURion_constellation
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のコピー技術に関する上記の欠点に鑑み、当分野においては権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するためのシステム、方法、装置、及びプログラムが強く必要とされる。
【0006】
本明細書で説明する実施形態は、権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡する従来技術に関連する上記及びその他の1つ以上の問題を実質的に回避するシステム、方法、装置、及びプログラムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに記載の本発明の概念の一態様によれば、権利保有者の所有する印刷物のコピーを追跡するためのコンピュータで実施される方法が提供される。このコンピュータで実施される方法は、中央処理ユニットとメモリを備えるコンピュータ化されたシステムに関連して実行され、そのコンピュータで実施される方法は、複写装置から画像を読み出し、画像処理を行ってその読み出した画像に関するデジタル指紋を取得し、取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合することを含む。
【0008】
1つ以上の実施形態において、前述の照合は全頁照合である。
【0009】
1つ以上の実施形態において本方法は、一致が見つからない場合には、取得したデジタル指紋を複数の未知画像の指紋と照合して、読み出し画像を複数の未知画像に追加することをさらに含む。
【0010】
1つ以上の実施形態において、前述の照合は全頁照合である。
【0011】
1つ以上の実施形態において本方法は、読み出し画像を複数の未知画像に追加すると、読み出し画像と複数の未知の画像の少なくともいくつかとを、近似重複画像の1つまたは複数のクラスタ(cluster)にクラスタ化(clustering)することをさらに含む。
【0012】
1つ以上の実施形態においてクラスタ化は、読み出し画像と複数の未知画像内の未知画像との間の類似性に基づく。
【0013】
1つ以上の実施形態において本方法は、近似重複画像のクラスタを、近似重複画像の異なるクラスタ内の未知画像の対の間の時間的近似性に基づいて、時間的クラスタ系列にグループ化することをさらに含む。
【0014】
1つ以上の実施形態において本方法は、近似重複画像クラスタに対する代表的な文書を選択することをさらに含む。
【0015】
1つ以上の実施形態において本方法は、近似重複画像クラスタに対する代表的文書をユーザに表示することをさらに含む。
【0016】
1つ以上の実施形態において本方法は、表示された各代表的文書に関して、著作権のあるもの又は著作権のないものとしての、表示された代表的文書のユーザ指定を受信することをさらに含む。
【0017】
1つ以上の実施形態において本方法は、ユーザが表示された代表的文書を著作権のあるものとして指定した場合には、近似重複画像クラスタを複数の未知画像から除去して、近似重複画像クラスタを複数の著作権付画像に配置することをさらに含む。
【0018】
1つ以上の実施形態において本方法は、ユーザが表示された代表的文書を著作権のないものとして指定した場合には、近似重複画像クラスタを複数の未知画像から除去することをさらに含む。
【0019】
1つ以上の実施形態において照合は、複数の未知画像においてビジュアルワードの語彙を生成し、複数の未知画像のそれぞれに対して画像キーポイントとなる画像特徴を抽出し、抽出された画像特徴に基づいて語彙内のビジュアルワードからこれらのビジュアルワードを含む複数の未知画像のなかの画像を指定する索引を生成し、生成された索引を用いて、少なくとも1つのビジュアルワードを読み出し画像と共有する複数の未知画像の他のすべての画像を収集して、共有ビジュアルワード数を決定し、共有ビジュアルワードが、読み出し画像と複数の未知画像のその他の画像において同一位置にあるかどうかを検証するために幾何学的検証を行い、すべての共有ビジュアルワードに対する検証された共有ビジュアルワードの割合を類似性の尺度とする、ことを含む。
【0020】
1つ以上の実施形態においてビジュアルワードの語彙は、代表的画像の集合から抽出された1組の画像特徴から生成される。
【0021】
1つ以上の実施形態において、複数の未知画像は未知画像データベースに格納される。
【0022】
1つ以上の実施形態において本方法は、一致が見つかった場合には、権利保有者に対して通知を作成することをさらに含む。
【0023】
1つ以上の実施形態において本方法は、一致が見つかった場合には、複写装置に読み出し画像をコピーさせないことをさらに含む。
【0024】
1つ以上の実施形態において本方法は、一致が見つかった場合には、検索された画像を複写装置によってコピーしたことに関する情報を含む報告を作成することをさらに含む。
【0025】
1つ以上の実施形態において、複数の著作権付画像は著作権付画像データベースに格納される。
【0026】
本明細書に記載の本発明の概念の別の態様によれば、権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するコンピュータ化されたシステムが提供される。コンピュータ化されたシステムは、中央処理ユニットと、メモリとを備え、そのメモリは、複写装置から画像を読み出し、読み出し画像に関するデジタル指紋を取得するために画像処理を遂行し、取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合するための一連のコンピュータ実行可能命令を格納する。
本明細書に記載の本発明の概念のさらに別の態様によれば、一連のコンピュータ実行可能命令を具現化する、プログラムが提供される。これは、中央処理ユニットとメモリとを備えるコンピュータ化されたシステムにおいて実行されると、コンピュータ化されたシステムに、権利保有者により所有される印刷物のコピーを追跡する方法を実行させる。その方法は、複写装置から画像を読み出し、読み出し画像に関するデジタル指紋を取得するために画像処理を遂行し、取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合することを含む。
本明細書に記載の本発明の概念のさらに他の態様によれば、権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡する装置が提供される。この装置は、複写装置から画像を読み出す読み出し手段と、前記読み出し画像に関するデジタル指紋を取得する取得手段と、前記取得したデジタル指紋を複数の著作権付画像の指紋と照合する照合手段と、を備える。
【0027】
本発明に関連するさらなる態様は、一部分が以下の説明で示され、一部分はその説明によって明らかとなるかあるいは本発明の実施によって知ることができる。本発明の諸態様は、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲において特に指摘される諸要素、ならびに様々な要素および態様の組合せを使用して実現および達成することが可能である。
【0028】
上記および以下の説明はいずれも例示的かつ説明のためだけのものであり、いかなる形にせよ、請求範囲に記載の発明またはその応用を制限するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明と相俟って本発明の概念の原理の説明及び例示に供される。具体的には:
【0030】
【
図1】権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するための本記載システムの例示的実施形態の構成要素を示す図である。
【0031】
【
図2】照合プロセスの例示的実施形態のフローチャートを示す図である。
【0032】
【
図3】ユーザが著作権の有無を識別するための例示的実施形態のユーザインタフェースを示す図である。
【0033】
【
図4】文書が著作権の対象であるかどうかを判定する検査のために未知文書データベースから未知文書を取り出し、古い文書をデータベースから削除するためのプロセスの、例示的フローチャートを示す図である。
【0034】
【
図5】ほぼ同一画像のクラスタを時系列にグループ化するプロセスの例示的実施形態を示す図である。
【0035】
【
図6】対応するビジュアルワードを有する4つの記述子ベクトルの例を示す図である。
【0036】
【
図7】権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するためのコンピュータ化されたシステムの例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下の詳細な説明においては添付図面を参照する。ここで、同一の機能的要素は同様の符号で表す。上記の添付図面は、本発明の原理に合致する特定の実施形態および実装形態を限定としてではなく、例示として示す。これらの実装形態は、当業者が本発明を実行できるように詳細に記述される。また、他の実装も利用可能であること、及び本発明の範囲及び精神から逸脱することなく様々な要素の構造上の変更及び/又は代替が行われてもよいことを理解されたい。したがって、以下の詳細な記述は本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。さらに、記述される本発明の様々な実施形態は、汎用コンピュータ上で実行されるソフトウェア、専用ハードウェア、あるいはソフトウェアとハードウェアの組合せ、のいずれの形態において実施されてもよい。
【0038】
著作権保有者などの権利保有者は、権利を所有する印刷物のコピーを追跡することを所望する。その情報はコピーする人のライセンスの有無の確認に利用可能である。あるいは、その情報により課金することができる。国によっては、著作権機関などの仲介者が、そのようなコピーの追跡及び権利保有者への補償を促進することがある。
【0039】
1つ以上の実施形態においてシステムは、複写機を監視し、コピー画像を権利保有者が所有する資料と照合し、複写機の識別子、コピーする人、コピー枚数及び照合資料を含む、コピー動作などを記録することにより、このプロセスを自動化する。あるいは、このシステムの一実施形態では権利保有者による許可がない場合にはコピーを禁止することができる。
【0040】
1つ以上の実施形態において、記載のシステムはいくつかの構成要素からなる。監視システムは複写機と通信して、コピー画像、コピー数、及びコピーを行なう人の身元などの情報を受信する。画像は処理されて、権利保有者が所有する印刷物のページを表すデータベース内の近似重複画像と照合しやすくする。データベースでの照合は、コピープロセスに関するデータと共に記録されてよい。あるいは、ビジネスロジックが無許可のコピーを判定してその判定を複写機に通信し、コピーの印刷を防止してもよい。著作権保護されたページのいくつかの画像が最初に入手できない場合、コピーされた複数のページを相互に比較して統計を維持することができる。同一ページが何度もコピーされる場合には、著作権保護されたページ全体に加えてそれを検査することが可能である。これは未知文書のデータベースを維持することにより達成される。類似のページの大きなクラスタが集積されると、それを検査して、著作権情報でタグ付けして著作権データベースに追加するか、又は廃棄する。未知の文書のコピーシーケンスは追跡されて、著作権資料の識別を簡略化するために一緒に提示される。本システムは、複写機に加え、それが著作権資料のコピーに使用される場合には、フォンカメラを使用するスマートフォンアプリケーションなどの他の多くの画像装置に使用可能である。コピープロセスの一部としてデジタル画像を生成することができる任意の画像装置は、本システムに接続可能である。したがって、本明細書に記載の本発明の概念は、デジタル複写機だけに限るものではない。
【0041】
多くの多機能複写機にはセキュリティ設定がなされて、複写機の使用に電子バッジ又は暗証番号コードが要求されることにもまた留意されたい。1つ以上の実施形態において、そのような認証情報が本記載システムのプロセスに含まれ、会計又はコピー防止のいずれかのためにコピーする人についてのより詳細な記録を提供する。
【0042】
さらに、大部分の多機能複写機は、タイムスタンプ、コピー数、及び認証情報を含む活動ログを提供する。多くの多機能複写機は、所望によってコピーされたそれぞれのデジタル画像を保存する機能を有する。本記載のシステムの一実施形態は、モジュール式構成により、異なるメーカ及びモデルの多機能複写機又は他の画像装置に対してそのような情報にアクセスする。あるいは、多機能複写機がサーバへのネットワーク接続を開始してそのような情報をサーバへアップロードすることも可能である。サーバが多機能複写機に組み込まれている場合もある。
【0043】
図1は、権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するための本記載システムの例示的実施形態100の構成要素を示す。図示した実施形態では、全体のシステム構成に以下で詳細を説明するいくつかの構成部品が含まれる。多機能複写機101がオリジナルページ103の各コピーに対するデジタル画像102を保存し、活動ログに追加情報を記録する。画像データベース106と共に動作する画像処理サーバ104は各デジタル画像に対して、データベース内で一致画像を見つけるのに十分なデジタル指紋105を計算する。一実施形態において画像処理サーバ104は、複数の多機能複写機101からの画像を処理できる。多機能複写機101と画像処理サーバ104との間の通信は、どちら側からでも開始可能である。プライバシー又は効率上の理由で、画像処理サーバ104は多機能複写機101と同じ構内に配置してもよい。そのような設定の場合にはデジタル画像は構内から出る必要がなく、ネットワークバンド帯域幅が節約され、あるいは私的な非著作権画像が著作権者やその代理人に見られることが防止される。
【0044】
1つ以上の実施形態において、データベース検索サーバ107は、デジタル指紋105を著作権保護されたページのデジタル指紋のデータベース108に照合する。このサーバでは多くの異なる手法が使用可能である。例えば、画像特徴からそれらの特徴を含むデータベース画像への逆索引、ハッシュ、力まかせ検索(brute force search)、あるいはすべての一致画像を正確に突き止める他の手法などである。肯定的な一致は、通知および将来の報告111のために記録される。肯定的な一致は多機能複写機101及び画像処理サーバ104にも報告されて、印刷動作に影響を与え、またコピー画像の保存を制御してもよい。
【0045】
1つ以上の実施形態において、著作権付き資料の画像が最初に入手できないことがある。この状況では、データベース検索サーバ107は個別の未知文書データベース109であり続ける。著作権データベースに一致しないデジタル指紋が、この未知文書データベース109に追加される。提示されたデジタル指紋は、未知文書データベース109でもチェックされる。一致する場合、互いに一致するデジタル指紋の統計を保持するビジネスプロセスマネージャ110に報告される。これらの一致したものはクラスター化されて、クラスター内の全デジタル指紋が互いに一致するようにされる。デジタル指紋のクラスターの数がビジネスプロセスマネージャ110が規定する閾値を越えると、対応する画像を人手で検査するように要請される。または、例えば週1回などの定期的なプロセスによって特定のサイズを超えるすべてのクラスターが集められて、検査に供される。また、指定期間内に他のいずれにも一致しなかったデジタル指紋を未知文書データベース109から削除する定期的プロセスも必要である。
【0046】
1つ以上の実施形態において、前述の画像照合プロセスには、未知画像と著作権画像の前述のデータベースでのビジュアルワード(Visual Words)の語彙の生成が含まれてよい。ここで、ビジュアルワードとは、自然言語処理にて文章をベクトルで表現する手法のひとつであるBag-of-Wordsを、画像に適用した手法であり、Bag-of-Visual WordsやBag-of-Featuresなどとも呼ばれる。ビジュアルワードは画像の局所特徴量を表す特徴ベクトルとして使うことができる。例えば、局所画像の特徴量を表すビジュアルワードの集合、語彙を生成して、各画像をビジュアルワードによって表現することで画像の特徴ベクトルを求めることができる手法である。このビジュアルワードの語彙は著作権画像データベースと未知画像データベースの両方にある全画像から生成される。1つ以上の実施形態において、前述の語彙は、取り込み画像または未知画像のいずれかから多くの新規画像を受信した後に定期的に更新されてもよい。その後、それぞれのデータベース内の各画像について画像キーポイントに対する画像特徴が抽出される。続いて、抽出された画像特徴に基づいて、語彙内のビジュアルワードから、これらのビジュアルワードを含む複数の格納された画像のなかの画像を指定する索引が生成される。生成された索引を用いて、少なくとも1つのビジュアルワードを読み出された画像と共有する、各データベース内に格納された他のすべての画像が収集されて、共有するビジュアルワードの数が決定される。最後に、幾何学的検証が行われて、共有ビジュアルワードが読み出し画像及び格納画像のその他画像と同一場所にあることが検証され、全共有ビジュアルワードに対する検証された共有ビジュアルワードの割合を類似性尺度とする。上記の類似性尺度を次に閾値と比べて、近接一致がなされたかどうかを判定してもよい。上記のプロセスは、著作権付き画像のデータベース及び未知画像のデータベースのいずれに対しても遂行される。一実施形態において、両データベースは語彙を共有し、かつ各データベースはそれぞれの逆索引を有する。
【0047】
図2は、照合プロセス200の例示的実施形態のフローチャートを示す図である。まず、ステップ201においてデジタル画像のデジタル指紋が著作権文書のデータベース108に格納された記録に対してチェックされる。ステップ202において一致があれば、一致が返される(ステップ203参照)。そうではなく一致が見つからない場合には、デジタル画像のデジタル指紋が未知文書のデータベース109でチェックされる(ステップ204参照)。ステップ205において一致があれば、一致した文書の日付が現在の日付に変更される(ステップ206参照)。ステップ207において、一致した文書の識別子のリストが、デジタル画像に対応して提示された文書に追加される。ステップ208において、提示された文書が現在の日時で未知文書のデータベース109に挿入される。最後にステップ209において、未知文書データベース109に格納されている未知文書の逆索引が、提示された文書を含むように更新される。ステップ205において一致する文書が見つからない場合には、プロセス200は挿入ステップ208へ直接進む。
【0048】
1つ以上の実施形態においてユーザは、
図3に示す例示的なユーザインタフェース300を使用して、例えばページのヘッダから、未知文書の著作権の情報源を識別することを求められることがある。そのために、システムは未知文書データベース109内の近似重複画像を画像クラスタ301と302にクラスタ化し、それらをユーザに表示して著作権物か否かをグラフィカルユーザインタフェースのウィジェット303と304によりマークさせる。
【0049】
1つ以上の実施形態において、肯定的な識別の後に、対応するデジタル画像の代表が、検査中に判定された権利保有者情報と共に著作権データベース108へ追加される。検査結果がいずれであっても、デジタル指紋のクラスタは未知文書のデータベース109から削除される。それは、著作権データベースに追加された情報に含まれるか、又は著作権物でないと判定されるかのいずれかであることによる。
【0050】
図4は、未知の文書のデータベース109から未知の文書を読み出して、その文書が著作権の対象であるかどうかを判定する検査のため、及びデータベース109から古い文書を削除するため、のプロセス400の例示的フローチャートを示す図である。具体的には、以下のステップ401は、十分な近似重複一致を有する未知文書データベース109内の各未知文書に対して実行される。一実施形態において、上記のステップ401を実行するために、未知文書は一致カウントの降順に順序付けられる。
【0051】
1つ以上の実施形態では、上記のステップ401においてシステムは、未知の文書の文書識別子が一致する文書の集合に含まれているか否かをチェックする(サブステップ402参照)。含まれていれば、システムは本ステップ401の残りの操作を省略する。そうでなければ、システムは一致する文書の識別子をその含まれた集合に追加する(サブステップ404参照)。次にサブステップ405においてシステムは、一致した識別子と文書の識別子とをクラスタとして統合して、それをクラスタのリストに追加する。
【0052】
1つ以上の実施形態ではステップ406において、システムは各クラスタからの代表的画像を表示装置に提示し、例えば
図3に示すユーザインタフェースを使ってユーザに検査させる。ステップ407において、システムがユーザの入力に基づいてその文書クラスタが著作権付きか否かを判定する。著作権付きであればステップ408において、提供された著作権情報を有する代表的文書が著作権データベース108に追加される。続いて、クラスタ内の各識別子に対して実行されるステップ409において、システムは未知文書データベース109から対応するクラスタを削除し(サブステップ410参照)、対応する文書を除去するために逆索引を更新する(サブステップ411参照)。
【0053】
1つ以上の実施形態において、期限切れの未知文書のそれぞれに対して(定期的に)実行されるステップ412において、システムはそのような文書を未知文書データベース109から削除して(サブステップ413参照)、その後この文書を除去するために逆索引を更新する(サブステップ414参照)。
【0054】
1つ以上の実施形態において、未知の文書のコピーシーケンスは追跡して一緒に提示することが可能である。例えば、同一のコピージョブにおいて同一複写機でコピーされたすべてのシートは、1つのシーケンスにグループ化される。コピージョブが追跡されない場合、例えば自動文書フィーダの助けなしで本から複数のページをコピーする場合には、コピーとコピーの間に1~2分のような適当な間隙をその代わりに使用してもよい。シーケンスを一緒に提示することは、未知文書の著作権ソースの識別を担当するユーザの助けとなる。いくつかのページの定義が困難であるとしても、他のページのコンテキスト、例えば記事のタイトルページから識別可能となり得る。
【0055】
1つ以上の実施形態において、ほぼ同一画像のクラスタを時系列にグループ化することは、
図5に示す簡単な手法で実行可能である。第1に、前に述べた閾値を超えるすべての画像に対して、複写機及びコピー時間によって順序付けられたそれらをループすることができる(ステップ501参照)。同一コピージョブ内にあるか、又は特定の継続時間間隙で中断されていないシーケンスにあるすべての画像には、同一のシーケンス識別子が割り当てられる(ステップ502及び503参照)。
具体的には、ステップ501では、複写装置とコピー時間で順序付けられた、十分な一致を有する未知文書のそれぞれに対して、サブステップ502で、その前のコピー時間までの間隙が閾値を超えるか否かを判断し、サブステップ502が肯定判定の場合、サブステップ503で、現在のシーケンス識別子をインクリメントし、サブステップ504で、現在のシーケンス識別子を文書に割り当てる。なお、サブステップ502が否定判定の場合、処理はステップ504に進む。
第2に、ほぼ同一画像の各クラスタには最初に固有のグループが割り当てられる。すべての順序付けられたクラスタの対、及びそれらのクラスタの大きい方の全メンバ(ステップ505参照)に対して、もう一方のクラスタ内に同一シーケンスに所属するメンバがあるかどうかをチェックする(サブステップ506参照)。そしてシーケンスの一致カウントをインクリメントする(サブステップ508参照)。これらの一致カウントが閾値、例えば第1のクラスタのメンバの半数、を超えると(サブステップ509参照)、この2つのクラスタの所属するグループが統合される(サブステップ510参照)。
具体的には、ステップ505で、十分なサイズの一致した未知文書のクラスタの順序付けられた各対に対して、サブステップ506、509、510を実行する。サブステップ506で、2つのクラスタの大きい方の各メンバに対して、さらなるサブステップ507で、シーケンスが他のクラスタにあるか否かを判断する。さらなるサブステップ507が肯定判定の場合、さらなるサブステップ508で、シーケンス一致カウントをインクリメントして、サブステップ509に進む。なお、さらなるサブステップ507が否定判定の場合、さらなるサブステップ508がスキップされて、サブステップ509に進む。サブステップ509で、シーケンスの一致カウントが閾値を超えるか否かを判断する。サブステップ509が肯定判定の場合、サブステップ510で、クラスタを含むグループを統合する。サブステップ509が否定判定の場合、サブステップ510がスキップされる。
上記の説明は、シーケンスメンバによるグループ化プロセスの単なる1つの例示的実施形態に過ぎないことに留意されたい。他方で、これに代わる他の多くのクラスタ化技術が使用されてもよい。したがって、本発明は上記のクラスタリング技術の例に限定されない。
【0056】
1つ以上の実施形態において、
図1に示す画像処理サーバ104及びデータベース検索サーバ107は、異なる場所であってもよいし、又は同じ位置で、かつ同一サーバに実装されていてもよい。画像処理サーバを多機能複写機101の近くに保持することで、プライバシー、画像転送のネットワーク帯域幅の節約、及びデジタル指紋の分散計算に関する利点が提供される。その一方で、画像処理サーバ104を中央に持つことにより、サービス性及び改ざんに対する保護の利点が提供される。どちらの設定を使用するかはビジネス要件により決定される。一実施形態において、著作権データベース108を有するデータベース検索サーバ107と未知文書データベース109は、同一サーバを共有してもよい。それらが異なるサーバである場合、著作権データベースが一致の不成立を返した後に、画像処理サーバはデジタル指紋を未知文書データベース109に投入しなければならない。性能を向上させるためには、データベース検索サーバは、著作権文書のサブセットのみを保有するそれぞれのデータベースに分散させてもよい。その場合、画像処理サーバ104は、すべてのデータベース検索サーバ107に指紋を投入して、それらのいずれかからの一致を受け取る。
【0057】
1つ以上の実施形態において、画像のデジタル指紋は、参照により本明細書に援用される米国特許第6,711,293号公報に詳細に記載されている、SIFTなどのアルゴリズムによって検出されたキーポイント特徴からなる。そのような特徴は、記述子ベクトル、画像内座標、及びキーポイント配向などのその他の情報から成る。一実施形態において、特徴記述子ベクトルはビジュアルワード、すなわち量子化されたデジタル指紋にマッピングされ、その数は特徴記述子のトレーニングセットのクラスタ化により決定される。
図6は対応するビジュアルワードを有する4つの記述子ベクトルの例を示す。類似のベクトルには同じビジュアルワードが割り当てられる。
【0058】
一実施形態において、画像に含まれるビジュアルワードは、同一のビジュアルワードを含む画像を逆索引により配置することで著作権画像のデータベースに照合され、bag-of-wordsアプローチを用いて最適一致が判定される。一実施形態において、幾何学的検証ステップがこれらの一致に対して適用され、一致するビジュアルワードの多くが一致画像内で同一位置に配置されなければならない。一実施形態では、共有ビジュアルワードの他の画像上での分布の一様性の検証、及び共有ビジュアルワードの分布の一様性が所定の閾値より低い他の画像の排除、に関する更なるステップが実行される。そのような検証は画像を粗いグリッドに分割し、各グリッドセル内の一致割合を決定し、例えば参照により本明細書に援用される米国特許出願第15/663,815号明細書に記載の統計検定が遂行される。
【0059】
1つ以上の実施形態において、コピーされた画像が著作権ページのデータベース内に含まれる場合に、ビジネスプロセスマネージャ110は取るべきステップを決定する規則を含んでいる。いくつかの規則は、コピーを行う人の認証などのようなコピーされた画像に関する情報、及び作品や所有者を含むようなデータベース内のページに係わる情報を収集する。そのような規則は、後で説明するために行動を記録するだけであってもよいし、著作権所有者に通知を送信してもよい。他の規則では、人の認証を確認し、ライセンス状態を判定し、また場合によってはコピーされたページの印刷を防止することもある。コピーされたページのデジタル画像を保持する期間は規則で決められるであろう。
【0060】
1つ以上の実施形態において、コピーが防止されるという例外があるが、上記のプロセスはコピーを行う人には見えなくて、そのワークフローに干渉しない。したがって、著作権作品のコピーに関する報告義務をユーザが遵守することは非常に高いことが期待される。
【0061】
図7は、権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡するためのコンピュータ化されたシステム700の例示的実施形態を示す図である。1つ以上の実施形態において、コンピュータ化されたシステム700は、当業者に周知のデスクトップコンピュータのフォームファクタ内に実装されてよい。代替実施形態では、コンピュータ化されたシステム700は、ラップトップコンピュータ又はノートブックコンピュータ、あるいはスマートフォンやタブレットコンピュータなどのその他の任意のモバイルコンピューティングデバイスに実装されてもよい。
【0062】
コンピュータ化されたシステム700は、このコンピュータ化されたシステム700の様々なハードウェア構成要素同士の間で、又はそれらを横断して、情報を通信するためのデータバス704又は他の相互接続機構又は通信機構と、情報を処理し他の計算及び制御タスクを遂行するための、データバス704に電気的に接続された中央処理ユニット(CPU又は単にプロセッサ)701と、を含んでもよい。また、コンピュータ化されたシステム700は、様々な情報及びプロセッサ701で実行される命令を格納するために、データバス704に接続された、ランダムアクセスメモリ(RAM)や他の動的記憶装置のようなメモリ712も含む。メモリ712はまた、磁気ディスクや、光ディスク、固体素子フラッシュメモリ装置、その他の不揮発性固体記憶装置などの永続的記憶装置を含んでもよい。
【0063】
1つ以上の実施形態においてメモリ712は、プロセッサ701による命令の実行時の一時変数又は他の中間情報の格納に使用されてもよい。コンピュータ化されたシステム700は所望により、コンピュータ化されたシステム700の動作に必要なファームウェア、基本入出力システム(BIOS)、及びコンピュータ化されたシステム700の様々な構成パラメータなどの、プロセッサ701のための静的情報および命令を格納するために、データバス704に接続された読み出し専用メモリ(ROMあるいはEPROM)702又は他の静的記憶装置をさらに含んでもよい。
【0064】
1つ以上の実施形態において、コンピュータ化されたシステム700には表示装置711が組み込まれてもよい。これもデータバス704に電気接続され、本明細書に記載のクラスタ化された文書画像を示すユーザインタフェースなどの、様々な情報をコンピュータ化されたシステム700のユーザへ表示してよい。代替実施形態において表示装置711は、グラフィックコントローラ、及び/又はグラフィックプロセッサ(図示せず)に関連付けられてもよい。表示装置711は、例えばいずれも当業者にはよく知られた、薄膜トランジスタ(TFT)技術又は有機発光ダイオード(OLED)技術で製造された液晶ディスプレイ(LCD)として実装されてもよい。様々な実施形態において、表示装置711は、コンピュータ化されたシステム700の他の構成要素と共に同じ全体筐体に組み込まれてもよい。代替実施形態においては、表示装置711はそのような筐体の外、例えばテーブル又はデスク上などに配置されてもよい。1つ以上の実施形態において、コンピュータ化されたシステム700には、マイクロフォンなどの音声キャプチャ装置703がさらに組み込まれてもよい。
【0065】
1つ以上の実施形態において、コンピュータ化されたシステム700には、データバス704に電気接続され、当業者には周知の、MPEG-3ファイルなどの音声ファイルや、MPEG-4ファイルなどの様々なビデオファイルの音声トラック、などの様々な音声ファイルを再生するように構成された、音声再生装置725がさらに組み込まれてもよい。このために、コンピュータ化されたシステム700には、ウェーブプロセッサ又はサウンドプロセッサ又は類似の装置(図示せず)が組み込まれてもよい。
【0066】
1つ以上の実施形態において、コンピュータ化されたシステム700には、プロセッサ701に対して方向情報及びコマンド選択を通信し、またディスプレイ711上のカーソル移動を制御するために、マウス、トラックボール、タッチパッド、又はカーソル方向キーなどのマウス/ポインティング装置710のような、1つ以上の入力装置が組み込まれてもよい。この入力装置は典型的には、装置が面内位置を特定することを可能とする2つの軸、すなわち第1の軸(例えばx)と第2の軸(例えばy)における、2自由度を有する。
【0067】
コンピュータ化されたシステム700にはさらに、本明細書に記載の文書画像を含む様々な対象の静止画像及び映像を取得するためのカメラ726、及びキーボード706が組み込まれてもよい。これらはすべてデータバス704に接続されて、これに限らないが画像及び映像を含む情報、並びにプロセッサ701へのユーザコマンド(ジェスチャを含む)を通信することができる。
【0068】
1つ以上の実施形態においてコンピュータ化されたシステム700は、データバス704に接続されたネットワークインタフェース705などの、通信インタフェースをさらに含んでもよい。ネットワークインタフェース705は、WIFIインタフェース707、セルラーネットワーク(GSM(登録商標)またはCDMA)アダプタ708、及び/又はローカルエリアネットワーク(LAN)アダプタ709の内の少なくとも1つを利用して、コンピュータ化されたシステム700とインターネット724との間の接続を確立するように構成されてもよい。ネットワークインタフェース705は、コンピュータ化されたシステム700とインターネット724との間の双方向データ通信を可能とするように構成されてもよい。WIFIアダプタ707は、802.11a、802.11b、802.11g及び/又は802.11nプロトコル、並びに当業者には周知の、ブルートゥース(登録商標)プロトコルに適合して作動してもよい。コンピュータ化されたシステム700のLANアダプタ709は、例えばISDN(Integrated Services Digital Network)カードまたは対応する種類の電話線へのデータ通信接続を提供するモデムを利用して実装されてもよい。これはインターネットサービスプロバイダのハードウェア(図示せず)を利用してインターネット724に接続される。別の例として、LANアダプタ709はローカルエリアネットワークインタフェースカード(LAN NIC)であって、対応するLANとインターネット724にデータ通信接続を提供してもよい。例示的実装形態ではWIFIアダプ707、セルラーネットワーク(GSM(登録商標)またはCDMA)アダプタ708、及び/又はLANアダプタ709が、様々な種類の情報を表すデジタルデータストリームを搬送する電気信号または電磁気信号を送受信する。
【0069】
1つ以上の実施形態において、インターネット724は典型的には1つ以上のサブネットワークを介して他のネットワークリソースへデータ通信を提供する。こうしてコンピュータ化されたシステム700は、リモートメディアサーバ、ウェブサーバ、その他のコンテンツサーバ、及びその他のネットワークデータストレージリソースなどの、インターネット724上の任意の場所にある様々なネットワークリソースにアクセス可能である。1つ以上の実施形態においてコンピュータ化されたシステム700は、メッセージ、メディア、及びアプリケーションプログラムコードを含むその他のデータを、ネットワークインタフェース705によって、インターネット724を含む様々なネットワークを介して送受信するように構成されている。インターネットの例では、コンピュータ化されたシステム700がネットワーククライアントとして動作する場合には、コンピュータ化されたシステム700上で実行するアプリケーションプログラムのためのコードやデータを要求してもよい。同様に、様々なデータまたはコンピュータコードを他のネットワークリソースへ送信してもよい。
【0070】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載の機能は、メモリ712に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ701に応答して、コンピュータ化されたシステム700によって実行される。そのような命令は別のコンピュータ可読媒体からメモリ712へ読み込まれてもよい。メモリ712に含まれる命令のシーケンスを実行することで、プロセッサ701に本明細書に記載した様々なプロセスステップを遂行させる。代替の実施形態では、ソフトウェアによる命令の代わりに、あるいはソフトウェアによる命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用して本発明の実施形態が実施されてもよい。したがって、記載された本発明の実施形態は、ハードウェア回路及び/又はソフトウェアのいかなる特定の組み合わせにも限定されるものではない。
【0071】
本明細書で使用される「コンピュータ可読媒体」という用語は、プロセッサ701に実行命令を与えることに関与する任意の媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、本明細書に記載の任意の方法及び/又は技術を実施するための命令を伝達することができる、マシン可読媒体の一例に過ぎない。このような媒体には、これらに限らないが、不揮発性媒体および揮発性媒体を含む多くの形態がある。
【0072】
非一時的なコンピュータ可読媒体の一般的形態として、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、あるいは他の任意の磁気媒体、CD-ROM、他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、その他の穿孔でパターンを形成する任意の物理媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM、フラッシュドライブ、メモリカード、その他の任意のメモリチップまたはメモリカートリッジ、あるいはコンピュータが読み取ることができる他の任意の媒体、が含まれる。様々な形態のコンピュータ可読媒体が、プロセッサ701での実行のために、1つまたは複数の命令の1つまたは複数のシーケンスの伝送に関与し得る。例えば、命令がまず、リモートコンピュータから磁気ディスクへ伝送されてもよい。もしくは、リモートコンピュータが命令をそのダイナミックメモリに書込み、インターネット724を介して命令を送信してもよい。具体的には、コンピュータ命令は、当分野では周知の各種のネットワークデータ通信プロトコルを利用してインターネット724経由で、上記のリモートコンピュータからコンピュータ化されたシステム700のメモリ712へダウンロードされてもよい。
【0073】
1つ以上の実施形態においてコンピュータ化されたシステム700のメモリ712は、以下に述べるソフトウェアプログラムや、アプリケーション、モジュールの任意のものを格納してもよい。
【0074】
1.基本のシステム業務を実行し、コンピュータ化されたシステム700の様々なハードウェア構成要素を管理するためのオペレーティングシステム(OS)713。オペレーティングシステム713の例示的実施形態は当業者には周知であり、現在知られているか今後開発されるモバイルオペレーティングシステムの任意のものが含まれてよい。
【0075】
2.アプリケーション714には、例えば、コンピュータ化されたシステム700のプロセッサ701によって実行される一連のソフトウェアアプリケーションが含まれてもよい。これはコンピュータ化されたシステム700に、表示装置711上にグラフィカルユーザインタフェースを表示するとか、カメラ726を用いて文書画像をキャプチャするなどの所定の機能を遂行させる。1つ以上の実施形態においてアプリケーション714には、権利保有者により所有される印刷物のコピーを追跡するための本発明のアプリケーション715が含まれてもよい。
【0076】
3.データストレージ721は、例えば、画像データベース106、著作権データベース108、及び/又は未知文書のデータベース109などの様々なデータ構造722を格納し得る。さらに、データストレージ721は、生成されたレポート111と索引データ727とを含み得る。
【0077】
1つ以上の実施形態において、権利保有者が所有する印刷物のコピーを追跡する、本発明のアプリケーション715は、上述の画像処理を遂行して、デジタル指紋105を生成するように構成された、画像処理サーバモジュール716を組み込んでいる。さらに、上記の比較操作を遂行するためのデータベース検索モジュール717が備えられてもよい。その上、様々な報告111を作成するための、ビジネスプロセスマネージャモジュール718も備えられてよい。
【0078】
最後に、本明細書で説明したプロセスおよび技術は本質的に特定の装置に関係するものではなく、構成要素の任意の適切な組み合わせによって実施可能であることを理解されたい。さらに、種々のタイプの汎用デバイスを、ここで説明した教示にしたがって使用することが可能である。ここで説明した方法のステップを実行するための専用装置を構築すれば有利となる場合もある。本発明を特定の例に関連して説明したが、これらはすべての点において限定を目的とするものではなく説明を目的とするものであることを意図している。本発明の実行には、ハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェアの多くの異なる組み合わせが適することが、当業者には理解されるであろう。例えば、説明したソフトウェアは、アセンブラ、C/C++、Objective-C、perl、shell、PHP、Java(登録商標)、などの広範なプログラミング言語あるいはスクリプト言語、並びに現在知られているか今後開発される任意のプログラム言語あるいはスクリプト言語によって実施することが可能である。
【0079】
さらに本発明の他の実施態様が、明細書の考察およびここに開示した本発明の実施により当業者には明らかとなるであろう。記述された実施形態の様々な態様及び/又は構成要素は、権利保有者によって所有される印刷物の追跡のためのシステム及び方法において、単独もしくは任意の組み合わせで使用することが可能である。明細書及び実施例は例示としてのみ理解されるように意図されており、本発明の真の範囲と精神は添付の特許請求の範囲に示される。