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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20230816BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
B41J2/175 301
B41J2/175 119
B41J2/175 171
B41J2/175 121
B41J2/175 315
B41J29/46 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019066019
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020163683
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】洞出 賢太
(72)【発明者】
【氏名】新藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏明
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-213754(JP,A)
【文献】米国特許第6155664(US,A)
【文献】特開2009-6618(JP,A)
【文献】特開2019-25805(JP,A)
【文献】特開2018-171803(JP,A)
【文献】特開2017-121801(JP,A)
【文献】特開平10-337884(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103818122(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 29/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する第1液室、上記第1液室内の液体が流出する流出口、上記第1液室を大気に連通させる第1大気連通部を有するカートリッジと、
上記カートリッジが装着される装着体と、を備え、
上記装着体は、
上記カートリッジと接続可能なタンクであって、液体を貯留する第2液室、接続された上記カートリッジの上記流出口から流出した液体が流入する流入口、及び上記第2液室を大気に連通させる第2大気連通部を有するタンクと、
上記第2液室内の液体の液面が第1位置より高いときに第1信号を出力し、上記第2液室内の液体の液面が上記第1位置より低いときに第2信号を出力する第1センサと、
上記第2液室内の液体の液面が上記第1位置及び上記流入口より上方の第2位置より高いときに第3信号を出力し、上記第2液室内の液体の液面が上記第2位置より低いときに第4信号を出力する第2センサと、を備えており、
上記第1位置は、上下方向において上記流出口と同じ位置または上記流出口より下方の位置であり、
上記装着体は、コントローラと、報知機と、を備え、
上記コントローラは、
上記第1センサから上記第2信号の受信後に、上記第1液室から上記第2液室への液体の供給ができないことを示す報知を上記報知機に実行させ、
上記第2センサから受信する信号に基づいて、上記第1液室に貯留された液体の液量に関する判定を行う画像記録装置。
【請求項2】
上記コントローラは、上記第1センサからの上記第1信号及び上記第2センサからの上記第4信号を受信した後に、上記第1液室に貯留された液体の残量が少ないことを示す報知を上記報知機に実行させる請求項に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記装着体は、通信インタフェースを備え、
上記コントローラは、
上記第2センサから上記第4信号の受信後に、上記カートリッジの発注を指示する発注情報を上記通信インタフェースを通じて送信する請求項またはに記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記装着体は、上記第2液室と連通されたヘッドを備え、
上記コントローラは、上記カートリッジの交換時に、上記ヘッドが駆動されておらず、上記第2センサから上記第3信号を受信した後に上記第4信号を受信した場合、上記第2液室から上記第1液室へ液体が流出したことを示す報知を上記報知機に実行させる請求項からのいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記装着体は、
上記第2液室と連通されたヘッドと、
上記第1液室に貯留されている液体と上記第2液室に貯留されている液体の合計である総液量値、上記第1液室及び上記第2液室の上記第1位置より下方の容積である第1容積値、及び上記第1液室及び上記第2液室の上記第2位置より下方の容積である第2容積値が記憶されたメモリと、を備え、
上記コントローラは、
上記ヘッドから液体が排出されたことに応じてカウントされるカウント値に基づいて上
記総液量値を更新し、
上記第1センサから上記第1信号の受信後に上記第2信号を受信すると上記総液量値を上記第1容積値に更新し、
上記第2センサから上記第3信号の受信後に上記第4信号を受信すると上記総液量値を上記第2容積値に更新する請求項からのいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記コントローラは、
上記第1センサの故障を判断し、
上記第1センサが故障したと判断したことを条件として、上記第1センサから受信する信号にかかわらず、上記総液量値を上記第1容積値以下に更新させる請求項に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記コントローラは、
上記第2センサの故障を判断し、
上記第2センサが故障したと判断したことを条件として、上記第2センサから受信する信号にかかわらず、上記総液量値を上記第2容積値以下に更新させる請求項またはに記載の画像記録装置。
【請求項8】
液体を貯留する第1液室、上記第1液室内の液体が流出する流出口、上記第1液室を大気に連通させる第1大気連通部を有するカートリッジと、
上記カートリッジが装着される装着体と、を備え、
上記装着体は、
上記カートリッジと接続可能なタンクであって、液体を貯留する第2液室、接続された上記カートリッジの上記流出口から流出した液体が流入する流入口、及び上記第2液室を大気に連通させる第2大気連通部を有するタンクと、
上記第2液室内の液体の液面が第1位置より高いときに第1信号を出力し、上記第2液室内の液体の液面が上記第1位置より低いときに第2信号を出力する第1センサと、
上記第2液室内の液体の液面が上記第1位置及び上記流入口より上方の第2位置より高いときに第3信号を出力し、上記第2液室内の液体の液面が上記第2位置より低いときに第4信号を出力する第2センサと、を備えており、
上記装着体は、コントローラを備え、
上記コントローラは、
新たなカートリッジの装着時に、上記第2センサから上記第4信号の受信後に上記第3信号を受信すると、上記カートリッジは新品であるという判定を行う、または、上記第2センサから上記第4信号の受信後の所定時間内に上記第3信号を受信しないと上記カートリッジは新品でないという判定を行う画像記録装置。
【請求項9】
上記第1位置は、上下方向において上記流出口と同じ位置または上記流出口より下方の位置である請求項に記載の画像記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジと、カートリッジが装着されてカートリッジから液体が流通するタンクとを備える画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カートリッジと、カートリッジが装着されてカートリッジから液体が流通するタンクとを備える画像記録装置が、知られている。このような画像記録装置では、タンクに貯留された液体の残量が少なくなるまたは無くなると、新たなカートリッジがタンクに装着される。これにより、新たなカートリッジからタンクへ液体が供給される。
【0003】
このような画像記録装置では、従来、タンクに貯留された液体の残量を検知するためのセンサがタンクに設けられている。また、センサが複数設けられることにより、タンクに貯留された液体の残量を詳細に検知することができる。例えば、特許文献1に開示された記録装置では、タンク内にセンサにおける電極が3本配置されることによって、タンク内のインクが満タンであることと、タンク内のインクがなくなったこととを検知可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-213754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された記録装置では、センサが複数設けられていても、当該センサはカートリッジに貯留されたインクについての正確な検知を行うことができない。
【0006】
本発明の目的は、タンクに配置された複数のセンサを、カートリッジに貯留された液体についての検知にも使用することができる画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像記録装置は、液体を貯留する第1液室、上記第1液室内の液体が流出する流出口、上記第1液室を大気に連通させる第1大気連通部を有するカートリッジと、上記カートリッジが装着される装着体と、を備える。上記装着体は、上記カートリッジと接続可能なタンクであって、液体を貯留する第2液室、接続された上記カートリッジの上記流出口から流出した液体が流入する流入口、及び上記第2液室を大気に連通させる第2大気連通部を有するタンクと、上記第2液室内の液体の液面が第1位置より高いときに第1信号を出力し、上記第2液室内の液体の液面が上記第1位置より低いときに第2信号を出力する第1センサと、上記第2液室内の液体の液面が上記第1位置及び上記流入口より上方の第2位置より高いときに第3信号を出力し、上記第2液室内の液体の液面が上記第2位置より低いときに第4信号を出力する第2センサと、を備える。
【0008】
本構成によれば、カートリッジが第1大気連通部を備え、タンクが第2大気連通部を備えているため、液体は水頭差によって第1液室及び第2液室の間を流通し、第1液室及び第2液室の液体の液面の高さは同じとなる。よって、第2液室の液体の液面の高さを検知する第1センサ及び第2センサによって、第1液室の液体の液面の高さを検知することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タンクに配置された複数のセンサを、カートリッジに貯留された液体についての検知にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る配送システム5の構成図である。
図2図2は、プリンタ10の外観斜視図であって、(A)はカバー87が被覆位置である状態、(B)はカバー87が開放位置である状態を示す。
図3図3は、プリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
図4図4は、装着ケース150の縦断面図である。
図5図5は、カートリッジ200の構造を示す図であって、(A)は前方斜視図を、(B)は縦断面図を示す。
図6図6は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態の縦断面図である。
図7図7は、印刷処理のフローチャートである。
図8図8は、第1センサ61及び第2センサ62の信号に対するカートリッジ200の装着結果を示す表である。
図9図9は、更新処理のフローチャートである。
図10図10(A)は、第1更新処理のフローチャートであり、図10(B)は、第2更新処理のフローチャートであり、図10(C)は、第3更新処理のフローチャートであり、図10(D)は、第4更新処理のフローチャートである。
図11図11は、第5更新処理のフローチャートである。
図12図12は、連絡情報送信処理のフローチャートである。
図13図13(A)は、発注情報送信処理のフローチャートであり、図13(B)は、発送情報生成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、後述する各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0012】
本実施形態では、図1に示される配送システム5が説明される。配送システム5は、プリンタ10と、一乃至複数のプリンタ10から情報を収集する情報収集サーバ40とを備える。プリンタ10と情報収集サーバ40とは、インターネットなどの通信回線6によって接続されている。プリンタ10と情報収集サーバ40とは、TCP/IPなどの通信プロトコルを用いて相互に通信可能である。情報収集サーバ40は、通信回線6を介して、発注を受け付ける発送サーバ50へ情報を送信可能である。プリンタ10は、画像記録装置の一例である。
【0013】
[プリンタ10の概要]
図2に示されるプリンタ10は、インク滴を吐出してシートに画像を印刷するインクジェットプリンタである。インクは液体の一例である。プリンタ10は、ファクシミリ機能、スキャン機能、及びコピー機能などの機能を有する複合機であってもよい。
【0014】
以下では、プリンタ10が使用可能に水平面に設置された使用姿勢を基準として上下方向7が定義され、プリンタ10の開口13が形成された面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前面から見て左右方向9が定義される。すなわち、使用姿勢において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
【0015】
プリンタ10は、概ね直方体形状の筐体14(装着体の一例)を有している。筐体14の内部には、図2及び図3に示されるように、給送トレイ15と、給送ローラ23と、搬送ローラ25と、複数のノズル29を有するヘッド21と、プラテン26と、排出ローラ27と、排出トレイ16と、装着ケース150と、タンク160とが位置している。
【0016】
プリンタ10は、給送ローラ23及び搬送ローラ25を駆動させて、給送トレイ15に支持されたシートをプラテン26の位置まで搬送する。次に、プリンタ10は、タンク160からチューブ19を通じて供給されるインクを、ヘッド21にノズル29を通じて吐出させる。これにより、プラテン26に支持されたシートにインクが着弾して、シート上に画像が印刷される。そして、プリンタ10は、排出ローラ27を駆動させて、画像が印刷されたシートを排出トレイ16に排出する。
【0017】
より詳細には、ヘッド21は、搬送ローラ25によるシートの搬送向きと交差する主走査方向(左右方向9と平行)に沿って往復移動するキャリッジ20に搭載されている。キャリッジ20は、不図示のモータの駆動力が伝達されて、主走査方向(図3の紙面と垂直な方向)に沿って移動する。プリンタ10は、搬送ローラ25によるシートの搬送が停止されている間に、主走査方向に沿ってキャリッジ20を移動させつつ、ヘッド21にノズル29を通じてインクを吐出させる。これにより、ヘッド21に対面するシートの一部の領域(以下、「1パス」と記載)に画像が印刷される。次に、プリンタ10は、次に画像が印刷されるべき領域がヘッド21に対面するように、搬送ローラ25にシートを搬送させる。そして、これらの処理を交互に繰り返し実行させることによって、1枚のシートに画像が印刷される。
【0018】
[ディスプレイ28]
図2に示されるように、筐体14は、ディスプレイ28を有する。ディスプレイ28は、筐体14の前面に位置している。ディスプレイ28は、表示パネルの上にタッチセンサが配置された、所謂タッチパネルである。ただし、ディスプレイ28に代えて、或いはディスプレイ28とともに、表示パネル及び押しボタンが筐体14の前面に位置していてもよい。ディスプレイ28は、ユーザからの入力を受け付ける。
【0019】
[カバー87]
図2に示されるように、筐体14の前面14Aで且つ左右方向9の右端部には、開口85が形成されている。筐体14は、さらにカバー87を備える。カバー87は、開口85を被覆する被覆位置(図2(A)に示される位置)と、開口85を開放する開放位置(図2(B)に示される位置)との間を回動可能である。カバー87は、例えば、上下方向7における筐体14の下端近傍において、左右方向9に沿う回動軸線周りに回動可能に、筐体14によって支持されている。そして、開口85の奥に広がる筐体14内部の収容空間86には、カートリッジ200が装着される装着ケース150が位置している。
【0020】
[装着ケース150]
装着ケース150は、図4に示されるように、接点152と、ロッド153と、装着センサ32と、第1センサ61と、第2センサ62と、ロックピン156とを備えている。装着ケース150には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応する4つのカートリッジ200が収容可能である。すなわち、装着ケース150は、接点152、ロッド153、装着センサ32、第1センサ61、第2センサ62を、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つずつ備えている。なお、装着ケース150に収容可能なカートリッジ200の数は、4つに限定されず、1つでも良いし、5つ以上でも良い。
【0021】
装着ケース150は、装着されたカートリッジ200を収容する内部空間を有する箱形状である。装着ケース150の内部空間は、上端を画定する天壁と、下端を画定する底壁と、前後方向8の後端を画定する奥壁と、左右方向9の両端を画定する一対の側壁とで画定される。一方、装着ケース150の奥壁と対面する位置は、開口85となっている。すなわち、開口85は、カバー87が開放位置に位置したときに、装着ケース150の内部空間を、プリンタ10の外部に開放させる。
【0022】
そして、カートリッジ200は、筐体14の開口85を通じて、装着ケース150に装着され、装着ケース150から抜かれる。より詳細には、カートリッジ200は、開口85を前後方向8の後ろ向きに通過して、装着ケース150に装着される。装着ケース150から抜かれるカートリッジ200は、開口85を前後方向8の前向きに通過する。
【0023】
[接点152]
図4に示されるように、接点152は、装着ケース150の天壁に位置している。接点152は、天壁から装着ケース150の内部空間へ向けて下方に突出している。接点152は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する電極248(図5参照)に接する位置に位置している。接点152は、導電性を有しており、さらに上下方向7に沿って弾性的に変形可能である。接点152は、コントローラ130に電気的に接続されている。
【0024】
[ロッド153]
図4に示されるように、ロッド153は、装着ケース150の奥壁から前方へ突出している。ロッド153は、装着ケース150の奥壁において、後述するジョイント180より上方に位置している。ロッド153は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、カートリッジ200の後述する大気連通口221を通じて大気バルブ室214に進入する。ロッド153が大気バルブ室214に進入すると、後述する大気バルブ室214が大気に連通される。
【0025】
[装着センサ32]
図4に示されるように、装着センサ32は、装着ケース150の天壁に位置している。装着センサ32は、カートリッジ200が装着ケース150に装着されているか否か、つまりカートリッジ200がタンク160に接続されているか否かを検出するためのセンサである。装着センサ32は、左右方向9に離間した発光部及び受光部を備える。装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、カートリッジ200の後述する遮光リブ245(図5参照)は、装着センサ32の発光部及び受光部の間に位置する。換言すれば、装着センサ32の発光部及び受光部は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の遮光リブ245を挟んで、互いに対向した状態で位置している。
【0026】
装着センサ32は、発光部から左右方向9に沿って照射された光が受光部で受光されたか否かに応じて、異なる信号(以下、「装着信号」と記載)を出力する。装着センサ32は、例えば、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度未満であることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130へ出力する。一方、装着センサ32は、受光部で受光された光の受光強度が閾値強度以上であることに応じて、ローレベル信号より信号強度の高いハイレベル信号をコントローラ130へ出力する。
【0027】
[ロックピン156]
図4に示されるように、ロックピン156は、装着ケース150の内部空間の上端で且つ開口85付近において、左右方向9に沿って延びる棒状の部材である。ロックピン156の左右方向9の両端は、装着ケース150の一対の側壁に固定されている。ロックピン156は、4つのカートリッジ200が収容可能な4つの空間に亘って左右方向9に延びている。ロックピン156は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200を、図6に示される装着位置に保持するためのものである。カートリッジ200は、装着ケース150に装着された状態で、ロックピン156に固定される。
【0028】
[タンク160]
プリンタ10は、4つのカートリッジ200それぞれに対応して、4つのタンク160を備える。詳細には、マゼンタのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、マゼンタのインクが貯留されるタンク160と、シアンのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、シアンのインクが貯留されるタンク160と、イエローのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、イエローのインクが貯留されるタンク160と、ブラックのインクが貯留されるカートリッジ200に対応して、ブラックのインクが貯留されるタンク160と、を備える。4つのタンク160の構成は、概ね共通するため、以下では、1つのタンク160を説明する。
【0029】
図4に示されるように、タンク160は、装着ケース150の奥壁よりさらに後方に位置している。タンク160は、上壁161と、前壁162と、下壁163と、後壁164と、不図示の一対の側壁とで構成されている。なお、前壁162は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成される。タンク160の内部は、液室171が形成されている。液室171は、第2液室の一例である。
【0030】
タンク160を構成する壁のうち、上下方向7における後述する第1位置P1に対応する部分は、第1センサ61のプリズム61Aを構成している。また、タンク160を構成する壁のうち、上下方向7における後述する第2位置P2に対応する部分は、第2センサ62のプリズム62Aを構成している。第1センサ61の発光部61Bが出力した光は、プリズム61Aを透過することができる。第2センサ62の発光部62Bが出力した光は、プリズム62Aを透過することができる。
【0031】
後壁164の少なくとも一部は、上壁161、下壁163、及び側壁の端面に溶着されるフィルムでもよい。また、タンク160の側壁は、装着ケース150と共通でもよいし、装着ケース150とは独立していてもよい。さらに、左右方向9に隣接するタンク160の間は、不図示の隔壁によって仕切られている。
【0032】
液室171は、流出口174を通じて不図示のインク流路に連通されている。流出口174の下端は、液室171の下端を画定する下壁163によって画定されている。流出口174は、ジョイント180(より詳細には、貫通孔184の下端)より下方に位置している。流出口174に連通された不図示のインク流路は、チューブ19に連通されている。これにより、液室171は、流出口174からインク流路及びチューブ19を通じて、ヘッド21と連通する。つまり、液室171に貯留されたインクは、流出口174からインク流路及びチューブ19を通じて、ヘッド21へ供給される。流出口174に連通されたインク流路及びチューブ19は、一端(流出口174)が液室171に連通され、且つ他端89(図3参照)がヘッド21に連通されている。
【0033】
液室171は、大気連通室175を通じて大気に連通されている。より詳細には、大気連通室175は、前壁162を貫通する貫通孔176を通じて液室171に連通されている。また、大気連通室175は、大気連通ポート177及び大気連通ポート177に接続された不図示のチューブを通じて、プリンタ10の外部に連通されている。すなわち、大気連通室175は、一端(貫通孔176)が液室171に連通され、且つ他端(大気連通ポート177)がプリンタ10の外部に連通されている。なお、大気連通室175は、大気連通ポート177及び不図示のチューブを通じて、大気に連通している。大気連通室175は、第2大気連通部の一例である。
【0034】
[ジョイント180]
図4に示されるように、ジョイント180は、タンク160に設けられている。ジョイント180は、ニードル181と、ガイド182とを備えている。ニードル181は、内部に流路が形成された管である。ニードル181は、液室171を画定する前壁162から前方へ突出している。ニードル181の前端には、開口183が形成されている。また、ニードル181の内部空間は、前壁162を貫通する貫通孔184(流入口の一例)を通じて液室171に連通されている。ニードル181は、一端(開口183)がタンク160の外部に連通され、且つ他端(貫通孔184)が液室171に連通されている。ガイド182は、ニードル181の周囲に配置された円筒形状の部材である。ガイド182は、前壁162から前方に突出して、前端が開口している。
【0035】
ニードル181の内部空間には、バルブ185と、コイルバネ186とが位置している。バルブ185は、ニードル181の内部空間において、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ185は、閉塞位置に位置すると開口183を閉塞する。またバルブ185は、開放位置に位置すると開口183を開放する。コイルバネ186は、バルブ185を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う前向きに付勢している。
【0036】
[第1センサ61]
図4に示される第1センサ61は、インクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズム61Aを利用して、液室171におけるインクの液面が第1位置P1になったことを検知するものである。
【0037】
第1位置P1は、上下方向7において、ニードル181の軸中心と同じ高さであり、且つ後述するインク供給口234の中心と同じ高さである。
【0038】
第1センサ61は、筐体14に設けられている。第1センサ61は、プリズム61Aと、発光部61Bと、受光部(不図示)とを備える。発光部61B及び受光部は、プリズム61Aの後方にプリズム61Aと対面して配置されている。発光部61Bは、プリズム61Aへ向けて光を照射する。受光部は、発光部61Bから照射されてプリズム61Aで反射した光を受け、受けた光の強度に基づいた信号をコントローラ130へ出力する。
【0039】
液室171に貯留されたインクの液面が第1位置P1より高いとき、発光部61Bから照射される光の光路上において、プリズム61Aにインクが接触する。このとき、発光部61Bからプリズム61Aへ照射された光は、プリズム61Aを透過して液室171に進入するため、受光部へ到達しない。このとき、受光部は、ローレベル信号(第1信号の一例)をコントローラ130へ出力する。一方、液室171に貯留されたインクの液面が第1位置P1以下のとき、発光部61Bから照射される光の光路上において、プリズム61Aにインクが接触しない。このとき、発光部61Bからプリズム61Aへ照射された光は、プリズム61Aで反射して受光部へ到達する。このとき、受光部は、ハイレベル信号(第2信号の一例)をコントローラ130へ出力する。以下では、ローレベル信号を「L」、ハイレベル信号を「H」として説明する場合がある。なお、受光部は、液室171に貯留されたインクの液面が第1位置P1以上のときにハイレベル信号を出力し、液室171に貯留されたインクの液面が第1位置P1より低いときにローレベル信号を出力してもよい。
【0040】
[第2センサ62]
図4に示される第2センサ62は、インクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズム62Aを利用して、液室171におけるインクの液面が第2位置P2になったことを検知するものである。
【0041】
第2位置P2は、貫通孔184より上方の位置である。つまり、本実施形態において、第2位置P2は、第1位置P1より上方の位置である。
【0042】
第2センサ62は、筐体14に設けられている。第2センサ62は、プリズム62Aと、発光部62Bと、受光部(不図示)とを備える。発光部62B及び受光部は、プリズム62Aの後方にプリズム62Aと対面して配置されている。発光部62Bは、プリズム62Aへ向けて光を照射する。受光部は、発光部62Bから照射されてプリズム62Aで反射した光を受け、受けた光の強度に基づいた信号をコントローラ130へ出力する。
【0043】
液室171に貯留されたインクの液面が第2位置P2より高いとき、発光部62Bから照射される光の光路上において、プリズム62Aにインクが接触する。このとき、発光部62Bからプリズム62Aへ照射された光は、プリズム62Aを透過して液室171に進入するため、受光部へ到達しない。このとき、受光部は、ローレベル信号(第3信号の一例)をコントローラ130へ出力する。一方、液室171に貯留されたインクの液面が第2位置P2以下のとき、発光部62Bから照射される光の光路上において、プリズム62Aにインクが接触しない。このとき、発光部62Bからプリズム62Aへ照射された光は、プリズム62Aで反射して受光部へ到達する。このとき、受光部は、ハイレベル信号(第4信号の一例)をコントローラ130へ出力する。以下では、ローレベル信号を「L」、ハイレベル信号を「H」として説明する場合がある。なお、受光部は、液室171に貯留されたインクの液面が第2位置P2以上のときにハイレベル信号を出力し、液室171に貯留されたインクの液面が第2位置P2より低いときにローレベル信号を出力してもよい。
【0044】
[カートリッジ200]
図5に示されるカートリッジ200は、液体であるインクを内部に貯留する液室210(図3参照)を有する容器である。液室210は、第1液室の一例である。
【0045】
液室210は、例えば、樹脂製の壁によって画定されている。カートリッジ200は、図5(A)に示されるように、上下方向7及び前後方向8それぞれに沿った寸法が、左右方向9に沿った寸法よりも大きい扁平形状である。なお、異なる色のインクが貯留されるカートリッジ200の外形形状は、同一でもよいし、異なっていてもよい。カートリッジ200を構成する壁のうちの少なくとも一部は、透光性を有している。これにより、ユーザは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの液面をカートリッジ200の外部から視認することができる。
【0046】
カートリッジ200は、筐体201と、供給管230とを備える。筐体201は、後壁202と、前壁203と、上壁204と、下壁205と、一対の側壁206、207とで構成されている。なお、後壁202は、各々が前後方向8にずれた複数の壁によって構成されている。また、上壁204は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。さらに、下壁205は、各々が上下方向7にずれた複数の壁によって構成されている。
【0047】
カートリッジ200の内部空間には、図5(B)に示されるように、液室210、インクバルブ室213、及び大気バルブ室214が形成されている。液室210は、上部液室211と、下部液室212とを有する。上部液室211、下部液室212、及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間である。一方、インクバルブ室213は、供給管230の内部空間である。液室210は、インクを貯留する。大気バルブ室214は、液室210とカートリッジ200の外部とを連通させる。
【0048】
液室210の上部液室211及び下部液室212は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁215によって、上下方向7に隔てられている。そして、上部液室211及び下部液室212は、隔壁215に形成された貫通孔216によって連通されている。また、上部液室211及び大気バルブ室214は、筐体201の内部空間を仕切る隔壁217によって隔てられている。そして、上部液室211及び大気バルブ室214は、隔壁217に形成された貫通孔218によって連通されている。さらに、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて下部液室212の下端に連通されている。
【0049】
大気バルブ室214は、カートリッジ200の上部において、後壁202に形成された大気連通口221を通じてカートリッジ200の外部に連通されている。すなわち、大気バルブ室214は、一端(貫通孔218)が液室210(より詳細には、上部液室211)に連通され、且つ他端(大気連通口221)がカートリッジ200の外部に連通されている。なお、大気バルブ室214は、大気連通口221を通じて、大気に連通している。また、大気バルブ室214には、バルブ222と、コイルバネ223とが位置している。バルブ222は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ222は、閉塞位置に位置すると、大気連通口221を閉塞する。また、バルブ222は、開放位置に位置すると大気連通口221を開放する。コイルバネ223は、バルブ222を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う後ろ向きに付勢している。大気バルブ室214、バルブ222、及びコイルバネ223は、第1大気連通部の一例である。
【0050】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロッド153が大気連通口221を通じて大気バルブ室214内に進入する。大気バルブ室214内に進入したロッド153は、閉塞位置のバルブ222をコイルバネ223の付勢力に抗して前後方向8に沿う前向きに移動させる。そして、バルブ222が開放位置に移動することによって、上部液室211が大気に連通される。なお、大気連通口221を開放するための構成は、前述の例に限定されない。他の例として、大気連通口221を封止するフィルムをロッド153が突き破る構成でもよい。
【0051】
供給管230は、筐体201の下部において、後壁202から前後方向8に沿う後ろ向きに突出している。供給管230は、その後端が開口されている。すなわち、インクバルブ室213は、貫通孔219を通じて連通された液室210と、カートリッジ200の外部とを連通させる。インクバルブ室213は、一端(貫通孔219)が液室210(より詳細には下部液室212)と連通され、且つ他端(後述するインク供給口234)がカートリッジ200の外部と連通されている。また、インクバルブ室213には、パッキン231と、バルブ232と、コイルバネ233とが位置している。
【0052】
パッキン231の中央には、前後方向8に貫通したインク供給口234(流出口の一例)が形成されている。インク供給口234の内径は、ニードル181の外径より僅かに小さい。バルブ232は、閉塞位置と開放位置との間を、前後方向8に沿って移動可能である。バルブ232は、閉塞位置に位置すると、パッキン231と当接してインク供給口234を閉塞する。また、バルブ232は、開放位置に位置すると、パッキン231から離間してインク供給口234を開放する。コイルバネ233は、バルブ232を開放位置から閉塞位置に移動させる向き、すなわち前後方向8に沿う後ろ向きに付勢している。また、コイルバネ233の付勢力は、コイルバネ186より大きい。
【0053】
カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、供給管230がガイド182内に進入し、やがてニードル181がインク供給口234を通じてインクバルブ室213に進入する。このとき、ニードル181は、パッキン231を弾性変形させつつ、インク供給口234を画定する内周面に液密に接触する。カートリッジ200が装着ケース150へさらに挿入されると、ニードル181は、バルブ232をコイルバネ233の付勢力に抗して前向きに移動させる。また、バルブ232は、ニードル181の開口183から突出するバルブ185を、コイルバネ186の付勢力に抗して後ろ向きに移動させる。
【0054】
これにより、図6に示されるように、インク供給口234及び開口183が開放されて、供給管230のインクバルブ室213と、ニードル181の内部空間とが連通される。
【0055】
また、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、液室210の一部と、液室171の一部とは、水平方向から見て互いに重なる。さらに、液室210の底部よりも液室171の底部の方が、下方に位置している。その結果、液室210に貯留されたインクは、液室210の水頭と液室171の水頭との差によって、接続された供給管230及びジョイント180を通じて、インク供給口234から流出し、貫通孔184を通じてタンク160の液室171に流入する。
【0056】
図5に示されるように、上壁204には、突起241が形成されている。突起241は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。突起241は、ロック面242と、傾斜面243とを有する。ロック面242及び傾斜面243は、上壁204より上方に位置している。ロック面242は、前後方向8に沿って前を向き且つ上下方向7及び左右方向9それぞれに沿って延びている(すなわち、上壁204と概ね直交する)。傾斜面243は、上方及び後方を向くように、上壁204に対して傾斜している。
【0057】
ロック面242は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、ロックピン156に当接される面である。傾斜面243は、カートリッジ200が装着ケース150に装着される過程において、ロックピン156をロック面242と当接する位置まで案内する面である。ロック面242とロックピン156とが当接した状態では、コイルバネ186、223、233の付勢力に抗して、カートリッジ200が図6に示される装着位置に保持される。
【0058】
ロック面242より前方において上壁204から上方へと延びるようにして、平板状の部材が形成されている。この平板状の部材の上面は、カートリッジ200を装着ケース150から抜く際に、ユーザが操作する操作部244である。カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態で且つカバー87が開放位置に位置しているとき、操作部244は、ユーザに操作可能となる。操作部244が下方へ押されると、カートリッジ200が回動することによって、ロック面242がロックピン156より下方へ移動する。その結果、カートリッジ200が装着ケース150から抜くことが可能となる。
【0059】
図5に示されるように、上壁204の外面で且つ突起241より後方には、遮光リブ245が形成されている。遮光リブ245は、上壁204の外面から上方に突出し且つ前後方向8に沿って延びている。遮光リブ245は、装着センサ32の発光部から出力される光を遮光する材料又は色で形成されている。遮光リブ245は、装着ケース150にカートリッジ200が装着された状態において、装着センサ32の発光部から受光部に至る光路上に位置する。すなわち、装着センサ32は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていることに応じて、ローレベル信号をコントローラ130(図1)に出力する。一方、装着センサ32は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されていないことに応じて、ハイレベル信号をコントローラ130に出力する。すなわち、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを、装着センサ32から出力される信号によって検出することができる。
【0060】
図5に示されるように、上壁204の外面で且つ前後方向8における遮光リブ245及び突起241の間には、ICチップ34が位置している。ICチップ34には、電極248が形成されている。また、ICチップ34は、不図示のメモリを備える。電極248は、ICチップ34のメモリと電気的に接続されている。電極248は、ICチップ34の上面において、接点152と導通可能に露出されている。すなわち、カートリッジ200が装着ケース150に装着された状態において、電極248は、接点152と導通する。コントローラ130は、接点152及び電極248を通じてICチップ34のメモリから情報を読み出し、接点152及び電極248を通じてICチップ34のメモリに情報を書き込むことができる。
【0061】
ICチップ34のメモリは、カートリッジ200の種別情報、シリアルナンバー、及びカートリッジ残量値を記憶する。種別情報とは、カートリッジ200が小容量カートリッジであるか、又は、大容量カートリッジであるか、貯留するインクの色などを示す情報である。シリアルナンバーは、カートリッジ200を個々に識別する情報である。カートリッジ残量値は、カートリッジ200が貯留するインクの量を示す値である。なお、未使用のカートリッジ200では、カートリッジ残量値は、初期インク残量を示す初期残量値がメモリに記憶されている。
【0062】
[コントローラ130]
プリンタ10は、コントローラ130を備える。コントローラ130は、図1に示されるように、CPU35、記憶部36、及び通信バス39を備えている。記憶部36は、ROM37、EEPROM56、及びRAM57を有する。記憶部36は、メモリの一例である。
【0063】
ROM37は、OS(Operating Systemの略)プログラム37Aや、制御プログラム37Bや、通信プログラム37Cなどを記憶する。制御プログラム37Bは、後述の印刷処理などを行うプログラムである。通信プログラム37Cは、情報収集サーバ40などの外部機器との通信を制御するプログラムである。OSプログラム37Aは、制御プログラム37Bとは異なるプログラムであり、さらに通信プログラム37Cで制御される動作とは異なる動作を制御するプログラムである。OSプログラム37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cは、CPU35によって、アドレスに記述された命令が処理されることによって実行される。以下では、OSプログラム37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cが実行されることによって処理される動作を、コントローラ130の動作として記載することがある。なお、コントローラ130は、OSプログラム37A、制御プログラム37B、及び通信プログラム37Cが実行する動作の一部または全部を実現するICを用いたハード回路を有していてもよい。
【0064】
EEPROM56は、プリンタ10の装置情報を記憶する。装置情報は、プリンタ10の識別情報を含む。プリンタ10の識別情報は、プリンタ10のMACアドレスやシリアルナンバーなどである。
【0065】
また、EEPROM56は、第1排出値、第2排出値、初期カートリッジ残量値、初期タンク残量値、S_Emptyフラグ、C_Emptyフラグ、C_NEmptyフラグ、送信済みフラグ、及び消費速度フラグを記憶する。詳しくは、後述の印刷処理で説明する。
【0066】
通信バス39には、ヘッド21や、通信インタフェース(以下、通信I/Fと記載)31や、装着センサ32や、第1センサ61や、第2センサ62や、接点152や、クロック30や、ディスプレイ28や、不図示のモータなどが接続されている。クロック30は、日時情報を出力する。通信I/F31は、通信回線6に接続されている。
【0067】
コントローラ130は、通信バス39を通じて不図示のモータを駆動させることによって、給送ローラ23、搬送ローラ25、及び排出ローラ27を回転させる。また、コントローラ130は、通信バス39を通じてヘッド21の駆動素子に駆動信号を出力することによって、ヘッド21からインク滴を吐出させる。
【0068】
また、コントローラ130は、装着ケース150にカートリッジ200が装着されているか否かを装着センサ32を通じて検出する。
【0069】
また、コントローラ130は、液室210、171に貯留されたインクの液面が第1位置P1より高い否かを第1センサ61を通じて検出する。具体的には、コントローラ130は、第1センサ61から取得した液面信号が「H」である場合、液室210、171に貯留されたインクの液面が第1位置P1以下の高さであると判断する。一方、コントローラ130は、第1センサ61から取得した液面信号が「L」である場合、液室210、171に貯留されたインクの液面が第1位置P1より高いと判断する。また、コントローラ130は、第1センサ61から取得した液面信号が「L」から「H」へ変わった場合、液室210、171に貯留されたインクの液面が下方へ移動して第1位置P1より低くなったと判断する。また、コントローラ130は、第1センサ61から取得した液面信号が「H」から「L」へ変わった場合、液室210、171に貯留されたインクの液面が上方へ移動して第1位置P1より高くなったと判断する。
【0070】
また、コントローラ130は、液室210、171に貯留されたインクの液面が第2位置P2以上か否かを第2センサ62を通じて検出する。具体的には、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「H」である場合、液室210、171に貯留されたインクの液面が第2位置P2以下の高さと判断する。一方、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「L」である場合、液室210、171に貯留されたインクの液面が第2位置P2より高いと判断する。また、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「L」から「H」へ変わった場合、液室210、171に貯留されたインクの液面が下方へ移動して第2位置P2より低くなったと判断する。また、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「H」から「L」へ変わった場合、液室210、171に貯留されたインクの液面が上方へ移動して第2位置P2より高くなったと判断する。
【0071】
コントローラ130は、後述するように、第1センサ61及び第2センサ62から取得した液面信号に基づいて、タンク160の液室171に貯留されたインクの量に関する判定のみならず、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの量に関する判定を行う。
【0072】
また、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の電極248と、接点152とを通じて、ICチップ34のメモリに記憶された種別情報、シリアルナンバー、及びカートリッジ残量値を読み出す。さらに、コントローラ130は、装着ケース150に装着されたカートリッジ200の電極248と、接点152とを通じて、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値の値を更新する。
【0073】
[情報収集サーバ40]
図1に示される情報収集サーバ40は、プリンタ10のベンダによってインターネットなどの通信回線6上に設置されてもよいし、当該ベンダとは異なる事業者によって設置されてもよい。情報収集サーバ40は、CPU41と、記憶部42と、プリンタ用通信インタフェース43(以下、通信I/F43と記載)と、発送サーバ用通信インタフェース44(以下、通信I/F44と記載)と、クロック48と、通信バス49とを備える。CPU41、記憶部42、及び通信バス49は、コントローラ45を構成する。クロック48は、日時情報を出力する。通信I/F43は、通信回線6に接続されており、プリンタ10や発送サーバ50と通信を行う。プリンタ10のコントローラ130及び情報収集サーバ40のコントローラ45は、コントローラの一例である。
【0074】
記憶部42は、プログラム記憶領域46と、データ記憶領域47とを有する。プログラム記憶領域46は、ハードディスクなどである。データ記憶領域47は、RAMやハードディスクなどである。
【0075】
プログラム記憶領域46は、OSプログラム46Aや、制御プログラム46Bや、通信プログラム46Cなどのプログラムを記憶する。制御プログラム46Bは、後述の処理を実行する。通信プログラム46Cは、プリンタ10や発送サーバ50との通信を制御する。OSプログラム46Aは、制御プログラム46Bとは異なるプログラムであり、さらに通信プログラム46Cとは異なる制御をするプログラムである。以下では、OSプログラム46A、制御プログラム46B、及び通信プログラム46Cは、ハードディスクからRAMにコピーされ、RAMにコピーされた命令をCPU41が順に実行することによって実行される。以下では、OSプログラム46A、制御プログラム46B、及び通信プログラム46Cが実行されることによって処理される動作を、コントローラ45や情報収集サーバ40の動作として記載することがある。
【0076】
[発送サーバ50]
発送サーバ50は、プリンタ10のベンダによってインターネットなどの通信回線6上に設置されてもよいし、当該ベンダとは異なる事業者によって設置されてもよい。発送サーバ50は、情報収集サーバ40からの要求に応じて、プリンタ10のユーザにカートリッジ200を発送するサービスを提供する。
【0077】
発送サーバ50は、CPU51と、記憶部52と、通信インタフェース53(以下、通信I/F53と記載)と、通信バス54とを備える。CPU51、記憶部52、及び通信バス54は、コントローラ55を構成する。通信I/F53は、情報収集サーバ40との通信を行う。CPU51、記憶部52、通信I/F53、通信バス54の構成は、情報収集サーバ40のCPU41、記憶部42、通信I/F43、及び通信バス49の構成と同じである。
【0078】
[配送システム5によるインクの管理]
配送システム5では、情報収集サーバ40がプリンタ10からインクの残量情報を含む管理情報を収集し、インクの残量が少なくなると、発送サーバ50に対してカートリッジ200の発注を行う。このように、インク残量の管理及びカートリッジ200の発注を情報収集サーバ40が行うことで、プリンタ10のユーザによるインク残量の管理及びカートリッジ200の購入の手間を省くことができる。
【0079】
具体的には、プリンタ10のユーザが、インク残量の管理及びカートリッジ200の発注サービスを行っているメーカと契約を締結する。インク残量の管理及びカートリッジ200の発注サービスは、プリンタごとに契約されるサービスであり、契約時に、ユーザ情報や、契約対象のプリンタ10の識別情報が情報収集サーバ40に登録される。ユーザ情報は、カートリッジ200の配送先のユーザの氏名、住所などの宛先に関する情報である。識別情報は、契約対象のプリンタ10を個別に識別するための情報であり、プリンタ10のシリアル番号やMACアドレスなどである。
【0080】
また、プリンタ10の識別情報とユーザ情報とが対応付けられて、情報収集サーバ40に登録される。以下、カートリッジ200の発注に関するプリンタ10、情報収集サーバ40、及び発送サーバ50の処理について、詳しく説明する。
【0081】
[プリンタ10のコントローラ130が実行する処理]
図7図9図12に示されるフローチャート及び図8に示される表を参照して、プリンタ10のコントローラ130が実行する処理を説明する。なお、以下の各処理の実行順序は、本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜変更することができる。
【0082】
[印刷処理]
コントローラ130は、プリンタ10に印刷指示が入力されたことに応じて、図7に示される印刷処理を実行する。印刷指示の取得元は特に限定されないが、例えば、印刷指示に対応するユーザ操作を操作パネル22やディスプレイ28(図2参照)を通じて受け付けてもよいし、通信I/F31を通じて外部装置から受信してもよい。印刷指示には、画像を示す画像データが含まれる。当該画像データは、プリンタ10のRAM57に記憶される。
【0083】
まず、コントローラ130は、EEPROM56が記憶しているS_Emptyフラグの値が「ON」であるか「OFF」であるかを判断する(S11)。コントローラ130は、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が、タンク160からインクが流出する流出口174の上端に達する前にEEPROM56のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させる。EEPROM56のS_Emptyフラグの値は、「ON」を記憶するまでは「OFF」を記憶している。なお、流出口174の上端にインクの液面が達すると、ヘッド21のノズルにエア(空気)が進入してしまう虞がある。ヘッド21のノズルに進入したエアがノズル内に滞留すると、ノズル内へのインクの進入が阻害されたり、ノズルからのインク滴の吐出が阻害されたりする虞が生じる。
【0084】
すなわち、S_Emptyフラグは、ヘッド21のノズルにエアが進入することを防止するためのものである。コントローラ130は、後述のステップS18において、EEPROM56のS_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、ステップS19、S65において、EEPROM56のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させる。フローチャートには示されていないが、コントローラ130は、EEPROM56のS_Emptyフラグの値が「ON」であることに応じて、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止する。また、コントローラ130は、EEPROM56のS_Emptyフラグの値が「OFF」であることに応じて、ヘッド21を通じたインクの排出を許容する。
【0085】
コントローラ130は、EEPROM56のS_Emptyフラグの値が「ON」であると判断すると(S11:ON)、装着センサ32から装着信号を所定の時間間隔で取得する。次に、コントローラ130は、取得した装着信号がローレベル信号(以下、「L」と記載)からハイレベル信号(以下、「H」と記載)に変化し、さらに、取得した装着信号が「H」から「L」に変化したか否かを判断する(S12)。すなわち、装着信号の変化により、カートリッジ200が装着されたか否かが判断される。以下、コントローラ130が、取得した装着信号が「L」から「H」に変化し、さらに取得した装着信号が「H」から「L」に変化したか否かを判断することを、コントローラ130が、カートリッジ200が装着されたか否かを判断するとする。また、コントローラ130が、取得した装着信号が「L」から「H」に変化し、さらに、取得した装着信号が「H」から「L」に変化したかを判断する(S12:Yes)ことを、コントローラ130が、カートリッジ200が装着されたと判断することとする。
【0086】
コントローラ130は、カートリッジ200が装着されていないと判断すると(S12:No)、装着センサ32から装着信号の定期的な取得を継続する。
【0087】
コントローラ130は、カートリッジ200が装着されたと判断すると(S12:Yes)、ヘッド21を通じたインク排出禁止の解除有無を決定する。以下に詳述する。コントローラ130は、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止している状態(S_Emptyフラグの値が「ON」である状態)において(S11:ON)、カートリッジ200が装着されたとき(S12)、第2センサ62から取得した液面信号を参照する(S13)。当該液面信号が「L」である場合(S13:L)、コントローラ130は、新たに装着されたカートリッジ200の液室210に貯留されたインクの液面が第2位置P2以上の高さであって十分な量のインクが貯留されていると判断する。この場合、コントローラ130は、S_Emptyフラグの値を「OFF」とし、ヘッド21を通じたインク排出禁止を解除する、換言するとヘッド21を通じたインクの排出を許容する(S14)。一方、当該液面信号が「H」である場合、コントローラ130は、ヘッド21を通じたインク排出禁止を維持する。この場合、ヘッド21の通じたインク排出禁止の解除は、S_Emptyフラグの値が「OFF」となる(S18)ことを条件として行われる。
【0088】
ヘッド21を通じたインク排出禁止の解除有無を決定の後、コントローラ130は、第1更新処理(S15)を実行する。なお、コントローラ130が、カートリッジ200が装着されたか否かを判断する具体例として、ステップS12の処理を挙げたが、これに限られない。例えば、シリアルナンバーを用いてカートリッジ200が装着されたか否かが判断されてもよい。コントローラ130は、カートリッジ200のICチップ34のメモリからカートリッジ200のシリアルナンバーを読み出す。そして、コントローラ130は、読み出したシリアルナンバーと、EEPROM56が記憶しているシリアルナンバーとが一致するか否かを判断する。EEPROM56が記憶しているシリアルナンバーとは、装着ケース150に新しいカートリッジ200が装着される前に装着ケース150に装着されていたカートリッジ200のICチップ34のメモリが記憶しているシリアルナンバーである。この場合、コントローラ130が、カートリッジ200が装着されたと判断するときの具体例は、以下の通りである。つまり、コントローラ130は、ICチップ34のメモリから読み出したシリアルナンバーと、EEPROM56が記憶しているシリアルナンバーとが一致しないと判断することである。
【0089】
[第1更新処理]
図10(A)に示される第1更新処理は、コントローラ130が、EEPROM56に記憶された初期カートリッジ残量値及び初期タンク残量値と、カートリッジ200のICチップ34に記憶されたカートリッジ残量値とを更新する処理である。
【0090】
まず、コントローラ130は、接点152を通じて、装着ケース150に装着されたカートリッジ200のICチップ34のメモリから、当該ICチップ34のメモリが記憶するカートリッジ残量値を読み出す(S31)。コントローラ130は、読み出したカートリッジ残量値を初期カートリッジ残量値としてEEPROM56に記憶させる(S32)。
【0091】
また、コントローラ130は、タンク残量値をRAM57から読み出す(S33)。なお、電源オフなどによってRAM57にタンク残量値が記憶されていない場合、コントローラ130は、後述の第4更新処理と同様にして、タンク残量値を算出し、当該算出したタンク残量値をRAM57に記憶する。RAM57から読み出されるタンク残量値は、カートリッジ200が装着される直前にタンク160の液室171に貯留されていたインク残量を示す値である。換言すれば、タンク残量値は、カートリッジ200が抜かれた際にタンク160の液室171に貯留されていたインク残量を示す値である。コントローラ130は、RAM57から読み出したタンク残量値を初期タンク残量値としてEEPROM56に記憶させる(S33)。
【0092】
コントローラ130は、初期カートリッジ残量値及び初期タンク残量値を加算し、インクの総残量を示す総残量値を算出する(S34)。総残量値は、液室210内のインク残量と液室171内のインク残量の合計であり、総液量値の一例である。なお、総残量値は、RAM57などに記憶しておいてもよいし、RAM57に記憶されるカートリッジ残量値及びタンク残量値から必要に応じて算出されてもよい。本実施形態では、総残量値は、RAM57に記憶される。コントローラ130は、算出した総残量値から、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する(S35)。
【0093】
具体的に説明すると、新たなカートリッジ200が装着ケース150に装着されると、カートリッジ200の液室210から、当該液室210に貯留されていたインクの一部がタンク160の液室171へと流出する。カートリッジ200の液室210からタンク160の液室171へのインクの流出は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの水頭と、タンク160の液室171に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなると、停止する。新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクの水頭と、タンク160の液室171に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなった状態でのインク残量を示す。
【0094】
カートリッジ残量値及びタンク残量値は、例えばコントローラ130が、EEPROM56やROM37が記憶する計算式に基づく算出をすることで決定してもよい。或いは、カートリッジ残量値及びタンク残量値は、例えばコントローラ130が、EEPROM56やROM37が記憶するテーブルに基づいて決定してもよい。具体的に説明すると、カートリッジ200の液室210の形状及びタンク160の液室171の形状は、設計によって予め決められる。したがって、インクの総残量値が判れば、カートリッジ200に貯留されたインクの水頭とタンク160に貯留されたインクの水頭との差がほぼ無くなった状態におけるカートリッジ残量値及びタンク残量値も判る。EEPROM56やROM37は、総残量値からカートリッジ残量値及びタンク残量値を計算する計算式を予め記憶している。或いは、EEPROM56やROM37は、総残量値とカートリッジ残量値とタンク残量値との対応が示されたテーブルを予め記憶している。コントローラ130は、インクの総残量値と、当該計算式やテーブルと、により、新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値を決定する。
【0095】
コントローラ130は、決定した新たなカートリッジ残量値をRAM57に記憶させるとともに、ICチップ34のメモリに記憶されたカートリッジ残量値を更新する(S36)。また、コントローラ130は、決定した新たなタンク残量値をRAM57に記憶させる(S37)。次に、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報を装着日時としてEEPROM56に記憶させ(S38)、第1更新処理を終了する。
【0096】
コントローラ130は、図7に示されるように、第1更新処理が終了すると(S15)、カートリッジ残量判定処理を実行する(S16)。
【0097】
カートリッジ残量判定処理において、コントローラ130は、C_Emptyフラグ及びC_NEmptyフラグに「ON」または「OFF」を記憶させる。コントローラ130は、第1センサ61から取得した液面信号が「H」のままである場合にS_Emptyフラグの「ON」を維持し、第1センサ61から取得した液面信号が「L」である又は「L」へ変った場合にS_Emptyフラグに「OFF」を記録させる。
【0098】
C_Emptyフラグは、カートリッジ200の液室210にインクが貯留されていないことを示すためのものである。液室210にインクが貯留されていない場合に、C_Emptyフラグに「ON」が記憶され、液室210にインクが貯留されている場合に、C_Emptyフラグに「OFF」が記憶される。本実施形態では、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「L」である場合に、液室210にインクが貯留されていると判断して、C_Emptyフラグに「OFF」を記録させる。一方、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「H」である場合に、液室210にインクが貯留されていないと判断して、C_Emptyフラグに「ON」を記録させる。
【0099】
C_NEmptyフラグは、カートリッジ200の液室210に貯留されたインク残量が少ないことを示すためのものである。液室210のインク残量が少ない場合に、C_NEmptyフラグに「ON」が記憶され、液室210のインク残量が少なくない場合に、C_NEmptyフラグに「OFF」が記憶される。本実施形態では、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「L」である場合に、液室210のインク残量が少なくないと判断して、C_NEmptyフラグに「OFF」を記録させる。一方、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「H」である場合に、液室210のインク残量が少ないと判断して、C_NEmptyフラグに「ON」を記録させる。
【0100】
コントローラ130は、カートリッジ残量判定処理において、図8の表にしたがって、結果を判定して、C_Emptyフラグ及びC_NEmptyフラグに「ON」または「OFF」を記憶させる。つまり、コントローラ130は、カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61及び第2センサ62から取得した液面信号を参照し、参照した液面信号に基づいて、カートリッジ200の装着結果を判断し、C_Emptyフラグ及びC_NEmptyフラグに「ON」または「OFF」を記憶させる。
【0101】
カートリッジ200の装着の所定期間とは、例えば、カートリッジ200の装着前と、カートリッジ200の装着から所定時間経過後とのことである。カートリッジ200の装着の所定期間は、カートリッジ200の装着の前後に限らず、カートリッジ200の装着時とカートリッジ200の装着から所定時間経過後とのことであってもよい。所定時間は、カートリッジ200が装着されてから、液室210の水頭と液室171の水頭との差によって、インクが液室210及び液室171の間を流通して、液室210の液面と液室171の液面とが等しくなるのに十分な時間に設定される。
【0102】
以下に図8を参照しつつ詳述する。カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61から取得した液面信号が「L」で第2センサ62から取得した液面信号が「L」の場合、または、カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61から取得した液面信号が「L」で第2センサ62から取得した液面信号が「H」から「L」へ変わった場合、または、カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61から取得した液面信号が「H」から「L」へ変わりかつ第2センサ62から取得した液面信号が「H」から「L」へ変わった場合コントローラ130は、インク残量が多い正常なカートリッジ200(例えば、新品のカートリッジ200)が装着されたと判断し、C_Emptyフラグ及びC_NEmptyフラグに「OFF」を記憶させる。
【0103】
また、カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61から取得した液面信号が「L」で第2センサ62から取得した液面信号が「H」の場合、または、カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61から取得した液面信号が「H」から「L」へ変わり第2センサ62から取得した液面信号が「H」の場合、コントローラ130は、インク残量が少ないカートリッジ200(つまり、新品でないカートリッジ200)が装着されたと判断し、C_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、C_NEmptyフラグに「ON」を記憶させる。
【0104】
また、カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61から取得した液面信号が「H」で第2センサ62から取得した液面信号が「H」の場合、コントローラ130は、インクが貯留されていない空のカートリッジ200(つまり、新品でないカートリッジ200)が装着されたと判断し、C_Emptyフラグ及びC_NEmptyフラグに「ON」を記憶させる。
【0105】
また、カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61から取得した液面信号が「L」で第2センサ62から取得した液面信号が「L」から「H」へ変わった場合、コントローラ130は、カートリッジ200の装着に際して、液室171から液室210へインクが逆流したと判断する。このとき、コントローラ130は、C_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、C_NEmptyフラグに「ON」を記憶させる。
【0106】
また、カートリッジ200の装着の所定期間における第1センサ61及び第2センサ62から取得した液面信号が上述した以外のパターンである場合、コントローラ130は、第1センサ61または第2センサ62の少なくとも一方が故障したと判断する。このとき、コントローラ130は、第1センサ61または第2センサ62のいずれのセンサが故障したかを判断する。例えば、カウントによりインク残量を把握しておき、カウントによるインク残量と背反する信号を出力している方のセンサを故障したと判断する。また、例えば、コントローラ130は、第1センサ61から入力された信号が不規則に変化するなどローレベル信号かハイレベル信号かを判断できないような信号である場合に、第1センサ61が故障したと判断する。同様に、コントローラ130は、第2センサ62から入力された信号がローレベル信号かハイレベル信号かを判断できないような信号である場合に、第2センサ62が故障したと判断する。
【0107】
コントローラ130は、第1センサ61及び第2センサ62のうち第1センサ61のみが故障していると判断した場合、第2センサ62から取得した液面信号のみに基づいてカートリッジ残量判定処理を行う。この場合、コントローラ130は、第2センサ62から取得した液面信号が「L」の場合、空でないカートリッジ200が装着されたと判断して、C_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、第2センサ62から取得した液面信号が「H」の場合、空のカートリッジ200が装着されたと判断して、C_Emptyフラグに「ON」を記憶させる。
【0108】
また、コントローラ130は、第1センサ61及び第2センサ62のうち第2センサ62のみが故障していると判断した場合、第1センサ61から取得した液面信号のみに基づいてカートリッジ残量判定処理を行う。この場合、コントローラ130は、第1センサ61から取得した液面信号が「L」の場合、空でないカートリッジ200が装着されたと判断して、C_Emptyフラグに「OFF」を記憶させ、第1センサ61から取得した液面信号が「H」の場合、空のカートリッジ200が装着されたと判断して、C_Emptyフラグに「ON」を記憶させる。
【0109】
また、コントローラ130は、故障したセンサ(第1センサ61のみ、第2センサ62のみ、または第1センサ61及び第2センサ62の双方)について、その旨(センサ故障の旨)を報知する。具体的には、コントローラ130は、センサ故障の旨を示す画像をディスプレイ28(報知機の一例)に表示させる。つまり、コントローラ130が報知するとは、コントローラ130がディスプレイ28(或いは後述するスピーカやLEDなど)に報知させることを指す。なお、センサ故障の報知は、例えば、故障したセンサに代えて正常なセンサが取り付けられるまで実行される。
【0110】
なお、ディスプレイ28に代えて、或いは、ディスプレイ28とともに、プリンタ10はスピーカを備えていてもよい。この場合、コントローラ130は、警告音をスピーカに出力させることで上記の報知を行う。なお、ディスプレイ28に代えて、或いは、ディスプレイ28とともに、プリンタ10はLEDなどのランプを備えていてもよい。この場合、コントローラ130は、LEDなどのランプに点滅や点灯をさせることで上記の報知を行う。ディスプレイ28以外で報知を行ってもよいことは、後述の他の報知においても同様である。これらの場合、スピーカやLEDは、報知機に相当する。
【0111】
コントローラ130は、カートリッジ残量判定処理において、C_Emptyフラグに「ON」を記憶させた場合、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが無いこと、つまり液室210から液室171へのインクの供給ができないことを示す、カートリッジエンプティを報知する。具体的には、コントローラ130は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが無い旨、又はカートリッジ200を交換する旨、を示すカートリッジエンプティ画像をディスプレイ28に表示させる。なお、カートリッジエンプティの報知は、EEPROM56のC_Emptyフラグに「OFF」が記憶されるまで実行される。
【0112】
コントローラ130は、カートリッジ残量判定処理において、C_NEmptyフラグに「ON」を記憶させた場合、カートリッジ200の液室210に貯留されたインク残量が少ないことを示す、カートリッジニアエンプティを報知する。具体的には、コントローラ130は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが少ない旨、を示すカートリッジエンプティ画像をディスプレイ28に表示させる。なお、カートリッジニアエンプティの報知は、EEPROM56のC_NEmptyフラグに「OFF」が記憶されるまで実行される。
【0113】
なお、C_Emptyフラグ及びC_NEmptyフラグの双方に「ON」が記憶されている場合、コントローラ130は、カートリッジニアエンプティを報知せず、カートリッジエンプティを報知する。
【0114】
コントローラ130は、カートリッジ残量判定処理において、液室171から液室210へインクが逆流したと判断した場合、ディスプレイ28等にその旨を報知する。また、新品ではないカートリッジ200が装着されたと判断した場合、ディスプレイ28等にその旨を報知する。
【0115】
コントローラ130は、カートリッジ残量判定処理が終了すると(S16)、タンク残量判定処理を実行する(S17~S19)。タンク残量判定処理は、液室171に貯留されたインクの残量を判定し、判定結果に基づいてS_Emptyフラグに「ON」または「OFF」を記憶させる。
【0116】
コントローラ130は、第1更新処理(S15)でRAM57に記憶された(S37)新たなタンク残量値が第2所定値から閾値を減算した値よりも大きいか否かを判定する(S17)。第2所定値は、第1位置P1にインクの液面がある場合にタンク160の液室171に貯留されているインクの量を示す値である。第2所定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。閾値については後に詳しく説明される。
【0117】
新たなタンク残量値が第2所定値から閾値を減算した値よりも大きい場合(S17:Yes)、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174よりも若干上の位置になる。このとき、ヘッド21のノズルにエア(空気)が進入することはないため、コントローラ130は、S_Emptyフラグに「OFF」を記憶させる(S18)。
【0118】
一方、新たなタンク残量値が第2所定値から閾値を減算した値以下の場合(S17:No)、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174以下の高さとなる。このとき、ヘッド21のノズルにエア(空気)が進入するおそれがあるため、コントローラ130は、S_Emptyフラグに「ON」を記憶させる(S19)。
【0119】
コントローラ130は、タンク残量判定処理において、S_Emptyフラグに「ON」を記憶させた場合、タンク160の液室171に貯留されたインクが無いことを示す、タンクエンプティを報知する。具体的には、コントローラ130は、タンク160の液室171に貯留されたインクが無い旨(及びそのため新たなカートリッジ200を装着する旨)を示すタンクエンプティ画像をディスプレイ28に表示させる。なお、タンクエンプティの報知は、EEPROM56のS_Emptyフラグに「OFF」が記憶されるまで実行される。
【0120】
コントローラ130は、タンク残量判定処理が終了すると(S17~S19)、EEPROM56の第1排出値及び第2排出値としてゼロを記憶させ、EEPROM56の送信済みフラグに「OFF」を記憶させる(S20)。コントローラ130は、ステップS20の処理の実行後に、ステップS11の処理を再び実行する。なお、第1排出値、第2排出値、及び送信済みフラグについては後述する。
【0121】
コントローラ130は、EEPROM56のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、第1センサ61及び第2センサ62から液面信号を取得する(S21)。その後、コントローラ130は、RAM57が記憶する画像データに従って、シートに印刷を行う(S22)。画像がシートに印刷されることにより、インクがヘッド21を通じて排出される。インクが排出されたことにより、タンク160におけるインクの液面が下がる。コントローラ130は、印刷の実行後(S22)、第1センサ61及び第2センサ62から液面信号を取得する(S23)。次に、コントローラ130は、更新処理を実行する(S24)。
【0122】
[更新処理]
図9に示される更新処理は、第1センサ61及び第2センサ62から取得した信号に基づいて第2更新処理乃至第5更新処理のいずれかを実行することによって、カートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する処理である。
【0123】
コントローラ130は、ステップS21で取得した第1センサ61の液面信号とステップS23で取得した第1センサ61の液面信号との判断をする(S101)。また、ステップS101での判断結果に基づいて、ステップS21で取得した第2センサ62の液面信号とステップS23で取得した第2センサ62の液面信号との判断をする(S102~S104)。
【0124】
コントローラ130は、ステップS21及びS23で第1センサ61から取得した液面信号がともに「L」であると判断すると(S101:L→L)、ステップS102を実行する。このとき、印刷前後において、タンク160の液室171に十分な量のインクが貯留されている。
【0125】
コントローラ130は、ステップS21及びS23で第2センサ62から取得した液面信号がともに「L」である場合、または、ステップS21及びS23で第2センサ62から取得した液面信号がともに「H」である場合に(S102:L→L、H→H)、後述する第2更新処理(S105)を実行する。ステップS21及びS23で第2センサ62から取得した液面信号がともに「H」である場合、カートリッジ200の液室210のインク残量が所定量(例えばニアエンプティの残量)より少なくなっている。
【0126】
コントローラ130は、ステップS21で第2センサ62から取得した液面信号が「L」であり、且つステップS23で第2センサ62から取得した液面信号が「H」であると判断すると(S102:L→H)、後述する第5更新処理(S106)を実行する。このとき、カートリッジ200の液室210のインク残量が所定量(例えばニアエンプティの残量)となっている。
【0127】
また、コントローラ130は、ステップS21で第1センサ61から取得した液面信号が「L」であり、且つステップS23で第1センサ61から取得した液面信号が「H」であると判断すると(S101:L→H)、ステップS21で第2センサ62から取得した液面信号にかかわらずステップS23で第2センサ62から取得した液面信号が「H」であると判断した場合に(S103:H→H、L→H)、後述する第3更新処理(S107)を実行する。このとき、印刷の実行(S22)中にカートリッジ200の液室210に貯留されたインクが使い切られている。
【0128】
また、コントローラ130は、ステップS21及びS23で第1センサ61から取得した液面信号がともに「H」であると判断すると(S101:H→H)、ステップS21及びS23で第2センサ62から取得した液面信号がともに「H」である場合に(S104:H→H)、後述する第4更新処理(S108)を実行する。このとき、印刷前後において、カートリッジ200の液室210にはインクが存在していないが、タンク160の液室171内のインクが減っている。
【0129】
なお、ステップS101~S104において、ステップS21で取得した第1センサ61及び第2センサ62の液面信号とステップS23で取得した第1センサ61及び第2センサ62の液面信号とが上述した以外のパターンである場合、コントローラ130は、カートリッジ残量判定処理(S16)のときと同様に、第1センサ61または第2センサ62の少なくとも一方が故障したと判断して、いずれのセンサが故障したかの判断を実行する。また、コントローラ130は、カートリッジ残量判定処理(S16)のときと同様に、故障したセンサ(第1センサ61のみ、第2センサ62のみ、または第1センサ61及び第2センサ62の双方)について、その旨(センサ故障の旨)を報知する。
【0130】
コントローラ130は、第1センサ61及び第2センサ62のうち第1センサ61のみが故障していると判断した場合、第1センサ61から取得した液面信号にかかわらず、総残量値を第1容積値以下の第1設定値に更新する。第1容積値は、液室210の第1位置P1より下方の容積と、液室171の第1位置P1より下方の容積の合計である。第1設定値は、第2センサ62から取得した液面信号に基づいて異なる値が設定される。例えば、第2センサ62から取得した液面信号が「L」である場合、第1設定値は上述した第2所定値に設定され、第2センサ62から取得した液面信号が「H」である場合、第1設定値は「ゼロ」に設定される。第1容積値及び第1設定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。
【0131】
コントローラ130は、第1センサ61及び第2センサ62のうち第2センサ62のみが故障していると判断した場合、第2センサ62から取得した液面信号にかかわらず、総残量値を第2容積値以下の第2設定値に更新する。第2容積値は、液室210の第2位置P2より下方の容積と、液室171の第2位置P2より下方の容積の合計である。第2設定値は、第1センサ61から取得した液面信号に基づいて異なる値が設定される。例えば、第1センサ61から取得した液面信号が「L」である場合、第2設定値は上述した第2所定値に設定され、第1センサ61から取得した液面信号が「H」である場合、第2設定値は「ゼロ」に設定される。第2容積値及び第2設定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。
【0132】
コントローラ130は、更新処理(S24)の実行後、次ページの画像データがRAM57に記憶されているか否かを判断する(S25)。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM57に記憶されていると判断すると(S25:Yes)、ステップS11の処理を再び実行する。EEPROM56のS_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S11:OFF)、再び、ステップS21からS24までの処理を実行する。コントローラ130は、次ページの画像データがRAM57に記憶されていないと判断すると(S25:No)、印刷処理を終了する。
【0133】
コントローラ130は、ステップS22の印刷を実行する度に、印刷に使用したインクの量に応じて、更新処理の第2更新処理乃至第5更新処理においてカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する。なお、上述では、コントローラ130は、1ページ分の印刷を実行する度にカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する。これに代えて、コントローラ130は、カートリッジ残量値及びタンク残量値を、1パスの印刷を実行する度に決定してもよい。また、コントローラ130は、第2更新処理乃至第5更新処理を、印刷だけでなく、メンテナンスなどのためにヘッド21を通じてインクが排出されるごとに実行する。
【0134】
[第2更新処理]
図10(B)に示される第2更新処理は、コントローラ130が、印刷やメンテナンスにおいてヘッド21を通じて排出されたインクの量を示す第1排出値から、新たなカートリッジ残量値及びタンク残量値を決定する処理である。第1排出値は、例えば、ヘッド21に吐出させるインク1滴の量に、当該インク1滴が吐出される回数を乗じた値である。第1排出値は、カウント値の一例である。コントローラ130は、ヘッド21にインクの吐出を指示するごとに、指示に応じた第1排出値をカウントする。コントローラ130は、カートリッジ200の装着後から現在までにヘッド21が吐出した量に相当する第1排出値をカウントする。すなわち、第1排出値は、カートリッジ200の装着後から現在までにヘッド21が吐出したインクの量の積算値である。この第1排出値は、EEPROM56が記憶している。
【0135】
まず、コントローラ130は、初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値とをEEPROM56から読み出す(S41)。次に、コントローラ130は、読み出した初期カートリッジ残量値と初期タンク残量値とを加算して総残量値を算出する(S42)。コントローラ130は、算出した総残量値から第1排出値を減算し、新たな総残量値を算出する(S43)。算出された総残量値は、RAM57に記憶される。その後、コントローラ130は、上述と同様に、計算式やテーブルを用いて新たなカートリッジ残量値及び新たなタンク残量値を決定する(S44)。
【0136】
コントローラ130は、決定した新たなカートリッジ残量値をRAM57に記憶させるとともに、ICチップ34に記憶されたカートリッジ残量値を更新する(S45)。また、コントローラ130は、決定した新たなタンク残量値をRAM57に記憶させ(S46)、第2更新処理を終了する。
【0137】
なお、上述したカートリッジ残量値及びタンク残量値の決定方法は一例であり、他の方法によってカートリッジ残量値及びタンク残量値が決定されてもよい。
【0138】
[第3更新処理]
図10(C)に示される第3更新処理は、コントローラ130が、初期カートリッジ残量値を第1所定値に更新し、かつ初期タンク残量値を第2所定値に更新する処理である。具体的に説明すると、印刷などによってヘッド21を通じて排出されたインクの量を示す第1排出値は、誤差を含む。例えば、コントローラ130は、ヘッド21に、ある特定の量のインクの吐出を指示したとしても、実際にヘッド21から吐出されるインクの量と、ヘッド21に指示した特定の量、とに差が生じる場合がある。この差は、例えば、上記インクの吐出を指示した時の温度が原因で生じることがある。温度が低くなるほど、インクの粘度が高くなるため、ノズル29を通じてインクが排出されにくくなるためである。さらに、コントローラ130は、ヘッド21に繰り返し上記の指示を行うと、繰り返し実際にヘッド21を通じて排出されるインクの量と、特定の量を繰り返した量とで、差がより開くこともある。つまり、印刷がされる度に、算出される第1排出値が示す量と、実際にヘッド21を通じて排出された量とでは、誤差が積算される可能性がある。
【0139】
カートリッジ残量値は、上記第1排出値に従って決定されるため、カートリッジ残量値が示すインク残量と、実際の液室210に貯留されたインク残量と、に誤差が発生する。また、タンク残量値は、上記第1排出値に従って決定されるため、タンク残量値が示すインク残量と、実際の液室171に貯留されたインク残量と、に誤差が発生する。したがって、印刷がされる度に決定されるカートリッジ残量値及びタンク残量値は、積算された誤差を含む。第3更新処理は、積算された誤差をリセットする処理である。
【0140】
具体的に説明すると、コントローラ130は、ICチップ34のメモリに記憶された初期カートリッジ残量値を第1所定値で更新する(S51)。第1所定値は、第1位置P1にインクの液面がある場合にカートリッジ200の液室210に貯留されているインクの量を示す値である。第1位置P1にインクの液面がある場合、液室210における第1位置P1より下方にあるインクは、液室171へ供給されないため、無いとみなされる。そのため、この場合、第1所定値は「ゼロ」である。また、コントローラ130は、初期タンク残量値を第2所定値としてRAM57及びEEPROM56に記憶させる(S52)。第2所定値は、上述したように、第1位置P1にインクの液面がある場合にタンク160の液室171に貯留されているインクの量を示す値である。第1所定値及び第2所定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。
【0141】
次に、コントローラ130は、ステップS51で更新した初期値カートリッジ残量値(第1所定値)と、ステップS52で記憶された初期タンク残量値(第2所定値)とを加算して、総残量値を算出する(S53)。つまり、ステップS53において、コントローラ130は、総残量値を第1容積値に更新する。
【0142】
次に、コントローラ130は、EEPROM56のC_Emptyフラグに「ON」を記憶させ(S54)、カートリッジ残量判定処理(S16)のときと同様にして、カートリッジエンプティを報知する(S55)。
【0143】
[第4更新処理]
図10(D)に示される第4更新処理は、コントローラ130が、タンク残量値を算出し、さらに、印刷を禁止するか否かを判断する処理である。まず、コントローラ130は、第2所定値に更新された初期タンク残量値をEEPROM56から読み出す(S61)。コントローラ130は、読み出した初期タンク残量値から第2排出値を減算し、新たなタンク残量値を算出する(S62)。第2排出値は、第1排出値と同様に、例えば、ヘッド21に吐出させるインク1滴の量に、当該インク1滴が吐出される回数を乗じた値である。第2排出値は、第1排出値と同様に、カウント値の一例である。コントローラ130は、ヘッド21にインクの吐出を指示するごとに、指示に応じた第2排出値をカウントする。コントローラ130は、第1センサ61から取得した液面信号が「L」から「H」に変化した後から、現在までにヘッド21が排出したインクの量を示す第2排出値をカウントする。すなわち、第2排出値は、第1センサ61から取得した液面信号が「L」から「H」に変化した後から現在までにヘッド21が排出したインクの量の積算値である。この第2排出値は、EEPROM56が記憶している。
【0144】
コントローラ130は、算出した新たなタンク残量値を、RAM57に記憶させる(S63)。次に、コントローラ130は、カウントした第2排出値が閾値に到達したか否かを判断する(S64)。閾値は、ROM37やEEPROM56に予め記憶された値である。コントローラ130は、カウントした第2排出値が閾値に到達していないと判断すると(S64:Yes)、第4更新処理を終了する。一方、コントローラ130は、カウントした第2排出値が閾値に到達したと判断すると(S64:No)、EEPROM56のS_Emptyフラグに「ON」を記憶させ(S65)、タンク残量判定処理(S17~S19)のときと同様にしてタンクエンプティを報知して(S66)、第4更新処理を終了する。フローチャートには示されていないが、コントローラ130は、EEPROM56のS_Emptyフラグに「ON」が記憶されていると判断すると、印刷及びメンテナンスを含めて、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止する。
【0145】
閾値は、第2排出値が閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174よりも若干上の位置になるような値とされる。詳しく説明すると、第1センサ61が検知する設計上の第1位置P1と、第1センサ61が実際に検知する第1位置P1との間には、誤差がある場合がある。閾値は、当該誤差が設計時に想定し得る最大の誤差であっても、第2排出値が閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174に重ならないような値とされる。コントローラ130が、ヘッド21を通じたインクの排出を禁止することにより、ヘッド21にエアが混入することが抑制される。なお、閾値は、上述の誤差に加え、プリンタ10が傾斜した面に載置されることも考慮して、プリンタ10が所定の傾斜角度の面に載置されても、第2排出値が閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174に重ならないような値とされてもよい。また、第2排出値は、第1排出値と同様に誤差を含む場合がある。閾値は、第2排出値が有する誤差が最大であっても、第2排出値が閾値に到達したときに、タンク160の液室171に貯留されたインクの液面が流出口174に重ならないような値とされてもよい。
【0146】
[第5更新処理]
図11に示される第5更新処理は、コントローラ130が、初期カートリッジ残量値を第3所定値に更新し、かつ初期タンク残量値を第4所定値に更新する処理である。
【0147】
第3所定値は、第2位置P2にインクの液面がある場合にカートリッジ200の液室210に貯留されているインクの量を示す値である。第3所定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。
【0148】
第4所定値は、第2位置P2にインクの液面がある場合にタンク160の液室171に貯留されているインクの量を示す値である。第3所定値は、例えば、ROM37に予め記憶される。
【0149】
コントローラ130は、ICチップ34のメモリに記憶された初期カートリッジ残量値を第3所定値で更新する(S71)。
【0150】
次に、コントローラ130は、初期タンク残量値を第4所定値としてRAM57及びEEPROM56に記憶させる(S72)。
【0151】
次に、コントローラ130は、ステップS71で更新した初期値カートリッジ残量値(第3所定値)と、ステップS72で記憶された初期タンク残量値(第4所定値)とを加算して、総残量値を算出する(S73)。つまり、ステップS73において、コントローラ130は、総残量値を第2容積値に更新する。
【0152】
次に、コントローラ130は、EEPROM56のC_NEmptyフラグに「ON」を記憶させ(S74)、カートリッジ残量判定処理(S16)のときと同様にして、カートリッジニアエンプティを報知して(S75)、第5更新処理を終了する。
【0153】
[連絡情報送信処理]
プリンタ10のコントローラ130は、図12に示される連絡情報送信処理を定期的に実行する。具体的には、コントローラ130は、クロック30が出力する日時情報が、ROM37又はEEPROM56に記憶された所定時刻になると、連絡情報送信処理を実行する。所定の時刻は、例えば、5分や10分や1時間ごとの各時刻である。コントローラ130は、所定の時刻ごとに、連絡情報送信処理を実行する。なお、コントローラ130は、所定の時間間隔で連絡情報送信処理を実行してもよい。例えば、コントローラ130は、クロック30によって計時された時間が所定時間(例えば5分や10分や1時間)に到達すると、連絡情報送信処理を実行する。
【0154】
連絡情報送信処理は、プリンタ10が、連絡情報を情報収集サーバ40に送信する処理である。連絡情報は、情報収集サーバ40が、発送サーバ50にカートリッジ200を発注する発注情報を送信するか否か判断するための情報である。図12を参照して、連絡情報送信処理の詳細を説明する。
【0155】
まず、コントローラ130は、EEPROM56の送信済みフラグの値が「OFF」であるか否かを判断する(S201)。コントローラ130は、EEPROM56の送信済みフラグの値が「OFF」でない、つまり「ON」であると判断すると(S201:No)、連絡情報送信処理を終了する。コントローラ130は、EEPROM56の送信済みフラグの値が「OFF」であると判断すると(S201:Yes)、EPROM61を参照して、EEPROM56に第1情報または第2情報のいずれが記憶されているかを判断する(S202)。
【0156】
第1情報は、液室210及び液室171におけるインクの消費速度が速いことを示す情報である。第2情報は、液室210及び液室171におけるインクの消費速度が第1情報の消費速度よりも遅いことを示す情報である。コントローラ130は、第1情報及び第2情報を選択的にEEPROM56に記憶する。EEPROM56の後述する消費速度フラグの値が「ON」であるとき、EEPROM56に第1情報が記憶されているとみなされ、EEPROM56の消費速度フラグの値が「OFF」であるとき、EEPROM56に第2情報が記憶されているとみなされる。つまり、コントローラ130は、ステップS202において、EEPROM56の消費速度フラグの値が「ON」であるか否かを判断する。
【0157】
なお、第1情報及び第2情報の内容は、消費速度フラグに記憶された「ON」や「OFF」に限らず、消費速度が区別できることを条件として任意である。
【0158】
本実施形態では、コントローラ130は、消費速度フラグに、初期値として「OFF」を記憶する。コントローラ130は、以下に詳述するようにして、液室210及び液室171における消費速度を算出する。そして、コントローラ130は、算出した消費速度が予めEEPROM56に記憶された所定速度より高いときに、消費速度フラグに「ON」を記憶させ、算出した消費速度が所定速度より低いときに、消費速度フラグに「OFF」を記憶させる。なお、本実施形態では、算出した消費速度が所定速度と同一のとき、コントローラ130は、消費速度フラグに「ON」を記憶させるが、「OFF」を記憶させてもよい。
【0159】
消費速度は、以下のようにして算出する。
【0160】
コントローラ130は、カートリッジ200が装着されたとき(S12)の総残量値(初期総残量値)をEEPROM56に記憶する。初期総残量値は、第1更新処理(S15)のステップS36でRAM36に記憶されたカートリッジ残量値と、第1更新処理(S15)のステップS37でRAM36に記憶させたタンク残量値との合計である。コントローラ130は、カートリッジ残量値及びタンク残量値が更新される度に、そのときの総残量値を算出してEEPROM56に記憶する。EEPROM56には、初期総残量値と、更新された総残量値とが記憶される。
【0161】
次に、コントローラ130は、第1更新処理のステップS38でEEPROM56に記憶させた装着日時からの経過時間をクロック30によってカウントする。カウントした経過時間が予めEEPROM56に記憶された所定時間を経過すると、コントローラ130は、そのときの総残量値(更新された総残量値)と、カートリッジ200が装着されたときの総残量値(初期総残量値)とを、EEPROM56から読み出す。そして、2つの総残量値の差分を所定時間で除算する。これにより、インクの消費速度が算出される。所定時間は、液室210及び液室171に貯留されたインクの消費速度が速いか否かをコントローラ130が判断するための閾値であり、例えば1日や1週間や1ヶ月などに設定される。
【0162】
なお、本実施形態では、算出した実際のインクの消費速度に基づいて消費速度フラグに「ON」または「OFF」が記憶されていたが、これに限らない。例えば、プリンタ10のユーザがメーカと契約を締結するときに決定された所定期間(例えば月間)毎の印刷枚数に基づいて、消費速度フラグに「ON」または「OFF」が記憶されてもよい。例えば、所定期間毎の印刷枚数が所定枚数(例えば5000枚)より多いときに消費速度フラグに「ON」が記憶され、所定期間毎の印刷枚数が所定枚数以下のときに消費速度フラグに「OFF」が記憶されてもよい。
【0163】
コントローラ130は、消費速度フラグに「ON」が記憶されている場合(S202:Yes)、C_NEmptyフラグの値が「ON」であるか否かを判断する(S203)。つまり、コントローラ130は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが残り少ないか否かを判断する。コントローラ130は、C_NEmptyフラグの値が「ON」であると判断すると(S203:Yes)、連絡情報を生成する(S205)。具体的には、コントローラ130は、カートリッジ200のICチップ34のメモリからカートリッジ200の種別情報を読み出し、さらに、EEPROM56からプリンタ10の装置情報を読み出す。コントローラ130は、読み出した種別情報と、装置情報と、を含む連絡情報を生成する。なお、コントローラ130は、カートリッジ200のICチップ34のメモリから読み出した種別情報をEEPROM56に記憶しておき、当該種別情報をEEPROM56から読み出して連絡情報に含めてもよい。
【0164】
カートリッジ200の種別情報は、例えば、カートリッジ200が、小容量カートリッジであるか、大容量カートリッジであるかや、貯留するインクの色などを示す情報などである。プリンタ10の装置情報は、プリンタ10のMACアドレスやシリアルナンバーなど、プリンタ10の識別情報を含む。プリンタ10の識別情報は、EEPROM56に記憶されている。
【0165】
コントローラ130は、連絡情報を生成すると(S205)、通信I/F31を通じて、連絡情報を情報収集サーバ40に送信し(S206)、さらに、EEPROM56の送信済みフラグに「ON」を記憶させ(S207)、連絡情報送信処理を終了する。プリンタ10から送信された連絡情報は、情報収集サーバ40に受信される。
【0166】
一方、コントローラ130は、C_NEmptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S203:No)、連絡情報の作成(S205)、連絡情報の送信(S206)、送信済みフラグへの「ON」の記憶(S207)を実行することなく、連絡情報送信処理を終了する。
【0167】
コントローラ130は、消費速度フラグに「ON」が記憶されていない場合(S202:Yes)、C_Emptyフラグの値が「ON」であるか否かを判断する(S204)。つまり、コントローラ130は、カートリッジ200の液室210に貯留されたインクが無いか否かを判断する。コントローラ130は、C_Emptyフラグの値が「ON」であると判断すると(S204:Yes)、連絡情報の作成(S205)、連絡情報の送信(S206)、送信済みフラグへの「ON」の記憶(S207)を実行して、連絡情報送信処理を終了する。一方、コントローラ130は、C_Emptyフラグの値が「OFF」であると判断すると(S204:No)、連絡情報の作成(S205)、連絡情報の送信(S206)、送信済みフラグへの「ON」の記憶(S207)を実行することなく、連絡情報送信処理を終了する
【0168】
[発注情報送信処理]
連絡情報を受信した情報収集サーバ40のコントローラ45が実行する発注情報送信処理の詳細を、図13(A)を参照して説明する。情報収集サーバのコントローラ45は、図13(A)に示される発送情報送信処理を定期的に実行する。具体的には、コントローラ45は、クロック48が出力する日時情報が、記憶部42に記憶された所定時刻になると、発注情報送信処理を実行する。所定の時刻は、例えば、5分や10分や1時間ごとの各時刻である。コントローラ45は、所定の時刻ごとに、発注情報送信処理を実行する。なお、コントローラ45は、所定の時間間隔で発注情報送信処理を実行してもよい。例えば、コントローラ45は、クロック48によって計時された時間が所定時間(例えば5分や10分や1時間)に到達すると、発注情報送信処理を実行する。なお、コントローラ45は、発注情報送信処理を、プリンタ10が連絡情報を送信する時刻を含む時間帯に実行してもよい。
【0169】
まず、情報収集サーバ40のコントローラ45は、通信I/F43を通じて連絡情報を受信したか否かを判断する(S401)。コントローラ45は、連絡情報を受信していないと判断すると(S401:No)、発注情報送信処理を終了する。一方、コントローラ45は、通信I/F43を通じて連絡情報を受信したと判断すると(S401:Yes)、発注情報を生成する(S402)。
【0170】
発注情報は、連絡情報に含まれるカートリッジ200の種別情報や、カートリッジ200を届ける宛名や住所を含むユーザ情報などを含む。コントローラ45は、連絡情報に含まれるプリンタ10の識別情報に対応するユーザ情報を記憶部42から読み出し、発注情報にユーザ情報を含める。
【0171】
コントローラ45は、発注情報を生成すると(S402)、生成した発注情報を記憶部42に記憶させるとともに、通信I/F44を通じて発送サーバ50に送信する(S403)。情報収集サーバ40が送信した発注情報は、通信I/F53を通じて発送サーバ50に受信される。
【0172】
[発送情報生成処理]
図13(B)を参照して、発注情報を受信した発送サーバ50のコントローラ55が実行する発送情報生成処理について説明する。発送サーバ50のコントローラ55は、定期的に発注情報生成処理を実行する。なお、コントローラ55は、発注情報生成処理を、情報収集サーバ40が連絡情報を送信する時刻を含む時間帯に実行してもよい。発送サーバ50のコントローラ55は、通信I/F53を通じて発注情報を受信したか否かを判断する(S501)。コントローラ55は、発注情報を受信していないと判断すると、発送情報生成処理を終了する(S501:No)。一方、コントローラ55は、発注情報を受信したと判断すると(S501:Yes)、発送情報を生成し(S502)、発送情報生成処理を終了する。
【0173】
発送情報は、発注情報に含まれる種別情報が示すカートリッジ200を、発注情報に含まれるユーザ情報が示す宛名及び住所宛てに発送することを示す情報である。生成された発送情報は、カートリッジ200の発送作業に用いられる。
【0174】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、カートリッジ200の液室210、タンク160の液室171が大気連通されているため、インクは水頭差によって液室210及び液室171の間を流通し、液室210及び液室171のインクの液面の高さは同じとなる。よって、液室171のインクの液面の高さを検知する第1センサ61及び第2センサ62によって、液室210のインクの液面の高さを検知することができる。
【0175】
また、本実施形態によれば、第1センサ61によって、液室210内のインクが液室171へ供給できなくなったことを検知することができる。
【0176】
また、本実施形態によれば、第2センサ62によって、液室210内に貯留されたインクの残量が少ない旨を正確に報知することができる。
【0177】
また、本実施形態によれば、液室210内のインクが液室171へ供給できなくなる前に、カートリッジ200を発注することができる。
【0178】
また、例えば、カートリッジ200が新たに装着されたときにディスプレイ28による報知がなされることで、液室171に貯留されたインクの少なくとも一部がカートリッジ200の液室210へ流出したことをユーザが知ることができる。
【0179】
また、本実施形態によれば、第1排出値や第2排出値によって更新された総残量値に誤差が生じた場合であっても、総液量値が第1容積値または第2容積値に更新されることによって、当該誤差を是正することができる。
【0180】
また、本実施形態によれば、第1センサ61及び第2センサ62のうち1つが故障した場合であっても、もう一方のセンサによって、総液量値を把握することができる。
【0181】
また、本実施形態によれば、装着されたカートリッジ200が新品か否か判断できる。
【0182】
[変形例]
上述の説明では、第1位置P1及び第2位置P2の例として、図6に示される位置である例が説明された。しかし、第1位置P1及び第2位置P2は、図6に示される位置に限定されず、第1位置P1は、液室210の上端及び下端の間の任意の位置に設定可能であり、第2位置P2は、液室171の上端より下方であり、かつ第1位置P1及び貫通孔184より上方である任意の位置に設定可能である。例えば、例えば、第1位置P1が貫通孔184より上方に位置しており、第2位置P2が第1位置P1より上方に位置していてもよい。
【0183】
上述の説明では、装着ケース150は、第1センサ61及び第2センサ62の2個のセンサを備えていた。これにより、第1位置P1及び第2位置P2の2箇所の位置が検知可能であった。しかし、装着ケース150は、3個以上のセンサを備えていてもよい。例えば、装着ケース150は、第1センサ61及び第2センサ62に加えて、液室171におけるインクの液面が第2位置P2よりも上方の第3位置P3になったことを検知する第3センサを備えていてもよい。
【0184】
上述の説明では、第1センサ61及び第2センサ62は、インクが接触しているか否かによって異なる反射率を有するプリズムを利用して、液室210及び液室171におけるインクの液面を光学的に検出するセンサであった。しかし、第1センサ61及び第2センサ62は、液室210及び液室171におけるインクの液面を検出するセンサであればよく、プリズムを利用したセンサに限らない。例えば、液室171にインクの液面位置に応じて回動するアクチュエータが配置されており、第1センサ61及び第2センサ62は、アクチュエータの位置を検出するセンサであってもよい。また、例えば、第1センサ61及び第2センサ62は、液室171内に挿入された電極棒であってもよい。
【0185】
上述の説明では、プリンタ10が連絡情報を送信し、連絡情報を受信した情報収集サーバ40が発注情報を通信I/F44を通じて発送サーバ50に送信する例を説明した。しかしながら、情報収集サーバ40のコントローラ45が実行する各処理が、プリンタ10のコントローラ130によって実行されてもよい。すなわち、プリンタ10は、連絡情報を送信する代わりに、発注情報を通信I/F31を通じて発送サーバ50に送信してもよい。
【0186】
また、上述の説明では、インクが液体の一例として説明されているが、例えば、印刷時にインクに先立って用紙などに吐出される前処理液がカートリッジに貯留されていてもよい。また、ヘッド21を洗浄するための水がカートリッジに貯留されていてもよい。
【符号の説明】
【0187】
10・・・プリンタ(画像記録装置)
14・・・筐体(装着体)
61・・・第1センサ
62・・・第2センサ
160・・・タンク
171・・・液室(第2液室)
175・・・大気連通室(第2大気連通部)
184・・・貫通孔(流入口)
200・・・カートリッジ
210・・・液室(第1液室)
214・・・大気バルブ室(第1大気連通部)
222・・・バルブ(第1大気連通部)
223・・・コイルバネ(第1大気連通部)
234・・・インク供給口(流出口)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13