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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】篩い分け装置
(51)【国際特許分類】
   G01H 17/00 20060101AFI20230816BHJP
   H02P 29/024 20160101ALI20230816BHJP
   B07B 1/42 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
H02P29/024
B07B1/42 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019076425
(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公開番号】P2020171901
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田川 澄夫
(72)【発明者】
【氏名】信藤 慎平
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-161757(JP,A)
【文献】特開昭56-056276(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107314878(CN,A)
【文献】特開平06-229818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/42
G01H 1/00-17/00
H02P 29/024
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、前記架台に対して平面視の一方向に往復振動し、篩枠を有する振動部と、を備える篩い分け装置であって、
前記架台は、前記振動部の前記往復振動によって振動しないように基盤に設置されるものであって、
前記篩い分け装置は、
前記振動部に少なくとも前記振動部の加速度を検知可能な振動部加速度検知部を有する第1センサユニットと、
前記第1センサユニットが検知した前記振動部の加速度に基づいて、前記振動部の振動状態を測定する振動状態測定部と、
前記架台に該架台の加速度を検知可能な架台加速度検知部と、前記架台の角速度を検知可能な架台角速度検知部との少なくともいずれか一方を有する第2センサユニットと、を備え、
前記振動状態測定部は、該第2センサユニットが検知した前記架台の加速度及び角速度の少なくともいずれか一方に基づいて前記架台の振動状態を測定する
ことを特徴とする篩い分け装置。
【請求項2】
前記第1センサユニットは、前記振動部の角速度を検知可能な振動部角速度検知部を備え、
前記振動状態測定部は、前記第1センサユニットが検知した前記振動部の角速度に基づいて、前記振動部の振動状態を測定する
ことを特徴とする請求項1に記載の篩い分け装置。
【請求項3】
架台と、前記架台に対して平面視の一方向に往復振動し、篩枠を有する振動部と、を備える篩い分け装置であって、
前記架台は、前記振動部の前記往復振動によって振動しないように基盤に設置されるものであって、
前記篩い分け装置は、
前記架台に該架台の加速度を検知可能な架台加速度検知部と、前記架台の角速度を検知可能な架台角速度検知部との少なくともいずれか一方を有するセンサユニットと、
前記センサユニットが検知した前記架台の加速度及び角速度の少なくともいずれか一方に基づいて前記架台の振動状態を測定する振動状態測定部と、を備える
ことを特徴とする篩い分け装置。
【請求項4】
前記振動状態測定部が測定する振動状態は振動角度であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の篩い分け装置。
【請求項5】
前記振動状態測定部が測定する振動状態は変位であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の篩い分け装置。
【請求項6】
前記振動状態測定部は、前記振動部加速度検知部が検知した加速度に基づいて、少なくとも前記振動部が往復振動する一方向に対して直交方向の変位を測定可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の篩い分け装置。
【請求項7】
前記振動状態測定部が測定する前記振動部の振動状態は、前記一方向の振動数であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の篩い分け装置。
【請求項8】
前記振動状態測定部が測定した振動状態を表示する表示装置を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の篩い分け装置。
【請求項9】
前記振動状態測定部が測定した振動状態を表示する表示装置を有し、
前記振動状態測定部は、前記架台の設置角度を振動状態として測定することが可能であって、前記設置角度を前記表示装置の表示画面に水準器を模した画像として表示することが可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の篩い分け装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動によって粒状物を粒径ごとに篩い分ける篩い分け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、挽砕された小麦等を篩い分ける装置として、例えば、特許文献1に記載されたピュリファイアが知られている。
このピュリファイアは、目の粗さが異なる複数の篩網を配設したシーブボックスの四隅部を、ラバースプリングを介して支柱で支持し、シーブボックスを振動電動機に連結し、シーブボックスの上部一端に分別前のストックを供給する供給樋を連結し、シーブボックスの下方に、落下したストックを捕集する捕集装置を設置して構成される。
そして、振動電動機を作動させると、シーブボックス及び捕集装置が前後方向に往復振動し、供給樋を通してシーブボックス上に供給されたストックが揺り動かされることにより、ストックが粒径ごとに分別され、捕集装置で捕集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-39002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のピュリファイアのような篩い分け装置は、運転時にシーブボックスの振動状態を監視する機能を備えておらず、据え付け時に、目視によってシーブボックスの揺動角度及び揺動幅を適正値に調整していた。
また、稼動を始めてからは、保守担当者が、同じく目視によって、揺動状態が適正に保たれているか否か点検していた。さらに、シーブボックスの振動数は、モータインバータの出力周波数で設定しているだけであった。
しかし、目視による点検では、担当者によって判断が異なるため異常であっても対処が遅れることがあり、シーブボックスを支持するラバースプリングが劣化したり、機械が故障した場合に、異常を見過ごして、事故が発生するおそれがある。また、振動電動機に障害が発生すると、ストックが篩上に均一に広がらず、純化性能が落ちることもあった。
さらに、振動部の振動数を計測していないので、設定値と実際の振動数とが異なる場合があり、この結果、篩い分け性能が製品仕様まで達しないこともあった。
本発明が解決しようとする課題は、振動部の振動状態を常時監視し、機械的な故障、振動電動機の障害等をいち早く察知でき、篩い分けによる純化機能が低下するのを防ぐ篩い分け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に係る発明は、架台と、前記架台に対して平面視の一方向に往復振動し、篩枠を有する振動部と、を備える篩い分け装置であって、前記架台は、前記振動部の前記往復振動によって振動しないように基盤に設置されるものであって、前記篩い分け装置は、前記振動部に少なくとも前記振動部の加速度を検知可能な振動部加速度検知部を有する第1センサユニットと、前記第1センサユニットが検知した前記振動部の加速度に基づいて、前記振動部の振動状態を測定する振動状態測定部と、前記架台に該架台の加速度を検知可能な架台加速度検知部と、前記架台の角速度を検知可能な架台角速度検知部との少なくともいずれか一方を有する第2センサユニットと、を備え、前記振動状態測定部は、該第2センサユニットが検知した前記架台の加速度及び角速度の少なくともいずれか一方に基づいて前記架台の振動状態を測定することを特徴とする篩い分け装置である。
本願請求項2に係る発明は、前記第1センサユニットは、前記振動部の角速度を検知可能な振動部角速度検知部を備え、前記振動状態測定部は、前記第1センサユニットが検知した前記振動部の角速度に基づいて、前記振動部の振動状態を測定することを特徴とする請求項1に記載の篩い分け装置である。
本願請求項3に係る発明は、架台と、前記架台に対して平面視の一方向に往復振動し、篩枠を有する振動部と、を備える篩い分け装置であって、前記架台は、前記振動部の前記往復振動によって振動しないように基盤に設置されるものであって、前記篩い分け装置は、前記架台に該架台の加速度を検知可能な架台加速度検知部と、前記架台の角速度を検知可能な架台角速度検知部との少なくともいずれか一方を有するセンサユニットと、前記センサユニットが検知した前記架台の加速度及び角速度の少なくともいずれか一方に基づいて前記架台の振動状態を測定する振動状態測定部と、を備えることを特徴とする篩い分け装置である。
本願請求項4に係る発明は、前記振動状態測定部が測定する振動状態は振動角度であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の篩い分け装置である。
本願請求項5に係る発明は、前記振動状態測定部が測定する振動状態は変位であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の篩い分け装置である。
本願請求項6に係る発明は、前記振動状態測定部は、前記振動部加速度検知部が検知した加速度に基づいて、少なくとも前記振動部が往復振動する一方向に対して直交方向の変位を測定可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の篩い分け装置である。
本願請求項7に係る発明は、前記振動状態測定部が測定する前記振動部の振動状態は、前記一方向の振動数であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の篩い分け装置である。
本願請求項8に係る発明は、前記振動状態測定部が測定した振動状態を表示する表示装置を有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の篩い分け装置である。
本願請求項9に係る発明は、前記振動状態測定部が測定した振動状態を表示する表示装置を有し、前記振動状態測定部は、前記架台の設置角度を振動状態として測定することが可能であって、前記設置角度を前記表示装置の表示画面に水準器を模した画像として表示することが可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の篩い分け装置である。
また、別発明として、以下のものでもよい。
手段1は、架台と、前記架台に対して平面視の一方向に往復振動し、篩枠を有する振動部と、を備える篩い分け装置であって、前記篩い分け装置は、少なくとも前記振動部の加速度を検知可能な振動部加速度検知部を有する第1センサユニットを前記振動部に備え、前記第1センサユニットが検知した前記振動部の加速度に基づいて、前記振動部の振動状態を測定する振動状態測定部と、を備えることを特徴とする篩い分け装置である。
【0006】
手段2は、前記第1センサユニットは、前記振動部の角速度を検知可能な振動部角速度検知部を備え、前記振動状態測定部は、前記第1センサユニットが検知した前記振動部の角速度に基づいて、前記振動部の振動状態を測定することを特徴とする手段1に記載の篩い分け装置である。
【0007】
手段3は、前記架台は、前記架台の加速度を検知可能な架台加速度検知部と、前記架台の角速度を検知可能な架台角速度検知部とを有する第2センサユニットと、を備え、前記振動状態測定部は、該第2センサユニットが検知した前記架台の加速度及び角速度に基づいて前記架台の振動状態を測定することを特徴とする手段1又は手段2に記載の篩い分け装置である。
【0008】
手段4は、前記振動状態測定部が測定する振動状態は振動角度であることを特徴とする手段2又は手段3に記載の篩い分け装置である。
【0009】
手段5は、前記振動状態測定部が測定する振動状態は変位であることを特徴とする手段1又は手段3に記載の篩い分け装置である。
【0010】
手段6は、前記振動状態測定部は、前記振動部加速度検知部が検知した加速度に基づいて、少なくとも前記振動部が往復振動する一方向に対して直交方向の変位を測定可能であることを特徴とする手段5に記載の篩い分け装置である。
【0011】
手段7は、前記振動状態測定部が測定する前記振動部の振動状態は、前記一方向の振動数であることを特徴とする手段1に記載の篩い分け装置である。
【0012】
手段8は、前記振動状態測定部が測定した振動状態を表示する表示装置を有することを特徴とする手段1乃至手段7のいずれか1項に記載の篩い分け装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、振動部の振動状態を常時監視可能であるので、振動状態が適正範囲から外れたことを直ちに察知でき、機械の故障等に速やかに対応することが可能となり、篩い分け精度の低下も防止できる。
【0014】
加えて、架台の加速度を検知可能な架台加速度検知部、及び、架台の角速度を検知可能な架台角速度検知部から成る第2センサユニットを設け、架台の振動状態を測定することにより、架台の水平状態、周辺の機械からの振動の伝わり具合、架台が設置された地盤や構造物などの基盤の硬軟による揺れ程度などを知ることができ、これらの影響による篩い分け性能の低下を抑制できる。
【0015】
加えて、振動状態測定部が、振動部加速度検知部が検知した加速度に基づいて、振動部が振動する一方向に対して直交方向の変位を測定可能とすることにより、一方向への振動の影響を受けずに、これに直交する方向の振動の大きさを正確に測定でき、異常感知精度が高まる。
【0016】
加えて、振動状態測定部が測定した振動状態を表示する監視装置を有することにより、振動状態をリアルタイムで知ることができ、異常の発生に気付き易い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態を示す篩い分け装置の側面図である。
図2】本発明の第1実施形態を示す篩い分け装置の正面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る監視装置及び第1センサユニットのブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態を示す篩い分け装置の信号処理ブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態において監視装置の表示例を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態を示す篩い分け装置の正面図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る監視装置、第1センサユニット及び第2センサユニットのブロック図である。
図8】本発明の第2実施形態において監視装置の表示例を示す図である。
図9】本発明の第2実施形態において監視装置の表示例を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態において篩い分け装置の架台の設置角度の向きを示す(A)側面図と(B)正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0019】
[第1実施形態]
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態を示す。
図1及び図2に示すように、本発明の篩い分け装置1は、架台2と、架台2に対して平面視で一方向に往復振動し、篩枠3を有する振動部4とを備える。
以下の説明では、振動部4が往復振動する方向をX方向(図1における紙面左右方向、図2における紙面奥行き方向)、平面視でX方向に直交する方向をY方向(図1における紙面奥行き方向、図2における紙面左右方向)、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向(図1及び図2における紙面上下方向)という。
【0020】
架台2の四隅には支柱5が設けられ、これら支柱5に取り付けたラバースプリング6によって振動部4が支持されている。
振動部4には振動電動機7が設けられ、振動電動機7を作動させることにより振動部4がX方向に往復振動する。
架台2には図示しないフレームが設けられており、フレームにはカバー30が設けられている。架台2、フレーム、カバー30は往復振動しない。
符合8で示されるものは、篩枠3内に篩い分け前の粒状物を上方から供給する供給筒である。
【0021】
振動部4の篩枠3内には、目の粗さが異なる複数の篩網が、下になるほど目が細かくなるよう積層されている。
振動部4には、篩枠3の各篩網を通過した粒状物を級別に捕集する捕集装置9が設置され、捕集装置9で捕集された粒状物は機外へ取り出される。また、篩枠3上に残った粒状物は別の経路を通って機外へ排出される。
以上の構造は従来周知なので、詳細な説明は省略する。
【0022】
図1及び図2に示すように、振動部4の篩枠3の外側面に第1センサユニット10が取り付けられる。
図3に示すように、第1センサユニット10は、振動部4の3軸方向の加速度を検知可能な振動部加速度検知部11、及び、振動部4の3軸方向の角速度を検知可能な振動部角速度検知部12を有する。
第1センサユニット10は、カバー30の外面に設置された監視装置13(図2参照)に接続される。
【0023】
監視装置13には、振動状態測定部14、表示装置16、警報ブザー17などが設けられる。
また、第1センサユニット10の振動部加速度検知部11及び振動部角速度検知部12、表示装置16並びに警報ブザー17は、振動状態測定部14に接続される。さらに、振動状態測定部14は、汎用の外部通信手段を介して施設の運転管理システムに接続されている。
振動状態測定部14は、演算処理部であって、振動部加速度検知部11が検知した振動部4の加速度、及び、振動部角速度検知部12が検知した振動部4の角速度に基づいて、振動部4の振動状態を測定する。測定された振動状態は、表示情報に変換されて表示装置16に送られる。
【0024】
次に、図4を参照して、篩い分け装置1の信号処理について説明する。
運転開始操作を行うことにより篩い分け装置1が起動し、振動部4が往復振動すると共に、第1センサユニット10が検知を開始する。
第1センサユニット10の振動部加速度検知部11が検知した振動部4の加速度、及び、振動部角速度検知部12が検知した振動部4の角速度は、それぞれ無線通信あるいは有線通信によって振動状態測定部14に送られる。
【0025】
振動状態測定部14は、振動部4の加速度から振動部4の3軸方向の変位及びX軸方向の振動数を測定し、振動部4の加速度及び角速度から振動部4の3方向の振動角度を測定する。
変位の測定は、検知された加速度からノイズ分を除去し、さらに、重力加速度の影響を除いて2回積分することにより求められる。
振動角度は、振動部4の加速度及び角速度からカルマンフィルタ、拡張カルマンフィルタ、Madgwickフィルタ、相補フィルタ等を用いて算出する。
【0026】
振動状態測定部14は、測定された振動部4のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向の変位から波形を合成し、図5に示すように、表示装置16の表示画面に、変位の大きさと方向を、互いに直交するX-Y軸のリサージュ図形(図5の左側の図形)、X-Z軸のリサージュ図形(図5の中央の図形)、Y-Z軸のリサージュ図形(図5の右側の図形)として表示させる。
また、振動部4のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれの変位と、3方向の振動角度(振動によるX-Y面内における傾斜角度、X-Z面内における傾斜角度、Y-Z面内における傾斜角度)、X軸方向の振動数、ならびに、合成された波形から測定されるX軸方向の振幅を数値として表示装置16の画面に表示する。
【0027】
図5では、変位として、X軸方向が-4.48~4.48mm、Y軸方向が-0.02~0.01mm、Z軸方向が-0.47~0.47mm、振動角度として、X-Z面内における傾斜角度が6.0°、X-Y面内における傾斜角度が0.0°、Y-Z面内における傾斜角度が0.0°、X軸方向の振幅が9.00mm、X軸方向の振動数が10.00Hzとして、安定運転中であることが表示されている。
この数値で示されるように、X軸方向に振動部4は振動しており、Z軸方向に若干振動し、Y軸方向にはほぼ振動していないことがわかる。また、X-Z面内における傾斜角度だけ6.0°であるのは、図1で示すように篩枠3が紙面左方向下側に傾斜しており、実際の振動部4はX軸方向に平行に振動するのではなく、図1の両矢印で示すように、傾斜して振動している。
【0028】
振動状態測定部14には、予め、振動部4の適正範囲の変位、振動角度、振動数、振幅が判定値として設定されており、振動状態測定部14は、測定された変位と変位判定値とを比較し、測定された振動角度と角度判定値とを比較し、測定された振動数と振動数判定値とを比較し、測定された振幅と振幅判定値とを比較する。
【0029】
振動状態測定部14の測定値がすべて判定値内に収まっている場合は、表示装置16の画面に、振動部4の振動状態の表示とともに、「安定運転中」のように正常であることを文字で表示する。
一方、これらの値が判定値から外れた場合は、異常処理を行って警報ブザー17を作動させると共に、表示装置16の文字による表示を「不安定」などに変更し、作業者あるいは監督者に異常の発生を知らせる。
【0030】
[第2実施形態]
図6乃至図10は、本発明の第2実施形態を示す。
第2実施形態では、第1実施形態の構造に加えて、図6に示すように、架台2に取り付けられた第2センサユニット18を備える。
【0031】
第2センサユニット18は、第1センサユニット10と同様の架台2の加速度を検知可能な架台加速度検知部19、及び、架台2の角速度を検知可能な架台角速度検知部20を有する。
図7に示すように、第2センサユニット18は監視装置13の振動状態測定部14に接続され、第2センサユニット18の架台加速度検知部19が検知した架台2の加速度、及び架台角速度検知部20が検知した架台2の角速度は監視装置13の振動状態測定部14に送信される。
【0032】
振動状態測定部14は、第1実施形態における振動部4の振動状態の測定と同様に、架台2の振動状態を測定し、これにより、架台2の設置角度、周囲に配置された機械から伝わる振動の影響、篩い分け装置1が設置された基盤の硬軟などによる架台2の揺れを変位として検知することができる。
なお、架台2は、本来固定されており、ラバースプリング6により振動部4の往復振動の影響を受けないので、通常は、変位及び設置角度を測定し、振動数及び振幅は測定しない。
【0033】
振動状態測定部14は、測定した架台2の振動状態を表示情報に変換して表示装置16に送り、振動部4の振動状態を表示装置16の画面に、図8に示すような表示をさせる。
表示装置16の表示画面には、架台2の変位が、互いに直交するX-Y軸のリサージュ図形(図8の左側の図形)、X-Z軸のリサージュ図形(図8の中央の図形)、Y-Z軸のリサージュ図形(図8の右側の図形)として表示される。
また、架台2のX軸方向、Y軸方向、Z軸方向それぞれの変位が数値として表示される。
【0034】
図8では、変位として、X軸方向が-0.10~0.10mm、Y軸方向が-0.02~0.01mm、Z軸方向が-0.02~0.02mmとして、正常であることが表示されている。
この数値で示されるように、架台2ほとんど変位しておらず、すなわち振動部4の振動が伝わってきておらず、ラバースプリング6が十分に機能していることがわかる。
【0035】
振動状態測定部14には、架台2の適正範囲の変位が判定値として設定されており、振動状態測定部14は、測定された変位と変位判定値とを比較する。
振動状態測定部14の測定値がすべて判定値内に収まっている場合は、表示装置16の画面に、「正常」のように文字で表示する。
測定値が判定値から外れた場合は、異常処理を行って警報ブザー17を作動させると共に、表示装置16の文字による表示を「正常」から「異常」などに変更する。
作業者あるいは監督者は、同じく警報ブザー17が作動しても、文字による表示を見て、振動部4の不具合であるのか、架台2の不具合であるのか直ちに理解できる。
【0036】
また、振動状態測定部14は、測定した架台2の振動状態を表示情報に変換して表示装置16に送り、振動部4の振動状態とともに表示装置16の画面に、図9に示すような表示もさせるようにしても良い。
表示装置16の表示画面には、架台2の設置角度が、水準器を模した画像として表示される。
【0037】
図9では、水準器として、X軸とY軸が表された円形の範囲の中で架台2の現在の状態を示している。気泡を模した太線の円が、架台2の現在の状態である。二点破線の円径は、許容範囲を示している。また、X軸まわりの設置角度及びY軸まわりの設置角度を数値として表示している。図では、表示している設置角度は、X軸まわりの設置角度が0.2°、Y軸まわりの設置角度が-0.4°であり、現在の状態が許容範囲内であり、架台2の設置角度が、正常であることが示されている。
【0038】
図10に、架台2の設置角度の方向を示す。図10(A)に示すように、架台2のY軸まわり設置角度は、第2センサユニット18を中心として、左側が上がるとプラス、下がるとマイナスとして表示がされる。図10(B)に示すように、架台2のX軸まわり設置角度は、第2センサユニット18を中心として、右側が上がるとプラス、下がるとマイナスとして表示がされる。
このように水準器を模した表示をすることで、作業者あるいは監督者は架台の設置状態を容易に理解することができる。
【0039】
なお、図示はしていないが、表示装置16をタッチパネルとして、表示画面には、水準器を模した画像以外にも「キャリブレーション」、「ホールド」、「リセット」といった文字によるボタンを操作可能に表示するようにしてもよい。
例えば、「キャリブレーション」ボタンは、モーメンタリスイッチとして、タッチされている間はONの状態が継続されるように設けられる。また、「ホールド」ボタンと「リセット」ボタンはオルターネートスイッチとして、タッチされる度にONの状態とOFFの状態が交互に切り替わるように設けられる。
【0040】
「キャリブレーション」ボタンをタッチして離したタイミングで、そのときの架台2のX軸及びY軸まわり設置角度を0°として、それ以降の設置角度の変化の状態を測定することができる。
「ホールド」ボタンをタッチすることで、表示されている架台2の設置角度の値を任意のタイミングで止めることができる。これにより、振動部4から架台2に伝わった振動が原因で、測定された設置角度の値が随時変動して目視しにくい状態でも、表示装置16の表示画面に表示される設置角度の値を止めて確認することが可能となる。
【0041】
「リセット」ボタンをタッチすることで、表示される架台2の設置角度の値を、振動状態測定部14の工場出荷時の初期調整値に戻すことができる。
このように、監視装置13に設けられた表示装置16を操作することで振動状態測定部14の調整を行えるようにすることで、振動状態測定部14取付け時の調整や、定期的なメンテナンスを行う手間を大幅に削減することが可能となる。
【0042】
また、振動状態測定部14に架台2の適正範囲の変位及び設置角度の判定値を設定しておき、測定された変位と設置角度とそれぞれ判定値と比較して判定させるようにしても良い。
この場合、振動状態測定部14の測定値がすべて判定値内に収まっている場合は、表示装置16の画面に、「正常」のように文字で表示する。測定値が判定値から外れた場合は、異常処理を行って警報ブザー17を作動させると共に、表示装置16の文字による表示を「正常」から「異常」などに変更する。
このようにすれば、作業者あるいは監督者は、同じく警報ブザー17が作動しても、文字による表示を見て、振動部4の不具合であるのか、架台2の不具合であるのか直ちに理解できる。
【0043】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0044】
第1実施形態では、振動状態測定部が振動部の振動角度、変位、振動数、振幅をすべて測定して監視装置に表示したが、一部であってもよい。
また、振動部の平面視における一方向(X方向)への振動は、本来振動すべき方向なのであまり問題にならないが、これに直交する方向(Y方向、Z方向)への振動が大きすぎると、粒状物の飛散、機械の故障等のような影響があるので、振動状態測定部は、Y方向とZ方向の変位のみを測定し、X方向の変位は測定せずに省略することもできる。
篩枠上の粒状物がこぼれないようにするには、X-Z面内の傾斜角度とY-Z面内の傾斜角度を警戒すればよいので、角度判定値としてX-Z面内及びY-Z面内における適正な傾斜角度のみを設定しておき、これら角度判定値と、測定したX-Z面内の傾斜角度、及びY-Z面内の傾斜角度を比較してもよい。
【0045】
二台の振動電動機7が互いに逆方向に回転し内部のアンバランスウェイトが同期して振動部の平面視における一方向(X方向)への振動させるような篩い分け装置では、少なくともY方向の変位を特に注視するようにすれば、二台の振動電動機の同期の不調などもいち早く発見できるようになる。
【0046】
第2実施形態では、振動状態測定部が架台の設置角度及び変位を測定して監視装置で表示したが、いずれか一方であってもよい。
【0047】
第2実施形態では、振動状態測定部が架台の設置角度及び変位を測定して監視装置で表示したが、振動部の測定と同様に、振動数及び振幅の少なくとも一方を測定するようにしても良い。この場合、振動数や振幅を監視することができ、例えば、ラバースプリングの破損などによる振動部の振動が伝わったことをいち早く発見することができる。
【0048】
本実施形態では、振動部が往復運動を開始しているときに振動状態を測定していたが、これに限られず、往復運動をしていないときにでも第1センサユニット、第2センサユニット及び監視装置13を作動させて、振動状態を測定するようにしても良い。この場合には、振動部の静止時における振動部及び架台の姿勢を測定することができる。
【0049】
本実施形態では、第1センサユニットは、振動部4の篩枠に取り付けられたが、これに限られない。振動する部分であればいずれの場所でも良い。
【0050】
本実施形態では、監視装置は、篩い分け装置のカバーに取り付けられたが、これに限られず、篩い分け装置に直接取り付けられず、離間したところに設けられる監視装置でも良い。このような監視装置を備えるものでも本発明の篩い分け装置に含まれる。
【0051】
本実施形態では、架台の設置角度を図9に示すように水準器として表示したが、これに限られず、図8に示す変位と同様に数値として表示するようにしても良い。例えば、図8に示す画面において、「変位(p-p)」の横に並べて「設置角度」として、図5の「振動角度」と同様な表示をするようにしても良い。
また、振動状態測定部に架台の設置角度に角度判定値を設定し、振動状態測定部に測定された設置角度と角度判定値とを比較させるようにしても良い。この場合、測定された設置角度が角度判定値内に収まっている場合には、表示装置の画面に図8に示された変位と同様に「正常」などの表示を行っても良い。また、測定された設置角度が角度判定値から外れた場合にも変位のときと同様に、異常処理を行って警報ブザーを作動させると共に、表示装置の文字による表示を「正常」から「異常」などに変更するようにしても良い。
【0052】
本実施形態では、振動部及び架台の測定は、篩い分け装置の振動部の運転中に行っているもので説明したが、これに限られず、振動部の運転停止中に行っても良い。この場合には、設置直後で稼働する前の設置した姿勢の状態や運転停止時の姿勢、また隣接して運転される他の篩い分け装置からの振動の伝達なども監視することができる。
【0053】
本実施形態では、振動部の振動状態を検出するために、振動部加速度検知部及び振動部角速度検知部を備えるようにしたが、これに限られない。振動部加速度検知部だけを設けるようにしても良い。この場合には角速度は検知できず振動角度は測定できないが簡易な測定ができ、コストダウンが図れる。
【0054】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 篩い分け装置
2 架台
3 篩枠
4 振動部
5 支柱
6 ラバースプリング
7 振動電動機
8 供給筒
9 捕集装置
10 第1センサユニット
11 振動部加速度検知部
12 振動部角速度検知部
13 監視装置
14 振動状態測定部
16 表示装置
17 警報ブザー
18 第2センサユニット
19 架台加速度検知部
20 架台角速度検知部
30 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10