(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】スタッカクレーン
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B65G1/04 505C
B65G1/04 505D
(21)【出願番号】P 2019089869
(22)【出願日】2019-05-10
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】草川 光生
【審査官】田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-053873(JP,U)
【文献】特開平11-116006(JP,A)
【文献】特開2000-355404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
B65G 1/137
B66F 9/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が載置される荷物テーブルを有する搬送車を移載可能なスタッカクレーンであって、
支持対象物を下方から支持する支持部材と、
前記支持部材の少なくとも一部を、前記支持対象物より下方の空間に対して出退させる移載装置と、
車両移載制御及び荷移載制御のそれぞれを選択的に実行するコントローラと、を備え、
前記車両移載制御では、前記コントローラは、前記移載装置を制御することで、前記支持対象物である前記荷物テーブルが前記支持部材に支持された状態の前記搬送車を移載
し、
前記荷移載制御では、前記コントローラは、前記移載装置を制御することで、前記荷物テーブルに載置されている前記支持対象物である前記荷物の、前記荷物テーブルに支持されていない部分を前記支持部材に支持させ、前記支持部材に支持された状態の前記荷物を移載し、
前記支持部材は、
前記荷物テーブルの下方の空間に対して出退可能な内側爪と、
平面視において前記内側爪の両側に位置し、かつ、前記内側爪よりも高い位置において、前記内側爪と同じ方向に、かつ、前記内側爪とは独立して出退可能な一対の外側爪とを有し、
前記コントローラは、
前記車両移載制御において、前記移載装置に、前記内側爪の出退を伴う動作によって、前記内側爪を用いた前記搬送車の引き込みまたは引き渡しを行わせ、
前記荷移載制御において、前記移載装置に、前記内側爪の出退を伴わず、かつ、前記一対の外側爪の出退を伴う動作によって、前記荷物の引き込みまたは引き渡しを行わせる、
スタッカクレーン。
【請求項2】
前記コントローラは、前記荷移載制御において、前記スタッカクレーンの移動経路に沿って配置されたラックに収容されている前記搬送車から前記荷物を引き込む、または、前記ラックに収容されている他の搬送車の荷物テーブルに、前記支持部材が支持している前記荷物を引き渡す、
請求項
1記載のスタッカクレーン。
【請求項3】
荷物が載置される荷物テーブルを有する搬送車を移載可能なスタッカクレーンであって、
支持対象物を下方から支持する支持部材と、
前記支持部材の少なくとも一部を、前記支持対象物より下方の空間に対して出退させる移載装置と、
車両移載制御及び荷移載制御のそれぞれを選択的に実行するコントローラと、を備え、
前記車両移載制御では、前記コントローラは、前記移載装置を制御することで、前記支持対象物である前記荷物テーブルが前記支持部材に支持された状態の前記搬送車を移載し、
前記荷移載制御では、前記コントローラは、前記移載装置を制御することで、前記荷物テーブルに載置されている前記支持対象物である前記荷物の、前記荷物テーブルに支持されていない部分を前記支持部材に支持させ、前記支持部材に支持された状態の前記荷物を移載し、
前記支持部材は、ともに内側に向かって突出した一対の支持爪を備え、
前記移載装置は、前記一対の支持爪の間隔を変更させることで、前記支持対象物より下方の空間に対して前記一対の支持爪を出退させ、
前記コントローラは、前記車両移載制御と前記荷移載制御とで、前記支持対象物を支持する際の前記一対の支持爪の間隔を変える、
スタッカクレーン。
【請求項4】
前記搬送車は、前記荷物テーブルの昇降駆動が可能であり、
前記コントローラは、前記車両移載制御において、前記支持部材の少なくとも一部が前記荷物テーブルの下方に位置し、かつ、前記搬送車が前記荷物テーブルを下降させることで前記支持部材に支持された前記搬送車の移載を行う、
請求項1~
3のいずれか一項に記載のスタッカクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物等の移載を行うスタッカクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、経路を走行し荷物を搬送する搬送車と、荷物棚と、スタッカクレーンとを備えた自動倉庫システムが開示されている。この自動倉庫システムにはさらに、経路から分岐する分岐経路と、分岐経路の端部に配置された車ステーションと、車棚とが備えられている。車棚は、上下方向に複数の搬送車を格納するよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の自動倉庫システムのように、複数の搬送車を上下方向に並べて格納可能な車棚を備えることで、比較的に小さい面積内に複数の搬送車を格納することができ、これら搬送車の車棚に対する出し入れを、スタッカクレーンを用いて行うことができる。これにより、必要に応じて、荷物の搬送に使用する搬送車の台数を柔軟に調整することができ、かつ、そのための複数の搬送車の保管スペースの増加が抑制される。
【0005】
しかしながらこの場合、従来では、スタッカクレーンへの搬送車の引き渡し、及び、スタッカクレーンからの搬送車の引き取りの際に、搬送車を昇降させる機能を有する専用ステーションを用いる必要がある。従って、自動倉庫システムの構成の複雑化、または、搬送車の車棚に対する出し入れの効率化が困難である等の問題が生じる。また、搬送車の移載専用のスタッカクレーンを用いることで、床面で停止した搬送車をスタッカクレーンが直接的に引き取ることも可能である。しかし、この場合は、所定の領域内に、荷物用のスタッカクレーンと搬送車用のスタッカクレーンとが混在することで、荷物の搬送効率が低下する、という問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、荷物の搬送に関する作業を効率化することができるスタッカクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題を解決するため、本発明の一態様に係るスタッカクレーンは、荷物が載置される荷物テーブルを有する搬送車を移載可能なスタッカクレーンであって、支持対象物を下方から支持する支持部材と、前記支持部材の少なくとも一部を、前記支持対象物より下方の空間に対して出退させる移載装置と、前記移載装置を制御することで、前記支持対象物である前記荷物テーブルが前記支持部材に支持された状態の前記搬送車を移載する車両移載制御を行うコントローラと、を備える。
【0008】
この構成によれば、スタッカクレーンは、荷物テーブルの下に差し込んだ支持部材で荷物テーブルを支持し、これにより搬送車を支持することができる。そのため、搬送車を昇降させる機能を有する専用ステーション等を用いることなく、スタッカクレーンが、直接的に、搬送車をラックまたは上階の床面等との間で受け渡すことができる。このとき、荷物テーブルに載置されている荷物を、搬送車とともにラック等との間で受け渡すことも可能である。また、荷物テーブルを下方から支持する支持部材は、支持対象物としての荷物そのものを下方から支持することも可能であり、つまり、荷物のみをラック等との間で受け渡すことも可能である。従って、本態様に係るスタッカクレーンによれば、荷物の搬送に関する作業を効率化することができる。
【0009】
また、本発明の一態様に係るスタッカクレーンにおいて、前記コントローラはさらに、前記移載装置を制御することで、前記荷物テーブルに載置されている前記支持対象物である荷物の、前記荷物テーブルに支持されていない部分を前記支持部材に支持させ、前記支持部材に支持された状態の前記荷物を移載する荷移載制御を行う、としてもよい。
【0010】
この構成によれば、スタッカクレーンは、例えば、荷物を載せた搬送車から荷物のみを受け取って、ラック等に移載することができる。つまり、荷物を載せた搬送車は、所定の位置に停止するだけで、荷物の移載のための動作を行うことなく、または、ピックアップロボット等の別の移載装置を使用することなく、荷物をスタッカクレーンに渡すことができる。つまり、荷物の搬送に関する作業の更なる効率化が図られる。
【0011】
また、本発明の一態様に係るスタッカクレーンにおいて、前記コントローラは、前記荷移載制御において、前記スタッカクレーンの移動経路に沿って配置されたラックに収容されている前記搬送車から前記荷物を引き込む、または、前記ラックに収容されている他の搬送車の荷物テーブルに、前記支持部材が支持している荷物を引き渡す、としてもよい。
【0012】
この構成によれば、搬送車がラックに収容されている状態で、その搬送車からの荷物の受け取り、または、その搬送車への荷物の載置が可能である。従って、例えば、スタッカクレーンを用いて、それぞれが荷物を載せた状態の複数の搬送車をラックに収容し、その後に、スタッカクレーンを用いて、それら搬送車のそれぞれから荷物を取り出すことが可能である。また、ラックから取り出された荷物を、ラックに収容されている、荷物を載せていない搬送車に載せかえることも可能である。また、本態様のスタッカクレーンを2台用いることで、複数の、荷物を載せた状態の搬送車をラックに順次収容する作業と、ラックに収容された複数の搬送車から順次荷物を取り出す作業とを並行して行うことも可能である。
【0013】
また、本発明の一態様に係るスタッカクレーンにおいて、前記支持部材は、前記荷物テーブルの下方の空間に対して出退可能な内側爪と、平面視において前記内側爪の両側に位置し、かつ、前記内側爪よりも高い位置において、前記内側爪と同じ方向に、かつ、前記内側爪とは独立して出退可能な一対の外側爪とを有し、前記コントローラは、前記車両移載制御では、前記移載装置に、前記内側爪の出退を伴う動作によって、前記内側爪を用いた前記搬送車の引き込み、または、引き渡しを行わせ、前記荷移載制御では、前記移載装置に、前記内側爪の出退を伴わず、かつ、前記一対の外側爪の出退を伴う動作によって、前記荷物の引き込みまたは引き渡しを行わせる、としてもよい。
【0014】
この構成によれば、支持部材は、内側爪と一対の外側爪とを有しており、移載装置は、内側爪の出退を伴う動作により、搬送車の引き込みまたは引き渡しを行う。このとき、内側爪の両側の外側爪は、内側爪よりも高い位置に配置されているが、内側爪と外側爪との高さ方向の差が、例えば荷物テーブルの厚みより小さいことで、搬送車に荷物が載せられている場合であっても、その荷物と一対の外側爪とは干渉しない。また、移載装置は、一対の外側爪の出退を伴う動作によって、荷物の引き込みまたは引き渡しを行う。このとき、内側爪は出退されないため、荷物の引き込み元または引き渡し先である荷物テーブルと内側爪とは干渉しない。また、荷物を引き込む際には、内側爪は、一対の外側爪よりも低い位置に存在するため、荷物と内側爪とは干渉しない。このように、互いに高さ方向の位置が異なり、かつ、互いに独立して出退可能な内側爪と一対の外側爪とにより、搬送車のみの移載、搬送車及びその搬送車に載せられた荷物の移載、並びに、荷物のみの移載、の3種類の移載作業を行うことができる。つまり、本態様に係るスタッカクレーンによれば、出退する爪の切り替えによって、複数種類の移載作業を行うことができる。これにより、荷物の搬送に関する作業の更なる効率化が図られる。
【0015】
また、本発明の一態様に係るスタッカクレーンにおいて、前記支持部材は、ともに内側に向かって突出した一対の支持爪を備え、前記移載装置は、前記一対の支持爪の間隔を変更させることで、前記支持対象物より下方の空間に対して前記一対の支持爪を出退させ、前記コントローラは、前記車両移載制御と前記荷移載制御とで、前記支持対象物を支持する際の前記一対の支持爪の間隔を変える、としてもよい。
【0016】
この構成によれば、支持部材は、互いの間隔の変更が可能な一対の支持爪を有し、その間隔が変更されることで、荷物テーブルの下方からの支持、及び、荷物テーブルに載置された荷物の下方からの支持の切り替えが可能である。従って、一対の支持爪により、搬送車のみの移載、搬送車及びその搬送車に載せられた荷物の移載、並びに、荷物のみの移載、の3種類の移載作業を行うことができる。つまり、本態様に係るスタッカクレーンによれば、より簡易な構成で、複数種類の移載作業を行うことができる。これにより、例えば荷物の搬送に関する作業の更なる効率化が図られる。
【0017】
また、本発明の一態様に係るスタッカクレーンにおいて、前記搬送車は、前記荷物テーブルの昇降駆動が可能であり、前記コントローラは、前記車両移載制御において、前記支持部材の少なくとも一部が前記荷物テーブルの下方に位置し、かつ、前記搬送車が前記荷物テーブルを下降させることで前記支持部材に支持された前記搬送車の移載を行う、としてもよい。
【0018】
この構成によれば、スタッカクレーンは、支持部材を荷物テーブルの下方に進出させ、かつ、支持部材を上昇させることなく、搬送車における荷物テーブルの下降動作を利用して、搬送車を支持部材によって支持させた状態(搬送車を支持部材で吊り下げた状態)にすることができる。これにより、例えば、荷物テーブルに支持部材が当接する際の衝撃が抑制される。
【0019】
また、本発明は、上記いずれかの態様に係るスタッカクレーンが実行する特徴的な処理を含むスタッカクレーンの制御方法として実現することもできる。また、当該制御方法が含む各処理をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現すること、および、そのプログラムが記録された記録媒体として実現することもできる。そして、そのプログラムをインターネット等の伝送媒体又はDVD等の記録媒体を介して配信することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、荷物の搬送に関する作業を効率化することができるスタッカクレーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態に係る搬送車の構成概要を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る搬送車の動作の概要を示す正面図である。
【
図3】実施の形態に係るスタッカクレーンの構成概要を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態に係るスタッカクレーンの支持部材と搬送車及び荷物との位置関係を示す正面図である。
【
図5A】実施の形態に係るスタッカクレーンによる搬送車の引き込み動作を示す第1の側面図である。
【
図5B】実施の形態に係るスタッカクレーンによる搬送車の引き込み動作を示す第2の側面図である。
【
図5C】実施の形態に係るスタッカクレーンによる搬送車の引き込み動作を示す第3の側面図である。
【
図5D】実施の形態に係るスタッカクレーンによる搬送車の引き込み動作を示す第4の側面図である。
【
図5E】実施の形態に係るスタッカクレーンによる搬送車の引き込み動作を示す第5の側面図である。
【
図5F】実施の形態に係るスタッカクレーンによる搬送車の引き込み動作を示す第6の側面図である。
【
図6A】実施の形態に係るスタッカクレーンによる荷物の引き込み動作を示す第1の側面図である。
【
図6B】実施の形態に係るスタッカクレーンによる荷物の引き込み動作を示す第2の側面図である。
【
図6C】実施の形態に係るスタッカクレーンによる荷物の引き込み動作を示す第3の側面図である。
【
図6D】実施の形態に係るスタッカクレーンによる荷物の引き込み動作を示す第4の側面図である。
【
図7】実施の形態に係るラックの構成概要を示す正面図である。
【
図8】実施の形態に係るラックにおける搬送車及び荷物の支持構造を示す下面図である。
【
図9】実施の形態の変形例に係るスタッカクレーンの構成概要を示す図である。
【
図10A】実施の形態の変形例に係る移載装置が荷物を支持している状態を示す図である。
【
図10B】実施の形態の変形例に係る移載装置が搬送車を支持している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態に係るスタッカクレーンについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、情報処理の内容及び順序などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態に係る構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0023】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0024】
(実施の形態)
まず、
図1及び
図2を用いて、実施の形態に係るスタッカクレーンによる移載の対象である搬送車の構成及び動作の概要について説明する。
【0025】
[1.搬送車の構成及び動作]
図1は、実施の形態に係る搬送車10の構成概要を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る搬送車10の動作の概要を示す正面図である。なお、
図1では、視認できない位置にある構成要素の一部または全部の外形が点線で模式的に示されている。また、点線で表された各構成要素の位置、形状、大きさは一例であり、これらの図によって限定されるものではない。また、
図2では、荷物テーブル45及び荷物80の移動前の位置(外形)が、点線で示されている。
【0026】
本実施の形態に係る搬送車10は、例えば自動倉庫システムにおいて、支持された位置への荷物80の搬入、搬出、または移動等に用いられる無人搬送車である。
図1に示すように、本実施の形態に係る搬送車10は、走行駆動部31を有する走行台車30と、荷物80が載置される荷物テーブル45と、荷物テーブル45を昇降させる昇降装置41とを備える。昇降装置41は、本実施の形態では、荷物テーブル45を下方から支持するシャフト43と、シャフト43を上下方向に移動させる出退機構42とを有する。本実施の形態では、四角形状の荷物テーブル45の4つの角部に対応して配置された4つの昇降装置41が、走行台車30に備えられている。これら4つの昇降装置41は同期して動作するため、以下で1つの昇降装置41の構成及び動作等について説明する場合、その説明内容は、他の昇降装置41にも適用される。
【0027】
昇降装置41が有する出退機構42は走行台車30に内蔵されており、走行台車30の上面から露出したシャフト43が出退機構42によって上下方向に移動する。これにより、荷物テーブル45が昇降する。なお、出退機構42がシャフト43を上下させるための方式に特に限定はないが、例えばボールネジ方式が採用される。これにより、比較的に大きな力で荷物テーブル45を押し上げることができる。また、後述するように、スタッカクレーンが荷物テーブル45を引っ掛けて搬送車10を持ち上げる場合において、シャフト43が出退機構42に対して移動し難い。つまり、スタッカクレーンは、4つのシャフト43によって安定して搬送車10を昇降させることができる。
【0028】
荷物テーブル45は、
図1に示すように、平面視(Z軸方向プラス側から見た場合)で四角形状である。なお、荷物テーブル45の平面視における形状に特に限定はない。荷物テーブル45の平面視における形状は、台形または平行四辺形などの四角形でもよく、四角形以外の多角形、もしくは、角丸の矩形、円形、長円形、または楕円形などの少なくとも一部に湾曲形状を有する形状であってもよい。
【0029】
走行駆動部31は、例えば電気モータを用いて、左右(Y軸方向)に並べられた2つのタイヤ48のそれぞれを回転駆動することで、搬送車10の前後方向への移動、及び、左右方向への進行方向の変更を行うことができる装置である。なお、走行台車30には、複数のタイヤ48が備えられているが、駆動輪及び従動輪の個数及び配置位置等については、走行台車30のサイズまたは搬送車10に要求される能力等に応じて適宜決定されてもよい。
【0030】
搬送車10が備える昇降装置41及び走行駆動部31は、搬送制御部50によって制御される。搬送制御部50は、例えば、指揮系統において搬送車10の上位に位置するコンピュータ(上位コンピュータ)からの指示に応じて、昇降装置41及び走行駆動部31等を制御することで荷物80の搬送を行う。搬送制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等の記憶装置、および情報の入出力のためのインタフェース等を備えたコンピュータを有する。搬送制御部50は、例えば、記憶装置に格納された所定のプログラムをCPUが実行することにより、昇降装置41及び走行駆動部31等の、荷物80の搬送のための装置の動作を制御する。
【0031】
このように構成された搬送車10が搬送する荷物80は、例えば4つの支持体301を有するステーション300に置かれる。支持体301は、床面に固定された脚部302と、脚部302の上端に固定された支持面部303とを有する。なお、ステーション300は、
図2に示す2つの支持体301の奥側に2つの支持体301を有しており、4つの支持体301で荷物80の底面の四隅を支持する構造を有している。このように、搬送車10が走行する床面から持ち上げられた状態の荷物80の下方には、搬送車10の通過が可能な空間が形成されている。搬送車10は当該空間で停止し、荷物テーブル45を昇降させることで、搬送車10による荷物80の受け取り、または、搬送車10からステーション300への引き渡しが行われる。例えば、空荷状態(荷物テーブル45に荷物80が載せられていない状態、以下同じ。)の搬送車10は、ステーション300に移動し、荷物80の下方の空間で停止する。搬送車10は、搬送制御部50による制御により、昇降装置41が駆動され、荷物テーブル45が上昇される。これにより、荷物テーブル45はステーション300に置かれた荷物80を持ち上げ、その状態で、ステーション300から離れる。その後、例えば、荷物80が載置された荷物テーブル45は下限位置まで降ろされ、搬送制御部50は、上位コンピュータからの指示に従い、所定の位置まで荷物80を搬送する。
【0032】
このように、荷物80の下方で荷物テーブル45を昇降させることで荷物80の受け渡しを行う搬送車10は、比較的に小型であるため、荷物80とともに、または、搬送車10のみでラックへの収容が可能である。つまり、上下方向に並ぶ複数の収容部に、空荷状態または荷積状態(荷物テーブル45に荷物80が載せられている状態、以下同じ。)の搬送車10を収容することができる。これにより、例えば、複数の搬送車10をラックに収容しておき、荷物80の搬送作業の多寡に応じて、必要な台数の搬送車10をラックから降ろして、それぞれの搬送車10に荷物の搬送作業を行わせることができる。
【0033】
しかしながら、この場合、搬送車10をどのようにしてラックに収容するかが問題となる。つまり、従来であれば、搬送車10を昇降させる機能を有する専用ステーションで搬送車10を持ち上げて、搬送車10にスタッカクレーンに渡していた。しかしながら、本実施の形態に係るスタッカクレーンは、専用ステーションを用いることなく、搬送車10のラックに対する出し入れを可能とする構造を有している。このスタッカクレーンについて、以下、
図3~
図8を用いて説明する。
【0034】
[2.スタッカクレーンの構成例]
まず、
図3及び
図4を用いて、実施の形態に係るスタッカクレーン100の構成概要について説明する。
図3は、実施の形態に係るスタッカクレーン100の構成概要を示す斜視図である。
図4は、実施の形態に係るスタッカクレーン100の支持部材111と搬送車10及び荷物80との位置関係を示す正面図である。
【0035】
本実施の形態に係るスタッカクレーン100は、例えば自動倉庫システムにおいて、ラックに対する荷物80及び搬送車10の出し入れ等に用いられる自動機械である。
図3に示すように、本実施の形態に係るスタッカクレーン100は、支持対象物を下方から支持する支持部材111と、支持部材111の少なくとも一部を、支持対象物より下方の空間に対して出退させる移載装置108と、移載装置108を制御することで支持対象物の移載を行うコントローラ101とを備える。
【0036】
より具体的には、スタッカクレーン100は、床面に敷設された軌道90に沿って走行するクレーン台車105と、クレーン台車105から上方に向けて立設された一対のマスト106と、一対のマスト106に沿って昇降する移載装置108とを備える。一対のマスト106の上端は、図示しない上部台車に支持されており、上部台車は、上方に配置された軌道に沿って、クレーン台車105と同期して移動する。
【0037】
移載装置108は、図示しないワイヤ等に接続されており、昇降駆動部150の駆動力により一対のマスト106に沿って昇降する。コントローラ101は、例えば、クレーン台車105に固定された箱体、または、軌道90の終端付近に設けられた制御盤等に収容されており、上位コンピュータまたは作業員の指示により、移載装置108の動作、昇降、及び、クレーン台車105の移動等を制御する。コントローラ101は、例えば、CPU、メモリ等の記憶装置、および情報の入出力のためのインタフェース等を備えたコンピュータを有する。コントローラ101は、例えば、記憶装置に格納された所定のプログラムをCPUが実行することにより、クレーン台車105及び移載装置108等の、荷物80の搬送及び移載のための装置の動作を制御する。なお、以下で説明する、移載装置108等の動作は、コントローラ101による制御に従って行われる。
【0038】
本実施の形態に係る移載装置108は、支持部材111と、支持部材111の出退を駆動する爪駆動部120と、爪駆動部120を回転可能に支持する本体部130と、本体部130出退させる出退駆動部140と、一対のアーム部145とを備える。出退駆動部140により一対のアーム部145の伸縮が駆動され、一対のアーム部145が伸縮することで、本体部130が一対のマスト106に対して出退する。なお、アーム部145は例えば複数の部材が互いにスライドすることで伸縮する、テレスコピック構造を有している。
【0039】
本実施の形態に係る支持部材111は、内側爪112と、平面視(Z軸方向プラス側から見た場合)において、内側爪112の両側に位置する一対の外側爪113とを有する。内側爪112は、
図4に示すように、荷物テーブル45の下方の空間に対して出退可能である。一対の外側爪113は、
図3及び
図4に示すように、内側爪112よりも高い位置において、内側爪112と同じ方向に、かつ、内側爪112とは独立して出退可能である。
【0040】
爪駆動部120は、例えば、内側爪112及び一対の外側爪113のそれぞれの出退を駆動する駆動源を有しており、コントローラ101の制御によって、それぞれの出退を駆動する。なお、爪駆動部120は、1つの駆動源と、内側爪112及び一対の外側爪113のそれぞれに対する駆動力の伝達及び遮断を切り替えるクラッチとによって、内側爪112及び一対の外側爪113のそれぞれの出退を駆動してもよい。
【0041】
上記構成によれば、荷物テーブル45を内側爪112で下方から持ち上げて、搬送車10をスタッカクレーン100に引き込むことができる。このとき、荷物テーブル45に荷物80が載置されている場合であっても、外側爪113は、荷物80に干渉しない位置に存在する。また、スタッカクレーン100は、荷物テーブル45からはみ出した部分を有する荷物80(
図2参照)を、一対の外側爪113ですくい上げて引き込むことができる。この時、一対の外側爪113よりも低い位置にある内側爪112と荷物80とは干渉しない。
【0042】
また、本実施の形態では、移載装置108の本体部130に、爪駆動部120をZ軸方向に平行な回転軸Ra(
図3参照)周りに回転させる回転駆動部125が配置されている。回転駆動部125は、爪駆動部120を回転軸Ra周りに回転させることで、支持部材111を構成する内側爪112及び一対の外側爪113を一括して回転軸Ra周りに回転させることができる。つまり、支持部材111に支持されている支持対象物(搬送車10または/及び荷物80)は、爪駆動部120の回転に伴って回転する。
【0043】
なお、移載装置108の構成は上記で説明された構成とは異なっていてもよい。例えば、移載装置108は、本体部130を出退させる出退駆動部140を備えなくてもよい。つまり、移載装置108は、本体部130の出退を伴わずに、内側爪112及び外側爪113の出退のみで支持対象物の移載を行うよう構成されてもよい。例えば、内側爪112及び外側爪113の出退ストロークを、クレーン台車105の上方まで至るように移載装置108を構成することで、内側爪112または外側爪113で支持された支持対象物を、スタッカクレーン100に引き込むこと、及びスタッカクレーン100からラック等に渡すことは可能である。
【0044】
【0045】
[3.スタッカクレーンの動作例]
図5A~
図5Fは、実施の形態に係るスタッカクレーン100による搬送車10の引き込み動作を示す第1~第6の側面図である。
図6A~
図6Dは、実施の形態に係るスタッカクレーン100による荷物80の引き込み動作を示す第1~第4の側面図である。なお、
図5A~
図5F及び
図6A~
図6Dにおいて、内側爪112と外側爪113とを区別しやすいように、外側爪113にはドットが付されている。また、一対の外側爪113は同期して移動するため、1つの外側爪113についての説明は、一対の外側爪113の両方も適用される。また、
図5A~5Fでは、搬送車10は荷積状態であるが、空荷状態の搬送車10をスタッカクレーン100に引き込む場合も、
図5A~5Fで説明される動作と同じ動作が行われる。
【0046】
また、以下で説明される、スタッカクレーン100が搬送車10を引き込む動作、及びスタッカクレーン100から搬送車10を降ろす動作のそれぞれは、コントローラ101が実行する車両移載制御による動作の一例である。さらに、スタッカクレーン100が荷物80を引き込む動作、及び、スタッカクレーン100が荷物80を降ろす動作のそれぞれは、コントローラ101が実行する荷移載制御による動作の一例である。
【0047】
スタッカクレーン100が搬送車10を引き込む場合、まず
図5Aに示すように、スタッカクレーン100及び搬送車10が向かい合う位置になるように、スタッカクレーン100及び搬送車10が制御される。また、移載装置108の高さ方向の位置が、内側爪112が荷物テーブル45の下方の空間に挿入可能な位置に合わせられる。この時、搬送車10は、例えば、荷物テーブル45を所定の位置まで上昇させることで、荷物テーブル45の下方の空間を、内側爪112の安全な挿入が可能な大きさにする。なお、荷物テーブル45が下限位置にある状態で、荷物テーブル45の下方の空間が内側爪112の安全な挿入が可能な大きさであれば、荷物テーブル45は下限位置であってもよい。
【0048】
さらに、移載装置108の本体部130が、出退駆動部140による駆動により、搬送車10に向かって進出される。なお。移載装置108の高さ位置の調整と、本体部130の進出は同時に行われてもよい。
【0049】
次に、
図5Bに示すように、爪駆動部120は、支持部材111の一部である内側爪112を進出させ、搬送車10の荷物テーブル45の下方の空間に挿入する。その状態で、移載装置108は、
図5Cに示すように、昇降駆動部150の駆動力により上昇する。これにより、搬送車10は床面から持ち上げられる。また、爪駆動部120は内側爪112を引き戻し、これにより、支持対象物である搬送車10は、
図5Dに示すように、本体部130の下方に位置される。このとき、外側爪113は、内側爪112よりも高い位置に存在するが、その差は、荷物テーブル45の厚みよりも小さい。そのため、内側爪112によって引き込まれた搬送車10の荷物テーブル45に荷物80が載置されている場合であっても、外側爪113と荷物80とは干渉しない。また、その状態で、本体部130が出退駆動部140によって引き戻されることで、搬送車10のスタッカクレーン100への引き込み動作は完了するが、本実施の形態ではさらに、爪駆動部120の向きを180°回転させる制御が行われる。
【0050】
つまり、
図5Dに示す爪駆動部120は、回転駆動部125による駆動力により、回転軸Ra周りに回転する。これにより、
図5Eに示すように、爪駆動部120及び、内側爪112に支持されている搬送車10は、荷物80とともに180°回転する。さらに、出退駆動部140によってアーム部145が縮められることで、
図5Fに示すように、搬送車10のスタッカクレーン100への引き込み動作は完了する。
【0051】
なお、クレーン台車105上に、爪駆動部120及び搬送車10の回転が可能な空間が存在する場合、搬送車10を支持した状態の爪駆動部120の回転は、クレーン台車105上で行われてもよい。また、クレーン台車105上に搬送車10が引き込まれる際、搬送車10において、例えば昇降装置41が荷物テーブル45を下降させるよう動作してもよい。これにより、走行台車30は、支持部材111に近づく方向に移動する。つまり、走行台車30は昇降装置41の駆動力によって持ち上げられる。その結果、走行台車30とクレーン台車105との間のクリアランスを大きくすることができる。つまり、搬送車10は、荷物テーブル45を昇降させる駆動源を有するため、荷物テーブル45が支持部材111(本実施の形態では内側爪112)で支持されている場合、荷物テーブル45の昇降を利用して、走行台車30の高さ方向の位置を変更させること(床面に対して昇降させること)が可能である。荷物テーブル45の昇降を利用した走行台車30の昇降は、荷物テーブル45の下方に内側爪112が差し込まれた状態(
図5B参照)になった以降であれば、いずれの時点で行われてもよい。
【0052】
図5Fに示すように、搬送車10のスタッカクレーン100への引き込み動作が完了した後、スタッカクレーン100は、例えば上位コンピュータの指示に従って軌道90に沿って移動し、所定の位置で搬送車10を降ろす。具体的には、アーム部145を伸長させ、かつ、移載装置108を下降させる。また、必要に応じて、搬送車10では、荷物テーブル45を走行台車30から離れる方向に移動させる。これにより、搬送車10は床面に着地する。その後、爪駆動部120は支持部材111を初期位置に戻し、出退駆動部140は、移載装置108を、クレーン台車105上の所定の位置に引き戻す。
【0053】
このように、本実施の形態では、コントローラ101は、移載装置108に、搬送車10の引き込みまたは引き渡しを行わせる際、支持部材111の内側爪112の出退を伴う動作を実行させる。なお、移載装置108が、荷積状態の搬送車10の引き込みまたは引き渡しを行う場合、一対の外側爪113を出退させてもよい。これにより、例えば、搬送車10が内側爪112によって支持された状態において、一対の外側爪113が進出することで、一対の外側爪113を、荷物80の荷物テーブル45からはみ出した部分の下方に位置させることができる。これにより、一対の外側爪113を、荷物80の落下を防止する部材として機能させることができる。
【0054】
ここで、搬送車10がスタッカクレーン100から降ろされる際、爪駆動部120及び搬送車10は、スタッカクレーン100への引き込み時に180°向きが変えられており、かつ、アーム部145は、X軸方向プラス側の範囲においても伸縮可能である。そのため、例えば
図5Fにおいて、X軸方向プラス側にアーム部145を伸長させることで、搬送車10を引き込んだ側とは反対側に、搬送車10を降ろすことができる。また、移載装置108を上昇させることで、床面よりも高い位置(ラックの上段、または、スタッカクレーン100が配置された建物における上階)に、搬送車10を降ろすことも可能である。なお、搬送車10を降ろすべき側が、搬送車10を引き込んだ側と同じである場合、
図5D及び
図5Eに示す、爪駆動部120の回転(向きの変更)は行われない。
【0055】
また、荷物80が、例えば
図2に示すステーション300のように、下面の両端部が支持された状態である場合、荷物80を、内側爪112によって引き込むことも可能である。つまり、荷物テーブル45を下方から支持することで搬送車10の受け渡しを行う内側爪112は、直接的に荷物80を下方から支持することも可能であり、従って、内側爪112を、荷物80のみの受け渡しに用いることも可能である。
【0056】
次に、スタッカクレーン100が、荷積状態の搬送車10から荷物80のみを引き込む場合のスタッカクレーン100の動作を説明する。
【0057】
スタッカクレーン100が搬送車10から荷物80を引き込む場合、まず
図6Aに示すように、スタッカクレーン100及び搬送車10が向かい合う位置になるように、スタッカクレーン100及び搬送車10が制御される。また、移載装置108の高さ方向の位置が、外側爪113が、荷物80の荷物テーブル45に支持されていない部分(非支持部分)の下方の空間に挿入可能な位置に合わせられる。本実施の形態では、
図4に示すように、搬送車10を正面から見た場合の、荷物テーブル45の左右に、荷物80の非支持部分が存在し、その下方に外側爪113が挿入可能な空間が形成されている。
【0058】
さらに、移載装置108の本体部130が、出退駆動部140による駆動により、搬送車10に向かって進出される。なお。移載装置108の高さ位置の調整と、本体部130の進出は同時に行われてもよい。
【0059】
次に、
図6Aに示すように、爪駆動部120は、支持部材111の一部である一対の外側爪113を進出させ、荷物80の非支持部分の下方の空間に挿入する。その状態で、移載装置108は、
図6Bに示すように、昇降駆動部150の駆動力により上昇する。これにより、荷物80は搬送車10の荷物テーブル45から持ち上げられる。また、爪駆動部120は一対の外側爪113を引き戻し、これにより、支持対象物である荷物80は、
図6Cに示すように、本体部130の下方に位置される。このまま、アーム部145が縮められることでも、荷物80のスタッカクレーン100への引き込み動作は完了するが、本実施の形態では、上記の搬送車10の引き込みの場合と同じく、爪駆動部120の向きを180°回転させる制御が行われる。
【0060】
つまり、
図6Cに示す爪駆動部120は、回転駆動部125による駆動力により、回転軸Ra周りに回転する。これにより、爪駆動部120及び、外側爪113に支持されている荷物80は180°回転する。さらに、出退駆動部140によってアーム部145が縮められることで、
図6Dに示すように、搬送車10のスタッカクレーン100への引き込み動作は完了する。その後、搬送車10は、例えば、荷物テーブル45を下限位置まで降下させ、上位コンピュータの指示に従って所定の位置まで移動する。
【0061】
なお、搬送車10の荷物テーブル45上から荷物80が引き込まれる際、搬送車10において、例えば昇降装置41が荷物テーブル45を下降させるよう動作してもよい。これにより、荷物80を載置している荷物テーブル45が荷物80から離れ、支持部材111で荷物80を支持した状態となる。つまり、搬送車10は、荷物テーブル45を昇降させる駆動源を有するため、荷物テーブル45に荷物80が載置されている場合、荷物テーブル45の昇降を利用して、支持部材111(本実施の形態では一対の外側爪113)に、荷物80を支持させること、及び、支持部材111に支持されている荷物80を、荷物テーブル45で受け取ることが可能である。
【0062】
図6Dに示すように、荷物80のスタッカクレーン100への引き込み動作が完了した後、スタッカクレーン100は、例えば上記コンピュータの指示に従って軌道90に沿って移動し、所定の位置で荷物80を降ろす。具体的には、アーム部145を伸長させ、かつ、移載装置108を下降させる。これにより、荷物80は、例えば搬送車10の荷物テーブル45に載置される。その後、爪駆動部120は支持部材111を初期位置に戻し、出退駆動部140は、移載装置108を、クレーン台車105上の所定の位置に引き戻す。
【0063】
このように、本実施の形態では、コントローラ101は、移載装置108に、荷物80の引き込みまたは引き渡しを行わせる際、支持部材111の内側爪112の出退を伴わず、かつ、一対の外側爪113の出退を伴う動作を実行させる。
【0064】
ここで、荷物80がスタッカクレーン100から降ろされる際、搬送車10が降ろされる場合と同様に、荷物80を引き込んだ側とは反対側に、荷物80を降ろすことができる。もちろん、移載装置108を上昇させることで、床面で停止する搬送車10よりも高い位置(ラックの上段、または、スタッカクレーン100が配置された建物の上階)に、荷物80を降ろすことも可能である。なお、荷物80を降ろす側が、荷物80を引き込んだ側と同じである場合、
図6C及び
図6Dに示す、爪駆動部120の回転(向きの変更)は行われない。
【0065】
[4.ラックの構成例]
次に、以上のように動作するスタッカクレーン100との間で搬送車10及び荷物80の受け渡しが行われるラックの構成例について、
図7及び
図8を用いて説明する。
図7は、実施の形態に係るラック200の構成概要を示す正面図である。
図8は、実施の形態に係るラック200における搬送車10及び荷物80の支持構造を示す下面図である。
【0066】
ラック200は、上下左右に並べられた複数の収容部201を有し、かつ、スタッカクレーン100の移動経路に沿って配置される構造物である。ラック200は、床面から直立する複数の支柱205と、搬送車10及び荷物80を支持するための複数の支持梁210とを有する。本実施の形態では、ラック200は、搬送車10を収容するための搬送車収容エリア200aと、荷物80を収容するための荷物収容エリア200bとに分けられている。荷物収容エリア200bと、搬送車収容エリア200aとは、互いに別体のラックに設けられてもよい。
【0067】
搬送車収容エリア200aに含まれる複数の収容部201のそれぞれは、荷積状態の搬送車10及び空荷状態の搬送車10のいずれでも収容可能なサイズ及び構造を有している。具体的には、ラック200には、
図8に示すように、前後方向(X軸方向)に並ぶ2つの支柱205を接続する接続部材206が配置されている。また、左右方向(Y軸方向)に並ぶ2つの接続部材206に、前後方向に並ぶ2つの支持梁210が渡されている。左右の支柱205と上下の支持梁210とにより区画された1つの領域が収容部201として扱われ、かつ、収容部201の大きさは、
図7及び
図8に示すように、荷積状態の搬送車10を収容可能な大きさである。なお、支持梁の数に特に限定はなく、3以上の支持梁が前後方向に並んで配置されてもよく、前後方向の幅が比較的に大きい支持梁が1つのみ配置されてもよい。
【0068】
このように構成されたラック200の収容部201に対し、スタッカクレーン100が搬送車10を収容する場合、出退駆動部140による本体部130の出退動作、及び、昇降駆動部150による移載装置108の昇降動作等により、搬送車10は、2つの支持梁210上に載置される。この載置動作の際、搬送車10は、荷物テーブル45を支持する内側爪112によって持ち上げられた状態であるため、内側爪112とラック200との干渉の問題は生じない。また、搬送車10は、
図8に示すように、2つの支持梁210が、走行台車30の底面に当接する状態で収容部201に収容される。これにより、搬送車10がラック200に収容されている期間に、タイヤ48に、走行台車30等の荷重か付与されないため、タイヤ48の劣化が抑制される。また、地震等によりラック200に振動または衝撃が与えられることで、搬送車10が2つの支持梁210に対してずれ動いた場合、タイヤ48が支持梁210に引っ掛かることで移動が規制され、これにより、搬送車10の落下が防止される。
【0069】
スタッカクレーン100が収容部201から搬送車10を引き込む場合も同様に、出退駆動部140による本体部130の出退動作、及び、昇降駆動部150による移載装置108の昇降動作等により(
図5A~
図5F参照)、搬送車10が収容部201から引き込まれる。この引き込みの際、支持部材111の内側爪112で荷物テーブル45を支持して搬送車10を持ち上げるため、内側爪112とラック200との干渉の問題は生じない。
【0070】
荷物収容エリア200bに含まれる複数の収容部201のそれぞれは、一対の外側爪113との間で荷物80の受け渡しが可能なサイズ及び構造を有している。具体的には、収容部201において、前後方向に並ぶ2つの支持梁210に、荷物80を載置するための載置台220が固定されている。載置台220の横幅(Y軸方向の幅)は、一対の外側爪113の間隔よりも小さく、載置台220の厚み(Z軸方向の幅)は、一対の外側爪113の厚みよりも大きい。従って、
図7及び
図8に示ように、荷物80を載置台220に載置した場合、荷物80における左右の端部には、載置台220に支持されていない部分が存在する。
【0071】
従って、スタッカクレーン100が、荷物80を収容部201に収容する場合、一対の外側爪113で下方から支持した状態の荷物80を、一対の外側爪113の進出、下降、及び退避という動作により、載置台220に載置することができる。また、スタッカクレーン100が、収容部201から荷物80を引き込む場合、一対の外側爪113の、荷物80の載置台220に支持されていない部分の下方への進出、上昇、退避という動作で、載置台220から荷物80を受け取ることができる。
【0072】
また、スタッカクレーン100は、ラック200の収容部201に収容されている搬送車10の荷物テーブル45に対して、荷物80の受け渡しを行うこともできる。この時のスタッカクレーン100の動作は、収容部201の載置台220に対して荷物80の受け渡しを行う場合とほぼ同じであり、一対の外側爪113の高さ位置が異なるだけである。
【0073】
このように、本実施の形態では、ラック200には複数の収容部201が備えられており、複数の収容部201の基本的な構成は共通している。従って、収容部201に載置台220を固定することで、荷物80用の収容部201とすることができ、かつ、載置台220を有する収容部201から載置台220を取り外すことで、搬送車10用の収容部201とすることができる。また、搬送車10用の収容部201は、搬送車10が荷積状態及び空荷状態のいずれであっても搬送車10を収容可能である。
【0074】
なお、1つのラック200に、搬送車収容エリア200a及び荷物収容エリア200bを設ける場合、搬送車収容エリア200a及び荷物収容エリア200bのそれぞれに含まれる収容部201の数及び配置位置に特に限定はない。例えば、搬送車収容エリア200aとして、ラック200における比較的に低い位置に配置された複数の収容部201を割り当ててもよい。これにより、複数の荷物80及び複数の搬送車10を収容した状態のラック200の重心位置を比較的低い位置にすることができ、ラック200の安定性が向上する。また、複数の収容部201の基本構造を共通にする必要はない。例えば、搬送車収容エリア200aに含まれる収容部201についてのみ、支持梁210の剛性を高めるために、支持梁210の断面の大きさまたは形状を変更する等の構造上の工夫がなされてもよい。
【0075】
[5.効果等]
以上、説明したように、本実施の形態に係るスタッカクレーン100は、荷物80が載置される荷物テーブル45を有する搬送車10を移載可能なスタッカクレーン100であって、支持対象物を下方から支持する支持部材111と、支持部材111の少なくとも一部を、支持対象物より下方の空間に対して出退させる移載装置108と、移載装置108を制御することで、支持対象物である荷物テーブル45が支持部材111に支持された状態の搬送車10を移載する車両移載制御を行うコントローラ101と、を備える。
【0076】
この構成によれば、荷物テーブル45の下に差し込んだ支持部材111で荷物テーブル45を支持し、これにより搬送車10を支持することができる。そのため、搬送車10を昇降させる機能を有する専用ステーション等を用いることなく、スタッカクレーン100が、直接的に、搬送車10を、ラック200または上階の床面等との間で受け渡すことができる。このとき、荷物テーブル45に載置されている荷物80を、搬送車10とともにラック200等との間で受け渡すことも可能である。また、支持部材111は、支持対象物を下方から支持するよう構成されているため、支持対象物としての荷物80を下方から支持することも可能である。つまり、スタッカクレーン100は、搬送車10及び荷物80のそれぞれ及び両方を、ラック200等との間で受け渡すことが可能である。従って、例えば、荷物80の搬送作業の途中の搬送車10を一時的にラック200に収容し、その後に搬送車10をラック200から取り出して、当該搬送作業を再開させることも可能である。
【0077】
このように、本実施の形態に係るスタッカクレーン100によれば、荷物80の搬送に関する作業を効率化することができる。
【0078】
また、本実施の形態において、コントローラ101はさらに、移載装置108を制御することで、荷物テーブル45に載置されている支持対象物である荷物80の、荷物テーブル45に支持されていない部分を支持部材111に支持させ、支持部材111に支持された状態の荷物80を移載する荷移載制御を行う。
【0079】
この構成によれば、スタッカクレーン100は、例えば、荷物80を載せた搬送車10から荷物80のみを受け取って、ラック200等に移載することができる。つまり、荷物80を載せた搬送車10は、所定の位置に停止するだけで、荷物80の移載のための動作を行うことなく、または、ピックアップロボット等の別の移載装置を使用することなく、荷物80をスタッカクレーン100に渡すことができる。従って、荷物80の搬送に関する作業の更なる効率化が図られる。
【0080】
また、本実施の形態におけるコントローラ101は、荷移載制御において、スタッカクレーン100の移動経路に沿って配置されたラック200に収容されている搬送車10から荷物80を引き込む、または、ラック200に収容されている他の搬送車10の荷物テーブル45に、支持部材111が支持している荷物80を引き渡すことができる。
【0081】
このように、本実施の形態に係るスタッカクレーン100によれば、搬送車10がラック200に収容されている状態で、その搬送車10からの荷物80の受け取り、または、その搬送車10への荷物80の載置が可能である。従って、例えば、スタッカクレーン100を用いて、それぞれが荷物80を載せた状態の複数の搬送車10をラック200に収容し、その後に、スタッカクレーン100を用いて、それら搬送車10のそれぞれから荷物80を取り出すことが可能である。また、ラック200から取り出された荷物80を、ラック200に収容されている、空荷状態の搬送車10に載せかえることも可能である。また、本実施の形態に係るスタッカクレーン100を2台用いることで、複数の荷積状態の搬送車10をラック200に順次収容する作業と、ラック200に収容された複数の搬送車10から順次荷物80を取り出す作業とを並行して行うことも可能である。また、複数の空荷状態の搬送車10をラック200に順次収容する作業と、ラック200に収容された複数の搬送車10に順次荷物80を載置する作業とを並行して行うことも可能である。
【0082】
また、本実施の形態において、具体的には、支持部材111は、荷物テーブル45の下方の空間に対して出退可能な内側爪112と、平面視において内側爪112の両側に位置し、かつ、内側爪112よりも高い位置において、内側爪112と同じ方向に、かつ、内側爪112とは独立して出退可能な一対の外側爪113とを有する。コントローラ101は、車両移載制御において、移載装置108に、内側爪112の出退を伴う動作によって、内側爪112を用いた搬送車10の引き込みまたは引き渡しを行わせる。コントローラ101は、荷移載制御において、移載装置108に、内側爪112の出退を伴わず、かつ、一対の外側爪113の出退を伴う動作によって、荷物80の引き込みまたは引き渡しを行わせる。
【0083】
このように、本実施の形態では、支持部材111は、内側爪112と一対の外側爪113とを有しており、移載装置108は、内側爪112の出退を伴う動作により、搬送車10の引き込みまたは引き渡しを行う。このとき、内側爪112の両側の外側爪113は、内側爪112よりも高い位置に配置されているが、本実施の形態では、内側爪112と外側爪113との高さ方向の差は、荷物テーブル45の厚みより小さい。これにより、搬送車10に荷物80が載せられている場合であっても、その荷物80と一対の外側爪113とは干渉しない。また、移載装置108は、一対の外側爪113の出退を伴う動作によって、荷物80の引き込みまたは引き渡しを行う。このとき、内側爪112は出退されないため、荷物80の引き込み元または引き渡し先である荷物テーブル45と内側爪112とは干渉しない。また、荷物80を引き込む際には、内側爪112は、一対の外側爪113よりも低い位置に存在するため、荷物80と内側爪112とは干渉しない。このように、互いに高さ方向の位置が異なり、かつ、互いに独立して出退可能な内側爪112と一対の外側爪113により、搬送車10のみの移載、搬送車10及びその搬送車10に載せられた荷物80の移載、並びに、荷物80のみの移載、の3種類の移載作業を行うことができる。つまり、本実施の形態に係るスタッカクレーン100によれば、出退する爪を切り替えることで、複数種類の移載作業を行うことができる。これにより、荷物80の搬送に関する作業の更なる効率化が図られる。
【0084】
また、本実施の形態において、搬送車10は、荷物テーブル45の昇降駆動が可能である。コントローラ101は、車両移載制御において、支持部材111の少なくとも一部が荷物テーブル45の下方に位置し、かつ、搬送車10が荷物テーブル45を下降させることで支持部材111に支持された搬送車10の移載を行うことも可能である。
【0085】
つまり、スタッカクレーン100は、荷物テーブル45の下方に進出させた支持部材111(本実施の形態では内側爪112)を上昇させることなく、搬送車10における荷物テーブル45の下降動作を利用して、搬送車10を内側爪112によって支持させた状態(搬送車10を内側爪112で吊り下げた状態)にすることができる。これにより、例えば、内側爪112が、荷物テーブル45に当接する際の衝撃が抑制される。
【0086】
以上、実施の形態に係るスタッカクレーン100等について説明したが、スタッカクレーン100は、
図3~
図6Dに示す構成とは異なる構成を有してもよい。そこで、以下に、スタッカクレーン100についての変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0087】
[6.変形例]
図9は、実施の形態の変形例に係るスタッカクレーン100aの構成概要を示す図である。
図10Aは、実施の形態の変形例に係る移載装置108aが荷物80を支持している状態を示す図である。
図10Bは、実施の形態の変形例に係る移載装置108aが搬送車10を支持している状態を示す図である。なお、
図10A及び
図10Bにおいて、移載装置108aを支持するマスト106等の移載装置108a以外の構成要素の図示は省略されている。
【0088】
図9~
図10Bに示すように、本変形例に係るスタッカクレーン100aは、移載装置108aを備えている。移載装置108aは、支持部材111aを有し、支持部材111aは、ともに内側に向かって突出した一対の支持爪114を有する。一対の支持爪114は、爪駆動部190によって横方向(Y軸方向)に開閉するように駆動される。これにより、一対の支持爪114の間隔W(
図9参照)は変更される。間隔Wの最大値は、荷物80の横幅よりも大きく、間隔Wの最小値は、荷物テーブル45の横幅よりも小さい。
【0089】
なお、本変形例においても、移載装置108aは、爪駆動部190を前後方向(X軸方向)に出退させる出退駆動部140aと、出退駆動部140aにより伸縮が駆動される一対のアーム部145aとを有する。爪駆動部190は、一対のアーム部145aと連結されている。これにより、支持部材111を有する爪駆動部190は、一対のアーム部145aの伸縮に伴って、前方及び後方に出退する。また、
図9等には図示していないが、移載装置108aは、実施の形態に係る回転駆動部125のような、爪駆動部190を回転させる駆動装置を備えてもよい。また、以下で説明するスタッカクレーン100aの各種の動作は、コントローラ101(
図3参照)によって制御される。
【0090】
このように構成された移載装置108aは、搬送車10の移載を行う場合、
図10Aに示すように、一対の支持爪114を搬送車10の荷物テーブル45の下方の空間に挿入し、かつ、一対の支持爪114の間隔を、荷物テーブル45の横幅よりも小さいWaにする。その後、昇降駆動部150(
図3参照)によって移載装置108aが上昇され、これにより、スタッカクレーン100aは、一対の支持爪114で搬送車10を吊り下げた状態となる。その後、搬送車10を支持する爪駆動部190はクレーン台車105(
図3参照)上まで引き込まれる。スタッカクレーン100aは、所定の位置まで移動し、爪駆動部190を進出及び下降させる。これにより、搬送車10は所定の位置に置かれる。その後、一対の支持爪114の間隔が、例えば荷物テーブル45の横幅よりも大きくなるように一対の支持爪114が開かれた後に、爪駆動部190はクレーン台車105(
図3参照)の上方まで引き戻される。また、爪駆動部190がクレーン台車105の上方に到達する前に、一対の支持爪114は、間隔Wが最小となるように閉じられる。本変形例に係るスタッカクレーン100aは、上記のような動作によって、搬送車10の受け渡しを行うことができる。なお、
図10Aでは、移載装置108aは、荷積状態の搬送車10を支持しているが、スタッカクレーン100aは、空荷状態の搬送車10についても、上記の動作で受け渡しを行うことができる。
【0091】
また、移載装置108aは、荷物80の移載を行う場合、
図10Bに示すように、一対の支持爪114を、荷物80の左右の端部に存在する、荷物テーブル45に支持されていない部分の下方まで進出させる。つまり、一対の支持爪114の間隔を、荷物80の横幅よりも小さく、かつ、荷物テーブル45の横幅よりも大きいWbにする。その後、昇降駆動部150(
図3参照)によって移載装置108aが上昇され、これにより、スタッカクレーン100aは、一対の支持爪114で荷物80を吊り下げた状態となる。その後、荷物80を支持する爪駆動部190はクレーン台車105上まで引き込まれる。スタッカクレーン100aは、所定の位置まで移動し、爪駆動部190を進出及び下降させる。これにより、荷物80は、横幅がWbよりも小さい載置台に置かれる。その後、一対の支持爪114の間隔が、荷物80の横幅よりも大きくなるように一対の支持爪114が開かれた後に、爪駆動部190はスタッカクレーン100aのクレーン台車105(
図3参照)の上方まで引き戻される。また、爪駆動部190がクレーン台車105の上方に到達する前に、一対の支持爪114は、間隔Wが最小値となるように閉じられる。本変形例に係るスタッカクレーン100aは、上記のような動作によって、荷物80の受け渡しを行うことができる。
【0092】
このように、本変形例に係るスタッカクレーン100aにおいて、支持部材111は、ともに内側に向かって突出した一対の支持爪114を備える。移載装置108aは、一対の支持爪114の間隔を変更させることで、支持対象物より下方の空間に対して前記一対の支持爪を出退させる。コントローラ101は、車両移載制御と荷移載制御とで、支持対象物を支持する際の一対の支持爪114の間隔Wを変える。
【0093】
このように、本変形例に係る支持部材111aは、互いの間隔の変更が可能な一対の支持爪114を有し、その間隔(互いに対向する先端部の間隔)が変更されることで、荷物テーブル45の下方からの支持、及び、荷物テーブル45に載置された荷物80の下方からの支持の切り替えが可能である。従って、一対の支持爪114により、搬送車10のみの移載、搬送車10及びその搬送車10に載せられた荷物80の移載、並びに、荷物80のみの移載、の3種類の移載作業を行うことができる。つまり、本変形例に係るスタッカクレーン100aによれば、開閉する2つの爪という簡易な構成で、複数種類の移載作業を行うことができる。これにより、例えば荷物80の搬送に関する作業の更なる効率化が図られる。
【0094】
(他の実施の形態)
以上、本発明に係るスタッカクレーン100等について、実施の形態及びその変形例に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態または変形例に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0095】
搬送車10及び荷物80のそれぞれを支持する支持部材の構成は、支持部材111及び111aとは異なる構成であってもよい。例えば、支持部材が、前後方向に出退する一対の支持爪を有する場合、一対の支持爪の横方向の間隔が可変であれば、一対の支持爪の横方向の間隔を狭めることで、搬送車10の荷物テーブル45の下方からの支持が可能である。また、一対の支持爪の横方向の間隔を広げることで、荷物テーブル45に載置された荷物80の支持が可能である。つまり、支持部材は、前後方向に出退する一対の支持爪の横方向の間隔が変更されることで、荷物80の支持と搬送車10の支持との切り替えが可能である。
【0096】
また、搬送車10が有する、荷物80が載置される部材は、荷物テーブル45とは異なる態様で荷物80を支持してもよい。例えば、搬送車10は、横方向に間隔をあけて荷物80を下方から支持する2つの支持台で、荷物80を支持してもよい。この場合、支持部材は、例えば、2つの支持台の隙間を通過可能な支持爪で、荷物80のみを下方から支持すること(荷物80のみをすくい上げること)ができる。また、支持部材は、2つの支持台の両方に当接する横幅の支持爪で、荷物テーブル45を下方から支持すること(搬送車10を持ち上げること)ができる。この場合、支持部材は、前後方向に出退し、かつ、横方向の間隔が可変である一対の支持爪を有することで、荷物80の支持と搬送車10の支持との切り替えが可能である。
【0097】
また、スタッカクレーン100または100aの支持対象物である搬送車10において、荷物テーブル45が昇降可能であることは必須ではない。つまり、搬送車10において、荷物テーブル45の位置が固定されている場合であっても、荷物テーブル45と、走行台車30との間に、支持部材111または111aの少なくとも一部が挿入可能な空間があれば、支持部材111または111aによって搬送車10を支持することができる。また、荷物テーブル45の位置が固定されている場合であっても、スタッカクレーン100または100aと、搬送車10との間における荷物80の受け渡しに支障はない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明に係るスタッカクレーンは、荷物の搬送に関する作業を効率化することができるスタッカクレーンである、従って、物流倉庫等で荷物の移載を行うスタッカクレーンとして有用である。
【符号の説明】
【0099】
10 搬送車
30 走行台車
31 走行駆動部
41 昇降装置
42 出退機構
43 シャフト
45 荷物テーブル
48 タイヤ
50 搬送制御部
80 荷物
90 軌道
100、100a スタッカクレーン
101 コントローラ
105 クレーン台車
106 マスト
108、108a 移載装置
111、111a 支持部材
112 内側爪
113 外側爪
114 支持爪
120、190 爪駆動部
125 回転駆動部
130 本体部
140、140a 出退駆動部
145、145a アーム部
150 昇降駆動部
200 ラック
200a 搬送車収容エリア
200b 荷物収容エリア
201 収容部
205 支柱
206 接続部材
210 支持梁
220 載置台
300 ステーション
301 支持体
302 脚部
303 支持面部