(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 21/00 20060101AFI20230816BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230816BHJP
【FI】
F21V21/00 140
F21S2/00 360
(21)【出願番号】P 2019099021
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】檜木 亮
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-004458(JP,A)
【文献】実開昭61-177932(JP,U)
【文献】特開2019-075388(JP,A)
【文献】特開2014-072136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付面に固定され、前記
被取付面に対して交差する向きに立上部を備えた固定部材と、
灯具が取り付けられ、前記固定部材に取り付けられる取付部材と、
を備え、
前記取付部材は、前記立上部に係合する第1の係合部及び第2の係合部を有し、
前記立上部は、前記第1の係合部が係合される第1の係合受部と、前記第2の係合部が係合される第2の係合受部とを有し、
前記第1の係合部は、前記立上部に対して垂直な向きの弾性力を有し、
前記第2の係合部は、第1の爪部を有する第1の引掛け部とし、
前記固定部材の立上部に第2のネジ穴を形成し、前記第2のネジ穴に固定される落下防止用固定部を前記取付部材に有する
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記第1の係合部が有する面のうち前記立上部と対向する面において前記被取付面に最も近い点と、前記第2の係合部が有する面のうち前記立上部と対向する面において前記被取付面に最も近い点との間における、前記立上部に対して垂直な方向の距離が、前記立上部の内面間の距離よりも短いこと、
を特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記第1の係合部は、前記立上部に対して平行な向きに前記立上部と接する面のうち前記被取付面に近い方の面と、前記立上部と対向する面のうち前記被取付面に近い方の面との間の角が、鈍角であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記第1の係合部は、前記立上部に対して平行な向きに前記立上部と接する面のうち前記被取付面から遠い方の面が、前記立上部に対して垂直であること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記第2の係合部は、前記立上部に対して垂直な向きの弾性力を有すること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記第2の係合部は、前記立上部に対して平行な向きに前記立上部と接する面のうち前記被取付面に近い方の面と、前記立上部と対向する面のうち前記被取付面に近い方の面との間の角が、鈍角であること、
を特徴とする請求項5に記載の照明器具。
【請求項7】
前記第2の係合部は、前記立上部に対して平行な向きに前記立上部と接する面のうち前記被取付面から遠い方の面が、前記立上部に対して垂直であること、
を特徴とする請求項5又は請求項6に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具には、天井面等の壁面への取り付け構造として様々なものがある。壁面に直に取り付ける構造や、照明器具を、壁面に固定する固定部材と、その他の部材との2つに分け、壁面に固定された固定部材にその他の部材を後から取り付ける構造等である。壁面に固定された固定部材に、その他の部材を後から取り付ける構造の場合、その他の部材には、固定部材に取り付けるための取付部材が備えられる。取付部材の固定部材への取り付けは、固定部材に対して取付部材を押し込みながら回して、取付部材と固定部材とを係合させることによって行う(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような照明器具にあっては、固定部材に取付部材を取り付ける際に、押すことと回すことという2つの動作を同時に行わなければならず、取付部材の固定部材への取り付け方法が複雑であり、照明器具の被取付面への取り付けが難しいという課題があった。
【0005】
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、被取付面への取り付けが容易である照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる照明器具は、被取付面に固定され、被取付面に対して交差する向きに立上部を備えた固定部材と、灯具が取り付けられ、固定部材に取り付けられる取付部材とを備え、取付部材は、立上部に係合する第1の係合部及び第2の係合部を有し、立上部は、第1の係合部が係合される第1の係合受部と、第2の係合部が係合される第2の係合受部とを有し、第1の係合部は、立上部に対して垂直な向きの弾性力を有し、前記第2の係合部は、第1の爪部を有する第1の引掛け部とし、前記固定部材の立上部に第2のネジ穴を形成し、前記第2のネジ穴に固定される落下防止用固定部を前記取付部材に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる照明器具によれば、第1の係合部が立上部に対して垂直な向きの弾性力を有するので、被取付面への取り付けを容易にできる。固定部材に対して取付部材を押し込むだけで、被取付面に固定された固定部材に、灯具が取り付けられた取付部材を取り付けることができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1にかかる照明器具の上方斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1にかかる照明器具の取付部材及び灯具の上方斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1にかかる照明器具の取付部材及び灯具の側面図である。
【
図4】本発明の実施の形態1にかかる照明器具の固定部材の下方斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態1にかかる照明器具の壁面への取り付け方法を説明する図である。
【
図6】本発明の実施の形態にかかる照明器具の第1のバネ部と第1の引掛部と立上部との位置関係を説明する概略断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態2にかかる照明器具の取付部材及び灯具の断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2にかかる照明器具の壁面への取り付け方法を説明する図である。
【
図9】本実施の形態にかかる照明器具の第2のバネ部と第3のバネ部と立上部の位置関係を説明する概略断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態3にかかる照明器具の第4のバネ部を示す側面図である。
【
図11】本発明の実施の形態3にかかる照明器具の第4のバネ部の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を用いて本発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった向きは、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置や向き等を限定するものではない。
【0010】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100を示す上方斜視図である。ここで、
図1に示す方向と、後述する
図2から
図11に示す方向は、同じ記号かつ同じ符号であれば、同じ方向を示すものである。本実施の形態にかかる照明器具100は、被取付面に固定され、被取付面に対して交差する向きに立上部11を備えた固定部材1と、灯具3が取り付けられ、固定部材1に取り付けられる取付部材2とを備える。以下において被取付面は壁面とする。本実施の形態において壁面は、XY平面上にあり、固定部材1は、XY平面に対して交差する±Z方向の向きに立上部11を備える。
【0011】
取付部材2は、灯具3が取り付けられた円盤状の蓋部21を備える。灯具3は、光源を有する灯体32と、灯体32と蓋部21とを接続するアーム31とを備える。固定部材1は、壁面と接する固定面12と、固定面12に形成された第1のネジ穴13と、光源へ電力を供給する電源電線が挿入される電線挿入孔14とを備える。第1のネジ穴13は、固定面12を介して固定部材1を壁面に固定する際に使用され、本実施の形態では2つ形成される。以下、本実施の形態において壁面とは、天井面であることとして説明する。しかしながら、本発明において壁面とは、天井面に限らず、床面であっても良いし、天井面に対して垂直な壁面や天井面に対して傾斜を有する壁面であっても良い。また、本発明において壁面とは、建物が有する面に限らず、屋内外の特設ステージ等が有する壁面であっても良い。なお、
図1、後述する
図2から
図5、
図7及び
図8において、図示をわかりやすくするため、光源へ電力を供給する電源電線の図示は省略する。
【0012】
次に、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の取付部材2について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100のうち、取付部材2及び灯具3を示す上方斜視図である。本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の取付部材2は、立上部11に係合する第1の係合部としての第1のバネ部22と、立上部11に係合する第2の係合部としての第1の引掛部23とを有する。さらに、取付部材2は第1の接続部24を有する。本実施の形態において、第1の接続部24と第1の引掛部23とは、
図2に示すように一体に成形される。第1のバネ部22は、第1の接続部24と別々に成形され、第1の接続部24に接続される。
【0013】
取付部材2は、固定部材1に固定される落下防止用固定部25と、灯具3の回転を規制する回転規制部26とを備える。
図2に示すように、灯具3は、円盤状の蓋部21のほぼ中央に形成された貫通孔に、回転規制部26と合わせてナット27により取り付けられる。本実施の形態において灯具3は、特定の展示物や人物等を照らすいわゆるスポットライトであり、対象物に合わせて、首振りや回転により配光を調節する。回転規制部26は、灯具3の回転範囲が360度以内となるように規制する機構を有するものである。灯具3が360度以上回転してしまうと、電源電線がねじれ、断線してしまう可能性があるので、本実施の形態にかかる照明器具100は回転規制部26を備える。
【0014】
なお、本実施の形態では、灯具3が蓋部21にナット27を使用して直接取り付けられているが、灯具3が取り付けられたプラグ等の別部品を貫通孔に挿入して、灯具3を蓋部21に取り付ける構造としても良い。この構造とする場合、灯具3を回転させる機構はプラグに設けるようにすると良い。
【0015】
本実施の形態において蓋部21は、円盤状であるとしており、下方から見ると(+Z方向に見ると)円形であるが、これに限られることはなく、下方から見た(+Z方向に見た)形が多角形であっても良い。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100のうち、取付部材2及び灯具3を示す側面図である。
図3に示すように、第1のバネ部22は一点鎖線で囲まれた部分に第1の凸部28を有し、破線で囲まれた第1の引掛部23は点線で囲まれた部分に第1の爪部29を有する。本実施の形態において、第1のバネ部22は、±Z方向に対して垂直な向きである±Y方向の弾性力を有する。本実施の形態において第1の凸部28は、
図3に示すように、L字形状であり、第1の凸部28が有する面はどれも、±Z方向に対して垂直ではない。すなわち、第1の凸部28が有する面はどれも、XY平面に平行ではない。第1の凸部28のうち、
図3において点線で囲まれたT1部は、+Z方向に対して鈍角を有する。
【0017】
次に、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の固定部材1について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100のうち、固定部材1を示す下方斜視図である。本実施の形態にかかる照明器具100の固定部材1は、第1の係合部が係合される第1の係合受部としての第1の貫通孔15と、第2の係合部が係合される第2の係合受部としての第2の貫通孔16とを有する。すなわち、固定部材1は、第1のバネ部22が係合される第1の貫通孔15と、第1の引掛部23が係合される第2の貫通孔16とを有する。以下に詳しく説明するが、第2の貫通孔16に第1の引掛部23の第1の爪部29が挿入され、第1の貫通孔15に第1のバネ部22の第1の凸部28が挿入されると、固定部材1に取付部材2が取り付けられた状態となる。
【0018】
固定部材1の立上部11には、第2のネジ穴17が形成されている。第2のネジ穴17は、取付部材2の落下防止用固定部25を固定部材1に固定する際に使用される。
【0019】
本実施の形態において立上部11は、円筒形状をしており、下方から見ると(+Z方向に見ると)円形であるが、これに限られることはなく、下方から見た(+Z方向に見た)形が多角形であっても良い。すなわち、立上部11は、多角形筒状であっても良い。また、立上部11を、第1の貫通孔15及び第2のネジ穴17が形成された部分と、第2の貫通孔16が形成された部分との2つに分け、下方から見ると(+Z方向に見ると)略半円が2つとなる略円筒形状としても良い。
【0020】
次に、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100を壁面へ取り付ける方法について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100を壁面へ取り付ける方法を説明する図である。まず、
図5(a)に示すように、壁面である天井面Aに固定部材1をネジを用いて固定する。固定部材1は天井面Aに第1のネジ穴13及びネジを使用して固定されるが、
図5(a)においてネジの図示は省略する。
【0021】
次に、
図5(b)及び
図5(c)に示すように、天井面Aに対して蓋部21が斜めとなるように取付部材2を把持し、第2の貫通孔16に第1の引掛部23の第1の爪部29を挿入して、第2の貫通孔16に第1の引掛部23を引っ掛ける。そして、第1のバネ部22の第1の凸部28を立上部11に当接させ、+Z方向に取付部材2を押し込む。この時、第1のバネ部22の第1の凸部28のうち、
図3において点線で囲まれたT1部が、まず立上部11に当接する。そして、+Z方向に取付部材2を押し込むにつれて、T1部と立上部11との接点が、第1の凸部28の頂点に近づき、
図5(c)に示すように第1の凸部28の頂点が立上部11に接する。
【0022】
第1のバネ部22は、立上部11に対して垂直な向き(±Y方向)の弾性力を有するので、立上部11に押圧され、
図5(c)に示すように、-Y方向に弾性変形する。第1のバネ部22を-Y方向に弾性変形させたまま、+Z方向に取付部材2を押し込むと、第1の凸部28の頂点が第1の貫通孔15の位置に来た時に、立上部11による第1のバネ部22への押圧が解放され、第1の貫通孔15に第1のバネ部22の第1の凸部28が挿入される。これにより、
図5(d)に示す状態が得られる。以上により、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100は、天井面Aへ取り付けられる。
【0023】
なお最後に、第2のネジ穴17及びネジを使用して、固定部材1と取付部材2の落下防止用固定部25とを固定する。この作業を行わなくとも、第1の貫通孔15に第1の凸部28が挿入されること、及び第2の貫通孔16に第1の爪部29が挿入されることにより、取付部材2は固定部材1から落下しない。しかしながら、照明器具100の長期に渡る使用により、第1の凸部28又は第1の爪部29が経年劣化すると、取付部材2が固定部材1から外れる可能性がある。したがって念のために、本実施の形態では、第2のネジ穴17及びネジを使用して、固定部材1と取付部材2の落下防止用固定部25とを固定しておく。
【0024】
本実施の形態にかかる照明器具100を壁面から取り外す作業は、基本的には取り付ける作業と逆手順で行われる。まず、ネジを第2のネジ穴17から外して、固定部材1と落下防止用固定部25との固定を解く。そして、蓋部21の第1のバネ部22が設けられている部分を-Z方向に引っ張って蓋部21を傾けて、第1のバネ部22を-Y方向に弾性変形させる。そのまま、取付部材2を-Z方向に引っ張ると、第1の貫通孔15から第1のバネ部22が、第2の貫通孔16から第1の引掛部23を外れて、固定部材1から取付部材2が取り外された状態となる。最後に、天井面Aから固定部材1を取り外す。以上により、本実施の形態1にかかる照明器具100は、天井面Aから取り外される。
【0025】
図6は、本実施の形態にかかる照明器具100の第1のバネ部22と第1の引掛部23と立上部11の位置関係を説明する概略断面図である。
図6には、本実施の形態にかかる照明器具100のうち、立上部11、固定面12、蓋部21、第1のバネ部22及び第1の引掛部23のみを概略で示す。固定面12は、壁面と接するので、固定面12の位置は壁面の位置でもある。
【0026】
図6に示すように、第1のバネ部22が有する端点のうち立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)において第1の引掛部23から最も遠い点Pと、第1の引掛部23が有する端点のうち立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)において第1のバネ部22から最も遠い点Qとの間における、立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)の距離L1は、立上部11の内面間の距離L2よりも長い。つまり、本実施の形態において、点Pと点Qとの間における±Y方向の距離L1は、立上部11の内面間の距離L2よりも長い。したがって、第1のバネ部22が立上部11に係合し、第1の引掛部23が立上部11に係合する。より詳細には、第1のバネ部22及び第1の引掛部23は、立上部11の外側に向かう力を利用して、立上部11に係合する。
【0027】
また、
図6に示すように、第1のバネ部22が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点Rと、第1の引掛部23が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点Sとの間における、立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)の距離L3は、立上部11の内面間の距離L2よりも短い。つまり、本実施の形態において、点Rと点Sとの間における±Y方向の距離L3は、立上部11の内面間の距離L2よりも短い。本実施の形態では、固定部材1に取付部材2を取り付ける前も後も、距離L3は距離L2よりも短いが、本発明においては、固定部材1に取付部材2を取り付ける作業時に、距離L3が距離L2よりも短くなっていれば良い。
【0028】
本実施の形態において、立上部11は円筒形状であるので、立上部11の内面間の距離L2は、立上部11の内径であり、どこをとっても同じ長さである。しかしながら、立上部11は多角形筒状であっても良いので、立上部11の内面間の距離L2は、場所によって異なることがある。この場合、立上部11の内面間の距離L2は、立上部11の内面間の距離L2と比較する対象の距離が示される同じ断面内における、立上部11の内面間の距離L2とする。
【0029】
距離L1、距離L2及び距離L3は、第1のバネ部22の弾性力の大きさや、第1の凸部28の形状、第1の引掛部23の形状、第1の貫通孔15の形状や大きさ、第2の貫通孔16の形状や大きさ等によって、適宜定められるものである。
【0030】
また、第1のバネ部22は、
図6に示すように、立上部11に対して平行な向き(±Z方向)に立上部11と接する面のうち壁面に近い方の面と、立上部11と対向する面のうち壁面に近い方の面との間の角が、鈍角C1である。鈍角C1の角度は、第1のバネ部22の弾性力の大きさや、第1の貫通孔15の形状や大きさ等によって、適宜決められるものである。
【0031】
以上のように、本実施の形態にかかる照明器具100は、第1のバネ部22が立上部11に対して垂直な向きの弾性力を有するので、照明器具100の壁面への取り付けを容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具100は、第2の貫通孔16に第1の引掛部23を引っ掛けた後、取付部材2を固定部材1に対して押し込むだけで、灯具3が取り付けられた取付部材2を壁面に固定された固定部材1に取り付けることができる。つまり、固定部材1に取付部材2を取り付ける作業において、固定部材1に対して取付部材2を押し込む動作と同時に行うべき動作がない。すなわち、本実施の形態にかかる照明器具100は、固定部材1に取付部材2を取り付ける作業において、2つ以上の動作を同時に行う必要がない。したがって、本実施の形態にかかる照明器具100は、固定部材1に取付部材2を容易に取り付けることができるから、壁面への取り付けが容易となる。
【0032】
また、本実施の形態にかかる照明器具100は、壁面への取り付けをさらに容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具100は、第1のバネ部22が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点Rと、第1の引掛部23が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点Sとの間における、立上部11に対して垂直な方向の距離L3が、立上部11の内面間の距離L2よりも短い。したがって、固定部材1に取付部材2を取り付ける作業において、本実施の形態にかかる照明器具100は、第1のバネ部22を立上部11に当接させ易いからである。
【0033】
さらに、本実施の形態にかかる照明器具100は、壁面への取り付けをさらに容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具100の第1のバネ部22は、立上部11に対して平行な向きに立上部11と接する面のうち壁面に近い方の面と、立上部11と対向する面のうち壁面に近い方の面との間の角が、鈍角である。したがって、固定部材1に取付部材2を取り付ける作業において、本実施の形態にかかる照明器具100は、第1のバネ部22と立上部11とを当接させた後、固定部材1に取付部材2を押し込みやすいからである。
【0034】
また、本実施の形態にかかる照明器具100は、壁面からの取り外しも容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具100は、蓋部21の第1のバネ部22が設けられている部分を引っ張って蓋部21を傾けて、-Z方向に取付部材2を引っ張るだけで、固定部材1から取付部材2を取り外せる。したがって、本実施の形態にかかる照明器具100は、固定部材1から取付部材2を容易に取り外すことができるから、壁面からの取り外しも容易である。
【0035】
ここで、以下に説明する第1の場合の照明器具を考える。まず、固定部材1の立上部11の内側に、第1の貫通孔15及び第2の貫通孔16の代わりとして、L字形状の第1の突起を2つ設ける。そして、取付部材2に、第1のバネ部22及び第1の引掛部23の代わりとして、第1の突起に嵌合する第2の突起を2つ設ける。第1の突起と第2の突起との嵌合は、第1の突起のL字形状の内側の角部に第2の突起がぶつかることで行われる。第1の突起と第2の突起とが互い違いになるように固定部材と取付部材とを合わせた後、取付部材を回転させると、第1の突起のL字形状の内側の角部に第2の突起がぶつかる仕組みである。
【0036】
第1の場合において、取付部材に取り付けられた灯具が、配光を調節するために回転動作をすると、その影響より取付部材が回転し、第1の突起と第2の突起との嵌合が外れてしまう可能性があった。すなわち、第1の場合の照明器具において、灯具が回転動作をすると、固定部材から取付部材が外れてしまい、灯具が落下する可能性があった。
【0037】
一方、本実施の形態にかかる照明器具100は、灯具3の回転動作により、固定部材1から取付部材2が外れて、灯具3が落下してしまうことを防止できる。第1の凸部28が第1の貫通孔15に挿入され、第1の爪部29が第2の貫通孔16に挿入されているので、灯具3が回転動作をしても、第1の凸部28が第1の貫通孔15の縁に接触すること、又は第1の爪部29が第2の貫通孔16の縁に接触することによって、取付部材2が回転することを防ぐことができるからである。
【0038】
なお、本実施の形態において、第1の係合受部及び第2の係合受部は、貫通孔であるとしたが、本発明において、第1の係合受部及び第2の係合受部は凹部でもあっても良い。もちろん、第1の係合受部を凹部とし、第2の係合受部を貫通孔として、凹部と貫通孔とを組み合わせても良い。凹部とする場合は、凹部の凹み部分に第1の係合部又は第2の係合部が係合するよう、凹み部分が立上部11の内側となるように、立上部11に凹部を形成する。
【0039】
また、本実施の形態において、灯具3は回転するものであるとしたが、本発明において、灯具3は回転しないものであっても良く、特に限定されるものではない。
【0040】
さらに、本実施の形態において第1の引掛部23は、第1の接続部24と一体に成形されるとしたが、別々に成形し、第1の接続部24に第1の引掛部23を接続しても良い。同様に、本実施の形態において第1のバネ部22は、第1の接続部24とは別々に成形され、第1の接続部24に接続するとしたが、第1のバネ部22と第1の接続部24とを一体に成形しても良く、第1のバネ部22と第1の引掛部23と第1の接続部24とを一体に成形しても良い。また、本実施の形態にかかる照明器具100の取付部材2は、第1の接続部24を備えず、第1のバネ部22と第1の引掛部23とをそれぞれ蓋部21に直接接続させても良い。
【0041】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2にかかる照明器具について説明する。本発明の実施の形態2では、本発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一又は対応する部分についての説明は省略する。本発明の実施の形態2にかかる照明器具は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100と異なり、第1の引掛部23を備えずにバネ部を2つ備える。
【0042】
図7は、本発明の実施の形態2にかかる照明器具のうち、取付部材4及び灯具3を示す断面図である。なお、
図7は断面図であるが、構成部材にハッチングを施すと分かりづらくなるため、あえて構成部材にハッチングを施していない。本実施の形態にかかる照明器具は、灯具3が取り付けられ、固定部材1に取り付けられる取付部材4を備える。本発明の実施の形態1にかかる照明器具の取付部材4は、立上部11に係合する第1の係合部としての第2のバネ部42と、立上部11に係合する第2の係合部としての第3のバネ部43とを有する。さらに、取付部材4は第2の接続部44を有する。本実施の形態において、第2のバネ部42及び第3のバネ部43は、第2の接続部44と別々に成形され、第2の接続部44に接続される。
【0043】
図7に示すように、第2のバネ部42は一点鎖線で囲まれた部分に第2の凸部48を有し、第3のバネ部43は二点鎖線で囲まれた部分に第3の凸部49を有する。本実施の形態において、第2のバネ部42及び第3のバネ部43は、±Z方向に対して垂直な向きである±X方向の弾性力を有する。本実施の形態にかかる照明器具は、第2のバネ部42が第1の貫通孔15に係合し、第3のバネ部43が第2の貫通孔16に係合する。以下に詳しく説明するが、第1の貫通孔15に第2のバネ部42の第2の凸部48が挿入され、第2の貫通孔16に第3のバネ部43の第3の凸部49が挿入されると、固定部材1に取付部材4が取り付けられた状態となる。
【0044】
本実施の形態において第2の凸部48は、
図7に示すように、L字形状であり、第2の凸部48が有する面はどれも、±Z方向に対して垂直ではない。すなわち、第2の凸部48が有する面はどれも、XY平面に平行ではない。第2の凸部48のうち、
図7において点線で囲まれたT2部は、+Z方向に対して鈍角を有する。同様に、本実施の形態において第3の凸部49は、
図7に示すように、L字形状であり、第3の凸部49が有する面はどれも、±Z方向に対して垂直ではない。すなわち、第3の凸部49が有する面はどれも、XY平面に平行ではない。第3の凸部49のうち、
図7において破線で囲まれたT3部は、+Z方向に対して鈍角を有する。
【0045】
本実施の形態にかかる照明器具の取付部材4は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の取付部材2と同様に、落下防止用固定具25を有するが、
図7は断面図のため、
図7に落下防止用固定具25は図示されない。
【0046】
次に、本発明の実施の形態2にかかる照明器具を壁面へ取り付ける方法について説明する。
図8は、本発明の実施の形態2にかかる照明器具を壁面へ取り付ける方法を説明する図である。まず、本発明の実施の形態1と同様に、固定部材1を壁面である天井面Aに固定する。次に、
図8(a)に示すように、第1の貫通孔15の真下に第2のバネ部42が、第2の貫通孔16の真下に第3のバネ部43が来るよう取付部材4を把持して、+Z方向に取付部材4を押し込む。この時、
図7において、第2の凸部48のうち点線で囲まれたT2部と、第3の凸部49のうち
図7において破線で囲まれたT3部とが、まず立上部11に当接する。そして、+Z方向に取付部材4を押し込むにつれて、T2部と立上部11との接点が、第2の凸部48の頂点に近づき、第2の凸部48の頂点が立上部11に接する。同様に、+Z方向に取付部材4を押し込むにつれて、T3部と立上部11との接点が、第3の凸部49の頂点に近づき、第3の凸部49の頂点が立上部11に接する。
【0047】
+Z方向に取付部材4を押し込むと、第2のバネ部42は、立上部11に対して垂直な向き(±X方向)の弾性力を有するので、立上部11に押圧され、+X方向に弾性変形する。同様に、+Z方向に取付部材4を押し込むと、第3のバネ部43は、立上部11に対して垂直な向き(±X方向)の弾性力を有するので、立上部11に押圧され、-X方向に弾性変形する。
【0048】
第2のバネ部42を+X方向に弾性変形させたまま、+Z方向に取付部材4を押し込むと、第2の凸部48の頂点が第1の貫通孔15の位置に来た時に、立上部11による第2のバネ部42への押圧が解放され、第1の貫通孔15に第2の凸部48が挿入される。同様に、第3のバネ部43を-X方向に弾性変形させたまま、+Z方向に取付部材4を押し込むと、第3の凸部49の頂点が第2の貫通孔16の位置に来た時に、立上部11による第3のバネ部43への押圧が解放され、第2の貫通孔16に第3の凸部49が挿入される。これにより、
図8(b)に示す状態が得られる。以上により、本実施の形態にかかる照明器具は、天井面Aへ取り付けられる。
【0049】
なお最後に、第2のネジ穴17及びネジを使用して、固定部材1と取付部材4の落下防止用固定部25とを固定する。この作業を行わなくとも、第1の貫通孔15に第2の凸部48が挿入されること、及び第2の貫通孔16に第3の凸部49が挿入されることにより、取付部材4は固定部材1から落下しない。しかしながら、照明器具の長期に渡る使用により、第2の凸部48又は第3の凸部29が経年劣化すると、取付部材4が固定部材1から外れる可能性がある。したがって念のために、本実施の形態では、第2のネジ穴17及びネジを使用して、固定部材1と取付部材4の落下防止用固定部25とを固定しておく。
【0050】
本実施の形態にかかる照明器具を壁面から取り外す作業は、基本的には取り付ける作業と逆手順で行われる。まず、ネジを第2のネジ穴17から外して、固定部材1と取付部材4の落下防止用固定部25との固定を解く。そして、蓋部21を-Z方向に引っ張って、第2のバネ部42を+X方向に弾性変形させ、第3のバネ部43を-X方向に弾性変形させる。そのまま、取付部材4を-Z方向に引っ張ると、第1の貫通孔15から第2のバネ部42が外れ、第2の貫通孔16から第3のバネ部43が外れて、固定部材1から取付部材4が取り外された状態となる。最後に、天井面Aから固定部材1を取り外す。以上により、本実施の形態にかかる照明器具は、天井面Aから取り外される。
【0051】
図9は、本実施の形態にかかる照明器具の第2のバネ部42と第3のバネ部43と立上部11の位置関係を説明する概略断面図である。
図9には、本実施の形態にかかる照明器具のうち、立上部11、固定面12、蓋部21、第2のバネ部42及び第3のバネ部43のみを概略で示す。固定面12は、壁面と接するので、固定面12の位置は壁面の位置でもある。
【0052】
図9に示すように、第2のバネ部42が有する端点のうち立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)において第3のバネ部43から最も遠い点Hと、第3のバネ部43が有する端点のうち立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)において第2のバネ部42から最も遠い点Iとの間における、立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)の距離L5は、立上部11の内面間の距離L2よりも長い。つまり、本実施の形態において、点Hと点Iとの間における±Y方向の距離L5は、立上部11の内面間の距離L2よりも長い。したがって、本実施の形態では、第2のバネ部42が立上部11に係合し、第3のバネ部43が立上部11に係合する。より詳細には、第2のバネ部42及び第3のバネ部43は、立上部11の外側に向かう力を利用して、立上部11に係合する。
【0053】
また、
図9に示すように、第2のバネ部42が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点Jと、第3のバネ部43が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点Kとの間における、立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)の距離L6は、立上部11の内面間の距離L2よりも短い。つまり、本実施の形態において、点Jと点Kとの間における±Y方向の距離L6は、立上部11の内面間の距離L2よりも短い。本実施の形態では、固定部材1に取付部材2を取り付ける前も後も、距離L6は距離L2よりも短いが、本発明においては、固定部材1に取付部材2を取り付ける作業時に、距離L6が距離L2よりも短くなっていれば良い。
【0054】
本実施の形態において、立上部11は円筒形状であるので、立上部11の内面間の距離L2は、立上部11の内径であり、どこをとっても同じ長さである。しかしながら、立上部11は多角形筒状であっても良いので、立上部11の内面間の距離L2は、場所によって異なることがある。この場合、立上部11の内面間の距離L2は、立上部11の内面間の距離L2と比較する対象の距離が示される同じ断面内における、立上部11の内面間の距離L2とする。
【0055】
距離L5及び距離L6は、第2のバネ部42の弾性力の大きさや、第2の凸部48の形状、第3のバネ部43の形状、第1の貫通孔15の形状や大きさ、第2の貫通孔16の形状や大きさ等によって、適宜定められるものである。
【0056】
また、第2のバネ部42は、
図9に示すように、立上部11に対して平行な向き(±Z方向)に立上部11と接する面のうち壁面に近い方の面と、立上部11と対向する面のうち壁面に近い方の面との間の角が、鈍角C2である。さらに、第3のバネ部43は、
図9に示すように、立上部11に対して平行な向き(±Z方向)に立上部11と接する面のうち壁面に近い方の面と、立上部11と対向する面のうち壁面に近い方の面との間の角が、鈍角C3である。鈍角C2及び鈍角C3の角度は、第2のバネ部42及び第3のバネ部43の弾性力の大きさや、第1の貫通孔15及び第2の貫通孔16の形状や大きさ等によって、適宜決められるものである。
【0057】
以上のように、本実施の形態にかかる照明器具は、第2のバネ部42及び第3のバネ部43が立上部11に対して垂直な向きの弾性力を有するので、壁面への取り付けを容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具は、固定部材1に対して取付部材4を押し込むだけで、灯具3が取り付けられた取付部材4を壁面に固定された固定部材1に取り付けることができる。つまり、固定部材1に取付部材4を取り付ける作業において、固定部材1に対して取付部材4を押し込む動作と同時に行うべき動作がない。すなわち、本実施の形態にかかる照明器具は、固定部材1に取付部材4を取り付ける作業において、2つ以上の動作を同時に行う必要がない。したがって、本実施の形態にかかる照明器具は、固定部材1に取付部材4を容易に取り付けることができるから、壁面への取り付けが容易となる。
【0058】
また、本実施の形態にかかる照明器具は、壁面への取り付けをさらに容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具は、第2のバネ部42が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点Hと、第3のバネ部43が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点Iとの間における、立上部11に対して垂直な方向の距離L6は、立上部11の内面間の距離L2よりも短い。したがって、固定部材1に取付部材2を取り付ける作業において、本実施の形態にかかる照明器具は、第2の凸部48を立上部11に当接させ易く、かつ第3の凸部49を立上部11に当接させ易いからである。
【0059】
さらに、本実施の形態にかかる照明器具は、壁面への取り付けをさらに容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具の第2のバネ部42は、立上部11に対して平行な向きに立上部11と接する面のうち壁面に近い方の面と、立上部11と対向する面のうち壁面に近い方の面との間の角が、鈍角C2である。そして、本実施の形態にかかる照明器具の第3のバネ部43は、立上部11に対して平行な向きに立上部11と接する面のうち壁面に近い方の面と、立上部11と対向する面のうち壁面に近い方の面との間の角が、鈍角C3である。したがって、固定部材1に取付部材4を取り付ける作業において、本実施の形態にかかる照明器具は、第2のバネ部42及び第3のバネ部43と立上部11とを当接させた後、固定部材1に取付部材4を押し込みやすいからである。
【0060】
さらに、本実施の形態にかかる照明器具は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100よりも容易に、壁面への取り付けを行うことができる。なぜなら、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の壁面への取り付け作業における、第2の貫通孔16に第1の引掛部23を引っ掛ける作業をなくしているからである。
【0061】
また、本実施の形態にかかる照明器具は、壁面からの取り外しも容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具は、蓋部21を引っ張って、つまり-Z方向に取付部材4を引っ張るだけで、固定部材1から取付部材4を取り外せる。したがって、本実施の形態にかかる照明器具は、固定部材1から取付部材4を容易に取り外すことができるから、壁面からの取り外しも容易である。
【0062】
さらに、本実施の形態にかかる照明器具は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100と同様に、灯具3の回転動作により、固定部材1から取付部材4が外れることを防止することができることは言うまでもない。
【0063】
本実施の形態において第2のバネ部42及び第3のバネ部43は、第2の接続部44と別々に成形され、第2の接続部44に接続されるとしたが、第2のバネ部42と第3のバネ部43と第2のバネ部44とを一体に成形しても良い。また、本実施の形態にかかる照明器具の取付部材4は、第2の接続部44を備えず、第2のバネ部42と第3のバネ部43とをそれぞれ蓋部21に直接接続させても良い。もちろん、第2のバネ部42と第2の接続部44とは一体に成形するが、第3のバネ部43は別に成形する等しても良い。
【0064】
なお、本発明の実施の形態1及び本発明の実施の形態2において、係合部及び係合受部の数はそれぞれ2つであるが、本発明において、係合部及び係合受部の数は特に限定されるものではない。灯具3の重さや、係合部と係合受部との係合力の大きさ等により、適宜決められるものであり、少なくとも1つの係合部が、立上部11に対して垂直な向きの弾性力を有すれば良い。
【0065】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3にかかる照明器具について説明する。本発明の実施の形態3では、本発明の実施の形態1と相違する部分について説明し、同一又は対応する部分についての説明は省略する。本発明の実施の形態3にかかる照明器具は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100とは、バネ部の凸部の形状が異なる。
【0066】
図10は、本発明の実施の形態3にかかる照明器具が有する第4のバネ部62を示す側面図である。本実施の形態3にかかる照明器具は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の第1のバネ部22を、
図10の第4のバネ部62に変えたものである。第4のバネ部62は、第1の係合部として、第1の係合受部である第1の貫通孔15に係合する。本実施の形態において第4のバネ部62は、±Z方向に対して垂直な向きである±Y方向の弾性力を有する。
【0067】
ここで、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の第2のバネ部22を、第4のバネ部62に変えた取付部材を、取付部材6と呼ぶことする。つまり、本実施の形態にかかる照明器具は、灯具3が取り付けられ、固定部材1に取り付けられる取付部材6を備える。
図10において、点線は、固定部材1に取付部材6を取り付けた状態における立上部11の位置を示す。すなわち、点線は、第4のバネ部62が第1の貫通孔15に係合した際の立上部11の位置を示す。
【0068】
図10に示すように、第4のバネ部62は一点鎖線で囲まれた部分に第4の凸部68を有する。本実施の形態において、第1の貫通孔15に第4の凸部68が挿入されると、固定部材1に取付部材6が取り付けられた状態となる。第4のバネ部62は、第4の凸部68の形状が、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の第2のバネ部22と異なる。本実施の形態において第4のバネ部68は、立上部11に対して平行な向き(±Z方向)に立上部11と接する面のうち壁面から遠い方の面が、立上部11に対して垂直である。言い換えると、本実施の形態において第4のバネ部68は、立上部11に対して平行な向き(±Z方向)に立上部11と接する点のうち壁面から遠い点において、立上部11に対して垂直な面Bを有する。
図10に示すように第4の凸部68は、L字形状であり、立上部11に対して平行な向きに立上部11と接する面のうち壁面から遠い方の面Bが、立上部11に対して垂直であり、XY平面と平行である。
【0069】
また、本実施の形態にかかる照明器具も、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100と同様に、第4のバネ部62が有する端点のうち立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)において第1の引掛部23から最も遠い点と、第1の引掛部23が有する端点のうち立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)において第4のバネ部62から最も遠い点との間における、立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)の距離が、立上部11の内面間の距離よりも長い。したがって、本実施の形態では、第4のバネ部62が立上部11に係合し、第1の引掛部23が立上部11に係合する。より詳細には、第4のバネ部62及び第1の引掛部23は、立上部11の外側に向かう力を利用して、立上部11に係合する。
【0070】
また、第4のバネ部62が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点と、第1の引掛部23が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点との間における、立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)の距離は、立上部11の内面間の距離よりも短い。本実施の形態では、固定部材1に取付部材2を取り付ける前も後も、第4のバネ部62が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点と、第1の引掛部23が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点との間における、立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)の距離が、立上部11の内面間の距離の長さよりも短い。しかしながら、本発明においては、固定部材1に取付部材2を取り付ける作業時に、第4のバネ部62が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点と、第1の引掛部23が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点との間における、立上部11に対して垂直な方向(±Y方向)の距離が、立上部11の内面間の距離の長さよりも短くなっていれば良い。
【0071】
本実施の形態において、立上部11は円筒形状であるので、立上部11の内面間の距離は、立上部11の内径であり、どこをとっても同じ長さである。しかしながら、立上部11は多角形筒状であっても良いので、立上部11の内面間の距離は、場所によって異なることがある。この場合、立上部11の内面間の距離は、立上部11の内面間の距離と比較する対象の距離が示される同じ断面内における、立上部11の内面間の距離とする。
【0072】
また、第4のバネ部62は、
図10に示すように、立上部11に対して平行な向き(±Z方向)に立上部11と接する面のうち壁面に近い方の面と、立上部11と対向する面のうち壁面に近い方の面との間の角が、鈍角C4である。鈍角C4の角度は、第4のバネ部62の弾性力の大きさや、第1の貫通孔15の形状や大きさ等によって、適宜決められるものである。
【0073】
本実施の形態にかかる照明器具を壁面への取り付ける方法は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100と同じである。しかしながら、本実施の形態にかかる照明器具を壁面から取り外す方法は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100とは異なる。
【0074】
本実施の形態にかかる照明器具を壁面から取り外す方法について説明する。まず、ネジを第2のネジ穴17から外して、固定部材1と取付部材6の落下防止用固定部25との固定を解く。そして、固定部材1の外側から第4の凸部68を内側に(-Y方向に)押し込む。次に、第4の凸部68を-Y方向に押し込んだまま、蓋部21の第4のバネ部62が設けられている部分を-Z方向に引っ張って蓋部21を傾け、第4のバネ部62を-Y方向に弾性変形させる。その後は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100を壁面から取り外す方法と同じ手順をとる。
【0075】
以上のように、本実施の形態にかかる照明器具は、第4のバネ部62が立上部11に対して垂直な向きの弾性力を有するので、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100と同様に、照明器具の壁面への取り付けを容易にできる。
【0076】
また、本実施の形態にかかる照明器具は、照明器具の壁面への取り付けをさらに容易にできる。第4のバネ部62が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点と、第1の引掛部23が有する面のうち立上部11と対向する面において壁面に最も近い点との間における、立上部11に対して垂直な方向の距離の長さが、立上部11の内面間の距離L2よりも短い。したがって、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100と同様に、固定部材1に取付部材6を取り付ける作業において、本実施の形態にかかる照明器具は、第4の凸部68を立上部11に当接させ易いからである。
【0077】
さらに、本実施の形態にかかる照明器具は、壁面への取り付けをさらに容易にできる。本実施の形態にかかる照明器具の第4のバネ部62は、立上部11に対して平行な向きに立上部11と接する面のうち壁面に近い方の面と、立上部11と対向する面のうち壁面に近い方の面との間の角が、鈍角C4である。したがって、固定部材1に取付部材6を取り付ける作業において、本実施の形態にかかる照明器具は、第4のバネ部62と立上部11とを当接させた後、固定部材1に取付部材6を押し込みやすいからである。
【0078】
また、本実施の形態にかかる照明器具は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100と同様に、灯具3の回転動作により、固定部材1から取付部材6が外れ、灯具3が落下することを防止できる。
【0079】
以下、本実施の形態にかかる照明器具が有する効果のうち、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100と違う効果について説明する。本実施の形態にかかる照明器具は、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100よりも、取付部材6が固定部材1から落下しにくい(-Z方向に動きにくい)。第4のバネ部62が、立上部11に対して平行な向きに立上部11と接する面のうち壁面から遠い方の面が、立上部11に対して垂直な面Bであるので、取付部材6が固定部材1から落下しようする時(-Z方向に動こうとする時)に、第4のバネぶ62が弾性変形しにくいからである。つまり、取付部材6が固定部材1から落下しようする時(-Z方向に動こうとする時)に、第4のバネ部62が第1の貫通孔15から外れにくいので、取付部材6が固定部材1から落下しにくい(-Z方向に動きにくい)。
【0080】
図11は、本発明の実施の形態3にかかる照明器具が有する第4のバネ部62の変形例を示す側面図である。
図11に示す第4のバネ部62は、第4の凸部68の形状が
図10に示した第4のバネ部62と異なる。
図11に示す第4のバネ部62の形状は、
図10に示した第4のバネ部62の形状を簡略化したものである。
図11に示す第4のバネ部62も、±Z方向に対して垂直な向きである±Y方向の弾性力を有し、立上部11に対して平行な向き(±Z方向)に立上部11と接する面のうち壁面から遠い方の面が、立上部11に対して垂直である。言い換えると、
図11に示す第4のバネ部68も、立上部11に対して平行な向き(±Z方向)に立上部11と接する点のうち壁面から遠い点において、立上部11に対して垂直な面Bを有する。
図11に示すように第4の凸部68は、L字形状であり、立上部11に対して平行な向きに立上部11と接する面のうち壁面から遠い方の面Bが、立上部11に対して垂直であり、XY平面と平行である。
【0081】
第4の凸部68の形状を
図11に示す形状にしても、第4の凸部68の形状が
図10に示す形状とした時と、本実施の形態にかかる照明器具が得られる効果が同じであることは言うまでもない。
【0082】
本実施の形態では、本発明の実施の形態1にかかる照明器具100の第1のバネ部22を、
図10又は
図11に示した第4のバネ部62に変えた照明器具について説明した。他の実施の形態として、本発明では、
図10及び
図11に示した第4のバネ部62を、本発明の実施の形態2にかかる照明器具の第2のバネ部42と変えても良いし、本発明の実施の形態2にかかる照明器具の第3のバネ部43と変えても良い。もちろん、本発明の実施の形態2にかかる照明器具の第2のバネ部42及び第3のバネ部43の両方を
図10及び
図11に示した第4のバネ部62に変えても良い。
【0083】
本発明は、発明の範囲内において、各実施の形態や変形例を自由に組み合わせること、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。各実施の形態において例示された各構成要素の寸法、材質、形状、それらの相対配置等は、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるものであり、本発明はそれらの例示に限定されるものではない。また、各図における各構成要素の寸法は、実際の寸法と異なる場合がある。
【符号の説明】
【0084】
1 固定部材、2,4,6 取付部材、3 灯具、11 立上部、12 固定面、13 第1のネジ穴、14 電線挿入孔、15 第1の貫通孔、16 第2の貫通孔、17 第2のネジ穴、21 蓋部、22 第1のバネ部、23 第1の引掛部、24 第1の接続部、25 落下防止用固定部、26 回転規制部、27 ナット、28 第1の凸部、29 第1の爪部、31 アーム、32 灯体、42 第2のバネ部、43 第3のバネ部、44 第2の接続部、48 第2の凸部、49 第3の凸部、62 第4のバネ部、68 第4の凸部、100 照明器具。