(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】サニタリールーム比較体験施設
(51)【国際特許分類】
G09B 25/04 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
G09B25/04
(21)【出願番号】P 2019103219
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2022-01-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 [公開者] 積水ハウス株式会社 [展示日] 平成31年3月19日 [展示場所] 積水ハウス株式会社 総合住宅研究所 納得工房
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】山中 佳子
(72)【発明者】
【氏名】濱田 智毅
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-020353(JP,A)
【文献】特開2003-216021(JP,A)
【文献】特開2002-032014(JP,A)
【文献】特開2003-020802(JP,A)
【文献】特開2000-347573(JP,A)
【文献】特開平09-195539(JP,A)
【文献】特開2000-126064(JP,A)
【文献】特開2002-321471(JP,A)
【文献】特開平10-010967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尺モジュールで形成された第1洗面室及び第1浴室を有する第1サニタリールームと、メーターモジュールで形成された第2洗面室及び第2浴室を有する第2サニタリールームと、を併設したサニタリールーム比較体験施設であって、
前記第2サニタリールームは、
第1壁体によって、屋内に形成された通路と隔てられるとともに前記通路の長手方向に沿って平面視細長に形成され、且つ、前記第2洗面室の壁面に当該第1洗面室及び前記第2洗面室の各内寸法を併記
されるとともに、前記第2浴室の床面に当該第1浴室の洗い場及び前記第2浴室の洗い場の各幅寸法を併記
され、
前記第2洗面室及び前記第2浴室は、それぞれ前記第1壁体を介して前記通路に面し、
前記第2洗面室は、前記第1壁体に形成された第3出入口によって前記通路と行き来可能に連通するとともに、前記第3出入口に直交する位置に形成された第4出入口によって前記第2浴室と行き来可能に連通し、
前記第4出入口は、前記第1壁体に直交して前記第2洗面室と前記第2浴室とを隔てる他の壁体のうち、前記第1壁体側の端部に寄せて形成され、
前記第1壁体には、前記第2浴室に面して透過性を有する開口部が形成され、
前記開口部及び前記第4出入口を通じて、前記第2浴室及び前記第2洗面室を前記通路から視認可能であることを特徴とするサニタリールーム比較体験施設。
【請求項2】
前記第1洗面室は、
前記第1壁体によって
前記通路と隔てられるとともに、前記
第1壁体に形成された第1出入口によって前記通路と行き来可能に連通しており、且つ、前記第1出入口に相対向する第2出入口によって前記第1浴室と行き来可能に連通することを特徴とする請求項1に記載のサニタリールーム比較体験施設。
【請求項3】
前記第1出入口及び前記第3出入口は、同一の開口幅で形成され、
前記第2出入口及び前記第4出入口は、同一の開口幅で形成されることを特徴とする請求項
2に記載のサニタリールーム比較体験施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尺モジュールで形成されたサニタリールームと、メーターモジュールで形成されたサニタリールームと、を併設したサニタリールーム比較体験施設に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の新築工事や建て替え工事を検討している顧客に対して、新設又は改装される洗面室や浴室といったサニタリールームの実物大模型や空間を提示し、工事前に予め仕上げや広さを確認することができる発明が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。この発明では、顧客が住宅の新築工事や建て替え工事を行う前に事前に洗面室や浴室の仕上がりを把握することができるので、顧客は不安や疑問を抱えることなく安心して工事を進めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-31414
【文献】実登3204507
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこれらの発明では、顧客が今現在使用している既設の洗面室や浴室と同等の模型や空間については提示されないため、顧客は既設及び新設のそれぞれの洗面室や浴室の広さ、快適性、仕様の違いなどを同時に比較することができず、2つの空間の比較検討を行うことが難しい。また、顧客は、従来より我が国で採用されている尺モジュールで形成されたサニタリールームを使用していることが多く、新設予定のメーターモジュールで形成されるサニタリールームと今現在使用しているサニタリールームとの違いを分かり易く体感できる施設が望まれていた。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を鑑みてなされたものであって、尺モジュール及びメーターモジュールでそれぞれ形成されたサニタリールームを併設し、顧客が両空間を容易に比較検討することができるサニタリールーム比較体験施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1のサニタリールーム比較体験施設は、尺モジュールで形成された第1洗面室及び第1浴室を有する第1サニタリールームと、メーターモジュールで形成された第2洗面室及び第2浴室を有する第2サニタリールームと、を併設したサニタリールーム比較体験施設であって、前記第2サニタリールームは、第1壁体によって、屋内に形成された通路と隔てられるとともに前記通路の長手方向に沿って平面視細長に形成され、且つ、前記第2洗面室の壁面に当該第1洗面室及び前記第2洗面室の各内寸法を併記されるとともに、前記第2浴室の床面に当該第1浴室の洗い場及び前記第2浴室の洗い場の各幅寸法を併記され、前記第2洗面室及び前記第2浴室は、それぞれ前記第1壁体を介して前記通路に面し、前記第2洗面室は、前記第1壁体に形成された第3出入口によって前記通路と行き来可能に連通するとともに、前記第3出入口に直交する位置に形成された第4出入口によって前記第2浴室と行き来可能に連通し、前記第4出入口は、前記第1壁体に直交して前記第2洗面室と前記第2浴室とを隔てる他の壁体のうち、前記第1壁体側の端部に寄せて形成され、前記第1壁体には、前記第2浴室に面して透過性を有する開口部が形成され、前記開口部及び前記第4出入口を通じて、前記第2浴室及び前記第2洗面室を前記通路から視認可能であることを特徴としている。
【0007】
本発明の第2のサニタリールーム比較体験施設は、前記第1洗面室が、前記第1壁体によって前記通路と隔てられるとともに、前記第1壁体に形成された第1出入口によって前記通路と行き来可能に連通しており、且つ、前記第1出入口に相対向する第2出入口によって前記第1浴室と行き来可能に連通することを特徴としている。
【0009】
本発明の第3のサニタリールーム比較体験施設は、前記第1出入口及び前記第3出入口が、同一の開口幅で形成され、前記第2出入口及び前記第4出入口は、同一の開口幅で形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1のサニタリールーム比較体験施設によると、従来より我が国で広く採用されている尺モジュールで形成された第1洗面室及び第1浴室を有する第1サニタリールームと、尺モジュールよりも壁面間の内寸法が長くなるメーターモジュールで形成された第2洗面室及び第2浴室を有する第2サニタリールームと、を併設しているので、サニタリールームの新設工事又は改装工事を検討している顧客は、従来より広く普及している尺モジュールで形成された空間と新設予定のメーターモジュールで形成された空間とを体感して両空間を比較することができる。また、第2サニタリールームは、第2洗面室の壁面に、第2洗面室及び第1洗面室の各内寸法を併記するとともに、第2浴室の床面に第2浴室の洗い場及び第1浴室の洗い場の各幅寸法を併記するので、顧客は、今現在使用している自身のサニタリールームと、新設されるサニタリールームとの広さ、快適性、仕様の違いを体感しながら視界に入る情報を通じて効果的に両空間を比較検討することができる。
【0011】
本発明の第2のサニタリールーム比較体験施設によると、第1洗面室は、第1出入口に相対向する第2出入口によって第1浴室と行き来可能に連通しているので、第1サニタリールームは、第1出入口から第1洗面室方向を見ると、第2出入口を通して第1浴室まで見渡すことができる直線的なサニタリールームを形成することができ、顧客は今現在使用している自身のサニタリールームに近い仕様のモデルを体感することができる。
【0012】
本発明の第1のサニタリールーム比較体験施設によると、第1壁体に形成された開口部を通じて第2浴室内部を視認することができるので、第2サニタリールームを演出感のある空間とすることができ、顧客は新設されるサニタリールームの仕様に憧れや期待感を持つことができる。
【0013】
本発明の第3のサニタリールーム比較体験施設によると、第1出入口及び第3出入口は同一の開口幅で形成され、また、第2出入口及び第4出入口は同一の開口幅で形成されるので、尺モジュールで形成された空間と、メーターモジュールで形成された空間との違いをより明確に体感することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1サニタリールーム及び第2サニタリールームを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るサニタリールーム比較体験施設1の実施形態について各図を参照しつつ説明する。サニタリールーム比較体験施設1は、主に住宅の様々な性能や内部構造を観覧、体感できる住環境展示施設のような屋内施設に設置され、住宅の新築工事や建て替え工事を検討している顧客に対して説明を行う際に用いられる。
【0016】
サニタリールーム比較体験施設1は、顧客が尺モジュール及びメーターモジュールでそれぞれ形成された各サニタリールームの空間の違いを比較検討するためのものである。尺モジュールは、1グリッドが910mm×910mmであり、従来より我が国で広く採用されるモジュールである。また、メーターモジュールは1グリッドが1000m×1000mmであり、1グリット単位で比較するとメーターモジュールの方が面積が広くなる。サニタリールームの新設や改装を検討している顧客は、従来より我が国で採用されている尺モジュールで形成されたサニタリールームを使用していることが多く、サニタリールーム比較体験施設1によって、尺モジュールと新設予定のメーターモジュールとの違いを分かり易く体感することができる。
【0017】
サニタリールーム比較体験施設1は、
図1に示すように、平面視略矩形に形成された第1洗面室21及び第1浴室22を有する第1サニタリールーム2と、同じく平面視略矩形に形成された第2洗面室31及び第2浴室32を有する第2サニタリールーム3と、の2種類のサニタリールームを併設している。各サニタリールーム2、3は、第1壁体W1によって屋内施設の通路4と隔てられており、顧客はこの通路4から第1壁体W1に形成された各出入口を通じてそれぞれのサニタリールーム2、3内に入室することができる。
【0018】
第1サニタリールーム2は、第1壁体W1、第1壁体W1に直交する第2壁体W2、第3壁体W3、第1壁体W1に相対向する第4壁体W4によって平面視矩形状の空間を形成し、第2壁体W2と第3壁体W3との略中間に各壁体W2、W3間を結ぶ第5壁体W5を設置することで第1洗面室21及び第1浴室22を形成している。また、第1洗面室21及び第1浴室22は尺モジュールで形成されており、各壁体間の中心間距離L1を例えば1820mmとすることができる。
【0019】
図1及び
図2に示すように、第1洗面室21は、第1壁体W1によって通路4と隔てられるとともに、第1壁体W1に形成された第1出入口D1によって通路4と行き来可能に連通しており、また、第1壁体W1に相対向する第5壁体W5によって第1浴室22と隔てられるとともに、第5壁体W5に形成された第2出入口D2によって第1浴室22と行き来可能に連通している。第1出入口D1は、第1壁体W1に直交する第2壁体W2、及び第3壁体W3のうち第2壁体W2側寄りに設置されており、第3壁体W3には、壁面W3aに沿って洗面台51及び洗濯機61が設置されている。
【0020】
第1浴室22には、第2壁体W2に沿って洗い場71が形成され、第4壁体W4の壁面に沿って浴槽81が設置されている。第2出入口D2は、第1出入口D1と略相対向する位置に形成されており、通路4から第1出入口D1に立って第1洗面室21を見ると、第1洗面室21だけでなく第2出入口D2を通じて第1浴室22までもを見通すことができる。したがって、第1サニタリールーム2を直線的な空間とすることができ、顧客は今現在使用している自身のサニタリールームに近い仕様のモデルを体感することができる。。
【0021】
図2に示すように、第1洗面室21に面する第3壁体W3の壁面W3aには、第1壁体W1から第5壁体W5までの内寸法を記載した第1内寸法表記A1が固定されている。また、
図1に示す第1浴室22の洗い場71の床面71aには、洗い場71の幅寸法である第2壁体W2から浴槽81までの距離を記載した第1幅寸法表記B1が固定されており、顧客は、第1サニタリールーム2に入って尺モジュールの空間を体感するとともに、これらの表記A1、B1を目視確認することにより、尺モジュール空間の広さを視覚情報として認識することができる。
【0022】
図1に示すように、第2サニタリールーム3は、第1壁体W1、第1壁体W1に直交する第6壁体W6、第7壁体W7、第1壁体W1に相対向する第8壁体W8によって平面視矩形状の空間を形成し、第1壁体W1と第8壁体W8の略中間に各壁体W1、W8間を結ぶ第9壁体W9を設置することで第2洗面室31及び第2浴室32を形成している。また、第2洗面室31及び第2浴室32はメーターモジュールで形成されており、例えば第1壁体W1と第8壁体W8との中心間距離L2を2000mmとすることができる。
【0023】
図1に示すように、第2洗面室31は、第1壁体W1によって通路4と隔てられるとともに第1壁体W1に形成された第3出入口D3によって通路4と行き来可能に連通しており、また、第9壁体W9によって第2浴室32と隔てられるとともに、第9壁体W9に形成された第4出入口D4によって第2浴室32と行き来可能に連通している。第3出入口D3は、第1壁体W1に直交する第6壁体W6、及び第9壁体W9のうち第9壁体W9寄りに形成され、第6壁体W6には、壁面W6aに沿って洗面台52と洗濯機62とが並んで配置されている。
【0024】
第2浴室32は、第1壁体W1に面して洗い場72が形成され、第4壁体W4の壁面に沿って浴槽82が設置されている。また第1壁体W1には、透明ガラスなどの透過性を有する面材が嵌め込まれた開口部Xが形成されており、開口部Xを通じて通路4から第2浴室32内部を見ると、第2浴室32だけでなく、第4出入口D4から第2洗面室31内部までもを確認することができる。このように、第2サニタリールーム3を通路4から見て幅方向に広がりのある空間とし、さらに第1壁体W1に開口部Xを設けることによって、第2サニタリールーム3を演出感のある空間とすることができ、顧客は新設されるサニタリールームの仕様に期待感を持つことができる。
【0025】
また、
図3に示すように、第2洗面室31に面する第6壁体W6の壁面W6aには、第1内寸法表記A1、及び第1壁体W1から第8壁体W8までの内寸法を記載した第2内寸法表記A2が並べて固定されている。そして、
図1に示す第2浴室32の洗い場72の床面72aには、第1幅寸法表記B1、及び第2浴室32の洗い場72の幅寸法である第1壁体W1から浴槽82までの距離を記載した第2幅寸法表記B2が並べて固定されており、顧客は、第2サニタリールーム3に入ってメーターモジュールの空間の広さ、快適性、仕様の違いを体感するとともに、尺モジュールに基づく表記A1及びB1と、メーターモジュールに基づく表記A2及びB2を目視で比較することにより、尺モジュールとの空間の違いを効果的に実感することができる。
【0026】
なお、第1出入口D1及び第3出入口D3は同一の開口幅で形成されており、また、第2出入口D2及び第4出入口D4も同様に同一の開口幅で形成されている。このように、モジュールに併せて各出入口の開口幅を変えるのではなく、通路~洗面室の出入口D1、D3の各開口幅及び洗面室~浴室の出入口D2、D4の各開口幅を同一とすることにより、尺モジュールで形成された空間と、メーターモジュールで形成された空間との違いをより明確に体感することができる。
【0027】
そして、本発明のサニタリールーム比較体験施設1は、先述したように各サニタリールーム2、3の室形状や出入口の位置などに工夫を施しているので、各モジュールで形成された空間ごとの違いを効果的に強調することができる。したがって顧客は、各表記A1、A2、B1、B2と併せて両空間2、3の違いを明確に認識し、不安や疑問を抱えることなく安心して工事を進めることができる。
【0028】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るサニタリールーム比較体験施設は、サニタリールームの新設工事や改装工事を検討する際に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 サニタリールーム比較体験施設
2 第1サニタリールーム
3 第2サニタリールーム
4 通路
71 (第1浴室の)洗い場
72 (第2浴室の)洗い場
72a (第2浴室の)床面
A1 第1内寸法表記(第1洗面室の内寸法)
A2 第2内寸法表記(第2洗面室の内寸法)
B1 第1幅寸法表記(第1浴室の洗い場の幅寸法)
B2 第2幅寸法表記(第2浴室の洗い場の幅寸法)
W1 第1壁体(壁体)
W6a 第6壁体の壁面(第2洗面室の壁面)
D1 第1出入口
D2 第2出入口
D3 第3出入口
D4 第4出入口
X 開口部