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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】車両用電子機器の配置構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B60R16/02 610J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019115111
(22)【出願日】2019-06-21
(65)【公開番号】P2021000893
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】早川 壮
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-139750(JP,U)
【文献】特開2008-068683(JP,A)
【文献】特開2017-128179(JP,A)
【文献】特開2012-214162(JP,A)
【文献】特開2016-152349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00-16/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の床部材上に配置されるフロントシートと、
前記フロントシートと前記床部材との間のシート下空間に配置される電子機器と、
前記シート下空間に設けられ、前記電子機器を支持するブラケットと、
前記電子機器を前記車両の上下方向の上側、前記車両の前後方向の両側、車幅方向の両側から覆うカバー部材と、
を備え、
前記電子機器は、前記車両の前後方向の前方側の一側面にハーネスが接続されるコネクタを有し、前記一側面が当該一側面の反対側に位置する反対面より上方に位置するように傾けて配置され
前記ブラケットは、前記車両の前後方向の後側から前側に向かうにつれて前記床部材の表面に対して高くなるよう形成され、前記電子機器を上下方向に傾斜した状態で下方から支持する第1ブラケットを有し、
前記カバー部材は、上面が前記電子機器の傾きに沿って傾斜され、前記電子機器に対して直接触れることなく隙間を空けて前記第1ブラケットに固定される、
車両用電子機器の配置構造。
【請求項2】
前記電子機器は、前記反対面が前記床部材と隙間を空けて支持される、
請求項1に記載の車両用電子機器の配置構造
【請求項3】
前記シート下空間に設けられ、前記電子機器の前記一側面側において前記床部材から上方に突出し車幅方向に延びるクロスメンバをさらに備え、
前記ブラケットは、前記第1ブラケットの下方で前記床部材の表面に沿って前記車両の前後方向に延びる第2ブラケットを有し、
前記第2ブラケットは、前記クロスメンバの上面に取り付けられる第1取付部と、前記第1取付部から前記電子機器側かつ下方に向けて傾斜する斜面部と、前記電子機器の下方において前記車両の前後方向に延び、前記第1ブラケットを介して前記電子機器が載置される支持部と、を有する、
請求項1または2に記載の車両用電子機器の配置構造。
【請求項4】
前記斜面部は、前記電子機器の前記一側面の前方に位置するとともに前記コネクタよりも下方に重なるように設けられる、
請求項に記載の車両用電子機器の配置構造。
【請求項5】
記カバー部材は、前記電子機器及び前記第1ブラケットを車幅方向から覆う一対の側面部を有し、
前記側面部は前記カバー部材の内側で前記側面部から前記第1ブラケット側に向かい突出するとともに上下方向に延び前記カバー部材の上面に接続される一対の補強部を含み、
前記補強部は、前記第1ブラケットに当接して前記カバー部材の車幅方向の位置を規制する
請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用電子機器の配置構造。
【請求項6】
前記補強部は、前記第1ブラケットへ向けた突出量が前記車両の上下方向下側に向かうに連れて小さくなる、
請求項5に記載の車両用電子機器の配置構造。
【請求項7】
前記電子機器と車幅方向で隣り合って設けられるとともに、前記シート下空間において空調風を前記車両の後方に送り出す吹出口をさらに備え、
前記電子機器は、前記反対面が前記吹出口よりも下方に位置するように傾斜して配置される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用電子機器の配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電子機器の配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される電子機器を車両のフロア上部に配置する構造が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の電子機器の配置構造は、左右一対の車両用座席の間にDC/DCコンバータを配置することで、車室内の空間が電子機器によって狭めることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-1190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の配置構造では、電子機器と、バッテリなどの各機器とを接続するハーネス(車両用組電線)を電子機器に接続する、結線作業については考慮されていない。特に、車両用シート下方において床面上に電子機器を配置する場合は、シートと床面との間の狭い空間でハーネスの結線作業を行う必要があり、結線作業が困難となる場合もある。
【0005】
また、電子機器の大きさによっては、車両用シートの下に電子機器が収まりきらず、電子機器によって車室内の空間を狭めてしまうことも考えられる。
【0006】
本発明の課題は、電子機器によって、車室内の空間を狭めることを抑制しながらも、電子機器とハーネスを容易に結線可能な車両用電子機器の配置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用電子機器の配置構造は、フロントシートと、電子機器と、ブラケットと、カバー部材と、を備える。フロントシートは、車両の床部材の上に配置される。電子機器は、シートと前記床部材との間のシート下空間に配置される。ブラケットは、前記シート下空間に設けられ、前記電子機器を支持する。カバー部材は、前記電子機器を車両上下方向の上側、車両の前後方向の両側、車幅方向の両側から覆う。電子機器は、車両の前後方向の前方側の一側面にハーネスが接続されるコネクタを有し、一側面が当該一側面の反対側に位置する反対面より上方に位置するように傾けて配置される。ブラケットは、車両の前後方向の後側から前側に向かうにつれて床部材の表面に対して高くなるよう形成され、電子機器を上下方向に傾斜した状態で下方から支持する第1ブラケットを有する。カバー部材は、上面が電子機器の傾きに沿って傾斜され、電子機器に対して直接触れることなく隙間を空けて第1ブラケットに固定される。
【0008】
この構成によれば、電子機器は、フロントシート下方空間に、一側面が当該一側面の反対側に位置する反対面より上方に位置するように床部材に対して上下に傾けて配置される。このため、床部材と平行に電子機器を配置した場合と比べ、電子機器の配置スペースを小さくすることができる。これによって、電子機器が車室内空間を狭めることを抑制できる。さらに、電子機器は、一側面が反対面より上方に位置するように配置されるので、コネクタの着脱作業時にコネクタが斜め上方を向いた状態になる。これによって、コネクタの着脱作業を容易に行うことができるとともに、電子機器によってリアシートの乗員のレッグスペースが狭くなることを抑制できる。この結果、電子機器によって、車室内の空間を狭めることを抑制しながらも、電子機器とハーネスを容易に結線可能な車両用電子機器の配置構造を提供できる。また、電子機器の傾きに沿ってカバー部材を設けることで、電子機器に水分などが付着することを抑制できる。また、カバー部材が電子機器に直接触れることなく隙間を空けて電子機器を支持する第1ブラケットに固定されているので、電子機器が発熱してもカバー部材が直接受熱することがなく、電子機器からの熱がカバー部材を伝って後席乗員に向かって放熱されることを防止できる。
【0009】
車両用電子機器の配置構造は、クロスメンバをさらに備えてもよい。クロスメンバは、シート下空間に設けられ、電子機器の一側面側において床部材から上方に突出し車幅方向に延びてもよい。ブラケットは、第1ブラケットの下方で前記床部材の表面に沿って車両の前後方向に延びる第2ブラケットを有してもよい。第2ブラケットは、クロスメンバの上面に取り付けられる第1取付部と、第1取付部から電子機器側かつ下方に向けて傾斜する斜面部と、電子機器の下方において車両の前後方向に延び、第1ブラケットを介して電子機器が載置される支持部と、を有してもよい。
【0010】
この構成によれば、斜面部を設けたことにより、コネクタをブラケットと干渉させることを抑制しながら脱着できる。これによって、結線作業を容易に行うことができるとともに、整備作業も容易に行うことができる。
【0011】
斜面部は、電子機器の一側面の前方に位置するとともにコネクタよりも下方に重なるように設けられてもよい。
【0012】
この構成によれば、ブラケットの斜面部に沿ってコネクタの着脱作業を行うことができる。これによって、結線作業を容易に行うことができるとともに、整備作業も容易に行うことができる。
【0013】
バー部材は、上面端部と、突設部と、を有してもよい。上面端部は、カバー部材の上面の一側面側の端部であってもよい。突設部は、上面端部の近傍で、当該上面端部から反対面側に離間して設けられ、カバー部材の上面から上方に向かって突出するとともに上面端部に沿って延びてもよい。
【0014】
この構成によれば、電子機器の傾きに沿ってカバー部材を設けることで、電子機器に水分などが付着することを抑制できるとともに、車両の乗員が電子機器に直接触れないようにできる。また、突設部を設けることで、カバー部材に付着した水分が突設部よりもコネクタ側に向かって流れること抑制できる。さらに、カバー部材は電子機器の傾きに沿って傾斜し、突設部は上面端部から離間してカバー部材に設けられるので、突設部によってカバー部材を含む電子機器全体の上下方向の高さが高くなることを抑えることができる。
【0015】
突設部は、突設部の延在方向中央部から端部に向かうほど上面端部から離間する傾斜部を含んでもよい。
【0016】
この構成によれば、突設部のコネクタ側に付着した水分が、突設部の傾斜部によって下方へ流されるので、コネクタに向かって水分が流れることを抑制できる。
【0017】
バー部材は、側面部を有してもよい。側面部は、電子機器及びブラケットを車幅方向から覆ってもよい。側面部には、ブラケット側に向かい突出し上下方向に延びるとともにカバー部材の上面に接続される補強部を含んでもよい。補強部は、ブラケットに当接されてもよい。
【0018】
この構成によれば、補強部がブラケットに当接することで、カバー部材と電子機器の位置関係がずれにくい。また、補強部はカバー部材の補強にもなるため、カバー部材に乗員の足などが接触した場合であっても、カバー部材の変形を抑制する。また、電子機器とカバー部材が接触することを防止し、例えば、電子機器が発熱した場合であっても、カバー部材に熱が直接伝わらないようにできる。
【0019】
電子機器は、反対面が床部材と隙間を空けて支持されてもよい。
【0020】
これによって床部材に水分が溜まった場合であっても、電子機器に水分が触れないように電子機器を配置できる。

【0021】
車両用電子機器の配置構造は、吹出口をさらに備えてもよい。吹出口は、電子機器と車幅方向で隣り合って設けられるとともに、シート下空間において空調風を車両の後方に送り出してもよい。電子機器は、反対面が吹出口よりも下方に位置するように傾斜して配置されてもよい。
【0022】
この構成によれば、電子機器によって空調風の流れが阻害されることを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電子機器によって、車室内の空間を狭めることを抑制しながらも、電子機器とハーネスを結線可能な車両用電子機器の配置構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態における車両用電子機器の配置構造の側面図。
図2】本発明の一実施形態における車両用電子機器の配置構造の上面拡大図。
図3】本発明の一実施形態における車両用電子機器の配置構造のカバー部材を取り外した状態の斜視図。
図4】本発明の一実施形態におけるカバー部材の上面図。
図5図2におけるA-A断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下明細書において、車両Cの前後方向をQと図面に記し、前方側をFと記す。また車両の左右方向(車幅方向)をPと図面に記し、右側をRと記す。また、車両の上下方向Gと図面に記し、上側をUと記す。
【0026】
図1に示すように、車両用電子機器の配置構造1では、車両Cのフロアパネル(床部材の一例)2と、第1フロアクロスメンバ2aと、第2フロアクロスメンバ2bと、シート4と、オーディオアンプ6(電子機器の一例)と、カバー部材8と、ブラケット10と、吹出口12と、を備える。
【0027】
フロアパネル2は、車両Cのキャビン(図示せず)の床部分を構成する。第1フロアクロスメンバ2aおよび第2フロアクロスメンバ2bは、シート4を固定するための断面矩形の部材であり、フロアパネル2から上方に突出し左右方向(車幅方向)Pに延びて設けられる。本実施形態では、第1フロアクロスメンバ2aは、後述するオーディオアンプ6の一側面6aの車両Cの前方において、フロアパネル2から上方に突出し左右方向(車幅方向)Pに延びる。第2フロアクロスメンバ2bは、後述するオーディオアンプ6の反対面6eの車両Cの後方において、フロアパネル2から上方に突出し左右方向(車幅方向)Pに延びる。第1フロアクロスメンバ2aおよび第2フロアクロスメンバ2bの上面には、シート4を固定するための第1固定部2dおよび第2固定部2fが各別に設けられる。第1フロアクロスメンバ2aおよび第2フロアクロスメンバ2bは、車両Cのフロアパネル2部分の剛性を高めるとともに、フロアパネル2上に必要な部品が取り付け可能に設けられる。フロアパネル2の上部にはカーペット2cが敷かれる。カーペット2cは、第1固定部2d、第2固定部2f、および後述する第2ブラケット10bを覆う。
【0028】
シート4は、フロアパネル2上に配置され、車両Cの乗員が座るために設けられる。本実施形態では、シート4は、車両Cのフロントシートである。なお、ここで言うフロントシートとは、シートが3列ある場合は2列目のシートも含む。シート4は、シートフレーム4aと、前足4bと、後足4cと、を有する。シートフレーム4аは、左右方向Pに延設されるシートクロスメンバ4dを含み、シート4の骨格構造を構成する。前足4bは、シート4の前後方向Qの前側に配置され、フロアパネル2の第1固定部2dに固定されるとともに、上下方向Gに延びて設けられる。後足4cは、前後方向Qの後側に配置され、フロアパネル2の第2固定部2fに固定されるとともに、上下方向Gに延びて設けられる。前足4bと、後足4cは、それぞれ左右方向Pに間隔をあけて、左右に1本ずつ配置される。シートフレーム4aは、前足4bおよび後足4cにシートレール4fを介して前後方向Qにスライド可能に支持される。すなわち、シート4の下方とフロアパネル2の間には、シートフレーム4a、前足4b、後足4c、およびフロアパネル2に囲まれたシート下空間Vが形成される。第1フロアクロスメンバ2aおよび第2フロアクロスメンバ2bは、シート下空間Vに設けられる。
【0029】
オーディオアンプ6は、車両Cに搭載されるオーディオの信号を増幅し、スピーカ(図示せず)に出力する電子機器である。本実施形態では、図1および図2に示すように、オーディオアンプ6は、前後方向Qが長辺となり、左右方向Pが短辺となる立方体形状である。オーディオアンプ6には、信号を増幅するための回路などが組み込まれる。オーディオアンプ6は、短辺の一側面6aにコネクタ6cを有する。コネクタ6cには、オーディオアンプ6からフロアハーネス6dを経由してオーディオおよびスピーカを電気的に接続するハーネス6bがハーネス側コネクタ(図示せず)を介して着脱可能に装着される。
【0030】
オーディオアンプ6は、シート下空間Vに、一側面6aが上側Uとなり、一側面6aと反対側の反対面6eが下側となるように上下方向Gに傾けて配置される。すなわち、オーディオアンプ6は、一側面6aが反対面6eよりも上方に位置するように傾けて配置される。本実施形態では、オーディオアンプ6は、一側面6aが反対面6eよりも前後方向Qの前側となるように配置され、車両Cの後方に向かうに連れて下方に傾斜した状態で配置される。このとき、オーディオアンプ6は、一側面6aが第1フロアクロスメンバ2aの上面よりも上方に位置し、反対面6eが第1フロアクロスメンバ2aの上面よりも下方に位置する。すなわち、オーディオアンプ6は、オーディオアンプ6の下面の延長線Lが第1フロアクロスメンバ2aの上面よりも高い位置となる。これによって、第1フロアクロスメンバ2aとハーネス6b(より詳細にはハーネス6b側のコネクタ)が干渉することなく脱着できる。オーディオアンプ6は、ブラケット10を介してフロアパネル2に固定される。
【0031】
図3は後述するカバー部材8を外した状態の、オーディオアンプ6の取付状態を示す。図1および図3に示すように、ブラケット10は、第1ブラケット10aと、第2ブラケット10bと、を有する。第1ブラケット10aは、前後方向Qの前側が、後方よりも高い。より具体的には、第1ブラケット10aは、車両Cの後側から車両Cの前側に向かうにつれてフロアパネル2の表面に対して高くなる。オーディオアンプ6は、この第1ブラケット10aに固定されることで、一側面6aが上側Uとなるように上下方向Gに傾けて配置される。また、オーディオアンプ6は、第1ブラケット10aによって反対面6eがフロアパネル2と隙間を開けて支持される。これによって、オーディオアンプ6は、フロアパネル2に水分が溜まった場合であっても、オーディオアンプ6に水分が触れないように配置される。
【0032】
第1ブラケット10aは、オーディオアンプ6から左右方向Pに張り出して延びる延在部10hを含む。延在部10hは、前側の左右に2つと、後側の左右に2つ設けられる。延在部10hの上面には、延在部10hの上面よりも円筒状に盛り上がった台座10iが設けられる。
【0033】
第2ブラケット10bは、フロアパネル2の表面に沿って設けられる。第2ブラケット10bは、第1取付部10cと、第2取付部10dと、支持部10eと、斜面部10fと、を有する。第1取付部10cは、前後方向Qの前側端部に設けられ、第1フロアクロスメンバ2aの上面に取り付けられる。第2取付部10dは、前後方向Qの後側端部に設けられ、第2フロアクロスメンバ2bの上面に取り付けられる。支持部10eは、第1取付部10c及び第2取付部10dの間で前後方向Qに延び、オーディオアンプ6を支持する。支持部10eは、第1フロアクロスメンバ2aの上面及び第2フロアクロスメンバ2bの上面よりも下方に位置する。第1ブラケット10aは、勘合またはねじ止めなどの適宜の固定手段によって支持部10eに固定される。すなわち、オーディオアンプ6は、第1ブラケット10aを介して、支持部10eに載置される。斜面部10fは、第1取付部10cと支持部10eとの間に、上方から下方に向けて傾斜する。
【0034】
オーディオアンプ6は、シート4の下方に位置する。さらに、オーディオアンプ6はシート下空間Vに配置され、オーディオアンプ6の前後方向Qの前側で第1フロアクロスメンバ2aがフロアパネル2から突設しているため、コネクタ6cの脱着作業性が悪い。しかし、第2ブラケット10bは、第1取付部10cと支持部10eとの間に斜面部10fを設けることで、コネクタ6c脱着時の作業スペースを大きくとることができ、コネクタ6cの脱着作業がしやすくなる。また、斜面部10fは、コネクタ6cよりも下方に、コネクタ6cと上下方向に見て重なるように設けられる。このように斜面部10fを、コネクタ6cよりも下方に重なるように設けることで、ハーネス6bをコネクタ6cに結線する際に、作業者の手が斜面部10fに沿って滑り入りやすく、ハーネス6bの脱着作業がしやすくなる。
【0035】
図1および図2に示すように、カバー部材8は、オーディオアンプ6および第1ブラケット10aを、車両Cの上下方向Gの上方から覆うとともに、その上面8fがオーディオアンプ6の傾きに沿って傾斜する。本実施形態では、カバー部材8は、樹脂製の部材であり、オーディオアンプ6、および第1ブラケット10aの延在部10hが上面視で収まるように、オーディオアンプ6、および延在部10hに沿った形状に形成される。本実施形態では、カバー部材8は、オーディオアンプ6、および延在部10hを上下方向Gの上側U、前後方向Qの両側、左右方向Pの両側から覆うように、上下方向Gの上側Uから取り付けられる。さらにカバー部材8の上面8fの後端位置は、カーペット2cと略同等の高さに設けられる。このように、カバー部材8を設けることで、オーディオアンプ6がリアシートの乗員のつま先と干渉しない。また、リアシートの乗員のレッグスペースを狭めることなく、オーディオアンプ6を配置できる。また、リアシートの乗員のつま先がカバー部材8の上面8fに乗り上げても、オーディオアンプ6に乗員のつま先が直接触れず、リアシートの乗員の快適性を失わない。
【0036】
図4は、カバー部材8の上面図である。また、図5は、図2のA-A断面図である。図4および図5に示すように、カバー部材8は、上面端部8aと、一対の側面部8bと、突設部8cと、補強部8eと、を有する。また、カバー部材8は、一側面6aに対応した部分に、コネクタ6cが差し込み可能な開口8gを有する。カバー部材8は、第1ブラケット10aの円筒状に盛り上がった台座10iに固定されることで、オーディオアンプ6と直接触れることなく、隙間を空けて設けられる。このように隙間を空けることで、発熱したオーディオアンプ6とカバー部材8が接触し、カバー部材8がオーディオアンプ6から直接受熱することを防止する。また、このように隙間を空けることで、カバー部材8とオーディオアンプ6との間に断熱層が形成され、オーディオアンプ6からの熱がリアシートの乗員に向かって放出されることを防止している。また、カバー部材8は、第1ブラケット10aに固定されることで、オーディオアンプ6の上面に固定しないようにしている。すなわち、オーディオアンプ6の上面にカバー部材8を固定するための穴などを設けないようにすることで、穴からオーディオアンプ6の内部に水分が進入することを防止している。
【0037】
上面端部8aは、オーディオアンプ6の一側面6aに沿って設けられる。本実施形態では、上面端部8aは、カバー部材8の上面8fの前後方向Qの前側の前端面である。上面端部8aは少なくとも、一側面6aより前後方向Qの前側に位置し、コネクタ6cの一部を覆うことで、コネクタ6cに水分が付着することを防止する。一対の側面部8bは、オーディオアンプ6の長辺に沿って延びるカバー部材8の側面である。側面部8bは、オーディオアンプ6および第1ブラケット10aを左右方向Pから覆う。カバー部材8の前後方向Qの後側の後端面8hは、オーディオアンプ6の反対面6eに対向して設けられる(図1図2参照)。このように、後端面8hは、オーディオアンプ6に対向することでオーディオアンプ6の熱がリアシートの乗員に向けて放出されることを防止する。
【0038】
突設部8cは、カバー部材8の上面8fの上面端部8aの近傍に、上面端部8aから前後方向Qの後側(反対面6e側)に離間して設けられる。図1に示すように、突設部8cは、カバー部材8の上面8fから上方に向かって突出し、突設部8cは上面端部に沿って延びる。このように、上面端部8aから離間した位置に突設部8cを設けることで、上面端部8aに突設部8cを設けるよりも、フロアパネル2から突設部8cの頂点までの高さHを抑えることができる。これによって、カバー部材8と、シート4との干渉が抑制される。突設部8cの前後方向Qの位置は、カバー部材8の上面8fと、シート4との距離を考慮して、極力上面端部8aに近づけるように設定するとよい。本実施形態では、フロアパネル2から突設部8cの頂点までの高さHが、フロアパネル2から上面端部8aまでの高さと同等となるように、オーディオアンプ6およびカバー部材8が傾斜する。これによって、シートとの干渉を確実に避けつつ、突設部8cが極力上面端部8aに近づく。
【0039】
図4に示すように、突設部8cは、カバー部材8上面8fの左右方向Pの中央部N(突設部8cの延在方向中央部)から左右方向Pの端部に向かうほど上面端部8aから前後方向Qの後側に離間する傾斜部8dを含む。カバー部材8は、オーディオアンプ6の傾きに沿って設けられるため、傾斜部8dによって突設部8cが上面端部8aから離間するにつれて、突設部8cの位置は上下方向Gで下方になる。このように、突設部8cを設けることで、カバー部材8に付着した水分がコネクタ6cに向かって流れ、コネクタ6cに水分がかかることを抑制できる。とくに、突設部8cよりもコネクタ6c側に付着した水分は、傾斜部8dに沿って下方に流されるので、コネクタ6c側に流れにくい。これによって、カバー部材8に付着した水分がコネクタ6cにかかることをより確実に抑制できる。
【0040】
図5に示すように、補強部8eは、一対の側面部8bのカバー部材8の内側に設けられる。補強部8eは、一対の側面部8bから第1ブラケット10a側に向けて突出するとともに上下方向Gに延び、一対の側面部8bとカバー部材8の上面8fの内側に接続される。このように、補強部8eが設けられることで、カバー部材8の上面8fに乗員の足などが載せられた場合であっても、カバー部材8が変形することを防止している。また、補強部8eは、左右方向Pからみて第1ブラケット10aとの間に位置する。これによって、カバー部材8が左右方向Pに動こうとすると、補強部8eが第1ブラケット10aに当接する。このため、カバー部材8と、オーディオアンプ6の位置関係がずれにくい。また、補強部8eの突出量が上下方向G下側に向かうに連れて小さくなっているので、カバー部材8の取付作業性が向上し、補強部8eによる位置決めも行われやすい。
【0041】
図1および図2に示すように、吹出口12は、空調風を車両Cの車室内に送り出す。本実施形態では、吹出口12は、フロントシートの下方に設けられ、リアシート(図示せず)の乗員の足元に空調風を供給することで、リアシートの乗員の快適性を維持するものである。吹出口12は、シート4の下方の空間に、オーディオアンプ6と左右方向P(車幅方向)に隣り合うとともに、オーディオアンプ6の反対面6eよりも前後方向Qの前側に配置される。吹出口12は、空調風が所定範囲X(図1および図2の二点鎖線で示す範囲)に拡がり第2フロアクロスメンバ2bの上面(より詳細には第2フロアクロスメンバ2bの前後方向Q後側の床面)に届くように指向して設けられる。カバー部材8は、所定範囲Xを避けて配置される。より具体的には、図2に示すように、オーディオアンプ6は、オーディオアンプ6の反対面6eが吹出口12よりも下方に位置するように傾斜している。空調風は、左右方向Pにみて、カバー部材8の上面に重なるように、車両後方に向けて拡がる。カバー部材8は、図1に示すように、カバー部材8の前後方向Qの後側にある後端面8hが所定範囲Xの下を通るように傾斜している。このように、カバー部材8は、吹出口12から出た空調風の流れを阻害しないように設けられる。これによって、リアシートの乗員に向けて効率的に空調風を供給できる。
【0042】
以上説明した通り、本発明のオーディオアンプ6の配置構造1によれば、車室内の空間をオーディオアンプ6によって狭めることを抑制しながらも、オーディオアンプ6のコネクタ6cとハーネス6bを結線可能である。
【0043】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態および変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0044】
(a)上記実施形態では、一側面6aを前後方向Qの前側に配置したが、一側面6aを後側に配置してもよい。
【0045】
(b)上記実施形態では、オーディオアンプ6をフロントシート4の下方に設けたが、リアシートの下方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1:配置構造,2:フロアパネル(床部材),2a:第1フロアクロスメンバ
4:シート,6:オーディオアンプ(電子機器),6a:一側面,6b:ハーネス
6c:コネクタ,6e:反対面,8:カバー部材,8a:上面端部,8b:側面部
8c:突設部,8d:傾斜部,8e:補強部,8f:カバー部材の上面
10:ブラケット,10b:第1取付部,10e:支持部,10f:斜面部,
12:吹出口,C:車両,G:上下方向,Q:前後方向,P:左右方向(車幅方向)
V:シート下空間
図1
図2
図3
図4
図5