(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230816BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20230816BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/02
(21)【出願番号】P 2019118173
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】山添 信行
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 紀美子
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-119198(JP,A)
【文献】特開2009-046187(JP,A)
【文献】特開2009-028450(JP,A)
【文献】特開2019-079405(JP,A)
【文献】特開2004-030485(JP,A)
【文献】特開2010-204733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠した状態で予約して使用可能な空間を形成するブースと、
前記空間内に設けられ、当該空間内に置き忘れられた物を保管する保管庫と、
前記保管庫を前記ブースの外から開閉可能な外扉と、
前記外扉を施錠可能な外施錠手段と、
前記空間を過去に予約して使用したユーザからの要求に応じて前記外施錠手段を遠隔的に解錠させる外解錠手段と、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記空間を過去に予約して使用したユーザから、当該空間内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段と、
前記外施錠手段を解錠するための解錠条件を決定する決定手段と、
をさらに備え、
前記外解錠手段は、前記解錠条件が成立した場合に前記外施錠手段を解錠する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記決定手段は、前記受付手段が受け付けた申告の忘れ物の種類に応じて前記解錠条件を決定する
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記空間を過去に予約して使用したユーザから、当該空間内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた申告において申告された忘れ物が前記空間内に置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が存在すると判断した場合に、前記申告をしたユーザに前記申告された忘れ物が存在することを通知する通知手段と、
を備え、
前記外解錠手段は、前記通知手段が通知したユーザが前記ブースに来た場合に前記外施錠手段を解錠
し、
前記判断手段は、前記置き忘れられた物の特徴を把握するとともに、把握した当該置き忘れられた物の特徴と、前記申告された忘れ物の特徴とを用いて判断し、
前記判断手段は、前記保管庫内を撮影する撮影手段が撮影した画像を用いて前記置き忘れられた物の特徴を把握する
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記空間を過去に予約して使用したユーザから、当該空間内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた申告において申告された忘れ物が前記空間内に置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が存在すると判断した場合に、前記申告をしたユーザに前記申告された忘れ物が存在することを通知する通知手段と、
を備え、
前記外解錠手段は、前記通知手段が通知したユーザが前記ブースに来た場合に前記外施錠手段を解錠し、
前記判断手段は、前記置き忘れられた物の特徴を把握するとともに、把握した当該置き忘れられた物の特徴と、前記申告された忘れ物の特徴とを用いて判断し、
前記判断手段は、前記申告したユーザの後に前記空間を使用した他のユーザが撮影した画像を用いて前記置き忘れられた物の特徴を把握する
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記判断手段は、前記申告された忘れ物の種類に応じて、当該申告された忘れ物が前記置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断する判断条件を変える
請求項
4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記保管庫を前記空間内から開閉可能な内扉と、
前記内扉を施錠可能な内施錠手段と、
前記置き忘れられた物を前記保管庫に保管させるために前記内施錠手段を遠隔的に解錠させる内解錠手段と、
を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記空間を過去に予約して使用したユーザから、当該空間内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が前記申告を受け付けた場合に、当該申告したユーザの後に前記空間を使用している他のユーザに当該空間内に置き忘れられた物を前記保管庫に入れることを依頼する旨を報知する報知手段と、をさらに備え、
前記内解錠手段は、前記報知手段が報知した後に、前記内施錠手段を解錠させる
請求項
7に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、サーバ装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗などに設置のMFPで原稿、印刷物、記録媒体または釣銭などの忘れ物があった場合でも、忘れ物の紛失を予防することができる装置等を提供することを目的として、特許文献1に記載された装置は以下のように構成されている。すなわち、店舗に設置されるMFPはCPUを含み、CPUの指示の下、MFPを利用するユーザの忘れ物の有無を検出する忘れ物検出センサによって忘れ物が有ることが検出された場合に、MFPと通信可能に接続されるPOS端末およびハンディターミナルに忘れ物についての忘れ物情報を送信する送信手段を備える、技術が記載されている。
【0003】
また、任意の第3者に探し物の捜索を依頼することを可能とする探し物支援システムを提供することを目的として、特許文献2に記載されたシステムは以下のように構成されている。すなわち、クライアント通信端末は、探し物を特定するための情報と、探し物を捜索する地域を判定するための情報とを伴う捜索依頼を、通信ネットワークを通じて探し物支援サーバに送る。探し物支援サーバは、受信した探し物を特定するための情報に基づく捜索対象物の特徴情報を伴う捜索依頼メールを生成すると共に、受信した探し物を捜索する地域を判定するための情報に基づいて、探し物を捜索する地域を判定する。探し物支援サーバは、その探し物を捜索する地域に存在する管理対象の通信端末のメールアドレスを、通信事業会社の管理装置から取得し、その取得したメールアドレスの全てに宛てて、捜索依頼メールを通信ネットワークを通じて送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-215520号公報
【文献】特開2013-109685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
時間毎に予約して施錠した状態で使用可能な空間に忘れた物を、忘れ物をしたユーザが、その空間を他のユーザが使用しているときに、その空間内から受け取り可能な構成にすると、他のユーザの手間を取らせてしまうことになる。
本発明は、時間毎に予約される空間での忘れ物を受け渡す際に、他のユーザの手間を取らせることを抑制することができる管理システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、施錠した状態で予約して使用可能な空間を形成するブースと、前記空間内に設けられ、当該空間内に置き忘れられた物を保管する保管庫と、前記保管庫を前記ブースの外から開閉可能な外扉と、前記外扉を施錠可能な外施錠手段と、前記空間を過去に予約して使用したユーザからの要求に応じて前記外施錠手段を遠隔的に解錠させる外解錠手段と、を備えるシステムである。
請求項2に記載の発明は、前記空間を過去に予約して使用したユーザから、当該空間内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段と、前記外施錠手段を解錠するための解錠条件を決定する決定手段と、をさらに備え、前記外解錠手段は、前記解錠条件が成立した場合に前記外施錠手段を解錠する請求項1に記載のシステムである。
請求項3に記載の発明は、前記決定手段は、前記受付手段が受け付けた申告の忘れ物の種類に応じて前記解錠条件を決定する請求項2に記載のシステムである。
請求項4に記載の発明は、前記空間を過去に予約して使用したユーザから、当該空間内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた申告において申告された忘れ物が前記空間内に置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が存在すると判断した場合に、前記申告をしたユーザに前記申告された忘れ物が存在することを通知する通知手段と、を備え、前記外解錠手段は、前記通知手段が通知したユーザが前記ブースに来た場合に前記外施錠手段を解錠し、前記判断手段は、前記置き忘れられた物の特徴を把握するとともに、把握した当該置き忘れられた物の特徴と、前記申告された忘れ物の特徴とを用いて判断し、前記判断手段は、前記保管庫内を撮影する撮影手段が撮影した画像を用いて前記置き忘れられた物の特徴を把握する請求項1に記載のシステムである。
請求項5に記載の発明は、前記空間を過去に予約して使用したユーザから、当該空間内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた申告において申告された忘れ物が前記空間内に置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が存在すると判断した場合に、前記申告をしたユーザに前記申告された忘れ物が存在することを通知する通知手段と、を備え、前記外解錠手段は、前記通知手段が通知したユーザが前記ブースに来た場合に前記外施錠手段を解錠し、前記判断手段は、前記置き忘れられた物の特徴を把握するとともに、把握した当該置き忘れられた物の特徴と、前記申告された忘れ物の特徴とを用いて判断し、前記判断手段は、前記申告したユーザの後に前記空間を使用した他のユーザが撮影した画像を用いて前記置き忘れられた物の特徴を把握する請求項1に記載のシステムである。
請求項6に記載の発明は、前記判断手段は、前記申告された忘れ物の種類に応じて、当該申告された忘れ物が前記置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断する判断条件を変える請求項4又は5に記載のシステムである。
請求項7に記載の発明は、前記保管庫を前記空間内から開閉可能な内扉と、前記内扉を施錠可能な内施錠手段と、前記置き忘れられた物を前記保管庫に保管させるために前記内施錠手段を遠隔的に解錠させる内解錠手段と、を備える請求項1に記載のシステムである。
請求項8に記載の発明は、前記空間を過去に予約して使用したユーザから、当該空間内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段と、前記受付手段が前記申告を受け付けた場合に、当該申告したユーザの後に前記空間を使用している他のユーザに当該空間内に置き忘れられた物を前記保管庫に入れることを依頼する旨を報知する報知手段と、をさらに備え、前記内解錠手段は、前記報知手段が報知した後に、前記内施錠手段を解錠させる請求項7に記載のシステムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、施錠した状態で予約して使用可能な空間を過去に使用し、物を置き忘れたユーザが、例えば当該空間を他のユーザが使用しているときに当該空間内に入って受け取る場合と比べて、当該他のユーザの手間を取らせることを抑制することができる。
請求項2の発明によれば、例えば解錠条件を決定しない場合と比較して、真の持ち主ではない者に忘れ物を受け渡すことを抑制することができる。
請求項3の発明によれば、例えば忘れ物の種類に応じて解錠条件を決定しない場合と比較して、忘れ物の種類に関わらず、真の持ち主への確度高い受け渡しとユーザの利便性との両立を図ることができる。
請求項4の発明によれば、例えば通知手段が通知したユーザがブースに来ない場合と比較して、忘れ物を真の持ち主へ確度高く受け渡すことができる。また、例えば人が判断する場合と比較して、人の手を煩わせることなく申告された忘れ物が置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断することができる。また、例えば管理者がブースに出向いて撮影する場合と比較して、置き忘れられた物の特徴を簡易に把握することができる。
請求項5の発明によれば、例えば通知手段が通知したユーザがブースに来ない場合と比較して、忘れ物を真の持ち主へ確度高く受け渡すことができる。また、例えば人が判断する場合と比較して、人の手を煩わせることなく申告された忘れ物が置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断することができる。また、例えば管理者がブースに出向いて撮影する場合と比較して、置き忘れられた物の特徴を低廉に把握することができる。
請求項6の発明によれば、例えば忘れ物の種類に応じて判断条件を変えない場合と比較して、申告された忘れ物が置き忘れられた物の中に存在するか否かを確度高く判断することができる。
請求項7の発明によれば、例えば内扉を施錠可能な内施錠手段を備えていない場合と比較して、置き忘れられた物を安全に保管することができる。
請求項8の発明によれば、例えば報知手段が報知した後に内施錠手段を解錠させる構成ではない場合と比較して、置き忘れられた以外の物が保管庫に入れられることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】管理システムの全体構成の一例を概略的に示す図である。
【
図2】ユーザに対して貸し出される時間貸し空間を構成する躯体の構成の一例を概略的に示す図である。
【
図3】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】管理システムを構成するサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】管理システムを構成する時間貸し空間の構成の一例を示す図である。
【
図6】空間管理サーバのソフトウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】受渡し制御部が行う受渡し処理を示すフローチャートの一例である。
【
図8】第2の実施形態に係る躯体の一例を概略的に示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る空間管理サーバのソフトウェア構成の一例を示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係る受渡し制御部が行う受渡し処理を示すフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
〔管理システムの全体構成〕
図1は、管理システム1の全体構成の一例を概略的に示す図である。
図1に示すように、管理システム1は、クラウドネットワーク2に接続された各種の端末で構成される。
図1には、管理システム1を構成する端末の例として、複数台の時間貸し空間3と、時間貸し空間3を利用する個々のユーザが携帯する複数台のユーザ端末4と、個々の時間貸し空間3の予約を管理する予約管理サーバ5とが示されている。また、管理システム1を構成する端末の例として、個々の時間貸し空間3の利用の状況を管理する空間管理サーバ6と、ユーザに対する請求を管理する請求管理サーバ7と、時間貸し空間3を利用できる会員の情報を管理する会員管理サーバ8とが示されている。
なお、本実施形態における時間貸し空間3は、保守等で使用される時間を除き、24時間365日の利用が可能である。
【0010】
図1の場合、目的別(機能別)に1台のサーバが用意されているが、目的別に複数台のサーバを用意してもよい。また、1台のサーバで複数の目的(機能)を分担してもよい。
時間貸し空間3の時間貸しサービスを提供する事業者は、単独でも複数でもよい。例えば予約の管理、入退室や室内の利用状況などの管理、ユーザに対する利用料金の請求に関する管理、ユーザとして登録されている会員の管理のそれぞれを異なる事業者が分担してもよい。なお、1つの目的(機能)についての管理を複数の事業者が協働で提供してもよい。
また、1つの目的(機能)に対して複数のサーバを用意してもよい。単独の事業者が1つの目的(機能)に対して複数のサーバを用意する場合や複数の目的(機能)に対応する複数のサーバを用意する場合には、イントラネットを介して接続すればよい。
また、時間貸し空間3も単独の事業者が提供する場合だけでなく、複数の事業者によって提供されてもよい。
すなわち、管理システム1は、複数の事業者が提供するサービスの集合体として実現されてもよい。
【0011】
本実施形態においては、施錠や解錠に電子鍵を使用する。電子鍵は、ユーザ端末4や不図示の近距離無線通信に対応したIC(Integrated Circuit)カードに格納する。ユーザ端末4を電子鍵として使用する場合には、予約の確定後に、予約管理サーバ5からユーザ端末4に電子鍵が提供される。ICカードを電子鍵として使用する場合には、予約の確定後に、電子鍵を記録したICカードが予約管理サーバ5から配布される。
電子鍵の場合には、施錠や解錠を有効に行える時間を自由に定めることができる。また、1つの時間貸し空間3の利用に必要な電子鍵を同じ時間帯に対して複数発行することもできる。
なお、物理的な鍵を予約された時間別に複数用意し、時間貸し空間3を施錠又は解錠できるようにしてもよい。また、ユーザの認証を鍵の代わりに使用してもよいし、電子鍵や物理的な鍵を補足する手段として使用してもよい。
【0012】
予約管理サーバ5は、例えば利用可能な時間貸し空間3を登録した登録リスト51と、個々の時間貸し空間3の利用を希望する予約者の割り当てを管理する予約リスト52とを管理する。
本実施形態の場合、予約管理サーバ5は、保守等に確保された時間を除き、24時間365日、時間貸し空間3の予約を受け付ける。また、必要に応じて、ユーザ端末4に対する電子鍵の発行や認証の処理を実行する。なお、認証の処理は空間管理サーバ6の側で行ってもよい。
【0013】
空間管理サーバ6は、例えば個々の時間貸し空間3への入退室の情報を管理する情報61と、個々の時間貸し空間3の利用状況の情報62とを管理する。また、空間管理サーバ6は、時間貸し空間3を形成する後述の躯体30(
図2参照)に配置されている認証ユニット32A(
図2参照)と通信し、ユーザの入室を許可するか否かを管理する機能も有している。また、空間管理サーバ6は、躯体30(
図2参照)に配置されている操作ユニット32B(
図2参照)と通信し、後述する保管庫外扉37を解錠するか否かを管理する機能も有している。これらの管理する機能に関連し、空間管理サーバ6は、予約管理サーバ5と通信する。
この他、空間管理サーバ6は、時間貸し空間3内に配置されている各種の機器31からの情報の収集や各種の機器31の制御を実行する機能を有している。
図1の例では、空間管理サーバ6はクラウドネットワーク2に接続されているが、機能の一部又は全部が、時間貸し空間3に収容されていてもよい。
【0014】
請求管理サーバ7は、予約情報と、ユーザの情報と、入退室の情報等に基づいて会員別(自然人の場合もあれば法人の場合もある)に請求書を発行する機能を有している。請求管理サーバ7は、予約管理サーバ5から予約情報を取得し、空間管理サーバ6から入退室の情報を取得し、会員管理サーバ8から会員情報を取得する。
会員管理サーバ8は、登録されている会員の情報とユーザの情報とを管理する。会員が自然人の場合には、会員とユーザは一致する。一方、会員が法人の場合には、会員別に個々のユーザが登録され、管理される。
【0015】
図2は、ユーザに対して貸し出される時間貸し空間3を構成する躯体30の構成の一例を概略的に示す図である。
本実施形態における時間貸し空間3は、例えば駅の構内、空港、オフィスビル、飲食店やデパート等の商業施設、銀行、図書館、美術館、博物館、公共機関や施設、連絡通路、公園等、室内外を問わずに配置される。
本実施形態では、時間貸し空間3として防音性に優れた小部屋を想定する。この意味で、時間貸し空間3は、閉鎖型の空間の一例である。本実施形態において、閉鎖型とは、密閉の意味ではなく、実用的な防音性能を備える意味で使用する。従って、通気口や小窓等の開口や隙間が、時間貸し空間3を構成する躯体30の一部分に設けられていてもよい。
【0016】
本実施形態における躯体30は、天井30Aと、床面30Bと、開閉可能な扉32が取り付けられている壁面30Cと、壁面30Cの両側に位置する2つの壁面30D及び30Eと、扉32の対面側に位置する壁面30Fとで構成される。
本実施形態の場合、扉32として、1枚の扉部材が弧を描くように開閉する片開きの開き戸を想定する。もっとも、扉32は、1つの開口部を2枚の扉部材で仕切る両開きの開き戸でもよい。
また、扉32は、引き戸でもよい。引き戸は、1枚の扉をスライドする片引きタイプでも、2枚以上の扉を行き違わせて開閉する引き違いタイプでも、2枚の扉を左右にスライドする引き分けタイプでもよい。
また、扉32は、蝶番で連結された2枚1組の扉部材を折り畳むように開く折れ戸でもよい。折れ戸にも、片方にのみ開くタイプと、両方向に開くタイプがある。
また、特殊なタイプとして、収納時に扉32が壁の中に引き込まれる引き込み戸や間仕切り戸であってもよい。
なお、扉32は内開きでも外開きでも構わない。
【0017】
本実施形態の場合、壁面30D及び30Eの一部は、例えば透光性の部材(例えばガラス、アクリル樹脂)で構成される。
もっとも、壁面30D及び30Eの少なくとも一部には、目隠し(外部から室内の観察を難しくする又は視認性を低下させる)の機能を実現する構造、材質、加工などが採用されていてもよい。
例えば壁面30D及び30Eの材質自体が半透明の部材でもよいし、光が散乱するように部材の表面に細かい傷がつけられた部材でもよいし、同等の機能を備えるフィルム状の部材が貼り付けられていてもよい。なお、フィルム状の部材は、透過と白濁を電気的に切り替え可能な液晶フィルムや透過率を電気的に制御可能な偏光フィルムでもよい。
また、目隠しのための構造や部材が別に用意されていてもよい。もっとも、壁面30D及び30Eも、他の面と同じく光を通さない部材で構成されてもよい。もっとも、3面以上が透明又は半透明の部材で構成されていてもよい。
【0018】
時間貸し空間3の利用人数は、時間貸し空間3の容積によっておおよそ決まる。本実施形態では、基本的に1人が使用する個室型を想定しているが、多人数を収容可能な大部屋でもよい。大部屋は単独の部屋として構成されていてもよいが、時間貸し空間3の壁面30D及び30Eの一方又は両方を取り除いて連結して構成されていてもよい。
なお、個室型とは1人しか利用できない意味ではなく、少人数、例えば2~3人の利用が可能な意味で使用する。
個々の時間貸し空間3を構成する躯体30の形状や構造、提供される設備や性能は任意である。
本実施形態の場合、躯体30の内部には、机33と椅子34が1つずつ配されている。また、机33の上には、機器31の一例である印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31Gが配されている。なお、コンピュータ本体31Eに記憶されているデータや履歴の情報は、システム側の制御によって、利用の終了後に全て消去される。ユーザの情報を保護するためである。
この他、機器31として、空調装置31A、人感センサ31B、室内の照明に使用される照明器具31C、機器31を含む電子機器の動作を制御する制御装置31H、認証ユニット32A、操作ユニット32Bが配置される。
なお、機器31として例示した具体的な電子機器は一例である。
【0019】
また、本実施形態における躯体30は、時間貸し空間3内に置き忘れられた物、言い換えれば忘れ物を保管する保管庫35を有する。また、躯体30は、躯体30の内部、言い換えれば、時間貸し空間3の内部から保管庫35を開閉可能な保管庫内扉36と、躯体30の外部、言い換えれば、時間貸し空間3の外部から保管庫35を開閉可能な保管庫外扉37とを有する。
保管庫35は、時間貸し空間3を利用した者が時間貸し空間3の内部に置き忘れられた物を収容可能な場所であり、その容積は、忘れ物として想定される物の大きさ以上に設定される。忘れ物として想定される物は、財布、スマートフォン、パソコン、鞄、書類、衣服、自宅や乗り物の鍵、であることを例示することができる。保管庫35の内部には、保管庫35内の物を撮影するとともに、撮影した画像のデータを出力するカメラ351が設置されている。また、保管庫35の内部には、保管庫35内の物の重さを計測し、その重さに関するデータを出力する計量計352が設置されている。カメラ351及び計量計352は、予め定められた時間(例えば1分)毎にデータを出力することを例示することができる。また、カメラ351及び計量計352は、保管庫35内に物が置かれたり、保管庫35内から物が取り除かれたりする等して、保管庫35内に変化が生じた場合にのみデータを出力するようにしてもよい。
【0020】
保管庫内扉36及び保管庫外扉37は、扉32と同様に、1枚の扉部材が弧を描くように開閉する片開きの開き戸であることを例示することができる。もっとも、保管庫内扉36及び保管庫外扉37は、それぞれ、両開きの開き戸でもよい。ただし、保管庫内扉36及び保管庫外扉37は、保管庫35内に保管されている忘れ物が損傷することを抑制するべく、外開きであることが好ましい。また、保管庫内扉36及び保管庫外扉37は、引き戸や折れ戸でもよい。
保管庫内扉36及び保管庫外扉37は、それぞれ、遠隔操作により解錠や施錠が行われる。解錠や施錠は、例えば、空間管理サーバ6により行われることを例示することができる。
本実施形態においては、保管庫外扉37は、扉32が取り付けられている壁面30Cの側方に位置する壁面30Dに取り付けられている。また、本実施形態においては、保管庫外扉37に、操作ユニット32Bが取り付けられている。保管庫外扉37の表面には、忘れ物を受け渡す場所であることを報知する文字や、忘れ物を受け取る場合には、操作ユニット32Bを操作するべき旨の文字等が付されている。
【0021】
〔端末の構成〕
図3~
図5を使用して、管理システム1を構成する端末の構成例を説明する。
図3は、ユーザ端末4のハードウェア構成の一例を示す図である。
本実施形態では、ユーザ端末4として、例えばスマートフォンを使用する。
ユーザ端末4は、ファームウェアやアプリケーションプログラムの実行を通じて各種の機能を提供するCPU(Central Processing Unit)41と、ファームウェアやBIOS(Basic Input Output System)を格納する記憶領域であるROM(Read Only Memory)42と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)43とを有している。
また、ユーザ端末4は、ダウンロードしたアプリケーションプログラムや電子鍵等を記憶する揮発性の記憶装置44と、外部との通信に使用される通信インタフェース(通信IF)45と、タッチパネル等の入力デバイス46と、情報の表示に使用される表示デバイス47と、撮像カメラ48とを有している。記憶装置44には、例えば半導体メモリが用いられる。
ここで、CPU41と各種のデバイスはバス49を通じて接続されている。
【0022】
図4は、管理システム1を構成するサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4では、空間管理サーバ6の構成を代表的に表している。もっとも、他のサーバ、すなわち、予約管理サーバ5、請求管理サーバ7、会員管理サーバ8の構成も
図4に示す構成と同様である。
空間管理サーバ6は、オペレーションシステムやアプリケーションプログラムの実行を通じて各種の管理機能を提供するCPU51Aと、オペレーションシステムやBIOSを格納する記憶領域であるROM52Aと、プログラムの実行領域であるRAM53を有している。
また、空間管理サーバ6は、担当する管理機能を実現するアプリケーションプログラムや各種の管理データを記憶する揮発性のハードディスクドライブ(HDD)54と、外部との通信に使用される通信インタフェース(通信IF)55と、キーボード等の入力デバイス56と、情報の表示に使用される表示デバイス57とを有している。
ここで、CPU51Aと各種のデバイスはバス58を通じて接続されている。
【0023】
図5は、管理システム1を構成する時間貸し空間3の構成の一例を示す図である。
時間貸し空間3は、空調装置31A、人感センサ31B、照明器具31C、印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31G、制御装置31H、認証ユニット32A、操作ユニット32Bを有している。
ここで、空調装置31Aは、室内の気温や湿度の調整に使用される。なお、空調装置31Aとともに、又は、空調装置31Aとは別に換気に特化した機構を設けてもよい。
人感センサ31Bは、室内の人の検知に用いられるセンサであり、様々なタイプが存在する。例えば人の動きを検知可能な焦電型赤外線人感センサ、人の数と位置を検知可能な画像型人感センサやサーモパイル型人感センサがある。目的に応じて、これらのセンサのうちのいずれか、または、複数を組み合わせて使用する。
【0024】
印刷装置31D、コンピュータ本体31E、表示デバイス31F、入力デバイス31Gは、ユーザの操作用に予め室内に用意されている情報機器の一例である。これらはLAN(Local Area Network)31V(例えばLANケーブルや無線LAN)を通じて接続されている。なお、ユーザがコンピュータを持ち込む場合には、持ち込まれたコンピュータがLAN31Vに接続される。無線LANには、例えばWiFi(商標)やブルートゥース(登録商標)が用いられる。
制御装置31Hは、LAN31Vに接続された機器から情報を収集するとともに、個々の機器の動作を制御する制御用のコンピュータである。なお、制御装置31Hは、管理システム1によっては、空間管理サーバ6としての機能を提供することもある。
【0025】
認証ユニット32Aは、例えば扉32に取り付けられている。認証ユニット32Aは、扉32の施錠や解錠に必要となる情報の取得や受け渡しに使用される。例えば認証の処理は、予約管理サーバ5で実行され、認証の結果だけが認証ユニット32Aに通知される。認証ユニット32Aは、認証が成功した場合、扉32を解錠する。解錠の後、扉32の開閉が可能になり、時間貸し空間3(
図2参照)への入室が可能になる。
【0026】
操作ユニット32Bは、液晶パネルのような表示装置とタッチパッドのような位置入力装置とを組み合わせた入力装置であることを例示することができる。また、操作ユニット32Bは、タッチペンにて筆記された文字等を記憶する。そして、操作ユニット32Bは、保管庫外扉37の解錠に必要となる、ユーザの署名や操作、時間貸し空間3の管理者による暗証番号の入力等に使用される。操作ユニット32Bに対して入力されたユーザの署名や暗証番号等は、空間管理サーバ6に出力される。なお、保管庫外扉37の解錠に必要となる暗証番号の入力を行う者は、時間貸し空間3の管理者に限定されない。管理者から指示を受けた者であってもよい。以下、「管理者」と称する場合には、管理者から指示を受けた者をも含む。
【0027】
この他、時間貸し空間3には、外部との通信用の通信インタフェース(通信IF)31Iが用意されている。通信IF31Iは、クラウドネットワーク2(
図1参照)に接続されており、各種のサーバとの通信に使用される。
時間貸し空間3には、扉32の開閉を機械的に制御する扉開閉機構31Jが用意されている。また、時間貸し空間3には、保管庫内扉36の開閉を機械的に制御する内扉開閉機構31Kが用意されている。また、時間貸し空間3には、保管庫外扉37の開閉を機械的に制御する外扉開閉機構31Lが用意されている。扉開閉機構31J、内扉開閉機構31K、外扉開閉機構31Lには、例えば対応する扉を駆動して開閉する機構やユーザによる扉の開閉操作に介在して開閉に要する負荷の大きさを調整する機構が含まれる。
【0028】
時間貸し空間3には、表示デバイス31Mが用意される。本実施形態における表示デバイス31Mは、入室しようとするユーザの操作用や情報の提供用に使用される。また、表示デバイス31Mは、時間貸し空間3を利用しているユーザの操作用や情報の提供用に使用される。また、表示デバイス31Mは、時間貸し空間3を利用したユーザの忘れ物の受け取りのための操作用や情報の提供用に使用される。
時間貸し空間3には、スピーカ31Nが用意される。スピーカ31Nは、室内のユーザに対する情報の報知や室外にいる人への情報の報知に使用される。
時間貸し空間3には、マグネットセンサ31Rが用意される。マグネットセンサ31Rは、扉32、保管庫内扉36、保管庫外扉37それぞれに取り付けられており、磁力の検知を通じて扉32、保管庫内扉36、保管庫外扉37の開閉を検知する。
【0029】
〔制御機能〕
ここでは、
図6を使用して、管理システム1を構成する一のサーバにより、又は、複数のサーバの協働により実現される制御機能について説明する。
ここでは、空間管理サーバ6が単独で制御機能を提供する場合について説明する。
図6は、空間管理サーバ6のソフトウェア構成の一例を示す図である。
空間管理サーバ6は、CPU51Aによるプログラムの実行を通じて該当する機能を実現する。
本実施形態に係る空間管理サーバ6は、予約されていた時間の経過後に、時間貸し空間3を過去に予約して使用したユーザからの要求に応じて、時間貸し空間3に置き忘れた物の受け渡しに備えた制御機能を有している。本実施形態では、この機能を、空間管理サーバ6の受渡し制御部110が担う。
【0030】
受渡し制御部110は、ユーザから、時間貸し空間3に荷物を置き忘れた旨の申告を受け付ける申告受付部111と、申告受付部111が申告を受け付けた場合に、申告したユーザに対して、受け渡すための条件を提示する受渡し条件提示部112とを有する。また、受渡し制御部110は、ユーザから置き忘れたと申告された物と、時間貸し空間3に置き忘れられていた物とが一致するか否かを判断する判断部113を有する。また、受渡し制御部110は、時間貸し空間3に置き忘れられていた物を受け渡すための条件を決定する決定部114を有する。また、受渡し制御部110は、内扉開閉機構31Kを遠隔的に制御することにより保管庫内扉36を遠隔的に解錠する内扉解錠部115と、外扉開閉機構31Lを遠隔的に制御することにより保管庫外扉37を遠隔的に解錠する外扉解錠部116とを有する。
【0031】
申告受付部111は、ユーザ端末4(
図1参照)からの忘れ物の申告の受け付け処理を実行する。申告受付部111は、忘れ物の種類(例えば、財布、スマートフォン、パソコン、鞄、書類、衣服、自宅や乗り物の物理的な鍵等)、その忘れ物の特徴(例えば、形状、大きさ、重さ、色、模様、傷等)を受け付ける。申告受付部111は、忘れ物の種類や特徴を、メッセージや音声メール等の形式で受信することを例示することができる。また、申告受付部111は、忘れ物の画像を受信してもよい。なお、ユーザは、ユーザ端末4に表示された、忘れ物連絡用のボタンを操作することにより、時間貸し空間3に物を置き忘れた旨の申告をすることが可能になっている。
また、申告受付部111は、操作ユニット32Bを介して忘れ物の申告を受け付けてもよい。ユーザが、ユーザ端末4(例えばスマートフォン)を時間貸し空間3に置き忘れることも考えられるからである。
【0032】
受渡し条件提示部112は、申告受付部111が受け付けた申告を行ったユーザに対して、保管庫35を介して、忘れ物を受け取ることができる時間や条件を提示する。
ここで、保管庫35を介して忘れ物の受け渡しを行うには、先ず、忘れ物を保管庫35に収容することが必要となる。この忘れ物の保管庫35への収容は、忘れ物をしたユーザの後に利用しているユーザが行うことを例示することができる。申告受付部111が申告を受け付けたときに、忘れ物をしたユーザとは異なる他のユーザが、忘れ物がある時間貸し空間3を利用している場合に、その他のユーザに保管庫35へ収容することを依頼する態様である。かかる態様の場合、受渡し条件提示部112は、先ず、時間貸し空間3を利用している他のユーザに対して、スピーカ31Nや表示デバイス31Mを用いて、「忘れ物を保管庫35に入れてください」と報知するとともに、内扉解錠部115に保管庫内扉36を解錠させる。これにより、他のユーザは、保管庫内扉36を開けて、保管庫35に忘れ物を入れ、保管庫内扉36を閉めると考えられる。なお、他のユーザへの報知は、メッセージや音声メール等の形式で行ってもよい。
【0033】
また、忘れ物の保管庫35への収容は、管理者が行うことを例示することができる。申告受付部111が申告を受け付けたときに、忘れ物がある時間貸し空間3が利用されておらず、次の予約開始時間まで、予め定められた時間以上ある場合には、管理者が保管庫35へ収容する態様である。予め定めた時間は、3時間であることを例示することができる。管理者は、複数台の時間貸し空間3を巡回している者であることを例示することができる。かかる態様の場合、申告受付部111が申告を受け付けた後に、受渡し条件提示部112は、内扉解錠部115に保管庫内扉36を解錠させるとともに、管理者に、その時間貸し空間3に向かい、忘れ物を保管庫35に入れ、保管庫内扉36を閉めるように指示する。受渡し条件提示部112は、管理者に、メッセージや音声メール等の形式で、指示することを例示することができる。また、例えば巡回している管理者が忘れ物を見つけ、保管庫35に入れる態様であってもよい。
【0034】
そして、受渡し条件提示部112は、保管庫35に忘れ物が入れられる時間を推定するとともに、その推定時間以降に、ユーザが忘れ物を受け取ることができることを通知する。また、受渡し条件提示部112は、決定部114が決定した、忘れ物を受け渡すための条件である解錠条件を通知する。
受渡し条件提示部112が保管庫35に忘れ物が入れられると推定する時間は、申告受付部111が申告を受け付けたときに、忘れ物をしたと申告された時間貸し空間3が利用されている場合には、例えば、申告受付部111が申告を受け付けた後、10分後であることを例示することができる。利用しているユーザが忘れ物を保管庫35に入れた後に、判断部113が判断する時間と、決定部114が条件を決定する時間とを考慮したものである。
また、推定時間は、申告受付部111が申告を受け付けたときに、忘れ物をしたと申告された時間貸し空間3が利用されていない場合であって、次の予約が予め定められた時間(例えば3時間)内である場合には、次の予約開始時間+10分後であることを例示することができる。次に利用するユーザが忘れ物を保管庫35に入れた後に、判断部113が判断する時間と、決定部114が条件を決定する時間とを考慮したものである。
また、推定時間は、申告受付部111が申告を受け付けたときに、忘れ物をしたと申告された時間貸し空間3が利用されていない場合であって、次の予約開始時間が予め定められた時間(例えば3時間)以降である場合には、予め定められた時間後であることを例示することができる。管理者が忘れ物を保管庫35に入れた後に、判断部113が判断する時間と、決定部114が条件を決定する時間とを考慮したものである。
なお、受渡し条件提示部112は、ユーザ端末4に対して、メッセージや音声メール等の形式で通知することを例示することができる。ただし、ユーザ端末4が忘れ物である場合も考慮し、受渡し条件提示部112は、操作ユニット32Bを介して入力されたメールアドレス(例えば会社や自宅のメールアドレス)や電話番号(例えば会社や自宅の電話番号)を介して通知してもよい。
【0035】
判断部113は、カメラ351、計量計352から取得したデータを用いて、保管庫35に入れられた物の特徴を把握する。そして、判断部113は、ユーザから置き忘れたと申告された物と、カメラ351及び計量計352から出力されたデータにより把握する物とが一致するか否かを判断する。判断部113は、一致すると判断するための一致条件を、忘れ物の種類に応じて決定することを例示することができる。例えば、忘れ物が、財布、スマートフォン、パソコン、鞄、書類、衣服、鍵である場合には、一致条件は、形状、色、重さのいずれかが同一であると判断できる範囲内であること、又は、形状、色、重さの少なくとも2つが同一であると判断できる範囲内であることを例示することができる。また、形状、色、重さのいずれかが同一であると判断できる範囲内であること、かつ、模様、傷等が同一であると判断できる範囲内であることを一致条件としてもよい。形状が同一であると判断する範囲、色が同一であると判断する範囲、重さが同一であると判断する範囲は、予めHDD54に記憶しておく。例えば、重さが同一であると判断する範囲は、申告された物の重さが、計量計352が計測した重さにその計測した重さのプラスマイナス10%を加算した重さの範囲内であることを例示することができる。
また、例えば、忘れ物が、スマートフォンである場合には、一致条件として、電話番号が同一であることを加えてもよい。電話番号が同一であるか否かは、例えば、その電話番号に電話をかけ、保管庫35に入っているスマートフォンが反応するか否かをカメラ351又は計量計352から出力されたデータに基づいて確認することを例示することができる。
【0036】
決定部114は、時間貸し空間3の内部に置き忘れられていた物を受け渡すための条件、言い換えれば、保管庫外扉37を解錠するための解錠条件を決定する。決定部114は、忘れ物の種類に応じて解錠条件を決定する。
例えば、忘れ物が、財布、パソコン、鞄である場合には、忘れ物の申告をしたユーザが保管庫外扉37に来るとともに、時間貸し空間3の管理者が保管庫外扉37の解錠に立ち会うことが解錠条件であることを例示することができる。
また、忘れ物が、例えば、鍵、スマートフォンである場合には、管理者が、遠隔的に、ユーザから忘れ物として申告された物と保管庫35に保管されている物とが一致することを確認するとともに、忘れ物の申告をしたユーザの署名を取得することが解錠条件であることを例示することができる。管理者は、ユーザから忘れ物として申告された物の特徴と、カメラ351及び計量計352から出力されたデータとを用いて、申告された忘れ物と、保管庫35に保管されている物とが一致するか否かを判断する。
また、忘れ物が、例えば、書類である場合には、忘れ物の申告をしたユーザの署名を取得することが解錠条件であることを例示することができる。
ユーザの署名は、例えば、保管庫外扉37に取り付けられている操作ユニット32Bに、忘れ物の申告をしたユーザが署名することで得ることを例示することができる。
【0037】
内扉解錠部115は、受渡し条件提示部112から保管庫内扉36を解錠させるべき旨の指示を受けた場合に保管庫内扉36を解錠させる。
外扉解錠部116は、決定部114が決定した解錠条件が成立した場合に、保管庫外扉37を解錠する。
外扉解錠部116は、例えば、忘れ物が、財布、パソコン、鞄である場合には、忘れ物の申告をしたユーザが保管庫外扉37の前に到着するとともに、時間貸し空間3の管理者が保管庫外扉37の前に到着し、両者が操作ユニット32Bを操作した場合に保管庫外扉37を解錠する。例えば、外扉解錠部116は、忘れ物の申告をしたユーザが、操作ユニット32Bに表示された、「忘れ物受け取り」と記載されたボタンを押すとともに、管理者が操作ユニット32Bに対して暗証番号を入力した場合に保管庫外扉37を解錠する。なお、外扉解錠部116は、忘れ物の申告をしたユーザが保管庫外扉37の前に到着したか否かは、例えば、当該ユーザのユーザ端末4に提供された前回の予約時の電子鍵を使用してもよい。
【0038】
外扉解錠部116は、例えば、忘れ物が、鍵、スマートフォンである場合には、管理者が、遠隔的に、申告された物と、保管庫35に保管されている物とが一致することを確認した旨を認識するとともに、忘れ物の申告をしたユーザが、操作ユニット32Bに署名した場合に保管庫外扉37を解錠する。管理者は、申告受付部111が申告を受け付けた後、カメラ351及び計量計352からのデータを取得した後に、申告された物と、保管庫35に保管されている物とが一致するか否かを判断し、一致する場合には予め定められた処理を行う。予め定められた処理としては、表示デバイス57に表示された「一致」ボタンを押すことであることを例示することができる。そして、外扉解錠部116は、「一致」ボタンが押された場合に、申告された物と、保管庫35に保管されている物とが一致することが確認されたと認識する。
外扉解錠部116が保管庫外扉37を解錠した後、ユーザは、保管庫外扉37の開閉が可能になり、保管庫35から忘れ物を取り出すことが可能になる。
【0039】
図7は、受渡し制御部110が行う受渡し処理を示すフローチャートの一例である。
受渡し制御部110は、この処理を、予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
受渡し制御部110は、先ず、時間貸し空間3に荷物を置き忘れた旨の申告を受け付けたか否かを判別する(S701)。これは、申告受付部111が行う処理である。
申告を受け付けた場合(S701でYes)、受渡し制御部110は、荷物を置き忘れたと申告された時間貸し空間3が予約されているか否かを判別する(S702)。予約されている場合(S702でYes)、受渡し制御部110は、利用しているユーザに対して、表示デバイス31Mやスピーカ31Nを用いて、「忘れ物を保管庫35に入れてください」と報知する(S703)。その後、受渡し制御部110は、保管庫内扉36を解錠する(S704)。
【0040】
一方、予約されていない場合(S702でNo)、受渡し制御部110は、次の予約開始時間が、予め定められた時間内であるか否かを判別する(S705)。予め定められた時間内ではない場合(S705でNo)、受渡し制御部110は、管理者に、時間貸し空間3にある置き忘れられた物を保管庫35に入れるべき旨を通知する(S706)。他方、予め定められた時間内である場合(S705でYes)、受渡し制御部110は、S703以降の処理を行う。かかる場合には、次の予約開始時間以降に、表示デバイス31Mやスピーカ31Nを用いて、「忘れ物を保管庫35に入れてください」と報知し(S703)、保管庫内扉36を解錠する(S704)。
【0041】
S704で保管庫内扉36が解錠された後、カメラ351及び計量計352から、保管庫35に入れられた物に関するデータを受信したか否かを判別する(S707)。
受信した場合(S707でYes)、受渡し制御部110は、一致条件が成立したか否かを判定する(S708)。これは、判断部113が行う処理である。一致条件が成立した場合(S708でYes)、受渡し制御部110は、保管庫外扉37を解錠して忘れ物を受け渡すための解錠条件を決定する(S709)。これは、決定部114が行う処理である。
【0042】
その後、申告してきたユーザに対して、カメラ351が撮影した忘れ物の画像を送信して、保管庫35に収容されていることを通知するとともに、保管庫35を介して受渡しできる時間や解錠条件を提示する(S710)。上記S702、S703、S705、S706、S707及びS710の処理は、受渡し条件提示部112が行う処理である。
【0043】
その後、受渡し制御部110は、申告してきたユーザが、保管庫外扉37に到着したか否かを判別する(S711)。到着した場合(S711でYes)、受渡し制御部110は、解錠条件を満たしているか否かを判別する(S712)。解錠条件を満たしている場合(S712でYes)、受渡し制御部110は、保管庫外扉37を解錠する(S713)。これら、S711、S712及びS713の処理は、外扉解錠部116が行う処理である。
【0044】
一方、解錠条件を満たしていない場合(S712でNo)、受渡し制御部110は、解錠条件を満たしていない理由に応じた処理を行う(S714)。例えば、解錠条件を満たしていない理由が、管理者が確認していないことである場合には、管理者に確認をお願いする旨の通知を行う。また、解錠条件を満たしていない理由が、管理者が保管庫外扉37に到着していないことである場合には、管理者に保管庫外扉37まで来ることをお願いする旨の通知を行う。また、解錠条件を満たしていない理由が、申告してきたユーザが署名をしていないことである場合には、そのユーザに署名することをお願いする旨の通知を行う。これらの通知は、操作ユニット32Bを介して行うことを例示することができる。また、これらの通知は、メッセージや音声メール等の形式で行ってもよい。
【0045】
その後、予め定められた待機時間が経過したか否かを判別する(S715)。待機時間が経過していない場合(S715でNo)、受渡し制御部110は、S712以降の処理を行う。他方、待機時間が経過した場合(S715でYes)、受渡し制御部110は、申告してきたユーザに、受渡しできない旨と、受渡し可能な日時について通知し(S716)、処理を終了する。
一方、一致条件が成立していない場合(S708でNo)、受渡し制御部110は、申告してきたユーザに対して、申告された物に該当する忘れ物が存在しない旨を通知する(S717)。
【0046】
以上、説明したように、第1の実施形態に係る管理システム1は、施錠した状態で予約して使用可能な空間の一例としての時間貸し空間3を形成するブースの一例としての躯体30と、時間貸し空間3内に設けられ、時間貸し空間3内に残された忘れ物を保管する保管庫35と、を備える。また、管理システム1は、保管庫35を躯体30の外から開閉可能な外扉の一例としての保管庫外扉37と、保管庫外扉37を施錠可能な外施錠手段の一例としての外扉開閉機構31Lと、時間貸し空間3を過去に予約して使用したユーザからの要求に応じて外扉開閉機構31Lを遠隔的に解錠させる外解錠手段の一例としての外扉解錠部116と、を備える。
【0047】
以上のように構成された管理システム1においては、時間貸し空間3内に忘れ物があったとしても、その忘れ物を保管庫35にて保管することが可能であるので、忘れ物が安全に保管され得る。また、管理システム1は、躯体30の外から保管庫35を開閉可能な保管庫外扉37を備えているので、忘れ物をしたユーザが、躯体30の外から忘れ物を受け取ることを可能にする。それゆえ、たとえ、時間貸し空間3が他のユーザによって使用されていたとしても、忘れ物を受け渡す際に、その他のユーザの手間を取らせることが抑制される。
【0048】
また、管理システム1は、時間貸し空間3を過去に予約して使用したユーザから、時間貸し空間3内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける受付手段の一例としての申告受付部111と、申告受付部111が申告を受け付けた後に、外扉開閉機構31Lを解錠するための解錠条件を決定する決定手段の一例としての決定部114と、をさらに備える。そして、外扉解錠部116は、決定部114が決定した解錠条件が成立した場合に外扉開閉機構31Lを解錠する。それゆえ、管理システム1によれば、真の持ち主ではない者に忘れ物が受け渡されることが抑制される。
【0049】
また、決定部114は、申告受付部111が受け付けた申告の忘れ物の種類に応じて解錠条件を決定する。解錠条件を厳しくすればするほど、真の持ち主ではない者に忘れ物が受け渡される確率が低くなるので、忘れ物の安全な受け渡しが保証され易くなる。一方で、解錠条件を厳しくすればするほど、受け渡しに要する処理が煩雑になり易くなる。管理システム1によれば、忘れ物の種類に応じて解錠条件を決定するので、忘れ物の安全な受け渡しと受け渡し処理の煩雑さとのバランスを考慮して解錠条件を臨機応変に定めることが可能になる。それゆえ、管理システム1によれば、忘れ物の種類に関わらず、忘れ物の安全な受け渡しとユーザの利便性との両立が図られ易くなる。
【0050】
また、申告受付部111が受け付けた申告において申告された忘れ物が時間貸し空間3内に置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断する判断手段の一例としての判断部113と、判断部113が存在すると判断した場合に、申告をしたユーザに申告された忘れ物が存在することを通知する通知手段の一例としての受渡し条件提示部112と、を備える。そして、外扉解錠部116は、受渡し条件提示部112が通知したユーザが躯体30に来た場合に外扉開閉機構31Lを解錠する。それゆえ、管理システム1によれば、真の持ち主ではない者に忘れ物が受け渡されることが抑制される。
【0051】
また、判断部113は、申告された忘れ物の種類に応じて、申告された忘れ物が置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断する判断条件を変える。言い換えれば、判断部113は、申告された忘れ物の種類に応じて、申告された物と保管庫35に収容された物とが一致するか否かを判断する一致条件を変える。ゆえに、管理システム1によれば、申告された忘れ物が置き忘れられた物の中に存在するか否かを確度高く判断することが可能になる。
【0052】
また、判断部113は、置き忘れられた物の特徴を把握するとともに、把握した置き忘れられた物の特徴と、申告された忘れ物の特徴とを用いて判断する。ゆえに、管理システム1によれば、人の手を煩わせることなく申告された忘れ物が置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断することが可能になる。例えば、判断部113は、保管庫35内を撮影するカメラ351が撮影した画像を用いて置き忘れられた物の特徴を把握する。ゆえに、管理システム1によれば、人の手を煩わせることなく申告された忘れ物が時間貸し空間3内に置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断することが可能になる。また、保管庫35内を撮影するカメラ351を備えれば、単に置き忘れられた物を保管庫35に入れるだけでその特徴を把握できるので、簡易な構成で特徴の把握が可能になる。
【0053】
また、管理システム1は、保管庫35を時間貸し空間3内から開閉可能な内扉の一例としての保管庫内扉36と、保管庫内扉36を施錠可能な内施錠手段の一例としての内扉開閉機構31Kと、置き忘れられた物を保管庫35に保管させるために内扉開閉機構31Kを遠隔的に解錠させる内解錠手段の一例としての内扉解錠部115と、を有する。ゆえに、管理システム1によれば、忘れ物の安全な保管を保証し易くなる。
【0054】
また、管理システム1は、申告受付部111が申告を受け付けた場合に、申告したユーザの後に時間貸し空間3を使用している他のユーザに時間貸し空間3内に置き忘れられた物を保管庫35に入れることを依頼する旨を報知する報知手段の一例としての表示デバイス31M、スピーカ31Nをさらに備え、内扉解錠部115は、表示デバイス31M、スピーカ31Nが報知した後に、内扉開閉機構31Kを解錠させる。ゆえに、管理システム1によれば、時間貸しサービスを提供する事業者の手を煩わせることなく時間貸し空間3内に置き忘れられた物を保管庫35に入れることが可能になるとともに、安全に保管することが可能となる。
【0055】
また、空間管理サーバ6は、時間貸し空間3を使用したユーザから、時間貸し空間3内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける申告受付部111と、保管庫35を躯体30の外から開閉可能な保管庫外扉37を施錠可能な外扉開閉機構31Lを、ユーザからの要求に応じて解錠させる外扉解錠部116と、を備えるサーバ装置の一例である。空間管理サーバ6によれば、たとえ、時間貸し空間3が他のユーザによって使用されていたとしても、忘れ物の受け渡しの際に、当該他のユーザの手間を取らせることが抑制される。
【0056】
なお、上記実施形態においては、忘れ物の種類に応じて解錠条件を決定しているが、さらに、時間貸し空間3を構成する躯体30がどこに配置されているかに応じて決定してもよい。例えば、ある企業が所有又は入居する建物内において、その企業の関係者のみしか立ち入ることができない場所など私的な場所に配置されている場合には、例えば駅の構内、空港、図書館、美術館等の公共施設に配置されている場合よりも、解錠条件を緩くしてもよい。例えば、躯体30が公共施設に配置されている場合には管理者が保管庫外扉37の解錠に立ち会うことが解錠条件であるとしても、躯体30が私的な場所に配置されている場合には管理者が立ち会うことを解錠条件としなくてもよい。また、躯体30が公共施設に配置されている場合には忘れ物をしたユーザの署名が解錠条件であるとしても、躯体30が私的な場所に配置されている場合にはユーザの署名を解錠条件としなくてもよい。
【0057】
<第2の実施形態>
図8は、第2の実施形態に係る躯体230の一例を概略的に示す図である。
図9は、第2の実施形態に係る空間管理サーバ6のソフトウェア構成の一例を示す図である。
第2の実施形態に係る躯体230は、第1の実施形態に係る躯体30に対して、保管庫35内に、カメラ351及び計量計352が設けられていない点が異なる。また、第1の実施形態に係る受渡し制御部110に相当する受渡し制御部210は、第1の実施形態に係る受渡し条件提示部112に相当する受渡し条件提示部212と、第1の実施形態に係る判断部113に相当する判断部213とを有する。
以下、第2の実施形態に係る管理システム200について、第1の実施形態に係る管理システム1と異なる点について説明する。管理システム200と管理システム1とで、同じ機能を有するものについては同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0058】
第2の実施形態に係る管理システム200においては、申告受付部111が申告を受け付けたときに、忘れ物をしたユーザとは異なる他のユーザが、忘れ物が置かれてある時間貸し空間3を利用している場合に、当該他のユーザに保管庫35への収容を依頼するとともに、忘れ物の画像の撮影や、申告された特徴(形状、大きさ、重さ、色、模様、傷等)の有無の確認を依頼する態様を想定する。かかる態様の場合、第2の実施形態に係る受渡し条件提示部212は、先ず、時間貸し空間3を利用している他のユーザに対して、忘れ物の画像の撮影や、申告された特徴の有無の確認、及び、撮影した画像や確認結果の送信を依頼する。また、受渡し条件提示部212は、忘れ物を保管庫35に入れることを依頼するとともに、内扉解錠部115に保管庫内扉36を解錠させる。これにより、他のユーザは、ユーザ端末4(例えばスマートフォン)にて忘れ物を撮影したり、申告された特徴の有無を確認したりし、撮影した画像や確認結果の送信をすると考えられる。なお、他のユーザへの依頼は、スピーカ31Nや表示デバイス31Mを用いて行ってもよいし、他のユーザのユーザ端末4に、メッセージや音声メール等の形式で行ってもよい。その際、撮影した画像や確認結果の送信先をも含ませると良い。例えば、他のユーザは、メッセージに記載されたリンクを開いて、空間管理サーバ6へアクセスし、忘れ物の撮影、申告された特徴の有無の確認、撮影した画像や確認結果の送信を行う。
【0059】
また、第2の実施形態に係る管理システム200においては、忘れ物の保管庫35への収容、忘れ物の画像の撮影、申告された特徴の有無の確認を依頼するのは、管理者であってもよい。申告受付部111が申告を受け付けたときに、忘れ物が置かれてある時間貸し空間3が利用されておらず、次の予約開始時間まで、予め定められた時間以上ある場合には、管理者に依頼する態様である。管理者は、複数台の時間貸し空間3を巡回している者であることを例示することができる。かかる態様の場合、受渡し条件提示部212は、管理者に、その時間貸し空間3に向かい、忘れ物の撮影、申告された特徴の有無の確認、撮影した画像や確認結果の送信を行った後に、忘れ物を保管庫35に入れ、保管庫内扉36を閉めるように依頼する。受渡し条件提示部212は、管理者に、メッセージや音声メール等の形式で、依頼することを例示することができる。また、例えば巡回している管理者が忘れ物を見つけ、忘れ物の撮影、申告された特徴の有無の確認、撮影した画像や確認結果の送信を行った後に、保管庫35に入れる態様であってもよい。
【0060】
第2の実施形態に係る判断部213は、ユーザから置き忘れたと申告された物と、申告したユーザの後に時間貸し空間3を利用したユーザ又は管理者が撮影した画像、申告された特徴の有無の確認結果等とを用いて、ユーザから置き忘れたと申告された物と、時間貸し空間3に置き忘れられていた荷物とが一致するか否かを判断する。
【0061】
図10は、第2の実施形態に係る受渡し制御部210が行う受渡し処理を示すフローチャートの一例である。
受渡し制御部210は、この処理を、予め定めた期間(例えば1ミリ秒)毎に繰り返し実行する。
受渡し制御部210は、先ず、時間貸し空間3に荷物を置き忘れた旨の申告を受け付けたか否かを判別する(S701)。申告を受け付けた場合(S701でYes)、受渡し制御部210は、荷物を置き忘れたと申告された時間貸し空間3が予約されているか否かを判別する(S702)。予約されている場合(S702でYes)、受渡し制御部210は、利用しているユーザに対して、忘れ物の画像の撮影や、申告された特徴の有無の確認、及び、撮影した画像や確認結果の送信を依頼する(S1003)。その後、受渡し制御部210は、保管庫内扉36を解錠する(S704)。
【0062】
一方、予約されていない場合(S702でNo)、受渡し制御部210は、次の予約開始時間が、予め定められた時間内であるか否かを判別する(S705)。予め定められた時間内ではない場合(S705でNo)、受渡し制御部210は、管理者に、忘れ物の画像の撮影や、申告された特徴の有無の確認、及び、撮影した画像や確認結果の送信を依頼する(S1006)。他方、予め定められた時間内である場合(S705でYes)、受渡し制御部210は、S1003以降の処理を行う。かかる場合には、次の予約開始時間以降に、忘れ物の画像の撮影や、申告された特徴の有無の確認、及び、撮影した画像や確認結果の送信を依頼し(S1003)、保管庫内扉36を解錠する(S704)。
【0063】
その後、忘れ物をしたユーザの後に利用している他のユーザ又は管理者から、忘れ物の画像や申告された特徴の有無の確認結果を受信したか否かを判別する(S1007)。
受信した場合(S1007でYes)、受渡し制御部210は、一致条件が成立したか否かを判定する(S708)。これは、判断部213が行う処理である。一致条件が成立した場合(S708でYes)、受渡し制御部210は、保管庫外扉37を解錠して忘れ物を受け渡すための解錠条件を決定する(S709)。これは、決定部114が行う処理である。
【0064】
その後、申告してきたユーザに対して、他のユーザ又は管理者が撮影した忘れ物の画像を送信して、保管庫35に収容されていることを通知するとともに、保管庫35を介して受渡しできる時間や解錠条件を提示する(S710)。上記S702、S1003、S705、S1006、S1007及びS710の処理は、受渡し条件提示部212が行う処理である。
【0065】
その後、受渡し制御部210は、申告してきたユーザが、保管庫外扉37に到着したか否かを判別する(S711)。到着した場合(S711でYes)、受渡し制御部210は、解錠条件を満たしているか否かを判別する(S712)。解錠条件を満たしている場合(S712でYes)、受渡し制御部210は、保管庫外扉37を解錠する(S713)。これら、S711、S712及びS713の処理は、外扉解錠部116が行う処理である。
【0066】
一方、解錠条件を満たしていない場合(S712でNo)、受渡し制御部210は、解錠条件を満たしていない理由に応じた処理を行う(S714)。その後、予め定められた待機時間が経過したか否かを判別する(S715)。待機時間が経過していない場合(S715でNo)、受渡し制御部210は、S712以降の処理を行う。他方、待機時間が経過した場合(S715でYes)、受渡し制御部210は、申告してきたユーザに、受渡しできない旨と、受渡し可能な日時について通知し(S716)、処理を終了する。
一方、一致条件が成立していない場合(S708でNo)、受渡し制御部210は、申告してきたユーザに対して、申告された物に該当する忘れ物が存在しない旨を通知する(S717)。
【0067】
以上のように構成された管理システム200においても、忘れ物を保管庫35にて保管することが可能であるので、忘れ物が安全に保管されるとともに、忘れ物をしたユーザに、躯体230の外から忘れ物を受け取ることを可能にする。それゆえ、たとえ、時間貸し空間3が他のユーザによって使用されていたとしても、忘れ物の受け渡しの際に、その他のユーザの手間を取らせることが抑制される。
本実施形態に係る判断部213は、申告したユーザの後に時間貸し空間3を使用した他のユーザが撮影した画像を用いて置き忘れられた物の特徴を把握する。ゆえに、管理システム200によれば、人の手を煩わせることなく申告された忘れ物が時間貸し空間3内に置き忘れられた物の中に存在するか否かを判断することが可能になる。また、画像は、他のユーザが例えばユーザ端末4にて撮影した画像であることから、カメラ351を設置するのと比較して低廉に把握することが可能になる。
【0068】
以上説明した、空間管理サーバ6の受渡し制御部110,210が行なう処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現することができる。この場合、空間管理サーバ6のCPU51Aが、受渡し制御部110,210の各機能を実現するプログラムを実行し、これらの各機能を実現させる。例えば、プログラムを記録した非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体を空間管理サーバ6に提供し、CPU51Aが記録媒体に格納されたプログラムを読み出す。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラム自体、及びそれを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMを例示することができる。また、クラウドネットワーク2を介して、空間管理サーバ6にダウンロードさせてもよい。
【0069】
そして、本発明を構成するプログラムは、コンピュータに、施錠した状態で使用可能な時間貸し空間3を使用したユーザから、時間貸し空間3内に忘れ物をしたことの申告を受け付ける機能と、時間貸し空間3内に設けられて時間貸し空間3内に置き忘れられた物を保管する保管庫35を躯体30の外から開閉可能な保管庫外扉37を施錠可能な外扉開閉機構31Lを、ユーザからの要求に応じて解錠させる機能と、を実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0070】
1,200…管理システム、2…クラウドネットワーク、3…時間貸し空間、6…空間管理サーバ、31K…内扉開閉機構、31L…外扉開閉機構、35…保管庫、36…保管庫内扉、37…保管庫外扉、110,210…受渡し制御部、111…申告受付部、112,212…受渡し条件提示部、113,213…判断部、114…決定部、115…内扉解錠部、116…外扉解錠部、351…カメラ、352…計量計