(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】オットマン装置
(51)【国際特許分類】
A47C 7/50 20060101AFI20230816BHJP
B60N 3/06 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A47C7/50 A
B60N3/06
(21)【出願番号】P 2019171691
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-02-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 博史
(72)【発明者】
【氏名】山田 純
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-344589(JP,A)
【文献】特開2004-135737(JP,A)
【文献】特開2006-051062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/50
B60N 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オットマン装置であって、
シートクッションの前部に支持されたフレームと、該フレームを覆い着座者のふくらはぎに当接して支持するカバー部材と、を有し、
前記フレームは、シート幅方向中央部に位置するメイン支持部と、該メイン支持部の左右側部に位置する左右一対のサイド支持部と、を有しており、
前記メイン支持部に対して前記左右一対のサイド支持部は、前記メイン支持部の前記ふくらはぎに当接する面に対して略垂直方向に相対移動可能に構成されており、
前記カバー部材は、前記メイン支持部に対して前記左右一対のサイド支持部が相対移動したとき前記ふくらはぎを左右から支持する凹面形状を形成することが可能であり、
前記メイン支持部に対する前記左右一対のサイド支持部の相対移動量は、前記フレームにおける前記シートクッションの前部に支持された側から
、前記シート幅方向
と直交する方向のうち前記メイン支持部の前記ふくらはぎに当接する面に
沿う方向に遠ざかるにつれて徐々に大きくなるように構成されているオットマン装置。
【請求項2】
請求項1において、前記左右一対のサイド支持部はシート幅方向に延びる回動軸を中心に回動可能に前記シートクッションの前部に支持されており、
前記左右一対のサイド支持部を前記回動軸を中心に回動させることによって前記左右一対のサイド支持部は前記メイン支持部に対して相対移動するオットマン装置。
【請求項3】
請求項1において、前記メイン支持部及び/又は前記左右一対のサイド支持部は、空気の出し入れにより前記メイン支持部の前記ふくらはぎに当接する面に対して略垂直方向に膨張又は収縮する空気袋を有して構成されているオットマン装置。
【請求項4】
請求項3において、前記メイン支持部に対する前記左右一対のサイド支持部の膨張又は収縮する方向は、前記凹面形状が形成されたとき前記オットマン装置のシート幅方向の長さが広がるように設定されているオットマン装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記カバー部材には前記ふくらはぎを暖めるヒータが配設されているオットマン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オットマン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗物用シート等において、着座者の下腿部裏側のふくらはぎを支持するオットマン装置が設けられたものがある。例えば、特許文献1に記載のオットマン装置においては、展開位置において表面がほぼ平坦である下腿部支持体を着座者のふくらはぎに当接させて着座者の下腿部を持ち上げ支持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたオットマン装置においては、下腿部支持体の表面がほぼ平坦であるため、着座者のふくらはぎと下腿部支持体との当接部の面積が小さく、例えばオットマン装置にヒータ機能を備えたとき伝熱が不十分になるという問題があった。また、乗物の旋回時等において着座者の下腿部が下腿部支持体から側方に外れるおそれがあるという問題もあった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、着座者の下腿部裏側のふくらはぎに当接する面積が大きく着座者の下腿部を安定して支持することが可能なオットマン装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、オットマン装置であって、シートクッションの前部に支持されたフレームと、該フレームを覆い着座者のふくらはぎに当接して支持するカバー部材と、を有し、前記フレームは、シート幅方向中央部に位置するメイン支持部と、該メイン支持部の左右側部に位置する左右一対のサイド支持部と、を有しており、前記メイン支持部に対して前記左右一対のサイド支持部は、前記メイン支持部の前記ふくらはぎに当接する面に対して略垂直方向に相対移動可能に構成されており、前記カバー部材は、前記メイン支持部に対して前記左右一対のサイド支持部が相対移動したとき前記ふくらはぎを左右から支持する凹面形状を形成することが可能であることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、オットマン装置は、フレームのメイン支持部に対して左右一対のサイド支持部が相対移動したとき、カバー部材が凹面形状となって着座者のふくらはぎを左右から支持することができるので着座者の下腿部が安定して支持される。また、フレームのメイン支持部に対して左右一対のサイド支持部が相対移動していない状態では、通常のオットマン装置として使用することができる。なお、ここでいう相対移動とは、メイン支持部に対してサイド支持部が突出する場合と、サイド支持部に対してメイン支持部が埋没する場合と、を含むことをいう。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記メイン支持部に対する前記左右一対のサイド支持部の相対移動量は、前記フレームにおける前記シートクッションの前部に近い側から遠い側に向かうにつれて徐々に大きくなるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、オットマン装置において、シートクッションの前部に近い側より遠い側の方が凹面形状の曲率を大きくすることができる。これによって、乗物の旋回時等において、より左右方向への移動が生じやすい着座者の下腿部の先端側を安定して支持することができる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記左右一対のサイド支持部はシート幅方向に延びる回動軸を中心に回動可能に前記シートクッションの前部に支持されており、前記左右一対のサイド支持部を前記回動軸を中心に回動させることによって前記左右一対のサイド支持部は前記メイン支持部に対して相対移動することを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、簡潔な構造で第1発明又は第2発明の作用効果を奏させることができる。
【0012】
本発明の第4発明は、上記第1発明又は上記第2発明において、前記メイン支持部及び/又は前記左右一対のサイド支持部は、空気の出し入れにより前記メイン支持部の前記ふくらはぎに当接する面に対して略垂直方向に膨張又は収縮する空気袋を有して構成されていることを特徴とする。
【0013】
第4発明によれば、前記メイン支持部の空気袋の膨張量より前記左右一対のサイド支持部の空気袋の膨張量を相対的に増やすことにより、カバー部材の凹面形状を形成することができる。これによって、簡潔な構造で第1発明又は第2発明の作用効果を奏させることができる。
【0014】
本発明の第5発明は、上記第4発明において、前記メイン支持部に対する前記左右一対のサイド支持部の膨張又は収縮する方向は、前記凹面形状が形成されたとき前記オットマン装置のシート幅方向の長さが広がるように設定されていることを特徴とする。
【0015】
第5発明によれば、オットマン装置を使用するときシート幅方向の長さを大きくすることができるので、通常時はコンパクトに配置して使用時に支持面積を拡大することができる。
【0016】
本発明の第6発明は、上記第1発明ないし上記第5発明のいずれかにおいて、前記カバー部材には前記ふくらはぎを暖めるヒータが配設されていることを特徴とする。
【0017】
第6発明によれば、カバー部材を凹面形状としたとき着座者のふくらはぎに当接する面積が拡大するのでより効果的に着座者のふくらはぎを暖めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態であるオットマン装置の斜視図である。格納状態を示す。カバー部材は省略している。
【
図2】上記実施形態のオットマン装置の斜視図である。展開状態を示す。カバー部材は省略している。
【
図3】上記実施形態のオットマン装置の斜視図である。展開状態においてサイド支持部を前方に移動させた突出状態を示す。カバー部材は省略している。
【
図6】本発明の第2実施形態の
図4に対応する断面図である。
【
図7】上記実施形態の
図5に対応する断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態の
図4に対応する断面図である。
【
図9】上記実施形態の
図5に対応する断面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態の
図4に対応する断面図である。
【
図11】上記実施形態の
図5に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~
図5は、本発明の第1実施形態を示す。本実施形態は、自動車用シート1に本発明を適用した例である。各図中、矢印により自動車のフロアFに自動車用シート1を取付けたときの自動車及び自動車用シート1の各方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
【0020】
図1に示すように、自動車用シート1は、着座乗員の着座部となるシートクッション2と、背凭れとなるシートバック3と、を有する。乗員が着座する通常状態において、シートバック3は、その左右両側の下端部が、それぞれ、回転止め可能な回転軸装置として機能するリクライナ(図示せず)を介してシートクッション2の左右両側の後端部に連結されている。シートクッション2の前端部には、オットマン装置10が取付けられている。オットマン装置10は、
図1に示すように未使用時にシートクッション2の前端部の下方に起立姿勢で格納される格納状態と、
図2に示すように使用時にシートクッション2に対して前下方に傾くように上方に引き上げられた展開状態と、を採れるように構成されている。
【0021】
図1~
図5に示すように、オットマン装置10は、骨格をなすフレーム11と、フレーム11を格納状態において前側から被覆するカバー部材12と、を有する。
【0022】
フレーム11は、左右方向中央部に配置されるメイン支持部11aと、メイン支持部11aの左右両側部に配置されるサイド支持部11bと、を有する。
【0023】
図1に示す格納状態において、メイン支持部11aは、断面が後方に向けて開口する略U字状で上下方向に延びる板状の部材として形成されている。メイン支持部11aは、その上端部側が左右一対のリクライニングアジャスタ13を介してシートクッション2の前端部に連結されている。左右一対のリクライニングアジャスタ13は左右方向に延びる連結シャフト14によって連結されている。連結シャフト14は、メイン支持部11aの後側(着座者と反対側)に配設された図示しないモータを作動させることで回転し左右一対のリクライニングアジャスタ13を回動させることでシートクッション2に対してメイン支持部11aは前後方向に回動する。
図1に示す格納状態から、メイン支持部11aをシートクッション2に対して前方向に回動させると
図2に示す展開状態になる。なお、左右一対のリクライニングアジャスタ13は、特開2016-49797号公報等の文献に開示された無段式の電動式リクライニングアジャスタと同様の構成のものである。
【0024】
図1~
図3に示すように、サイド支持部11bは、左右対称形状に形成されているので代表として右側のサイド支持部11bについて説明して左側のサイド支持部11bについては説明を省略する。サイド支持部11bは、略直方体形状の樹脂製のケース内に駆動装置(図示せず)が配置されて形成されている。そして、上端部側がメイン支持部11aに対して左右方向に延びるサイド支持部軸10aを中心に下端部側が前後方向に回動可能に支持されている。
図1に示す格納状態においては、サイド支持部11bの前面は、メイン支持部11aの前面とほぼ平行な位置にあり、このときのメイン支持部11aに対するサイド支持部11bの位置が通常位置P1である。この状態から、メイン支持部11aを
図2に示す展開状態にする。そして、サイド支持部11bがメイン支持部11aに対して通常位置P1にある状態でオットマン装置10を使用することができる。メイン支持部11aが展開状態にあるとき、サイド支持部11bの駆動装置を作動させると、サイド支持部11bはサイド支持部軸10aを中心に下端部側が前上方向に回動して
図3に示す突出位置P2になる。サイド支持部11bの駆動装置を作動は、インターロック機構によりメイン支持部11aが展開状態にあるときのみ可能とされている。しかし、必ずしもこのように構成する必要はなく、メイン支持部11aが格納状態にあるときにもサイド支持部11bの駆動装置を作動できるように構成してもよい。ここで、サイド支持部軸10aが、特許請求の範囲の「回動軸」に相当する。
【0025】
図4及び
図5に示すように、カバー部材12は、ウレタン発泡樹脂の成形体であるパッド体12aと、パッド体12aの表面を覆う表皮材12bと、表皮材12bとパッド体12aとの間に配置された面状のヒータ12cと、を有する。パッド体12aは、クッション材としての機能を有し、フレーム11に対して被せつけられその後面がメイン支持部11aの左右方向中央部においてメイン支持部11aの前面に対して接着により固定されている。表皮材12bは、ファブリックの裏面側(パッド体12a側)に薄肉のウレタンスラブパッドをラミネートした層状体でフレーム11に対して被せつけられたパッド体12aを被覆し端末部がフレーム11に取付けられている。表皮材12bの裏面側とパッド体12aの表面側との間には面状のヒータ12cが配置されている。サイド支持部11bをメイン支持部11aに対して、
図4に示す通常位置P1から
図5に示す突出位置P2に移動させたとき、カバー部材12はサイド支持部11bに当接する部分が前方向に押し上げられるように変形する。そして、カバー部材12の表面側(着座者のふくらはぎが当接する側)は左右方向中央部が後下方に向かって凹む凹面形状となる。このとき、サイド支持部11bは、サイド支持部軸10aに近い側である上側より遠い側である下側の方がメイン支持部11aに対する突出量が大きいので、凹面形状の曲率は上側より下側の方が大きくなる。
【0026】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。オットマン装置10は、フレーム11のメイン支持部11aに対して左右一対のサイド支持部11bが突出位置P2に移動したとき、カバー部材12が凹面形状となって着座者のふくらはぎを左右から支持することができるので着座者の下腿部が安定して支持される。また、フレーム11のメイン支持部11aに対して左右一対のサイド支持部11bが通常位置P1にあるとき、通常の表面形状が変化しないオットマン装置として使用することができる。
【0027】
また、オットマン装置10は、メイン支持部11aに対する左右一対のサイド支持部11bの突出位置P2における突出量は、サイド支持部軸10aから離れるほど大きくなる。これによって、乗物の旋回時等において、より左右方向への移動が生じやすい着座者の下腿部の先端側を支持する部分の凹面形状の曲率を大きくして安定して着座者の下腿部を支持することができる。さらに、左右一対のサイド支持部11bは、サイド支持部軸10aを中心に回動させることによって突出位置P2にすることができるので構造が簡潔である。加えて、カバー部材12には着座者のふくらはぎを暖めるヒータ12cが配設されている。これによって、カバー部材12が凹面形状とされたとき着座者のふくらはぎに当接する面積が拡大するので、より効果的に着座者のふくらはぎを暖めることができる。
【0028】
図6及び
図7に本発明の第2実施形態であるオットマン装置10Aを示す。第1実施形態との違いは、オットマン装置10においてはサイド支持部11bをメイン支持部11aに対して駆動装置により突出位置P2に移動させるのに対して、オットマン装置10Aにおいてはサイド支持部11Abを空気袋の膨張により突出位置P2に移動させる点にある。その他の構成については同一の符号を付して説明を省略する。サイド支持部11Abは、メイン支持部11aに固定された固定部11Ab1と、固定部11Ab1の前側に取付けられた空気袋11Ab2と、を有する。空気袋11Ab2には、図示しないポンプが連結されており、ポンプを作動させると空気袋11Ab2の中に空気が供給されて空気袋11Ab2が膨張し、ポンプの作動を止めると空気が抜けて空気袋11Ab2が収縮するようになっている。
図6に示す空気袋11Ab2が収縮した状態がサイド支持部11Abの通常位置P1であり、
図7に示す空気袋11Ab2が膨張した状態がサイド支持部11Abの突出位置P2である。オットマン装置10Aは、フレーム11のメイン支持部11aに対して左右一対のサイド支持部11Abが突出位置P2に移動したとき、カバー部材12が凹面形状となって着座者のふくらはぎを左右から支持することができる。なお、空気袋11Ab2が膨張したときの固定部11Ab1からカバー部材12までの長さを連結シャフト14から離れるにしたがって長くなるように形成しておくことによってオットマン装置10と同様に左右一対のサイド支持部11Abの突出位置P2における突出量を、連結シャフト14から離れるほど大きくすることができる。本実施形態も、第1実施形態における構造の簡潔さを除いて第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0029】
図8及び
図9に本発明の第3実施形態であるオットマン装置10Bを示す。第2実施形態との違いは、オットマン装置10Aにおいてはカバー部材12がパッド体12aを有するのに対し、オットマン装置10Bにおいてはカバー部材12Bがパッド体12aを有さずその代わりにメイン支持部11aに空気袋11Baが配設されている点である。その他の構成については同一の符号を付して説明を省略する。空気袋11Baには、空気袋11Ab2と同様に、図示しないポンプが連結されており、ポンプを作動させると空気袋11Baの中に空気が供給されて空気袋11Baが膨張し、ポンプの作動を止めると空気が抜けて空気袋11Baが収縮するようになっている。
図8に示す空気袋11Ab2が収縮し空気袋11Baが膨張した状態が通常位置P1であり、
図9に示す空気袋11Ab2が膨張し空気袋11Baが収縮した状態がサイド支持部11Abの突出位置P2である。オットマン装置10Bはオットマン装置10Aに比べて突出位置P2におけるカバー部材12Bの凹面形状の曲率を大きくすることができる。これによって、本実施形態も、第2実施形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、凹面形状の曲率を大きくして着座者のふくらはぎを左右からより効果的に支持することができる。なお、本実施形態において、空気袋11Ab2と空気袋11Baをともに膨張させた状態を通常位置P1として、空気袋11Ab2を膨張させた状態のまま空気袋11Baを収縮させることによって相対的に空気袋11Ab2を突出位置P2にさせることもできる。
【0030】
図10及び
図11に本発明の第4実施形態であるオットマン装置10Cを示す。第2実施形態との違いは、オットマン装置10Aにおいては固定部11Ab1に対して空気袋11Ab2が前上方に向かって突出するのに対し、オットマン装置10Cにおいては固定部11Cb1に対して空気袋11Cb2がシート幅方向外側前上方に向かって突出する点である。空気袋11Cb2には、空気袋11Ab2と同様に、図示しないポンプが連結されており、ポンプを作動させると空気袋11Cb2の中に空気が供給されて空気袋11Cb2が膨張し、ポンプの作動を止めると空気が抜けて空気袋11Cb2が収縮するようになっている。その他の構成については同一の符号を付して説明を省略する。固定部11Cb1は、その前面がシート幅方向外側後方に向かって傾いて形成されている。これによって、空気袋11Cb2が膨張すると空気袋11Cb2はカバー部材12の左右端部をシート幅方向外側前上方に向けて押し出す。これによって、本実施形態も第2実施形態と同様の作用効果を奏することができるとともに、オットマン装置10Cの左右方向の長さを長くすることができるので凹面形状の左右方向の長さを大きくして着座者のふくらはぎを左右からより広い面積で支持することができる。
【0031】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0032】
1.上記実施形態においては、サイド支持部11bをメイン支持部11aに対して移動させるのに、駆動装置によるサイド支持部軸10aを中心とした回転と空気袋11Ab2、11Ba、11Cb2の膨張又は収縮による手段を用いた。しかし、これに限らず、サイド支持部11bを直動モータを利用して移動させてもよいし、油圧を用いて移動させてもよい。
【0033】
2.上記第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態においては、カバー部材12がパッド体12aと、表皮材12bと、ヒータ12cと、を有するものとして構成した。しかし、これに限らず、パッド体12a及び/又はヒータ12cを備えないものとして構成してもよい。
【0034】
3.本発明を自動車用シート1に適用する場合について説明したが、これに限らず、本発明を自動車以外の、船、電車、飛行機等に搭載のシートに適用してもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 自動車用シート
2 シートクッション
10 オットマン装置
10A オットマン装置
10B オットマン装置
10C オットマン装置
10a サイド支持部軸(回動軸)
11 フレーム
11a メイン支持部
11b サイド支持部
11Ab サイド支持部
11Ab2 空気袋
11Ba 空気袋
11Cb2 空気袋
12 カバー部材
12B カバー部材
12a パッド体
12b 表皮材
12c ヒータ
P1 通常位置
P2 突出位置