(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ストッカ
(51)【国際特許分類】
B65G 1/127 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B65G1/127 J
(21)【出願番号】P 2019182364
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】石川 和広
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-211712(JP,A)
【文献】特開昭63-092510(JP,A)
【文献】特開昭62-295830(JP,A)
【文献】特表2009-502422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G1/00-1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において長手状に形成され、それぞれ内部に複数の物品を長手方向に並べて収納可能である複数の枠状体と、
前記複数の枠状体を平行に並べて収納し、前記枠状体の1つ分に対応する単位収納空間が複数行及び複数列で形成され、何れかの前記単位収納空間の長手方向一側に接続する入口部が設けられ、他の前記単位収納空間の長手方向他側に接続する出口部が設けられるストッカ本体と、
前記入口部に対応する前記単位収納空間を入口対応空間とし、前記出口部に対応する前記単位収納空間を出口対応空間としたときに、前記入口対応空間に位置する前記枠状体及び前記出口対応空間に位置する枠状体が複数の前記枠状体の間で切り換わるように、前記複数の枠状体をループ状の移動経路に沿って循環移動させる第1移送機構と、
前記入口対応空間にある前記枠状体、及び、前記出口対応空間にある前記枠状体のうち少なくとも何れかに収納された物品を、前記入口部がある側から前記出口部がある側へ移動させる第2移送機構と、
を備え、
前記入口対応空間及び前記出口対応空間は、複数の前記単位収納空間のうち最も下に位置し、
前記複数の枠状体のそれぞれは、前記入口対応空間にある場合に、前記入口部を通じて物品を当該枠状体の内部に搬入可能な状態となり、前記出口対応空間にある場合に、前記出口部を通じて、収納した物品を当該枠状体の外部に搬出可能な状態となり、
前記第1移送機構は、
前記複数の枠状体のうち上下方向に並ぶ1列の枠状体群に対して設けられ、前記1列の枠状体群を上下方向に移送する縦送り機構と、
前記1列の枠状体群のうち最も上の前記単位収納空間に位置する前記枠状体を他の列へ移送する上側横送り機構と、
前記1列の枠状体群のうち最も下の前記単位収納空間に位置する前記枠状体を他の列へ移送する下側横送り機構と、
を有することを特徴とするストッカ。
【請求項2】
請求項1に記載のストッカであって、
前記第2移送機構は、
物品を載置可能な載置部を有し、当該載置部に載置された物品を搬送する搬送部と、
複数の前記単位収納空間のうち最も下の単位収納空間に前記枠状体が位置する場合に、前記搬送部を、当該枠状体に収納された物品の底面に前記載置部が接触して持ち上げる搬送位置と、当該枠状体の底面よりも前記載置部が低い退避位置と、の間で上下方向に移動させる昇降移動部と、
を備え、
最も下の前記単位収納空間に位置する前記枠状体に関して、物品を移送する場合に、前記昇降移動部は前記搬送部を前記搬送位置に移動させ、
前記下側横送り機構により前記枠状体が移送される場合に、前記昇降移動部は前記搬送部を前記退避位置に移動させることを特徴とするストッカ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のストッカであって、
前記上側横送り機構は、最も上の前記単位収納空間に位置する前記枠状体を他の列へ移送するときに当該枠状体を吊り下げる吊下げ部を備え、
前記縦送り機構が前記1列の枠状体群を上昇させることにより、当該枠状体群のうち最も上の前記単位収納空間に位置する前記枠状体が、前記吊下げ部により吊り下げることが可能な高さになることを特徴とするストッカ。
【請求項4】
請求項3に記載のストッカであって、
前記縦送り機構が前記1列の枠状体群を下降させることにより、前記吊下げ部により吊り下げられた前記枠状体に対して、それより下側の前記枠状体が離れることを特徴とするストッカ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のストッカであって、
前記上側横送り機構が前記枠状体を他の列へ移送した後、前記吊下げ部による吊下げが解除された前記枠状体が、前記他の列における枠状体群の上に載せられることを特徴とするストッカ。
【請求項6】
請求項1から4までの何れか一項に記載のストッカであって、
前記下側横送り機構は、横方向に移動可能な横送り用載置部を備え、
最も下の前記単位収納空間に位置する前記枠状体が、前記横送り用載置部に載置されることを特徴とするストッカ。
【請求項7】
請求項6に記載のストッカであって、
前記枠状体を支持可能な支持機構を備え、
前記支持機構は、前記枠状体を支持する支持状態と、前記枠状体の支持を解除する解除状態と、の間で切換可能であり、
前記支持機構は、最も下の前記単位収納空間に位置する前記枠状体が前記下側横送り機構により移動する移動領域よりも上方に配置され、
前記1列の枠状体群のうち最も上の前記単位収納空間に位置する前記枠状体が前記上側横送り機構により他の列へ移送された後、当該枠状体群を、当該枠状体群に対応する前記縦送り機構が上昇させ、
前記支持機構は、前記下側横送り機構による前記枠状体の移送前に、上昇した前記1列の枠状体群のうち最も下に位置する前記枠状体を支持し、前記下側横送り機構による前記枠状体の移送後に、前記枠状体の支持を解除することを特徴とするストッカ。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載のストッカであって、
前記縦送り機構は、前記1列の枠状体群を昇降させるためのシリンダを備えることを特徴とするストッカ。
【請求項9】
請求項2に記載のストッカであって、
前記第2移送機構の搬送部は、チェーンコンベア、ベルトコンベア、又はローラーコンベアであることを特徴とするストッカ。
【請求項10】
請求項2に記載のストッカであって、
前記第2移送機構の搬送部は、前記枠状体の内部の物品を、前記載置部に載せて搬送することを特徴とするストッカ。
【請求項11】
請求項3又は4に記載のストッカであって、
前記縦送り機構が前記1列の枠状体群を下降させることにより、前記吊下げ部により吊り下げられた前記枠状体と、当該枠状体よりも下側の前記枠状体と、の間に上下方向の間隔が形成されることを特徴とするストッカ。
【請求項12】
請求項7に記載のストッカであって、
前記支持機構は、前記枠状体を引っ掛けて支持する引掛支持部を有し、
前記引掛支持部が前記枠状体に近づく方向に移動することにより、前記支持機構が前記支持状態となり、
前記引掛支持部が前記枠状体から離れる方向に移動することにより、前記支持機構が前記解除状態となることを特徴とするストッカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストッカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品の収納/取出を行うことができるストッカが知られている。特許文献1は、この種のストッカである自動収納庫を開示する。
【0003】
特許文献1の自動収納庫において、筐体キャビネットの内部に複数の収納棚が収納されている。複数の収納棚のうちの2ケが、それぞれ筐体キャビネットに前側(正面側)に開口するように形成された物品出入口に対応している。複数の棚は、縦に複数列、横に複数列に並べられている。そして、複数の収納棚は、筐体キャビネット内に形成された枠状(環状)の移動経路に沿って正面視で上下動、左右動可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の自動収納庫は、各収納棚の奥行方向(前後方向)での長さが物品の1つ分しかなかった。従って、収納量の増加には限界があった。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その目的は、物品を、奥行方向に複数収納できるとともに先入れ先出しできるストッカを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成のストッカが提供される。即ち、このストッカは、複数の枠状体と、ストッカ本体と、第1移送機構と、第2移送機構と、を備える。前記枠状体は、平面視において長手状に形成され、それぞれ内部に複数の物品を長手方向に並べて収納可能である。前記ストッカ本体には、前記枠状体の1つ分に対応する単位収納空間が複数行及び複数列で形成される。前記ストッカ本体には、何れかの前記単位収納空間の長手方向一側に接続する入口部が設けられ、他の前記単位収納空間の長手方向他側に接続する出口部が設けられる。前記第1移送機構は、前記入口部に対応する前記単位収納空間を入口対応空間とし、前記出口部に対応する前記単位収納空間を出口対応空間としたときに、前記入口対応空間に位置する前記枠状体及び前記出口対応空間に位置する枠状体が複数の前記枠状体の間で切り換わるように、前記複数の枠状体をループ状の移動経路に沿って循環移動させる。前記第2移送機構は、前記入口対応空間にある前記枠状体、及び、前記出口対応空間にある前記枠状体のうち少なくとも何れかに収納された物品を、前記入口部がある側から前記出口部がある側へ移動させる。前記入口対応空間及び前記出口対応空間は、複数の前記単位収納空間のうち最も下に位置する。前記複数の枠状体のそれぞれは、前記入口対応空間にある場合に、前記入口部を通じて物品を当該枠状体の内部に搬入可能な状態となり、前記出口対応空間にある場合に、前記出口部を通じて、収納した物品を当該枠状体の外部に搬出可能な状態となる。前記第1移送機構は、縦送り機構と、上側横送り機構と、下側横送り機構と、を有する。前記縦送り機構は、前記複数の枠状体のうち上下方向に並ぶ1列の枠状体群に対して設けられ、前記1列の枠状体群を上下方向に移送する。前記上側横送り機構は、前記1列の枠状体群のうち最も上の前記単位収納空間に位置する前記枠状体を他の列へ移送する。前記下側横送り機構は、前記1列の枠状体群のうち最も下の前記単位収納空間に位置する前記枠状体を他の列へ移送する。
【0009】
これにより、一側の入口部から入れられた物品が収納され、反対側の出口部から出される先入れ先出し型のストッカを構成することができる。複数の枠状体がストッカ本体に循環移動可能に配置されているだけでなく、それぞれの枠状体に複数の物品を並べて枠状体に収納することができる。従って、枠状体の長手方向の長さを大きくすることで、大容量のストッカを容易に構成することができる。
【0010】
前記のストッカにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第2移送機構は、搬送部と、昇降移動部と、を備える。前記搬送部は、物品を載置可能な載置部を有し、当該載置部に載置された物品を搬送する。前記昇降移動部は、複数の前記単位収納空間のうち最も下の単位収納空間に前記枠状体が位置する場合に、前記搬送部を、当該枠状体に収納された物品の底面に前記載置部が接触して持ち上げる搬送位置と、当該枠状体の底面よりも前記載置部が低い退避位置と、の間で上下方向に移動させる。最も下の前記単位収納空間に位置する前記枠状体に関して、物品を移送する場合に、前記昇降移動部は前記搬送部を前記搬送位置に移動させる。前記下側横送り機構により前記枠状体が移送される場合に、前記昇降移動部は前記搬送部を前記退避位置に移動させる。
【0011】
これにより、下側横送り機構によって枠状体を移送する場合に、第2移送機構と干渉することを回避することができる。また、スペースを確保し易いストッカ本体の下部に第2移送機構の昇降移動部を配置することで、コンパクトな構成を実現できる。
【0012】
前記のストッカにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記上側横送り機構は、最も上の前記単位収納空間に位置する前記枠状体を他の列へ移送するときに当該枠状体を吊り下げる吊下げ部を備える。前記縦送り機構が前記1列の枠状体群を上昇させることにより、当該枠状体群のうち最も上の前記単位収納空間に位置する前記枠状体が、前記吊下げ部により吊り下げることが可能な高さになる。
【0013】
これにより、上側横送り機構が、枠状体群のうち最も上にある枠状体を円滑に吊り下げて搬送することができる。
【0014】
前記のストッカにおいては、前記縦送り機構が前記1列の枠状体群を下降させることにより、前記吊下げ部により吊り下げられた前記枠状体に対して、それより下側の前記枠状体が離れることが好ましい。
【0015】
これにより、上側横送り機構が枠状体を移送するときに、下側の枠状体と干渉しないようにすることができる。
【0016】
前記のストッカにおいては、前記上側横送り機構が前記枠状体を他の列へ移送した後、前記吊下げ部による吊下げが解除された前記枠状体が、前記他の列における枠状体群の上に載せられることが好ましい。
【0017】
これにより、横送りから縦送りへの連携を実現することができる。
【0018】
前記のストッカにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記下側横送り機構は、横方向に移動可能な横送り用載置部を備える。最も下の前記単位収納空間に位置する前記枠状体が、前記横送り用載置部に載置される。
【0019】
これにより、下側横送り機構による枠状体の移送を簡単な構成で実現することができる。
【0020】
前記のストッカにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、このストッカは、前記枠状体を支持可能な支持機構を備える。前記支持機構は、前記枠状体を支持する支持状態と、前記枠状体の支持を解除する解除状態と、の間で切換可能である。前記支持機構は、最も下の前記単位収納空間に位置する前記枠状体が前記下側横送り機構により移動する移動領域よりも上方に配置される。前記1列の枠状体群のうち最も上の前記単位収納空間に位置する前記枠状体が前記上側横送り機構により他の列へ移送された後、当該枠状体群を、当該枠状体群に対応する前記縦送り機構が上昇させる。前記支持機構は、前記下側横送り機構による前記枠状体の移送前に、上昇した前記1列の枠状体群のうち最も下に位置する前記枠状体を支持し、前記下側横送り機構による前記枠状体の移送後に、前記枠状体の支持を解除する。
【0021】
これにより、下側横送り機構が枠状体を移送する場合に、移送先の列の枠状体群と接触しないように、当該枠状体群を所定の高さに保つことができる。従って、下側横送り機構による枠状体の移送を円滑に行うことができる。
【0022】
前記のストッカにおいては、前記縦送り機構は、前記1列の枠状体群を昇降させるためのシリンダを備えることが好ましい。
【0023】
これにより、縦送り機構を簡単に構成することができる。
【0024】
前記のストッカにおいては、前記第2移送機構の搬送部は、チェーンコンベア、ベルトコンベア、又はローラーコンベアであることが好ましい。
【0025】
これにより、第2移送機構を簡単に構成することができる。
【0026】
前記のストッカにおいては、前記第2移送機構の搬送部は、前記枠状体の内部の物品を、前記載置部に載せて搬送することが好ましい。
【0027】
これにより、物品を、枠状体の長手方向に円滑に搬送することができる。
【0028】
前記のストッカにおいては、前記縦送り機構が前記1列の枠状体群を下降させることにより、前記吊下げ部により吊り下げられた前記枠状体と、当該枠状体よりも下側の前記枠状体と、の間に上下方向の間隔が形成されることが好ましい。
【0029】
これにより、上側横送り機構により移送される枠状体が、他の枠状体と接触しないようにすることができる。
【0030】
前記のストッカにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記支持機構は、前記枠状体を引っ掛けて支持する引掛支持部を有する。前記引掛支持部が前記枠状体に近づく方向に移動することにより、前記支持機構が前記支持状態となる。前記引掛支持部が前記枠状体から離れる方向に移動することにより、前記支持機構が前記解除状態となる。
【0031】
これにより、支持機構を簡単な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態に係るストッカの構成を示す正面図。
【
図4】上下方向に並べられた2つの枠状体を示す斜視図。
【
図5】上側横送り機構によって枠状体が吊り下げられた状態を示す側面図。
【
図7】
図1の状態から、第1列の縦送り機構のシリンダが伸長し、枠状体群を上昇させた様子を示す図。
【
図8】第1列の最も上に位置する枠状体を支持するために、上側横送り機構の吊下げ部が移動する様子を示す図。
【
図9】第1列の縦送り機構が枠状体群を下降させた様子を示す図。
【
図10】上側横送り機構が枠状体を搬送した様子を示す図。
【
図11】第1列及び第2列の縦送り機構が枠状体群を上昇させた様子を示す図。
【
図12】支持機構によって第1列及び第2列の枠状体群を支持させ、それぞれの縦送り機構のシリンダが収縮した状態を示す図。
【
図13】下側横送り機構が枠状体を搬送した様子を示す図。
【
図14】支持機構による支持の解除のために、第1列及び第2列のシリンダが伸長した状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るストッカ1の構成を示す正面図である。
図2は、ストッカ1の側面図である。
図3は、ストッカ1の平面図である。
図4は、上下方向に並べられた2つの枠状体5を示す斜視図である。
【0034】
図1から
図3までに示す本実施形態のストッカ1は、一側から搬入した物品10を保管し、入れた側と反対の側から物品10を搬出することができる。物品10を入れる方向及び出す方向は、
図2及び
図3に白抜き矢印で示されている。物品10を入れる方向及び出す方向は、何れも水平方向であり、互いに平行である。以下では、これらの方向に平行な方向を、受渡し方向と呼ぶことがある。
【0035】
以下では、ストッカ1に物品を入れる側をストッカ1の前側(正面側)とし、ストッカ1から物品を出す側をストッカ1の後側(背面側)として、ストッカ1についての位置関係を説明する。前後方向は、ストッカ1の奥行き方向と言い換えることもできる。左右方向は、前後方向にも上下方向にも直交する方向である。これらの向きの呼び方は説明のための便宜的なものであり、ストッカ1が配置される向き等を限定するものではない。前述の受渡し方向は、前後方向(奥行き方向)と一致する。
【0036】
ストッカ1は、複数の物品10を収納することができる。ストッカ1は、ストッカ本体3と、複数の枠状体5と、第1移送機構7と、第2移送機構9と、を備える。
【0037】
ストッカ本体3は、物品10をストッカ1の内部に入れるための入口部11と、物品10をストッカ1の内部から外部へ出すための出口部13と、を有する。
図3に示すように、入口部11と出口部13とは、ストッカ1の左右方向に関して異なる位置に配置されている。
【0038】
ストッカ本体3は、中空の直方体形状を有する。ストッカ本体3は、
図3に示すように、平面視で細長く形成され、その長手方向が前後方向に沿うように配置されている。ストッカ本体3の内部には、例えば
図1に示すように、複数の枠状体5が収納される。ストッカ本体3は、その内部において、複数の枠状体5を第1移送機構7によって循環移動させる。この循環移動については後述する。
【0039】
複数の枠状体5は、それぞれ、ストッカ1の前後方向に沿って延びるように細長く(平面視において長手状に)形成されている。
図4には、段積み状態の2つの枠状体5が例示されている。それぞれの枠状体5には、複数の物品10を、当該枠状体5の長手方向に沿って並べて収納することができる。枠状体5の底部には1対の底板16が固定されている。それぞれの底板16は、枠状体5の長手方向に沿って細長く形成されている。1対の底板16により、枠状体5の内部に入れられた物品10を下側から支持することができる。1対の底板16の間には、下側開口部17が形成されている。物品10は縁付きの収容トレイであり、この縁が1対の底板16に支持される構成であってもよい。この場合、収容トレイ内に収容物が収容される。
【0040】
図2及び
図3に示すように、複数の枠状体5は、その長手方向がストッカ本体3の長手方向に沿うように当該ストッカ本体3の内部に配置されている。
【0041】
それぞれの枠状体5の外形は、直方体状となっている。各枠状体5の前後方向の長さは、ストッカ本体3の前後方向の長さよりも僅かに短い。各枠状体5の左右方向の長さは、ストッカ本体3の左右方向の長さよりも短い。各枠状体5の上下方向の長さは、ストッカ本体3の上下方向の長さよりも短い。
【0042】
図1に示すように前後方向に沿って見たときに、複数の枠状体5は、ストッカ本体3の内部で複数行及び複数列で配置される。詳細に説明すると、複数の列のそれぞれにおいて、枠状体5が上下方向に並べられて1列の枠状体群を構成している。原則として、1列の枠状体群では、
図4に示すように、ある枠状体5の上面に他の枠状体5が直接載せられる。そして、このような1列の枠状体群が左右方向に複数並べられている。
【0043】
図1に示すように、ストッカ本体3の内部に、枠状体5を配置可能な空間が正面視で5行及び2列の10個分形成されている。このうち枠状体5の1個分を除いた空間に、9個の枠状体5が並べて配置されている。以下では、この5行2列分の空間を配列空間と呼び、配列空間の構成単位である枠状体5の1個分の空間を単位収納空間と呼ぶことがある。また、枠状体5が配置されていない単位収納空間を空間部15と呼ぶことがある。空間部15の位置は、複数の枠状体5が第1移送機構7によりストッカ本体3の内部で循環移動するのに伴って変化する。
【0044】
配列空間を単位収納空間の何行分とするか、及び、何列分とするかは、複数である限り任意である。ただし、列の数は、循環移動のために後述のループ状の移動経路20を形成する都合により、偶数となる。以下の説明では、配列空間での位置を特定するために、正面向かって右側の列を第1列、左側の列を第2列と呼ぶことがある。列の番号は、
図1及び
図3等に丸付き数字で示されている。枠状体5の数も任意に定めることができる。
【0045】
複数の枠状体5のそれぞれは、循環移動の過程で、ストッカ本体3の入口部11に対応する入口対応空間P1で静止することができる。入口対応空間P1は、配列空間において、第1列の最も下の行にある単位収納空間である。各枠状体5は、入口対応空間P1で静止すると、入口部11を通じて物品10を当該枠状体5の内部に搬入可能(収納可能)な状態になる。以下、この状態を収納状態と呼ぶことがある。物品10は、ストッカ本体3の入口部11に適宜の搬送装置により搬入される。
【0046】
枠状体5が入口対応空間P1に位置しているときに、当該入口対応空間P1の下方に配置される第2移送機構9が上昇させられ、枠状体5の下側開口部17を通じて、枠状体5の内部の物品10の底面に接触することができる。第2移送機構9は、枠状体5の内部で長手方向に沿って物品10を搬送するものであり、詳細は後述する。
【0047】
複数の枠状体5のそれぞれは、循環移動の過程で、ストッカ本体3の出口部13に対応する出口対応空間P2で静止することができる。出口対応空間P2は、配列空間において、第2列の最も下の行にある単位収納空間である。各枠状体5は、出口対応空間P2で静止すると、出口部13を通じて、収納した物品10を当該枠状体5の外部に搬出可能(取出可能)な状態になる。以下、この状態を取出状態と呼ぶことがある。物品10は、ストッカ本体3の出口部13から適宜の搬送装置により搬出される。
【0048】
枠状体5が出口対応空間P2に位置しているときに、当該出口対応空間P2の下方に配置される第2移送機構9が上昇させられ、枠状体5の下側開口部17を通じて、枠状体5の内部の物品10の底面に接触することができる。
【0049】
第1移送機構7は、複数の枠状体5を、ループ状の移動経路20に沿って一方向に循環移動させることができる。移動経路20は、
図1の矢印A~Dで示すように、正面視で、ストッカ本体3の内部において上述の配列空間の外周に沿って反時計回りで周回するように定められている。この循環移動に伴って、複数の枠状体5のそれぞれが、入口対応空間P1及び出口対応空間P2を順番に通過する。移動経路20において、出口対応空間P2の直ぐ下流側に入口対応空間P1が隣接することが、収納能力の観点から好ましい。第1移送機構7は、後述の制御部100により制御される。
【0050】
第1移送機構7は、複数の枠状体5を、上下方向(縦方向)に移動したり、左右方向(横方向)に移動したりすることで、移動経路20に沿って循環移動させる。
【0051】
第1移送機構7は、縦送り機構22と、上側横送り機構24と、下側横送り機構26と、支持機構70と、を有する。
【0052】
縦送り機構22は、配列空間を構成する1列分の空間につき1つ設けられている。縦送り機構22は、対応する1列分の空間で上下方向に積み重ねられた状態で配置される複数の枠状体5(以下、枠状体群と呼ぶことがある。)を、上下方向に移送することができる。
【0053】
それぞれの縦送り機構22は、枠状体群を昇降させるためのシリンダ31を備える。シリンダ31は、枠状体群において最も下に位置する枠状体5を複数箇所で支持するために、ストッカ本体3の下部に複数設けられている。それぞれのシリンダ31は、伸縮方向が上下方向(縦方向)となるように配置される。シリンダ31は、制御部100により制御される。
【0054】
シリンダ31は、枠状体群のうち最も下に位置する枠状体5を支持した状態で伸長/収縮することにより、当該枠状体5を上昇/下降させることができる。これに伴って、その上に積み重ねられている枠状体5も上方/下方に移動する。
【0055】
上側横送り機構24は、複数の枠状体5が上下方向に積み重ねられた1列の枠状体群のうち最も上に位置する枠状体5を、左右方向に移送する。これにより、当該枠状体5を、ある列から他の列へ移送できる。本実施形態では、移動経路20は、正面視で反時計回りとなるように定められている。従って、上側横送り機構24は、第1列の枠状体群のうち最も上の枠状体5を、
図1の矢印Bで示すように、第2列へ移動させる。上側横送り機構24の詳細な構成は後述する。
【0056】
下側横送り機構26は、複数の枠状体5が上下方向に積み重ねられた1列の枠状体群のうち最も下に位置する枠状体5を、左右方向に移送する。これにより、当該枠状体5を、ある列から他の列へ移送できる。本実施形態では、下側横送り機構26は、第2列の枠状体群のうち最も下の枠状体5を、
図1の矢印Dで示すように、第1列へ移動させる。下側横送り機構26の詳細な構成は後述する。
【0057】
支持機構70は、第1列及び第2列のそれぞれに対応して、ストッカ本体3に設けられている。それぞれの支持機構70は、配列空間において下から数えて2番目の行の単位収納空間にある枠状体5を支持することができる。支持機構70は、下側横送り機構26により搬送される枠状体5の移動領域72よりも上方に設けられている。
【0058】
それぞれの支持機構70は、L字状に形成された引掛部材(引掛支持部)74を複数備える。引掛部材74には、
図6に示すソレノイド76が備えられている。ソレノイド76は、引掛部材74を、突出位置と、退避位置と、の間で切り換えることができる。突出位置では、引掛部材74が枠状体5に対して水平方向に突出することで、枠状体5が下降しないように支持することができる。退避位置では、引掛部材74の突出が解除される。
【0059】
具体的に説明すると、それぞれの枠状体5の上部枠には
図4に示すように凹部78が形成されており、引掛部材74は、突出位置にある場合、この凹部78に入ることができる。一方、枠状体5の下部枠には凹部が形成されていない。枠状体5の下部枠のうち、上部枠の凹部78に上下方向で対応する部分の底面が、突出位置にある引掛部材74の上に載ることができる。
【0060】
この構成で、引掛部材74を突出位置として、上下方向に積み重ねられた上下の枠状体5のうち下側の枠状体5の凹部78に引掛部材74が入った状態で、段積み状態の枠状体5を下降させることで、上側の枠状体5の底面を、下方から支持することができる。下側の枠状体5は、下降を継続することで上側の枠状体5から離れる。この結果、枠状体5の段積み状態が解消される。
【0061】
突出位置となっている引掛部材74が枠状体5の底面を下方から支持している状態で、下側にある別の枠状体5が上昇してきたときには、当該引掛部材74が下側の枠状体5の凹部78に入った状態となり、下側の枠状体5と引掛部材74との干渉を回避することができる。下側の枠状体5が上昇を継続すると、上側の枠状体5が下側の枠状体5の上面に直接載せられる。この結果、上下の枠状体5が段積み状態となる。
【0062】
以下、支持機構70が枠状体5を支持する状態を支持状態と呼び、枠状体5の支持を解除している状態を解除状態と呼ぶことがある。引掛部材74は、
図7等に示すような回動可能とされた部材に限られず、水平方向にスライド移動させられることで突出位置と退避位置との間で切り換えられる部材であってもよい。また、引掛部材74の切換は、ソレノイド76に限定されず、適宜のアクチュエータによって行うこともできる。
【0063】
第2移送機構9は、複数の枠状体5のうち最も下に位置する枠状体5に収納された物品10を、前側から後側へ向かって移動させる。第2移送機構9は、入口対応空間P1及び出口対応空間P2にそれぞれ設けられている。2つの第2移送機構9の構成は実質的に同様であり、詳細は後述する。
【0064】
空の状態の枠状体5が入口対応空間P1にある場合に、入口対応空間P1の第2移送機構9は、入口部11からストッカ1に順次入れられる複数の物品10を、枠状体5の長手方向に沿って、枠状体5の内部の適宜の位置まで搬送することができる。
【0065】
物品10が収納された枠状体5が出口対応空間P2にある場合に、出口対応空間P2の第2移送機構9は、枠状体5の内部に収納されている複数の物品10を、枠状体5の長手方向に沿って搬送する。この結果、ストッカ1の出口部13から複数の物品10を順次搬出することができる。
【0066】
次に、上側横送り機構24について詳細に説明する。
図5は、上側横送り機構24によって枠状体5が吊り下げられた状態を示す側面図である。
【0067】
上側横送り機構24は、
図2に示すように、上述の配列空間の上方で、受渡し方向の両端に1つずつ配置されている。
図1に示すように、それぞれの上側横送り機構24は、複数のプーリ33,34,35,36と、ベルト38と、を有する。
【0068】
複数のプーリ33,34,35,36のうち1つのプーリ33は、ストッカ本体3の上部に設けられたモータ(駆動手段)41の出力軸に取り付けられている。モータ41は
図2及び
図6に示されており、
図6の制御部100により制御される。
【0069】
複数のプーリ33,34,35,36のうち他のプーリ34,35,36は、ストッカ本体3の上部に支持された左右両側の回転軸のそれぞれに取り付けられている。ベルト38は、正面視でループ状となるように、複数のプーリ33,34,35,36に巻かれている。
【0070】
図1に示すように、ベルト38が走行する経路の下部は、上述の配列空間の複数列に跨るように水平方向に延びている。この経路の下部において、ベルト38の2箇所には、吊下げ部43が固定されている。吊下げ部43は、配列空間のうち最も上の行に位置する枠状体5を吊り下げることができる。吊下げ部43は、ベルト38の走行経路の下部において、当該ベルト38から下方に突出している。モータ41が駆動すると、プーリ33の回転に伴ってベルト38が回転する。これにより、吊下げ部43を左右方向に移動させることができる。
【0071】
吊下げ部43に対応して、それぞれの枠状体5の上部には、
図4等に示すように複数の被吊下げ部45が設けられている。被吊下げ部45は、枠状体5の上面よりも上方へ突出している。吊下げ部43は、被吊下げ部45を引っ掛けて支持することができる。
【0072】
吊下げ部43は、
図5に示すように、水平に延びる吊下げフック部43aを有する。被吊下げ部45は、水平に延びるフック部45aを有する。枠状体5を十分に上昇させた状態で、上側横送り機構24が吊下げ部43を左右方向に移動させることにより、吊下げフック部43aを被吊下げ部45のフック部45aの下側に差し込むことができる。この状態において、被吊下げ部45を備える枠状体5を下降させ、吊下げフック部43aにフック部45aを載せることにより、当該枠状体5を吊り下げることができる。
【0073】
次に、下側横送り機構26について詳細に説明する。
【0074】
下側横送り機構26は、
図2に示すように、受渡し方向の両端に1つずつ配置されている。
図1に示すように、それぞれの下側横送り機構26は、複数のプーリ53,54,55,56と、ベルト58と、を有する。
【0075】
複数のプーリ53,54,55,56は、上述の配列空間の下方に配置されている。これらのうち1つのプーリ53は、ストッカ本体3の下部に設けられたモータ(駆動手段)61の出力軸に取り付けられている。モータ61は
図2及び
図6に示されており、
図6の制御部100により制御される。
【0076】
複数のプーリ53,54,55,56のうち他のプーリ54,55,56は、ストッカ本体3の下部に支持された左右両側の回転軸のそれぞれに取り付けられている。ベルト58は、正面視でループ状となるように、複数のプーリ53,54,55,56に巻かれている。
【0077】
図1に示すように、ベルト58が走行する経路の上部は、上述の配列空間の複数列に跨るように水平方向に延びている。この経路の上部において、ベルト58の上面には、枠状体5を載せることができる横送り用載置部63が形成されている。横送り用載置部63は、実質的に水平な搬送面として構成されている。
【0078】
モータ61が駆動すると、プーリ53の回転に伴ってベルト58が回転する。これにより、横送り用載置部63を左右方向に移動させることができる。
【0079】
次に、第2移送機構9について詳細に説明する。
【0080】
第2移送機構9は、入口対応空間P1及び出口対応空間P2のそれぞれに対応して設けられている。2つの第2移送機構9の構成は同一である。第2移送機構9は、第1列及び第2列において、複数の枠状体5のうち最も下に位置する枠状体5に収納された物品10を、入口側から出口側へ移動させる。
【0081】
それぞれの第2移送機構9は、搬送部81と、昇降移動部83と、を有する。本実施形態では、昇降移動部83は、受渡し方向の両端近傍に1つずつ配置されている。
【0082】
搬送部81は、チェーンコンベアとして構成されている。チェーンコンベアの走行経路の上部は、枠状体5の長手方向に沿って水平方向に延びている。チェーンコンベアの走行経路の上面が、物品10を載置可能な載置部85となっている。載置部85は、実質的に水平な搬送面として構成されている。搬送部81は、チェーンを駆動するためのモータ(駆動手段)87を備える。ただし、搬送部81が物品10を搬送する方法は特に限定されず、例えばベルトコンベア、又はローラーコンベアとして構成されてもよい。
【0083】
搬送部81は、平面視において枠状体5の下部を構成する矩形状のフレームの内側に収まる寸法に構成されている。昇降移動部83は、搬送部81を、枠状体5の内部に下側から差し込まれた状態の搬送位置(枠状体5に収納された物品10の底面に載置部85が接触して持ち上げる搬送位置)と、枠状体5の下面(底面)から下方に退避した退避位置(枠状体5の底面よりも載置部85が低い退避位置)と、の間で、上下方向に移動させる。
図1には、搬送位置にある搬送部81が鎖線で、退避位置にある搬送部81が実線で、それぞれ示されている。昇降移動部83は、シリンダ89を備える。シリンダ89は、ストッカ本体3の下部に配置されている。シリンダ89は、伸縮方向が上下方向(縦方向)となるように配置され、搬送部81に下側から連結されている。
【0084】
搬送部81が搬送位置にあるとき、載置部85は、枠状体5が備える底板16よりも上方に位置する。従って、物品10の底面を底板16から浮かせることができる。この状態で搬送部81を駆動することにより、物品10を枠状体5の長手方向に沿って搬送することができる。
【0085】
搬送部81が退避位置にあるとき、当該搬送部81は、枠状体5の下面に対して適宜の距離だけ間隔を形成する。従って、下側横送り機構26が枠状体5を移動させるときに搬送部81と干渉しないようにすることができる。
【0086】
次に、ストッカ1の電気的構成について説明する。
図6は、ストッカ1の機能的な構成を示すブロック図である。
【0087】
ストッカ1は、制御部100を備える。制御部100は、複数の枠状体5がストッカ本体3で循環移動するように第1移送機構7を制御する。また、制御部100は、複数の枠状体5のうち最下位の枠状体5に収納された物品10を前側から後側へ向かって移動するように第2移送機構9を制御する。
【0088】
制御部100は、例えば、CPU、ROM、RAM等を備える公知のコンピュータから構成される。ROMには、各種プログラム等が記憶されている。CPUは、各種プログラム等をROMから読み出して実行することができる。
【0089】
制御部100は、第1移送機構7に関し、縦送り機構22のシリンダ31と、上側横送り機構のモータ41と、下側送り機構のモータ61と、に接続されている。制御部100は、第2移送機構9に関し、搬送部81のモータ87と、昇降移動部83のシリンダ89と、に接続されている。
【0090】
制御部100は、縦送り機構22のシリンダ31と、上側横送り機構のモータ41と、下側送り機構のモータ61と、を制御して、複数の枠状体5を循環移動させる。また、制御部100は、搬送部81のモータ87を制御して、枠状体5に収納された物品10を搬送する。制御部100は、昇降移動部83のシリンダ89を制御して、搬送部81を上下方向に移動させる。
【0091】
また、制御部100は、支持機構70のソレノイド76と接続されている。制御部100は、このソレノイド76を制御して、支持機構70を支持状態又は解除状態にすることができる。
【0092】
次に、第1移送機構7による枠状体5の搬送について説明する。
【0093】
図1の状態では、第1列において5個の枠状体5が上下方向に積み重ねられた状態で配置され、第2列において4個の枠状体5が上下方向に積み重ねられた状態で配置されている。また、第1列及び第2列の何れにおいても、縦送り機構22のシリンダ31が縮んでいる。
【0094】
この状態では、吊下げ部43は、第1列において最も上に位置する枠状体5の被吊下げ部45に対して、十分な距離だけ上方に離れている。上側横送り機構24は、吊下げ部43が被吊下げ部45に対して平面視(左右方向)に関して異なる位置となるように、その位置を事前に調整する。
【0095】
次に、第1列の縦送り機構22のシリンダ31が伸長する。これにより、
図7に示すように第1列の枠状体群が上昇し、最も上に位置する枠状体5も上昇する。この状態で、上側横送り機構24は吊下げ部43を移動させ、
図8に示すように、最も上に位置する枠状体5の被吊下げ部45の下に差し込む。その後、当該シリンダ31が収縮することで、第1列の枠状体群が下降する。これにより、最も上に位置する枠状体5の被吊下げ部45が吊下げ部43に引っ掛かるので、当該枠状体5が吊り下げられる。
【0096】
最も上に位置する枠状体5が吊り下げられた状態となった後も、シリンダ31の収縮は少しの間継続される。これにより、第1列の枠状体群において、最も上に位置する枠状体5と、下側の残りの枠状体5と、の間に、
図9に示すように上下方向の適宜の間隔G1が形成される。こうして、第1列の枠状体群の上端から枠状体5が1つ切り離される。この状態で上側横送り機構24を駆動することにより、吊り下げられた枠状体5を水平方向に移動させることができる。
【0097】
上側横送り機構24により、枠状体5は
図10に示すように、第2列の枠状体群の最も上の枠状体5の上方に移動する。こうして、第2列の枠状体群の上端に枠状体5が追加される。
【0098】
その後、第2列の縦送り機構22のシリンダ31が伸長する。これにより第2列の枠状体群が上昇するので、その上に、上側横送り機構24によって送られてきた枠状体5が載せられる。その後、更に当該枠状体5が上昇するので、当該枠状体5の被吊下げ部45が、上側横送り機構24の吊下げ部43に対して浮いた状態となる。これにより、枠状体5の吊下げを解除することができる。5つの枠状体5が上下方向に繋がった状態で、上側横送り機構24は
図11に示すように、吊下げ部43を、被吊下げ部45に対面しなくなる位置まで移動させる。その後、当該シリンダ31が収縮することで、第2列の枠状体群が下降する。
【0099】
前述のように上側横送り機構24によって枠状体5が移動することで、
図10に示すように、第1列の最も上の行に空間部15が形成される。第1列の縦送り機構22のシリンダ31は、再び伸長することで、4つの枠状体5からなる枠状体群を、枠状体5の1つ分上昇させる。この結果、空間部15の位置は、
図11に示すように、第1列の最も下の行へ移動する。
【0100】
図11の状態で、第1列及び第2列のそれぞれにおいて、支持機構70が解除状態から支持状態に切り換えられる。この結果、第1列の支持機構70は、4つの枠状体5からなる枠状体群のうち、最も下の枠状体5を支持することができる。第2列の支持機構70は、5つの枠状体5からなる枠状体群のうち、最も下から2番目の枠状体5を支持することができる。
【0101】
この状態で、第1列及び第2列の両方において縦送り機構22のシリンダ31が収縮して、
図12の状態になる。この状態では、第2列の枠状体群において、最も下に位置する枠状体5と、上側の残りの枠状体5と、の間に上下方向の適宜の間隔G2が形成される。こうして、第2列の枠状体群の下端から枠状体5が1つ切り離される。
【0102】
第2列の枠状体群のうち最も下に位置する枠状体5は、下側横送り機構26が有するベルト58の横送り用載置部63に載せられる。この状態で下側横送り機構26が駆動することで、
図13に示すように、当該枠状体5が第1列の枠状体群の下方に移動する。こうして、第1列の枠状体群の下端に枠状体5が追加される。枠状体5が追加された後の第1列の枠状体群において、最も下に位置する枠状体5と、上側の残りの枠状体5と、の間に上下方向の適宜の間隔G3が形成される。その後、収納状態となった枠状体5に、入口部11から物品10が搬入される。
【0103】
続いて、第1列の縦送り機構22のシリンダ31が伸長して、枠状体5を上昇させる。この結果、最も下の枠状体5の上に、4つの枠状体5が載った状態となる。5つの枠状体5が上下方向に繋がった状態で、第1列の支持機構70は支持状態から解除状態へ切り換えられる。第1列の縦送り機構22のシリンダ31は、枠状体群の最も上に位置する枠状体5を上側横送り機構24で吊下げ可能な高さまで上昇させるために、伸長動作を継続する。
【0104】
下側横送り機構26によって枠状体5が移動することで、
図13に示すように、第2列の最も下の行に空間部15が形成される。第2列の縦送り機構22のシリンダ31は、伸長することで、
図14に示すように、第2列の支持機構70に支持されている枠状体群を少しだけ持ち上げる。この状態で、第2列の支持機構70は支持状態から解除状態へ切り換えられる。その後、シリンダ31は収縮し、4つの枠状体5からなる枠状体群を、枠状体5の1つ分下降させる。この結果、空間部15の位置は、第2列の最も上の行へ移動する。これに伴って、第2列の枠状体群のうち最も下にある枠状体5は取出状態となり、その内部から物品10が出口部13へ搬出される。
【0105】
その後、
図7の状態に戻るので、第1移送機構7は、上記の一連の動作を繰り返す。この反復により、枠状体5を、
図1の移動経路20に沿って、単位収納空間の1つ分ずつ循環移動させることができる。
【0106】
本実施形態のストッカ1は、入口部11から入れた順番で物品10を出口部13から出すことができる。このような先入れ先出し型のストッカ1は、後入れ先出し型のストッカと比較して、物品10の間でストック期間が大きく異ならないようにすることができる。従って、このストッカ1は、例えば時間の経過により価値が変化する特性を物品10が有している場合に、当該物品10を一時的に保管する用途に好適である。
【0107】
以上に説明したように、本実施形態のストッカ1は、複数の枠状体5と、ストッカ本体3と、第1移送機構7と、第2移送機構9と、を備える。枠状体5は、平面視において長手状に形成され、それぞれ内部に複数の物品10を長手方向に並べて収納可能である。ストッカ本体3は、前記複数の枠状体5を平行に並べて収納する。ストッカ本体3には、枠状体5の1つ分に対応する単位収納空間が複数行及び複数列で形成される。ストッカ本体3には、何れかの単位収納空間の長手方向一側に接続する入口部11が設けられ、他の単位収納空間の長手方向他側に接続する出口部13が設けられる。第1移送機構7は、入口部11に対応する単位収納空間を入口対応空間P1とし、出口部13に対応する単位収納空間を出口対応空間P2としたときに、入口対応空間P1に位置する枠状体5及び出口対応空間P2に位置する枠状体5が複数の枠状体5の間で切り換わるように、前記複数の枠状体5をループ状の移動経路20に沿って循環移動させる。第2移送機構9は、入口対応空間P1にある枠状体5、及び、出口対応空間P2にある枠状体5に収納された物品10を、入口部11がある側から出口部13がある側へ移動させる。入口対応空間P1及び出口対応空間P2は、複数の単位収納空間のうち最も下に位置する。前記複数の枠状体5のそれぞれは、入口対応空間P1にある場合に、入口部11を通じて物品10を枠状体5の内部に搬入可能な状態(収納状態)となり、出口対応空間P2にある場合に、出口部13を通じて、収納した物品10を枠状体5の外部に搬出可能な状態(取出状態)となる。第1移送機構7は、縦送り機構22と、上側横送り機構24と、下側横送り機構26と、を有する。縦送り機構22は、前記複数の枠状体5のうち上下方向に並ぶ1列の枠状体群に対して設けられ、前記1列の枠状体群を上下方向に移送する。上側横送り機構24は、前記1列の枠状体群のうち最も上の単位収納空間に位置する枠状体5を他の列へ移送する。下側横送り機構26は、前記1列の枠状体群のうち最も下の単位収納空間に位置する枠状体5を他の列へ移送する。
【0108】
これにより、一側の入口部11から入れられた物品が収納され、反対側の出口部13から出される先入れ先出し型のストッカを構成することができる。複数の枠状体5がストッカ本体3に循環移動可能に配置されているだけでなく、それぞれの枠状体5に複数の物品10を並べて枠状体5に収納することができる。従って、枠状体5の長手方向の長さを大きくすることで、大容量のストッカを容易に構成することができる。
【0109】
本実施形態のストッカ1においては、第2移送機構9は、搬送部81と、昇降移動部83と、を備える。搬送部81は、物品10を載置可能な載置部85を有し、載置部85に載置された物品10を搬送する。昇降移動部83は、複数の単位収納空間のうち最も下の単位収納空間に枠状体5が位置する場合に、搬送部81を、枠状体5に収納された物品10の底面に載置部85が接触して持ち上げる搬送位置と、枠状体5の底面よりも載置部85が低い退避位置と、の間で上下方向に移動させる。最も下の単位収納空間に位置する枠状体5に関して、物品10を移送する場合に、昇降移動部83は搬送部81を搬送位置に移動させる。下側横送り機構26により枠状体5が移送される場合に、昇降移動部83は搬送部81を退避位置に移動させる。
【0110】
これにより、下側横送り機構26によって枠状体5を移送する場合に、第2移送機構9と干渉することを回避することができる。また、スペースを確保し易いストッカ本体3の下部に第2移送機構9の昇降移動部83を配置することで、コンパクトな構成を実現できる。
【0111】
本実施形態のストッカ1においては、上側横送り機構24は、最も上の単位収納空間に位置する枠状体5を他の列へ移送するときに当該枠状体5を吊り下げる吊下げ部43を備える。縦送り機構22が第1列の枠状体群を上昇させることにより、当該枠状体群のうち最も上の単位収納空間に位置する枠状体5が、
図7に示すように、吊下げ部43により吊り下げることが可能な高さになる。
【0112】
これにより、上側横送り機構24が、枠状体群のうち最も上にある枠状体5を円滑に吊り下げて搬送することができる。
【0113】
本実施形態のストッカ1においては、縦送り機構22が第1列の枠状体群を
図9のように下降させることにより、吊下げ部43により吊り下げられた枠状体5に対して、それより下側の枠状体5が離れる。
【0114】
これにより、上側横送り機構24が枠状体5を移送するときに、下側の枠状体5と干渉しないようにすることができる。
【0115】
本実施形態のストッカ1において、上側横送り機構24が枠状体5を第1列から第2列へ移送した後、吊下げ部43による吊下げが解除された枠状体5が、第2列における枠状体群の上に載せられる。
【0116】
これにより、横送りから縦送りへの連携を実現することができる。
【0117】
本実施形態のストッカ1において、下側横送り機構26は、横方向に移動可能な横送り用載置部63を備える。最も下の単位収納空間に位置する枠状体5が、横送り用載置部63に載置される。
【0118】
これにより、下側横送り機構26による枠状体5の移動を簡単な構成で実現することができる。
【0119】
本実施形態のストッカ1は、枠状体5を支持可能な支持機構70を備える。支持機構70は、枠状体5を支持する支持状態と、枠状体5の支持を解除する解除状態と、の間で切換可能である。例えば
図12に示すように、支持機構70は、最も下の単位収納空間に位置する枠状体5が下側横送り機構26により移動する移動領域72よりも上方に配置される。第1列の枠状体群のうち最も上の単位収納空間に位置する枠状体5が、上側横送り機構24により第2列へ移送された後、第1列の枠状体群を、当該枠状体群に対応する縦送り機構22が上昇させる。第1列の支持機構70は、下側横送り機構26による枠状体5の移送前に、
図12に示すように、上昇した第1列の枠状体群のうち最も下に位置する枠状体5を支持する。支持機構70は、下側横送り機構26による枠状体5の移送後に、
図14の状態で枠状体5の支持を解除する。
【0120】
これにより、下側横送り機構26が枠状体5を移送する場合に、第1列の枠状体群と接触しないように、当該枠状体群を所定の高さに保つことができる。従って、下側横送り機構26による枠状体5の移送を円滑に行うことができる。
【0121】
本実施形態のストッカ1において、縦送り機構22は、前記1列の枠状体群を昇降させるためのシリンダ31を備える。
【0122】
これにより、縦送り機構22を簡単に構成することができる。
【0123】
本実施形態のストッカ1において、第2移送機構9の搬送部81は、チェーンコンベアである。
【0124】
これにより、第2移送機構9を簡単に構成することができる。
【0125】
本実施形態のストッカ1において、第2移送機構9の搬送部81は、枠状体5の内部の物品10を、載置部85に載せて搬送する。
【0126】
これにより、物品10を、枠状体5の長手方向に円滑に搬送することができる。
【0127】
本実施形態のストッカ1において、縦送り機構22が第1列の枠状体群を下降させることにより、
図9に示すように、吊下げ部43により吊り下げられた枠状体5と、枠状体5よりも下側の枠状体5と、の間に上下方向の間隔G1が形成される。
【0128】
これにより、上側横送り機構24により移送される枠状体5が、他の枠状体5と接触しないようにすることができる。
【0129】
本実施形態のストッカ1において、支持機構70は、枠状体5を引っ掛けて支持する引掛部材74を有する。引掛部材74が枠状体5に近づく方向に移動することにより、例えば
図12に示すように、支持機構70が支持状態となる。引掛部材74が枠状体5から離れる方向に移動することにより、例えば
図7に示すように、支持機構70が解除状態となる。
【0130】
これにより、支持機構70を簡単な構成で実現することができる。
【0131】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0132】
第2移送機構の搬送部81は、チェーンコンベアに代えて、例えばベルトコンベア、或いはローラーコンベア等とすることができる。
【0133】
上側横送り機構24は、フック状の吊下げ部43に代えて、例えば枠状体5の上部を掴むクランプ状の吊下げ部とすることもできる。
【0134】
上側横送り機構24が吊下げ部43の昇降機構を備えて、最も上側の単位収納空間にある枠状体5を上昇させることもできる。
【0135】
支持機構70は、枠状体5の底面を支持することに代えて、例えば枠状体5の上部枠に引掛部材74を引っ掛けて支持するように構成することもできる。
【0136】
上記の実施形態において、上側横送り機構24は、複数のプーリ、ベルト及びモータ等から構成しているが、その構成は限定されない。下側横送り機構26についても同様である。
【0137】
物品10は、内部に収納物を収容したケース等であっても良い。
【0138】
上述の教示を考慮すれば、本発明が多くの変更形態及び変形形態をとり得ることは明らかである。従って、本発明が、添付の特許請求の範囲内において、本明細書に記載された以外の方法で実施され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0139】
1 ストッカ
3 ストッカ本体
5 枠状体
7 第1移送機構
9 第2移送機構
10 物品
11 入口部
13 出口部
20 移動経路
22 縦送り機構
24 上側横送り機構
26 下側横送り機構
31 シリンダ
43 吊下げ部
63 載置部(横送り用載置部)
63 横送り用載置部
70 支持機構
72 移動領域
74 引掛部材(引掛支持部)
81 搬送部
83 昇降移動部
85 載置部
89 シリンダ
P1 入口対応空間
P2 出口対応空間