IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱自動車工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両の電池冷却構造 図1
  • 特許-車両の電池冷却構造 図2
  • 特許-車両の電池冷却構造 図3
  • 特許-車両の電池冷却構造 図4
  • 特許-車両の電池冷却構造 図5
  • 特許-車両の電池冷却構造 図6
  • 特許-車両の電池冷却構造 図7
  • 特許-車両の電池冷却構造 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】車両の電池冷却構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20230816BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20230816BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20230816BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230816BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20230816BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20230816BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230816BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20230816BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20230816BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B60K11/06
B60K11/04 G
H01M10/613
H01M50/20
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/6563
H01M10/6568
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019184386
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021059215
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】堀居 直幸
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-93207(JP,A)
【文献】特開2017-54789(JP,A)
【文献】特開2010-123298(JP,A)
【文献】特開2018-190517(JP,A)
【文献】特開2006-324041(JP,A)
【文献】特開2005-178732(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0298586(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60K 11/04 - 11/06
H01M 10/52 - 10/667
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールと、
前記電池モジュールに冷却流体を供給する冷却通路と、
前記電池モジュールに電気的に接続された電装機器と、
前記冷却通路に設けられ前記冷却流体を冷却する冷却器と、
前記電池モジュールと前記電装機器と前記冷却器と前記冷却通路を収容するバッテリーケースとを備える車両の電池冷却構造であって、
前記電装機器と前記冷却器とが並べて配置され、
前記冷却通路は、前記電装機器と前記冷却器との間でそれらが並べられた方向と交差する方向に延在し前記並べられた方向と交差する交差部を有し、
前記電装機器は、前記電池モジュールの出力電圧を変換するDC/DCコンバータであり、
前記冷却通路は、前記電池モジュールを冷却した前記冷却流体を前記冷却器に導く接続ダクトを含んで構成され、
前記接続ダクトは、前記交差部の端部に接続され前記DC/DCコンバータの外面と隣接する隣接部を有する
ことを特徴とする車両の電池冷却構造。
【請求項2】
前記交差部は絶縁性を有する材料で構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両の電池冷却構造。
【請求項3】
記DC/DCコンバータの放熱フィンは前記隣接部内部の前記DC/DCコンバータ側に位置している、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の電池冷却構造。
【請求項4】
複数の前記電池モジュールが一方向に並べられた電池モジュール列がその長手方向と直交する方向に間隔をおいて2つ設けられ、
前記冷却通路は、前記2つの電池モジュール列の間で前記2つの電池モジュール列のそれぞれに沿って延在する2つのダクト本体を更に備え、
前記電装機器は、前記2つのダクト本体の間に配置され、前記冷却器は、前記冷却流体の冷却を行なう冷却器本体と、前記冷却器本体の上部または下部に設けられた前記冷却流体の流入口と、前記冷却器本体の下部または上部で前記2つのダクト本体が対向する方向である前記冷却器本体の両側に設けられ前記冷却器本体で冷却された前記冷却流体が流出する一対の流出口とを備え、
前記接続ダクトは単一のダクトで構成され、
前記接続ダクトは、前記隣接部と反対側の前記交差部の端部に接続され湾曲して前記流入口に接続される接続用延在部を有し、
冷却器側に位置する前記2つのダクト本体の端部は、前記一対の流出口に接続されている、
ことを特徴とする請求項3記載の車両の電池冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電池冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動源とした電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車においてモータに電力を供給する車両用電源装置が使用されている。
車両用電源装置は、高圧の直流電力をモータに供給することから複数の電池セルを直列に接続した電池モジュールを複数接続して構成された組電池と、電池モジュールに電気的に接続された電装機器と、冷却風ダクトと、ファンと、冷却器と、それらを収容するバッテリーケースとを備えている。
充電あるいは放電に伴い電池セルは熱を生じるため、電池モジュールの冷却を行なう必要がある。
そこで、冷却風ダクトを複数の電池モジュールに沿って延在させ、冷却器で冷却された冷却風を電池モジュールに供給する電池冷却構造が提供されている(特許文献1、2参照)。
このような電池冷却構造において、冷却器と電装機器とが並べられて配置される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-324041号公報
【文献】特開2010-123298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷却器は、その大部分が金属材料で構成されていることから、電装機器に比べて剛性が高く、車両衝突時の衝撃荷重がバッテリーケースを介して冷却器あるいは電装機器に入力し、冷却器と電装機器が相対的に接近する方向に変位すると、電装機器と剛性の高い冷却器とが直接衝突することが懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、車両衝突時の衝撃荷重から電装機器の保護を図る上で有利な車両の電池冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、電池モジュールと、前記電池モジュールに冷却流体を供給する冷却通路と、前記電池モジュールに電気的に接続された電装機器と、前記冷却通路に設けられ前記冷却流体を冷却する冷却器と、前記電池モジュールと前記電装機器と前記冷却器と前記冷却通路を収容するバッテリーケースとを備える車両の電池冷却構造であって、前記電装機器と前記冷却器とが並べて配置され、前記冷却通路は、前記電装機器と前記冷却器との間でそれらが並べられた方向と交差する方向に延在し前記並べられた方向と交差する交差部を有することを特徴とする。
本発明によれば、車両衝突時の衝撃荷重がバッテリーケースを介して冷却器あるいは電装機器に入力し、冷却器と電装機器が相対的に接近する方向に変位しても、冷却器と電装機器との間に冷却通路が位置しているので、電装機器と冷却器とが直接衝突することを防止でき、電装機器の保護を図る上で有利となる。
また、本発明は、前記交差部は絶縁性を有する材料で構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、絶縁性を有する合成樹脂材料で構成された交差部により冷却器と電装機器との電気的な接触を抑制して電装機器の保護を図る上で有利となる。
また、本発明は、前記電装機器は、前記電池モジュールの出力電圧を変換するDC/DCコンバータであり、前記冷却通路は、前記電池モジュールを冷却した前記冷却流体を前記冷却器に導く接続ダクトを含んで構成され、前記接続ダクトは、前記交差部の端部に接続され前記DC/DCコンバータの外面と隣接する隣接部を有し、前記DC/DCコンバータの放熱フィンは前記隣接部内部の前記DC/DCコンバータ側に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、DC/DCコンバータの放熱フィンは、接続ダクトの隣接部を通過する電池モジュールを冷却した後の温度が上昇した冷却風により冷却されるが、電池モジュールの温度よりもDC/DCコンバータの温度の方が高温であるため、このように電池モジュールを冷却した後の冷却風でDC/DCコンバータを冷却することで、冷却効率の向上を図る上で有利となる。
また、本発明は、複数の前記電池モジュールが一方向に並べられた電池モジュール列がその長手方向と直交する方向に間隔をおいて2つ設けられ、前記冷却通路は、前記2つの電池モジュール列の間で前記2つの電池モジュール列のそれぞれに沿って延在する2つのダクト本体を更に備え、前記電装機器は、前記2つのダクト本体の間に配置され、前記冷却器は、前記冷却流体の冷却を行なう冷却器本体と、前記冷却器本体の上部または下部に設けられた前記冷却流体の流入口と、前記冷却器本体の下部または上部で前記2つのダクト本体が対向する方向である前記冷却器本体の両側に設けられ前記冷却器本体で冷却された前記冷却流体が流出する一対の流出口とを備え、前記接続ダクトは単一のダクトで構成され、前記接続ダクトは、前記隣接部と反対側の前記交差部の端部に接続され湾曲して前記流入口に接続される接続用延在部を有し、冷却器側に位置する前記2つのダクト本体の端部は、前記一対の流出口に接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、車両衝突時の衝撃荷重がバッテリーケースに入力して内側に変形し、さらに電池モジュールが内側に変位しても、電装機器の外側にダクト本体が位置しているので、ダクト本体により衝撃荷重を受け止め、電装機器の保護を図る上で有利となる。
また、本発明によれば、接続ダクトおよびダクト本体の双方における圧力損失の抑制を図れることから、冷却風の循環を円滑に行なえ、電池モジュールおよび電装機器の冷却効率を高める上で有利となる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両衝突時の衝撃荷重がバッテリーケースを介して冷却器あるいは電装機器に入力し、冷却器と電装機器が相対的に接近する方向に変位しても、冷却器と電装機器との間に冷却通路が位置しているので、電装機器と冷却器とが直接衝突することを防止でき、電装機器の保護を図る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態に係る車両の電池冷却構造が適用された車両用電源装置の斜視図であり、バッテリーケースのカバーを取り外した状態を示す。
図2】車両用電源装置の平面図である。
図3図2のA-A線断面図である。
図4図2のB1-B1線断面図である。
図5図2のB2-B2線断面図である。
図6図2のC-C線断面図である。
図7図2のD-D線断面図である。
図8図2のE-E線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態の車両の電池冷却構造は車両用電源装置に適用されている。
車両用電源装置は、モータのみを駆動源とする電気自動車、あるいは、ハイブリッド車、あるいは、プラグインハイブリッド車などのモータを駆動源とした電動車に搭載される。
なお、以下の図面において符号UPは車両上方を示し、符号FRは車両前方を示し、符号INは車幅方向内側を示し、符号OUTは車幅方向外側を示す。
図1図2に示すように、車両用電源装置10は、バッテリーケース12と、バッテリーケース12に収容された組電池14、冷却風ダクト16(冷却通路)、ファン18、冷却器20、接続ダクト22(冷却通路)、ジャンクションボックス24、DC/DCコンバータ26とを含んで構成され、ファン18、冷却器20、ジャンクションボックス24、DC/DCコンバータ26は上下方向と交差する方向に並べられて配置されている。
【0009】
バッテリーケース12は金属製であり、トレー28と、カバー30(図3参照)とを備えている。
バッテリーケース12は、すなわちトレー28とカバー30は、高さと、高さよりも大きい寸法の幅と、幅よりも大きい寸法の長さとを有している。
トレー28は、平面視長方形の板状の底壁2802と、底壁2802の周囲から起立する側壁2804と、側壁2804の上端外周に設けられた環状のトレー側フランジ2806とを備えている。
トレー28は、長手方向を車両前後方向に合致させ、幅方向を車幅方向に合致させて車両の車幅方向の中央に配置され、取り付け部材32を介して左右のサイドメンバに取着されている。
図3に示すように、カバー30は、トレー28の底壁2802に対向する上壁3002と、上壁3002の周囲から垂設された側壁3004と、側壁3004の下端外周に設けられた環状のカバー側フランジ3006とを備えている。
トレー28とカバー30は、トレー側フランジ2806とカバー側フランジ3006とを重ね合わせた状態で不図示の複数のボルトにより締結されている。
【0010】
図1図2に示すように、組電池14は、互いに電気的に接続された複数の電池モジュール34で構成され、本実施の形態では、平面視した状態で、3つの電池モジュール34が一方向に並べられた電池モジュール列36が電池モジュール列36の長手方向と直交する方向に間隔をおいて2つ設けられている。
本実施の形態では、2つの電池モジュール列36は、その長手方向をトレー28の長手方向に合致させ、トレー28の幅方向の両端寄りの箇所に配置されている。
【0011】
図2に示すように、各電池モジュール34は複数の電池セル38がトレー28の長手方向に並べられて構成され、それら電池セル38は不図示のバスバーを介して相互に電気的に接続されている。
電池セル38は、二次電池で構成されており、二次電池としてリチウムイオン二次電池など従来公知の様々な二次電池が使用可能である。
電池セル38は、電極体と、該電極体を収容するケースとを備え、薄い矩形板状を呈し、電池セル38の上端面には端子部が設けられている。
【0012】
電池モジュール34は、複数の電池セル38が高さ方向を上下方向に向け、厚さ方向をトレー28の長手方向に向けて等間隔をおいて並べられ、位置決めされて不図示のモジュールハウジングに収容され、モジュールハウジングはトレー28の底壁2802に取り付けられている。
モジュールハウジングは枠状を呈し、内部に収容される複数の電池セル38の縁部を覆うように設けられている。
したがって、複数の電池セル38の高さ方向の両端に位置する端面と、厚さ方向の両端に位置する側面と、幅方向の両端に位置する端面はバッテリーケース12の内部に開放され、各電池モジュール34を構成する電池セル38の側面間の隙間に冷却風(冷却流体)が流通できるように図られている。
【0013】
冷却風ダクト16は、電池モジュール34に冷却風を供給する冷却通路の一部を構成している。
図1図2図4から図8に示すように、冷却風ダクト16は、2つの電池モジュール列36の間で2つの電池モジュール列36のそれぞれに沿って直線状に延在する2つのダクト本体40を備えている。
2つの電池モジュール列36は、その長手方向をトレー28の長手方向に合致させ、トレー28の幅方向の両端寄りの箇所に配置されていることから、2つのダクト本体40の間に、トレー28の幅方向の中央でトレー28の長手方向に延在する空間S1が位置している。
この空間S1に、ジャンクションボックス24、ファン18、DC/DCコンバータ26が配置され、空間S1の延長上でDC/DCコンバータ26に間隔をおいて冷却器20が配置されている。
すなわち、2つのダクト本体40の間でトレー28の長手方向に沿ってジャンクションボックス24、ファン18、DC/DCコンバータ26が配置され、詳細にはトレー28の長手方向の一端にジャンクションボックス24が配置され、トレー28の長手方向の他端にDC/DCコンバータ26と冷却器20が配置され、トレー28の中央にファン18が配置されている。
【0014】
ジャンクションボックス24とDC/DCコンバータ26は、電池モジュール34に電気的に接続されて機能するものであり、本実施の形態では、電装機器は、ジャンクションボックス24とDC/DCコンバータ26とを含んで構成されている。
ジャンクションボックス24は、電池モジュール34に接続されることで電池モジュール34を機能させるものであり高電圧が印加されている。
DC/DCコンバータ26は、電池モジュール34からの出力電圧を変換し、変換後の電圧をインバーターや補機類に供給するものであり高電圧が印加されている。
図3図7に示すように、DC/DCコンバータ26は、動作に伴い発熱する矩形板状の本体部2602を備え、本体部2602の下面には、下方に突出する複数の放熱フィン2604が設けられている。
本実施の形態では、ジャンクションボックス24およびDC/DCコンバータ26は、2列の電池モジュール列36の間で電池モジュール列36の延在方向に間隔をおいて配置され、トレー28の底壁2802に取り付けられている。
【0015】
図1から図3に示すように、ファン18は、複数の電池モジュール34を冷却した冷却風を吸引し、接続ダクト22を介して冷却器20に送給するものである。
ファン18は、トレー28の底壁2802に取り付けられ、2つのダクト本体40の間でバッテリーケース12の中央または中央近傍の箇所に配置されている。
冷却器20(エバポレータ)は、ファン18から吐出される冷却風を冷却し冷却風ダクト16に導くものである。
冷却器20は、その大部分が金属材料で構成され、冷却器本体2002と、流入口2004と、一対の流出口2006とを備えている。
冷却器本体2002は、冷却風の冷却を行なう箇所である。
流入口2004は、冷却器本体2002の上部に設けられ、ファン18から吐出される冷却風が接続ダクト22を介して流入する箇所である。
一対の流出口2006は、冷却器本体2002の下部で2つのダクト本体40が対向する方向である冷却器本体2002の両側に設けられ冷却器本体2002で冷却された冷却風が流出する箇所であり、冷却風ダクト16に接続されている。
【0016】
接続ダクト22は、冷却通路の残りの部分を構成するものであり、ファン18と冷却器20とを接続する箇所であり、絶縁性を有する合成樹脂材料で構成され、冷却風ダクト16が2つのダクト本体40で構成されているのに対し接続ダクト22は単一のダクトで構成されている。
接続ダクト22は、図6に示すように、断面がトレー28の幅方向に横長の矩形状を呈し、図3に示すように、横延在部(隣接部)2202と縦延在部(交差部)2204と接続用延在部2206とを含んで構成されている。トレー28の長手方向に延在する横延在部2202と上下方向に延在する縦延在部2204とを含んで構成されている。
横延在部2202は、上下方向と交差する方向であるトレー28の長手方向に延在している。
横延在部2202の一端はファン18の吐出口1802に接続され、横延在部2202は吐出口1802からDC/DCコンバータ26の下方を通ってDC/DCコンバータ26の外面をなす下面に隣接し、冷却器20に向かって延在し、横延在部2202の上面の一部はDC/DCコンバータ26の下面および放熱フィン2604を含んで構成されている。
縦延在部2204は水平方向と交差する方向に延在し、言い換えると、縦延在部2204は、電装機器と冷却器20との間でそれらが並べられた方向と交差する方向に延在している。
縦延在部2204の一端(一方)は横延在部2202の他端に接続され、縦延在部2204は冷却器20とDC/DCコンバータ26との間で上方に至るにつれて冷却器20側に近づく傾斜で上方に延在している。
接続用延在部2206は、縦延在部2204の他端(他方)に接続され、言い換えると、接続用延在部2206は、横延在部2202と反対側の縦延在部2204の端部に接続され、湾曲して冷却器20の流入口2004に接続されている。
【0017】
図1図2に示すように、冷却風ダクト16の2つのダクト本体40の冷却器20側の端部は、湾曲部42を介して冷却器20の一対の流出口2006にそれぞれ接続されている。
図1図7図8に示すように、各ダクト本体40は、断面が上下方向に細長の矩形状を呈しており、ダクト本体40を構成する壁部のうちトレー幅方向外側に位置する外側壁4002に、冷却風を吹き出す矩形状の吹き出し開口4004がダクト本体40の延在方向に間隔をおいて複数設けられている。
それら吹き出し開口4004は、各列を構成する複数の電池モジュール34のトレー幅方向内側の箇所に対向しており、各モジュールハウジングで支持された複数の電池セル38のトレー幅方向内側の端面に対向している。
また、図1図2図5に示すように、吹き出し開口4004の周囲の外側壁4002の箇所には、吹き出し開口4004の周囲を囲む矩形枠状の発泡ゴムからなるシール材44が接着されており、このシール材44は、外側壁4002と、枠状のモジュールハウジングとの間で押しつぶされることで、吹き出し開口4004から吹き出される冷却風がモジュールハウジングで支持された隣り合う電池セル38の厚さT方向の両端に位置する側面間の隙間に確実に供給されるように図られている。
【0018】
本実施の形態では、冷却風ダクト16は絶縁性を有する合成樹脂材料と、金属材料とで構成されている。
詳細に説明すると、図1に示すように、湾曲部42と、湾曲部42に続くダクト本体40の一部40Aは、合成樹脂材料とを組み合わせて形成され、ダクト本体40の一部40Aを除いた残りの部分40Bは、金属材料で形成されている。
すなわち、湾曲部42は合成樹脂材料からなる壁部で形成されている。
また、湾曲部42に続くダクト本体40の一部40Aのトレー幅方向外側の部分40A1は金属板を塑性加工した板金製で、トレー幅方向内側の部分40A2は合成樹脂材料で形成されている。
すなわち、冷却風ダクト16の少なくともDC/DCコンバータ26側に位置する箇所は絶縁性を有する合成樹脂材料で構成されている
また、ダクト本体40の残りの部分40Bは、板金で構成されている。
これは湾曲部42がその形状からして合成樹脂材料を用いて型成形で形成することがコスト上有利であるためであり、残りの部分40Bは平面を組み合わせた単純な形状であるため、板金を用いて形成することがコスト上有利であるためである。
【0019】
なお、湾曲部42およびダクト本体40を全て合成樹脂材料で構成しても、あるいは、全て板金で構成しても良いことは無論である。
ダクト本体40を合成樹脂材料で構成すると、あるいは、ダクト本体40の少なくとも電装機器側に位置する箇所を合成樹脂材料で構成すると、車両衝突時、バッテリーケース12が車幅方向内側に変形するような衝撃荷重を受けた場合、電池モジュール34が車幅方向内側へ変位し、これによりダクト本体40が変形して電装機器に接近した場合に、電装機器と冷却風ダクト16との電気的な接触を回避でき、電装機器の保護を図る上で有利となる。
また、ダクト本体40を板金で構成した場合は、ダクト本体40の剛性が高められるので、バッテリーケース12が車幅方向内側に変形するような衝撃荷重を受けた場合、ダクト本体40が衝撃荷重を受け止めることで、電池モジュール34の車幅方向内側への変位を抑制し、電装機器の保護を図る上で有利となる。
【0020】
次に作用効果について説明する。
車両用電源装置10が稼働し、各電池モジュール34から出力される電力が車両の駆動用モータに供給され、また、DC/DCコンバータ26を介して補機類に供給されると、各電池セル38およびDC/DCコンバータ26は発熱する。
あるいは、車両外部の充電装置から各電池モジュール34の電池セル38に充電が行われると各電池セル38が発熱する。
この場合、ファン18が動作することによりバッテリーケース12内の空気が吸引され接続ダクト22を介して冷却器20に至り、冷却器20で冷却された空気は、冷却風として冷却風ダクト16に供給される。
冷却風ダクト16の一対のダクト本体40に供給された冷却風は、ダクト本体40の吹き出し開口4004から各電池セル38の間の隙間に供給される。
冷却風が各電池セル38の間の隙間を通ることで電池セル38が冷却される。
電池セル38を通り抜けた冷却風は、一対のダクト本体40の間の空間S1に至り、やがてファン18によって吸入され接続ダクト22を介して冷却器20に供給される。
この際、接続ダクト22の横延在部2202の上面の一部はDC/DCコンバータ26の下面および放熱フィン2604を含んで構成されているので、DC/DCコンバータ26は、その下面が横延在部2202を通過する冷却風により冷却される。
接続ダクト22を流れる冷却風は、電池モジュール34を構成する電池セル38を冷却した後の冷却風であるため、冷却器20で冷却された冷却風よりも温度が上昇しているが、電池セル38の温度よりもDC/DCコンバータ26の温度の方が高温であるため、このように電池セル38を冷却した後の冷却風でDC/DCコンバータ26を冷却することで、冷却効率の向上が図られている。
このように冷却風がバッテリーケース12内部で循環されることにより電池セル38およびDC/DCコンバータ26の冷却がなされる。
【0021】
本実施の形態によれば、冷却器20とDC/DCコンバータ26は上下方向と交差する方向に並べられて配置され、接続ダクト22の縦延在部2204は、DC/DCコンバータ26と冷却器20との間でそれらDC/DCコンバータ26と冷却器20が並べられた方向と交差する方向に延在している。
ここで冷却器20は、大部分が金属材料で構成されていることから、DC/DCコンバータ26に比べて剛性が高い。
したがって、車両衝突時の衝撃荷重がバッテリーケース12を介して冷却器20あるいはDC/DCコンバータ26に入力し、冷却器20とDC/DCコンバータ26が相対的に接近する方向に変位しても、冷却器20とDC/DCコンバータ26との間に縦延在部2204が位置しているので、DC/DCコンバータ26と冷却器20とが直接衝突することを防止できる。すなわち、縦延在部2204が介在した状態で冷却器20とDC/DCコンバータ26とは間接的に衝突することになる。
すなわち、剛性が高い冷却器20とDC/DCコンバータ26との直接の衝突を防止し、DC/DCコンバータ26の保護を図る上で有利となる。
特に本実施の形態では、接続ダクト22が絶縁性を有する合成樹脂材料で構成されているので、車両衝突時に冷却器20とDC/DCコンバータ26との電気的な接触を抑制してDC/DCコンバータ26の保護を図る上で有利となる。
なお、本実施の形態では、接続ダクト22が絶縁性を有する合成樹脂材料で構成されている場合について説明したが、冷却器20とDC/DCコンバータ26との電気的な接触を抑制する観点からすると少なくとも縦延在部2204が絶縁性を有する合成樹脂材料で構成されていればよく、残りの横延在部2202と接続用延在部2206が金属材料で構成されていても上記と同様の効果が奏される。
【0022】
また、本実施の形態では、絶縁性を有する合成樹脂材料で構成された横延在部2202をDC/DCコンバータ26の下方に通しているので、バッテリーケース12が金属材料で構成されている場合、下方から衝撃荷重が加わった場合に、バッテリーケース12とDC/DCコンバータ26との電気的な接触を抑制してDC/DCコンバータ26の保護を図るうえで有利となる。
尚、本実施の形態において、接続ダクト22は合成樹脂材料で構成されているが、絶縁性を有する材料であればこれに限らない。また、絶縁性を有しない材料の表面を絶縁性を有する材料で覆う構成とすることにより、接続ダクト22に絶縁性を持たせるようにしてもよい。
【0023】
また、本実施の形態では、冷却風ダクト16は、2つの電池モジュール列36の間で2つの電池モジュール列36のそれぞれに沿って延在する2つのダクト本体40を備え、DC/DCコンバータ26、ジャンクションボックス24を2つのダクト本体40の間に配置した。
したがって、衝突時の衝撃荷重がバッテリーケース12に入力して車幅方向内側に変形し、さらに電池モジュール34が車幅方向内側に変位しても、DC/DCコンバータ26、ジャンクションボックス24の車幅方向外側にダクト本体40が位置しているので、ダクト本体40により衝撃荷重を受け止め、電装機器の保護を図る上で有利となる。
【0024】
また、本実施の形態では、接続ダクト22に、横延在部2202と反対側の縦延在部2204の端部に接続され湾曲して冷却器本体2002の上部に設けられた流入口2004に接続される接続用延在部2206を設けると共に、冷却器側に位置する2つのダクト本体40の端部を、2つのダクト本体40が対向する方向である冷却器本体2002の下部両側に設けられた一対の流出口2006に接続するようにした。
そのため、接続ダクト22の接続用延在部2206が湾曲しているものの、接続ダクト22は単一のダクトから構成され、その断面積が大きく確保されているため、接続ダクト22における圧力損失を抑制する上で有利となる。
また、2つのダクト本体40はそれらの断面積が接続ダクト22の断面積よりも小さいものの、2つのダクト本体40の端部は、冷却器本体2002の下部両側の一対の流出口2006に接続されているため、2つのダクト本体40の端部の湾曲は最小限で済み、冷却風ダクト16(ダクト本体40)における圧力損失を抑制する上で有利となる。
したがって、接続ダクト22および冷却風ダクト16(ダクト本体40)の双方における圧力損失の抑制を図れることから、冷却風の循環を円滑に行なえ、電池モジュール34、DC/DCコンバータ26の冷却効率を高める上で有利となる。
【0025】
なお、本実施の形態では、冷却器本体2002の上部に流入口2004が設けられ、冷却器本体2002の下部に一対の流出口2006が設けられている場合について説明したが、冷却器本体2002の下部に流入口2004が設けられ、冷却器本体2002の上部に一対の流出口2006が設けられていてもよく、その場合は、接続ダクト22の縦延在部2204は冷却器20とDC/DCコンバータ26との間で上方に至るにつれて冷却器20側に近づく傾斜で下方に延在することになる。
【0026】
また、本実施の形態では、DC/DCコンバータ26の本体部2602の下面に複数の放熱フィン2604が設けられている場合について説明したが、複数の放熱フィン2604はDC/DCコンバータ26の本体部2602の外面に設けられていればよく、本体部2602の上面に複数の放熱フィン2604が設けられている場合もある。
その場合は、接続ダクト22の横延在部2202を吐出口1802からDC/DCコンバータ26の上方を通り冷却器20に向かって延在させ、DC/DCコンバータ26の放熱フィン2604を横延在部2202の内部の下部に位置させ、したがって、横延在部2202の下面の一部をDC/DCコンバータ26の上面および放熱フィン2604を含んで構成するようにすればよい。
また、本実施の形態では、冷却流体が冷却風の場合を説明したが、冷却流体が冷却水の場合にも適用できる。この場合は、冷却通路16は冷却風ダクトではなく、冷却水路となり、ファンはポンプとなる。
【符号の説明】
【0027】
10 車両用電源装置
12 バッテリーケース
16 冷却風ダクト(冷却通路)
18 ファン
20 冷却器
2002 冷却器本体
2004 流入口
2006 流出口
22 接続ダクト(冷却通路)
2202 横延在部(隣接部)
2204 縦延在部(交差部)
2206 接続用延在部
24 ジャンクションボックス(電装機器)
26 DC/DCコンバータ(電装機器)
2604 放熱フィン
34 電池モジュール
36 電池モジュール列
38 電池セル
40 ダクト本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8