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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】カーシェアリングシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230816BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019212052
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021086170
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古長 靖浩
(72)【発明者】
【氏名】橋本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】高須 広治
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156048(JP,A)
【文献】国際公開第2013/076760(WO,A1)
【文献】特開2012-048461(JP,A)
【文献】特開2010-003170(JP,A)
【文献】特開2011-086020(JP,A)
【文献】特開2016-038668(JP,A)
【文献】特開2016-184199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザーによって共同使用されるシェアリング車両に関するデータと、単一のユーザーに専有される専有車両に関するデータと、非使用のシェアリング車両の待機スペースであるステーションにおける前記シェアリング車両および前記専有車両の駐車状況に関するデータと、を管理する管理サーバを備えたカーシェアリングシステムであって、
前記管理サーバは、
前記シェアリング車両の利用予約に関するデータ、および、前記駐車状況に関するデータ、および、前記シェアリング車両の車両IDについてのデータ、および、前記専有車両の車両IDについてのデータ、を蓄積するデータベースと、
前記ステーションの待機スペースに前記専有車両が駐車された場合には同待機スペースに関連付けられた前記専有車両に関するデータを同専有車両から受信し、且つ、前記シェアリング車両の利用予約についての予約データ、および、前記駐車状況に関するデータの外部機器への送信を要求する要求データを前記外部機器から受信するデータ受信部と、
前記要求データの受信に応じて、前記駐車状況に関するデータを前記データベースから抽出して前記外部機器に送信するデータ送信部と、を有するカーシェアリングシステム。
【請求項2】
前記専有車両に関するデータを、無線通信を通じて前記データ受信部に出力する車載機器を有し、
前記車載機器は、カーリースによって貸し出された前記専有車両としてのリース車両に設けられている
請求項1に記載のカーシェアリングシステム。
【請求項3】
前記専有車両に関するデータを、無線通信を通じて前記データ受信部に出力する車載機器を有し、
前記車載機器は、前記シェアリング車両よりも小さい車両である前記専有車両に設けられている
請求項1または2に記載のカーシェアリングシステム。
【請求項4】
前記専有車両に関するデータを、無線通信を通じて前記データ受信部に出力する車載機器を有し、
前記車載機器は、前記専有車両としての超小型モビリティまたはミニカーに設けられている
請求項1~3のいずれか一項に記載のカーシェアリングシステム。
【請求項5】
前記外部機器は、前記専有車両の解錠と施錠とを行う電子キーとしての機能が付与されたユーザーの携帯端末であり、前記データ送信部から送信されるデータに基づき前記シェアリング車両の解錠と施錠とを行う電子キーとしての機能が付与されるものである
請求項1~4のいずれか一項に記載のカーシェアリングシステム。
【請求項6】
前記ステーションに設けられ、前記データ送信部から送信される前記駐車状況に関するデータを受信して、同駐車状況に関する情報を表示する表示装置を有する
請求項1~5のいずれか一項に記載のカーシェアリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、予め登録を行った会員間で特定の車両を共同使用するサービス、いわゆるカーシェアリングが実用されている。カーシェアリングでは、利用されていない車両が待機するスペース、いわゆるステーションが設けられている。そして、シェアリング車両を利用する会員は、利用手続きを行った上で、ステーションにおいてシェアリング車両を借り受けるとともに、使用後の車両をステーションに返却する。
【0003】
特許文献1には、カーシェアリングとレンタカーサービスとを連携することが提案されている。このシステムでは、会員によるシェアリング車両の予約に際して、利用可能なシェアリング車両がない場合に、貸し出し可能なレンタル車両が紹介される。これにより、車両の不足によって会員が車両を利用することのできない状況になることが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-102553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ユーザーは、シェアリング車両やレンタル車両を利用する際には、公共交通機関を利用して移動したり徒歩によって移動したりして、車両が駐めてある場所まで同車両を取りに行かなくてはならない。この移動は、ユーザーにとって大きな負担になっており、カーシェアリングの利用をためらう一因になっている。
【0006】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カーシェアリングの利用についての利便性を高くすることのできるカーシェアリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのカーシェアリングシステムは、複数のユーザーによって共同使用されるシェアリング車両に関するデータと、単一のユーザーに専有される専有車両に関するデータと、非使用のシェアリング車両の待機スペースであるステーションにおける前記シェアリング車両および前記専有車両の駐車状況に関するデータと、を管理する管理サーバを備えたカーシェアリングシステムであって、前記管理サーバは、前記シェアリング車両の利用予約に関するデータ、および、前記駐車状況に関するデータ、を蓄積するデータベースと、前記ステーションの待機スペースに前記専有車両が駐車された場合には同待機スペースに関連付けられた前記専有車両に関するデータを同専有車両から受信し、且つ、前記シェアリング車両の利用予約についての予約データ、および、前記駐車状況に関するデータの外部機器への送信を要求する要求データを前記外部機器から受信するデータ受信部と、前記要求データの受信に応じて、前記駐車状況に関するデータを前記データベースから抽出して前記外部機器に送信するデータ送信部と、を有する。
【0008】
上記構成によれば、ユーザーによる外部機器(携帯端末やパーソナルコンピュータなど)の操作を通じて、データベースにおけるシェアリング車両の利用予約に関するデータを書き換えることによって、同シェアリング車両の利用予約を行うことができる。そして上記構成では、ユーザーが専有車両を運転してステーションまで移動するとともに、同ステーションにおいて専有車両からシェアリング車両に乗り換えて同シェアリング車両の利用を開始するといったように、カーシェアリングを利用することができる。そのため、ステーションまでの移動を、公共交通機関を利用した移動や徒歩での移動と比較してユーザーの負担が軽い移動手段である専有車両での移動を通じて行うことができる。
【0009】
こうした利用態様では、ステーションにおいて専有車両からシェアリング車両に乗り換える際に、少なくともユーザーが利用するシェアリング車両が駐まっていたスペースが空くため、その空いたスペースを同ユーザーの専有車両を駐車するスペースとして利用することができる。そして上記構成によれば、ユーザーがステーションに専有車両を駐車した際には、同車両が専有車両である旨の情報と同車両が駐車された待機スペースの位置とが、専有車両の駐車状況として管理サーバに記憶される。これにより、管理サーバから外部機器に送信されたデータ、詳しくは専有車両の駐車状況によって、ステーションの特定スペースに駐車された車両がシェアリング車両ではなく他のユーザーの専有車両であることを認識させることが可能になるため、同専有車両を丁寧に扱ってもらう効果を見込むことができる。
【0010】
このように上記構成によれば、カーシェアリングの利用にかかる利便性を高くすることができる。
上記システムにおいて、前記専有車両に関するデータを、無線通信を通じて前記データ受信部に出力する車載機器を有し、前記車載機器は、カーリースによって貸し出された前記専有車両としてのリース車両に設けられていることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、カーシェアリングシステムの一部を構成する車載機器が予め取り付けられた状態のリース車両を、カーシェアリングのユーザーに貸し出すことができる。したがって、カーシェアリングの利用提案に際して、専有車両としてのリース車両の利用も含めたかたちで、その提案を高い自由度で行うことができる。
【0012】
上記システムにおいて、前記専有車両に関するデータを、無線通信を通じて前記データ受信部に出力する車載機器を有し、前記車載機器は、前記シェアリング車両よりも小さい車両である前記専有車両に設けられていることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、買い物や通勤などの日常利用では少人数の乗車や少量の荷物を乗せるのに適した小型の専有車両を利用してもらう一方で、旅行や行楽などの非日常利用では多人数の乗車に適した大型のシェアリング車両を利用してもらうといったように、カーシェアリングの新たな利用形態を提案することができる。そして、この利用形態において、カーシェアリングの利用についての利便性を高くすることができる。
【0014】
上記システムにおいて、前記専有車両に関するデータを、無線通信を通じて前記データ受信部に出力する車載機器を有し、前記車載機器は、前記専有車両としての超小型モビリティまたはミニカーに設けられていることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、カーシェアリングの利用に際して、専有車両の駐車スペースを小さく抑えたり、専有車両の利用にかかる費用を低く抑えたりすることができる。
上記システムにおいて、前記外部機器は、前記専有車両の解錠と施錠とを行う電子キーとしての機能が付与されたユーザーの携帯端末であり、前記データ送信部から送信されるデータに基づき前記シェアリング車両の解錠と施錠とを行う電子キーとしての機能が付与されるものであることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、シェアリング車両の利用予約や、ステーションにおける専有車両の駐車状況の確認、専有車両の解錠および施錠、並びにシェアリング車両の解錠および施錠といったカーシェアリングの利用にかかる各種操作を、ユーザーの携帯端末を利用して、一括して行うことができる。したがって、カーシェアリングの利用についての利便性を好適に高くすることができる。
【0017】
上記システムにおいて、前記ステーションに設けられ、前記データ送信部から送信される前記駐車状況に関するデータを受信して、同駐車状況に関する情報を表示する表示装置を有することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、ステーションに到着したユーザーが同ステーションに設置されている表示装置の表示情報をもとに、専有車両の駐車状況を容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、カーシェアリングの利用についての利便性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態のカーシェアリングシステムの全体構成を示す略図。
図2】ユーザーの携帯端末と専有車両との関係を示す略図。
図3】シェアリング車両の利用予約を行うための構成を示す略図。
図4】ユーザーの携帯端末とシェアリング車両との関係を示す略図。
図5】専有車両によるステーションへの移動態様の一例を示す略図。
図6】ステーションにおける車両の乗り換え態様の一例を示す略図。
図7】専有車両によるステーションへの移動態様の他の例を示す略図。
図8】ステーションにおける車両の乗り換え態様の他の例を示す略図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、カーシェアリングシステムの一実施形態について説明する。
図1に示すように、ユーザーは専有車両10を所有している。専有車両10は、カーリースによって一定期間にわたり貸し出されて単一のユーザーが専有するリース車両であり、一人乗りの車両、いわゆるミニカーである。この専有車両10の日常における駐車スペースは、同専有車両10をリース契約しているユーザーの自宅Pである。
【0022】
専有車両10には車載機器11が取り付けられている。車載機器11は、位置情報を検出するGPSや、車両外部の機器との間で無線通信を行う無線通信装置、専有車両10の識別情報である車両IDを記憶する記憶部(具体的には、RFIDタグ)、各装置の作動を制御する制御装置を有している。この車載機器11によって、専有車両10に関するデータを、無線通信を通じて車両外部の機器から取り込んだり車両外部の機器に出力したりする。
【0023】
図2に示すように、本実施形態では、ユーザー所有の携帯端末12に専有車両10の電子キーとしての機能が付与されている。詳しくは、ユーザーが携帯端末12を所持した状態で専有車両10に近づくことによって同専有車両10の解錠や施錠が可能になる。また、ユーザーが携帯端末12を所持した状態で専有車両10に乗車することによって、同専有車両10を始動する操作や運転停止させる操作が可能になる。なお本実施形態では、携帯端末12に専用のアプリケーションをインストールするとともに同アプリケーションを操作することにより、携帯端末12の内蔵ICに記憶されているデータと車載機器11のプログラムとが関連付けられて、同携帯端末12に電子キーとしての機能が付与される。
【0024】
図1に示すように、本実施形態にかかるカーシェアリングでは、複数台のシェアリング車両13が、予め登録を行った会員である複数のユーザーによって共同使用される。これらシェアリング車両13としては、専有車両10よりも大きい車両、詳しくはRV車や高級外車などが用意されている。各シェアリング車両13には車載機器14が取り付けられている。車載機器14は、位置情報を検出するGPSや、車両外部の機器との間で無線通信を行う無線通信装置、シェアリング車両13の識別情報である車両IDを記憶する記憶部、各装置の作動を制御する制御装置を有している。この車載機器11によって、シェアリング車両13に関するデータを、無線通信を通じて車両外部の機器から取り込んだり車両外部の機器に出力したりする。
【0025】
実施形態にかかるカーシェアリングは、シェアリング車両13の待機スペースであるステーション15を有している。ユーザによって利用されていないシェアリング車両13は、ステーション15の各待機スペースに駐車されている。
【0026】
ステーション15には、各待機スペースに駐車された車両を管理するための制御装置21と、各待機スペースにおける駐車状況を表示するためのディスプレイを有する表示装置22とが設けられている。
【0027】
制御装置21は、シェアリング車両13の車載機器14や専有車両10の車載機器11との間で無線通信を行う無線通信部21A、および、後述する管理サーバ23との間で有線通信を行う有線通信部21Bを有している。
【0028】
制御装置21は、車載機器11,14との無線通信を通じて、ステーション15内における専有車両10やシェアリング車両13の駐車状況、詳しくは位置情報および車両IDを受信して取り込んでいる。また制御装置21は、車載機器14との無線通信を通じて、特定ユーザーによって利用予約されたシェアリング車両13に対して特定ユーザーの携帯端末12を電子キーとして機能させるためのデータを送信する。
【0029】
さらに制御装置21は、管理サーバ23との有線通信を通じて、ステーション15内における専有車両10やシェアリング車両13の駐車状況を同管理サーバ23に送信するとともに、シェアリング車両13の予約状況を管理サーバ23から受信している。また制御装置21は、ステーション15内における専有車両10やシェアリング車両13の駐車状況を表示装置22にも送信している。
【0030】
表示装置22は、ステーション15全体を俯瞰した画像(図5参照)を表示するものであり、同ステーション15の各待機スペース16についての駐車車両の有無や駐車車両の種類を表示している。表示装置22における各待機スペース16に対応する位置に表示される内容としては、シェアリング車両13が駐車されていることを示す「表示態様A」、専有車両10が駐車されていることを示す「表示態様B」、シェアリング車両13および専有車両10のいずれも駐車されていないことを示す「表示態様C」のいずれかが選択される。表示装置22は、制御装置21から送信される駐車状況に関するデータをもとに、ステーション15における各待機スペース16の駐車状況を表示する。
【0031】
本実施形態のカーシェアリングシステムは管理サーバ23を有している。管理サーバ23は、シェアリング車両13に関するデータや、専有車両10に関するデータ、ステーション15におけるシェアリング車両13および専有車両10の駐車状況に関するデータなど、カーシェアリングに関する情報を管理するものである。
【0032】
管理サーバ23は、シェアリング車両13の利用予約に関するデータや、シェアリング車両13および専有車両10の駐車状況に関するデータを蓄積したデータベース23Aを有している。
【0033】
管理サーバ23は、携帯電話網やインターネット網を介して、制御装置21や外部機器17(具体的には、ユーザーの携帯端末12およびパーソナルコンピュータ18)から送信されるデータを受信するデータ受信部23Bと、制御装置21や外部機器17にデータを送信するデータ送信部23Cとを有している。管理サーバ23のデータ受信部23Bは、制御装置21からは、ステーション15の待機スペース16に専有車両10が駐車された場合において同専有車両10の駐車状況に関するデータを受信する。また管理サーバ23のデータ受信部23Bは、外部機器17からは、シェアリング車両13の利用予約についての予約データや、シェアリング車両13の予約状況に関するデータの外部機器17への送信を要求する要求データ、ステーション15の駐車状況に関するデータの外部機器17への送信を要求する要求データなどを受信する。そして、管理サーバ23のデータ送信部23Cは、外部機器17からの要求データの受信に応じて、シェアリング車両13の予約状況に関するデータやステーション15の駐車状況に関するデータをデータベース23Aから抽出して外部機器17に送信する。
【0034】
図3に示すように、本実施形態のカーシェアリングシステムでは、シェアリング車両13の利用予約が、ユーザーによる外部機器17の操作を通じて行われる。具体的には、シェアリング車両13の利用予約を行うべく外部機器17が操作されると、同外部機器17から管理サーバ23に予約データが送信され、同予約データをもとにデータベース23Aが更新される。
【0035】
本実施形態では、データベース23Aの更新に合わせて、このとき利用予約されたシェアリング車両13に関するデータが管理サーバ23から制御装置21に送信される。制御装置21は、このデータを受信したことに基づいて、特定ユーザーによって利用予約されたシェアリング車両13に対して特定ユーザーの携帯端末12を電子キーとして機能させるためのデータを送信する。
【0036】
また本実施形態では、特定ユーザーが利用予約を行った後に、特定ユーザーによって携帯端末12にインストールされた専用のアプリケーションが操作されることにより、同携帯端末12の内蔵ICに記憶されているデータと利用予約したシェアリング車両13の車載機器14のプログラムとが関連付けられる。これにより、特定ユーザーの携帯端末12に電子キーとしての機能が付与される。
【0037】
図4に示すように、予め利用予約したシェアリング車両13を利用する際には、ユーザーが携帯端末12を所持した状態で同シェアリング車両13に近づくことにより、同シェアリング車両13の解錠や施錠が可能になる。また、ユーザーが携帯端末12を所持した状態で、シェアリング車両13に乗車することによって、同シェアリング車両13を始動する操作や運転停止させる操作が可能になる。なお本実施形態では、特定ユーザーの携帯端末12がシェアリング車両13の利用時に限って一時的に電子キーとして機能するようになっている。
【0038】
以下、本実施形態のカーシェアリングシステムによる作用について説明する。
カーシェアリングの利用に際しては、シェアリング車両13の利用予約を行うべく、ユーザーによって外部機器17が操作される。この外部機器17の操作を通じて、管理サーバ23に記憶されているデータベース23Aにおけるシェアリング車両13の利用予約に関するデータが書き換えられて、同シェアリング車両13の利用が予約される。
【0039】
そして、図5に示すように、ユーザーはシェアリング車両13の利用を予約した日時に合わせて専有車両10でステーション15に移動する。
本実施形態にかかるカーシェアリングシステムでは、ユーザーによる携帯端末12の操作を通じて、シェアリング車両13の予約状況(予約車両や予約期間)やステーション15の駐車状況を同携帯端末12に表示させて確認することが可能になっている。そのため、ステーション15に到着したユーザーは、自身の携帯端末12によって、利用予約したシェアリング車両13の駐車位置や予約期間を確認することができる。
【0040】
ユーザーの携帯端末12に表示されるステーション15の駐車状況には、他のユーザーの専有車両30の駐車状況が含まれている。しかも、ステーション15に設置された表示装置22には、ステーション15の各待機スペース16における駐車状況に関する情報が表示されている。図5に示す例では、ステーション15における8つの待機スペース16のうちの7つがシェアリング車両13が駐車されていることを示す「表示態様A」になっており、残りの1つが他のユーザーの専有車両30が駐車されていることを示す「表示態様B」になっている。
【0041】
このことから、ステーション15に到着したユーザーは、自身の携帯端末12の表示内容や同ステーション15に設置された表示装置22の表示情報をもとに、他のユーザーの専有車両30の駐車状況を容易に確認することが可能になっている。これにより、ステーション15の特定スペースに駐車された車両がシェアリング車両13ではなく他のユーザーの専有車両30であることを認識することができるため、同専有車両30を丁寧に扱う効果が見込まれる。
【0042】
図6中に矢印M1で示すように、ステーション15においては、先ず、利用予約したシェアリング車両13が待機スペース16Aから出庫される。その後、図6中に矢印M2で示すように、シェアリング車両13の出庫に伴い空いた待機スペース16Aに、ユーザーの専有車両10が入庫される。そして、図6中に矢印M3で示すように、待機スペース16Aから出庫したシェアリング車両13のユーザーによる利用が開始される。
【0043】
このように本実施形態によれば、ユーザーが専有車両10を運転してステーション15まで移動するとともに、同ステーション15において専有車両10からシェアリング車両13に乗り換えて同シェアリング車両13の利用を開始するといったように、カーシェアリングを利用することができる。そのため、ユーザーのステーション15までの移動を、公共交通機関を利用した移動や徒歩での移動と比較してユーザーの負担が軽い移動手段である専有車両10での移動を通じて行うことができる。
【0044】
また、こうした利用態様を採用することにより、ステーション15までの移動にかかるユーザーの負担軽減を図りながら、ステーション15を公共交通機関の駅から離れた地域に配置したり郊外に配置したりすることができるようになる。したがって本実施形態によれば、ステーション15の配置についての自由度を格段に高くすることができる。
【0045】
本実施形態にかかるカーシェアリングでは、ステーション15において専有車両10からシェアリング車両13に乗り換える際に、ユーザーが利用するシェアリング車両13が駐まっていた待機スペース16Aが空くため、その空いた待機スペース16Aを同ユーザーの専有車両10を駐車するスペースとして利用することができる。したがって、ステーション15までの移動に利用した専有車両10を駐車するためのスペースを容易に確保することができる。しかも、専有車両10を近隣の有料パーキングに駐める必要がなくなるため、専有車両10の駐車のために別途料金が発生することを回避することができる。
【0046】
本実施形態のカーシェアリングシステムでは、ユーザーがステーション15に専有車両10を駐車した際に、同車両が専有車両10である旨の情報と同車両が駐車された待機スペース16Aの位置とが、専有車両10の駐車状況にかかるデータとして管理サーバ23に記憶される。これにより、他のユーザーの外部機器17やステーション15の表示装置22に表示される駐車状況に関する情報のうちの専有車両10を駐めた待機スペース16Aについての表示情報が、図5に示す「表示態様A」から図6に示す「表示態様B」に変化する。この表示情報によって、ステーション15の特定スペースに駐車された車両がシェアリング車両13ではなく特定ユーザーの専有車両10であることを他のユーザーに認識させることができるため、特定ユーザーの専有車両10を他のユーザーに丁寧に扱ってもらう効果を見込むことができる。
【0047】
図7に示すように、カーシェアリングの利用態様によっては、ステーション15の各待機スペース16のうちのいずれかが、駐車されていない「空き状態」になる場合がある。この場合には、外部機器17やステーション15の表示装置22に表示される駐車状況に関する情報のうちの「空き状態」の待機スペース16Aについての表示情報が、シェアリング車両13および専有車両10のいずれも駐車されていないことを示す「表示態様C」になる。そのため、ステーション15に到着したユーザーは、自身の携帯端末12の表示内容やステーション15の表示装置22の表示情報によって、空いている待機スペース16A、すなわち専有車両10を駐めることの可能な待機スペース16Aがあることを確認することができる。
【0048】
そして、ステーション15において専有車両10からシェアリング車両13に乗り換える際には、図8中に矢印M4で示すように、ユーザーの専有車両10を「空き状態」の待機スペース16Aに入庫することができる。その後、図8中に矢印M5で示すように、利用予約したシェアリング車両13を待機スペース16Bから出庫して、同シェアリング車両13のユーザーによる利用を開始することができる。
【0049】
この場合にも、ステーション15までの移動に利用した専有車両10を駐車するためのスペースを容易に確保することができる。
また、この場合には、入庫された車両が専有車両10である旨の情報と、同車両が駐車された待機スペース16Aの位置と、シェアリング車両13が出庫された待機スペース16Bが「空き状態」になった旨の情報とが管理サーバ23に送信されて記憶される。これにより、他のユーザーの外部機器17やステーション15の表示装置22に表示される駐車状況に関する情報のうちの専有車両10を駐めた待機スペース16Aについての表示情報が、図7に示す「表示態様C」から図8に示す「表示態様B」に変化する。また、他のユーザーの外部機器17やステーション15の表示装置22に表示される駐車状況に関する情報のうちのシェアリング車両13を出庫した待機スペース16Bについての表示情報が、図7に示す「表示態様A」から図8に示す「表示態様C」に変化する。
【0050】
本実施形態によれば、以下に記載する作用効果が得られるようになる。
(1)ユーザーのステーション15までの移動を、公共交通機関を利用した移動や徒歩での移動と比較してユーザーの負担が軽い移動手段である専有車両10での移動を通じて行うことができる。また、ステーション15において専有車両10からシェアリング車両13に乗り換える際には、ユーザーが利用するシェアリング車両13が駐まっていた待機スペース16Aを同ユーザーの専有車両10を駐車するスペースとして利用することができるため、同専有車両10を駐車するためのスペースを容易に確保することができる。さらに、ステーション15に到着したユーザーは、自身の携帯端末12の表示内容をもとに、ステーション15の特定スペースに駐車された車両がシェアリング車両13ではなく他のユーザーの専有車両30であることを認識することができるため、同専有車両30を丁寧に扱う効果が見込まれる。このように本実施形態によれば、カーシェアリングの利用にかかる利便性を高くすることができる。
【0051】
(2)カーシェアリングシステムの一部を構成する車載機器11が予め取り付けられた状態の専有車両10を、リース車両としてカーシェアリングのユーザーに貸し出すことができる。したがって、カーシェアリングの利用提案に際して、専有車両10としてのリース車両の利用も含めたかたちで、その提案を高い自由度で行うことができる。
【0052】
(3)専有車両10として、シェアリング車両13よりも小さい車両が採用されている。そのため、買い物や通勤などの日常利用では少人数の乗車や少量の荷物を乗せるのに適した小型の専有車両10を利用してもらう一方で、旅行や行楽などの非日常利用では多人数の乗車に適した大型のシェアリング車両13を利用してもらうといったように、カーシェアリングの新たな利用形態を提案することができる。そして、この利用形態において、カーシェアリングの利用についての利便性を高くすることができる。
【0053】
しかも、日常利用される専有車両10、言い換えれば長期に維持費がかかる専有車両10については、同維持費を抑えることの可能な小型の車両にすることができる。また、非日常で利用される大型のシェアリング車両13については、維持費が高い大型の車両であるとはいえ、カーシェアリングによる一時的な利用で済ますことにより、利用期間分だけの限られた費用で安価に利用することができる。
【0054】
(4)専有車両10としてはミニカーが採用されている。そのため、本実施形態にかかるカーシェアリングの利用に際して、自宅Pにおける専有車両10の駐車スペースを小さく抑えたり、同専有車両10の利用にかかる費用を低く抑えたりすることができる。
【0055】
(5)ユーザーの携帯端末12に、専有車両10およびシェアリング車両13の解錠と施錠とを行う電子キーとしての機能が付与される。これにより、シェアリング車両13の利用予約や、ステーション15における専有車両10の駐車状況の確認、専有車両10の解錠および施錠、並びにシェアリング車両13の解錠および施錠といったカーシェアリングの利用にかかる各種操作を、ユーザーの携帯端末12を利用して一括して行うことができる。したがって、カーシェアリングの利用についての利便性を好適に高くすることができる。
【0056】
(6)専有車両10およびシェアリング車両13の駐車状況に関する情報を表示する表示装置22がステーション15に設けられている。そのため、ステーション15に到着したユーザーが同ステーション15に設置されている表示装置22の表示情報をもとに、専有車両10およびシェアリング車両13の駐車状況を容易に確認することができる。
【0057】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0058】
・電子キーとしての機能が付与されるキー機器は、ユーザーの携帯端末12に限らず、ICカード免許証や、専用のICカード、専用端末などを採用することができる。上記キー機器は、専有車両10およびシェアリング車両13で利用可能な共用の機器であることが好ましい。上記キー機器として、専有車両10用の機器とシェアリング車両13用の機器とを各別に用意することもできる。
【0059】
・ステーション15に設置される表示装置22を、タッチパネル式のものにするなど、ユーザーによる操作が可能なものにしてもよい。こうした構成によれば、ステーション15において表示装置22を操作することによってシェアリング車両13の利用予約を行うことができる。またステーション15において表示装置22を操作することにより、携帯端末12を取り出して操作することなく、利用予約したシェアリング車両13を確認したりステーション15の駐車状況を確認したりすることができる。
【0060】
・表示装置22を省略してもよい。
・ステーション15における各待機スペース16に、制御装置21による作動制御を通じて「シェアリング車両」、「専有車両」および「空き」のいずれかを表示する表示装置を各別に設けるようにしてもよい。こうした表示装置としては、ディスプレイを有するものや、可動パネル式のものを採用することができる。
【0061】
・専有車両10として、ミニカーを利用することに限らず、超小型モビリティや軽自動車、普通自動車など、任意の大きさの車両を利用することができる。専有車両10として普通自動車を採用する場合には、次のような利用態様をユーザーに提案することができる。日常利用では国産セダンやリッターカーなどの汎用性の高い車両を専有車両10として利用する一方で、非日常利用では利用シーンに応じた車両、具体的にはスポーツカーや高級外車、荷物積載量の大きい大型車両などをシェアリング車両13として利用する。
【0062】
・単一のユーザーによって専有される専有車両10としては、カーリースによって貸し出されたリース車両を利用することに限らず、ユーザーが購入した自家用車を利用することもできる。この場合には、専有車両10として利用する自家用車に車載機器11を取り付けておけばよい。
【0063】
・車載機器11の構成は任意に変更可能である。車両が駐められた待機スペース16に関連付けられたデータとして同車両の識別情報である車両IDを検出することができるのであれば、車載機器11として「RFIDタグ」のみを設けるようにしてもよい。
【0064】
・制御装置21と管理サーバ23との間におけるデータ通信を、有線通信部21Bによる有線通信を通じて行うことに代えて、制御装置21および管理サーバ23のそれぞれに設けられた無線通信装置による無線通信を通じて行うようにしてもよい。また、制御装置21から表示装置22へのデータ送信は、有線通信を通じて行うことに限らず、制御装置21および表示装置22のそれぞれに設けられた無線通信装置による無線通信を通じて行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10,30…専有車両、11…車載機器、12…携帯端末、13…シェアリング車両、14…車載機器、15…ステーション、16,16A,16B…待機スペース、17…外部機器、18…パーソナルコンピュータ、21…制御装置、21A…無線通信部、21B…有線通信部、22…表示装置、23…管理サーバ、23A…データベース、23B…データ受信部、23C…データ送信部。
図1
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