(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】付帯物の支持構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/00 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
E04B1/00 502B
(21)【出願番号】P 2019214966
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】名塚 彰
(72)【発明者】
【氏名】影山 伸也
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-027200(JP,U)
【文献】実公昭47-020159(JP,Y1)
【文献】特開平01-056069(JP,A)
【文献】特開平04-309627(JP,A)
【文献】特開2010-150846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00- 1/61
E04H 9/00- 9/16
A62B 1/00- 5/00
A62B 35/00-99/00
G09F 1/00- 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に面して建築物に設置される屋外付帯物を支持するための付帯物の支持構造であって、
鉛直方向に間隔を開けてそれぞれ配置される一対の梁材と、
前記一対の梁材の間に配置されるとともに、前記一対の梁材のうち下方に位置する第1梁材に支持固定され、前記屋外付帯物を支持する支持柱材と、
前記一対の梁材のうち、上方に位置する第2梁材と前記支持柱材とを連結し、且つ、鉛直方向へ移動可能な連結手段と、を備えることを特徴とする付帯物の支持構造。
【請求項2】
前記連結手段は、前記第2梁材の下端面に固定される梁接合プレートと、当該梁接合プレートから下方へ延びて前記支持柱材とボルトで連結される柱連結プレートと、を有し、
前記支持柱材は、上端部に、上方へ延出して前記柱連結プレートと連結される上部連結プレートを有し、
前記柱連結プレート又は前記上部連結プレートに形成されるボルトを挿通するためのボルト孔は、鉛直方向へ細長な長孔であることを特徴とする請求項1に記載の付帯物の支持構造。
【請求項3】
前記支持柱材は、前記屋外付帯物を支持し、周囲を前記建築物の外壁材に包囲される柱状の柱部と、前記柱部の側面に設置されるとともに、前記外壁材から屋外側へ突き出して前記屋外付帯物を固定される固定部と、を有し、
前記固定部は、前記外壁材よりも屋内側に位置し、前記柱部に固定される第1部材と、前記屋外に位置して前記屋外付帯物を固定される第2部材と、前記外壁材を屋内外方向へ跨いで前記第1部材と前記第2部材とを接合する第3部材と、に分割されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の付帯物の
支持構造。
【請求項4】
前記第3部材は、隣合う前記外壁材の間に形成される目地幅以下の板厚で形成された板状部材であることを特徴とする請求項3に記載の付帯物の支持構造。
【請求項5】
前記支持柱材は、前記第1梁材に水平方向へ間隔を開けて複数固定されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の付帯物の支持構造。
【請求項6】
前記屋外付帯物は、緩降機であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の付帯物の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に面して建築物に設置される屋外付帯物の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、緩降機や避難はしごなどの避難設備や、屋外看板など屋外に面して設置される屋外付帯物を建築物に固定する場合、これらの屋外付帯物を支持する柱材を建築物に設置することがある。このとき、この柱材の下端部及び上端部を建築物の主要構造部である梁材に接合してしまうと、屋外付帯物を支持する柱材が、上階からの鉛直荷重を負担するための構造材となってしまい、建築物に作用する力の流れに支障をきたして建築物自体に構造上の弱点を生じさせる虞がある。
【0003】
ところで、建築物の1フロアに亘って設置される棒状部材に、建築物に作用する水平荷重が伝達されることを防止できる考案が提案されている。例えば特許文献1に記載の考案には、外壁にカーテンウォールを使用した建築物において、鉛直方向へ延びる方立を板状のブラケット材で各階の床スラブに吊着する旨が記載されており、床スラブに固定されるボルトを、ブラケット材に形成された下方へ開く長溝に係合させることにより、方立を上下方向へ移動可能とする旨が記載されている。この考案の方立は、建築物に水平荷重が作用した際に上下方向へ移動して回転するため水平荷重を受け流すことができ、方立自体に水平荷重が伝達することを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の考案は、建築物に作用する水平荷重を受け流すものであって、屋外付帯物を支持する柱材に、上階からの鉛直荷重が伝達することを防止して建築物に構造的な弱点が生じることを防ぐ効果的な発明はこれまでされてこなかった。
【0006】
そこで、本発明は上述した課題を鑑みてなされたものであって、屋外に面して建築物に配置される屋外付帯物を支持する支持柱材に、上方からの鉛直荷重が伝達することを防ぐとともに、建築物に構造的な弱点が生じることを防止する付帯物の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の付帯物の支持構造は、屋外に面して建築物に設置される屋外付帯物を支持するための付帯物の支持構造であって、鉛直方向に間隔を開けてそれぞれ配置される一対の梁材と、前記一対の梁材の間に配置されるとともに、前記一対の梁材のうち下方に位置する第1梁材に支持固定され、前記屋外付帯物を支持する支持柱材と、前記一対の梁材のうち、上方に位置する第2梁材と前記支持柱材とを連結し、且つ、鉛直方向へ移動可能な連結手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の第2の付帯物の支持構造は、前記連結手段が、前記第2梁材の下端面に固定される梁接合プレートと、当該梁接合プレートから下方へ延びて前記支持柱材とボルトで連結される柱連結プレートと、を有し、前記支持柱材は、上端部に、上方へ延出して前記柱連結プレートと連結される上部連結プレートを有し、前記柱連結プレート又は前記上部連結プレートに形成されるボルトを挿通するためのボルト孔は、鉛直方向へ細長な長孔であることを特徴としている。
【0009】
本発明の第3の付帯物の支持構造は、前記支持柱材は、前記屋外付帯物を支持し、周囲を前記建築物の外壁材に包囲される柱状の柱部と、前記柱部の側面に設置されるとともに、前記外壁材から屋外側へ突き出して前記屋外付帯物を固定される固定部と、を有し、前記固定部は、前記外壁材よりも屋内側に位置し、前記柱部に固定される第1部材と、前記屋外に位置して前記屋外付帯物を固定される第2部材と、前記外壁材を屋内外方向へ跨いで前記第1部材と前記第2部材とを接合する第3部材と、に分割されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の第4の付帯物の支持構造は、前記第3部材が、隣合う前記外壁材の間に形成される目地幅以下の板厚で形成された板状部材であることを特徴としている。
【0011】
本発明の第5の付帯物の支持構造は、前記支持柱材が、前記第1梁材に水平方向へ間隔を開けて複数支持固定されることを特徴としている。
【0012】
本発明の第6の付帯物の支持構造は、前記屋外付帯物が、緩降機であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の付帯物の支持構造によると、屋外付帯物を支持する支持柱材は、鉛直方向へ移動可能な連結手段によって、上方に位置する第2梁材と連結される。したがって、第2梁材に上階からの鉛直荷重が作用すると連結手段が下方へ移動して鉛直荷重を受け流し、この鉛直荷重が支持柱材へ伝達することを防止する。したがって支持柱材は、上端部を第2梁材に保持されつつも上方からの鉛直荷重を下方の第1梁材へ伝達しない部材となるため、屋外付帯物を設置することにより建築物自体に構造上の弱点が生じることを防止する。
【0014】
本発明の第2の付帯物の支持構造によると、連結手段の柱連結プレート、又は支持柱材の上部連結プレートに形成されるボルトを挿通するためのボルト孔は、鉛直方向へ細長な長孔とされる。したがって、第2梁材に上階からの鉛直荷重が作用すると、連結手段の柱連結プレート及びボルトが下方へ移動して鉛直荷重を受け流すため、上階からの鉛直荷重が支持柱材へ伝達することを効果的に防止することができる。
【0015】
本発明の第3の付帯物の支持構造によると、外壁材から屋外側へ突き出して屋外付帯物を固定される固定部は、外壁材よりも屋内側に位置し、柱部に固定される第1部材と、屋外に位置して屋外付帯物を固定される第2部材と、外壁材を屋内外方向へ跨いで第1部材及び第2部材とボルト接合される第3部材と、に分割される。つまり、第2部材は、外壁材を所定の位置へ配置した後に第3部材にボルト接合することができる。したがって例えば、外壁材の仕上面の塗装や、この仕上面と第3部材との取り合い部におけるシーリング材の打設といった作業を第2部材の設置前に行うことができるので、固定部廻りの仕上げ工事の施工性を向上させることができる。また、第2部材を付帯物の形状に応じて形成すれば、第2部材のみを取り替えるだけで様々な形状の付帯物を支持固定することができ、利便性を向上させることができる。
【0016】
本発明の第4の付帯物の支持構造によると、第3部材は、隣合う外壁材の間に形成される目地幅以下の板厚で形成された板状部材とされる。したがって、第3部材を外壁材間の目地に配置すれば外壁材に貫通孔を開ける必要がなく、固定部の設置手間を省くことができるとともに、固定部廻りの外観をすっきりとさせて意匠性を向上させることができる。
【0017】
本発明の第5の付帯物の支持構造によると、支持柱材は、第1梁材に水平方向へ間隔を開けて複数支持固定されるので、屋外付帯物が、水平方向に延びる、例えば屋外看板などである場合に、屋外付帯物を複数の支持柱材で安定的に支持することができる。
【0018】
本発明の第6の付帯物の支持構造によると、屋外付帯物が一定規模以上の建築物に設置される緩降機であるので、避難時に緩降機を使用しても、建築物に構造上の弱点を生じさせて倒壊の危険性を高めることはなく、安心して避難することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】緩降機を支持柱材に固定した状況を示す断面図。
【
図3】(a)支持柱材の一対の梁材への設置状態を示す正面図、(b)支持柱材の一対の梁材への設置状態を示す側面図。
【
図4】(a)
図3のB-B線断面図、(b)
図3のC-C線断面図。
【
図5】(a)支持柱材を示す正面図、(b)支持柱材を示す側面図。
【
図6】(a)
図5のD-D線断面図。(b)上部連結プレートを示す側面図。
【
図7】(a)連結材を示す平面図、(b)(a)のE-E線断面図、(c)(a)のF-F線断面図。
【
図8】(a)外壁材を設置する状況を示す断面図、(b)及び(c)第3部材を第2部材に接合する状況を示す断面図。
【
図9】緩降機の腕木を支持柱材に設置した状態を示す断面図。
【
図10】支持柱材に屋外看板を支持させた状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る付帯物の支持構造の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本願の付帯物の支持構造は、主に建築物に設置される避難用の緩降機を支持するための構造であるが、避難はしご、屋外看板、アンテナの支柱などといった屋外に設置される付帯物であれば適用することができる。ここでは、屋外付帯物が建築物のバルコニーに設置された緩降機である場合について説明する。なお、本願において「主要構造部」とは、建築基準法第2条1項5号に示す主要構造部を指し、建築物の構造上重要でない部分は除くものとする。
【0021】
図1に示すように、付帯物の支持構造1は、建築物2に設置された緩降機3を支持するための構造であり、鉛直方向に間隔を開けてそれぞれ配置される一対の梁材4、5と、一対の梁材4、5の間に配置されるとともに、一対の梁材4、5のうち下方に位置する第1梁材4に支持固定され、緩降機3を支持する支持柱材6と、一対の梁材4、5のうち、上方に位置する第2梁材5と支持柱材6とを連結する連結手段7と、を備える。
【0022】
建築物2は、少なくとも2以上の階から構成され、また、その建築物用途や収容人数、構造より緩降機3の設置を義務付けられる規模の建築物であり、例えばホテルなどの特殊建築物である。
図1に示す緩降機3は、従来既知の避難器具であり、常時支持柱材6に固定される腕木31と、腕木31に吊るされる緩降機本体32と、から構成される。腕木31は、通常時、
図9に示すように腕部分の先端を下方へ向けた状態で支持柱材6に支持固定されており、避難時に緩降機本体32を吊るす際に、
図1に示すように腕部分を90度回転させて先端を水平方向へ向けることにより使用することができる。また緩降機本体32は、通常時は図外の専用の格納箱に収納されて腕木31付近に保管されており、避難時に格納箱から取り出して腕木31の腕部分先端に設けられた吊環31aにフック32aを掛けることで避難器具として使用することができる。具体的には、緩降機本体32のリール32bをバルコニーXから地上へ投下し、胴体にベルト32cを装着して腕木31をバルコニーと反対側へ180度回転させながら建築物2の外壁材8を伝って地上へ避難する。
【0023】
図1及び
図3に示すように、H形鋼で形成された水平方向へ延びる2つの梁材4、5は、建築物2の構造上主要な部分となる主要構造部であり、上方に位置する第2梁材5が受けた上階からの鉛直荷重Pは、同じく主要構造部である図外の柱材を介して第1梁材4へ伝達することができる。
図4(a)に示すように、第1梁材4は、ウェブ41の上方に位置するフランジ42に、支持柱材6とボルト接合するための第1ボルト孔42aが複数形成されている。一方第2梁材5は、
図4(b)に示すように、ウェブ51の下方に位置するフランジ52に、連結材7とボルト接合するための第2ボルト孔52aが複数形成されている。
【0024】
支持柱材6は、
図5及び
図6に示すように、鉛直方向へ延びる柱状の柱部61と、柱部61の側面に固定され、先述した腕木31を支持する板状の固定部62と、柱部61の上端に固定され、上方へ延びる上部連結プレート63と、柱部61の下端に固定される柱脚部64と、を有している。なお、固定部62、上部連結プレート63、柱脚部64は、それぞれ柱部61に溶接固定されている。
【0025】
柱部61は、角鋼管の上下をプレート材で閉塞してなる部材で、
図2に示すように、周囲を建築物2の外壁材8で被覆される。また固定部62は、外壁材8よりも屋内側に位置し、柱部61に溶接固定される第1部材62aと、屋外に配置されて緩降機3の腕木31を固定される平面視L型の第2部材62bと、外壁材8を屋内外方向に跨って第1部材62a及び第2部材62bとボルト接合される第3部材62cと、に3分割されている。
図6(a)に示すように、各部材62a、62b、62cには、それぞれの部材とボルト接合するために板厚方向へ貫通する第3ボルト孔62dが形成されており、第2部材62bにはさらに腕木31とボルト接合するための第4ボルト孔62eが形成されている。また、第3部材62cの板厚t1は、
図2に示す隣合う外壁材8同士の間に形成される目地幅t2よりも薄く形成されており、その厚さは特に限定されないが、目地幅t2を10mm~15mm程度とした場合に、板厚t1を5mm~10mm程度とすることが望ましい。このような厚さであれば、外壁材8に貫通孔を形成することなく外壁材8間の目地に第3部材62cを配置することができ、第3部材62cと外壁材8との取合い部分をすっきりとさせて意匠性を向上させることができる。
【0026】
図6(b)に示すように、上部連結プレート63には、鉛直方向へ細長な長孔63aが上下に間隔を開けて2つ形成されている。長孔63aの鉛直方向の長さL1は、挿通されるボルトM1の径よりも長く、例えばボルト径に対して5mm~10mm程度長い孔となっている。また
図4(a)に示すように、柱脚部64は、鋼管64aの下端に鋼板64bを溶接固定しており、鋼板64bには、第1梁材4の第1ボルト孔42aと整合する位置に第5ボルト孔64cが設けられている。
【0027】
このように形成される支持柱材6と、第2梁材5とは、
図4及び
図7に示す連結材7によって接合される。連結材7は、第2梁材5に接合される板状の梁接合プレート71と、梁接合プレート71の下端面略中央から下方へ延出し、支持柱材6に連結される同じく板状の柱連結プレート72と、によって構成される。梁接合プレート71には、第2梁材5に接合するボルトM1を挿通するための第6ボルト孔71aが、第2梁材5の第2ボルト孔52aと整合する位置に形成されている。また、柱連結プレート72には、上下に間隔を開けて2つの第7ボルト孔72aが形成されている。この第7ボルト孔72aは、連結材7を第2梁材5に固定した際に、孔の中心が支持柱材6の長孔63aの中心と一致するように形成され、また、孔径φ1がボルトM1の径よりも0.5mm~1.5mm程度大きく形成される。
【0028】
次に、付帯物の支持構造1の施工方法について説明する。
図3に示す第1梁材4及び第2梁材5は、先述した不図示の柱材などに固定され、予め所定の位置に配置された状態となっている。まず、
図4(b)に示すように、連結材7の柱連結プレート72を下方へ向けた状態で、梁接合プレート71を第2梁材5の下方のフランジ52の下端面に当接し、フランジ52の第2ボルト孔52aと梁接合プレート71の第6ボルト孔71aとを整合させてボルトM1で挿通するとともにナットM2で締付けて両部材5、7同士を接合する。次に、
図3に示すように、支持柱材6を第1梁材4及び第2梁材5の間に配置し、支持柱材6の鋼板64bを第1梁材4の上方のフランジ42に載置する。なおこのとき、支持柱材6の固定部62は、第1部材62aに第3部材62cをボルト接合した状態であり、この段階では第2部材62bはまだ第3部材62cに接合されていない。
【0029】
そして
図4(a)に示すように、鋼板64bの第5ボルト孔64cと第1梁材4の第1ボルト孔42aとを整合させ、ボルトM1で挿通するとともにナットM2で締付けて両部材4、6同士を接合する。次に
図4(b)に示すように、連結材7の柱連結プレート72の第7ボルト孔72a、及び支持柱材6の上部連結プレート63に形成された長孔63aにボルトM1を挿通してナットM2で締め付け、両部材6、7同士を連結する
【0030】
続いて
図8に示すように、外壁材8で固定部62の第3部材62cを両側から挟み込むように2つの外壁材8を所定位置に配置し、外壁材8よりも屋外側へ突き出した第3部材62cと、外壁材8との取り合いにシール材9を打設して第2部材62bを第3部材62cにボルトM1で接合する。このように、固定部62を三分割することにより、外壁材8における固定部62廻りの仕上げ工事の施工性を向上させることができる。そして、
図9に示す外壁材8廻りのバルコニーXの床部10や手摺11を順次形成し、最後に腕木31を第2部材62bにボルトM1で固定して付帯物の支持構造1を完成させる。
【0031】
このように形成される付帯物の支持構造1は、
図4(b)に示すように、第2梁材5に上階からの鉛直荷重Pが作用すると、第1梁材4に固定される連結材7は下方へ引張られる。しかしながらこのとき、支持柱材6の長孔63aが鉛直方向へ細長いため、支持柱材6と連結材7とを接合するボルトM1は、連結材7とともに下方へ移動して鉛直荷重Pを受け流すことができ、上階からの鉛直荷重Pが支持柱材6に伝達することを防止する。したがって支持柱材6は、上端部を第2梁材5に保持されているものの、上階からの鉛直荷重Pを下方の第1梁材4へは伝達しない部材となるため、緩降機3を使用することにより建築物2自体に構造上の弱点が生じることを効果的に防止することができる。また、本実施形態では第2梁材5と支持柱材6とをボルトM1で連結しているが、鉛直荷重Pを支持柱材6へ伝達しない連結手段であれば他の連結手段を用いてもよい。そして、図示例では支持柱材6の長孔63aを鉛直方向へ細長な形状としているが、長孔63aに代えて連結材7の第7ボルト孔72aを鉛直方向へ細長としてもよい。さらに、本実施形態では第2部材62bの形状を平面視L型としているが、この形状や屋外付帯物とボルト接合するための第4ボルト孔62eの設置位置、及び個数は、支持する付帯物の形状や重量等を考慮してその都度変更することができる。これにより、固定部62の先端部分である第2部材62bのみを取り替えれば様々な形状の屋外付帯物を支持することができ、利便性を向上させることができる。
【0032】
なお、屋外付帯物を緩降機3ではなくTVアンテナや避難はしご等とした場合も同様の施工方法とすることができる。そして、
図10に示すように屋外付帯物を屋外看板12とした場合は、図示するように第1梁材4のフランジ42上面に複数の支持柱材6を設置し、外壁材8よりも屋外側に位置する各第2部材62bで屋外看板12を安定的に固定することができる。
【0033】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る木造棟の接続構造及び建築物は、より大規模な木造施設を構築し、木育を促進する場合に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 付帯物の支持構造
2 建築物
3 緩降機(屋外付帯物)
4 第1梁材(一対の梁材の一方)
5 第2梁材(一対の梁材の他方)
6 支持柱材
61 柱部
62 固定部
62a 第1部材
62b 第2部材
62c 第3部材
63 上部連結プレート
63a 長孔(ボルト孔)
7 連結材(連結手段)
72 柱連結プレート
8 外壁材
12 屋外看板(屋外付帯物)
M1 ボルト
M2 ナット
t1 第3部材の板厚
t2 目地幅