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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/04 20060101AFI20230816BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20230816BHJP
   B65H 29/52 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
B65H31/04
G03G21/16 104
B65H29/52
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019215622
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021084774
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真一
(72)【発明者】
【氏名】篠矢 翔太
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-91402(JP,A)
【文献】特開2019-26405(JP,A)
【文献】特開2018-52675(JP,A)
【文献】特開平09-104559(JP,A)
【文献】特開2009-203076(JP,A)
【文献】特開2001-222202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0069454(US,A1)
【文献】特開2015-107871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00-31/40
G03G 13/00
G03G 15/00
G03G 21/16
G03G 21/18
B65H 5/36-5/38
B65H 29/52
B65H 29/58-29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出トレイと、
前記排出トレイに排出されるシートが通過する排出経路と、
両面印刷されるシートがスイッチバックされる再搬送経路と、
前記排出経路から前記排出トレイへ向けて排出されるシートに当接し、当該シートを前記排出トレイに向けて押圧する回動可能なスタックレバーと、
前記再搬送経路の一部を構成し、前記スタックレバーの上方において前記スタックレバーよりもシートの排出方向下流まで延びており、前記再搬送経路を搬送されるシートを前記スタックレバーとの間でガイド可能なガイド部材と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材の前記排出方向における下流端部は、前記再搬送経路を搬送されるシートを前記排出トレイ側へ向けて案内する第1ガイド面を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1ガイド面は、前記スタックレバーの前記排出方向における下流端部と対向する位置にある請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1ガイド面は、前記排出方向下流に向かって前記排出トレイへ近づく湾曲形状を有している請求項2または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記スタックレバーは、前記第1ガイド面に近づく方向への移動が規制される第1位置と、前記第1位置よりも前記第1ガイド面から離れた位置である第2位置との間で移動可能であり、
前記第1位置にある前記スタックレバーの上端は、前記第1ガイド面の下端に対して、上下方向の位置が同一又は下方の位置にある
請求項2~請求項4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記再搬送経路の下面を構成する第2ガイド面を有し、
前記第1ガイド面の下端は、前記第2ガイド面の前記排出方向における下流端よりも下方に位置する
請求項2~請求項5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ガイド部材は、前記スタックレバーの上方を覆う被覆状態と、前記スタックレバーの上方を開放する開放状態とに切替可能である請求項1~請求項6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排出経路を搬送されるシートが排出される排出トレイと、両面印刷されるシートがスイッチバックされる再搬送経路と、前記排出経路から前記排出トレイへ向けて排出されるシートに当接し、当該シートを前記排出トレイに向けて押圧するスタックレバーとを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
このような画像形成装置においては、再搬送経路から搬送されるシートが排出トレイに積載されたシートに接触して押し出すことで、積載されたシートの整列性が悪化することがある。特に、排出トレイに積載されるシートの枚数が増えると、再搬送経路から搬送されるシートの排出トレイ上のシートに対する接触箇所が再搬送経路に近くなり、搬送されるシートが積載されるシートを押し出す距離が長くなって、シートの整列性の悪化が増長されるおそれがある。
【0004】
従って、特許文献1においては、再搬送経路から搬送されるシートを、当該シートの下方に位置するスタックレバーの上面によってガイドすることにより、当該シートが排出トレイに積載されたシートに接触することを抑制して、シートの円滑な再搬送を可能とする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-190696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の構成では、スタックレバーの上方は開放された状態となっているため、再搬送経路から搬送されたシートがスタックレバーから離れる方向等の意図しない方向へ搬送されてしまい、円滑に再搬送できないおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、スタックレバーの上方に再搬送経路の一部を構成するガイド部材を設けることにより、再搬送経路を搬送されるシートの姿勢を安定させることを可能とする。また、排紙トレイに積載されるシートの枚数に応じてスタックレバーとガイド部材との間隔が変化するため、排紙トレイ上のシートの積載枚数が増えるに従って、再搬送経路から搬送されるシートが排出トレイに積載されたシートの再搬送経路から遠い箇所に接触するようになり、シートの積載性を向上することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する画像形成装置は、以下の特徴を有する。
【0009】
即ち、画像形成装置は、排出トレイと、前記排出トレイに排出されるシートが通過する排出経路と、両面印刷されるシートがスイッチバックされる再搬送経路と、前記排出経路から前記排出トレイへ向けて排出されるシートに当接し、当該シートを前記排出トレイに向けて押圧する回動可能なスタックレバーと、前記再搬送経路の一部を構成し、前記スタックレバーの上方において前記スタックレバーよりもシートの排出方向下流まで延びており、前記再搬送経路を搬送されるシートを前記スタックレバーとの間でガイド可能なガイド部材と、を備える。
【0010】
これにより、再搬送経路を搬送されるシートの姿勢を安定させることができる。また、スタックレバーとガイド部材との間隔はスタックレバーの回動角度によって変化し、排出トレイ上に積載されるシートの枚数が増えるほどスタックレバーとガイド部材との間隔が小さくなって、スイッチバックされるシートの排出トレイ上のシートに対する接触箇所を、再搬送経路から遠く離れた位置とすることができるため、排出トレイに積載されるシートの整列性を向上することができる。
【0011】
また、前記ガイド部材の前記排出方向における下流端部は、前記再搬送経路を搬送されるシートを前記排出トレイ側へ向けて案内する第1ガイド面を有する。
【0012】
これにより、スイッチバックされるシートにユーザーが触れることを抑制することができる。
【0013】
また、前記第1ガイド面は、前記スタックレバーの前記排出方向における下流端部と対向する位置にある。
【0014】
これにより、第1ガイド面により排出トレイ側へ向けて案内されるシートが排出トレイ側へ行き過ぎることを抑制して、排出トレイに積載されるシートの整列性を向上することができる。
【0015】
また、前記第1ガイド面は、前記排出方向下流に向かって前記排出トレイへ近づく湾曲形状を有している。
【0016】
これにより、再搬送経路を搬送されるシートの第1ガイド面に当接する位置にかかわらず、シートの第1ガイド面に対する当接角度を小さくすることができ、シートに折れ曲がりが生じることを抑制できる。
【0017】
また、前記スタックレバーは、前記第1ガイド面に近づく方向への移動が規制される第1位置と、前記第1位置よりも前記第1ガイド面から離れた位置である第2位置との間で移動可能であり、前記第1位置にある前記スタックレバーの上端は、前記第1ガイド面の下端に対して、上下方向の位置が同一又は下方の位置にある。
【0018】
これにより、第1ガイド面により排出トレイ側へ案内されるシートに対する、スタックレバーによる押圧度合いが大きくなりすぎることがなく、シートに曲げ癖がつくことを抑制できる。
【0019】
また、前記再搬送経路の下面を構成する第2ガイド面を有し、前記第1ガイド面の下端は、前記第2ガイド面の前記排出方向における下流端よりも下方に位置する。
【0020】
これにより、再搬送経路を搬送されるシートを、第1ガイド面により排出トレイに向けて効果的に案内することができる。
【0021】
また、前記ガイド部材は、前記スタックレバーの上方を覆う被覆状態と、前記スタックレバーの上方を開放する開放状態とに切替可能である。
【0022】
これにより、ガイド部材開放状態に切り替えることで、再搬送経路を搬送されるシートのジャム処理性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、再搬送経路を搬送されるシートの姿勢を安定させることができる。また、排出トレイに積載されるシートの整列性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】画像形成装置を示す概略側面断面図である。
図2】画像形成装置を示す斜視図である。
図3】スタックレバーが第2位置にある状態の画像形成装置の排出部付近を示す側面断面図である。
図4】スタックレバーが第1位置にある状態の画像形成装置の排出部付近を示す側面断面図である。
図5】装置本体からガイド部材を取り外した状態の画像形成装置の排出部付近を示す側面断面図である。
図6】ガイド部材が装置本体に回動可能に取り付けられている画像形成装置を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0026】
[画像形成装置の全体構成]
図1図2に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、装置本体2と、給紙部3と、画像形成部5と、排出部7と、再搬送部8と、モータ9とを備えている。
【0027】
以下の説明では、図1における右側を画像形成装置1の前側、図1における左側を画像形成装置1の後側と規定し、図1における紙面手前側を画像形成装置1の左側、図1における紙面奥側を画像形成装置1の右側と規定する。また、図1における上側および下側を、それぞれ画像形成装置1の上側および下側と規定する。
【0028】
装置本体2は、給紙部3、画像形成部5、排出部7、再搬送部8、モータ9等を収容している。図1図2に示すように、装置本体2は、前面カバー20、後面カバー21、左側面カバー22、右側面カバー23、上面カバー24、およびガイド部材25を有している。上面カバー24およびガイド部材25は装置本体2の上端部に位置しており、装置本体2の上面を構成している。ガイド部材25は上面カバー24の後部に配置されている。
【0029】
装置本体2の前面は開口部2aを有しており、前面カバー20は、開口部2aを閉塞する閉位置と開口部2aを開放する開位置との間で回動可能に構成されている。
【0030】
給紙部3は、装置本体2の下部に配置されており、シートカセット30に支持されるシートSを画像形成部5に搬送可能である。画像形成部5は、給紙部3よりもシートSの搬送方向下流に配置されており、給紙部3から搬送されるシートSに画像を形成可能である。排出部7は、画像形成部5よりもシートSの搬送方向下流に配置され、画像形成部5にて画像が形成されたシートSを画像形成装置1の外部へ排出可能である。
【0031】
画像形成装置1は、給紙部3から画像形成部5を経由して排出部7へ至るシートSの搬送経路L1を有している。給紙部3は、シートSを支持するシートカセット30と、給紙機構32と、搬送ローラ対33と、レジストローラ対34とを備えている。
【0032】
給紙機構32は、給紙ローラ32a、分離ローラ32bを備えている。給紙ローラ32aは、シートカセット30に支持されるシートSを分離ローラ32bへ向けて送り出すためのローラである。分離ローラ32bは、給紙ローラ32aよりもシートSの搬送方向下流に配置されている。
【0033】
給紙ローラ32aにより分離ローラ32bに向けて送り出されたシートSは、分離ローラ32bと図示しない分離パッドとの間で1枚ずつに分離される。1枚ずつに分離されたシートSは、搬送経路L1に沿って搬送ローラ対33へ向けて搬送される。
【0034】
搬送ローラ対33は、シートSに搬送力を付与するローラであり、給紙機構32よりもシートSの搬送方向下流に配置されている。給紙機構32から搬送ローラ対33に向けて搬送されてきたシートSは、搬送ローラ対33により搬送経路L1に沿ってレジストローラ対34へ向けて搬送される。
【0035】
レジストローラ対34は、搬送ローラ対33よりもシートSの搬送方向下流に配置されている。レジストローラ対34は、搬送されるシートSの先端の移動を一旦停止させることにより、シートSの姿勢を矯正する。その後、レジストローラ対34は、所定のタイミングにてシートSを画像形成部5の転写位置に向けて搬送する。
【0036】
画像形成部5はシートカセット30の上方に配置されており、給紙部3から搬送されてきたシートSの表面に画像を転写するプロセスカートリッジ50と、プロセスカートリッジ50の感光体ドラム54の表面を露光する露光ユニット56と、プロセスカートリッジ50によりシートSに転写された画像を定着させる定着ユニット60とを備えている。
【0037】
プロセスカートリッジ50は、現像剤収容室51と、供給ローラ52と、現像ローラ53と、感光体ドラム54と、転写ローラ55等とを備えている。露光ユニット56は、レーザダイオード、ポリゴンミラー、レンズ、及び反射鏡等を備えており、画像形成装置1に入力された画像データに基づいてレーザ光を感光体ドラム54へ向けて照射することにより、感光体ドラム54の表面を露光する。
【0038】
現像剤収容室51には現像剤となるトナーが収容されている。現像剤収容室51に収容されたトナーは、図示しない撹拌部材により撹拌されながら供給ローラ52に送られる。供給ローラ52は、現像剤収容室51から送られてくるトナーをさらに現像ローラ53へ供給する。
【0039】
現像ローラ53は、供給ローラ52に密着して配置されており、供給ローラ52から供給されるとともに図示しない摺接部材により帯電されたトナーを担持する。また、現像ローラ53には、図示しないバイアス印加手段により現像バイアスが印加される。
【0040】
感光体ドラム54は、現像ローラ53に隣接して配置されている。感光体ドラム54の表面は、図示しない帯電器により一様に正帯電された後、露光ユニット56により露光される。感光体ドラム54の露光された部分は他の部分よりも電位が低くなり、感光体ドラム54に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体ドラム54の表面に、正に帯電されたトナーが現像ローラ53から供給されることにより、静電潜像が顕像化されて現像剤像となる。
【0041】
転写ローラ55は、感光体ドラム54に対向配置され、図示しないバイアス印加手段により負の転写バイアスが印加される。転写ローラ55の表面に転写バイアスが印加されている状態で、現像剤像が形成された感光体ドラム54と転写ローラ55との間(転写位置)でシートSを挟持しなから搬送することにより、感光体ドラム54の表面に形成された現像剤像がシートSの表面に転写される。
【0042】
定着部60は、加熱ローラ61と加圧ローラ62とを備えている。加熱ローラ61はモータ9からの駆動力により回転駆動されるとともに、図示しない電源から電力を供給することで加熱される。加圧ローラ62は加熱ローラ61に対向配置されており、加熱ローラ61に密着して従動回転する。現像剤像が転写されたシートSが定着部60に搬送されてくると、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間でシートSを挟持しながら搬送し、シートSに現像剤像を定着させる。
【0043】
排出部7は、第1中間排出ローラ対70と、第2中間排出ローラ対71と、排出ローラ対72と、排出トレイ73とを有している。第1中間排出ローラ対70および第2中間排出ローラ対71は、画像形成部5よりもシートSの搬送方向下流に配置されている。第1中間排出ローラ対70および第2中間排出ローラ対71は、定着部60から搬送されてくるシートSを、さらに排出ローラ対72へ向けて搬送する。
【0044】
排出ローラ対72は、第1中間排出ローラ対70および第2中間排出ローラ対71により搬送されるシートSをさらに搬送して、装置本体2の外部へ排出可能に構成されている。排出トレイ73は上面カバー24に形成されており、排出ローラ対72により装置本体2の外部に排出されたシートSが排出トレイ73によって支持される。
【0045】
排出ローラ対72によって装置本体2から排出トレイ73へ排出されるシートSは、第1中間排出ローラ対70と第2中間排出ローラ対71との間に位置する分岐部10において搬送経路L1から分岐する排出経路L11に沿って搬送される。排出経路L11は、排出トレイ73に排出されるシートSが通過する経路である。
【0046】
画像形成装置1は、排出ローラ対72により排出経路L11から排出トレイ73へ向けて排出されるシートSに当接し、シートSを排出トレイ73に向けて押圧する回動可能なスタックレバー75を有している。スタックレバー75は、左右方向に沿って複数設けられている。本実施形態においては、スタックレバー75は、排出トレイ73の左右両端部および左右中央部の3箇所に設けられている。
【0047】
[再搬送経路]
画像形成装置1は、画像形成部5から搬送方向下流に搬送されたシートSを再び画像形成部5に向けて搬送するための再搬送経路L2を有している。画像形成装置1においては、例えばシートSに両面印刷を行う場合に、画像形成部5から搬送方向下流に搬送されたシートSが、再搬送経路L2に沿って再び画像形成部5へ向けて搬送される。再搬送経路L2は、第1経路L21および第2経路L22を有している。
【0048】
第1経路L21は画像形成部5の後方に位置しており、シートSに両面印刷を行う際に、画像形成部5から搬送されてきたシートSをスイッチバックして、シートSの前後を入れ替えるための経路である。第1経路L21の一部は、装置本体2のガイド部材25により構成されている。
【0049】
第1経路L21は、第1中間排出ローラ対70と第2中間排出ローラ対71との間の分岐部10にて搬送経路L1から分岐されている。第1経路L21は、分岐部10から上方へ延びたあと、前方へ向かって屈曲している。第1経路L21の分岐部10側とは反対側の端部は、開放された開口部13となっている。第1経路L21に導入されたシートSは、分岐部10側から開口部13側へ向けて搬送される際に、第1経路L21内に収まらない部分が開口部13から装置本体2の外部に延出するように構成されている。
【0050】
第2経路L22は、分岐部10にて搬送経路L1から分岐し、搬送経路L1における搬送ローラ対33とレジストローラ対34との間の合流部11にて搬送経路L1と合流している。第2経路L22は、分岐部10から下方へ延びたあと前方へ向かって屈曲し、さらに上方へ向かって屈曲して合流部11に至っている。第2経路L22は分岐部10において第1経路L21と接続されており、第1経路L21にてスイッチバックされたシートSを第2経路L22に導入可能となっている。
【0051】
第1経路L21には、スイッチバックローラ対74が設けられている。スイッチバックローラ対74は回転方向を切り換え可能に構成されており、シートSを第1経路L21に導入する際の回転方向(正転方向)と、シートSを第1経路L21から第2経路L22へ搬送する際の回転方向(逆転方向)とに駆動可能に構成されている。第2経路L22に搬送されたシートSは、第2経路L22上に設けられる第2再搬送ローラ対36および第1再搬送ローラ対35によって、画像形成部5側へ向けて搬送される。
【0052】
画像形成装置1においては、搬送経路L1の途中に配置された画像形成部5にて一面に画像が形成されたシートSを、再搬送経路L2の第1経路L21および第2経路L22を通じて画像形成部5へ再び搬送して、シートSの他面に画像を形成すること、即ち、両面印刷を行うことが可能となっている。
【0053】
[スイッチバック機構]
図1に示すように、画像形成装置1は、分岐部10に配置されるフラッパ12を有している。フラッパ12は、搬送経路L1から搬送されるシートSの搬送方向を、分岐部10において排出経路L11と再搬送経路L2とに切り替える部材であり、装置本体2に対して揺動可能に設けられている。
【0054】
フラッパ12は、定着部60から搬送されたシートSを排出経路L11に沿って排出トレイ73へ案内する場合には、再搬送経路L2へ通じる開口部10aを閉じる排出位置(図1において実線で示す位置)に配置される。また、フラッパ12は、定着部60から搬送されたシートSを再搬送経路L2へ案内する場合には、排出位置よりも前方の再搬送位置(図1において2点鎖線で示す位置)に揺動し、開口部10aを開くとともに排出トレイ73へ通じる排出経路L11を閉じるように構成されている。
【0055】
フラッパ12が再搬送位置にあるときには、搬送経路L1から開口部10aに送り込まれたシートSは後方斜め上向きに搬送されて、再搬送経路L2の第1経路L21に導入される。第1経路L21に導入されたシートSは、スイッチバックローラ対74に受け継がれるとともに、搬送方向に沿ったシートSの全長が開口部10aを通過するまでは、第1経路L21側に搬送される。
【0056】
そして、シートSの全長が開口部10aを通過した後に、スイッチバックローラ対74の回転方向が反転され、第1経路L21から第2経路L22に向けてシートSが搬送される。このとき、フラッパ12は、再搬送位置から排出位置に揺動されて開口部10aが閉じられる。次に、シートSは、スイッチバックローラ対74から第2再搬送ローラ対36および第1再搬送ローラ対35へと受け継がれて、第2経路L22に沿って搬送され、合流部11から搬送経路L1に再び導入される。
【0057】
[スタックレバー]
図3図4に示すように、スタックレバー75は、後端の回動軸部75aを中心として上下回動可能に構成されており、排出トレイ73にシートSが排出されていない状態においては、自重によって下方の第2位置(図3に示す位置)に位置している。この状態においては、スタックレバー75の先端部75bは排出トレイ73とは接触しておらず、排出トレイ73から上方に離間している。スタックレバー75の先端部75bは、スタックレバー75の排出方向における下流端部であり、回転軸部75aよりも排出方向下流に位置している。
【0058】
また、排出トレイ73にシートSが排出されて、排出トレイ73にシートSが積載されるようになると、積載されたシートSの上面がスタックレバー75の先端部75bに当接する。スタックレバー75の先端部75bはシートSの上面に当接することで押し上げられ、スタックレバー75は第2位置から上方へ移動する。そして、排出トレイ73に積載されるシートSが満載になると、スタックレバー75は第2位置にあるときよりも先端部75bが上方に位置する第1位置(図4において実線で示す位置)に移動する。
【0059】
スタックレバー75は、第1位置にあるときに、それ以上上方へ回動することが規制されている。具体的には、スタックレバー75は回動軸部75aの後方に係止部75cを有し、装置本体2は係止部75cが係止する被係止部27を有している。そして、スタックレバー75が第1位置に移動したときに係止部75cが被係止部27に係止して、スタックレバー75はそれ以上上方へ回動しないように規制される。
【0060】
スタックレバー75の第1位置は、スタックレバー75の上下方向における移動範囲の上端位置であり、スタックレバー75の第2位置は、スタックレバー75の上下方向における移動範囲の下端位置である。つまり、スタックレバー75は、上下方向において第1位置と第2位置との間で移動可能に構成されている。
【0061】
排出トレイ73に積載されるシートSの上面がスタックレバー75の先端部75bに当接して、スタックレバー75が第2位置よりも上方に移動した状態では、排出トレイ73上のシートSは、スタックレバー75の自重により排出トレイ73へ向けて押圧される。
【0062】
[ガイド部材]
図3図4に示すように、ガイド部材25は、装置本体2の上端部に装着されている。ガイド部材25は、スタックレバー75の上方に位置しており、スタックレバー75を上方から覆っている。ガイド部材25は、スタックレバー75の上方において、スタックレバー75よりもシートSの排出方向下流まで延びている。つまり、ガイド部材25の下流端部は、スタックレバー75よりもシートSの排出方向下流に位置している。
【0063】
再搬送経路L2の第1経路L21は、分岐部10から上方へ延びる経路L21aと、経路L21aの上端から屈曲して前方へ延びる経路L21bとを有している。ガイド部材25は、経路L21bの上面を構成する上経路面25aと、経路L21bの下面を構成する下経路面25cとを有している。つまり、経路L21bは上経路面25aと下経路面25cとによって区画されている。下経路面25cは、再搬送経路の下面を構成する第2ガイド面の一例である。
【0064】
第1経路L21の開口部13は、経路L21bの排出方向下流端に位置している。スタックレバー75の先端部75bは、第1経路L21の開口部13よりも排出方向下流に位置している。
【0065】
ガイド部材25の排出方向における下流端部は、第1経路L21を搬送されるシートSをスタックレバー75との間でガイド可能な第1ガイド面25bを有している。第1ガイド面25bは、上経路面25aよりも排出方向下流に位置しており、スタックレバー75の先端部75bと対向する位置に配置されている。第1ガイド面25bは、第1経路L21を搬送されるシートSを排出トレイ73側へ向けて案内するように構成されている。
【0066】
このように、画像形成装置1においては、第1経路L21を排出方向下流へ向けて搬送されるシートSを、ガイド部材25の第1ガイド面25bによってスタックレバー75との間でガイド可能に構成している。従って、例えばガイド部材25が設けられておらずスタックレバー75の上方が開放されている場合のように、シートSが意図しない方向へ搬送されてしまうことを抑制でき、第1経路L21を搬送されるシートSの姿勢を安定させることが可能となっている。
【0067】
特に、ガイド部材25の第1ガイド面25bは、第1経路L21を搬送されるシートSを排出トレイ73側へ向けて案内するように構成されているため、第1経路L21を排出方向下流へ向けて搬送されるシートSが排出トレイ73から上方に浮いた状態で過度に前方へ搬送されることがなく、スイッチバックされるシートSにユーザーが触れることを抑制することが可能となっている。
【0068】
また、第1ガイド面25bはスタックレバー75の先端部75bと対向する位置に配置されているため、第1ガイド面25bにより排出トレイ73側へ向けて案内されるシートSがスタックレバー75の先端部75bと当接して、排出トレイ73側へ行き過ぎることを抑制することが可能となっている。
【0069】
第1ガイド面25bに案内されるシートSが排出トレイ73側へ行き過ぎると、排出トレイ73に積載されるシートSに対して当接する角度が大きくなり過ぎて、排出トレイ73に積載されるシートSを前方へ押し出すおそれがある。
【0070】
しかし、画像形成装置1においては、第1ガイド面25bに案内されるシートSがスタックレバー75の先端部75bと当接して排出トレイ73側へ行き過ぎることを抑制されるため、排出トレイ73に積載されるシートSとの当接角度が大きくなり過ぎることがなく、排出トレイ73に積載されるシートSの整列性を向上することが可能となる。
【0071】
この場合、スタックレバー75とガイド部材25の第1ガイド面25bとの間隔はスタックレバー75の回動角度によって変化し、排出トレイ73上に積載されるシートSの枚数が増えるほどスタックレバー75と第1ガイド面25bとの間隔Dが小さくなる。例えば、排出トレイ73上にシートSが積載されていないときのスタックレバー75と第1ガイド面25bとの間隔D1(図3参照)よりも、排出トレイ73上にシートSが積載されているときのスタックレバー75と第1ガイド面25bとの間隔D2(図4参照)の方が小さくなっている。
【0072】
従って、排出トレイ73上にシートSが積載されているときには、スイッチバックされるシートSが排出方向下流に搬送される際における排出トレイ73上のシートSに対する接触箇所を、第1経路L21から遠く離れた位置とすることができ、排出トレイ73に積載されるシートSの整列性を向上することが可能となっている。
【0073】
また、第1ガイド面25bは、排出方向下流に向かって排出トレイ73に近づくとともに、上方に向けて凹んだ湾曲形状を有しており、第1経路L21を搬送されるシートSを排出トレイ73側へ向けて案内するように構成されている。
【0074】
これにより、第1経路L21を搬送されるシートSの第1ガイド面25bに当接する位置にかかわらず、シートSの第1ガイド面25bに対する当接角度を小さくすることができ、シートSに折れ曲がりが生じることが抑制可能となっている。
【0075】
但し、第1ガイド面25bは排出方向下流に向かって排出トレイ73に近づく形状であれば湾曲形状以外の形状であってもよい。例えば、第1ガイド面25bは排出方向下流に向かって排出トレイ73に近づく傾斜面であってもよい。このように、第1ガイド面25bは排出方向下流に向かって排出トレイ73に近づく形状であれば、第1経路L21を搬送されるシートSを排出トレイ73側へ向けて案内することができる。
【0076】
また、スタックレバー75が第1位置にあるときには、スタックレバー75の先端部75bは第1ガイド面25bに近づいた状態にあり、スタックレバー75が第2位置にあるときには、スタックレバー75の先端部75bはスタックレバー75が第1位置にあるときよりも第1ガイド面25bから離れた位置にある。
【0077】
そして、第1位置にあるスタックレバー75の上端の上下方向の位置T1は、第1ガイド面25bの下端の上下方向の位置T2と同一または下方の位置にある。つまり、第1位置にあるスタックレバー75の上端は、第1ガイド面25bの下端に対して、上下方向の位置が同一または下方の位置にある。図4に示すように、本実施形態においては、第1位置にあるスタックレバー75の上端の位置T1は、第1ガイド面25bの下端の位置T2よりも下方の位置にある。
【0078】
ここで、仮に第1位置にあるスタックレバー75の上端の位置T1が第1ガイド面25bの下端の位置T2よりも上方に位置した場合は、第1ガイド面25bにより排出トレイ73側へ案内されるシートSに対する、スタックレバー75による押圧度合いが大きくなりすぎて、シートSに曲げ癖がつくおそれがある。
【0079】
しかし、画像形成装置1においては、第1位置にあるスタックレバー75の上端の位置T1が第1ガイド面25bの下端の位置T2と同一または下方の位置にあるため、第1ガイド面25bにより排出トレイ73側へ案内されるシートSに対する、スタックレバー75による押圧度合いが大きくなりすぎることがなく、シートSに曲げ癖がつくことを抑制可能となっている。
【0080】
また、図3に示すように、下経路面25cの排出方向における下流端は、上下方向において位置T3に位置しており、第1ガイド面25bの下端の位置T2は下経路面25cの位置T3よりも下方に位置している。つまり、第1ガイド面25bの下端は下経路面25cにおける下流端よりも排出トレイ73の近くに位置している。従って、第1経路L21を排出方向下流へ向かって搬送されるシートSを、第1ガイド面25bにより排出トレイ73に向けて効果的に案内することが可能となっている
【0081】
また、ガイド部材25は装置本体2の上端部に着脱可能に装着されており、装置本体2に装着されてスタックレバー75の上方を覆う被覆状態(図3図4参照)と、装置本体2から取り外されてスタックレバー75の上方を開放する開放状態(図5参照)とに切替可能に構成されている。
【0082】
このように、ガイド部材25を被覆状態と開放状態とに切替可能に構成することで、例えば第1経路L21を搬送されるシートSにジャムが生じた場合に、ガイド部材25を装置本体2から取り外して開放状態に切り替えることで、第1経路L21を搬送されるシートSのジャム処理性を向上させることが可能になっている。
【0083】
[変形例]
上述の実施形態においては、ガイド部材25は装置本体2に着脱可能に装着されているが、被覆状態と開放状態とに切替可能であれば、装置本体2に着脱可能に装着されるものに限らない。例えば、ガイド部材25は、装置本体2に回動可能に取り付けることも可能である。
【0084】
図6に示すガイド部材25は、後端部の回動軸線25dを中心として回動可能に装置本体2に取り付けられている。この場合、ガイド部材25は、図6において2点鎖線で示すように、下方に回動することでスタックレバー75の上方を覆う被覆状態に切り替えることができ、図6において実線で示すように、上方に回動することで、スタックレバー75の上方を開放する開放状態に切り替えることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 画像形成装置
2 装置本体
25 ガイド部材
25a 上経路面
25b 第1ガイド面
25c 下経路面
73 排出トレイ
75 スタックレバー
L1 搬送経路
L11 排出経路
L2 再搬送経路
L21 第1経路
L21a 経路
L21b 経路
L22 第2経路
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6