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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】X線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020004624
(22)【出願日】2020-01-15
(65)【公開番号】P2021109048
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】三橋 隆之
(72)【発明者】
【氏名】宇野 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】代田 健
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-146885(JP,A)
【文献】特開2017-217483(JP,A)
【文献】特開2014-191935(JP,A)
【文献】特開2003-175030(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208155(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0104418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
H05G 1/00-2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極と、陽極と、該陽極を回転させる回転駆動部とを有し、前記陽極が回転している状態で、前記陰極から発生した電子が前記陽極に照射されることにより、撮影対象物に対してX線を照射して、X線撮影を可能するX線管装置と、
前記撮影対象物に対する前記X線のX線照射範囲を規定するコリメータと、前記撮影対象物に対して可視光を照射した光照射状態として、前記X線照射範囲を可視化させる可視光照射部と、該可視光照射部を前記光照射状態にさせる操作を行う光照射操作部とを有する光照射装置と、
前記X線管装置および前記光照射装置の作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記光照射操作部が操作された際、前記回転駆動部により、前記X線撮影が可能な状態となる撮影可能回転数で前記陽極を回転させるX線撮影システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記光照射状態を維持する照射状態維持期間よりも、前記撮影可能回転数を維持する回転数維持期間を長く設定する請求項1に記載のX線撮影システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記照射状態維持期間の終了後から前記回転数維持期間の終了前までの間に、前記光照射操作部が操作された場合には、前記回転数維持期間の開始をし直す請求項2に記載のX線撮影システム。
【請求項4】
前記X線管装置は、前記陰極を加熱する加熱部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載のX線撮影システム。
【請求項5】
前記加熱部に対して、前記X線撮影が可能な撮影可能温度に前記陰極を加熱させる操作を行う加熱操作部を有する主操作装置を備える請求項4に記載のX線撮影システム。
【請求項6】
前記主操作装置は、前記X線管装置に前記X線撮影をさせる操作を行う撮影操作部を有する請求項5に記載のX線撮影システム。
【請求項7】
陰極と、陽極と、該陰極を加熱する加熱部と、該陽極を回転させる回転駆動部とを有し、前記陽極が回転している状態で、前記陰極から発生した電子が前記陽極に照射されることにより、撮影対象物に対してX線を照射して、X線撮影を可能するX線管装置と、
前記撮影対象物に対する前記X線のX線照射範囲を規定するコリメータと、前記撮影対象物に対して可視光を照射した光照射状態として、前記X線照射範囲を可視化させる可視光照射部と、該可視光照射部を前記光照射状態にさせる操作を行う光照射操作部とを有する光照射装置と、
前記X線管装置および前記光照射装置の作動を制御する制御装置と、
前記加熱部に対して、前記X線撮影が可能な撮影可能温度に前記陰極を加熱させる操作を行う加熱操作部を有する主操作装置と、を備え、
前記主操作装置は、前記X線管装置に前記X線撮影をさせる操作を行う撮影操作部を有し、
前記制御装置は、前記光照射操作部が操作された際、前記回転駆動部により、前記X線撮影が可能な状態となる撮影可能回転数で前記陽極を回転させ、前記光照射状態を維持する照射状態維持期間よりも、前記撮影可能回転数を維持する回転数維持期間を長く設定し、前記照射状態維持期間の終了後から前記回転数維持期間の終了前までの間に、前記光照射操作部および前記撮影操作部のうちの一方の操作部が他方の操作部よりも先に操作された場合には、前記回転数維持期間の開始をし直すX線撮影システム。
【請求項8】
前記加熱操作部は、前記撮影操作部を兼ねる請求項6または7に記載のX線撮影システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記光照射操作部が操作された場合に、前記加熱操作部に対する操作を可能とする請求項5または7に記載のX線撮影システム。
【請求項10】
前記制御装置は、前記加熱操作部に対する操作が可能である旨と、前記撮影操作部に対する操作が可能である旨のうちの少なくとも一方を報知する報知部を有する請求項6または7に記載のX線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線を被検者に照射して、X線撮影を行うX線撮影装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のX線撮影装置は、撮影室に配置され、X線を照射するX線管装置と、操作室に配置され、X線管装置に対し、X線の照射タイミングを操作する操作卓とを備える。X線管装置は、陰極と、陽極と、陽極を回転させる回転駆動部とを有する。操作卓は、2段階に押圧操作される撮影スイッチを有する。撮影スイッチは、1段目の押圧操作により、陽極をX線撮影に必要な回転数で所定時間だけ回転させる指示を行い、陽極回転中の2段目の押圧操作により、X線撮影実行の指示を行う。また、特許文献1に記載のX線撮影装置では、撮影スイッチを操作する以前に、陽極を予備回転させるロックスイッチが操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-191935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のX線撮影装置では、陽極をX線撮影に必要な回転数で回転させるには、ロックスイッチに対する操作と、撮影スイッチに対する操作とを順に行わなければならない。このような操作は、X線撮影を迅速に行う上で妨げとなる。
また、特許文献1に記載のX線撮影装置では、撮影スイッチに対する1段目の押圧操作を行った後、例えばX線の照射範囲の調整やX線管装置と被検者との位置調整等の作業が行われる場合がある。そして、この作業に時間が費やされると、前記所定時間が経過して、撮影スイッチに対する2段目の押圧操作がされずに、陽極の回転が停止してしまう。この場合、撮影スイッチは、1段目の押圧操作が可能な状態にまで戻る。そして、あらためてX線撮影を行う際には、撮影スイッチを再度押圧操作する必要があり、結果、X線撮影を迅速に行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、X線撮影を迅速に行うことができるX線撮影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、陰極と、陽極と、該陽極を回転させる回転駆動部とを有し、前記陽極が回転している状態で、前記陰極から発生した電子が前記陽極に照射されることにより、撮影対象物に対してX線を照射して、X線撮影を可能するX線管装置と、前記撮影対象物に対する前記X線のX線照射範囲を規定するコリメータと、前記撮影対象物に対して可視光を照射した光照射状態として、前記X線照射範囲を可視化させる可視光照射部と、該可視光照射部を前記光照射状態にさせる操作を行う光照射操作部とを有する光照射装置と、前記X線管装置および前記光照射装置の作動を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記光照射操作部が操作された際、前記回転駆動部により、前記X線撮影が可能な状態となる撮影可能回転数で前記陽極を回転させるX線撮影システムに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、X線撮影を行おうとするときに、陽極の回転が停止している状態を防止することができる。これにより、例えば回転が一旦停止した陽極を再度回転させる操作を行うのを省略することができ、よって、X線撮影を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明のX線撮影システムの第1実施形態を示す概略外観図である。
図2図2は、図1に示すX線撮影システムの主要部のブロック図である。
図3図3は、図1に示すX線撮影システムにおける作動のタイミングを示すタイミングチャートである。
図4図4は、図3に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムを示すフローチャート(一例)である。
図5図5は、本発明のX線撮影システム(第2実施形態)おける作動のタイミングを示すタイミングチャートである。
図6図6は、図5に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムを示すフローチャート(一例)である。
図7図7は、本発明のX線撮影システム(第3実施形態)おける作動のタイミングを示すタイミングチャートである。
図8図8は、図7に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムを示すフローチャート(一例)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のX線撮影システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のX線撮影システムの第1実施形態を示す概略外観図である。図2は、図1に示すX線撮影システムの主要部のブロック図である。図3は、図1に示すX線撮影システムにおける作動のタイミングを示すタイミングチャートである。図4は、図3に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムを示すフローチャート(一例)である。なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上(または上方)」、下側を「下(または下方)」と言う。
【0010】
図1に示すX線撮影システム1は、X線撮影可能に構成されたシステムある。このX線撮影システム1は、X線管装置2と、光照射装置(可視光照射装置)3と、制御装置4と、主操作装置5とを備え、各装置同士が電気的に接続されている。
X線管装置2、光照射装置3および制御装置4は、撮影室RM1に配置されている。また、撮影室RM1には、X線管装置2と光照射装置3とを一括して支持する支持装置6と、X線撮影台7とが配置されている。支持装置6およびX線撮影台7は、X線撮影システム1を構成する装置の一部とすることができる。主操作装置5は、操作室RM2に配置されている。
【0011】
なお、撮影室RM1と操作室RM2とは、壁WLで仕切られており、壁WLには、操作室RM2から撮影室RM1を視認可能な窓WDが設けられている。また、X線撮影システム1の操作者である技師HM1は、撮影室RM1と操作室RM2とに出入りすることができる。撮影対象者(撮影対象物)である被検者HM2は、撮影室RM1内でX線撮影が行われる。
以下、X線撮影システム1が備える各装置の構成について説明する。
【0012】
図2に示すように、X線管装置2は、陰極(フィラメント)21と、陽極(ターゲット)22と、管球23と、回転駆動部24とを有する。
陰極21と陽極22とは、対向配置された状態で、管球23内に収納されている。また、陰極21と陽極22との間には、制御装置4の高電圧発生回路44により、所定の大きさの電圧(管電圧)が印加される。
【0013】
回転駆動部24は、陽極22を回転させることができる。そして、X線管装置2では、陽極22が回転している状態で、陰極21と陽極22との間に電圧を印加して、陰極21から発生した電子が陽極22に照射されることにより、被検者HM2に対してX線Q1を照射することができる。これにより、被検者HM2に対するX線撮影が可能となる。なお、回転駆動部24の構成としては、特に限定されず、例えば、陽極22に接続された回転子(ロータ)と、回転子に磁界を生じさせて、回転子を陽極22ごと回転させる固定子(ステータ)とを有する構成とすることができる。
【0014】
図2に示すように、光照射装置3は、コリメータ31と、可視光照射部32と、光照射操作部33とを有する。
コリメータ31は、被検者HM2に対するX線Q1のX線照射範囲を規定することができる。コリメータ31は、例えば可視光照射部32と被検者HM2との間に配置され、鉛で構成された複数のシャッタ311を有する。このコリメータ31は、シャッタ311同士を接近、離間させることにより、シャッタ311同士の間隔を調整するよう構成されている。なお、各シャッタ311の移動は、手動式であってもよいし、自動式でもよい。
【0015】
可視光照射部32は、被検者HM2に対して可視光Q2を照射させて、光照射状態とすることができる。そして、可視光Q2がコリメータ31を通過する、すなわち、シャッタ311同士の間を通過することにより、被検者HM2上でのX線照射範囲を可視化させることができる。なお、可視光照射部32としては、例えば、LED照明で構成されるのが好ましい。
【0016】
光照射操作部33は、可視光照射部32を光照射状態にさせる操作を行うことができる。この操作は、撮影室RM1内で技師HM1によって行われる。光照射操作部33は、例えば、押圧操作されるボタンスイッチで構成されるのが好ましい。また、光照射操作部33は、可視光Q2を消灯させて、光照射状態を解除する操作も可能に構成されていてもよい。
【0017】
図1に示すように、支持装置6は、撮影室RM1内の天井から吊り下げられており、X線管装置2と光照射装置3とを支持する装置である。支持装置6は、X線管装置2と光照射装置3とを一括して鉛直方向、水平方向に移動させた後、そのまま停止状態を維持することができる。また、支持装置6は、X線管装置2と光照射装置3とを鉛直軸回りに一括して回転させた後、そのまま停止状態を維持することができる。このような支持装置6により、被検者HM2の体格等に応じて、被検者HM2と、X線管装置2および光照射装置3との位置関係を調整することができる。なお、この調整は、撮影室RM1内で技師HM1が例えばX線管装置2を把持して動かすことによって行われる。
【0018】
X線撮影台7は、被検者HM2を透過したX線Q1を検出する検出部71を有する。そして、X線管装置2からのX線Q1が被検者HM2を透過して検出部71で検出されることにより、X線画像が得られ、X線撮影が完了する。なお、X線撮影台7は、本実施形態では被検者HM2が立位でX線撮影が行われる立位型の撮影台となっているが、これに限定されず、例えば、被検者HM2が臥位でX線撮影が行われる寝台型の撮影台であってもよい。
【0019】
図2に示すように、制御装置4は、X線管装置2および光照射装置3の作動を制御する装置である。制御装置4は、整流回路41と、昇圧チョッパ回路42と、インバータ回路43と、高電圧発生回路44と、スタータ回路45と、制御回路46と、報知部47とを有する。
整流回路41は、例えば商用交流電源等の交流電源10から供給される交流電圧を整流する。交流電源10が商用交流電源の場合、交流電圧は、200Vである。
【0020】
昇圧チョッパ回路42は、整流回路41によって整流された電圧を昇圧する。そして、この昇圧された電圧は、インバータ回路43とスタータ回路45とにそれぞれ印加される。
インバータ回路43は、制御回路46から入力される制御信号に応じて、昇圧チョッパ回路42から印加された電圧を高周波交流出力に変換して、高電圧発生回路44に出力する。
【0021】
高電圧発生回路44は、インバータ回路43から供給された交流出力を直流出力に変換して、X線管装置3の陽極22と陰極21間に印加する。そして、前述したように、陽極22が回転している状態で、陰極21と陽極22との間に電圧を印加することにより、陰極21からの電子が陽極22に照射されて、X線Q1が発生する。
また、高電圧発生回路44は、陰極21を所定温度にまで加熱することができる。これにより、陰極21で電子が発生する。このように、高電圧発生回路44は、陰極21を加熱する加熱部としても機能する。そして、陰極21と陽極22との間に電圧を印加することにより、電子が陰極21から陽極22へと移動して、X線が照射される。
【0022】
スタータ回路45は、制御回路46から入力される制御信号に応じて、所定の電圧および周波数の2相の交流電力を発生して、X線管装置3の回転駆動部24に供給する。これにより、回転駆動部24を作動させて、陽極22を所定の回転数で回転させることができる。
【0023】
報知部47は、例えば、X線撮影システム1が使用可能である旨等のX線撮影システム1の状態を報知することができる。報知部47での報知方法としては、特に限定されず、例えば、音声による方法、発光による方法、または、音声と発光との組み合わせによる方法等が挙げられる。なお、報知部47は、本実施形態では制御装置4に搭載されているが、これに限定されず、例えば、主操作装置5に搭載されていてもよい。
【0024】
図2に示すように、主操作装置5は、主電源操作部51と、加熱操作部52と、撮影操作部53とを有する。
主電源操作部51は、X線管装置2、光照射装置3、制御装置4および主操作装置5がそれぞれ作動可能な状態に起動させる操作を行うことができる。主電源操作部51は、例えば、押圧操作されるボタンスイッチで構成されるのが好ましい。
【0025】
加熱操作部52は、X線撮影が可能な撮影可能温度TP2に陰極21を加熱させる操作を行うことができる。
撮影操作部53は、X線管装置2にX線Q1を照射させて、X線撮影をさせる操作を行うことができる。
なお、加熱操作部52および撮影操作部53に対する操作は、操作室RM2内で技師HM1によって行われる。
【0026】
また、本実施形態では、加熱操作部52は、2段階に押圧操作されるボタンスイッチで構成されている。この場合、加熱操作部52は、1段目の押圧操作により、陰極21を撮影可能温度TP2に加熱させることができ、2段目の押圧操作により、X線撮影を実行させることができる。このように、X線撮影システム1では、加熱操作部52が撮影操作部53を兼ねる構成となっている。これにより、加熱操作部52に対する操作と、撮影操作部53に対する操作の操作順番を間違えるのを防止することができ、よって、各操作を順に正確に行うことができる。また、加熱操作部52に対する操作と、撮影操作部53に対する操作との連続した操作を迅速に行うことができる。これにより、X線撮影を迅速かつ円滑に行うことができる。また、加熱操作部52と撮影操作部53とをそれぞれ別体で構成するのが防止され、よって、主操作装置5を簡単な構成とすることができる。
【0027】
次に、X線撮影システム1における各装置の作動タイミングについて、図3に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。
まず、X線撮影システム1は、初期状態となっている。ここで、「初期状態」とは、主操作装置5の主電源操作部51が操作されて、X線管装置2、光照射装置3、制御装置4および主操作装置5がそれぞれ作動可能な状態となっているが、X線Q1および可視光Q2が未だ照射されていない状態のことを言う。図3に示すように、初期状態での陽極22の初期回転数(第1回転数)NR1は、0Hzである。なお、X線撮影が可能な状態となる、すなわち、X線撮影に必要な陽極22の撮影可能回転数(第2回転数)NR2は、本実施形態では例えば180Hzであるが、これに限定されない。また、初期回転数NR1から撮影可能回転数NR2に達するまで時間ΔNRは、本実施形態では例えば2秒に設定されているが、これに限定されない。
【0028】
また、初期状態では、高電圧発生回路44によって陰極21が予備加熱されており、図3に示すように、陰極21の温度は、初期温度(第1温度)TP1に維持されている。なお、初期温度TP1は、X線撮影が可能な状態となる撮影可能温度(第2温度)TP2よりも低い。本実施形態では、例えば、初期温度TP1が1800℃であり、撮影可能温度TP2が2600℃であるが、これに限定されない。また、初期温度TP1から撮影可能温度TP2に達するまで時間ΔTPは、本実施形態では例えば1秒に設定されているが、これに限定されない。
そして、この初期状態のまま、技師HM1は、撮影室RM1内で、被検者HM2をX線撮影台7に対向して配置させた後、支持器4を動かして、X線管装置2および光照射装置3を被検者HM2に対してX線撮影が可能な位置にまで近づける。
【0029】
次いで、技師HM1は、光照射装置3の光照射操作部33を操作する。この操作により、可視光照射部32が作動して、可視光Q2が被検者HM2に向かって照射された光照射状態となる。これにより、技師HM1は、X線照射範囲を視認することができる。なお、光照射状態が維持される照射状態維持期間PD1は、図3に示すように、本実施形態では例えば30秒であるが、これに限定されない。また、X線照射範囲を視認は、照射状態維持期間PD1内で行われる。
【0030】
また、光照射操作部33が操作された際、可視光照射部32が作動するのに伴って、X線管装置2の回転駆動部24も作動する。これにより、図3に示すように、陽極22は、撮影可能回転数NR2で回転する。撮影可能回転数NR2が維持される回転数維持期間PD2は、照射状態維持期間PD1よりも長く、本実施形態では例えば120秒であるが、これに限定されない。
【0031】
そして、図3に示すように、光照射操作部33が操作されてから時間ΔNR経過後、撮影可能回転数NR2に達したとみなして、制御装置4の報知部47により、加熱操作部52に対する操作が可能である旨の報知が行われる。
この報知を確認した技師HM1は、操作室RM2に移動して、制御装置4の加熱操作部52を操作することができる。この操作により、陰極21を撮影可能温度TP2まで加熱し、この撮影可能温度TP2を維持する。なお、撮影可能温度TP2が維持される温度維持期間PD3は、回転数維持期間PD2よりも長いのが好ましい。
【0032】
そして、図3に示すように、時間TP経過後、撮影可能温度TP2に達したとみなして、制御装置4の報知部47により、撮影操作部53に対する操作が可能である旨の報知が行われる。
この報知を確認した技師HM1は、制御装置4の撮影操作部53を操作することができる。この操作により、X線撮影が行われる。
【0033】
ところで、前述した光照射操作部33を操作した際のX線照射範囲の確認は、一般的に、X線撮影を行う直前に行われる。すなわち、X線照射範囲の確認時には、それ以上のX線照射範囲の調整やX線管装置と被検者との位置調整等の作業が完了しており、後はX線撮影をすればよい状態となっている。従って、陽極22が撮影可能回転数NR2で回転し、かつ、陰極21が撮影可能温度TP2に達してさえすれば、技師HM1は、任意のタイミングでX線撮影を行うことができる。
【0034】
そこで、X線撮影システム1では、制御装置4は、光照射操作部33が操作された際、制御回路46からの制御信号に応じて、回転駆動部24を作動させる。この作動により、撮影可能回転数NR2で陽極22を回転数維持期間PD2だけ回転させることができる。これにより、撮影操作部53を操作してX線撮影を行おうとするときに、陽極22の回転が停止している状態を防止することができる。また、回転数維持期間PD2が120秒あれば、当該回転数維持期間PD2内で撮影操作部53を確実に操作可能であると考えられる。
【0035】
そして、技師HM1は、撮影操作部53を操作する際には、陽極22の回転の有無を気にせず、回転数維持期間PD2内で加熱操作部52を操作後、時間ΔTPだけ待てば、任意のタイミングで当該撮影操作部53に対する操作を行うことができる。
以上の操作により、X線撮影を迅速かつ円滑に行うことができる。
また、X線撮影システム1では、前述した特許文献1に記載のX線撮影装置で生じるような、回転が一旦停止した陽極22を再度回転させる操作を行うのを省略することができ、よって、より迅速なX線撮影が可能となる。
【0036】
図3に示すように、制御装置4の制御回路46は、照射状態維持期間PD1よりも、回転数維持期間PD2を長く設定する。これにより、照射状態維持期間PD1で、X線照射範囲の確認に要る時間を過不足なく確保することができる。また、回転数維持期間PD2で、撮影室RM1から操作室RM2への技師HM1の移動や、加熱操作部52および撮影操作部53の操作に要する時間を過不足なく確保することができる。
【0037】
制御装置4の制御回路46は、光照射操作部33が操作された場合に、加熱操作部52に対する操作を可能とするインタロック機能を有する。これにより、光照射操作部33が操作されるまでは、加熱操作部52に対する操作が規制され、よって、光照射操作部33に対して操作し、次いで、加熱操作部52に対して操作するという操作順番で正確に操作することができる。
【0038】
また、前述したように、報知部47は、加熱操作部52に対する操作が可能である旨と、撮影操作部53に対する操作が可能である旨を報知することができる。これにより、加熱操作部52に対する操作が可能となるよりも以前に、当該操作を行う誤操作を防止することができる。同様に、撮影操作部53に対する操作が可能となるよりも以前に、当該操作を行う誤操作を防止することができる。なお、報知部47は、これらの報知のうちの少なくとも一方を報知することができればよい。
【0039】
また、前述したように、特許文献1に記載のX線撮影装置では、「陽極を予備回転させる操作を行ってから、陽極をX線撮影に必要な回転数で回転させる操作を行う」、すなわち、「陽極をX線撮影に必要な回転数で回転させるには、2回の操作を要する」構成となっている。これに対し、X線撮影システム1では、光照射操作部33を1回操作するだけで、陽極22をX線撮影に必要な撮影可能回転数NR2で回転させることができる。このような構成は、操作回数を抑えることができ、よって、迅速なX線撮影に寄与する。
【0040】
また、撮影可能回転数NR2を維持する回転数維持期間PD2をできる限り短くすることもできる。これにより、陽極22を回転させる回転駆動部24の寿命が短くなるのを抑制または防止することができる。
【0041】
次に、図3に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムの一例について、図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、この制御プログラムは、例えば、制御装置4の記憶回路(図示せず)に予め記憶されている。
まず、光照射操作部33が操作された場合には(ステップS101)、制御装置4に内蔵されているタイマ(図示せず)が作動する(ステップS102)。また、このタイマ作動に伴って、可視光照射部32により可視光Q2が照射されるとともに(ステップS103)、回転駆動部24により陽極22が撮影可能回転数NR2で回転する(ステップS104)。なお、ステップS103とステップS104との順番は、入れ替わっていてもよい。
【0042】
次いで、加熱操作部52が操作されたか否かを判断する(ステップS105)。ステップS105での判断の結果、加熱操作部52が操作されたと判断した場合には、高電圧発生回路44により陰極21を撮影可能温度TP2まで加熱する(ステップS106)。
次いで、撮影操作部53が操作されたか否かを判断する(ステップS107)。ステップS107での判断の結果、撮影操作部53が操作されたと判断した場合には、X線撮影を行う(ステップS108)。そして、可視光照射部32の作動を停止して、可視光Q2を消灯させるとともに(ステップS109)、回転駆動部24の作動を停止して、陽極22の回転を停止させる(ステップS110)。なお、ステップS109とステップS110との順番は、入れ替わっていてもよい。
【0043】
また、ステップS105での判断の結果、加熱操作部52が操作されていないと判断した場合には、照射状態維持期間PD1が経過した(第1タイムアップ)か否かを判断する(ステップS111)。そして、ステップS111での判断の結果、照射状態維持期間PD1が経過したと判断した場合には、可視光照射部32の作動を停止して、可視光Q2を消灯させる(ステップS112)。一方、ステップS111での判断の結果、照射状態維持期間PD1が経過していないと判断した場合には、ステップS105に戻り、以降のステップを順次実行する。
【0044】
ステップS112の実行に次いで、回転数維持期間PD2が経過した(第2タイムアップ)か否かを判断する(ステップS113)。そして、ステップS113での判断の結果、回転数維持期間PD2が経過したと判断した場合には、回転駆動部24の作動を停止して、陽極22の回転を停止させる(ステップS114)。一方、ステップS113での判断の結果、回転数維持期間PD2が経過していないと判断した場合には、ステップS105に戻り、以降のステップを順次実行する。
【0045】
また、ステップS107での判断の結果、撮影操作部53が操作されていないと判断した場合には、ステップS111以降のステップを順次実行する。
以上の制御プログラムにより、X線撮影システム1は、図3に示すタイミングチャートで作動可能となる。
【0046】
<第2実施形態>
図5は、本発明のX線撮影システム(第2実施形態)おける作動のタイミングを示すタイミングチャートである。図6は、図5に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムを示すフローチャート(一例)である。
以下、これらの図を参照して本発明のX線撮影システムの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、タイミングチャートが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0047】
図5に示すように、本実施形態では、照射状態維持期間PD1の終了後から回転数維持期間PD2の終了前までの間に、光照射操作部33が再度操作された場合には、回転数維持期間PD2の開始をし直す、すなわち、回転数維持期間PD2をリセットする。これにより、光照射操作部33に対する再操作時点から回転数維持期間PD2が継続して維持される。なお、この制御は、制御装置4で行われる。
【0048】
例えば、技師HM1が、光照射操作部33に対する最初の操作を行ってから、諸事情により、X線撮影システム1から一旦離れる場合がる。この場合、回転数維持期間PD2内であっても、そのまま加熱操作部52、撮影操作部53を操作するのではなく、再度光照射操作部33を操作して、被検者HM2に対するX線照射範囲を再確認する。
【0049】
そこで、X線撮影システム1では、技師HM1がX線撮影システム1から一旦離れた場合でも、光照射操作部33を再操作するたびに陽極22の回転が継続されるよう、図5に示すタイミングチャートでの作動が可能に構成されている。これにより、技師HM1は、陽極22の回転の有無を気にせず、撮影操作部53に対する操作を行うことができる。
【0050】
次に、図5に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムの一例について、図6に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
図6に示すように、制御プログラムでは、ステップS112とステップS113との間に、ステップS201が実行される。ステップS201は、光照射操作部33が操作されたか否かを判断するステップである。
【0051】
そして、ステップS201での判断の結果、光照射操作部33が操作されたと判断した場合には、ステップS102に戻り、それ以降のステップを順次実行する。一方、ステップS201での判断の結果、光照射操作部33が操作されていないと判断した場合には、ステップS113以降のステップを順次実行する。
以上の制御プログラムにより、X線撮影システム1は、図5に示すタイミングチャートで作動可能となる。
【0052】
<第3実施形態>
図7は、本発明のX線撮影システム(第3実施形態)おける作動のタイミングを示すタイミングチャートである。図8は、図7に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムを示すフローチャート(一例)である。
以下、これらの図を参照して本発明のX線撮影システムの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、タイミングチャートが異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0053】
図6に示すように、本実施形態では、照射状態維持期間PD1の終了後から回転数維持期間PD2の終了前までの間に、撮影操作部53が操作され、さらに再度撮影操作部53が操作された場合には、回転数維持期間PD2の開始をし直す、すなわち、回転数維持期間PD2をリセットする。この制御は、制御装置4で行われる。
【0054】
例えば、被検者HM2に対するX線撮影後、再度当該被検者HM2に対するX線撮影を行うために、当該被検者HM2と、次に撮影予定の被検者HM2とが入れ替わらない場合がある。
そこで、X線撮影システム1では、X線撮影後、再度撮影操作部23を操作するたびに陽極22の回転が継続されるよう、図7に示すタイミングチャートでの作動が可能に構成されている。これにより、技師HM1は、陽極22の回転の有無を気にせず、撮影操作部53に対する操作を行うことができる。
なお、回転数維持期間PD2のリセットは、撮影操作部53が操作され、さらに光照射操作部33が撮影操作部53よりも先に操作された場合にも行われてもよい。
【0055】
次に、図7に示すタイミングチャートで作動を実行するための制御プログラムの一例について、図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
図8に示すように、制御プログラムでは、ステップS109とステップS110との間に、ステップS301が実行される。ステップS301は、撮影操作部53が操作されたか否かを判断するステップである。
【0056】
そして、ステップS301での判断の結果、撮影操作部53が操作されたと判断した場合には、ステップS102に戻り、それ以降のステップを順次実行する。一方、ステップS301での判断の結果、撮影操作部53が操作されていないと判断した場合には、ステップS110以降のステップを順次実行する。
以上の制御プログラムにより、X線撮影システム1は、図7に示すタイミングチャートで作動可能となる。
【0057】
以上、本発明のX線撮影システムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、X線撮影システムを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0058】
また、X線撮影システム1では、初期回転数NR1および撮影可能回転数NR2をそれぞれ任意に設定することができる。
また、X線撮影システム1では、初期温度TP1および撮影可能温度TP2をそれぞれ任意に設定することができる。
また、X線撮影システム1では、照射状態維持期間PD1、回転数維持期間PD2および温度維持期間PD3の長さをそれぞれ任意に設定することができる。
また、X線撮影システム1では、図3に示すように180Hzで回転している陽極22を停止させている、すなわち、回転数を0Hzまで減少させているが、これに限定されず、回転数を0Hzに至らない程度(例えば60Hz)に減少させてもよい。
【0059】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0060】
(第1項)一態様に係るX線撮影システムは、
陰極と、陽極と、該陽極を回転させる回転駆動部とを有し、前記陽極が回転している状態で、前記陰極から発生した電子が前記陽極に照射されることにより、撮影対象物に対してX線を照射して、X線撮影を可能するX線管装置と、
前記撮影対象物に対する前記X線のX線照射範囲を規定するコリメータと、前記撮影対象物に対して可視光を照射した光照射状態として、前記X線照射範囲を可視化させる可視光照射部と、該可視光照射部を前記光照射状態にさせる操作を行う光照射操作部とを有する光照射装置と、
前記X線管装置および前記光照射装置の作動を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記光照射操作部が操作された際、前記回転駆動部により、前記X線撮影が可能な状態となる撮影可能回転数で前記陽極を回転させる。
【0061】
第1項に記載のX線撮影システムによれば、X線撮影を行おうとするときに、陽極の回転が停止している状態を防止することができる。これにより、例えば回転が一旦停止した陽極を再度回転させる操作を行うのを省略することができ、よって、X線撮影を迅速に行うことができる。
【0062】
(第2項)第1項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記制御装置は、前記光照射状態を維持する照射状態維持期間よりも、前記撮影可能回転数を維持する回転数維持期間を長く設定する。
【0063】
第2項に記載のX線撮影システムによれば、照射状態維持期間で、例えば、X線照射範囲の確認に要る時間を過不足なく確保することができる。また、回転数維持期間で、例えば、撮影室から操作室への技師の移動や、加熱操作部および撮影操作部の操作に要する時間を過不足なく確保することができる。
【0064】
(第3項)第2項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記制御装置は、前記照射状態維持期間の終了後から前記回転数維持期間の終了前までの間に、前記光照射操作部が操作された場合には、前記回転数維持期間の開始をし直す。
【0065】
第3項に記載のX線撮影システムによれば、例えば技師がX線撮影システムから一旦離れた場合でも、光照射操作部を再操作するたびに陽極の回転が継続される。これにより、技師は、陽極の回転の有無を気にせず、X線撮影を行うことができる。
【0066】
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記X線管装置は、前記陰極を加熱する加熱部を有する。
【0067】
第4項に記載のX線撮影システムによれば、陰極での電子の発生を促進することができる。
【0068】
(第5項)第4項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記加熱部に対して、前記X線撮影が可能な撮影可能温度に前記陰極を加熱させる操作を行う加熱操作部を有する主操作装置を備える。
【0069】
第5項に記載のX線撮影システムによれば、例えば、主操作装置を、X線管装置、光照射装置および制御装置から分けて別室に配置することができる。
【0070】
(第6項)第5項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記主操作装置は、前記X線管装置に前記X線撮影をさせる操作を行う撮影操作部を有する。
【0071】
第6項に記載のX線撮影システムによれば、撮影操作部に対する操作を別室で行うことができる。
【0072】
(第7項)第6項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記制御装置は、前記照射状態維持期間の終了後から前記回転数維持期間の終了前までの間に、前記光照射操作部および前記撮影操作部のうちの一方の操作部が他方の操作部よりも先に操作された場合には、前記回転数維持期間の開始をし直す。
【0073】
第7項に記載のX線撮影システムによれば、X線撮影後、再度撮影操作部を操作するたびに陽極の回転が継続される。これにより、技師は、陽極の回転の有無を気にせず、X線撮影を行うことができる。
【0074】
(第8項)第6項または第7項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記加熱操作部は、前記撮影操作部を兼ねる。
【0075】
第8項に記載のX線撮影システムによれば、加熱操作部に対する操作と、撮影操作部に対する操作とを順に正確に行うことができる。
【0076】
(第9項)第5項~第8項のいずれか1項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記制御装置は、前記光照射操作部が操作された場合に、前記加熱操作部に対する操作を可能とする。
【0077】
第9項に記載のX線撮影システムによれば、光照射操作部が操作されるまでは、加熱操作部に対する操作が規制され、よって、光照射操作部に対して操作し、次いで、加熱操作部に対して操作するという操作順番で正確に操作することができる。
【0078】
(第10項)第6項~第8項のいずれか1項に記載のX線撮影システムにおいて、
前記制御装置は、前記加熱操作部に対する操作が可能である旨と、前記撮影操作部に対する操作が可能である旨のうちの少なくとも一方を報知する報知部を有する。
【0079】
第10項に記載のX線撮影システムによれば、加熱操作部に対する操作が可能となるよりも以前に、当該操作を行う誤操作を防止することができる。また、撮影操作部に対する操作が可能となるよりも以前に、当該操作を行う誤操作を防止することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 X線撮影システム
2 X線管装置
21 陰極(フィラメント)
22 陽極(ターゲット)
23 管球
24 回転駆動部
3 光照射装置(可視光照射装置)
31 コリメータ
311 シャッタ
32 可視光照射部
33 光照射操作部
4 制御装置
41 整流回路
42 昇圧チョッパ回路
43 インバータ回路
44 高電圧発生回路
45 スタータ回路
46 制御回路
47 報知部
5 主操作装置
51 主電源操作部
52 加熱操作部
53 撮影操作部
6 支持装置
7 X線撮影台
71 検出部
10 交流電源
HM1 技師
HM2 被検者
NR1 初期回転数(第1回転数)
NR2 撮影可能回転数(第2回転数)
PD1 照射状態維持期間
PD2 回転数維持期間
PD3 温度維持期間
Q1 X線
Q2 可視光
RM1 撮影室
RM2 操作室
S101~S114、S201、S301 ステップ
TP1 初期温度(第1温度)
TP2 撮影可能温度(第2温度)
ΔTP、ΔNR 時間
WD 窓
WL 壁

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8