(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】フィルタエレメント及びエアクリーナ
(51)【国際特許分類】
F02M 35/024 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
F02M35/024 511D
(21)【出願番号】P 2020021445
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山田 翔太
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-231369(JP,A)
【文献】特開2011-196313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過部と、前記濾過部の外周縁に沿って設けられた硬質の枠部とを備えるフィルタエレメントであって、
前記枠部の外周面には、外側に向かって突出する突出部が全周にわたって設けられ、
前記突出部の先端部には、可撓性を持つシール部が前記突出部の先端部を覆うように全周にわたって設けられ、
前記突出部の基端部には、凹部が全周にわたって設けられ
、
前記枠部の外周面における前記突出部に対して前記凹部側とは反対側で隣り合う位置には、外側に向かって突出する複数のリブが周方向で間隔を置いて設けられていることを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項2】
前記各リブは、前記枠部と一体に形成されていることを特徴とする請求項
1に記載のフィルタエレメント。
【請求項3】
前記突出部における前記凹部と前記シール部との間には、前記シール部が前記突出部から外れることを抑制する抑制部が全周にわたって設けられていることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載のフィルタエレメント。
【請求項4】
インレット及び第1開口を有した有底箱状の第1ハウジングと、アウトレット及び第2開口を有した有底箱状の第2ハウジングと、請求項1~請求項
3のうちいずれか一項に記載のフィルタエレメントとを備え、
前記第1ハウジングは、前記第1開口を囲み、且つ全周にわたって外側に突出するように形成された第1フランジを有し、
前記第2ハウジングは、前記第2開口を囲み、且つ全周にわたって外側に突出するように形成された第2フランジを有し、
前記フィルタエレメントは、前記シール部が前記第1ハウジングの前記第1フランジと前記第2ハウジングの前記第2フランジとによって挟持され、
前記第2ハウジングにおける前記第2フランジの内側には、前記第1ハウジング側に向かって突出する凸部が全周にわたって形成され、
前記凸部は、前記フィルタエレメントの前記凹部に挿入されていることを特徴とするエアクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のエアクリーナ及び当該エアクリーナに用いられるフィルタエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のエアクリーナとしては、例えば特許文献1や特許文献2に示すものが知られている。特許文献1に記載のエアクリーナは、インレットを有した有底四角箱状の第1ハウジングと、アウトレットを有した有底四角箱状の第2ハウジングと、フィルタエレメントとを備えている。第1ハウジングは、開口を囲むように全周にわたって外側に突出するように形成された第1フランジを有している。第2ハウジングは、開口を囲むように全周にわたって外側に突出するように形成された第2フランジを有している。
【0003】
フィルタエレメントは、濾紙によって構成される平面視四角形状の濾過部と、濾過部の外周縁に全周にわたって形成された弾性部材からなるシール部とを有している。そして、特許文献1に記載のエアクリーナは、フィルタエレメントのシール部が第1ハウジングの第1フランジと第2ハウジングの第2フランジとによって挟持されるようにして組み立てられた構成になっている。
【0004】
この場合、第2ハウジングにおける第2フランジの内側には、エアクリーナの使用時に第1ハウジングと第2ハウジングとで囲まれた空間に発生する負圧によってフィルタエレメントのシール部が第1フランジと第2フランジとの間から内側に引き込まれてフィルタエレメントの形が崩れるのを抑制するための凸部が全周にわたって形成されている。
【0005】
一方、特許文献2に記載のエアクリーナは、インレットを有した有底四角箱状のロアハウジング(特許文献1の第1ハウジングに対応)と、アウトレットを有した有底四角箱状のアッパハウジング(特許文献1の第2ハウジングに対応)と、エレメント(特許文献1のフィルタエレメントに対応)とを備えている。エレメントは、不織布によって構成される濾過部と、濾過部の外周部の全体のわたって設けられた硬質の合成樹脂製の外周枠とを有している。
【0006】
外周枠の外周面には外側に突出する突出部が全周にわたって形成され、当該突出部は全周にわたってシールによって覆われている。そして、特許文献2に記載のエアクリーナは、エレメントのシールがロアハウジング及びアッパハウジングの開放縁同士によって挟持されるようにして組み立てられた構成になっている。
【0007】
この場合、エレメントは、不織布製の濾過部が硬質の合成樹脂製の外周枠によって囲われた構成であるため、エアクリーナの使用時にロアハウジングとアッパハウジングとで囲まれた空間に負圧が発生してもロアハウジング及びアッパハウジングの開放縁同士の間からシールが内側に引き込まれることがない。このため、アッパハウジングには、上述した特許文献1の第2ハウジングに形成される凸部が形成されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-141743号公報
【文献】特開2001-295710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1のエアクリーナにおいて、フィルタエレメントの代わりに特許文献2のエレメントを用いようとした場合には、特許文献1の第2ハウジングにおける第2フランジの内側に形成された凸部が、特許文献2のエレメントの外周枠の外周面に形成された突出部に当たってしまう。このため、特許文献1のエアクリーナには、特許文献2のエレメントを用いることができない。したがって、エレメントの汎用性を向上する上では改善の余地を残すものとなっている。
【0010】
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされた。その目的は、汎用性を向上することができるフィルタエレメント及びエアクリーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するフィルタエレメントは、濾過部と、前記濾過部の外周縁に沿って設けられた硬質の枠部とを備えるフィルタエレメントであって、前記枠部の外周面には、外側に向かって突出する突出部が全周にわたって設けられ、前記突出部の先端部には、可撓性を持つシール部が前記突出部の先端部を覆うように全周にわたって設けられ、前記突出部の基端部には、凹部が全周にわたって設けられていることを要旨とする。
【0012】
一般に、濾紙によって構成される濾過部と、濾過部の外周縁に全周にわたって形成された弾性部材からなるシール部とを有した所謂濾紙タイプのフィルタエレメントが用いられるエアクリーナのハウジングは、インレット及び第1開口を有し且つ第1開口を囲むように全周にわたって外側に突出するように形成された第1フランジを有した有底箱状の第1ハウジングと、アウトレット及び第2開口を有し且つ第2開口を囲むように全周にわたって外側に突出するように形成された第2フランジを有した有底箱状の第2ハウジングとを備えている。そして、濾紙タイプのフィルタエレメントのシール部を第1ハウジングの第1フランジと第2ハウジングの第2フランジとで挟持することによってエアクリーナが組み立てられる。この場合、第2ハウジングにおける第2フランジの内側には、エアクリーナの使用時に第1ハウジングと第2ハウジングとで囲まれた空間に発生する負圧によってフィルタエレメントのシール部が第1フランジと第2フランジとの間から内側に引き込まれてフィルタエレメントの形が崩れるのを抑制するための凸部が全周にわたって形成されている。
【0013】
この構成によれば、突出部の基端部に凹部が全周にわたって設けられているため、濾紙タイプのフィルタエレメントが用いられるエアクリーナのハウジングに組み付ける場合には、突出部の基端部の凹部に第2ハウジングにおける第2フランジの内側に形成された凸部が挿入される。すなわち、本構成のフィルタエレメントを濾紙タイプのフィルタエレメントが用いられるエアクリーナのハウジングに組み付ける場合に枠部や突出部が凸部に当たらないので、当該ハウジングにも本構成のフィルタエレメントを問題なく組み付けることができる。したがって、汎用性を向上することができる。
【0014】
上記課題を解決するエアクリーナは、インレット及び第1開口を有した有底箱状の第1ハウジングと、アウトレット及び第2開口を有した有底箱状の第2ハウジングと、上記構成のフィルタエレメントとを備え、前記第1ハウジングは、前記第1開口を囲み、且つ全周にわたって外側に突出するように形成された第1フランジを有し、前記第2ハウジングは、前記第2開口を囲み、且つ全周にわたって外側に突出するように形成された第2フランジを有し、前記フィルタエレメントは、前記シール部が前記第1ハウジングの前記第1フランジと前記第2ハウジングの前記第2フランジとによって挟持され、前記第2ハウジングにおける前記第2フランジの内側には、前記第1ハウジング側に向かって突出する凸部が全周にわたって形成され、前記凸部は、前記フィルタエレメントの前記凹部に挿入されていることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、上記構成のフィルタエレメントを濾紙タイプのフィルタエレメントが用いられるエアクリーナのハウジングに組み付けることができるので、上記構成のフィルタエレメントの汎用性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態の樹脂枠タイプのフィルタエレメントを濾紙タイプのフィルタエレメント用のハウジングに組み付けたエアクリーナの平面模式図。
【
図4】一実施形態の樹脂枠タイプのフィルタエレメントの要部拡大断面図。
【
図5】濾紙タイプのフィルタエレメントを用いたエアクリーナの要部拡大断面図。
【
図6】比較例の樹脂枠タイプのフィルタエレメントを用いたエアクリーナの要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、内燃機関のエアクリーナの一実施形態を図面に従って説明する。
図1~
図3に示すように、エアクリーナ11は、車載内燃機関であるエンジンの吸気通路に配置される。エアクリーナ11は、第1開口12aを有した有底矩形箱状をなす合成樹脂製の第1ハウジング12と、第2開口13aを有した有底矩形箱状をなす合成樹脂製の第2ハウジング13と、第1ハウジング12と第2ハウジング13との間に配置されるフィルタエレメント14とを備えている。
【0018】
第1ハウジング12の側壁には、エアが流入する円筒状のインレット15が設けられている。第1ハウジング12における第1開口12aの外側には、第1フランジ16が第1開口12aを囲み且つ全周にわたって外側に突出するように設けられている。第2ハウジング13の側壁には、エアが流出する円筒状のアウトレット17が設けられている。
【0019】
第2ハウジング13における第2開口13aの外側には、第2フランジ18が第2開口13aを囲み且つ全周にわたって外側に突出するように設けられている。第2フランジ18は、基端部18aが第1フランジ16と対向し、先端部18bが第1ハウジング12側に向かって直角に屈曲している。第2フランジ18の先端部18bは、第1フランジ16よりも若干外側に位置している。第2ハウジング13における第2フランジ18の内側には、第1ハウジング12側に向かって突出する凸部19が全周にわたって形成されている。凸部19は、第1ハウジング12の内周面12bよりも若干内側に位置している。
【0020】
フィルタエレメント14は、エアを濾過する平面視矩形状の濾過部20と、濾過部20の外周縁に沿って設けられた硬質の合成樹脂製の平面視矩形枠状の枠部21とを備えた所謂樹脂枠タイプのフィルタエレメントである。濾過部20は、例えば矩形状の不織布を襞折りすることによって構成される。枠部21の外周面における中央部には、外側に向かって突出する突出部22が全周にわたって設けられている。
【0021】
突出部22の基端部23には、第2ハウジング13の凸部19が挿入される凹部24が全周にわたって設けられている。すなわち、突出部22の基端部23は、第2ハウジング13側に凹部24が形成されるように第2ハウジング13側に湾曲するように延びている。この場合、凸部19は、凹部24に接触しないように挿入される。突出部22の先端部25には、可撓性を持つシール部26が突出部22の先端部25を覆うように全周にわたって設けられている。
【0022】
シール部26は、断面視で略U字状をなすようにゴムなどの可撓性材料によって構成され、突出部22の先端部25に対して先端部25を挟むように取り付けられている。シール部26における第1フランジ16側及び第2フランジ18側にはリップ部26aが対をなすように設けられている。一対のリップ部26aは、外力が作用しない場合、
図4に示すように、互いに離れるように先端部25に対して斜めに延びている。
【0023】
図1~
図3に示すように、シール部26は、第1フランジ16と第2フランジ18とで挟持され、第1フランジ16と第2フランジ18との間をシールする。この場合、一対のリップ部26aは、第1フランジ16及び第2フランジ18によって圧縮されて弾性変形した状態で第1フランジ16及び第2フランジ18に対してそれぞれ接触する。突出部22における凹部24とシール部26との間には、シール部26が突出部22の先端部25から外れることを抑制する抑制部27が全周にわたって設けられている。
【0024】
抑制部27は、突出部22の基端部23と一体に形成され、第2フランジ18側に向かって突出している。すなわち、抑制部27は、略U字状をなすシール部26の開口側を覆っており、フィルタエレメント14の取り扱い時にシール部26の開口側に他の部材などが引っ掛かることを抑制することで、シール部26の少なくとも一部が突出部22の先端部25から外れることを抑制している。
【0025】
フィルタエレメント14の枠部21の外周面における突出部22に対して凹部24側とは反対側で隣り合う位置には、外側に向かって突出する複数の略矩形板状のリブ28が周方向で間隔を置いて設けられている。各リブ28は、枠部21と一体に形成されている。各リブ28における枠部21の外周面からの突出方向の先端は、第1ハウジング12の内周面12bに近接している。
【0026】
各リブ28における凹部24側とは反対側の端部には、凹部24から離れるにつれて枠部21の外周面からの突出高さが徐々に低くなるテーパー部28aが形成されている。なお、第1ハウジング12と第2ハウジング13とは、クランプ(図示略)によって締結されている。
【0027】
ここで、
図5には、濾紙を襞折りしてなる濾過部30と、濾過部30の外周縁に全周にわたって形成されたゴムなどの弾性部材からなるシール部31とを有した所謂濾紙タイプのフィルタエレメント32を用いたエアクリーナ33が示されている。このエアクリーナ33は、濾紙タイプのフィルタエレメント32を上述の第1ハウジング12及び第2ハウジング13に組み付けることによって形成される。つまり、上述の第1ハウジング12及び第2ハウジング13は、濾紙タイプのフィルタエレメント32用のハウジングである。
【0028】
したがって、第2ハウジング13における第2フランジ18の内側には、第1ハウジング12と第2ハウジング13とで囲まれた空間に発生する負圧によってフィルタエレメント32のシール部31が第1フランジ16と第2フランジ18との間から内側に引き込まれてフィルタエレメント32の形が崩れるのを抑制するための凸部19が全周にわたって形成されている。
【0029】
また、
図6には、上述のフィルタエレメント14の比較例として一般的な樹脂枠タイプのフィルタエレメント40を用いたエアクリーナ41が示されている。このフィルタエレメント40は、フィルタエレメント14において枠部21を枠部42に変更したものである。枠部42には、突出部43が設けられている。突出部43は、上述の突出部22から基端部23及び抑制部27を省略したものである。つまり、突出部43は、上述の突出部22の先端部25と同じ構成になっている。
【0030】
エアクリーナ41は、フィルタエレメント40を第1ハウジング44及び第2ハウジング45に組み付けることによって形成される。第2ハウジング45は、上述の第2ハウジング13において凸部19を省略するとともに内周面45aを第1ハウジング44の内周面44aと面一にしたものである。
【0031】
そして、
図6の一般的な樹脂枠タイプのフィルタエレメント40を
図5の濾紙タイプのフィルタエレメント32用のハウジングである上述の第1ハウジング12及び第2ハウジング13に組み付けようとした場合には、フィルタエレメント40の枠部42や突出部43が第2ハウジング13の凸部19に当たる。
【0032】
このため、一般的な樹脂枠タイプのフィルタエレメント40を濾紙タイプのフィルタエレメント32用のハウジングである上述の第1ハウジング12及び第2ハウジング13に組み付けることはできない。したがって、一般的な樹脂枠タイプのフィルタエレメント40は、専用のハウジングである第1ハウジング44及び第2ハウジング45に組み付けることしかできない。
【0033】
この点、上述したフィルタエレメント14は、第2ハウジング13の凸部19が挿入される凹部24を有している。このため、一般的な樹脂枠タイプのフィルタエレメント40用のハウジングである第1ハウジング44及び第2ハウジング45だけでなく、濾紙タイプのフィルタエレメント32用のハウジングである上述の第1ハウジング12及び第2ハウジング13にも組み付けることができる。
【0034】
したがって、一般的な樹脂枠タイプのフィルタエレメント40をフィルタエレメント14に変更することで、一般的な樹脂枠タイプのフィルタエレメント40用のハウジングである第1ハウジング44及び第2ハウジング45を廃止できる。つまり、濾紙タイプのフィルタエレメント32用のハウジングである上述の第1ハウジング12及び第2ハウジング13を、フィルタエレメント32及びフィルタエレメント14に対して共用できる。
【0035】
次に、エアクリーナ11の組み立て方法について説明する。
図1~
図3に示すように、エアクリーナ11を組み立てる場合には、まず、第1ハウジング12に対して第1開口12aからフィルタエレメント14を各リブ28側から挿入する。このとき、第1開口12aに対してフィルタエレメント14の位置が多少ずれたとしても、各リブ28のテーパー部28aが第1ハウジング12の周壁の上端部を摺動することで、フィルタエレメント14が第1ハウジング12内の中央部へ導かれる。
【0036】
続いて、フィルタエレメント14を第1ハウジング12内に挿入し、シール部26を第1フランジ16上に載せる。このとき、フィルタエレメント14は、各リブ28によって第1ハウジング12の内周面12bとの隙間が狭められるため、第1ハウジング12内でのがたつきが抑制される。続いて、第2ハウジング13を、フィルタエレメント14における第1ハウジング12側とは反対側を覆うように、フィルタエレメント14に対して第2開口13a側から被せる。
【0037】
このとき、第2フランジ18は、基端部18aが第1フランジ16とでシール部26を挟持するとともに、凸部19がフィルタエレメント14の凹部24に対して非接触状態で挿入される。その後、第1ハウジング12と第2ハウジング13とを、クランプ(図示略)によって締結することで、エアクリーナ11の組み立て作業が完了する。
【0038】
このように、フィルタエレメント14は、樹脂枠タイプのフィルタエレメントでありながら、濾紙タイプのフィルタエレメント32(
図5参照)用のハウジングである上述の第1ハウジング12及び第2ハウジング13に組み付けることができる。このため、第1ハウジング12及び第2ハウジング13を濾紙タイプのフィルタエレメント32及び樹脂枠タイプのフィルタエレメント14に対して共用できる。
【0039】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)フィルタエレメント14において、枠部21における突出部22の基端部23には、凸部19を挿入可能な凹部24が全周にわたって設けられている。一般に、濾紙によって構成される濾過部30と、濾過部30の外周縁に全周にわたって形成された弾性部材からなるシール部31とを有した所謂濾紙タイプのフィルタエレメント32が用いられるエアクリーナ33のハウジングは、インレット15及び第1開口12aを有し且つ第1開口12aを囲むように全周にわたって外側に突出するように形成された第1フランジ16を有した有底矩形箱状の第1ハウジング12と、アウトレット17及び第2開口13aを有し且つ第2開口13aを囲むように全周にわたって外側に突出するように形成された第2フランジ18を有した有底矩形箱状の第2ハウジング13とを備えている。そして、濾紙タイプのフィルタエレメント32のシール部31を第1ハウジング12の第1フランジ16と第2ハウジング13の第2フランジ18とで挟持することによってエアクリーナ11が組み立てられる。この場合、第2ハウジング13における第2フランジ18の内側には、エアクリーナ11の使用時に第1ハウジング12と第2ハウジング13とで囲まれた空間に発生する負圧によってフィルタエレメント32のシール部31が第1フランジ16と第2フランジ18との間から内側に引き込まれてフィルタエレメント32の形が崩れるのを抑制するための凸部19が全周にわたって形成されている。
【0040】
そして、この構成によれば、突出部22の基端部23に凹部24が全周にわたって設けられているため、濾紙タイプのフィルタエレメント32が用いられるエアクリーナ33のハウジングに組み付ける場合には、突出部22の基端部23の凹部24に第2ハウジング13における第2フランジ18の内側に形成された凸部19が挿入される。すなわち、樹脂枠タイプのフィルタエレメント14を濾紙タイプのフィルタエレメント32が用いられるエアクリーナ33の第1ハウジング12及び第2ハウジング13に組み付ける場合に、枠部21や突出部22が凸部19に当たらないので、第1ハウジング12及び第2ハウジング13にもフィルタエレメント14を問題なく組み付けることができる。したがって、フィルタエレメント14の汎用性を向上することができる。
【0041】
(2)フィルタエレメント14において、枠部21の外周面における突出部22に対して凹部24側とは反対側で隣り合う位置には、外側に向かって突出する複数のリブ28が周方向で間隔を置いて設けられている。この構成によれば、フィルタエレメント14を第1ハウジング12に組み付けた際に、各リブ28が無い場合に比べて第1ハウジング12の内周面12bとフィルタエレメント14との距離を短くすることができる。このため、各リブ28が無い場合に比べて第1ハウジング12内でのフィルタエレメント14のがたつきを抑制できる。加えて、フィルタエレメント14を第1ハウジング12に組み付ける際には、各リブ28がフィルタエレメント14を第1ハウジング12内に案内するため、フィルタエレメント14の第1ハウジング12に対する組み付け性を向上できる。
【0042】
(3)フィルタエレメント14において、各リブ28は、枠部21と一体に形成されている。この構成によれば、各リブ28を枠部21と別体で構成する場合に比べて部品点数を低減できる。
【0043】
(4)フィルタエレメント14において、突出部22における凹部24とシール部26との間には、シール部26が突出部22から外れることを抑制する抑制部27が全周にわたって設けられている。この構成によれば、抑制部27により、シール部26が突出部22から外れることを抑制できる。すなわち、フィルタエレメント14の取り扱い時にシール部26の開口側に他の部材などが引っ掛かることを抑制部27によって抑制できるので、シール部26の少なくとも一部が突出部22の先端部25から外れることを抑制できる。
【0044】
(変更例)
なお、上記実施形態は次のように変更してもよい。
・抑制部27は、省略してもよい。
【0045】
・各リブ28は、枠部21と別体で構成してもよい。
・各リブ28は、省略してもよい。
・枠部21に形成するリブ28の数、形状、及び位置は、適宜変更してもよい。
【0046】
・各リブ28において、テーパー部28aは省略してもよい。
【符号の説明】
【0047】
11…エアクリーナ
12…第1ハウジング
12a…第1開口
13…第2ハウジング
13a…第2開口
14…フィルタエレメント
15…インレット
16…第1フランジ
17…アウトレット
18…第2フランジ
19…凸部
20…濾過部
21…枠部
22…突出部
23…突出部の基端部
24…凹部
25…突出部の先端部
26…シール部
27…抑制部
28…リブ