(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】燃料電池用エアーポンプ
(51)【国際特許分類】
F01D 25/32 20060101AFI20230816BHJP
F04D 29/10 20060101ALI20230816BHJP
F04D 29/70 20060101ALI20230816BHJP
F01K 25/00 20060101ALI20230816BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20230816BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20230816BHJP
F01D 25/30 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
F01D25/32 C
F04D29/10 A
F04D29/70 L
F01K25/00 B
H01M8/04 N
H01M8/10 101
F01D25/30 C
(21)【出願番号】P 2020074665
(22)【出願日】2020-04-20
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 英文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 潤也
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/159744(WO,A1)
【文献】特開2010-164155(JP,A)
【文献】特開2017-180431(JP,A)
【文献】特開2011-012749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 25/32
F04D 29/046
F04D 29/08-29/12
F04D 29/58
F04D 29/70
F01K 25/00
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸を回転させる電動モータと、
前記回転軸の回転によってエアーを圧縮する圧縮部と、
前記電動モータの回転を補助する回転補助部と、
前記電動モータを収容するモータ収容室を備えるハウジングと、を備え、
前記圧縮部は、
エアーを前記回転軸の軸線方向に吸入する第1の吸入口と、
前記回転軸の第1の端部に設けられる第1の羽根車と、
圧縮したエアーを燃料電池に送る第1の吐出口と、を有し、
前記回転補助部は、
燃料電池からの排気を吸入する第2の吸入口と、
前記回転軸の第2の端部に設けられる第2の羽根車と、
前記第2の羽根車に送られた前記排気を前記回転軸の軸線方向に吐出する第2の吐出口と、を有し、
前記ハウジングは、前記回転軸が挿通される挿通孔を有するとともに前記モータ収容室と前記回転補助部とを区画する区画板を有する、燃料電池用エアーポンプであって、
前記挿通孔と前記回転軸との間にはシール部材が配置され、
前記ハウジング内における前記シール部材と前記モータ収容室との間には、前記第2の羽根車の背面から前記シール部材を介して侵入する前記排気に含まれる水分を吸水する吸水部材が設けられて
おり、
前記シール部材は、
合口を有するC字状部材と、
前記回転軸の周方向に延び、前記C字状部材が収容される溝を有するとともに前記挿通孔に配置され、前記回転軸と共に回転するベース部材と、を有し、
前記吸水部材は、前記回転軸の軸線方向において、前記合口の少なくとも一部に重なる位置に設けられていることを特徴とする燃料電池用エアーポンプ。
【請求項2】
前記吸水部材は、リング形状であり、
前記ベース部材は、円柱状であり、
前記吸水部材は、前記吸水部材の軸線が前記ベース部材の軸線と一致するように配置され、
前記吸水部材の外径は、前記ベース部材の直径よりも大きく、且つ、前記吸水部材の内径は、前記ベース部材の直径よりも小さく、且つ、前記回転軸の直径よりも大きいことを特徴とする請求項
1に記載の燃料電池用エアーポンプ。
【請求項3】
前記吸水部材は、フェルトにより形成されていることを特徴とする請求項
1または請求項2に記載の燃料電池用エアーポンプ。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記吸水部材が収容される収容部と、
前記収容部と前記ハウジングの外部とを連通して水分を前記ハウジングの外部へ排出する水抜通路と、を有していることを特徴とする請求項1~請求項
3のいずれか一項に記載の燃料電池用エアーポンプ。
【請求項5】
前記収容部は、前記シール部材と前記吸水部材との間で水分を貯留する貯留部を有し、
前記水抜通路は、前記貯留部と前記ハウジングの外部とを連通していることを特徴とする請求項
4に記載の燃料電池用エアーポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに適用される燃料電池用エアーポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料電池と、圧縮したエアーを燃料電池に供給する圧縮機を備えるエアー供給システムと、水素を燃料電池に供給する水素供給システムとを備えている。
このような燃料電池システムとして、特許文献1に記載される燃料電池システムが知られている。
【0003】
モータハウジング(35)は、貯水室(50)を有している。貯水室(50)は、第2インペラ収容室(25)に収容される第2インペラ(21)とモータ(30)との間に位置するモータハウジング(35)の壁部(37)の中に設けられている。貯水室(50)は、回転軸(31)を囲み回転軸(31)側に開口している。第2インペラ(21)の背面からモータ収容室に向けて燃料電池スタック(310)から排出された水分を含んだ排気が流れると、貯水室(50)に水分が貯留される。このため、モータ収容室に水分が入ることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、第2インペラ収容室(25)に燃料電池スタック(310)の排気が流れることにより、第2インペラ(21)の背面の圧力がモータ収容室の圧力よりも大きくなる。そのため、第2インペラ収容室(25)に流れる排気は、貯水室(50)を超えてモータ収容室に向けて噴き出し、モータ収容室に水分が入る虞がある。
【0006】
本発明の目的は、モータ収容室に水分が入ることをより抑制できる燃料電池用エアーポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する圧縮機は、回転軸と、前記回転軸を回転させる電動モータと、前記回転軸の回転によってエアーを圧縮する圧縮部と、前記電動モータの回転を補助する回転補助部と、前記電動モータを収容するモータ収容室を備えるハウジングと、を備え、前記圧縮部は、エアーを前記回転軸の軸線方向に吸入する第1の吸入口と、前記回転軸の第1の端部に設けられる第1の羽根車と、圧縮したエアーを燃料電池に送る第1の吐出口と、を有し、前記回転補助部は、燃料電池からの排気を吸入する第2の吸入口と、前記回転軸の第2の端部に設けられる第2の羽根車と、前記第2の羽根車に送られた前記排気を前記回転軸の軸線方向に吐出する第2の吐出口と、を有し、前記ハウジングは、前記回転軸が挿通される挿通孔を有するとともに前記モータ収容室と前記回転補助部とを区画する区画板を有する、燃料電池用エアーポンプであって、前記挿通孔と前記回転軸との間にはシール部材が配置され、前記ハウジング内における前記シール部材と前記モータ収容室との間には、前記第2の羽根車の背面から前記シール部材を介して侵入する前記排気に含まれる水分を吸水する吸水部材が設けられている。
【0008】
これによれば、第2の羽根車の背面からシール部材を介して燃料電池の排気がモータ収容室側へ噴き出したとしても、吸水部材が燃料電池の排気に干渉する。そのため、吸水部材により燃料電池の排気に含まれる水分が吸収されるため、燃料電池の排気に含まれる水分がモータ収容室に到達し難くなる。したがって、モータ収容室に水分が入ることをより抑制できる。
【0009】
上記の燃料電池用エアーポンプにおいて、前記シール部材は、合口を有するC字状部材と、前記回転軸の周方向に延び、前記C字状部材が収容される溝を有するとともに前記挿通孔に配置され、前記回転軸と共に回転するベース部材と、を有し、前記吸水部材は、前記回転軸の軸線方向において、前記合口の少なくとも一部に重なる位置に設けられているとよい。
【0010】
これによれば、シール部材の装着作業性のため、シール部材はC字状部材及びベース部材を有している。C字状部材が合口を有していることにより、第2の羽根車の背面からシール部材を介してモータ収容室側に向けて燃料電池の排気が噴き出し易くなる。しかし、合口を介してモータ収容室側に向けて噴き出した燃料電池の排気は、吸水部材により干渉される。よって、シール部材の装着作業性を向上させつつモータ収容室に水分が入ることをより抑制できる。
【0011】
上記の燃料電池用エアーポンプにおいて、前記吸水部材は、リング形状であり、前記ベース部材は、円柱状であり、前記吸水部材は、前記吸水部材の軸線が前記ベース部材の軸線と一致するように配置され、前記吸水部材の外径は、前記ベース部材の直径よりも大きく、且つ、前記吸水部材の内径は、前記ベース部材の直径よりも小さく、且つ、前記回転軸の直径よりも大きいとよい。
【0012】
これによれば、回転軸の外側において、リング状の上部で吸った水分をリング状の下部にかけて広範囲に拡散させることができ、吸水ポイントでの水分の飽和を抑制できる。よって、回転軸に水分が付着することを抑制でき、水分が回転軸を介してモータ収容室内に侵入することを抑制できる。
【0013】
上記の燃料電池用エアーポンプにおいて、前記吸水部材は、フェルトにより形成されているとよい。
これによれば、好適に水分を吸水できる。
【0014】
上記の燃料電池用エアーポンプにおいて、前記ハウジングは、前記吸水部材が収容される収容部と、前記収容部と前記ハウジングの外部とを連通して水分を前記ハウジングの外部へ排出する水抜通路と、を有しているよい。
【0015】
これによれば、水抜通路により、吸水部材に捕捉された水分をハウジングの外部に排出させることができる。
上記の燃料電池用エアーポンプにおいて、前記収容部は、前記シール部材と前記吸水部材との間で水分を貯留する貯留部を有し、前記水抜通路は、前記貯留部と前記ハウジングの外部とを連通しているとよい。
【0016】
これによれば、吸水部材に干渉された燃料電池の排気に含まれる水分は、吸水部材に沿って貯留部に流れる。よって、水抜通路により貯留部に流れた水分をハウジングの外部に排出することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、モータ収容室に水分が入ることをより抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態における遠心圧縮機を示す側断面図。
【
図2】実施形態のタービンホイール室側を拡大した側断面図。
【
図4】変更例のタービンホイール室側を拡大した側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、燃料電池用エアーポンプを遠心圧縮機に具体化した一実施形態を
図1~
図3にしたがって説明する。本実施形態のエアー供給システム1は、燃料電池100と、エアーを圧縮する遠心圧縮機10とを備えている。遠心圧縮機10は、燃料電池100に供給される酸化剤ガスとしてのエアーを圧縮するものであり、燃料電池車両に搭載されている。
【0020】
図1に示すように、遠心圧縮機10で圧縮されたエアーは燃料電池100に供給される。燃料電池100は、複数の燃料電池セルをスタック化したものである。燃料電池セルとは、例えば、固体高分子型燃料電池である。燃料電池100は、アノード極と、カソード極と、電解質膜とを有している。燃料電池100は、アノード極に供給される燃料ガスとしての水素と、カソード極に供給される酸化剤ガスとしての酸素を含むエアーとの電気化学反応により発電を行う。燃料電池100は、アノード極に水素が供給され、カソード極に酸素を含むエアーが供給されると、アノード極での触媒反応により発生した水素イオンが電解質膜を通過してカソード極まで移動し、カソード極で酸素と電気化学反応を起こして発電する。なお、燃料電池100では、発電時に水が生成される。
【0021】
燃料電池100は、走行用モータに電気的に接続されている。走行用モータは、燃料電池100により発電された電力を電力源として駆動する。走行用モータの動力は、燃料電池車両に搭載される動力伝達機構を介して車軸に伝達され、燃料電池車両は、アクセルペダルのアクセル開度に応じた車速で走行する。
【0022】
遠心圧縮機10は、ハウジング11を備えている。ハウジング11は、モータハウジング12、コンプレッサハウジング13、タービンハウジング14、第1プレート15、第2プレート16、及び第3プレート17を有する筒状である。
【0023】
モータハウジング12は、板状の底壁12aと、底壁12aの外周部から筒状に延びる周壁12bとを有する有底筒状である。モータハウジング12は、底壁12a及び周壁12bと一体的に形成される筒部12cを有している。筒部12cは、底壁12aの内面121aから突出するとともに周壁12bの内周面121bから突出している。周壁12bの内周面121bと、筒部12cの内周面121cとは、筒部12cの底壁12aとは反対側に位置する端面121dとにより連続している。周壁12bの内周面121bの直径は、筒部12cの内周面121cの直径よりも大きい。そのため、筒部12cの端面121dは、モータハウジング12の内部において段差面をなしている。
【0024】
第1プレート15は、モータハウジング12の周壁12bの開口側の端部に連結され、モータハウジング12の周壁12bの開口を閉塞している。そして、モータハウジング12の内部には、モータ収容室81及びレゾルバ収容室82が形成されている。モータ収容室81は、モータハウジング12の筒部12cの端面121d、周壁12bの内周面121b、及び第1プレート15におけるモータハウジング12側の端面15aにより囲まれることにより形成されている。レゾルバ収容室82は、モータハウジング12の筒部12cの内周面121cと底壁12aの内面121aとにより囲まれることにより形成されている。モータ収容室81とレゾルバ収容室82とは、互いに連通している。
【0025】
モータハウジング12の周壁12bには、冷却水が流れる冷却水ジャケット12dが形成されている。冷却水ジャケット12dは、周壁12bの周方向の全周に亘って延びている。冷却水ジャケット12d内を流れる冷却水は、後述する電動モータ19を冷却する。
【0026】
第1プレート15は、第1プレート15の端面15aの中央部からモータ収容室81の内部に向けて突出する円筒状の第1軸受保持部20を有している。第1軸受保持部20には、第1空気軸受21が保持されている。第1空気軸受21は円筒状である。第1軸受保持部20の内側は、第1プレート15を貫通して第1プレート15におけるモータハウジング12とは反対側の端面15bに開口している。
【0027】
モータハウジング12は、モータハウジング12の底壁12aの内面121aの中央部からレゾルバ収容室82の内部に向けて突出する円筒状の第2軸受保持部22を有している。第2軸受保持部22には、第2空気軸受23が保持されている。第2空気軸受23は円筒状をなしている。第2軸受保持部22の内側は、モータハウジング12の底壁12aを貫通して底壁12aの外面122aに開口している。第1軸受保持部20の軸心と第2軸受保持部22の軸心とは一致している。
【0028】
第2プレート16は、第1プレート15の端面15bに連結されている。第2プレート16の中央部には、後述する第1回転軸41が挿通される挿通孔16aが形成されている。挿通孔16aは、円形孔である。挿通孔16aは、第2プレート16の第1プレート15側の端面16bと、第2プレート16における第1プレート15とは反対側の端面16cとを連通するように第2プレート16を板厚方向に貫通している。挿通孔16aは、第1軸受保持部20の内側に連通している。挿通孔16aの軸心は、第1軸受保持部20の軸心と一致している。
【0029】
第3プレート17は、モータハウジング12の底壁12aの外面122aに連結されている。第3プレート17の中央部には、後述する第2回転軸42が挿通される挿通孔17aが形成されている。挿通孔17aは、第3プレート17のモータハウジング12側の端面17bと、第3プレート17におけるモータハウジング12とは反対側の端面17cとを連通するように第3プレート17を板厚方向に貫通している。挿通孔17aは、第2軸受保持部22の内側に連通している。挿通孔17aの軸心は、第2軸受保持部22の軸心と一致している。
【0030】
挿通孔17aは、第1挿通孔171と、第2挿通孔172とを有している。第1挿通孔171及び第2挿通孔172それぞれは、円形孔である。第2挿通孔172は、第1挿通孔171よりもモータハウジング12寄りに配置されている。第1挿通孔171の一端は、第3プレート17の端面17cに開口している。第1挿通孔171の他端は、第2挿通孔172の一端に連通している。第2挿通孔172の他端は、第3プレート17の端面17bに開口している。第2挿通孔172の直径は、第1挿通孔171の直径よりも大きい。すなわち、第3プレート17は、第1挿通孔171の内周面171aと第2挿通孔172の内周面172aとを接続する段差面173を有している。
【0031】
コンプレッサハウジング13は、エアーが吸入される円孔状の吸入口13aを有する筒状である。コンプレッサハウジング13は、吸入口13aの軸心が、第2プレート16の挿通孔16aの軸心、及び第1軸受保持部20の軸心と一致した状態で第2プレート16の端面16cに連結されている。吸入口13aは、コンプレッサハウジング13における第2プレート16とは反対側の端面に開口している。コンプレッサハウジング13と第2プレート16の端面16cとの間には、吸入口13aに連通するコンプレッサホイール室13bと、コンプレッサホイール室13bの周囲で吸入口13aの軸心周りに延びる吐出室13cと、コンプレッサホイール室13bと吐出室13cとを連通する第1ディフューザ流路13dと、が形成されている。コンプレッサホイール室13bは、第2プレート16の挿通孔16aに連通している。
【0032】
タービンハウジング14は、エアーが排出される円孔状の吐出口14aを有する筒状である。タービンハウジング14は、吐出口14aの軸心が、第3プレート17の挿通孔17aの軸心、及び第2軸受保持部22の軸心と一致した状態で第3プレート17の端面17cに連結されている。吐出口14aは、タービンハウジング14における第3プレート17とは反対側の端面に開口している。タービンハウジング14と第3プレート17の端面17cとの間には、吐出口14aに連通するタービンホイール室14bと、タービンホイール室14bの周囲で吐出口14aの軸心周りに延びる吸入室14cと、タービンホイール室14bと吸入室14cとを連通する第2ディフューザ流路14dと、が形成されている。タービンホイール室14bは、挿通孔17aに連通している。
【0033】
ハウジング11内には、回転軸40が収容されている。回転軸40は、第1回転軸41と、第2回転軸42とを有している。第1回転軸41の一端は、挿通孔16aに挿通されている。第1回転軸41の一端には、コンプレッサホイール室13bに収容される第1の羽根車としてのコンプレッサホイール25が設けられている。コンプレッサホイール25は、コンプレッサホイール25の回転軸線方向に延び、且つ第1回転軸41の一端が挿通可能な挿通孔25aを有している。コンプレッサホイール25は、第1回転軸41の一端が挿通孔25aに挿通された状態で第1回転軸41と一体回転可能に第1回転軸41に取り付けられている。
【0034】
第2回転軸42の一端は、挿通孔17aに挿通されている。第2回転軸42の一端には、タービンホイール室14bに収容される第2の羽根車としてのタービンホイール26が設けられている。タービンホイール26は、タービンホイール26の回転軸線方向に延び、且つ第2回転軸42の一端が挿通可能な挿通孔26aを有している。タービンホイール26は、第2回転軸42の一端が挿通孔26aに挿通された状態で第2回転軸42と一体回転可能に第2回転軸42に取り付けられている。
【0035】
上記のハウジング11は、回転軸40の軸線方向において、回転軸40の第1の端部である第1回転軸41の一端から回転軸40の第2の端部である第2回転軸42の一端に向かうにつれて、コンプレッサホイール室13b、挿通孔16a、モータ収容室81、レゾルバ収容室82、第2挿通孔172、第1挿通孔171、及びタービンホイール室14bの順に配置されている。
【0036】
第1回転軸41は、第1回転軸本体41aと、第1回転軸本体41aの外周面における一端側の部位に設けられるとともに第1空気軸受21の内側に配置される第1支持部41bとを有している。第1支持部41bは、第1回転軸本体41aに一体的に形成されるとともに第1回転軸本体41aの外周面から突出している。
【0037】
第2回転軸42は、第2回転軸本体42aと、第2回転軸本体42aの外周面における一端側の部位に設けられるとともに第2空気軸受23の内側に配置される第2支持部42bとを有している。第2回転軸本体42aは、モータ収容室81とレゾルバ収容室82との境界部分を基準としてモータ収容室81側に位置する大径回転軸本体421aと、レゾルバ収容室82側に位置する小径回転軸本体421bとを有している。大径回転軸本体421aの直径DLは、小径回転軸本体421bの直径DSよりも大きい。そのため、第2回転軸本体42aは、大径回転軸本体421aと小径回転軸本体421bとの境界部分に段差面42cを有している。
【0038】
第2支持部42bは、第2回転軸本体42aとは別体であるとともに小径回転軸本体421bの外周面に圧入されることにより取り付けられている。
第2プレート16の挿通孔16aと第1回転軸41との間には、コンプレッサホイール室13bからモータ収容室81に向かうエアーの洩れを抑制するシール部材27が設けられている。シール部材27は、例えば、メカニカルシールである。
【0039】
遠心圧縮機10は、電動モータ19を備えている。電動モータ19は、モータ収容室81に収容されている。電動モータ19は、回転軸40に固定されたロータ31、及びハウジング11に固定される筒状のステータ32を備えている。ロータ31は、筒状のスリーブ31aと、柱状の永久磁石31bとを有している。永久磁石31bは、スリーブ31aの内部に圧入されている。スリーブ31aの軸線方向の長さは、永久磁石31bの軸線方向の長さよりも長い。永久磁石31bは、スリーブ31aの軸線方向においてスリーブ31aの中央に配置されている。第1回転軸41の他端は、スリーブ31aの一端の内部に圧入されている。第2回転軸42の他端は、スリーブ31aの他端の内部に圧入されている。永久磁石31bは、第1回転軸41の他端と第2回転軸42の他端とに挟み込まれている。よって、ロータ31は、回転軸40に固定されている。
【0040】
ステータ32は、モータハウジング12の周壁12bの内周面121bに固定された円筒状のステータコア33と、ステータコア33に巻回されたコイル34と、を有している。回転軸40は、図示しないバッテリからコイル34に電流が流れることによって、ロータ31と一体的に回転する。したがって、電動モータ19は、回転軸40を回転させる。
【0041】
遠心圧縮機10は、ロータ31の回転角を検出するレゾルバ50を備えている。レゾルバ50は、レゾルバ収容室82に収容されている。レゾルバ50は、第2回転軸42に固定された筒状のレゾルバロータ51、及びハウジング11に固定される筒状のレゾルバステータ52と、を備えている。
【0042】
レゾルバロータ51は、第2回転軸42の段差面42cに当接している。レゾルバロータ51が段差面42cに当接している状態において、レゾルバロータ51の段差面42cとは反対側には、固定部材51aが設けられている。固定部材51aには、小径回転軸本体421bが挿通されている。固定部材51aは、第2回転軸42と一体回転できるように小径回転軸本体421bに固定されている。固定部材51aは、例えばナットである。固定部材51aによりレゾルバロータ51が段差面42cに押し付けられることによりレゾルバロータ51は、第2回転軸42に固定される。そのため、レゾルバロータ51は、回転軸40と一体回転する。
【0043】
レゾルバステータ52は、モータハウジング12の筒部12cの内周面121cに固定された円筒状のレゾルバステータコア53と、レゾルバステータコア53に巻回されたコイル54と、を有している。レゾルバステータ52のコイル54からはレゾルバ配線55が引き出されている。レゾルバ配線55は、図示しない制御装置に電気的に接続されている。そして、レゾルバロータ51の回転によりレゾルバロータ51の回転を検出した2相出力からなるレゾルバ信号がコイル54からレゾルバ配線55を介して制御装置に送られる。なお、制御装置は、レゾルバ50から出力されるレゾルバ信号に基づいて、電動モータ19の回転数が目標回転数となるための目標電流値を演算する。目標回転数とは、燃料電池車両のアクセルペダルの操作態様に基づいて燃料電池100に要求される要求発電量から決定され、燃料電池システムから制御装置に送信される指令回転数である。そして、制御装置は、電動モータ19の回転数を目標回転数となるように電動モータ19の駆動を制御する。
【0044】
回転軸40がロータ31と一体回転すると、コンプレッサホイール25及びタービンホイール26が回転軸40と一体的に回転する。すると、吸入口13aから吸入されたエアーがコンプレッサホイール室13b内でコンプレッサホイール25によって圧縮されるとともに第1ディフューザ流路13dを通過して吐出室13cから吐出される。そして、吐出室13cから吐出されたエアーは、カソードガス供給通路Lsoを介して燃料電池100に供給される。燃料電池100に供給された圧縮されたエアーは、燃料電池100の発電で使用され、燃料電池100の排気として吐出される。なお、吸入口13aは、エアーを回転軸40の軸線方向に吸入する第1の吸入口である。また、吐出室13cは、圧縮したエアーを燃料電池100に送る第1の吐出口である。
【0045】
燃料電池100の排気は、第1カソードガス排出通路Leo1を通じて吸入室14cに吸入される。吸入室14cに吸入される燃料電池100の排気は、第2ディフューザ流路14dを通じてタービンホイール室14bに吐出される。タービンホイール室14bに吐出される燃料電池100の排気によりタービンホイール26が回転する。タービンホイール26は、電動モータ19の駆動による回転に加え、燃料電池100の排気により回転する。すなわち、燃料電池100の排気によるタービンホイール26の回転により回転軸40の回転が補助される。なお、吸入室14cは、燃料電池100からの排気を吸入する第2の吸入口である。
【0046】
タービンホイール室14bに吐出された燃料電池100の排気は、吐出口14aから第2カソードガス排出通路Leo2を介して大気開放口から吐出される。第1カソードガス排出通路Leo1及び第2カソードガス排出通路Leo2により、燃料電池100の排気を大気開放するためのカソードガス排出通路Leoが形成されている。なお、吐出口14aは、タービンホイール26に送られた排気を回転軸40の軸線方向に吐出する第2の吐出口である。
【0047】
コンプレッサホイール25と、吸入口13aと、コンプレッサホイール室13bと、吐出室13cと、第1ディフューザ流路13dとにより圧縮部が構成されている。圧縮部は、コンプレッサホイール25を有し、コンプレッサホイール25の回転によりエアーを圧縮するとともに圧縮したエアーを燃料電池100に供給する。すなわち、回転軸40の回転によってエアーを圧縮している。
【0048】
タービンホイール26と、吐出口14aと、タービンホイール室14bと、吸入室14cと、第2ディフューザ流路14dとにより回転補助部が構成されている。回転補助部は、タービンホイール26を有し、燃料電池100の排気によるタービンホイール26の回転により回転軸40の回転を補助する。すなわち、回転補助部は、電動モータ19の回転を補助している。なお、第3プレート17は、回転軸40が挿通される挿通孔17aを有するとともにモータ収容室81と回転補助部とを区画する区画板である。
【0049】
タービンホイール室14bに燃料電池100の排気が流れることにより、タービンホイール室14bの圧力がモータ収容室81の圧力よりも大きくなる。すなわち、タービンホイール26における第3プレート17側の背面26bの圧力である背圧がモータ収容室81の圧力よりも大きくなる。また、燃料電池100の排気には、水分が含まれる。そのため、水分を含んだ排気が、タービンホイール室14bからモータ収容室81に向けて噴き出す虞がある。
【0050】
本実施形態の遠心圧縮機10では、タービンホイール室14bからモータ収容室81に水分を含んだ排気が到達し難い構成が採用されており、以下詳細に説明する。
図2に示すように、タービンホイール26は、タービンホイール26の背面26bから第1挿通孔171の内部に向けて突出する筒状の突出部26cを有している。突出部26cの内部には、挿通孔26aが形成されている。
【0051】
遠心圧縮機10は、輪状のシール部材60備えている。シール部材60の軸線は、回転軸40の軸線と一致している。シール部材60は、回転軸40の軸線方向で切断したときの断面が矩形状をなしている。シール部材60は、回転軸40の軸線方向において板厚を有する輪状の板部材である。
【0052】
図3に示すように、シール部材60は、回転軸40の軸線方向から見て、C字形状をなすC字状部材61と、ベース部材としての取付部材62と、を有している。取付部材62は、中空円柱状をなしている。取付部材62の内部には、タービンホイール26の突出部26cが一体回転可能に嵌合されている。そのため、取付部材62は、回転軸40と一体回転する。突出部26cの軸線と取付部材62の軸線とは一致している。突出部26c及び取付部材62は、第1挿通孔171の内周面に当接しないように第1挿通孔171に挿通されている。取付部材62の回転軸40の径方向に位置する外面62aは、回転軸40の軸線方向から見たとき円形をなしている。取付部材62の外面62aは、第1挿通孔171の内周面に対向している。すなわち、取付部材62の外面62aは、第1挿通孔171の内周面に倣う形状を有している。取付部材62の外面62aには、回転軸40の周方向に延びる環状の溝62bが形成されている。溝62bは、溝62bを回転軸40の軸線方向で切断したときの断面を回転軸40の径方向から見て矩形溝をなしている。
【0053】
C字状部材61は、合口61aを有するばね輪である。C字状部材61は、金属製である。C字状部材61は、自身の弾性力により回転軸40の径方向外側に向けて広がり、第1挿通孔171の内周面171aに押し付けられている。C字状部材61の合口61aは、第1挿通孔171の内周面171aと取付部材62の外面62aとの間に形成される隙間と連通している。
図2に示すように、回転軸40の径方向において、C字状部材61の内周部分は、溝62bに収容されている。すなわち、C字状部材61と溝62bの内面との間には、回転軸40の軸線に対して蛇行するラビリンス状の経路62cが形成されている。このように構成されたシール部材60は、挿通孔17aに配置されるとともに挿通孔17aと回転軸40との間に配置されている。
【0054】
遠心圧縮機10は、リング形状の吸水部材70を備えている。吸水部材70は、回転軸40の軸線方向で切断したときの断面が矩形状をなしている。回転軸40の径方向において、吸水部材70は、回転軸40の周方向に延びる環状の外面71及び環状の内面72を有している。
【0055】
回転軸40の軸線方向において、吸水部材70は、モータハウジング12寄りの第1端面73と、モータハウジング12とは反対側に位置する第2端面74とを有している。第1端面73及び第2端面74は、回転軸40の軸線方向に直交しつつ回転軸40の周方向に環状に延びる面である。外面71と内面72とは、第1端面73及び第2端面74により連続している。吸水部材70は、回転軸40の軸線方向において板厚を有する環状の板部材である。
【0056】
吸水部材70は、フェルトにより形成されている。フェルトの他にも、発泡金属により形成されたものや、給水量に応じた厚みを有する吸水紙で形成されたものでもよい。吸水部材70の軸線は、回転軸40の軸線と一致している。すなわち、吸水部材70は、吸水部材70の軸線と取付部材62の軸線とが一致するように配置されている。
【0057】
吸水部材70の外面71は、第2挿通孔172の内周面172aに当接している。吸水部材70の第2端面74は、第3プレート17の段差面173に当接している。吸水部材70は、第2挿通孔172の内周面172a及び段差面173に対して接着剤等により取り付けられている。第2挿通孔172の内周面172a及び段差面173は、吸水部材70が収容される環状の収容部として機能している。吸水部材70は、当該収容部に接着剤等により固定されている。なお、吸水部材70は、回転軸40の軸線方向において、ハウジング11内におけるシール部材60とモータ収容室81との間に設けられている。
【0058】
吸水部材70の内面72の内径D1は、取付部材62の外面62aの直径D2よりも小さく、且つ回転軸40の小径回転軸本体421bの直径DSよりも大きい。吸水部材70の外面71の外径D3は、取付部材62の外面62aの直径D2よりも大きい。すなわち、第1挿通孔171の内周面171aと取付部材62の外面62aとの間に形成される隙間は、回転軸40の軸線方向において、吸水部材70の第2端面74に対向している。また、
図2及び
図3に示すように、吸水部材70は、回転軸40の軸線方向において、C字状部材61の合口61aの一部に重なる位置に配置されている。すなわち、吸水部材70は、タービンホイール26の背面26bからシール部材60を介して侵入する排気に含まれる水分を吸水する。
【0059】
図1及び
図2に示すように、ハウジング11は、水抜通路80を有している。水抜通路80は、第3プレート17に形成されている。水抜通路80は、回転軸40の径方向において延びている。水抜通路80の一端は、第3プレート17の第2挿通孔172の内周面172aに連通している。水抜通路80の一端は、回転軸40の径方向において、吸水部材70の外面71に対向している。水抜通路80の他端は、回転軸40に径方向における第3プレート17の外面17dと連通している。すなわち、水抜通路80は、第2挿通孔172の内周面172a及び段差面173に形成される収容部とハウジング11の外部とを連通して水分をハウジング11の外部へ排出する。
【0060】
本実施形態の作用を説明する。
タービンホイール26の背面26bからシール部材60を介して燃料電池100の排気がモータ収容室81側へ噴き出したとしても、吸水部材70が燃料電池100の排気に干渉する。そのため、吸水部材70により燃料電池100の排気に含まれる水分が吸収されるため、燃料電池100の排気に含まれる水分がモータ収容室81に到達し難くなる。
【0061】
燃料電池の排気が吸水部材70に干渉されたとき、排気に含まれる水分が吸水部材70に捕捉され、吸水部材70に捕捉された水分は、水抜通路80を介してハウジング11の外部に排出される。
【0062】
本実施形態の効果を説明する。
(1)吸水部材70により燃料電池100の排気に含まれる水分が吸収されるため、燃料電池100の排気に含まれる水分がモータ収容室81に到達し難くなる。したがって、水分を含んだ排気がモータ収容室81に到達し難くなるため、モータ収容室81に水分が入ることをより抑制できる。
【0063】
(2)シール部材60の装着作業性のため、シール部材60はC字状部材61及び取付部材62を有している。C字状部材61が合口61aを有していることにより、タービンホイール26の背面26bからシール部材60を介してモータ収容室81側に向けて燃料電池100の排気が噴き出し易くなる。しかし、合口61aを介してモータ収容室81側に向けて噴き出した燃料電池100の排気は、吸水部材70により干渉される。よって、シール部材60の装着作業性を向上させつつモータ収容室81に水分が入ることをより抑制できる。
【0064】
(3)吸水部材70がフェルトにより形成されているため、好適に水分を吸水できる。
(4)水抜通路80により、吸水部材70に捕捉された水分をハウジング11の外部に排出させることができる。
【0065】
(5)吸水部材70がリング状をなし、吸水部材70の外径D3が取付部材62の直径D2よりも大きく、吸水部材70の内径D1は、取付部材62の直径D2よりも小さく、且つ回転軸40の小径回転軸本体421bの直径DSよりも大きい。そのため、回転軸40の外側において、リング状の上部で吸った水分をリング状の下部にかけて広範囲に拡散させることができ、吸水ポイントでの水分の飽和を抑制できる。よって、回転軸40に水分が付着することを抑制でき、水分が回転軸40を介してモータ収容室81内に侵入することを抑制できる。
【0066】
(6)タービンホイール室14bからモータ収容室81側に噴き出す燃料電池100の排気を吸水部材70により干渉する。そのため、レゾルバ収容室82への燃料電池100の排気の流入も抑制できる。したがって、レゾルバ収容室82に水分が入ることも抑制できる。
【0067】
(7)C字状部材61が溝62bの内部に入り込むように配置されているため、C字状部材61と溝62bとの間には、回転軸40の軸線方向に蛇行しているラビリンス状の経路62cが形成される。そのため、タービンホイール26の背面26bからシール部材60を介して流れる燃料電池100の排気は、経路62cによりモータ収容室81に到達し難くなり、モータ収容室81に水分が入ることをより抑制できる。
【0068】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
○ 本実施形態では、第2挿通孔172の内周面172a及び段差面173は、吸水部材70が収容される収容部を形成してしたが、これに限らない。例えば、以下のように変更してもよい。
【0069】
図4に示すように、第3プレート17は、第2挿通孔172の内周面172aから突出する突出部90を有している。突出部90は、回転軸40の軸線方向において、第2挿通孔172の内周面172aにおけるモータハウジング12寄りの部分から第2挿通孔172内に向けて突出している。突出部90は、回転軸40の軸線方向において、段差面173から離間した位置に配置されている。突出部90は、環状をなしている。突出部90の内部は、第2軸受保持部22の内側に連通している。回転軸40の軸線方向において、突出部90のモータハウジング12側の端面90aは、モータハウジング12の底壁12aの外面122aに連結されている。
【0070】
突出部90には、突出部90の一部が切り欠かれることにより形成される取付部91が形成されている。取付部91は、突出部90の回転軸40寄りの端部におけるタービンホイール26側の角部を切り欠くことにより形成されている。取付部91には、吸水部材70の外面71及び第1端面73が当接している。吸水部材70は、取付部91に対して接着剤等により取り付けられている。
【0071】
第3プレート17において、段差面173、第2挿通孔172の内周面172a、及び突出部90により環状の溝部92が形成されている。溝部92は、シール部材60よりも電動モータ19側において、回転軸40の軸線方向で第1挿通孔171に隣り合うように形成されている。そして、取付部91は、回転軸40の軸線方向で溝部92に隣り合うように形成されている。なお、取付部91及び溝部92により、吸水部材70が収容される収容部が形成されており、溝部92は、シール部材60と吸水部材70との間で水分を貯留する貯留部として機能する。
【0072】
水抜通路80の一端は、溝部92を形成する第2挿通孔172の内周面172aに連通している。水抜通路80の他端は、第3プレート17の外面17dに連通している。よって、水抜通路80は、ハウジング11の内外を連通し、溝部92に至るまで延びる通路である。
【0073】
これによれば、吸水部材70に吸水された燃料電池100の排気に含まれる水分は、吸水部材70の第2端面74に沿って溝部92に流れる。よって、水抜通路80により溝部92に流れた水分をハウジング11の外部に排出することができる。
【0074】
○ 水抜通路80は、第3プレート17に形成されていたが、例えば、水抜通路80の他端がモータハウジング12に形成されるように変更してもよい。また、水抜通路80を割愛してもよい。
【0075】
○ 吸水部材70の内径D1は、回転軸40の小径回転軸本体421bの直径DSよりも大きく設定されていたが、吸水部材70の内径D1は、回転軸40の大径回転軸本体421aの直径DLよりも大きくてもよい。吸水部材70の内径D1は、回転軸40の全長における任意の位置における回転軸40の直径よりも大きいとよい。
【0076】
○ 吸水部材70は、リング形状をなしていたが、これに限らず、回転軸40の軸線方向において、C字状部材61の合口61aの一部に重なる位置に配置することができれば、形状は適宜変更してもよい。
【0077】
○ C字状部材61に代替して、回転軸40の軸線方向から見て、O字形状をなす部材を採用してもよい。
○ 突出部26cの外周面に設けられる取付部材62を割愛し、突出部26cの外周面を拡径するとともに突出部26cの外周面に溝62bが形成されるように変更する。
【0078】
○ 回転軸40は、1本で構成されていてもよい。この場合、回転軸40の外周面に筒状の永久磁石を設けることによりロータ31を形成するとよい。
【符号の説明】
【0079】
10…遠心圧縮機、11…ハウジング、13b…コンプレッサホイール室、14b…タービンホイール室、16a…挿通孔、17a…挿通孔、19…電動モータ、25…コンプレッサホイール、26…タービンホイール、26c…突出部、62…取付部材、62a…取付部材の外面、62b…溝、40…回転軸、60…シール部材、61…C字状部材、61a…合口、70…吸水部材、80…水抜通路、81…モータ収容室、91…取付部、92…溝部、100…燃料電池、171…第1挿通孔、171a…第1挿通孔の内周面、172…第2挿通孔、172a…第2挿通孔の内周面、173…段差面、421a…大径回転軸本体、421b…小径回転軸本体、DL…大径回転軸本体の直径、DS…小径回転軸本体の直径、D1…吸水部材の内径、D2…取付部材の外面の直径、D3…吸水部材の外径。