(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20230816BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230816BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20230816BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230816BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20230816BHJP
B60L 53/14 20190101ALN20230816BHJP
B60L 53/20 20190101ALN20230816BHJP
【FI】
H02M3/00 U
H02J7/00 P
B60L1/00 L
B60L50/60
B60L58/10
B60L53/14
B60L53/20
(21)【出願番号】P 2020112780
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 純一
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-127608(JP,A)
【文献】特開2012-085378(JP,A)
【文献】特開2013-099069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00
H02J 7/00
B60L 1/00
B60L 50/60
B60L 58/10
B60L 53/14
B60L 53/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力が入力される第1端子と、前記第1端子とは別の第2端子と、を有するメインDC/DCコンバータと、
前記第2端子に接続されたメイン蓄電装置と、
前記第1端子に接続されたサブDC/DCコンバータと、
前記サブDC/DCコンバータに接続された負荷と、
前記メインDC/DCコンバータを制御する制御部と、
を備え、
前記メインDC/DCコンバータは、
前記第1端子に入力される直流電力を電圧変換し、その変換された第1変換電圧の直流電力を前記メイン蓄電装置に向けて出力する第1動作と、
前記メイン蓄電装置から前記第2端子に入力される直流電力を電圧変換し、その変換された第2変換電圧の直流電力を前記サブDC/DCコンバータに向けて出力する第2動作と、を行う双方向コンバータであり、
前記制御部は、前記負荷の要求電圧と前記サブDC/DCコンバータの変換効率とに基づいて、前記第2変換電圧の目標値である目標電圧を導出する導出部を備え、
前記メインDC/DCコンバータは、前記第2変換電圧が前記目標電圧となるように前記第2動作を行
い、
前記制御部は、第1制御部であり、
前記車両は、前記サブDC/DCコンバータを制御する第2制御部を備え、
前記第2制御部は、前記第1制御部に前記要求電圧を示す信号を送信する車両。
【請求項2】
前記負荷は、サブ蓄電装置を含み、
前記要求電圧は、前記サブ蓄電装置の充電電圧である請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記制御部は、前記要求電圧と前記目標電圧とが対応付けられたテーブルが記憶された記憶部を有し、
前記導出部は、前記テーブルを参照することによって前記目標電圧を導出する請求項1又は請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記第1端子に接続され、交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路と、
前記AC/DC変換回路と前記第1端子とを接続する配線と、を備え、
前記サブDC/DCコンバータは、前記配線に接続される請求項1から請求項
3の何れか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メイン蓄電装置としてのメインバッテリと、メインバッテリに接続されるメインDC/DCコンバータとしての電圧変換機と、電圧変換機に接続されるサブDC/DCコンバータとしてのコンバータと、コンバータに接続される負荷とを備える車両が記載されている。電圧変換機は、例えば、メインバッテリから供給される電力を変換する。電圧変換機によって変換された電力は、コンバータに供給される。コンバータは、供給される電力を変換する。コンバータによって変換された電力は、負荷に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、サブDC/DCコンバータの変換効率は、入力電圧と出力電圧とによって異なる。そのため、サブDC/DCコンバータが負荷から要求される電圧を出力する場合に、サブDC/DCコンバータに入力される入力電圧によっては、その変換効率が過度に低くなるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、サブDC/DCコンバータの変換効率の向上を図ることができる車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両は、直流電力が入力される第1端子と、前記第1端子とは別の第2端子と、を有するメインDC/DCコンバータと、前記第2端子に接続されたメイン蓄電装置と、前記第1端子に接続されたサブDC/DCコンバータと、前記サブDC/DCコンバータに接続された負荷と、前記メインDC/DCコンバータを制御する制御部と、を備え、前記メインDC/DCコンバータは、前記第1端子に入力される直流電力を電圧変換し、その変換された第1変換電圧の直流電力を前記メイン蓄電装置に向けて出力する第1動作と、前記メイン蓄電装置から前記第2端子に入力される直流電力を電圧変換し、その変換された第2変換電圧の直流電力を前記サブDC/DCコンバータに向けて出力する第2動作と、を行う双方向コンバータであり、前記制御部は、前記負荷の要求電圧と前記サブDC/DCコンバータの変換効率とに基づいて、前記第2変換電圧の目標値である目標電圧を導出する導出部を備え、前記メインDC/DCコンバータは、前記第2変換電圧が前記目標電圧となるように前記第2動作を行う。
【0007】
上記構成によれば、メインDC/DCコンバータが第1動作を行うことにより、メイン蓄電装置が充電される。メインDC/DCコンバータが第2動作を行うことにより、サブDC/DCコンバータに対して第2変換電圧の直流電力が供給される。
【0008】
ここで、負荷の要求電圧とサブDC/DCコンバータの変換効率とに基づいて、サブDC/DCコンバータの入力電圧の目標値である目標電圧を導出することにより、サブDC/DCコンバータが要求電圧の電力を出力するにあたり、サブDC/DCコンバータの変換効率が高い入力電圧を目標電圧として導出できる。そして、第2変換電圧が目標電圧となるようにメインDC/DCコンバータが第2動作を行うことにより、サブDC/DCコンバータに目標電圧の直流電力が入力される。これにより、要求電圧の直流電力を出力するサブDC/DCコンバータの変換効率の向上を図ることができる。
【0009】
上記車両において、前記負荷は、サブ蓄電装置を含み、前記要求電圧は、前記サブ蓄電装置の充電電圧であってもよい。
上記構成によれば、サブDC/DCコンバータが充電電圧の電力を出力することによって、サブ蓄電装置が充電される。これにより、サブDC/DCコンバータの変換効率を高くしつつ、サブ蓄電装置を充電できる。
【0010】
上記車両において、前記制御部は、前記要求電圧と前記目標電圧とが対応付けられたテーブルが記憶された記憶部を有し、前記導出部は、前記テーブルを参照することによって前記目標電圧を導出してもよい。
【0011】
上記構成によれば、複雑な計算を行うことなく目標電圧を導出することができる。
上記車両において、前記制御部は、第1制御部であり、前記車両は、前記サブDC/DCコンバータを制御する第2制御部を備え、前記第2制御部は、前記第1制御部に前記要求電圧を示す信号を送信してもよい。
【0012】
上記構成によれば、導出部は、第2制御部から送信される要求電圧を示す信号とサブDC/DCコンバータの変換効率とに基づいて、目標電圧を導出できる。
上記車両は、前記第1端子に接続され、交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換回路と、前記AC/DC変換回路と前記第1端子とを接続する配線と、を備え、前記サブDC/DCコンバータは、前記配線に接続されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、サブDC/DCコンバータは、AC/DC変換回路とメインDC/DCコンバータとの間に接続される。これにより、サブDC/DCコンバータには、メインDC/DCコンバータから出力される直流電力だけでなく、AC/DC変換回路から出力される直流電力が入力される。したがって、サブDC/DCコンバータは、メインDC/DCコンバータから出力される直流電力だけでなく、AC/DC変換回路から出力される直流電力も変換できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サブDC/DCコンバータの変換効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】車両を備える電源システムの一実施形態を示すブロック図。
【
図2】第1制御部が行う処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、車両を備える電源システムの一実施形態について図を参照しながら説明する。
図1に示すように、電源システム11は、AC給電装置12と、DC給電装置13と、車両14とを備える。電源システム11は、車両14へ電力を供給するシステムである。
【0017】
AC給電装置12は、車両14に対して交流電力を供給する給電装置である。AC給電装置12は、車両14と接続されることによって、車両14に給電する。AC給電装置12は、例えば、家庭用の電源から給電する。そのため、AC給電装置12は、100V又は200Vの電圧で給電する。
【0018】
DC給電装置13は、車両14に対して直流電力を供給する給電装置である。DC給電装置13は、車両14と接続されることによって、車両14に給電する。DC給電装置13は、AC給電装置12よりも高い電圧で給電する。DC給電装置13は、例えば、400Vの電圧で給電する。そのため、DC給電装置13は、車両14に対して急速充電が可能である。
【0019】
車両14は、例えば、EV車であるが、PHV車でもよいし、HV車でもよい。車両14は、電源システム11の一部である。そのため、車両14が備える構成は、電源システム11が備える構成であるともいえる。
【0020】
車両14は、ACインレット15と、AC/DC変換回路16とを備える。車両14は、DCインレット17と、メイン蓄電装置18と、センサ19とを備える。車両14は、メインDC/DCコンバータ20と、サブDC/DCコンバータ21と、負荷としてのサブ蓄電装置22とを備える。車両14は、第1制御部23と、第2制御部24とを備える。
【0021】
ACインレット15は、交流電力を入力可能なインレットである。ACインレット15は、AC給電装置12と接続可能に構成される。ACインレット15は、例えば、AC給電装置12から延びるケーブルと接続される。ACインレット15がAC給電装置12と接続されることによって、ACインレット15を通じてAC給電装置12から交流電力が車両14に供給される。
【0022】
AC/DC変換回路16は、ACインレット15と、メインDC/DCコンバータ20と、サブDC/DCコンバータ21とに接続される。詳しくは、AC/DC変換回路16は、ACインレット15に対して、直列に接続される。AC/DC変換回路16は、互いに並列に接続されたメインDC/DCコンバータ20及びサブDC/DCコンバータ21に対して、直列に接続される。AC/DC変換回路16は、ACインレット15とメインDC/DCコンバータ20及びサブDC/DCコンバータ21との間に介在される。
【0023】
AC/DC変換回路16は、ACインレット15を通じてAC給電装置12から入力された交流電力を直流電力に変換する。AC/DC変換回路16は、変換した直流電力をメインDC/DCコンバータ20と、サブDC/DCコンバータ21とに向けて出力する。
【0024】
本実施形態では、AC/DC変換回路16は、例えばPFC回路である。AC/DC変換回路16は、例えばスイッチング素子を有し、当該スイッチング素子がスイッチングを行うことによって、電流の高調波を抑制し、力率を改善しつつ交流電力を直流電力に変換する。
【0025】
DCインレット17は、直流電力を入力可能なインレットである。DCインレット17は、DC給電装置13と接続可能に構成される。DCインレット17は、例えば、DC給電装置13から延びるケーブルと接続される。DCインレット17がDC給電装置13と接続されることによって、DCインレット17を通じてDC給電装置13から直流電力が車両14に供給される。
【0026】
メイン蓄電装置18は、DCインレット17とメインDC/DCコンバータ20とに接続される。
メイン蓄電装置18は、蓄電可能な装置である。メイン蓄電装置18は、例えば、二次電池、電気二重層キャパシタなどである。メイン蓄電装置18は、直流電力を出力可能であり、且つ、直流電力が入力されることによって充電可能である。
【0027】
メイン蓄電装置18の電圧は、メイン蓄電装置18のSOC、すなわちメイン蓄電装置18の充電率に応じて変動する。メイン蓄電装置18の電圧は、メイン蓄電装置18のSOCが高いほど高くなる。
【0028】
メイン蓄電装置18は、DCインレット17を通じてDC給電装置13から直流電力が供給されることによって、充電される。また、メイン蓄電装置18は、メインDC/DCコンバータ20によって変換された直流電力が供給されることによって充電される。
【0029】
メイン蓄電装置18は、メインDC/DCコンバータ20に向けて直流電力を出力することができる。つまり、本実施形態では、メイン蓄電装置18とメインDC/DCコンバータ20とは、相互に直流電力を授受可能である。
【0030】
センサ19は、メイン蓄電装置18とメインDC/DCコンバータ20とを接続する配線に接続される。センサ19は、メイン蓄電装置18の電圧を検出する。センサ19は、例えば、第1制御部23の要求に応じて、検出したメイン蓄電装置18の電圧を示す信号を第1制御部23に送信する。
【0031】
メインDC/DCコンバータ20は、直流電力が入力される第1端子25と、第1端子25とは異なる第2端子26とを有する。
第1端子25は、AC/DC変換回路16とサブDC/DCコンバータ21とに接続される端子である。詳しくは、第1端子25は、第1接続線27によってAC/DC変換回路16と接続される。第1接続線27は、メインDC/DCコンバータ20とAC/DC変換回路16とを接続する配線である。第1端子25は、第1接続線27と第2接続線28とによって、サブDC/DCコンバータ21と接続される。第2接続線28は、第1接続線27とサブDC/DCコンバータ21とを接続する配線である。第1端子25には、AC/DC変換回路16によって変換された直流電力が入力される。また、第1端子25から出力される直流電力はサブDC/DCコンバータ21に入力される。
【0032】
第2端子26は、メイン蓄電装置18に接続される端子である。第2端子26から出力される直流電力はメイン蓄電装置18に入力される。また、第2端子26には、メイン蓄電装置18からの直流電力が入力される。
【0033】
このように、メインDC/DCコンバータ20は、AC/DC変換回路16と、メイン蓄電装置18と、サブDC/DCコンバータ21とに接続される。
メインDC/DCコンバータ20は、第1端子25に入力された直流電力の電圧変換を行う第1動作と、第2端子26に入力された直流電力の電圧変換を行う第2動作と、を実行可能な双方向コンバータである。
【0034】
第1動作は、第1端子25に入力された直流電力を第1変換電圧V1の直流電力に変換して、その変換された第1変換電圧V1の直流電力を第2端子26からメイン蓄電装置18に向けて出力する変換動作である。
【0035】
ここで、第1変換電圧V1は、例えばメイン蓄電装置18の充電電圧に設定されているとよい。これにより、第1端子25に直流電力が供給されている状況、例えばAC/DC変換回路16から直流電力が出力されている状況において、メインDC/DCコンバータ20が第1動作を行うことによって、メイン蓄電装置18が充電される。
【0036】
第2動作は、第2端子26に入力された直流電力を第2変換電圧V2の直流電力に変換して、その変換された第2変換電圧V2の直流電力を第1端子25からサブDC/DCコンバータ21に向けて出力する変換動作である。
【0037】
ここで、第2変換電圧V2は、例えばサブDC/DCコンバータ21の変換効率が高い電圧に設定されている。これにより、第2端子26に直流電力が供給されている状況、例えば、メイン蓄電装置18から直流電力が出力されている状況において、メインDC/DCコンバータ20が第2動作を行うことによって、サブDC/DCコンバータ21の変換効率が高い電圧の直流電力がサブDC/DCコンバータ21に供給される。この点については、後述する。
【0038】
サブDC/DCコンバータ21は、AC/DC変換回路16又はメインDC/DCコンバータ20から入力される直流電力を電圧変換し、電圧変換した直流電力をサブ蓄電装置22に向けて出力するコンバータである。
【0039】
本実施形態では、第1接続線27及び第2接続線28を通じてサブDC/DCコンバータ21に入力される直流電力の電圧を、入力電圧Vinという。サブDC/DCコンバータ21からサブ蓄電装置22に向けて出力される直流電力の電圧を、出力電圧Voutという。
【0040】
AC/DC変換回路16からサブDC/DCコンバータ21に直流電力が供給される場合、入力電圧Vinは、AC/DC変換回路16が変換した電圧である。メインDC/DCコンバータ20からサブDC/DCコンバータ21に直流電力が供給される場合、入力電圧Vinは、第2変換電圧V2である。
【0041】
出力電圧Voutは、サブ蓄電装置22が要求する要求電圧Vdに設定されている。すなわち、サブDC/DCコンバータ21は、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdを目標値として、AC/DC変換回路16又はメインDC/DCコンバータ20から入力される直流電力を電圧変換する。
【0042】
サブ蓄電装置22の要求電圧Vdは、負荷が要求する電圧であり、本実施形態ではサブ蓄電装置22の充電電圧である。これにより、サブDC/DCコンバータ21に直流電力が供給されている状況において、サブ蓄電装置22が充電される。
【0043】
サブDC/DCコンバータ21が電圧変換する際、サブDC/DCコンバータ21の変換効率に基づく損失が生じる。サブDC/DCコンバータ21の変換効率とは、サブDC/DCコンバータ21に入力された直流電力に対して、サブDC/DCコンバータ21から出力される直流電力の割合を示す値である。変換効率が低いほど損失が大きくなり、変換効率が高いほど損失が小さくなる。
【0044】
サブDC/DCコンバータ21の変換効率は、サブDC/DCコンバータ21の具体的な回路構成に依存する。すなわち、サブDC/DCコンバータ21の具体的な回路構成に応じて、サブDC/DCコンバータ21の変換効率の特性が異なる。
【0045】
サブDC/DCコンバータ21では、所定の出力電圧Voutである直流電力を出力する場合に、入力される直流電力の入力電圧Vinによって、その変換効率が高くなったり低くなったりする。すなわち、サブDC/DCコンバータ21において、所定の出力電圧Voutに対して、変換効率の高い入力電圧Vinと変換効率の低い入力電圧Vinとが存在する。出力電圧Voutが変動すると、変換効率の高い入力電圧Vinも変動し、変換効率の低い入力電圧Vinも変動する。このように、サブDC/DCコンバータ21の変換効率は、入力電圧Vinと出力電圧Voutとによって異なる。
【0046】
サブ蓄電装置22は、メイン蓄電装置18と同様に、蓄電可能な装置である。サブ蓄電装置22は、例えば、二次電池、電気二重層キャパシタである。サブ蓄電装置22は、直流電力を出力可能であり、且つ、直流電力の入力によって充電可能である。
【0047】
サブ蓄電装置22の電圧は、サブ蓄電装置22のSOC、すなわちサブ蓄電装置22の充電率に応じて変動する。サブ蓄電装置22の電圧は、サブ蓄電装置22のSOCが高いほど高くなる。
【0048】
第1制御部23は、α:コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは、γ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成される。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
【0049】
第1制御部23は、メインDC/DCコンバータ20を制御する制御部である。本実施形態の第1制御部23は、記憶部31と、導出部32とを有する。
記憶部31は、上述したRAM及びROM等のメモリである。記憶部31は、テーブル33を記憶している。テーブル33には、要求電圧Vdと目標電圧Veとが対応付けられている。目標電圧Veとは、第2変換電圧V2の目標値である。すなわち、目標電圧Veは、メインDC/DCコンバータ20が第2動作を行うことによってサブDC/DCコンバータ21に入力される入力電圧Vinを示している。要するに、テーブル33には、出力電圧Voutの目標値である要求電圧Vdと、入力電圧Vinの目標値である目標電圧Veとが対応付けられている。本実施形態の記憶部31は、例えば、表1に示すようなテーブル33を記憶する。
【0050】
【表1】
表1に示すテーブル33には、複数の要求電圧Vdと複数の目標電圧Veとが格納されている。テーブル33では、複数の要求電圧Vdと複数の目標電圧Veとがそれぞれ対応付けられている。例えば、テーブル33には、m個の要求電圧Vdと、m個の目標電圧Veとが格納されている。mは、1以上の自然数である。
【0051】
本実施形態では、要求電圧Vdについては第1要求電圧Vd1から第m要求電圧Vdmまで格納され、目標電圧Veについては第1目標電圧Ve1から第m目標電圧Vemまで格納されている。テーブル33では、第1要求電圧Vd1と第1目標電圧Ve1とが対応付けられ、第2要求電圧Vd2と第2目標電圧Ve2とが対応付けられている。すなわち、テーブル33では、第n要求電圧Vdnと第n目標電圧Venとが対応付けられている。nは、1以上且つm以下の自然数である。
【0052】
テーブル33に格納される複数の要求電圧Vdは、それぞれ異なる値を示している。複数の要求電圧Vdは、例えば、0.1V刻みでそれぞれ異なる値を示している。
テーブル33に格納される目標電圧Veは、その目標電圧Veと対応付けられた要求電圧Vdの直流電力をサブDC/DCコンバータ21が出力するにあたって、変換効率の高い電圧を示している。すなわち、要求電圧Vdを出力電圧Voutの目標値としてサブDC/DCコンバータ21が電圧変換する場合に、変換効率が高い入力電圧Vinが、その要求電圧Vdと対応する目標電圧Veとしてテーブル33に格納されている。本実施形態では、要求電圧Vdを出力電圧Voutの目標値としてサブDC/DCコンバータ21が電圧変換する場合に、最も変換効率の高い入力電圧Vinが、その要求電圧Vdと対応する目標電圧Veとして定められている。
【0053】
なお、目標電圧Veは、例えば予め実験的に求められていてもよい。例えば、サブDC/DCコンバータ21が所定の要求電圧Vdを出力する場合に、入力電圧Vinを変化させることによって最も高い変換効率が得られた入力電圧Vinが、その要求電圧Vdと対応する目標電圧Veとして求められる。このようにして、テーブル33が設定される。
【0054】
導出部32は、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdとテーブル33とに基づいて、目標電圧Veを導出する。本実施形態では、導出部32は、記憶部31に記憶されるテーブル33を参照することによって、サブDC/DCコンバータ21の変換効率に基づいて目標電圧Veを導出する。
【0055】
第2制御部24は、第1制御部23と同様に、α:コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは、γ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成される。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
【0056】
第2制御部24は、サブDC/DCコンバータ21を制御する制御部である。第2制御部24は、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdを出力電圧Voutの目標値として、サブDC/DCコンバータ21を制御する。第2制御部24は、サブ蓄電装置22からその要求電圧Vdを取得してもよいし、サブ蓄電装置22を制御する別の制御部から要求電圧Vdを示す信号を受信することによって要求電圧Vdを取得してもよい。また、第2制御部24は、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdを記憶していてもよい。
【0057】
第2制御部24は、例えば、サブ蓄電装置22の充電条件が成立したことに基づいて、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdを出力電圧Voutの目標値として、サブDC/DCコンバータ21を制御する。また、第2制御部24は、サブ蓄電装置22の充電条件が成立したことに基づいて、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdを示す信号を第1制御部23に送信する。サブ蓄電装置22の充電条件は、例えば、サブ蓄電装置22のSOCが所定値以下となる場合に成立する。
【0058】
本実施形態の第2制御部24は、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdを示す信号を、定期的に第1制御部23に送信する。例えば、第2制御部24は、サブ蓄電装置22の充電が完了するまでの間、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdを示す信号を、所定時間ごとに第1制御部23に送信する。
【0059】
ここで、サブ蓄電装置22の充電中においては、サブ蓄電装置22のSOCは変動し、それに伴ってサブ蓄電装置22の充電電圧は変動する。このため、サブ蓄電装置22の充電中、サブ蓄電装置22の要求電圧Vdは変動する。これに対応させて、第2制御部24は、サブ蓄電装置22の充電中、第1制御部23に送信する要求電圧Vdを示す信号を変更している。
【0060】
次に、第1制御部23が行う処理について説明する。本実施形態では、第1制御部23は、第2制御部24から要求電圧Vdを示す信号を受信した場合に、
図2に示す処理を行う。第1制御部23は、第2制御部24から要求電圧Vdを示す信号を受信するたびに、
図2に示す処理を繰り返す。
図2に示す処理は、第1制御部23がメインDC/DCコンバータ20に第2動作を行わせる処理である。
【0061】
図2に示すように、第1制御部23は、ステップS11において、センサ19からメイン蓄電装置18の電圧を取得する。
第1制御部23は、ステップS12において、テーブル33を参照することによって目標電圧Veを導出する。すなわち、第1制御部23は、ステップS11で取得した要求電圧Vdと記憶部31に記憶されているテーブル33とに基づいて、目標電圧Veを導出する。
【0062】
第1制御部23は、ステップS12において、目標電圧Veを導出する導出部32として機能する。この点で、第1制御部23は、目標電圧Veを導出する導出部32を有するといえる。第1制御部23は、記憶部31に記憶されるプログラムを実行することによって、導出部32として機能する。
【0063】
第1制御部23は、ステップS13において、第2変換電圧V2が目標電圧VeとなるようにメインDC/DCコンバータ20を制御する。具体的には、第1制御部23は、ステップS11で取得した電圧であって且つ第2端子26に入力されるメイン蓄電装置18の電圧を、ステップS12で導出した目標電圧Veに変換するように、メインDC/DCコンバータ20を制御する。すなわち、第1制御部23は、ステップS12で導出した目標電圧Veを第2変換電圧V2の目標値として、メインDC/DCコンバータ20に第2動作を行わせる。これにより、第1端子25から目標電圧Veが出力され、サブDC/DCコンバータ21に目標電圧Veが入力される。その結果、サブDC/DCコンバータ21の変換効率が向上する。
【0064】
第1制御部23は、ステップS13の処理を終えると、処理を終了する。第1制御部23は、第2制御部24から要求電圧Vdを示す信号を再び受信すると、再度この処理を実行する。そのため、要求電圧Vdが変動した場合でも、サブDC/DCコンバータ21は、変換効率の高い状態で維持される。
【0065】
次に、上述した実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)メインDC/DCコンバータ20は、第1動作と第2動作とを行う双方向コンバータである。第1動作は、第1端子25に入力される直流電力を電圧変換し、その変換された第1変換電圧V1の直流電力をメイン蓄電装置18に向けて出力する動作である。第2動作は、第2端子26に入力される直流電力を電圧変換し、その変換された第2変換電圧V2の直流電力をサブDC/DCコンバータ21に向けて出力する動作である。メインDC/DCコンバータ20は、第2変換電圧V2が目標電圧Veとなるように第2動作を行う。
【0066】
上記構成によれば、メインDC/DCコンバータ20が第1動作を行うことにより、メイン蓄電装置18が充電される。メインDC/DCコンバータ20が第2動作を行うことにより、サブDC/DCコンバータ21に対して第2変換電圧V2の直流電力が供給される。
【0067】
ここで、サブ蓄電装置22の要求電圧VdとサブDC/DCコンバータ21の変換効率とに基づいて、サブDC/DCコンバータ21の入力電圧Vinの目標値である目標電圧Veを導出することにより、サブDC/DCコンバータ21が要求電圧Vdの電力を出力するにあたり、サブDC/DCコンバータ21の変換効率が高い入力電圧Vinを目標電圧Veとして導出できる。そして、第2変換電圧V2が目標電圧VeとなるようにメインDC/DCコンバータ20が第2動作を行うことにより、サブDC/DCコンバータ21に目標電圧Veの直流電力が入力される。サブDC/DCコンバータ21は、目標電圧Veの直流電力が入力されることによって、要求電圧Vdの直流電力を出力するにあたり効率よく電力を変換できる。また、サブDC/DCコンバータ21の変換効率が向上することによって、サブDC/DCコンバータ21を冷却するための構成を簡易にできる。
【0068】
(2)要求電圧Vdは、サブ蓄電装置22の充電電圧である。
上記構成によれば、サブDC/DCコンバータ21が充電電圧の電力を出力することによって、サブ蓄電装置22が充電される。これにより、サブDC/DCコンバータ21の変換効率を高くしつつ、サブ蓄電装置22を充電できる。
【0069】
(3)導出部32は、テーブル33を参照することによって目標電圧Veを導出する。
サブDC/DCコンバータ21の変換効率は、サブDC/DCコンバータ21の具体的な回路構成に依存する。このため、サブDC/DCコンバータ21の具体的な回路構成に応じて、要求電圧Vdに対応する目標電圧Veが異なるとともに、要求電圧Vdの変化に対する目標電圧Veの変化態様も異なる。したがって、計算によって目標電圧Veを導出するのは煩雑な場合がある。
【0070】
この点、上記構成によれば、予めテーブル33に要求電圧Vdと目標電圧Veとが対応付けられているため、複雑な計算を行うことなく目標電圧Veを導出できる。
(4)第2制御部24は、第1制御部23に要求電圧Vdを示す信号を送信する。
【0071】
上記構成によれば、導出部32は、第2制御部24から送信される要求電圧Vdを示す信号とサブDC/DCコンバータ21の変換効率とに基づいて、目標電圧Veを導出できる。
【0072】
(5)サブDC/DCコンバータ21は、AC/DC変換回路16と第1端子25とを接続する第1接続線27に接続される。
上記構成によれば、サブDC/DCコンバータ21は、AC/DC変換回路16とメインDC/DCコンバータ20との間に接続される。これにより、サブDC/DCコンバータ21には、メインDC/DCコンバータ20から出力される直流電力だけでなく、AC/DC変換回路16から出力される直流電力が入力される。したがって、サブDC/DCコンバータ21は、メインDC/DCコンバータ20から出力される直流電力だけでなく、AC/DC変換回路16から出力される直流電力も変換できる。
【0073】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○テーブル33に格納される目標電圧Veは、これと対応する要求電圧Vdを出力するにあたってサブDC/DCコンバータ21の変換効率が最大となる電圧値に限らない。例えば、目標電圧Veは、変換効率が閾値以上となる電圧値であってもよい。ここで閾値とは、例えば90%である。この場合、目標電圧Veは、変換効率が90%以上となる電圧値であればよい。
【0074】
○第1制御部23は、計算することによって目標電圧Veを導出してもよい。例えば、第1制御部23は、変換効率を示す関数データを有し、当該関数データを用いて今回の要求電圧Vdに対応する目標電圧Veを導出する構成でもよい。関数データは、例えば要求電圧Vdを変数パラメータとして含み、且つ、変換効率が閾値以上又は最大となるようにサブDC/DCコンバータ21の具体的な回路構成に対応させて設定されたものであるとよい。
【0075】
○負荷は、サブ蓄電装置22に限らず、その他の補機でもよい。例えば、負荷は、フォグランプでもよいし、ルームライトでもよいし、オーディオでもよい。この場合、負荷の要求電圧Vdは、補機の動作電圧である。
【0076】
○サブDC/DCコンバータ21は、複数設けられていてもよい。例えば、複数のサブDC/DCコンバータ21は、それぞれが並列に接続された状態で、メインDC/DCコンバータ20と接続されてもよい。この変更例では、複数のサブDC/DCコンバータ21は、異なる複数の負荷とそれぞれ接続される。メインDC/DCコンバータ20は、複数のサブDC/DCコンバータ21のうち、何れか1つのサブDC/DCコンバータ21の変換効率が高くなる第2変換電圧V2を出力するように、第2動作を行う。
【0077】
○第1制御部23は、第2動作を行う場合に、第2変換電圧V2を示す信号を第2制御部24に送信してもよい。これにより、第2制御部24は、サブDC/DCコンバータ21に入力される電圧値を把握できる。
【0078】
○車両14は、AC/DC変換回路16とは別の構成から、メインDC/DCコンバータ20の第1端子25に直流電力が供給されるように構成されてもよい。すなわち、車両14は、AC/DC変換回路16を備えていなくともよい。例えば、車両14は、AC給電装置12及びDC給電装置13とは別の給電装置からメインDC/DCコンバータ20の第1端子25に直流電力が供給されるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0079】
11…電源システム、12…第1給電装置、13…第2給電装置、14…車両、15…ACインレット、16…AC/DC変換回路、17…DCインレット、18…メイン蓄電装置、19…センサ、20…メインDC/DCコンバータ、21…サブDC/DCコンバータ、22…サブ蓄電装置、23…第1制御部、24…第2制御部、25…第1端子、26…第2端子、27…第1接続線、28…第2接続線、31…記憶部、32…導出部、33…テーブル、V1…第1変換電圧、V2…第2変換電圧、Vin…入力電圧、Vout…出力電圧。