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特許7331819ドア用配線モジュール、サービスホールカバー及びドア用配線モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ドア用配線モジュール、サービスホールカバー及びドア用配線モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20230816BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20230816BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
B60R16/02 620C
B60R16/02 623P
H02G3/30
H02G3/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020176035
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2022067362
(43)【公開日】2022-05-06
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】水野 芳正
(72)【発明者】
【氏名】平井 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】大塚 拓次
(72)【発明者】
【氏名】東小薗 誠
(72)【発明者】
【氏名】山口 晃司
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-009920(JP,U)
【文献】実開昭63-130353(JP,U)
【文献】特開平09-277853(JP,A)
【文献】特開2005-178616(JP,A)
【文献】特開2011-025915(JP,A)
【文献】特開2020-083075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02G 3/30
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー本体部と、前記カバー本体部に設けられた経路指示部とを含むサービスホールカバーと、
前記カバー本体部上の第1位置及び第2位置を通るように経路規制された配線部材と、
を備え、
前記経路指示部は、前記第1位置と前記第2位置との間の前記配線部材の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、
前記配線部材は、前記複数の経路から選択されたいずれかの経路を通るように経路規制されている、ドア用配線モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のドア用配線モジュールであって、
前記経路指示部は、前記カバー本体部の主面に前記複数の経路のそれぞれに沿って延びるように形成されて、前記配線部材が収まる複数の溝を含む、ドア用配線モジュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のドア用配線モジュールであって、
前記経路指示部は、前記カバー本体部の主面に前記複数の経路それぞれに対応する位置に形成されて、前記配線部材が固定される固定部を含む、ドア用配線モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のドア用配線モジュールであって、
前記経路指示部は、前記カバー本体部の主面に前記複数の経路それぞれに対応する位置に形成されたマークを含む、ドア用配線モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のドア用配線モジュールであって、
前記配線部材は、前記複数の経路のうちの第1経路を通るように経路規制されており、
前記複数の経路のうちの第2経路を通るように経路規制された専用配線部材をさらに備える、ドア用配線モジュール。
【請求項6】
カバー本体部と、
前記カバー本体部に設けられた経路指示部と、
を備え、
前記経路指示部は、前記カバー本体部上の第1位置及び第2位置を通るように配置される配線部材の前記第1位置及び前記第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示す、サービスホールカバー。
【請求項7】
カバー本体部と、前記カバー本体部に設けられた経路指示部とを備えるサービスホールカバーを準備する準備工程と、
前記カバー本体部上の第1位置及び第2位置を通るように配線部材を経路規制する経路規制工程と、
を備え、
前記経路指示部は、前記第1位置及び前記第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、
前記経路規制工程において、前記第1位置及び前記第2位置の間の経路として前記経路指示部が示す前記複数の経路のうちいずれかの経路を通るように前記配線部材を経路規制する、ドア用配線モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドア用配線モジュール、サービスホールカバー及びドア用配線モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドアモジュールパネルとワイヤーハーネスとシート部材とを備えるドア用ワイヤーハーネスモジュールを開示している。特許文献1に記載のドア用ワイヤーハーネスモジュールにおいて、ドアモジュールパネルの一方主面に形成された溝内にワイヤーハーネスが収容されている。また、当該溝の開口を塞ぐように、シート部材がドアモジュールパネルの一方主面に貼付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-71333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドア用ワイヤーハーネスモジュールのように、サービスホールカバーによって配線部材が保持されるドア用配線モジュールにおいて、互いに異なる複数のドアの仕様に対応するため、複数品番のドア用配線モジュールが必要となることがある。この場合、品番ごとにドア用配線モジュールを構成する部品が変わると、その分コストがかかる。
【0005】
そこで、なるべく共通の部品を用いて、複数のドアの仕様に対応するドア用配線モジュールを製造可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のドア用配線モジュールは、カバー本体部と、前記カバー本体部に設けられた経路指示部とを含むサービスホールカバーと、前記カバー本体部上の第1位置及び第2位置を通るように経路規制された配線部材と、を備え、前記経路指示部は、前記第1位置と前記第2位置との間の前記配線部材の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、前記配線部材は、前記複数の経路から選択されたいずれかの経路を通るように経路規制されている、ドア用配線モジュールである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、なるべく共通の部品を用いて、複数のドアの仕様に対応するドア用配線モジュールを製造可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかるドア用配線モジュール及びこれが組込まれるドアパネルを示す平面図である。
図2図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図3は実施形態1にかかるドア用配線モジュールの第1仕様変更例及びこれが組込まれるドアパネルを示す平面図である。
図4図4は実施形態1にかかるドア用配線モジュールの第2仕様変更例及びこれが組込まれるドアパネルを示す平面図である。
図5図5は実施形態1にかかるドア用配線モジュールの製造方法を説明する図である。
図6図6はドア用配線モジュールの第1変形例を示す平面図である。
図7図7は第1変形例にかかるドア用配線モジュールを示す部分拡大斜視図である。
図8図8はドア用配線モジュールの第2変形例を示す平面図である。
図9図9はドア用配線モジュールの第3変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のドア用配線モジュールは、次の通りである。
【0011】
(1)カバー本体部と、前記カバー本体部に設けられた経路指示部とを含むサービスホールカバーと、前記カバー本体部上の第1位置及び第2位置を通るように経路規制された配線部材と、を備え、前記経路指示部は、前記第1位置と前記第2位置との間の前記配線部材の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、前記配線部材は、前記複数の経路から選択されたいずれかの経路を通るように経路規制されている、ドア用配線モジュールである。経路指示部は、第1位置と第2位置との間の配線部材の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、配線部材は、複数の経路から選択されたいずれかの経路を通るように経路規制されている。これにより、例えば、複数のドアの仕様のうち最も長い配線部材を用いて、その経路を複数の経路から選択されたいずれかの経路とすることによって、複数のドアの仕様に対応可能となる。これにより、サービスホールカバー及び配線部材を共通の部品とすることができる。
【0012】
(2)(1)のドア用配線モジュールにおいて、前記経路指示部は、前記カバー本体部の主面に前記複数の経路のそれぞれに沿って延びるように形成されて、前記配線部材が収まる複数の溝を含んでもよい。これにより、配線部材は、所定の溝に収められることによって所定の経路に沿って配置されやすくなる。
【0013】
(3)(1)又は(2)のドア用配線モジュールにおいて、前記経路指示部は、前記カバー本体部の主面に前記複数の経路それぞれに対応する位置に形成されて、前記配線部材が固定される固定部を含んでもよい。これにより、配線部材は、所定の固定部に固定されることによって、所定の経路に経路規制された状態に保たれやすくなる。
【0014】
(4)(1)から(3)のいずれか1つのドア用配線モジュールにおいて、前記経路指示部は、前記カバー本体部の主面に前記複数の経路それぞれに対応する位置に形成されたマークを含んでもよい。これにより、配線部材は、所定のマークに沿って配置されることによって、所定の経路に沿って配置されやすくなる。
【0015】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのドア用配線モジュールにおいて、前記配線部材は、前記複数の経路のうちの第1経路を通るように経路規制されており、前記複数の経路のうちの第2経路を通るように経路規制された専用配線部材をさらに備えてもよい。例えば、第1位置及び第2位置を通る配線部材として、複数のドアの仕様それぞれに専用設計された専用配線部材と、複数のドアの仕様で共通の汎用配線部材とが含まれる場合があり得る。この場合に、汎用配線部材の経路が変わることによって、専用配線部材と、汎用配線部材とが、サービスホールカバーに所定の経路に沿って簡易に配置されることができる。
【0016】
(6)また、本開示のサービスホールカバーは、カバー本体部と、前記カバー本体部に設けられた経路指示部と、を備え、前記経路指示部は、前記カバー本体部上の第1位置及び第2位置を通るように配置される配線部材の前記第1位置及び前記第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示す、サービスホールカバーである。経路指示部は、カバー本体部上の第1位置及び第2位置を通るように配置される配線部材の第1位置及び第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示す。これにより、例えば、複数のドアの仕様のうち最も長い配線部材を用いて、その経路を複数の経路から選択されたいずれかの経路とすることによって、複数のドアの仕様に対応可能となる。これにより、サービスホールカバー及び配線部材を共通の部品とすることができる。
【0017】
(7)また、本開示のドア用配線モジュールの製造方法は、カバー本体部と、前記カバー本体部に設けられた経路指示部とを備えるサービスホールカバーを準備する準備工程と、前記カバー本体部上の第1位置及び第2位置を通るように配線部材を経路規制する経路規制工程と、を備え、前記経路指示部は、前記第1位置及び前記第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、前記経路規制工程において、前記第1位置及び前記第2位置の間の経路として前記経路指示部が示す前記複数の経路のうちいずれかの経路を通るように前記配線部材を経路規制する、ドア用配線モジュールの製造方法である。経路指示部は、第1位置及び第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、経路規制工程において、第1位置及び第2位置の間の経路として経路指示部が示す複数の経路のうちいずれかの経路を通るように配線部材を経路規制する。これにより、例えば、複数のドアの仕様のうち最も長い配線部材を用いて、その経路を複数の経路から選択されたいずれかの経路とすることによって、複数のドアの仕様に対応可能となる。これにより、サービスホールカバー及び配線部材を共通の部品とすることができる。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のドア用配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるドア用配線モジュールについて説明する。図1は実施形態1にかかるドア用配線モジュール30及びこれが組込まれるドアパネル20を示す平面図である。図2図1のII-II線に沿った断面図である。
【0020】
まず、車両におけるドア10の概要について説明する。ドア10は、全体として偏平な形状に形成されており、車両において車室内と車室外とを仕切るように開閉可能に設けられる部分である。ドア10は、運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席用ドアである場合等が想定される。ドア10は、ドアパネル20と、意匠トリムと、ドア用配線モジュール30と、を備える。
【0021】
ドアパネル20は、アウターパネル21と、インナーパネル22とを備える。アウターパネル21は、ドア10のうち車両外側に面する部分に設けられ、ボディ本体と共に車両の外観を構成する部分である。インナーパネル22は、アウターパネル21の車室側に設けられている。インナーパネル22は、側板部23と主板部25とを有する。側板部23はアウターパネル21から車室内側に突出する部分である。主板部25は側板部23に連なり、アウターパネル21と間隔をあけつつ、アウターパネル21に沿って広がる部分である。アウターパネル21と主板部25と側板部23との間には、空間が形成される。当該空間には、ドア10に設けられるドア機器が配置されたり、窓ガラスが収容されたりする。インナーパネル22の主板部25には、サービスホール26が設けられている。作業者は、インナーパネル22の外側からサービスホール26を通じてアウターパネル21とインナーパネル22との間の空間にアクセスできる。本例では、インナーパネル22に2つのサービスホール26が設けられている例で説明する。なお、2つのサービスホール26の平面形状は同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。また、2つのサービスホール26は、車両の前後方向に並んでいるが、車両の高さ方向に並んでいてもよく、前後方向及び高さ方向と交差する斜め方向に並んでいてもよい。
【0022】
意匠トリムは、ドア10のうち車室内側に面する部分に設けられ、車両の内観を構成する部分である。意匠トリムには例えば、インナーハンドル、車載機器の操作部等が取付けられる。ドア用配線モジュール30のうちドア10に組み込まれる部分は、意匠トリムと、アウターパネル21との間に配置される。
【0023】
ドア用配線モジュール30は、サービスホールカバー40と、配線部材50と、配線カバー60とを備える。
【0024】
サービスホールカバー40は、サービスホール26を覆う。ここでは、2つのサービスホール26をそれぞれ別のサービスホールカバー40が覆う。従って、ここではドア用配線モジュール30は、2つのサービスホールカバー40を備える。以下では、2つのサービスホールカバー40について区別が必要な場合、符号A、Bを追加し、サービスホールカバー40A、40Bと称することがある。また、2つのサービスホールカバー40A、40Bについて区別が不要な場合は、単にサービスホールカバー40と称することがある。もっとも、2つのサービスホール26を1つのサービスホールカバーが覆ってもよい。
【0025】
サービスホールカバー40は、対応するサービスホール26と同じ程度又はサービスホール26よりも大きく広がる偏平な樹脂部品である。サービスホールカバー40は、当該サービスホール26を塞ぐように取付けられる。サービスホールカバー40がインナーパネル22のサービスホール26に取付けられた状態で、ネジ止、係止構造、接着等によって当該取付状態が保持される。例えば、サービスホールカバー40の周辺部のうちインナーパネル22に重なる部分がインナーパネル22に接着されれば、それらの間の隙間を可及的に塞ぐことができる。
【0026】
サービスホールカバー40は、アウターパネル21とインナーパネル22との間の空間の車室内側を仕切る。当該空間には、雨水環境に曝される窓ガラスが収容され、また、当該空間の上方には、窓ガラスが出入りするスリット状の開口が形成されている。このため、当該空間は、水が浸入する可能性がある空間である。また、当該空間は、外部空間と繋がる可能性のある空間であるため、外部からの風切り音等が侵入する恐れがある空間でもある。そこで、サービスホールカバー40は、インナーパネル22と共に、車室空間と外部空間とをより完全に仕切る部材として設けられているとよい。より具体的には、サービスホールカバー40は、カバー本体部41と枠部42とフランジ部43と経路指示部とを含む。例えばサービスホールカバー40は、ポリプロピレン(PP)などの樹脂によって金型成型された部品であり、曲げ困難な剛性を有する。
【0027】
カバー本体部41は、サービスホール26よりもわずかに小さい程度の大きさで板状に広がる部分である。枠部42は、カバー本体部41の外縁からカバー本体部41の一方主面41a側(車室内側)に突出するように形成されている。フランジ部43は枠部42の外縁から外周側に張り出すように形成されている。枠部42は、フランジ部43からカバー本体部41に向けて順次高さ寸法が低くなる傾斜面状に形成されているとよい。サービスホールカバー40がインナーパネル22のサービスホール26の所定位置に取付けられた状態で、カバー本体部41がサービスホール26の内側(主板部25よりもアウターパネル21側)に配設され、フランジ部43がサービスホール26の外側(主板部25よりも車室内側)に配設され、枠部42が両者をつないでいる。これにより、カバー本体部41の周縁部とサービスホール26の開口縁部との間が、枠部42及びフランジ部43によって塞がれる。
【0028】
サービスホールカバー40の主面(カバー本体部41の主面41a)には、溝44が形成されている。ここでは溝44は、サービスホールカバー40のうち車室内側を向く主面41aに形成されている。溝44は、サービスホールカバー40のうち車室外側を向く主面41bに形成されていてもよい。溝44は主面41a、41bの両方に形成されていてもよい。
【0029】
溝44は、複数の配線部材50がまとめて収まることが可能な大きさに形成されている。溝44は偏平に形成されて、深さ寸法よりも幅寸法が大きくなっている。溝44の深さ寸法は配線部材50の直径(複数の配線部材50に太さの異なるものが含まれる場合、最大の配線部材50の直径)よりも大きいとよい。溝44の深さ寸法は配線部材50が2段以上に積み重なって収まることが可能に、配線部材50の直径(複数の配線部材50に太さの異なるものが含まれる場合、最小の配線部材50の直径)の2倍よりも大きいとよい。溝44としては、複数の配線部材50が分かれて収まることが可能な大きさの溝が複数並列状に形成されていてもよい。例えば、配線部材50が一本ずつ収まる大きさの溝が複数並列状に形成されていてもよい。
【0030】
溝44が形成される主面41aとは反対側の主面41bにおいて、溝44の反対側に位置する部分は、凸条部48とされる。これにより、溝44が形成された部分の厚みが小さくなることが抑制されている。もっとも、主面41bにおいて、溝44の反対側に位置する部分は、凸条部48とされていなくてもよい。主面41bにおいて、溝44の反対側に位置する部分とその周囲の部分とが平坦であってもよい。
【0031】
サービスホールカバー40Bの溝44は、経路指示部として機能する。
【0032】
サービスホールカバー40Aには配線部材50を通す挿通孔49が形成されている。配線部材50は当該挿通孔49を通じてサービスホールカバー40を貫通する。挿通孔49は、サービスホールカバー40のうちカバー本体部41又は枠部42に形成されると良い。ここでは挿通孔49は枠部42に形成されている。特にここでは挿通孔49は枠部42のうち溝44の端部の位置に形成されている。これにより、溝44に収まる配線部材50が挿通孔49を通じてサービスホールカバー40を貫通できる。
【0033】
配線部材50は、ドア機器と車体に設けられた車体機器とを接続してドア機器に電力を供給したり、ドア機器と車体機器との間で信号を送ったりする。配線部材50は、電線52を含んでもよい。電線52としては、導体で構成された芯線の周囲に被覆層が形成された被覆電線を用いることができる。芯線は、単芯線であってもよいし、撚り合せ線であってもよい。電線52の種類は特に限定されるものではなく、単線、複合電線などが含まれてもよい。単線は、導電路が一つの電線である。複合電線は、導電路が複数の電線である。複合電線としては、例えば、ツイスト線又は複合ケーブルなどのように、単線が複数組み合わさって形成されたものであってもよい。配線部材50は、光ファイバーケーブルなどを含んでもよい。配線部材50の数は、ドア機器の数などに応じて設定される。通常、配線部材50は、複数設けられる。
【0034】
複数の配線部材50の経路はドア10の仕様に応じて適宜設定される。例えば、回転軸が車両の高さ方向に沿う一般的なヒンジドアの場合、ヒンジドアに組付けられる複数の配線部材50は、通常、ドアヒンジに近い位置で車体と接続されており、ドアヒンジ側からドアヒンジとは反対側に向う際に分岐して各種ドア機器に接続される。
【0035】
より詳細には、複数の配線部材50の一端部は、束ねられた状態で、ドア10の一部分(図1に示す例ではドアヒンジ側の側板部23)を経由して当該ドア10から延出し、車体内に導かれ、共通コネクタC1等を介して車体機器、又は車体機器から延びる配線部材の端部に設けられた中継コネクタに接続されることが想定される。かかる車体機器は特に限定されるものではないが、例えば、電子制御ユニット(ECU)又はバッテリなどが想定される。複数の配線部材50のうちドア10と車体との間に延びる部分には、通常、グロメットGが取付けられる。図1に示す例では、グロメットGは側板部23に形成された貫通孔に挿入係止される、いわゆる貫通タイプのグロメットである。これにより、当該貫通孔を通じた水の浸入が抑制される。グロメットGは、側板部23及び主板部25の交わる縁部に形成された凹部に嵌る、いわゆる貫通レスタイプのグロメットであってもよい。複数の配線部材50は、一端部から他端部に向かう途中でグロメットGから延び出て、分岐しつつ各接続先となるドア機器に向けて延びる。複数の配線部材50の他端部には、接続先となるドア機器に応じたコネクタC2、C3が取付けられている。各コネクタC2、C3は、例えばドア機器側のコネクタC4、C5と接続される。図1及び図2では、2つのドア機器側のコネクタC4、C5と、コネクタC2、C3を介してコネクタC4、C5に接続される電線52A、52Bが例示されている。コネクタC4は例えばフットライト用のコネクタである。コネクタC5は例えばドア10をロック及びアンロックするためのアクチュエータ用のコネクタである。
【0036】
図1及び図2では、ドア用配線モジュール30において、コネクタC1-C3とこれに接続される電線52A、52B以外のコネクタ及び配線部材50の記載は省略されている。もちろん、ドア用配線モジュール30は、コネクタC1-C3以外のコネクタを含んでいてもよいし、電線52A、52B以外の配線部材50を含んでいてもよい。以下では、電線52A、52Bについて区別が不要な場合、単に電線52と称することがある。
【0037】
電線52のうちグロメットGとサービスホールカバー40との間を延びる区間は、結束部材によって束ねられた束線部分とされてもよい。図1に示す例では、複数の電線52は粘着テープTがらせん状に巻かれて結束されている。結束部材は、結束バンド、柔軟シート又はコルゲートチューブなどであってもよい。結束部材は、複数の電線52を曲げ可能に結束していると良い。
【0038】
電線52は、グロメットGが設けられた部分からコネクタC2、C3に向かう途中に、挿通孔49を通ってサービスホールカバー40Aを貫通して、サービスホールカバー40Aよりも車室内側に移る。電線52は、グロメットGが設けられた部分からコネクタC2、C3に向かう途中に、インナーパネル22のうちサービスホール26以外の孔を貫通して、インナーパネル22よりも車室内側に移ってもよい。
【0039】
電線52のうちサービスホールカバー40に沿って延びる区間は、サービスホールカバー40よりも車室内側に配置される。また電線52のうちサービスホールカバー40に沿って延びる区間は、サービスホールカバー40に経路規制される。電線52が経路規制されるとは、電線52の経路が所定の経路に維持されることを言う。
【0040】
電線52のうちサービスホールカバー40Aに沿って延びる区間が、3つの溝44A1、44A2、44A3に収容されている。各溝44A1、44A2、44A3は、サービスホールカバー40Aに対する電線52の経路に沿って形成されている。溝44A1は、サービスホールカバー40の前部から後部に向けて車両前後方向に沿って形成されている。サービスホールカバー40を車室側から観察すると、溝44A1は、車両前後方向に沿って延在する直線状に形成されている。溝44A2、44A3は、溝44A1の端部から分岐する。溝44A2は、車両前後方向に沿って延在する直線状に形成されている。溝44A3は、車両高さ方向に沿って延在する直線状に形成されている。各溝44はカバー本体の主面41a上において直線状に延びている必要はなく、カバー本体の主面41a上において曲がって延びていてもよい。
【0041】
電線52A、52Bは、サービスホールカバー40A上の分岐部において、1つの幹線部から2つの枝線部に分岐する。幹線部は電線52A、52Bが並行する部分である。2つの枝線部は電線52A、52Bが単独で延びる部分である。幹線部が溝44A1に収まり、2つの枝線部が溝44A2、44A3にそれぞれ収まる。溝44A1、44A2は、ドア10の下部に組込まれるドア機器、例えば、フットライトに接続される電線52Aを保持するのに用いることができる。溝44A1、44A3は、ドア10の後部に組込まれるドア機器、例えば、ドアロック及びアンロック用アクチュエータに接続される電線52Bを保持するのに用いることができる。幹線部を収容する溝44A1の断面図における大きさは、枝線部を収容する溝44A2、44A3の断面図における大きさよりも大きく形成されてもよい。
【0042】
電線52Bは、サービスホールカバー40Aから延び出て、サービスホールカバー40Bに向かう。電線52Bはサービスホールカバー40Bにおいて、溝44に収容される。サービスホールカバー40Bには、溝44B1、44B2が形成されている。さらにサービスホールカバー40Bには、溝44B1、44B2をそれぞれ異なる経路長で結ぶ3つの溝44B3、44B4、44B5が形成されている。溝44B3は、溝44B1、44B2を最短距離で結ぶ。溝44B4は、溝44B1、44B2を溝44B3よりも長い経路長で結ぶ。溝44B5は、溝44B1、44B2を溝44B4よりも長い経路長で結ぶ。溝44B1、44B2がカバー本体部41上の第1位置及び第2位置である。また、溝44B3、44B4、44B5が、第1位置と第2位置との間の電線52の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示す経路指示部の一例である。経路指示部は、カバー本体部41の主面41aに複数の経路のそれぞれに沿って延びるように形成されて、配線部材50が収まる複数の溝44B3、44B4、44B5を含んでいる。
【0043】
電線52Bは、溝44B1、44B2を通るように経路規制されている。電線52Bのうちサービスホールカバー40Bに沿って延びる区間の両端部が、溝44B1、44B2にそれぞれ収容されている。電線52Bは、溝44B1、44B2の間において、複数の経路から選択されたいずれかの経路を通るように経路規制されている。電線52Bのうちサービスホールカバー40Bに沿って延びる区間の中間部が、溝44B3、44B4、44B5のいずれかに収容されている。溝44B1、44B2の間の経路として3つの経路が設けられている必要はなく、2つの経路が設けられていてもよいし、4つ以上の経路が設けられていてもよい。また、ここでは、溝44B1、44B2の間の経路として、最短の経路(溝44B3)に対して、一方側に他の2つ以上の迂回経路(溝44B4、44B5)が並んでいる。溝44B1、44B2の間の経路として、最短の経路(溝44B3)に対して、他の2つ以上の迂回経路が両側に分かれて並んでいてもよい。
【0044】
複数の電線52は、互いにフリーな状態で溝44内に収まる。互いにフリーな状態とは、複数の電線52が結束部材で結束されていない状態を言う。複数の電線52は、溝44内において、1本1本がばらけた状態にある。複数の電線52のうちサービスホールカバー40上に配置される区間は、溝44に収容されると共に配線カバー60に覆われることによって結束された状態となっている。複数の電線52は、結束部材によって結束された状態で溝44内に収まっていてもよい。
【0045】
配線カバー60は、サービスホールカバー40に固定される。配線カバー60は、溝44の開口を塞ぐ。配線カバー60は、例えば板状に形成されて、溝44の上部に溝44を跨ぐように配置される。配線カバー60の第1端部61及び第2端部62が溝44の両側にそれぞれ突出する。配線カバー60のうち第1端部61及び第2端部62をつなぐ中間部63が、溝44の上方を覆う。第1端部61及び第2端部62がサービスホールカバー40の主面41aに接着又は融着などによって取付けられている。
【0046】
<仕様変更例>
図3は実施形態1にかかるドア用配線モジュール30の第1仕様変更例、及びこれが組込まれるドアパネル20Xを示す平面図である。図4は実施形態1にかかるドア用配線モジュール30の第2仕様変更例、及びこれが組込まれるドアパネル20Yを示す平面図である。
【0047】
第1仕様変更例にかかるドア用配線モジュール30X及び第2仕様変更例にかかるドア用配線モジュール30Yは、ドア用配線モジュール30と共通の電線52B及びサービスホールカバー40Bを用いて製造される。3つのドア用配線モジュール30、30X、30Yにおいて、サービスホールカバー40Bにおける電線52Bの経路がそれぞれ異なる。この電線52Bの経路の違いは、3つのドア10、10X、10Yの仕様の違いに起因する。かかるドア10、10X、10Yの仕様の違いの簡易な例として、ここでは3つのドアパネル20、20X、20Yの車両の前後方向における長さ寸法が異なる例で説明する。
【0048】
ドアパネル20Xは上記ドアパネル20よりも車両の前後方向における長さ寸法が長い。ドアパネル20Yは上記ドアパネル20、20Xよりも車両の前後方向における長さ寸法が長い。従って、電線52Bに必要な長さ寸法は、ドアパネル20Yに組込まれる場合に、最も長くなる。このため、電線52Bの長さ寸法は、ドアパネル20Yに組込まれる場合を想定した長さ寸法とされる。そして、電線52Bの共通化のため、ドアパネル20Yに対応する長さ寸法を有する電線52Bが、ドアパネル20、20Xに組込まれるドア用配線モジュール30、30Xにも適用される。これにより、ドア用配線モジュール30、30Xにおいて、電線52Bに余長が生じ、当該余長がサービスホールカバー40Bにおいて吸収される。この際、経路指示部は、ドアパネル20、20X、20Yに対応する経路として、電線52Bの余長を適切に吸収可能な3つの経路(余長吸収の不要な経路を含む)を示す。3つのドア用配線モジュール30、30X、30Yのうち製造されるドア用配線モジュールに応じて、経路指示部が示す複数の経路の一つに沿って電線52Bが配置される。
【0049】
より詳細には、ドア用配線モジュール30Yにおいて、電線52Bは、サービスホールカバー40Bにおける2つの溝44B1、44B2を結ぶ3つの溝44B3-44B5のうち最も経路長の短い溝44B3を通るように経路規制される。また、ドア用配線モジュール30Xにおいて、電線52Bは、サービスホールカバー40Bにおける2つの溝44B1、44B2を結ぶ3つの溝44B3-44B5のうち2番目に経路長の短い溝44B4を通るように経路規制される。また、ドア用配線モジュール30において、電線52Bは、サービスホールカバー40Bにおける2つの溝44B1、44B2を結ぶ3つの溝44B3-44B5のうち最も経路長の長い溝44B5を通るように経路規制される。
【0050】
もちろん、サービスホールカバー40Bにおける電線52Bの経路を異ならせるドアの仕様の違いは、この例に限られず、共通の部品(電線52B及びサービスホールカバー40B)で対応可能な範囲であれば、如何なるものであってもよい。例えば、ドアの仕様の違いは、電線52Bのうちサービスホールカバー40Bに経路規制される部分よりもコネクタC1側の部分の経路がそれぞれ異なることによるものなどであってもよい。
【0051】
<製造方法>
次に、ドア用配線モジュール30、30X、30Yの製造方法について説明する。図5はドア用配線モジュール30の製造方法を説明する図である。
【0052】
ドア用配線モジュール30、30X、30Yの製造方法は、準備工程と経路規制工程とを備える。準備工程は、カバー本体部41と、カバー本体部41に設けられた経路指示部とを備えるサービスホールカバー40を準備する工程である。経路規制工程は、カバー本体部41上の第1位置及び第2位置を通るように配線部材50を経路規制する工程である。ここで、サービスホールカバー40における経路指示部は、第1位置及び第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示す。経路規制工程において、第1位置及び第2位置の間の経路として経路指示部が示す複数の経路のうちいずれかの経路を通るように配線部材50を経路規制する。
【0053】
具体的には、ここでは、溝44B1-44B5が形成されたサービスホールカバー40Bを準備する。溝44B1、44B2は、カバー本体部41上の第1位置及び第2位置に対応する位置に形成される。配線部材50は溝44B1、44B2を通るように経路規制される。溝44B3-44B5は、経路指示部として設けられる。配線部材50は溝44B1、44B2の間の経路として、溝44B3-44B5のいずれかを通るように経路規制される。例えば、図1に示すドア用配線モジュール30を製造する場合は、配線部材50は溝44B1、44B2の間の経路として、溝44B5を通るように経路規制される。例えば、図3に示すドア用配線モジュール30Xを製造する場合は、配線部材50は溝44B1、44B2の間の経路として、溝44B4を通るように経路規制される。例えば、図4に示すドア用配線モジュール30Yを製造する場合は、配線部材50は溝44B1、44B2の間の経路として、溝44B3を通るように経路規制される。以上より、サービスホールカバー40B上において、電線52Bが、その余長に応じて適切な経路に配置されたドア用配線モジュール30、30X、30Yが製造される。
【0054】
<実施形態1の効果等>
以上のように構成されたドア用配線モジュール30、30X、30Yによると、経路指示部は、第1位置と第2位置との間の電線52Bの経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、電線52Bは、複数の経路から選択されたいずれかの経路を通るように経路規制されている。これにより、例えば、複数のドア10、10X、10Yの仕様のうち最も長い52Bを用いて、その経路を複数の経路から選択されたいずれかの経路とすることによって、複数のドア10、10X、10Yの仕様に対応可能となる。これにより、サービスホールカバー40B及び52Bを共通の部品とすることができる。
【0055】
また、経路指示部は、カバー本体部41の主面41aに複数の経路のそれぞれに沿って延びるように形成されて、電線52Bが収まる複数の溝44B3-44B5を含む。これにより、電線52Bは、複数の溝44B3-44B5のうち所定の溝に収められることによって所定の経路に沿って配置されやすくなる。
【0056】
また、以上のように構成されたサービスホールカバー40Bにおいて、経路指示部は、カバー本体部41上の第1位置及び第2位置を通るように配置される電線52Bの第1位置及び第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示す。これにより、例えば、複数のドア10、10X、10Yの仕様のうち最も長い電線52Bを用いて、その経路を複数の経路から選択されたいずれかの経路とすることによって、複数のドア10、10X、10Yの仕様に対応可能となる。これにより、サービスホールカバー40B及び電線52Bを共通の部品とすることができる。
【0057】
また、以上のように構成されたドア用配線モジュール30、30X、30Yの製造方法によると、経路指示部は、第1位置及び第2位置の間の経路として、互いに経路長の異なる複数の経路を示し、経路規制工程において、第1位置及び第2位置の間の経路として経路指示部が示す複数の経路のうちいずれかの経路を通るように電線52Bを経路規制する。これにより、例えば、複数のドア10、10X、10Yの仕様のうち最も長い電線52Bを用いて、その経路を複数の経路から選択されたいずれかの経路とすることによって、複数のドア10、10X、10Yの仕様に対応可能となる。これにより、サービスホールカバー40B及び電線52Bを共通の部品とすることができる。
【0058】
[変形例]
図6はドア用配線モジュール30の第1変形例を示す平面図である。図7は第1変形例にかかるドア用配線モジュール130を示す部分拡大斜視図である。
【0059】
第1変形例にかかるドア用配線モジュール130は、サービスホールカバー140Bに設けられる経路指示部が溝44B3-44B5ではない点で、ドア用配線モジュール30とは異なる。ドア用配線モジュール130において、経路指示部は、固定部45とされる。固定部45は、カバー本体部41の主面41aに、複数の経路それぞれに対応する位置に形成される。固定部45は、配線部材50を固定可能に設けられる。図7には、固定部45として、配線部材50が引っ掛かる突起が例示されている。かかる固定部45は、柱部46aと、頭部46bとを有する。柱部46aは主面41aから突出する。配線部材50は柱部46aに引っかけられる。頭部46bは、柱部46aの先端に設けられる。頭部46bは柱部46aより柱部46aの外周側に突出し、配線部材50の抜けを抑制する。
【0060】
もっとも、固定部が突起である必要はない。例えば、固定部はクランプ孔などであってもよい。クランプ孔に配線部材50に取付けられたクランプが嵌って固定されることによって、配線部材50がサービスホールカバーに固定される。
【0061】
なお、ここでは電線52Bの余長を吸収する経路、つまり、ドアパネル20、20Xに対応する経路にそれぞれ固定部45が設けられ、電線52Bの余長を吸収する必要がない経路、つまり、ドアパネル20Yに対応する経路には、固定部45が設けられていない。ドアパネル20Yに対応する経路にも、固定部45が設けられていてもよい。
【0062】
本例のドア用配線モジュール30では、経路指示部は固定部45を含む。これにより、配線部材50は、所定の固定部45に固定されることによって、所定の経路に経路規制された状態に保たれやすくなる。
【0063】
図8はドア用配線モジュール30の第2変形例を示す平面図である。
【0064】
第2変形例にかかるドア用配線モジュール230は、サービスホールカバー240Bに設けられる経路指示部が溝44B3-44B5でも固定部45でもない点で、ドア用配線モジュール30、130とは異なる。ドア用配線モジュール230において、経路指示部は、マーク47とされる。マーク47は、カバー本体部41の主面41aに複数の経路それぞれに対応する位置に形成されている。マーク47は、溝44B3-44B5のような配線部材50の収容機能、及び固定部45のような配線部材50の固定機能などはなく、単なる目印として機能する。この場合、配線部材50は、マーク47の位置などにおいて、配線カバー60又は粘着テープなどの取付部材によって取付けられていると良い。
【0065】
なお、ここでは電線52Bの余長を吸収する経路、つまり、ドアパネル20、20Xに対応する経路にそれぞれマーク47が設けられ、電線52Bの余長を吸収する必要がない経路、つまり、ドアパネル20Yに対応する経路には、マーク47が設けられていない。ドアパネル20Yに対応する経路にも、固定部45が設けられていてもよい。
【0066】
本例のドア用配線モジュール230では、経路指示部はマーク47を含む。これにより、配線部材50は、所定のマーク47に沿って配置されることによって、所定の経路に沿って配置されやすくなる。
【0067】
図9はドア用配線モジュール30の第3変形例を示す平面図である。
【0068】
第3変形例にかかるドア用配線モジュール330は、経路指示部が示す複数の経路のうち2以上の経路をそれぞれ別の配線部材が通っている点で、ドア用配線モジュール30とは異なる。
【0069】
ドア用配線モジュール330は、上記配線部材50のほかに専用配線部材54をさらに備える。配線部材50における電線52Bは、複数の経路のうちの第1経路を通るように経路規制されている。専用配線部材54は、複数の経路のうちの第2経路を通るように経路規制されている。
【0070】
専用配線部材54はドア10の仕様に応じて専用設計された配線部材である。このため、通常、専用配線部材54の通る第2経路は最短経路とされる。専用配線部材54の端部のコネクタC6は、対応するドア機器に接続される。
【0071】
電線52Bは、ドア10、10X、10Yの仕様によらずに設けられる汎用配線部材である。ドア用配線モジュール330において、電線52Bの通る第1経路は第2経路よりも長い。上記のように、電線52Bは、複数のドア10、10X、10Yの仕様のうち最も長い経路長に応じた長さに設定される。このため、複数のドア10、10X、10Yの仕様のうち最も長い経路長よりも短い経路長のドア10、10Xの仕様に適用されるドア用配線モジュール330では、電線52Bは、複数の経路のうち最短経路よりも経路長の長い経路を通って、その余長が吸収される。図9に示すドア用配線モジュール330は、ドア用配線モジュール30と同様に、ドア10の仕様に適用される例が示されている。
【0072】
なお、複数のドア10、10X、10Yの仕様のうち最も長い経路長のドア10Yの仕様に適用されるドア用配線モジュールでは、電線52Bは、専用配線部材54と同じく最短経路である第1経路を通るように規制される。
【0073】
本例では、ドア用配線モジュール330は専用配線部材54をさらに備え、電線52Bは、複数の経路のうちの第1経路を通るように経路規制されており、専用配線部材54は、複数の経路のうちの第2経路を通るように経路規制される。例えば、第1位置及び第2位置を通る配線部材として、複数のドア10、10X、10Yの仕様それぞれに専用設計された専用配線部材と、複数のドア10、10X、10Yの仕様で共通の汎用配線部材とが含まれる場合があり得る。この場合に、汎用配線部材である電線52Bの経路が変わることによって、専用配線部材54と、電線52Bとが、サービスホールカバー40Bに所定の経路に沿って簡易に配置されることができる。
【0074】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。例えば、経路指示部として、溝44B3-44B5と、固定部45との両方が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10、10X、10Y ドア
20、20X、20Y ドアパネル
21 アウターパネル
22 インナーパネル
23 側板部
25 主板部
26 サービスホール
30、30X、30Y、130、230、330 ドア用配線モジュール
40、40A、40B、140B、240B サービスホールカバー
41 カバー本体部
41a、41b 主面
42 枠部
43 フランジ部
44、44A1-44A3、44B1-44B5 溝
45 固定部
46a 柱部
46b 頭部
47 マーク
48 凸条部
49 挿通孔
50 配線部材
52、52A、52B 電線
54 専用配線部材
60 配線カバー
61 第1端部
62 第2端部
63 中間部
C1-C6 コネクタ
G グロメット
T 粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9