(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 64/04 20060101AFI20230816BHJP
C08G 64/22 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
C08G64/04
C08G64/22
(21)【出願番号】P 2020532312
(86)(22)【出願日】2019-07-17
(86)【国際出願番号】 JP2019027995
(87)【国際公開番号】W WO2020022130
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2018140493
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100110663
【氏名又は名称】杉山 共永
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】石川 駿
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-165899(JP,A)
【文献】特開平06-336522(JP,A)
【文献】特開2002-105190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G64
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂
の製造方法であって、
前記ポリカーボネート樹脂は、分子量分布値(Mw/Mn)が6.0以下であり、且つ、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合が、0.50質量%以下であ
り、
【化1】
(一般式(1)中、R
1-26は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1~9のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数7~17のアラルキル基を表す。)
下記一般式(2)で表されるジオール化合物と、前記ジオール化合物に対して0.10質量%未満の量で下記一般式(3)で表される含窒素化合物を混合する工程、
【化2】
(一般式(2)中、R
1-26
は、前記一般式(1)と同じ意味を示す。)
【化3】
(一般式(3)中、nは2、3および4のいずれかを表し、Yはエチル基、プロピル基、ブチル基又はベンジル基を表し、XはCl、Br、OH又はHSO
4
を表す。)
前記ジオール化合物、前記含窒素化合物およびホスゲンを混合した反応液に、有機溶媒と分子量調節剤とを添加する工程、および
15分未満の間、得られた溶液を乳化させる工程を含む、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記一般式(1)中のR
1-26が水素である、請求項1に記載の
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子量分布が狭く、低分子量オリゴマーの生成が抑制された、ポリカーボネート樹脂及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、各種の成形品の製造に広く用いられている。例えば光ディスクや光磁気ディスク等の光記録媒体の基板は、主としてポリカーボネート樹脂の射出成形により製造されている。このような精密な製品を射出成形するには、スタンパーや金型に付着するポリカーボネート由来の揮発性オリゴマーが少ないことが要求される。
【0003】
揮発性オリゴマーの生成を抑制したポリカーボネート樹脂の製造方法として、例えば特許文献1には、カーボネート原料とジヒドロキシ化合物とを反応させて得られたポリカーボネートオリゴマーであって、粘度平均分子量(Mv)が5000以下のオリゴマーを出発原料とし、末端停止剤の不存在下、塩酸塩としてのpKaが10以下である塩基度を有するアミンを触媒として、界面重縮合を行なう、ポリカーボネート樹脂の製造方法が開示されている。
【0004】
特許文献1の製造方法は、末端停止剤不使用である点に特徴を有している。特許文献1によれば、末端停止剤は反応の制御を容易にするという点で便利であるが、末端停止剤存在下で重合を行うと末端封止されている分子が成長しないので、分子の成長にばらつきが生じ、必然的に分子量分布が広くなる。そのため、特許文献1では、末端封止剤が存在しなくても反応の制御が容易となる条件を設定し、分子末端が封止されないので分子の成長が均一に行われる、ポリカーボネート樹脂の製造方法を提案している。
【0005】
しかしながら、現在、ポリカーボネート樹脂は、末端停止剤を使用して製造されるケースが多い。そのため、末端停止剤使用下でも、分子量分布が極めて狭く、低分子量オリゴマーの生成が抑制されたポリカーボネート樹脂の製造技術の確立が求められている。
【0006】
この要求に応える技術として、特許文献2には、(A)芳香族ジヒドロキシ化合物、カーボネート前駆体、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩基、水および有機溶媒を含む反応系において、末端封止剤の不存在下に界面重合反応を行い、(B)次に、以下の(1)~(3):
(1)工程Aで得られるプレポリマーの重量平均分子量
(2)工程Aで得られる反応混合物に含まれる芳香族ジヒドロキシ化合物の残存量
(3)工程Aで得られる反応混合物に含まれるジヒドロキシ化合物のビスハロホーメート化合物の、プレポリマーに対する量
のうち、少なくとも1つが所望の量になった後、末端封止剤を添加する、低分子量オリゴマーの含有量が少ない芳香族ポリカーボネートの製造方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献2の方法は、末端停止剤添加のタイミングを見極めるために、製造の途中でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の装置を用いての測定を行わなくてはならず、作業が煩雑であるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-069168号公報
【文献】特開平06-336522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、分子量分布が狭く、低分子量オリゴマーの生成が抑制された、ポリカーボネート樹脂およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、下記一般式(1)で表される構成単位を含むポリカーボネート樹脂であって、分子量分布値(Mw/Mn)が6.0以下であり、且つ、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合が、0.50質量%以下である、ポリカーボネート樹脂が提供される。
【化1】
(一般式(1)中、R
1-26は水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1~9のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数7~17のアラルキル基を表す。)
【0011】
本発明のポリカーボネート樹脂においては、前記一般式(1)中のR1-26が水素であることが好ましい。
【0012】
また、本発明によれば、前記したポリカーボネート樹脂の製造方法であって、下記一般式(2)で表されるジオール化合物と、下記一般式(3)で表される含窒素化合物を混合する工程を含む、製造方法が提供される。
【化2】
(一般式(2)中、R
1-26は、前記一般式(1)と同じ意味を示す。)
【化3】
(一般式(3)中、nは2、3および4のいずれかを表し、Yはエチル基、プロピル基、ブチル基又はベンジル基を表し、XはCl、Br、OH又はHSO
4を表す。)
【0013】
本発明の製造方法においては、
(1)前記含窒素化合物を、前記ジオール化合物に対して0.10質量%未満の量で混合すること、
(2)前記ジオール化合物、前記含窒素化合物およびホスゲンを混合した反応液に、有機溶媒と分子量調節剤とを添加して乳化させること、特に乳化時間を15分未満とすること、
が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のポリカーボネート樹脂においては、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で表される分子量分布値が6.0以下と小さく、且つ、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合が0.50質量%以下である。そのため、本発明のポリカーボネート樹脂は、加熱してもオリゴマー由来の揮発が起こりにくく、射出成形時に金型汚れが少ない。
【0015】
また、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、相間移動触媒としての機能を有する特定の含窒素化合物をジオール化合物と混合する点、並びに、好適な態様においては、含窒素化合物の使用量を少量とし、且つ、ジオール化合物、含窒素化合物およびホスゲンを混合した反応液に有機溶媒および分子量調節剤を添加して乳化する時間を短時間とする点に特徴を有する。このような特徴を有する本発明の製造方法によれば、分子量1,000未満のオリゴマーの生成が抑制され、分子が均一に成長したポリカーボネート樹脂を製造することができる。しかも、製造の途中でGPCやHPLCを使っての煩雑な測定を行う必要もない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のポリカーボネート樹脂は、下記一般式(1)で表される構成単位を有する。
【化4】
【0017】
R1-26は、同一でも異なってもよく、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1~9のアルキル基、炭素数6~12のアリール基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数2~5のアルケニル基又は炭素数7~17のアラルキル基を表す。R1-26としては、水素が好ましい。
【0018】
本発明のポリカーボネート樹脂は、界面重合法、エステル交換法等の公知の方法を採用して製造することができるが、界面重合法により製造することが好ましい。以下、好適な製造方法である界面重合法を例に挙げ、具体的に説明する。
【0019】
界面重合法においては、上記一般式(1)で表される構成単位を誘導するジオール化合物とカーボネート前駆体(好ましくは、ホスゲン)とを反応させ(工程1)、その後、分子量調節剤(末端停止剤)および重合触媒の存在下で界面重合を行う(工程2)ことによってポリカーボネート樹脂を得る。
【0020】
(工程1)
工程1において、前記一般式(1)で表される構成単位を誘導するジオール化合物は、ポリカーボネート樹脂の原料モノマーとして用いられる。かかるジオール化合物は、具体的には、下記一般式(2)で表される。
【化5】
一般式(2)中、R
1-26は、前記一般式(1)と同じ意味を示す。
【0021】
上記式(2)で表されるジオール化合物としては、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン(シクロドデカンビスフェノール、HPCDと呼ぶことがある。)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)シクロドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-sec-ブチルフェニル)シクロドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-アリルフェニル)シクロドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)シクロドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)シクロドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)シクロドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)シクロドデカン、
7-エチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、
5,6-ジメチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、
などの化合物が例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。この中で、特に1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカンまたは1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロドデカンが好ましい。
【0022】
また、原料モノマーとしては、最終的に得られるポリカーボネート樹脂が分子量分布とオリゴマー含有割合の条件を満たす限り、前記式(2)で表されるジオール化合物以外の他のジオール化合物を併用してもよい。この場合、得られるポリカーボネート樹脂は共重合ポリカーボネートとなる。他のジオール化合物としては、具体的に、
4,4’-ビフェニルジオール、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルファイド、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA、BPAと呼ぶことがある)、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC、BPCと呼ぶことがある)、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-アリルフェニル)プロパン、
3,3,5-トリメチル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチル-5-t-ブチルフェニル)-2-メチルプロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、
α,ω-ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルジフェニルランダム共重合シロキサン、
α,ω-ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、
4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール、
4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール
などが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。これらの中でも特に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパンまたは1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンが好ましい。
【0023】
ジオール化合物としては、分子量分布の制御がしやすいという点で、他のジオール化合物を併用せずに、前記一般式(2)で表されるジオール化合物を選択的に用いるほうが好ましいが、併用する場合は、全ジオール化合物のうち前記一般式(2)で表されるジオール化合物を、50モル%以上、特に90モル%以上使用することが好ましい。
【0024】
工程1の具体的な手順としては、前述したジオール化合物と酸結合剤とを水中で混合して得た水溶液に、不活性有機溶媒を混合して混合液を調製し、得られた混合液にホスゲンを吹き込んで反応液を得るとよい。ホスゲンを吹き込んだ後の反応液には、最終目的物であるポリカーボネート樹脂よりも小さな分子のプレポリマーが存在している。
【0025】
本発明では、工程1においてジオール化合物と下記一般式(3)で表される含窒素化合物を混合する。好適には、ジオール化合物と酸結合剤とを水中で混合して水溶液を得る際に、あわせて下記一般式(3)で表される含窒素化合物を混合する。かかる含窒素化合物は、相間移動触媒としての役割を果たすものである。
【化6】
一般式(3)中、nは2、3および4のいずれかを表す。Yはエチル基、プロピル基、ブチル基又はベンジル基を表す。XはCl、Br、OH又はHSO
4を表す。
【0026】
このような含窒素化合物としては、具体的に、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド(TEBAC)、トリブチルベンジルアンモニウムクロリド(TBBAC)等が挙げられ、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド(TEBAC)が好ましい。
【0027】
前記一般式(3)で表される含窒素化合物の使用量は、少量であることが好ましく、具体的には、ジオール化合物あたり0.10質量%未満が好ましく、0.05質量%未満がより好ましく、0.02質量%未満が特に好ましい。後述の比較例1や比較例3で示されているように、含窒素化合物を過度に使用すると、最終的に得られるポリカーボネート樹脂中にオリゴマーが生成しやすく、目的とするオリゴマーの少ないポリカーボネート樹脂を安定して製造することが難しくなるからである。その理由は定かではないが、本発明者らは、含窒素化合物が過度に存在すると、末端停止剤と同様の役割を成し、オリゴマーの発生を促進させるためであると推察している。
【0028】
重合反応の進行を担保するために、含窒素化合物使用量の下限値は、ジオール化合物あたり好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、特に好ましくは0.01質量%以上とする。
【0029】
酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられ、アルカリ金属の水酸化物が好ましい。水溶液中におけるジオール化合物と酸結合剤とのモル比は、通常は1.0:1.8~12.0であり、好ましくは1.0:2.0~10.0、特に好ましくは1.0:2.0~8.5である。
【0030】
水溶液には、ジオール化合物の酸化防止のために、酸化防止剤を少量(例えばジオール化合物に対して0.05~3.0質量%)含有させることが好ましい。酸化防止剤としては、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等が挙げられる。
【0031】
水溶液には、分岐剤を少量(例えばジオール化合物に対して0.1~2.0質量%)含有させることもできる。分岐剤としては、フロログルシン、イサチンビスフェノール等が挙げられる。
【0032】
不活性有機溶媒としては、反応条件下において、原料であるホスゲン並びに反応生成物(オリゴマー、ポリカーボネート樹脂等)は溶解するが、水とは相互に溶解しないものを用いる。代表的な不活性有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、n-ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;塩化メチレン(ジクロロメタンとも呼ぶ)、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン、1,2-ジクロロエチレンなどの塩素化脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、クロロトルエンなどの塩素化芳香族炭化水素;その他ニトロベンゼン、アセトフェノンなどの置換芳香族炭化水素;が挙げられる。中でも、塩素化された炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロベンゼンが好適に使用される。
【0033】
水相に対する有機相の比率(容積比)は0.2~1.0が好ましい。
【0034】
不活性溶媒を混合した混合液にホスゲンを吹き込む際、混合液の温度は、80℃以下、特に70℃以下とすることが好ましい。反応温度が高過ぎると、副反応が増大してホスゲン原単位が低下する。逆に反応温度が低いことは反応制御上有利ではあるが、工程1で起こる反応は大きな発熱反応なので、反応系の温度を低くしようとすると、温度維持費用が増加する。これらの点を考慮すると、最も好ましい温度条件は10~65℃である。
【0035】
反応時間は、反応温度等の条件によって左右されるが、通常は、0.5分~10時間、特に1分~2時間の範囲とすることが好ましい。
【0036】
工程1では、ジオール化合物とホスゲンとを連続的に反応させてもよいが、バッチ方式で反応させる方が好ましい。
【0037】
(工程2)
次いで、ポリカーボネート樹脂プレポリマーを含有する工程1終了後の反応液に、有機溶媒、重合触媒および分子量調節剤(末端停止剤)を添加して界面重合を行う。
【0038】
本発明では、まず、有機溶媒と分子量調節剤とを反応液に添加し、撹拌により乳化させてから、得られた乳化液に重合触媒を添加するのであるが、撹拌による乳化にかかる時間(乳化時間)を短時間とすることが好ましい。後述の比較例2に示されているように、撹拌を過度に長時間行うと、射出成型時の金型汚れの原因となる分子量1,000未満のオリゴマーが生成しやすくなり、最終的に得られるポリカーボネート樹脂の分子量分布が広くなる傾向にあるからである。
【0039】
乳化時間がオリゴマー生成に影響を与える理由は定かではないが、本発明者らは次の様に考えている。即ち、重合触媒非存在下である乳化中は、ポリカーボネート樹脂プレポリマー同士が反応し重合が進行するよりも、ポリカーボネート樹脂プレポリマーと末端停止剤との反応のほうが優位に進む。そのため、末端停止剤が反応溶媒中に分散する程度に撹拌・乳化を素早く行った後、速やかに重合触媒を添加すると良い。
【0040】
乳化時間は、具体的に、0分を超え、15分未満、特に2~10分間が好ましい。
【0041】
撹拌は、公知の手段により行えばよいが、往復回転式撹拌が好ましく、例えば、往復回転式撹拌機(アジター)を使用するのが好ましい。撹拌速度は、30~150cpm、特に60~120cpmが好ましい。
【0042】
有機溶媒としては、工程1の説明で示した公知の不活性有機溶媒を使用することができる。有機溶媒の添加量は、適宜決定すればよいが、例えば工程1で得られた反応液を、水相と有機相とに分離し、有機相に溶解しているポリカーボネート樹脂のプレポリマーの濃度が5~30重量%となるような量とすることが好ましい。
【0043】
分子量調節剤としては、フェノール、p-t-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、長鎖アルキル置換フェノール等一官能基化合物等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、ジオール化合物100モルに対して、通常1モル以上、好ましくは2モル以上であり、また、通常10モル以下、好ましくは5モル以下である。
【0044】
分子量調節剤は、上述の有機溶媒に溶解させた状態で反応液に添加することが好ましい。
【0045】
工程2において、有機相に対する水相の比率は、界面重縮合反応において連続相となる油相の中に水分散相を保つ観点から、水相/油相比(容積比)が、通常0.05~2.00、好ましくは、0.1~1.5、最も好ましくは、0.5~1.2程度となるようにする。水が過度に少ないと、重縮合による発熱で温度制御が困難となる。水が多すぎると、重縮合の攪拌時に水分散相を維持するのが困難となり、油分散相に転移するおそれがある。
【0046】
乳化液に添加する重合触媒としては、公知のものを使用することができるが、工程1で用いた一般式(3)で表される含窒素化合物以外の触媒を用いることが好ましく、例えばトリエチルアミンなどの第三級アミンを用いることが好ましい。重合触媒使用量は、ジオール化合物あたり、通常0.1質量%以上、好適には0.3質量%以上であり、また、通常5質量%以下、好適には1質量%以下である。
【0047】
工程2において、界面重縮合反応の温度は、用いる材料の種類等により異なるが、通常0~35℃であり、分子量制御の観点から、20℃以下、特に10℃以下の低温に制御することが好ましい。反応時間は、反応温度等の条件に応じて適宜決定すればよいが、通常は10~60分が好ましい。
【0048】
(後工程)
工程2が終了した後は、得られた重合液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸等の酸で中和し、洗浄する。生成されたポリカーボネート樹脂溶液から、有機溶媒を蒸発留去することにより、ポリカーボネート樹脂が得られる。
【0049】
(ポリカーボネート樹脂)
かくして得られたポリカーボネート樹脂は、前述した一般式(1)で表される構成単位を含んでおり、また、オリゴマー含有量が非常に少ない。
【0050】
本発明において、オリゴマーとは、ポリスチレン換算分子量1,000未満の成分を意味する。分子量の下限値は、特に制限はないが、通常100以上である。射出成型時に金型に付着しやすい汚れの成分について詳細に検討したところ、ポリカーボネート樹脂に含まれる低分子量成分の中でも特にこのような分子量を有するオリゴマーが射出成形時に揮発しやすく、温度の低い金型に付着して金型汚れを引き起こしやすいことがわかったため、このようなオリゴマーの存在量が抑制されていることは重要な意味を持つ。
【0051】
分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は、後述の実施例で示されているような方法で測定することができる。即ち、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)でポリカーボネート樹脂を測定し、標準ポリスチレン(例えばエーエムアール株式会社製ポリスチレン)を使用して作成した以下の式を用いてlog分子量を算出し、横軸を分子量(log分子量)、縦軸を溶出割合(dwt/d(log分子量))とするクロマトグラムから、クロマトグラム全領域の面積と分子量が1,000未満の分子量範囲の面積との比率を算出することで、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合を求めることができる。
log分子量=s-1.37T+6.31×10-2×T2-1.35×10-3×T3
式中、Tは溶離時間(min)を示す。
【0052】
本発明のポリカーボネート樹脂において、オリゴマーの含有量は、具体的には、0.50質量%以下、好ましくは0.40質量%以下、特に好ましくは0.30質量%以下にまで抑制されている。含有量の下限値は限りなくゼロに近く、検出限界値、例えば0.01質量%以上、特に0.1質量%以上である。
【0053】
また、本発明のポリカーボネート樹脂の分子量分布値(Mw/Mn)は狭く、具体的には、6.0以下、好適には6.0未満、より好適には5.5以下、特に好適には5.0以下である。分子量分布値の下限は、1.0に近く、例えば1.3である。このように狭い分子量分布値は、本発明のポリカーボネート樹脂において、ポリマー分子の長さが均一であることを意味しており、即ち、溶融成形時に揮発する物質が存在せず、溶融成形時の低昇華性として抜群の性質を発現することを意味している。
【0054】
本発明のポリカーボネート樹脂の分子量は、射出成型性の観点から、重量平均分子量(Mw)で20,000~200,000、特に60,000~170,000であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量を大きくしようとすると、分子が均一に成長しづらい傾向にあり、その結果、オリゴマーの量が増える傾向にあるが、本発明では重量平均分子量の値が大きなポリカーボネート樹脂を製造する場合であってもオリゴマーの量を抑制することができる。この観点から、重量平均分子量は100,000~170,000であることが最も好ましい。
重量平均分子量(Mw)と分子量分布値(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフ分析による測定とポリスチレン換算により算出することができる。
【0055】
上述した特徴を有する本発明のポリカーボネート樹脂は、従来のポリカーボネート樹脂と同様、射出成形、押出成形などにより、種々の成形品に加工することができるが、特に射出成形に好適に適用することができる。
【0056】
このような加工品としてはフィルム、糸、板などの素材をはじめ、照明器具、光学機器などの部品、光ディスクや光磁気ディスクの基板などが挙げられる。これらの成形品の製造に際しては、常法によりポリカーボネート樹脂に安定剤、型抜き剤、燃焼遅延剤、帯電防止剤、充填剤、繊維、衝撃強度変性剤などを添加して組成物の状態としてもよい。
【実施例】
【0057】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0058】
<ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)分析測定条件>
下記の条件により、実施例および比較例で得られたポリカーボネート樹脂の重量平均分子量(Mw)、分子量分布値(Mw/Mn)(ポリスチレン換算)及び分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合(質量%)を測定した。
使用機器:東ソー社製HLC-8320GPC
カラム:Shodex K-G+K-805Lx2本+K-800D
溶離液;クロロホルム
温度:カラム恒温槽40℃
流速:1.0ml/min
濃度:0.1wt/vol%
注入量:100μl
前処理:0.45μmフィルターでろ過
検出器:示差屈折計(RI)
尚、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合(質量%)は、以下のようにして求めた。即ち、エーエムアール株式会社製ポリスチレンを使用して作成した下記検量線式を用いてlog分子量を算出した。
log分子量=s-1.37T+6.31×10-2×T2-1.35×10-3×T3
式中、Tは溶離時間(min)を示す。
横軸を分子量(log分子量)、縦軸を溶出割合(dwt/d(log分子量))とするクロマトグラムから、クロマトグラム全領域の面積と分子量が1,000未満の分子量範囲の面積との比率を算出することで、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合を求めた。
【0059】
<実施例1>
(工程1)
9w/w%の水酸化ナトリウム水溶液1,050mlに、本州化学工業株式会社製シクロドデカンビスフェノール(以下HPCD)100g、ハイドロサルファイト0.5gおよびトリエチルベンジルアンモニウムクロリド(以下TEBAC)0.01gを加えて溶解させた。得られた溶解液にジクロロメタン390mlを加え撹拌しながら、溶液温度を20℃に設定し、ホスゲン45gを30分かけて吹き込んだ。
【0060】
(工程2)
ホスゲンの吹き込み終了後、ジクロロメタン50mlに溶解したp-tert-ブチルフェノール(PTBP)0.5gを加え、7分間激しく撹拌して乳化させた(乳化時間を7分とした)。その後、重合触媒として0.36gのトリエチルアミン(TEA)を加え30分間重合させた。
【0061】
(後工程)
重合液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液のpHがpH=7.0になるまで純水で水洗を繰り返した。この生成されたポリカーボネート樹脂溶液から、有機溶媒を蒸発留去することにより、ポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0062】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは155,300、分子量分布値(Mw/Mn)は4.16、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.24質量%であった。
【0063】
<実施例2>
工程2において、乳化時間を2分に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0064】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは157,500、分子量分布値(Mw/Mn)は4.16、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.35質量%であった。
【0065】
<実施例3>
工程1において、TEBACをトリブチルベンジルアンモニウムクロリド(TBBAC)に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0066】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは159,300、分子量分布値(Mw/Mn)は4.94、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.27質量%であった。
【0067】
<実施例4>
工程1において、TEBAC添加量を0.05gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0068】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは155,500、分子量分布値(Mw/Mn)は5.82、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.45質量%であった。
【0069】
<実施例5>
工程2において、乳化時間を10分に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0070】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは157,600、分子量分布値(Mw/Mn)は4.81、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.34質量%であった。
【0071】
<実施例6>
工程1において、ジオール化合物としてHPCD70gおよびビスフェノールA(BPA)30gを用いたこと、PTBPを1.4gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0072】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは71,800、分子量分布値(Mw/Mn)は2.47、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.15質量%であった。
【0073】
<実施例7>
工程1において、ジオール化合物としてHPCD50gおよびBPA50gを用いたこと、PTBPを1.53gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0074】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは70,000、分子量分布値(Mw/Mn)は2.46、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.16質量%であった。
【0075】
<実施例8>
工程1において、ジオール化合物としてHPCD30gおよびBPA70gを用いたこと、PTBPを1.65gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0076】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは75,500、分子量分布値(Mw/Mn)は2.64、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.21質量%であった。
【0077】
<比較例1>
工程1において、TEBAC添加量を0.20gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0078】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは177,800、分子量分布値(Mw/Mn)は7.44、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.80質量%であった。
【0079】
<比較例2>
工程2において、乳化時間を15分に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0080】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは160,500、分子量分布値(Mw/Mn)は6.03、分子量が1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.68質量%であった。
【0081】
<比較例3>
工程1において、TBBAC添加量を0.10gに変えたこと、即ち、TEBAC0.01gに代えてTBBAC0.10gを添加したこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0082】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは153,300、分子量分布値(Mw/Mn)は6.12、分子量が1,000以下のオリゴマーの含有割合は0.54質量%であった。
【0083】
<比較例4>
(工程1)
9w/w%の水酸化ナトリウム水溶液1,050mlに、HPCD100gおよびハイドロサルファイト0.5gを加えて溶解させた。得られた溶解液にジクロロメタン390mlを加え撹拌しながら、溶液温度を20℃に設定し、ホスゲン45gを30分かけて吹き込んだ。
(工程2)
ホスゲンの吹き込み終了後、7分間激しく撹拌して乳化させた(乳化時間を7分とした)。その後、重合触媒としてピリジン塩酸塩0.007gを加え30分間重合させた。
【0084】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは23,400、分子量分布値(Mw/Mn)は2.63、分子量が1,000以下のオリゴマーの含有割合は1.30質量%であった。
【0085】
<比較例5>
(工程1)
9w/w%の水酸化ナトリウム水溶液1,050mlに、HPCD100gおよびハイドロサルファイト0.5gを加えて溶解させた。得られた溶解液にジクロロメタン390mlを加え撹拌しながら、溶液温度を20℃に設定し、ホスゲン45gを30分かけて吹き込んだ。
(工程2)
ホスゲンの吹き込み終了後、重合触媒としてトリエチルアミン0.005gを加え、15分撹拌した。その後、ジクロロメタン50mlに溶解したPTBP0.5gを加えた。
【0086】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは26,900、分子量分布値(Mw/Mn)は2.43、分子量が1,000以下のオリゴマーの含有割合は0.63質量%であった。しかし、クロロホルメート構造が残存し、重合が完結していなかった。
【0087】
<比較例6>
工程1において、TEBAC添加量を0.10gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0088】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは165,800、分子量分布値(Mw/Mn)は5.74、分子量が1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.60質量%であった。
【0089】
<比較例7>
工程1において、HPCDをBPCに変えたこと、TEBACを0.02gに変えたこと、PTBPを1.4gに変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート樹脂粉末を得た。
【0090】
得られたポリカーボネート樹脂粉末についてGPC分析測定を行った結果、Mwは74,500、分子量分布値(Mw/Mn)は3.19、分子量1,000未満のオリゴマーの含有割合は0.68質量%であった。
【0091】
実施例1~8および比較例1~7の結果を表1に示す。
【表1】