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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】液晶表示装置及び偏光板
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20230816BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230816BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20230816BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G02F1/1335 510
G02F1/13357
G02F1/13363
G02B5/30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021097235
(22)【出願日】2021-06-10
(62)【分割の表示】P 2017528665の分割
【原出願日】2016-07-11
(65)【公開番号】P2021144247
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】P 2015141978
(32)【優先日】2015-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016052398
(32)【優先日】2016-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早川 章太
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 靖
(72)【発明者】
【氏名】向山 幸伸
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-055680(JP,A)
【文献】特開2015-094903(JP,A)
【文献】特開2015-052648(JP,A)
【文献】国際公開第2011/162198(WO,A1)
【文献】特開2015-069171(JP,A)
【文献】特開2012-203211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0335677(US,A1)
【文献】国際公開第2017/010444(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335-1/13363
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色光源であり、
前記偏光板のうち少なくとも視認側の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に1500~30000nmの面内リタデーションを有するポリエステルフィルムが積層されたものであり、前記偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.62である、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記バックライト光源の発光スペクトルは、
400nm以上495nm未満の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm以上であり、
495nm以上600nm未満の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm以上である、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を含み、かつ、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、600nm以上780nm以下の波長領域におけるピークが前記Mn 4+ 付活フッ化物錯体蛍光体に由来する白色光源であり、
前記偏光板のうち少なくとも視認側の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に1500~30000nmの面内リタデーションを有するポリエステルフィルムが積層されたものであり、
前記偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.62である、
液晶表示装置。
【請求項4】
前記Mn4+付活フッ化錯体物蛍光体が、KSiF:Mn4+である請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色光源であるか、
または、
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を含み、かつ、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、600nm以上780nm以下の波長領域におけるピークが前記Mn 4+ 付活フッ化物錯体蛍光体に由来する白色光源であり、
前記偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に1500~30000nmの面内リタデーションを有するポリエステルフィルムが積層されたものであり、前記偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.62であり、
前記ポリエステルフィルムの厚みが25~60μmである液晶表示装置。
【請求項6】
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、
400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色光源であるか、
または、
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を含み、かつ、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、600nm以上780nm以下の波長領域におけるピークが前記Mn 4+ 付活フッ化物錯体蛍光体に由来する白色光源であり、
前記偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に8000~30000nmの面内リタデーションを有するポリエステルフィルムが積層されたものであり、前記偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.62である、
液晶表示装置。
【請求項7】
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、
400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色光源であるか、
または、
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を含み、かつ、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、600nm以上780nm以下の波長領域におけるピークが前記Mn 4+ 付活フッ化物錯体蛍光体に由来する白色光源であり、
前記偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に1500~30000nmの面内リタデーションを有するポリエステルフィルムが積層されたものであり、前記偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.61であり、
前記ポリエステルフィルムのRe/Rthが0.2~0.85である、
液晶表示装置。
【請求項8】
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、
400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色光源であるか、
または、
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を含み、かつ、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、600nm以上780nm以下の波長領域におけるピークが前記Mn 4+ 付活フッ化物錯体蛍光体に由来する白色光源であり、
前記偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に4160~30000nmの面内リタデーションを有するポリエステルフィルムが積層されたものであり、前記偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.60である、
液晶表示装置。
【請求項9】
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、
400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色光源であるか、
または、
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体を含み、かつ、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、600nm以上780nm以下の波長領域におけるピークが前記Mn 4+ 付活フッ化物錯体蛍光体に由来する白色光源であり、
前記偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に4160~7820nmの面内リタデーションを有するポリエステルフィルムが積層されたものである、
液晶表示装置。
【請求項10】
前記偏光子の透過軸方向における屈折率と、前記偏光子の透過軸と平行な方向における前記ポリエステルフィルムの屈折率との差が0.12以下である、請求項1~9のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及び偏光板に関する。詳しくは、虹状の色斑の発生が軽減された液晶表示装置及び偏光板に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に使用される偏光板は、通常ポリビニルアルコール(PVA)などにヨウ素を染着させた偏光子を2枚の偏光子保護フィルムで挟んだ構成であり、偏光子保護フィルムとしては通常トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられている。近年、LCDの薄型化に伴い、偏光板の薄層化が求められるようになっている。しかし、このために保護フィルムとして用いられているTACフィルムの厚みを薄くすると、充分な機械強度を得ることが出来ず、また透湿性が悪化するという問題が発生する。また、TACフィルムは非常に高価であり、安価な代替素材としてポリエステルフィルムが提案されているが(特許文献1~3)、虹状の色斑が観察されるという問題があった。
【0003】
偏光子の片側に複屈折性を有する配向ポリエステルフィルムを配した場合、バックライトユニット、または、偏光子から出射した直線偏光はポリエステルフィルムを通過する際に偏光状態が変化する。透過した光は配向ポリエステルフィルムの複屈折と厚さの積であるリタデーションに特有の干渉色を示す。そのため、光源として冷陰極管や熱陰極管など不連続な発光スペクトルを用いると、波長によって異なる透過光強度を示し、虹状の色斑となる(参照:第15回マイクロオプティカルカンファレンス予稿集、第30~31項)。
【0004】
上記の問題を解決する手段として、バックライト光源として白色発光ダイオードのような連続的で幅広い発光スペクトルを有する白色光源を用い、更に偏光子保護フィルムとして一定のリタデーションを有する配向ポリエステルフィルムを用いることが提案されている(特許文献4)。白色発光ダイオードは、可視光領域において連続的で幅広い発光スペクトルを有する。そのため、複屈折体を透過した透過光による干渉色スペクトルの包絡線形状に着目すると、配向ポリエステルフィルムのリタデーションを制御することで、光源の発光スペクトルと相似なスペクトルを得られ、虹斑の抑制が可能であることが提案されている。
【0005】
配向ポリエステルフィルムの配向方向と偏光板の偏光方向を直交、あるいは平行にすることにより、偏光子から出射した直線偏光は配向ポリエステルフィルムを通過しても偏光状態を維持したまま通過するようになる。また、配向ポリエステルフィルムの複屈折を制御して一軸配向性を高めることにより、斜め方向から入射する光も偏光状態を維持したまま通過するようになる。配向ポリエステルフィルムを斜めから見ると、真上から見たときと比較して配向主軸方向にズレが生じるが、一軸配向性が高いと斜めから見たときの配向主軸方向のズレが小さくなる。このため、直線偏光の方向と配向主軸方向のズレが小さくなり、偏光状態の変化が生じにくくなっていると考えられる。このように、光源の発光スペクトルと複屈折体の配向状態、配向主軸方向を制御することにより、偏光状態の変化が抑制され、虹状の色斑が発生せずに、視認性が顕著に改善すると考えられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-116320号公報
【文献】特開2004-219620号公報
【文献】特開2004-205773号公報
【文献】WO2011/162198
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の液晶表示装置の色域拡大要求の高まりから、青色領域(400nm以上495nm未満)、緑色領域(495nm以上600nm未満)及び赤色領域(600nm以上780nm以下)の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、赤色領域(600nm以上780nm以下)におけるピークの半値幅が比較的狭い(5nm未満)発光スペクトルを有する白色発光ダイオード(例えば、青色発光ダイオードと、蛍光体として少なくともKSiF:Mn4+等のフッ化物蛍光体とを有する白色発光ダイオード等)からなるバックライト光源を使用した液晶表示装置が開発されている。
【0008】
偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた偏光板を用いて液晶表示装置を工業的に生産する場合、偏光子の透過軸とポリエステルフィルムの進相軸の方向は、通常互いに垂直になるように配置される。これは、偏光子であるポリビニルアルコールフィルムは、縦一軸延伸をして製造されるところ、その保護フィルムであるポリエステルフィルムは、縦延伸した後、横延伸をして製造されるため、ポリエステルフィルム配向主軸方向は横方向となり、これらの長尺物を貼り合わせて偏光板が製造されると、ポリエステルフィルムの進相軸と偏光子の透過軸は通常垂直方向となるためである。この場合、ポリエステルフィルムとして特定のリタデーションを有する配向ポリエステルフィルムを用い、バックライト光源として例えば、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LEDに代表される、連続的で幅広い発光スペクトルを有する光源を用いることにより、虹状の色斑は大幅に改善されるものの、赤色領域(600nm以上780nm以下)におけるピークの半値幅が比較的狭い(5nm未満)発光スペクトルを有する白色発光ダイオードからなるバックライト光源を用いた場合、依然として虹斑が生じるという新たな課題が存在することを発見した。
【0009】
すなわち、本発明の課題は、青色領域(400nm以上495nm未満)、緑色領域(495nm以上600nm未満)及び赤色領域(600nm以上780nm以下)の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、赤色領域(600nm以上780nm以下)におけるピークの半値幅が比較的狭い(5nm未満)発光スペクトルを有する白色発光ダイオードからなるバックライト光源を有する液晶表示装置において、偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合にも、虹斑が抑制された液晶表示装置及び偏光板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
代表的な本発明は、以下の通りである。
項1.
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配置された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色発光ダイオードであり、
前記偏光板のうち少なくとも一方の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に1500~30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムが積層されたものであり、前記偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.62である、
液晶表示装置。
項2.
前記バックライト光源の発光スペクトルは、
400nm以上495nm未満の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm以上であり、
495nm以上600nm未満の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm以上である、
項1に記載の液晶表示装置。
項3.
前記偏光子の透過軸方向における屈折率と、前記偏光子の透過軸と平行な方向における前記ポリエステルフィルムの屈折率との差が0.12以下である、項1又は2に記載の液晶表示装置。
項4.
偏光子の少なくとも一方の面に1500~30000nmのリタデーションを有するポリエステルフィルムが積層された偏光板であって、
前記偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.62である、
400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色発光ダイオードからなるバックライト光源を有する液晶表示装置用偏光板。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液晶表示装置及び偏光板は、いずれの観察角度においても虹状の色斑の発生が有意に抑制された良好な視認性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一般に、液晶表示装置は、バックライト光源に対向する側から画像を表示する側(視認側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セルおよび前面モジュールから構成されている。後面モジュールおよび前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とから構成されている。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源に対向する側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側(視認側)に配置されている。
【0013】
本発明の液晶表示装置は少なくとも、バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配された液晶セルとを構成部材とする。
【0014】
また、液晶表示装置は、バックライト光源、偏光板、液晶セル以外に他の構成、例えばカラーフィルター、レンズフィルム、拡散シート、反射防止フィルムなどを適宜有しても構わない。光源側偏光板とバックライト光源の間に、輝度向上フィルムを設けてもよい。輝度向上フィルムとしては、例えば、一方の直線偏光を透過し、それと直交する直線偏光を反射する反射型偏光板が挙げられる。反射型偏光板としては、例えば、住友スリーエム株式会社製のDBEF(登録商標)(Dual Brightness Enhancement Film)シリーズの輝度向上フィルムが好適に用いられる。なお、反射型偏光板は、通常、反射型偏光板の吸収軸と光源側偏光板の吸収軸とが平行になるように配置される。
【0015】
液晶表示装置内に配置される2つの偏光板のうち、少なくとも一方の偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA)などにヨウ素を染着させた偏光子の少なくとも一方の面にポリエステルフィルムが積層されたものである。偏光子の透過軸と平行な方向の、前記ポリエステルフィルムの屈折率は、1.53~1.62であることが好ましい。偏光子の他方の面には、TACフィルムやアクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような複屈折が無いフィルムが積層されることが好ましいが(3層構成の偏光板)、必ずしも偏光子の他方の面にフィルムが積層される必要はない(2層構成の偏光板)。なお、偏光子の両側の保護フィルムとしてポリエステルフィルムが用いられる場合、両方のポリエステルフィルムの遅相軸は互いに略平行であることが好ましい。
【0016】
偏光子は、当該技術分野において使用される任意の偏光子(偏光フィルム)を適宜選択して使用することができる。代表的な偏光子としては、ポリビニルアルコールフィルム等にヨウ素等の二色性材料を染着させたものを挙げることができるが、これに限定されるものではなく、公知及び今後開発され得る偏光子を適宜選択して用いることができる。
【0017】
PVAフィルムは、市販品を用いることができ、例えば、「クラレビニロン((株)クラレ製)」、「トーセロビニロン(東セロ(株)製)]、「日合ビニロン(日本合成化学(株)製)]等を用いることができる。二色性材料としてはヨウ素、ジアゾ化合物、ポリメチン染料等を挙げることができる。
【0018】
偏光子は、任意の手法で得ることができ、例えば、PVAフィルムを二色性材料で染着させたものをホウ酸水溶液中で一軸延伸し、延伸状態を保ったまま洗浄及び乾燥を行うことにより得ることができる。一軸延伸の延伸倍率は、通常4~8倍程度であるが特に制限されない。他の製造条件等は公知の手法に従って適宜設定することができる。
【0019】
バックライトの構成としては、導光板や反射板などを構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であっても構わないが、本発明では、液晶表示装置のバックライト光源として、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満、及び600nm以上780nm以下の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、かつ、600nm以上780nm以下の波長領域における最もピーク強度の高いピークの半値幅が5nm未満である発光スペクトルを有する白色発光ダイオードからなるバックライト光源が好ましい。600nm以上780nm以下の波長領域における最も高いピーク強度を有するピークの半値幅の上限は5nm未満が好ましく、より好ましくは4nm未満、さらに好ましくは3.5nm未満である。下限は1nm以上が好ましく、より好ましくは1.5nm以上である。ピークの半値幅が5nm未満であると、液晶表示装置の色域が広がるため好ましい。また、ピークの半値幅が1nm未満であると、発光効率が悪くなるおそれがあり好ましくない。要求される色域と発光効率のバランスから発光スペクトルの形状が設計される。なお、ここで、半値幅とは、ピークトップの波長におけるピーク強度の、1/2の強度におけるピーク幅(nm)のことである。
【0020】
上述した特徴を持つ発光スペクトルを有するバックライト光源のLCDへの適用は、近年の色域拡大要求の高まりから注目されている技術である。従来から使用されている白色LED(例えば、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子)をバックライト光源として使用するLEDでは、人間の目が認識可能なスペクトルの20%程度しか色を再現することが出来ない。これに対し上述した特徴を持つ発光スペクトルを有するバックライト光源を用いた場合、60%以上の色を再現することが可能になると言われている。
【0021】
前記400nm以上495nm未満の波長領域は、より好ましくは430nm以上470nm以下である。前記495nm以上600nm未満の波長領域は、より好ましくは510nm以上560nm以下である。前記600nm以上780nm以下の波長領域は、より好ましくは600nm以上700nm以下であり、さらにより好ましくは610nm以上680mn以下である。
【0022】
発光スペクトルの400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満の各波長領域のピークトップにおけるピーク半値幅(各波長領域における最も高いピーク強度を有するピークの半値幅)は、特に限定されないが、400nm以上495nm未満の波長領域における最も高いピーク強度を有するピークの半値幅が5nm以上であることが好ましく、495nm以上600nm未満の波長領域における最も高いピーク強度を有するピークの半値幅が5nm以上であることが好ましい。適正な色域を確保する観点から、400nm以上495nm未満、495nm以上600nm未満の各波長領域のピークトップにおけるピーク半値幅(各波長領域における最も高いピーク強度を有するピークの半値幅)の上限は、好ましくは140nm以下であり、好ましくは120nm以下であり、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは80nm以下であり、さらに好ましくは60nm以下であり、よりさらに好ましくは50nm以下である。
【0023】
上述した特徴を持つ発光スペクトルを有する白色光源として、具体的には、例えば、青色発光ダイオードと蛍光体を組み合わせた蛍光体方式の白色発光ダイオードが挙げられる。前記蛍光体のうち赤色蛍光体としては、例えば組成式がKSiF:Mn4+であるフッ化物蛍光体(「KSF」ともいう)、その他が例示される。Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体は、Mn4+を付活剤、アルカリ金属、アミンまたはアルカリ土類金属のフッ化物錯体塩を母体結晶とする蛍光体である。母体結晶を形成するフッ化物錯体には、配位中心が3価金属(B、Al、Ga、In、Y、Sc、ランタノイド)のもの、4価金属(Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Re、Hf)のもの、5価金属(V、P、Nb、Ta)のものがあり、その周りに配位するフッ素原子の数は5~7である。
【0024】
Mn4+付活フッ化物錯体蛍光体の好適例としては、A[MF]:Mn(AはLi、Na、K、Rb、Cs、NHから選ばれる一種以上;MはGe、Si、Sn、Ti、Zrから選ばれる一種以上)、E[MF]:Mn(EはMg、Ca、Sr、Ba、Znから選ばれる一種以上;MはGe、Si、Sn、Ti、Zrから選ばれる一種以上)、Ba0.65、Zr0.352.70:Mn、A[ZrF]:Mn(AはLi、Na、K、Rb、Cs、NHから選ばれる一種以上)、A[MF]:Mn(AはLi、Na、K、Rb、Cs、NHから選ばれる一種以上;MはAl、Ga、Inから選ばれる一種以上)、A[MF]:Mn(AはLi、Na、K、Rb、Cs、NH4から選ばれる一種以上;MはAl、Ga、Inから選ばれる一種以上)、Zn[MF]:Mn(MはAl、Ga、Inから選ばれる一種以上)、A[In]:Mn(AはLi、Na、K、Rb、Cs、NHから選ばれる一種以上)などがある。
【0025】
好ましいMn4+付活フッ化物錯体蛍光体のひとつは、アルカリ金属のヘキサフルオロ錯体塩を母体結晶とするAMF:Mn(AはLi、Na、K、Rb、Cs、NHから選ばれる一種以上;MはGe、Si、Sn、Ti、Zrから選ばれる一種以上)である。中でも好ましいのは、AがK(カリウム)またはNa(ナトリウム)から選ばれる1種以上、MがSi(ケイ素)またはTi(チタン)であるものである。その中でも特に、AがKであり(A全量に占めるKの比率が99モル%以上)、MがSiであるものが好ましい。付活元素はMn(マンガン)が100%であることが望ましいが、付活元素の全量に対し10モル%未満の範囲でTi、Zr、Ge、Sn、Al、Ga、B、In、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Ru、Ag、Zn、Mgなどが含まれていてもよい。MがSiの場合、SiとMnとの合計におけるMnの割合は、0.5モル%~10モル%の範囲内であることが望ましい。他の好ましいMn4+付活フッ化物錯体蛍光体として、化学式A2+xMn(AはNaおよびK;MはSiおよびAl;-1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)で表されるものが挙げられる。
【0026】
バックライト光源には、青色発光ダイオードと蛍光体として少なくともフッ化物蛍光体とを有する白色発光ダイオードが好ましく、特に好ましくは、青色発光ダイオードと蛍光体として少なくともKSiF:Mn4+であるフッ化物蛍光体とを有する白色発光ダイオードである。例えば、日亜化学工業株式会社製の白色LEDであるNSSW306FT等の市販品を用いることができる。
【0027】
また、前記蛍光体のうち緑色蛍光体としては、例えばβ-SiAlON:Eu等を基本組成とするサイアロン系蛍光体、(Ba,Sr)SiO:Eu等を基本組成とするシリケート系蛍光体、その他が例示される。
【0028】
なお、400nm以上495nm未満の波長領域、495nm以上600nm未満の波長領域、又は600nm以上780nm以下の波長領域のいずれかの波長領域において、複数のピークが存在する場合は以下の様に考える。
複数のピークが、それぞれ独立したピークである場合、最もピーク強度の高いピークの半値幅が上記範囲であることが好ましい。さらに、最も高いピーク強度の70%以上の強度を有する他のピークについても、同様に半値幅が上記範囲になることがより好ましい態様である。
複数のピークが重なった形状を有する一個の独立したピークについては、複数のピークのうち最もピーク強度の高いピークの半値幅をそのまま測定できる場合には、その半値幅を用いる。ここで、独立したピークとは、ピークの短波長側、長波長側の両方にピーク強度の1/2になる強度の領域を有するものである。すなわち、複数のピークが重なり、個々のピークがその両側にピーク強度の1/2になる強度の領域を有さない場合は、その複数のピークを全体として一個のピークと見なす。この様な、複数のピークが重なった形状を有する一個のピークは、その中の最も高いピーク強度の、1/2の強度におけるピークの幅(nm)を半値幅とする。
なお、複数のピークのうち、最もピーク強度の高いピークをピークトップとする。
なお、400nm以上495nm未満の波長領域、495nm以上600nm未満の波長領域、又は600nm以上780nm以下の波長領域のそれぞれの波長領域における最も高いピーク強度を持つピークは他の波長領域のピークとはお互い独立した関係にあることが好ましい。特に、495nm以上600nm未満の波長領域で最も高いピーク強度を持つピークと、600nm以上780nm以下の領域で最も高いピーク強度を持つピークとの間の波長領域には、強度が600nm以上780nm以下の波長領域の最も高いピーク強度を持つピークのピーク強度の1/3になる領域が存在することが色彩の鮮明性の面で好ましい。
【0029】
バックライト光源の発光スペクトルは、浜松ホトニクス製 マルチチャンネル分光器 PMA-12等の分光器を用いることにより測定が可能である。
【0030】
本発明らは鋭意検討した結果、上述したバックライト光源のように、青色領域(400nm以上495nm未満)、緑色領域(495nm以上600nm未満)及び赤色領域(600nm以上780nm以下)の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、赤色領域(600nm以上780nm以下)におけるピークの半値幅が5nm未満と比較的狭い白色発光ダイオードからなるバックライト光源を有する液晶表示装置において、偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた偏光板を使用した場合でも、偏光板を構成する偏光子の透過軸と平行な方向の、ポリエステルフィルムの屈折率が1.53以上1.62以下の範囲にあれば、有為に虹斑を抑制できることを見出した。上記態様により虹状の色斑の発生が抑制される機構としては、次のように考えている。
【0031】
偏光子の片側に配向ポリエステルフィルムを配した場合、バックライトユニット、または、偏光子から出射した直線偏光はポリエステルフィルムを通過する際に偏光状態が変化する。偏光状態が変化する要因の一つに、空気層と配向ポリエステルフィルムとの界面における屈折率差、または偏光子と配向ポリエステルフィルムとの界面における屈折率差が影響している可能性が考えられる。配向ポリエステルフィルムに入射した直線偏光が、各界面を通過する際に、界面における屈折率差により光の一部が反射される。この時に出射光、反射光とも偏光状態が変化し、これが虹状の色斑が発生する要因の一つとなっていると考えられる。このため、入射する直線偏光の偏光方向(透過軸方向)における、空気層と配向ポリエステルフィルムとの屈折率差、および偏光子と配向ポリエステルフィルムとの屈折率差を小さくすることで、各界面での反射が抑制されて、虹状の色斑が抑制されると考えられる。入射する直線偏光の偏光方向(透過軸方向)における、空気層と配向ポリエステルフィルムとの屈折率差、および偏光子と配向ポリエステルフィルムとの屈折率差を小さくするためには、前記透過軸と平行な方向におけるポリエステルフィルムの屈折率を1.53~1.62程度に低く調節することで達成することができる。
【0032】
以上のように、本発明では、青色領域(400nm以上495nm未満)、緑色領域(495nm以上600nm未満)及び赤色領域(600nm以上780nm以下)の各波長領域にそれぞれ発光スペクトルのピークトップを有し、赤色領域(600nm以上780nm以下)におけるピークの半値幅が5nm未満と比較的狭い白色発光ダイオードからなるバックライト光源を有する液晶表示装置において、偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを使用した偏光板を用いても、虹状の色斑が発生せずに、良好な視認性を有することが可能となる。
【0033】
本発明の偏光板には、偏光子の少なくとも一方の面に、ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムを積層する。偏光子の透過軸方向と平行な方向の、ポリエステルフィルムの屈折率は、1.53以上1.62以下の範囲になるよう低く調節することが好ましい。これにより、空気層とポリエステルフィルムとの界面、偏光子とポリエステルフィルムとの界面における反射を抑制し、虹状の色斑を抑制することが可能となる。屈折率が1.62を超えると、斜め方向から観察した際に虹状の色斑が生じることがある。好ましくは1.61以下であり、より好ましくは1.60以下であり、さらに好ましくは1.59以下であり、よりさらに好ましくは1.58以下である。
【0034】
一方、屈折率の下限値は1.53である。屈折率が1.53未満になると、ポリエステルフィルムの結晶化が不十分となり、寸法安定性、力学強度、耐薬品性等の延伸により得られる特性が不十分となることから好ましくない。好ましくは1.54以上、より好ましくは1.55以上、さらに好ましくは1.56以上、よりさらに好ましくは1.57以上である。
【0035】
偏光子の透過軸方向と平行な方向の、ポリエステルフィルムの屈折率を1.53以上1.62以下の範囲に設定するには、本発明の偏光板は、偏光子の透過軸とポリエステルフィルムの進相軸(遅相軸と垂直方法)とが略平行であることが好ましい。ポリエステルフィルムの進相軸方向(遅相軸と垂直方向)の屈折率は、後述する製膜工程における延伸処理により、1.53~1.62の範囲に調節することが可能である。そして、ポリエステルフィルムの進相軸方向と偏光子の透過軸方向を略平行とすることで、偏光子の透過軸方向と平行な方向のポリエステルフィルムの屈折率が1.53~1.62である偏光板を製造することができる。ここで略平行であるとは、偏光子の透過軸と偏光子保護フィルムの進相軸とがなす角が、好ましくは-15°~15°、より好ましくは-10°~10°、さらに好ましく-5°~5°、よりさらに好ましくは-3°~3°、一層好ましくは-2°~2°、特に好ましくは-1°~1°であることを意味する。好ましい一実施形態において、略平行とは実質的に平行である。ここで実質的に平行であるとは、偏光子と保護フィルムとを貼り合わせる際に不可避的に生じるずれを許容する程度に透過軸と進相軸とが平行であることを意味する。遅相軸の方向は、分子配向計(例えば、王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)で測定して求めることができる。
【0036】
すなわち、本発明で使用するポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率は1.53以上1.62以下が好ましく、偏光子の透過軸とポリエステルフィルムの進相軸とを略平行となるように積層することで、偏光子の透過軸と平行な方向の、ポリエステルフィルムの屈折率を1.53以上1.62以下の偏光板を製造することができる。
【0037】
偏光板を構成する偏光子の透過軸方向における屈折率と、偏光子の透過軸と平行な方向におけるポリエステルフィルムの屈折率との差が0.12以下であることが好ましく、好ましくは0.10以下、好ましくは0.09以下、好ましくは0.08以下、好ましくは0.07以下、好ましくは0.06以下、好ましくは0.05以下である。屈折率差が小さいほど、ポリエステルフィルム界面での反射を抑え、虹斑を抑制できることから好ましい。下限は0である。
【0038】
偏光子は、特に制限されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などにヨウ素を染着させたもの等、従来公知の偏光子を用いることができる。偏光子の透過軸方向における屈折率は、好ましくは1.41~1.56であり、より好ましくは1.44~1.55であり、さらにより好ましくは1.47~1.54である。
【0039】
また、偏光子保護フィルムに用いられるポリエステルフィルムは1500~30000nmのリタデーションを有することが好ましい。リタデーションが上記範囲にあれば、より虹斑が低減しやすくなる傾向にあり好ましい。好ましいリタデーションの下限値は3000nm、次に好ましい下限値は3500nm、より好ましい下限値は4000nm、更に好ましい下限値は6000nm、より更に好ましい下限値は8000nmである。好ましい上限は30000nmであり、これ以上のリタデーションを有するポリエステルフィルムでは厚みが相当大きくなり、工業材料としての取り扱い性が低下する傾向にある。
【0040】
なお、リタデーションは、フィルム上の直交する2軸方向の屈折率と厚みを測定して求めることもできるし、KOBRA-21ADH(王子計測機器株式会社)といった市販の自動複屈折測定装置を用いて求めることもできる。なお、屈折率は、アッベの屈折率計(測定波長589nm)によって求めることができる。
【0041】
ポリエステルフィルムのリタデーション(Re:面内リタデーション)と厚さ方向のリタデーション(Rth)との比(Re/Rth)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上である。上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、観察角度による虹状の色斑の発生が生じ難くなる傾向にある。完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は2.0となることから、上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)の上限は2.0が好ましい。なお、厚さ方向位相差は、フィルムを厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz、△Nyzにそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られる位相差の平均を意味する。
【0042】
上記ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムは、入射光側(光源側)と出射光側(視認側)の両方の偏光板に用いることができる。入射光側に配される偏光板において、上記ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムは、その偏光子を起点として入射光側に配置していても、液晶セル側に配置していても、両側に配置されていても良いが、少なくとも入射光側に配置されていることが好ましい。出射光側に配置される偏光板については、上記ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムは、その偏光子を起点として液晶側に配置されても、出射光側に配置されていても、両側に配置されていてもよいが、少なくとも出射光側に配置されていることが好ましい。
【0043】
ポリエステルフィルムに用いられるポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを用いることができるが、他の共重合成分を含んでも構わない。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れており、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは固有複屈折が大きく、フィルムを延伸することで進相軸(遅相軸方向と垂直)方向の屈折率を低く抑えることができること、及びフィルムの厚みが薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られることから、最も好適な素材である。
【0044】
また、ヨウ素色素などの光学機能性色素の劣化を抑制することを目的として、ポリエステルフィルムは、波長380nmの光線透過率が20%以下であることが望ましい。380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。前記光線透過率が20%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質を抑制することができる。なお、透過率は、フィルムの平面に対して垂直方向に測定したものであり、分光光度計(例えば、日立U-3500型)を用いて測定することができる。
【0045】
ポリエステルフィルムの波長380nmの透過率を20%以下にするためには、紫外線吸収剤の種類、濃度、及びフィルムの厚みを適宜調節することが望ましい。本発明で使用される紫外線吸収剤は公知の物質である。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、環状イミノエステル系等、及びその組み合わせが挙げられるが上述した吸光度の範囲であれば特に限定されない。しかし、耐久性の観点からはベンゾトリアゾール系、環状イミノエステル系が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
【0046】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤としては例えば2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノールなどが挙げられる。環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては例えば2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンズオキサジノン-4-オン)、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オンなどが挙げられる。しかし特にこれらに限定されるものではない。
【0047】
また、紫外線吸収剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、触媒以外の各種の添加剤を含有させることも好ましい様態である。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。また、高い透明性を奏するためにはポリエステルフィルムに実質的に粒子を含有しないことも好ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
【0048】
本発明に用いられる偏光子保護フィルムであるポリエステルフィルムの表面には、写り込み防止やギラツキ抑制、キズ抑制などを目的として、種々の機能層、すなわちハードコート層、防眩層、反射防止層等を設けることも好ましい様態である。種々の機能層を設けるに際して、ポリエステルフィルムはその表面に易接着層を有することが好ましい。その際、反射光による干渉を抑える観点から、易接着層の屈折率を、機能層の屈折率とポリエステルフィルムの屈折率の相乗平均近傍になるように調整することが好ましい。易接着層の屈折率の調整は、公知の方法を採用することができ、例えば、バインダー樹脂に、チタンやゲルマニウム、その他の金属種を含有させることで容易に調整することができる。
【0049】
ポリエステルフィルムには、偏光子との接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
【0050】
本発明においては、偏光子との接着性を改良のために、本発明のフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。本発明の易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
【0051】
易接着層は、前記塗布液を縦方向の1軸延伸フィルムの片面または両面に塗布した後、100~150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。最終的な易接着層の塗布量は、0.05~0.20g/m2に管理することが好ましい。塗布量が0.05g/m未満であると、得られる偏光子との接着性が不十分となる場合がある。一方、塗布量が0.20g/mを超えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。ポリエステルフィルムの両面に易接着層を設ける場合は、両面の易接着層の塗布量は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して上記範囲内で設定することができる。
【0052】
易接着層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。易接着層に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。これらは、単独で易接着層に添加されてもよく、2種以上を組合せて添加することもできる。
【0053】
また、塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0054】
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2~5mmとなるような倍率で、300~500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
【0055】
偏光子保護フィルムとして使用するポリエステルフィルムは、一般的なポリエステルフィルムの製造方法に従って製造することができる。例えば、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。
【0056】
本発明で使用するポリエステルフィルムは一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもかまわないが、二軸延伸フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた場合、フィルム面の真上から観察しても虹状の色斑が見られないが、斜め方向から観察した時に虹状の色斑が観察される場合があるので注意が必要である。
【0057】
ポリエステルフィルムの製膜条件を具体的に説明すると、縦延伸温度、横延伸温度は80~135℃が好ましく、より好ましくは80~130℃、特に好ましくは90~120℃である。遅相軸がTD方向になるようにフィルムを配向させるには、縦延伸倍率は1.0~3.5倍が好ましく、特に好ましくは1.0倍~3.0倍である。また、横延伸倍率は2.5~6.0倍が好ましく、特に好ましくは3.0~5.5倍である。遅相軸がMD方向となるようにフィルムを配向させるには、縦延伸倍率は2.5倍~6.0倍が好ましく、特に好ましくは3.0~5.5倍である。また、横延伸倍率は1.0倍~3.5倍が好ましく、特に好ましくは1.0倍~3.0倍である。
ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率又はリタデーションを上記範囲に制御するためには、縦延伸倍率と横延伸倍率の比率を制御することが好ましい。縦横の延伸倍率の差が小さすぎると、ポリエステルフィルムの進相軸方向の屈折率が1.62を超える傾向にあり、また、リタデーション高くすることが難しくなるため、好ましくない。また、延伸温度を低く設定することは、リタデーションを高くする上では好ましい対応である。続く熱処理においては、処理温度は100~250℃が好ましく、特に好ましくは180~245℃である。
リタデーションの変動を抑制する為には、フィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。延伸温度、延伸倍率はフィルムの厚み斑に大きな影響を与えることから、厚み斑の観点からも製膜条件の最適化を行う必要がある。特にリタデーションを高くするために縦延伸倍率を低くすると、縦厚み斑が悪くなることがある。縦厚み斑は延伸倍率のある特定の範囲で非常に悪くなる領域があることから、この範囲を外したところで製膜条件を設定することが望ましい。
ポリエステルフィルムの厚み斑は5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることがよりさらに好ましく、3.0%以下であることが特に好ましい。
【0058】
前述のように、ポリエステルフィルムのリタデーションを特定範囲に制御する為には、延伸倍率や延伸温度、フィルムの厚みを適宜設定することにより行なうことができる。例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、フィルムの厚みが厚いほど高いリタデーションを得やすくなる。逆に、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、フィルムの厚みが薄いほど低いリタデーションを得やすくなる。但し、フィルムの厚みを厚くすると、厚さ方向位相差が大きくなりやすい。そのため、フィルム厚みは後述の範囲に適宜設定することが望ましい。また、リタデーションの制御に加えて、加工に必要な物性等を勘案して最終的な製膜条件を設定する必要がある。
【0059】
ポリエステルフィルムの厚みは任意であるが、15~300μmの範囲が好ましく、より好ましくは15~200μmの範囲である。15μmを下回る厚みのフィルムでも、原理的には1500nm以上のリタデーションを得ることは可能である。しかし、その場合にはフィルムの力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下する。特に好ましい厚みの下限は25μmである。一方、偏光子保護フィルムの厚みの上限は、300μmを超えると偏光板の厚みが厚くなりすぎてしまい好ましくない。偏光子保護フィルムとしての実用性の観点からは厚みの上限は200μmが好ましい。特に好ましい厚みの上限は一般的なTACフィルムと同等程度の100μmである。上記厚み範囲においてもリタデーションを本発明の範囲に制御するために、フィルム基材として用いるポリエステルはポリエチレンタレフタレートが好適である。
【0060】
また、ポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を配合する方法としては、公知の方法を組み合わせて採用し得るが、例えば予め混練押出機を用い、乾燥させた紫外線吸収剤とポリマー原料とをブレンドしマスターバッチを作製しておき、フィルム製膜時に所定の該マスターバッチとポリマー原料を混合する方法などによって配合することができる。
【0061】
この時マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は紫外線吸収剤を均一に分散させ、且つ経済的に配合するために5~30質量%の濃度にするのが好ましい。マスターバッチを作製する条件としては混練押出機を用い、押し出し温度はポリエステル原料の融点以上、290℃以下の温度で1~15分間で押し出すのが好ましい。290℃を越えると紫外線吸収剤の減量が大きく、また、マスターバッチの粘度低下が大きくなる。押し出し時間1分以下では紫外線吸収剤の均一な混合が困難となる。この時、必要に応じて安定剤、色調調整剤、帯電防止剤を添加しても良い。
【0062】
また、ポリエステルフィルムを少なくとも3層以上の多層構造とし、フィルムの中間層に紫外線吸収剤を添加することが好ましい。中間層に紫外線吸収剤を含む3層構造のフィルムは、具体的には次のように作製することができる。外層用としてポリエステルのペレット単独、中間層用として紫外線吸収剤を含有したマスターバッチとポリエステルのペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台以上の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、両外層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム層を積層し、口金から3層のシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。なお、光学欠点の原因となる、原料のポリエステル中に含まれている異物を除去するため、溶融押し出しの際に高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。
【実施例
【0063】
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、以下の実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
【0064】
(1)ポリエステルフィルムの屈折率
分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)を用いて、フィルムの遅相軸方向を求め、遅相軸方向が測定用サンプル長辺と平行になるように、4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(遅相軸方向の屈折率:Ny、進相軸(遅相軸方向と直交する方向の屈折率):Nx)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR-4T、測定波長589nm)によって求めた。
【0065】
(2)リタデーション(Re)
リタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx-Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)を用いて、フィルムの遅相軸方向を求め、遅相軸方向が測定用サンプル長辺と平行になるように、4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(遅相軸方向の屈折率:Ny,遅相軸方向と直交する方向の屈折率:Nx)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR-4T、測定波長589nm)によって求め、前記二軸の屈折率差の絶対値(|Nx-Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
【0066】
(3)厚さ方向リタデーション(Rth)
厚さ方向リタデーションとは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|Nx-Nz|)、△Nyz(=|Ny-Nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定と同様の方法でNx、Ny、Nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と(△Nyz×d)との平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
【0067】
(4)バックライト光源の発光スペクトルの測定
各実施例で使用する液晶表示装置には、東芝社製のREGZA 43J10Xを用いた。この液晶表示装置のバックライト光源(白色発光ダイオード)の発光スペクトルを、浜松ホトニクス製 マルチチャンネル分光器 PMA-12を用いて測定したところ、450nm、535nm、630nm付近にピークトップを有する発光スペクトルが観察された。各ピークトップの半値幅(各波長領域における最も高いピーク強度を有するピークの半値幅)は、それぞれ450nmのピークが17nm、535nmのピークが45nm、630nmのピークが2nmであった。なお、この光源では600nm以上780nm以下の波長領域に複数のピークを有したが、この領域で最もピーク強度の高い630nm付近のピークで半値幅を評価した。また、スペクトル測定の際の露光時間は20msecとした。
【0068】
(5)虹斑観察
各実施例で得られた液晶表示装置を、正面、及び斜め方向から暗所で目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
【0069】
○: 虹斑が観察されない
△: 虹斑が僅かに観察される
×: 虹斑が観察される
××: 虹斑が著しく観察される
【0070】
(6)偏光子の屈折率
偏光子の透過軸方向の屈折率をアッベの屈折計(アタゴ社製、NAR-4T SOLID、測定波長589nm)にて測定した。
【0071】
(製造例1-ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
【0072】
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。)
【0073】
(製造例2-ポリエステルB)
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンズオキサジノン-4-オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
【0074】
(製造例3-接着性改質塗布液の調整)
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5-スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n-ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
【0075】
(偏光子)
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状のポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長尺の偏光子を得た。作製して得られた偏光子の透過軸方向における屈折率は1.51であった。
【0076】
(偏光子保護フィルム1)
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に供給し、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層および外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
【0077】
次いで、リバースロール法によりこの未延伸PETフィルムの両面に乾燥後の塗布量が0.08g/mになるように、上記接着性改質塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
【0078】
この塗布層を形成した未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、10秒間で処理し、さらに幅方向に3.0%の緩和処理を行い、フィルム厚み約100μmの一軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは10300nm、Rthは12350nm、Re/Rthは0.83、Nx=1.588、Ny=1.691であった。
【0079】
(偏光子保護フィルム2)
ラインスピードを変更して未延伸フィルムの厚みを変えた以外は偏光子保護フィルム1と同様にして製膜し、フィルム厚みが約80μmの一軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは8080nm、Rthは9960nm、Re/Rthは0.81、Nx=1.589、Ny=1.690であった。
【0080】
(偏光子保護フィルム3)
ラインスピードを変更して未延伸フィルムの厚みを変えた以外は偏光子保護フィルム1と同様にして製膜し、フィルム厚みが約60μmの一軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは6060nm、Rthは7470nm、Re/Rthは0.81、Nx=1.589、Ny=1.690であった。
【0081】
(偏光子保護フィルム4)
ラインスピードを変更して未延伸フィルムの厚みを変えた以外は偏光子保護フィルム1と同様にして製膜し、フィルム厚みが約40μmの一軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは4160nm、Rthは4920nm、Re/Rthは0.85、Nx=1.587、Ny=1.691であった。
【0082】
(偏光子保護フィルム5)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に1.5倍延伸した後、温度130℃の熱風ゾーンに導き幅方向に4.0倍延伸して、偏光子保護フィルム1と同様の方法でフィルム厚み約100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは7820nm、Rthは13890nm、Re/Rthは0.56、Nx=1.608、Ny=1.686であった。
【0083】
(偏光子保護フィルム6)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に2.0倍延伸した後、温度135℃の熱風ゾーンに導き幅方向に4.0倍延伸し、偏光子保護フィルム1と同様の方法でフィルム厚み約100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは6400nm、Rthは14600nm、Re/Rthは0.44、Nx=1.617、Ny=1.681であった。
【0084】
(偏光子保護フィルム7)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に2.8倍延伸した後、温度140℃の熱風ゾーンに導き幅方向に4.0倍延伸し、偏光子保護フィルム1と同様の方法でフィルム厚み約100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは5400nm、Rthは15900nm、Re/Rthは0.34、Nx=1.631、Ny=1.685であった。
【0085】
(偏光子保護フィルム8)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に3.3倍延伸した後、温度140℃の熱風ゾーンに導き幅方向に4.0倍延伸し、偏光子保護フィルム1と同様の方法でフィルム厚み約100μmの二軸延伸PETフィルムを得た。得られたフィルムのReは4800nm、Rthは16700nm、Re/Rthは0.29、Nx=1.640、Ny=1.688であった。
偏光子保護フィルム1~8を用いて後述するように液晶表示装置を作成した。
【0086】
(実施例1)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム1を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板1を作成した。東芝社製のREGZA 43J10Xの視認側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板1に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板1の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
【0087】
(実施例2)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム2を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板2を作成した。偏光板1を偏光板2に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0088】
(実施例3)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板3を作成した。偏光板1を偏光板3に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0089】
(実施例4)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板3を作成した。東芝社製のREGZA 43J10Xの光源側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板3に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板3の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
【0090】
(実施例5)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板3を作成した。東芝社製のREGZA 43J10Xの視認側及び光源側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板3に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板3の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
【0091】
(実施例6)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム4を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板4を作成した。偏光板1を偏光板4に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0092】
(実施例7)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム5を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板5を作成した。偏光板1を偏光板5に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0093】
(実施例8)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム6を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板6を作成した。偏光板1を偏光板6に変えた以外は実施例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0094】
(比較例1)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム1を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板7を作成した。東芝社製のREGZA 43J10Xの視認側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板7に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板7の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
【0095】
(比較例2)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム2を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板8を作成した。偏光板7を偏光板8に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0096】
(比較例3)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板9を作成した。偏光板7を偏光板9に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0097】
(比較例4)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板9を作成した。東芝社製のREGZA 43J10Xの光源側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板9に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板9の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
【0098】
(比較例5)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム3を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板9を作成した。東芝社製のREGZA 43J10X社製の視認側及び光源側の偏光板を、ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように上記偏光板9に置き換えて、液晶表示装置を作成した。なお、偏光板9の透過軸の方向が、置き換え前の偏光板の透過軸の方向と同一となるよう置き換えた。
【0099】
(比較例6)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム4を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が垂直になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板10を作成した。偏光板7を偏光板10に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0100】
(比較例7)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム7を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板11を作成した。偏光板7を偏光板11に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0101】
(比較例8)
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に偏光子保護フィルム8を偏光子の透過軸とフィルムの進相軸が平行になるように貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板12を作成した。偏光板7を偏光板12に変えた以外は比較例1と同様にして、液晶表示装置を作成した。
【0102】
各実施例で得た液晶表示装置について、虹斑観察を測定した結果を以下の表1に示す。
【0103】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の液晶表示装置及び偏光板は、いずれの観察角度においても虹状の色斑の発生が有意に抑制された良好な視認性を確保することができ、産業上の利用可能性は極めて高い。