(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】潤滑油用添加剤、潤滑油用添加剤組成物およびこれらを含有する潤滑油組成物
(51)【国際特許分類】
C10M 129/68 20060101AFI20230816BHJP
C10M 141/10 20060101ALI20230816BHJP
C10M 129/76 20060101ALN20230816BHJP
C10M 129/72 20060101ALN20230816BHJP
C10M 137/10 20060101ALN20230816BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20230816BHJP
C10N 30/06 20060101ALN20230816BHJP
C10N 40/08 20060101ALN20230816BHJP
C10N 40/20 20060101ALN20230816BHJP
C10N 40/25 20060101ALN20230816BHJP
C10N 10/04 20060101ALN20230816BHJP
C10N 30/12 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
C10M129/68
C10M141/10
C10M129/76
C10M129/72
C10M137/10 A
C10N30:00 Z
C10N30:06
C10N40:08
C10N40:20
C10N40:25
C10N10:04
C10N30:12
C10N30:00 B
(21)【出願番号】P 2021505086
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2020010341
(87)【国際公開番号】W WO2020184568
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2019047822
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020027128
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】清水 湧太郎
(72)【発明者】
【氏名】川本 英貴
(72)【発明者】
【氏名】小田 和裕
(72)【発明者】
【氏名】上田 成大
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-6950(JP,A)
【文献】特開平10-67995(JP,A)
【文献】特開平11-158483(JP,A)
【文献】米国特許第2443579(US,A)
【文献】米国特許第2977309(US,A)
【文献】特表2000-504268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で示されるエステル化合物(A)と、式(2)で示されるエステル化合物(B)とを含有し、エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の質量比が(A):(B)=99:1~80:20である潤滑油用添加剤。
【化1】
[式(1)中、R
1はカルボニル基の炭素同士が結合している単結合、または炭素数1~4の2価の炭化水素基を示し、R
2は炭素数4~22の炭化水素基を示す。Mは水素原子または有機アンモニウムを示す。]
【化2】
[式(2)中、R
3はカルボニル基の炭素同士が結合している単結合、または炭素数1~4の2価の炭化水素基を示し、R
4およびR
5はそれぞれ独立して炭素数4~22の炭化水素基を示す。]
【請求項2】
請求項1に記載の潤滑油用添加剤と、式(3)で示されるジチオリン酸亜鉛(C)とを含有し、エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の総含有量100質量部に対するジチオリン酸亜鉛(C)の含有量が1~1, 000質量部である潤滑油用添加剤組成物。
【化3】
[式(3)中、R
6~R
9はそれぞれ独立して炭素数1~24の炭化水素基を示す。]
【請求項3】
潤滑油用基油を70~99.99質量%、請求項1に記載の潤滑油用添加剤を0.01~30質量%含有する潤滑油組成物。
【請求項4】
潤滑油用基油を70~99.99質量%、請求項2に記載の潤滑油用添加剤組成物を0.01~30質量%含有する潤滑油組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は潤滑油用添加剤、潤滑油用添加剤組成物およびこれらを含有する潤滑油組成物に関する。より詳しくは、本発明は、潤滑油用基油(以下単に「基油」とも言う。)に対して耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性、耐金属腐食性などの多種の機能を付与することができ、亜鉛などの金属分やリン、硫黄を含有せず、使用により灰分を生成しない無灰型の潤滑油用多機能添加剤;基油に対して耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性などの多種の機能を付与することができる潤滑油用添加剤組成物;およびこれら潤滑油用添加剤または潤滑油用添加剤組成物をそれぞれ含有する潤滑油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン油、油圧作動油、金属加工油などに用いられる潤滑油は、基油(ベースオイル)と様々な機能を持つ添加剤とから成り立っている。潤滑油の機能の中でも耐摩耗性や耐荷重性は特に重要視されており、潤滑油に耐摩耗性や耐荷重性を付与するための代表的な添加剤としてZnDTP(ジチオリン酸亜鉛)が一般的に用いられている。
【0003】
しかしながら、ZnDTPは亜鉛、リン、硫黄を含有する化合物であり、亜鉛などの金属分は燃焼により灰分を生成する。例えばディーゼル車のエンジン油にZnDTPが含有されていると、エンジンの駆動により灰分が生成され、この灰分がディーゼル車に搭載されるDPF(Diesel Particulate Filter)の目詰まりを促進するおそれがある。また、リンや硫黄が含有されていると、自動車の排気ガスを浄化するために使用される三元触媒への影響が増大する場合がある。そのため、亜鉛などの金属分やリン、硫黄を含有せず、灰分を生成しない無灰型の耐摩耗剤が望まれている。無灰型耐摩耗剤として、例えば特許文献1には、酒石酸とアルコールとからなる酒石酸エステル類が開示されている。
【0004】
また、潤滑油には耐摩耗性以外にも、摩擦低減性、耐金属腐食性、抗乳化性などの様々な性能が求められており、耐摩耗剤以外にも複数の添加剤を併用させることが一般的である。無灰型耐摩耗剤とその他の添加剤との組み合わせとして、例えば特許文献2には、耐摩耗性と清浄性を改善したホウ素含有コハク酸イミドと無灰系摩擦調整剤との組み合わせが開示されている。
【0005】
しかしながら、添加剤の種類によっては組合せの相性の悪いものがあり、併用することでお互いの機能を妨げる場合がある。そのため、1種の添加剤で様々な機能を付与することができ、リンや硫黄を削減した多機能添加剤の開発が望まれている。
【0006】
無灰型の多機能添加剤として、例えば特許文献3には、耐金属腐食性と摩擦低減性の改善を目的として、多価アルコールとカルボン酸を反応させて得られる縮合反応混合物の中和物が開示され、特許文献4には、防錆性と摩擦低減性の改善を目的として、コハク酸誘導体とアミド化合物との混合物が開示され、特許文献5には、腐食防止性、耐摩耗性、抗乳化性の改善を目的として、N-アシル-N-アルコキシアスパラギン酸エステルが開示されている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1~5に開示の添加剤を以てしても基油に付与できる機能の数は2~3種類ほどであり、未だ不十分である。そのため、基油に対してより多くの機能を付与できる無灰型多機能添加剤の開発が望まれていた。
【0008】
一方で、ZnDTPの添加量を削減すると耐荷重性が低下するおそれがある。そのため、ZnDTPの添加量を削減しつつ耐荷重性を向上させる様々な検討がなされている。例えば、特許文献6にはポリスルフィド極圧剤とZnDTPとを組み合わせて含有する潤滑油剤が開示され、特許文献7にはホスホン酸エステルとZnDTPとを組み合わせて含有する潤滑油組成物が開示されている。
【0009】
また潤滑油は、省エネルギーの観点から、低粘度化が進んでいる。しかし、粘度が下がると金属部材同士の間で形成される油膜が薄くなるので、潤滑条件が過酷化し、金属摩耗のリスクが高くなる。そのため、潤滑油には耐荷重性の更なる向上が求められている。
【0010】
加えて潤滑油は、基油に対して耐荷重性以外に摩擦低減性や抗乳化性などの様々な性能を付与する必要があるため、極圧剤以外に複数の添加剤を併せて含有させることが一般的である。
【0011】
しかしながら、添加剤の種類によっては組合せの相性の悪いものがあり、併用することでお互いの性能を妨げる場合がある。このような背景から、例えば特許文献8には、グリセリン脂肪酸部分エステルとZnDTPとを組み合わせて含有するエンジン油組成物が開示されている。しかし、このエンジン油組成物は、耐荷重性が十分でなく、摩擦低減性や抗乳化性についても更なる改善が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特表2010-528154号公報
【文献】特開2003-73685号公報
【文献】特開2015-168813号公報
【文献】特開2011-140642号公報
【文献】特開平6-200268号公報
【文献】特許第4806198号公報
【文献】特開2005-2215号公報
【文献】特開2007-131792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上記課題を解決することであり、詳しくは、基油に対して耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性、耐金属腐食性などの多種の機能を付与することができるとともに、亜鉛などの金属分やリン、硫黄を含有せず、使用により灰分を生成しない無灰型の潤滑油用多機能添加剤およびこれを含有する潤滑油組成物を提供することである。
また本発明の他の目的は、ZnDTPの添加量を削減しつつ、基油に対して耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性などの多種の機能を付与することができる潤滑油用添加剤組成物およびこれを含有する潤滑油組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、式(1)および式(2)で示される各エステル化合物(A)及び(B)を特定の量比で含有する潤滑油用添加剤を基油に含有させることで、耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性、耐金属腐食性の各機能に優れた潤滑油が得られることを見出した。
【0015】
また、上記潤滑油用添加剤に対してZnDTPを特定の量比で基油に含有させることで、耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性の各機能に優れた潤滑油が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。これらの知見に基づく本発明は下記の〔1〕~〔4〕である。
【0016】
〔1〕式(1)で示されるエステル化合物(A)と、式(2)で示されるエステル化合物(B)とからなり、エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の質量比が(A):(B)=99:1~80:20である潤滑油用添加剤。
【0017】
【0018】
[式(1)中、R1はカルボニル基の炭素同士が結合している単結合、または炭素数1~4の2価の炭化水素基を示し、R2は炭素数4~22の炭化水素基を示す。Mは水素原子または有機アンモニウムを示す。]
【0019】
【0020】
[式(2)中、R3はカルボニル基の炭素同士が結合している単結合、または炭素数1~4の2価の炭化水素基を示し、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数4~22の炭化水素基を示す。]
【0021】
〔2〕上記〔1〕の潤滑油用添加剤と、式(3)で示されるジチオリン酸亜鉛(C)とを含有し、エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の総含有量100質量部に対するジチオリン酸亜鉛(C)の含有量が1~1, 000質量部である潤滑油用添加剤組成物。
【0022】
【0023】
[式(3)中、R6~R9はそれぞれ独立して炭素数1~24の炭化水素基を示す。]
【0024】
〔3〕潤滑油用基油を70~99.99質量%、上記〔1〕の潤滑油用添加剤を0.01~30質量%含有する潤滑油組成物。
【0025】
〔4〕潤滑油用基油を70~99.99質量%、上記〔2〕の潤滑油用添加剤組成物を0.01~30質量%含有する潤滑油組成物。
【発明の効果】
【0026】
本発明の潤滑油用添加剤は、潤滑油用基油に対して、耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性、耐金属腐食性などの多種の機能を付与することができる。また、本発明の潤滑油用添加剤は、使用に伴って灰分を生成しない無灰型の潤滑油用添加剤であるので、DPFなどのフィルターの目詰まりを起こすことなく、またリン原子や硫黄原子を含まないので三元触媒への影響が削減される。したがって、本発明の潤滑油用添加剤と潤滑油用基油を含有する潤滑油組成物は、ZnDTPの添加量が皆無であっても、耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性、耐金属腐食性の各機能に優れる。
【0027】
本発明の潤滑油用添加剤組成物は、ZnDTPの添加量を削減しつつ、潤滑油用基油に対して、耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性などの多種の機能を付与することができる。したがって、本発明の潤滑油用添加剤組成物と潤滑油用基油を含有する潤滑油組成物は、耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性の各機能に優れるとともに、灰分の生成を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の潤滑油用添加剤(以下単に「添加剤」ともいう。)、本発明の潤滑油用添加剤組成物(以下単に「添加剤組成物」ともいう。)、および添加剤または添加剤組成物と潤滑油用基油とを含有する潤滑油組成物の実施形態について詳しく説明する。
【0029】
なお、記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含む。例えば「2~10」は2以上10以下を表す。
また濃度または量を特定した場合、任意のより高い方の濃度または量と、任意のより低い方の濃度または量とを関連づけることができる。例えば「2~10質量%」および「好ましくは4~8質量%」の記載がある場合、「2~4質量%」、「2~8質量%」、「4~10質量%」および「8~10質量%」の記載も包含される。
【0030】
〔潤滑油用添加剤〕
本発明の添加剤は、エステル化合物(A)と、エステル化合物(B)とを含有する。各エステル化合物について説明する。
【0031】
<エステル化合物(A)>
エステル化合物(A)は下記の式(1)で示される化合物であり、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
【0033】
式(1)中、R1はカルボニル基の炭素同士が結合している単結合、または炭素数1~4の2価の炭化水素基を示す。炭素数1~4の2価の炭化水素基は、炭素原子と水素原子からなる官能基であり、アルキレン基およびアルケニレン基から選ばれる1種であり、直鎖状および分岐状のいずれの形態であっても良い。炭化水素基の炭素数が5以上である場合は、鎖長が長くなるので、耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性、耐金属腐食性、耐荷重性が十分には得られないことがある。
R1として好ましくは炭素数2のアルキレン基またはアルケニレン基であり、具体的にはエチレン基またはエテニレン基が挙げられるが、より好ましくはエチレン基である。
【0034】
式(1)中、R2は炭素数4~22の炭化水素基を示す。炭素数4~22の炭化水素基は、炭素原子と水素原子からなる飽和または不飽和の炭化水素基であり、直鎖状および分岐状のいずれの形態であっても良い。炭素数4~22の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基が挙げられる。炭素数が3以下または炭素数が23以上の場合、耐摩耗性、抗乳化性、耐金属腐食性、耐荷重性が十分には得られないことがある。
R2として好ましくは炭素数4~22のアルキル基またはアルケニル基であり、より好ましくは炭素数8~18の分岐アルキル基または炭素数16~22のアルケニル基である。炭素数8~18の分岐アルキル基としては、例えば、2-エチルヘキシル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、イソトリデシル基、イソステアリル基、2-オクチルデシル基などが挙げられるが、炭素数8または9のものがより好ましく、2-エチルヘキシル基が特に好ましい。また、炭素数16~22のアルケニル基としては、例えば、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基などが挙げられるが、炭素数16~18のものが好ましく、オレイル基、リノレイル基がより好ましく、オレイル基が特に好ましい。これらの中でも、R2としてはオレイル基がもっとも好ましい。
【0035】
式(1)中、Mは水素原子または有機アンモニウムを示す。好ましくは有機アンモニウムである。有機アンモニウムとしては、窒素原子に炭素数1~24の飽和もしくは不飽和の炭化水素基が結合した第一級、第二級、第三級または第四級アンモニウムカチオンが挙げられ、これらアンモニウムカチオンは直鎖状、分岐状および環状のいずれの形態であっても良い。また第二級、第三級および第四級アンモニウムカチオンにおける複数の炭化水素基は同一であっても良く、または少なくとも1つの炭化水素基が異なっていても良い。有機アンモニウムとしては、例えば、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジオクチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリオクチルアンモニウム、ジメチルラウリルアンモニウム、ジメチルステアリルアンモニウムなどが挙げられる。耐摩耗性、摩擦低減性および耐荷重性の観点から、有機アンモニウムにおける炭化水素基の合計炭素数は、好ましくは3~24であり、より好ましくは10~18であり、さらに好ましくは12~16である。
【0036】
上記式(1)で示されるエステル化合物(A)の製造法としては、特に限定されないが、例えば、酸とアルコールを例えば60~180℃でエステル化反応を行う方法が挙げられる。本エステル化合物(A)を製造するためのエステル化反応では、反応性の観点から酸無水物を用いることが好ましい。また、酸無水物に対してモル比で等量のアルコールを用いて行うことが好ましい。
式(1)中のMが有機アンモニウムであるエステル化合物(A)の製造法についても特に限定はされない。例えば、上記製造法で製造したエステルと第三級アミンなどのアミン化合物とを、例えば20~60℃で中和反応に付すことで製造することができる。Mが水素原子であるエステル化合物をアミン化合物にて中和し、Mが有機アンモニウムである本エステル化合物を製造するに際しては、耐金属腐食性、耐摩耗性および耐荷重性の観点から、Mが水素原子であるエステル化合物:アミン化合物がモル比で60:40~40:60の範囲であることが好ましく、より好ましくは55:45~45:55の範囲であり、さらに好ましくは52:48~48:52の範囲である。
【0037】
<エステル化合物(B)>
エステル化合物(B)は下記の式(2)で示される化合物であり、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
【0039】
式(2)中、R3はカルボニル基の炭素同士が結合している単結合、または炭素数1~4の2価の炭化水素基を示す。炭素数1~4の2価の炭化水素基は、炭素原子と水素原子からなる官能基であり、アルキレン基およびアルケニレン基から選ばれる1種であり、直鎖状および分岐状のいずれの形態であっても良い。炭化水素基の炭素数が5以上である場合は、鎖長が長くなるので、耐摩耗性、耐金属腐食性、耐荷重性が十分には得られないことがある。
R3として好ましくは炭素数2のアルキレン基またはアルケニレン基であり、具体的にはエチレン基またはエテニレン基が挙げられるが、より好ましくはエチレン基である。
【0040】
式(2)中、R4およびR5はそれぞれ独立して炭素数4~22の炭化水素基を示し、R4とR5が同一であってもよく、また異なっていてもよい。炭素数4~22の炭化水素基は、炭素原子と水素原子からなる飽和または不飽和の炭化水素基であり、直鎖状および分岐状のいずれの形態であっても良い。炭素数4~22の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基が挙げられる。炭素数が3以下または炭素数が23以上の場合、耐摩耗性、抗乳化性、耐金属腐食性、耐荷重性が十分には得られないことがある。
R4およびR5として好ましくは、それぞれ炭素数4~22のアルキル基またはアルケニル基であり、より好ましくは炭素数8~18の分岐アルキル基または炭素数16~22のアルケニル基である。炭素数8~18の分岐アルキル基としては、例えば、2-エチルヘキシル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、イソトリデシル基、イソステアリル基、2-オクチルデシル基などが挙げられるが、炭素数8または9のものが好ましく、2-エチルヘキシル基が特に好ましい。また、炭素数16~22のアルケニル基としては、例えば、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基などが挙げられるが、炭素数16~18のものが好ましく、オレイル基、リノレイル基がより好ましく、オレイル基が特に好ましい。これらの中でも、R4およびR5としてはオレイル基がもっとも好ましい。
【0041】
上記式(2)で示されるエステル化合物(B)の製造法としては、特に限定されないが、例えば、酸とアルコールを例えば150~240℃でエステル化反応を行う方法が挙げられる。本エステル化合物(B)を製造するためのエステル化反応では、酸に対してモル比で2倍量以上のアルコールを用いて行うことが好ましい。
【0042】
本発明の添加剤は、式(1)で示されるエステル化合物(A)と式(2)で示されるエステル化合物(B)との混合物である。
エステル化合物(A)とエステル化合物(B)との混合比は、質量比にして(A):(B)=99:1~80:20であり、好ましくは98:2~90:10であり、より好ましくは98:2~95:5である。エステル化合物(B)が相対的に少なすぎる場合は、抗乳化性が十分には得られないことがある。また、式(2)のエステル化合物(B)が相対的に多すぎる場合は、耐摩耗性、摩擦低減性、耐荷重性が十分には得られないことがある。
【0043】
〔潤滑油用添加剤組成物〕
本発明の添加剤組成物は、上記エステル化合物(A)と、上記エステル化合物(B)と、下記ジチオリン酸亜鉛(C)とを含有する。
【0044】
<ジチオリン酸亜鉛(C)>
ジチオリン酸亜鉛(C)は下記の式(3)で示される化合物であり、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
【0046】
式(3)中、R6~R9はそれぞれ独立して炭素数1~24の炭化水素基を示し、R6~R9が互いに同一であってもよく、また異なっていてもよい。炭素数1~24の炭化水素基は、炭素原子と水素原子からなる飽和または不飽和の炭化水素基であり、直鎖状および分岐状のいずれの形態であっても良い。炭素数1~24の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基が挙げられる。
R6~R9として好ましくは炭素数3~18の直鎖または分岐アルキル基であり、より好ましくは炭素数3~12の直鎖または分岐アルキル基であり、炭素数3~12の分岐アルキル基がさらに好ましい。
炭素数3~12の直鎖アルキル基としては、例えば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基などが挙げられるが、ブチル基、ペンチル基がより好ましい。また、ジチオリン酸亜鉛(C)は、R6~R9として上記直鎖アルキル基のうち2種以上を有していることが好ましく、直鎖ブチル基と直鎖ペンチル基の両方を有していることが特に好ましい。
炭素数3~12の分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基、イソデシル基などが挙げられるが、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3,5,5-トリメチルヘキシル基がより好ましく、イソヘキシル基がさらに好ましい。
このようなZnDTPの代表例として、Lubrizol社から市販されているLUBRIZOL 677A、LUBRIZOL 1371などが挙げられる。
【0047】
エステル化合物(A)および(B)と、ジチオリン酸亜鉛(C)との混合比は、エステル化合物(A)とエステル化合物(B)の総含有量100質量部に対して、ジチオリン酸亜鉛(C)の含有量が1~1, 000質量部であり、好ましくは10~500質量部、より好ましくは20~300質量部、さらに好ましくは50~200質量部である。ジチオリン酸亜鉛(C)の含有量が少なすぎる場合は、耐荷重性が十分には得られないことがある。また、ジチオリン酸亜鉛(C)の含有量が多すぎる場合は、摩擦低減性が十分には得られないことがある。
【0048】
本発明の添加剤組成物は、エステル化合物(A)、エステル化合物(B)およびジチオリン酸亜鉛(C)を少なくとも含有し、本発明の添加剤組成物による効果を阻害しない範囲において、極圧剤、耐摩耗剤、酸化防止剤などの他の添加剤をさらに含有していてもよい。
【0049】
〔潤滑油組成物〕
本発明の潤滑油組成物は、本発明の添加剤または本発明の添加剤組成物と、潤滑油用基油とを含有する。本発明の添加剤および潤滑油用基油を含有する潤滑油組成物を「潤滑油組成物(1)」と表記し、本発明の添加剤組成物および潤滑油用基油を含有する潤滑油組成物を「潤滑油組成物(2)」と表記する。
【0050】
本発明において潤滑油用基油としては、種々の潤滑油用基油を使用することができる。例えば、鉱物油、高度精製鉱物油、動植物油脂、合成エステル、ポリαオレフィン、GTL(ガスツーリキッド)油などの従来から使用される潤滑油用基油が挙げられる。
【0051】
本発明の潤滑油組成物(1)における潤滑油用基油および添加剤の各含有量は、潤滑用基油が70~99.99質量%、添加剤が0.01~30質量%である。潤滑用基油の含有量は、好ましくは80~99.95質量%、より好ましくは90~99.9質量%である。添加剤の含有量は、好ましくは0.05~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。本発明の潤滑油組成物(1)における添加剤の含有量が少なすぎる場合は、耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性、耐金属腐食性が十分には得られないことがある。また添加剤の含有量が多すぎる場合は、添加量に見合った耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性および耐金属腐食性が得られないことがある。
なお、潤滑油用基油および添加剤の各含有量の合計は100質量%である。
【0052】
本発明の潤滑油組成物(2)における潤滑油用基油および添加剤組成物の各含有量は、潤滑用基油が70~99.99質量%、添加剤組成物が0.01~30質量%である。潤滑用基油の含有量は、好ましくは80~99.95質量%、より好ましくは90~99.9質量%である。添加剤組成物の含有量は、好ましくは0.05~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%である。本発明の潤滑油組成物(2)における添加剤組成物の含有量が少なすぎる場合は、耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性が十分には得られないことがある。また添加剤組成物の含有量が多すぎる場合は、添加量に見合った耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性が得られないことがある。
なお、潤滑油用基油および添加剤組成物の各含有量の合計は100質量%である。
【0053】
本発明の潤滑油組成物(1)および(2)は、清浄分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、腐食防止剤、流動点降下剤、金属不活性化剤などの添加剤も必要に応じて含有させることができる。
各添加剤の配合、混合、添加の順序については特に限定されず、種々の方法を採ることができる。例えば、本発明の潤滑油組成物(2)を調製する場合であれば、潤滑油用基油に、エステル化合物(A)、エステル化合物(B)およびジチオリン酸亜鉛(C)、場合により各種添加剤を添加し、加熱混合する方法や、あらかじめ各添加剤の高濃度溶液を調製し、これを潤滑油用基油と混合する方法などを用いても良い。
【実施例】
【0054】
以下、実施例および比較例を示して本発明を更に詳細に説明する。
式(1)で示されるエステル化合物(A)の製造例を下記合成例1に、式(2)で示されるエステル化合物(B)の製造例を下記合成例2にそれぞれ示す。また下記配合例1に式(1)で示されるエステル化合物(A)と式(2)で示されるエステル化合物(B)からなる添加剤1の製造例を示す。
【0055】
〔合成例1、式(1)の化合物(A-1)〕
1Lの4つ口フラスコに、温度計および窒素導入管を差し込み、オレイルアルコール(250g、0.93mol)と無水コハク酸(93.2g、0.93mol)を仕込み、マントルヒーターにて120℃で反応を行った。1時間あたりの酸価の下がり幅が0.5mgKOH/g以下となった時点で反応を終了し、室温まで冷却した。その後、ジメチルラウリルアミン200.6g(0.93mol)を加えて25℃で1時間攪拌配合し、式(1)の化合物(A-1)を543.8g(0.93mol)得た。
【0056】
合成例1におけるオレイルアルコール、無水コハク酸、ジメチルラウリルアミンを他の化合物に適宜変更し、合成例1に準じて操作を行うことにより、表1に示す式(1)の化合物(A-2)、(A-3)、(A-4)、(A-5)を合成した。
【0057】
【0058】
〔合成例2、式(2)の化合物(B-1)〕
500mlの4つ口フラスコに、温度計および窒素導入管を差し込み、オレイルアルコール(300g、1.12mol)と無水コハク酸(55.9g、0.56mol)を仕込み、マントルヒーターにて240℃で反応を行った。1時間あたりの酸価の下がり幅が0.5mgKOH/g以下となった時点で反応を終了し、式(2)の化合物(B-1)を345.9g(0.56mol)得た。
【0059】
合成例2におけるオレイルアルコール、無水コハク酸を他の化合物に適宜変更し、合成例2に準じて操作を行うことにより、表2に示す式(2)の化合物(B-2)、(B-3)、(B-4)を合成した。
【0060】
【0061】
〔配合例1、添加剤1〕
1Lの4つ口フラスコに、温度計および窒素導入管を差し込み、合成例1にて合成した化合物(A-1)(500g、0.85mol)と、合成例2にて合成した化合物(B-1)(10.3g、0.017mol)とを25℃で1時間攪拌配合し、添加剤1を510.3g得た。
【0062】
配合例1における式(1)の化合物(A-1)と式(2)の化合物(B-1)との配合比を適宜変更し、配合例1に準じて操作を行うことにより、表3に示す添加剤2~8を得た。
【0063】
【0064】
〔配合例2、潤滑油組成物(1)の調製〕
潤滑油用基油(ポリαオレフィン、動粘度(40℃):約50mm2/s)に対して上記の添加剤1~8をそれぞれ0.5質量%配合して、実施例(1-1)~(1-5)および比較例(1-1)~(1-3)の潤滑油組成物(1-1)~(1-8)を得た。得られた潤滑油組成物(試験油)について下記の評価試験を行なった。実施例(1-1)~(1-5)の評価結果を下記表4に、比較例(1-1)~(1-3)の評価結果を下記表5にそれぞれ示す。
【0065】
耐摩耗性試験
SRV試験機(OPTIMOL 社製、Schwingungs Reihungundund Verschleiss 試験機4型)にて耐摩耗性を評価した。SRV試験はボール/ディスクで行い、試験片はそれぞれSUJ-2製を用いた。試験条件は試験温度150℃、荷重100N、振幅1mm、振動数50Hzであり、試験時間25min経過後の摩耗痕径を測定した。
評価は、良:350μm未満、可:350μm以上かつ400μm未満、不可:400μm以上、とした。
【0066】
摩擦低減性試験
多機能摩擦摩耗試験機(BRUKER社製、UMT-TriboLab)にて摩擦係数を評価した。トライボ試験はシリンダー/ディスクで行い、試験片はそれぞれSUJ-2製を用いた。試験条件は試験温度25℃、荷重20N、回転数1000rpm、測定時間30秒、測定回数10回であり、平均の摩擦係数を算出した。
評価は、良:0.035未満、可:0.035以上かつ0.040未満、不可:0.040以上、とした。
【0067】
抗乳化性試験
抗乳化性を評価した。評価はJIS K 2520を基に実施し、油と水の分離時間にて評価した。評価は、良:15分未満、不可:15分以上、とした。
【0068】
耐金属腐食性試験
耐金属腐食性として耐銅腐食性を評価した。長さ4cmに切断した銅線をP150番研磨布で研磨した。5mlスクリュー管へ試験油を2ml入れ、そこへ銅線を浸し、100℃で3時間加熱した。試験前後での表面状態を比較し、腐食の有無を評価した。
評価は、良:腐食なし、不可:腐食あり、とした。
【0069】
【0070】
【0071】
表4に示す結果から明らかなように、本発明に係る添加剤1~5は、潤滑油用基油に対して優れた耐摩耗性、摩擦低減性、抗乳化性、耐金属腐食性を付与することができる。また添加剤1~5は亜鉛などの金属分を含有しないので、これら添加剤1~5が配合された実施例(1-1)~(1-5)の潤滑油組成物(1-1)~(1-5)は、使用に伴って灰分を生成せず、DPFなどのフィルターの目詰まりを起こしにくい。さらに添加剤1~5はリン原子や硫黄原子を含まないので、実施例(1-1)~(1-5)の潤滑油組成物(1-1)~(1-5)を使用することによる三元触媒への影響が削減される。
【0072】
次に、表1に示す式(1)の化合物(A-1)および(A-4)、表2に示す式(2)の化合物(B-1)、下記ジチオリン酸亜鉛(C)を含有する添加剤組成物の調製例を下記配合例3に示す。さらに、配合例3で調製した添加剤組成物を含有する潤滑油組成物(2)の調製例を下記配合例4に示す。
【0073】
〔ジチオリン酸亜鉛:式(3)の化合物(C-1)、(C-2)〕
ジチオリン酸亜鉛として、Lubrizol社のLUBRIZOL 677A(アルキル基:分岐ヘキシル基)およびLUBRIZOL 1395(アルキル基:直鎖ブチル基および直鎖ペンチル基)を使用した。化合物(C-1)がLUBRIZOL 677Aであり、化合物(C-2)がLUBRIZOL 1395である。
式(3)中の記号と化合物との関係を表6に示す。
【0074】
【0075】
〔配合例3、添加剤組成物の調製〕
300mL~1Lの4つ口フラスコに、温度計および窒素導入管を差し込み、表7に記載の各添加剤を25℃で1時間攪拌配合して、添加剤組成物1~8を得た。
【0076】
【0077】
〔配合例4、潤滑油組成物(2)の調製〕
潤滑油用基油(ポリαオレフィン、動粘度(40℃):約50mm2/s)に対して表7の添加剤組成物1~8を配合し、表8に記載の潤滑油組成物(2-1)~(2-9)を得た。
【0078】
【0079】
得られた潤滑油組成物(試験油)について下記の評価試験を行なった。評価結果を表9および10に示す。
【0080】
耐荷重性試験
シェル4球試験機にて焼付荷重を評価した。試験片はSUJ-2製を用いた。試験条件は試験温度25℃、回転数1,800rpm、試験時間10秒、荷重50kg、63kg、80kg、100kg、126kg、160kg、200kgの順に荷重をかけて実施した。試験中に摩擦トルクの急増、異常音の発生などの現象が起き、摩耗面に焼付条痕が生成した荷重をもって焼付荷重とした。
評価は、良:160kg以上、可:126kg以上かつ160kg未満、不可:126kg未満、とした。
【0081】
摩擦低減性試験
SRV試験機(OPTIMOL 社製、Schwingungs Reihungundund Verschleiss 試験機4型)にて摩擦係数を評価した。SRV試験はシリンダー/ディスクで行い、試験片はそれぞれSUJ-2製を用いた。試験条件は試験温度100℃、荷重200N、振幅1mm、振動数300Hzであり、試験時間60min経過後の摩擦係数を測定した。
評価は、良:0.18未満、可:0.18以上かつ0.2未満、不可:0.2以上、とした。
【0082】
抗乳化性試験
抗乳化性を評価した。評価はJIS K 2520を基に実施し、油と水の分離時間にて評価した。評価は、良:10分未満、可:10分以上かつ15分未満、不可:15分以上、とした。
【0083】
【0084】
【0085】
表9に示す結果から明らかなように、本発明に係る添加剤組成物1~5を用いた実施例(2-1)~(2-5)の潤滑油組成物(2-1)~(2-5)は、優れた耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性が得られる。即ち、添加剤組成物1~5は、潤滑油用基油(PAO)に対して優れた耐荷重性、摩擦低減性、抗乳化性を付与することができる。また、潤滑油用基油(PAO)に対するジチオリン酸亜鉛(C)の配合量を削減することができるから、灰分の生成を低減することができる。
【0086】
一方、表10に示すように、エステル化合物(B)を含有しない添加剤組成物6を用いた比較例(2-1)では十分な抗乳化性が得られなかった。また、エステル化合物(B)の含有比が高い添加剤組成物7を用いた比較例(2-2)では、十分な耐荷重性や摩擦低減性が得られなかった。さらに、ジチオリン酸亜鉛(C)のみからなる添加剤組成物8を用いた比較例(2-3)では、十分な耐荷重性や摩擦低減性が得られず、添加剤組成物8の添加量が比較例(2-3)よりも多い比較例(2-4)においても十分な摩擦低減性が得られなかった。
【0087】
〔関連出願〕
本願は、2019年3月14日出願の日本国特許出願(特願2019-047822)および2020年2月20日出願の日本国特許出願(特願2020-027128)に基づく優先権の利益を享受し、その全ての内容が参照によりここに組み込まれる。