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特許7332092通気装置を備えたイヤホン及びイヤホンの通気管を手動で開閉する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】通気装置を備えたイヤホン及びイヤホンの通気管を手動で開閉する方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021566121
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2019065303
(87)【国際公開番号】W WO2020249200
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パカリネン、ジリ
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1812897(KR,B1)
【文献】特開2018-121285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面、第2面、および前記第1面と前記第2面との間に延在する周囲面を有する本体であって、前記第1面から前記第2面に前記本体の中心軸が延出する、本体と、
前記本体を少なくとも部分的に通って前記本体の前記中心軸の方向に延在する通気管と
を備えるイヤホンであって、
前記通気管が第1開口部、第2開口部、および前記第1開口部と前記第2開口部との間に延在する通気経路を有し、前記第1開口部および前記第2開口部によって気流が前記通気経路を通り抜けることが可能になり、
前記通気管が前記本体の前記周囲面に沿って延在することにより、前記通気経路が前記本体に開放型の溝を形成し、
前記イヤホンの使用中に、閉位置と開位置との間で前記イヤホンの少なくとも一部を手動で動かすことによって前記通気経路を閉じたり開いたりすることができる、イヤホン。
【請求項2】
前記第1開口部が前記本体の前記第1面に位置しており、前記第2開口部が前記本体の前記第2面に位置している、請求項1に記載のイヤホン。
【請求項3】
前記第1開口部が前記本体の前記周囲面に位置しており、前記第2開口部が前記本体の前記第2面に位置している、請求項1に記載のイヤホン。
【請求項4】
前記イヤホンがさらに、前記通気管の前記第1開口部を開閉するのに適応した可動部材を備え、前記可動部材が前記第1開口部に隣接した前記本体に接続される、請求項1から3のいずれか一項に記載のイヤホン。
【請求項5】
前記イヤホンがさらに、前記本体に固定接続された固定部材を備え、前記可動部材が前記本体と前記固定部材との間に配置され、
前記固定部材が、前記開位置において前記可動部材の貫通開口部と少なくとも部分的に重なり合った少なくとも1つの凹部を有する、請求項4に記載のイヤホン。
【請求項6】
第1面、第2面、および前記第1面と前記第2面との間に延在する周囲面を有する本体であって、前記第1面から前記第2面に前記本体の中心軸が延出する、本体と、
前記本体を少なくとも部分的に通って前記本体の前記中心軸の方向に延在する通気管と、
前記本体に固定接続された固定部材と、
を備えるイヤホンであって、
前記通気管が第1開口部、第2開口部、および前記第1開口部と前記第2開口部との間に延在する通気経路を有し、前記第1開口部および前記第2開口部によって気流が前記通気経路を通り抜けることが可能になり、
前記イヤホンがさらに、前記通気管の前記第1開口部を開閉するのに適応した可動部材を備え、
前記可動部材が前記第1開口部に隣接した前記本体に接続され、かつ前記可動部材が前記本体と前記固定部材との間に配置され、
前記イヤホンの使用中に、閉位置と開位置との間で前記イヤホンの少なくとも一部を手動で動かすことによって前記通気経路を閉じたり開いたりすることができ、
前記固定部材が、前記開位置において前記可動部材の貫通開口部と少なくとも部分的に重なり合った少なくとも1つの凹部を有する、イヤホン。
【請求項7】
前記第1開口部が前記本体の前記第1面に位置しており、前記第2開口部が前記本体の前記第2面に位置している、請求項6に記載のイヤホン。
【請求項8】
前記第1開口部が前記本体の前記周囲面に位置しており、前記第2開口部が前記本体の前記第2面に位置している、請求項6に記載のイヤホン。
【請求項9】
前記通気管が前記本体の内側を通って延在することにより、前記通気経路が、前記本体を通って延在する閉鎖型チャネルを形成する、請求項6または7に記載のイヤホン。
【請求項10】
前記通気管が前記本体の前記周囲面に沿って延在することにより、前記通気経路が前記本体に開放型の溝を形成する、請求項6から8のいずれか一項に記載のイヤホン。
【請求項11】
前記可動部材が、前記本体の前記中心軸に対して垂直に延在する平面において前記閉位置と前記開位置との間を旋回可能もしくは回転可能のうちのどちらかである、または、
前記可動部材が、前記閉位置と前記開位置との間を前記中心軸の前記方向に軸方向変位可能である、請求項4、6から10のいずれか一項に記載のイヤホン。
【請求項12】
前記可動部材が、前記開位置において前記第1開口部と少なくとも部分的に重なり合った貫通開口部を有する、請求項4、6から11のいずれか一項に記載のイヤホン。
【請求項13】
前記可動部材が旋回軸によって前記本体に接続され、前記旋回軸の縦軸が前記本体の前記中心軸と平行に且つ前記本体の前記中心軸からずれて延出することにより、前記可動部材が前記本体に対して偏心的に旋回可能である、請求項4、6から12のいずれか一項に記載のイヤホン。
【請求項14】
前記可動部材が前記本体に回転軸によって接続され、前記回転軸の縦軸が前記本体の前記中心軸と一致する、請求項4、6から12のいずれか一項に記載のイヤホン。
【請求項15】
前記可動部材が中実であり且つ前記本体にスプリング装置によって接続され、前記可動部材が前記閉位置と前記開位置との間を前記中心軸の前記方向に移動可能である、請求項4、6から12のいずれか一項に記載のイヤホン。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のイヤホンを少なくとも1つ備えるヘッドセットであって、前記イヤホンの前記第2開口部が、ユーザの外耳道に隣接して配置するまたは外耳道の中に配置するのに適応しており、
前記イヤホンの前記第1開口部が前記外耳道の外側に配置するのに適応しているため、閉位置と開位置との間で前記イヤホンの少なくとも一部を前記ユーザが手動で動かすことができる、ヘッドセット。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項に記載のイヤホンがユーザの耳に装着されているときに、前記イヤホンの通気管を手動で開閉する方法であって、前記方法が、
閉位置と開位置との間で前記イヤホンの少なくとも一部を動かすように、前記イヤホンに手動で圧力を加える段階を備える、方法。
【請求項18】
手動で圧力を加える段階が、前記ユーザが前記イヤホンの前記本体および可動部材のうちの少なくとも一方を回転させる段階を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
手動で圧力を加える段階が、前記ユーザが前記イヤホンの可動部材を前記イヤホンの前記本体の前記中心軸の前記方向に瞬間的に押し込む段階を有する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、本体と、本体を少なくとも部分的に通って延在する通気管とを備えるイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
通勤などの騒々しい環境において、従来のイヤホンでは環境音から十分に分離していないと感じて、これが最適とは言えないリスニング体験につながるか、または過剰に分離していると感じて、これが場合によっては発汗による外耳道の不快さを伴う圧迫感または隔絶感につながるといったことが多い。
【0003】
従来のイヤホンでは、こうした問題を電子的解決手段によって克服しようとしている。例えば、イヤホンが電子ヒアスルー機能、すなわち、マイクおよびスピーカを用いて環境音を外耳道に送り込む機能を備えることがある。これにより、自然な環境音が可能になるが、実際には、例えば、通気性の不足による機械的な不快さに対処している。さらなる一例において、イヤホンは、電子的に開閉する通気孔を用いた電子制御式通気機能を備える。これにより、少なくとも周期的に空気がスムーズに流れることが可能になるが、この解決手段は、高い信頼性を持たせて実現するには複雑で費用がかかる。さらに、こうした解決手段は両方とも付加部品(例えば、マイクおよびデジタル信号プロセッサなどのハードウェア)が必要であり、これらの部品は動作するために電力を必要とし、これでは本当のワイヤレス型ステレオ式ヘッドセットにはなり得ないかもしれない。
【発明の概要】
【0004】
通気可能性を有する改善型イヤホンを提供することが目的である。前述および他の目的は、独立クレームの特徴により実現される。さらなる実装形態が、従属クレーム、本明細書、および添付図から明らかになる。
【0005】
第1態様によれば、イヤホンが提供され、本イヤホンは、第1面、第2面、および第1面と第2面との間に延在する周囲面を有する本体であって、第1面から第2面に本体の中心軸が延出する、本体と、本体を少なくとも部分的に通って本体の中心軸の方向に延在する通気管とを備え、この通気管は、第1開口部、第2開口部、および第1開口部と第2開口部との間に延在する通気経路を有し、第1開口部および第2開口部によって気流が通気経路を通り抜けることが可能になり、イヤホンの使用中に、閉位置と開位置との間でイヤホンの少なくとも一部を手動で動かすことによって通気経路を閉じたり開いたりすることができる。
【0006】
そのような解決手段により、ユーザは環境音から十分に分離されるべきときと、環境音を通すべきときとを、電子部品を用いずに選択することが可能になる。これにより、動作するのに必要な部品が少ないために実装面積も小さくなり得る、消費電力が低いデバイスが提供される。さらに本デバイスは、その簡単な機械構成により、電子的に動作する先行技術よりも信頼できる。
【0007】
第1態様の実行可能な一実装形態では、第1開口部は本体の第1面に位置しており、第2開口部は本体の第2面に位置している。
【0008】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、第1開口部は本体の周囲面に位置しており、第2開口部は本体の第2面に位置している。
【0009】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、通気経路が本体を通って延在する閉鎖型チャネルを形成するように、通気管が本体の内側を通って延在することで、環境音に対して優れた遮音性を有するイヤホンが提供される。
【0010】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、通気経路が本体に開放型の溝を形成するように通気管が本体の周囲面に沿って延在することで、簡単な製造工程と信頼できる操作しやすいイヤホンとが促進される。
【0011】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、イヤホンはさらに、通気管の第1開口部を開閉するのに適応した可動部材を備え、この可動部材は第1開口部に隣接する本体に接続されて、可動部が外耳道に直接的に接触せず、したがって動作中にユーザにとってより快適になり得るイヤホンが提供される。
【0012】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、可動部材は、本体の中心軸に対して垂直に延在する平面において、閉位置と開位置との間を旋回可能もしくは回転可能のうちのどちらかであるか、または可動部材は、閉位置と開位置との間を中心軸の方向に軸方向変位可能であり、手が届きやすく操作しやすい開閉機構を促進する。
【0013】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、可動部材は、開位置において第1開口部と少なくとも部分的に重なり合った貫通開口部を有し、通気管と外部との信頼できる接続を提供する。
【0014】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、イヤホンはさらに、本体に固定接続された固定部材を備え、可動部材は本体と固定部材との間に配置され、固定部材は、開位置において可動部材の貫通開口部と少なくとも部分的に重なり合った少なくとも1つの凹部を有し、動かしたときの可動部材の高い安定性も促進する。
【0015】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、可動部材は旋回軸によって本体に接続され、旋回軸の縦軸が本体の中心軸と平行に且つ本体の中心軸からずれて延出することにより、可動部材は本体に対して偏心的に旋回可能になり、非常に操作しやすいイヤホンと本当のワイヤレス型イヤホンに特に重要な小フォームファクタとを促進する。
【0016】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、可動部材は回転軸によって本体に接続され、回転軸の縦軸は本体の中心軸と一致し、開位置にあるか閉位置にあるかに関係なく同じ外観と寸法を有するイヤホンを促進する。
【0017】
第1態様のさらなる実行可能な一実装形態では、可動部材は中実であり且つスプリング装置によって本体に接続され、可動部材は、閉位置と開位置との間を中心軸の方向に移動可能であり、簡単で安価なイヤホンを促進する。
【0018】
第2態様によれば、上記による少なくとも1つのイヤホンを備えるヘッドセットが提供される。イヤホンの第2開口部は、ユーザの外耳道に隣接して配置するまたは外耳道の中に配置するのに適応しており、またイヤホンの第1開口部は外耳道の外側に配置するのに適応しているため、閉位置と開位置との間でイヤホンの少なくとも一部をユーザが手動で動かすことができる。これにより、ユーザは環境音から十分に分離されるべきときと、環境音を通すべきときとを、電子部品を用いずに選択することが可能になる。このヘッドセットは、電子的に動作する先行技術よりも消費電力が低く且つ信頼できる。
【0019】
第3態様によれば、上記によるイヤホンがユーザの耳に装着されているときにイヤホンの通気管を手動で開閉する方法が提供される。本方法は、閉位置と開位置との間でイヤホンの少なくとも一部を動かすように、イヤホンに手動で圧力を加える段階を備える。本方法により、ユーザは環境音から十分に分離されるべきときと、環境音を通すべきときとを、簡単な手動による動きによって電子部品を用いずに選択することが可能になる。
【0020】
第3態様の実行可能な一実装形態では、手動で圧力を加える段階は、本体およびイヤホンの可動部材のうちの少なくとも一方をユーザが回転させる段階を有し、手が届きやすく操作しやすい開閉機構を促進する。
【0021】
第3態様のさらなる実行可能な一実装形態において、手動で圧力を加える段階は、ユーザがイヤホンの可動部材をイヤホンの本体の中心軸方向に瞬間的に押し込む段階を有し、簡単で安価なイヤホンを促進する。この態様および他の態様は、後述する実施形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の以下の詳細な部分では、それぞれの態様、実施形態、および実装例が、図面に示す例示的な実施形態を参照してより詳細に説明される。
【0023】
図1】本発明の1つの実施形態によるイヤホンの斜視図を示しており、イヤホンは閉位置にある。
【0024】
図2a図1の実施形態の分解図を示している。
【0025】
図2b図1および図2aの実施形態の斜視図を示しており、イヤホンは開位置にある。
【0026】
図3a】本発明のさらなる一実施形態によるイヤホンの斜視図を示しており、イヤホンは閉位置にある。
【0027】
図3b図3aの実施形態を示しており、イヤホンは開位置にある。
【0028】
図4a】本発明のさらに別の実施形態によるイヤホンの分解図を示している。
【0029】
図4b図4aの実施形態を示しており、イヤホンは閉位置にある。
【0030】
図4c図4aおよび図4bの実施形態を示しており、イヤホンは開位置にある。
【0031】
図5a】本発明のさらなる一実施形態によるイヤホンの斜視図を示しており、イヤホンは開位置にある。
【0032】
図5b図5aの実施形態を示しており、イヤホンは閉位置にある。
【0033】
図6a】本発明のさらなる一実施形態によるイヤホンの斜視図を示しており、イヤホンは開位置にある。
【0034】
図6b図6aの実施形態を示しており、イヤホンは閉位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1図6bは、ユーザの外耳道に隣接して配置するまたは外耳道の中に配置するのに適応したイヤホン1の実施形態を示している。
【0036】
イヤホン1は、第1面2a、第2面2b、および第1面2aと第2面2bとの間に延在する周囲面2cを有する本体2を備える。本体2は円筒状でもよいが、ユーザの耳および外耳道の形状に合う任意の好適な形状であってもよい。本体2の中心軸A1は、第1面2aから第2面2bに延出する。イヤホン1は、本体2を少なくとも部分的に通って中心軸A1の方向に延在する通気管3も備える。通気管3によって、空気および音波が外部からユーザの外耳道に流れ込むことが可能になる。通気管3は、第1開口部3a、第2開口部3b、および第1開口部3aと第2開口部3bとの間に延在する通気経路3cを有し、空気が第1開口部3aおよび/または第2開口部3bから通気経路3cに流れ込む。
【0037】
図2aおよび図2b並びに図4a~図4cに示すように、第1開口部3aは本体2の第1面2aに位置してよく、また第2開口部3bは本体2の反対側の第2面2bに位置してよい。さらに、図3aに示すように、第1開口部3aは本体の周囲面2cに位置してよく、また第2開口部3bは本体2の反対側の第2面2bに位置してよい。
【0038】
イヤホン1の第1開口部3aは、外耳道の内側に配置するのに適応してよいが、外耳道の外側に配置するのに適応しているのが好ましい。イヤホン1の第2開口部3bは外耳道の外側に配置するのに適応してよいが、外耳道の内側に配置するのに適応しているのが好ましい。
【0039】
閉位置P1と開位置P2との間でイヤホン1の少なくとも一部をユーザが手動で動かすことができるため、通気経路3cが使用中に閉じられたり開かれたりする。空気および音波の流れが完全にまたは部分的に断絶された場合、すなわち、第1開口部3aから第2開口部3bに、または第2開口部3bから第1開口部3aに通気経路3cを通り抜けることができない場合、通気管3は閉じている。通気管3は、イヤホン1が図1図3a、図4b、および図5bに示す閉位置P1にある場合は第1開口部3aで、第2開口部3bで、または図6bに示す通気経路3cの内部で封止され得る。これに対応して、空気および音波が第1開口部3aから第2開口部3bに、または第2開口部3bから第1開口部3aに通気経路3cをスムーズに通り抜けることができる場合、通気管3は開いている。
【0040】
通気管3は、図4a~図4cおよび図6a~図6bに示すように、本体2の周囲面2cに沿って延在してよいため、通気経路3cは本体2にその外側に沿って開放型の溝を形成する。この開放型の溝は、中心軸と平行に延在してもよく、ユーザの外耳道に適合する任意の好適な経路であってもよい。
【0041】
図1図3bおよび図5a~図5bに示すさらなる実施形態では、通気管3が本体2の内側を通って延在することにより、通気経路3cは本体2を通って延在する閉鎖型チャネルを形成する。
【0042】
通気管3は、図5a~図6bに示すように、通気管3が対珠などの耳の組織によって閉じられる位置に本体2を回転することで、第1開口部3aでまたは通気経路3cの内部でユーザの耳によって封止されるように延在してよい。図5aに示すように開位置にある場合、第1開口部3aは耳の組織によって遮られない。図6aに示すように開位置にある場合、第1開口部3aおよび通気経路3cの一部は耳の組織によって遮られない。これに対応して、図5bおよび図6bに示すように閉位置にある場合、耳の組織が第1開口部3aおよび通気経路3cをふさぐ。
【0043】
イヤホン1は、第1開口部3aを封止することによって通気管3を開閉するのに適応した可動部材4を含んでよい。可動部材4は、通気管3の第1開口部3aに隣接した本体2に接続されてよい。可動部材4は、図1図2a、図2b、および図4a~図4cに示すように、中心軸A1に対して垂直な平面における本体2の周囲形状に対応する周囲形状を有してよい。しかしながら、任意の好適な形状が考えられ、可動部材4は、本体2の周縁より大きいまたは図3aおよび図3bに示すような小さい周縁を有してよい。
【0044】
図2aおよび図2bに示すように、可動部材4は、本体2の中心軸A1に対して垂直に延在する平面において閉位置P1と開位置P2との間を旋回可能であってよい。可動部材4は、図2aに示す旋回軸6によって本体2に接続されてよい。旋回軸6の縦軸A2が本体2の中心軸A1と平行に且つ本体2の中心軸A1からずれて延出することにより、可動部材4は本体2に対して偏心的に旋回可能である。
【0045】
図4a~図4cに示すように、可動部材4は本体2の中心軸A1に対して垂直に延在する平面において閉位置P1と開位置P2との間を回転可能であってよい。可動部材4は回転軸7によって本体2に接続されてよく、回転軸7の縦軸A3は本体2の中心軸A1と一致する。
【0046】
可動部材4は、図3a~図4cに示すように、少なくとも1つの貫通開口部4aを有してよい。貫通開口部4aは、通気管3の第1開口部3aの形状に少なくとも部分的に対応する形状を有してよい。貫通開口部4aは、図3aおよび図4cに示すように、開位置において第1開口部3aと整合してよいが、少なくとも部分的に重なり合ってもよい。
【0047】
イヤホン1はさらに、本体2に固定接続された固定部材5を備えてよい。可動部材4は、図4a~図4cに示すように、本体2と固定部材5との間に配置されてよい。固定部材5は、図4cに示すように、開位置において可動部材4の貫通開口部4aと整合し、少なくとも部分的に重なり合ってよい少なくとも1つの凹部5aを有してよい。
【0048】
図3aおよび図3bに示すように、可動部材4は、閉位置P1と開位置P2との間を中心軸A1の方向に軸方向変位可能であってよい。可動部材4は中実であってよく、すなわち、いかなる開口部も凹部も含まなくてよく、例えば圧縮スプリングを有するスプリング装置9によって本体2に接続されてよい。可動部材4は、閉位置P1と開位置P2との間を中心軸A1の方向に移動可能である。
【0049】
本発明はさらに、少なくとも1つのイヤホン1、好ましくは2つのイヤホン1(すなわち、各耳に1つ)を備えるヘッドセットに関する。各イヤホン1の第2開口部3bは、ユーザの両外耳道のうちのどちらかに隣接して、またはその中に配置するのに適応しており、イヤホン1の第1開口部3aは、同じ外耳道の外側に配置するのに適応している。閉位置P1と開位置P2との間で、各イヤホン1の少なくとも一部をユーザが手動で動かすことができる。
【0050】
本発明はさらに、閉位置P1と開位置P2との間でイヤホン1の少なくとも一部を動かすように手動でイヤホン1に圧力を加えることで、イヤホン1の通気管3を手動で開閉する方法に関する。
【0051】
手動で圧力を加えることは、図1図2bおよび図4a~図4cに示すように、ユーザがイヤホン1の本体2および可動部材4のうちの少なくとも一方を回転させることを含んでよい。
【0052】
手動で圧力を加えることは、図3aおよび図3bに示すように、ユーザがイヤホン1の可動部材4をイヤホン1の本体2の中心軸A1の方向に瞬間的に押し込むことも含んでよい。1回目の瞬間的な押し込みで通気経路3cが開き、2回目の瞬間的な押し込みで通気経路3cが閉じる。
【0053】
本明細書において、様々な態様および実装例が様々な実施形態と共に説明されてきた。しかしながら、開示された実施形態に対する他の変形例が、特許請求される主題を実施する際に、図面、本開示、および添付した特許請求の範囲を検討することで、当業者によって理解され且つ達成され得る。特許請求の範囲において、単語「comprising」は他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は複数の存在を除外しない。特定の複数の測定値が互いに異なる従属クレームに記載されているという単なる事実だけでは、これらの測定値の組み合わせを有利に使用できないと示すことにはならない。特許請求の範囲で用いられる参照符号は、範囲を限定するものと解釈されてはならない。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6a
図6b