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特許7332138移動式歯科診療装置および診療エネルギ管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】移動式歯科診療装置および診療エネルギ管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61G 15/16 20060101AFI20230816BHJP
   A61C 19/00 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A61G15/16
A61C19/00 D
A61C19/00 B
A61C19/00 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019087264
(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公開番号】P2020182613
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 忠明
(72)【発明者】
【氏名】坂田 和隆
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1802229(KR,B1)
【文献】特開2013-236785(JP,A)
【文献】特開2018-000737(JP,A)
【文献】特開2017-042183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 15/16-18
A61C 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科診療のために用いる流体回路および電気回路を有する歯科診療モジュールと、
前記歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュールと、
前記歯科診療モジュールおよび前記移動モジュールに電力を供給する二次電池と、を備え、
前記歯科診療モジュールは、
前記流体回路に投入される流体を蓄積するタンク又は/および前記流体回路から排出された流体を蓄積するタンクと、
診療エネルギとして、前記タンクに蓄積された流体の蓄積量又は/および前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測する状態観測部と、
前記状態観測部による観測量を装置の診療エネルギ情報として取得する状態情報取得部と、
前記診療エネルギ情報を出力する出力部と、
診療内容別に所定の診療を行うときに必要な診療エネルギ情報を記憶する診療エネルギ情報記憶部と、
前記所定の診療内容を記憶する診療内容記憶部と、
を備え、
前記状態情報取得部は、
診療内容を特定する診療内容特定情報を取得する診療内容特定情報取得部と、
取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容に基づいて前記診療エネルギ情報記憶部および診療内容記憶部から所定の統計解析を行い、診療エネルギ情報を抽出する診療エネルギ情報抽出部と、
抽出された診療エネルギ情報に基づいて、前記観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する判別部と、
所定の条件を満たさないと判別された場合に、診療エネルギの補給エリアへ移動するように前記移動モジュールに対して指示する移動指示部と、
を備える移動式歯科診療装置。
【請求項2】
前記診療エネルギ情報抽出部は、
前記統計解析として、前記診療内容記憶部に記憶された所定の診療内容を入力すると、前記診療エネルギ情報記憶部に記憶された診療エネルギ情報を対応する出力値として出力するように機械学習を行う機械学習部を備え、
前記機械学習部は、学習した診療内容と診療エネルギ情報との対応関係に基づいて、入力として与えられる前記診療内容特定情報から推定される診療エネルギ情報を抽出する請求項に記載の移動式歯科診療装置
【請求項3】
歯科診療のために用いる流体回路および電気回路を有する歯科診療モジュールと、
前記歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュールと、
前記歯科診療モジュールおよび前記移動モジュールに電力を供給する二次電池と、を備え、
前記歯科診療モジュールは、
前記流体回路に投入される流体を蓄積するタンク又は/および前記流体回路から排出された流体を蓄積するタンクと、
診療エネルギとして、前記タンクに蓄積された流体の蓄積量又は/および前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測する状態観測部と、
前記状態観測部による観測量を装置の診療エネルギ情報として取得する状態情報取得部と、
前記診療エネルギ情報を出力する出力部と、
術者および診療内容別に所定の診療を行うために必要な診療エネルギ情報を記憶する診療エネルギ情報記憶部と、
を備え、
前記状態情報取得部は、
術者を特定する術者特定情報を取得する術者特定情報取得部と、
診療内容を特定する診療内容特定情報を取得する診療内容特定情報取得部と、
取得された術者特定情報によって特定される術者および取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容をもとに前記診療エネルギ情報記憶部から当該術者および診療内容の診療エネルギ情報を抽出する診療エネルギ情報抽出部と、
抽出された診療エネルギ情報に基づいて、前記観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する判別部と、
所定の条件を満たさないと判別された場合に、診療エネルギの補給エリアへ移動するように前記移動モジュールに対して指示する移動指示部と、
を備える移動式歯科診療装置。
【請求項4】
定の術者が所定の診療内容別に所定の診療を行うための診療エネルギ情報を推定するための機械学習であって、前記術者特定情報および前記診療内容特定情報を入力すると、入力された情報で特定される術者が入力された情報で特定される診療内容に用いる診療エネルギ情報に対応する出力値を出力するような機械学習を行った学習済みの学習器に、前記術者特定情報取得部および前記診療内容特定情報取得部により入力された前記術者特定情報および前記診療内容特定情報を入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、診療エネルギ情報を当該学習器から取得する診療エネルギ推定部をさらに備え、
前記診療エネルギ情報記憶部は、前記診療エネルギ推定部により取得された診療エネルギ情報を記憶する請求項に記載の移動式歯科診療装置
【請求項5】
前記歯科診療モジュールは、
故障を検知する故障検知部と、
前記故障検知部が故障を検知した場合、故障が発生したことを前記出力部から報知する報知制御部と、を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の移動式歯科診療装置。
【請求項6】
前記出力部は、通信ネットワークを介して通信可能な処理部を備えた情報共有先との間で前記装置の診療エネルギ情報、前記故障検知部が発する故障情報を含む情報の送受信を行う通信部を備える請求項に記載の移動式歯科診療装置。
【請求項7】
動式歯科診療装置と、報共有先と、を備える診療エネルギ管理システムであって、
前記移動式歯科診療装置は、
歯科診療のために用いる流体回路および電気回路を有する歯科診療モジュールと、
前記歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュールと、
前記歯科診療モジュールおよび前記移動モジュールに電力を供給する二次電池と、を備え、
前記歯科診療モジュールは、
前記流体回路に投入される流体を蓄積するタンク又は/および前記流体回路から排出された流体を蓄積するタンクと、
診療エネルギとして、前記タンクに蓄積された流体の蓄積量又は/および前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測する状態観測部と、
前記状態観測部による観測量を装置の診療エネルギ情報として取得する状態情報取得部と、
通信ネットワークを介して通信可能な処理部を備えた情報共有先との間で前記装置の診療エネルギ情報を含む情報の送受信を行う通信部を備える出力部と、
を備え、
記情報共有先に、
診療内容別に所定の診療を行うときに必要な診療エネルギ情報を記憶する診療エネルギ情報記憶部と、
前記所定の診療内容を記憶する診療内容記憶部と、
診療内容を特定する診療内容特定情報を取得する診療内容特定情報取得部と、
取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容に基づいて前記診療エネルギ情報記憶部および診療内容記憶部から所定の統計解析を行い、診療エネルギ情報を抽出する診療エネルギ情報抽出部と、
抽出された診療エネルギ情報に基づいて、前記観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する判別部と、
所定の条件を満たさないと判別された場合に、診療エネルギの補給エリアへ移動するように前記移動モジュールに対して指示する移動指示部と、
を備える診療エネルギ管理システム。
【請求項8】
前記診療エネルギ情報抽出部は、
前記統計解析として、前記診療内容記憶部に記憶された所定の診療内容を入力すると、前記診療エネルギ情報記憶部に記憶された診療エネルギ情報を対応する出力値として出力するように機械学習を行う機械学習部を備え、
前記機械学習部は、学習した診療内容と診療エネルギ情報との対応関係に基づいて、入力として与えられる前記診療内容特定情報から推定される診療エネルギ情報を抽出する請求項に記載の診療エネルギ管理システム。
【請求項9】
動式歯科診療装置と、報共有先と、を備える診療エネルギ管理システムであって、
前記移動式歯科診療装置は、
歯科診療のために用いる流体回路および電気回路を有する歯科診療モジュールと、
前記歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュールと、
前記歯科診療モジュールおよび前記移動モジュールに電力を供給する二次電池と、を備え、
前記歯科診療モジュールは、
前記流体回路に投入される流体を蓄積するタンク又は/および前記流体回路から排出された流体を蓄積するタンクと、
診療エネルギとして、前記タンクに蓄積された流体の蓄積量又は/および前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測する状態観測部と、
前記状態観測部による観測量を装置の診療エネルギ情報として取得する状態情報取得部と、
通信ネットワークを介して通信可能な処理部を備えた情報共有先との間で前記装置の診療エネルギ情報を含む情報の送受信を行う通信部を備える出力部と、
を備え、
記情報共有先に、
術者および診療内容別に所定の診療を行うために必要な診療エネルギ情報を記憶する診療エネルギ情報記憶部と、
術者を特定する術者特定情報を取得する術者特定情報取得部と、
診療内容を特定する診療内容特定情報を取得する診療内容特定情報取得部と、
取得された術者特定情報によって特定される術者および取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容をもとに前記診療エネルギ情報記憶部から当該術者および診療内容の診療エネルギ情報を抽出する診療エネルギ情報抽出部と、
抽出された診療エネルギ情報に基づいて、前記観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する判別部と、
所定の条件を満たさないと判別された場合に、診療エネルギの補給エリアへ移動するように前記移動モジュールに対して指示する移動指示部と、
を備える診療エネルギ管理システム。
【請求項10】
記情報共有先に、
所定の術者が所定の診療内容別に所定の診療を行うための診療エネルギ情報を推定するための機械学習であって、前記術者特定情報および前記診療内容特定情報を入力すると、入力された情報で特定される術者が入力された情報で特定される診療内容に用いる診療エネルギ情報に対応する出力値を出力するような機械学習を行った学習済みの学習器に、前記術者特定情報取得部および前記診療内容特定情報取得部により入力された前記術者特定情報および前記診療内容特定情報を入力し、前記学習済みの学習器の演算処理を実行することで、診療エネルギ情報を当該学習器から取得する診療エネルギ推定部をさらに備え、
前記診療エネルギ情報記憶部は、前記診療エネルギ推定部により取得された診療エネルギ情報を記憶する請求項に記載の診療エネルギ管理システム。
【請求項11】
前記歯科診療モジュールは、前記流体回路に投入される圧縮エアを蓄積する圧縮エアタンクを備え、
前記状態観測部は、前記圧縮エアタンクに蓄積された圧縮エアの蓄積量を観測し、
前記状態情報取得部は、観測された圧縮エアの蓄積量を装置の診療エネルギ情報として取得し、
前記判別部は、前記診療エネルギ情報抽出部によって抽出された診療エネルギ情報で示される所定の診療を行うときに必要な圧縮エアの蓄積量に基づいて、前記装置の診療エネルギ情報として観測された圧縮エアの蓄積量に不足分がない場合、前記所定の条件を満たすものと判別する、請求項ないし請求項10のいずれか一項に記載の診療エネルギ管理システム。
【請求項12】
前記歯科診療モジュールは、前記流体回路からの排水を蓄積する排水タンクを備え、
前記状態観測部は、前記排水タンクに蓄積された排水の蓄積量を観測し、
前記状態情報取得部は、観測された排水の蓄積量を装置の診療エネルギ情報として取得し、
前記判別部は、前記診療エネルギ情報抽出部によって抽出された診療エネルギ情報で示される所定の診療を行うときに必要な排水の蓄積量と、前記装置の診療エネルギ情報として観測された排水の蓄積量との和を算出し、算出された蓄積量が、前記排水タンクの容量を超えない場合、前記所定の条件を満たすものと判別する、請求項ないし請求項11のいずれか一項に記載の診療エネルギ管理システム。
【請求項13】
前記歯科診療モジュールは、前記流体回路に投入される診療液を蓄積する注液装置を備え、
前記状態観測部は、前記注液装置に蓄積された診療液の蓄積量を観測し、
前記状態情報取得部は、観測された診療液の蓄積量を装置の診療エネルギ情報として取
得し、
前記判別部は、前記診療エネルギ情報抽出部によって抽出された診療エネルギ情報で示される所定の診療を行うときに必要な診療液の蓄積量に基づいて、前記装置の診療エネルギ情報として観測された診療液の蓄積量に不足分がない場合、前記所定の条件を満たすものと判別する、請求項ないし請求項12のいずれか一項に記載の診療エネルギ管理システム。
【請求項14】
前記状態観測部は、前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測し、
前記状態情報取得部は、観測されたバッテリ蓄積量を装置の診療エネルギ情報として取得し、
前記判別部は、前記診療エネルギ情報抽出部によって抽出された診療エネルギ情報で示される所定の診療を行うときに必要なバッテリ蓄積量に基づいて、前記装置の診療エネルギ情報として観測されたバッテリ蓄積量に不足分がない場合、前記所定の条件を満たすものと判別する、請求項ないし請求項13のいずれか一項に記載の診療エネルギ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式歯科診療装置および診療エネルギ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科診療のために用いる歯科診療モジュールを、歯科診療室に常設の歯科診療ユニットに対して、着脱自在となるように構成し、この着脱可能な歯科診療モジュールを取り外して運搬できる可搬式歯科診療装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された歯科診療モジュールは、貯留容器に貯留された診療液を患部へ向けて供給する注液装置と、ハンドピースを装着する電動のマイクロモータと、を少なくとも有している。歯科医師や歯科衛生士等は、歯科診療モジュールを収納したケースの取っ手を持って運搬したり、そのケースをカートに載せて人力で運搬したりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-19865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の可搬式歯科診療装置の運搬は人手で行っていたので、歯科医師や歯科衛生士等の負担を減らすための改良の余地があった。また、特許文献1に記載の可搬式歯科診療装置は、ケースに歯科診療モジュールを収容して使用するため、それぞれ個別に事情が異なる多様な訪問診療の現場に適用しにくい場合があった。訪問診療の現場は、患者の自宅、被災地の避難施設、病院、看護施設等の種々の異なる環境下に置かれている。例えば、マイクロモータ等の電動のインスツルメントを商用電源に接続できない場合には、電動のインスツルメントを用いた診療を行うことができない。また、可搬式の歯科診療モジュールの診療液や電力等を細かく把握する技術は従来知られていないため、移動先で安定的に診療を行うことができない虞もあった。
【0005】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、多様な歯科診療の現場において、インスツルメントを用いた診療を安定的に行うことが可能な移動式歯科診療装置および診療エネルギ管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る移動式歯科診療装置は、歯科診療のために用いる流体回路および電気回路を有する歯科診療モジュールと、前記歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュールと、前記歯科診療モジュールおよび前記移動モジュールに電力を供給する二次電池と、を備え、前記歯科診療モジュールは、前記流体回路に投入される流体を蓄積するタンク又は/および前記流体回路から排出された流体を蓄積するタンクと、診療エネルギとして、前記タンクに蓄積された流体の蓄積量又は/および前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測する状態観測部と、前記状態観測部による観測量を装置の診療エネルギ情報として取得する状態情報取得部と、前記診療エネルギ情報を出力する出力部と、診療内容別に所定の診療を行うときに必要な診療エネルギ情報を記憶する診療エネルギ情報記憶部と、前記所定の診療内容を記憶する診療内容記憶部と、を備え、前記状態情報取得部は、診療内容を特定する診療内容特定情報を取得する診療内容特定情報取得部と、取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容に基づいて前記診療エネルギ情報記憶部および診療内容記憶部から所定の統計解析を行い、診療エネルギ情報を抽出する診療エネルギ情報抽出部と、抽出された診療エネルギ情報に基づいて、前記観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する判別部と、所定の条件を満たさないと判別された場合に、診療エネルギの補給エリアへ移動するように前記移動モジュールに対して指示する移動指示部と、を備える。
本発明の第2の観点に係る移動式歯科診療装置は、歯科診療のために用いる流体回路および電気回路を有する歯科診療モジュールと、前記歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュールと、前記歯科診療モジュールおよび前記移動モジュールに電力を供給する二次電池と、を備え、前記歯科診療モジュールは、前記流体回路に投入される流体を蓄積するタンク又は/および前記流体回路から排出された流体を蓄積するタンクと、診療エネルギとして、前記タンクに蓄積された流体の蓄積量又は/および前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測する状態観測部と、前記状態観測部による観測量を装置の診療エネルギ情報として取得する状態情報取得部と、前記診療エネルギ情報を出力する出力部と、術者および診療内容別に所定の診療を行うために必要な診療エネルギ情報を記憶する診療エネルギ情報記憶部と、を備え、前記状態情報取得部は、術者を特定する術者特定情報を取得する術者特定情報取得部と、診療内容を特定する診療内容特定情報を取得する診療内容特定情報取得部と、取得された術者特定情報によって特定される術者および取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容をもとに前記診療エネルギ情報記憶部から当該術者および診療内容の診療エネルギ情報を抽出する診療エネルギ情報抽出部と、抽出された診療エネルギ情報に基づいて、前記観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する判別部と、所定の条件を満たさないと判別された場合に、診療エネルギの補給エリアへ移動するように前記移動モジュールに対して指示する移動指示部と、を備える。
本発明の第3の観点に係る診療エネルギ管理システムは、移動式歯科診療装置と、情報共有先と、を備える診療エネルギ管理システムであって、前記移動式歯科診療装置は、歯科診療のために用いる流体回路および電気回路を有する歯科診療モジュールと、前記歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュールと、前記歯科診療モジュールおよび前記移動モジュールに電力を供給する二次電池と、を備え、前記歯科診療モジュールは、前記流体回路に投入される流体を蓄積するタンク又は/および前記流体回路から排出された流体を蓄積するタンクと、診療エネルギとして、前記タンクに蓄積された流体の蓄積量又は/および前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測する状態観測部と、前記状態観測部による観測量を装置の診療エネルギ情報として取得する状態情報取得部と、通信ネットワークを介して通信可能な処理部を備えた情報共有先との間で前記装置の診療エネルギ情報を含む情報の送受信を行う通信部を備える出力部と、を備え、前記情報共有先に、診療内容別に所定の診療を行うときに必要な診療エネルギ情報を記憶する診療エネルギ情報記憶部と、前記所定の診療内容を記憶する診療内容記憶部と、診療内容を特定する診療内容特定情報を取得する診療内容特定情報取得部と、取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容に基づいて前記診療エネルギ情報記憶部および診療内容記憶部から所定の統計解析を行い、診療エネルギ情報を抽出する診療エネルギ情報抽出部と、抽出された診療エネルギ情報に基づいて、前記観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する判別部と、所定の条件を満たさないと判別された場合に、診療エネルギの補給エリアへ移動するように前記移動モジュールに対して指示する移動指示部と、を備える。
本発明の第4の観点に係る診療エネルギ管理システムは、移動式歯科診療装置と、情報共有先と、を備える診療エネルギ管理システムであって、前記移動式歯科診療装置は、歯科診療のために用いる流体回路および電気回路を有する歯科診療モジュールと、前記歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュールと、前記歯科診療モジュールおよび前記移動モジュールに電力を供給する二次電池と、を備え、前記歯科診療モジュールは、前記流体回路に投入される流体を蓄積するタンク又は/および前記流体回路から排出された流体を蓄積するタンクと、診療エネルギとして、前記タンクに蓄積された流体の蓄積量又は/および前記二次電池のバッテリ蓄積量を観測する状態観測部と、前記状態観測部による観測量を装置の診療エネルギ情報として取得する状態情報取得部と、通信ネットワークを介して通信可能な処理部を備えた情報共有先との間で前記装置の診療エネルギ情報を含む情報の送受信を行う通信部を備える出力部と、を備え、前記情報共有先に、術者および診療内容別に所定の診療を行うために必要な診療エネルギ情報を記憶する診療エネルギ情報記憶部と、術者を特定する術者特定情報を取得する術者特定情報取得部と、診療内容を特定する診療内容特定情報を取得する診療内容特定情報取得部と、取得された術者特定情報によって特定される術者および取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容をもとに前記診療エネルギ情報記憶部から当該術者および診療内容の診療エネルギ情報を抽出する診療エネルギ情報抽出部と、抽出された診療エネルギ情報に基づいて、前記観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する判別部と、所定の条件を満たさないと判別された場合に、診療エネルギの補給エリアへ移動するように前記移動モジュールに対して指示する移動指示部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多様な歯科診療の現場において、インスツルメントを用いた診療を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る移動式歯科診療装置を含む診療エネルギ管理システムを示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る移動式歯科診療装置の外観を示す斜視図であり、(a)はインスツルメントハンガーの収納状態、(b)はインスツルメントハンガーの外部固定状態をそれぞれ示している。
図3】本発明の実施形態に係る移動式歯科診療装置における歯科診療モジュールの内容を示す構成図である。
図4】歯科診療モジュールにおける情報取得基板の一例を模式的に示すブロック図である。
図5】歯科診療モジュールにおける状態情報取得部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6】変形例に係る移動式歯科診療装置の概略構成図である。
図7】別の変形例に係る移動式歯科診療装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る移動式歯科診療装置1について、適宜図1から図4を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、診療エネルギ管理システム100は、移動式歯科診療装置1を備えている。移動式歯科診療装置1は、移動可能に構成され、例えば、歯科医院内の診療室に設置された歯科治療装置101の少なくとも一部の機能を備えている。常設された歯科治療装置101は、患者に歯科治療を施すための装置であって診療を行うために用いられる歯科用のインスツルメントや患者用椅子等を主に備えている。歯科治療装置101は、歯科診療のために、各種装置を駆動させるための電気回路や、圧縮エア回路、水供給回路、排水回路等の流体回路を有する。ここで、流体は、圧縮エア等の気体や、診療液や排水等の液体を意味する。歯科診療のための各種装置には、歯科用のインスツルメントのように治療に直接的にかかわる装置のほか、間接的にかかわる装置が多数ある。例えば、うがい用の水を給水する機器、うがい用の水を温めるウォーマ、トリプルシリンジに送られるエアを温めるウォーマ、スピットンを洗浄する機器、排水回路の吸引のためのバキュームモータ等、周辺機器は多様である。以下では、流体回路に投入される流体または流体回路から排出された流体を蓄積するタンクに蓄積された流体の蓄積量、および二次電池のバッテリ蓄積量を診療エネルギ情報と呼ぶ。
【0010】
移動式歯科診療装置1は、上記した電気回路や流体回路を有する歯科診療モジュールと、この歯科診療モジュールを移動させる移動手段を有する移動モジュール3と、歯科診療モジュールおよび移動モジュール3に電力を供給する二次電池と、を備えている。また、歯科診療モジュールは、診療エネルギを観測する状態観測部と、診療エネルギ情報を取得する状態情報取得部と、診療エネルギ情報を出力する出力部と、を備えている。
【0011】
また、移動式歯科診療装置1は、図1に示すように、通信ネットワークNWに接続されている。通信ネットワークNWは、有線LAN(Local Area Network)等の有線通信ネットワーク、無線LANやBluetooth(登録商標)等の無線通信ネットワーク、インターネットなどである。
【0012】
通信ネットワークNWには、移動式歯科診療装置1の情報共有先として、前記した歯科治療装置101と、歯科医院内の診療室に設置された情報処理装置102と、が接続されている。歯科治療装置101は、通信ネットワークNWと通信可能な処理部を備えている。また、通信ネットワークNWには、移動式歯科診療装置1の情報共有先として、例えば、インスツルメントの修理やメンテナンスを受け付けるコールセンタや、歯科医師または歯科技工士が歯科技工を行う技工所に設置された情報処理装置103が接続されている。また、通信ネットワークNWには、移動式歯科診療装置1の情報共有先として、例えば、インスツルメントを製造したメーカに設置された情報処理装置104が接続されている。これらの情報処理装置102~104は、通信ネットワークNWと通信可能な処理部を備えており、例えば一般的なパーソナルコンピュータ(PC)の他、タブレット型PC等の携帯型の端末機器等であってもよい。さらに、通信ネットワークNWには、クラウドサーバ105が接続されている。
【0013】
移動式歯科診療装置1は、通信ネットワークNWに接続されている歯科治療装置101、情報処理装置102~104、およびクラウドサーバ105との間で、診療エネルギ情報等の各種情報の通信を行うことが可能となっている。
【0014】
移動式歯科診療装置1は、診療室に固定された一般的な歯科治療ユニットとは異なり、商用電源や水道管と繋ぐケーブルやホースを外しても動作できるように構成されている。移動式歯科診療装置1は、インスツルメントと、インスツルメントにエネルギや水を供給する駆動源とを含む歯科診療モジュールを備えている。歯科診療モジュールの詳細は後記する。
【0015】
インスツルメント5は、歯科治療において、診断、治療または歯の清掃のために用いる器具である。インスツルメント5を取り替えて用いたり、インスツルメント5の先端のハンドピースを取り替えて用いたりすることがある。例えば歯科用タービンハンドピースのうち、エアタービンハンドピースは、注水されながら圧縮空気の力によって切削工具を高速回転させて歯を研削するものである。また、マイクロモーターハンドピースは、注水されながら電気モータの力によって切削工具を高速回転させて歯を研削するものである。インスツルメント5は、例えばスケーラであってもよい。
【0016】
次に、移動式歯科診療装置1の一例について図2を参照して説明する。移動式歯科診療装置1は、歯科診療モジュールとして、インスツルメント5と、図示しない二次電池や水タンク等を備えている。また、移動式歯科診療装置1は、インスツルメント5、および、インスツルメント5を掛け留めするインスツルメントハンガー4bを収納可能な本体8を備えている。
【0017】
本体8は、図2(a)および図2(b)に示すように、例えば円筒形で上面および下面が密閉されている。この本体8は、縦割りにした前部がドア4aとして形成されている。ドア4aは縦方向の一辺側を中心にして前方に回動自在な開き戸式に構成されている。
【0018】
また、移動式歯科診療装置1は、移動モジュール3を備えており、移動モジュール3の上に本体8が配置されている。移動モジュール3は、例えば、移動式歯科診療装置1を移動させるための移動手段と、移動手段を制御する移動制御手段と、を備える。ここでの移動手段は、床面と接する部分に設置される車輪、車輪を回転させるモータなどであり、移動式歯科診療装置1は、例えば診療室内を移動する。移動モジュール3は、公知の自動搬送車や搬送ロボットでもよい。自動で移動する場合、例えば、予め定められたスタート-ゴール間の経路上を移動する移動制御を行うことができる。あるいは、例えばカメラや画像処理を用いて外部環境を認識しながら、登録されたプログラムに基づいて障害物を回避しながら移動する移動制御を行っても構わない。
【0019】
インスツルメントハンガー4bは、ドア4aの内面に沿って形成された円弧状のアーム4cを介してピン4dを中心に回動自在にドア4aの内面に設けられている。移動式歯科診療装置1の移動時などの非使用時には、インスツルメント5を本体8内に収納してドア4aを閉める。一方、使用時には、ドア4aを開き、アーム4cを回動してインスツルメントハンガー4bを本体8の外部に固定する。インスツルメントハンガー4bからインスツルメント5を取り出して治療を開始することができる。なお、本実施形態において、移動式歯科診療装置1が備えるインスツルメント5等の歯科モジュール、および、移動式歯科診療装置1自体の外観や構造は、図2(a)および図2(b)に例示したものに限定されるものではない。
【0020】
[歯科診療モジュール]
歯科診療モジュールは、歯科医師や歯科衛生士等(以下、術者ともいう)が診療目的や診療内容に応じて、診療を行うために必要な種々のインスツルメント5等を適宜選定したり、組み合わせたりして構成される。歯科診療モジュールは、常設の歯科治療装置101(図1参照)の一部の機能だけを備えるようにして軽量化することが好ましい。これにより、移動モジュール3が移動しやすくなる効果がある。その場合、歯科診療モジュールは、主として歯科衛生士等の使用を念頭に歯の清掃のために用いるインスツルメントを具備する場合もあるし、患者のうがいのための水供給回路や排水回路を具備する場合もある。以下では、歯科診療モジュールは、歯科医師の使用を念頭に歯の診断や治療のために用いるインスツルメントを具備するものとして説明する。
【0021】
この場合、移動式歯科診療装置1が備える歯科診療モジュール2は、図3に示すように、例えば、インスツルメント5と、注液装置6と、本体8と、圧縮エア供給部81と、電源部82と、制御部83と、操作部84と、表示部Dと、を備えている。本体8は、インスツルメント5を駆動する制御部83を少なくとも格納する。ここでは、例えば、圧縮エア供給部81、電源部82および制御部83が本体8に収容されている。操作部84および表示部Dは、本体8とは別体であって無線または有線によって制御部83と通信可能にそれぞれ接続される。無線の場合、近距離無線通信規格には、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)を含む。
【0022】
インスツルメント5は、治療器具であるマイクロモータ51と、マイクロモータ51と本体8とを導通させる導通送出管であるマイクロモータ導通送出管52と、スケーラ53と、スケーラ53と本体8とを導通させる導通送出管であるスケーラ導通送出管54と、を備えている。
【0023】
ここで、「導通送出管」は、インスツルメント5に必要な駆動エネルギ、診療液H等を供給するための供給流路であり、複数の供給管を束ねたものでもよいし、複数の供給管を1つの管に内装してもよい。
【0024】
「インスツルメント5」は、説明の便宜上、個々のインスツルメント5であるマイクロモータ51とスケーラ53等の治療器具を区別する必要がない場合に総称して表記する。
【0025】
マイクロモータ51には、先端部にハンドピースHPが装着されている。マイクロモータ導通送出管52には、マイクロモータ51を駆動する駆動源である電源部82等へ導通させる導通管であるケーブル52a、診療液Hを供給する送出管である診療液配管52b、および圧縮エアを供給する圧縮エア供給管81bが含まれている。
【0026】
スケーラ導通送出管54には、スケーラ53へ電力を供給する導通管であるケーブル54a、および、診療液Hを供給する送出管である診療液配管54bが内装されている。
【0027】
注液装置6は、インスツルメント5に診療液Hを供給するものである。ここで、診療液Hは、歯科診療に使用するための洗浄液、消毒液、水等の液体であるが、特に限定されない。注液装置6は、例えば、貯留容器61と、ポンプ62と、診療液配管52bと、電磁弁52cと、診療液配管54bと、電磁弁54cと、を備えている。
【0028】
貯留容器61は、診療液Hを貯留する。貯留容器61は、貯留容器61に貯留された診療液Hを大気圧に開放した状態で吸引するので、貯留容器61は、ペットボトルを使用することができる。これにより、訪問先での歯科診療時においても可搬性、機動性、入手性に優れ、利便性を向上させることができる。
【0029】
診療液配管52bは、ポンプ62からマイクロモータ51へ連通する。診療液配管54bは、ポンプ62からスケーラ53へ連通する。なお、診療液配管52b,54bは、管内を流れる流体(診療液)の流量を検出する流量センサを適所に設けることができる。電磁弁52c、電磁弁54c、ポンプ62は、電源部82から供給される電力によって駆動する。電磁弁52cは、診療液配管52bに配設され、マイクロモータ51への注液量を制御する。電磁弁54cは、診療液配管54bに配設され、スケーラ53への注液量を制御する。これら電磁弁52c,54cは、後記する水量ボリュームスイッチで調整される。ポンプ62は、貯留容器61に貯留された診療液Hを大気圧に開放した状態で吸入管62aから吸引する。ポンプ62は、診療液配管52bを介して診療液Hをマイクロモータ51へ供給する。ポンプ62は、診療液配管54bを介して診療液Hをスケーラ53へ供給する。
【0030】
圧縮エア供給部81は、外部コンプレッサCに接続するためのエア充填接続部81aと、エア充填接続部81aとマイクロモータ51とを連結する圧縮エア供給管81bと、を備えている。圧縮エア供給部81は、エア充填接続部81aに接続された外部コンプレッサCによって、マイクロモータ導通送出管52からマイクロモータ51へモータ冷却用の圧縮エアや患部洗浄用のスプレーエアを供給する。なお、圧縮エア供給管81bは、管内を流れる流体(圧縮エア)の流量を検出する流量センサや、圧縮エアの圧力を検出する圧力計を適所に設けることができる。
【0031】
電源部82は、移動式歯科診療装置1を駆動する駆動エネルギを供給するエネルギ供給部である。電源部82は、移動モジュール3およびインスツルメント5等に電力を供給する二次電池82aと、商用電源等の外部電源に接続するための接続部である電源供給端子82bと、電源スイッチ82cと、を備えている。電源部82は、電源供給端子82bに電源ケーブル95を介して商用電源等の外部電源を接続した場合には外部電力を使用して移動式歯科診療装置1を駆動したり、二次電池82aに充電したりすることができる。また、電源供給端子82bから外部電源を切り離した場合には、二次電池82aを使用して移動式歯科診療装置1を駆動することができる。二次電池82aは、エネルギ供給部の一例であり、歯科診療モジュール2以外に設けられていてもよい。また、複数の二次電池を分散配置してもよい。
【0032】
表示部Dは、診療エネルギ情報等の各種情報を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイ等から構成される。
操作部84は、インスツルメント5を操作するインスツルメント操作部や、診療エネルギ情報等の各種情報の入出力管理を行う情報入出力操作部を備えている。
【0033】
インスツルメント操作部としては、マイクロモータ51およびスケーラ53をオン・オフするメインスイッチや、例えば水量や回転速度を制御するなどのインスツルメントを駆動するための付加的なサブスイッチを備えている。例えば、サブスイッチには、選択スイッチ、水量ボリュームスイッチ、パワーボリュームスイッチ、オプチカスイッチ、正転逆転スイッチ、注水スイッチを設けてもよい。
【0034】
選択スイッチは、マイクロモータ51またはスケーラ53を選択するものである。水量ボリュームスイッチは、マイクロモータ51およびスケーラ53へ供給する診療液Hの供給量を調整するものである。パワーボリュームスイッチは、マイクロモータ51やスケーラ53の駆動量を調整するものである。オプチカスイッチは、インスツルメント5に設けられた照明用のランプ(不図示)を点灯するものである。正転逆転スイッチは、マイクロモータ51の回転方向を選択するものである。注水スイッチは、診療液Hを患部に注水するものである。
【0035】
情報入出力操作部としては、例えば、診療エネルギ情報等の各種情報を表示部Dに表示させる表示スイッチ、診療エネルギ情報等の各種情報を診療エネルギ情報記憶部26(図4参照)に記録する記録スイッチ、通信ネットワークNWを介して診療エネルギ情報等の各種情報を送受信する通信スイッチを備えている。また、一般的な携帯端末機で可能な文字入力等の操作を行う操作部を含むことができる。
【0036】
操作部84は、例えば手に持って操作するものであってもよい。操作部84は有線、無線に限定されない。例えばスマートフォンなどの外部機器と制御部83、操作部84を連携して、音声認識、画像認識による制御や操作、画面に表示されたスライダーバーによるインスツルメント5の駆動量の制御や操作などを行うこともできる。つまり、操作部84および表示部Dが一体型の装置であっても構わない。このような一体型の装置はタブレット端末等であってもよい。
【0037】
制御部83は、インスツルメント5の動作を制御する制御部(動作制御部)や、診療エネルギ情報等の各種情報の通信を行う制御部を備えている。ここでは、制御部83は、図3および図4に示すように、マイクロモータ基板83aと、スケーラ基板83bと、情報取得基板83cとを備えている。
【0038】
マイクロモータ基板83aは、マイクロモータ51の動作を制御するものであり、スケーラ基板83bは、スケーラ53の動作を制御するものである。これらマイクロモータ基板83aおよびスケーラ基板83bは、歯科医院内の診療室に設置された歯科治療装置101(図1参照)に含まれる基板と同様に、前記操作部84のメインスイッチやサブスイッチに連動してマイクロモータ51およびスケーラ53を駆動する。これらの基板の構成は、従来公知なので、これ以上の説明を省略する。
【0039】
次に、情報取得基板83cについて図4を参照して説明する。
情報取得基板83cは、診療エネルギ情報等の情報の取得を行うものである。診療エネルギ情報以外の情報としては、歯科診療モジュール2内の各装置のオン・オフの作動状態を示す情報や、故障情報等が挙げられる。
情報取得基板83cは、図4に示すように、状態観測部11と、状態情報取得部12と、記憶部13と、出力部14と、移動指示部29と、故障検知部15と、を備えている。
【0040】
状態観測部11は、診療エネルギとして、歯科診療モジュール2内の流体回路に投入される流体を蓄積するタンクに蓄積された流体の蓄積量および二次電池82aのバッテリ蓄積量を観測するものである。ここで、タンクに蓄積された流体とは、例えば注液装置6に蓄積された診療液である。また、蓄積量を観測するとは、蓄積量を直接的に示す物理量を取得する場合だけではなく、蓄積量を間接的に示す物理量を取得する場合も含む。蓄積量を間接的に示す物理量を用いて所定の計算をすることで例えばタンクに蓄積された蓄積量を求めることができる。また、そのような計算処理は、状態観測部11と状態情報取得部12のいずれかが実行してもよいし、それぞれが分担して実行してもよい。
【0041】
ここでは、状態観測部11は、二次電池82aおよび注液装置6についての消耗状態を診療エネルギとして観測する。二次電池82aは、蓄積された電力が消費されても充電することで再利用することができる。また、注液装置6の貯留容器61は、蓄積された診療液が減少したら新たな診療液を補充することで再利用することができる。状態観測部11は、このような再利用できるように構成された装置について消耗状態を観測するセンサ等を、情報取得基板83c以外の適所に備えることができる。
状態観測部11は、図4に示すように、情報取得基板83c内にバッテリ蓄積量観測部16と作動状態観測部17とを備え、また、情報取得基板83c外に診療液蓄積量観測部16bを備えている。
【0042】
バッテリ蓄積量観測部16は、二次電池82aにおける電力の蓄積量(バッテリ蓄積量)を診療エネルギ情報として観測する。バッテリ蓄積量観測部16は、例えば、現時点の二次電池82aの電圧値と、インスツルメント5や移動モジュール3の消費電流値から、バッテリ蓄積量を検出する。バッテリ蓄積量観測部16としては、専用のIC回路チップを用いることもできる。バッテリ蓄積量観測部16は、バッテリ蓄積量を示す信号を状態情報取得部12に出力する。
【0043】
診療液蓄積量観測部16bは、例えば、貯留容器61から流れ出る診療液の流量を検出する流量センサや貯留容器61内の蓄積量を検出するフロートによって構成される。本実施形態では、診療液蓄積量観測部16bは、図3に示す診療液配管52bや診療液配管54bの予め定められた監視位置に設けられて監視位置を流れる診療液の流量を検出する流量センサであるものとする。診療液配管52bや診療液配管54bにおける監視位置としては、電磁弁52cや電磁弁54cが配設された位置の近傍とすることができる。診療液蓄積量観測部16bによる流量の検出値は、診療エネルギ情報として状態情報取得部12に出力される。
【0044】
作動状態観測部17は、歯科診療モジュール2内に配設された少なくとも1つの装置について作動状態か否かを検出する。歯科診療モジュール2内の装置には、例えば、二次電池82a、電源スイッチ82c、マイクロモータ基板83a、スケーラ基板83b、注液装置6、貯留容器61等が含まれる。作動状態観測部17は、歯科診療モジュール2内の装置がON状態(作動状態)かOFF状態かを示す信号を状態情報取得部12に出力する。
【0045】
状態情報取得部12は、状態観測部11によって観測された装置の状態を示す装置情報を取得するものである。状態情報取得部12は、図4に示すように、消耗状態取得部18と、作動状態取得部19と、を備えている。なお、図4には、符号20~25を付した他の機能部を図示しているが、これらの説明については後記する。
【0046】
消耗状態取得部18は、バッテリ蓄積量観測部16から診療エネルギ情報としてバッテリ蓄積量情報を取得するものである。消耗状態取得部18は、バッテリ蓄積量情報を記憶部13、出力部14または判別部23に出力する。
【0047】
また、消耗状態取得部18は、注液装置6における診療液の蓄積量情報を診療エネルギ情報として取得する。本実施形態では、消耗状態取得部18は、診療液蓄積量観測部16bによる流量の検出値を取得し、貯留容器61の初期状態における診療液の容量から、現時点までの流量を差し引くことで、診療液の蓄積量情報を取得する。なお、診療液蓄積量観測部16bが貯留容器61内の蓄積量を検出するフロートである場合、観測された診療液の蓄積量情報を取得する。消耗状態取得部18は、診療液の蓄積量情報を記憶部13、出力部14または判別部23に出力する。記憶部13に出力された情報は、保持され、所定のタイミングで読み出されて利用される。出力部14に出力された情報は、表示部Dに表示されるか、通信ネットワークNWに送信される。判別部23に出力された情報は、後記する判別処理で利用される。
【0048】
作動状態取得部19は、作動状態観測部17によって検出された装置の作動状態を示す装置情報を取得するものである。作動状態取得部19は、装置がON状態(作動状態)かOFF状態かを示す情報を記憶部13または出力部14に出力する。記憶部13に出力された情報は、保持され、所定のタイミングで読み出されて利用される。出力部14に出力された情報は、表示部Dに表示されるか、通信ネットワークNWに送信される。
【0049】
記憶部13は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)からなり、装置情報等の必要な情報を記憶するものである。記憶部13には、診療エネルギ情報等の情報を取得するための動作プログラムがインストールされている。ここでは、記憶部13は、例えば診療エネルギ情報記憶部26を備えている。なお、診療内容記憶部36については後記する。
【0050】
診療エネルギ情報記憶部26は、術者および診療内容別に所定の診療を行うために必要なエネルギを示す診療エネルギ情報を記憶するものである。ここでは、所定の診療を行うために必要な電力および診療液量を示す診療エネルギ情報を記憶している。
【0051】
従来、歯科医院においては、歯科治療装置101(図1参照)を利用してインスツルメント5を使用した治療を行う度に、術者を特定する識別情報、診療内容を特定する情報、インスツルメントの種類、インスツルメントの使用時間や駆動エネルギといったデータが、歯科治療装置101の制御ユニットに記録されている。あるいは、これらのデータが、通信ネットワークNW(図1)を介して、情報処理装置102~104等に記録管理される。そして、1人の術者が1つの診療内容に係る診療を行うときのデータだけでも膨大な量のデータが蓄積されており、術者個人によってあるいは診療内容によって、例えば駆動エネルギの消費量に大きな差異が存在しているのが現状である。したがって、本実施形態では、実際に診療を行う術者について、蓄積された膨大な量のデータから機械学習により推定された、術者および診療内容別の診療エネルギ情報を予め準備して、観測された装置の診療エネルギ情報によって、今後行う診療に支障をきたさないかどうかを判定する指標としている。この指標となるのが、診療エネルギ情報記憶部26に記憶された診療エネルギ情報である。この診療エネルギ情報は、移動式歯科診療装置1とは別の情報処理装置によって予め推定されてもよい。または、後記する診療エネルギ推定部25による推定処理による推定値を診療エネルギ情報として用いてもよい。
【0052】
状態情報取得部12は、消耗状態取得部18によって取得した、観測された診療エネルギ情報を用いて、観測された現在の診療エネルギで今後行う診療に支障をきたさないかどうかを判定するために、図4に示すように、術者特定情報取得部20と、診療内容特定情報取得部21と、診療エネルギ情報抽出部22と、判別部23と、報知制御部24と、を備えている。
【0053】
術者特定情報取得部20は、術者を特定する術者特定情報を取得するものである。術者特定情報は、例えば術者の氏名、ID番号、あるいは認証可能な顔画像や指紋等の識別情報である。術者特定情報取得部20は、操作部84から入力される術者特定情報を診療エネルギ情報抽出部22に出力する。
【0054】
診療内容特定情報取得部21は、診療内容を特定する診療内容特定情報を取得するものである。診療内容特定情報は、例えば治療方法の種類、治療段階の種類、治療歯の位置、治療器具の種類等の情報である。診療内容特定情報取得部21は、操作部84から入力される診療内容特定情報を診療エネルギ情報抽出部22に出力する。
【0055】
診療エネルギ情報抽出部22は、術者特定情報取得部20および診療内容特定情報取得部21によって取得された術者および診療内容をもとに、診療エネルギ情報記憶部26から当該術者および診療内容の診療エネルギ情報を抽出するものである。診療エネルギ情報抽出部22は、抽出した診療エネルギ情報を判別部23に出力する。なお、機械学習部22aについては後記する。
【0056】
判別部23は、診療エネルギ情報抽出部22によって抽出された診療エネルギ情報に基づいて、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別するものである。判別部23は、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たさないことを示す情報、または所定の条件を満たすことを示す情報を、移動指示部29に出力する。
【0057】
例えば、診療エネルギ情報が注液装置6における診療液の蓄積量を示す場合、所定の条件を満たすとは、注液装置6には、所定の診療を行うのに十分な診療液が蓄積されていることを意味する。すなわち、判別部23は、診療エネルギ情報抽出部22によって抽出された診療エネルギ情報で示される所定の診療を行うときに必要な診療液の蓄積量に基づいて、装置の診療エネルギ情報として観測された診療液の蓄積量に不足分がない場合、所定の条件を満たすものと判別する。
【0058】
また、診療エネルギ情報が二次電池82aのバッテリ蓄積量を示す場合、所定の条件を満たすとは、二次電池82aには、所定の診療を行うのに十分な電力が蓄積されていることを意味する。すなわち、判別部23は、診療エネルギ情報抽出部22によって抽出された診療エネルギ情報で示される所定の診療を行うときに必要なバッテリ蓄積量に基づいて、装置の診療エネルギ情報として観測されたバッテリ蓄積量に不足分がない場合、所定の条件を満たすものと判別する。
【0059】
ここで、移動式歯科診療装置1は、診療の途中ではエネルギ不足が生じないように構成しておくことが好ましい。また、移動の途中ではバッテリ不足が生じないように構成しておくことが好ましい。判別部23が判別処理を行うタイミングは、随時でも構わないが、診療の途中ではエネルギ不足が生じない前提であれば、診療中以外の期間にだけ判別処理を行えばよいからである。また、移動の途中ではバッテリ不足が生じない前提であれば、移動モジュール3の停止中の期間にだけ判別処理を行えばよいからである。
【0060】
さらに、判別部23は、診療中以外の期間や移動モジュール3の停止中の期間に判別処理を随時することも可能であるが、バッテリ節約のため、予め定められたいくつかのタイミングのときに、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別することが好ましい。判別を行うタイミングには、例えば、歯科診療モジュール2の電源スイッチ82cをOFFからONに切り替えた初期状態や移動モジュール3の電源がONになった初期状態を含む。また、判別を行うタイミングには、例えば、移動モジュール3が目的の移動先への到着時、移動先での停止状態から移動の再開時、あるいは、いずれかのインスツルメント5の駆動終了時を含むことができる。また、診療終了時に術者が操作部84から指示操作をすることによって判別部23が判別を行うようにしてもよい。
【0061】
移動指示部29は、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たさないと判別された場合に、移動モジュール3に対して診療エネルギの補給エリアへ移動するように指示するものである。移動指示部29は、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすと判別された場合、通常制御を継続させる。すなわち、移動指示部29は、二次電池82aからの電力をインスツルメント5等に供給することや、注液装置6においてインスツルメント5に診療液Hを供給することを許可する。一方、移動指示部29は、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たさないと判別された場合、上記の通常制御を中止させてから、移動モジュール3に移動を開始させる。
【0062】
ここで、診療エネルギの補給エリアは、診療を行うために必要なエネルギを移動式歯科診療装置1に補給したり、移動式歯科診療装置1が備えるタンク等を交換したり、移動式歯科診療装置1に貯留されていて不要になった排水等を廃棄したりする場所である。診療エネルギの補給エリアには、水道などの外部水源、商用電源、コンプレッサ等が使用可能に設けられている。例えば、注液装置6を構成する貯留容器内に蓄積される診療液である水は、外部水源から補給される。例えば担当者が手動で電気エネルギを補給する場合には、電源部82において、電源供給端子82bに電源ケーブル95を介して商用電源等の外部電源を接続し、外部電力を使用して二次電池82aに充電する。なお、移動モジュール3自体が、公知の自動搬送ロボットのように自動的に充電するようにしてもよい。また、診療エネルギの補給エリアの位置は、予め定められていてもよいし、その都度定めてもよい。予め定められる場合、ホームポジション(元の場所)に限らず、移動開始前に教示された場所や探索した場所でもよい。つまり、補給エリアへ移動とは、ホームポジション(元の場所)へ戻ること、または、補給エリアを探してそこへ進むことを意味する。
【0063】
移動指示部29が移動モジュール3に対して診療エネルギの補給エリアへ移動する指示を出したときに、移動式歯科診療装置1は、報知制御部24によって、移動を開始することを周囲に報知することが好ましい。報知制御部24は、例えば表示部Dによって、術者に対して視覚的および聴覚的な手段で移動を開始することを報知する。一例としては、スマートフォンを用いた表示部Dによって文字や色で表示したり、メロディーや音声アナウンスを発したりすることができる。これにより、移動式歯科診療装置1の移動に気付いた周囲の人々を安心させることができる。
【0064】
状態情報取得部12は、オプション構成として、図4に示す診療エネルギ推定部25を備えている。診療エネルギ推定部25は、所定の術者が所定の診療内容別に所定の診療を行うための診療エネルギ情報を推定するものである。診療エネルギ推定部25は、所定の術者が所定の診療内容別に所定の診療を行うための診療エネルギ情報を推定するための機械学習を行った学習済みの学習器を用いて、診療エネルギ情報を推定する。この学習済みの学習器は、学習器に、術者特定情報および診療内容特定情報を入力すると、入力された情報で特定される術者が入力された情報で特定される診療内容に用いる診療エネルギ情報に対応する出力値を出力するような機械学習を行うことで生成される。診療エネルギ推定部25は、この機械学習を行った学習済みの学習器に、術者特定情報取得部20および診療内容特定情報取得部21により入力された術者特定情報および診療内容特定情報を入力し、学習済みの学習器の演算処理を実行することで、診療エネルギ情報を当該学習器から取得する。診療エネルギ推定部25は、取得した診療エネルギ情報を診療エネルギ情報記憶部26に格納する。
【0065】
出力部14は、状態情報取得部12で取得された診療エネルギ情報等の情報を出力するものであり、図4に示すように、表示制御部27と、通信部28と、を備えている。
表示制御部27は、状態情報取得部12によって取得した診療エネルギ情報等の情報を表示部Dに表示させるものである。
通信部28は、例えばネットワークカード等の所定の通信インタフェースからなり、通信ネットワークNWを介して情報共有先(情報処理装置102~104等)との間で診療エネルギ情報等の情報の送受信を行う。
【0066】
故障検知部15は、歯科診療モジュール2内に配設された少なくとも1つの装置について故障を検知するものである。故障検知部15は、例えば、二次電池82a、マイクロモータ基板83a、スケーラ基板83b、注液装置6等の電気回路が正常に動作しているかどうか判別する。故障検知部15は、歯科診療モジュール2内の各電気回路が正常に稼働しているかどうか確認するために電気回路自体に対して試しにデータを送ってみるループバックの実行を監視し、ループバック信号を正常に受信していない電気回路を検出するようにしてもよい。
【0067】
報知制御部24は、故障検知部15が、例えばループバック信号を正常に受信していない電気回路を検出するなどして故障を検知した場合、故障が発生したことを報知する。報知制御部24は、故障が発生したことを例えば出力部14から表示部Dに表示させる。
なお、故障検知部15は、歯科診療モジュール2の動作中に常に監視状態とすることもできるが、バッテリ節約のため、歯科診療モジュール2の電源スイッチ82cをOFFからONに切り替えた初期状態のときにだけ、歯科診療モジュール2内の装置が正常に動作しているかどうかを判別することが好ましい。
【0068】
次に、情報取得基板83cの状態情報取得部12の処理を中心に、移動式歯科診療装置1の動作について図5を参照(適宜、図1図4参照)して説明する。
まず、状態情報取得部12において、診療エネルギ情報抽出部22は、術者特定情報取得部20によって入力された術者特定情報を取得する(ステップS101)。また、診療エネルギ情報抽出部22は、診療内容特定情報取得部21によって入力された診療内容特定情報を取得する(ステップS102)。そして、診療エネルギ情報抽出部22は、診療エネルギ情報記憶部26から診療エネルギ情報を抽出する(ステップS103)。
【0069】
続いて、判別部23は、観測された装置の診療エネルギ情報を入力する(ステップS104)。そして、判別部23は、診療エネルギ情報抽出部22で抽出された診療エネルギ情報に基づいて、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する(ステップS105)。ステップS105において、所定の条件を満たさないと判別された場合(ステップS105:Yes)、移動指示部29は、通常制御を中止させてから、診療エネルギの補給エリアへ移動するように移動モジュール3に対して指示する(ステップS106)。
【0070】
移動モジュール3が駆動することで、移動式歯科診療装置1は、診療エネルギの補給エリアへ移動する(ステップS107)。これにより、移動式歯科診療装置1は、診療エネルギを補給することができる。
【0071】
一方、前記ステップS105において、所定の条件を満たすと判別された場合(ステップS105:No)、移動指示部29は、通常制御を継続させる(ステップS108)。つまり、移動指示部29は、二次電池82aからの電力をインスツルメント5等に供給したり、注液装置6においてインスツルメント5に診療液Hを供給したりすることを許可する。
【0072】
前記実施形態では、情報取得基板83cは、診療エネルギ情報記憶部26と、術者特定情報取得部20と、診療内容特定情報取得部21と、診療エネルギ情報抽出部22と、判別部23と、診療エネルギ推定部25と、を備えているものとしたが、代わりに、これら各部を通信ネットワークNWを介して情報処理装置102等の側に備えるようにしてもよい。このように構成した場合、例えば情報処理装置102の術者特定情報取得部20は、情報取得基板83cの通信部28から送信される術者特定情報を受信する情報受信手段に対応し、診療内容特定情報取得部21は、同様に通信部28から送信される診療内容特定情報を受信する情報受信手段に対応する。また、情報処理装置102の判別部23の判別結果は、情報処理装置102の情報送信手段によって、通信ネットワークNWを介して情報取得基板83cの通信部28へ返信される。これにより、情報取得基板83cは、情報処理装置102の判別部23による判別結果に応じて処理を行うことができる。また、情報処理装置102において例えば診療エネルギ推定部25が処理をすることで、情報取得基板83cの側の処理負荷を低減することができる。同様に、移動指示部29を、情報処理装置102等の側に備えるようにしてもよい。
【0073】
(変形例1)
上記実施形態では、診療エネルギ情報記憶部26に、術者および診療内容別の診療エネルギ情報を予め記憶しておき、診療エネルギ情報抽出部22は、取得された術者特定情報によって特定される術者および取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容をもとに、診療エネルギ情報記憶部26から当該術者および診療内容の診療エネルギ情報を抽出するものとしたが、診療エネルギ情報は必ずしも術者別である必要はない。術者個人に着目すると、その個人が行う診療に特化した診療エネルギ情報を推定するための機械学習を行うことができるほど大量の個人的なデータが蓄積されていない場合も想定されるからである。
【0074】
具体的には、記憶部13は、図4に示すように、診療エネルギ情報記憶部26と、診療内容記憶部36とを備える。ここでは、診療エネルギ情報記憶部26は、複数の術者が所定の診療を行うための診療エネルギ情報を記憶している。
診療内容記憶部36は、複数の術者が行う所定の診療内容を記憶するものである。所定の診療内容を記憶する記憶構造は、前記した診療内容特定情報のように、例えば治療方法の種類、治療段階の種類、治療歯の位置、治療器具の種類等の情報の少なくとも1項目を含んで特定されるデータ記憶構造であればよい。
【0075】
また、この場合、診療エネルギ情報抽出部22は、診療内容特定情報取得部21によって取得された診療内容特定情報によって特定される診療内容に基づいて診療エネルギ情報記憶部26および診療内容記憶部36から所定の統計解析を行い、診療エネルギ情報を抽出する。診療エネルギ情報抽出部22は、抽出した診療エネルギ情報を判別部23に出力する。
【0076】
また、この場合、診療エネルギ情報抽出部22は、機械学習部22aを備えている。
機械学習部22aは、学習段階において、診療内容記憶部36に記憶された所定の診療内容を入力すると、診療エネルギ情報記憶部26に記憶された診療エネルギ情報を対応する出力値として出力するような機械学習を行う学習器として機能する。機械学習の方法は、特に限定されず、例えば、ニューラルネットワーク等の一般的な機械学習技術を利用することができる。
【0077】
この機械学習部22aは、推定段階においては、学習済みの学習器として入力情報に応じた出力値を返す推定器として機能する。すなわち、機械学習部22aは、推定段階においては、学習した診療内容と診療エネルギ情報との対応関係に基づいて、診療内容特定情報取得部21によって入力として与えられる診療内容特定情報から演算処理を実行することにより推定される診療エネルギ情報を抽出して出力する。なお、この変形例1の場合、移動式歯科診療装置1の動作は、図5の術者特定情報を取得するステップ(ステップS101)を除いて、図5のフローチャートと同様である。
【0078】
上記変形例1によれば、例えば歯科治療装置101の制御ユニット等において、診療に係る術者の個人的なデータの蓄積量が少ない場合、診療に係る多くの術者のデータを統計的に処理して推定される診療エネルギ情報を予め準備して、観測された現在の診療エネルギで今後行う診療に支障をきたさないかどうかを判定する指標として用いることができる。
【0079】
前記変形例1では、情報取得基板83cは、診療エネルギ情報記憶部26と、診療内容記憶部36と、診療内容特定情報取得部21と、診療エネルギ情報抽出部22と、判別部23と、診療エネルギ推定部25とは、情報取得基板83cの側に備えているものとしたが、代わりに、通信ネットワークNWを介して情報処理装置102等の側に備えるようにしてもよい。
【0080】
(変形例2)
前記実施形態の移動式歯科診療装置1は、主として治療や診断に用いる歯科診療モジュール2を使用することを想定して説明した。次に、図6を参照して、主として歯の清掃等に用いる歯科診療モジュールを想定した移動式歯科診療装置1Bの構成について説明する。移動式歯科診療装置1Bは、歯科診療モジュール2Bと、移動モジュール3と、制御部83と、を備える。制御部83は、情報取得基板83c以外の基板を備えていない点が移動式歯科診療装置1の構成と相違する。その他の点では、制御部83および移動モジュール3は、移動式歯科診療装置1の構成と同様なので、ここでは説明を省略する。また、すでに説明した構成と同様の構成には同じ符号を付して説明を適宜省略する。
【0081】
歯科診療モジュール2Bは、トリプルシリンジ41と、注液装置6と、水供給端子7と、圧縮エアタンク63と、エア供給端子9と、を備える。また、歯科診療モジュール2Bは、バキューム42と、排唾器具43と、バキュームモータ44と、セパレータ45と、排水タンク46と、排水端子47と、を備える。さらに、歯科診療モジュール2Bは、二次電池82aと、電源供給端子82bと、操作部84と、を備える。以下、各構成要素について説明する。
【0082】
トリプルシリンジ41は、術野を注視しやすくするために、口腔内を洗浄や乾燥させるための器具である。トリプルシリンジ41は、「水」、「空気」、「水+空気(スプレー)」の3通りを噴出することができる。
【0083】
注液装置6は、トリプルシリンジ41に診療液である水を供給するものである。注液装置6は、例えば、診療液を貯留する貯留容器、診療液を送り出すポンプ、ポンプとトリプルシリンジ41とを接続する診療液配管、トリプルシリンジ41への注液量を制御する電磁弁などを備える。診療液は、水の他に歯科診療に使用するための洗浄液、消毒液等の液体であってもよい。
水供給端子7は、水道などの外部水源に注液装置6を接続する接続部である。例えば、注液装置6を構成する貯留容器内に診療液である水は、水供給端子7を介して補給される。
【0084】
圧縮エアタンク63は、トリプルシリンジ41へ供給するエアを蓄えるものである。圧縮エアタンク63から放出される圧縮エアは、図示しない流量制御弁によって一定の流量で流れるように調整されてトリプルシリンジ41へ供給される。
エア供給端子9は、外部のエア供給源に圧縮エアタンク63を接続する接続部である。例えば、圧縮エアタンク63には、圧縮エアがエア供給端子9を介して補給される。
【0085】
バキューム42は、術者の視野確保や口腔内の衛生の保持のために、口腔内の切削粉塵・水・唾液などを吸引排除するものである。歯科医師や歯科衛生士(術者)が吸引排除の必要な位置にバキューム42を持っていって使用される。
排唾器具43は、治療部位の除湿、術者の視野確保のために、口腔内に溜まった唾液・水・洗浄液を吸引排除するものである。排唾器具43は、切削粉塵を吸引するだけの能力はない。排唾器具43は、U字状を呈しており、患者の口腔内に保持して使用される。例えば、術者が1人で診療を行っているときには、排唾器具43を用いることで唾液がたまるのを防ぎ、バキューム42を持ち出す手間を省くことができる。
【0086】
バキュームモータ44は、吸引力を発生させるものである。バキューム42や排唾器具43は、バキュームモータ44を用いて患者の口腔内の唾液などを吸引するものである。
セパレータ45は、バキューム42や排唾器具43によって吸い取ったものから唾液等の液体と空気等の気体とを分離する(排唾の気液分離)。
排水タンク46は、バキューム42や排唾器具43によって吸い取られてセパレータ45で分離された唾液を貯留するものである。
排水端子47は、下水道などの外部の排出手段に排水タンク46を接続する接続部である。排水タンク46内の唾液は、排水端子47を介して排出される。
【0087】
二次電池82aに蓄えられる電力は、例えば、バキュームモータ44に供給されてバキュームモータ44を駆動させたり、移動モジュール3に供給されて移動モジュール3を駆動させたりする。
操作部84は、バキューム42を操作するバキューム操作部、排唾器具43を操作する排唾操作部、トリプルシリンジ41を操作するシリンジ操作部などを備えている。
変形例2では、移動式歯科診療装置1Bの状態観測部11(図4)は、二次電池82aおよび注液装置6についての消耗状態を診療エネルギとして観測することに加え、圧縮エアタンク63および排水タンク46における流体の蓄積量も診療エネルギとして観測することとして説明する。
【0088】
〔圧縮エア蓄積量観測部〕
移動式歯科診療装置1Bにおいて、情報取得基板83c外に、状態観測部11(図4)は、圧縮エアタンク63(図6)における圧縮エアの蓄積量を観測する圧縮エア蓄積量観測部(図示省略)を備えることができる。圧縮エア蓄積量観測部は、圧縮エアタンク63の圧力を検出する圧力計と、圧縮エアの流量を検出する流量センサとによって構成される。この圧縮エア蓄積量観測部による圧縮エアの圧力および流量の検出値は、状態情報取得部12(図4)に出力される。状態情報取得部12の消耗状態取得部18は、圧縮エアタンク63(図6)の容積と、現時点における圧力および流量と、圧縮エアの現時点までの累積使用時間とを用いて、圧縮エアタンク63における圧縮エアの蓄積量を診療エネルギ情報として算出する。消耗状態取得部18は、圧縮エアの蓄積量情報を例えば判別部23(図4)に出力する。判別部23は、診療エネルギ情報抽出部22(図4)によって抽出された診療エネルギ情報(圧縮エアの蓄積量情報)に基づいて、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する。
【0089】
このように診療エネルギ情報が圧縮エアタンク63における圧縮エアの蓄積量を示す場合、所定の条件を満たすとは、圧縮エアタンク63には、所定の診療を行うのに十分な圧縮エアが蓄積されていることを意味する。すなわち、判別部23は、診療エネルギ情報抽出部22によって抽出された診療エネルギ情報で示される所定の診療を行うときに必要な圧縮エアの蓄積量に基づいて、装置の診療エネルギ情報として観測された圧縮エアの蓄積量に不足分がない場合、所定の条件を満たすものと判別する。
【0090】
〔排水蓄積量観測部〕
移動式歯科診療装置1Bにおいて、情報取得基板83c外に、状態観測部11(図4)は、排水タンク46(図6)における排水の蓄積量を観測する排水蓄積量観測部(図示省略)を備えることができる。排水蓄積量観測部は、例えば、排水タンク46内の蓄積量を検出するフロートによって構成される。この排水蓄積量観測部による排水の蓄積量情報は、状態情報取得部12(図4)に出力される。状態情報取得部12の消耗状態取得部18は、排水の蓄積量情報を診療エネルギ情報として取得する。消耗状態取得部18は、排水の蓄積量情報を例えば判別部23(図4)に出力する。判別部23は、診療エネルギ情報抽出部22(図4)によって抽出された診療エネルギ情報(排水の蓄積量情報)に基づいて、観測された装置の診療エネルギ情報が所定の条件を満たすか否かを判別する。
【0091】
このように診療エネルギ情報が排水タンク46における排水の蓄積量を示す場合、所定の条件を満たすとは、排水タンク46には、所定の診療に伴う排水を受け入れるのに十分な空き容量があることを意味する。すなわち、判別部23は、診療エネルギ情報抽出部22によって抽出された診療エネルギ情報で示される所定の診療を行うときに必要な排水の蓄積量と、装置の診療エネルギ情報として観測された排水の蓄積量との和を算出し、算出された蓄積量が、排水タンク46の容量を超えない場合、所定の条件を満たすものと判別する。
【0092】
(変形例3)
次に、図7を参照して、主として診療後の患者のうがいのために利用することを想定した移動式歯科診療装置1Cの構成について説明する。
移動式歯科診療装置1Cは、歯科診療モジュール2Cと、移動モジュール3と、制御部83と、を備える。制御部83は、情報取得基板83c以外の基板を備えていない点が移動式歯科診療装置1の構成と相違する。その他の点では、制御部83および移動モジュール3は、移動式歯科診療装置1の構成と同様なので、ここでは説明を省略する。また、すでに説明した構成と同様の構成には同じ符号を付して説明を適宜省略する。
【0093】
歯科診療モジュール2Cは、給水部71と、スピットン72と、スピットン洗浄部73と、注液装置6と、水供給端子7と、給水制御手段74と、を備える。また、歯科診療モジュール2Cは、排水タンク46と、排水端子47と、二次電池82aと、電源供給端子82bと、を備える。
【0094】
給水部71は、うがい用のコップに水を注入するものである。スピットン72は、患者がうがいを行う鉢である。スピットン洗浄部73は、スピットン72に洗浄用の水を流し、スピットン72を洗浄するものである。
【0095】
注液装置6は、給水制御手段74を介して、給水部71やスピットン洗浄部73に水を供給するものである。注液装置6は、例えば、診療液を貯留する貯留容器、診療液を送り出すポンプ、ポンプと給水部71やスピットン洗浄部73とを接続する診療液配管、給水部71やスピットン洗浄部73への注液量を制御する電磁弁などを備える。
水供給端子7は、水道などの外部水源に注液装置6を接続する接続部である。
【0096】
給水制御手段74は、供給先の切り替えを制御し、給水部71およびスピットン洗浄部73に水を供給する。例えば、給水制御手段74は、所定の位置にコップが置かれたことを検出して、給水部71に水を供給する。また、給水制御手段74は、例えば補助者による操作によって、スピットン洗浄部73に水を供給する。
【0097】
排水タンク46は、スピットン72に吐き出された水などを貯留するものである。
排水端子47は、下水道などの外部の排出手段に排水タンク46を接続する接続部である。排水タンク46内の水などは、排水端子47を介して排出される。
【0098】
なお、二次電池82aに蓄えられる電力は、例えば、移動モジュール3に供給されて移動モジュール3を駆動させたりする。
変形例3では、移動式歯科診療装置1Cの状態観測部11(図4)は、二次電池82aおよび注液装置6についての消耗状態を診療エネルギとして観測することに加え、排水タンク46における流体の蓄積量も診療エネルギとして観測することができる。移動式歯科診療装置1Cにおいて、情報取得基板83c外に、状態観測部11(図4)は、排水タンク46(図7)における排水の蓄積量を観測する排水蓄積量観測部(図示省略)を備えることができる。この排水蓄積量観測部は、変形例2で説明したものと同様なので、これ以上の説明を省略する。
【0099】
なお、各移動式歯科診療装置における水、電気、エア、排水等の外部との各接続部(各供給端子)は、ワンタッチジョイントで構成してもよい。例えば、水供給端子7、エア供給端子9、電源供給端子82bおよび排水端子47は、ワンタッチジョイントで構成してもよい。
【0100】
(変形例4)
前記実施形態では、移動式歯科診療装置1,1B,1Cの状態観測部11は、診療エネルギとして、各タンクに蓄積された流体の蓄積量および二次電池82aのバッテリ蓄積量を観測するものとしたが、本発明はこれに限定されない。状態観測部11は、流体の蓄積量と、二次電池82aのバッテリ蓄積量と、のいずれか一方のみを観測することとしてもよい。
具体的には、移動式歯科診療装置1は、歯科診療モジュール2の注液装置6に蓄積された診療液の蓄積量を観測し、バッテリ蓄積量を観測しなくてもよい。
また、移動式歯科診療装置1Bは、歯科診療モジュール2Bにおいて、注液装置6に蓄積された診療液の蓄積量と、排水タンク46に蓄積された排水の蓄積量と、の少なくとも1つのみを観測するようにしてもよい。
また、移動式歯科診療装置1Cは、歯科診療モジュール2Cの排水タンク46に蓄積された排水の蓄積量を観測し、バッテリ蓄積量を観測しなくてもよい。
さらに、移動式歯科診療装置1,1B,1Cは、バッテリ蓄積量を観測し、流体の蓄積量を観測しなくてもよい。
【0101】
他の変形例として、例えば移動式歯科診療装置1は、歯科診療モジュール2の水や空気が流れる流体回路を、二次電池の筐体表面やその近傍に配置するようにしてもよい。このようにすることで、二次電池82aを冷却することができると共に、熱交換によって流体回路を流れる水や空気を温めることできる。その結果、うがい用の水を温めるウォーマや、トリプルシリンジに送られるエアを温めるウォーマ等を別に設置する必要がなくなるという効果もある。
【符号の説明】
【0102】
1,1B,1C 移動式歯科診療装置
2,2B,2C 歯科診療モジュール
3 移動モジュール
5 インスツルメント
6 注液装置
7 水供給端子
8 本体
9 エア供給端子
11 状態観測部
12 状態情報取得部
13 記憶部
14 出力部
15 故障検知部
16 バッテリ蓄積量観測部
16b 診療液蓄積量観測部
17 作動状態観測部
18 消耗状態取得部
19 作動状態取得部
20 術者特定情報取得部
21 診療内容特定情報取得部
22 診療エネルギ情報抽出部
22a 機械学習部
23 判別部
24 報知制御部
25 診療エネルギ推定部
26 診療エネルギ情報記憶部
27 表示制御部
28 通信部
29 移動指示部
36 診療内容記憶部
51 マイクロモータ(インスツルメント)
52 マイクロモータ導通送出管
52a ケーブル
52b 診療液配管
52c 電磁弁
53 スケーラ(インスツルメント)
54b 診療液配管
54c 電磁弁
61 貯留容器
62 ポンプ
62a 吸入管
63 圧縮エアタンク
81 圧縮エア供給部
81a エア充填接続部
81b 圧縮エア供給管
82a 二次電池
82b 電源供給端子
82c 電源スイッチ
83 制御部
83c 情報取得基板
100 診療エネルギ管理システム
101 歯科治療装置
102~104 情報処理装置
105 クラウドサーバ
NW 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7