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特許7332154建物用多用途部材及びそれを用いた防音遮光部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】建物用多用途部材及びそれを用いた防音遮光部材
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/36 20060101AFI20230816BHJP
   A47H 23/08 20060101ALI20230816BHJP
   E06B 9/262 20060101ALI20230816BHJP
   E06B 9/386 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
E06B9/36 F
A47H23/08
E06B9/262
E06B9/386
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019227879
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021095756
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】599019672
【氏名又は名称】有限会社美鈴
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 勇一
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-106986(JP,U)
【文献】特開平10-266734(JP,A)
【文献】特開2014-15797(JP,A)
【文献】登録実用新案第3126909(JP,U)
【文献】特開平10-183811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00-99/00
E04B 1/62- 1/99
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びた本体部及び前記本体部の長手方向と交差する幅方向の両端部に折り返しによって設けられた固定用片部を有し、全体が硬質の薄板によって形成されたパネル部材と、
長手方向と交差する幅方向の両端部が前記固定用片部に嵌め込まれることにより前記パネル部材の長手方向の両端部に設けられた可撓材からなる2つの端部ブロックと、
両端部が前記固定用片部に嵌め込まれた状態で前記端部ブロックの間の空間内に配置された緩衝材からなる緩衝マットと、
幅方向の端部が前記固定用片部と前記緩衝マットとの間に差し込まれると共に長手方向の両端部が前記端部ブロックに係止部材を介して係止されて前記パネル部材の片面を覆うカバーシートと、を備えていることを特徴とする建物用多用途部材。
【請求項2】
前記本体部の全体が平板状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の建物用多用途部材。
【請求項3】
前記本体部の全体が波形状に湾曲されていることを特徴とする請求項1記載の建物用多用途部材。
【請求項4】
前記係止部材は、面状の係止部材であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の建物用多用途部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の多用途部材と、
前記本体部が室外側、前記カバーシートが室内側を向くように前記建物用多用途部材を吊り下げる吊り下げ部材と、
前記吊り下げ部材をスライド可能に吊り下げるレール部材と、を備えていることを特徴とする防音遮光部材。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の多用途部材と、
前記多用途部材が差し入れられる袋部の複数が連設された折り畳み可能な外側部材と、を備えていることを特徴とする防音遮光部材。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の複数の多用途部材と、
前記多用途部材が隣接するように複数の多用途部材を連結するつなぎ部材と、を備えていることを特徴とする防音遮光部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテン、シェード、ブラインド等の建物の内装部材だけでなく、騒音の遮断を行う防音にも使用することができる建物用多用途部材及びそれを用いた防音遮光部材に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンやシェードは建物内への外光の侵入を遮断したり緩和するために建物のウィンドウや出入り口に設けられる。しかしながら、これらの内装部材は防音機能を備えていない。一方、建物の内外に対する騒音の遮断には、防音壁が構築される。
【0003】
防音壁として、例えば、特許文献1には、発泡樹脂によって厚みを有したパネル部材を形成し、このパネル部材の一面を多孔シートで覆い、他面を遮音シートで覆った防音パネルの構造が開示されている。このような防音パネルを窓やドア等の建物の遮音が必要な箇所に並べ、ブラケットやアングル部材を用いて隣接する防音パネルをねじによって結合することにより防音壁を構築する。従って、防音のためには、防音パネルを組み立てる作業が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-183811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のように、カーテンやシェードは光の遮断を行うが、防音力に乏しい問題がある。一方、防音壁は防音機能を有しているが、防音するには、そのための施工が必要となり、施工後は防音用としてだけ機能するに過ぎない問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、カーテンやシェード等の遮光だけなく、防音、その他の用途にも簡単に適用することができる建物用多用途部材及びそれを用いた防音遮光部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多用途部材は、長手方向に延びた本体部及び前記本体部の長手方向と交差する幅方向の両端部に折り返しによって設けられた固定用片部を有し、全体が硬質の薄板によって形成されたパネル部材と、長手方向と交差する幅方向の両端部が前記固定用片部に嵌め込まれることにより前記パネル部材の長手方向の両端部に設けられた可撓材からなる2つの端部ブロックと、両端部が前記固定用片部に嵌め込まれた状態で前記端部ブロックの間の空間内に配置された緩衝材からなる緩衝マットと、幅方向の端部が前記固定用片部と前記緩衝マットとの間に差し込まれると共に長手方向の両端部が前記端部ブロックに係止部材を介して係止されて前記パネル部材の片面を覆うカバーシートと、を備えていることを特徴とする。
【0008】
上記において、前記本体部の全体が平板状に形成されていることを特徴とする。
又、前記本体部の全体が波形状に湾曲されていることを特徴とする。
又、前記係止部材は、面状の係止部材であることを特徴とする。
【0009】
本発明の防音遮光部材は、以上の多用途部材と、前記本体部が室外側、前記カバーシートが室内側を向くように前記建物用多用途部材を吊り下げる吊り下げ部材と、前記吊り下げ部材をスライド可能に吊り下げるレール部材と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明の防音遮光部材は、以上の多用途部材と、前記多用途部材が差し入れられる袋部の複数が連設された折り畳み可能な外側部材と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の防音遮光部材は、以上の複数の多用途部材と、前記多用途部材が隣接するように複数の多用途部材を連結するつなぎ部材と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の多用途部材によれば、カーテンやシェード等の遮光だけなく、防音、その他の用途にも簡単に適用することができる。
本発明の防音遮光部材によれば、作製が容易であり、良好な防音及び良好な遮光が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態の分解斜視図である。
図2】第1実施形態の組み付け途中の斜視図である。
図3】(A)~(C)はカバーシートの差し込み構造を示す断面図である。
図4】本発明の第2実施形態の斜視図である。
図5図4におけるA-A線断面図である。
図6図4におけるB-B線断面図である。
図7】第2実施形態に用いる吊り下げ部材の平面図である。
図8】吊り下げ部材の正面図である。
図9】第2実施形態に用いるカーテンレールの底面図である。
図10】カーテンレールへの取り付けを示す斜視図である。
図11】(A)~(D)は第2実施形態の動作を示す底面図である。
図12】第3実施形態の斜視図である。
図13図12のC-C線断面図である。
図14】第3実施形態の正面図である。
図15】第3実施形態の展開状態を示す正面図である。
図16】第3実施形態の折り畳み動作を示す正面図である。
図17】第4実施形態を示す正面図である。
図18】第4実施形態の折り畳み動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を図示する各実施形態により具体的に説明する。
【0015】
図1図3は本発明の建物用多用途部材の第1実施形態を示し、図1はその分解斜視図、図2は組み付け途中の斜視図を示す。建物用多用途部材(以下、多用途部材)1はパネル部材2と、2つの端部ブロック3と、緩衝マット4と、カバーシート5とを有している。建物用多用途部材1は一方向に延びた長尺形状となっており、図1及び図2に示すように、長尺に延びた方向を長手方向L、長手方向Lと直交状に交差した方向を幅方向Mとして説明する。
【0016】
パネル部材2は全体がアルミニウム等の軽金属やプラスチック等の軽量で硬質な材料からなる薄板によって形成されている。パネル部材2は長手方向Lに延びた本体部2aと、本体部2aの幅方向Mの両端部に設けられた2片の固定用片部2bとを有している。本体部2aが板状となっていることにより、遮音性が付与されて防音機能を有したものとなる。本体部2aは平板状に形成されているが、後述する第2実施形態のように波状に湾曲させた板状としても良い。
【0017】
固定用片部2bは本体部2aの幅方向の両端部を立ち上げ、その立ち上げ端部を折り返して屈曲させることにより形成されている。固定用片部2bは小幅寸法となっており、本体部2aの両端部の固定用片部2bは離隔された状態となっている。固定用片部2bは端部ブロック3、緩衝マット4及びカバーシート5をパネル部材2に固定するための部材である。
【0018】
2つの端部ブロック3のぞれぞれは、パネル部材2の長手方向Lの両端部に設けられている。2つの端部ブロック3はパネル部材2の本体部2aの幅方向Mの長さ寸法と略同じ長さに形成された矩形ブロック状に形成されている。2つの端部ブロック3は本体部2aの幅方向に沿って延びている。又、端部ブロック3はパネル部材2の固定用片部2bの高さと同等となる厚さに形成されている。端部ブロック3は幅方向Mの両端部を固定用片部2bに嵌め込むことによってパネル部材2の長手方向Lの両端部に固定される。端部ブロック3としては、発泡樹脂、ゴム等の可撓材が使用されており、撓ませることができるため固定用片部2bへの嵌め込みが容易となっている。
【0019】
緩衝マット4はパネル部材2の長手方向Lに沿って延びており、2つの端部ブロック3の間に挟まれるように設けられる。従って、緩衝マット4は2つの端部ブロック3の間の空間内に配置される。緩衝マット4と2つの端部ブロック3とを合わせた長さはパネル部材2の本体部2aの長さと同じとなる。緩衝マット4は端部ブロック3と同様にパネル部材2の固定用片部2bの高さと同等な厚さのブロック状に形成されており、幅方向Mの両端部が固定用片部2bに嵌め込まれることによりパネル部材2に固定される。緩衝マット4は不織布、綿材、発泡樹脂等の緩衝材が使用される。このような緩衝材を用いることにより、多用途部材1の全体が吸音機能、断熱機能、保温機能を有したものとなる。
なお、緩衝マット4に発熱体を埋め込み、発熱体を外部電源と接続することも可能であり、これにより暖房効果及び結露防止効果を有するようにすることもできる。
さらに、ペルチェ効果を有する熱交換パネルを緩衝マット4に埋め込んで外部電源と接続する構造としても良い。これにより冷房機能を備えることができる。
【0020】
カバーシート5はこの実施形態では、パネル部材2の長さと同等の長さとなっており、端部ブロック3及び緩衝マット4を覆うようにパネル部材2の片面に張設される。これによりパネル部材2から端部ブロック3、緩衝マット4が露出して見えることを防止する。カバーシート5としては、カーテン地等の布材、柔軟な薄いプラスチックシートを用いるものであり、カーテン地を用いることにより、室内への装飾性を付与することができる。
【0021】
カバーシート5のパネル部材2への張設は、長手方向Lの両端部及び幅方向Mの両端部をパネル部材2に固定することにより行う。長手方向Lの両端部の固定は、面ファスナー等の面状の係止部材6を用いて行う。すなわち面ファスナー等の面状の係止部材6を2つの端部ブロック3に貼り付けると共に、対となる図示省略の面状の係止部材をカバーシート5の長手方向の両端部の裏面に貼り付け、これらを相互に係合させることにより行う。面状の係止部材6を用いることにより、係止が容易となると共に嵩張ることを防止することができる。
一方、幅方向Mの両端部の固定は、係止部材6による係止の後、カバーシート5の幅方向Mの両端部を固定用片部2bと緩衝マット4との間に差し込むことにより行う。この差し込みはへら等の治具を用い、カバーシート5の両端部を線状に差し込んでも良く、固定用片部2bと緩衝マット4との間にL字状に屈曲させて差し込んで良い。L字状に屈曲させることにより差し込み面積及び差し込み力が大きくなって強固に固定できるため、緩みを防止した固定が可能となる。
【0022】
図3は、カバーシート5の幅方向Mの両端部の固定構造の一例を示す。この固定は固定用片部2bの長さ方向に沿って竿状に延びた留めロッド7を用いるものである。留めロッド7は樹脂からなり、断面が台形状に形成され、その一つの角部7aが固定用片部2bに臨むように固定用片部2bに沿って差し込まれる(図3(A))。その後、カバーシート5を外側から固定用片部2bに差し入れて角部7aを通過させることにより角部7aと固定用片部2bとがカバーシート5を挟むため(図3(B))、カバーシート5を簡単に固定することができる。
図3(C)は留めロッド7の角部7aの周囲の面及び固定用片部2bの対向面に滑り止め粉8を付着させた固定構造である。滑り止め粉8はスプレー等によって簡単に付着させることができる。滑り止め粉8を用いることによりカバーシート5の固定を強固とすることができ、確実な緩み止めができる。
なお、図3(A)~(C)に示すように、留めロッド7の内部には、板材、硬質樹脂材からなる芯材7bが埋め込まれて補強されているが、芯材7bは省くことも可能である。
留めロッド7としては、固定用片部2bとの間でカバーシート5を挟んで固定するものであれば良く、例えば断面L字形のロッドを用い、その角部を固定用片部2bに臨むように配置しても良い。
【0023】
以上の多用途部材1は、特別な工具を必要とすることなく簡単に組み立てができるため作製が容易である。使用に際しては、パネル部材2の本体部2aを室外側に向け、カバーシート5を室内側に向けるように複数の多用途部材1を建物に横並び状に吊り下げたり、上下方向に並べるだけで良く、パネル部材2の本体部2aの遮音効果によって防音効果を発揮すると共に遮光効果を発揮することができる。このとき、室内側のカバーシート5は柔らかな質感を醸し出すため、カーテンやシェード、ブラインド等として多用途に用いることができる。又、複数の多用途部材1をジグザグ状に屈曲させた横並び状として床上に自立させることにより、防音効果のある屏風等としても使用することができる。
【0024】
図4図11は、本発明の第2実施形態を示す。この実施形態は、多用途部材1Aを防音遮光部材の一つとしてのカーテンに適用した形態である。
【0025】
この実施形態の多用途部材1Aは、図4図6に示すように、パネル部材2の本体部2aが波状に湾曲された薄板材によって形成されており、本体部2aの幅方向Mの両端部の固定用片部2bは折り返しによって形成されて長手方向Lに延びている。2つの端部ブロック3、緩衝マット4、カバーシート5はパネル部材2の本体部2aの湾曲形状に合わせて湾曲される(図5参照)。
【0026】
カバーシート5としてはカーテン地等の布材や薄い柔軟なプラスチックシートが使用される。このカバーシート5は長手方向Lの一端部(下端部)はパネル部材2の本体部2aの長さ寸法に合わせて裁断されるが、他端部(上端部)は本体部2aよりも幾分長くなった余剰部5aが形成されている(図4及び図6参照)。多用途部材1Aを吊り下げるための吊り下げ部材10がカバーシート5よりも高い位置となっており、吊り下げ部材10が室内側に露出することを防止するためである。かかる余剰部5a側では、その係止部材6aも端部ブロック3側の係止部材6よりも上側に延びた大きな寸法となっており、端部ブロック3側の係止部材6との係止だけでなく、後述する吊り下げ部材10側の係止部材17(図7及び図8)との係止が可能となっている。以上の係止部材6a、6、17は、面ファスナー等の面状の係止部材が使用される。
【0027】
図7及び図8は、吊り下げ部材10の平面図及び正面図である。横長の吊り下げ竿11の上面にガイドレール12が設けられ、このガイドレール12に吊り下げ用金具13がスライド可能に取り付けられている。吊り下げ用金具13には、吊り下げフック14が取り付けられており、吊り下げ竿11は吊り下げフック14を介して天井側のレール部材15(図9図10参照)にスライド可能に吊り下げられる。
【0028】
図7に示すように、吊り下げ竿11の室内側の面には、連続した波形状に形成された取り付け面16が形成され、この取り付け面16の室内側の面に面ファスナー等の面状の取り付け用係止部材17が貼り付けられている。連続した波形状の取り付け用係止部材17に対し、多用途部材1A側の大きな寸法となっている係止部材6aを係止することにより、波状に湾曲された多用途部材1の複数が連続した波状となって横並びされる。このため、室内側のカバーシート5も連続した波形状となるため、変化のある美感を備えたカーテンとすることができる。
【0029】
天井側のレール部材15には図9に示すように、フック用レール18が複数設けられている。フック用レール18は4本のレール18a~18dによって形成されている。そして第1レール18aが最も短く、第2レール18b、第3レール18c、第4レール18dに向かって順次長くなっており、これらの第1レール18a~18dが複数段となるようにレール部材15に設けられている。それぞれのフック用レール18a~18dには、ランナー(図示省略)がスライド可能に配置されており、このランナーに吊り下げ部材10の吊り下げフック14が吊り下げられる(図10参照)。ランナーは手動でスライド可能としても良く、電動でスライド可能としても良い。なお、フック用レール18の数は適宜変更することができる。
【0030】
図10及び図11はこの実施形態の動作を示す。吊り下げ部材10に対して多用途部材1Aを吊り下げると、複数の多用途部材1Aは連続した波状となって吊り下げ部材10に吊り下げられる。この吊り下げ部材10をレール部材15の複数段のフック用レール18のそれぞれに吊り下げる。
図11(A)はカーテンを閉じた状態、(B)、(C)はカーテンを段階的に引き出す状態、(D)はカーテンを最大に引き出した状態である。カーテンの引き出しにおいては、波形状の多用途部材1Aが横並びとなっているため、最大に引き出したカーテン閉じ状態(図11(D))では、カバーシート5に用いたカーテン地が室内側で連続波状に見えるため、美感が向上する。又、室外側には、パネル部材2が連続して横並びとなっているため、良好な防音と確実な遮光を行うことができる。特に、この実施形態では、パネル部材2の本体部2aが波形状のため本体部2aの面積が大きくなっており、カーテンの閉じ状態では、本体部2aの波形状が連続した状態となるため、大きな防音効果を有している。
なお、パネル部材2としては、ある程度の防音効果を有するものであれば良く、このため、本体部2aに開口したスリットを複数条形成したものであっても良く、この場合には、採光も可能なカーテンとすることができ、軽量化も可能となる。
又、フック用レール18としては、複数段とすることなく単一のフック用レール18としても良く、建物における取り付け箇所に合わせた長さとすることができる。
【0031】
図12図16は、本発明の第3実施形態を示す。この実施形態は多用途部材1Bを防音遮光部材の一つとしてのシェードに適用した形態である。
【0032】
図12及び図13は、この実施形態の多用途部材1Bを示す。
この形態の多用途部材1Bは、第1実施形態の多用途部材1と同様な構造となっている。すなわち、図12に示すようにパネル部材2の本体部2aは平板状となっており、このパネル部材2に2つの端部ブロック3、緩衝マット4が取り付けられ、パネル部材2の片面をカバーシート5が覆っている。カバーシート5はカーテン地等の布材や薄い柔軟なプラスチックシート等が使用されており、長さ方向Lの両端部が端部ブロック3に貼り付けられた面状の係止部材6に係止され、幅方向Mの両端部が緩衝マット4とパネル部材2の固定用片部2bとの間に差し込まれる。
【0033】
この実施形態においては、図13に示すように、固定用片部2bの内側に竿状に延びた留め具21が配置されている。留め具21は三角形の第1留め具21aと、矩形の第2留め具21bとの組み合わせによって形成されており、第2留め具21bが固定用片部2b側に位置している。第2留め具21bはカバーシート5の端部を固定用片部2bに押し付けるものである。カバーシート5の端部を固定用片部2b内に差し込むと、第2留め具21bがカバーシート5の端部を固定用片部2bとの間に挟み込むように作用する。このため、カバーシート5の端部を確実に固定することができる。又、第2留め具21bに沿ってカバーシート5の端部を入れ込むことができるため、カバーシート5をL字形となって差し込むこともできる。これによりカバーシート5を強固に固定することができ、カバーシート5を緩みなく張設することができる。
【0034】
図14は以上の多用途部材1Bを取り付けてシュード22を作製するための外側部材23を示す。カーテン地等の布材に袋部24を上下方向に複数段形成する。袋部24の間は布材の連設部25となっており、連設部25が屈曲可能となっている。袋部24の一端は開口されており、開口部分から多用途部材1Bを差し入れて開口部分を閉じる。これにより上下方向に多用途部材1Bが配置されたシェード22が形成される。
【0035】
図15及び図16はシェード22の動作を示す。外側部材23には、引き操作が可能な操作コード26が所定間隔で取り付けられている。このシェード22は外側部材23に多用途部材1Bが上下方向に沿って配置されているため、防音効果及び遮光効果を有したものとなる。しかも多用途部材1Bを外側部材23の袋部25に差し入れるだけでシェード22を作製できるため、組み付けが簡単となる。そして、操作コード26を引いて短尺させることにより外側部材23を折り畳み、操作コード26を引き出すことによりシェード22を展開できるため、シェード22の開閉操作が容易となる。
【0036】
この実施形態では、上下の袋体24内に多用途部材1Bを差し入れるだけでシェードを作製できるため、作製が容易となる。シェード22では複数の多用途部材1Bを上下方向に複数並べられており、並んでいる多用途部材1Bのパネル部材2の本体部2aが防音作用及び遮光作用を発揮するため防音遮光部材として用いることができる。又、外側部材23がカーテン地等の布材によって形成されることにより、室内側に柔らかな感触を醸し出すことができ、美感を向上させることができる。
【0037】
図17及び図18は本発明の第4実施形態を示す。第1実施形態の多用途部材1を用いることにより防音遮光部材としてのアコーデオン式カーテンとするものである。
多用途部材1は縦長とし、隣接する多用途部材1の間を布材等の可撓性のつなぎ部材31によって連結した構造となっている。多用途部材1のカバーシート5としては、カーテン地等の布材、薄い柔軟なプラスチックシートが用いられる。又、それぞれの多用途部材1の上部には、吊り下げフック14を取り付けてカーテンレール等のレール部材に吊り下げる。つなぎ部材31は機能部材1の一つおきに表側及び裏側を連結するように設けることによりアコーデオン式カーテンの形態とすることができる。
【0038】
図17及び図18の形態では、多用途部材1をつなぎ部材31によって横並び状に連結するだけでアコーデオン式カーテンを作製できるため、作製が容易となる。又、室外側にパネル部材2の本体部2aが位置し、室内側にカーテン地からなるカバーシート5が位置するように複数の多用途部材1を並べて吊り下げる構造とする。このことにより室外側のパネル部材2が防音機能及び遮光機能を行い、室内側のカバーシート5が柔らかな感触を醸し出すため美感を向上させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 1A 1B 多用途部材
2 パネル部材
2a 本体部
2b 固定用片部
3 端部ブロック
4 緩衝マット
5 カバーシート
6 6a 係止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18