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特許7332157アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の活性な低分子量変異体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の活性な低分子量変異体
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/64 20060101AFI20230816BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230816BHJP
   C12N 11/02 20060101ALI20230816BHJP
   C12N 11/14 20060101ALI20230816BHJP
   C12N 15/57 20060101ALI20230816BHJP
   A61K 38/48 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230816BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230816BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20230816BHJP
   C07K 14/76 20060101ALN20230816BHJP
   C07K 14/315 20060101ALN20230816BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
C12N9/64 Z
C07K19/00 ZNA
C12N11/02
C12N11/14
C12N15/57
A61K38/48
A61P13/12
A61P3/10
C07K16/00
C07K14/76
C07K14/315
C12N15/62 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019540076
(86)(22)【出願日】2018-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 US2018014991
(87)【国際公開番号】W WO2018140456
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】62/449,857
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル バトル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ワイソッキー
【審査官】野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-508759(JP,A)
【文献】特表2016-504042(JP,A)
【文献】特表2015-519345(JP,A)
【文献】WYSOCKI, J., et al.,"Angiotensin-converting enzyme 2 amplification limited to the circulation does not protect mice from development of diabetic nephropathy.",KIDNEY INTERNATIONAL,2017年,Vol.91,pp.1336-1346,10.1016/j.kint.2016.09.032
【文献】YING, T., et al.,"Engineered soluble monomeric IgG1 CH3 domain: generation, mechanisms of function, and implications for design of biological therapeutics.",J. BIOL. CHEM.,2013年,Vol.288, No.35,pp.25154-25164,DOI: 10.1074/jbc.M113.484154
【文献】ZHAO, S., et al.,"Extending the serum half-life of G-CSF via fusion with the domain III of human serum albumin.",BIOMED RES. INT.,2013年,Vol.2013,107238 (8 pages),DOI: 10.1155/2013/107238
【文献】NILVEBRANT, J., et al.,"The albumin-binding domain as a scaffold for protein engineering.",COMPUT. STRUCT. BIOTECHNOL. J.,2013年,Vol.6, No.7,e201303009 (6 pages),DOI: 10.5936/csbj.201303009
【文献】ANDERSEN, J.T., et al.,"Extending half-life by indirect targeting of the neonatal Fc receptor (FcRn) using a minimal albumin binding domain.",J. BIOL. CHEM.,2011年,Vol.286, No.7,pp.5234-5241,DOI: 10.1074/jbc.M110.164848
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
C12N 9/00- 9/99
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腎疾患の治療に使用するためのアンジオテンシン変換酵素2(ACE2;配列番号1;又は配列番号2)の切断型である変異体あって、該ACE2の変異体は補因子結合部位を介してZn2+に結合し、該変異体はアンジオテンシンII(1-8)をアンジオテンシン(1-7)に変換する活性を有し、該ACE2の変異体約70kDa未満の分子量を有し、及び該変異体は糸球体濾過を介した送達を可能にする、ACE2の変異体。
【請求項2】
ACE2の変異体が、全長ACE2(配列番号1;又は配列番号2)と比較して、N末端欠失、C末端欠失、又はその両方を含む、請求項1に記載のACE2の変異体。
【請求項3】
ACE2の変異体がグリコシル化される、請求項2に記載のACE2の変異体。
【請求項4】
血漿中のACE2の変異体の半減期を増加させる異種アミノ酸配列に融合した請求項1に記載のACE2の変異体を含む融合タンパク質。
【請求項5】
異種アミノ酸配列が、(i)融合ポリペプチドの二量体化を防ぐヒンジ領域を欠損している抗体のFc部分のアミノ酸配列又はその断片;(ii)ヒト血清アルブミンのドメインIIIのアミノ酸配列又はその断片;及び(iii)連鎖球菌プロテインGのC末端アルブミン結合ドメイン3(ABD3)のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
ACE2の変異体と異種アミノ酸配列との間にリンカーアミノ酸配列をさらに含み、リンカー配列がグリシン及びセリンから選択される5~15個のアミノ酸を含む、請求項4に記載の融合タンパク質。
【請求項7】
N末端又はC末端ヒスチジンタグをさらに含む、請求項4に記載の融合タンパク質。
【請求項8】
ポリエチレングリコールポリマーに結合した請求項1に記載のACE2の変異体を含む結合体。
【請求項9】
ナノ粒子に結合した請求項1に記載のACE2の変異体を含む結合体。
【請求項10】
(i)請求項1に記載のACE2の変異体;及び(ii)適切な医薬用担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
それを必要とする対象においてAngII(1-8)レベルを減少させる及び/又はAng(1-7)レベルを増加させる方法において使用するための請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
対象が、糖尿病性腎疾患、急性腎不全、慢性腎疾患、糸球体腎炎、及び腎動脈狭窄からなる群から選択される状態を有する、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
該組成物が静脈内投与又は皮下投与用に製剤化される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
該組成物が肺投与用に製剤化される、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項15】
配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のACE2の変異体。
【請求項16】
配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のACE2の変異体。
【請求項17】
変異体とリンカーのアミノ酸配列が、配列番号10又は配列11のアミノ酸配列からなる、請求項6に記載の融合タンパク質。
【請求項18】
変異体のアミノ酸配列が配列番号3又は配列番号4に示され、かつ、リンカーのアミノ酸配列が(G S) である、請求項6に記載の融合タンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本出願は、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる、2017年1月24日に出願された米国仮特許出願第62/449,857号に対する35USC§119(e)下での優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、それを必要とする対象において、アンジオテンシンII(1-8)の血漿レベルを低下させるための及び/又はアンジオテンシン(1-7)の血漿レベルを増加させるためのアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)及びACE2の変異体に関する。開示されているACE2の変異体には、AngII(1-8)をAng(1-7)に変換するACE2生物活性を持ち、通常は糸球体で濾過されない完全長ACE2よりも低い分子量を持つACE2の断片が含まれるより低い分子量により、ACE2の断片を糸球体を通して濾過することができる。ACE2の開示された変異体は、限定されないが、糖尿病及び非糖尿病の慢性腎疾患、急性腎不全及びその予防、慢性腎疾患、糸球体腎炎、重度の高血圧、強皮症及び皮膚、肺、腎臓及び高血圧の合併症、悪性高血圧、腎動脈狭窄に続発する腎血管性高血圧、特発性肺線維症、肝硬変患者などの肝線維症、大動脈瘤、心臓線維症及びリモデリング、左室肥大、及び急性脳卒中を含む状態の治療に有用であり得る。
【0003】
レニンアンジオテンシン系(RAS)の活性化は、高血圧、心血管疾患、糖尿病性腎疾患、CKDからESRD1-3への進行の病因に大きな役割を果たす。さらに、急性腎不全では、RASも活性化される4-7。主にAng IIの形成のブロック又はAng IIの作用のブロックに基づいて既存のアプローチを拡大及び改善するRASの過剰活動に対抗する新しいアプローチが必要である。我々は、Ang IIの分解を促進することを目的とした治療法の提案の最前線にある8-13。ACE2の重要な生物学的効果は、AngII(1-8)をAng(1-7)に変換することでする。このプロセスは、AngII(1-8)を低下させる傾向があるため、このペプチドの有害な作用を防ぐ。さらに、Ang II(1-8)切断の結果としてAng(1-7)が形成され、このペプチドは、Mas受容体を直接活性化することにより、一般的にAngII(1-8)とは反対の組織保護機能を有する。確かに、Ang(1-7)には膨大な数の潜在的な治療用途があるという証拠が増えており、これは、Ang IIを分解し、Ang(1-7)を形成するという二重の利点を持つ潜在的な治療標的として、Ang(1-7)形成酵素の重要性も強調している。
【0004】
数年前、我々と他の人たちは、AngII注入によって誘発された高血圧のマウスに与えられたヒトACE2を初めて使用した最初の研究で観察した免疫原性を回避する方法として、マウスACE2を精製及び生成した13。最近の研究では、ストレプトゾトシン誘発糖尿病性腎疾患のマウスに与えられたマウス組換えACE2の腎臓への影響を調べた(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれるWysocki et al., Angiotensin-converting enzyme 2 amplification limited to circulation does not protect mice from development of diabetic nephropathy," Kidney Int. 2016 Dec. 4. Pii: S0085-2538(16)30565-8を参照されたい)。この研究では、2つのアプローチが使用された:4週間の毎日の腹腔内注射及びACE2遺伝子送達による循環ACE2の増幅15。ミニサークルを使用したACE2の送達は、血清ACE2活性の持続的かつ大幅な増加と急性Ang II(1-8)負荷を代謝する能力の強化をもたらした。ミニサークルACE2で前処理したSTZ誘発糖尿病のマウスでは、血漿中のACE2タンパク質が著しく増加し、これは血清ACE2活性を100倍以上増加させた。しかしながら、ミニサークルACE2は未治療の糖尿病マウスと比較して尿中ACE2活性の変化を引き起こさなかった。アルブミン尿、糸球体メサンギウム拡張、糸球体細胞性及び糸球体サイズはすべて、非糖尿病コントロールと比較して、ミニサークルACE2治療及び未治療の糖尿病マウスで同程度に増加した10。したがって、循環に限定されたACE2の深遠な増強は、非常に高い血漿ACE2レベルが何ヶ月も持続したにもかかわらず、初期の糖尿病性腎疾患に特徴的な糸球体病変及び過濾過を改善できなかった。これらの発見は、糖尿病性腎疾患及び腎疾患一般の初期段階と戦うために、循環レニンアンジオテンシン系よりもむしろ腎臓を標的にすることの重要性を強調している。組換えACE2の分子サイズが大きいため、正常な糸球体又は腎疾患の初期の形態では濾過不能となり、疾患の進行を防ぐために介入することが重要である。対照的に、より進行した糸球体腎疾患では、注入されたrACE2が尿中に回収できることを示すことができた10。進行疾患のこの後期段階では、腎臓の変化を逆転させ、線維症を逆転させることは困難である。したがって、この制限を回避するために、腎臓病の治療にはるかに適し、肺や心臓などの他の臓器への組織浸透を改善する、より短い形式のACE2を設計した。
【0005】
我々の発見に基づいて、糸球体透過性の顕著な変化が生じる前に腎臓に送達可能で、すべての場合に腎臓によりよく送達される、より短い分子サイズのACE2の形態を作製した。ACE2は、典型的には、腎臓により濾過されない110kDタンパク質として観察され、ACE2が豊富に発現される腎臓の腎尖管膜からの排出産物として尿中に現れる9-11,16。我々は、非常に活性のある、より小さな分子量の組換えACE2タンパク質を開発した。これは、既存のヒト組換えインタクトACE2が行うように、全身循環でACE2活性を高めることを目的とする場合、完全な活性と潜在的な治療用途を保持することを意味するが、サイズが大きいため、糸球体濾過により腎臓に送達できるため、腎臓病の治療や他の臓器の組織浸透にも適している。
【0006】
ACE2のサイズを減少させると、急性腎障害又は糖尿病性腎疾患の初期段階、すなわち微量アルブミン尿症のような糸球体透過性の軽度の増加状態で、ACE2が糸球体バリアを通して容易に濾過できることが示された。最も重要な目標は、腎臓に容易に送達でき、したがって腎疾患と戦うことができる、より短いACE2のフォームを開発することである。このアプローチは、現在使用されているACE阻害剤及びAT1ブロッカーとは異なり、補完的である。我々は、Ang IIの分解を促進すると、腎保護ペプチドであるAng 1-7の形成につながるという特有の利点が得られ、現在、既存の薬剤で行われるようにAng II又はその受容体の形成又は作用をブロックするよりも自然な生理学的アプローチであると仮定する。糸球体を通して濾過可能な短いACE2断片の尿細管再吸収を増加させ、それにより腎臓への取り込みを促進する方法として、短いACE2断片は低分子融合ポリペプチドに結合する。これらの融合ポリペプチドには、Fc(ヒトIgGの定常断片)、ヒト血清アルブミンのDIIIドメイン、及びリゾチームが含まれるが、これらに限定されない。これらのポリペプチドはすべて、受容体を介したエンドサイトーシスによって腎尿細管の先端表面に再吸収されることが示される。本出願の主題は、本明細書でさらに議論される。
【発明の概要】
【0007】
ACE2の変異体、ACE2の変異体を含む医薬組成物、及びそれを必要とする対象におけるアンジオテンシンII(1-8)血漿レベルを低下させる及び/又はアンジオテンシン(1-8)血漿レベルを上昇させる治療方法が開示される。ACE2の開示された変異体は、AngII(1-8)をAng(1-7)に変換するためのACE2活性を有するACE2のポリペプチド断片を含み得る。ACE2のポリペプチド断片は、ACE2のポリペプチド断片が糸球体を通して濾過され、腎臓に送達されるように十分に低い分子量を有することが好ましい。いくつかの実施形態では、ポリペプチド断片は70kD未満の分子量を有し、我々は、69kDの分子量を有するA1-619と命名した化合物、ならびに65kD、60kD、55kD、又は50kDの分子量を有する1-605と命名した化合物を最もよく研究した。開示された方法では、対象にACE2の変異体又はACE2の変異体を適切な薬学的担体に含む医薬組成物を投与する。開示された治療方法に適した対象には、糖尿病及び非糖尿病の慢性腎疾患、急性腎不全及びその予防、慢性腎疾患、糸球体腎炎、重度の高血圧、強皮症及びその皮膚、肺、腎臓を有する又は発症するリスクがある対象が含まれ得る高血圧性合併症、悪性高血圧、腎動脈狭窄に続発する腎血管性高血圧、特発性肺線維症、肝硬変患者などの肝線維症、大動脈瘤、心臓線維症及びリモデリング、左室肥大、及び急性脳卒中を有するか又はそれを発症するリスクを有する対象を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】アンジオテンシンII(Ang II)分解経路。Angペプチドの代謝に関与する酵素のスキーム。Ang IIはACE2、PRCP及びPEPによって分解されてAng-(1-7)を形成し、その後ACEによって分解されてAng-(1-5)を形成する。Ang II分解の他の経路には、Ang-(2-8)へのアミノペプチダーゼA、Ang IVへのジペプチジルアミノペプチダーゼI-III、及び小ペプチド産物へのネプリライシンとペプチダーゼが含まれる。Batkke
図2図2(上のパネル)db/m及びdb/dbマウス(各グループでn=5)から収集した新鮮な全腎皮質溶解物を、約110kDで単一の免疫反応性バンドを示すACE2特異抗体でウエスタンブロットで調べた。(下のパネル)全腎臓溶解物を37℃で24時間インキュベートし、その後ウエスタンブロット分析にかけた。約75kDの2番目のACE2免疫反応性バンドが現れましたが、約110kDバンドは徐々に消えた。
図3】WBのACE2特異抗体でプローブしたWTマウス尿の2つの濃縮限外濾過画分(パネルA)で、ACE2酵素活性を測定した(パネルB)。75kD ACE2タンパク質を含む濃縮画分(青いバー)は、75kD画分と同じ比例体積に濃縮された110kDタンパク質を含む画分よりも高いACE2活性を示した。
図4】1つのACE2KOマウスからマウス組換えインタクトACE2(100-110kD)をACEKO腎臓皮質溶解物(10nM mrACE2/溶解物の約1mg総タンパク質)にスパイクし、37℃で48時間インキュベートした。その後、すべてのインキュベーション時間でスパイクされたmrACE2サンプルをウエスタンブロットでプローブした。ウエスタンブロット(WB)画像は、スパイクされた100-110kD mrACE2バンドの消失、最初に小さな75kD ACE2免疫反応性バンド、次に約60kDバンドの出現を示している。下部のパネルでは、絶対ACE2活性(検出されたバンドの統合密度に対して補正されていない)が示されており、これは、相対的なタンパク質量が弱いにもかかわらず、75及び約60kDバンドと元の110kD mrACE2バンドの類似の酵素活性を示す(75kDと約60kDのバンドは、元の100-110kDの0時間よりも弱いバンドである)。
図5】ACE2/PRCP dKOマウスにおける尿中ACE2活性(A)及びウエスタンブロット(B)。(A)尿ACE2活性はベースラインで0と変わらず、i.v。ACE2 1-619注入(-0.4±0.2から21.1±4.3 RFU/μg creat/hr(n=5、p<0.01)。1-605トランケートの注入もまた尿中ACE2活性の明らかな増加をもたらした(-0.1±0.2から5.1±1.9 RFU/μg creat/hr n=5 p<0.01)。1-619トランケートによって達成されたACE2活性のレベルは、1-605トランケートで得られたものよりも高かった(それぞれ21.1±4.3対5.1±1.9 RFU/μg creat/hr、p<0.01)。(B)5匹のACE2/PRCP dKOマウス(マウスID M34-M38)にACE2 1-619トランケートのi.v.ボーラスの前(ベースライン)及び後(0-2時間)の尿のWB(36μl/ウエル)。それは、注入後であって、注入前ではない切断型ACE2の分子サイズと一致する約70kDの予想サイズでのACE2免疫反応性バンドの存在を示している。
図6】STZ処理ACE2KOマウスの尿中ACE2活性。(A)これらの研究では、ACE2 1-619(2μg/g BW)注入後の尿ACE2は0.3±0.1から12.6±5.2 RFU/μg creat/hrに増加した。p<0.05。ACE2 1-605(2μg/g BW)を注入すると、尿のACE2活性が増加した(0.1±0.2から4.5±1.4 RFU/μg creat/hr、p<0.05)。図5の実験のように、ACE2 1-605で達成された活性のレベルはACE2 1-619よりも低かったが、この差は統計的有意性に達しなかった。(B)内因性のACE2尿活性がすでに相当であるSTZ誘発糖尿病の2匹のWTマウスでは、ACE2 1-619(4μg/g BW)の注入も尿中ACE2活性の顕著な増加をもたらした。
図7】腎臓の生体内画像。microSPECT(色)は、99mTc標識精製無傷のACE2 1-740(左)又はACE2 1-619(右)を注射したマウスのmicroCT(グレースケール)上に重ねられる。ACE2 1-740ではなく、ACE2 1-619の腎臓への取り込みを示している。短いACE2 1-619は主に腎皮質に集中している(白い矢印)(右と左を比較されたい)。両方のACE2フォームは強い肝臓の存在を示す(赤い矢印)。
図8】短いrACE22 1-619(A)又は1-605(B)の注入は、rACE2を注入していないそれぞれの動物(青)と比較して、Ang II誘発性高血圧からの回復を早める。X軸は、Ang IIボーラス(0.2μg/g BW)からの時間(分)を示す。大きな違いを反映する(実施例のセクションのテキストを参照)。
図9】ACE2の最短の酵素活性型を確立するための3つのステップ。無傷のACE2の酵素的に活性な(赤色充填)細胞外ドメインは、740AAの長さ(1-740)である。細胞外分泌を媒介するシグナルペプチド(SP)が含まれる。ステップIでは、C末端からACE2を短縮する。今のところ、ACE2 1-605は私たちが生産した最短の活性断片であるが、ACE2活性(Mca-APK-Dnp陰性)が見つからなくなるまで、C末端からACE2 1-605を短くすることを進める。ステップIIでは、N末端から最も短いC末端が切断されたACE2を短くする(一度に10AA)。SP(AA1-18)は常に、N末端が短縮されたACE2に付加される。ステップIII:ACE2の酵素活性のC末端とN末端の境界が見つかったら、両端から切り捨てられたACE2を操作して、C末端10xを発現させる。バイオリアクターを使用した中規模生産(約10mg)からの精製を促進するHisタグ。
図10】短いACE2のインビボ半減期を延長するための様々な融合戦略。ACE2融合タンパク質の名前は左側に、予想される分子サイズは右側に示す。ACE2-Fcは、Fcタグのヒンジ領域を介して二量体化し、約170kDaの分子量をもたらす。Fc(14kDa)の可溶性単量体CH3ドメインは、短いACE2と融合すると分子サイズが約74kDになる。アルブミン結合ドメイン(ABD)が60の短いACE2と融合すると、推定分子サイズは約65kDaになる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、以下及び本出願全体に記載されるいくつかの定義を使用して本発明を説明する。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数形を含む。例えば、「ポリペプチド断片」という用語は、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、「1つ又は複数のポリペプチド断片」を意味すると解釈されるべきである。本明細書で使用される「複数」という用語は「2つ以上」を意味する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、「実質的に」、及び「かなり」は、当業者によって理解され、それらが使用される状況によってある程度変化する。用語が使用される文脈を考えると、当業者には明らかでない用語の使用がある場合、「約」及び「およそ」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味し、「実質的に」及び「有意に」は、特定の用語のプラス又はマイナス10%以上を意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「含む(include)」及び「含んでいる」という用語は、「含む」及び「含む」という用語と同じ意味を有する。「含む(comprise)」及び「含んでいる」という用語は、特許請求の範囲に列挙されたコンポーネントにさらに追加のコンポーネントを含めることを可能にする「開かれた」移行用語であると解釈されるべきである。「なる」及び「からなる」という用語は、特許請求の範囲に列挙された構成要素以外の追加の構成要素の包含を許可しない「閉じた」移行用語として解釈されるべきである。「から本質的になる」という用語は、部分的に閉じられ、請求された主題の性質を根本的に変更しない追加のコンポーネントのみの包含を許可すると解釈されるべきである。
【0013】
本明細書で使用される「対象」という用語は、「患者」又は「個体」という用語と交換可能に使用することができ、「動物」、特に「哺乳類」を含むことができる。哺乳動物の対象には、ヒト及び他の霊長類、家畜、農場の動物、及び犬、猫、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、馬、牛、牛などのコンパニオン動物が含まれる場合がある。
【0014】
開示された方法、組成物、及びキットは、それを必要とする対象を治療するために利用され得る。「それを必要とする対象」は、糖尿病及び非糖尿病の慢性腎疾患、急性腎不全及びその予防、慢性腎疾患、糸球体腎炎、重度の高血圧、強皮症及びその皮膚、肺、腎臓及び高血圧合併症、悪性高血圧、腎動脈狭窄に続発する腎血管性高血圧、特発性肺線維症、肝硬変患者などの肝線維症、大動脈瘤、心臓線維症及びリモデリング、左心室肥大、及び急性脳卒中などの疾患及び障害を有する又は発症するリスクのある対象を含むものとする。
【0015】
「アミノ酸」及び「アミノ酸配列」という用語は、オリゴペプチド、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列(これらの用語は交換可能に使用され得る)、又はこれらのいずれかの断片、及び天然に存在する又は合成の分子を指す。「アミノ酸配列」が天然のタンパク質分子の配列を指すように記載されている場合、「アミノ酸配列」などの用語は、記載されたタンパク質分子に関連する完全な天然アミノ酸配列にアミノ酸配列を限定するものではない。
【0016】
本明細書で企図されるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列と比較して1つ又は複数のアミノ酸置換を含み得る。例えば、変異体ポリペプチドは、参照ポリペプチドと比較して非保存的及び/又は保存的アミノ酸置換を含み得る。「保存的アミノ酸置換」は、参照ポリペプチドの特性をほとんど妨害しないと予測される置換である。言い換えれば、保存的アミノ酸置換は、参照タンパク質の構造と機能を実質的に保存する。以下の表は、例示的な保存的アミノ酸置換のリストを提供する。
【0017】
【表1】
【0018】
保存的アミノ酸置換は、一般に、以下の1つ以上を維持する:(a)例えば、ベータシート又はアルファヘリックスコンフォメーションとして、置換領域のポリペプチド骨格の構造、(b)分子の電荷又は疎水性置換部位、及び/又は(c)側鎖の大部分。非保存的アミノ酸置換は、一般に次の1つ以上を維持しない:(a)置換領域内のポリペプチド骨格の構造、例えば、ベータシート又はアルファらせん構造、(b)電荷又は疎水性置換部位の分子、及び/又は(c)側鎖の大部分。
【0019】
開示されたペプチドは、例えば、血漿安定性(例えば、エキソペプチダーゼに対する耐性)を高め、及び/又は免疫原性を低下させるために、N末端エステル化(例えば、リン酸エステル修飾)又はペグ化修飾を含み得る。
【0020】
「欠失」とは、1つ又は複数のアミノ酸残基の欠如をもたらす参照アミノ酸配列(例えば、配列番号1又は配列番号2)の変化を指す。決しツにより、少なくとも1、2、3、4、5、10、20、50、100、又は200個のアミノ酸残基、又はこれらの値のいずれかで区切られた一連のアミノ酸残基の範囲が削除さする(例えば、5-10アミノ酸の欠失)。欠失には、内部欠失又は末端欠失(例えば、参照ポリペプチドのN末端切断又はC末端切断)が含まれ得る。参照ポリペプチド配列の「変異体」は、参照ポリペプチド配列に関連する欠失を含み得る。例えば、配列番号3(アミノ酸1~619)及び配列番号4(アミノ酸1~605)は、参照配列の配列番号1(アミノ酸1~805)と比較してC末端欠失を含む。
【0021】
「挿入」及び「付加」という用語は、1つ又は複数のアミノ酸残基の付加をもたらすアミノ酸配列の変化を指す。挿入又は付加とは、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、又は200個のアミノ酸残基又はアミノ酸の範囲を指すこれらの値のいずれかで区切られた残基(例えば、5~10個のアミノ酸の挿入又は追加)を指す場合がある。参照ポリペプチド配列の「変異体」は、参照ポリペプチド配列に対する挿入又は付加を含み得る。
【0022】
「融合ポリペプチド」とは、そのアミノ酸配列のN末端、C末端、又は両方の末端に異種アミノ酸配列、例えば、血清中の融合ポリペプチドの半減期を延長する異種アミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。参照ポリペプチド配列の「変異体」は、参照ポリペプチドを含む融合ポリペプチドを含み得る。
【0023】
「断片」は、参照配列と配列が同一であるが長さが短いアミノ酸配列の一部である(例えば、配列番号1又は配列番号2)。断片は、参照配列の全長からマイナス少なくとも1つのアミノ酸残基までを含んでもよい。例えば、断片は、参照ポリペプチドの5~1000個の連続したアミノ酸残基を含み得る。いくつかの実施形態では、断片は、参照ポリペプチドの少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、150、250、又は500個の連続したアミノ酸残基を含み得る;又は、断片は、参照ポリペプチドの5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、150、250、又は500個以下の連続したアミノ酸残基を含んでもよい;又は、断片は、これらの値のいずれかによって境界が定められた参照ポリペプチドの一連の連続したアミノ酸残基を含み得る(例えば、40~80の連続したアミノ酸残基)。断片は、分子の特定の領域から優先的に選択される場合がある。「少なくとも断片」という用語は、完全長のポリペプチドを包含する。参照ポリペプチド配列の「変異体」は、参照ポリペプチド配列の断片を含み得る。例えば、配列番号3(アミノ酸1~619)及び配列番号4(アミノ酸1~605)は、参照配列の配列番号1(アミノ酸1~805)の断片を含む。
【0024】
「相同性」とは、2つ以上のポリペプチド配列間の配列類似性、又は交換可能に配列同一性を指す。相同性、配列類似性、及び配列同一性の割合は、当技術分野の方法を使用して決定され、本明細書に記載されている。
【0025】
ポリペプチド配列に適用される「パーセント同一性」及び「パーセント同一性」という語句は、標準化アルゴリズムを使用して整列された少なくとも2つのポリペプチド配列間の残基一致の割合を指す。ポリペプチド配列アラインメントの方法は周知である。いくつかのアラインメント方法では、保存的なアミノ酸置換が考慮される。上記でより詳細に説明したこのような保存的置換は、一般に置換部位の電荷と疎水性を保存し、したがってポリペプチドの構造(したがって機能)を保存する。アミノ酸配列の同一性パーセントは、当該分野で理解されるように決定され得る。(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,396,664号を参照)。一般的に使用され、自由に利用可能な配列比較アルゴリズムのスイートは、国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul, S. F. et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403 410)、NCBI、メリーランド州ベセスダを含むいくつかの情報源から入手できる。BLASTソフトウェアスイートには、既知のアミノ酸配列をさまざまなデータベースのその他のアミノ酸配列と整列させるために使用される「blastp」などのさまざまな配列解析プログラムが含まれる。
【0026】
同一性パーセントは、例えば特定の配列番号により定義されるように、定義されたポリペプチド配列全体の長さにわたって測定され得るか、又は、例えば、より大きな定義されたポリペプチド配列から得られる断片、例えば、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500、少なくとも550、少なくとも600、少なくとも650、又は少なくとも700の連続するアミノ酸残基の断片;若しくは15、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、又は700個以下のアミノ酸残基の断片;又は、これらの値のいずれかで区切られた範囲(例えば、500から600のアミノ酸残基の範囲)の長さに対してより短い長さにわたって測定され得る。このような長さは単なる例示であり、本明細書、表、図又は配列リストは、同一性の割合を測定できる長さを記述するために使用できる。
【0027】
いくつかの実施形態では、特定のポリペプチド配列の「変異体」は、National Center for Biotechnology Informationのウエブサイトで利用可能な「Blast2 配列」によるblastを用いて、ポリペプチド配列の1つのある種の長さと比較した、特定のポリペプチド配列に対して少なくとも20%配列同一性を有するポリペプチド配列として定義され得る。(例えば、Tatiana A. Tatusova, Thomas L. Madden (1999), "Blast 2 sequences--a new tool for comparing protein and nucleotide sequences", FEMS Microbiol Lett. 174:247-250参照)。そのようなポリペプチドの対は、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%以上の配列同一性ポリペプチドのいずれかの特定の定義された長さ、又はこれらの値のいずれかによって境界付けられるパーセント同一性の範囲(例えば、80-99%のパーセント同一性の範囲)を示し得る。
【0028】
開示された治療方法及び医薬組成物は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)又はACE2の断片などのその変異体を利用及び/又は含む。ヒトACE2遺伝子のヌクレオチド配列は、国立衛生研究所の国立生物工学情報センターから入手できる。ヒトACE2遺伝子の位置は、NC 000023.11(15494525...15602069、補数)として提供されている。ACE2、アイソフォーム1は、アミノ酸配列(配列番号1)を有する前駆体ポリペプチドとして最初に発現される膜貫通タンパク質である。ACE2のマウス(Mus musculus)ホモログは、次のアミノ酸配列(配列番号2)を有する。
【0029】
アミノ酸1~17は、成熟ACE2から切断されるリーダーペプチドである。アミノ酸18-740は細胞外にある。アミノ酸741-761はらせん膜貫通配列を形成する。アミノ酸762-805は細胞質である。ACE2の天然変異体が本明細書で企図されており、天然変異体K26R及び天然変異体N638Sを含み得る。本明細書ではまた、ACE2の天然アイソフォームは、アイソフォーム1と比較して以下の相違を有するアイソフォーム2を含むと考えられる:F555L及びΔ556-805。ACE2の断片を含む、本明細書に開示されているACE2の変異体は、ACE2のこれらのアミノ酸配列の1つ以上を有していても欠失していてもよい。
【0030】
本明細書では、ACE2の融合ポリペプチド又はその変異体が開示されている。ACE2又はその変異体の融合ポリペプチドは、異種アミノ酸配列に融合されたACE2又はその変異体のアミノ酸配列(例えば、ACE2の断片のアミノ酸配列)を含み得る。好ましくは、異種アミノ酸配列は、血漿中の融合ポリペプチドの半減期を増加させる。
【0031】
開示された融合ポリペプチドは、異種アミノ酸配列に直接融合された、又はリンカー配列を介して融合された、ACE2又はその変異体のアミノ酸配列(例えば、ACE2の断片のアミノ酸配列)を含み得る。適切なリンカー配列には、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個以上のアミノ酸のアミノ酸配列、又はこれらの値のいずれかで区切られた範囲(例えば、リンカー5-15アミノ酸の)が含まれる場合がある。一部の実施形態では、リンカー配列はグリシン及びセリン残基のみを含む。
【0032】
本明細書に開示される融合ポリペプチドは、抗体のアミノ酸配列又は抗体の1つ又は複数の断片、例えば抗体のFc部分(ヒトIgGの定常断片)に融合したACE2又はその変異体のアミノ酸配列を含み、これは、好ましくは、融合ポリペプチド(例えば、配列番号6)の二量体化を防ぐためにそのヒンジ領域を欠いている。短いACE2とFc(例、配列番号6)又は単量体CH3 Fc誘導体(例、配列番号7又は配列番号8)との融合は、肺線維症の治療においてより効率的な投与のために局所的に使用できる肺において、機能的なFcRn依存性輸送経路を介したその送達を可能にする。本明細書に開示される融合ポリペプチドには、血清アルブミン又はその断片、例えばヒト血清アルブミンのドメインIII又はその断片に融合されたACE2又はその変異体のアミノ酸配列も含まれる(例えば、配列番号9)。本明細書で開示される融合ポリペプチドは、連鎖球菌プロテインGのC末端アルブミン結合ドメイン3(ABD3)などの連鎖球菌プロテインG又はその断片に融合したACE2又はその変異体のアミノ酸配列(例えば、G148株又はABD035誘導体(配列番号5)を含む(例えば、その内容が全体として参照により本明細書に援用されるNilvebrant et al., Comput. Struct. Biotechnol. J. 2013, Volume No:6, Issue: 7, March 2013, pages 1-8を参照されたい)。
【0033】
本明細書に開示される融合ポリペプチドは、例えば、融合ポリペプチドを精製及び又は同定するために利用され得るアミノ酸タグ配列を含み得る。適切なアミノ酸タグ配列には、5~10個のヒスチジン残基を含むヒスチジンタグ配列が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0034】
ACE2は、機能が未知のタンパク質であるアンジオテンシンIからアンジオテンシンI-9への変換を触媒するカルボキシペプチダーゼであり、アンジオテンシンII(1-8)からアンジオテンシン(1-7)への変換を触媒する(EC:3.4.17.23)、これは血管拡張薬である。ACE2は、アペリン-13とダイノルフィン-13の加水分解も触媒する。ACE2は、突然の急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス/SARS-CoV及びヒトコロナウイルスNL63/HCoV-NL63の細胞受容体でもある。ACE2の断片を含む、本明細書に開示されているACE2の変異体は、ACE2のこれらの酵素活性の1つ以上を有していても、有していなくてもよい。
【0035】
アンジオテンシンII(1-8)からアンジオテンシン(1-7)への変換を触媒する際、ACE2は以下の反応を触媒する:アンジオテンシンII(1-8)+HO=アンジオテンシン(1-7)+L-フェニルアラニン(これはアンジオテンシンII(1-8)のC末端フェニルアラニンを除去する)。ACE2にはZn2+及びClの補因子結合部位がある。これらの反応のミカエリス定数(K)は次のとおりである:アンギオテンシンIの場合、K=6.9μM;アンギオテンシンIIの場合、K=2μM。アペリン-13の場合K=6.8μ;ダイノルフィン-13の場合、K=5.5μM。これらの反応の最適なpHは1M NaClの存在下で6.5であるが、ACE2はpH6-9で活性である。ACE2は、ハロゲン化物イオンの塩化物とフッ化物で活性化されるが、臭化物では活性化されない。ACE2はMLN-4760、cFP Leu、及びEDTAによって阻害されるが、ACE阻害剤のリノシプリル、カプトプリル、及びエナラプリラートによっては阻害されない。ACE2の断片を含む、本明細書に開示されているACE2の変異体は、ACE2のこれらの酵素活性の1つ以上を有していても又は有していなくてもよい。いくつかの実施形態において、ACE2の断片を含む本明細書に開示されるACE2の変異体は、上記の反応の1つ以上について、ACE2についてのミカエリス定数の±50%であるミカエリス定数を有し得る。
【0036】
ACE2は、カルボキシペプチダーゼ活性、エンドペプチダーゼ活性、糖タンパク質結合活性、メタロカルボキシペプチダーゼ活性、ウイルス受容体結合活性、及び亜鉛イオン結合活性を含み得る分子機能を示す。ACE2の断片を含む本明細書に開示されたACE2の変異体は、少なくとも1つのアンジオテンシンIIの切断を有するが、おそらくACE2の分子的及び酵素的機能のすべてを有する。
【0037】
ACE2の重要な構造的特徴には、以下のうちの1つ以上が含まれ得る:アミノ酸位置169-塩化物結合部位;アミノ酸位置273-基質結合部位;アミノ酸位置345-の基質結合部位;アミノ酸位置346-カルボニル酸素を介した基質結合部位;アミノ酸位置371-基質結合部位;アミノ酸位置374-金属結合部位(例えば、Zn2+);アミノ酸位置375-活性部位;アミノ酸位置378-触媒金属結合部位(例えば、Zn2+);アミノ酸位置402-触媒金属結合部位(例えば、Zn2+);アミノ酸位置477-塩化物結合部位;アミノ酸位置481-塩化物結合部位;アミノ酸位置505-活性部位;及びアミノ酸位置515-基質結合部位。ACE2の断片を含む、本明細書に開示されているACE2の変異体は、ACE2のこれらの構造的特徴の1つ以上を有していても又は有していなくてもよい。
【0038】
ACE2の主要な構造の特徴には、以下の1つ以上が含まれる。アミノ酸位置23-52-ヘリックス;アミノ酸位置56-77;アミノ酸位置78-82-ターン;アミノ酸位置85-87-ヘリックス;アミノ酸位置91-100-ヘリックス;アミノ酸位置104-107-ヘリックス;アミノ酸位置110-129-ヘリックス;アミノ酸位置131-134-ベータ鎖;アミノ酸位置137-143-β鎖;アミノ酸位置144-146-ターン;アミノ酸位置148-154-ヘリックス;アミノ酸位置158-171-ヘリックス;アミノ酸位置173-193-ヘリックス;アミノ酸位置196-198-ベータ鎖;アミノ酸位置199-204-ヘリックス;アミノ酸位置205-207-ターン;アミノ酸位置213-215-ターン;アミノ酸位置220-251-ヘリックス;アミノ酸位置253-255-ターン;アミノ酸位置258-260-ベータ鎖;アミノ酸位置264-266-ヘリックス;アミノ酸位置267-271-ベータ鎖;アミノ酸位置279-282-ヘリックス;アミノ酸位置284-287-ターン;アミノ酸位置294-297-ターン;アミノ酸位置298-300-ヘリックス;アミノ酸位置304-316-ヘリックス;アミノ酸位置317-319-ターン;アミノ酸位置327-330-ヘリックス;アミノ酸位置338-340-ベータ鎖;アミノ酸位置347-352-ベータ鎖;アミノ酸位置355-359-ベータ鎖;アミノ酸位置366-384-ヘリックス;アミノ酸位置385-387-回転;アミノ酸位置390-392-ヘリックス;アミノ酸位置400-413-ヘリックス;アミノ酸位置415-420-ヘリックス;アミノ酸位置422-426-ターン;アミノ酸位置432-446-ヘリックス;アミノ酸位置449-465-ヘリックス;アミノ酸位置466-468-ベータ鎖;アミノ酸位置473-483-ヘリックス;アミノ酸位置486-488-ベータ鎖;アミノ酸位置499-502-ヘリックス;アミノ酸位置504-507-ヘリックス;アミノ酸位置514-531-ヘリックス;アミノ酸位置532-534-ターン;アミノ酸位置539-541-ヘリックス;アミノ酸位置548-558-ヘリックス;アミノ酸位置559-562-ターン;アミノ酸位置566-574-ヘリックス;アミノ酸位置575-578-ベータ鎖;アミノ酸位置582-598-ヘリックス;アミノ酸位置600-602-ベータ鎖;及びアミノ酸位置607-609-β鎖。ACE2の断片を含む、本明細書に開示されているACE2の変異体は、ACE2のこれらの構造的特徴の1つ以上を有していても、又は有していなくてもよい。
【0039】
ACE2は、以下のアミノ酸修飾の1つ以上を含み得る:アミノ酸位置53-N結合グリコシル化;アミノ酸位置90-N-結合型グリコシル化;アミノ酸位置103-N-結合型グリコシル化;アミノ酸位置133.revreaction.141-ジスルフィド結合;アミノ酸位置322-N結合型グリコシル化;アミノ酸位置344.revreaction.361-ジスルフィド結合;アミノ酸位置432-N-結合型グリコシル化;アミノ酸位置530.revreaction.542;アミノ酸位置546-N-結合型グリコシル化;及びアミノ酸位置690-N-結合型グリコシル化。ACE2の断片を含む、本明細書に開示されたACE2の変異体は、ACE2のこれらのアミノ酸修飾の1つ以上を有していても欠如していてもよく、及び/又はこうして修飾されたアミノ酸を欠如していてもよい。
【0040】
ACE2は、血液中のアンジオテンシン異化プロセス、アンジオテンシン成熟プロセス、アンジオテンシン媒介飲酒行動プロセス、心筋収縮プロセスの正の制御、ギャップ結合アセンブリプロセスの正の制御、活性酸素種代謝プロセスの正の制御を含む生物学的プロセス、受容体生合成プロセス、受容体媒介ビリオン付着プロセス(コロナウイルスなど)、心臓伝導プロセスの調節、細胞増殖プロセスの調節、サイトカイン産生プロセスの調節、炎症反応プロセスの調節、レニンアンジオテンシンによる全身動脈血圧の調節プロセス、血管収縮プロセスの調節、血管拡張プロセスの調節、トリプトファン輸送プロセス、及び宿主細胞プロセスへのウイルス侵入(例、コロナウイルス)を制御する。ACE2の断片を含む本明細書に開示されたACE2の変異体は、これらの生物学的プロセスの1つ以上を調節するか、又は調節し損ねる可能性がある。
【0041】
開示されたACE2変異体は、ACE2の天然アミノ酸には天然に存在しないN末端メチオニン残基を含んでもよい。例えば、本明細書で企図されるACE2変異体のアミノ酸配列は、全長ACE2のアミノ酸配列と比較してN末端欠失を含んでもよく、さらに、全長ACE2のアミノ酸配列に存在しないN末端メチオニン残基を含むように修飾されてもよい。
【0042】
開示されたACE2変異体は、開示されたACE2変異体が天然に存在するとは言えないように、アミノ酸配列、又は修飾アミノ酸、又は非天然に存在するアミノ酸を含むように修飾され得る。いくつかの実施形態において、開示されたACE2変異体は修飾され、修飾は、アシル化、アセチル化、ホルミル化、リポ化、ミリストイル化、パルミトイル化、アルキル化、イソプレニル化、プレニル化、及びアミド化からなる群から選択される。したがって、開示されたポリペプチド中のアミノ酸は、修飾され得るが、特に、修飾は、ポリペプチドのN末端及び/又はC末端に存在し得る(例えば、N末端アシル化又はアセチル化、及び/又はC-末端アミド化)。修飾は、ポリペプチドの安定性を高め、及び/又はポリペプチドをタンパク質分解に耐性にすることができる。
【0043】
開示されたACE2変異体は、天然のアミノ酸残基を非天然のアミノ酸で置き換えるために修飾されてもよい。非天然アミノ酸には、D-配置、N-メチル-α-アミノ酸、非タンパク新生拘束アミノ酸、又はβ-アミノ酸を含むが、これらに限定されない。
【0044】
血漿中のACE2変異体の安定性を高めるために、開示されたACE2変異体を改変してもよい。例えば、開示されたペプチドは、ペプチドをペプチダーゼに耐性にするために修飾されてもよい。開示されたペプチドは、2つのアミノ酸間のアミド結合を非アミド結合で置き換えるために修飾されてもよい。例えば、アミド結合のカルボニル部分は、CH2で置き換えることができる(すなわち、アミノ結合の減少:-CH-NH-を提供するため)。アミド結合に適した他の非アミド置換結合には、限定されないが、エンドチオペプチド、-C(S)-NH、ホスホンアミド、-P(O)OH-NH-であり得、NHアミド結合は、O(デプシペプチド、-CO’O-)、S(チオエステル、-CO-S-)又はCH(ケトメチレン、-CO-CH-)で交換し得る。ペプチド結合は、次のように修飾することもできる:レトロ-インベルソ結合(-NH-CO-)、メチレン-オキシ結合(-CH-)、チオメチレン結合(-CH-S-)、カルバボンド(-CH-CH-)、ヒドロキシエチレン結合(-CHOH-CH-)など、ペプチド配列の血漿安定性を高めるためである(特にエンドペプチダーゼに対して)。
【0045】
開示されたACE2変異体は、天然に存在しないN末端及び/又はC末端修飾を含み得る。例えば、開示されたペプチドのN末端は、N-アシル化又はN-ピログルタメート修飾(例えば、ブロッキング修飾として)を含むように修飾され得る。開示されたペプチドのC末端は、Cアミド化を含むように修飾されてもよい。開示されたペプチドは、例えば、血漿安定性(特に、エキソペプチダーゼに対する耐性)を高めるために、炭水化物鎖に結合されてもよい(例えば、グルコース、キシロース、ヘキソースへのグリコシル化を介して)。
【0046】
本明細書に開示されるACE2の変異体は、さらに改変され得る。例えば、ACE2のポリペプチド断片をさらに修飾して、血漿中の半減期を延長し、かつ/又は標的(例えば、腎臓、肺、心臓など)への送達を増強することができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド断片はポリエチレングリコールポリマーに共有結合している。他の実施形態において、ポリペプチド断片は、ナノ粒子(例えば、バイオゲルナノ粒子、ポリマー被覆ナノビンナノ粒子、及び金ナノ粒子)に結合され得る。好ましくは、開示された治療方法及び医薬組成物のポリペプチド断片は、血漿中で少なくとも6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、又はそれ以上の半減期を有する。ペプチド及びタンパク質薬の血漿半減期を改善する戦略は、当技術分野で知られている(その内容が全体として参照により本明細書に援用されるWerle et al., "Strategies to improve plasma half life time of peptide and protein drugs," Amino Acids 2006 June; 30(4):351-67を参照されたい)。
【0047】
医薬組成物
明細書に開示される組成物は、本開示の細菌毒素を含み、それを必要とする対象への投与のために製剤化された医薬組成物を含み得る。そのような組成物は、特定の患者の年齢、性別、体重、及び状態、ならびに投与経路などの要因を考慮して、医学分野の当業者に周知の用量で及び技術により製剤化及び/又は投与することができる。
【0048】
組成物は、当該分野で公知のように、担体、希釈剤、賦形剤、及び界面活性剤を含む薬学的溶液を含み得る。さらに、組成物は防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウムなどの抗菌剤又は抗菌剤)を含んでもよい。組成物はまた、緩衝剤を含んでもよい(例えば、組成物のpHを6.5と7.5の間に維持するため)。
【0049】
医薬組成物は治療的に投与されてもよい。治療用途において、組成物は、治療効果を誘発するのに十分な量で患者に投与される(例えば、疾患の症状及び/又は合併症を治癒又は少なくとも部分的に阻止又は遅延させる応答(すなわち、「治療有効用量」)である)。
【0050】
新規の活性なショートACE2断片
本発明者らは、非常に高い酵素活性を有するはるかに短い分子量(70kD未満)を有する分子量約110kDの完全長ACE2の新規断片を発見した。ACE2の開示された断片は、治療方法及び医薬組成物で利用され得る。いくつかの実施形態では、それを必要とする対象のAngII(1-8)レベルを低下させるために、開示された方法を実施することができる。また、アンジオテンシンII以外の基質もあり、これらは新規ACE2断片によっても切断される。この方法において、対象は、適切な医薬担体中にアンギオテンシン変換酵素2のポリペプチド断片(ACE2、配列番号1)を含む医薬組成物であり得る。開示された治療方法に適した対象には、糖尿病及び非糖尿病の慢性腎疾患、急性腎不全及びその予防、慢性腎疾患、重度の高血圧、強皮症、皮膚、肺、腎臓及び高血圧の合併症、悪性高血圧、腎動脈狭窄に続発する腎血管性高血圧、特発性肺線維症、大動脈瘤、心線維症及びリモデリング、左心室肥大、及び急性脳卒中を有する及びその発症のリスクがある患者が含まれるが、これらに限定されない。開示された医薬組成物は、静脈内注入及び患者が自宅で自分で注射できる皮下注射を含むがこれらに限定されない任意の適切な方法によって投与されてもよい。開示された医薬組成物は、特発性肺線維症及び他の状態を治療するための使用に非常に実用的であり得る別の投与経路として吸入により投与され得る。
【0051】
開示された治療方法及び医薬組成物におけるACE2のポリペプチド断片は、AngII(1-8)をAng(1-7)に変換するACE2活性を有する。いくつかの実施形態において、ACE2のポリペプチド断片は、腎臓に効率的に送達され得、腎臓に容易に送達され得ない全長ACE2よりも高いACE2活性を有し得る。
【0052】
典型的には、ACE2のポリペプチド断片は、ACE2のポリペプチド断片が糸球体を通して濾過され、腎臓に送達されるように十分に低い分子量を有する。いくつかの態様において、ポリペプチド断片は、約70kD、65kD、60kD、55kD、又は50kD未満の分子量を有する。
【0053】
ACE2の開示されたポリペプチド断片は、全長ACE2(配列番号1)と比較して欠失を含み得る。開示されたポリペプチド断片は、全長ACE2(配列番号1)と比較して、N末端欠失、C末端欠失、及びその両方から選択される欠失を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、開示されたポリペプチド断片は内部欠失を含み得る。欠失は、少なくとも約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50、100、150、200アミノ酸以上の完全長ACEを除去し得る。いくつかの態様において、欠失は1つ又は複数のグリコシル化部位を除去し、そのため、ACE2のポリペプチド断片は完全長ACE2よりもグリコシル化されていない可能性があり、完全長ACE2と比較してACE2のポリペプチド断片の分子量をさらに低下させる。
【0054】
例示的な実施形態
例示的な実施形態以下の実施形態は例示であり、特許請求される主題の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0055】
実施形態1。アンジオテンシン変換酵素2の変異体(ACE2、配列番号1)、ACE2活性を有し、約70kD未満の分子量を有するACE2の変異体。
【0056】
実施形態2。ACE2の変異体は、全長ACE2(配列番号1)に対して、N末端欠失、C末端欠失、又はその両方を含む、実施形態1のACE2の変異体。例えば、配列番号3又は配列番号4。
【0057】
実施形態3。欠失が完全長ACE2に存在するグリコシル化部位を除去する、実施形態2のACE2の変異体。
【0058】
実施形態4。ACE2の変異体が約60kD未満の分子量を有する、前述の実施形態のいずれかのACE2の変異体。
【0059】
実施形態5。AngII(1-8)をAng(1-7)に変換するために、ACE2の変異体が全長ACE2(配列番号1)よりも高いACE2活性を有する、前述の実施形態のいずれかのACE2の変異体。
【0060】
実施形態6.変異体が、少なくとも6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、又はそれ以上の血漿中半減期を有するACE2の切断型である、前述の実施形態のいずれかのACE2の変異体。
【0061】
実施形態7。血漿中のACE2の変異体の半減期を増加させる異種アミノ酸配列に融合された切断型などの前述の実施形態のいずれかのACE2の変異体を含む融合タンパク質。
【0062】
実施形態8実施形態7の融合タンパク質であって、融合タンパク質が少なくとも6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、4週間、又はそれ以上間の血漿中半減期を有する、融合タンパク質。
【0063】
実施形態9.実施形態7又は8の融合タンパク質であって、異種アミノ酸配列が、(i)好ましくは融合ポリペプチドの二量体化を防ぐために、好ましくはそのヒンジ領域を欠く抗体又はその断片のFc部分のアミノ酸配列(例えば、配列番号6、配列番号7、又は配列番号8);(ii)血清アルブミン又はその断片のアミノ酸配列、例えば、ヒト血清アルブミン又はその断片のドメインIIIのアミノ酸配列(例えば、配列番号9);及び(iii)連鎖球菌プロテインGのアミノ酸配列又は連鎖球菌プロテインGのC末端アルブミン結合ドメイン3(ABD3)のアミノ酸配列などのその断片(例えば、配列番号5)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態7又は8の実施形態。
【0064】
実施形態10.ACE2の変異体と異種アミノ酸配列との間にリンカーアミノ酸配列(例えば、グリシン及びセリンから選択される5~15アミノ酸のリンカー配列)をさらに含む、実施形態7~9のいずれかの融合タンパク質。
【0065】
実施形態11.5~10個のヒスチジン残基を含むアミノ酸配列などのアミノ酸タグ配列をさらに含む、実施形態7~10のいずれかの融合タンパク質。
【0066】
実施形態12.実施形態1~6のいずれかのACE2の変異体(例えば、ACE2の切断型)又は実施形態7~11のいずれかの融合タンパク質を含む結合体。ここで、ACE2の変異体又は融合タンパク質ポリエチレングリコールポリマーに共有結合する。
【0067】
実施形態13。実施形態1~6のいずれかのACE2の変異体又は実施形態7~11のいずれかの融合タンパク質を含む結合体であって、ACE2の変異体又は融合タンパク質は、ナノ粒子、例えばバイオゲル、ポリマー被覆ナノビン、及び金ナノ粒子に結合する。
【0068】
実施形態14.結合体が、少なくとも6時間、12時間、1日、2日、3日、4日、5日間、6日間、1週間、2週間、3週間、4週間、又はそれ以上の血漿中半減期を有する、請求項12又は13に記載の結合体。
【0069】
実施形態15:(i)ACE2の変異体、融合タンパク質、又はその結合体を列挙する前述の実施形態のいずれか;及び(ii)適切な医薬用担体を含む医薬組成物。
【0070】
実施形態16.実施形態15の医薬組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象においてAngII(1-8)レベルを低減及び/又はAng(1-7)レベルを増大させる方法。
【0071】
実施形態17対象が、糖尿病及び非糖尿病の慢性腎疾患、急性腎不全及びその予防、慢性腎疾患、糸球体腎炎、重度高血圧、強皮症及びその皮膚、肺、腎臓及び高血圧の合併症、悪性高血圧、腎動脈狭窄に続発する腎血管性高血圧、特発性肺線維症、肝硬変患者などの肝線維症、大動脈瘤、心臓線維症及びリモデリング、左心室肥大、及び急性脳卒中からなる群より選択される状態を有する、実施形態16の方法。
【0072】
実施形態18.実施形態16又は17の方法であって、医薬組成物が静脈内投与、皮下投与、又は肺投与される(例えば、吸入器又はネブライザーによる吸入を介して)、実施形態16又は17の方法。
【実施例
【0073】
以下の実施例は例示であり、特許請求される主題の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0074】
実施例1-新規のアクティブACE2断片
序論及び目的
レニンアンジオテンシン系(RAS)の活性化は、糖尿病性腎疾患(DKD)の病因及びCKDへのその進行において主要な役割を果たす。糖尿病性腎疾患の全身性強皮症、悪性高血圧症、特発性肺線維症、心肥大のように、RASが全身的又は局所的に、又はその両方で過活性状態になるいくつかの状態がある。アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)は、アンジオテンシンII(1-8)(AngII)をアンジオテンシン(1-7)(Ang(1-7))に変換する膜貫通モノカルボキシペプチダーゼである。ACE2によるAngIIレベルの低下は、このペプチドの過剰な有害作用を防止又は軽減するべきである。さらに、AngII切断の結果として形成され、それ自身の受容体に作用するAng(1-7)は、AngIIの組織保護機能と一般的に反対の組織保護機能を持ち、AngIIの低下を補完する。過去の資金提供期間中、我々の研究室は、マウスに与えられたときにヒトACE2の免疫原性を回避する方法として、マウス組換えACE2(mrACE2)を精製及び生産することができた。我々は、mrACE2の毎日の注射又はDNAミニサークル送達により全身投与されたmrACE2の腎臓への影響を調べた。これにより、血漿ACE2活性が持続的かつ大幅に増加し、急性のAngII負荷を代謝する能力が強化された。しかし、ストレプトゾトシン(STZ)ミニサークル遺伝子ACE2デリバリー又はrACE2投与によって誘発されたDKDのマウスでは、尿中ACE2活性を増加させることができず、アルブミン尿、糸球体メサンギウム拡張、糸球体細胞性及び糸球体肥大の改善はなかった。したがって、循環に限定されたACE2の深遠な増大は、糸球体病変及び初期STZ誘発DKDに特徴的な過濾過を改善することができなかった。顕著なACE2増幅で循環RASをターゲットにすることがDKDの改善に効果的でない理由は、全身RASが過剰に活動せず、STZモデルで血圧が上昇しないという事実に起因する(公開のために提出)。対照的に、RASの過活性に対抗するためのrACE2の治療的使用は、全身のAngII過剰のマウスレニントランスジェニックモデルの予備データによってサポートされる。この場合、マウスrACE2はFcタグと融合して作用期間を延長し、血漿AngIIレベルの上昇を著しく低下させ、アルブミン尿及び高血圧を改善する(公開のために提出)。
【0075】
ACE2の大きな分子サイズ(約110kDa)は、正常な糸球体又はDKDの初期の形態ではフィルターできないようにする。これは、DKDのSTZモデルで観察された有意な治療上の利点の欠如を説明する。ACE阻害剤はこのモデルで有効であり、DKDの他のモデルは、これらの小分子が容易に濾過され、したがって局所腎臓ACEを抑制し、AngII形成を抑制することができるという事実に帰することができる。アルポート病とCKDのcol4A3-/-マウスモデルで見られるように、糸球体透過性の著しい増加により、注入されたrACE2は尿中に容易に回収されるため濾過できることを示すことができた。しかし、この後期段階では、腎臓の変化を完全に逆転させ、線維症を逆転させることは困難である。したがって、我々は、分子サイズを小さくした組換えACE2の新しいフォームをエンジニアリング及びテストして、正常又はわずかに障害のある腎糸球体濾過バリアを通過できるようにすることに関心がある。提案されている新しいACE2生物製剤の設計は、マウス及びヒトの尿に自然に見られる特定のACE2種の観察に基づいている。75kDのACE2のより短い形で、完全な110kDaタンパク質よりも酵素的に活性が高いことが分かった。DKDで腎臓のRAS過活性を治療することを主な目的として、ACE2の分子サイズを縮小し、糸球体濾過による腎臓送達を促進した。より低分子量のACE2トランケート、1-619(71kD)、及び1-605(69kD)を生成した。これらは、糸球体濾過を介した腎送達にも適している。さらに、生物学的半減期を延長して慢性的な使用を促進するための高い酵素活性を保持する最短のACE2タンパク質にキャリアタグを追加することを目指している。rACE2を使用してAngIIの分解を促進すると、腎保護ペプチドであるAng 1-7の同時形成という特有の利点が得られ、AngIIの形成又は作用をブロックするよりも自然な生理学的アプローチである。さらに、ACE2阻害剤と組み合わせて使用すると、AngII形成を継続的に分解することにより、ACE2がAngIIエスケープを効果的に防止し、従来のRASブロッカーの有効性が低下すると仮定する。本明細書で開示される研究の目的は次のとおりである:(1)糸球体濾過を介して腎臓に高い酵素活性を保持する最短のマウス及びヒトACE2タンパク質断片を生成するために、インビボでのアンジオテンシンII分解に対する効果を評価し、血圧への影響と、慢性的な使用に十分な量でそれらを浄化及び生成すること;これは、1-619及び1-605と呼ばれる短いace2トランケートですでに大部分が達成されていえる;(2)初期DKDのマウスモデルにおける短いrACE2トランケートの腎保護効果を評価すること;(3)タンパク質融合技術を使用して最短ACE2トランケートの作用持続時間を延長し、DKD単独及びACE阻害剤と組み合わせたマウスモデルでの腎保護作用を調べること。我々の最大の目標は、既存のRASブロッカーに有利な方法でDKDと戦うのに効果的な、半減期が延長された酵素的に活性なより短いACE2タンパク質を開発することである。さらに、これらのより短いACE2タンパク質は、特に全身性強皮症、悪性高血圧症、心臓肥大、特発性肺線維症など、RASが過活性している他の状態についてテストされる。
【0076】
これまでの研究の概要
これまでの我々の研究は、腎疾患を治療するためにAng II分解を増加させる方法としてACE2増幅を達成することに焦点を合わせてきた3。概念実証として、共同研究者であるケビン・バーンズ博士と彼のグループによって生成された足細胞特異的トランスジェニックマウスを使用して、STZ誘導性DKD 4に対する糸球体ACE2過剰発現の効果を調べた。このポドサイト特異的トランスジェニックマウスでは、糸球体内のACE2発現がわずかに増加(2~5倍)した。それにもかかわらず、糸球体に制限されたACE2活性のこの比較的小さな増加は、DKD 4のSTZモデルにおけるアルブミン尿及びメサンギウム拡大の減少に基づいて有意な腎保護を付与するのに十分であった。内因性ACE2を増幅する方法として、小分子化合物(1-[(2-ジメチルアミノ)エチルアミン]-4-(ヒドロキシエチル)-7-[(4-メチルフェニル)スルホニルオキシ]-9H-キサンテン-9-オン)(XNT)を使用した研究を実施した。これは、最初はACE2アクティベーターであると説明されていた。しかし、驚いたことに、XNTはACE2KOマウスのAngII誘発高血圧に効果を発揮し、ACE2とは独立したメカニズムで機能することを示した。さらに、LC-MS/MSの結果は、XNTが血漿Ang II、Ang(1-7)又はAng(1-5)レベルを変化させなかったのに対し、Ang II分解の増強の結果として、陽性対照として使用されるrACE2は、Ang(1-7)及びAng(1~5)レベルを著しく増加させた。
【0077】
堅牢で明確なACE2増幅、及びこれらの化合物の毒性の性質のために、別の推定ACE2活性化因子であるXNT又はDIZEを使用できなかったので、我々は独自のマウス組換えACE2を開発した6,7。エクスビボ研究では、10のアンジオテンシンペプチドの同時測定のためにLC-MS/MSを使用して、血漿の生理的環境におけるアンジオテンシンペプチドの動態に対するマウス(mrACE2)の作用を調べた7,8。次に、マウスrACE2を、毎日のi.p注射又はミニサークルテクノロジーを使用したACE2デリバリーによって、急性及び慢性のマウスをコントロール及び糖尿病に投与した9,10。ミニウイルスDNAデリバリーは、レンチウイルスデリバリーとは異なり、遺伝子サイレンシングに耐性があるため、インビボでの遺伝子置換戦略の魅力的なプラットフォームである。無傷のマウスACE2のcDNAを円形発現カセットにクローニングし、得られたACE2ミニサークルをi.v流体力学アプローチを使用してFVBマウスに注射した10。ミニサークルによってACE2を投与されたマウスは、血圧、血清ACE2活性及び血漿Ang IIレベルをモニターするために数週間追跡された。数ヶ月のフォローアップの後、Ang IIが急激に注入された。ACE2で処理したマウスの血漿Ang IIの増加は、ビヒクルで処理したマウスと比較して有意に減少した。次に、ミニサークル送達によりACE2で前処理したマウスにSTZで糖尿病を誘発した。26週間のフォローアップで維持された血清ACE2活性の予想される増加にもかかわらず、尿及び腎臓のACE2活性の検出可能な増加はなく、STZによって誘発されるアルブミン尿及び糸球体病変の発生は予防されなかった。
【0078】
尿中のACE2活性が循環起源か腎起源かをさらに調べるため、マウスrACE2を注入して、db/dbマウス及びCol4A3-/-マウス、CKDに関連するAlport症候群のモデルを制御した10、11。db/m及びdb/dbマウスに無傷のrACE2を注入すると、血清ACE2活性の著しい増加が観察されたが、尿中ACE2活性はまったく増加しなかった10。したがって、血漿中のACE2レベルの増加は、投与された無傷のrACE2の腎臓への送達の欠如のため、最小限のアルブミン尿10を有するSTZ又はdb/dbモデルでDKDを改善するのに十分ではないと結論付けた。STZ及びDKDの他のげっ歯類モデル及びヒトDKDでは、RASは腎臓で局所的に過剰に活性化されるが、循環ではなく、いわゆるレニンパラドックスである。実際、血漿レニン活性レベル、及び外挿Ang IIレベルは、糖尿病及びDKD 12-16の患者でしばしば減少する。
【0079】
したがって、ACE2を腎臓レベルで増加させることができない限り、AngIIレベルが血漿で増加しない限り、血漿単独でのACE2の増幅は限られた治療的役割を有する。そのため、腎臓内でのACE2増幅の新しい戦略の設計に取り組んできた。
【0080】
意義
レニン-アンジオテンシン系(RAS)は、DKDの病因に広く関与している。循環AngII及び特に局所的に産生されたAngIIは、一連の血行動態及び非血行動態効果を通じて腎疾患を媒介することができる。16-16-2324-26。DKD患者の腎疾患の進行を遅らせ、タンパク尿を減少させるACE阻害剤と他のRASブロッカーの相対的な有効性は、DKDの発生と進行にRASの過剰活動が関与していることのさらなる証拠である。AngII産生を含むグルコースによる腎臓内での局所的なRASの活性化は、培養された足細胞及び尿細管細胞の細胞レベルでよく実証されている24-26。追加の直接的な証拠は、腎臓及びDKDのent歯類モデルからの尿及びDKD の患者からの尿バイオサンプルにおけるRAS成分の増加の発見から得られる22、23、27-31。現在使用されているRASブロッカーは、重要であるが不完全な保護と可変応答率を提供する32-35。したがって、Ang IIの形成又は作用の遮断に基づいて既存のアプローチを拡大及び改善するRASの過剰活動に対抗するための新しいアプローチが必要である。AngIIの散逸には、いくつかの経路が含まれる(図1)。特に興味深いのは、Ang(1-7)の形成をもたらすACE2などの酵素によって駆動されるものである36-43。また、Ang IIからAng(1-7)を形成できるPRCPやPEPなどの他の酵素があるが、一般に、ACE2は最高の効率でAngIIをAng(1-7)に分解すると考えられている6,36,37、42、43。したがって、ACE2のAngIIの低下とAngの増加(1~7)の二重効果は、治療上非常に効果的であり、過剰なAngIIを処理する自然な経路を複製する。
【0081】
ヒトの無傷のrACE2は、すでに第1相臨床試験に合格し44、米国及びカナダの多施設第II相試験で肺損傷に対するhrACE2の可能性のある利点を調べる臨床試験が進行中であるため、ヒトの環境では安全に見える。しかし、rACE2のこの形式は、サイズが大きく、半減期が比較的短いため、DKDなどの慢性疾患の長期治療には適していない。さらに、DKDにおいて、循環RASは通常、過活性ではない13、15。我々は、糸球体濾過を介した腎臓への送達を可能にし、臓器組織への浸透を高め、半減期を著しく延長するために、低分子サイズのACE2のマウス及びヒト型を開発し、さらなる開発を提案した。RASブロッカーよりも有利であり得るrACE2投与の顕著な特徴には、循環及び/又は局所的に腎臓内のレベルが増加した場合のAngIIの継続的な消失が含まれる。注目すべきは、ACE阻害剤による治療の開始後、持続的かつ顕著なACE抑制にもかかわらず、血漿AngIIレベルは正常に戻るか、通常よりもさらに増加することである。これは、ACE又はAng IIエスケープ現象と呼ばれる45~64。ARB遮断薬を用いると、AT1受容体の遮断の結果として、この治療の開始からAngIIのレベルが反応的に増加し、上昇したままである65。rACE2投与の特徴的な特徴は、AngIIレベルの低下と同時に、臓器保護ペプチドであるAng(1-7)が形成されることである66-70。継続的なAngII分解によりAngIIレベルの増加を完全に防ぐ必要があるため、ACE2投与に基づく療法は既存のRASブロッカーよりも生理学的であり、おそらくより効果的であると仮定する。短いrACE2は、単独で、又はACE阻害剤又はARBと組み合わせて使用できる。上記のDKD、CKD、肺線維症、及びその他の状態で過活性している腎臓RAS経路のダウンレギュレーションに向けられた新しいrACE2生物学的製剤は、臨床使用のために迅速に試験することができ、治療の「迂回力」を構成するべきである。
【0082】
革新
無傷のACE2は、100~110kDaの比較的大きなサイズを有しており、我々の実験研究及び理論的考察によれば、糸球体濾過を介した通過による腎臓へのその送達が妨げられる。これは、糸球体の透過性が大きく変化していない場合に、早期にSTZ誘導性のDKDを治療するための潜在的な使用のための無傷のACE2の重要な制限であることを示した。ここでは、糸球体濾過により腎臓に送達可能であるため、局所RAS過活性を直接制御するために管状内腔にアクセスできるACE2の短いフォームを開発及び試験することを提案する。腎臓の近位遠位及び集合尿細管の先端境界に豊富なRASがあり、これはAng IIの腎作用の多くを媒介する71-78。化合物の糸球体濾過には、いくつかの障壁が含まれる:最初に内皮層、糸球体基底膜、最後に有足細胞の足の突起79。最近の研究では、アルブミン尿への定量的寄与における近位尿細管の役割が再検討された80。アルブミンの濾過は、以前に信じられていたよりも大きく、これは、その再吸収によりアルブミン尿を減少させる近位尿細管の役割の増加を決定することが示された80-85。明らかに、分子量66kD(585アミノ酸)のアルブミンは負に帯電しているにもかかわらず、生理学的条件下で糸球体透過性の穏やかな変化でさえもある程度濾過される80-83
【0083】
外挿により、分子量が70KDa以下の短いACE2トランケートもフィルター処理できるべきである。この仮定に従って、サイズが69-71kDaの2つの最近生成された短いACE2タンパク質(すでに配列決定、生成、精製された2つのプロトタイプコンストラクト)が、ACE2遺伝子欠損マウス及びSTZ-初期DKDのモデルにおいて濾過可能である。血漿中の融合タンパク質の半減期を延長する異種タンパク質のアミノ酸配列に融合したアミノ酸配列を含む融合タンパク質を作成することにより、血漿中の半減期を延長する。異種タンパク質のアミノ酸配列は、特に腎尿細管細胞によるタンパク質異化を回避する際に、短いACE2アミノ酸配列のインビボでの安定性を促進するために利用される86~91。融合タンパク質の設計は、腎尿細管の再吸収が別々の受容体活性を通る2つの異なる経路に従うという原理に基づいている。メガリン及びキュビリンに親和性を有するこれらのタンパク質は、典型的にはリソソーム分解に向けられている92-95。対照的に、アルブミン及び免疫グロブリンなどの特定の血漿タンパク質は、FcRn として知られるリサイクルのための代替受容体に対する自然な親和性により、腎異化作用から大部分は免れている79、93、96-100。これらの受容体は、腎尿細管上皮、有足細胞及び内皮細胞の頂端表面に豊富に発現している79。ACE2トランケートに融合したFcRnに対する高親和性タグを有する融合タンパク質を作成することにより、ACE2トランケートの半減期を延長することができる。融合タグは、組織の浸透/組織への取り込みを促進し、インビボでの安定性を促進し、そのため半減期を延長するため、貧血の人が自分で注射するのとほぼ同じ方法で、毎週又は隔週のスケジュールで患者の皮下又は毎週隔週投与に適している。腎臓に加えて、Fc融合後、短いACE2の吸入による送達のポータルとして肺をターゲティングできる。実際、肺の上皮におけるFcRnの発現のために、Fcタグ付きタンパク質がこの目的に興味深いことが知られている148。例えば、Fcと融合したEPOなどの大きなタンパク質の肺の上皮バリアを介した、FcRn経路であるアクティブなキャリアシステムを活用する送達が報告されている149
【0084】
腎臓近位尿細管における豊富なRAS成分及びそれらの受容体の存在、及び一般にこのシステムの過剰活性は、DKDの発達及びCKDへの進行に寄与することが知られている17。しかし、提案された腎臓RASへの標的アプローチは、他の腎外組織及び循環全体が短いACE2の投与の恩恵を受けないという意味ではない。血漿中のAng IIが上昇している状況では、短いACE2はそれを消散させ、Ang 1-7を形成し、血圧を下げるのに役立つ。Fcと結合した無傷のACE2を使用した予備研究では、急性Ang II誘発性高血圧後の血圧低下効果が持続することで示されるように、作用期間が少なくとも7日間まで印象的な増加を示す(公開用に提出)。しかし、血圧と血漿Ang IIが増加しない状況では、安全上の理由から、ACE2を増加しても血圧が低下しないか、血圧が最小限に低下するだけであることが利点となる。生物製剤の「バイオベター」形態は、創薬分子を取得し、その中に特定の変更を加えてそのパラメーターを改善することにより治療効果を改善し、より効果的で、投与頻度を少なくし、及び/又は耐容性を向上させることを含む87。要約すると、腎臓内のAng IIからAng(1-7)への変換を増加させる方法として、糸球体濾過を介して腎臓にアクセスし、インビボ半減期を延長したrACE2の短い形態を構築することを提案する。私たちの知る限り、これはDKDを治療するためにRASを直接標的とするために大きな分子が投与されるということである。この新規バイオロインは、進行性DKDで効果的であるが、糸球体透過性に中程度の変化のみが存在し、RASが腎臓レベルで過活性であるが循環ではない場合、大部分のげっ歯類モデル及びヒトDKDにおいてしばしば生じる状況では、DKDの初期段階でも有効である必要がある23-25、27-30、101。前述のように、短いACE2トランケートは、糖尿病及び非糖尿病の慢性腎疾患、急性腎不全及びその予防、慢性腎臓病、糸球体腎炎、重度の高血圧、強皮症及びその皮膚、肺、腎臓及び高血圧の合併症、悪性高血圧、腎動脈狭窄に続発する腎血管性高血圧、特発性肺線維症、肝硬変患者などの肝線維症、大動脈瘤、心臓の線維化とリモデリング、左心室肥大、及び急性脳卒中を含む状態の治療においてクオカ的であることが期待される。
【0085】
アプローチ
目的1.高い酵素活性を保持し、糸球体濾過を介して腎臓に送達可能な最短のマウス及びヒトACE2タンパク質フラグメントを生成し、アンジオテンシンII分解に対する影響を評価し、慢性的な使用のために、比較的大量に精製及び生産することである。
【0086】
背景及び予備データ:マウスに与えられた無傷のmrACE2は、外因性Ang IIを効果的に分解し、Ang(1~7)を形成し、数ヶ月間マウスに与えられたとき免疫原性ではないことを示している。また、糖尿病マウス(db/db及びSTZ処理マウス)では、尿ACE2が増加することも発見した。尿中のACE2活性の増加が、部分的には循環の起源であるかどうかを調べるために、無傷のrACE2(1-740AA)を注入して糖尿病マウスを制御した。循環(血清)ACE2活性の著しい増加にもかかわらず、尿中ACE2活性の増加はなかった。したがって、我々及び他の者は、尿ACE2の供給源は尿細管由来であり、近位尿細管の頂端膜からの脱落に起因する可能性が高いと結論付けた9108。糸球体毛細血管壁の主な機能は、濾過が行われている間、アルブミン及び他の血漿タンパク質の糸球体通過を選択的に制限することである102。約70kDaより小さいタンパク質及びペプチドは、より大きいタンパク質よりも濾過される可能性が高い103、104。一般に、全体的な負の変化を伴うタンパク質は、腎臓の負に帯電した基底膜による反発のため、中性ポリペプチドよりも濾過されにくい105-107。上記のように、正常なマウス及びSTZ誘発DKDを有するマウスへの無傷のACE2の注入は、これが通常濾過できない大きなタンパク質(>100kDa)であるため、尿ACE2活性を増加させることができなかった10。Col4A3-/-マウス、大きな糸球体透過性欠損を伴うアルポート症候群のモデルでは、尿中ACE2活性が著しく増加した10。以下では、げっ歯類7のSTZ及びDKDの他のモデルで通常見られるAERの軽度の上昇を伴うマウスの糸球体濾過を介して腎臓に送達できるACE2の短い形態の生成を示す
【0087】
この全体的な目標に向けた我々の探求は、ウエスタンブロットによる、ACE2欠損マウスには存在しないため、ACE2特異的である2つの尿中ACE2免疫反応性バンドの同定から始まった。約110kDの1つのバンドは、無傷のACE2の分子量に対応し、ACE2が豊富に発現している腎臓の頂端尿細管膜からの脱落生成物である可能性が高い9、71、72。75kDのバンドの尿の存在は、このバンドが110kDaのACE2バンドの分解産物であることを示唆した(図2)。110kDaバンドのみが検出された新鮮な全腎臓ライセートを37℃で24時間インキュベートすると、この概念と一致し、75kDaバンドが現れたが、ACE2 110kDバンドは徐々に減少した(図2)。
【0088】
尿中の2つの自然発生バンドを分離する限外濾過実験により、タンパク質量の補正後、75kDaバンドのACE2活性レベルが110kDバンドのレベルよりも高いことがさらに明らかになった(図3)。次に、ACE2KO腎臓ライセートにおける無傷のrACE2のインキュベーション時間を延長し(腎臓自身のACE2からの影響を排除する方法として)、これにより75kDバンドの形成だけでなく、より短い約60kD ACE2の形成がもたらされました有意なACE2活性を有するバンドのインキュベーション時間も延長した(図4)。これらの発見から、無傷のrACE2は、元の100-110kDaの無傷のrACE2タンパク質よりもさらに高い比酵素活性を保持又は有する約60kDaの断片に短縮できると結論付けた(図4)。このプロセスは、ACE2を短くして酵素的に活性な断片に短縮できるプロテアーゼによって媒介される必要がある。
【0089】
提案された研究で説明されたアプローチを使用して、我々はすでに、活性である、様々なバージョンのACE2欠失変異体、特に「1-619」及び「1-605」と呼ばれるACE2 C末端欠失変異体を生成及び試験した。一方、より短い「1-522」ACE2欠失変異体は活性を欠損している。ACE2 1-605の理論分子量は69kDa(Expasy Bioinformaticsによる)であり、酵素活性は無傷のACE2とほぼ同じ(無傷のrACE2の106±5%)であるのに対し、1-619は無傷のACE2(1-740AA)よりもさらに活性が高い(144±7%、p<0.01)。急性注入のために、これらの2つのトランケート(1~619及び1~605)を少量生成し、高度に精製することができました(図5A)。1-619及び1-605のi.v.注入により、遺伝的ACE2欠損マウスの尿中ACE2活性が著しく増加した。これらのACE2欠損動物では、1-605の注入後、血漿ACE2活性が著しく増加した(906±94 RFU/ul/hr)。A619を注入したACE2KOからの尿のウエスタンブロットは、約70kDのACE2免疫反応性バンドを明らかにした(図5B)。
【0090】
STZで糖尿病にされ、12~15週間後に研究されたACE2 KOマウスで追加の研究が行われた。両方のACE2トランケートを注入して、このモデルの尿でも活性を回復できることをさらに実証した。どちらのトレンケートも、尿ACE2活性の明らかな増加をもたらした(図6A)。前の実験のように、1-619で見つかった活性は1-605で観測されたものよりも高かったが、おそらく観測数が少ないために統計的有意性を達成できなかった。STZで糖尿病にされたWTマウスでは、尿ACE2はすでにかなりのものであった(図6Bのスケールを6Aと比較)。ACE2の存在は、管状脱落の結果である9,108。内因性ACE2の存在のために、我々はより高い用量のA1-619(4μg/g BW)を使用し、尿に通常存在するものを超える増加を示した(図6B)。
【0091】
さらに、新しいACE2トランケートが糸球体濾過と腎臓への取り込みに適しているのに対し、無傷のACE2はそうではないことを実証するために、高度な放射性核種イメージングを使用した。図7に示されるように、i.v.注入後1時間で、A619の注入後、同じ用量の無傷のrACE2の注入後ではなく、両方の腎臓の皮質領域に顕著な取り込みを伴う腎造影図がある。
【0092】
活性に関して、本発明者らは、ACE2(1-605)にAngIIボーラスを注入することによりAngIIを代謝するACE2(1-605)の能力も評価し、このペプチドの急速な急増をもたらした。注入後5分で、Ang IIのレベルは、非注入マウスよりも1-605注入マウスで著しく低かった(104±33対399±45fmol/mL、p=0.007)。このAng II低下効果は、無傷のACE2を使用して我々が以前に示したAng II低下効果に類似している6,7,10。別の実験では、Ang IIボーラスと一緒にACE2トランケートを注入した後、インビボACE2活性のマーカーとして血圧回復を評価した。図8に示されるように、2つのACE2トランケートの投与は、Ang II誘発性高血圧からの初期回復を強化した。BP回復に対する1-619の効果は、1-605の効果よりも持続しているように見える(AからBを比較)が、両方のトランケートには有意な効果があって(それぞれp値<0.02及び<0.04)。要約すると、新しいACE2トランケートは、注入されたAng IIを低下させ、Ang IIのボーラス投与後の血圧回復を高めるという点でインビボで有効である。さらに、ACE2トランケートは十分に小さいため、糸球体濾過を介して腎臓に送達できる。
【0093】
提案された研究。我々の主な目的は、治療目的に使用できる高レベルのACE2活性を有する短いACE2断片を構築することである。その全長形態では、ACE2タンパク質は、細胞外109ドメイン(AA 1-739)、膜貫通領域(AA 740-768)、及び細胞内尾部(769-805)を含む805アミノ酸(AA)I型膜貫通タンパク質(110-120kDa)である110、111。無傷のACE2の細胞外部分(1-740AA)は触媒ドメインを含む。タンパク質分解によって得られたアクティブな短いACE2タンパク質のサイズを複製するために、C末端とN末端の切断により、様々な長さの一連のACE2欠失変異体を生成する。これらの変異体は、HEK293細胞によって培地に発現され、ACE2活性は比色基質Mca-APK-Dpnを使用して測定される。完全な細胞外ドメイン(1-740AA)を含む無傷のrACE2が陽性対照となる。短いACE2変異体を生成し、C末端とN末端のトランケーションにより、ACE2のサイズを縮小し、酵素活性を保持する1-619及び1-605より小さいトランケートを特定できると予想する。手順の目標は、酵素活性を保持している最短のACE2断片の境界を決定することである。腎臓溶解物の研究からの我々の結果は、約60kDaのrACE2の短縮型がまだ活性であることを示唆している(図4)。短いace2のcDNAは、そのままの可溶性マウスACE2(740AA)のcDNAをテンプレートとして使用したPCR増幅によって生成される。ACE2を徐々に短くするために(一度に10AA、図9)、増幅する短いace2 cDNAの長さを決定し、発現ベクター(つまりpcDNA3.1)と互換性のある特定のプライマーを使用する。増幅されたcDNAの配列は、変異がないことを確認するために配列決定によって検証される。
【0094】
本発明者らは、C末端の最初の一連の欠失を完了し、活性酵素の境界を同定した(図9)。N末端に焦点を当てた2番目のシリーズの開始テンプレートとして、まだ活性を保持しているシリーズの最も短い構成が使用される。ここでは、N末端ACE2にはACE2の分泌のためのシグナルペプチド(SP)配列(aa 1-18)があり、その間に酵素もグリコシル化されるため、触媒活性に重要な自然な折り畳みに適応する。したがって、N末端のSPセグメントは、N末端の2番目の一連の欠失で保持される。それを行うために、部位特異的変異誘発によりSP配列の後に新しいNotI制限酵素部位が導入され、N末端のその後の欠失のためのプライマーはすべて、意図された構築物のクローニングを促進するNotI適合性「オーバーハング」を有する(図9)。予備研究では、pcDNAベクターを介したトランスジーントランスフェクションシステムを使用して、HEK293細胞から排出用のSPをすべて含むACE2断片を発現させた。ACE2活性は、培地から直接測定される。さらに、ACE2の細胞外ドメイン全体に対して作成されたポリクローナル抗体を使用したウエスタンブロットにより、導入遺伝子が検出され、分子サイズが確認される。
【0095】
過剰発現した短いACE2タンパク質の酵素活性を検証するために、a)合成蛍光発生ACE2基質であるMca-APK-(Dnp)及びb)その主要な天然基質であるAng II(1-8)Ang(1-7)を形成する(それぞれのELISAにより測定)。短いrACE2断片の相対的な酵素効力は、同等のピコモル量の無傷のrACE2(740AAの長さ)と比較して決定され、ベンチマークとして使用される。短いACE2断片は、自分で作成した10-Hisタグを使用して、C末端のpoly-Hisタグを発現するように設計される。Hisタグにより、先に行ったように、Ni2+セファロースでのアフィニティー精製とそれに続くSuperdex 300でのサイズ排除クロマトグラフィーを使用して、ACE2断片の迅速かつ効率的な精製が可能になる。短いACE2断片は、いくつかの組換えタンパク質をすでに過剰発現している哺乳類細胞株(HEK293)で安定して発現する。このアプローチを使用して、数週間から数ヶ月以内に、十分な量の2つのトランケート(1~619及び1~605)(約10mg)を生成及び精製し、上記のマウスでインビボ試験を実行できた。
【0096】
短いトランケートの糸球体濾過による腎臓送達は、尿ACE2活性の測定のための急性注入により、及び1-619の予備データに記載されている放射化学研究により実証される。新しい活性なマウス「ショートACE2」の配列がわかったら、次に対応するヒトショートACE2タンパク質を生成する。
【0097】
ヒトの短いACE2タンパク質の生成のために、我々はすでに完全な長さのヒトインタクトACE2 cDNAを有する。タンパク質は、以前にマウス無傷の110kDa rACE2で行ったように、組換え発現及び精製される。短い形式のヒトACE2の酵素活性は、インビトロ及びインビボで次のように試験される:過剰発現したヒトACE2トランケートのACE2活性は、(Mca-APK-(Dnp)基質とAng II(1-8)を用いて)培地から直接測定される。ウエスタンブロット分析を使用して、分子サイズを検証する。アペリン13のような他の既知のACE2基質を切断する短いACE2の能力は、実験室で日常的に行われているアッセイを使用して、インビトロ及び血漿ならびに腎臓溶解物でも試験される112。インビボでのAng II分解及びAng II誘発性高血圧に対する影響を調べるために、Ang IIボーラス(0.2μg/g BW)の前にマウスに短いrACE2(1μg/g BW)を投与し、我々によって以前に説明されたプロトコルを使用する6,7。短いhrACE2トランケートの相対的な効力は、標準として無傷のhrACE2(740AA)の同等物との比較によって決定される。
【0098】
予想される発見:ACE2の結晶構造は、酵素の触媒コアがAA残基147-555に及ぶことを示唆しているため110、111、酵素活性の最小長さ要件には少なくとも147-555AAが含まれると考えられる。619トランケートは非常に活性であり、そのままのACE2よりもさらに活性である。これまでに生成した最短のACE2タンパク質は605AAの長さで、酵素的には無傷のACE2と同じくらい活性があります。(上記のデータを参照されたい)。したがって、これらの短いACE2の分子サイズは切断されます:1-619(71kD)及び1-605(69kD)は、それらの腎保護能を調べるのに十分な低さである。両方のACE2トランケートは、糸球体濾過の影響を受けやすく(図5a、6a、6b、7)、インビボで活性であり(図8)、したがって、以下の目的2に記載の研究で使用される。しかし、ACE2トランケートの半減期を延ばすことを目的としたタグとの融合には、低分子量のACE2トランケートでさえも好ましく、その結果、融合タンパク質は糸球体濾過に十分な分子サイズを有する。これは、目的3で提案されている研究に関連している。ACE2を短縮する主な目標は糸球体濾過を可能にすることであるが、血液凝固酵素などの他のシステムに関与するプロテアーゼ及びペプチダーゼから、それらの配列における「余分な長さ」は、活性を最適化するには、それらの配列を削除する必要があることは公知である。同様に、予備的なタンパク質分解切断の研究に基づいて、酵素活性を保持する605AA(約60kDa)よりも短いACE2の形態を生成できると予想される。
【0099】
マウスのrACE2と同様に、ヒトの短いrACE2については、活性が高くないとしても、天然の110kDaのACE2よりも活性が高いと予想される。短いACE2のヒトとマウスの両方が、Ang IIを切断してインビトロ及びエクスビボでAng(1-7)を形成するのに同様の効力を持つと予想される。低分子量のヒトACE2が究極の治療目標である。しかし、マウスrACE2投与時に以前に示されたマウス抗ヒトACE2抗体を中和する問題を回避するために、マウスの短いACE2の治療効果を調べるために、DKDのマウスモデルで慢性試験を実施する(以下の目的2及び3を参照)。
【0100】
目的2.初期DKD及び他の適応症のマウスモデルにおける短いrACE2トランケートの保護効果を評価することである。
【0101】
背景及び予備データ。ミニサークル送達によるACE2増幅又は毎日のi.p.注射による無傷のrACE2の投与は、DKD 10のSTZモデルにおいて、血圧、アルブミン尿又は腎臓組織に対して検出可能な影響を及ぼさなかった。初期のDKDのこのモデルでは、血漿Ang IIレベルとBPは増加しなかった。対照的に、高血圧症とAng II過剰のトランスジェニックレニンモデルでは、Fcと融合した修飾rACE2の投与が血漿Ang II、血圧及びアルブミン尿に顕著な効果があることを発見した(Liu et al. ASN abstract SA-PO521, 2016)。
【0102】
両方のモデルで無傷のACE2を投与した後、腎臓/尿中ACE2の増加がない場合、これら2つのモデルの差は、1つのモデルでは循環RASが著しく過剰に作用する(レニントランスジェニック)とう事実に起因し得て、STZモデルではない。これは、血漿Ang IIレベルの違いによって証明される(レニンモデルで増加し、STZモデルで正常)。レニントランスジェニックにおけるACE2-Fc投与によるACE2の血漿レベルの増加は、ベースラインで上昇した血漿Ang IIレベルを著しく低下させた。対照的に、無傷のACE2は、ベースラインでSTZモデルで上昇しなかったAng IIをわずかに低下させただけであった10。他の重要な考慮事項は、DKDのさまざまなモデルにおける糸球体透過性の変化の程度である。無傷のACE2をSTZ又はdb/dbマウスに投与しても、尿中ACE2活性及びACE2タンパク質はまったく増加しない10。さらに、無傷のrACE2又は無傷のrACE2-Fcの注入はWTマウスでは尿ACE2を増加させないが、Col4a3-/-マウスでは尿ACE2を顕著に増加させる。ACE2腎臓送達の糸球体透過性の変化の重要性と一致して、最近の研究では、過活性RAS及び重タンパク尿を伴うAlport症候群のモデルであるCol4a3-/-マウスへのミニポンプによって与えられた無傷のrACE2による腎損傷の減衰が示された113-115
【0103】
この目的において、我々は、短いACE2タンパク質、1-619及び1-605、及びAim 1研究中に生成された最も短いものが、全身RASが存在する初期DKDの様々なモデルにおいて無傷のACE2よりも良好に機能することを実証する予定である。全身RASは過剰活性ではない。短いrACE2を使用して腎臓内のAng IIの分解を強化すると、Ang IIの蓄積を局所的に防ぎながらAng 1-7の形成を促進するという特有の利点が得られると予測する。これは、糸球体濾過を介して腎臓に送達可能な短いACE2トランケートの腎保護の提案されたメカニズムである。この見解では、ACE2はAng IIを消散させるが、その形成は相反することなく続くが、過剰な蓄積の防止、したがってその受容体、すなわち糸球体及び尿細管細胞の活性化の減衰が防止される77,116-118。したがって、炎症性及び線維化促進性経路の付随する刺激、ならびにAng II駆動型の先端NH3トランスポーターによるナトリウム保持は、注入された短いACE2によって弱められる傾向がある。実際、腎尿細管細胞の先端境界に多くのRAS成分が存在し、ANG IIの局所的な形成は、DKDにおける過活性腎臓RASの主な原因である119。また、注目すべきは、高血糖環境で過活性である既知の炎症誘発性経路及び線維化促進経路の多くは、過剰なAng II及び高血糖によって増幅され、ひいてはRAS 120-126を活性化するように見える。したがって、腎臓RASをダウンレギュレートする療法としてACE2の理論的根拠を導き出す。
【0104】
表1に、様々な程度のアルブミン尿によっておよそ推定される糸球体透過性の差のスペクトルを持つDKDの選択モデルを示す。これらのモデルで、循環中のRASが活性であるかどうかに関する情報もリストされている。これらのすべてのモデルで腎臓レベルでの活性的RASの証拠があるが、レニンAkitaマウスのみが過活性循環RASを有する127
【0105】
【表2】
【0106】
提案された研究。DKDの以下のモデルは、オスとメスの両方のマウスと、年齢と性別が一致したコントロール(n=10/グループ)で研究される(初期研究は、糖尿病誘発のためにSTZで処理されたマウス128及びdb/dbマウス9、71、129で行われる)。これらのモデルではアルブミン尿は最小限である(表1)。より高度なDKD及びより重いタンパク尿を伴うDKDの他のモデルを調べるために、レニンAkitaマウス127及び(eNOS(-/-)db/dbマウス130,131で研究が行われる。後者のモデルは、内皮特異的NOS-3アイソフォーム(eNOS)を欠いている130,132。重要なことに、db/dbマウスにおけるeNOSの欠失は、db/dbマウスと比較して腎障害の加速を誘発し、ヒト糖尿病性腎症をより想起させる130。ヒト2型糖尿病でよく見られるように、eNOS(-/-)db/dbマウスでは、血圧が上昇し130、131、進行性NO調節不全がある133。興味深いことに、「トリプルセラピー」(ヒドララジン、レセルピン、ヒドロクロロチアジド)による血圧コントロールは、糖尿病性病変の進行を遅くさせるが、カプトプリルによるRAS遮断は、アルブミン尿、糸球体硬化症、尿細管間質性損傷のマーカー、及びマクロファージ浸潤のより深い減少につながる追加の利点を提供した131。したがって、このモデルは、短いACE2タンパク質の有益な効果の推定と、RASを介した疾患の進行の有害な影響の結果を改善する能力を確立/反証するために特に有用である。このモデルでは、レニン及びアンギオテンシンIIのレベルによって決定されるように、循環RASは過活性ではない130。したがって、このモデルでの短いACE2トランケートの腎保護効果は、腎臓内でのRASのダウンレギュレーションと、発生する可能性のあるBP低下の影響に大きく起因するべきである(予想される結果を参照)。
【0107】
DKD(n=10/群)を有するマウスにおける短縮ACE2の長期腎効果は、2つのアプローチを使用して検査される:1)ミニサークル(MC)DNA送達を使用する短いACE2の増幅;2)浸透圧ミニポンプを使用した短いrACE2タンパク質送達。これらの治療法は、糖尿病(STZ)の誘発前又は糖尿病の自然発症マウスの最も早い時点(8週齢)で始まる:db/dbマウス、(eNOS(-/-)db/db及びレニンAVV Akita。短いマウスACE2(1-619及び1-605)のPCR生成cDNAは、以前の無傷のACE2-Mcで行われたように、ヒトユビキチンプロモーターとウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルの制御下でpMC BESPXベクターにクローニングされる10。環状発現カセット及び結果として生じる短いACE2ミニサークルは、以前に報告されたように、無傷なACE2を用いて、マウスに投与される(30μg/マウス)(PBSの大ボーラス(2mL)のPBSの尾静脈への単回注射)10。その後、2週間後、糖尿病は以前に我々によって説明されたプロトコルを使用してSTZによって誘発される10。マウスへの単一のミニサークル投与により、目的の遺伝子の長期発現が持続する。したがって、DKDに対する短いACE2タンパク質の効果を研究するのに完全に適している。この開発は、繰り返し投与する必要なく十分に頑強になるために約3か月かかることがよくある。これは、一度に10匹の動物を簡単に注射できるため、効率的なアプローチである。代替的かつ補完的なアプローチとして、rACE2 1-619は、STZによる糖尿病誘発の1週間前又は他のモデルでは8週齢のマウスに移植された浸透圧ミニポンプによって与えられる。これらの研究は、選択されたモデルで行われ、ミニサークル研究の結果によって導かれる最も腎保護的なACE2トランケートで行われる。短いrACE2の管理は、12~16週間続く(4週間ごとに交換する28dミニポンプ(Alzetモデル1004))。この比較的長い暴露は、腎臓のAng II過剰を予防し、Ang1-7を促進することにより、DKDが慢性的に予防/減弱することを示す。したがって、両方のペプチドは、以前に記載されているように、血漿、腎臓溶解物、及び尿でELISAによって測定される7、9、10、134
【0108】
短いACE2が、DKDと軽度のアルブミン尿の2つのモデル(STZ処理マウス及びdb/dbマウス)で腎障害を予防/軽減することを実証しようとする。対照として、ミニサークルに組み込まれた無傷のACE2を以前に我々が行ったように投与し、短いACE2と比較して有効ではない、又は有効性が著しく低下していることを示す10。ACE2の両方の形態は、非常に高いレベルの血漿ACE2活性を有すると予想されるが、尿ace2活性は、短いが完全ではないACE2で著しく増加すると予想される。予想される腎保護効果は、以下のパラメーターによって評価される:a)光学顕微鏡検査(メサンギウム拡大、細胞充実性を評価するため)135及び糸球体サイズ136;b)mRNA及び免疫染色によるフィブロネクチン及びコラーゲンα1(IV)137;c)ネフリン免疫染色及び有足細胞数136;d)基底膜138の肥厚を評価するための電子顕微鏡検査;e)GFR10;f)分子炎症マーカー85、113、136。一般的なスキームは、10週齢のSTZによる糖尿病の誘発の2週間後にMC送達により実験生物製剤を投与することからなる。同様に、db/dbマウス及びレニンAAV Akitaマウスでは、10週齢で注射が開始され、ACE2生物製剤は12週間のフォローアップで同じ間隔で投与される。これらの研究は、ACE2増幅が糖尿病による明白な腎障害の前に早期に達成されるため、大部分は予防的である。血圧は、ラジオテレメトリーを使用して研究終了の2週間前に測定される。22~24週齢のマウスを犠牲にすることを計画している。この時期には、糸球体肥大と光学顕微鏡によるメサンギウム拡大があり、EMによる基底膜の肥厚を増加させる127、130、131、139。フィブロネクチンは、この年齢のSTZ及びdb/dbマウスでもその時に見られる。レニンAVV Akitaモデルは、強いタンパク尿(表1)及び重度の高血圧(24週齢で収縮期血圧が180mmHgより高い)を伴う重度の糸球体病変127を発症する。このモデルの説明はちょうど公開された127
【0109】
予想される結果及び代替アプローチ:すべてのモデルで短いACE2のすべての形態が腎保護的であるのに対し、無傷のrACE2は全身性AngII過剰を伴うレニンAAV Akitaモデルでのみ有効であると予想される(表2)。
【0110】
【表3】
【0111】
eNOS db/dbモデルでは、このモデルでは血漿レニンとAng IIのレベルが増加しないため、BPを低下させると、そのままのACE2にある程度の保護効果がある場合がある130。治療反応のマーカーには、UAE率の低下、糸球体の減弱、メサンギウム拡大による有足細胞数、EMによる糸球体基底膜の厚さ、糸球体コラーゲン及びフィブロネクチン沈着コアの改善(コンピューター化された分析による)59、ならびに分子炎症マーカーの減少を含む。腎臓内の尿及びACE2活性の増加に効果的な各介入により、腎皮質のAngIIレベルと尿中AngIIが減少するべきである。後者は、DKDのSTZ及びdb/dbモデルなど、循環Ang IIが増加しない状況での腎内アンジオテンシンII増加の非侵襲的マーカーである31。ACE2活性の増加、Ang IIの減少が期待される短いACE2で処理された動物からの腎臓溶解物のANG 1-7が増加したが、無傷のACE2では処理されなかった。最良の結果を提供し、最短のACE2の形式は、目的3の研究に使用される。
【0112】
目的3.タンパク質融合技術を使用して最短のACE2トランケートの作用持続時間を増強し、DKD単独又はACE阻害剤を用いてそれらの腎保護作用を調べることである。
【0113】
背景及び予備データ:非血液常駐タンパク質としてのACE2は、数時間の半減期が限られている。(例得た、i.v.注射後のタグなしの短いACE2 1-605のT1/2は約1.39時間(n=2))。したがって、目的2の研究では、ACE2 1-605はミニポンプとMCによって継続的に投与された。血中のACE2変異体の限られた半減期を回避するために、融合タンパク質アプローチを使用してACE2変異体の半減期を延長し、ACE2変異体を慢性使用により適したものにする。無傷のACE2で非常にうまく機能するアプローチは、ヒト免疫グロブリンIgG1のFc領域との融合である(Liu et al. ASN abstract SA-PO521, 2016)。薬物動態研究により、この改変rACE2(rmACE2-Fc)は、Fcタグを所有するマウスでの作用時間が非常に長く、非タグ付きACE2の1時間未満からACE2-Fcの7-9日であることが確認された。融合は、rACE2-Fcと比較してACE2の酵素活性を保持した。マウスへの注射後、rACE2-Fcは長時間作用する血液滞留時間を示し、rmACE2と比較してAUCが約100倍改善された。
【0114】
さらに、ACE2とFcのこの融合形態は、トランスジェニックモデル又はレニン依存性高血圧における、高血圧の制御と腎障害の改善に非常に効果的である。しかし、サイズが大きいと、完全なACE2(分子量、250kDa)よりもはるかに大きいため、糸球体濾過バリアを通過して濾過できなくなる。rACE2-Fcの単回i.v注射は、1週間以上にわたって、AngIIによる高血圧のボーラス予防に長期的な効果を示した(Liu et al. ASN abstract SA-PO521, 2016)。
【0115】
ACE2-Fc構築物は非常に大きく(約250kD)、頑強なアルブミン尿のモデル(1751±172μg/mg)であるレニン-TGマウスの糸球体濾過障壁を通過しない)(表1を参照)。これは、ベースライン及び無傷のACE2-Fc注入後のレニン-TGマウスにおける尿中ACE2活性の変化によって実証された(24.6±4.7対25.9±6.2 RFU/ug creat/hr、p=NS、n=5/グループ)。したがって、我々は、半減期を延ばし、さらに濾過可能であり、したがって完全な腎保護作用を発揮できるように、最短のACE2トランケートの開発に努める。
【0116】
提案される研究:既に配列された「短いACE2」トランケート、1-619及び1-605は、それらを長時間作用させ、さらに腎臓により濾過可能にするタグと融合するのに十分小さい。我々はすでに1-605を連鎖球菌Gタンパク質(ABD)のアルブミン結合ドメインと融合させた(下記参照)。しかし、融合タンパク質の半減期を延長する異種ドメインを含む融合タンパク質を調製するには、さらに短いACE2トランケートが望ましい。したがって、3つの異なるアプローチ(Fc、単量体CH3、アルブミン結合ドメインタグとの融合)を使用して、半減期を延長するために、高い酵素活性と最小分子サイズ(目的1で特定)を持つ最短のACE2タンパク質を選択する(図10)。
【0117】
我々はすでにFcタグを付けたインタクトACE2を作成し、マウスへの注射後の生体内での活性を実証した(上記参照)。しかしながら、Fc部分(約25kDa)は、二量体として自然に存在し、これはACE2-Fcの総分子量を約250kDaにする。これは、60kDの短いACE2にFcタグを追加すると、ACE2の予想サイズが約170kDに増加し(図10)、濾過できないことを意味する。短いACE2の半減期を大幅に延長し、融合タンパク質の分子サイズをはるかに低いレベルに維持するために、最短のACE2トランケートを2つのかなり小さなポリペプチドに融合する:a)単量体可溶性CH3 Fcドメイン、及びb)連鎖球菌Gタンパク質(ABD)のアルブミン結合ドメイン(図10)。Fc断片には、Fc受容体(FcRn)と相互作用する2つの機能ドメインCH2及びCH3がある。より小さなサイズ(約14kD)の最近設計された可溶性単量体(m)CH3ドメインが、フルサイズのFcを機能的に模倣できることが示されている140。治療用タンパク質融合パートナーとしてのより短いが機能的に機能するmCH3タグは、Fc自体よりも潜在的に良好な組織浸透、立体障害の減少、及び治療効果の増加という利点を提供し得る140。FcRnを結合する既知の能力により、可溶性mCH3はACE2-Fcの代替アプローチとして使用され、半減期が延長されたACE2-mCH3タンパク質を生成する。可溶性mCH3は、ヒトFcRnへのpH依存的結合に不可欠な4つの突然変異の特定の組み合わせでCH3を生成することにより達成される140。mCH3はGS4リンカーを介して最短ACE2トランケートのc末端に結合される。1-605 ACE2(約69kD)を可溶性単量体CH3(約14kDa)に融合すると、分子量が約83kDaに増加する。これは、短いACE2とFc(約170kDa)の融合よりも著しく改善されるが、アルブミン結合タンパク質(ABD)を使用するとさらに短いACE2コンストラクトを実現できると考えられる。
【0118】
アルブミンの半減期は非常に長く(19~21日)、アルブミン又はその構造ドメインとの融合は、多くのタンパク質のインビボ半減期を延長するために使用された86,87。アルブミンの長いT1/2は、新生児Fc受容体(FcRn)を介したそのリサイクルに起因すると考えられている。アルブミンのFcRn結合部位はドメインIII(DIII)に存在する141。血清アルブミンは、アルブミンと非共有結合及び逆相互作用する能力を持つ分子を介して間接的に半減期の延長に関与できる。そのような小分子の1つは、連鎖球菌タンパク質G142に由来するアルブミン結合ドメイン(ABD)である142。ABDは46AAの小分子であるため、最短のACE2と融合するという利点を有する。これは、分子量のわずか約5kDの増加に変換される(すなわち、ACE2のMWが60kDaである場合、ACE2-ABD融合タンパク質は65kDaになる)(図10)。これまでに、ABD035、高度に改善されたアルブミン結合親和性(fM範囲)及び好ましい生物物理学的特性を有するABDの変異体をコードする人工遺伝子をすでに合成している143。さらに、ABD035 cDNAのN末端に柔軟なリンカー(G4S3)を挿入した。これは、短いACE2 cDNAのC末端に遺伝的に融合され、ABD融合の短いACE2タンパク質(ACE2-ABD)を生成する。G4S3-ABD cDNAとACE2 1-605のcDNAの「縫製」PCRが行われる、ACE2 1-605-ABDキメラの生成プロセスが現在完了している。ACE2-ABDをコードする遺伝子を合成し、BamHI及びXhoI部位でpcDNA3ベクターにクローニングし、Aim 1に記載されているようにコンストラクトの発現と検証を行う。ACE2-ABD(又はACE2-mCH3)哺乳類細胞株で過剰発現し、Q-セファロースを使用して精製し(ACE2 1-605及び1-619の精製と同様)、必要に応じてFPLC及びタンジェンシャルフロー濾過を行う。得られた精製キメラの薬物動態は、ACE2-Fc(Liu et al. ASN abstract SA-PO521, 2016)で説明されているように、i.p及びi.v注射が行われる時系列実験で評価される。非融合の短いrACE2タンパク質のスキャンについては、最初のアプローチは、放射性同位体として99mTc(6時間T1/2)を使用する経時的な全身分布の急性研究を含む。99mTcは、物理化学的半減期が比較的短く、放射化学が十分に確立されており、急性造影研究に適している144。腎臓及び他の臓器内の放射性標識薬剤の薬物動態は、各臓器の関心領域53分析を時間をかけて別々に使用して決定される。短いrACE2融合タンパク質(mCH3及びABDを含む)の生体内分布及び薬物動態をイメージングするために、タンパク質はより長い物理的半減期(111In、T1/2=2.8日)の核種を使用して標識される)長期(2~7日)の監視を可能にする145。最後に、腎細胞特異的分布を得るための免疫染色に使用される腎臓採取のためにマウスを犠牲にする(Hisタグ抗体により、内因性ACE2と外因性ACE2を区別できる)。
【0119】
腎臓によるACE2の短い排泄と腎臓への取り込みの実証のために、STZ治療に加えて、STZで治療されたACE2KOと、実験室で生成されたdb/dbとACE2-KOのクロスを使用する。これにより、外因性ACE2と内因性ACE2の区別が容易になる。完全なrACE2は比較目的で使用される(グループあたりn=8)。3つのエンドポイントが評価される:1)糸球体濾過のマーカーとして尿ACE2を増加させる2)急性注入の終了時に採取した臓器のACE2の免疫染色と3)腎臓濾過のマーカーとしての薬剤分布のインビボ可視化のための放射性核種イメージング尿細管取り込み(保持腎造影図)(図7を参照)。これらの研究は、最適なタグと融合した短いACE2がインビボで完全な酵素活性を保持し、腎臓に送達されるのに対し、無傷のrACE2はそうではないことを実証する必要がある。治療の可能性は、半減期が延長された最短のACE2形式を使用して最初に調べられる。この融合された短いACE2の半減期は少なくとも7~14日と予想され、目的2に記載されている基準を使用して腎保護のテストが行われると予想される。投与は、目的1と同様に、インビボ活性及びアンジオテンシンII分解の強化の観点から、作用の持続時間に応じて、毎週又は隔週になる。
【0120】
同期間に与えられるラミプリル(飲料水中1mg/Kg/d)の研究は、目的2に概説されている腎臓パラメーターの改善に関して、このACE阻害剤単独と比較した短いrACE2-ABD(又は代替としてmCH3)の相対的な有効性を評価するための比較に使用される。脱出現象を文書化するために、試験開始時、2週間後、及び試験終了時に、レベルからAng IIの値は、未処理のマウスの値よりも低くならない(又は、より高いレベルにリバウンドする)。ラミプリル投与後の血漿中のAng IIレベルのリバウンド増加は、2週間の投与後に十分に報告されている146。3番目のグループは、最初からラミプリルと短いrACE2-ABDの両方を受け取り、この組み合わせにより血漿と腎臓のAng IIのレベルが低くなり、ラミプリル単独よりも有益な添加物があるかどうかを調べる。これらの調査は、db/dbマウスとdb mコントロール、及びeNOS db/dbモデルでのみ行われます。これは、オスとメスの糖尿病マウスの別々のグループに表示される(各n=10)。
【0121】
期待される結果と代替案。これらの融合ACE2タンパク質は、糸球体を通して濾過可能であると予想される。注入されたACE2の腎への効果的な取り込みの実証は、放射性核種スキャンによる腎造影図の持続と腎臓ACE2染色の実証に依存する。これは、ACE2-KOモデルであり、おそらく、Hisタグ抗体が外因性ACE2と内因性ACE2を区別するWTでより明白になるべきである。足細胞、内皮細胞及び近位尿細管腎細胞に存在するFcRn受容体との結合のため、ABD(又は代替mCH3タグ)と融合したrACE2の方が取り込みが強くなると予想される79、147。より短いACE2融合タンパク質(ACE2-ABD及び/又はACE2-mCH3)がアルブミンと同等の速度でフィルターされると予想する。重要なことに、アルブミン上のFcRn結合部位はドメインIII及びIに位置し、ABD84、142への結合と重複又は干渉しない。上記のように、mCH3はFcRnにも効果的に結合する。これを利用して、ABDと融合した短いACE2(及びACE2-mCH3の腎臓)の腎臓への取り込みを促進する。予想される特性がリストされる(表4)。
【0122】
【表4】
【0123】
それらの特性に基づいて、各修飾ACE2タンパク質の治療能力は、無傷の未修飾ACE2の治療能力を超える。長時間作用型の短いrACE2は血漿AngIIレベルのリバウンド上昇を防ぎ、ACE阻害薬で見られるアルドステロンも防ぐと予想され、これは改善された腎保護を伴う。ラミプリル単独と比較して、Ang IIの持続的な減少とAng 1-7形成の強化により、長時間作用型の短いACE2が腎保護の点で優れていると予想される。
【0124】
統計分析:2つの独立したグループの正規分布データの不対t検定又は他の分布パターンのマン&ホイットニー検定を使用して実行される。3つ以上の独立したグループを比較する場合、ANOVAが使用され、その後にボンフェローニ補正が行われる。経時変化は、反復測定ANOVAとそれに続く事後分析によって分析さるす。実験のサンプルサイズは、25%の平均の差と0.8のべき乗を使用した計算に基づいて、グループごとに10個のマウスになる。
【0125】
厳密性及び透明性:実験はランダム化された様式で行われる。すべての読み取りは複製で行われる。性差の影響は、両性の動物を使用し、グループを性別ごとに分析することにより考慮される。
【0126】
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本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示された本発明に対して様々な置換及び変更を行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。本明細書に例示的に説明される本発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素、制限がない場合に適切に実施することができる。採用された用語と表現は説明の用語として使用され、限定するものではない。そのような用語と表現の使用には、表示及び説明される機能の同等物又はその一部を除外する意図はありませんが、本発明の範囲内で様々な修正が可能である。したがって、本発明は特定の実施形態及び任意の特徴によって例示されているが、本明細書に開示された概念の修正及び/又は変形は当業者に頼ることができ、そのような修正及び変形が考慮されることを理解されたい。本発明の範囲内である。
【0142】
多数の特許及び非特許文献への引用が本明細書でなされ得る。引用された参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。引用文献の用語の定義と比較して、仕様の用語の定義に矛盾がある場合、用語は仕様の定義に基づいて解釈する必要がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
【配列表】
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