(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】携帯型及び使い捨て可能な遠紫外線装置
(51)【国際特許分類】
A61L 9/20 20060101AFI20230816BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
A61L9/20
A61L2/10
(21)【出願番号】P 2020566528
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(86)【国際出願番号】 US2019018517
(87)【国際公開番号】W WO2019164810
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520310791
【氏名又は名称】フリースタイル パートナーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローゼン ジェニファー ケイ
(72)【発明者】
【氏名】フィーニー ベンジャミン エックス
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0216466(US,A1)
【文献】米国特許第09572903(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0245616(US,A1)
【文献】米国特許第08105532(US,B2)
【文献】国際公開第2016/196904(WO,A1)
【文献】特開2000-024095(JP,A)
【文献】特開2001-054555(JP,A)
【文献】登録実用新案第3127338(JP,U)
【文献】特開平05-220208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-9/22
A61L 2/00-2/28,11/00-12/14
A61M 36/10-36/14
A61N 5/00-5/10
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面または表面周辺の空気を消毒するためのハンドヘルド携帯型装置であって、
ユーザ入力部を含む本体と、
前記本体に配置された遠紫外線照明源と、
前記遠紫外線照明源に電力を供給するための電源と、
前記装置が前記表面から、前記表面の除菌に最適な距離にあるかを示すインジケータとを含み、
前記ハンドヘルド携帯型装置のユーザによる前記ユーザ入力部の作動に応答して、前記遠紫外線照明源は電力が供給され遠紫外線照明を放射して、前記表面または病原体の表面周辺の空気を消毒
し、
前記遠紫外線照明源は、230nmより長い波長を有する照明をフィルタリングするフィルタを含む、
ハンドヘルド携帯型装置。
【請求項2】
電力が供給されると、前記遠紫外線照明源は200nmから230nmの間の波長で遠紫外線照明を放射する、請求
項1に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項3】
本体に配置された可視照明源を含み、
前記可視照明源は、電力が供給されると、前記遠紫外線照明源が遠紫外線照明を放射するのと同じ方向に可視照明を放射する、請求
項1に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項4】
前記放射された可視照明は、前記遠紫外線照明が給電されたときに照射する領域を照らす可視十字線として、前記ハンドヘルド携帯型装置から放射される、請求
項3に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項5】
前記可視十字線は、前記ハンドヘルド携帯型装置が消毒すべき表面から最適な距離にあるときに焦点が合い、
前記可視
照明は、前記ハンドヘルド携帯型装置が消毒すべき表面から最適な距離にないときに焦点が合わない、請求
項4に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項6】
前記可視照明源は、前記遠紫外線照明源に電力を供給するのと同じユーザ入力部の作動によって電力が供給される、請求
項3に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項7】
前記遠紫外線照明源は、前記ハンドヘルド携帯型装置の周囲360度に照明を放射する、請求
項1のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項8】
前記ハンドヘルド携帯型装置は、携帯電話を含む、請求
項1に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項9】
病原体を照射する照明を放射する病原体照射照明源を含む、請求
項1に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項10】
前記病原体照射照明源は、前記遠紫外線照明源と同時に照明を放射する、請求
項9に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項11】
第2のユーザ入力部を含み、
前記第2のユーザ入力部の作動に応答して、前記病原体照射照明源が、病原体を照射する照明を放射する、請求
項9に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項12】
タイマーを含み、
前記タイマーは、前記ユーザ入力部の作動に続いて一定時間が経過したことを示す、請求
項1に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項13】
前記タイマーは、前記一定時間が経過したことを視覚的に示す、請求
項12に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項14】
前記遠紫外線照明源は、前記一定時間が経過すると自動的に停止する、請求
項12のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項15】
前記一定時間は、別のユーザ入力部を介して、前記ハンドヘルド携帯型装置のユーザによって選択可能な、請求
項14に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項16】
屈折器を含み、
前記屈折器は、放射された照明の幅を調整するためにユーザによって調整可能な、請求
項1に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項17】
前記本体に配置された基部を含み、
前記基部を回転させることにより、前記屈折器が、放射される照明の幅を調整する、請求
項16に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項18】
インジケータを含み、
前記インジケータは、前記ハンドヘルド携帯型装置が前記表面を消毒するために前記表面から最適な距離にあるときを示す、請求
項1に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項19】
前記インジケータは、前記ハンドヘルド携帯型装置が前記表面を消毒するために前記表面から最適な距離にあるとき、視覚的に表示する、請求
項18に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【請求項20】
前記インジケータは、前記ハンドヘルド携帯型装置が前記表面を消毒するために前記表面からの最適な距離であるときに、可聴的に指示する、請求
項18に記載のハンドヘルド携帯型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関し、特に、遠短波長紫外線発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は2018年7月6日に出願された米国仮出願第62/694,482号および2018年2月20日に出願された米国仮出願第62/632,716号の出願の利益を主張し、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
バクテリア及びウイルスのような病原体は、ドアハンドル、電話、テレビ用リモコン、公衆浴場、カウンター上、歩道、空中等のあらゆる場所に存在する。現在、手の消毒剤やウェットティッシュのような、細菌から手を洗浄するための多くの方法が存在する。これらの製品は、石鹸で洗うことが出来ない場合に、外出先にいる人や、手を素早く清潔にしたい人の役に立つかもしれない。しかしながら、病原体はどこにでも存在するため、消毒されることが望まれる全ての表面上及び/又は空気中に、化学的な拭き取り用品及び/又は洗浄溶液を置くことは多くの場合不可能である。
【0004】
化学的な拭き取り用品および他の洗浄溶液とは別に、短波長紫外線光は、細菌および他の病原体を殺菌するための証明された有効な方法である。現在の、殺菌のための紫外線オプションは、携帯用紫外線ワンド、靴の底を洗浄するための踏み込み式固定装置、電話ケース等であり、多くの場合高価で、平均的な消費者にとって容易に入手することができず、単一の特定の用途(例えば、人の靴や他の要素または装置のみを洗浄すること)であることが多い。さらに、紫外線光にはリスクがある。例えば、紫外線光は、皮膚癌および/または白内障を引き起こす可能性がある。したがって、選択された表面、局所的な領域、および/またはそのような表面周辺の空気を消毒するための装置であって、平均的な消費者が日常的な使用において利用しやすい形式で病原体を除去することが出来る、人間にとって安全な、ハンドヘルド式および/または携帯型および/または使い捨ておよび/または再充電可能な装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
紫外線光内の狭いスペクトルである遠紫外線光は、紫外線光と同じく病原体を殺菌する効果を有するが、他の周波数または波長の有害な副作用はない。本発明は、選択された表面、局所的な領域、および/または表面周辺の空気を消毒するために、日常の一般的な場所で利用することができる、病原体を除去しながら人間にとって安全な、ハンドヘルド式および/または携帯式および/または使い捨ておよび/または再充電可能な形式の遠紫外線を提供する。装置は平均的な消費者の日常的な使用のために、利用しやすく、また入手しやすい。
【0006】
携帯型ハンドヘルド装置は、(不可視光および/または可視光の)照明部分と、作動部分とを含み、遠紫外線光を生成し、選択された表面、局所的な領域および/または周囲の空気に照射して、遠紫外線スペクトル内の照射を行う。作動部分は、遠紫外線光を生成して選択された表面、局所的な領域、および/または表面の周囲の空気に照射するのに必要な持続時間のために、照明部分を選択的に作動させる。装置は、装置を把持し、遠紫外線スペクトルの照明を選択された表面および/または局所的な領域に向けるためのグリップを含んでもよく、それによって、選択された表面、局所的な領域、および/または周囲の空気に遠紫外線光を生成し、照射することができる。
【0007】
本発明の一態様では、表面または表面の周囲の空気を消毒するための携帯型装置が、作動機構を含む容器または構造を含む。装置またはその容器の少なくとも一部は透明または半透明であり、携帯装置は、作動機構の作動に応答して、装置または容器の透明または半透明部分を通して、限られた持続時間の間、遠紫外線光を放射する。
【0008】
本開示の実施は、以下の任意選択の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。いくつかの実施態様では、装置または容器が、使い捨て装置または容器を含む。作動機構は、装置または容器を曲げることを含んでもよい。任意に、作動機構は、装置または容器を振ること、または装置または容器を空気にさらすことを含む。いくつかの実装形態では、装置または容器がバッテリを含む。装置又は容器は太陽電池を含んでもよく、太陽電池は、光にさらされるとバッテリを充電するように動作可能である(それによって、光エネルギーを電流に変換する複数の光起電性セルを含む太陽電池がバッテリを充電する)。バッテリは、いくつかの例では再充電可能なバッテリを含む。携帯装置又は容器は、多目的装置を含むことができる。いくつかの実装では、作動機構はボタンまたはスイッチを含む。
【0009】
本開示の別の態様は、表面または表面周囲の空気を消毒するための装置を提供する。この装置は、ユーザ入力部と、遠紫外線発光源とを配置された本体を含む。装置はまた、遠紫外線発光源に電力を供給するための電源も含む。ユーザ入力部の作動に応答して、遠紫外線発光源に電力が供給され、遠紫外線を発光し、表面または病原体の表面周囲の空気を除菌する。
【0010】
この態様は、以下の任意の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。遠紫外線発光源は、200nm~230nmの波長を有する遠紫外線光を発してもよい。遠紫外線発光源は、230nmを超える波長の光をフィルタリングするフィルタを備える。いくつかの例では、装置が本体に配置された可視光発光源を含み、可視光発光源は電力が供給されると、遠紫外線発光源が遠紫外線光を発するのと同じ方向に可視光を放射する。放射された可視光は、電力が供給されたときに遠紫外線光が照射する領域を照らす可視十字線として装置から放射されてもよい。可視十字線は、装置が消毒すべき表面から最適な距離にあるときに焦点が合っていてもよく、装置が消毒すべき表面から最適な距離にないときに焦点が合っていなくてもよい。いくつかの実施態様では、遠紫外線発光源は装置の周囲に360度の光を放射する。
【0011】
装置は、携帯電話を含んでもよい。装置は、病原体照射光を放射する病原体照射光源を含んでもよい。病原体照射光源は、遠紫外線発光源と同時に光を放射してもよい。装置は第2のユーザ入力部を含むことができ、第2のユーザ入力部の作動に応答して、病原体照明光源は、病原体照射光を放射する。遠紫外線発光源は、いくつかの実装形態では222nmの波長を有する遠紫外線光を放出する。装置は、いくつかの例ではタイマーを含む。タイマーは、ユーザ入力部の作動後に一定期間が経過したことを示す。タイマーは、一定時間が経過したことを視覚的に示してもよい。遠紫外線発光源は、一定時間が経過すると、自動的に電源を切ってもよい。一定時間は、別のユーザ入力部を介して、装置のユーザによって選択可能であってもよい。
【0012】
装置は、任意に、屈折器を含む。屈折器は、放射光の幅を調節するために、調節可能であってもよい。装置は、本体に配置された基部を含んでもよく、基部を回転させることによって、屈折器が放射光の幅を調節する。装置は、インジケータを含んでもよい。インジケータは、装置が表面から、表面の除菌に最適な距離にあるかを示す。いくつかの実施態様では、装置が表面を消毒するために表面から最適な距離にあるときに、インジケータが可視光を放射する。また、インジケータは、装置が表面を消毒するのに最適な距離にあるときに、可聴指示を発してもよい。
【0013】
本開示の別の態様は、選択された表面、局所的な領域、および表面の周囲の空気上で遠紫外線光を生成し、放射するためのハンドヘルド遠紫外線装置を提供する。装置は照明部分を含む。照明部分は、表面及び表面周囲の空間に向かって遠紫外線光を生成し放射するための、遠紫外線スペクトルにおける照明を提供する。装置はまた、作動部分を含む。作動部分は、表面または空間を消毒するために遠紫外線光を一時的に生成し放射するのに十分な持続時間の間、照明部分を選択的に作動させる。装置はまた、グリップを含む。グリップは、ユーザが装置を把持し、消毒する表面または空間に照明部分を向けて、遠紫外線を照射するための、グリップ面を含む。
【0014】
この態様は、以下の任意の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。表面または空間は、表皮または非生物学的表面のうちの少なくとも1つを含んでよい。照明部分は、ランプを含んでもよい。ランプは222nm以下の波長を有する照明を生成し、放射する。照明部分は、222nmを超える波長を有する遠紫外線を生成し放射するランプを含んでもよい。装置はまた、222nmを超える波長を持つ放射された照明をフィルタリングするためのフィルタを含む。照明部分は、(i)エキシマランプ及び(ii)発光ダイオードからなる群から選択された少なくとも1つを含んでもよい。あるいは、照明部分は、通電、電力供給、または起動されたときに紫外線および/または遠紫外線を放射することができる任意の適切な光源、照明源、またはランプであってもよい。
【0015】
照明部分は、焦点、集束手段、または集束機能を含んでもよい。集束機能は、照明を表面または空間に光学的にフォーカスする(あるいは、表面上または構造上ではなく空間内を指す)。集束機能は、いくつかの例ではレンズおよび照明された指標を含む。照明された指標は、照射された遠紫外線の方向に関連するフィードバックを提供する。照明部分は、いくつかの実施形態では反射面を含み、反射面は、表面、空気、または空間に向かって照明部分によって生成された遠紫外線を反映し、強化する。
【0016】
本開示の別の態様は、表面を消毒する方法を提供する。この方法は、遠紫外線光を放射する第1の光源と、可視光を放射する第2の光源とを含むハンドヘルド装置を提供することを含む。この方法はまた、ハンドヘルド装置の第1の光源によって、遠紫外線光を放射することを含む。この方法はまた、ハンドヘルド装置の第2の光源によって、可視光を放射することを含む。可視光は、放射された遠紫外線光の照準方向に関する可視指示を与える。この方法はまた、照射された可視光を消毒すべき表面に向け、ハンドヘルド装置が消毒すべき表面から最適な距離にあることをハンドヘルド装置によって示すことによって、消毒すべき表面に放射された遠紫外線光の照準を合わせることを含む。本方法は、装置が消毒すべき表面から最適な距離にあるという指示に応答して、放射された遠紫外線光で表面を照射することによって表面を消毒することを含む。「ハンドヘルド装置が最適な距離であることを指示する」とは、ハンドヘルド装置が消毒すべき表面からの最適な距離にある場合に、放射された可視光を表面に集束させることを含んでもよい。
【0017】
本開示の別の態様は、表面または表面の周囲の空気を消毒するためのハンドヘルド装置を提供し、装置は、ユーザ入力部を含む本体を含む。装置はまた、本体に配置された遠紫外線発光源を含み、遠紫外線発光源は、220nm~225nmの遠紫外線光を放射する。装置はまた、本体に配置された可視光発光源を含み、可視光発光源は、遠紫外線発光源が遠紫外線光を放射するのと同じ方向に可視光を放射する。放射された可視光は、遠紫外線光が照射する領域を照らす可視十字線として装置から放射される。可視十字線は、装置が消毒すべき表面から最適な距離にあるときに焦点が合っており、装置が消毒すべき表面から最適な距離にない(例えば、表面に近すぎるか、または表面から遠すぎる)ときに焦点が合っていない。装置は、遠紫外線発光源および可視発光源に電力を供給するための電源も含む。ユーザ入力部を作動させることに応答して、可視光発光源及び遠紫外線発光源に電力が供給され、遠紫外線発光源は遠紫外線光を発光して、可視十字線が集束される表面又は空間を消毒する。
【0018】
本発明のこれらおよび他の目的、利点、目的および特徴は、以下の明細書を図面と共に検討することにより明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に従って作動されたときに遠紫外線光を発する携帯型装置の斜視図である。
【
図2A】本発明に従って作動されたときに遠紫外線光を発する別の携帯型装置の斜視図である。
【
図2B】本発明に従って作動されたときに遠紫外線光を発する別の携帯型装置の斜視図である。
【
図3】遠紫外線光を放射し、人間の手を照射する
図2Aおよび
図2Bの携帯型装置の斜視図である。
【
図4】本発明による放射遠紫外線光の幅を調整するための回転可能な基部を有する
図2Aおよび
図2Bの携帯型装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
表面または表面周辺の空気を消毒するための手持ち式および/または携帯式および/または使い捨ておよび/または再充電可能な装置は、病原体を除去するために遠紫外線光を放射するように動作する。装置は、作動機構を有するユニットを含む。作動機構が作動されると、装置は遠紫外線光を放射する。その後、装置は、消毒すべき表面及び/又は空気及び/又は空間に遠紫外線光を照射し、それにより病原体の表面及び/又は空気を浄化するように操作されてもよい。
【0021】
ここで、図面およびそこに示される例示的な実施形態を参照すると、装置10は、ユニット12を含む。ユニット12は任意の適切な形状であってもよく、ユニット12の少なくとも一部は透明または半透明である。ユニット12は作動機構14を含む。図示された実施形態はスイッチまたはトグルとして作動機構を示しているが、作動機構は以下でより詳細に説明するように、任意の数の形態をとることができることを理解されたい。作動機構14が作動されると、ユニット12は、透明または半透明部分を通して遠紫外線光を放射する。任意に、ユニットは電源16を含む。
【0022】
バクテリア及びウイルスのような病原体は、ドアハンドル、電話、テレビ用リモコン、公衆浴場、カウンター上、歩道、空中等のあらゆる場所に存在する。現在、ピュレル ハンドサニタイザー やウェットワイプのような、細菌から手を洗浄するための容易で手頃な方法が存在する。これらの製品は、石鹸で洗うことが出来ない場合に、外出先にいる人や手を素早く清潔にしたい人の役に立つ。しかしながら、病原体はどこにでも存在するため、消毒されることが望まれる全ての表面上及び/又は空気中に、化学的な拭き取り用品及び/又は洗浄溶液を置くことは多くの場合不可能である。
【0023】
化学的な拭き取り用品および他の洗浄溶液とは別に、短波長紫外線光は、細菌および他の病原体を殺菌するための証明された有効な方法である。携帯用紫外線ワンド、靴の底を洗浄するための踏み込み式固定装置、電話ケース等、現在いくつかの殺菌のための紫外線オプションは存在するが、これらは多くの場合高価で、平均的な消費者にとって容易に入手することができず、単一の特定の用途(例えば、人の靴や他の要素または装置のみを洗浄すること)であることが多い。また、紫外線光は、皮膚癌および/または白内障を引き起こすリスクがある。電磁放射は、電波を使用し空間を通して電磁放射エネルギーを伝播する、すべての光または照明を含む。電磁放射は例えば、可視光、電波、マイクロ波、紫外線、ガンマ線などの(人の目にとって)可視光線放射および不可視光線放射の両方を含む。紫外線光または照明は、一般に波長が100nmから280nmである短波殺菌性紫外線電磁放射である。しかし、紫外線光内の狭いスペクトル(例えば、200nm~230nm)である遠紫外線光または照明は、有害な副作用なしに、細菌やバクテリアを殺菌する同様の効果を提供し得る。本明細書で使用されるように、光および照明は、可視または不可視電磁放射のいずれかを指すために互換的に使用されてもよい。
【0024】
本発明によれば、遠紫外線の殺菌力を、安価で使い捨ておよび/または使用回数が少ない、および日常的な使用のための持ち運び可能な形態で備えることにより、細菌を減少させ、健康を増進させるための装置が提供される。この装置は(任意の数の形状をとることができる)小さな携帯型ユニットを備えており、作動すると遠紫外線光を放射する。ユニットは、例えばスイッチを作動させる、またはユニットを曲げる、押す、握る、振る、空気に曝すなど、任意の数の手段によって作動させることができる。作動後、遠紫外線光は病原体を殺菌するために表面を照射し、限られた期間(例えば、一般的なケミカルグロースティックまたはケミカルハンドウォーマーに類似する期間)は動作し続けてもよい。装置は多くのタイプの表面(例えば、表皮またはテーブルなどの非生物学的表面)を消毒することができる。装置はまた、空気を照射して、表面の上方および/または周囲の病原体を清浄化し、殺菌することができる。その後、遠紫外線光の照射が終了すると、装置は容易に(例えば、ごみ箱に)廃棄されうる。本発明は従来の化学的拭き取り用品または洗浄溶液よりも有効であり、より多くの用途を有し、従来の紫外線光のように有害ではなく、起動が容易であり、携帯が可能である。
【0025】
この装置は(本体またはユニット内に配置される)遠紫外線光源に電力を供給または通電するために、様々な手段を利用して電力を生成することができる。例えば、装置は、使い捨てまたは再充電可能なバッテリ、化学薬品、太陽光、風力、および/または遠紫外線光を活性化および/または生成するための任意の他のタイプのメカニズムを使用してもよい。任意選択的に、遠紫外線光源は、装置またはユニットが曲げられる、握られる、振られるなどのときの化学反応に応答して光を放射してもよい。あるいは、装置はスイッチ、ボタンなどによって作動または非作動とされてよい。
【0026】
本発明の別の態様では、装置が再充電可能なバッテリを使用して、装置の複数回の使用を可能にしてもよい(装置が再充電するためにプラグインされてもよい)。本発明のさらに別の態様では、装置が例えば、無光、通常の可視光(懐中電灯機能など)、遠紫外線光の放出を切り替えられる携帯電話または他のモバイル装置など、任意の適切な形態の持ち運び式装置であってよい。いくつかの例では、装置は従来の懐中電灯の形態を含んでもよい。すなわち、装置は、再利用可能な紫外線光源(LED電球、蛍光電球、エキシマランプなど)と、電源(交換可能バッテリ、充電可能バッテリ、交換不可能バッテリ、コンデンサなど)を備えた懐中電灯であってもよい。
【0027】
装置は、任意の数の方法で遠紫外線光を放射してもよい。これには、さまざまな技術の電球(白熱電球、蛍光灯、LED、エキシマランプなど)を使用することが含まれる。電球を含む場合、電球は任意の適切な形状をとってよい。例えば、電球及び/又は反射器は、放射された光を比較的狭い領域に集束させるように成形されてよい。いくつかの例では、ユーザは放射された光を(例えば、装置のレンズを動かすことによって、又はいくつかの他のユーザ入力部を作動させることによって)、一般に広いビームと狭いビームとの間で集束させてもよい。装置は、放出された遠紫外線光の照準方向を、可視的に表示してもよい。例えば、装置は可視十字線(すなわち、十字線の形状の可視光)または他の標的指標を放出して、(人間の目にとって)不可視な遠紫外線光の方向を定めるか、または照準を合わせるのを補助してもよい。すなわち、装置は意図した領域が浄化されるように、遠紫外線光の「照準を合わせる」方法を提供してもよい。また、この装置は、遠紫外線光と概ね同じ領域に焦点を合わせた可視光を放射し、ユーザが遠紫外線光の向きを定めたり、照準を合わせたり、誘導したりするのを補助してもよい(即ち、ユーザは、可視光で浄化すべき領域を照らす)。例えば、装置は一般的な懐中電灯のように可視光線を放射してもよく、放射された可視光が表面または空間を照射する場合には、放射された遠紫外線光も、その表面または空間を照射(人間の目には不可視)してもよい。また、可視光発光器(十字線を放射する)は、例えば遠紫外線発光源を作動する時と同じようなユーザ入力によって作動し、可視光発光器と遠紫外線発光器が連動して動作し、それによって遠紫外線光が向けられた領域で放射された可視光が見えるようにされてよい。任意に、装置は、遠紫外線発光源を活性化するユーザ入力部とは別に第2のユーザ入力部を含んで、可視光発光器が遠紫外線発光源とは独立して操作されるようにしてもよい。別の例では、電球(例えば、円筒形の電球)が、周囲ほぼ360度の領域に遠紫外線光を放射するランプであってもよい。装置は、広い領域を同時に浄化するために、すべての方向またはほぼすべての方向に光を放射してもよい。
【0028】
いくつかの実装形態では、装置がタイマーを含んでもよい。タイマーは、遠紫外線発光源に給電するユーザ入力部が作動された時点で、時間測定を開始してよい。タイマーは、遠紫外線光が大部分の病原体を除去するのに十分な期間(例えば10秒)を測定してもよい。タイマーは、期間が経過したことを示す視覚的、聴覚的、または触覚的な指示(例えば、LED、音声信号、振動)を含んでもよい。任意選択で、タイマーは、期間の終了時に光源を無効にしてもよい。タイマーは、ユーザによる構成変更が可能であってもよく、または、所定の期間(例えば、10秒、30秒、60秒)の中からの選択を可能にしてもよい。したがって、ユーザがボタンを押すことによって装置を作動させ、装置は(ユーザによるさらなる入力またはボタンを押す動作なしに)所定の期間にわたって動作し、次いで、自動的に停止してよい。
【0029】
装置は、一般に波長が180nm~300nmの遠紫外線光を放射するランプを含んでもよい。例えば、ランプは、波長が200nm~235nmの間の光を放射してもよい。このスペクトルにおける紫外線光は、病原体を殺菌すると考えられる。装置は、紫外線光をより狭いスペクトルの波長(例えば、200nm~235nm)にフィルタリングするためのフィルタ(例えば、化学的濾過、光学フィルタなど)を含んでもよい。光源が狭いスペクトルの光(例えば、200nm~235nm)を放射する場合、フィルタは、装置から適切な波長のみが放射されることを確実にするための二次的安全手段として作用してよい。また、光源は広範囲の周波数を放射してもよく、フィルタは波長を制御する主要な方法として作用してもよい。いくつかの例では、装置は230nmを超える波長を有する紫外線光をフィルタリングしてもよい。いくつかの実施態様では、フィルタは220nm~225nm(例えば、222nm)の最大周波数応答を有する。約222nmの波長を有する紫外線光は依然として、光に曝された人の表皮または視力に害を及ぼすことなく、病原体を破壊または殺菌することができる。したがって、約222nmを超える光を避けることが望ましい。化学的フィルタリングは、装置の電球または装置内の他の場所に配置されたフィルタに含まれてもよい。光学フィルタは、装置から放射された光が光学フィルタを通過するように配置されてもよい。光学フィルタは装置自体のランプ内に含まれてよく、または別個の要素として(例えば、装置のレンズもしくは電球上、またはレンズとランプとの間のフィルムとして)含まれてもよい。いくつかの例では、ランプ28は、フィルタリングが必要とされないように約222nm以下の遠紫外線光のみを生成してもよい。
【0030】
本発明の別の態様によれば、装置は、細菌や他の病原体を装置のユーザが見ることができる光を放射して、ユーザが領域の清浄度がわかるようにする。例えば、装置は、細菌を照らす蛍光を放射してもよい。装置は、遠紫外線光と同時に、または遠紫外線光とは別に、病原体を照射する光を放射してもよい。すなわち、遠紫外線光が清浄する領域に向けられている時か、または、遠紫外線光が清浄に使用される前後において清浄を補助し有効性を判断する時に、病原体が照明されてもよい(すなわち、ユーザに見えるようにしてよい)。病原体照明光は、遠紫外線光と同じ光源(例えば、電球)または別個の光源(すなわち、病原体照明光を発する病原照明光源)から放射してもよい。装置は、遠紫外線光とは別に病原体照明光を作動させるための追加のユーザ入力部(例えば、ボタン又はスイッチ)を含んでもよい。
【0031】
ここで
図2Aおよび2Bを参照すると、遠紫外線発光装置20は、基部22および頂部24を含む。基部22および頂部24は「口紅ケース」ボックス形状として例示されているが、任意の適切な形態(例えば、長方形、管状、三角形、可撓性/屈曲性/形状適合性)をとってもよい。頂部24は基部22に取り付けられ、装置20を囲む(
図2A)。頂部24が(例えば、引っ張る、ねじる、ラッチを外す等により)取り外されると、照明源またはランプハウジング26が露出される。照明とは、本明細書で定義されるように、物体または空気を(ユーザにとって)可視または不可視光で照らすことを指す。ランプハウジングは、遠紫外線光を放射するランプ28又は他の照明源を含んでよい。ランプ28は、遠紫外線周波数帯で波長を生成することができる、任意のランプ(例えば、エキシマまたはエキシランプ、LED)であってよい。また、ランプハウジング26は、ランプ28によって放射される光の波長をフィルタリングするフィルタ30を収容してもよい。フィルタ30は、(例えば、装置20を押したり、引っ張ったり、曲げたり、振ったりするなどで)照明源28が作動するたびに、作動されてよい。装置はまた、生体認証(例えば、指紋センサまたは顔識別)を介して起動されてもよい。
【0032】
この装置は、レンズ32を含んでもよい。レンズ32は、放射された光をより狭いまたはより広いビームに集束させてもよい。ランプハウジング26はさらに、バッキング34及び反射パネル36を含み、放射された光を更に導き制御してもよい。いくつかの実装形態では、装置20が、作動および/または停止ユーザ入力38(例えば、スイッチ、スライダ、トグル、ボタンなど)を含む。ユーザ入力部38は作動されると、ランプ28に電力を供給するかまたは供給を停止し、それによって、装置20に遠紫外線光を放射させるか、または遠紫外線光の放射を停止させてもよい。ユーザ入力部は、目標の表面または空間を消毒する遠紫外線光を生成して放射する充分な期間、ランプ28に一時的に電力を供給してもよい。装置20は、電源に残っている電力量を示す電力レベル40を更に含んでもよい。電源は、交換可能バッテリ、充電可能バッテリ、電気プラグイン電源、ソーラー供給であってもよい。
【0033】
ここで
図3および
図4を参照すると、装置20は、遠紫外線光を放出して、清浄すべき目標物体または領域を照射する。例えば、
図3に示すように、ユーザは、装置20を片手で保持しながら、病原体を洗浄するために他方の手を照射してよい。装置20は、ユーザが装置をつかむ(例えば、ユーザが装置を手で保持する)ためのグリップ21を含んでもよい。例えば、装置20は、消毒すべき表面または空気に向けて照明を向けている間に、ユーザが把持するためのゴム引きされた表面を含んでもよい。
【0034】
装置20は、最適な動作距離を有してよい。すなわち、装置20は、対象物または領域から所定の距離を置いて配置された場合に、最も効率的に動作してよい。例えば、装置20は、物体または領域から6~18インチのところで動作することが好ましい。最適な距離は、約12インチであってもよい。装置20は、装置が物体または領域から最適な距離にあることを示すために、可視標識を発してもよい。例えば、前述したように、装置が可視的な十字線を放射する場合、装置20が最適な距離に近いまたは遠い場合には、十字線があいまいで焦点が合わず、装置20が最適な距離にある場合には、十字線の焦点が合っていてもよい。装置20は、他の方法(例えば、装置20上のLEDまたは可聴音)で適切な距離を示してもよい。装置20は、別のセンサ(例えば、赤外線距離センサ)を介して距離を測定してもよい。
【0035】
図4に示すように、装置20は、狭い波長帯域(例えば、222nmまたはその近傍)で遠紫外線光を放射してもよい。ランプ28の後方に配置された反射パネル36は、ランプ28の前方の光密度を増加させ、それによって、装置20と目標の領域との間の有効距離を増加させてもよい。装置20は例えば、開口部を開閉すること、またはレンズまたは反射パネルを移動または操作することによって、光を集束させる屈折器を含んでもよい。例えば、装置20の基部22をねじることによって、調節可能な真鍮ホースノズルをねじるのとほぼ同じように、光の焦点を合わせてもよい。任意の他の適当な方法(例えば、ボタンを押す、スライダをスライドさせる、基部を押したり引いたりする、ノブ、レンズ、ランプを回す)によって、光の焦点を合わせてもよい。このような調整により、装置20は、より広いまたはより狭い領域を、ユーザが望むように照射することができる。
【0036】
本発明によると、装置は、小さな表面および/または表面周辺の空気を消毒する手段を提供する。例えば、家に入る前の靴、トイレの蛇口、ドアハンドル、食事前の公共のテーブル、器具、玩具、リモコン、シンク、オフィススペースなどである。装置が作動すると、人間の目には見えない、有害で病気の原因となるバクテリアや細菌を除去する。
【0037】
具体的に記載された実施形態における変更および修正は、本発明の原理から逸脱することなく実施することができ、本発明は均等論を含む特許法の原理に従って解釈されるように、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される。