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特許7332204情報処理システム、情報処理システムが実行する処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理システムが実行する処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/22 20060101AFI20230816BHJP
   G06F 11/14 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G06F11/22 673F
G06F11/14 615
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022042636
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】細岡 晟
【審査官】田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-123125(JP,A)
【文献】特開2001-74811(JP,A)
【文献】特開2019-191064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/22
G06F 11/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再構成可能な情報処理システムであって、
複数のモジュールと、
前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路と、
前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部と、
を備え、
前記試験構成部は、
一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させ、
前記複数のモジュールのうち一時停止したモジュールに1対1で対応する前記BIST回路は、
前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記複数のモジュールすべてが一時停止し、前記複数のすべてのモジュールそれぞれに1対1で対応する前記BIST回路は、
前記一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させ、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記BIST回路によるBISTの結果と、前記BISTを実行する場合の入力に対して期待される出力である期待値とに基づいて、前記一時停止したモジュールについて不具合を判定する試験結果判定部、
を備える、請求項1または請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記試験結果判定部は、
前記BISTの結果が前記不具合が発生していることを示す場合に、前記BIST回路が再度実行した前記BISTの結果が正常であると判定した場合、前記不具合は間欠故障であると判定する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記試験結果判定部は、
前記BISTの結果が前記不具合が発生していることを示す場合に、前記BIST回路が再度実行した前記BISTの結果が不具合が発生していると判定し、さらに、一定回数以上BISTを実行していると判定した場合、前記不具合は固定故障であると判定する、 請求項3または請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
複数のモジュールと、前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路と、前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部と、を備え、再構成可能な情報処理システムが実行する処理方法であって、
前記試験構成部は、
一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させ、
前記複数のモジュールのうち一時停止したモジュールに1対1で対応する前記BIST回路は、
前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する、
情報処理システムが実行する処理方法。
【請求項7】
複数のモジュールと、前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路と、前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部と、を備え、再構成可能な情報処理システムに、
一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させることと、
前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行することと、
を実行させる、前記情報処理システムが有するコンピュータが読み取ることのできる記録媒体に記録されたプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理システム、情報処理システムが実行する処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、処理の高速化と汎用性の両方の観点から、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの再構成可能な回路が普及している。特許文献1には、関連する技術として、再構成可能な回路を用いた情報処理装置に関する技術が開示されている。また、特許文献2には、関連する技術として、コンピュータシステムにおける故障の診断に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-216020号公報
【文献】特開2006-252429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、再構成可能な情報処理システムでは、一般的に、そのシステムが通常行う処理を継続しながら不具合を判定することは困難である。そのため、処理を継続しながら再構成可能な情報処理システムの不具合を判定することのできる技術が求められている。
【0005】
本開示の各態様は、上記の課題を解決することのできる情報処理システム、情報処理システムが実行する処理方法、およびプログラムを提供することを目的の1つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様によれば、情報処理システムは、再構成可能な情報処理システムであって、複数のモジュールと、前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路と、前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部と、を備え、前記試験構成部は、一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させ、前記複数のモジュールのうち一時停止したモジュールに1対1で対応する前記BIST回路は、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、情報処理システムが実行する処理方法は、複数のモジュールと、前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路と、前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部と、を備え、再構成可能な情報処理システムが実行する処理方法であって、前記試験構成部は、一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させ、前記複数のモジュールのうち一時停止したモジュールに1対1で対応する前記BIST回路は、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の別の態様によれば、複数のモジュールと、前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路と、前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部と、を備え、再構成可能な情報処理システムが有するコンピュータが読み取ることのできる記録媒体に記録されたプログラムは、前記情報処理システムに、一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させることと、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行することと、を実行させる
【発明の効果】
【0010】
本開示の各態様によれば、再構成可能であり、処理を継続しながら不具合を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施形態による情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】本開示の一実施形態によるプロセッサの構成の一例を示す図である。
図3】本開示の一実施形態によるロジック部の構成の一例を示す図である。
図4】本開示の一実施形態によるメモリセルアレイの構成の一例を示す図である。
図5】本開示の一実施形態による試験装置の構成の一例を示す図である。
図6】本開示の一実施形態による試験構成部が記録する試験構成情報の一例を示す図である。
図7】本開示の一実施形態による情報処理システムの第1処理フローの一例を示す図である。
図8】本開示の一実施形態による情報処理システムの第2処理フローの一例を示す図である。
図9】本開示の一実施形態の変形例1による情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図10】本開示の一実施形態の変形例2による情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図11】本開示の一実施形態の変形例3による情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図12】本開示の実施形態による情報処理システムの最小構成を示す図である。
図13】本開示の実施形態による最小構成の情報処理システムの処理フローの一例を示す図である。
図14】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
<実施形態>
図1は、本開示の一実施形態による情報処理システム100の構成の一例を示す図である。情報処理システム100は、図1に示すように、プロセッサ1a、1b、試験装置2、メインメモリ3、記憶装置4、構成制御装置5、入出力装置6、診断バス7、およびバス8を備える。プロセッサ1a、1bを総称してプロセッサ1という。プロセッサ1のそれぞれは、バス8を介して、試験装置2、メインメモリ3、記憶装置4、構成制御装置5、入出力装置6のそれぞれに接続される。また、プロセッサ1のそれぞれは、診断バス7を介して、試験装置2に接続される。診断バス7は、試験のためにプロセッサ1と試験装置2を相互に接続する通信路である。
【0013】
プロセッサ1は、ユーザーロジックをプログラミングすることにより機能回路を構成する回路装置である。プロセッサ1の例としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などが挙げられる。図2は、本開示の一実施形態によるプロセッサ1の構成の一例を示す図である。プロセッサ1は、図2に示すように、ロジック部11、コンフィグレーションメモリ14を備える。
【0014】
ロジック部11は、プロセッサ1に対するデータや命令などの入力を受け取る。ロジック部11は、受け取ったデータや命令などについて、所定の処理を実行する。ロジック部11は、処理結果を、メインメモリ3、記憶装置4、入出力装置6に出力する。ロジック部11は、配線論理部12(モジュールの一例)、メモリセルアレイ13(モジュールの一例)を備え、後述するように、組み合わせ論理部111、順序論理部112を構成する。
【0015】
配線論理部12は、物理的な配線により構成された回路である。メモリセルアレイ13は、プログラムによって定義されることにより回路として機能する部分である。メモリセルアレイ13は、コンフィグレーションメモリ14に格納されている定義情報(すなわち、ユーザーロジック)を、メモリセルアレイ13に展開することにより、回路として機能する。
【0016】
また、配線論理部12は、故障を検出するためのBIST回路121を備える。メモリセルアレイ13は、故障を検出するためのBIST回路131を備える。BIST回路121、131のそれぞれは、物理的な配線により構成された回路である。BIST回路121は、試験装置2から試験指示を受け取ると、配線論理部12に対してBISTを実行する。そして、BIST回路121は、診断バス7を介して試験装置2に試験結果を出力する。また、BIST回路131は、試験装置2から試験指示を受け取ると、メモリセルアレイ13に対してBISTを実行する。そして、BIST回路131は、診断バス7を介して試験装置2に試験結果を出力する。
【0017】
図3は、本開示の一実施形態によるロジック部11の構成の一例を示す図である。ロジック部11は、組み合わせ論理部111、順序論理部112を備える。組み合わせ論理部111は、組み合わせ回路であり、出力が過去の入力情報に影響されない回路である。順序論理部112は、順序回路であり、メモリなどの過去に入力された値により出力値を決定する回路である。組み合わせ論理部111および順序論理部112は、配線論理部12ならびにメモリセルアレイ13上に配置されたメモリセルによって構成される。
【0018】
図4は、本開示の一実施形態によるメモリセルアレイ13の構成の一例を示す図である。メモリセルアレイ13は、図4に示すように、複数のメモリセル13aと、メモリセル13aそれぞれに対応したBISTを実行するためのBIST回路131aを備える。BIST回路131aは、試験前にメモリセルアレイ13の内部状態を試験装置2に複製し、試験後に試験装置2から受け取った内部状態をメモリセルアレイ13に復元することができる。また、メモリセルアレイ13において、個々のメモリセル13aは、試験指示により自メモリセルのリセットとコンフィグレーションを行うことができる。
【0019】
また、プロセッサ1は、レジスタ、演算処理部、インターフェース、シーケンサ、ブレークポイント機能を備える。レジスタは、演算に使用されるデータを一時的に格納する。演算処理部は、演算を実行する。インターフェースは、バス8に対して信号やデータの送受信を行う。シーケンサは、上述の回路(すなわち、レジスタ、演算処理部、インターフェース)を制御する。ブレークポイント機能は、試験やデバッグのために動作を一時停止させる。これらの回路論理(すなわち、レジスタ、演算処理部、インターフェース、シーケンサ、ブレークポイント機能)は、配線論理部12もしくはメモリセルアレイ13により構成される。特に、ブレークポイント機能は、配線論理部12により構成される。
【0020】
試験装置2は、試験のためにプロセッサ1に対して試験指示を送信する。また、試験装置2は、プロセッサ1から試験結果を受け取る。図5は、本開示の一実施形態による試験装置2の構成の一例を示す図である。試験装置2は、図5に示すように、試験構成部21、試験指示部22、内部状態管理部23、試験結果判定部24を備える。
【0021】
試験構成部21は、情報処理システム100の初期化時に、入出力装置6から入力されたもしくはメインメモリ3に記録されたプロセッサ1を含む情報処理システムの構成情報、ロジック部11の構成情報、モジュール(配線論理部12およびメモリセルアレイ13)の試験パターン、試験の期待値を受け取り、試験構成情報としてバス8を介してメインメモリ3に記録する。図6は、本開示の一実施形態による試験構成部21が記録する試験構成情報の一例を示す図である。ここでのモジュールとは、ユーザーロジックを割り付けた配線論理部12およびメモリセルアレイ13を任意の回路や機能単位、冗長系単位などの単位に分割分類したものである。なお、メモリセルアレイ13は、複数のモジュールに属してもよい。また、試験パターンとは、BISTを実行するためにメモリセルアレイ13に入力するパターンである。また、その入力について期待される出力が期待値である。なお、図6におけるメモリセルC、配線論理Lがロジック部11の構成情報である。
【0022】
試験指示部22は、入出力装置6から試験指示を受け取る。試験指示部22は、試験指示を受け取ると、試験構成部21の試験構成に基づいた試験をプロセッサ1に指示する。
【0023】
内部状態管理部23は、試験前に対象となるメモリセルアレイ13の内部状態を受け取る。そして、内部状態管理部23は、試験後に対象メモリセルアレイ13に内部状態を送信する。メモリセルアレイ13の内部状態は、メインメモリ3もしくは記憶装置4などの記憶領域に格納してもよい。
【0024】
試験結果判定部24は、プロセッサ1から試験結果を受け取る。そして、試験結果判定部24は、試験結果に基づいて、不具合の判定を行う。試験結果判定部24は、判定結果を、入出力装置6や構成制御装置5に出力する。
【0025】
メインメモリ3は、主記憶装置4である、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などが有する記憶領域である。メインメモリ3には、不図示のオペレーティングシステム、ユーザーのプログラム、データなどが格納される。バス8に接続された装置は、メインメモリ3のメモリ空間にアクセス可能である。また、バス8に接続された装置は、メインメモリ3を介してデータを共有することができる。
【0026】
記憶装置4は、補助記憶装置4である、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが有する記憶領域である。バス8に接続された装置は、記憶装置4にアクセス可能である。また、バス8に接続された装置は、記憶装置4を介してデータを共有することができる。
【0027】
構成制御装置5は、情報処理システム100の構成を管理する。構成制御装置5は、試験装置2から試験結果を受け取る。構成制御装置5は、試験結果に基づいて、故障したプロセッサ1を情報処理システム100から切り離したり、新しいプロセッサ1を情報処理システム100に追加したりする。また、構成制御装置5は、プロセッサ1に対して、リセットや再コンフィグレーションを指示することができる。
【0028】
入出力装置6は、例えばキーボードやディスプレイなどの外部通信装置である。入出力装置6は、バス8に接続された他装置による制御内容(例えば、試験指示など)に従ってユーザーから試験指示を受け取ったり、試験結果を表示したりする。
【0029】
次に、本開示の一実施形態による情報処理システム100が行う処理について説明する。図7は、本開示の一実施形態による情報処理システム100の第1処理フローの一例を示す図である。図8は、本開示の一実施形態による情報処理システム100の第2処理フローの一例を示す図である。ここでは、図7図8を参照して情報処理システム100が行う処理について説明する。
【0030】
試験装置2は、ユーザー、オペレーティングシステム、または構成制御装置5からの指示によりプロセッサ1を試験する。試験は、指定された間隔ごとにモジュール単位で実行される。試験対象となるプロセッサ1の構成情報は、対象システムの初期化時にユーザーもしくはオペレーティングシステムから試験構成部21に送信される。
【0031】
試験装置2は、試験時に、試験対象モジュールの試験パターンを試験構成部21から取得することにより、試験パターンを準備(用意)する(ステップS101)。準備が完了すると、試験指示部22は、プロセッサ1の動作を一時停止させるブレーク信号をプロセッサ1に送信する(ステップS102)。プロセッサ1は、ブレーク信号に応じて動作を停止させる。
【0032】
プロセッサ1の停止後、内部状態管理部23は、試験対象モジュールを構成する各メモリセルアレイ13の内部状態をメインメモリ3もしくは記憶装置4に複製する(ステップS103)。内部状態管理部23は、試験パターンおよび試験指示を試験対象モジュールに送信する(ステップS104)。そして、内部状態管理部23は、BISTを実行する(ステップS105)。
【0033】
内部状態管理部23は、試験結果が正常であるか否かを判定する(ステップS106)。内部状態管理部23は、試験結果が正常であると判定した場合は(ステップS106においてYES)、各メモリセルアレイ13の内部状態を複製したデータから元の状態を復元する(ステップS107)。内部状態管理部23は、プロセッサ1の動作を再開させるブレーク解除信号をプロセッサ1に送信する(ステップS108)。プロセッサ1は、ブレーク解除信号に応じて、動作を再開させる。また、内部状態管理部23は、試験結果が正常でないと判定した場合は(ステップS106においてNO)、プロセッサ1に不具合が発生したことを示す不具合情報を構成制御装置5、入出力装置6、オペレーティングシステムに通知する(ステップS109)。
【0034】
ここで、試験指示部22と試験結果判定部24の詳細な処理について説明する。試験指示部22は、試験対象となるモジュールとそれを構成するメモリセルアレイ13に試験を指示する。そして、試験指示部22は、BISTのための試験パターンを送信する。試験指示部22は、試験構成部21において、対象とするモジュール、それを構成するメモリセルアレイ13、試験パターンを参照する。試験指示部22は、試験対象モジュールに試験指示と試験パターンを送信する。また、試験指示部22は、当該試験パターンの期待値を試験結果判定部24に送信する。試験対象モジュールは、試験が完了すると、試験結果を試験結果判定部24に送信する。試験結果判定部24は、受け取った試験結果と期待値を照合する。試験結果判定部24は、照合結果に基づいて、試験結果が正常であるか否かを判定する。
【0035】
また、試験指示部22は、BIST実行後の試験結果を判断するステップS106において、対象モジュールの不具合の程度を確認するために試験を複数回実行する。試験結果判定部24は、試験対象モジュールの試験結果が正常であるか否かを判定する(ステップS106、S201)。
【0036】
試験結果判定部24は、試験結果が正常であると判定した場合(ステップS106、S201においてYES)、処理を終了する。また、試験結果判定部24は、試験結果が正常でないと判定した場合(ステップS106、S201においてNO)、対象モジュールのリセットと再コンフィグレーションを指示する(ステップS202)。そして、試験結果判定部24は、対象モジュールを再試験する(ステップS203)。そして、試験結果判定部24は、再試験結果が正常であるか否かを判定する(ステップS204)。
【0037】
試験結果判定部24は、再試験結果が正常であると判定した場合(ステップS204においてYES)、不具合が間欠故障であると判定する(ステップS205)。間欠故障の例としては、宇宙線(中性子線)などの影響により半導体が一時的に誤作動を引き起こす故障など、一般的にソフトエラー(soft-error)と呼ばれ、装置のリセットや再コンフィギュレーションにより修復できる故障などが挙げられる。そして、試験結果判定部24は、処理を終了する。
【0038】
また、試験結果判定部24は、再試験結果が正常でないと判定した場合(ステップS204においてNO)、一定回数以上試験を実施したか否かを判定する(ステップS206)。試験結果判定部24は、一定回数以上試験を実施したと判定した場合(ステップS206においてYES)、不具合が固定故障であると判定する(ステップS207)。固定故障の例としては、物理的な回路の損傷などにより永久的に誤作動を引き起こす故障などが挙げられる。そして、試験結果判定部24は、処理を終了する。
また、試験結果判定部24は、一定回数以上試験を実施していないと判定した場合(ステップS206においてNO)、ステップS202の処理に戻す。
【0039】
構成制御装置5は、試験装置2から試験結果を受け取る。プロセッサ1の不具合が固定故障である場合、構成制御装置5は、プロセッサ1を情報処理システム100から切り離す。そして、構成制御装置5は、オペレーティングシステムに切り離しを通知する。また、情報処理システム100に予備となるプロセッサ1が存在する場合、構成制御装置5は、代替プロセッサ1として組み込む。
【0040】
上述のBISTの処理は、各モジュールを順に一時停止させて、すべてのモジュールについて行われる。
【0041】
(利点)
以上、本開示の一実施形態による情報処理システム100について説明した。情報処理システム100は、再構成可能な情報処理システムである。情報処理システム100は、複数のモジュール(配線論理部12、メモリセルアレイ13)と、前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路(BIST回路121、131)と、前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部21と、を備える。前記試験構成部21は、前記一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させ、前記複数のモジュールのうち一時停止したモジュールに1対1で対応する前記BIST回路は、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する。この情報処理システム100により、再構成可能であり、処理を継続しながら不具合を判定することができる。
【0042】
なお、複数のモジュール(配線論理部12、メモリセルアレイ13)と、前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路(BIST回路121、131)と、前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部21と、一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる前記試験構成部21と、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する前記BIST回路は、コンフィグレーションプログラムを実行することにより、再構成可能な情報処理システム100において実現されるものであってもよい。
【0043】
<実施形態の変形例1>
図9は、本開示の一実施形態の変形例1による情報処理システム100の構成の一例を示す図である。本開示の一実施形態の変形例1において、情報処理システム100は、図9に示すように、プロセッサ1において、コンフィグレーションメモリ14を配置するものであってもよい。また、例えば、試験装置2、メインメモリ3、記憶装置4にも、コンフィグレーションメモリを配置するものであってもよい。プロセッサ1は、自身を初期化(コンフィグレーション)する段階で、バス8もしくは診断バス7を介してコンフィグレーションメモリ14、25、31、41にアクセス可能である。コンフィグレーションメモリ14、25、31、41に不具合が発生した場合であっても、プロセッサ1による処理とプロセッサ1の不具合の試験を継続することができる。
【0044】
<実施形態の変形例2>
図10は、本開示の一実施形態の変形例2による情報処理システム100の構成の一例を示す図である。本開示の一実施形態の変形例2において、情報処理システム100は、図10に示すように、試験装置2を複数台配置し、試験を冗長化するものであってもよい。各試験装置2の試験構成部21、試験指示部22、内部状態管理部23、試験結果判定部24は、診断バス7を介して試験対象モジュールを決定し、その同一モジュールについて試験を実行する。そして、各試験装置2で得られた試験結果を共有し、試験結果判定部24は、試験結果が一致しない場合、試験装置2に不具合が発生したと判定する。
【0045】
<実施形態の変形例3>
図11は、本開示の一実施形態の変形例3による情報処理システム100の構成の一例を示す図である。本開示の一実施形態の変形例3において、情報処理システム100は、図11に示すように、プロセッサ1群をメニーコアパッケージ90としてパッケージングし、個々のプロセッサ1ごとに試験装置2が試験を実行するものであってもよい。このメニーコアパッケージ90により集積度が向上し、製造コストが低下する。
【0046】
図12は、本開示の実施形態による情報処理システム100の最小構成を示す図である。情報処理システム100は、再構成可能な情報処理システムである。情報処理システム100は、複数のモジュール12、13と、前記複数のモジュール12、13それぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュール12、13の不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路121、131と、前記モジュール12、13の接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部21と、を備える。前記試験構成部21は、前記一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる。前記複数のモジュールのうち一時停止したモジュールに1対1で対応する前記BIST回路は、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する。この情報処理システム100により、再構成可能であり、処理を継続しながら不具合を判定することができる。
【0047】
図13は、本開示の実施形態による最小構成の情報処理システム100の処理フローの一例を示す図である。次に、本開示の実施形態による最小構成の情報処理システム100の処理について図13を参照して説明する。
【0048】
複数のモジュール12、13と、前記複数のモジュール12、13それぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュール12、13の不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路と、前記モジュール12、13の接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部21と、を備え、再構成可能な情報処理システム100において、前記試験構成部21は、前記一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる(ステップS101)。前記複数のモジュール12、13のうち一時停止したモジュールに1対1で対応する前記BIST回路は、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する(ステップS102)。
【0049】
以上、本開示の実施形態による最小構成の情報処理システム100について説明した。この情報処理システム100により、再構成可能であり、処理を継続しながら不具合を判定することができる。
【0050】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0051】
本開示の実施形態について説明したが、上述の情報処理システム100、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
【0052】
図14は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ50は、図14に示すように、CPU60、メインメモリ3、ストレージ80、インターフェース9を備える。
【0053】
例えば、上述の情報処理システム100、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ50に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ80に記憶されている。CPU60は、プログラムをストレージ80から読み出してメインメモリ3に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU60は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ3に確保する。
【0054】
ストレージ80の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ80は、コンピュータ50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ50に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ50に配信される場合、配信を受けたコンピュータ50が当該プログラムをメインメモリ3に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ80は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0055】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0056】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0057】
1、1a、1b、1c・・・プロセッサ
2・・・試験装置
3・・・メインメモリ
4・・・記憶装置
5・・・構成制御装置
6・・・入出力装置
7・・・診断バス
8・・・バス
9・・・インターフェース
11・・・ロジック部
12・・・配線論理部
13・・・メモリセルアレイ
14、25、31、41・・・コンフィグレーションメモリ
21・・・試験構成部
22・・・試験指示部
23・・・内部状態管理部
24・・・試験結果判定部
50・・・コンピュータ
60・・・CPU
80・・・ストレージ
100・・・情報処理システム
111・・・組み合わせ論理部
112・・・順序論理部
121、131・・・BIST回路
【要約】
【課題】再構成可能であり、処理を継続しながら不具合を判定することのできる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システムは、再構成可能な情報処理システムであって、複数のモジュールと、前記複数のモジュールそれぞれに1対1で対応し、自身の不具合も含めて1対1で対応するモジュールの不具合を検出するBIST(Built In Self-Test)を実行可能なBIST回路と、前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させる試験構成部と、を備え、前記試験構成部は、一時停止したモジュールについて前記一時停止したときの前記モジュールの接続を含む内部状態を記憶させ、前記複数のモジュールのうち一時停止したモジュールに1対1で対応する前記BIST回路は、前記一時停止したモジュールについて前記不具合に関する試験を実行する。
【選択図】図12
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14