(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ビタミンCを含有したポリカプロラクトン微粒球フィラーおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61L 27/18 20060101AFI20230816BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20230816BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20230816BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20230816BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230816BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230816BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230816BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230816BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230816BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230816BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230816BHJP
【FI】
A61L27/18
A61L27/54
A61K31/375
A61K9/16
A61K47/10
A61K47/34
A61K47/38
A61P17/00
A61K47/24
A61K47/42
A61K47/44
(21)【出願番号】P 2022048331
(22)【出願日】2022-03-24
(62)【分割の表示】P 2020538583の分割
【原出願日】2019-01-10
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】10-2018-0003584
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519426014
【氏名又は名称】ジー2ジーバイオ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】G2GBIO, INC.
【住所又は居所原語表記】21 UIRYODANJI-GIL, OSONG-EUP, HEUNGDEOK-GU, CHEONGJU-SI, CHUNGCHEONGBUK-DO, 28161 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヒヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソル,ウニョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン,クォンヒョク
(72)【発明者】
【氏名】ナ,ヨンガ
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0075070(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0135337(KR,A)
【文献】International Journal of Polymeric Materials and Polymeric Biomaterials,2017年11月,Vol.67, No.16,p.942-950
【文献】Food Reviews International,Vol.28,2012年,p.343-374
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/00-27/60
A61K 9/00- 9/70
A61K 47/00-47/69
A61K 31/375
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカプロラクトン微粒球にビタミンCを含有した微粒球の全体100重量%を基準として0.01~6.5重量%のビタミンCを含み、平均粒度が10~100μmであり、この際に、ポリカプロラクトンの固有粘度が0.16~1.90dL/gであり、前記微粒球のスパン値(Span value)が1.0以下であり、前記微粒球内にビタミンCが封入されている、フィラー用ポリカプロラクトン微粒球の製造方法であって、
前記製造方法は、
(a)
前記ポリカプロラクトンを第1溶媒に溶解してビタミンCを第2溶媒に溶解させてそれぞれの溶液を製造した後前記二つの溶液を均一に混ぜて単一溶液に製造して分散相を製造する工程、
(b)前記分散相を界面活性剤を含有した水溶液(連続相)と混合してエマルションを製造する工程、
(c)前記工程(b)で製造されたエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相に抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程、および、
(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収してポリカプロラクトン微粒球を製造する工程を含み、
この際に、前記第1溶媒はジクロロメタンであり、第2溶媒はジメチルスルホキシドであり、ジメチルスルホキシドの含有量はジクロロメタンの3重量%~40重量%であ
る、ビタミンC含有のポリカプロラクトン微粒球の製造方法。
【請求項2】
前記ポリカプロラクトンの固有粘度が0.16~1.90dL/gであることを特徴とする、請求項
1に記載のポリカプロラクトン微粒球の製造方法。
【請求項3】
前記ビタミンCは、L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)、ナトリウムアスコルビルホスファート(Sodium ascorbylphosphate)、マグネシウムアスコルビルホスファート(Magnesium ascorbylphosphate)、カルシウムアスコルビルホスファート(Calcium ascorbylphosphate)、アスコルビン酸ポリペプチド(Ascorbic acid polypeptide)、エチルアスコルビルエーテル(Ethyl ascorbyl ether)、アスコルビルジパルミテート(Ascorbyl dipalmitate)、アスコルビルパルミテート(Ascorbyl palmitate)、アスコルビルグルコシド(Ascorbyl glucoside)およびアスコルビルエチルシラノールペクチネート(Ascorbyl ethylsilanol pectinate)からなる群より選ばれた一つ以上であることを特徴とする請求項
1に記載のポリカプロラクトン微粒球の製造方法。
【請求項4】
前記工程(b)の界面活性剤は、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体およびこれらの混合物からなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項
1に記載のポリカプロラクトン微粒球の製造方法。
【請求項5】
前記工程(b)の界面活性剤は、界面活性剤を含む水溶液の全体体積を基準として、0.01w/v%~20w/v%である、請求項
1に記載のポリカプロラクトン微粒球の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年1月10日付韓国特許出願第10-2018-0003584号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ビタミンCを含有するポリカプロラクトン微粒球フィラーとその製造方法に関し、より詳細には、ビタミンCを含有してビタミンCの生体内の安定性問題を解決しただけでなく、生体への適用時施術後のコラーゲン再生効果およびボリューム増加効果が速やかに発現しながらも効果の維持時間が長いビタミンCを含むポリカプロラクトン微粒球フィラーとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚用フィラーは人体に安全な材料を顔の真皮層に注入してシワを改善して美観上ボリュームを取り戻すなど皮膚組織を補充する注射タイプの医療機器としてボツリヌストキシン(ボトックス)、自家脂肪移植、スレッドリフト、マイクロニードル、レーザ治療、薄皮術などをはじめとする、いわゆるアンチエイジング施術に使用される。
【0004】
最初に開発された第1世代皮膚用フィラーは、動物由来のコラーゲンフィラーで施術後効果の持続期間が2~4ヶ月で短く、施術1ヶ月前に皮膚過敏反応検査をしなければならないという、煩わしさのために最近ではほとんど使われていない。
【0005】
第2世代皮膚用フィラーは、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)フィラーでコラーゲンフィラーより効果の持続時間が長く、人体の構成成分と類似する多糖質で構成されて皮膚過敏反応などの副作用が顕著に少なくコラーゲンフィラーのように皮膚反応検査を要しない点で現在最も多く使用されるフィラーである。特に、ヒアルロン酸は、施術および除去が容易で、粘弾性(viscoelasticity)に優れ、皮膚の水分を維持して皮膚のボリュームおよび弾力性を維持して皮膚用フィラーの原料として非常に適する。最近ではヒアルロン酸の架橋結合(cross-link)を誘導して粒子の大きさおよび分子量を増加させることによって持続期間を延長させる研究が活発であるが、維持時間が6~12ヶ月で比較的短いので、6~12ヶ月ごとに繰り返して施術しなければならない煩わしさがある。
【0006】
第3世代フィラーは、ポリ乳酸(Polylactic acid,PLA)またはポリカプロラクトン(Polycaprolactone,PCL)などの合成高分子フィラーで、人体で非常に徐々に分解されるので吸水性フィラーであるコラーゲン、ヒアルロン酸フィラーに比べてより長期間にわたる効果を有する目的で使われている。特にポリカプロラクトンは、人体に100%吸収されて安全な成分であり、皮膚内に移植後ポリ乳酸より吸収される速度が遅く、コラーゲンの生成を促進して異物感のないやわらかい感じの組織で効果が1~4年持続する長所がある。しかし、ポリカプロラクトンフィラーは微粒球形態のフィラーで、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethylcellulose,CMC)などのようなゲルキャリアに懸濁して投与しなかればならず皮膚内に注入後6~8週以後に効果が現れて施術後の即刻効果が現れるヒアルロン酸フィラーよりは施術の満足度が落ちる短所がある。
【0007】
一方、ビタミンCまたはL-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)、その誘導体およびそれらの塩は人体の免疫機能を高め、コラーゲン(collagen)の生成を促進してヒアルロン酸生産の維持または亢進効果を現わすことによって、年齢が重なることによる皮膚のシワ、小ジワ、しみ、たるみなどを予防または改善するアンチエイジング効果を発揮すると知られている。しかし、ビタミンCは生体内外で非常に不安定で空気、特に酸素と熱、光などの外部環境に敏感に反応して酸化によって簡単に分解される問題を有しており、様々な誘導体など安定化された形態を利用してコラーゲン形成、シワ改善などの目的としては化粧品などに限定して使用している実情である。
【0008】
したがって、従来のポリカプロラクトン微粒球フィラーの特性を活用し、ポリカプロラクトン微粒球でビタミンCを封入することによってビタミンCの生体内の安定性問題を解決してより効能が改善された新しいポリカプロラクトン微粒球フィラーの開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような従来のビタミンCの生体内の安定性問題を解決してポリカプロラクトン微粒球フィラーの効能を改善するために案出されたものであり、生体に適用時施術後の効果が速やかに発現しながらも効果の維持時間が長いビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球、それを含むフィラーとそれを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、ビタミンC含有量がポリカプロラクトン微粒球にビタミンCを含有した微粒球の全体100重量%を基準として0.01~6.5重量%のビタミンCを含み、平均粒度が10~100μmであるポリカプロラクトン微粒球を提供する。
【0011】
本発明の他の側面によれば、(a)ポリカプロラクトンを第1溶媒に溶解してビタミンCを第2溶媒に溶解させてそれぞれの溶液を製造した後、前記二つの溶液を均一に混ぜて単一溶液に製造して分散相を製造する工程、(b)前記分散相を界面活性剤を含有した水溶液(連続相)と混合してエマルションを製造する工程、(c)前記製造されたエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相に抽出および蒸発させて微粒球を作る工程、および(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収する工程を含む、ビタミンCを含有するポリカプロラクトン微粒球を製造する方法が提供される。
【0012】
本発明のまた他の側面によれば、前記本発明のビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球、および薬剤学的に許容可能な水性担体およびポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーが提供される。
【0013】
即ち、本発明は、以下を提供する。
【0014】
本発明は、ポリカプロラクトン微粒球にビタミンCを含有した微粒球の全体100重量%を基準として0.01~6.5重量%のビタミンCを含み、平均粒度が10~100μmであるポリカプロラクトン微粒球、を提供し、
好ましくは、前記ポリカプロラクトンの固有粘度が0.16~1.90dL/gであることを特徴とし、
前記微粒球のスパン値(Span value)が1.0以下であることを特徴とし、
前記ビタミンCは、L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)、ナトリウムアスコルビルホスファート(Sodium ascorbylphosphate)、マグネシウムアスコルビルホスファート(Magnesium ascorbylphosphate)、カルシウムアスコルビルホスファート(Calcium ascorbylphosphate)、アスコルビン酸ポリペプチド(Ascorbic acid polypeptide)、エチルアスコルビルエーテル(Ethyl ascobyl ether)、アスコルビルジパルミテート(Ascorbyl dipalmitate)、アスコルビルパルミテート(Ascorbyl palmitate)、アスコルビルグルコシド(Ascorbyl glucoside)およびアスコルビルエチルシラノールペクチネート(Ascorbyl ethylsilanol pectinate)からなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、ビタミンCを含有したポリカプロラクトン微粒球の製造方法を提供し、(a)ポリカプロラクトンを第1溶媒に溶解してビタミンCを第2溶媒に溶解させてそれぞれの溶液を製造した後前記二つの溶液を均一に混ぜて単一溶液に製造して分散相を製造する工程、(b)前記分散相を界面活性剤を含有した水溶液(連続相)と混合してエマルションを製造する工程、(c)前記工程(b)で製造されたエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相に抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程、および、(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収してポリカプロラクトン微粒球を製造する工程を含み、
好ましくは、前記ポリカプロラクトンは、固有粘度が0.16~1.90dL/gであることを特徴とし、
好ましくは、前記ビタミンCは、L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)、ナトリウムアスコルビルホスファート(Sodium ascorbylphosphate)、マグネシウムアスコルビルホスファート(Magnesium ascorbylphosphate)、カルシウムアスコルビルホスファート(Calcium ascorbylphosphate)、アスコルビン酸ポリペプチド(Ascorbic acid polypeptide)、エチルアスコルビルエーテル(Ethyl ascorbyl ether)、アスコルビルジパルミテート(Ascorby l dipalmitate)、アスコルビルパルミテート(Ascorbyl palmitate)、アスコルビルグルコシド(Ascorbyl glucoside)およびアスコルビルエチルシラノールペクチネート(Ascorbyl ethylsilanol pectinate)からなる群より選ばれた一つ以上であることを特徴とし、
好ましくは、前記(a)工程の第1溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトンおよびこれらの混合物からなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とし、
好ましくは、前記(a)工程の第2溶媒は、ジメチルスルホキシド、メチルアルコール、エチルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、酢酸およびこれらの混合物からなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とし、
好ましくは、前記工程(b)の界面活性剤は、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体およびこれらの混合物からなる群より選ばれる一つ以上であることを特徴とし、
好ましくは、前記工程(b)の界面活性剤は、界面活性剤を含む水溶液の全体体積を基準として、0.01w/v%~20w/v%である。
【0016】
さらに、本発明は、全体ポリカプロラクトン微粒球フィラー100重量%に対して、ビタミンC含有量が全体微粒球重量に対して0.01~6.5重量%で、平均粒度が10~100μmであるポリカプロラクトン微粒球2~50重量%、溶質0.1~5重量%、潤滑剤0~48重量%、および薬学的に許容可能な水性担体15~97.9重量%、を含むポリカプロラクトン微粒球フィラーを提供し、
好ましくは、前記ビタミンCがL-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)、ナトリウムアスコルビルホスファート(Sodium ascorbylphosphate)、マグネシウムアスコルビルホスファート(Magnesium ascorbylphosphate)、カルシウムアスコルビルホスファート(Calcium ascorbylphosphate)、アスコルビン酸ポリペプチド(Ascorbic acid polypeptide)、エチルアスコルビルエーテル(Ethyl ascorbyl ether)、アスコルビルジパルミテート(Ascorbyl dipalmitate)、アスコルビルパルミテート(Ascorbyl palmitate)、アスコルビルグルコシド(Ascorbyl glucoside)およびアスコルビルエチルシラノールペクチネート(Ascorbyl ethylsilanol pectinate)からなる群より選ばれた一つ以上であることを特徴とし、
好ましくは、前記溶質がカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒアルロン酸、リドカイン(lidocaine)、ポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)、ポリヌクレオチド(PN)およびこれらの混合物からなる群より選ばれる一つ以上であり、
好ましくは、前記潤滑剤がグリセリンであることを特徴とし、
好ましくは、前記薬学的に許容可能な水性担体が精製水、生理食塩水またはリン酸緩衝液であることを特徴とし、
好ましくは、前記フィラーは、シワ改善、軟組織修復または体積拡大、または輪郭較正用であり、
好ましくは、前記フィラーは、注射剤用である。
【0017】
また、本発明は、上記した本発明のポリカプロラクトン微粒球フィラーが充填されたプレフィルドシリンジを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーは、生体に適用時コラーゲン形成効果が速やかに発現し、高い組織修復特性を現わすだけでなく、長期間の間前記効果が維持され、頬、胸、鼻、唇およびお尻などのような軟組織の修復または体積拡大およびシワ改善特性のようなフィラーとしての効果が優れる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1a】実施例1-4により製造されたアスコルビン酸含有ポリカプロラクトン微粒球の形状を光学顕微鏡で撮影した写真である。写真で確認できるように、生成された微粒球は表面に多孔性の形態学的特性を有しながらも球形を維持していることを確認することができる。
【
図1b】比較例1-1により過量のアスコルビン酸を使用して製造されたポリカプロラクトン微粒球の形状を光学顕微鏡で撮影した写真である。生成された微粒球は球形の形態を維持できず微粒球が固まったり崩れた形態学的特性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0021】
本発明で「ビタミンC」とは、L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)だけでなくその誘導体およびそれらの塩を総称する用語として使用される。ビタミンCは、L-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)、ナトリウムアスコルビルホスファート(Sodium ascorbylphosphate)、マグネシウムアスコルビルホスファート(Magnesium ascorbylphosphate)、カルシウムアスコルビルホスファート(Calcium ascorbylphosphate)、アスコルビン酸ポリペプチド(Ascorbic acid polypeptide)、エチルアスコルビルエーテル(Ethyl ascorbyl ether)、アスコルビルジパルミテート(Ascorbyl dipalmitate)、アスコルビルパルミテート(Ascorbyl palmitate)、アスコルビルグルコシド(Ascorbyl glucoside)およびアスコルビルエチルシラノールペクチネート(Ascorbyl ethylsilanol pectinate)からなる群より選ばれるが、これに制限されるものではない。好ましくはL-アスコルビン酸(L-ascorbic acid)を使用することができる。
【0022】
一実施形態で、本発明のビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球中のビタミンCの封入量は、微粒球合計100重量%を基準として0.01~6.5重量%、好ましくは0.02~6.0重量%でありうる。このような封入量は、ビタミンCの生体内安定性を確保しながらもビタミンCに特徴的に生理活性が注入部位で上昇的な効果を奏するように最適化したものである。
【0023】
本発明ではこのようなビタミンCをポリカプロラクトン微粒球に封入させて共にフィラーに使用し、ヒアルロン酸の生産とコラーゲン合成のような多様な生物学的機能を促進させることを特徴とする。
【0024】
本発明のビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球は、生分解性高分子であるポリカプロラクトンの固有粘度が0.16~1.90dL/gのポリカプロラクトンを使用して製造する。本発明で使用したポリカプロラクトンの固有粘度は、ウベローデ(Ubbelohde)粘度計を利用して25℃でクロロホルムで測定されたものをいう。上記したポリカプロラクトン高分子の例としては、エボニック(Evonik)社のレソマー(Resomer)C209、C212およびC217とコービオン(Corbion)社のPurasorb PC 02、PC 04、PC08、PC 12およびPC17などが挙げられる。
【0025】
本発明によるビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球は、平均粒度が10μm以上であり、100μm以下、例えば、10~30μm、10~50μm、または10~100μm、20~50μm、30~60μm、または40~70μmであることが好ましい。
【0026】
本願で使用した平均粒度とは粒度分布曲線で体積%の50%に該当する粒度として、平均粒径(Median Diameter)を意味し、D50またはD(v,0.5)で表す。
【0027】
ビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球の平均粒度が10μm未満の場合は、生体内に投与時大食細胞によってどん食され得、100μmより大きい場合は、注射器で注入時の注射能が落ちて注射針が厚くなることにより注射時痛みが大きくなって好ましくない。
【0028】
本発明のビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球は、均一な粒子分布を有することが好ましい。均一な粒子分布を有する微粒球は、不均一な微粒球に比べて注射時の残留量の偏差も小さく目詰まり現象も少ないため、より細い注射針を使用することができる。本発明のポリカプロラクトン微粒球の大きさ分布度またはSpan valueが1.0以下であることが好ましい。より好ましくは、大きさ分布度が0以上0.8以下であることが好ましい。本願で使用した大きさ分布度またはスパン値(Span value)とは微粒球の粒子大きさの均一性を表す指標として、大きさ分布度(Span value)=(Dv0.9-Dv0.1)/Dv0.5の数式により求めた値を意味する。ここでDv0.1は微粒球の粒度分布曲線で体積%の10%に該当する粒度、Dv0.5は微粒球の粒度分布曲線で体積%の50%に該当する粒度、Dv0.9は微粒球の粒度分布曲線で体積%の90%に該当する粒度を意味する。本発明によるビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球は、10μm以上、100μm以下の粒度を示しながらも均一な大きさ分布度を示して注射針の目詰まりが減少して注射能が向上することを特徴とする。以上のような粒径範囲とスパン値は、ポリカプロラクトン微粒球中のビタミンCが適切な量で長期間溶出されるようにする封入量を含み得るように最適化したものである。
【0029】
本発明によるビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球は、一例として「溶媒抽出および蒸発法」を用いて製造できるが、これに限定されない。
【0030】
本発明によるビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球製造方法の具体的な一例として、このような製造方法は、(a)ポリカプロラクトンを第1溶媒に溶解してビタミンCを第2溶媒に溶解させてそれぞれの溶液を製造した後、前記二つの溶液を均一に混ぜて単一溶液に製造して分散相を製造する工程、(b)前記分散相を界面活性剤を含有した水溶液(連続相)と混合してエマルションを製造する工程、(c)前記工程(b)で製造されたエマルション中の分散相から有機溶媒を連続相に抽出および蒸発させて微粒球を形成させる工程、および(d)前記工程(c)の連続相から微粒球を回収してビタミンCを含有したポリカプロラクトン微粒球を製造する工程を含む。
【0031】
前記工程(a)でポリカプロラクトンの固有粘度は、0.16~1.90dL/gの範囲が好ましい。
【0032】
前記工程(a)でポリカプロラクトンを溶解させるのに使用される第1溶媒は、水と混和されない性質を有することが好ましい。有機溶媒の水と混和されない性質を利用することによって、後述する工程(b)で連続相である界面活性剤を含有した水溶液に分散相を均質に混合および分散させてエマルションを形成することができる。このようなポリカプロラクトンを溶解させる溶媒の種類は、特に制限されないが、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メチルエチルケトン、およびこれらの混合溶媒からなる群から選ばれ得、より好ましくはジクロロメタン、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒を使用することができる。
【0033】
前記工程(a)でビタミンCを溶解させる第2溶媒は、ジメチルスルホキシド、メチルアルコール、エチルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、酢酸およびこれらの混合物からなる群より選ばれ得、好ましくはジメチルスルホキシド、メチルアルコールまたはこれらの混合溶媒を使用することができる。
【0034】
前記工程(a)でポリカプロラクトンとビタミンC溶液を混ぜて均一な混合溶液を作って分散相を製造する。ポリカプロラクトンとビタミンC混合溶液は均質に溶解することが好ましい。一例として、ポリカプロラクトン溶媒としてジクロロメタンを使用し、ビタミンC溶媒としてジメチルスルホキシドを使用する場合、ジメチルスルホキシドの使用量はジクロロメタンの3重量%~40重量%が好ましい。ジメチルスルホキシドの量が3重量%未満の場合は、ビタミンCがジクロロメタンによって溶解度が劣り析出される可能性が高く、40重量%を超える場合は、分散相の疎水性性質が減少して過量のジメチルスルホキシドが連続相に急激に放出されて連続相と混合されない液滴形態の分散相の形成が難しいため好ましくない。
【0035】
前記工程(b)で分散相と界面活性剤を含有した水溶液を均質に混合する方法は特に制限されないが、好ましくは高速攪拌機、インラインミキサ、メンブレンエマルション法、マイクロフルイディクスエマルション法などを利用して遂行することができる。一例としてメンブレンエマルション法を利用して混合する場合、前記工程(a)で製造された分散相を均一な大きさの微細孔を有する膜を通過させて界面活性剤を含有した連続相に移動させてエマルションを作る。膜の微細孔は5~50μmの大きさが好ましい。
【0036】
前記工程(b)で使用される界面活性剤の種類は特に制限されず、分散相が連続相内で安定した液滴のエマルションを形成できるように助けられるものであれば、いかなるものでも使用することができる。前記界面活性剤は、好ましくは、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、レシチン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体およびこれらの混合物からなる群より選ばれることができ、最も好ましくはポリビニルアルコールを使用することができる。
【0037】
前記工程(b)で、界面活性剤を含む連続相中の界面活性剤の含有量は、界面活性剤を含む連続相の全体体積を基準として、0.01w/v%~20w/v%、好ましくは0.1w/v%~5w/v%でありうる。界面活性剤の含有量が0.01w/v%未満の場合は、連続相内に液滴形態の分散相またはエマルションが形成されず、界面活性剤の含有量が20w/v%を超える場合には、過量の界面活性剤によって連続相内に微粒子が形成された後、界面活性剤を除去するのに困難性があり得る。本発明の一実施例では1~5w/v%のポリビニルアルコールを使用してビタミンCを含むポリカプロラクトン微粒球を製造した。
【0038】
前記工程(c)で、液滴形態の分散相および界面活性剤を含有した連続相を含むエマルションを有機溶媒の沸騰点未満の温度で一定時間、例えば、2時間~48時間維持または攪拌すると、分散相である液滴形態のポリカプロラクトン-ビタミンC溶液から連続相に有機溶媒が抽出され得る。連続相から抽出された有機溶媒の一部は連続相表面から蒸発され得る。液滴形態の溶液から有機溶媒が除去されることにより、前記液滴形態の分散相は固形化して微粒球が形成されることになって、微粒球を含む懸濁液(微粒球懸濁液)形態が得られる。
【0039】
前記工程(c)で有機溶媒を追加的に効率的に除去するために連続相の温度を一定時間熱を加え得る。例えば、これに制限されるものではないが、5~39.6℃、好ましくは10~35℃、より好ましくは15~30℃で温度を維持して48時間以内、好ましくは1~36時間、より好ましくは3~24時間程度攪拌等により有機溶媒を除去することができる。
【0040】
前記工程(d)で、ポリカプロラクトン微粒球を回収する方法は、様々な公知技術を用いて行われ得、例えば濾過または遠心分離などの方法を利用することができる。
【0041】
前記工程(c)および工程(d)の間に、濾過および洗浄により残留する界面活性剤を除去し、再び濾過させて微粒球を回収することができる。
【0042】
残存する界面活性剤を除去するための洗浄工程は、通常水を利用して行うことができ、前記洗浄工程は数回にわたって繰り返すことができる。
【0043】
また、前述したように、前記工程(b)で高速攪拌機、インラインミキサを利用してエマルションを形成した場合、前記工程(c)および工程(d)の間に、篩過工程を追加的に使用することで均一な微粒球を得ることができる。公知技術を用いて篩過工程を行うことができ、大きさが互いに異なる篩膜を利用して小さい粒子と大きい粒子の微粒球を濾して均一な大きさの微粒球を得ることができる。
【0044】
本発明の他の側面によれば、前記本発明のビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球、および薬剤学的に許容可能な水性担体およびビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーが提供される。
【0045】
前記薬剤学的に許容可能な水性担体としては、例えば、精製水、生理食塩水、またはリン酸緩衝液などの注射用水溶液を使用することができる。また、前記フィラーは、ビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球および薬剤学的に許容可能な水性担体とともに必要に応じてカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース誘導体、ヒアルロン酸、リドカイン(lidocaine)、ポリデオキシリボヌクレオチド(PDRN)、ポリヌクレオチド(PN)などの溶質、グリセリンなどの潤滑剤を一つ以上さらに含み得るが、これに限定されない。好ましくはヒアルロン酸であり、ヒアルロン酸をさらに含んで組み合わせる場合、初期投与時のボリュームがより長く維持されることができる。
【0046】
一具体例で、本発明のビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーに含まれる各成分の含有量は、フィラー剤形合計100重量%を基準として、前記ビタミンC含有ポリカプロラクトン微粒球2~50重量%(ポリカプロラクトン微粒球内のビタミンC含有量は0.01~6重量%)、薬学的に許容可能な水性担体15~97.9重量%、溶質0.1~5重量%、潤滑剤0~48重量%であり得るが、これに限定されない。ヒアルロン酸を溶質に追加する場合は架橋率が0~5%のヒアルロン酸を使用することができる。
【0047】
このような本発明によるビタミンCを含有するポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーは、施術直後から施術部位でコラーゲン形成効果が速やかに発現し、自然で理想的なボリューム感を有する組織修復特性を現わすだけでなく、ビタミンCの生体内の安定性が維持され、注射投与能も良く維持期間も長い卓越した特性を現わすため、美容または治療目的で非常に有用に使用されることができる。
【0048】
具体的な例示として、このようなポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーは、生物学的組織のフィリング(filling)、シワのフィリング(filling wrinkle)によるシワ改善、顔面のリモデリング(remodeling of the face)または唇、鼻、お尻、頬または胸のような軟組織の容積(volume)の修復または増加などに使用されることができる。前記ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーは、このような用途に適する投与形態で投与されることができ、好ましくは注射剤でありうる。
【0049】
また他の様態として、本発明は前記ポリカプロラクトン微粒球を含むフィラーが充填されたプレフィルドシリンジを提供する。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。しかし、これら実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0051】
実施例1:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.9975gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.0025gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)19.99gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)1.70mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0052】
連続相は1w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1200mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0053】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0054】
実施例1-1:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.985gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.015gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)19.94gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)1.70mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0055】
連続相は1w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1200mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0056】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0057】
実施例1-2:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.85gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.15gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)19.4gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)1.76mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0058】
連続相は1w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1200mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0059】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0060】
実施例1-3:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)18gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0061】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1100mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0062】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0063】
実施例1-4:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.0gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)1.0gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)16gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)5.23mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0064】
連続相は3w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1000mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0065】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0066】
実施例2:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 02(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)12.85gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0067】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1200mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0068】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0069】
実施例2-1:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 12(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)25gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0070】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1500mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0071】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0072】
実施例2-2:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 17(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)37.5gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0073】
連続相は5w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相2250mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0074】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0075】
実施例3:高速攪拌機を利用したアスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)18gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0076】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、調製容器に連続相1100mLを入れて装置された高速ミキサを4500rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り7mL流速で注入した。微粒球懸濁液は150rpm速度で攪拌し、調製容器の温度は25℃を維持した。
【0077】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して25μmと150μmふるい目を有するメッシュを同時に使用して微粒球を選別した後凍結乾燥した。
【0078】
実施例4:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)18gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0079】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1100mLを直径5μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0080】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0081】
実施例4-1:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)18gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0082】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1100mLを直径30μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0083】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0084】
実施例4-2:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)18gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0085】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1100mLを直径50μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0086】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0087】
実施例5:ナトリウムアスコルビルホスファート(Sodium ascorbyl phosphate)が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびsodium ascorbyl phosphate(製造会社:BASF Care Creations、ドイツ)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)18gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)3.15mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0088】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1100mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0089】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0090】
実施例5-1:アスコルビルパルミテート(Ascorbyl palmitate)が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびAscorbyl palmitate(製造会社:Thermo Fisher Scientific、米国)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)18gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)1.6mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0091】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1100mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0092】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0093】
実施例6:カルボキシメチルセルロースを溶質として使用したポリカプロラクトン微粒球フィラーの製造
ポリカプロラクトン微粒球フィラーは微粒球懸濁のための溶液を製造後微粒球を混合して製造した。カルボキシメチルセルロース(製造会社:Ashland、米国)2gは75℃リン酸緩衝液に入れて3時間100rpmで攪拌して溶かして冷却させる。溶液温度が25℃になるとグリセリン18gを入れて実施例1-3で製造した微粒球を30%(w/w)で混ぜてポリカプロラクトン微粒球フィラーを完成した。
【0094】
実施例6-1:ヒアルロン酸を溶質として使用したポリカプロラクトン微粒球フィラーの製造
ポリカプロラクトン微粒球フィラーは微粒球懸濁のための溶液を製造後微粒球を混合して製造した。ヒアルロン酸(製造会社:Bloomage Freda Biopharm、中国)1gは55℃リン酸緩衝液に入れて溶かして冷却させる。溶液温度が25℃になるとグリセリン18gを入れて実施例1-3で製造した微粒球を30%(w/w)で混ぜてポリカプロラクトン微粒球フィラーを完成した。
【0095】
比較例1:ポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)5gをジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)20gに混合して準備した。
【0096】
連続相は1w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1200mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0097】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0098】
比較例1-1:アスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)3.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)1.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)14gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)9.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0099】
連続相は3w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、連続相1000mLを直径10μmの多孔性メンブレンを装着した乳化装置に供給すると同時に準備された分散相を注入して微粒球を製造した。製造された微粒球懸濁液は調製容器に入れて150rpm速度で攪拌し、メンブレン乳化装置および調製容器の温度は25℃を維持した。
【0100】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して収得して微粒球を凍結乾燥した。
【0101】
比較例2:高速攪拌機を利用したアスコルビン酸が封入されたポリカプロラクトン微粒球の製造
分散相は生体適合性高分子であるPurasorb PC 04(製造会社:Corbion、オランダ)4.5gおよびアスコルビン酸(製造会社:Tokyo Chemical Industries、日本)0.5gをそれぞれジクロロメタン(製造会社:J.T Baker、米国)18gとジメチルスルホキシド(製造会社:シグマアルドリッチ、米国)2.95mLに溶かして二つの溶液を混合して準備した。
【0102】
連続相は2w/v%ポリビニルアルコール(粘度:4.8~5.8mPa・s)水溶液を使用し、調製容器に連続相1100mLを入れて装置された高速ミキサを4500rpm速度で攪拌しながら分散相を分当り7mL流速で注入した。微粒球懸濁液は150rpm速度で攪拌し、調製容器の温度は25℃を維持した。
【0103】
分散相注入が完了すると微粒球懸濁液を12時間25℃で150rpm速度で攪拌して有機溶媒を除去した。有機溶媒の除去が完了すると微粒球懸濁液を3次蒸溜水で数回繰り返し洗浄して残余ポリビニルアルコールを除去して微粒球を凍結乾燥した。
【0104】
比較例3:カルボキシメチルセルロースを溶質として使用したポリカプロラクトン微粒球フィラーの製造
ポリカプロラクトン微粒球フィラーは微粒球懸濁のための溶液を製造後微粒球を混合して製造した。カルボキシメチルセルロース(製造会社:Ashland、米国)2gは75℃リン酸緩衝液に入れて3時間100rpmで攪拌して溶かして冷却させる。溶液温度が25℃になるとグリセリン18gを入れて比較例1で製造した微粒球を30%(w/w)で混ぜてポリカプロラクトン微粒球フィラーを完成した。
【0105】
比較例3-1:ヒアルロン酸を溶質として使用したポリカプロラクトン微粒球フィラーの製造
ポリカプロラクトン微粒球フィラーは微粒球懸濁のための溶液を製造後微粒球を混合して製造した。ヒアルロン酸(製造会社:Bloomage Freda Biopharm、中国)1gは55℃リン酸緩衝液に入れて溶かして冷却させる。溶液温度が25℃になるとグリセリン18gを入れて比較例1で製造した微粒球を30%(w/w)で混ぜてポリカプロラクトン微粒球フィラーを完成した。
【0106】
実験例1:光学顕微鏡を活用した微粒球形態の観察
微粒球の形態学的分析のために、光学顕微鏡を用いて実施例1-4および比較例1-1でそれぞれ製造された微粒球の形態を観察しようとした。具体的には、スライドガラスに微粒球懸濁液を落として光学顕微鏡(製造会社:オリンパスBH-2,日本)載物台にスライドガラスを位置させてx100倍率(対物レンズx10,対眼レンズx10)で微粒球形態を観察した。
【0107】
図1aおよび
図1bに示すように実施例1-4は微粒球表面に多孔性の形態学的特性を有していながらも球形の形態を維持していることに対し、比較例1-1の微粒球は球形の形態を維持できず微粒球が固まったり崩れた形態学的特性を観察することができた。これは比較例1-1に使用された過量のジメチルスルホキシドが連続相に急激に放出されて連続相と混合されない分散相の特性を減少させて完全な微粒球維持を難しくするものであると予測された。
【0108】
実験例2:レーザ回折法を用いた微粒球粒度の分析
本実験は微粒球の平均粒度および分布度を定量的に測定して粒子の均一性を確認するために実施した。実験手順は次のとおりである。
【0109】
微粒球50mgを1mL超純水と混合して20秒間ボルテックスミキサで混合した後1分間超音波発生器に入れて分散させた。微粒球分散液を粒度分析装置(Microtrac Bluewave,Japan)に入れて20秒間測定した。粒度大きさ均一性の指標としてスパン値は下記のような数式1で求めた。
【0110】
[数1]スパン値(Span Value)=(Dv,0.9-Dv,0.1)/Dv,0.5
【0111】
【0112】
上記の表1のように実施例1、実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3、実施例1-4および比較例1は、それぞれ多様な量のアスコルビン酸を使用して製造したが、平均粒度は約35μmで類似の粒度を有していた。したがって、分散相の製造に使用されたアスコルビン酸は粒度に大きい影響を及ぼさないことが確認された。
【0113】
実施例4、実施例4-1および実施例4-2は乳化装置に取り付けられた多孔性メンブレン変化に応じた粒度調節が可能であることを確認することができた。
【0114】
実施例1-3と比較例2は、微粒球製造過程で分散相と界面活性剤を含有した水溶液を均質に混合する方法の差異を有しており、これらによって製造された微粒球は相異する平均粒度およびスパン値の差を示した。より詳しくは比較例2の場合、高速攪拌機を用いて製造した微粒球として実施例1-3と比較して相対的に平均粒度は減少し、かつスパン値は1.43で広い粒度分布を有するものを確認することができた。
【0115】
実験例3:ポリカプロラクトン微粒球に封入されたアスコルビン酸の分析
本実験はポリカプロラクトン微粒球に封入されたアスコルビン酸定量分析のために高性能液体クロマトグラフィを活用して実施した。詳しい実験手順は次のとおりである。
高性能液体クロマトグラフィに使用された移動相は、0.1v/v%トリクロロ酢酸が含まれた40v/v%アセトニトリル溶液を0.5mL/min流速で流し、C18充填剤が充填されたカラム(Inertsil ODS-3,5um、4.5x150mm、製造会社:GL Science、日本)を用いた。微粒球10mgをN-メチルピロリドンとアセトニトリル混合液(8:2,v/v)に希釈して高性能液体クロマトグラフィに注入して245nm波長でUV吸光検出器を用いて測定した。
【0116】
【0117】
上記の表2に示すように実施例1、実施例1-1、実施例1-2、実施例1-3および実施例1-4は、分散相の製造に使用されたアスコルビン酸量の増加により含有量も比例して増加することを確認することができた。特に実施例1-4は完全な微粒球形態を維持しながら最大アスコルビン酸比封入量は5.60重量%を示した。
【0118】
これに対し、比較例1-1は、7.54%で相対的により高いアスコルビン酸が封入量を示したが、微粒球の形態が一定でなく固まる現象があり、アスコルビン酸の封入および伝達製剤としては適しないことを確認した。
【0119】
実験例4:ポリカプロラクトン微粒球フィラーの持続性評価
本実験はポリカプロラクトン微粒球フィラーの持続性評価のために実験動物にフィラー投与後体積を分析した。
【0120】
ポリカプロラクトン微粒球フィラーは、実施例6、実施例6-1、比較例3および比較例3-1のように製造し、生後6週のSKH1-Hrhr hairless mouseに100μLずつ皮下に注射してあらかじめ定めた期間(投与直後、1週、4週および8週)に投与部位の容量分析を実施した。体積測定はPRIMOSLITE(GFMesstechnikGmbH、ドイツ)を用いて分析プログラムはPRIMOS 5.6を用いた。
【0121】
【0122】
上記の表3に示すように実施例6および実施例6-1は、注射剤用フィラー組成の差によって体積変化に差があることを確認した。実施例6-1に使用されたヒアルロン酸はカルボキシメチルセルロースより体積維持に相対的により効果的であることが確認された。
【0123】
実施例6-1と比較例3-1の結果に示されたようにアスコルビン酸が封入された微粒球が使用された実施例6-1の場合、投与後8週間の体積減少が相対的に少なく、初期体積の増加現象を確認することができた。これは微粒球に封入されたアスコルビン酸がヒアルロン酸の生産、コラーゲンの合成のような多様な生物学的機能を促進すると予測された。