(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】押し寿司成形器
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230816BHJP
【FI】
A23L7/10 G
(21)【出願番号】P 2023080694
(22)【出願日】2023-05-16
【審査請求日】2023-05-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年5月19日に株式会社ポーラスターが、株式会社ポーラスターの本社にて、共和化学工業株式会社に対して技術供与。 令和4年5月19日に共和化学工業株式会社が、有限会社安永商店宛に電話にて技術供与。 令和4年5月20日に有限会社安永商店が、第一パック機工業株式会社宛に電子メール及び電話にて技術供与。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595037700
【氏名又は名称】株式会社ポーラスター
(74)【代理人】
【識別番号】100074734
【氏名又は名称】中里 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100164286
【氏名又は名称】中里 卓夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086265
【氏名又は名称】川崎 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100073483
【氏名又は名称】八鍬 昇
(72)【発明者】
【氏名】角屋 裕信
(72)【発明者】
【氏名】佃 亮太郎
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-18389(JP,U)
【文献】実開昭51-101397(JP,U)
【文献】特開平7-129(JP,A)
【文献】特開2009-39077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
寿司種と前記寿司種よりも柔らかい米飯を保持する保持具と、
環状に形成され、前記保持具が周回する周回路と、前記周回路の一端部に接続され、前記周回路内を周回した前記保持具内の前記寿司種および前記米飯を排出する排出路とを有し、前記周回路内において前記寿司種および前記米飯を保持した前記保持具を搬送する搬送部と、
前記周回路における前記排出路側に位置し、前記保持具内に保持された前記寿司種および前記米飯を押圧する押圧部と、を備え、前記保持具内において前記寿司種および前記米飯を上から押圧して押し寿司を成形する押し寿司成形器であって、
前記押し寿司成形器は、さらに、
上端が開口した容器形状をしており、前記寿司種および前記米飯を収容した状態で、前記保持具に保持され、前記周回路および前記排出路内を搬送する搬送容器とを有することを特徴とする押し寿司成形器。
【請求項2】
前記保持具は、前記搬送容器を収容し、上下端部が開口した略筒形状の保持本体部と、前記保持本体部内を上下動し、前記搬送容器を受け止め、前記保持本体部の底部となる底受け部材と、を有するものであり、
前記搬送部は、さらに、前記周回路における前記排出路の手前に位置し、前記搬送容器全体が前記保持本体部から露出するまで、前記底受け部材を前記保持本体部に対して上方へ押し上げる昇降部と、前記昇降部で押し上げられた前記搬送容器を前記周回路から前記排出路へ押し出す押し出し部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の押し寿司成形器。
【請求項3】
前記押圧部は、
基端から先端に向けて幅が狭くなるように傾斜した傾斜押圧部材を有し、前記傾斜押圧部材で前記搬送容器内の前記寿司種および前記米飯を押圧した際に、前記傾斜押圧部材の先端側の側面と前記搬送容器とで生じた隙間に、前記米飯が移動可能に形成された第1押圧部と、
基端から先端に向けて幅が一定とした矩形押圧部材を有し、前記矩形押圧部材で前記搬送容器内の前記寿司種および前記米飯を押圧した際に、前記矩形押圧部材の先端側と前記搬送容器の内面とが接触する第2押圧部と、を有し、
前記第1押圧部で前記搬送容器内の前記寿司種および前記米飯を押圧した後に、前記第2押圧部で、前記第1押圧部で押圧された前記寿司種および前記米飯をさらに押圧することを特徴とする請求項1又は2に記載の押し寿司成形器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿司種および米飯を押圧して押し寿司を成形する押し寿司成形器に関する。
【背景技術】
【0002】
押し寿司は、一般的に、魚の切り身(寿司種)、米飯を容器に重ね入れ、一定の圧力で押圧することにより形成される。この押し寿司を販売するに際して、大量の押し寿司を同一の品質、質感、食感で量産するための押し寿司成形器が近年鋭意研究されている。
【0003】
例えば、
図18で示すように、特許文献1(従来例)には、押し寿司成形用型100と、この押し寿司成形用型100に収容された押し寿司の材料200と、材料200に圧を加える押圧手段310と、を有する押し寿司製造装置300が開示されている。
【0004】
この押し寿司成形用型100の上部開口には、上蓋120が設けられており、この上蓋120と材料200とが当接した状態となっている。押し寿司の材料200は、舎利と具により構成されている。
【0005】
この押し寿司製造装置300によれば、加圧前の押し寿司の材料200の表面高さや状態にばらつきがある場合でも、手作業により材料200を押し固める場合と同じように、材料200に対して、強すぎず緩すぎない適度な圧を加えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に開示された押し寿司製造装置300では、押し寿司成形用型100と押し寿司の材料200とが直接接触している。このため、押し寿司成形用型100から押圧された材料200を取り出した後も押し寿司の材料200の一部が押し寿司成形用型100に付着した状態となる場合があり、再度押し寿司成形用型100を利用する際に押し寿司成形用型100を洗浄等を行う必要があり、作業効率が悪いという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされるものであって、寿司種および米飯が保持具に付着するリスクを低減し、押し寿司を製造する製造効率を向上させた押し寿司成形器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の押し寿司成形器は、寿司種と前記寿司種よりも柔らかい米飯を保持する保持具と、環状に形成され、前記保持具が周回する周回路と、前記周回路の一端部に接続され、前記周回路内を周回した前記保持具内の前記寿司種および前記米飯を排出する排出路とを有し、前記周回路内において前記寿司種および前記米飯を保持した前記保持具を搬送する搬送部と、前記周回路における前記排出路側に位置し、前記保持具内に保持された前記寿司種および前記米飯を押圧する押圧部と、を備え、前記保持具内において前記寿司種および前記米飯を上から押圧して押し寿司を成形する押し寿司成形器であって、前記押し寿司成形器は、さらに、上端が開口した容器形状をしており、前記寿司種および前記米飯を収容した状態で、前記保持具に保持され、前記周回路および前記排出路内を搬送する搬送容器とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載の押し寿司成形器によれば、保持具とは別個の搬送容器内で寿司種および米飯を押圧するとともに排出路内から排出することで周回路を周回する保持具に寿司種や米飯が付着するリスクを低減させて、保持具を洗浄する手間をなくし、押し寿司を製造する製造効率を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記保持具は、前記搬送容器を収容し、上下端部が開口した略筒形状の保持本体部と、前記保持本体部内を上下動し、前記搬送容器を受け止め、前記保持体本体部の底部となる底受け部材と、を有するものであり、前記搬送部は、さらに、前記周回路における前記排出路の手前に位置し、前記搬送容器全体が前記保持本体部から露出するまで、前記底受け部材を前記保持本体部に対して上方へ押し上げる昇降部と、前記昇降部で押し上げられた前記搬送容器を前記周回路から前記排出路へ押し出す押し出し部と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、搬送容器が保持本体部から露出するまで底受け部材を保持本体部に対して上方へ押し上げ、押出し部がこの押し上げられた搬送容器を周回路から排出路へ押し出すことで、作業者が搬送容器を触ることなく自動的に搬送容器を排出路へ搬送することができる。このため、作業者による搬送容器を保持具から取り出す工程を省略することができ、生産効率を向上させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記押圧部は、基端から先端に向けて幅が狭くなるように傾斜した傾斜押圧部材を有し、前記傾斜押圧部材で前記搬送容器内の前記寿司種および前記米飯を押圧した際に、前記傾斜押圧部材の先端側の側面と前記搬送容器とで生じた隙間に、前記米飯が移動可能に形成された第1押圧部と、基端から先端に向けて幅が一定とした矩形押圧部材を有し、前記矩形押圧部材で前記搬送容器内の前記寿司種および前記米飯を押圧した際に、前記矩形押圧部材の先端側と前記搬送容器の内面とが接触する第2押圧部と、を有し、前記第1押圧部で前記搬送容器内の前記寿司種および前記米飯を押圧した後に、前記第2押圧部で、前記第1押圧部で押圧された前記寿司種および前記米飯をさらに押圧することを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、第1押圧部の傾斜押圧部で寿司種および米飯を押圧することで、傾斜押圧部の側面と搬送容器の内側とで生じた隙間に米飯が移動することで米飯がつぶれるのを抑制することができる。また、第1押圧部でおおよそ均一にした米飯の表面を第2押圧部の矩形押圧部材で搬送容器の内面と密着するように押圧することで押し寿司の表面を略円滑に形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本願発明の押し寿司成形器によれば、寿司種および米飯は保持具と接触させずに搬送容器に収容された状態となり、保持具に対して寿司種および米飯が付着するリスクを低減して米飯を搬出することができるので、押し寿司を製造する製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施例の押し寿司成形器において、寿司種および米飯を詰めた搬送容器を搬送した状態を示し、各作業者が作業する概略を示す概略図である。
【
図2】
図1の押し寿司成形器において、保持具および搬送容器のみを搬送した状態を示す平面図である。
【
図4】
図2の押し寿司成形器のA-A線で切断したA-A断面図である。
【
図5】
図2の押し寿司成形器の押圧部近傍の拡大図である。
【
図6】
図5のB-B線で切断したB-B断面図である。
【
図7】
図2の押し寿司成形器の搬送部の内部機構を表す概略図である。
【
図8】
図2の押し寿司成形器の搬送部を表す平面図である。
【
図9】
図2の保持具、搬送容器、寿司種および米飯を分解した分解斜視図である。
【
図10】(a)は
図9の搬送容器の平面図、(b)は(a)の搬送容器の側面図、(c)は(a)の搬送容器の正面図である。
【
図11】(a)は
図9の搬送容器に寿司種および米飯を収容した状態を表す平面図、(b)は(a)の寿司種および米飯を収納した搬送容器をC-C線で切断したC-C断面図、(c)は(a)の寿司種および米飯を収納した搬送容器をD-D線で切断したD-D断面図である。
【
図12】(a)は
図9の保持本体部の平面図、(b)は(a)の保持本体部の正面図である。
【
図13】(a)は
図9の底受け部材の平面図、(b)は(a)の底受け部材の底面図、(c)は(a)の底受け部材の側面図、(d)は(a)の底受け部材の正面図である。
【
図14】(a)は
図2の寿司成形装置の傾斜押圧部材の側面図、(b)は(a)の傾斜押圧部材の正面図、(c)は(a)の傾斜押圧部材の平面図である。
【
図15】(a)は
図2の寿司成形装置の矩形押圧部材の側面図、(b)は(a)の矩形押圧部材の正面図であり、(c)は、(a)の矩形押圧部材の平面図である。
【
図16】(a)は
図14の傾斜押圧部材で寿司を上から押圧した状態を表す概略図であり、(b)は
図15の矩形押圧部材で寿司を上から押圧した状態を表す概略図である。
【
図17】
図1の押し寿司成型器の成型方法を示すフローチャート図である。
【
図18】従来例の押し寿司製造装置の作用を説明するための図であって、押圧手段が初期の位置にあるときの状態を正面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施例)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施例に係る押し寿司成形器1について説明する。
【0018】
図1は、第1実施例の押し寿司成形器1において、寿司種2および米飯3を詰めた搬送容器10を搬送した状態を示し、各作業者61,62,63,64が作業する概略を示す概略図であり、
図2は、
図1の押し寿司成形器1において、保持具20および搬送容器10を搬送した状態を示す平面図であり、
図3は、
図2の押し寿司成形器1の正面図であり、
図4は、
図2の押し寿司成形器1のA-A線で切断したA-A断面図であり、
図5は、
図2の押し寿司成形器1の押圧部40近傍の拡大図である。
【0019】
以下では、押し寿司成形器1の幅方向をX軸方向、奥行方向をY軸方向、高さ方向をZ軸方向と表記する。
図4において、第1電動アクチュエータ41a、第1駆動機構部41b、第2電動アクチュエータ42a、第2駆動機構部42bに関しては、A-A線で切断していないものとする。
【0020】
図1、
図2、
図3および
図5で示すように、押し寿司成形器1は、寿司種2とこの寿司種2よりも柔らかい米飯3とを収容する搬送容器10と、搬送容器10を保持する保持具20と、保持具20を搬送する搬送部30と、保持部20内に保持された寿司種2および米飯3を押圧する押圧部40と、押圧部40における搬送部30よりも下の部分を覆う側壁部50と、を備える。この押し寿司成形器1は、寿司種2および米飯3を押圧して押し寿司4を成形する。
【0021】
寿司種2は、例えば、サバ等の魚の切り身などの寿司のネタである。なお、寿司種2は、寿司のネタであれば魚の切り身以外のものを用いることができ、例えば卵焼きや野菜、しいたけ、しょうが、その他の材料を用いることもできる。
【0022】
米飯3は、寿司種2に密着形成される米であり、具体的には酢飯が用いられる。
【0023】
図9は、
図2の保持具20、搬送容器10、寿司種2および米飯3を分解した分解斜視図であり、
図10(a)は
図9の搬送容器10の平面図、(b)は(a)の搬送容器10の側面図、(c)は(a)の搬送容器10の正面図であり、
図11(a)は
図9の搬送容器10に寿司種2および米飯3を収容した状態を表す平面図、(b)は(a)の寿司種2および米飯3を収納した搬送容器10をC-C線で切断したC-C断面図、(c)は(a)の寿司種2および米飯3を収納した搬送容器10をD-D線で切断したD-D断面図である。
【0024】
図10で示すように、搬送容器10は、上端が開口した容器形状をしたものである。この搬送容器10は、寿司種2および米飯3を収容した状態で、保持具20に保持され、搬送部30の周回路32および排出路34に搬送される。この搬送容器10は、圧力の負荷および極寒の温度にも耐えられる柔軟なプラスチック製の素材、例えば超耐寒ポリオレフィンにより形成されている。
【0025】
搬送容器10は、
図10(b)(c)で示すように、上部が開口しており側面が底面に向かうにつれて細くなるように傾斜する容器形状の容器本体11と、容器本体11の上端部から外周に向けて横方向に広がるように形成されたフランジ部12と、を有する。
【0026】
図9で示すように、フランジ部12が保持具20の収容部21aの周縁に接触することにより、容器本体11を保持具20の収容部21aの内側に収容しつつ、搬送容器10の収容部21aへの落下を防止することができる。
【0027】
また、容器本体11の側面が底面に向かうにつれて細くなるように形成されていることで、容器本体11を保持具20から取り外しやすく形成されている。
【0028】
図11(b)(c)で示すように、搬送容器10の底面には、寿司種2が配置され、その寿司種2の上に米飯3が配置されるようにして、寿司種2および米飯3が搬送容器10内に収納される。
【0029】
図12(a)は
図9の保持本体部21の平面図、(b)は(a)の保持本体部21の正面図であり、
図13(a)は
図9の底受け部材22の平面図、(b)は(a)の底受け部材22の底面図、(c)は(a)の底受け部材22の側面図、(d)は(a)の底受け部材22の正面図である。
【0030】
保持具20は、
図12(a)および
図13で示すように、搬送容器10を収容し、上下端部が開口した略筒形状の保持本体部21と、保持本体部21内を上下動し、搬送容器10を受け止め、保持本体部21の底部となる底受け部材22と、を有する。保持具20は、熱と耐寒性に優れかつ剛性がある素材、例えばポリアセタールにより形成される。
【0031】
保持本体部21には、
図12で示すように、中央部に形成され長手方向(X軸方向)に延びる平面視で略長方形状の一対の収容部21aと、長手方向の両端部に形成され押圧部40で押圧する際にこの押圧部40に固定される固定穴21bと、が形成されている。
【0032】
この収容部21aは、保持本体部21の上下方向(Z軸方向)に貫通して開口している。この収容部21aの開口は、容器本体11が収容され、かつフランジ部12が収容部21aの周囲に接触して搬送容器10の落下を防止することができるように、この容器本体11の上端開口よりも僅かに大きくなるように形成されている。
【0033】
固定穴21bは、
図3および
図12で示すように、上下方向(Z軸方向)に開口した円形状の穴であり、保持本体部21の固定穴21bがX軸方向に並んで2箇所形成されている。この固定穴21bに押圧部40の後述する第1位置ずれ防止部材41kが嵌まり込むことにより、押圧部40と保持本体部21とが固定された状態となり、押圧部40の押圧時の保持本体部21の横ずれを抑制することができる。
【0034】
図13で示すように、底受け部材22は、収容部21aの内部を上下動することができるように、平面視で収容部21aの開口の内径よりも僅かに小さい長方形状を有したものである。底受け部材22は、収容部21aの内側で後述する昇降部35の駆動により上方に移動することで、搬送容器10全体が保持本体部21上から露出するように押し上げる。
【0035】
図13(b)(d)で示すように、底受け部材22の底面には、周回路32との接触面積を減らして摩擦抵抗を低減するために格子状の溝22aが彫られている。この溝22aが彫られていることにより周回路32との間での滑りを良くすることができる。この溝22aの形状は、格子状に限らず、接触面積を減らすことができる形状であればよく、円周形状など、その他の形状で形成しても良い。
【0036】
図13(c)で示すように、底受け部材22の上面は、短手方向に向かって下に凸の円弧を描く曲面が形成されている。底受け部材22の上面をこのような曲面で形成することで、搬送容器10の底面との密着を促し、搬送容器10の底受け部材22からの位置ずれを抑制することができる。
【0037】
以上説明した保持具20は、搬送部30(特に後述の周回路32)上で搬送される。
【0038】
図5は、
図2の押し寿司成形器1の押圧部40近傍の拡大図であり、
図6は
図5のB-B線で切断したB-B断面図であり、
図7は
図2の押し寿司成形器1の搬送部30の内部機構を表す概略図であり、
図8は
図2の押し寿司成形器1の搬送部30を表す平面図である。
【0039】
なお、
図8において、第1押出し部33a、第2押出し部33b、第3押出し部33cおよび第4押出し部33dの初期位置および排出押出し部36の移動前の位置をそれぞれ破線で示した。
【0040】
図1および
図2で示すように、搬送部30は、環状に形成され保持具20を周回させる周回路32と、周回路32上に配置された保持具20を押し出すことによりこの保持具20を周回路32上で周回させる押出し部33と、周回路32の一端部に接続され、周回路32内を周回した保持具20内の寿司種2および米飯3を排出する排出路34と、周回路32における排出路34の手前に位置し、搬送容器10全体が保持本体部21から露出するまで、底受け部材22を保持本体部21に対して上方へ押し上げる昇降部35と、昇降部35で押し上げられた搬送容器10を周回路32から排出路34へ押し出す排出押出し部36と、を有する。
【0041】
周回路32は、
図1,2,8で示すように、Y軸方向マイナス側の端部からY軸方向プラス側の端部まで延びる第1回路32aと、第1回路32aの終端(Y軸方向プラス側の端部であってX軸方向プラス側の端部)からX軸方向マイナス側の端部まで延びる第2回路32bと、第2回路32bの終端からY軸方向マイナス側の端部まで延びる第3回路32cと、第3回路32cの終端からX軸方向プラス側の端部まで延びて第1回路32aの始端と接続される第4回路32dと、を有する。周回路32上に配置された保持具20は、押出し部33の押出しを受けて第1回路32a、第2回路32b、第3回路32c、第4回路32dを反時計回りに周回する。
【0042】
周回路32は、
図8で示すように、平面視で略長方形状の一方通行の回路をなしており、その幅長は、複数の保持具20をこの周回路32上で互いに密着した状態で搬送することができる長さに設定されている。具体的に、第2回路32bおよび第4回路32dのY軸方向の幅長は、複数の保持具20の短手方向(Y軸方向)の長さと略同じに設定され、第1回路32aおよび第3回路32cのX軸方向の幅長は、複数の保持具20の長手方向(X軸方向)の長さと略同じに設定されている。
【0043】
押出し部33は、
図2および8で示すように、第1回路32aのY軸方向に延びる側壁に設けられY軸方向に進退し、第4回路32d上の保持具20を第1回路32aに押し出す第1押出し部33aと、第2回路32bのX軸方向に延びる側壁に設けられX軸方向に進退し、第1回路32a上の保持具20を第2回路32bへ押し出す第2押出し部33bと、第3回路32cのY軸方向に延びる側壁に設けられY軸方向に進退し、第2回路32b上の保持具20を第3回路32cへ押し出す第3押出し部33cと、第4回路32dのX軸方向に延びる側壁に設けられX軸方向に進退し、第3回路32c上の保持具20を第4回路32dに押し出す第4押出し部33dと、を有する。
【0044】
第1押出し部33aは、第1回路32aの側壁におけるY軸方向マイナス側の端部にX軸方向に突出するように設けられており、第4回路32dの側壁内に収納された状態から第1回路32aの側壁の内部に設けられた駆動モーター(不図示)によりY軸方向に水平移動するように構成されている。この第1押出し部33aが例えば、一対の保持具20の短辺の長さのおよそ3倍ほどの距離をY軸方向に移動することにより第4回路32d上の一対の保持具20を第1回路32aに押し出す。
【0045】
第2押出し部33bは、第2回路32bの側壁におけるX軸方向プラス側の端部にY軸方向に突出するように設けられており、第1回路32aの側壁内に収納された状態から第2回路32bの側壁の内部に設けられた駆動モーター(不図示)によりX軸方向に水平移動するように構成されている。この第2押出し部33bが例えば、保持具20の長辺の長さだけX軸方向に移動することにより第1回路32a上の保持具20を第2回路32b上に押し出す。
【0046】
第3押出し部33cは、第3回路32cの側壁におけるY軸方向プラス側の端部にX軸方向に延びるように設けられており、第2回路32bの側壁内に収納された状態から第3回路32cの側壁の内部に設けられた駆動モーター(不図示)によりY軸方向に水平移動するように構成されている。この第3押出し部33cが例えば、一対の保持具20の短辺の長さのおよそ3倍ほどの距離をY軸方向に移動することにより第2回路32b上の保持具20を第3回路32c上に押し出す。
【0047】
第4押出し部33dは、第4回路32dの側壁におけるX軸方向マイナス側の端部にY軸方向に延びるように設けられており、第3回路32cの側壁内に収納された状態から第4回路32dの側壁の内部に設けられた駆動モーター(不図示)によりX軸方向に水平移動するように構成されている。この第4押出し部33dが例えば、保持具20の長辺の長さだけX軸方向に移動することにより第3回路32c上の保持具20を第4回路32d上に押し出す。
【0048】
周回路32上には、
図1および
図2で示すように、複数の保持具20が密に敷き詰められており、押出し部33が保持具20を押し出すことにより、その押出し方向に隣接する保持具20も一緒に押し出される。
【0049】
排出路34は、
図1,2,3,7,8で示すように、第4回路32dの終端に隣接して配置されており、周回路32の上面よりも上下方向(Z軸方向)に高い位置に配置されている。
【0050】
排出路34は
図1および
図7で示すように、例えばベルトコンベヤーであり、排出路34上に搬送された搬送容器10は、排出路34に載って排出路34の終端まで搬送される。排出路34の終端まで搬送された搬送容器10は、第4の作業員64により、その中身の押し寿司4を取り出された後に、第1の作業員61により再利用される。
【0051】
図1,5,7,8で示すように、昇降部35は、第4回路32dのX軸方向の終端に形成された昇降板35aと、昇降板35aを昇降させる昇降装置35bと、を有する。
【0052】
昇降板35aは、保持具20が第4回路32dの終端に到着した際に、保持具20の収容部21aと重なる位置となるように形成されている。この昇降板35aは、昇降装置35bの上昇により、その上に待機している保持具20の収容部21a内を通って、底受け部材22の上面が保持本体部21の上面と面一となるように底受け部材22および搬送容器10を押し上げる。
【0053】
昇降装置35bは、
図3,7で示すように、昇降板35aの下に設けられている。昇降装置35bは、シリンダ(不図示)を備えており、このシリンダを上下動させることで昇降板35aを昇降させる。
【0054】
排出押出し部36は、
図2および
図7で示すように、第4回路32dの上面から保持具20の高さよりもやや高い位置となるように、第4回路32dのX軸方向に延びる側壁から突出している。排出押出し部36は、
図2,
図7および
図8で示すように、第4回路32d上をX軸方向に沿って水平移動するように、第4回路32dの側壁からY軸方向に突出して設けられている。
【0055】
排出押出し部36は、第4回路32d上における昇降板35aよりも左側(X軸方向マイナス側)で待機しており、搬送容器10が昇降装置35bにより保持本体部21上に押し上げられたときに、右側(X軸方向プラス側)に水平移動し、搬送容器10を搬出路34に押し出す。
【0056】
このようにして、排出押出し部36は、周回路32から排出路34へ搬送容器10を搬送する際に、搬送容器10を保持する保持具20の底受け部材22から押圧して、保持具20から搬送容器10を分離して、排出路34へ搬送容器10を搬送する。
【0057】
図14(a)は
図2の寿司成形装置1の傾斜押圧部材41dの側面図、(b)は(a)の傾斜押圧部材41dの正面図、(c)は(a)の傾斜押圧部材41dの平面図であり、
図15(a)は
図2の寿司成形装置1の矩形押圧部材42dの側面図、(b)は(a)の矩形押圧部材42dの正面図であり、(c)は、(a)の矩形押圧部材42dの平面図であり、
図16(a)は
図14の傾斜押圧部材41dで寿司4を上から押圧した状態を表す概略図であり、(b)は
図15の矩形押圧部材42dで寿司4を上から押圧した状態を表す概略図である。
【0058】
押圧部40は、
図1および
図3で示すように、第4回路32dの周回路32における排出路34側に設けられ搬送容器10内の寿司種2および米飯3を押圧する第1押圧部41と、第4回路32dにおける第1押圧部41の排出路34側の隣に設けられ第1押圧部41により押圧された寿司種2および米飯3をさらに押圧する第2押圧部42と、を有する。第1押圧部41で搬送容器10内の寿司種2および米飯3を押圧した後に、第2押圧部42で、第1押圧部41で押圧された寿司種2および米飯3をさらに押圧する。
【0059】
第1押圧部41は、
図4および6で示すように、第4回路32dの下となる位置に設けられた第1電動アクチュエータ41aと、第1電動アクチュエータ41aに接続され第4回路32dよりも上方に延びるように設けられ第1電動アクチュエータ41aの駆動により上下動する第1駆動機構部41bと、第1駆動機構部41bの上端側に設けられた第1固定部41cと、第1固定部41cに固定され基端から先端に向けて幅が狭くなるように傾斜した錐台形状の傾斜押圧部材41dと、傾斜押圧部材41dの押圧力を制御する制御部(不図示)と、を有する。
【0060】
第1電動アクチュエータ41aとしては、ロボシリンダ(登録商標)などが用いられる。
【0061】
第1電動アクチュエータ41aは、
図3,6で示すように、第1シリンダ41fを有しており、制御部(不図示)からの制御を受けて、第1シリンダ41fを設定された速度、加速度、押圧力で上下方向(Z軸方向)に動作させる。このような第1電動アクチュエータ41aを用いることで、加速や減速を変更でき、衝撃を低減して第1シリンダ41fの動作、停止を行うことができる。
【0062】
第1駆動機構部41bは、
図3,4で示すように、第1電動アクチュエータ41aに接続して設けられておりY軸方向に延びる一対の第1板部材41gと、この一対の第1板部材41gのY軸方向の両端部に固定され第4回路32dの両側部において周回路32の上方へ突出する一対の第1垂直棒状部材41hと、を有し、側面視で略矩形状を呈する。
【0063】
第1固定部41cは、
図4および
図6で示すように、一対の第1垂直棒状部材41h同士を懸架するように接続する第1水平接続部41iと、第1水平接続部41iの略中央下側に固定され下方向に延出する一対の第1固定部材41mと、一対の第1固定部材41mの下端部に固定される第1固定板41nと、第1固定板41nの下端面においてX軸方向に延びるように配置され傾斜押圧部材41dと係合する第1係合部41jと、第1固定板41nの下端面において第1係合部41jよりもX軸方向外側で下方に突出して形成され保持本体部21の固定穴21bに嵌合する複数の第1位置ずれ防止部材41kと、を有する。
【0064】
第1係合部41jは、保持具20の収容部21aに対応して第1固定板41nの下端面にY軸方向に並んで二か所に互いに平行に設けられている。これら第1係合部41jは、たとえば第1固定板41nを介して締結具で螺合することにより第1固定板41nに固定されている。第1係合部41jは、傾斜押圧部材41dと係合することができるように側面視でT字状に形成されている。
【0065】
第1位置ずれ防止部材41kは、第1固定板41nの下端部から下方に向かって細くなるように延びる円金質部材であり、押圧時に周回路32上に配置されている保持本体部21の固定穴21bに対応する位置に形成されている。この第1位置ずれ防止部材41kが、保持本体部21の固定穴21bに嵌合することで、押圧時の保持具20の第1押圧部41からの位置ずれを抑制することができる。この第1位置ずれ防止部材41kの外径は、保持本体部21の固定穴21bの内径よりも僅かに小さくなるように形成されており、固定穴21bに入りやすく形成されている。
【0066】
図1,2,4および5で示すように、傾斜押圧部材41dは、Y軸方向に並んで2個設けられている。
【0067】
また、
図14(b)(c)で示すように、傾斜押圧部材41dには長手方向に延びる第1溝部41lが形成されている。この第1溝部41lは第1固定部41cの第1係合部41jと係合できるように、断面視T字状に形成されている。この第1溝部41lに第1固定部41cの第1係合部41jが係合することにより傾斜押圧部材41dが第1固定部41cに固定される。
【0068】
この傾斜押圧部材41dは、米飯などが付着しづらい素材、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの素材により形成されている。また、傾斜押圧部材41dの底面の面積は、搬送容器10の上端面の面積よりも小さく形成されている。
【0069】
図16(a)で示すように、傾斜押圧部材41dをこのように形成することで、傾斜押圧部材41dで搬送容器10内の寿司種2および米飯3を押圧した際に、傾斜押圧部材41dの先端側の側面と搬送容器10とで隙間が生じ、この隙間に米飯3を逃がすことで、米飯3が潰れるのを抑制しつつ米飯3の上面をおおよそ均一にすることができる。
【0070】
制御部(不図示)は、第1電動アクチュエータ41aに接続されており、使用者から傾斜押圧部材41dの寿司種2および米飯3への押圧力の大きさの設定入力を受け付け、傾斜押圧部材41dの寿司種2および米飯3への圧力が、あらかじめ設定された第1押圧力となるように第1電動アクチュエータ41aの駆動を制御する。
【0071】
制御部(不図示)が常に一定の第1押圧力で第1電動アクチュエータ41aの駆動を制御することで、傾斜押圧部材41dが寿司種2および米飯3を押圧した際の寿司種2の上面の押圧深さを寿司種2の固さに応じて変えることができる。
【0072】
具体的には、制御部は第1電動アクチュエータ41aによる傾斜押圧部材41dにより押圧し、寿司種2が比較的柔らかい場合には、寿司種2が比較的固い場合に比べて、米飯3および寿司種2の押圧深さが深くなるように形成されている。
【0073】
これにより、寿司種2の固さに個体差がある場合であっても、寿司種2が柔らかい場合には押圧深さを深くし、寿司種2が固い場合には押圧深さを浅くして、傾斜押圧部材41dが寿司種2および米飯3を押圧することで、寿司種2と米飯3の密着の度合いを制御部で設定した所定の圧力となるように保つことができる。
【0074】
このように、寿司種2の個体差がある場合でも寿司種2および米飯3の押圧力を設定した圧力で押圧することで、寿司種2と米飯3の密着度合いを一定に保ち、需要者が食べた際の食感を製造者の所望の食感に保つことができる。
【0075】
すなわち、本実施例の押し寿司成形器1は、寿司種2の個体差に関わらず製造者の所望の食感を常に一定に保つことで押し寿司4の品質を一定に保つことができる。
【0076】
第2押圧部42は、
図4および6で示すように、第4回路32dの下となる位置に設けられた第2電動アクチュエータ42aと、第2電動アクチュエータ42aに接続され第4回路32dよりも上方に延びるように設けられ第2電動アクチュエータ42aの駆動により上下動する第2駆動機構部42bと、第2駆動機構部42bの上端側に固定され、第2駆動機構部42bの第2上下動と共に上下する第2固定部42cと、第2固定部42cに固定され基端から先端に向けて幅が一定とした矩形状の矩形押圧部材42dと、第2電動アクチュエータ42aに接続され矩形押圧部材42dの押圧力を制御する制御部(不図示)と、を有する。
【0077】
第2電動アクチュエータ42aとしては、ロボシリンダ(登録商標)などが用いられる。
【0078】
第2電動アクチュエータ42aは、
図3,6で示すように、第2シリンダ42fを有しており、制御部(不図示)からの制御を受けて、第2シリンダ42fを設定された速度、加速度、押圧力で上下方向(Z軸方向)に動作させる。このような第2電動アクチュエータ42aを用いることで、加速や減速を変更でき、衝撃を低減して第2シリンダ42fの動作、停止を行うことができる。
【0079】
第2駆動機構部42bは、
図3および
図6で示すように、第2電動アクチュエータ42aに接続して設けられておりY軸方向に延びる一対の第2板部材42gと、この一対の第2板部材42gのY軸方向の両端部に固定され第4回路32dの両側部において周回路32の上方へ突出する一対の第2垂直棒状部材42hと、を有し、側面視で略矩形状を呈する。
【0080】
第2固定部42cは、
図3および
図6で示すように、一対の第2垂直棒状部材42h同士を懸架するように接続する第2水平接続部42iと、第2水平接続部42iの略中央下側に固定され下方向に延出する一対の第2固定部材42mと、一対の第2固定部材42mの下端部に固定される第2固定板42nと、第2固定板42nの下端面においてX軸方向に延びるように配置され矩形押圧部材42dと係合する第2係合部42jと、第2固定板42nの下端面において第2係合部42jよりもX軸方向外側で下方に突出して形成され保持本体部21の固定穴21bに嵌合する複数の第2位置ずれ防止部材42kと、を有する。
【0081】
第2係合部42jは、保持具20の収容部21aに対応して第2固定板42nの下端面にY軸方向に並んで二か所に互いに平行に設けられている。これら第2係合部42jは、たとえば第2固定板42nを介して締結具で螺合することにより第2固定板42nに固定されている。第2係合部42jは、矩形押圧部材42dと係合することができるように側面視でT字状に形成されている。
【0082】
第2位置ずれ防止部材42kは、第2固定板42nの下端部から下方に向かって細くなるように延びる円金質部材であり、押圧時に周回路32上に配置されている保持本体部21の固定穴21bに対応する位置に形成されている。この第2位置ずれ防止部材42kが、保持本体部21の固定穴21bに嵌合することで、押圧時の保持具20の第2押圧部42からの位置ずれを抑制することができる。この第2位置ずれ防止部材42kの外径は、保持本体部21の固定穴21bの内径よりも僅かに小さくなるように形成されており、固定穴21bに入りやすく形成されている。
【0083】
図15(b)(c)で示すように、矩形押圧部材42dには長手方向に延びる第2溝部42lが形成されている。この第2溝部42lは第2固定部42cの第2係合部42jと係合できるように、断面視T字状に形成されている。この第2溝部42lに第2固定部42cの第2係合部42jが係合することにより矩形押圧部材42dが第2固定部42cに固定される。
【0084】
この矩形押圧部材42dは、傾斜押圧部材41dと同様に、米飯3などが付着しづらい素材、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの素材により形成されている。また、矩形押圧部材42dの底面の面積は、搬送容器10の上端面の面積とほぼ等しく形成されている。矩形押圧部材42dで搬送容器10内の寿司種2および米飯3を押圧した際に、矩形押圧部材42dの先端側の側面が搬送容器10の内面と接触する。
【0085】
図16(b)で示すように、矩形押圧部材42dをこのように形成することで、傾斜押圧部材41dによる押圧時に搬送容器10の内面と傾斜押圧部材41dの間に逃がした米飯3を矩形押圧部材42dで押さえつけ、米飯3の表面を均一にすることができる。
【0086】
制御部(不図示)は、矩形押圧部材42dの寿司種2および米飯3への圧力である第2押圧力が第1押圧部41の第1押圧力よりも大きな圧力となるように第2押圧部42の第2電動アクチュエータ42aの駆動を制御すると良い。
【0087】
これにより、予め第1押圧力で均一にした米飯3の表面を、比較的大きな第2押圧力で押圧し、いきなり第2押圧力で押圧した場合に比べて、米飯3が潰れるのを抑制しつつ、米飯3の表面を均一にすることができる。
【0088】
制御部(不図示)が常に一定の第2押圧力で第2電動アクチュエータ42aの駆動を制御することで、矩形押圧部材42dが寿司種2および米飯3を押した際の寿司種2および米飯3の押圧深さを寿司種2の大きさや硬さに応じて変えることができる。
【0089】
具体的に、寿司種2(米飯3よりも固いもの)の大きさが想定よりも大きな場合は、押圧部40の押圧負荷が大きいため矩形押圧部材42dが寿司種2および米飯3を押圧した際の寿司種2および米飯3の押圧深さが小さくなり、押さえつけすぎるリスクを低減することができる。また、寿司種2の大きさが想定よりも小さな場合は、押圧部40との押圧負荷が小さいため矩形押圧部材42dが寿司種2および米飯3を押した際の寿司種2および米飯3の押圧深さが大きくなり、寿司種2が米飯3に押圧されないリスクを低減することができる。
【0090】
また、寿司種2が比較的柔らかい場合は、寿司種2が比較的固い場合に比べて、搬送容器10の上端開口からの押圧深さが深くなる。これにより、寿司種2の固さに個体差がある場合であっても、寿司種2が柔らかい場合には深く、寿司種2が固い場合には浅く、矩形押圧部材42dが寿司種2および米飯3を押圧し、寿司種2と米飯3の密着が寿司種2の固さに応じて適切に変わることとなる。
【0091】
このように、本実施例の押し寿司成形器1は、切り方による個体差の大きさが異なる寿司種2を含む押し寿司4においても、大きさや硬さを含む個体差を考慮して寿司種2の押圧力を調整し、需要者が食べた際の食感を一定に保つことができる。
【0092】
すなわち、本実施例の押し寿司成形器1では、寿司種2の押圧力を一定に保つことで個体差を含む押し寿司4であっても製造者の所望の食感を保ち、押し寿司4の品質を一定に保つことができる。
【0093】
以上説明した実施例に係る押し寿司成形器1によれば、保持具20とは別個の搬送容器10内で寿司種2および米飯3を押圧するとともに排出路34内から排出することで周回路32を周回する保持具20に寿司種2や米飯3が付着するリスクを低減させることで、保持具20を洗浄する手間をなくし、押し寿司4を製造する製造効率を向上させることができる。
【0094】
搬送容器10が保持本体部21から露出するまで底受け部材22を保持本体部21に対して上方へ押し上げ、排出押出し部36がこの押し上げられた搬送容器10を周回路32から排出路34へ押し出すことで、作業者(第1の作業者61、第2の作業者62、第3の作業者63および第4の作業者64)が搬送容器10を触ることなく自動的に搬送容器10を排出路34へ搬送することができる。このため、作業者による搬送容器10を保持具20から取り出す工程を省略することができ、生産効率を向上させるとともに人件費も削減することができる。
【0095】
また、第1押圧部41の傾斜押圧部41dで寿司種2および米飯3を押圧することで、傾斜押圧部41dの側面と搬送容器10の内側とで生じた隙間に米が移動することで米飯3がつぶれるのを抑制することができる。また、第1押圧部41でおおよそ均一にした米飯3の表面に第2押圧部42で比較的大きな押圧力により圧力を加えることで全体を均一に力を与えることができ、米飯3と寿司種2との密着のばらつきを低減することができる。
【0096】
さらに、傾斜押圧部材41dで初めに米飯3を押圧することで、米飯3が傾斜押圧部材41dの両側に入り込むことで、押圧部40による米飯3の逃げ道を確保して米飯3が潰れることを防止することができる。
【0097】
図17は、
図1の押し寿司成型器1の成型方法を示すフローチャート図である。
【0098】
以下、押し寿司成形器1を用いて押し寿司4を成形する方法について
図1および
図17を用いて説明する。
【0099】
初期条件として、周回路32には所定個数の保持具20が予め載置されているものとする。また、保持具20は、周回路32上を第1回路32a、第2回路32b、第3回路32c、第4回路32dの順に、反時計回りに周回するものとする。さらに、周回路32上の保持具20は、所定の時間を経過するごとに、第1押出し部33a、第2押出し部33b、第3押出し部33cおよび第4押出し部33dにより周回路32上を例えば、保持具20の短辺の長さの3倍又は長辺の長さの分の距離だけ移動して停止するものとする。
【0100】
なお、第1回路32aに載置されている保持具20には、搬送容器10が保持されていないものとする。
【0101】
図1で示すように、第2回路32bに沿って、周回路32が流れる方向に向かって、搬送容器10を保持具20に保持する第1の作業者61と、保持具20に保持された搬送容器10に寿司種2を詰める第2の作業者62と、保持具20に米飯3を詰める第3の作業者63と、排出路34には、押し寿司4を収容した搬送容器10を回収する第4の作業者64が並んでいる。
【0102】
図1で示すように、第1回路32a内の保持具20が第1押出し部33aに押し出され、第1回路32aの終端に移動する(STEP1)。
【0103】
第1回路32aの終端に保持具20が移動すると、第2押出し部33bに押し出されることによりこの保持具20が第2回路32bへ移動する(STEP2)
【0104】
第2押出し部33bは、第1回路32a内の保持具20を第2回路32bに移動させる。第1の作業者61は、第2回路32bに流れてきた保持具20の収容部21aに搬送容器10を収容し、保持する(STEP2、3)。この際に、搬送容器10は保持具20の内面と隙間を空けた状態で保持具20に保持されている。
【0105】
次に第2押出し部33bは、第1回路32a内の新たな保持具20を第2回路32b内へ移動させ、第1の作業者61が搬送容器10を保持した保持具20を第1の作業者61から第2の作業者62の前に移動させる。第2の作業者62は、保持具20に保持された搬送容器10に寿司種2を収容する(STEP4)。
【0106】
第2押出し部33bは、第1回路32a内の新たな保持具20を第2回路32b内へ移動させ、保持具20を第2の作業者62から第3の作業者63の前に移動させる。第3の作業者63は、保持具20に保持され、寿司種2を収容した搬送容器10に米飯3を上から収容する(STEP5)。
【0107】
その後、第2押出し部33bは、第1回路32a内の新たな保持具20を第2回路32b内へ移動させ、これに伴い、寿司種2および米飯3が収容された第3の作業者63の前の搬送容器10を保持した保持具20は、第2回路32bの終端に移動する(STEP5)。
【0108】
第3押出し部33cは、第2回路32bの終端に移動してきた保持具20を押し出し、これに伴い保持具20は、第3回路32cの終端に移動する(STEP6)。
【0109】
第4押出し部33dは、第3回路32cの終端に移動してきた保持具20を押し出し、これに伴い保持具20は、第4回路32dへ移動する(STEP7)。
【0110】
保持具20が第1押圧部41に対応する位置に移動すると、第1電動アクチュエータ41aの駆動により、搬送容器10上の傾斜押圧部材41dが降下し、第1押圧力で寿司種2および米飯3を押圧する(STEP8)。
【0111】
傾斜押圧部材41dが寿司種2および米飯3を押圧した後、第1電動アクチュエータ41aの駆動により、傾斜押圧部材41dが上昇し、第4押出し部33dは、保持具20を押し出してこれに伴い第1押圧部41に対応する位置の保持具20は、第2押圧部42に対応する位置に移動する。
【0112】
保持具20が第2押圧部42に対応する位置に移動すると、第2電動アクチュエータ42aの駆動により、搬送容器10上の矩形押圧部材42dが降下し、第2押圧力で寿司種2および米飯3を押圧して、押し寿司4を成形する(STEP9)。
【0113】
矩形押圧部材42dが寿司種2および米飯3を押圧した後、第2電動アクチュエータ42aの駆動により、矩形押圧部材42dが上昇し、第4押出し部33dが保持具20を押し出すことで、これに伴い、保持具20が第4回路32d上を終端まで移動する。
【0114】
第4回路32dの終端に位置する昇降部35の昇降板35aと、搬送容器10とが対応する位置まで保持具20が移動すると、昇降装置35bが駆動し、昇降板35a、底受け部材22および搬送容器10を垂直方向(Z軸方向)に持ち上げ、底受け部材22および搬送容器10を保持本体部21から分離する(STEP10)。
【0115】
排出押出し部36は、保持本体部21から分離し昇降装置35bにより持ち上げられた搬送容器10を、X軸方向に沿って押し出すことにより、搬送容器10のみを第4回路32dから排出路34に排出する(STEP11)。
【0116】
排出路34に排出された搬送容器10は、第4の作業者64により回収される(STEP12)。
【0117】
昇降装置35bが降下することで、底受け部材22が保持本体部21の収容部21a内に再度収容される。
【0118】
第1押出し部33aは、保持具20を押し出すことで、保持具20を第4回路32dから第1回路32aに移動させる(STEP13,14)。
【0119】
排出路34で回収された搬送容器10は、第4の作業者64により押し寿司4が搬送容器10から取り出された後、再利用され、第1の作業者61により保持具20に再度保持される。
【0120】
本実施例の押し寿司成型器1は、周回路32および排出路34内を搬送する保持具20とは別個の搬送容器10内に寿司種2および米飯3を収容することで、特に寿司種2等が搬送容器10の内面に付着しても、周回路32および排出路34の搬送を止めずに付着した寿司種2等を除去することができるため、押し寿司4の製造効率を向上させることができる。
【0121】
また、本実施形態の押し寿司成型器1は、上記のように保持具20に保持された搬送容器10が周回路32および排出路34を移動することで、わずか4人の作業者61,62,63,64で効率よく押し寿司4を製造することができ、作業者61,62,63,64が移動する必要がなく各作業者61,62,63,64がそれぞれの作業に集中でき、押し寿司4の品質を一定に保つことができる。
【0122】
さらに、本実施例の押し寿司成型器1では、搬送容器10を、上端部にフランジ部12を設けるとともに、側面の形状を底面に向かうにつれて細くすることで、保持具20の内面と搬送容器10との間に隙間を形成することで、保持具20内への搬送容器10の挿入や、保持具20内からの搬送容器10の取り外しを円滑に行い、押し寿司4の製造効率を向上させることができる。
(他の実施例)
【0123】
上記実施例では、第1押圧部41がY軸方向に並んで2個の傾斜押圧部材41dを有し、第2押圧部42がY軸方向に並んで2個の矩形押圧部材42dを有し、保持本体部21の固定穴21bがX軸方向に並んで2箇所に形成されている構成としたが、第1押圧部41、第2押圧部42および保持本体部21の構成はこれに限られない。
【0124】
例えば、第1押圧部41がY軸方向に並んで1個または3個以上の傾斜押圧部材41dを有し、第2押圧部42がY軸方向に並んで1個または3個以上の矩形押圧部材42dを有し、保持本体部21の固定穴21bが傾斜押圧部材41dおよび矩形押圧部材42dの個数に対応してX軸方向に並んで1箇所または3箇所に形成されている構成としても良い。
【0125】
上記実施例では、搬送容器10の素材として超耐寒ポリオレフィンを用い、保持具20の素材としてポリアセタールを用い、傾斜押圧部材41dおよび矩形押圧部材42dの素材としてポリテトラフルオロエチレンを用いたが、搬送容器10、保持具20、傾斜押圧部材41dおよび矩形押圧部材42dの素材はこれらに限られず、例えばポリエチレン、ポロプロピレンなど種々の素材を用いることができる。
【0126】
上記実施例では、周回路32上の保持具20は、所定の時間を経過するごとに、第1押出し部33a、および第3押出し部33cにより周回路32上を例えば、保持具20の短辺の長さの3倍の距離だけ移動して停止するものとし、第2押出し部33bおよび第4押出し部33dにより周回路32上を例えば、保持具20の長辺の長さの距離だけ移動して停止するものとして説明したが、特にこれに限られるものではなく(保持具20が移動する距離は保持具20の短辺の長さの3倍又は長辺の長さの距離に限られず)、第1押出し部33a、第2押出し部33b、第3押出し部33c、第4押出し部33dにより保持具20を周回路32上において適切に移動することができれば、その移動距離を適宜設定することができる。
【0127】
上記実施例では、第2押圧部42の制御部(不図示)が、矩形押圧部材42dの寿司種2および米飯3への圧力である第2押圧力が第1押圧部41の第1押圧力よりも大きな圧力となるように第2押圧部42の第2電動アクチュエータ42aの駆動を制御する構成としたが、第2押圧力は第1押圧力よりも大きな圧力である必要はなく、第2押圧力は第1押圧力よりも小さく設定されていても良く、第2押圧力と第1押圧力が同じ圧力に設定するように第2電動アクチュエータ42aを制御しても良い。
【0128】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替及び改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0129】
1…押し寿司成形器 2…寿司種 3…米飯 4…押し寿司
10…搬送容器
11…容器本体 12…フランジ部
20…保持具
21…保持本体部 21a…収容部 21b…固定穴 22…底受け部材 22a…溝
30…搬送部
32…周回路 32a…第1回路 32b…第2回路 32c…第3回路 32d…第4回路
33…押出し部 33a…第1押出し部 33b…第2押出し部 33c…第3押出し部 33d…第4押出し部
34…排出路
35…昇降部
35a…昇降板 35b…昇降装置
36…排出押出し部
40…押圧部
41…第1押圧部 41a…第1電動アクチュエータ 41b…第1駆動機構部 41c…第1固定部 41d…傾斜押圧部材 41f…第1シリンダ 41g…第1板部材 41h…第1垂直棒状部材 41i…第1水平接続部 41j…第1係合部 41k…第1位置ずれ防止部材 41m…第1固定部材 41n…第1固定板
42…第2押圧部 42a…第2電動アクチュエータ 42b…第2駆動機構部 42c…第2固定部 42d…矩形押圧部材 42f…第2シリンダ 42g…第2板部材 42h…第2垂直棒状部材 42i…第2水平接続部 42j…第2係合部 42k…第2位置ずれ防止部材 42m…第2固定部材 42n…第2固定板
50…側壁部
61…第1の作業者 62…第2の作業者 63…第3の作業者 64…第4の作業者
【要約】
【課題】寿司種2および米飯3が保持具20に付着するリスクを低減し、押し寿司4を製造する製造効率を向上させた押し寿司成形器を提供する。
【解決手段】
押し寿司成形器1は、寿司種2と米飯3を保持する保持具20と、環状に形成され、保持具20が周回する周回路32と、周回路32の一端部に接続され、周回路32内を周回した保持具20内の寿司種2および米飯3を排出する排出路34とを有し、周回路32内において寿司種2および米飯3を保持した保持具20を搬送する搬送部30と、周回路32における排出路34側に位置し保持具20内に保持された寿司種2および米飯3を押圧する押圧部40と、を備え、保持具20内において寿司種2および米飯3を上から押圧して押し寿司4を成形し、押し寿司成形器1は、さらに、上端が開口した容器形状をしており、寿司種2および米飯3を収容した状態で保持具20に保持され、周回路32および排出路34内を搬送する搬送容器10を有する。
【選択図】
図1