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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ロック機構のソケット
(51)【国際特許分類】
   E05F 3/22 20060101AFI20230816BHJP
   E05C 17/08 20060101ALI20230816BHJP
   E05C 19/06 20060101ALI20230816BHJP
   E05C 17/36 20060101ALN20230816BHJP
   B60J 5/10 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
E05F3/22 D
E05C17/08
E05C19/06 C
E05C17/36
B60J5/10 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020063875
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021161731
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598059675
【氏名又は名称】株式会社ヴイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小島 侑也
(72)【発明者】
【氏名】日比 和宏
(72)【発明者】
【氏名】日比 利信
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-331836(JP,A)
【文献】登録実用新案第3123149(JP,U)
【文献】米国特許第9278718(US,B1)
【文献】特開2019-166933(JP,A)
【文献】特開平10-100682(JP,A)
【文献】特開2017-89807(JP,A)
【文献】米国特許第5632501(US,A)
【文献】特開平10-299818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 3/22
E05C 17/00-19/18
B60J 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボディに対し開閉動作するドアと前記ボディとの間に設けられて前記ドアの開き動作を規制するロック機構のソケットであって、
前記ドア側と前記ボディ側とのうちの一方に繋がるケースを備えており、
前記ケースには、前記ドア側と前記ボディ側とのうちの他方に繋がるジョイント部材の頭部を同ケース内に挿入させる挿入孔、及び、その挿入孔の内壁面に繋がるよう同挿入孔に対し並列になるとともに同挿入孔よりも幅の小さい係合孔が形成されており、
前記係合孔は、前記ドアの開き動作時に前記ジョイント部材が前記ケースに対し相対移動する方向に向けて前記挿入孔の内壁面から離れるよう、且つ、前記ジョイント部材における前記頭部よりも小さい胴部を挿入可能な幅となるよう形成されており、
前記ケースの内部には、前記ジョイント部材の頭部を前記係合孔側に向けて付勢する付勢部材が設けられている
ことを特徴とするロック機構のソケット。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記ジョイント部材の頭部に対し直接的に接触して前記頭部を押圧する押圧部材を介して、その頭部を前記係合孔側に付勢するものであり、
前記押圧部材は、前記ジョイント部材の頭部に接触するとき、前記挿入孔に対応して位置するものとされている請求項1に記載のロック機構のソケット。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記ジョイント部材の頭部を前記ケースの内面との間で挟持するものである請求項2に記載のロック機構のソケット。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記ジョイント部材の頭部に接触するとき、同ジョイント部材における胴部の周りの一部を囲むものとされている請求項2又は3に記載のロック機構のソケット。
【請求項5】
前記押圧部材は、前記ジョイント部材の頭部を付勢する方向に前記ケースの壁を貫通して同ケースの外部に突出する操作部を備えている請求項2~4のいずれか一項に記載のロック機構のソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機構のソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両においては、ボディに対し開閉動作するドアと同ボディとの間に両者を繋ぐロック機構を設け、そのロック機構を通じてドアの開き動作を規制することが行われている。こうしたロック機構によるドアの開き動作の規制は、例えばドアを開き動作途中の半開き状態で停止させる場合などに行われる。
【0003】
ロック機構には、ボディ側とドア側とを連結するための連結部が設けられている。そして、同連結部では、ボディ側とドア側とのうちの一方に繋がるソケット、及び、ボディ側とドア側とのうちの他方に繋がるジョイント部材を用いて、ボディ側とドア側との連結を行うようにしている。
【0004】
例えば特許文献1には、ジョイント部材の球体状の頭部を移動自在に嵌め込み可能な球面受容部をソケットに形成し、その球面受容部内に挿入されたスナップリングで同球面受容部内から上記頭部が抜けないようにすることで、ソケットとジョイント部材とを連結することが記載されている。そして、このようにソケットとジョイント部材とを連結することにより、ロック機構の連結部におけるボディ側とドア側との連結を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-299818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両に大きな荷物を出し入れするとき等には、ボディとドアとの間におけるロック機構の連結部、すなわちソケットとジョイント部材とによるボディ側とドア側との連結、すなわちソケットとジョイント部材との連結を解除したいという要望がある。同連結を解除するためには、ソケットにおける球面受容部内のスナップリングを取り外し、球面受容部内からジョイント部材の頭部を抜き出す必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1には、ソケットの外に位置するばね部の操作を通じてスナップリングを球面受容部から抜き出すことについて記載されてはいるものの、そうしたばね部の操作の難易度については不明であり、スナップリングの球面受容部からのジョイント部材の頭部の抜き出しを必ずしも簡単に行うことができるとは限らない。従って、ロック機構におけるボディ側とドア側との連結の解除を簡単に行えるようにする点で、更なる改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、ボディ側とドア側との連結を簡単に解除することができるロック機構のソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するソケットは、車両のボディに対し開閉動作するドアと上記ボディとの間に設けられてドアの開き動作を規制するロック機構に適用される。同ソケットは、ドア側とボディ側とのうちの一方に繋がるケースを備える。このケースには、ドア側とボディ側とのうちの他方に繋がるジョイント部材の頭部を同ケース内に挿入させる挿入孔、及び、その挿入孔の内壁面に繋がるよう同挿入孔に対し並列になるとともに同挿入孔よりも幅の小さい係合孔が形成されている。上記係合孔は、ドアの開き動作時にジョイント部材がケースに対し相対移動する方向に向けて上記挿入孔の内壁面から離れるよう、且つ、ジョイント部材における頭部よりも小さい胴部を挿入可能な幅となるよう形成されている。上記ケースの内部には、挿入孔から挿入されたジョイント部材の頭部を係合孔側に向けて付勢する付勢部材が設けられている。
【0010】
上記構成によれば、ソケットとジョイント部材との連結時には、ソケットのケースにおける係合孔をジョイント部材の胴部が通過した状態で、ケースの内部にジョイント部材の頭部が位置している。この位置での頭部はケースに対し抜き出されないように係合されており、そうした係合を通じてケース(ソケット)とジョイント部材とが連結され、ひいてはボディ側とドア側とが連結される。また、このときのジョイント部材の頭部は、ケース内において付勢部材により挿入孔側から係合孔側に向けて付勢されており、それによって上記位置からずれないようにされている。
【0011】
ボディ側とドア側との連結、すなわちソケット(ケース)とジョイント部材との連結を解除する際には、両者を付勢部材による付勢力に抗する方向に相対移動させることにより、ケース内におけるジョイント部材の頭部を同ケースの挿入孔に対応して位置させる。この状態のもと、互いに離間する方向についてのジョイント部材とケースとの相対移動を通じて、ジョイント部材の頭部を挿入孔からケース外に抜き出すことにより、ソケットとジョイント部材との連結が解除される。このように、ソケットとジョイント部材との連結の解除が上述した二つの方向についての相対移動を通じておこなわれるため、ボディ側とドア側との連結を簡単に解除することができる。
【0012】
上記ソケットの付勢部材は、ジョイント部材の頭部に対し直接的に接触して上記頭部を押圧する押圧部材を介して、その頭部を係合孔側に付勢するものとすることが考えられる。更に、押圧部材は、ジョイント部材の頭部に接触するとき、挿入孔に対応して位置するものとすることが考えられる。
【0013】
この構成によれば、ソケット(ケース)とジョイント部材との連結時、ケース内におけるジョイント部材の頭部は、同頭部に対し直接的に接触する押圧部材を介して、付勢部材により挿入孔側から係合孔側に向けて付勢される。このときのケース内の押圧部材は挿入孔に対応して位置するため、ケースの外からの挿入孔を介した目視により、ジョイント部材の頭部に対する押圧部材の接触態様を適正となっているか否か確認することができる。
【0014】
上記ソケットの押圧部材は、ジョイント部材の頭部をケースの内面との間で挟持するものとすることが考えられる。
この構成によれば、ソケット(ケース)とジョイント部材との連結時、ケース内におけるジョイント部材の頭部が、付勢部材の付勢力が作用する押圧部材によってケースの内面との間に挟持されるため、ケースに対し抜き出されないよう係合される位置からより一層ずれにくくなる。
【0015】
上記押圧部材は、ジョイント部材の頭部に接触するとき、同ジョイント部材における胴部の周りの一部を囲むものとすることが考えられる。
この構成によれば、押圧部材がジョイント部材の頭部に接触するとき、その接触だけでなくジョイント部材の胴部の周りの一部を囲むようにもなるため、それに伴いジョイント部材の頭部に対する押圧部材の接触が解除されにくくなる。
【0016】
上記押圧部材は、ジョイント部材の頭部を付勢する方向にケースの壁を貫通して同ケースの外部に突出する操作部を備えるものとすることが考えられる。
連結解除されたソケット(ケース)とジョイント部材との再連結は、連結解除のときと逆の手順によって行われる。再連結時にジョイント部材の頭部を挿入孔からケース内に挿入するときには、そのケース内の押圧部材を予めコイルスプリングの付勢力に抗する方向に変位させておき、ジョイント部材の頭部がケースの挿入孔を押圧部材に阻害されずに通るようにしておく必要がある。
【0017】
上記構成によれば、連結解除されているケースとジョイント部材との再連結に伴い、ケースに対し押圧部材を付勢部材の付勢力に抗する方向に変位させるに当たり、その変位を押圧部材の操作部をケース内に押し込むことによって容易に行うことが可能になる。このように押圧部材の上記変位を容易に行うことができる分、ケースとジョイント部材との再連結がより簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ロック機構のソケットが適用される車両の後部を示す側面図。
図2】ソケットを示す断面図。
図3】ソケットの内部を示す分解斜視図。
図4】ソケットのケースにおける挿入孔及びその周辺を示す正面図。
図5】ソケットの動作態様を示す断面図。
図6】ソケットの動作態様を示す断面図。
図7】ソケットの動作態様を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、ロック機構のソケットの一実施形態について、図1図7を参照して説明する。
図1に示す車両の後部には、ボディ1に対し開閉動作するドア2と同ボディ1との間に、両者を繋ぐロック機構3が設けられている。なお、この実施形態のドア2は、ボディ1に対する跳ね上げ方向に開き動作(跳ね上げ動作)する一方、その動作と逆方向に閉じ動作する。上記ドア2は、ボディ1に対する跳ね上げ方向(開き方向)に付勢されている。上記ロック機構3は、ドア2の跳ね上げ(開き動作)を規制するためのものであって、そのドア2を跳ね上げ途中の半開き状態で停止させる場合などに用いられる。
【0020】
ロック機構3は、ボディ1に設けられたドラム4と、そのドラム4に対する巻き取り及び同ドラム4からの繰り出しが行われるワイヤ5と、そのワイヤ5の先端をドア2に対し連結するための連結部6と、を備えている。ドラム4は、ドア2の跳ね上げに伴ってワイヤ5が繰り出されるとき、第1回転方向(ワイヤ5の繰り出し方向)に回転する。また、ドラム4は、第1回転方向と逆の方向である第2回転方向(ワイヤ5の巻き取り方向)に付勢されている。
【0021】
ドラム4に作用するワイヤ5の巻き取り方向についての付勢力は、ドア2に作用する跳ね上げ方向についての付勢力よりも小さくされている。このため、ドア2がボディ1に対し跳ね上げ動作するときには、その跳ね上げ動作がドラム4に作用する付勢力に抗して行われる。ロック機構3は、ドラム4のドア2の跳ね上げ途中で、すなわち第1回転方向への回転中に、ユーザーによってドア2が閉じ側に向けて所定量変位されたとき、すなわちドラム4が第2回転方向に所定量回転したとき、同ドラム4の第1回転方向への回転を規制する機能を有している。
【0022】
ロック機構3の上記機能により、ドア2を跳ね上げ途中の半開き状態で停止させることが可能となる。なお、ロック機構3は、ドラム4の第1回転方向への回転の規制中、ユーザーによってドア2が閉じ側に向けて所定量変位されたとき、すなわちドラム4が第2回転方向に所定量回転したとき、同ドラム4の第1回転方向への回転の規制を解除する機能も有している。こうしたロック機構3の機能により、半開き状態で停止しているドア2の跳ね上げを再開することが可能となる。
【0023】
次に、ロック機構3の連結部6について説明する。
図2に示すように、連結部6では、ボディ1側とドア2側とのうちの一方に繋がるソケット7、及び、ボディ1側とドア2側とのうちの他方に繋がるジョイント部材8を用いて、ボディ1側とドア2側との連結を行うようにしている。ソケット7は、ワイヤ5に接続されるケース9を備えている。そして、ソケット7のケース9はワイヤ5及びドラム4(図1)を介してボディ1側に繋がっており、ジョイント部材8はドア2に対し固定されることにより同ドア2側に繋がっている。
【0024】
一方、ジョイント部材8は、球体状の頭部8aと、その頭部8aに繋がる胴部8bと、を備えている。ジョイント部材8の胴部8bは、頭部8aに近づくほど径が縮小するテーパ状に形成されており、頭部8aと反対側の端部がドア2に対し固定されている。ジョイント部材8の頭部8aは、ソケット7のケース9に形成された挿入孔21から同ケース9の内部に挿入されている。
【0025】
次に、ソケット7について詳しく説明する。
ケース9の内部において、ジョイント部材8の頭部8aよりもワイヤ5側の部分には押圧部材10が設けられており、その押圧部材10よりもワイヤ5側の部分にはコイルスプリング11が設けられている。また、ケース9におけるワイヤ5側の端部は開口しており、その開口部分にワイヤ5の先端部5aを接続するための接続部材12が取り付けられている。
【0026】
接続部材12は、その内部にワイヤ5の先端部5aを挿入可能な筒状となっている。ワイヤ5の先端部5aは接続部材12における内部の底に係止されており、その底をワイヤ5が貫通して接続部材12の内部に位置する先端部5aと繋がっている。接続部材12の外周面には爪13が形成されている。そして、接続部材12をケース9の開口部分に差し込むと、上記爪がケース9に形成された嵌合孔14に嵌め込まれて同ケース9から接続部材12が抜けないようにされる。
【0027】
ケース9の内部において、押圧部材10は、コイルスプリング11の伸縮方向(図2の略左右方向)に移動可能となっている。そして、コイルスプリング11は、押圧部材10をジョイント部材8の頭部8aに向けて付勢する。その結果、押圧部材10がジョイント部材8の頭部8aに接触し、同頭部8aをワイヤ5側から離れる方向(図2の右方向)に押圧する。このとき、押圧部材10におけるジョイント部材8の頭部8aに接する部分は、その頭部8aをケース9の内面との間で挟持するとともに、ケース9の挿入孔21に対応して位置するようになる。
【0028】
押圧部材10は、ジョイント部材8の頭部8aに接触する部分から図2の右方向(ワイヤ5から離れる方向)に、且つ、同頭部8aを迂回するように突出し、ケース9の壁を貫通するプレート状の操作部10aを備えている。この操作部10aを押して押圧部材10とケース9とをコイルスプリング11の付勢力に抗する方向に相対移動させることにより、押圧部材10におけるジョイント部材8の頭部8aに接触する部分を同頭部8aから離れさせることが可能となる。
【0029】
図3は、ソケット7を分解した状態を示している。図3から分かるように、ソケット7の接続部材12には、その接続部材12の内外を連通するスリット15がワイヤ5と同方向に延びるように形成されている。従って、ワイヤ5の先端部5aを接続部材12の開口端側(図3では上側)に位置させた状態で、スリット15を介して接続部材12の内部にワイヤ5を入り込ませ、そのワイヤ5を接続部材12から離れる方向(図3の下方向)に引っ張ることにより、ワイヤ5の先端部5aが接続部材12の内部に侵入して同内部の底に係止される。
【0030】
その後、ケース9の開口する部分から押圧部材10及びコイルスプリング11を順番にケース9内に挿入し、更に上記接続部材12がケース9の開口する部分に差し込まれる。そして、接続部材12の外周面に形成された爪13がケース9の嵌合孔14に嵌め込まれることにより、ケース9に対し押圧部材10、コイルスプリング11、及び接続部材12が組み付けられた状態となる。
【0031】
図4は、ケース9における挿入孔21、及び、同挿入孔21の周辺を、それらの正面から見た状態を示している。図4から分かるように、ケース9には、挿入孔21の内壁面21aに繋がるよう同挿入孔21に対し並列になる同挿入孔21よりも幅の小さい係合孔22が形成されている。この係合孔22は、ドア2(図1)の跳ね上げ時にジョイント部材8がケース9に対し相対移動する方向、すなわち図4の上方に向けて挿入孔21の内壁面21aから離れるよう、且つ、ジョイント部材8における頭部8aよりも小さい胴部8bを挿入可能な幅となるよう形成されている。
【0032】
そして、コイルスプリング11の付勢力が押圧部材10を介してジョイント部材8に作用するときには、押圧部材10がジョイント部材8の頭部8aに接触するとともに胴部8bに対しその周りの一部を囲むようにも接触する。すなわち、そのようにジョイント部材8の頭部8a及び胴部8bに対し接触するよう、押圧部材10におけるジョイント部材8側の部分が形成されている。また、このときには、押圧部材10がケース9の係合孔22との間で、ジョイント部材8の胴部8bのほぼ全周を囲んだ状態ともなる。なお、このときのコイルスプリング11は、ジョイント部材8の胴部8bが係合孔22側に挿入されるように付勢する付勢部材としての役割を担う。
【0033】
次に、ロック機構3のソケット7の作用について説明する。
図5に示すように、ソケット7のジョイント部材8との連結時には、ケース9における係合孔22をジョイント部材8の胴部8bが通過した状態で、ケース9の内部にジョイント部材8の頭部8aが位置している。この位置での頭部8aはケース9に対し抜き出されないように係合しており、そうした係合を通じてケース9(ソケット7)とジョイント部材8とが連結され、ひいてはボディ1側とドア2側とが連結されている。また、このときのジョイント部材8の頭部8aは、ケース9内においてコイルスプリング11により挿入孔21側から係合孔22側に向けて付勢されており、それによって上記位置からずれないようにされている。
【0034】
ボディ1側とドア2側との連結、すなわちソケット7(ケース9)とジョイント部材8との連結を解除する際には、両者をコイルスプリング11による付勢力に抗する方向に相対移動させることにより、図6に示すようにケース9内におけるジョイント部材8の頭部8aを同ケース9の挿入孔21に対応して位置させる。なお、ケース9とジョイント部材8とを上述したように相対移動させる際、操作部10aをケース9内に押し込む方向、すなわちコイルスプリング11の付勢力に抗する方向に押せば、上記相対移動を行いやすくなる。
【0035】
図6に示される状態のもと、互いに離間する方向についてのジョイント部材8とケース9との相対移動、言い換えれば上記付勢力が作用する方向と直交する方向の相対移動を通じて、図7に示すようにジョイント部材8の頭部8aが挿入孔21からケース9外に抜き出されることにより、ソケット7とジョイント部材8との連結が解除される。その後、コイルスプリング11による付勢力が作用する方向についてのソケット7(ケース9)と押圧部材10との相対位置が、コイルスプリング11の付勢力によって上記連結の解除前の位置に戻される。
【0036】
このように、ソケット7とジョイント部材8との連結の解除がケース9とジョイント部材8との上述した二つの方向についての相対移動を通じて行われるため、ボディ1側とドア2側との連結を簡単に解除することができる。
【0037】
また、連結解除されたソケット7(ケース9)とジョイント部材8との再連結は、連結解除のときと逆の手順によって行われる。その再連結時にジョイント部材8の頭部8aを挿入孔21からケース9内に挿入するときには、そのケース9内の押圧部材10を予めコイルスプリング11の付勢力に抗する方向へ変位させておき、ジョイント部材8の頭部8aがケース9の挿入孔21を押圧部材10に阻害されずに通るようにしておく必要がある。
【0038】
ケース9内での押圧部材10の上記変位については、例えば次のようにして行われる。すなわち、押圧部材10の操作部10aをケース9内に押し込む方向、すなわちコイルスプリング11の付勢力に抗する方向に押すことにより、ケース9に対し押圧部材10を図6に示す状態となるよう変位させる。
【0039】
その後、ジョイント部材8の頭部8aをケース9の挿入孔21から同ケース9の内部に挿入する。この状態のもと、ケース9内への操作部10aの押し込みをやめると、コイルスプリング11の付勢力によってジョイント部材8の頭部8aが、ケース9内において挿入孔21側から係合孔22側に向けて付勢され、それによって図5に示すようにケース9に対し抜き出せないよう係合される位置に保持される。こうしてソケット7(ケース9)とジョイント部材8とが再連結される。
【0040】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)ロック機構3の連結部6にソケット7を設けることにより、ボディ1側とドア2側との連結を簡単に解除することができる。
【0041】
(2)ソケット7(ケース9)とジョイント部材8との連結時、ケース9内におけるジョイント部材8の頭部8aは、同頭部8aに対し直接的に接触する押圧部材10を介して、コイルスプリング11の付勢力により挿入孔21側から係合孔22側に向けて付勢される。このときのケース9内の押圧部材10は挿入孔21に対応して位置するため、ケース9の外から挿入孔21を介した目視により、ジョイント部材8の頭部8aに対する押圧部材10の接触態様を適正となっているか否か確認することができる。
【0042】
(3)ケース9内におけるジョイント部材8の頭部8aは、コイルスプリング11の付勢力が作用する押圧部材10によってケース9の内面との間であって、ケース9に対し抜き出されないよう係合される位置に挟持される。このため、ソケット7(ケース9)とジョイント部材8との連結時、ケース9内におけるジョイント部材8の頭部8aが上記位置からずれにくくなる。
【0043】
(4)押圧部材10は、ジョイント部材8の頭部8aに接触するとき、その接触だけでなくジョイント部材8の胴部8bの周りの一部を囲むようにもなる。詳しくは、押圧部材10が、胴部8bに対しその周りの一部を囲むように接触し、且つ、ケース9の係合孔22との間では上記胴部8bのほぼ全周を囲んだ状態となる。これにより、ジョイント部材8の頭部8aに対する押圧部材10の接触が解除されにくくなる。
【0044】
(5)ケース9内に位置する押圧部材10は、ジョイント部材8の頭部8aを付勢する方向にケース9の壁を貫通して同ケース9の外部に突出する操作部10aを備える。このため、連結解除されたソケット7(ケース9)とジョイント部材8との再連結に伴い、ケース9に対し押圧部材10をコイルスプリング11の付勢力に抗する方向に変位させるに当たり、その変位を押圧部材10の操作部10aをケース9内に押し込むことによって容易に行うことが可能になる。このように押圧部材10の上記変位を容易に行うことができる分、ケース9とジョイント部材8との再連結がより簡単になる。
【0045】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・ソケット7を有するロック機構3が適用される車両のドア及びボディは、必ずしもドアがボディに対し跳ね上げ動作するものである必要はなく、ドアがボディに対し例えば水平方向に開閉動作するものであってもよい。
【0046】
・押圧部材10の操作部10aについては必ずしも設ける必要はない。
・押圧部材10は、ジョイント部材8の頭部8aに接触するとき、その接触だけでなくジョイント部材8の胴部8bの周りの一部を囲むものとしたが、必ずしもそのようなものとする必要はない。
【0047】
・ソケット7においては、ケース9内でジョイント部材8の頭部を押圧部材10とケース9の内面との間で直接的に挟持したが、そうした直接的な挟持を行う代わりに、ジョイント部材8の胴部8bのみを押圧部材10とケース9(係合孔22の内壁)との間で挟持することにより、上記頭部8aを間接的に挟持するようにしてもよい。この場合、頭部8aがコイルスプリング11の付勢力によって押圧部材10及び胴部8bを介して係合孔22側に付勢されることになる。
【0048】
・ソケット7では、ケース9内でのジョイント部材8の頭部8aに対する付勢をコイルスプリング11の膨張方向についての弾性力を用いて行うようにしているが、これに代えて収縮ばねの収縮方向についての弾性力を用いて行うようにしてもよい。
【0049】
・ボディ1側及びドア2側に繋がるソケット7(ケース9)とジョイント部材8との位置関係を逆にしてもよい。すなわち、ソケット7(ケース9)がドア2側に繋がっており、ジョイント部材8がロック機構3のワイヤ5及びドラム4を介してボディ1側に繋がっていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…ボディ
2…ドア
3…ロック機構
4…ドラム
5…ワイヤ
5a…先端部
6…連結部
7…ソケット
8…ジョイント部材
8a…頭部
8b…胴部
9…ケース
10…押圧部材
10a…操作部
11…コイルスプリング
12…接続部材
13…爪
14…嵌合孔
15…スリット
21…挿入孔
21a…内壁面
22…係合孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7