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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ガスタービン燃焼器
(51)【国際特許分類】
   F23R 3/00 20060101AFI20230816BHJP
   F02C 7/264 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
F23R3/00 D
F02C7/264
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020020881
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021127841
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 保憲
(72)【発明者】
【氏名】伊東 正雄
(72)【発明者】
【氏名】森澤 優一
(72)【発明者】
【氏名】小林 吉久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸寿
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05367869(US,A)
【文献】国際公開第2018/025294(WO,A1)
【文献】特開2016-008590(JP,A)
【文献】特開2012-117535(JP,A)
【文献】特開平08-303300(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00816674(EP,A1)
【文献】特開2012-097747(JP,A)
【文献】特開昭57-179338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/08
F02C 3/30
F23R 3/00
F02P 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、燃料と酸化剤とが燃焼して燃焼ガスが生成される燃焼筒と、
前記ケーシングと前記燃焼筒との間の空間を区分する筒体と、
前記ケーシング、前記筒体および前記燃焼筒を貫通して設けられ、前記燃焼筒の内部に連通する開口端部を有する管状部材と、
前記管状部材内の前記ケーシング側に設けられ、前記管状部材を閉鎖する耐熱ガラスと、
前記耐熱ガラスおよび前記管状部材の内部を介して前記燃焼筒内にレーザ光を照射するレーザ光供給機構と、
前記燃焼筒と前記筒体との間に第1の流体を供給する第1の流体供給部と、
前記ケーシングと前記筒体との間に、前記第1の流体の温度よりも低い温度の第3の流体を供給する第3の流体供給部と、
前記管状部材が貫通する前記ケーシングの、前記耐熱ガラスよりも前記燃焼筒側に、前記管状部材の周囲に亘って形成された環状溝と、
前記ケーシングに形成され、前記環状溝に前記第1の流体を導く流路と、
前記流路に前記第1の流体を供給する第2の流体供給部と、
前記環状溝が形成された位置にある前記管状部材に周方向に形成された複数の噴出孔を有し、前記環状溝に導かれた前記第1の流体を前記複数の噴出孔を通して前記管状部材内に噴出する噴出部と
を備え、
前記噴出部の内側となる前記管状部材の内部には、前記複数の噴出孔から噴出された前記第1の流体によって前記管状部材内の断面を遮断するような流体流れが形成され、
前記流体流れは、前記燃焼筒内の燃焼ガスが前記管状部材の前記開口端部を介して前記耐熱ガラスに接触することを防止することを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項2】
前記第1の流体および前記第3の流体が、前記燃焼筒から排出されタービンを駆動した燃焼ガスであることを特徴とする請求項1記載のガスタービン燃焼器。
【請求項3】
ケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、燃料と酸化剤とが燃焼して燃焼ガスが生成される燃焼筒と、
前記ケーシングおよび前記燃焼筒を貫通して設けられた管状部材と、
前記管状部材内の前記ケーシング側に設けられ、前記管状部材を閉鎖する耐熱ガラスと、
前記耐熱ガラスおよび前記管状部材の内部を介して前記燃焼筒内にレーザ光を照射するレーザ光供給機構と、
前記燃焼筒内の燃焼ガスが前記耐熱ガラスと接触することを防止する接触防止機構と
を備え、
前記管状部材が、前記ケーシングの外側に突出した外側突出部を有し、
前記接触防止機構が、
前記外側突出部の外周に周方向に亘って設けられ、環状通路を備える環状部材と、
前記環状通路に第2の流体を供給する第2の流体供給部と、
前記外側突出部の周方向に形成された複数の噴出孔を有し、前記環状通路に供給された前記第2の流体を前記噴出孔を通して前記管状部材内に噴出する噴出部と
を備えることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項4】
前記第2の流体が、前記燃焼筒から排出されタービンを駆動した燃焼ガスであることを特徴とする請求項3記載のガスタービン燃焼器。
【請求項5】
ケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、燃料と酸化剤とが燃焼して燃焼ガスが生成される燃焼筒と、
前記ケーシングおよび前記燃焼筒を貫通して設けられた管状部材と、
前記管状部材内の前記ケーシング側に設けられ、前記管状部材を閉鎖する耐熱ガラスと、
前記耐熱ガラスおよび前記管状部材の内部を介して前記燃焼筒内にレーザ光を照射するレーザ光供給機構と、
前記燃焼筒内の燃焼ガスが前記耐熱ガラスと接触することを防止する接触防止機構と
を備え、
前記接触防止機構が、
前記管状部材内に設けられ、中央に前記レーザ光を通過させる貫通孔を有するオリフィス部材を備えることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【請求項6】
ケーシングと、
前記ケーシング内に設けられ、燃料と酸化剤とが燃焼して燃焼ガスが生成される燃焼筒と、
前記ケーシングおよび前記燃焼筒を貫通して設けられた管状部材と、
前記管状部材内の前記ケーシング側に設けられ、前記管状部材を閉鎖する耐熱ガラスと、
前記耐熱ガラスおよび前記管状部材の内部を介して前記燃焼筒内にレーザ光を照射するレーザ光供給機構と、
前記燃焼筒内の燃焼ガスが前記耐熱ガラスと接触することを防止する接触防止機構と
を備え、
前記管状部材が、前記ケーシングの外側に突出した外側突出部を有し、
前記接触防止機構が、
前記外側突出部に設けられ、前記管状部材内の前記耐熱ガラス側の空間と前記管状部材内の前記燃焼筒側の空間とを連通または遮断する遮断弁を備えることを特徴とするガスタービン燃焼器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガスタービン燃焼器に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントの高効率化は、二酸化炭素の削減や省資源などの要求から進められている。具体的には、ガスタービンの作動流体の高温化、コンバインドサイクル化などが積極的に進められている。また、二酸化炭素の回収技術についても、研究開発が進められている。
【0003】
そのような中、超臨界CO雰囲気中で燃料と酸素を燃焼させる燃焼器を備えたガスタービン設備(以下、COガスタービン設備という。)が検討されている。この超臨界COガスタービン設備では、燃焼器で生成した燃焼ガスの一部は、作動流体として系統に循環される。
【0004】
そのため、超臨界COガスタービン設備においては、燃焼器から排出される燃焼ガスに余剰の酸素や燃料が残存しないことが好ましい。そこで、燃料および酸化剤の流量は、例えば、量論混合比(当量比1)になるように調整されている。
【0005】
なお、ここでいう当量比は、燃料流量および酸素流量に基づいて算出した当量比である。換言すれば、燃料と酸素が均一に混合したと想定したときの当量比(オーバーオールでの当量比)である。
【0006】
COガスタービン設備の燃焼器では、燃焼器内で混合された燃料と酸化剤の混合気に点火装置を用いて着火する。現在、COガスタービン設備の燃焼器に備える点火装置として、レーザ火花点火装置が検討されている。レーザ点火装置は、燃焼器内部の混合気にレーザを照射して着火する。
【0007】
レーザ火花点火装置は、例えば、レーザ発振器と、レンズと、ケーシング部に設けられた耐圧ガラスと、ケーシングと燃焼器ライナを結ぶレーザ通路管とを備える。そして、レーザ発振器から照射されたレーザ光は、レンズ、耐圧ガラス、レーザ通路管を介して、燃焼器ライナ内に照射される。
【0008】
そして、レーザ光は、燃焼器ライナ内で焦点を結ぶ。レーザ光が焦点を結ぶことでエネルギ密度が上昇し、この部分の気体がプラズマ化(ブレークダウン)して混合気を着火する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2018/025294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したCOガスタービン設備のレーザ点火装置において、レーザ通路管内に燃焼ガスが流れ込むことがある。そして、耐圧ガラスの内表面が燃焼ガスに曝され、耐圧ガラスの内表面に煤などの不純物が付着することがある。これによって、耐圧ガラスを通過するレーザ光の透過率が低下して、安定した着火が行えないことがある。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、レーザ点火装置の耐圧ガラスに煤などの不純物が付着することを防止して、安定した着火が可能なガスタービン燃焼器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態のガスタービン燃焼器は、ケーシングと、前記ケーシング内に設けられ、燃料と酸化剤とが燃焼して燃焼ガスが生成される燃焼筒と、前記ケーシングと前記燃焼筒との間の空間を区分する筒体と、前記ケーシング、前記筒体および前記燃焼筒を貫通して設けられ、前記燃焼筒の内部に連通する開口端部を有する管状部材と、前記管状部材内の前記ケーシング側に設けられ、前記管状部材を閉鎖する耐熱ガラスと、前記耐熱ガラスおよび前記管状部材の内部を介して前記燃焼筒内にレーザ光を照射するレーザ光供給機構と、前記燃焼筒と前記筒体との間に第1の流体を供給する第1の流体供給部と、前記ケーシングと前記筒体との間に、前記第1の流体の温度よりも低い温度の第3の流体を供給する第3の流体供給部と、前記管状部材が貫通する前記ケーシングの、前記耐熱ガラスよりも前記燃焼筒側に、前記管状部材の周囲に亘って形成された環状溝と、前記ケーシングに形成され、前記環状溝に前記第1の流体を導く流路と、前記流路に前記第1の流体を供給する第2の流体供給部と、前記環状溝が形成された位置にある前記管状部材に周方向に形成された複数の噴出孔を有し、前記環状溝に導かれた前記第1の流体を前記複数の噴出孔を通して前記管状部材内に噴出する噴出部とを備える。そして、前記噴出部の内側となる前記管状部材の内部には、前記複数の噴出孔から噴出された前記第1の流体によって前記管状部材内の断面を遮断するような流体流れが形成され、前記流体流れは、前記燃焼筒内の燃焼ガスが前記管状部材の前記開口端部を介して前記耐熱ガラスに接触することを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態の燃焼器を備えるガスタービン設備の系統図である。
図2】第1の実施の形態の燃焼器の縦断面を模式的に示した図である。
図3】第1の実施の形態の燃焼器の点火装置の縦断面を模式的に示した拡大図である。
図4】第1の実施の形態の燃焼器において、他の構成を備える点火装置の縦断面を模式的に示した拡大図である。
図5】第2の実施の形態の燃焼器の縦断面を模式的に示した図である。
図6】第2の実施の形態の燃焼器の点火装置の縦断面を模式的に示した拡大図である。
図7】第3の実施の形態の燃焼器の点火装置の縦断面を模式的に示した拡大図である。
図8】第3の実施の形態の燃焼器において、他の構成を備える点火装置の縦断面を模式的に示した拡大図である。
図9】第4の実施の形態の燃焼器の点火装置の縦断面を模式的に示した拡大図である。
図10】第5の実施の形態の燃焼器の点火装置の縦断面を模式的に示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の燃焼器20Aを備えるガスタービン設備10の系統図である。図1に示すように、ガスタービン設備10は、燃料と酸化剤を燃焼させる燃焼器20Aと、この燃焼器20Aに燃料を供給する配管40と、燃焼器20Aに酸化剤を供給する配管41を備えている。また、燃焼器20Aは、燃焼器20A内の燃料と酸化剤の混合気に着火する点火装置100Aを備えている。なお、燃焼器20Aは、ガスタービン燃焼器として機能する。
【0016】
配管40には、燃焼器20Aの燃焼器ライナ61内に供給される燃料の流量を調整する流量調整弁21が備えられている。ここで、燃料として、例えば、メタン、天然ガスなどの炭化水素が使用される。また、燃料として、例えば、一酸化炭素および水素などを含む石炭ガス化ガス燃料を使用することもできる。なお、燃焼器ライナ61は、燃焼筒として機能する。
【0017】
配管41には、酸化剤を昇圧する圧縮機23が設けられている。酸化剤としては、例えば、空気分離装置(図示しない)によって大気から分離された酸素が使用される。配管41を流れる酸化剤は、熱交換器24を通過して加熱され、燃焼器20Aに供給される。
【0018】
燃焼器ライナ61に導かれた燃料および酸化剤は、燃焼器ライナ61内の燃焼領域において反応(燃焼)を生じ、燃焼ガスとなる。ここで、後述するが、ガスタービン設備10においては、タービン25から排気された燃焼ガスの一部を系統に循環させる。そのため、燃焼器ライナ61から排出される燃焼ガスに、余剰の酸化剤(酸素)や燃料が残存しないことが好ましい。
【0019】
そこで、燃料および酸化剤の流量は、例えば、量論混合比(当量比1)になるように調整されている。なお、ここでいう当量比は、燃料と酸素が均一に混合したと想定したときの当量比(オーバーオールでの当量比)である。
【0020】
また、ガスタービン設備10は、タービン25、発電機26、熱交換器24、冷却器27、圧縮機28を備える。さらに、ガスタービン設備10は、タービン25から排出された燃焼ガスの一部を系統に循環させるための配管42を備える。
【0021】
タービン25は、燃焼器ライナ61から排出された燃焼ガスによって回動される。このタービン25には、例えば、発電機26が連結されている。ここでいう、燃焼器ライナ61から排出される燃焼ガスは、燃料と酸化剤とによって生成された燃焼生成物と、燃焼器ライナ61内に循環される二酸化炭素(水蒸気が除去された燃焼ガス)とを含んだものである。
【0022】
タービン25から排出された燃焼ガスは、配管42に導かれ、熱交換器24を通過することによって冷却される。この際、燃焼ガスからの放熱によって、配管41を流れる酸化剤や、配管42を流れて燃焼器20Aに循環される二酸化炭素を加熱する。
【0023】
熱交換器24を通過した燃焼ガスは、冷却器27を通過する。燃焼ガスは、冷却器27を通過することで、燃焼ガス中に含まれる水蒸気が除去される。この際、燃焼ガス中の水蒸気は、凝縮して水となる。この水は、例えば配管43を通り外部に排出される。
【0024】
ここで、前述したように、燃料および酸化剤の流量を量論混合比(当量比1)になるように調整した場合、水蒸気が除去された燃焼ガス(ドライ燃焼ガス)の成分は、ほぼ二酸化炭素である。なお、水蒸気が除去された燃焼ガスには、例えば、微量の一酸化炭素などが混在する場合もあるが、以下、水蒸気が除去された燃焼ガスを単に二酸化炭素と称する。
【0025】
二酸化炭素は、配管42に介在する圧縮機28によって臨界圧以上の圧力に昇圧され、超臨界流体となる。昇圧された二酸化炭素の一部は、配管42を流れ、熱交換器24において加熱される。そして、二酸化炭素は、燃焼器ライナ61と筒体80との間に導かれる。熱交換器24を通過した二酸化炭素の温度は、例えば、700℃程度になる。なお、燃焼器ライナ61と筒体80との間に二酸化炭素を供給する配管42は、第1の流体供給部としても機能する。
【0026】
昇圧された二酸化炭素の他の一部は、例えば、配管42から分岐した配管44に導入される。配管44に導入された二酸化炭素は、流量調整弁29によって流量が調節され、冷却媒体として、燃焼器ケーシング70と筒体80との間に導かれる。配管44によって燃焼器ケーシング70と筒体80との間に導かれる二酸化炭素の温度は、例えば、400℃程度である。
【0027】
この燃焼器ケーシング70と筒体80との間に導かれる二酸化炭素の温度は、前述した燃焼器ライナ61と筒体80との間に導かれる二酸化炭素の温度よりも低温である。なお、燃焼器ケーシング70と筒体80との間に二酸化炭素を供給する配管44は、第1の流体供給部としても機能する。また、燃焼器ケーシング70は、ケーシングとして機能する。
【0028】
一方、昇圧された二酸化炭素のさらに他の一部は、配管42から分岐した配管45に導入される。配管45に導入された二酸化炭素は、流量調整弁30によって流量が調節され、外部に排出される。なお、配管45は、排出管として機能する。外部に排出された二酸化炭素は、例えば、石油採掘現場で採用されているEOR(Enhanced Oil Recovery)などに利用することができる。
【0029】
次に、第1の実施の形態の燃焼器20Aの構成について詳しく説明する。
【0030】
図2は、第1の実施の形態の燃焼器20Aの縦断面を模式的に示した図である。図3は、第1の実施の形態の燃焼器20Aの点火装置100Aの縦断面を模式的に示した拡大図である。
【0031】
図2に示すように、燃焼器20Aは、燃料ノズル部60、燃焼器ライナ61、トランジションピース62、燃焼器ケーシング70、筒体80、点火装置100Aを備える。
【0032】
燃料ノズル部60は、配管40から供給された燃料および配管41から供給された酸化剤を燃焼器ライナ61内に噴出する。例えば、中央から燃料を噴出し、その周囲から酸化剤を噴出する。
【0033】
燃焼器ケーシング70は、例えば、燃料ノズル部60の一部、燃焼器ライナ61およびトランジションピース62を囲むように、燃焼器20Aの長手方向に沿って設けられている。燃焼器ケーシング70は、例えば、燃焼器20Aの長手方向に2分割されている。燃焼器ケーシング70は、例えば、上流側の上流側ケーシング71および下流側の下流側ケーシング72で構成される。
【0034】
上流側ケーシング71は、例えば、一端(上流端)が閉塞され、他端(下流端)が開口された筒体で構成されている。一端の中央には、燃料ノズル部60を挿入する開口71aが形成されている。また、上流側ケーシング71の側部には、配管44が連結されている。配管44は、例えば、上流側ケーシング71の側部に形成された開口71bに嵌め込まれ、接合されている。
【0035】
下流側ケーシング72は、両端が開口した筒体で構成されている。下流側ケーシング72の一端は、上流側ケーシング71に接続され、下流側ケーシング72の他端は、例えば、タービン25を囲むケーシングに接続されている。
【0036】
図2に示すように、燃焼器ケーシング70内には、燃料ノズル部60の一部、燃焼器ライナ61およびトランジションピース62の周囲を包囲し、燃焼器ケーシング70と燃焼器ライナ61との間の空間を区画する筒体80が設けられている。燃焼器ライナ61と筒体80との間、および燃焼器ケーシング70と筒体80との間は、所定の空間を有している。
【0037】
筒体80の一端(上流端)は、閉鎖され、燃料ノズル部60を挿入する開口81が形成されている。筒体80の他端(下流端)は、閉鎖され、トランジションピース62の下流端を貫通させる開口82が形成されている。筒体80は、例えば、開口81を有する板状の蓋部材80aを筒状の本体部材80bに接合して形成される。
【0038】
筒体80は、図2に示すように、燃料ノズル部60の一部、燃焼器ライナ61およびトランジションピース62の周囲を包囲する構造であれば、筒体80の構成は、限定されない。
【0039】
筒体80の下流側の開口82の内周面は、トランジションピース62の下流端部の外周面に接している。
【0040】
また、筒体80の上流側の側部には、配管42が連結されている。この配管42は、例えば、図2に示すように、上流側ケーシング71の側部に連結された配管44内を貫通して、筒体80の側部に連結されている。配管42が配管44の内部を貫通する部分は、二重管構造となっている。
【0041】
なお、配管42は、例えば、配管44に形成された開口44aを介して配管44の内部に挿入されている。そして、例えば、開口44aを有する開口部において、配管42は、配管44と接合されている。また、配管42と配管44との二重管構造は、1箇所に限らず、周方向に複数個所有してもよい。
【0042】
点火装置100Aは、図2および図3に示すように、管状部材101、耐熱ガラス102、レーザ光供給機構103、接触防止機構104Aを備えている。
【0043】
管状部材101は、両端が開口した円筒管などで構成される。管状部材101は、燃焼器ケーシング70、筒体80および燃焼器ライナ61に貫通して設けられている。換言すると、管状部材101は、燃焼器20Aの長手方向に垂直な方向から、燃焼器ケーシング70、筒体80および燃焼器ライナ61に形成された同軸の円形の連通孔(貫通孔)に貫通するように配置されている。
【0044】
なお、管状部材101の内側の端部101aは、燃焼器ライナ61の内部に突出しないように構成されている。また、管状部材101の内径は、その内部をレーザ光が通過する際に妨げにならない程度に設定される。
【0045】
耐熱ガラス102は、管状部材101内の外側(燃焼器ケーシング70側)に設けられる。具体的には、耐熱ガラス102は、二酸化炭素が流れる燃焼器ケーシング70と筒体80との間の流路よりも外側の管状部材101内に設けられることが好ましい。例えば、耐熱ガラス102は、管状部材101の外側の端部101b側に設けられる。
【0046】
耐熱ガラス102は、管状部材101の内部を閉鎖するように設けられる。これによって、燃焼器20Aの内部と外部との連通が遮断される。
【0047】
レーザ光供給機構103は、耐熱ガラス102および管状部材101の内部を介して燃焼器ライナ61内にレーザ光110を照射する。レーザ光供給機構103は、レーザ発振器103a、集光レンズ103bを備える。
【0048】
集光レンズ103bは、耐熱ガラス102に対向して燃焼器ケーシング70(下流側ケーシング72)の外側に設けられる。すなわち、集光レンズ103bは、レーザ発振器103aと耐熱ガラス102との間に設けられる。集光レンズ103bの焦点距離や設置位置は、燃料と空気の混合気を着火するのに最適な位置で焦点110aとなるように設定される。
【0049】
レーザ発振器103aは、燃焼器ケーシング70の外側に配置される。レーザ発振器103aは、集光レンズ103b、耐熱ガラス102および管状部材101の内部を介して燃焼器ライナ61内にレーザ光110を照射する。すなわち、レーザ発振器103aは、集光レンズ103b、耐熱ガラス102、管状部材101の内部の順にレーザ光110を通過させて、燃焼器ライナ61内にレーザ光110を照射できように配置される。
【0050】
なお、レーザ発振器103aから発振されたレーザ光110を光ファイバを介して集光レンズ103bに向けて照射してもよい。
【0051】
接触防止機構104Aは、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスが耐熱ガラス102と接触することを防止する。接触防止機構104Aは、流体供給部120と、噴出部130とを備える。
【0052】
流体供給部120は、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスと耐熱ガラス102との接触を防止するための流体を供給する。なお、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスと耐熱ガラス102との接触を防止するための流体を以下、接触防止流体と呼ぶ。
【0053】
流体供給部120は、燃焼器ケーシング70と燃焼器ライナ61との間に、接触防止流体を供給する。ここで、具板的には、流体供給部120は、燃焼器ライナ61と筒体80との間に、接触防止流体を供給する。
【0054】
ここでは、流体供給部120は、熱交換器24で加熱された二酸化炭素を燃焼器ライナ61と筒体80との間に循環させる配管42によって構成される。なお、流体供給部120は、第1の流体供給部として機能し、流体供給部120によって供給される接触防止流体は、第1の流体として機能する。
【0055】
また、燃焼器ライナ61と筒体80との間に供給された二酸化炭素は、接触防止流体としての機能の他に、燃焼器ライナ61およびトランジションピース62を冷却する冷却媒体としても機能する。
【0056】
噴出部130は、接触防止流体を管状部材101内に噴出する。噴出部130は、管状部材101の周方向に形成された複数の噴出孔131を有する。
【0057】
噴出部130は、例えば、燃焼器ライナ61と筒体80との間に位置する管状部材101に形成されている。換言すれば、噴出孔131は、燃焼器ライナ61と筒体80との間に位置する管状部材101の周方向に形成されている。
【0058】
噴出孔131は、円孔、スリットなどで構成される。また、噴出孔131は、管状部材101の周方向に均等に配置されている。噴出孔131は、例えば、管状部材101の中心軸に対して垂直な方向に貫通している。
【0059】
ここで、管状部材101内に噴出される接触防止流体の圧力は、燃焼器ライナ61内の圧力よりも高い。そのため、管状部材101内に流入した燃焼ガスが噴出孔131を通り燃焼器ライナ61と筒体80との間に流れ込むことはない。換言すれば、噴出孔131から管状部材101内に噴出された接触防止流体は、燃焼器ライナ61内へ流れる。
【0060】
次に、燃焼器20Aの作用について説明する。
【0061】
着火時においては、レーザ発振器103aを駆動し、レーザ光110を発振する。レーザ発振器103aから発振されたレーザ光110は、集光レンズ103b、耐熱ガラス102を通過して、管状部材101内に入る。管状部材101内を通過したレーザ光110は、燃焼器ライナ61内の所定の領域で焦点110aを結ぶ。なお、レーザ光110は、焦点110aから進行方向にビーム径を拡大しながら進行する。
【0062】
レーザ光110が燃焼器ライナ61内に照射された後、燃料ノズル部60から燃料および酸素が燃焼器ライナ61内に噴出される。この際、燃焼器20Aの急激な熱負荷を押さえるために、酸化剤流量および燃料流量は減らされた状態で燃料ノズル部60から噴出される。
【0063】
燃料ノズル部60から噴出された酸化剤および燃料は、混合して混合気を形成しながら流れる。そして、レーザ光が焦点110aを結ぶエネルギ密度が高い位置に混合気が流れると、混合気に着火する。これによって、燃焼が開始する。なお、点火装置100Aは、例えば、燃焼器ライナ61内における燃焼が安定したところで、駆動が停止される。
【0064】
そして、着火後、循環する二酸化炭素の流量、酸化剤流量を増加して燃焼器内の圧力を上昇させるとともに、燃料流量を増加して燃焼器内の燃焼ガス温度を上昇させる。そして、タービンの定格負荷まで、燃料流量および循環する二酸化炭素の流量、酸化剤流量を増加する。
【0065】
燃焼器ライナ61から排出された燃焼ガスの作用は、図1を参照してすでに説明したので、ここでは、配管42および配管44から燃焼器20A内に導入された二酸化炭素の流れについて、図2および図3を参照して説明する。
【0066】
配管42から筒体80内に導入された二酸化炭素の一部は、接触防止流体として機能する。図3に示すように、この二酸化炭素の一部は、管状部材101の噴出孔131を通り管状部材101内に噴出される。なお、図3には、噴出孔131から噴出される接触防止流体(二酸化炭素)の流れを矢印で示している。
【0067】
噴出孔131から噴出された接触防止流体(二酸化炭素)の流れは、図3に示すように、例えば、管状部材101の中心軸に垂直な方向に進むとともに、燃焼器ライナ61側に向きを変える。すなわち、管状部材101内には、噴出孔131から噴出された接触防止流体によって、燃焼器ライナ61内に向かう流れ場が形成される。
【0068】
また、噴出孔131の内側となる管状部材101の内部には、周方向に形成された複数の噴出孔131から噴出された接触防止流体によって、管状部材101内の断面を遮断するような流れ場が形成される。
【0069】
ここで、噴出孔131から噴出される接触防止流体は、管状部材101の中心軸付近まで到達できる程度の貫通力を有していることが好ましい。具体的には、例えば、噴出孔131から噴出される接触防止流体は、管状部材101の中央を通るレーザ光110(レーザービーム)の外周に接する程度の貫通力を有していることが好ましい。
【0070】
上記した、噴出孔131から噴出された接触防止流体によって形成される流れによって、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスは、管状部材101内に流入できない。もしくは、噴出孔131から噴出された接触防止流体によって形成される流れによって、燃焼器ライナ61内から管状部材101に流入した燃焼ガスは、噴出孔131が形成された位置よりも耐熱ガラス102側には流入できない。
【0071】
これによって、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスが耐熱ガラス102(耐熱ガラス102の内面102a)に接触することを防止できる。そして、燃焼ガスに含まれる煤などの不純物が耐熱ガラス102の内面102aに付着することはない。そのため、耐圧ガラス102を通過するレーザ光110の透過率の低下を防止できる。
【0072】
なお、噴出孔131から管状部材101内に噴出された接触防止流体は、燃焼器ライナ61内に流入する。燃焼器ライナ61内に流入した接触防止流体は、燃焼ガスとともにトランジションピース62内に導入される。
【0073】
ここで、管状部材101に噴出される接触防止流体の流量は、噴出孔131の孔径および噴出孔131の個数で調整することができる。噴出孔131から管状部材101内に噴出される接触防止流体の流量は、耐熱ガラス102側への燃焼ガスの流入を防止することができる最小限の流量であることが好ましい。
【0074】
これによって、燃焼器ライナ61内において、管状部材101から燃焼器ライナ61内に流入した接触防止流体の影響を受けることなく、火炎を形成することができる。
【0075】
一方、配管42から筒体80内に導入された二酸化炭素の残部は、燃焼器ライナ61と筒体80との間の環状の空間を下流側へ流れる。この際、二酸化炭素は、燃焼器ライナ61およびトランジションピース62を冷却する。
【0076】
そして、二酸化炭素は、燃焼器ライナ61およびトランジションピース62の、例えば、多孔式膜冷却部の孔63、64や希釈孔65などから燃焼器ライナ61内やトランジションピース62内に導入される。燃焼器ライナ61内やトランジションピース62内に導入された二酸化炭素は、燃焼によって生成された燃焼ガスとともにタービン25に導入される。
【0077】
図2に示すように、配管44を流れる低温の二酸化炭素は、配管42および配管44で構成される二重管に導かれる。二重管に導かれた二酸化炭素は、配管42と配管44との間の環状の通路を通り、燃焼器ケーシング70と筒体80との間に導かれる。
【0078】
燃焼器ケーシング70と筒体80との間に導かれた二酸化炭素は、燃焼器ケーシング70と筒体80との間の環状の空間を下流側へ流れる。この際、二酸化炭素は、燃焼器ケーシング70、筒体80および点火装置100Aの管状部材101を冷却する。この二酸化炭素は、例えば、タービン25の静翼85や動翼86の冷却にも使用される。このような冷却によって、燃焼器ケーシング70の温度は、例えば、400℃程度となる。
【0079】
そのため、COガスタービン設備のタービン定格負荷時においても、点火装置100Aの耐熱ガラス102が設置された燃焼器ケーシング70の温度を400℃程度に維持することができる。すなわち、点火装置100Aの耐熱ガラス102の温度は、400℃程度に維持される。
【0080】
上記したように第1の実施の形態の燃焼器20Aによれば、接触防止機構104Aを備えることで、点火装置100Aの管状部材101内に備えられる耐熱ガラス102と燃焼ガスと接触を防止できる。そのため、耐熱ガラス102の内面102aに煤などの不純物が付着することはない。これによって、耐圧ガラス102を通過するレーザ光110の透過率の低下が防止され、安定した着火を行うことができる。
【0081】
ここで、上記した実施の形態において、管状部材101の中心軸に対して垂直な方向に貫通する噴出孔131の一例を示したが、噴出孔131の構成は、これに限られない。
【0082】
図4は、第1の実施の形態の燃焼器20Aにおいて、他の構成を備える点火装置100Aの縦断面を模式的に示した拡大図である。
【0083】
図4に示すように、噴出孔131は、管状部材101の中心軸に垂直な方向に対して管状部材101の端部101a側に傾けて形成されてもよい。すなわち、噴出孔131は、噴出孔131の出口が噴出孔131の入口よりも管状部材101の端部101a側に位置するように傾けて形成されてもよい。
【0084】
この場合、噴出孔131から噴出される接触防止流体は、管状部材101の中心軸に沿う速度成分を有する。これによって、管状部材101の中央を通るレーザ光110(レーザービーム)の外周に接する程度の貫通力を有する接触防止流体の流れ場を形成しやすくなる。そして、レーザ光110は、接触防止流体からの影響が抑制された状態で燃焼器ライナ61内に照射される。
【0085】
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態の燃焼器20Bの縦断面を模式的に示した図である。図6は、第2の実施の形態の燃焼器20Bの点火装置100Bの縦断面を模式的に示した拡大図である。なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態の燃焼器20Aと同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。
【0086】
第2の実施の形態の燃焼器20Bにおいては、点火装置100Bの接触防止機構104Bの構成以外は第1の実施の形態の燃焼器20Aの構成と同じである。そのため、ここでは、主に接触防止機構104Bの構成について説明する。
【0087】
図5に示すように、点火装置100Bは、管状部材101、耐熱ガラス102、レーザ光供給機構103、接触防止機構104Bを備えている。
【0088】
接触防止機構104Bは、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスが耐熱ガラス102と接触することを防止する。接触防止機構104Bは、流体供給部140と、噴出部150とを備える。
【0089】
流体供給部140は、接触防止流体を供給する。流体供給部140は、燃焼器ケーシング70と筒体80との間に、接触防止流体を供給する。
【0090】
ここでは、流体供給部140は、圧縮機28によって昇圧された二酸化炭素を燃焼器ケーシング70と筒体80との間に循環させる配管44によって構成される。ここで、配管44によって循環される二酸化炭素は、熱交換器24で加熱されない。
【0091】
なお、流体供給部140は、第1の流体供給部として機能し、流体供給部140によって供給される接触防止流体は、第1の流体として機能する。
【0092】
また、燃焼器ケーシング70と筒体80との間に供給された二酸化炭素は、接触防止流体としての機能の他に、燃焼器ケーシング70、筒体80および点火装置100Bの管状部材101を冷却する冷却媒体としても機能する。
【0093】
噴出部150は、接触防止流体を管状部材101内に噴出する。噴出部150は、管状部材101の周方向に形成された複数の噴出孔151を有する。
【0094】
噴出部150は、例えば、燃焼器ケーシング70と筒体80との間に位置する管状部材101に形成されている。換言すれば、噴出孔151は、燃焼器ケーシング70と筒体80との間に位置する管状部材101の周方向に形成されている。
【0095】
噴出孔151の形状および配置構成は、第1の実施の形態の噴出孔131と同じである。また、噴出孔151は、例えば、管状部材101の中心軸に対して垂直な方向に貫通している。
【0096】
なお、第1の実施の形態で例示したように(図4参照)、噴出孔151は、管状部材101の中心軸に垂直な方向に対して管状部材101の端部101a側に傾けて形成されてもよい。これによる効果は、第1の実施の形態で説明した効果と同じである。
【0097】
ここで、管状部材101内に噴出される接触防止流体の圧力は、燃焼器ライナ61内の圧力よりも高い。そのため、管状部材101内に流入した燃焼ガスが噴出孔151を通り燃焼器ケーシング70と筒体80との間に流れ込むことはない。換言すれば、噴出孔151から管状部材101内に噴出された接触防止流体は、燃焼器ライナ61内へ流れる。
【0098】
次に、燃焼器20Bの作用について説明する。
【0099】
ここでは、接触防止機構104Bの作用について説明する。
【0100】
配管44から燃焼器ケーシング70と筒体80との間に導入された二酸化炭素の一部は、接触防止流体として機能する。図6に示すように、この二酸化炭素の一部は、管状部材101の噴出孔151を通り管状部材101内に噴出される。なお、図6には、噴出孔151から噴出される二酸化炭素(接触防止流体)の流れを矢印で示している。
【0101】
噴出孔151から噴出された二酸化炭素(接触防止流体)の流れは、第1の実施の形態における噴出孔131から噴出された二酸化炭素(接触防止流体)の流れと同様である。すなわち、噴出孔151から噴出された二酸化炭素(接触防止流体)の流れは、図6に示すように、例えば、管状部材101の中心軸に垂直な方向に進むとともに、燃焼器ライナ61側に向きを変える。
【0102】
また、噴出孔151の内側となる管状部材101の内部には、周方向に形成された複数の噴出孔151から噴出された二酸化炭素によって、管状部材101内の断面を遮断するような流れ場が形成される。
【0103】
噴出孔151から噴出された二酸化炭素によって形成される流れによって、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスは、管状部材101内に流入できない。もしくは、噴出孔151から噴出された二酸化炭素によって形成される流れによって、燃焼器ライナ61内から管状部材101に流入した燃焼ガスは、噴出孔151が形成された位置よりも耐熱ガラス102側には流入できない。
【0104】
これによって、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスが耐熱ガラス102(耐熱ガラス102の内面102a)に接触することを防止できる。そして、燃焼ガスに含まれる煤などの不純物が耐熱ガラス102の内面102aに付着することはない。そのため、耐圧ガラス102を通過するレーザ光110の透過率の低下を防止できる。
【0105】
なお、第1の実施の形態と同様に、管状部材101に噴出される接触防止流体の流量は、噴出孔151の孔径および噴出孔151の個数で調整することができる。これによる効果も、第1の実施の形態と同じである。
【0106】
一方、配管44から燃焼器ケーシング70と筒体80との間に導入された二酸化炭素の残部は、燃焼器ケーシング70と筒体80との間の環状の空間を下流側へ流れる。この際、第1の実施の形態と同様に、燃焼器ケーシング70、筒体80および点火装置100Bの管状部材101を冷却する。
【0107】
上記したように第2の実施の形態の燃焼器20Bによれば、接触防止機構104Bを備えることで、点火装置100Bの管状部材101内に備えられる耐熱ガラス102と燃焼ガスと接触を防止できる。そのため、耐熱ガラス102の内面102aに煤などの不純物が付着することはない。これによって、耐圧ガラス102を通過するレーザ光110の透過率の低下が防止され、安定した着火を行うことができる。
【0108】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態の燃焼器20Cの点火装置100Cの縦断面を模式的に示した拡大図である。
【0109】
第3の実施の形態の燃焼器20Cにおいては、点火装置100Cの接触防止機構104Cの構成以外は第1の実施の形態の燃焼器20Aの構成と同じである。そのため、ここでは、主に接触防止機構104Cの構成について説明する。
【0110】
図7に示すように、点火装置100Cは、管状部材101、耐熱ガラス102、レーザ光供給機構103、接触防止機構104Cを備えている。
【0111】
接触防止機構104Cは、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスが耐熱ガラス102と接触することを防止する。接触防止機構104Cは、環状溝160と、流路161と、流体供給部170と、噴出部180とを備える。
【0112】
環状溝160は、管状部材101が貫通する燃焼器ケーシング70(例えば、下流側ケーシング72)に、管状部材101の周囲に亘って形成されている。この環状溝160は、耐熱ガラス102よりも燃焼器ライナ61側の燃焼器ケーシング70に形成されている。
【0113】
流路161は、燃焼器ケーシング70の外部と環状溝160とを連結する流路である。流路161は、燃焼器ケーシング70の側面から環状溝160に貫通する貫通孔で構成される。
【0114】
流体供給部170は、流路161に接触防止流体を供給する。具体的には、流体供給部170は、流路161に連結されている。
【0115】
ここで、流体供給部170は、例えば、熱交換器24で加熱された二酸化炭素を燃焼器ライナ61と筒体80との間に循環させる配管42(図1参照)から分岐された配管によって構成されてもよい。
【0116】
また、流体供給部170は、例えば、圧縮機28によって昇圧された二酸化炭素を燃焼器ケーシング70と筒体80との間に循環させる配管44(図1参照)から分岐された配管によって構成されてもよい。
【0117】
ここで、上記したようにガスタービン設備10の系統から分岐された配管で流体供給部170を構成する場合、流体供給部170にフィルタ(図示しない)を介在することが好ましい。フィルタを通過させることで、二酸化炭素の流れに含まれる異物を除去することができる。これによって、燃焼器ライナ61やタービン25に異物が流れ込むことを防止できる。
【0118】
さらに、流体供給部170は、例えば、ガスタービン設備10の系統以外の供給系(供給配管)であってもよい。この場合においても、流体供給部170は、接触防止流体として超臨界圧の二酸化炭素を流路161に供給する。
【0119】
ここで、上記したいずれの構成であっても、噴出部180から管状部材101内に噴出される接触防止流体の圧力が燃焼器ライナ61内の圧力よりも高くなるように、流体供給部170は、接触防止流体を流路161に供給する。
【0120】
なお、流体供給部170は、第2の流体供給部として機能する。また、流体供給部170から供給される接触防止流体は、第2の流体として機能する。
【0121】
噴出部180は、環状溝160に供給された接触防止流体を管状部材101内に噴出する。噴出部180は、管状部材101の周方向に形成された複数の噴出孔181を有する。
【0122】
噴出部180は、図7に示すように、環状溝160が形成された位置にある管状部材101に形成されている。換言すれば、噴出孔181は、環状溝160が形成された位置にある管状部材101の周方向に形成されている。
【0123】
噴出孔181の形状および配置構成は、第1の実施の形態の噴出孔131と同じである。また、噴出孔181は、例えば、管状部材101の中心軸に対して垂直な方向に貫通している。
【0124】
なお、第1の実施の形態で例示したように(図4参照)、噴出孔181は、管状部材101の中心軸に垂直な方向に対して管状部材101の端部101a側に傾けて形成されてもよい。これによる効果は、第1の実施の形態で説明した効果と同じである。
【0125】
ここで、管状部材101内に噴出される接触防止流体の圧力は、燃焼器ライナ61内の圧力よりも高い。そのため、管状部材101内に流入した燃焼ガスが噴出孔181を通り環状溝160に流れ込むことはない。換言すれば、噴出孔181から管状部材101内に噴出された接触防止流体は、燃焼器ライナ61内へ流れる。
【0126】
次に、燃焼器20Cの作用について説明する。
【0127】
ここでは、接触防止機構104Cの作用について説明する。
【0128】
流体供給部170から環状溝160に供給された接触防止流体は、環状溝160内で周方向に広がる。環状溝160内で周方向に広がった接触防止流体は、管状部材101の噴出孔181を通り管状部材101内に噴出される。なお、図7には、噴出孔181から噴出される接触防止流体の流れを矢印で示している。また、各噴出孔181から噴出される接触防止流体の流量は、ほぼ均一である。
【0129】
噴出孔181から噴出された二酸化炭素(接触防止流体)の流れは、第1の実施の形態における噴出孔131から噴出された二酸化炭素(接触防止流体)の流れと同様である。すなわち、噴出孔181から噴出された接触防止流体の流れは、図7に示すように、例えば、管状部材101の中心軸に垂直な方向に進むとともに、燃焼器ライナ61側に向きを変える。
【0130】
また、噴出孔181の内側となる管状部材101の内部には、周方向に形成された複数の噴出孔181から噴出された接触防止流体によって、管状部材101内の断面を遮断するような流れ場が形成される。
【0131】
噴出孔181から噴出された接触防止流体によって形成される流れによって、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスは、管状部材101内に流入できない。もしくは、噴出孔181から噴出された接触防止流体によって形成される流れによって、燃焼器ライナ61内から管状部材101に流入した燃焼ガスは、噴出孔181が形成された位置よりも耐熱ガラス102側には流入できない。
【0132】
これによって、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスが耐熱ガラス102(耐熱ガラス102の内面102a)に接触することを防止できる。そして、燃焼ガスに含まれる煤などの不純物が耐熱ガラス102の内面102aに付着することはない。そのため、耐圧ガラス102を通過するレーザ光110の透過率の低下を防止できる。
【0133】
なお、第1の実施の形態と同様に、管状部材101に噴出される接触防止流体の流量は、噴出孔181の孔径および噴出孔181の個数で調整することができる。これによる効果も、第1の実施の形態と同じである。
【0134】
上記したように第3の実施の形態の燃焼器20Cによれば、接触防止機構104Cを備えることで、点火装置100Cの管状部材101内に備えられる耐熱ガラス102と燃焼ガスと接触を防止できる。そのため、耐熱ガラス102の内面102aに煤などの不純物が付着することはない。これによって、耐圧ガラス102を通過するレーザ光110の透過率の低下が防止され、安定した着火を行うことができる。
【0135】
ここで、燃焼器20Cにおける接触防止機構104Cの構成は、上記した構造に限られない。図8は、第3の実施の形態の燃焼器20Cにおいて、他の構成を備える点火装置100Cの縦断面を模式的に示した拡大図である。
【0136】
図8に示すように、接触防止機構104Cを燃焼器ケーシング70の外側に設けてもよい。
【0137】
この場合、管状部材101は、両端が開口した円筒管などで構成される。管状部材101は、燃焼器ケーシング70、筒体80および燃焼器ライナ61に貫通して設けられている。
【0138】
また、管状部材101の一端側は、燃焼器ケーシング70から外側に突出している。すなわち、管状部材101の一端側は、燃焼器ケーシング70の外側まで延設されている。なお、管状部材101において、燃焼器ケーシング70から外側に突出している部分を外側突出部101eという。
【0139】
また、管状部材101の外側突出部101eの外周には、例えば、フランジ101cが備えられる。そして、このフランジ101cを燃焼器ライナ61の外側面に取り付けることで、管状部材101は固定される。
【0140】
外側突出部101eには、接触防止機構104Cが設けられている。そして、接触防止機構104Cが設けられた位置よりも外側(レーザ光供給機構103側)の管状部材101内に、耐熱ガラス102が配置されている。
【0141】
接触防止機構104Cは、環状部材165と、流体供給部170と、噴出部185とを備える。
【0142】
環状部材165は、図8に示すように、環状部材165の周方向に垂直な断面がコ字状で、中空部を有する。環状部材165は、外側突出部101eの外周に周方向に亘って設けられている。環状部材165の開口側(内周側)は、外側突出部101eの外周に接合されている。このように環状部材165を備えることで、外側突出部101eの外周に環状通路166が構成される。
【0143】
また、環状部材165は、管状部材101の軸方向位置において、フランジ101cが設けられた位置と耐熱ガラス102が設けられた位置との間に配置される。
【0144】
流体供給部170は、環状通路166に接触防止流体を供給する。具体的には、流体供給部170は、環状部材165に接続される。なお、流体供給部170を構成する配管等は、前述したとおりである。
【0145】
噴出部185は、環状部材165内の環状通路166に供給された接触防止流体を管状部材101内に噴出する。噴出部185は、外側突出部101eの周方向に形成された複数の噴出孔186を有する。
【0146】
噴出孔186は、図8に示すように、環状通路166が形成された位置にある管状部材101に形成されている。換言すれば、噴出孔186は、環状通路166が形成された位置にある外側突出部101eの周方向に形成されている。噴出孔186の形状および構成は、前述した噴出孔181の形状および構成と同じである。
【0147】
ここで、流体供給部170から環状通路166に供給された接触防止流体は、環状通路166内を周方向に広がる。そして、環状通路166に広がった接触防止流体は、噴出孔186から管状部材101内に噴出される。噴出孔186から管状部材101内に噴出された接触防止流体の流動は、前述した噴出孔181から管状部材101内に噴出された接触防止流体の流動と同様である。
【0148】
なお、管状部材101内に噴出される接触防止流体の圧力は、燃焼器ライナ61内の圧力よりも高い。そのため、管状部材101内に流入した燃焼ガスが噴出孔186を通り環状通路166に流れ込むことはない。換言すれば、噴出孔186から管状部材101内に噴出された接触防止流体は、燃焼器ライナ61内へ流れる。
【0149】
(第4の実施の形態)
図9は、第4の実施の形態の燃焼器20Dの点火装置100Dの縦断面を模式的に示した拡大図である。
【0150】
第4の実施の形態の燃焼器20Dにおいては、点火装置100Dの接触防止機構104Dの構成以外は第1の実施の形態の燃焼器20Aの構成と同じである。そのため、ここでは、主に接触防止機構104Dの構成について説明する。
【0151】
図9に示すように、点火装置100Dは、管状部材101、耐熱ガラス102、レーザ光供給機構103、接触防止機構104Dを備えている。
【0152】
接触防止機構104Dは、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスが耐熱ガラス102と接触することを防止する。接触防止機構104Dは、オリフィス部材190を備える。
【0153】
オリフィス部材190は、管状部材101内に設けられた円形の板状部材で構成されている。オリフィス部材190は、その中央にレーザ光110を通過させる貫通孔191を有する。
【0154】
オリフィス部材190の外周は、管状部材101の内周に接している。このように構成することで、オリフィス部材190の外周と管状部材101の内面との間から燃焼ガスが耐熱ガラス102側へ流入することが防止できる。なお、オリフィス部材190の外形は、オリフィス部材190が配置される管状部材101内の形状に対応して形成される。
【0155】
貫通孔191の口径は、レーザ光110の通過の妨げにならない程度のサイズに設定される。
【0156】
ここでは、オリフィス部材190を燃焼器ケーシング70と筒体80との間の管状部材101内に備えた一例を示しているが、この構成に限られない。
【0157】
例えば、オリフィス部材190は、燃焼器ライナ61と筒体80との間の管状部材101内に備えられてもよい。
【0158】
ここで、レーザ光110は、集光レンズ103bによって集光されるため、レーザ光110のビーム径は、焦点110aまで減少する。そのため、オリフィス部材190を燃焼器ライナ61側に備えることで、貫通孔191の口径をより小さくすることができる。これによって、貫通孔191を通り耐熱ガラス102側へ流入する燃焼ガスの流れをより確実に抑制できる。
【0159】
次に、燃焼器20Dの作用について説明する。
【0160】
ここでは、接触防止機構104Dの作用について説明する。
【0161】
着火時において、レーザ発振器103aから発振されたレーザ光110は、集光レンズ103b、耐熱ガラス102、オリフィス部材190の貫通孔191を通過して、管状部材101内に入る。管状部材101内を通過したレーザ光110は、燃焼器ライナ61内の所定の領域で焦点110aを結ぶ。
【0162】
管状部材101内に流入した燃焼ガスの耐熱ガラス102側への流入は、オリフィス部材190によって阻止される。なお、貫通孔191を通り耐熱ガラス102側へ燃焼ガスが流れても、その流量は微量である。そのため、耐熱ガラス102の内面102aに煤などの不純物が付着することはない。
【0163】
上記したように第4の実施の形態の燃焼器20Dによれば、接触防止機構104Dを備えることで、点火装置100Dの管状部材101内に備えられる耐熱ガラス102と燃焼ガスと接触を抑制できる。そのため、耐熱ガラス102の内面102aに煤などの不純物が付着することはない。これによって、耐圧ガラス102を通過するレーザ光110の透過率の低下が防止され、安定した着火を行うことができる。
【0164】
ここで、第4の実施の形態の燃焼器20Dの構成は、上記した構成に限られない。
【0165】
例えば、オリフィス部材190が燃焼器ケーシング70と筒体80との間の管状部材101内に備えられている場合、第3の実施の形態の接触防止機構104Cをさらに備えてもよい。また、オリフィス部材190が燃焼器ケーシング70と筒体80との間の管状部材101内に備えられている場合において、オリフィス部材190の燃焼器ケーシング70側に第2の実施の形態の接触防止機構104Bをさらに備えてもよい。
【0166】
例えば、オリフィス部材190が燃焼器ライナ61と筒体80との間の管状部材101内に備えられている場合、第2の実施の形態の接触防止機構104Bまたは第3の実施の形態の接触防止機構104Cをさらに備えてもよい。また、オリフィス部材190が燃焼器ライナ61と筒体80との間の管状部材101内に備えられている場合において、オリフィス部材190の燃焼器ケーシング70側に第1の実施の形態の接触防止機構104Aをさらに備えてもよい。
【0167】
いずれの場合においても、接触防止機構104A、104B、104Cの噴出孔131、151、181から管状部材101内に噴出された接触防止流体は、オリフィス部材190の貫通孔191を通り燃焼器ライナ61側へ流れる。これによって、貫通孔191を通り耐熱ガラス102側へ燃焼ガスが流れることを防止できる。
【0168】
(第5の実施の形態)
図10は、第5の実施の形態の燃焼器20Eの点火装置100Eの縦断面を模式的に示した拡大図である。なお、図10では、遮断弁200が開かれている状態が示されている。
【0169】
第5の実施の形態の燃焼器20Eにおいては、点火装置100Eの接触防止機構104Eの構成以外は第1の実施の形態の燃焼器20Aの構成と同じである。そのため、ここでは、主に接触防止機構104Eの構成について説明する。
【0170】
図10に示すように、点火装置100Eは、管状部材101、耐熱ガラス102、レーザ光供給機構103、接触防止機構104Eを備えている。
【0171】
管状部材101は、両端が開口した円筒管などで構成される。管状部材101は、燃焼器ケーシング70、筒体80および燃焼器ライナ61に貫通して設けられている。また、管状部材101の一端側は、燃焼器ケーシング70から外側に突出している。すなわち、管状部材101の一端側は、燃焼器ケーシング70の外側まで延設されている。なお、管状部材101において、燃焼器ケーシング70から外側に突出している部分を外側突出部101eという。
【0172】
また、管状部材101の外側突出部101eの外周には、例えば、フランジ101cが備えられる。そして、このフランジ101cを燃焼器ライナ61の外側面に取り付けることで、管状部材101は固定される。
【0173】
外側突出部101eには、接触防止機構104Eが設けられている。そして、接触防止機構104Eが設けられた位置よりも外側(レーザ光供給機構103側)の管状部材101内に、耐熱ガラス102が配置されている。
【0174】
接触防止機構104Eは、燃焼器ライナ61内の燃焼ガスが耐熱ガラス102と接触することを防止する。接触防止機構104Eは、遮断弁200を備える。
【0175】
遮断弁200は、外側突出部101eの側部に設けられている。遮断弁200は、管状部材101の軸方向位置において、フランジ101cが設けられた位置と耐熱ガラス102が設けられた位置との間に配置される。そして、遮断弁200は、管状部材101内の耐熱ガラス102側の空間240aと管状部材101内の燃焼器ライナ61側の空間240bとを連通または遮断する。
【0176】
遮断弁200は、弁ケーシング210、220と、遮断部230とを備える。
【0177】
弁ケーシング210は、両端が開口した筒体などで構成される。図10に示すように、弁ケーシング210の一端210aは、外側突出部101eの側壁に形成された開口101dに勘合され、接合されている。弁ケーシング210の他端210bは、例えば、フランジ211を有している。なお、弁ケーシング210は、外側突出部101eと一体的に形成されてもよい。
【0178】
弁ケーシング220は、両端が開口した筒体などで構成される。弁ケーシング220の一端220aは、例えば、フランジ221を有している。弁ケーシング220のフランジ221と弁ケーシング210のフランジ211とを例えばボルト締結することで一つの弁ケーシングが構成される。
【0179】
遮断部230は、管状部材101内の空間を遮断する。遮断部230は、弁ケーシング210、220内を進退可能に設けられている。例えば、遮断部230が閉じられた状態、すなわち閉鎖状態において、空間240aと空間240bとが遮断される。ここで、閉鎖状態では、空間240b内に流入した燃焼ガスは、空間240a側へは流れない。
【0180】
弁ケーシング220の内壁220bには、パッキンなどのシール部材250が設けられている。遮断部230は、シール部材250に接触しながら動く。このように、シール部材250によって、弁ケーシング220と遮断部230との間がシールされる。
【0181】
遮断弁200としては、例えば、ニードルバルブ、ボールバルブなどを使用することができる。なお、遮断弁200は、これらに限られるものではない。遮断弁200としては、遮断部230が閉じられているときに、空間240aと空間240bとを遮断できるものであれば使用できる。
【0182】
次に、燃焼器20Eの作用について説明する。
【0183】
ここでは、接触防止機構104Eの作用について説明する。
【0184】
着火時においては、遮断部230は開かれている。そのため、レーザ発振器103aから発振されたレーザ光110は、集光レンズ103b、耐熱ガラス102を通過して、管状部材101内に入る。管状部材101内を通過したレーザ光110は、燃焼器ライナ61内の所定の領域で焦点110aを結ぶ。
【0185】
着火が確認された後、レーザ発振器103aからのレーザ光110の発振を停止するとともに、遮断部230を閉じる。これによって、空間240aと空間240bとが遮断される。
【0186】
そのため、管状部材101内に流入した燃焼ガスの耐熱ガラス102側への流入は、遮断部230によって阻止される。これによって、耐熱ガラス102の内面102aに煤などの不純物が付着することはない。
【0187】
上記したように第5の実施の形態の燃焼器20Eによれば、接触防止機構104Eを備えることで、点火装置100Eの管状部材101内に備えられる耐熱ガラス102と燃焼ガスと接触を抑制できる。そのため、耐熱ガラス102の内面102aに煤などの不純物が付着することはない。これによって、耐圧ガラス102を通過するレーザ光110の透過率の低下が防止され、安定した着火を行うことができる。
【0188】
以上説明した実施形態によれば、レーザ点火装置の耐圧ガラスに煤などの不純物が付着することを防止して、安定した着火を行うことが可能となる。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0190】
10…ガスタービン設備、20A、20B、20C、20D、20E…燃焼器、21、29、30…流量調整弁、23、28…圧縮機、24…熱交換器、25…タービン、26…発電機、27…冷却器、40、41、42、43、44、45…配管、44a、71a、71b、81、82、101d…開口、60…燃料ノズル部、61…燃焼器ライナ、62…トランジションピース、63、64…孔、65…希釈孔、70…燃焼器ケーシング、71…上流側ケーシング、72…下流側ケーシング、80…筒体、80a…蓋部材、80b…本体部材、85…静翼、86…動翼、100A、100B、100C、100D、100E…点火装置、101…管状部材、101a、101b…端部、101c、211、221…フランジ、101e…外側突出部、102…耐熱ガラス、102a…内面、103…レーザ光供給機構、103a…レーザ発振器、103b…集光レンズ、104A、104B、104C、104D、104E…接触防止機構、110…レーザ光、110a…焦点、120、140、170…流体供給部、130、150、180、185…噴出部、131、151、181、186…噴出孔、160…環状溝、161…流路、165…環状部材、166…環状通路、190…オリフィス部材、191…貫通孔、200…遮断弁、210、220…弁ケーシング、210a、220a…一端、210b…他端、220b…内壁、230…遮断部、240a、240b…空間、250…シール部材。
図1
図2
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図10