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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】シール構造及びそれを備えた計量装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 27/08 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B65G27/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022507110
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2020010785
(87)【国際公開番号】W WO2021181602
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】長井 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】島谷 省伍
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-235141(JP,A)
【文献】実開昭54-180120(JP,U)
【文献】実開昭58-085529(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 27/00、47/00
G01G 19/387
F16J 15/16、15/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加振機を収容した筐体の天板の開口から、前記加振機の振動ヘッドを上方に突出させ、前記振動ヘッドと前記天板との間に、弾性変形可能な環状のシール部材を介在させたシール構造であって、
前記シール部材は、前記振動ヘッドの上部に連結される上方連結部と、該上方連結部に連なって前記天板に連結される中間連結部と、該中間連結部に連なって、前記振動ヘッドの下部に連結される下方連結部とを備える単一のシール部材であり、
前記シール部材は、前記中間連結部と前記下方連結部との間に、前記中間連結部から前記下方連結部への水の流れを抑制するように屈曲変形した屈曲変形部を有する、
シール構造。
【請求項2】
前記シール部材は、前記上方連結部と前記中間連結部との間に、湾曲変形可能な外方へ膨出した膨出部を有する、
請求項1に記載のシール構造。
【請求項5】
前記屈曲変形部が凹溝である、
請求項1記載のシール構造。
【請求項6】
前記屈曲変形部が凹溝である、
請求項2記載のシール構造。
【請求項7】
前記シール部材は、透明又は半透明材料で構成されている、
請求項1、2、5または6のいずれか一項に記載のシール構造。
【請求項8】
前記筐体の前記天板は、部分的に隆起した隆起部を有し、該隆起部の上面に、前記シール部材の前記中間連結部が連結されている、
請求項1、2、5または6のいずれか一項に記載のシール構造。
【請求項9】
筐体としてのセンター基体の上部に、物品を放射状に分散搬送する分散フィーダと、該分散フィーダで分散搬送された物品を更に外方に搬送する複数の直進フィーダとが設けられ、前記センター基体の外周部に、各直進フィーダからの物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、各供給ホッパから排出された物品を保持して、その重量を計量する複数の計量ホッパとが設けられた計量装置であって、
前記複数の直進フィーダの加振機が、前記センター基体に収容され、該センター基体の天板の開口から上方へ突出した前記加振機の振動ヘッドに、前記直進フィーダのトラフが装着され、
前記直進フィーダの加振機の振動ヘッドと前記センター基体の天板との間に、弾性変形可能な環状のシール部材を介在させた前記請求項7に記載のシール構造を備える、
計量装置。
【請求項10】
前記分散フィーダの加振機が、前記センター基体に収容され、該センター基体の天板の開口から上方へ突出した前記加振機の振動ヘッドに、前記分散フィーダのトップコーンが装着され、
前記分散フィーダの加振機の振動ヘッドと前記センター基体の前記天板との間に、弾性変形可能な環状のシール部材を介在させた前記請求項7に記載のシール構造を備える、
請求項9に記載の計量装置。
【請求項11】
筐体としてのセンター基体の上部に、物品を放射状に分散搬送する分散フィーダと、該分散フィーダで分散搬送された物品を更に外方に搬送する複数の直進フィーダとが設けられ、前記センター基体の外周部に、各直進フィーダからの物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、各供給ホッパから排出された物品を保持して、その重量を計量する複数の計量ホッパとが設けられた計量装置であって、
前記複数の直進フィーダの加振機が、前記センター基体に収容され、該センター基体の天板の開口から上方へ突出した前記加振機の振動ヘッドに、前記直進フィーダのトラフが装着され、
前記直進フィーダの加振機の振動ヘッドと前記センター基体の天板との間に、弾性変形可能な環状のシール部材を介在させた前記請求項8に記載のシール構造を備える、
計量装置。
【請求項12】
前記分散フィーダの加振機が、前記センター基体に収容され、該センター基体の天板の開口から上方へ突出した前記加振機の振動ヘッドに、前記分散フィーダのトップコーンが装着され、
前記分散フィーダの加振機の振動ヘッドと前記センター基体の前記天板との間に、弾性変形可能な環状のシール部材を介在させた前記請求項8に記載のシール構造を備える、
請求項11に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を振動搬送する搬送機構に好適なシール構造、及び、それを備えた計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計量装置である組合せ秤、例えば、特許文献1に示される組合せ秤では、センター基体の上部に、上方より供給される物品を放射状に分散搬送する分散フィーダと、分散フィーダで分散搬送された物品を更に外方に向けて搬送する複数の直進フィーダとが備えられている。更に、前記センター基体の外周部には、各直進フィーダからの物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、各供給ホッパから排出される物品を一時保持して計量する複数の計量ホッパとが備えられている。
【0003】
組合せ秤では、複数の計量ホッパの物品の重量に基づいて、組合せ演算を行って、所定重量範囲となるホッパの組合せを選択し、選択したホッパのゲートを開放して物品を排出する。排出された物品は、集合シュートを介してセンター基体中心側に集合案内されて下方の包装装置等に投入される。
【0004】
かかる組合せ秤では、物品の屑や滓などを除去するために、洗浄作業が行われる。特に、食品を計量処理する組合せ秤では、定期的な洗浄作業や食品の種類が変更される都度の洗浄作業が欠かせないものとなっている。
【0005】
この洗浄作業の際に、分散フィーダや直進フィーダ等を装備したセンター基体の内部に洗浄水が浸入すると、収納している電装機器に悪影響を及ぼし、故障の原因となる。このため、センター基体内部への浸水を防止するためにシール構造が備えられている。
【0006】
分散フィーダや直進フィーダでは、センター基体内に配備した加振機の振動ヘッドを、センター基体の天板の開口から上方へ突出させている。この突出した振動ヘッドに、物品を載置して振動搬送する分散フィーダのトップコーンや直進フィーダのトラフを連結する。
【0007】
図12に、直進フィーダに用いられる従来のシール構造Cの一例が示されている。加振機30を収容配備したセンター基体31の天板31aには、開口32が形成されている。この開口32から加振機30の振動ヘッド33が突出されている。この振動ヘッド33に、直進フィーダのトラフ(図示せず)が、着脱自在に装着される。この突出した振動ヘッド33には、シール部材として環状のベローズ35が被せられている。ベローズ35は、柔軟なゴム材などで構成されている。このベローズ35の上部の環状の上方端部35aが、振動ヘッド33の上部に連結支持されている。また、ベローズ35の下部の環状の下方端部35bが、天板31aにそれぞれ連結支持されている。これによって、振動ヘッド33の振動変位をベローズ35の弾性変形によって許容しながら、開口32への洗浄水等の浸入を阻止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-235141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えば、洗浄の際には、通常、トラフやトップコーンなどを加振機の振動ヘッドから取り外して行うので、取り外したトラフ等を、不用意にベローズにぶつけて損傷させてしまう虞がある。特に、組合せ秤においては、多数の直進フィーダが円状に近接配備されているので、トラフを着脱する時に、注意して取り扱わないと近接するベローズにぶつけてしまう虞がある。強くぶつけてしまうと、ベローズに亀裂を生じさせてしまって、防水効果を損ねてしまうことになる。
【0010】
また、亀裂を生じさせないまでも、ベローズ表面に傷をつけてしまうと、運転を続けているうちに、繰り返し弾性変形されることで、傷が進行して亀裂に至ることがある。
【0011】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、ベローズ等のシール部材が損傷しても、高い防水機能を発揮させることができるシール構造、及び、それを備えた計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0013】
(1)本発明に係るシール構造は、加振機を収容した筐体の天板の開口から、前記加振機の振動ヘッドを上方に突出させ、前記振動ヘッドと前記天板との間に、弾性変形可能な環状のシール部材を介在させたシール構造であって、
前記シール部材は、前記振動ヘッドの上部に連結される上方連結部と、該上方連結部に連なって前記天板に連結される中間連結部と、該中間連結部に連なって、前記振動ヘッドの下部に連結される下方連結部とを備える。
【0014】
本発明に係るシール構造によると、シール部材の、振動ヘッドの上部に連結された上方連結部から天板に連結された中間連結部に亘る部分が外部に露出するので、ここに他物がぶつかって損傷する虞がある。しかし、天板に連結された中間連結部は、振動ヘッドの下部に連結された下方連結部に連なるように延長されている。
【0015】
したがって、シール部材は、振動ヘッドの上部に連結された上方連結部から天板に連結された中間連結部に亘る外側シールと、天板に連結された中間連結部から振動ヘッドの下部に連結された下方連結部に亘る内側シールとの内外二重のシールがなされている。このため、シール部材の、振動ヘッドの上部に連結された上方連結部から天板に連結された中間連結部に亘る外側シール部分に他物がぶつかって損傷が生じたとしても、その損傷個所から浸入した洗浄水等は、天板に連結された中間連結部から振動ヘッドの下部に連結された下方連結部に亘る内側シール部分によって、筐体内部への浸入が効果的に阻止されることになる。
【0016】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記シール部材は、前記上方連結部と前記中間連結部との間に、湾曲変形可能な外方へ膨出した膨出部を有する。
【0017】
この実施態様によると、シール部材の、振動ヘッドの上部に連結された上方連結部と天板に連結された中間連結部との間の膨出部が、振動ヘッドの振動変位に伴って湾曲変形することによって、振動ヘッドの振動が吸収され、筐体の天板への振動の伝播が抑制される。
【0018】
(3)本発明の一実施態様では、前記シール部材は、前記中間連結部と前記下方連結部との間に、屈曲変形した屈曲変形部を有する。
【0019】
この実施態様によると、シール部材の、天板に連結された中間連結部と振動ヘッドの下部に連結された下方連結部との間の屈曲変形部が、振動ヘッドの変位に応じて屈曲変形するので、振動ヘッドの振動が筐体の天板に伝播されることが抑制される。また、屈曲変形部が容易に変形することで、シール部材の変形抵抗による振動ヘッドの駆動負荷が小さなものとなる。
【0020】
(4)本発明の他の実施態様では、前記屈曲変形部が凹溝である。
【0021】
この実施態様によると、溝状の屈曲変形部は、振動を吸収するだけではなく、浸入した洗浄水等を溜めることができる。これによって、浸入した洗浄水等が振動ヘッド側へ流れるのを阻止することができる。
【0022】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記シール部材は、透明又は半透明材料で構成されている。
【0023】
この実施態様によると、シール部材の内部への洗浄水等の浸入具合を外部から視認することができる。これによって、シール部材の損傷による洗浄水等の浸入の有無やシール部材の交換の要否を的確に認識することができ、メンテナンス性が向上する。
【0024】
(6)本発明の一実施態様では、前記筐体の前記天板は、部分的に隆起した隆起部を有し、該隆起部の上面に、前記シール部材の前記中間連結部が連結されている。
【0025】
この実施態様によると、シール部材が、天板上に一段高く配備されることになる。これによって、シール部材に触れること少なく、天板上面の洗浄や拭き取りを行うことができ、清掃作業が容易となる。
【0026】
(7)本発明に係る計量装置は、筐体としてのセンター基体の上部に、物品を放射状に分散搬送する分散フィーダと、該分散フィーダで分散搬送された物品を更に外方に搬送する複数の直進フィーダとが設けられ、前記センター基体の外周部に、各直進フィーダからの物品を一時保持して排出する複数の供給ホッパと、各供給ホッパから排出された物品を保持して、その重量を計量する複数の計量ホッパとが設けられた計量装置であって、
前記複数の直進フィーダの加振機が、前記センター基体に収容され、該センター基体の天板の開口から上方へ突出した前記加振機の振動ヘッドに、前記直進フィーダのトラフが装着され、前記直進フィーダの加振機の振動ヘッドと前記センター基体の天板との間に、弾性変形可能な環状のシール部材を介在させた上記(1)ないし(6)のシール構造を備えている。
【0027】
本発明に係る計量装置によると、互いに近接して多数の直進フィーダを配備する計量装置においては、トラフ着脱の際に、トラフを近くのシール部材にぶつけてしまう機会が多くなるが、単一のシール部材による内外二重のシールを行う本発明のシール構造を備えることで、シール部材の損傷による洗浄水等の浸水が発生したとしても、洗浄水等が、センター基体(筐体)内に浸入するのを効果的に阻止し、長期間に亘って故障のない良好な計量運転を行うことができる。
【0028】
(8)本発明の計量装置の好ましい実施態様では、前記分散フィーダの加振機が、前記センター基体に収容され、該センター基体の天板の開口から上方へ突出した前記加振機の振動ヘッドに、前記分散フィーダのトップコーンが装着され、前記分散フィーダの加振機の振動ヘッドと前記センター基体の前記天板との間に、弾性変形可能な環状のシール部材を介在させた上記(1)ないし(6)のシール構造を備えている。
【0029】
トップコーンをセンター基体の上部中央に配備した計量装置においては、センター基体の外周部から大きく手を伸ばして比較的大きくて重いトップコーンの着脱を行うので、トップコーンを取り落としてシール部材を損傷してしまう虞がある。しかし、この実施態様によると、単一のシール部材による内外二重のシールを行う本発明のシール構造を備えることで、シール部材の損傷による洗浄水等の浸水が発生したとしても、洗浄水等がセンター基体(筐体)内に浸入するのを効果的に阻止し、長期間に亘って故障のない良好な計量運転を行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
このように、本発明によれば、シール部材が損傷しても、高い防水機能を発揮させることができるシール構造、及び、それを備えた計量装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は本発明の一実施形態の計量装置である組合せ秤の外観斜視図である。
図2図2図1の組合せ秤の概略構成を示す縦断面図である。
図3図3は分散フィーダのトップコーン及び直進フィーダのトラフの取り外し状態を示す縦断面図である。
図4図4はトップコーン及びトラフを取り外したセンター基体の斜視図である。
図5図5は直進フィーダのシール構造を示す縦断面図である。
図6図6はシール構造に用いるシール部材としてのベローズの一部を切欠いた斜視図である。
図7図7はベローズの一部を切欠いた平面図である。
図8図8はベローズの縦断面図である。
図9図9は分散フィーダに備えたシール構造を示す縦断面図である。
図10図10はシール構造の他の実施形態を示す縦断面図である。
図11図11はシール構造の更に他の実施形態を示す縦断面図である。
図12図12は従来のシール構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1に、計量装置である組合せ秤Aの外観斜視図が、図2に、その概略構成を示す縦断面図がそれぞれ示されている。
【0034】
この組合せ秤Aは、例えば、菓子類やその他の食品等の物品を計量して、所定重量範囲の物品を、図示しない下方の包装装置に排出投入して袋詰めする包装ラインなどに利用される。
【0035】
この組合せ秤Aは、その中央に略円柱状の筐体としてのセンター基体1が、複数本の脚部3を介して基台2に支持されている。基台2は、組合せ秤Aの下部が挿通する上下に貫通する開口を有しており、図2に示されるように、床面Fに設置されている。
【0036】
このセンター基体1の上部に、図示されていない供給装置から落下供給される物品を振動によって放射状に分散搬送する分散フィーダ4が装備されている。また、分散フィーダ4の周囲には、分散搬送された物品を振動によって外方に向けて直進搬送する複数台(この例では14台)の直進フィーダ5が放射状に設けられている。更に、各直進フィーダ5の終端下方には、供給ホッパ6、及び、計量ホッパ7がそれぞれ対応して設けられている。これら直進フィーダ5、供給ホッパ6、および、計量ホッパ7を一連とする複数連(この例では14連)の計量ユニットが、センター基体1の周囲に円状に配備されている。
【0037】
円状に配列された各計量ホッパ7の下方には、所定重量範囲となるように組合せ選択された複数の計量ホッパ7から排出された物品を集めるための集合シュート8が配備されている。集合シュート8の下方には、集合シュート8から滑落した物品を集める漏斗状の集合ファネル9が配備されている。更に、その下方に、集合ファネル9に沿って中央下方に案内されてきた物品を一旦受け止め保持した後、包装装置からの排出要求指令に基づいて開放作動する集合ホッパ10が配備されている。
【0038】
分散フィーダ4は、物品が供給されるトップコーン11と、このトップコーン11を振動駆動する電磁式の加振機12とを備えている。加振機12は、センター基体1の上方内部に配備された支持フレーム13の中央に、重量センサ14を介して搭載連結されている。
【0039】
直進フィーダ5は、内外方向に沿う樋形のトラフトラフ(フィーダパン)16と、これを振動駆動する電磁式の加振機17とを備えている。加振機17は、センター基体1内の前記支持フレーム13に、分散フィーダ5の加振機13をとり囲むように搭載支持されている。
【0040】
図3は、分散フィーダ4のトップコーン11及び直進フィーダ5のトラフ16の取り外し状態を示す縦断面図であり、図4は、トップコーン11及びトラフ16を取り外したセンター基体1の斜視図である。
【0041】
分散フィーダ4は、トップコーン11の内部に備えたバックル式の連結具15を、加振機12の上端露出部に位置決め係合して、操作レバー15aを上下に死点越え揺動操作することで、トップコーン11を加振機12に締め込み連結、あるいは、加振機12から取り外すことができるようになっている。
【0042】
直進フィーダ5は、トラフ16の底部下面に備えたバックル式の連結具18を、加振機17の上端露出部に位置決め係合して、操作レバー18aを上下に死点越え揺動操作することで、トラフ16を加振機17に締め込み連結、あるいは、加振機17から取り外すことができるようになっている。
【0043】
なお、供給ホッパ6及び計量ホッパ7のゲートを開閉する駆動装置等の駆動ユニット19が、図2に示すように、センター基体1の外周部に収容されている。また、各計量ホッパ7内の物品の重量を計量するロードセルなどの重量センサもセンター基体1内に上記駆動ユニット19と共に収容されている。
【0044】
分散フィーダ4は、トップコーン11に載置されている物品の重量が重量センサ14で検知され、トップコーン11上に一定重量範囲内の物品が存在するように、分散フィーダ4への物品供給量が制御される。
【0045】
食品を計量処理する組合せ秤では、衛生上の観点から比較的頻繁に洗浄が行われる。この実施形態の組合せ秤Aでは、洗浄水等が、センター基体1の内部に浸入しないように、分散フィーダ4及び直進フィーダ5の取付け部には、シール構造Bが備えられている。
【0046】
図5は、直進フィーダ5のシール構造Bを示す縦断面図であり、図6は、シール構造Bに用いるシール部材としてのベローズの一部を切欠いた斜視図である。図7は、ベローズの一部を切欠いた平面図であり、図8は、ベローズの縦断面図である。
【0047】
この実施形態のシール構造Bでは、シール部材として、弾性変形が容易なシリコンゴムなどの透明ゴム材からなる環状のベローズ21が用いられる。このベローズ21は、振動ヘッド23の上部に連結される環状の上方連結部21aと、この上方連結部21aに連なってセンター基体1における天板1aに連結される環状の中間連結部21bと、この中間連結部21bに連なって振動ヘッド23の下部に連結される環状の下方連結部21cとを備えている。
【0048】
上方連結部21aは、環状のベローズ12の上方中心(上方内方)側の端縁に、厚肉に形成されている。下方連結部21cは、ベローズ21の下方中心(下方内方)側の端縁に、厚肉に形成されている。
【0049】
中間連結部21bは、センター基体1の天板1aに沿う平面状に形成されている。この中間連結部21bには、センター基体1における天板1aへの連結用に複数(この例では5つ)の連結孔22が、周方向に沿って一定ピッチで形成されている。
【0050】
上方連結部21aから外方へ延出された平面状の上面部21dと、中間連結部21bとの間には、外方に向けて湾曲膨出された弾性変形が容易な膨出部21eが環状に形成されている。
【0051】
中間連結部21bは、膨出部21eの下部から環状のベローズ21の中心(内方)側に延びており、この中間連結部21bと下方連結部21cとの間には、弾性変形し易い屈曲変形部としての凹溝21fが環状に形成されている。
【0052】
加振機17には、電磁駆動されて振動変位する振動ヘッド23が備えられている。センター基体1の天板1aのトラフ装着部位は、一段高く隆起形成されて天板隆起部1a´となっている。この天板隆起部1a´の上面に形成された開口24から振動ヘッド23が上方に突出されている。振動ヘッド23は、電磁駆動されて所定の周波数及び振幅で加振される振動体23a、この振動体23aの上に連結される第1支持部材23b、第1支持部材23bの上に連結される第2支持部材23c、及び、第2支持部材23cの上に備えられた係合連結部材23dを備えている。第1支持部材23bと第2支持部材23cとの間に、ベローズ21の下方連結部21cが挟持連結される。第2支持部材23cと係合連結部23dとの間に、ベローズ21の上方連結部21aが挟持連結される。また、ベローズ21内に組み入れた押さえリング25と天板隆起部1a´の上面との間にベローズ21の中間連結部21bを挟持する。押さえリング25及び連結孔22に挿通したネジ26を、天板隆起部1a´に締め込むことで、ベローズ21の中間連結部21bを天板隆起部1a´に連結固定する。
【0053】
以上のように構成されたシール構造Bでは、振動ヘッド23の振動変位に伴ってベローズ21の膨出部21eが弾性変形することで、振動ヘッド23の振動が吸収され、天板1aへの振動伝播が抑制される。
【0054】
また、振動ヘッド23の振動変位に伴って凹溝21fが弾性変形することでも、振動ヘッド23の振動が吸収される。
【0055】
外部に露出している上面部21d及び膨出部21eが、他物との接触等によって損傷して亀裂が生じ、この亀裂から洗浄作業時の洗浄水がベローズ21内に浸入する虞がある。しかし、シール構造Bでは、天板隆起部1a´に連結されている中間連結部21bは、凹溝21fを介して、振動ヘッド23の下部に連結されている下方連結部21cまで延出されている。したがって、外部に露出している上面部21d、膨出部21e、及び、膨出部21aから中間連結部21bに至る部分によって、外側シールが構成される一方、中間連結部21bから凹溝21fを介して下方連結部21cに至る部分によって、内側シールが構成される。すなわち、内外二重のシールがなされている。
【0056】
これによって、外側シールを構成する膨出部21eや上面部21dが損傷しても、中間連結部21bから凹溝21fを介して下方連結部21cに至る内側シ-ルによって、浸入した洗浄水が、センター基体1の内部にまで流入するのを阻止することができる。また、ベローズ21内に浸入した洗浄水は、凹溝21gに貯留されることになる。
【0057】
ベローズ21は、透明ゴム材で形成されていて内部を容易に視認できるので、適時、凹溝21gへ洗浄水等が溜まったか否かを監視することができる。これによって、ベローズ21の損傷の有無やベローズ交換の要否を判断することができる。
【0058】
なお、ベローズは、シリコンゴムに限らず、EPDMなどの半透明な材料で構成してもよい。
【0059】
上記シール構造Bは、分散フィーダ4の防水にも用いることができ、図9に、分散フィーダ4の取付け部に備えられた状態が示されている。
【0060】
図9に示すように、センター基体1における天板1aの中央部には、別部材からなる天板隆起部1a´が大きく上方に突出して配備されている。この天板隆起部1a´の内部に配備された加振機12の振動ヘッド27が、天板隆起部1a´の上面中央の開口から上方に突出されている。この振動ヘッド27の上端部に、トップコーン11が、バックル式の連結具15を介して着脱自在に連結されている。振動ヘッド27の突出部分と天板隆起部1a´の上面との間に、直進フィーダ5のシール構造Bに用いられたものと同一仕様のベローズ21が、直進フィーダ5の場合と同様な形態で装着されてシール構造Bが構成されている。
【0061】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0062】
(1)ベローズ21は、内部を視認できることが望ましいが、定期点検時にシール構造Bを分解して、ベローズ21内への浸水や凹溝21fへの水の溜まりの確認を行うようにすれば、必ずしも透視できなくてもよい。
【0063】
(2)図10に示すように、ベローズ21の中間連結部21bと下方連結部21cとの間に、屈曲変形部として上方に隆起した突条21hを形成してもよい。これによって、ベローズ21内に浸水した洗浄水等が、下方連結部21bに流れるのを堰き止めることができる。また。振動ヘッド23の振動が天板隆起部1a´及び天板1aに伝播するのを抑制することができる。
【0064】
(3)図11に示すように、ベローズ21の中間連結部21bを、下方連結部21cに向けて先上がりとなるように傾斜させ、ベローズ21内に浸入した洗浄水等が下方連結部21cに流れるのを抑制する形態で実施することもできる。
【0065】
(4)本発明に係るシール構造は、多連の計量ユニットを上記のように円形に配置するのではなく、横一列状に配置した組合せ秤における直進フィーダのシール構造として利用することもできる。
【0066】
(5)本発明に係るシール構造は、単に物品を直進フィーダで振動搬送する物品搬送装置の防水手段として利用することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 筐体(センター基体)
1a 天板
1a´ 天板隆起部
4 分散フィーダ
5 直進フィーダ
6 供給ホッパ
7 計量ホッパ
11 トップコーン
12 加振機
23 振動ヘッド
16 トラフ
17 加振機
21 ベローズ(シール部材)
21a 上方連結部
21b 中間連結部
21c 下方連結部
21d 上面部
21e 膨出部
21f 凹溝(屈曲変形部)
23 振動ヘッド
A 計量装置(組合せ秤)
B シール構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12