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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20230816BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20230816BHJP
   G01M 3/04 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
F25B49/02 520M
F24F11/36
G01M3/04 U
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018022306
(22)【出願日】2018-02-09
(65)【公開番号】P2019138556
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 浩史
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-034443(JP,A)
【文献】特開2018-013403(JP,A)
【文献】実開昭63-027859(JP,U)
【文献】国際公開第2017/110904(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F24F 11/00 - 11/89
G01M 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和機本体と、
冷媒検知装置と、
を備え、
前記空気調和機本体は、
空気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記熱交換器の下方でドレン水を受けるドレンパンと、
前記ドレンパンの下方に配置されて、前記熱交換器に空気を送風するファンと、
前記熱交換器及び前記ファンを収容する外部ケースと、
を備え、
前記冷媒検知装置は、前記外部ケース内における前記ファンの下方に配置されており、
前記冷媒検知装置は、
空気中に漏洩した前記冷媒を検知する漏洩センサと、
前記漏洩センサを収容するとともに、前記センサケースの面のうち上下に対向する一対の面のそれぞれのみに上下方向に開口する開口部が形成されたセンサケースと、
を有し、
前記空気調和機本体は、前記外部ケースの内側に設けられて水平方向を向く固定面を有するセンサ固定部をさらに備え、
前記漏洩センサ及び前記センサケースは、前記固定面から前記水平方向に突出するようにセンサ固定部に固定されていることで、横向きに設けられており、
一対の前記開口部はそれぞれ、前記固定面から前記センサケースの突出する方向に延びるとともに互いに間隔をあけて配列された複数のスリットを有し、
前記漏洩センサの前記固定面から突出長さよりも、前記スリットの前記固定面からの長さの方が長い空気調和機。
【請求項2】
前記空気調和機本体は、床置き型の室内機である請求項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒の漏洩を検知する気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に空気調和機は、冷媒と空気との間で熱交換を行う熱交換器と、熱交換された空気を送風するファンと、を備えている。熱交換器はチューブ状の配管を有し、冷媒は当該配管の中を流れる。
【0003】
冷媒としては、可燃性、又は微燃性の物質が用いられることもある。このような冷媒が空気調和機内部で漏洩した場合、熱源や電気火花等によって着火し、火災につながるおそれがある。そのため、冷媒の漏洩を未然に防ぐための技術はもとより、万が一漏洩が生じた場合はこれを直ちに検知するための技術が要求される。このような技術の一例として、下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1には、筐体内部に設けられた冷媒検知部を有する空気調和機の室内機が記載されている。冷媒検知部は、冷媒の漏洩を検知するセンサと、センサを収容するセンサカバーと、を有している。センサカバーには、少なくとも1つの開口部が形成されており、当該開口部を通じて筐体内の空気がセンサカバー内に導入される。より具体的には、箱状をなすセンサカバーの各面のうち、互いに隣り合う面にそれぞれ開口部が形成されている。センサカバー内に導入された空気に冷媒が含まれている場合、センサはこれを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/110904号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、冷媒の漏洩を正確かつ迅速に検知するためには、センサカバー内に冷媒を含む空気が円滑に流れ込むことが肝要となる。即ち、空気の流れ方向に沿って、空気の入口と出口がそれぞれ形成されていることが望ましい。しかしながら、特許文献1に記載された装置では、上述のように互いに隣り合う面にそれぞれ開口部が形成されている。言い換えると、空気の流れ方向から逸脱した方向に沿って開口部が形成されている。したがって、センサカバー内外での空気の流出入が円滑に行われず、センサによる冷媒の検知に支障を来たすおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、冷媒の漏洩をより正確かつ迅速に検知することが可能な気調和機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、空気調和装置は、空気調和機本体と、冷媒検知装置と、を備え、前記空気調和機本体は、空気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器の下方でドレン水を受けるドレンパンと、前記ドレンパンの下方に配置されて、前記熱交換器に空気を送風するファンと、前記熱交換器及び前記ファンを収容する外部ケースと、を備え、前記冷媒検知装置は、前記外部ケース内における前記ファンの下方に配置されており、前記冷媒検知装置は、空気中に漏洩した前記冷媒を検知する漏洩センサと、前記漏洩センサを収容するとともに、前記センサケースの面のうち上下に対向する一対の面のそれぞれのみに上下方向に開口する開口部が形成されたセンサケースと、を有し、前記空気調和機本体は、前記外部ケースの内側に設けられて水平方向を向く固定面を有するセンサ固定部をさらに備え、前記漏洩センサ及び前記センサケースは、前記固定面から前記水平方向に突出するようにセンサ固定部に固定されていることで、横向きに設けられており、一対の前記開口部はそれぞれ、前記固定面から前記センサケースの突出する方向に延びるとともに互いに間隔をあけて配列された複数のスリットを有し、前記漏洩センサの前記固定面から突出長さよりも、前記スリットの前記固定面からの長さの方が長い。
【0008】
この構成によれば、センサケースにおける少なくとも互いに対向する一対の面に開口部が形成されている。一方の開口部からセンサケース内に流れ込んだ空気は、他方の開口部に向かって直線状に流れる。即ち、一対の開口部は、センサケース内の空気の流れ方向に沿って配置されている。これにより、センサケース内からの空気の排出と、センサケース内への空気の流入を円滑にすることができる。その結果、空気に漏洩した冷媒が含まれている場合、これを正確かつ迅速に検知することができる。一方で、一対の開口部が例えば互いに直交する(隣接する)面にそれぞれ形成されている場合、空気はセンサケース内で向きを変えて流れる。このため、一方の開口部から他方の開口部に向かう空気の流れが阻害され、漏洩センサによる冷媒の検知が正確に行われない可能性がある。しかしながら、上記の構成によれば、このような可能性を低減することができる。
また、空気調和機は冷媒検知装置を備えている。冷媒検知装置では、センサケースにおける少なくとも互いに対向する一対の面に開口部が形成されている。一方の開口部からセンサケース内に流れ込んだ空気は、他方の開口部に向かって直線状に流れる。これにより、センサケース内からの空気の排出と、センサケース内への空気の流入を円滑にすることができる。その結果、空気に漏洩した冷媒が含まれている場合、これを正確かつ迅速に検知することができる。
さらに、この構成によれば、一対の開口部がそれぞれ上下方向に開口していることから、外部ケース内で空気が上下方向に流れている場合、当該空気を円滑にセンサケース内に導くことができる。
また、冷媒は空気よりも比重が大きいため、熱交換器から漏洩した冷媒は、外部ケース内の下方に向かって流れる。上記の構成によれば、漏洩センサがファンの下方に配置されていることから、外部ケース内の下方に滞留した冷媒を漏洩センサによって直ちに検知することができる。またファンによって外部ケース内で上下方向に空気の流れが形成される。よって一対の開口部がそれぞれ上下方向に開口していることで、空気を円滑にセンサケース内に導くことができる。さらに、熱交換器で生じたドレン水をドレンパンで受けることができる。よって一対の開口部がそれぞれ上下方向に開口していても、ドレン水がドレンパンの下方に流出して開口部からセンサケース内に浸入してしまうことを回避できる。よって漏洩センサの故障を回避できる。
【0009】
上記態様では、前記一対の開口部はそれぞれ、互いに間隔をあけて配列された複数のスリットを有していてもよい。
【0010】
この構成によれば、開口部が複数のスリットを有することから、センサケース内に空気を円滑に導くことができるとともに、塵埃や異物がセンサケース内に流入する可能性を低減することができる。一方で、開口部が複数のスリットではなく、1つの大きな開口である場合、空気とともに塵埃や異物がセンサケース内に流入する可能性がある。しかしながら、上記の構成によればこのような可能性を低減することができる。
【0019】
上記態様では、前記空気調和機本体は、前記外部ケースの内側に設けられて水平方向を向く固定面を有するセンサ固定部をさらに備え、前記漏洩センサ及び前記センサケースは、前記固定面から前記水平方向に突出するようにセンサ固定部に固定されていることで、横向きに設けられていてもよい。
【0020】
水平方向から漏洩センサ及びセンサケースをセンサ固定部に取り付けることができるので、漏洩センサ及びセンサケースの設置作業が容易である。
【0021】
上記態様では、前記空気調和機本体は、前記外部ケースの内側に設けられて下方向を向く固定面を有するセンサ固定部をさらに備え、前記漏洩センサ及び前記センサケースは、前記固定面から前記下方向に突出するようにセンサ固定部に固定されていることで、下向きに設けられていてもよい。
【0022】
冷媒の比重は空気よりも大きいため、漏洩した冷媒は、外部ケース内の下部から上部に向かって外部ケース内に蓄積されていく。よって漏洩センサ及びセンサケースが下向きに設けられていることで、外部ケース内の空気の流速が小さい場合であっても、外部ケース内の漏洩冷媒を検知し易くなる。
【0023】
上記態様では、空気調和機本体は、床置き型の室内機であってもよい。
【0024】
この構成によれば、室内機における冷媒の漏洩を正確かつ迅速に検知することができる。
【発明の効果】
【0025】
上記の気調和機によれば、冷媒の漏洩をより正確かつ迅速に検知することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る空気調和機のセンサケースを示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る空気調和機のセンサケースを示す縦断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る空気調和機のセンサケースの変形例を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る空気調和機のセンサケースの変形例を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態の変形例に係る空気調和機のセンサケースを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について、図1から図3を参照して説明する。図1は空気調和機100を正面から見た図である。図1に示すように、本実施形態に係る空気調和機100は、屋内の床面状に配置される床置き型の室内機を備える。即ち空気調和機100は、屋外に配置された室外機(不図示)で外気と熱交換された空気を室内に供給する。
【0028】
空気調和機100は、空気と冷媒との間で熱交換を行う熱交換器1と、熱交換された空気を送風するファン2と、ドレンパン3と、熱交換器1、及びファン2を収容する外部ケース4とを有する空気調和機本体101を備える。また空気調和機100は、外部ケース4内に漏洩した冷媒を検知する漏洩センサ5と、漏洩センサ5を収容するセンサケース6と、を有する冷媒検知装置102を備える。外部ケース4内には、上方から下方に向かって順に熱交換器1、ファン2、ドレンパン3、漏洩センサ5(センサケース6)が配置されている。
【0029】
外部ケース4は、箱状をなす。また外部ケース4の内部の下部には、水平方向を向く固定面10aを有するセンサ固定部10が設けられている。
【0030】
熱交換器1は、外部ケース4内における上部に配置されている。熱交換器1は、銅などのように良好な熱伝導率を有する金属材料で形成された管状をなしている。この管の内部には冷媒が流通する。冷媒としては、例えばクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)等が用いられる。これらの冷媒の中には、火気に曝されると着火する可能性があるものもある。また、大気圧下において、冷媒は空気よりも大きな比重を有している。
【0031】
例えば冷房運転を行う場合、室内の高温の空気に曝されることで冷媒は熱交換器1内で気化する。この時、冷媒が吸熱することで熱交換器1周囲の空気が冷却される。冷却された空気を後述するファン2によって室内に送り込むことで室温を下げることができる。一方で、暖房運転を行う場合、室内の低温の空気に曝されることで冷媒は熱交換器1内で凝縮する。この時、冷媒が放熱することで熱交換器1周囲の空気が昇温される。昇温された空気を後述するファン2によって室内に送り込むことで室温を上げることができる。
【0032】
ここで、冷房運転時には、室内の空気中に含まれる水分が凝縮して熱交換器1の表面に結露を生じることがある。結露が進むと水滴(ドレン水)となって下方に滴下する。ドレンパン3は、このような水滴を受け止め、外部(室外)に排出するために設けられている。ドレンパン3は、水平方向に広がる皿状をなしている。
【0033】
ファン2は、外部ケース4内における熱交換器1よりも下方に配置されている。ファン2としては、一例としてシロッコファンが好適に用いられる。ファン2は外部ケース4内で、下方から上方に向かう空気の流れ(風)を生じさせる。ファン2によって生じた風は、上方に向かって流れ、上述の熱交換器1の周囲を通過する。これにより、熱交換器1で熱交換されることで温度が変化した空気が、外部ケース4に形成された送風口41を通じて室内に供給される。詳しくは図示しないが、送風口41には、風の流れる方向を調整する羽根が設けられていてもよい。
【0034】
外部ケース4内におけるファン2の下方には、漏洩センサ5が配置されている。漏洩センサ5は、熱交換器1から冷媒が漏洩した場合にこれを検知する。漏洩センサ5は、固定面10aから水平方向に突出するようにセンサ固定部10の固定面10aに固定されている。よって漏洩センサ5は、横向きに設けられている。漏洩センサ5は、センサケース6内に収容されている。
【0035】
センサケース6は、外部ケース4の内側で固定面10に取り付けられている。センサケース6は固定面10aから水平方向に突出するようにセンサ固定部10の固定面10aに固定されている。よってセンサケース6は、横向きに設けられている。図2図3を参照してセンサケース6の構成について詳細に説明する。なお、以降の説明における「水平」、「平行」等の表現は、必ずしも厳密な水平や平行を意味するものではなく、実質的な水平や平行を志向している限りにおいて、製造上の誤差や公差は許容される。
【0036】
図2に示すように、センサケース6は箱状をなしている。センサケース6の各面のうち、センサ固定部10の固定面10aと水平方向に離れた位置に平行に配置された面は天面61とされている。
【0037】
センサケース6の各面のうち、水平方向を向くとともに、固定面10aと天面61との間にわたって広がる一対の面はそれぞれ第一側面62、第二側面63とされている。空気調和機100を正面から見た場合、第一側面62はセンサケース6の右側の側面をなし、第二側面63は左側の側面をなしている。第二側面63は、固定面10aに近い第一平面63Aと、第一平面63Aよりも天面61側に位置する第二平面63Bとを有している。第二平面63Bは、第一平面63Aよりも第一側面62側に配置されている。第一平面63Aと第二平面63Bは、水平方向を向く段差面63Cによって接続されている。段差面63Cは、固定面10aと平行な面内に広がっている。
【0038】
センサケース6の各面のうち、上下方向を向く一対の面はそれぞれ上面64、下面65とされている。上面64は上方を向いている。下面65は下方を向いている。上面64、及び下面65は、それぞれ四角形の一部が切り欠かれた形状をなしている。即ち、上面64、及び下面65の右側の辺は上述の第一側面62に対応するように直線状をなしている一方で、左側の辺には第二側面63に対応するように段差が形成されている。
【0039】
図3に示すように、上面64には第一開口部7が形成されている。第一開口部7は、上面64を上下方向に貫通している。より具体的には、第一開口部7は水平方向左右に間隔をあけて配列された複数のスリット71を有している。各スリット71は、固定面10a側から天面61側に向かって延びる矩形状をなしている。各スリット71の長さ(固定面10a側から天面61側に向かう方向における寸法)は互いに同一である。第一開口部7を通じてセンサケース6の内外が連通されている。
【0040】
下面65には第二開口部8が形成されている。第二開口部8は、下面65を上下方向に貫通している。より具体的には、第二開口部8は水平方向左右に間隔をあけて配列された複数のスリット81を有している。各スリット81は、固定面10a側から天面61側に向かって延びる矩形状をなしている。各スリット81の長さ(固定面10a側から天面61側に向かう方向における寸法)は互いに同一である。第二開口部8を通じてセンサケース6の内外が連通されている。スリット71とスリット81とは、一つずつ上下方向に対向するように、対応して設けられているとよい。
【0041】
続いて、本実施形態に係る空気調和機100の動作について説明する。空気調和機100の運転を開始すると、上述のファン2の駆動に伴って外部ケース4内で、下方から上方に向かう空気の流れが生じる。同時に、熱交換器1内の冷媒が、室外機側の熱交換器との間で循環する。
【0042】
ここで、空気調和機100の経年使用に伴って、熱交換器1から冷媒が漏洩する場合がある。そしてこの冷媒に火気や電気火花等に触れた場合、着火する可能性がある。近年における空調設備の防火基準や各種法規の厳格化に対応するため、冷媒の漏洩を未然に防ぐための技術はもとより、万が一漏洩が生じた場合はこれを直ちに検知するための技術が要求されている。そこで、本実施形態に係る空気調和機100には、上述の漏洩センサ5、及びセンサケース6が設けられている。
【0043】
漏洩した冷媒の挙動と、漏洩センサ5による冷媒の検知について説明する。上記した各種の冷媒は、大気圧下においていずれも空気より大きな比重を有している。したがって、熱交換器1の冷媒管から漏洩した冷媒は、気化した後、外部ケース4内における下方に滞留する。空気調和機100が運転されていない場合、外部ケース4の下方に滞留した冷媒は、外部ケース4内における空気の自然対流によって下方から上方へゆっくりと流れる。空気調和機100が運転されている場合においても、ファン2の送風に伴う外部ケース4内の強制対流によって、センサケース6付近では下方から上方へ空気が流れる。
【0044】
ここで、外部ケース4内の下方(ファン2の下方)には、センサケース6に収容された漏洩センサ5が設けられている。センサケース6内には、自然対流によって下方から上方へ向かって流れる空気が流れ込む。具体的には、センサケース6の下面65に形成された第二開口部8を通じて、空気がセンサケース6内に流れ込む。流れ込んだ空気に冷媒が含まれている場合、漏洩センサ5はこれを検知する。センサケース6内に流れ込んだ空気は、なおも上方に向かって流れた後、上面64に形成された第一開口部7を通じてセンサケース6外に流れ出す。即ち、第一開口部7からの空気の流出と、第二開口部8からの空気の流入とが連続的に生じる。これにより、万が一空気に冷媒が含まれていた場合、冷媒が直ちに検知される。冷媒の漏洩が検知された場合、空気調和機100のコントロールパネル(不図示)にその旨を表示したり、音や光を発したりすることによって使用者に報知される。これを受けて使用者は所定のメンテナンスを行う。
【0045】
以上、説明したように、本実施形態に係る構成によれば、センサケース6における少なくとも互いに対向する一対の面に第一開口部7、第二開口部8が形成されている。一方の開口部(第二開口部8)からセンサケース6内に流れ込んだ空気は、他方の開口部(第一開口部7)に向かって直線状に流れる。即ち、第一開口部7、第二開口部8は、センサケース6内の空気の流れ方向に沿って配置されている。これにより、センサケース6内からの空気の排出と、センサケース6内への空気の流入を円滑にすることができる。その結果、空気に漏洩した冷媒が含まれている場合、これを正確かつ迅速に検知することができる。一方で、一対の開口部が例えば互いに直交する(隣接する)面にそれぞれ形成されている場合、空気はセンサケース6内で向きを変えて流れる。このため、一方の開口部から他方の開口部に向かう空気の流れが阻害され、センサケース6内に空気が円滑に流入できなくなり、漏洩センサ5による冷媒の検知が正確に行われない可能性がある。
【0046】
さらに、上記の構成では、第一開口部7、第二開口部8は、それぞれ上下方向に開口している。この構成によれば、ファン2の運転によって外部ケース4内で空気が上下方向に流れている場合、当該空気を円滑にセンサケース6内に導くことができる。
【0047】
加えて、上記の構成では、第一開口部7、第二開口部8は、互いに間隔をあけて配列された複数のスリット71である。この構成によれば、センサケース6内に空気を円滑に導くことができるとともに、塵埃や異物がセンサケース6内に流入する可能性を低減することができる。一方で、第一開口部7、第二開口部8が複数のスリット71ではなく、1つの大きな開口である場合、空気とともに塵埃や異物がセンサケース6内に流入する可能性がある。
【0048】
さらに加えて、上記の構成では、ファン2は、熱交換器1の下方に配置され、漏洩センサ5は、前記ファン2の下方に配置されている。ここで、冷媒は空気よりも比重が大きいため、熱交換器1から漏洩した冷媒は、外部ケース4内の下方に向かって流れる。上記の構成によれば、漏洩センサ5がファン2の下方に配置されていることから、外部ケース4内の下方に滞留した冷媒を漏洩センサ5によって直ちに検知することができる。さらに、熱交換器1で生じたドレン水をドレンパン3で受けることができる。よって第一開口部7、第二開口部8がそれぞれ上下方向に開口していても、ドレン水がドレンパン3の下方に流出して開口部からセンサケース6内に浸入してしまうことを回避できる。よって漏洩センサ5の故障を回避できる。
【0049】
また、漏洩センサ5及びセンサケース6は、固定面10aから水平方向に突出するようにセンサ固定部10に固定されていることで、横向きに設けられている。このため、水平方向から漏洩センサ5及びセンサケース6をセンサ固定部10に取り付けることができるので、漏洩センサ及びセンサケースの設置作業が容易である。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上記の構成は一例であり、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
例えば、上記実施形態では、センサケース6の上面64に第一開口部7が形成され、下面65に第二開口部8が形成されている例について説明した。しかしながら、第一開口部7、及び第二開口部8が形成される面や位置は上記に限定されない。他の例として、図4図5に示すように、第一側面62に第一開口部7が形成され、第二側面63に第二開口部8が形成された構成を採ることも可能である。
【0051】
この構成によれば、第一開口部7、及び第二開口部8がそれぞれ水平方向に開口していることから、外部ケース4内で空気が水平方向に流れている場合、当該空気を円滑にセンサケース6内に導くことができる。即ち、互いに対向する一対の面に形成されている限りにおいて、第一開口部7、及び第二開口部8を外部ケース4内における空気の流れ方向に応じて適宜変更することが可能である。いずれの構成であっても、空気の流れ方向に沿って第一開口部7、第二開口部8が配列されていることから、当該空気の流れを妨げることがない。即ち、外部ケース4内で空気が滞留してしまい、空気をセンサケース6内に円滑に取り込むことができなくなる可能性を低減することができる。
【0052】
さらに、第一開口部7、及び第二開口部8に加えて、上述の天面61に他の開口部を形成することも可能である。この構成によれば、センサケース6内における空気の流れをさらに円滑にすることができるとともに、外部ケース4内の空気が複雑な流れを形成している場合であっても冷媒の漏洩を正確かつ迅速に検知することができる。
【0053】
また、図6に示すように、外部ケース4内に下方を向く固定面10aを有するセンサ固定部10を設けてもよい。この場合、漏洩センサ5及びセンサケース6は、固定面10aから下方向に突出するようにセンサ固定部10に固定されていることで、下向きに設けられていている。冷媒の比重は空気よりも大きいため、漏洩した冷媒は外部ケース4内の下部から上部に向かって外部ケース4内に蓄積されていく。よって漏洩センサ5及びセンサケース6が下向きに設けられていることで、外部ケース4内の空気の流速が小さい場合であっても、外部ケース4内の漏洩冷媒を検知し易くなる。図6に示す例の場合、図2に示す位置に第一開口部7、及び第二開口部8が形成されていてもよいし、図4に示す位置に第一開口部7、及び第二開口部8が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100…空気調和機
101…空気調和機本体
102…冷媒検知装置
1…熱交換器
2…ファン
3…ドレンパン
4…外部ケース
5…漏洩センサ
6…センサケース
7…第一開口部
8…第二開口部
10…センサ固定部
10a…固定面
41…送風口
61…天面
62…第一側面
63…第二側面
63A…第一平面
63B…第二平面
63C…段差面
64…上面
65…下面
71,81…スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6